JP2005024933A - 電磁誘導加熱定着用トナー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電磁誘導加熱方式による回転加熱部材と、該回転加熱部材とニップを形成している回転加圧部材とから構成される加熱加圧手段を使用し、記録材上のトナー画像を加熱して定着画像を形成するトナーであって、少なくとも結着樹脂、ワックス及び着色剤を含有したトナー母材からなり、該ワックスのDSCによる吸熱ピークが、40〜150℃に存在し、その最大吸熱ピークが50〜100℃に位置し、かつDSCによる発熱ピークが、30〜150℃に存在し、その最大発熱ピークが40〜95℃に位置することを特徴とするトナーである。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁誘導加熱方式の定着装置を用いた定着画像形成に適用されるトナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真法としては、米国特許第2,297,691号明細書、特公昭42−23910号公報、特公昭43−24748号公報等に記載されている多数の方法が知られているが、一般には、光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体上に静電荷像を形成し、次いで該静電荷像をトナーを用いて現像し、必要に応じて紙の如き記録材にトナー画像を転写した後、加熱、加圧、加熱と加圧、あるいは溶剤蒸気等により記録材に定着し、トナー画像を得るものである。
【0003】
上述の最終工程であるトナー画像を記録材としてのシートに定着する工程に関しても種々の方法や装置が開発されている。現在、最も一般的な定着装置は、熱ローラ又は耐熱フィルムを介した固定発熱ヒータによる圧着加熱方式である。
【0004】
この定着装置において、定着ローラは中空状に形成され、この定着ローラの中心軸上には、発熱体が保持手段により保持されている。該発熱体は、例えば、ハロゲンランプ等の管状発熱ヒーターより構成され、所定の電圧が印加されることにより発熱するものである。このハロゲンランプは、定着ローラの中心軸に位置しているため、ハロゲンランプから発せられた熱は定着ローラ内壁に均一に輻射され、定着ローラの外壁は、その温度が定着に滴した温度(例えば、150〜200℃)になるまで加熱される。
【0005】
この状態で定着ローラと加圧ローラは圧接しながら互いに逆方向へ回転し、トナーが付着したシートを挟持する。定着ローラと加圧ローラの圧接部(以下、ニップ部という)において、シート上のトナーは定着ローラの熱により溶解し、両ローラから作用する圧力によりシートに定着される。
【0006】
しかし、ハロゲンランプ等から構成される発熱体を備えた上記定着装置においては、ハロゲンランプからの輻射熱を利用して定着ローラを加熱するため、電源を投入した後、定着ローラの温度が定着に適した所定温度に達するまでの時間(以下、ウォームアップタイムという)に、比較的長時間を要していた。その間、使用者は複写機を使用することができず、長時間の待機を強いられるという問題があった。
【0007】
その一方で、ウォームアップタイムの短縮を図ってユーザの操作性を向上すべく多量の電力を定着ローラに印加したのでは、定着装置における消費電力が増大し、省エネルギー化に反するという問題が生じていた。このため、複写機などの商品価値を高めるためには、定着装置の省エネルギー化(低消費電力化)と、ユーザの操作性向上(クィックプリント)との両立を図ることが一層注目され、重視されてきている。
【0008】
かかる要請に応える定着装置として、特開昭59−33787号公報に示されるように、加熱源として高周波誘導を利用した誘導加熱方式の定着装置が提案されている。この誘導加熱方式の定着装置は、金属導体からなる中空の定着ローラの内部にコイルが同心状に配置されており、このコイルに高周波電流を流して生じた高周波磁界により定着ローラに誘導渦電流を発生させ、定着ローラ自体の表皮抵抗によって定着ローラそのものをジュール発熱させるようになっている。この誘導加熱方式の定着装置によれば、電気−熱変換効率がきわめて向上するため、ウォームアップタイムの短縮化が可能となる。
【0009】
また、コイルに磁性体からなるコア(磁界遮断部材)を組み合わせることで、高周波磁界の発生を効率的に行えることができる。特に断面形状がT型のコアを用いた場合、高周波磁界の効果的な集中や、発熱部位以外への磁界の遮蔽効果により、定着装置として必要な熱量を低電力で発生させることができる。しかしながら、上記のような従来技術の場合には下記のような問題が生じていた。
【0010】
上述した誘導加熱方式の定着装置にあっては、定着装置起動時に定着ローラ表面の温度が定着に適当な温度になるまでに要する時間が短くできるという特長を生かすためには、定着ローラの熱容量はできるだけ小さい方がよい。そのために薄肉の定着ローラを用いると、定着部材の剛性上、定着ニップ部での加圧力を高く設定することが難しくなり、定着温度を低く設定することが難しくなる。また、この場合、定着ローラの回転軸方向で熱の伝達がしにくくなり、特に最大4層のトナー画像層を十分に加熱溶融させて混色させることが求められるフルカラー画像においては、記録材の上端と下端で温度分布ができてしまい、その結果、記録材が大きくカールしてしまう。また、小サイズの紙を連続して通紙すると、通紙部と非通紙部との定着ローラ温度の差が大きくなりやすい。このとき、定着ローラの通紙部で温調すると、非通紙部が定着に適する温度を大きく超えてしまい、定着装置の各部材の熱劣化が進行したり、非通紙部で定着ローラ表面へのトナーのオフセットが発生しやすくなる。このような誘導加熱の定着方式に適用されるトナーには、他の定着方式にくらべ要求される性能がより高度になってきており、定着性や耐オフセット性のさらなる性能の向上が要求される。
【0011】
従来、トナー用結着樹脂としては、ポリエステル樹脂と、スチレン系樹脂などのビニル系共重合体とが主に使用されている。ポリエステル樹脂は、ビニル系共重合体と比較して、元来低温定着性に優れた性能を有しているが、その反面、高温でのオフセット現象を発生しやすいという問題点も併せもっている。この問題点を補うためにポリエステル樹脂の分子量を上げて粘弾性特性を改良する試みが行われてきたが、上記のような定着装置においては、十分な性質をもっているとは言えなかった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、電磁誘導加熱方式の定着ローラにより記録材上のトナー画像を加熱定着して記録材に定着画像を形成する場合において、その定着ローラ上に温度分布があっても、記録材がカールすることなく、低速から高速まで優れた定着性と耐高温オフセット性を有するトナーを提供することにある。
【0013】
また、本発明の別の目的は、多色トナーが十分混合して色再現性がよく、優れた画像を得ることができるカラートナーを提供することにある。
【0014】
さらに本発明の別の目的は、定着装置の省エネルギー化(低消費電力化)と、ユーザの操作性向上(クイックプリント)との両立を達成することができるトナーを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、電磁誘導加熱手段により磁界を発生させ、これによるジュール熱により加熱を行い、発熱層および離型層を少なくとも含有する回転加熱部材と、該回転加熱部材とニップを形成している回転加圧部材とを少なくとも有する加熱加圧手段を使用し、該回転加圧部材を記録材を介して該回転加熱部材を押圧しながら該記録材上のトナー画像を加熱定着して記録材に定着画像を形成する画像形成方法に適用されトナーに関して、特定のポリエステル樹脂、発熱・吸熱特性を規定したワックス、また分子量分布を規定したポリエチレンワックスの組合せをすることによって、前記の問題点が解消できることを見いだした。
【0016】
即ち、本発明のトナーは、
少なくとも結着樹脂、ワックス及び着色剤を含有した母材からなるトナーであって、該ワックスのDSC(昇温測定)による吸熱ピークが40〜150℃に存在し、かつその最大吸熱ピークが50〜100℃に位置し、またDSC(降温測定)による発熱ピークが30〜150℃に存在し、かつその最大発熱ピークが40〜95℃に位置することを特徴とする。そして特に、該ワックスの重量平均分子量450〜1100、数重量平均分子量400〜1000、そして分子量分布Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)1.2以下のポリエチレンワックスであり、トナー全量に対して、0.5〜10重量%の割合に含有されることが好ましい。
【0017】
また、結着樹脂が、ガラス転移点50〜70℃、酸価10mgKOH/g以下、そしてGPCを用いた分子量分布測定によって、重量平均分子量Mw70000以上、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/Mn20〜50、分子量分布全体の極大値の存在範囲3,000〜20,000、分子量150,000以上の成分含有量10〜30重量%、分子量150,000以上における分子量分布の部分極大値が存在する場合その部分極大値/上記分子量分布全体の極大値の比1/3以下のポリエステル樹脂である請求項1又は2記載のトナーである。
【0018】
そしてまた、トナー母材が、サリチル酸金属化合物、ホウ素錯体、及び環状フェノール系オリゴマーから選ばれる少なくとも1種以上を0.5〜10重量%の割合に含有する請求項1〜3いずれか1項記載のトナーである。
【0019】
本発明において、ポリエチレンワックスなどワックスは、そのDSC(昇温測定)による吸熱ピークが40〜150℃に存在し、かつその最大吸熱ピークが50〜100℃に位置し、またDSC(降温測定)による発熱ピークが30〜150℃に存在し、かつその最大発熱ピークが40〜95℃に位置するものであり、好ましいポリエチレンワックスは、重量平均分子量450〜1100、数平均分子量400〜1000、分子量分布Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)が1.2以下である。
【0020】
上記温度領域に吸熱ピーク及び最大吸熱ピークを有することにより、低温定着に大きく貢献しつつ、離型性をも効果的に発現し、電磁誘導加熱方式の定着方法とのマッチングが良好なものとなる。該吸熱ピークが、40℃未満に存在するとトナーの高温オフセット性が著しく損なわれ、150℃を超えるとトナーの低温定着性が著しく損なわれる。また該最大ピークが昇温測定時に50℃未満、降温測定時に40℃未満であると、ワックス成分の自己凝集力が弱くなり、結果として高温オフセット性が悪化する。一方、該最大吸熱ピークが100℃を超えると定着温度が高くなり、低温オフセットが発生しやすくなり好ましくない。
【0021】
トナーの凝集性を大きく悪化させるといわれているトナー表面のワックスに対して、上記のようなポリエチレンワックスは、そのワックス含有トナーがバイアスロールを利用した転写時に線圧を受けても、ワックス自身に起因する凝集を発生させない。その詳細な理由は不明であるが、分子量分布が狭く、特に粉体特性に悪影響を与えるといわれる極低分子量成分を含まない等の理由であると推測される。
【0022】
なお、本発明において規定するワックスは、島津製作所製の示差走査熱量計DSCを用い、測定にあたっては熱履歴を解消するために試料を室温から昇温速度10℃/minで200℃まで昇温した後、降温速度10℃/minで0℃まで、降温した際の発熱ピークを測定し、再び昇温速度10℃/minで200℃まで昇温した際の吸熱ピークを測定し、各ピークトップ時の温度とする。また、ポリエチレンワックスの分子量分布Mw/Mnは、ウォータース社製のGPC(ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー)150Cを用い、温度140℃、溶媒o−ジクロルベンゼン、測定流量1.0ml/minで濃度0.1wt%で測定した。試料の分子量算出にあたっては、ポリエチレンの粘度式を使用した。カラムとして、東ソー(株)社製GMH−HT(60cm)とGMH−HTL(60cm)を連結したものを用いた。
【0023】
本発明のトナーにおいては、結着樹脂にポリエステル樹脂を利用し、該ポリエステル樹脂が、GPC(ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー)分子量分布において、分子量分布全体の極大値が3,000以上20,000以下の範囲にあり、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)が20〜50であり、分子量150,000以上の成分が10〜30重量%、分子量分布の極大値の1/3を超える分子量分布の山が存在しないようにし、これに分子量分布Mw(重量平均分布量)/Mn(数平均分子量)が1.2以下のポリエチレンワックスを組み合わせたトナーにすることによって、電磁誘導加熱法を用いた定着ローラ上に温度分布が存在する場合でも良好な定着性を維持できる。更にこの効果は、最大4層のトナー画像層を形成するフルカラー画像においてその効果が最大に発揮され、記録材がカールすることなく、また、多色トナーが十分混合して色再現性がよい優れた画像を得られる。
【0024】
本発明のトナーにおいて、結着樹脂として用いる樹脂のガラス転移点は、50〜70℃である。結着樹脂のガラス転移点が50℃未満であると、トナーはトナー担持体との間の摩擦によりトナー表面が劣化し、現像特性が低下する。その結果、カブリが生じたり消費量が増大したりする。他方でガラス転移点が70℃を超えると画像が定着しにくくなり定着機の温度を低く設定できなくなる。
【0025】
本発明のトナーにおいて結着樹脂の酸価は10mgKOH/g以下である。このように酸価を小さくすることにより、着色剤を含んだ場合に良好な環境特性を得ることができ、低温低湿または高温高湿時に連続して多数印刷した場合においても画像濃度の変化を小さく維持することができる。より良好な環境特性を得るために、酸価を5mgKOH/g以下にすることが更に望ましい。
【0026】
本発明において、結着樹脂のGPCによる分子量分布は、次の条件で測定される。
【0027】
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント値との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、東ソー社製あるいは昭和電工社製の分子量が102 〜107 程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。また、検出にはRI(屈折率)検出器を用いる。なお、カラムとしては、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば、昭和電工社製のshodex GPC KF−801、802、803、804、805、806、807、800Pの組合せや、東ソー社製のTSKgel G1000H(HXL)、G2000H(HXL)、G3000H(HXL)、G4000H(HXL)、G5000H(HXL)、G6000H(HXL)、G7000H(HXL)、TSKgurd columnの組合せを挙げることができる。
【0028】
また、試料は、以下のようにして作製する。
【0029】
試料をTHF中に入れ、数時間放置した後、十分振とうしTHFとよく混ぜ、さらに12時間以上静置する。そのときTHF中への放置時間が24時間以上となるようにする。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.2〜0.5μm、例えば、東ソー社製のマイショリディスクH−25−2、ゲルマンサイエンスジャパン社製のエキクロディスク25CR等が利用できる)を通過させたものをGPCの試料する。また、試料濃度は、樹脂成分が0.5〜5mg/mlとなるように調整する。
【0030】
本発明のトナーにおいて、結着樹脂の酸価は結着樹脂に含まれる遊離脂肪酸の中和に必要な結着樹脂1gあたりの水酸化カリウム(KOH)の量である。
【0031】
本発明のトナーは、結着樹脂と着色剤とポリエチレンワックスとを溶融混練することで得るのが好適である。このように、原料各成分を溶融混練することは、低温での離型性、トナー粉体流動性、耐凝集性のバランス良い向上の点で好ましい。その理由の詳細は不明であるが、該手法によりトナーを製造した場合、本発明に利用するワックスであるポリエチレンはある程度のドメインを形成してトナー中に分散する。従って、粉砕界面であるトナー表面でもワックスは同様に分散しており、ワックスの作用効果を上げるためと推測される。さらに、トナー中のゲル成分の分子鎖が破断されることなくポリエチレンワックスを分散させることができ、かつ、トナー表面に特定の物性値をもつワックス成分と超高分子量のゲル成分とが適度に混在されることで、該ポリエステル樹脂のもつ高い耐オフット性が、さらに高レベルで発現されたと推測される。
【0032】
また、そのポリエチレンを当該手法以外の方法、例えば、予め重合時に結着樹脂中に分散させておく等した場合、詳細な理由は不明であるが、他材料及びワックスの分散状態が変ってしまい、低温での離型性およびトナー粉体流動性、耐凝集性のバランスが低下しがちなので、好ましくない。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明のトナーは、電磁誘導加熱方式を用いた定着装置に適するトナーを提供するもので、以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0034】
本発明に用いるポリエステル樹脂のモノマーとしては、以下のものが挙げられる。
【0035】
アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、また、次式で示されるビスフェノールAアルキレンオキシド付加物、
【化1】
(但し、式中、Rはエチレン又はプロピレン基であり、x,yはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2〜10である)
また、次式で示されるジオール類、
【化2】
(但し、式中、R′は−CH2 CH2 −、又は−CH2 ・CH(CH3 )−又は−CH2 ・C(CH3 )2 −を表す)
等が挙げられ、これらは単独又は2種以上混合して使用される。これらのモノマーのうち特に、ビスフェノールAアルキレンオキシド付加物を主成分モノマーとして用いた系が良好な結果を示した。
【0036】
ビスフェノールAアルキレンオキシド付加物を構成モノマーとして用いた場合、ビスフェノールA骨格の性質上、比較的高目のガラス転移点のポリエステルが得られ、耐ブロッキング性が良好となる。また、ビスフェノールA骨格の両側のアルキル基の存在がポリマー中でソフトセグメントとして働き、低温定着性が良好となる。
【0037】
また、全酸成分中50mol%以上を含む2価のカルボン酸成分としては、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソソフタル酸、無水フタル酸等のベンゼンジカルボン酸類又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等の飽和ジカルボン酸類又はその無水物、またさらに炭素数6〜18のアルキル基で置換されたコハク酸若しくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸類又はその無水物等が挙げられる。
【0038】
また、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル等の多価アルコール類;トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物などの多価カルボン酸類等が挙げられる。
【0039】
本発明のトナーにおいて、結着樹脂のポリエステルユニットは、3価以上の多価カルボン酸もしくは多価アルコールによって架橋されていることが好ましく、架橋成分としては、無水トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ペンタエリスリトール、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル等が好ましいものとして挙げられる。
【0040】
また、本発明のトナーの母体には、スチレンおよびその置換体の共重合体やアクリル系樹脂を併用することができる。その配合割合は、上記ポリエステル樹脂の20重量%以内の範囲が好ましい、
スチレンおよびその置換体の共重合体としては、例えば、ポリスチレンホモポリマー、水素添加スチレン樹脂、スチレン−イソブチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン三元共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸エステル−スチレン三元共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン三元共重合体、アクリロニトリル−塩素化ポリスチレン−スチレン三元共重合体、アクリロニトリル−EVA−スチレン三元共重合体、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体、スチレン−イソブチレン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエンゴム等が挙げられる。
【0041】
また、アクリル系樹脂としては、例えば、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリ−n−ブチルメタクリレート、ポリグリシジルメタクリレート、ポリ含フッ素アクリレート、スチレン−メタクリレート共重合体、スチレン−ブチルメタクリレート共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体等が例示される。
【0042】
その他、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ロジン、芳香族石油系、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等が挙げられ、これらは単独又は2種以上混合して使用される。
【0043】
本発明に用いられる好ましい着色剤を以下に挙げる。
【0044】
イエロー着色剤に用いられる顔料としては、ナフトールイエローS等のニトロ系顔料、ハンザイエロー5G、ハンザイエロー3G、ハンザイエローG、ベンジンイエローGR、ベンジンイエローG、バルカンファストイエロー5G等のアゾ系顔料、黄色酸化鉄、黄土等の無機顔料などの顔料が挙げられる。
【0045】
また、イエロー着色剤に用いられる染料としては、カラーインデックスに記されているC.I.ソルベントイエロー2、C.I.ソルベントイエロー6、C.I.ソルベントイエロー14、C.I.ソルベントイエロー15、C.I.ソルベントイエロー16、C.I.ソルベントイエロー19、C.I.ソルベントイエロー21等の油溶性染料が挙げられる。
【0046】
マゼンタ着色剤に用いられる顔料としては、C.I.ピグメント122、C.I.ピグメントバイオレット19等のキナクリドン系顔料、ローダミン6Gレーキ、ローダミンBレーキ、C.I.ピグメントレッド81等のローダミン系顔料、C.I.ピグメントレッド87、C.I.バイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット38等のチオインジゴ顔料、ブリリアントカーミン6B、リソールルビンGK等のアゾ顔料等が挙げられる。
【0047】
マゼンタ着色剤に用いられる染料としては、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド19、C.I.ソルベントレッド52等の油溶性染料が挙げられる。
【0048】
シアン着色剤に用いられる顔料としては、フタロシアンブルー、ヘリオゲンブルーG、ファーストスカイブルー、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー17、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン12、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン37、C.I.ピグメントグリーン38等のフタロシアン系顔料が挙げられる。
【0049】
シアン着色剤に用いられる染料としては、C.I.ソルベントトブルー25、C.I.ソルベントトブルー55、C.I.ソルベントトブルー70、C.I.ソルベントトブルー40、C.I.ダイレクトブルー25、C.I.ダイレクトブルー86等の油溶性染料が挙げられる。
【0050】
黒色着色剤としては、サーマルブラック法、アセチレンブラック法、チャンネルブラック法、ファーネスブラック法、ランプブラック法等により製造される各種のカーボンブラックが挙げられる。
【0051】
なお、これら着色剤としては、上記染料および顔料を変性したものも使用でき、また、2種以上をブレンドして使用することも可能である。
【0052】
着色剤の配合割合は、樹脂成分100重量部に対して0.1〜30重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜15重量部である。
【0053】
ポリエチレンワックスのトナー中への添加量は、トナー全重量の0.5〜10重量%が適度であり、さらに1〜6重量%がより好ましい。他の成分の比率は、適宜選定可能であるが、通常着色剤は、トナー全重量の0.5〜15重量%である。残りの割合の全てまたはほとんどを結着樹脂が占める。
【0054】
本発明のトナーには、帯電制御剤を含有させて帯電特性を制御することができる。
【0055】
トナーを負帯電性にするものとしては、例えば、有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、その例としては、モノアゾ金属錯体;アセチルアセトン金属錯体;芳香族ハイドロキシカルボン酸または芳香族ジカルボン酸系の金属錯体及びその金属塩、無水物、エステル類やビスフェノールの如きフェノール誘導体類などが挙げられる。
【0056】
正帯電性に制御するものとしては、ニグロシンおよび脂肪酸金属塩等による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの如き四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩、及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン酸、フェロシアン化合物など);高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドの如きジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートの如きオルガノスズボレートが挙げられ、これらは単独又は2種以上混合して使用することができる。これらの中でも、帯電性、色見の面からサリチル酸金属化合物あるいはホウ素錯体、あるいは環状フェノール系オリゴマーが好ましい。環状フェノール系オリゴマーとしては、カリックスアレーン類が挙げられる。これらの化合物の中から選ばれる1種以上を0.5〜10重量%含有することが好ましい。
【0057】
これらの化合物の具体例としては、サリチル酸の金属化合物として例えば、ボントロンE81、ボントロンE84、ボントロンE88(オリエント化学株式会社製、商品名)、TN105(保土ヶ谷化学株式会社製、商品名)等が挙げられる。これらは、トナー中に1.0〜8重量%含有することが特に好ましい。
【0058】
ホウ素化合物の具体例としては、例えば、LR147(日本カーリット株式会社製、商品名)が挙げられ、トナー中に0.5〜3重量%含有することが好ましい。
【0059】
また、環状フェノール系オリゴマーの具体例としては、例えば、ボントロンE89(オリエント化学株式会社製、商品名)が挙げられ、トナー中に0.5〜2重量%含有することが特に好ましい。
【0060】
本発明のトナーは、トナー粒子を、例えばフェライト等のキャリアと混合することにより二成分現像剤として使用することができる。なお、キャリアの電流値はキャリア表面の凹凸度合い、被覆する樹脂の量を調整して20〜200μAにするのが良い。
【0061】
キャリア表面を被覆する樹脂としては、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、シリコーン樹脂、フッ素含有樹脂、ポリアミド樹脂、アイオノマー樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等あるいはこれらの混合物を用いることができる。
【0062】
キャリアコアの磁性材料としては、フェライト、鉄過剰型フェライト、マグネタイト、y−酸化鉄等の酸化物や、鉄、コバルト、ニッケルのような金属あるいはこれらの合金を用いることができる。また、これらの磁性材料に含まれる元素としては、鉄、コバルト、ニッケル、アルミニウム、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウム等が挙げられる。
【0063】
また、本発明には、トナー粒子と混合してトナー粒子表面に付着される流動性向上剤として、シリカ微粒子、金属酸化物微粒子、クリーニング助剤等を用いることができる。
【0064】
流動性向上剤は、トナー粒子に外添することにより、流動性が添加前後を比較すると増加し得るものである。例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナ、それらをシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカ等がある。
【0065】
好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉体であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものである。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次のようなものである。
【0066】
【化3】
この製造工程において、塩化アルミニウム又は塩化チタン等の他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、シリカとしてはそれらも包含する。その粒径は、平均の一次粒径として、0.001〜2μmの範囲内であることが好ましく、特に好ましくは0.002〜0.2μm範囲内のシリカ微粉体を使用するのがよい。
【0067】
ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された市販のシリカ微粉体としては、例えば、以下のような商品名で市販されているものがある。AEROSIL(日本アエロジル社)130、200、300、380、TT600、MOX170、MOX80、COK84、Ca−O−SiL(CABOT Co.社)M−5、MS−7、MS−75、HS−5、EH−5、Wacker HDK N 20、V15、(WACKER−CHEMIEGMBH社)N20E、T30T40、D−CFineSilica(ダウコーニング社)、Fransol(Fransil社)。
【0068】
さらには、該ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体に疎水化処理した処理シリカ微粉体がより好ましい。該処理シリカ微粉体において、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が30〜80の範囲の値を示すようにシリカ微粉体を処理したものが特に好ましい。
【0069】
疎水化方法としては、シリカ微粉体と反応あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的に処理することによって付与される。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する。
【0070】
有機ケイ素化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサンおよび1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン等が挙げられ、これらは単独又は2種以上混合して使用される。
【0071】
窒素原子を有するアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジプロピルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、モノブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジオクチルアミノプロピルジメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルジメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルモノメトキシシラン、ジメチルアミノフェニルトリエトキシシラン、トリメトキシシリル−y−プロピルフェニルアミン、トリメトキシシリル−y−プロピルベンジルアミンの如きシランカップリング剤も単独又は2種以上混合して使用することができる。好ましいシランカップリング剤としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)が挙げられる。
【0072】
本発明に用いられる好ましいシリコーンオイルとしては、25℃における粘度が0.5〜1000センチストークス、好ましくは1〜1000センチストークス、さらに好ましくは10〜200センチストークスのものが用いられ、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルが特に好ましい。シリコーンオイル処理の方法としては、例えばシランカップリング剤で処理されたシリカ微粉体とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサーの如き混合機を用いて直接混合する方法;ベースとなるシリカ微粉体にシリコーンオイルを噴霧する方法;あるいは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解あるいは分散せしめた後、シリカ微粉体を加え混合し溶剤を除去する方法を用いることが可能である。シリコーンオイル処理シリカは、シリコーンオイルの処理後にシリカを不活性ガス中で200℃以上(より好ましくは250℃以上)に加熱し表面のコートを安定化させることがより好ましい。
【0073】
本発明においては、シリカを予めカップリング剤で処理した後にシリコーンオイルで処理する方法、またはシリカをカップリング剤とシリコーンオイルで同時に処理する方法によって処理されたものが好ましい。
【0074】
流動性向上剤は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が50m2 /g以上、好ましくは100m2 /g以上のものが良好な結果を与える。
【0075】
これらの添加剤は、必要に応じて、トナー粒子全重量に対し、各々、0.2〜3重量%の範囲内であることが好ましい。その含有量が0.2重量%未満ではトナー粒子に十分な流動性を付与することができなくなり、画像上の濃度が低くなることがある。また3重量%を超えると感光体上のシリカフィルミングの原因になったり、低温低湿下での帯電量が増大し、画像濃度の低下を招く。
【0076】
クリーニング助剤としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂微粉末が挙げられる。
【0077】
本発明のトナーに用いられるトナー粒子の製造方法において、混合・分散の手段としては、高速ディゾルバ、ロールミル、ボールミル等の湿式分散法や、ロール、加圧ニーダ、インターナルミキサ、スクリュー型押出機等による溶融混練法等を用いることができる。
【0078】
また、混合手段としては、ボールミル、V型混合機、フォルバーグ、ヘンシェルミキサ等を用いることができる。
【0079】
また、混合物を粗粉砕する手段としては、例えば、ハンマーミル、カッターミル、ローラーミル、ボールミル等が使用可能である。
【0080】
粗粉砕物を微粉砕する手段としては、ジェットミル、高速回転式粉砕機等を用いることができる。
【0081】
微粉砕物を分級する手段としては、気流式分級機等を用いることができる。
【0082】
以下にトナー製造用装置として一般的に使用されるものを示すが、これらに限定されるものではない。
【0083】
トナー製造用粉砕装置例としては、カウンタージェットミル(ホソカワミクロン製)、ミクロンジェット(ホソカワミクロン製)、IDS型ミル(日本ニューマチック工業製)、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業製)、クロスジェットミル(栗本鉄工所製)、ウルマックス(日曹エンジニアリング製)、SKジェット・オー・ミル(セイシン企業製)、クリプトロン(川崎重工業製)、ターボミル(ターボ工業製)、イノマイザ(ホソカワミクロン製)が挙げられる。
【0084】
トナー製造用混合装置としては、ヘンシェルミキサ(三井鉱山製)、スーパーミキサー(カワタ製)、リボコーン(大川原製作所製)、ナウタミキサー(ホソカワミクロン製)、スパイラルピンミキサ(太平洋機工製)、レーディゲミキサー(マツボー製)、タービュライザー(ホソカワミクロン製)、サイクロミックス(ホソカワミクロン製)等が挙げられる。
【0085】
トナー製造用分級装置例としては、クラッシール(セイシン企業製)、マイクロンクラッシファイアー(セイシン企業製)、スペディッククラッシファイアー(セイシン企業製)、ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング製)、ミクロンセパレータ(ホソカワミクロン製)、ターボプレックスATP(ホソカワミクロン製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン製)、エルボージェット(日鉄鉱業製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチック工業製)、YMマイクロカット(安川商事)等が挙げられる。
【0086】
トナー製造用混練装置例としては、KRCニーダ(栗本鉄工所製)、ブスコ・ニーダー(Buss製)、TEM形押出機(東芝機械製)、TEX2軸混練機(日本製鋼所製)、PCM混練機(池貝鉄工所製)、3本ロールミル(井上製作所製)、ミキシングロールミル(井上製作所製)、ニーダー(井上製作所製)、ニーデックス(三井鉱山製)、MS式加圧型ニーダー(森山製作所製)、ニダールーダー(森山製作所製)、バンバリーミキサー(神戸製鋼所製)等が挙げられる。
【0087】
トナー製造用篩装置例としては、ウルトラソニック(晃栄産業製)、レゾナシーブ(徳寿工作所製)、バイブラソニックシステム(ダルトン製)、ソニクリーン(新東工業製)、ジャイロシフター(徳寿工作所製)、円形振動篩(メーカー多数)、ターボスクリーナー(ターボ工業製)、ミクロシフター(槙野産業製)等が挙げられる。
【0088】
また、本発明のトナーは、画像濃度や解像度の点で重量平均粒径が5.0〜10.0μmであることが好ましい。
【0089】
また、本発明のトナーは、表面改質装置における各種処理と組み合わせてもよい。表面改質装置としては、ハイブリダイゼーションシステム(奈良機械製作所製)、クリプトロンコスモスシステム(川崎重工業社製)、イノマイザーシステム(ホソカワミクロン製)等の高速気流中衝撃法を応用した表面改質装置、メカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン製)、メカノミル(岡田精工社製)等の乾式メカノケミカル法を応用した表面改質装置、ディスパーコート(日清エンジニアリング社製)、コートマイザー(フロイント産業社製)等の湿式コーティング法を応用した表面改質装置があるが、表面改質の際の機械的エネルギーによってトナー粒子が発熱したり、融着凝集したり、細かく砕けて粒度分布が変化することがある。そこで、粒子を分散状態のまま連続的に熱風中に噴霧し、瞬間的な加熱冷却を行うことで、粉体粒子表面にのみ高温を付与するサーフュージョンシステム(日本ニューマチック社製)を用いれば粉砕等による粒度分布変化が起こらないので好ましい。
【0090】
電磁誘導加熱方式の定着装置には、コアに巻回された励磁コイルと、この励磁コイルに接続された電源とを有する高周波磁界発生手段が用いられる。この装置では、高周波磁界発生手段により磁界を発生する際のジュール熱が定着の熱源となる。
【0091】
例えば、加熱部材と加圧部材を有する定着装置の場合、このような励磁コイルを、加圧部材あるいは磁性金属面を有する加熱部材の少なくとも一方に内蔵させることができる。
【0092】
次に、本発明のトナーに用いられる好適な定着装置について説明する。ただし、この実施の形態に記載されている材質、形状、その立体配置等は、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0093】
図1は本発明の実施の形態である画像形成装置の一例の概略構成図である。
【0094】
図示するように、この定着ユニットにおいて、回転加熱部材である定着ローラ1は、磁場発生手段21を内蔵し、例えば、矢印方向に回転可能な外径30mm、厚さ0.6mmの鉄製の導電体ローラ11(発熱層)に、表面の離型性を高めるために例えば、PTFE10〜50μmや、PFA10〜50μmの離型層12を設けることで構成される。
【0095】
この導電体ローラ11に対向して配置された加圧ローラ2は、中空芯金14と、その外周面に形成される表面離型性耐熱ゴム層である弾性層15とからなる。
【0096】
定着ローラ1は、軸方向の端部に設けられた図示しない駆動伝達手段により矢印の方向に回転している。加圧ローラ2は、定着ローラ1にニップ幅約8mmで押圧されて矢印方向に縦動回転している。
【0097】
定着ローラ1と加圧ローラ2は回転自在に支持されていて、定着ローラ1のみを駆動する構成になっている。
【0098】
加圧ローラ2は定着ローラ1の表面に圧接していて、圧接部(ニップ部)での摩擦力で縦動回転するように配置してある。
【0099】
温度センサー6は、定着ローラ1の表面に当接するように配置され、温度センサー6の検出信号をもとに励磁手段としての励磁コイル21への電力供給を増減させることで、定着ローラ1の表面温度が所定の一定温度になるように自動制御される。
【0100】
搬送ガイド7は、未定着のトナー画像8を担持しながら搬送される記録材16を、定着ローラ1と加圧ローラ2との圧接部(ニップ部)への案内する位置に配置される。
【0101】
分離爪10は、定着ローラ1の表面に当接又は近接して配置されて、定着画像13が形成された記録材16が定着ローラ1へ巻き付いてしまうのを防止する。また、図2に、磁場発生手段21の一例を表す概略図を示す。図示するように、この磁場発生手段21は、磁束を効果的に制御するためのフェライト製のコア材と、このコア材上に巻き付けられた12ターン、0.5mm径の銅線4本をリッツ線にしたものを使用したコイル31とを有する。磁場発生手段21は、図示しない高周波回路により交流磁場を発生させ、これにより導電体ローラ11に過電流を発生させ、そのジュール熱により導電体ローラ11のニップ部を集中的に発熱させることができる。
【0102】
なお、このように発熱部分を導電体ローラ11のニップ部に集中させる方式では、磁束の効果を十分に発揮させて効率を上げるためにコイルで発生した磁束を効果的に導電体ローラ11に作用させることが考慮される。コアの一端の周辺部分から発生した磁束が、導電体ローラ11に作用することなく、他端の周辺部分に収まってしまうことがないように、コアと導電体ローラ11表面との間のギャップの管理及びコアの取付け角度の設定は大変重要な課題となる。また、フェライト製のコアにコイルを巻いた構成を有する磁場発生手段は、ハロゲンランプヒータと比較すると重量が大きく、断面積も大きくなるので磁場発生手段の保持はコア材の両端で行うことが好ましい。
【0103】
また、上述したコアにコイルを巻いた装置が装填されているヒートローラの材料は、鉄、コバルト、ニッケルなどの単体、あるいはこれら単体の複合物、あるいはこれら単体とカーボン、アルミニウム、テルル、マンガンなどとの混合物、あるいは酸化物などを用いることで、電磁誘導加熱の効果をより上げることができる。
【0104】
なお、以上の説明では、加熱部材として定着ローラを用いた場合を示したが、定着ローラの代わりに薄膜金属フィルムからなる構成を採用することも勿論可能である。
【0105】
【実施例】
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお下記の説明において「部」とは「重量部」を意味する。
【0106】
本発明の実施例及び比較例に用いる結着樹脂の物性値を表1に示す。
【0107】
【表1】
本発明の実施例及び比較例に用いるワックスの物性値を表2に示す。なお、ワックスの各物性値は、本文中に記載の方法を用いて測定した。
【0108】
【表2】
本発明の実施例において使用するトナー母体材料を表3に示す。
【0109】
【表3】
本発明の実施例及び比較例において使用するトナーの処方を表4に示す。
【0110】
【表4】
実施例1
前記表3よりなる材料で表4の組合せを用いて、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)にて十分混合した後、混合物を2軸押出混練機PCM−30(池貝鉄工社製)にて溶融混練し、得られた混練物を迅速に冷却した後、スピードミルにて粗粉砕した。その粗粉砕物をジェット粉砕機IDS(日本ニューマチック工業社製)で粉砕粗粉分級した後、DSX分級機(日本ニューマチック工業社製)で微粉分級し、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー分級品を得た。さらに、このトナー分級品100部に対して、ヘキサメチルジシラザン処理疎水性シリカ1.5部を加えてヘンシェルミキサー(前出)で外添混合し、更に超音波振動篩(ダルトン社製)にかけて各トナーを得た。
【0111】
得られたトナーをディジタル複写機Premage455(東芝テック社製)に搭載の電磁誘導加熱方式の定着機を改造して用い、以下の評価を行った。このとき、回転加熱部材の発熱層の厚さは5mm、ニップ幅7.5mm、線圧15000N/m、定着スピード150mm/sとなるように調整した。
【0112】
定着性、耐オフセット性、カール特性を以下に示す評価方法にて試験してその結果を表5に示した。本発明の良好な特性が確認できた。
【0113】
定着性は、低温環境(15℃)におて、検討機の定着設定温度を変更し、定着下限温度を比較した。イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4層が重なった15×25cm2 の未定着画像を用い、定着下限温度は、定着画像に4900N/m2 (50g/cm2 )の荷重をかけ柔和な薄紙により定着画像を摺擦し、摺擦前後の画像濃度の低下率が20%以下となった温度とした。
【0114】
耐オフセット性は、常温環境(23℃)において、小サイズ紙(B5)を連続100枚通紙する。このとき定着ローラは、通紙部と非通紙部とで約50℃の温度差がある。その後、A3サイズ紙の先端部横方向に幅2cmのイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4層が重なった帯画像を連続10枚とり、定着紙上に非通紙部のトナーがオフセットしているかを確認する。評価基準は以下のようにして判断した。
【0115】
ランク1:オフセットが全く発生していない。ランク2:1枚だけに僅かなオフセットが発生したが、2枚目以降には発生いない。ランク3:10枚までオフセットが発生するが、そのあとは発生いない。
【0116】
カール特性は、常温環境(23℃)において、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4層が重なった15×25cm2 の定着画像を用い、目視により判断した。カールが発生しない場合を○、僅かに発生した場合を△、大きく発生した場合を×として評価した。
【0117】
実施例2〜4
表3よりなる材料で表4の組合せを用いて実施例1で示した方法で各トナーを得た。これらを実施例1と同様の評価を行った結果を表5に示した。良好な結果が得られた。
【0118】
比較例1〜3
表3よりなる材料で表4の組合せを用いて実施例1で示した方法で各トナーを得た。これらを実施例1と同様の評価を行った結果を表5に示した。カール特性において劣る結果であった。
【0119】
【表5】
【0120】
【発明の効果】
本発明によれば、電磁誘導加熱方式の加熱定着装置を用いた画像形成装置とともに使用された場合に、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの最大4層が重なったフルカラー画像においても記録材がカールすることなく、低速から高速まで優れた低温定着性、耐高温オフセット性を有し、低消費電力化とクイックプリントとの両立が図れるトナーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に用いられる定着装置の一例の構成を示す概略図である。
【図2】図2は本発明に用いられる高周波磁気発生装置の一例の構成を示す概略図である。
【符号の説明】
1 定着ローラ
2 加圧ローラ
6 温度センサー
8 未定着画像
10 分離爪
11 導電体ロール
13 定着画像
14 中空芯金
16 記録材
21 磁場発生手段
31 コイル
Claims (4)
- 電磁誘導加熱方式によって発熱する発熱層と離型層とを含む回転加熱部材と、該回転加熱部材とニップを形成している回転加圧部材とから構成される加熱加圧手段を使用し、該回転加圧部材が記録材を介して該回転加熱部材を押圧しながら該記録材上のトナー画像を加熱して定着画像を形成する画像形成方法に適用されるトナーであって、少なくとも結着樹脂、ワックス及び着色剤を含有したトナー母材からなり、該ワックスのDSC(昇温測定)による吸熱ピークが40〜150℃に存在し、かつその最大吸熱ピークが50〜100℃に位置し、またDSC(降温測定)による発熱ピークが30〜150℃に存在し、かつその最大発熱ピークが40〜95℃に位置することを特徴とするトナー。
- 該ワックスが、ポリエチレンワックスであって、その重量平均分子量450〜1100、数重量平均分子量400〜1000、そして分子量分布Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)1.2以下であり、トナー全量に対して、0.5〜10重量%の割合に含有される請求項1記載のトナー。
- 該結着樹脂が、ポリエステル樹脂であって、そのガラス転移点50〜70℃、酸価10mgKOH/g以下、そしてGPCを用いた分子量分布測定によって、重量平均分子量Mw70000以上、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/Mn20〜50、分子量分布全体の極大値の存在範囲3,000〜20,000、分子量150,000以上の成分含有量10〜30重量%、分子量150,000以上における分子量分布の部分極大値が存在する場合その部分極大値/上記分子量分布全体の極大値の比1/3以下である請求項1又は2記載のトナー。
- 該トナー母材が、サリチル酸金属化合物、ホウ素錯体、及び環状フェノール系オリゴマーから選ばれる帯電制御剤の少なくとも1種以上を0.5〜10重量%の割合に含有する請求項1〜3いずれか1項記載のトナー。
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