JP2005024966A - 光変調装置 - Google Patents

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Koichi Otaka
剛一 大高
Seiichi Kato
静一 加藤
Takeshi Nanjo
健 南條
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Abstract

【課題】マイクロミラーデバイス(MMD)の多くは、ミラー部が片持ち梁で支えられているため、作動時に振動が発生しやすく、制御が不安定になる。発明者らは両持ち梁を用いたMMDを提案したが、梁が当接する対向面を、基準面に対する角度が異なる第1の対向面と第2の対向面に分け、両者を屈曲点によって接続しているので、製造工程が複雑になっていた。
【解決手段】ほぼV字形の浅い凹部の両側に平坦部を有する基板202上に、該平坦部に両端を固定し、該凹部に掛け渡すように光反射膜206を有する両持ち梁201を設ける。凹部は両持ち梁201の固定端部201aに近い側の第1の対向面207aと、それに接続され基板電極204を備える第2の対向面207bを有する。第1の対向面207aと第2の対向面207bは同一面をなす。両持ち梁201は静電引力によって変形し光の反射方向を変えることができる。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は光投影システムに関し、光変調装置、特に光スイッチデバイスの構成及び製法に関する。応用分野として、電子写真プロセスにおける光書き込みデバイスなどがある。
【0002】
【従来の技術】
静電力を利用した光スイッチデバイスの、入射光の反射方向を変えて光変調を行う光変調装置では、片持ち梁を静電力で撓ませて、入射光の反射方向を変えてスイッチするデバイス、及び、それを用いた光変調システムは、既に公知である。
片持ち梁は、静電力が解放されて梁の撓みが回復するときに振動する。これは、梁の一端のみが固定されていることにより、梁の自由振動が発生するためである。
また、梁を薄膜で形成する場合には、残留応力が発生する。片持ち梁の場合、残留応力により梁が変形する。しかも、残留応力は時間を経て緩和されるために、片持ち梁の変形状態が経時変化する。以上の理由で片持ち梁は安定性が悪い。
片持ち梁の場合は、自由振動に起因して、信号応答性が悪くなる。したがって片持ち梁は安定性の確保が難しく、片持ち梁の固有振動数が低い為に、応答速度を速くすることが出来なかった。
【0003】
ミラーを細いねじり棒で保持し、静電力によりミラーの向きを変え、光の反射方向を変えてスイッチするデバイスも既に公知であるが、その構造が複雑になり、歩留まりを高くすることが困難であるだけでなく、ミラーの保持が細いねじり棒による為に、その寿命を長くすることが出来なかった。
回折格子を静電力で駆動して、光スイッチするデバイスも公知である(例えば、特許文献1 参照。)。
しかし、このような、回折格子を静電力で駆動して、光スイッチするデバイスは、使用する入射光の波長が制限されると言う問題点があった。
【0004】
静電力により梁を湾曲させ、反射光の焦点を合わせて、スリットを通過させることで光スイッチするデバイスも公知である(例えば、特許文献2 参照。)。
しかし、このような、静電力により梁を湾曲させ、反射光の焦点を合わせて、スリットを通過させることで光スイッチするデバイスは、梁の湾曲の度合いが不安定になり易く、信頼性もあまり高くできなかった。
したがって、従来の光変調装置及びその光変調装置を具備する光学応用装置は、入射光の反射方向を変えて光変調を行う構造が複雑で応答も遅く、使用する入射光の波長が制限され、作動が不安定で信頼性も低下すると言う不具合が生じていた。
【0005】
【特許文献1】
特許第3016871号公報(第2、3頁)
【特許文献2】
特開2000−2842号公報(第3頁、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
入射光束の反射方向を変えて光変調を行う従来の光変調装置は、構造が複雑で応答も遅く、使用する入射光の波長が制限され、作動が不安定で信頼性も低下すると言う問題が発生していた。
【0007】
このような問題を解決するため、発明者らは先に、梁の両端を固定して梁の変形を対向面への当接により規制し、入射光を変調する構造を出願した(特願2002−227834号)。この方法では梁の安定性が向上し、信号応答性も改善される。
しかし、上記構造では、梁を当接させるべき対向面を、第1の対向面と第2の対向面とし、両者の接続部分を屈曲点として、2つの対向面が基準面に対して異なる角度で形成されている。そのため製造工程がやや複雑になる。
本発明はこのような課題を解決するものである。即ち、入射光の反射方向を変えて光変調を行うに当たって、応答も速く、使用する入射光の波長が制限されることなく、長期間の使用でも作動が安定で信頼性も高い、という従来の特性を損なうことなく、製造工程が少なく、低コストの光変調装置、及びその光変調装置を具備する光学応用装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明では、入射光の反射方向を変えて光変調を行う光変調装置であって、少なくとも、上面の両端に平坦部を有する基板と、該基板の前記平坦部に両端を固定され中間を静電引力により変形し得る変形部とする梁電極を備えた両持ち梁とを有し、前記基板はほぼ中央部に、前記両持ち梁の両端の固定部分を結ぶ基準面と、前記平坦部に近い第1の対向面と、中央部に近く基板電極を備えた第2の対向面とによって囲まれた凹部を有し、前記両持ち梁は、少なくとも入射光を正反射する光反射膜を有し、前記変形部が前記第1及び第2の対向面に対向して配置され、前記変形を少なくとも上記第2の対向面への当接により規制して前記光反射膜への入射光の光変調を行う光変調装置において、前記第1の対向面は前記第2の対向面と同一面をなすことを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明では、請求項1に記載の光変調装置において、前記第1の対向面と第2の対向面の接続する点の深さは、少なくとも前記両持ち梁の厚さの2倍以上であることを特徴とする。
請求項3の発明では、請求項1または2に記載の光変調装置において、前記両持ち梁と前記第2の対向面とは互いに異なる材料で形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の光変調装置において、前記両持ち梁は導電性材料からなる梁電極を有した窒化シリコン薄膜で形成されていることを特徴とする。
請求項5の発明では、請求項4に記載の光変調装置において、前記梁電極はアルミニウムで形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明では、請求項4または5に記載の光変調装置において、前記梁電極が前記光反射膜を兼ねることを特徴とする。
請求項7の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の光変調装置において、前記両持ち梁に備えられた梁電極は、導電性を有する多結晶シリコン薄膜で形成されることを特徴とする。
【0012】
請求項8の発明では、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の光変調装置において、前記基板電極はZnOからなることを特徴とする。
請求項9の発明では、請求項1ないし8のいずれか1つに記載の光変調装置において、前記基板電極は絶縁性材料で覆われて形成されていることを特徴とする。
請求項10の発明では、請求項9に記載の光変調装置において、前記絶縁性材料はシリコンの酸化物であることを特徴とする。
【0013】
請求項11の発明では、請求項9または10に記載の光変調装置において、前記第2の対向面は凹凸構造を有し、該凹凸構造は前記絶縁性材料にて形成されていることを特徴とする。
請求項12の発明では、請求項11に記載の光変調装置において、前記凹凸構造は複数の円形凹部からなることを特徴とする。
請求項13の発明では、請求項11に記載の光変調装置において、前記凹凸構造は前記両持ち梁の固定端を結ぶ方向に平行な複数の線条構造であることを特徴とする。
【0014】
請求項14の発明では、請求項11に記載の光変調装置において、前記凹凸構造は前記両持ち梁の固定端を結ぶ方向に直交する複数の線条構造であることを特徴とする。
請求項15の発明では、請求項11ないし14のいずれか1つに記載の光変調装置において、前記基板電極は前記凹凸構造の凹部にのみ対応して配置されていることを特徴とする。
請求項16の発明では、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の光変調装置において、前記第2の対向面は凹凸構造を有することを特徴とする。
【0015】
請求項17の発明では、請求項16に記載の光変調装置において、前記凹凸構造は複数の円形凹部からなることを特徴とする。
請求項18の発明では、請求項16に記載の光変調装置において、前記凹凸構造は前記両持ち梁の固定端を結ぶ方向に平行な複数の線条構造であることを特徴とする。
【0016】
請求項19の発明では、請求項16に記載の光変調装置において、前記凹凸構造は前記両持ち梁の固定端を結ぶ方向に直交する複数の線条構造であることを特徴とする。
請求項20の発明では、請求項16に記載の光変調装置において、前記凹凸構造の凹部の底に導電性の基板電極が形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項21の発明では、請求項20に記載の光変調装置において、前記凹凸構造は前記両持ち梁の固定端を結ぶ方向に平行な複数の線条構造を基本とし、凹部はすべてが相互につながった形状をしていることを特徴とする。
請求項22の発明では、請求項20に記載の光変調装置において、前記凹凸構造は前記両持ち梁の固定端を結ぶ方向に直交する複数の線条構造を基本とし、凹部はすべてが相互につながった形状をしていることを特徴とする。
請求項23の発明では、請求項1ないし22のいずれか1つに記載の光変調装置において、前記両持ち梁と前記第2の対向面とが互いに対向する面の少なくとも一方の面の、少なくとも相互に接する部分は撥水性を示す膜で覆われていることをを特徴とする。
【0018】
請求項24の発明では、請求項1ないし23のいずれか1つに記載の光変調装置において、前記両持ち梁と前記第2の対向面とが互いに対向する面の少なくとも一方の面の表面粗さが0.005μm〜0.1μmの範囲であることを特徴とする。
請求項25の発明では、請求項1ないし24のいずれか1つに記載の光変調装置において、透光性材料で形成されたカバー部材が、前記基板上の空隙及び前記両持ち梁を含むように前記基板に取り付けられていて、前記カバー部材と前記基板とで囲まれた空間は真空であることを特徴とする。
【0019】
請求項26の発明では、請求項1ないし24のいずれか1つに記載の光変調装置において、透光性材料で形成されたカバー部材が、前記基板上の空隙及び前記両持ち梁を含むように前記基板に取り付けられていて、前記カバー部材と前記基板とで囲まれた空間はほぼ1torrの減圧状態であることを特徴とする。
【0020】
【実施例】
以下に実施例に従って本発明を説明する。
図1は本発明の実施形態を説明する概略図である。
図中符号101は基板、102は対向面、102aは第1の対向面、102bは第2の対向面、103、104、105は両端が基板101に固定された両持ち梁、103aは両持ち梁103の両端の固定部、103bは両持ち梁103の、外力により変形可能な変形部をそれぞれ示す。両持ち梁104、105の構成も同様である。符号106は互いに平行な入射光、107、108、109は反射光、110は対向面102より上で基板101上面より下の部分に形成される空隙をそれぞれ示す。
【0021】
同図において、両持ち梁103ないし105の表面には光反射膜が形成されている。両持ち梁は両固定端の中間部分が、後述の静電引力により対向面に近づく様に変形させられ、第2の対向面102bに当接する。図1においては両持ち梁103、104は両持ち梁が変形していない状態で、両持ち梁105が静電引力により変形し、基板101の第2の対向面102bに当接している状態である。上記、変形していないときの両持ち梁の下面、すなわち、梁の両固定端を結ぶ平面を、便宜上、基準面と呼ぶ。
【0022】
光変調装置に入射する光106はそれぞれ両持ち梁の表面の光反射膜で反射される。変形していない状態の両持ち梁103、104では、入射光106の反射方向は107のようになる。両持ち梁105が変形し第2の対向面102bに当接した状態では、入射光106の反射方向は変形により108及び109の方向へ変化する。この2つの状態の変化により本発明の光変調装置は光の反射方向を変更出来る。なお、光の反射方向は実際より誇張して示してある。
【0023】
基板101を形成する材料としては、シリコンウエハー、セラミック、ガラス基板等目的により種々選択可能である。シリコンウエハーを基板として用いる場合には、梁を変形させる外力の発生及び制御用の電子回路を基板上に形成可能である。ガラスを基板として用いれば透明基板とすることが出来るので、光を基板裏面から入射できる。
基板上の上下面が非平行な空隙110は半導体微細加工技術により形成可能である。具体的には面積階調マスク、グレートーンマスクといわれるフォトマスクを用いたフォトリソグラフィーの手法によりフォトレジストを両面が非平行な斜面形状に形成することができる。この斜面形状のフォトレジストをドライエッチングのマスクとして、基板材料をドライエッチングすると、基板上に符号110で示すような一部斜面を有する空隙を形成することができる。
【0024】
両持ち梁103、104、105は薄膜材料、具体的には、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、多結晶シリコン膜、種々金属薄膜などが材料として選択できる。本発明の光変調装置のような両持ち梁構造を形成する方法としては、犠牲層プロセスの手法を使うのが一般的である。すなわち、上記のように形成した、空隙を後工程で除去可能な材料、いわゆる犠牲層材料で埋めて、平坦化し、その上に梁材料の成膜、フォトリソグラフィー、エッチング等の微細加工手段により両持ち梁をパターニングして、最後に犠牲層をエッチングにより除去するものである。犠牲層材料としては梁材料とのエッチング選択性が高いものが選ばれる。例えば梁を窒化シリコンで形成する場合には、犠牲層は多結晶シリコンで形成されることが多い。この場合には、多結晶シリコンの犠牲層は、TMAHというエッチング液で除去される。また梁を多結晶シリコンで形成する場合には、犠牲層はCVDのSiO膜が選ばれることが多い。この場合の犠牲層エッチングは緩衝フッ酸が使われる。
【0025】
両持ち梁の一面には光反射膜が形成されている。光反射膜は金属薄膜、誘電体薄膜等で形成出来るが、光反射膜と上記両持ち梁を兼ねることが出来る。両持ち梁を変形させる外力としては一般には静電引力、磁力等が用いられるが、本発明では静電引力で両持ち梁を変形させる。両持ち梁に静電引力を発生させる電極の一つとして梁電極を形成し、他の電極として基板上の前記斜面からなる対向面に沿って基板電極を形成する。
【0026】
図2は本発明の実施例を示す図である。図2(a)は本発明の光変調装置の断面図、図2(b)、図2(c)は従来の光変調装置の動作状態を説明するための図である。図2(d)は本発明の光変調装置の動作状態を説明するための図である。
同図において、符号201は表面に光反射面を有した両持ち梁、201aは固定端、201bは変形部、202は梁を保持する基板、203は酸化膜、204は基板電極、205は保護膜、206は光反射膜、207は対向面、207aは第1の対向面、207bは第2の対向面をそれぞれ示す。
【0027】
図2(a) において、基板202は面方位(100)のシリコンウエハーから形成されており、厚さは525μmである。半導体微細加工の手法により一部斜面からなる凹形状の空隙210が形成され、その表面を熱酸化により形成した酸化膜203が厚さ2μmで覆っている。該凹形状は両持ち梁201の固定端201aから梁の中央部に向かって深さが深くなるように形成され、中央部での深さは1.3μmである。基板電極204は梁を変形させる静電引力を発生する電極の一つで、高融点金属であるTiNで形成されている。厚さは0.2μmで、スパッタ装置で成膜されたものである。保護膜205は基板電極204を保護する膜で、プラズマCVDの手法により形成されたSiO膜である。その厚さは0.3μmに形成されている。この保護膜205の上面が、両持ち梁201が変形して当接する対向面207を形成している。
【0028】
両持ち梁201はLPCVDの手法により形成された窒化シリコン膜により形成されている。その大きさは長さ(両持ち梁201の固定端201a間の距離)25μmで幅(両持ち梁の自由端間の距離)20μm、厚さ0.05μmである。両持ち梁201の上にはスパッタ法で形成された厚さ0.03μmのAl光反射膜206が形成されている。この反射膜は梁を変形させる静電引力を発生させる梁電極を兼ねている。光反射膜206の材料は波長選択性さえなければAlに限る必要はない。
【0029】
保護膜205の上面で形成される対向面207と前記基準面とにより形成される角度は凹形状の空隙の深さ1.3μmと梁の長さの半分12.5μmとから、概略6度になる。この角度のことを、以後、端部傾斜角度と呼ぶことにする。すなわち、対向面と前記基準面とのなす角度は、両持ち梁の左右2つの固定端201aにおいては6度に始まり、凹部の途中で第2の対向面207bに同じ角度6度で接続し、凹部の中央で左右の対向面が繋がる。さらに本実施例では第1の対向面207aと第2の対向面207bが接続する点は基準面からの深さ0.2μmの位置にある。これは両持ち梁201の厚さの4倍になっている。
【0030】
対向面をこのような形状にすることによって、光変調装置の信頼性を高めることが出来る。その理由を図2(b)、(c)を用いて説明する。なお、この両図においては、両持ち梁201の表現は簡略化してある。
図2(b)において、両持ち梁201は静電引力により、2点鎖線で示すように対向面207に当接するように変形させられる。変調の一回の動作において、両持ち梁201の固定端201aに近い部分は電極間のギャップが小さいので強い静電引力が作用すること、また梁の変形のエネルギーが小さいことから、変形の過程を見ると、最初に対向面に当接して、この部分には動作中静電引力が作用し続け、また戻りの過程においては、変形のエネルギーが小さい最後に離れることになる。変形の繰り返し回数が多くなると、このような端部においては繰り返し当接が行われることにより、梁の回復力(=変形のエネルギー)より、梁表面と対向面の付着エネルギーの方が大きくなる状況が発生し、当接した状態を保持する状況、すなわち、固着の状態になる。
【0031】
図2(c)において、対向面207は、屈曲点をもって接続された第1の対向面207aと、第2の対向面207bとを有している。第2の対向面207bには基板電極204が配設されているのに対し、第1の対向面207aには基板電極204が配置されていない。そのため、図の2点鎖線のように、両持ち梁201は静電引力により、第2の対向面207bに当接するが、固定端付近の第1の対向面207aにおいては、静電引力が働いていないので、梁が対向面に当接せず、固着が発生し難くなる。ただし、屈曲点の位置があまり浅いと、図2(b)に示した従来型との違いが明確にならず、十分な効果が発揮できなくなる。前記基準面からの屈曲点の深さは、両持ち梁201の厚さの2倍以上にしている。
この構成は第1の対向面と第2の対向面が屈曲点によって接続されており、その分製造工程が複雑になっている。
【0032】
図2(d)において、対向面207は、第1の対向面207aと、第2の対向面207bとを有している。第1の対向面と第2の対向面とは単純に同一面をなしている。第2の対向面207bには基板電極204が配設されているのに対し、第1の対向面207aには基板電極204が配置されていない。そのため、図の2点鎖線のように、両持ち梁201は静電引力により、第2の対向面207bに吸着され当接するが、固定端付近の第1の対向面207aにおいては、静電引力が働いていないので、梁が対向面に強くは当接せず、固着が発生し難くなる。ただし、基板電極204の配置の上限の位置があまり浅いと、図2(b)に示した従来型との違いが明確にならず、十分な効果が発揮できなくなる。前記基準面からの基板電極204の配置の上限の深さ、すなわち、第1の対向面と第2の対向面が接する点の深さは、本実施例のように、両持ち梁201の厚さの2倍以上にするのがよい。
【0033】
本実施例に示すような屈曲点の有無のみの差で、他の構成寸法は同じ2種類の光変調装置の信頼性を比較すると、単に屈曲点がない図2(b)に示した形状の場合には、連続繰り返し動作回数1×10回で固定端付近に梁の固着が認められた。それに対して、屈曲点がある図2(c)に示した形状の場合には、連続繰り返し動作回数1×1011回でも固着の発生が認められなかった。更に、屈曲点は無いが、対向面7bに対応した位置のみ基板電極を形成した図2(d)に示した形状の場合には、連続繰り返し動作回数1×1010回でも固着の発生が認められなかった。すなわち、第1と第2の対向面の間の接続部に屈曲点を設けるという複雑な構成にしなくても、実用上十分な連続繰り返し動作回数が得られることが明らかとなった。
【0034】
本実施例では両持ち梁201の下面が絶縁性材料からなっているので、基板電極204の上の保護膜205はなくても短絡などの問題は発生しない。
逆に、基板電極204上に絶縁性の保護膜205が設けられている場合は、両持ち梁201を導電性を有した多結晶シリコン薄膜で構成し、あえて、絶縁性の保護膜を重ねなくても、上記同様問題は発生しない。
基板電極の材料として、本実施例では TiNを用いているが、ZnOを用いることもできる。基板電極にZnOを用いると、上記のように保護膜205を用いない場合にも、固着の発生が少なくなる。
【0035】
両持ち梁201と第2の対向面207bの相互の接触面は、双方が鏡面のようにあまり滑らかであると、接触によって真空吸着のような現象が起き、信号が解除されても両者が離れなくなってしまうおそれがある。しかし、両持ち梁201はその厚さが、0.05μmと非常に薄いので、両面の表面状態があまり粗くても光反射性能の劣化が生ずる。これらの条件から、上記接触面の少なくとも一方の表面粗さが、0.005μmないし0.1μmの範囲であることが望ましい。
【0036】
図3は本発明の他の実施例の光変調装置の断面図である。
図中符号301、311は表面に光反射面を有した両持ち梁、301a、311aは該両持ち梁の固定端、301b、311bは変形部、302、312は梁を保持する基板、303、313は酸化膜、304、314は基板電極、305、315は保護膜、306、316は反射膜、307、317は対向面、307a、317aは第1の対向面、307b、317bは第2の対向面をそれぞれ示す。
【0037】
同図において、基板302は面方位(100)のシリコンウエハーから形成されていて、厚さは 525μmである。半導体微細加工の手法により一部斜面からなる凹形状の空隙310が形成され、その表面を熱酸化により形成した酸化膜303が厚さ2μmで覆っている。凹形状は両持ち梁301の固定端301aから梁の中央部に向かって深さが深くなるように形成され、中央部での深さは 2.5μmである。基板電極304は梁を変形させる静電引力を発生する電極の一つで、高融点金属であるTiNで形成されている。厚さは0.2μmで、スパッタ装置で成膜されたものである。保護膜305はプラズマCVDの手法により形成したSiO2膜である。その厚さは0.3μmに形成されている。この保護膜305の上面が対向面307となる。
【0038】
両持ち梁301はLPCVDの手法により形成された窒化シリコン膜により形成されている。その大きさは長さ(両持ち梁の固定端間の距離)50μmで幅(両持ち梁の自由端間の距離)40μm、厚さ0.07μmである。両持ち梁301の上にはスパッタ法で形成された厚さ0.03μmのAl光反射膜306が形成されている。この光反射膜306は両持ち梁301を変形させる静電引力を発生させる梁電極を兼ねている。
【0039】
保護膜305の上面で形成される対向面307と前記基準面とにより形成される角度は、凹形状310の空隙の深さ2.5μmと梁の長さの半分25μmとから、概略6度になる。すなわち、対向面と前記基準面とのなす角度は両持ち梁の左右2つの固定端301aにおいて6度に始まり、凹部の途中で第2の対向面に同じ角度6度で接続し、凹部の中央で左右の対向面が繋がる。さらに本実施例では第1の対向面307aと第2の対向面307bの屈曲点は前記基準面からの深さ0.15μmの位置にある。これは両持ち梁301の厚さの約2.1倍になっている。
【0040】
本実施例に示すような基板電極を持たない第1の対向面の有無のみの差で、他の構成寸法は同じ2種類の光変調装置の信頼性を比較すると、第1の対向面がない場合には、連続繰り返し動作回数1×10回で固定端付近に梁の固着が認められた。それに対して、第1の対向面がある場合には連続繰り返し動作回数1×1011回でも固着の発生が認められなかった。
【0041】
図4は本発明の更に他の実施例を示す図である。
図4(a)は本実施例の光変調装置の断面図である。図4(b)は本実施例の光変調装置の基板の斜視図である。
図において、符号401両持ち梁、402は基板、403は酸化膜、404は基板電極、405は保護膜、406は光反射膜、407は対向面、407aは第1の対向面、407bは第2の対向面、408はディンプルと呼ばれる穴、410は空隙をそれぞれ示す。
【0042】
基板402は面方位(100)のシリコンウエハーから形成されており、厚さは525μmである。半導体微細加工の手法により一部斜面からなる凹形状の空隙410が形成され、その表面を熱酸化により形成した酸化膜403が厚さ2μmで覆っている。該凹形状は両持ち梁401の固定端401aから梁の中央部に向かって深さが深くなるように形成され、中央部での深さは2.5μmである。基板電極404は梁を変形させる静電引力を発生する電極の一つで、高融点金属であるTiNで形成されている。厚さは0.2μmで、スパッタ装置で成膜されたものである。
【0043】
保護膜405は基板電極404を保護する膜で、プラズマCVDの手法により形成されたSiO膜である。その厚さは1.0μmに形成されている。この保護膜405の上面が両持ち梁401が変形して当接する対向面407を形成している。さらにこの対向面407の表面には、図4(b)に示すように、直径1.0μm、深さ0.8μmのディンプル408がピッチ2.0μmで、全面に形成されている。このディンプル408は、両持ち梁401が第2の対向面407bに当接した状態のときに、実際に密着している面積を減少させるので、両持ち梁401と第2の対向面407b間の密着力を弱める効果がある。また、両持ち梁401が第2の対向面407bに当接したときには、ディンプル408内に気体が圧縮されて封じ込められる。この圧縮気体の圧力が、反発力として梁に作用するので、ディンプル408が存在することにより、より固着が発生し難くなる。
【0044】
両持ち梁401はプラズマCVDの手法により形成された窒化シリコン膜により形成されている。その大きさは長さ(両持ち梁401の固定端401a間の距離)50μmで幅(両持ち梁の自由端間の距離)40μm、厚さ0.1μmである。両持ち梁401の上にはスパッタ法で形成された厚さ0.03μmのAl光反射膜406が形成されている。この反射膜は梁を変形させる静電引力を発生させる梁電極を兼ねている。
【0045】
保護膜405の上面で形成される対向面407と前記基準面とから形成される角度は凹形状の空隙410の深さ 2.5μmと梁の長さの半分25μmとから、概略6度になる。すなわち、対向面と前記基準面とのなす角度は両持ち梁の左右2つの固定端401aにおいて6度に始まり、凹部の途中で第2の対向面401bに同じ角度6度で接続し、凹部の中央で左右の対向面が繋がる。さらに本実施例では第1の対向面401aと第2の対向面401bの接続点は前記基準面からの深さ0.2μmの位置にある。これは両持ち梁401の厚さの2倍になっている。
【0046】
本実施例に示すような第1の対向面とディンプル408の有無のみの差で、他の構成寸法は同じ2種類の光変調装置の信頼性を比較すると、第1の対向面とディンプル408がない場合には、連続繰り返し動作回数1×10回で固定端付近で梁の固着が認められた。それに対して、第1の対向面とディンプル408がある場合には連続繰り返し動作回数1×1012回でも固着の発生が認められなかった。
なお、本実施例ではディンプル408を保護膜405の上面に形成しているが、図2を用いて説明した実施例の一部として、基板電極の上に保護膜をつけない場合の例を説明したが、そのような場合は上記ディンプルを基板電極そのものに形成してもよい。
【0047】
図5は本発明の他の実施形態を示す光変調装置の断面図である。図5を用いて本発明の更に他の実施例を説明する。
図5において、符号501は表面に光反射面を有した両持ち梁、502は基板、503は酸化膜、504は基板電極、505は保護膜、506は光反射膜、
507は対向面、508はディンプル、509はカバーをそれぞれ示す。
【0048】
基板502は面方位(100)のシリコンウエハーから形成されており、厚さは525μmである。半導体微細加工の手法により2つの斜面からなる凹形状の空隙510が形成され、その表面を熱酸化により形成した酸化膜503が厚さ2μmで覆っている。該凹形状は両持ち梁501の固定端501aから梁の中央部に向かって深さが深くなるように形成され、中央部での深さは2.5μmである。基板電極504は梁を変形させる静電引力を発生する電極の一つで、高融点金属であるTiNで形成されている。厚さは0.2μmで、スパッタ装置で成膜されたものである。
【0049】
保護膜505は基板電極504を保護する膜で、プラズマCVDの手法により形成されたSiO膜である。その厚さは1.0μmに形成されている。この保護膜505が両持ち梁501が変形して当接する対向面507を形成している。さらにこの対向面507の表面には、直径1.0μm、深さ0.8μmのディンプル508がピッチ2.0μmで、全面に形成されている。このディンプル508は、両持ち梁501が第2の対向面507bに当接状態のときに、実際に密着している面積を減少させるので、両持ち梁501と第2の対向面507b間の密着力を弱める効果がある。また、両持ち梁501が第2の対向面507bに瞬間的に当接したときには、ディンプル508内に気体が圧縮されて閉じ込められる。この圧縮気体の圧力が、反発力として梁に作用するので、ディンプル508が存在することにより、より固着が発生し難くなる。
【0050】
両持ち梁501はプラズマCVDの手法により形成された窒化シリコン膜により形成されている。その大きさは長さ(両持ち梁501の固定端間401aの距離)50μmで幅(両持ち梁の自由端間の距離)40μm、厚さ0.1μmである。両持ち梁501の上にはスパッタ法で形成された厚さ0.03μmのAl光反射膜506が形成されている。この反射膜は梁を変形させる静電引力を発生させる梁電極を兼ねている。
【0051】
保護膜505の上面で形成される対向面507と両持ち梁501とから形成される角度は凹形状の空隙の深さ2 .5μmと梁の長さの半分25μmにより、概略6度になる。すなわち、対向面と両持ち梁501とのなす角度は両持ち梁の左右2つの固定端501aにおいて6度に始まり、凹部の途中で第2の対向面501bに同じ角度6度で接続し、凹部の中央で左右の対向面が繋がる。さらに本実施例では第1の対向面507aと第2の対向面507bの接続点は凹部の深さ0.2μmの位置にある。さらに本実施例では、上記基板上で両持ち梁を覆うようにパイレックス(登録商標)ガラスのような透光性ガラスで形成されたカバー509が取りつけられ、その内部は真空に保たれる。ここで言う真空とは1×10−5 Torr以下の減圧に保持することを言う。本実施例の光変調装置では外部環境、特に湿度の影響を受けないので、より長期信頼性が高くなった。
【0052】
本実施例のようなカバーの有無の差で、他の構成寸法は同じ2種類の光変調装置の信頼性を比較すると、カバーがない場合には、連続繰り返し動作回数1×1013回で固定端付近で梁の固着が認められた。それに対して、カバーがある場合には連続繰り返し動作回数1×1015回でも固着の発生が認められなかった。
【0053】
1×10−5Torrという圧力は実用上真空と呼んでいる範囲であるが、そこまで圧力を減らさなくとも湿度の影響は大幅に軽減できる。真空度を高めるとそれ相応にコストも高くつくので、或る程度の減圧で妥協してもよい。1torr以下の減圧状態、例えば、ほぼ1torrの減圧状態であれば、問題となるような湿度の影響も少ないことが分かっているので、敢えて高度な真空にせずこの程度の減圧状態にしても良い。
【0054】
図4(b)において、ディンプル408を円形の凹部として示したが、パターンの製作が簡単なために示した例であって、製造の際のパターン次第でいろいろな形状が可能である。
図6、7は直線状のディンプルを示す図である。符号は図4に準ずる。
図6においては、凹凸構造は両持ち梁の固定端を結ぶ方向に平行な複数の線条構造になっている。すなわち、保護膜405の一部が第2の対向面407bとなるよう、任意の幅の直線状凸部を複数形成し、それぞれの間にはディンプル408となる凹部を溝状に形成する。したがって、第2の対向面407bとディンプル408は交互に並ぶことになる。ディンプル408の幅は、両持ち梁が静電引力によって対向面407bに吸着されたとき、ディンプル408に対応する両持ち梁の部分が変形しない程度に狭くしておく。これらのパターンもまた製作は非常に容易である。
【0055】
図7においては、凹凸構造は両持ち梁の固定端を結ぶ方向に対し直交する方向に複数の線条構造になっている。図6の場合と線条の方向が異なるだけで、その他は図6の場合と同様である。どちらの線条構造の場合も、静電引力による吸着時に、両持ち梁401と第2の対向面との接触面積が小さくなることと、同じく吸着時に、非接触部分であるディンプル部に気体が封じ込められるため、吸着力解除の際に両持ち梁401が第2の対向面407bに真空吸着されることが防げることにより、固着が発生し難くなる。
【0056】
図4においては、基板電極404が、基板402の凹形状の部分のほぼ全面に存在する構成で説明してきたが、基板電極の形状をディンプルの形状に関係づけることもできる。
図8は基板電極がディンプルに対応していることを説明するための図である。
図において符号は図4に準ずる。図4と異なる構成は、基板電極404がディンプル408の下にのみ存在する点である。このようにする理由は、基板電極404に吸着用の電位を与えると、基板電極404を覆っている絶縁層である保護膜405の表面に、その都度静電誘導による電荷が発生し、それが両持ち梁401を吸引したとき、電荷の発生した箇所が両持ち梁に直接接触すると、固着の原因になりやすくなるからである。本構成によれば、基板電極の上の保護膜の表面に静電誘導による電荷が現れても、それは両持ち梁401に直接接触しないので、固着の原因になりにくい。
【0057】
図9は基板電極形状とディンプルの形状の関係の他の例を示す図である。
図において符号は図4に準ずる。絶縁層である保護膜405は、酸化膜403の上に直接形成されており、保護膜405には所定の条件を満たす形状のディンプル408が設けられている。ディンプルの底には基板電極404が形成されている。ディンプルの深さは、両持ち梁401が吸着されたとき、両持ち梁401の裏面が基板電極404に触れる危険性のない程度とする。
【0058】
図10は基板電極形状とディンプルの形状の関係をカバー付きの光変調装置に適用した例を示す図である。
符号は図5に準ずる。カバーの有無以外は図9の例と同じであるので詳細な説明は省略する。
【0059】
ここで言う所定の条件を満たす形状のディンプルとは、その底に設けた基板電極が電極としての機能を果たせる形状のことを意味する。例えば、図4(b)に示す円形凹部のディンプルの場合、その底に基板電極を設けてもお互いが独立しているため一カ所を電源に接続してもすべての電極に電位を与えることができない。したがって、ディンプルは相互に独立な形状であってはならない。
【0060】
図11、12は所定の条件を満たす形状をしたディンプルの例である。
符号は図4に準ずる。図において、ディンプル408は線条構造を基本とした複雑な形をしているが、すべてが相互につながった形状をしている。基板電極404はディンプル408の底全体に一様に形成されている。したがって、基板電極404のどこか一カ所電源に接続するだけで、基板402の凹形状のほぼ全面に亘って静電引力を発生させることができる。
【0061】
図13は両持ち梁の裏面に撥水性を有する層が形成されていることを示す図である。
同図において、符号218は撥水性の層を示す。その他の符号は図2に準ずる。
梁と対向面との固着の起こりやすさは、湿度の影響を受けることは既に述べた。それは梁および対向面の材質が、表面に水分を吸着しやすい性質を持っているからと考えられる。そして、双方の水分が互いに吸着し合うことによって固着が起こるものと推測される。そこで、本実施形態のように、梁の裏面側、すなわち対向面に接する側に撥水性の層218を形成する。こうすることにより、周囲の気体中にたとえ水分が含まれていたとしても、梁の裏面側には水分が吸着されないので、対向面との間で水分が原因による固着は起こらない。
撥水性の層の材質としては、OTS(octadecyltrichlorosilane)、FDTS(perfluorodecyltrichlorosilane)、DDMS(dichlorodimethylsilane)等が用いられる。
【0062】
図14は第2の対向面の表面に撥水性の層を重ねた状態を示す図である。
図において、符号219は撥水性の層を示す。その他の符号は図2に準ずる。
前記したように水分同士の吸着により、梁と対向面の固着が生ずるのであるから、第2の対向面の側に撥水性の層219を形成しても同じ効果が得られる。もちろん、両持ち梁の裏面側と、第2の対向面の表面の双方に撥水性の層を形成すれば、より効果は大きくなると期待できる。図の都合で、第2の対向面としてディンプルのない例を示したが、ディンプルがあっても、梁と接触する面に撥水性の層を形成すればよいので、本構成は図3以下に示した対向面の形状においてもすべて適用できる。
【0063】
【発明の効果】
本発明によれば、両持ち梁が基板との固定部付近においては、動作時であっても対向面に当接しないので固着が発生せず、長期信頼性の高い光変調装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を説明する概略図である。
【図2】本発明の実施例を示す図である。
【図3】本発明の他の実施例の光変調装置の断面図である。
【図4】本発明の更に他の実施例を示す図である。
【図5】本発明の他の実施形態を示す光変調装置の断面図である。
【図6】直線状のディンプルを示す図である。
【図7】直線状のディンプルを示す図である。
【図8】基板電極がディンプルに対応していることを説明するための図である。
【図9】基板電極形状とディンプルの形状の関係の他の例を示す図である。
【図10】基板電極形状とディンプルの形状の関係をカバー付きの光変調装置に適用した例を示す図である。
【図11】所定の条件を満たす形状をしたディンプルの例である。
【図12】所定の条件を満たす形状をしたディンプルの例である。
【図13】両持ち梁の裏面に撥水性を有する層が形成されていることを示す図である。
【図14】対向面の表面に撥水性の層を重ねた状態を示す図である。
【符号の説明】
101 基板
102 対向面
103、104、105 両持ち梁
106 入射光
107、108、109 反射光
201 両持ち梁
202 基板
204 基板電極
205 保護膜
206 光反射膜
207 対向面
408 ディンプル
509 カバー
210、211 撥水性の層

Claims (26)

  1. 入射光の反射方向を変えて光変調を行う光変調装置であって、少なくとも、上面の両端に平坦部を有する基板と、該基板の前記平坦部に両端を固定され中間を静電引力により変形し得る変形部とする梁電極を備えた両持ち梁とを有し、前記基板はほぼ中央部に、前記両持ち梁の両端の固定部分を結ぶ基準面と、前記平坦部に近い第1の対向面と、中央部に近く基板電極を備えた第2の対向面とによって囲まれた凹部を有し、前記両持ち梁は、少なくとも入射光を正反射する光反射膜を有し、前記変形部が前記第1及び第2の対向面に対向して配置され、前記変形を少なくとも上記第2の対向面への当接により規制して前記光反射膜への入射光の光変調を行う光変調装置において、前記第1の対向面は前記第2の対向面と同一面をなすことを特徴とする光変調装置。
  2. 請求項1に記載の光変調装置において、前記第1の対向面と第2の対向面の接続する点の深さは、少なくとも前記両持ち梁の厚さの2倍以上であることを特徴とする光変調装置。
  3. 請求項1または2に記載の光変調装置において、前記両持ち梁と前記第2の対向面とは互いに異なる材料で形成されていることを特徴とする光変調装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1つに記載の光変調装置において、前記両持ち梁は導電性材料からなる梁電極を有した窒化シリコン薄膜で形成されていることを特徴とする光変調装置。
  5. 請求項4に記載の光変調装置において、前記梁電極はアルミニウムで形成されていることを特徴とする光変調装置。
  6. 請求項4または5に記載の光変調装置において、前記梁電極が前記光反射膜を兼ねることを特徴とする光変調装置。
  7. 請求項1ないし3のいずれか1つに記載の光変調装置において、前記両持ち梁に備えられた梁電極は、導電性を有する多結晶シリコン薄膜で形成されることを特徴とする光変調装置。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1つに記載の光変調装置において、前記基板電極はZnOからなることを特徴とする光変調装置。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1つに記載の光変調装置において、前記基板電極は絶縁性材料で覆われて形成されていることを特徴とする光変調装置。
  10. 請求項9に記載の光変調装置において、前記絶縁性材料はシリコンの酸化物であることを特徴とする光変調装置。
  11. 請求項9または10に記載の光変調装置において、前記第2の対向面は凹凸構造を有し、該凹凸構造は前記絶縁性材料にて形成されていることを特徴とする光変調装置。
  12. 請求項11に記載の光変調装置において、前記凹凸構造は複数の円形凹部からなることを特徴とする光変調装置。
  13. 請求項11に記載の光変調装置において、前記凹凸構造は前記両持ち梁の固定端を結ぶ方向に平行な複数の線条構造であることを特徴とする光変調装置。
  14. 請求項11に記載の光変調装置において、前記凹凸構造は前記両持ち梁の固定端を結ぶ方向に直交する複数の線条構造であることを特徴とする光変調装置。
  15. 請求項11ないし14のいずれか1つに記載の光変調装置において、前記基板電極は前記凹凸構造の凹部にのみ対応して配置されていることを特徴とする光変調装置。
  16. 請求項1ないし7のいずれか1つに記載の光変調装置において、前記第2の対向面は凹凸構造を有することを特徴とする光変調装置。
  17. 請求項16に記載の光変調装置において、前記凹凸構造は複数の円形凹部からなることを特徴とする光変調装置。
  18. 請求項16に記載の光変調装置において、前記凹凸構造は前記両持ち梁の固定端を結ぶ方向に平行な複数の線条構造であることを特徴とする光変調装置。
  19. 請求項16に記載の光変調装置において、前記凹凸構造は前記両持ち梁の固定端を結ぶ方向に直交する複数の線条構造であることを特徴とする光変調装置。
  20. 請求項16に記載の光変調装置において、前記凹凸構造の凹部の底に導電性の基板電極が形成されていることを特徴とする光変調装置。
  21. 請求項20に記載の光変調装置において、前記凹凸構造は前記両持ち梁の固定端を結ぶ方向に平行な複数の線条構造を基本とし、凹部はすべてが相互につながった形状をしていることを特徴とする光変調装置。
  22. 請求項20に記載の光変調装置において、前記凹凸構造は前記両持ち梁の固定端を結ぶ方向に直交する複数の線条構造を基本とし、凹部はすべてが相互につながった形状をしていることを特徴とする光変調装置。
  23. 請求項1ないし22のいずれか1つに記載の光変調装置において、前記両持ち梁と前記第2の対向面とが互いに対向する面の少なくとも一方の面の、少なくとも相互に接する部分は撥水性を示す膜で覆われていることをを特徴とする光変調装置。
  24. 請求項1ないし23のいずれか1つに記載の光変調装置において、前記両持ち梁と前記第2の対向面とが互いに対向する面の少なくとも一方の面の表面粗さが0.005μm〜0.1μmの範囲であることを特徴とする光変調装置。
  25. 請求項1ないし24のいずれか1つに記載の光変調装置において、透光性材料で形成されたカバー部材が、前記基板上の空隙及び前記両持ち梁を含むように前記基板に取り付けられていて、前記カバー部材と前記基板とで囲まれた空間は真空であることを特徴とする光変調装置。
  26. 請求項1ないし24のいずれか1つに記載の光変調装置において、透光性材料で形成されたカバー部材が、前記基板上の空隙及び前記両持ち梁を含むように前記基板に取り付けられていて、前記カバー部材と前記基板とで囲まれた空間はほぼ1torrの減圧状態であることを特徴とする光変調装置。
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