JP2005026288A - 電磁アクチュエータ、ステージ装置、並びに露光装置 - Google Patents

電磁アクチュエータ、ステージ装置、並びに露光装置 Download PDF

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Masahiro Totsu
政浩 戸津
Junichi Sato
淳一 佐藤
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Abstract

【課題】コイルから外部への熱の伝達が少なく、しかも、部分的な熱の伝達の抑制や、小型化にも好ましく対応可能な電磁アクチュエータを提供する。
【解決手段】ペルチェ素子110の発熱面110aをコイル102に対向して配する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コイルを備える電磁アクチュエータに関し、特に、露光装置のステージ装置に用いられる電磁アクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、半導体素子、液晶表示素子等の電子デバイスの製造工程では、マスク(又はレチクル)に形成された回路パターンをレジスト(感光剤)が塗布された基板(ウエハやガラスプレートなど)上に転写する露光装置が用いられている。
【0003】
露光装置としては、マスクのパターンを基板上の複数のショット領域(露光領域)に順次転写するステップ・アンド・リピート方式の露光装置(いわゆるステッパ)や、マスクと基板とを一次元方向に同期移動してマスクのパターンを基板上の各ショット領域に転写するステップ・アンド・スキャン方式の露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ)などがある。
【0004】
露光装置において、マスクを保持するマスクステージ、あるいは基板を保持する基板ステージなどのステージ装置は、リニアモータやボイスコイルモータなどの電磁アクチュエータにおいて駆動される。
【0005】
電磁アクチュエータは、通電するとコイルの内部抵抗等により発熱することから、周辺機器へ熱影響を及ぼすおそれがある。例えば、露光装置では、ステージ装置の位置情報を光干渉計を用いて計測することが多く、電磁アクチュエータの熱が光干渉計の光が通る空間に伝わると、温度差による気体の揺らぎが生じ、光干渉計の計測精度の低下をまねく。そのため、電磁アクチュエータは、周辺機器への熱影響を抑えるために冷却される。
【0006】
電磁アクチュエータの冷却技術としては、冷媒を流してコイルの熱を回収するものが一般的である。しかしながら、冷媒を用いた電磁アクチュエータの冷却技術では、冷媒が熱を吸収しながら流れることから、下流に向かって冷媒の温度が上昇し、その熱が外部に伝達されるおそれがある。特に、電磁アクチュエータにおける冷媒の出口側(下流側)において外部への熱の伝達が生じやすい。
【0007】
そこで、電磁アクチュエータの外部への熱の伝達を抑制するために、コイルを囲むジャケットを2重構造とし、2種類の冷媒を内側の流路と外側の流路とに分けて流す技術がある(例えば、特許文献1参照)。あるいは、ジャケットを2重構造とし、冷媒を途中で折り返して流す技術がある(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−25227号公報
【特許文献2】
特開2001−275334号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ジャケットを2重構造とする技術は、ジャケットの構成や配管構成の複雑化を招きやすく、小型化への対応が困難である。また、部分的な熱伝達の抑制についても対応が難しい。
【0010】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、コイルから外部への熱の伝達が少なく、しかも、部分的な熱の伝達の抑制や、小型化にも好ましく対応可能な電磁アクチュエータを提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、安定した動作性能を有するステージ装置を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、露光精度の向上を図ることができる露光装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、実施の形態を示す図1から図10に対応付けした以下の構成を採用している。
本発明の電磁アクチュエータは、コイル(102)を備える電磁アクチュエータ(101)において、前記コイルに対向して発熱面(110a)が配されたペルチェ素子(110)を備えることを特徴としている。
この電磁アクチュエータでは、ペルチェ素子の発熱面がコイルに対向して配されることにより、コイルから外部への熱の伝達が抑制される。すなわち、ペルチェ素子の発熱面が熱的な壁となって、コイルから外部に向かう熱の移動が抑制される。また、この電磁アクチュエータでは、ペルチェ素子を用いることにより、部分的な熱伝達の抑制が可能となり、また、小型化にも好ましく対応できる。
【0012】
上記の電磁アクチュエータにおいて、前記コイル(101)を囲むジャケット(127)を備え、前記コイルと前記ジャケットとは、前記ペルチェ素子(123)によって連結されてもよい。
この電磁アクチュエータでは、コイルとジャケットとがペルチェ素子によって連結されていることにより、ペルチェ素子の発熱面が熱的な壁となって、連結部材を介した、コイルからジャケットへの熱の伝達が抑制される。
【0013】
また、上記の電磁アクチュエータにおいて、前記コイル(102)を囲むジャケット(127)を備え、前記ジャケットは複数の前記ペルチェ素子(130,131)と板状絶縁体(124,125)とによって構成されていてもよい。
また、上記の電磁アクチュエータにおいて、前記ペルチェ素子(110)と前記コイル(102)との間に設けられ、前記コイルを囲むジャケット(103)を有し、前記ジャケット(103)と前記ペルチェ素子(110)とは断熱手段(116)を介して接合してもよい。
【0014】
また、上記の電磁アクチュエータにおいて、前記ジャケット(103)と前記コイル(102)との間隙に冷媒が供給されることにより、コイルの熱が冷媒によって回収される。
【0015】
また、上記の電磁アクチュエータにおいて、前記ペルチェ素子(110)は、前記ジャケット(103)における前記冷媒の出口側に配設されていることにより、熱を吸収して温度上昇した冷媒から外部への熱の伝達が抑制される。
【0016】
また、上記の電磁アクチュエータにおいて、前記冷媒の温度と、前記ペルチェ素子(110)の吸熱面(110b)の温度との少なくとも一方を計測する計測装置(111,112,114)と、前記計測装置の計測結果に基づいて、前記ペルチェ素子を制御する制御装置(113)とを備えていることにより、電磁アクチュエータから外部への熱伝達を確実にかつ効率的に抑制することができる。
【0017】
また、上記の電磁アクチュエータにおいて、前記ペルチェ素子(200,201)は、該ペルチェ素子に流れる電流により発生するローレンツ力が互いに打ち消し合うように配置されていることにより、ペルチェ素子による磁界への影響が抑制される。
【0018】
本発明のステージ装置は、物体を保持して移動可能な可動部(5)を有するステージ装置において、前記可動部の駆動に上記の電磁アクチュエータが用いられていることを特徴としている。
このステージ装置では、電磁アクチュエータから周辺機器への熱影響が抑制されるので、安定した動作性能を発揮することができる。
【0019】
本発明の露光装置は、マスク(R)を保持するマスクステージ(4)と、前記マスク上に形成されたパターンが転写される基板(W)を保持する基板ステージ(7)とを有する露光装置であって、前記マスクステージと前記基板ステージとの少なくとも一方が上記のステージ装置であることを特徴としている。
この露光装置では、マスクステージと基板ステージとの少なくとも一方が安定した動作性能を示すことにより、露光精度の向上が図られる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の電磁アクチュエータの実施の形態の第1例を模式的に示す図である。
電磁アクチュエータ101は、例えばリニアモータなど、磁界を発生させるコイル102を介して電気エネルギーを電磁力に変換するものである。本例の電磁アクチュエータ101は、コイル102を囲むジャケット103を有しており、このジャケット103内にコイル102の熱を回収するための冷媒の流路が形成されている。電磁アクチュエータ101では、例えば、通電時の内部抵抗等によりコイル102が発熱する。そのため、ジャケット103内の冷媒流路は、コイル102から効率的に熱を吸収できるように形成されている。なお、ジャケット103は、高い強度を有する非磁性かつ非導電性の材料からなるのが好ましい。ジャケット103の材質としては、例えば、ステンレス、チタン、チタン合金、セラミック、MMC、CFRP等が挙げられる。
【0021】
ジャケット103の冷媒流路には、不図示のポンプを介して冷媒が供給される。冷媒としては、例えば、ハイドロフルオロエーテル、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、クロロフルオロカーボンなどの他に、フロリナート(商標)などのフッ素系不活性液体、アンモニア、空気、水等が挙げられる。本例では、冷媒として、フッ素系不活性液体が用いられる。また、冷媒は、不図示の温調装置により、所定の温度(冷却能力を有する所定温度)に調整される。
【0022】
ジャケット103の外面には、ペルチェ素子110(ペルチェモジュール)が貼り付けられている。ペルチェ素子110は、2種の導体や半導体(熱電冷却素子)の接点に電流(直流電流)が流れることにより熱移動を生じさせるものであり、対向する2つの面のうちの一方が発熱面110a、他方が吸熱面110bとなる。本例では、ジャケット103内のコイル102に対向して、ペルチェ素子110の発熱面110aが配されている。具体的には、ジャケット103における冷媒の出口103bの側において、ジャケット103の外面とペルチェ素子110の発熱面110aとが接しており、これにより、ペルチェ素子110の発熱面110aがコイル102に向けて配され、吸熱面110bがコイル102に対して外向きに配されている。なお、ペルチェ素子では、電流を逆向きに流すことにより、発熱面と吸熱面とが逆転する。
【0023】
また、ジャケット103の冷媒流路の入口103aと出口103bにはそれぞれ、冷媒の温度を計測する計測装置としての温度センサ111,112が配設されている。また、ペルチェ素子110の吸熱面110bにも計測装置としての温度センサ114が配設されている。温度センサ111,112,114の計測結果は、制御装置113に送られる。制御装置113は、温度センサ111,112,114の計測結果に基づいて、ペルチェ素子110に流す電流を制御するようになっている。
【0024】
上記構成の電磁アクチュエータ101では、通電時において、冷媒が循環供給される。すなわち、所定の温度に調整された冷媒が、入口103aからジャケット103内に流入し、コイル102の熱を吸収しながらジャケット103内を流れ、出口103bから流出する。入口103a及び出口103bにおける冷媒の温度はそれぞれ、温度センサ111,112によって計測され、ペルチェ素子の吸熱面の温度は温度センサ114で計測される。制御装置113は、温度センサ111,112、114の少なくとも何れか1つの計測結果に基づいて、ペルチェ素子110に電流を供給する。具体的には、制御装置113は、入口103aと出口103bとの間での冷媒の温度差が所定の値以上になるとペルチェ素子110に電流を供給する。そして、ペルチェ素子110に電流を供給している間は、入口103での冷媒温度を計測する温度センサ111と、ペルチェ素子110の吸熱面110bの温度を計測する温度センサ114との計測結果の差が所定の温度範囲内となるようにペルチェ素子110に供給する電流を制御する。
【0025】
図2は、実施の形態の第1例におけるペルチェ素子110の作用を説明するための図である。
ペルチェ素子110は、通電時においてコイル102に対向する面(発熱面110a)が発熱して温度が高くなる。一方、冷媒は、コイル102の熱を吸収しながら流れるため、特に、ジャケット103の出口側において温度上昇する。温度上昇した冷媒の熱はジャケット103を介して外部に逃げようとするものの、ペルチェ素子110の発熱面110aが熱的な壁となって、外部に向かう熱の移動が抑制される。
【0026】
すなわち、ペルチェ素子110では、通電時において、発熱面110aで温度が高く、吸熱面110bで温度が低い温度勾配が形成される。その結果、ペルチェ素子110での温度勾配に伴う熱移動により、ジャケット103内から外部に向かう熱が押し戻され、押し戻された熱は冷媒とともにジャケット103から取り除かれる。なお、外部空間に接しているペルチェ素子110の吸熱面110bは温度が低い。これらのことから、この電磁アクチュエータ101では、コイル102の熱がジャケット103の外部へ伝達するのが抑制され、周辺機器への熱影響が防止される。
【0027】
また、この電磁アクチュエータ101では、ペルチェ素子110が、ジャケット103における冷媒の出口側に配設され、入口側には配設されていない(図1参照)。そのため、冷媒の温度が上昇するジャケット103の出口側において、部分的に熱伝達が抑制される。また、ペルチェ素子110への通電は、ジャケット103の入口及び出口に配設された温度センサ111,112,114の計測結果に基づいて行われる。これらのことから、この電磁アクチュエータ101では、適切な場所及びタイミングにおいて、コイルから外部への熱伝達の抑制が確実に行われるとともに、ペルチェ素子110に対する消費電力の節約が図られる。なお、ペルチェ素子110の配設場所や配設面積は、ジャケット103内から外部に逃げる熱の移動量やその場所に応じて適宜定められる。例えば、ジャケット103の外面すべてを覆うようにペルチェ素子を配設してもよく、あるいは、ジャケット103に対して、複数のペルチェ素子を配設し、それらを個々に制御してもよい。
【0028】
なお、本実施の形態においては温度センサを冷媒入口103a、冷媒出口103b、ペルチェ素子吸熱面110bの3箇所に配置したが、温度センサは何れか1箇所のみに配置することもできる。温度センサを冷媒入口103aのみに設けた場合、制御装置113は、温度センサ111の計測結果と、電磁アクチュエータ101の通電時における既知の発熱量とに基づいて、ペルチェ素子110に供給する電流を制御すればよい。温度センサを冷媒出口103bのみに設けた場合、制御装置113は、温度センサ112の計測結果から電磁アクチュエータ101の発熱量を推定し、ペルチェ素子110に供給する電流を制御すればよい。温度センサをペルチェ素子吸熱面110bのみに設けた場合、制御装置113は、温度センサ114の計測結果に基づいて、ペルチェ素子吸熱面110bの温度が所定の目標温度となるようにペルチェ素子110に供給する電流を制御すればよい。これらの場合、制御装置113は、1つの温度センサの計測結果に基づいてペルチェ素子110の制御を行なうので、制御方法を簡略化できる。また、温度センサは冷媒入口103a、冷媒出口103b、ペルチェ素子吸熱面110bのうちのいずれか2箇所に配置しても構わない。温度センサを冷媒入口103aとペルチェ素子吸熱面110bとの2箇所に設けた場合、制御装置113は、冷媒入口103aに設けた温度センサ111とペルチェ素子吸熱面110bに設けた温度センサ114との計測結果の差が所定の温度範囲内になるようにペルチェ素子110に供給する電流を制御すればよい。温度センサを冷媒出口103bとペルチェ素子吸熱面110bとの2箇所に設けた場合、制御装置113は、冷媒出口103bに設けた温度センサ112で計測される冷媒出口103bの温度からペルチェ素子吸熱面110bの目標温度を求め、ペルチェ吸熱面110bに設けられた温度センサ114の計測結果が該目標値となるようにペルチェ素子110に供給する電流を制御すればよい。このとき、温度センサ112の計測値に基づいてペルチェ素子110の電流を制御するためのゲインを変更するものとしても構わない。これらの場合、制御装置113は1つの温度センサに基づいて制御を行なうのと比較して、より精密な温度制御を行なうことができ、またより迅速にペルチェ素子を目標の温度に制御することができる。
【0029】
図3は、本発明の電磁アクチュエータの実施の形態の第2例を模式的に示す図である。なお、先の図1および図2に示した実施の形態例と同一の機能を有する構成要素は同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
【0030】
実施の形態の第2例の電磁アクチュエータ115は、コイル102を囲むジャケット103とペルチェ素子110との間にガラス繊維断熱材で形成された断熱手段としての断熱部材116を備える。そして、第1の実施の形態と同様に、コイル102とジャケット103との間には冷媒流路が形成され、該冷媒流路を冷媒が流動している。これによればコイル102が発生した熱は冷媒の温度を上昇させ、ジャケット103を通じて外部へ伝わろうとするが、断熱部材116によって伝導を妨げられる。断熱部材116の外側には、断熱部材116に対して発熱面110aを向けるようにペルチェ素子110が配置される。すなわち、発熱面110aがコイル102に対向するようにペルチェ素子110が配置されている。そのため、断熱部材116を通過してきた僅かな熱も、ペルチェ阻止110が発生する熱移動に妨げられ外部にまでは到達しない。これにより電磁アクチュエータ115の動作によって発生した熱が外部に伝達するのを抑制することができる。
断熱部材116としてはガラス繊維断熱材以外にもセラミック板やベークライト板などを用いることができる。また、ジャケット103とペルチェ素子110との間に形成した空気層あるいは真空層を断熱部材116としても構わない。この場合、空気層あるいは真空層を有する中空板を断熱部材116として用いるのが好ましい。更に、ジャケット103を断熱効果のある素材で形成し、ジャケット103と断熱部材116とを一体成型しても構わない。この場合においても上記と同様の効果を得ることができる。
【0031】
図4は、本発明の電磁アクチュエータの実施の形態の第3例を模式的に示す図である。なお、先の図1に示した実施の形態例と同一の機能を有する構成要素は同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
【0032】
実施の形態の第3例(電磁アクチュエータ121)において、上記実施の形態例と異なる点は、ペルチェ素子を、コイルとジャケットとを連結する連結部材として用いている点である。図4に示すように、ペルチェ素子123(ペルチェモジュール)は、筒状に形成されたN型半導体素子130とP型半導体素子131とが電気的に直列に接続された構成からなる。より具体的には、コイル102の外側にセラミックや樹脂材料等からなる板状絶縁体124,125が配設されており、板状絶縁体124と125との間に、複数のN型半導体素子130と複数のP型半導体素子131とが並べられている。板状絶縁体124と125とは、ペルチェ素子123(N型半導体素子130、P型半導体素子131)によって互いに連結されており、外側の板状絶縁体125は、コイル102に対してペルチェ素子123を介して支持された状態にある。また、N型半導体素子130及びP型半導体素子131は、端面同士が導体126を介して互いに電気的に接続されており、通電されるとコイル102に近い側が発熱面123a、反対側が吸熱面123bとなる。また、板状絶縁体124と125との間には、不図示のポンプを介して冷媒が循環供給される。なお、上記ペルチェ素子123(N型半導体素子130、P型半導体素子131)、及び板状絶縁体124,125等により、コイル102を囲むジャケット127が構成される。
【0033】
上記構成の電磁アクチュエータ121では、ジャケット127内に流入した冷媒は、板状絶縁体124と125との間(並びにN型半導体素子130とP型半導体素子131との間)を流れ、コイル102の熱を回収する。また、ペルチェ素子123は、通電時において、内側の発熱面123aと外側の吸熱面123bとの間で温度勾配を形成する。コイル102の熱の一部は、ペルチェ素子123(N型半導体素子130、P型半導体素子131)を介して、内側の板状絶縁体124から外側の板状絶縁体125に移動しようとするものの、ペルチェ素子123の発熱面が熱的な壁となり、外部に向かう熱の移動が抑制される。すなわち、この電磁アクチュエータ121では、ペルチェ素子123をジャケット127の連結部材として用いていることから、連結部材を介した、コイル102からジャケット127への熱の伝達が抑制される。また、この構成では、熱的な観点から、連結部材の数や位置に制限が少なく、ジャケット127の構造強度の向上が図りやすいという利点がある。
【0034】
ここで、ペルチェ素子では、通電時に磁界中で移動すると、構成要素である導体あるいは半導体に流れる電流によりローレンツ力が発生する。そのため、ペルチェ素子を電磁アクチュエータで用いる場合には、ローレンツ力が打ち消されるように配置されるのが好ましい。図5及び図6は、ローレンツ力を打ち消すためのペルチェ素子の配置例を模式的に示すものであり、リニアモータにおける可動子のコイル(不図示)に対して一体的に配置した2つのペルチェ素子(ペルチェモジュール200,201)を代表的に示している。なお、各ペルチェモジュール200,201はそれぞれ、不図示のコイルに対向して発熱面200a,201aが配され、外向きに吸熱面200b,201bが配されている。
【0035】
図5に示す例では、2つのペルチェモジュール200,201が、可動子の移動方向と直交する方向に並べられるとともに、同一の磁界中に配置されている。また、2つのペルチェモジュール200,201は、互いに逆方向に電流が供給され、その結果、各発熱面200a,201aが互いに対向して配されている。この構成では、同一磁界中に配される2つのペルチェモジュール200,201に対して、互いに逆向きに電流が流れることから、ペルチェモジュール200と201とでローレンツ力が逆向きに発生し、それらが互いに打ち消し合う。そのため、ローレンツ力によるリニアモータの制御性の低下が抑制される。
【0036】
一方、図6に示す例では、2つのペルチェモジュール200,201が、可動子の移動方向に平行に並べられるとともに、互いに逆向きの磁界中に配置されるように、磁極ピッチの1/2のピッチで配置されている。また、2つのペルチェモジュール200,201に対して、同方向に電流が供給され、各ペルチェモジュール200,201の発熱面200b,201bが同じ向きに配されている。この構成では、逆向きの磁界中に配される2つのペルチェモジュール200,201に対して電流が同じ向きに流れることにより、ペルチェモジュール200と201とでローレンツ力が逆向きに発生し、それらが互いに打ち消し合う。そのため、ローレンツ力によるリニアモータの制御性の低下が抑制される。
【0037】
なお、図5及び図6に示した配置例はペルチェ素子で発生するローレンツ力を打ち消すための概念を示したものであり、ローレンツ力を打ち消すための構成としては、図5及び図6を組み合わせた形態など様々な形態が適用可能である。
【0038】
また、ペルチェ素子では、磁界中で移動すると、構成要素である導体あるいは半導体に逆起電力が生じる。そのため、ペルチェ素子に加える電圧を、逆起電力に応じて変化させるのが好ましい。すなわち、ペルチェ素子に生じる逆起電力は、磁界中でのペルチェ素子の移動速度に応じて変化することから、例えば、電磁アクチュエータ(リニアモータ)の駆動電圧に基づいてペルチェ素子に加える電圧を制御するとよい。これにより、電磁アクチュエータの駆動時において、ペルチェ素子に所望の熱勾配を確実に形成することができ、コイルから外部への熱移動をより確実に抑制できる。
【0039】
次に、本発明のステージ装置および露光装置の実施の形態例を、図7から図9を参照して説明する。ここでは、露光装置として、マスクとしてのレチクルと基板としてのウエハとを同期移動しつつ、レチクルに形成された半導体デバイスの回路パターンをウエハ上に転写する、スキャニング・ステッパ(走査型露光装置)を使用する場合の例を用いて説明する。また、この露光装置においては、本発明のステージ装置をウエハステージに適用するものとする。
【0040】
図7に示す露光装置1は、光源(不図示)からの露光用照明光によりレチクル(マスク)R上の矩形状(あるいは円弧状)の照明領域を均一な照度で照明する照明光学系IUと、レチクルRを保持して移動するレチクルステージ(マスクステージ)2および該レチクルステージ2を支持するレチクル定盤3を含むステージ装置4と、レチクルRから射出される照明光をウエハ(基板)W上に投影する投影光学系PLと、ウエハWを保持して移動するウエハステージ(基板ステージ)5および該ウエハステージ5を保持するウエハ定盤6を含むステージ装置7と、上記ステージ装置4および投影光学系PLを支持するリアクションフレーム8とから概略構成されている。なお、ここで投影光学系PLの光軸方向をZ方向とし、このZ方向と直交する方向でレチクルRとウエハWの同期移動方向をY方向とし、非同期移動方向をX方向とする。また、それぞれの軸周りの回転方向をθZ、θY、θXとする。
【0041】
照明光学系IUは、リアクションフレーム8の上面に固定された支持コラム9によって支持される。なお、露光用照明光としては、例えば超高圧水銀ランプから射出される紫外域の輝線(g線、i線)およびKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)や、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)およびFレーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV)などが用いられる。
【0042】
リアクションフレーム8は、床面に水平に載置されたベースプレート10上に設置されており、その上部側および下部側には、内側に向けて突出する段部8aおよび8bがそれぞれ形成されている。
【0043】
ステージ装置4の中、レチクル定盤3は、各コーナーにおいてリアクションフレーム8の段部8aに防振ユニット11を介してほぼ水平に支持されており(なお、紙面奥側の防振ユニットについては図示せず)、その中央部にはレチクルRに形成されたパターン像が通過する開口3aが形成されている。なお、レチクル定盤3の材料として金属やセラミックスを用いることができる。防振ユニット11は、内圧が調整可能なエアマウント12とボイスコイルモータ13とが段部8a上に直列に配置された構成になっている。これら防振ユニット11によって、ベースプレート10およびリアクションフレーム8を介してレチクル定盤3に伝わる微振動がマイクロGレベルで絶縁されるようになっている(Gは重力加速度)。
【0044】
レチクル定盤3上には、レチクルステージ2が該レチクル定盤3に沿って2次元的に移動可能に支持されている。レチクルステージ2の底面には、非接触ベアリングとして複数のエアベアリング(エアパッド)14が固定されており、これらのエアベアリング14によってレチクルステージ2がレチクル定盤3上に数ミクロン程度のクリアランスを介して浮上支持されている。また、レチクルステージ2の中央部には、レチクル定盤3の開口3aと連通し、レチクルRのパターン像が通過する開口2aが形成されている。
【0045】
レチクルステージ2について詳述すると、図8に示すように、レチクルステージ2は、レチクル定盤3上を一対のYリニアモータ15、15によってY軸方向に所定ストロークで駆動されるレチクル粗動ステージ16と、このレチクル粗動ステージ16上を一対のXボイスコイルモータ17Xと一対のYボイスコイルモータ17YとによってX、Y、θZ方向に微小駆動されるレチクル微動ステージ18とを備えた構成になっている(なお、図7では、これらを1つのステージとして図示している)。
【0046】
各Yリニアモータ15は、レチクル定盤3上に非接触ベアリングである複数のエアベアリング(エアパッド)19によって浮上支持されY軸方向に延びる固定子20と、この固定子20に対応して設けられ、連結部材22を介してレチクル粗動ステージ16に固定された可動子21とから構成されている。このため、運動量保存の法則により、レチクル粗動ステージ16の+Y方向の移動に応じて、固定子20は−Y方向に移動する。この固定子20の移動によりレチクル粗動ステージ16の移動に伴う反力を相殺するとともに、重心位置の変化を防ぐことができる。
【0047】
なお、固定子20は、レチクル定盤3上に代えて、リアクションフレーム8に設けてもよい。固定子20をリアクションフレーム8に設ける場合には、エアベアリング19を省略し、固定子20をリアクションフレーム8に固定して、レチクル粗動ステージ16の移動により固定子20に作用する反力をリアクションフレーム8を介して床に逃がしてもよい。
【0048】
レチクル粗動ステージ16は、レチクル定盤3の中央部に形成された上部突出部3bの上面に固定されY軸方向に延びる一対のYガイド51、51によってY軸方向に案内されるようになっている。また、レチクル粗動ステージ16は、これらYガイド51、51に対して不図示のエアベアリングによって非接触で支持されている。
【0049】
レチクル微動ステージ18には、不図示のバキュームチャックを介してレチクルR(図7参照)が吸着保持されるようになっている。レチクル微動ステージ18の−Y方向の端部には、コーナキューブからなる一対のY移動鏡52a、52bが固定され、また、レチクル微動ステージ18の+X方向の端部には、Y軸方向に延びる平面ミラーからなるX移動鏡53が固定されている。そして、これら移動鏡52a、52b、53に対して測長ビームを照射する3つのレーザ干渉計(いずれも不図示)が各移動鏡との距離を計測することにより、レチクルステージ2のX、Y、θZ(Z軸回りの回転)方向の位置が高精度に計測される。なお、レチクル微動ステージ18の材質として金属やコージェライトまたはSiCからなるセラミックスを用いることができる。
【0050】
図7に戻り、投影光学系PLとして、ここでは物体面(レチクルR)側と像面(ウエハW)側の両方がテレセントリックで円形の投影視野を有し、石英や蛍石を光学硝材とした屈折光学素子(レンズ素子)からなる1/4(または1/5)縮小倍率の屈折光学系が使用されている。このため、レチクルRに照明光が照射されると、レチクルR上の回路パターンのうち、照明光で照明された部分からの結像光束が投影光学系PLに入射し、その回路パターンの部分倒立像が投影光学系PLの像面側の円形視野の中央にスリット状に制限されて結像される。これにより、投影された回路パターンの部分倒立像は、投影光学系PLの結像面に配置されたウエハW上の複数のショット領域のうち、1つのショット領域表面のレジスト層に縮小転写される。
【0051】
投影光学系PLの鏡筒部の外周には、該鏡筒部に一体化されたフランジ23が設けられている。そして、投影光学系PLは、リアクションフレーム8の段部8bに防振ユニット24を介してほぼ水平に支持された鋳物等で構成された鏡筒定盤25に、光軸方向をZ方向として上方から挿入されるとともに、フランジ23が係合している。なお、鏡筒定盤25として、高剛性・低熱膨張のセラミックス材を用いてもよい。
【0052】
フランジ23の素材としては、低熱膨張の材質、例えばインバー(Inver;ニッケル36%、マンガン0.25%、および微量の炭素と他の元素を含む鉄からなる低膨張の合金)が用いられている。このフランジ23は、投影光学系PLを鏡筒定盤25に対して点と面とV溝とを介して3点で支持する、いわゆるキネマティック支持マウントを構成している。このようなキネマティック支持構造を採用すると、投影光学系PLの鏡筒定盤25に対する組み付けが容易で、しかも組み付け後の鏡筒定盤25および投影光学系PLの振動、温度変化等に起因する応力を最も効果的に軽減できるという利点がある。
【0053】
防振ユニット24は、鏡筒定盤25の各コーナーに配置され(なお、紙面奥側の防振ユニットについては図示せず)、内圧が調整可能なエアマウント26とボイスコイルモータ27とが段部8b上に直列に配置された構成になっている。これら防振ユニット24によって、ベースプレート10およびリアクションフレーム8を介して鏡筒定盤25(ひいては投影光学系PL)に伝わる微振動がマイクロGレベルで絶縁されるようになっている。
【0054】
ステージ装置7は、図7から明らかなように、ステージ装置4と投影光学系PLとから分離してベースプレート10上に設けられている。ステージ装置7は、ウエハステージ5、このウエハステージ5をXY平面に沿った2次元方向に移動可能に支持するウエハ定盤6、ウエハステージ5と一体的に設けられウエハWを吸着保持する試料台ST、これらウエハステージ5および試料台STを相対移動自在に支持するXガイドバーXGを主体に構成されている。ウエハステージ5の底面には、非接触ベアリングである複数のエアベアリング(エアパッド)28が固定されており、これらのエアベアリング28によってウエハステージ5がウエハ定盤6上に、例えば数ミクロン程度のクリアランスを介して浮上支持されている。
【0055】
ウエハ定盤6は、ベースプレート10の上方に、防振ユニット29を介してほぼ水平に支持されている。防振ユニット29は、ウエハ定盤6の各コーナーに配置され(なお、紙面奥側の防振ユニットについては図示せず)、内圧が調整可能なエアマウント30とウエハ定盤6に対して推力を付与するボイスコイルモータ31とがベースプレート10上に並列に配置された構成になっている。これら防振ユニット29によって、ベースプレート10を介してウエハ定盤6に伝わる微振動がマイクロGレベルで絶縁されるようになっている。
【0056】
図9に示すように、XガイドバーXGは、X方向に沿った長尺形状を呈しており、その長さ方向両端には電機子ユニットからなる可動子36,36がそれぞれ設けられている。これらの可動子36,36に対応する磁石ユニットを有する固定子37,37は、ベースプレート10に突設された支持部32、32に設けられている(図7参照、なお図7では可動子36および固定子37を簡略して図示している)。そして、これら可動子36および固定子37によってムービングコイル型のリニアモータ33、33が構成されており、可動子36が固定子37との間の電磁気的相互作用により駆動されることで、XガイドバーXGはY方向に移動するとともに、リニアモータ33、33の駆動を調整することでθZ方向に回転移動する。すなわち、このリニアモータ33によってXガイドバーXGとほぼ一体的にウエハステージ5(および試料台ST、以下単にウエハステージ5と称する)がY方向およびθZ方向に駆動されるようになっている。なお、ウエハステージ5は、Y方向の移動にはガイド部材を有さないガイドレスステージとなっているが、ウエハステージ5のX方向の移動に関しても適宜ガイドレスステージとすることができる。
【0057】
ウエハステージ5は、XガイドバーXGとの間にZ方向に所定量のギャップを維持する磁石およびアクチュエータからなる磁気ガイドを介して、XガイドバーXGにX方向に相対移動自在に非接触で支持・保持されている。また、ウエハステージ5は、XガイドバーXGに埋設された固定子35aを有するXリニアモータ35による電磁気的相互作用によりX方向に駆動される。なお、Xリニアモータの可動子は図示していないが、ウエハステージ5に取り付けられている。
【0058】
ウエハステージ5の上面には、ウエハホルダ41を介してウエハWが真空吸着等によって固定される(図7参照、図9では図示略)。また、ウエハステージ5のX方向の位置は、投影光学系PLの鏡筒下端に固定された参照鏡42を基準として、ウエハステージ5の一部に固定された移動鏡43の位置変化を計測するレーザ干渉計44によって所定の分解能、例えば0.5〜1nm程度の分解能でリアルタイムに計測される。なお、上記参照鏡42、移動鏡43、レーザ干渉計44とほぼ直交するように配置された不図示の参照鏡、レーザ干渉計および移動鏡(図9に示す移動鏡48)によってウエハステージ5のY方向の位置が計測される。なお、これらレーザ干渉計の中、少なくとも一方は、測長軸を2軸以上有する多軸干渉計であり、これらレーザ干渉計の計測値に基づいてウエハステージ5(ひいてはウエハW)のXY位置のみならず、θ回転量あるいはこれらに加え、レベリング量をも求めることができるようになっている。
【0059】
また、XガイドバーXGの−X方向側には、ボイスコイルモータで構成されたXトリムモータ34の可動子34aが取り付けられている。Xトリムモータ34は、Xリニアモータ35の固定子としてのXガイドバーXGとリアクションフレーム8との間に介装され、その固定子34bはリアクションフレーム8(図7参照)に設けられている。このため、ウエハステージ5をX方向に駆動する際の反力は、Xトリムモータ34によりリアクションフレーム8に伝達され、さらにリアクションフレーム8を介してベースプレート10(図7参照)に伝達される。なお、実際にはXトリムモータ34は、リニアモータ33を挟んだZ方向両側に配置されているが、図7および図9では便宜上+Z側のXトリムモータ34のみ図示している。
【0060】
また、リニアモータ33、33及びXリニアモータ35にはそれぞれ冷媒が供給されるとともに、冷媒流路を形成するジャケットには、先の図1から図3に示したように、ペルチェ素子が配設されている。すなわち、リニアモータ33、33及びXリニアモータ35の各可動子のコイルに対して、ペルチェ素子の発熱面が対向して配置されている。
【0061】
次に、上記のように構成されたステージ装置の動作および露光装置による露光処理の動作について説明する。
ここでは、予め、ウエハW上のショット領域を適正露光量(目標露光量)で走査露光するための各種の露光条件が設定されているものとする。そして、いずれも不図示のレチクル顕微鏡およびオフアクシス・アライメントセンサ等を用いたレチクルアライメント、ベースライン計測等の準備作業が行われ、その後アライメントセンサを用いたウエハWのファインアライメント(EGA;エンハンスト・グローバル・アライメント等)が終了し、ウエハW上の複数のショット領域の配列座標が求められる。
【0062】
ウエハWの露光のための準備動作が完了すると、アライメント結果に基づいてレーザ干渉計44の計測値をモニタしつつ、リニアモータ33、35を制御してウエハWの第1ショットの露光のための走査開始位置にウエハステージ5を移動する。そして、リニアモータ15、33を介してレチクルステージ2とウエハステージ5とのY方向の走査を開始し、両ステージ2、5がそれぞれの目標走査速度に達すると、照明光学系IUからの露光用照明光により、レチクルR上の所定の矩形状の照明領域が均一な照度で照明される。この照明領域に対してレチクルRがY方向に走査されるのに同期して、この照明領域と投影光学系PLに関して共役な露光領域に対してウエハWを走査する。
【0063】
そして、レチクルRのパターン領域を透過した照明光が投影光学系PLにより1/5倍あるいは1/4倍に縮小され、レジストが塗布されたウエハW上に照射される。そして、ウエハW上の露光領域には、レチクルRのパターンが逐次転写され、1回の走査でレチクルR上のパターン領域の全面がウエハW上のショット領域に転写される。この走査露光時には、レチクルステージ2のY方向の移動速度と、ウエハステージ5のY方向の移動速度とが投影光学系PLの投影倍率(1/5倍あるいは1/4倍)に応じた速度比に維持されるように、リニアモータ15、33を介してレチクルステージ2およびウエハステージ5が同期制御される。
【0064】
レチクルステージ2の走査方向の加減速時の反力は、固定子20の移動により吸収され、ステージ装置4における重心の位置がY方向において実質的に固定される。また、レチクルステージ2と固定子20とレチクル定盤3との3者間の摩擦が零でなかったり、レチクルステージ2と固定子20との移動方向が僅かに異なる等の理由で、レチクル定盤3の6自由度方向の微少な振動が残留した場合には、上記残留振動を除去すべく、エアマウント12およびボイスコイルモータ13をフィードバック制御する。また、鏡筒定盤25においては、レチクルステージ2、ウエハステージ5の移動による微振動が発生しても、6自由度方向の振動を求め、エアマウント26およびボイスコイルモータ27をフィードバック制御することによりこの微振動をキャンセルして、鏡筒定盤25を定常的に安定した位置に維持することができる。
【0065】
同様に、ステージ装置7では、レーザ干渉計44等の計測値に基づいて、ウエハステージ5の移動に伴う重心の変化による影響をキャンセルするカウンターフォースを防振ユニット29に対してフィードフォワードで与え、この力を発生するようにエアマウント30およびボイスコイルモータ31を駆動する。また、ウエハステージ5とウエハ定盤6との摩擦が零でない等の理由で、ウエハ定盤6の6自由度方向の微少な振動が残留した場合にも、上記残留振動を除去すべく、エアマウント30およびボイスコイルモータ31をフィードバック制御する。
【0066】
また、動作中のステージ装置7では、通電に伴ってリニアモータ(リニアモータ33、33及びXリニアモータ35)のコイルが発熱するものの、冷媒の循環により、冷媒とコイルとの間で熱交換が行われ、コイルの熱が冷媒に回収される。
【0067】
しかも、ステージ装置7では、ペルチェ素子の発熱面が熱的な壁となって、リニアモータのコイルから外部に向かう熱の移動が抑制される。そのため、このステージ装置7では、リニアモータからの熱による空気揺らぎが生じにくく、レーザ干渉計44等の計測精度の低下が防止される。すなわち、このステージ装置7では、リニアモータから周辺機器への熱影響が抑制されるので、安定した動作性能を発揮することができる。そして、このステージ装置7を備える露光装置1では、ステージ装置7が安定した動作性能を示すことにより、露光精度の向上が図られる。
【0068】
なお、本例では、ウエハ用のステージ装置の冷却について説明したが、レチクル用のステージ装置に対しても同様に、ペルチェ素子を配設する構成としてもよい。
【0069】
また、基板としては、半導体デバイス用の半導体ウエハのみならず、液晶ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミック基板、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
【0070】
露光装置としては、レチクル(マスク)とウエハ(基板)とを同期移動してレチクルのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニング・ステッパ;USP5,473,410)の他に、レチクルとウエハとを静止した状態でウエハを順次ステップ移動させながらレチクルのパターンを露光するステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
【0071】
露光装置の種類としては、ウエハに半導体デバイスパターンを露光する半導体デバイス製造用の露光装置に限らず、液晶表示素子製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCDなど)あるいはレチクルなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
【0072】
露光用照明光として、超高圧水銀ランプから発生する輝線(g線(436nm)、h線(404.7nm)、i線(365nm))、KrFエキシマレーザ光(248nm)、ArFエキシマレーザ光(193nm)、Fレーザ光(157nm)のみならず、X線や電子線などの荷電粒子線を用いることができる。例えば、電子線を用いる場合には電子銃として、熱電子放射型のランタンヘキサボライト(LaB)、タンタル(Ta)を用いることができる。さらに、電子線を用いる場合は、レチクルを用いる構成としてもよいし、レチクルを用いずに直接ウエハ上にパターンを形成する構成としてもよい。また、YAGレーザ光や半導体レーザ等の高周波等の波長が200nm〜100nm程度の真空紫外光も適用できる。
【0073】
投影光学系の倍率は、縮小系のみならず等倍系および拡大系のいずれでもよい。また、投影光学系としては、エキシマレーザ光などの遠紫外線を用いる場合は硝材として石英や蛍石などの遠紫外線を透過する材料を用い、Fレーザ光やX線を用いる場合は反射屈折系または屈折系の光学系にし(レチクルも反射型タイプを用いる)、また電子線を用いる場合には光学系として電子レンズおよび偏向器からなる電子光学系を用いればよい。なお、電子線が通過する光路は、真空状態にすることはいうまでもない。また、投影光学系を用いることなく、レチクル(マスク)とウエハ(基板)とを密接させてレチクルのパターンを露光するプロキシミティ露光装置にも適用可能である。
【0074】
ウエハステージやレチクルステージの摺動方式としては、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもよい。また、ステージは、ガイドに沿って移動するタイプでもよいし、ガイドを設けないガイドレスタイプでもよい。
【0075】
ステージの駆動装置として、二次元に磁石を配置した磁石ユニット(永久磁石)と、二次元にコイルを配置した電機子ユニットとを対向させ電磁力によりステージを駆動する平面モータを用いてもよい。この場合、磁石ユニット(永久磁石)と電機子ユニットとのいずれか一方をステージに接続し、磁石ユニットと電機子ユニットの他方をステージの移動面側(ベース)に設ければよい。この場合でもあっても本発明を適用することができる。
【0076】
本願実施形態の露光装置は、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0077】
半導体デバイスは、図10に示すように、デバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、シリコン材料からウエハを製造するステップ203、前述した露光装置によりレチクルのパターンをウエハに露光するウエハ処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
【0078】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の電磁アクチュエータによれば、ペルチェ素子の発熱面がコイルに対向して配されることにより、コイルから外部への熱の伝達が抑制される。また、ペルチェ素子の利用により、部分的な熱伝達の抑制が可能となり、小型化にも好ましく対応できる。
また、本発明のステージ装置によれば、電磁アクチュエータから周辺機器への熱影響が抑制されるので、安定した動作性能を発揮することができる。
また、本発明の露光装置によれば、マスクステージと基板ステージとの少なくとも一方が安定した動作性能を発揮することから、露光精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電磁アクチュエータの実施の形態の第1例を模式的に示す図である。
【図2】ペルチェ素子の作用を説明するための図である。
【図3】本発明の電磁アクチュエータの実施の形態の第2例を模式的に示す図である。
【図4】本発明の電磁アクチュエータの実施の形態の第3例を模式的に示す図である。
【図5】ローレンツ力を打ち消すためのペルチェ素子の配置例を模式的に示す図である。
【図6】ローレンツ力を打ち消すためのペルチェ素子の配置の他の例を模式的に示す図である。
【図7】本発明の露光装置の概略構成図である。
【図8】同露光装置を構成するウエハ側ステージ装置の外観斜視図である。
【図9】ウエハステージを構成するXトリムモータの概略構成図である。
【図10】半導体デバイスの製造工程の一例を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
R…レチクル(マスク)、W…ウエハ(基板)、PL…投影光学系、1…露光装置、2…レチクルステージ、4、7…ステージ装置、5…ウエハステージ(基板ステージ)、33、35…リニアモータ(電磁アクチュエータ)、44…レーザ干渉計、101、115、121…電磁アクチュエータ、102…コイル、103、127…ジャケット、110a、123a、200a、201a…発熱面、110b、123b、200b、201b…吸熱面、110、123、200、201…ペルチェ素子(ペルチェモジュール)、111、112、114…温度センサ(計測装置)、113…制御装置、130…N型半導体素子(ペルチェ素子)、131…P型半導体素子(ペルチェ素子)、124、125…板状絶縁体。

Claims (10)

  1. コイルを備える電磁アクチュエータにおいて、
    前記コイルに対向して発熱面が配されたペルチェ素子を備えることを特徴とする電磁アクチュエータ。
  2. 前記コイルを囲むジャケットを備え、
    前記コイルと前記ジャケットとは、前記ペルチェ素子によって連結されることを特徴とする請求項1に記載の電磁アクチュエータ。
  3. 前記コイルを囲むジャケットを備え、
    前記ジャケットは複数の前記ペルチェ素子と板状絶縁体とによって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁アクチュエータ。
  4. 前記ペルチェ素子と前記コイルとの間に設けられ、前記コイルを囲むジャケットを有し、
    前記ジャケットと前記ペルチェ素子とは断熱手段を介して接合されることを特徴とする請求項1に記載の電磁アクチュエータ。
  5. 前記ジャケットと前記コイルとの間隙に冷媒が供給されることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の電磁アクチュエータ。
  6. 前記ペルチェ素子は、前記ジャケットにおける前記冷媒の出口側に配設されることを特徴とする請求項5に記載の電磁アクチュエータ。
  7. 前記冷媒の温度と、前記ペルチェ素子の吸熱面の温度との少なくとも一方を計測する計測装置と、
    前記計測装置の計測結果に基づいて、前記ペルチェ素子を制御する制御装置とを備えることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の電磁アクチュエータ。
  8. 前記ペルチェ素子は、該ペルチェ素子に流れる電流により発生するローレンツ力が互いに打ち消し合うように配置されることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の電磁アクチュエータ。
  9. 物体を保持して移動可能な可動部を有するステージ装置において、
    前記可動部の駆動に請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の電磁アクチュエータが用いられていることを特徴とするステージ装置。
  10. マスクを保持するマスクステージと、前記マスク上に形成されたパターンが転写される基板を保持する基板ステージとを有する露光装置であって、
    前記マスクステージと前記基板ステージとの少なくとも一方が請求項9に記載のステージ装置であることを特徴とする露光装置。
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