JP2005023635A - 海洋構造物の支持地盤の保護工法および保護マット - Google Patents

海洋構造物の支持地盤の保護工法および保護マット Download PDF

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Abstract

【課題】防波堤等の構造物の基礎地盤を、荒波による洗掘及び吸い出しから保護するために、消波構造体を海域側に設けるに際して、前記消波構造体を支持する保護マット部材を通水性を有するものを用いて地盤を保護できるようにする。
【解決手段】海底地盤33上に基礎マウンド32を構築して、ケーソン31による護岸等の構造物30を構築し、その外海域側に消波構造体35を構築する。前記消波構造体35は、地盤上に敷設した保護マット部材1の上に石籠36等の保持体を介してブロックを積み重ねるもので、前記保護マット1は、繊維の補強部材を芯にしてゴムアスファルトを層状に重ねたものとして構成し、上下に貫通する孔を設けて地盤の透水率に合わせた通水性を持たせ、保護マット部材の下面の地盤が洗掘されないように保護する。
【選択図】 図18

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、防波堤等の海洋構築物を構築する基礎地盤を、荒波または潮汐変動による浸食から海底地盤を保護する工法と、地盤保護に用いる保護マットに関する。
【0002】
【従来の技術】
軟弱な海底地盤上に防波堤等の海洋構築物を構築するに際しては、施工する海域の海底地盤を強化するための地盤改良工事を施工し、石積基礎(基礎マウンド)を所定の高さに構築してから、その上面を平らに均し、その基礎マウンドの上にケーソン等の既成の構築物を載置して構成している。前記海洋構築物を構築してから、その外洋側に消波ブロック等を積み上げた消波構造物を構築し、波のエネルギーを前記消波構造物により吸収させることにより、防波堤等の構造物に大きな波の力が直接作用しないようにしている。前記消波構造物を構築するに際しては、海底地盤上に塩化ビニールシートやアスファルトマット類等を敷設し、その上にコンクリート製のブロックや、金網製の籠状のものに、砕石を詰めた石籠等を重ねて複合体として用いること、または、前記シートやマット類を単独で敷設したものの上に構築物を支持させる方法が用いられている。また、大波浪海域においては、前記ブロック等を多数積み重ねて構築することもあり、前記ブロック等は施工海域の波の強さ等の条件に対応させた大きさのものが用いられる。
【0003】
ところが、前記海洋構築物を構築する海底地盤が、シルト層や砂層、砂礫層等の場合には、消波構造物を支持するシート類の下面にも海水が流通するために、水流によって砂やシルトが洗掘されたり、吸い出されたりして、海洋構造物や消波ブロックが沈下するという問題が発生する。前記消波ブロックが沈下すると、外洋の荒い波が直接ケーソン等の構築物本体に当たることがあり、その衝撃砕波圧によりケーソンの壁がダメージを受けたりして、孔があいた場合には、中詰材が流出する等の大きな損害が発生することがある。
【0004】
前記消波構造物が沈下するという事態は、石籠のような通水性を有するものを地盤上に並べた場合には勿論のこと、海底地盤上に不透水性のシート等を敷設して、そのシートの上に消波ブロックを構築した場合でも発生する。また、前記不透水シートを敷設して消波ブロックを構築する方法を用いると、そのシート類の下面の一部が洗掘により沈下した場合には、上部に積み重ねているブロックの圧力によりシート類の破損が促進されることがある。そして、積み重ねている消波ブロックの重量がシート類の破損部に集中荷重として作用することにより、消波構造物の崩壊が促進されるという問題がある。
【0005】
前記消波構造物を支持する支持部材を、大きな隙間を有する捨石等を敷いた支持層で構成し、前記支持層上に消波ブロックを積み重ねて支持するようにした場合には、捨石の隙間が大きいために、地盤の砂はもちろんのこと、比較的大きな石や砂礫等までが、波浪により運び去られるという傾向がある。そして、前記捨石等を支持層として用いている場合には、前記多数積み重ねている石の1つが、地盤が洗掘されたことにより沈下すると、前記シート類を用いて消波ブロックを支持する場合と同様に、消波構造物全体の形が崩れてしまうという不都合が発生する。したがって、地盤の洗掘作用がより促進されることと、消波構造物の形が崩れてしまい、消波性能が急速に低下するという不都合が生じることは避けられない。
【0006】
その他に、ゴムシート等のような不透水性のシート類を敷設して、消波ブロック等を支持する方式を用いる場合には、シート類を敷設した下部の地盤中を通る水の圧力により、シート類の自由側端部から吸い出しと洗掘が進むという問題が生じ易い。そして、前記消波ブロックを支持しているシート類が、地盤の洗掘により沈下したりすると、そのシート類の上に積み重ねているブロックが、外洋側の先端部のものから崩れてしまい、消波構造物の形状を維持できなくなるために、防波堤等の海洋構築物に強い波が直接当ったりするという問題が発生する。前述したような問題に対処させるためには、孔あきアスファルトマットを用いることが知られており、前記マット部材に設ける孔の開口率を適宜選択すること等により、地盤の保護を良好な状態で行い得るものとされる(例えば、特許文献1を参照)。
【0007】
【特許文献1】
特公平3−76368号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記孔あきアスファルトマットは、大量にアスファルト材料を用いているために、その製造コストが高いという問題がある。また、アスファルト層の厚さが5〜10cmもあることから、非常に重いものであり、荷役や敷設の作業のために大型の装置を用いる必要があるために、施工コストも高価であるという問題があるために、比較的普及率が低いものである。一方、従来より日本海域側の港湾等で、地盤の保護のために使用するよう基準に設定されている塩化ビニールシートのような保護マット部材では、前記孔あきアスファルトマットと比較すると、洗掘に対する追従性が低いものであり、かつ、耐久性にも問題がある。また、前記塩化ビニールシートのような合成樹脂製のマット部材は、環境ホルモンが滲出するという問題が指摘されており、そのような材料は、今後使用が制限されるものと推定される。
【0009】
本発明は、製造と取扱いおよび施工性が良好で、透水性を任意に発揮できて、強度と耐久性の良好なマット部材と、そのマット部材を用いた地盤保護工法を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、海底地盤上にケーソンのような既成の構築物を設置してなる海洋構築物の支持地盤の保護のための、支持地盤の保護工法に関する。請求項1の発明は、前記構築物を海底地盤上に敷設した保護マット部材上に構築するとともに、前記保護マット部材により、海底地盤を荒波または潮汐変動による浸食から保護することを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、前記構築物よりも海域側に大きく張り出させて保護マット部材を敷設し、前記保護マット部材を海域側に張り出させた部分には消波構造体を構築して、前記構築物と消波構造体を支持する海底地盤を、前記保護マット部材により保護することを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、海底地盤上にケーソンのような既成の構築物を設置してなる海洋構築物の支持地盤の保護のために、前記構築物を海底地盤上に敷設した保護マット部材上に構築するとともに、前記保護マット部材を、任意の大きさと任意の形状の孔を形成した通水性を有するマットとして構成し、前記保護マット部材により、海底地盤を荒波または潮汐変動による浸食から保護することを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、前記海洋構築物を、前記保護マット上に構築した基礎マウンド上にケーソンのような既成の構築物を載置して構成し、前記基礎マウンドの海域側の荒波の影響を強く受ける側に、前記構築物に対する支持部分に対して大きく張り出させて保護マット部材を敷設し、前記構築物から海底地盤上に向けて張り出させて敷設した保護マット部材の上に、消波構造体を構築し、前記海洋構築物と消波構造体とを支持する保護マット部材により、荒波または潮汐変動による浸食から海底地盤を保護することを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明は、前記基礎マウンドの海域側の荒波の影響を強く受ける側に、前記構築物に対する支持部分に対して大きく張り出させて保護マット部材を敷設し、前記構築物を支持する海底地盤を、前記保護マット部材により保護することを特徴とする。
【0015】
以下の発明は、海底地盤上に基礎マウンドを構築し、前記基礎マウンド上に既成の構築物を設置して構築する防波堤のような海洋構築物に対して、その支持地盤を保護するために用いる保護マットに関する。請求項6の発明は、前記保護マット部材を、補強体を遮水性の弾性体の層の中に埋設するかもしくは、補強体に弾性体を沿わせるように一体化して構成し、海底地盤上に敷設した上に構築物を支持させるように用いることを特徴とする。
【0016】
請求項7の発明は、前記マット部材に補強体とともに組み合わせて一体化する遮水性の弾性体は、ゴム系またはアスファルト系、またはポリエチレン系、ポリプロピレン系、塩化ビニール系もしくはゴムアスファルト系のような材料を用いて、所定の厚さの板状体として構成することを特徴とする。
【0017】
請求項8の発明は、前記マット部材に設ける補強体は、金属製の板状のもの、もしくは、所定の形状の孔を多数設けた金属の板状の部材であることを特徴とする。
請求項9の発明は、前記マット部材に設ける補強体は、金属ネットのように、縦横の一方もしくは任意の方向に曲げ可能なもの、もしくは、所定の形状の孔を多数設けた金属の板状の部材であることを特徴とする。
【0018】
請求項10の発明は、前記マット部材に設ける補強体は、繊維製のネット部材、もしくは、織布もしくは不織布であることを特徴とする。
請求項11の発明は、前記マット部材に設ける補強体としての繊維製の織布もしくは不織布には、必要に応じて孔を形成して使用することを特徴とする。
【0019】
請求項12の発明は、前記補強体と遮水性の弾性体とを組み合わせて一体化した板状体は、任意の大きさの通水孔を有し、前記通水孔は水を通すが海底地盤を構成する材料は通さない大きさのものとして構成することを特徴とする。
【0020】
請求項13の発明は、前記補強体として、多数の孔を設けた有孔の補強体を用いるに際して、
前記補強体の孔の一部を残してゴムのような材料により被覆して板状体を構成することを特徴とする。
【0021】
請求項14の発明は、前記保護マット部材には、基礎マウンドが載置・構築される部分に対して、その外海域側に余分に突出させて敷設し、前記余分に敷設する部分においては、基礎マウンドを支持する部分よりも通水性の大きな部分として構成することを特徴とする。
【0022】
請求項15の発明は、前記保護マット部材を通水性を有する合成繊維の層を芯材とし、ゴムアスファルトの層で両面を被覆して一体化したマット単位体を用い、前記マット単位体には水を通すが海底地盤を構成する材料を通さない大きさの孔を貫通させて設けて、通水性を発揮可能とし、
前記マット単位体を基礎マウンドおよび消波構造体を構築する海底地盤に対して、所定の面積に亘って敷設することを特徴とする。
【0023】
請求項16の発明は、前記保護マット部材は、海底地盤上に構築する海洋構築物の重量に対応させて、任意の枚数のマット単位体を重ねて一体化したものを用いることを特徴とする。
請求項17の発明は、前記マット単位体を複数枚重ねて保護マット部材として構成するに際して、前記重ねるマット単位体の間に、通水性を有する材料の層を介在させて一体化し、前記マット単位体の孔と、マット単位体の間に介在させる通水性材料の層を通して、通水性を発揮させることを特徴とする。
【0024】
請求項18の発明は、前記複数枚のマット単位体を繊維材料の層を介して一体化した保護マット部材を、さらに厚い通水性材料の層を介して複数層重ねたものを、海洋構築物もしくは消波構造体を支持するために用い、荒波または潮汐変動による浸食から海底地盤を保護することを特徴とする。
【0025】
請求項19の発明は、前記補強体と遮水性の弾性体とを組み合わせて一体化したものに、透水性を持たせる処理を施した保護マットを海底地盤上に敷設し、前記敷設した保護マットの上に所定の高さに重量物を積み重ね、
前記積み重ね体の上面を保護マットでカバーし、前記下敷きとカバーした上のマットの端部を綴じ込んで一体化する処理を行って、海底地盤上に設置する構築物として構成し、
前記構築物により海底地盤の保護と、消波等の作用を発揮させることを特徴とする。
【0026】
請求項20の発明は、前記補強体と遮水性の弾性体とを組み合わせて一体化したものに、透水性を持たせる処理を施した保護マットを、敷設する予定の面積よりも大きい範囲で海底地盤上に敷設し、
前記敷設した保護マットの略半分以下の面積の部分の上に、所定の高さに重量物を積み重ね、
前記積み重ね体の上面に残りの保護マットを折り返して重ねるようにカバーし、前記カバーした上のマットの端部を下のマットと一体化する処理を行って、海底地盤上に設置する構築物として構成し、
前記構築物により海底地盤の保護と、消波等の作用を発揮させることを特徴とする。
請求項21の発明は、前記弾性体の層の中に補強体を設けて、通水性を発揮する保護マット部材を用いて、任意の大きさの袋体を形成し、
前記袋体の中に、石やコンクリートの屑のような材料を収容して、任意の大きさの不定形の塊体を形成し、
前記不定形の塊体を用いて消波構造体、海底地盤の保護体として用いることを特徴とする。
【0027】
前述したようにして、保護マットを強度の大きいものとして構成し、その保護マット部材を海底地盤上での海洋構造物および消波構造体を支持するため使用することにより、消波ブロックの突部がマットを押圧する状態でも、消波構築物等の海底地盤上に構築する構築物を、安定した状態で保護できる。また、前記構成を有する保護マット部材は、金網等を補強層として用いる場合には、金網の網目と一体に孔を設けたシート部材を組み合わせているので、例えば、薄いシート状の部材として構成したものであっても、従来のアスファルトマットと同様な強度を発揮することが可能であり、軽量であることから敷設の作業性を良好に発揮できる。
【0028】
前記遮水用マットは、任意の面積を有するものとして作成することが可能であり、薄いものとして形成できるとともに、貫通させる孔の大きさと面積比率を適宜設定することにより、地盤の通水性に対応させた通水性を持たせることが可能である。そして、波浪変動により地盤内部に発生する過剰間隙水圧による地盤の液状化を防止できるとともに、波浪の影響で保護マット部材があおられることを防止でき、地盤を洗掘や吸い出しから保護して、消波構築物の保護の作用を良好に発揮できる。さらに、マット部材に任意の大きさの通水孔を設けていることにより、荒波の影響下でもマット部材に揚圧が作用することを阻止でき、地盤の保護作用を良好に発揮可能である。
【0029】
【発明の実施の形態】
図示される例にしたがって、本発明の消波構造物の支持地盤の保護部材を説明する。最初に説明する保護マットにおいては、マット部材を可撓性を有するものとして形成したものでは、それを敷設する地盤に凹凸があったとしても、その不陸に追従してマット部材が湾曲するような性質を有するものとされ、地盤とマットの間に隙間が生じないようにカバーすることが可能なものとされる。また、マット部材が剛性を有するものである場合には、大重量を有する構築物を安定して支持できるものとされ、隣接させて敷設するマット部材の重なり関係等を適宜調整することで、構築物の保持作用を良好に発揮可能とされる。なお、以下に説明するマット部材においては、マットの上下に貫通する通水孔を設けたものを例にして説明するが、その他に、用途に応じては、通水孔を設けないものを構成することもある。前記孔を貫通させないマット部材は、孔を形成する処理を行わないでマット部材を製品として出荷するものでもあり、補強体として鉄板のような、孔を設けないものを用いて構成することもできる。
【0030】
前記マット部材を構成する弾性体としては、ゴム、プラスチック、アスファルト、ゴムアスファルト等のような遮水性を発揮可能な任意の材料を用いることができる。その他に、前記マット部材に補強体とともに組み合わせて一体化する遮水性の弾性体は、ゴム系またはアスファルト系、またはポリエチレン系、ポリプロピレン系、塩化ビニール系もしくはゴムアスファルト系のような材料を用いて、任意の厚さの板状体として構成することが可能なものであり、補強体として適当な強度を有するものを選択することにより、海底地盤上での構造物の重量に耐えて、地盤の保護の作用を行うことができる。前記任意の厚さを有する板状体もしくはシート状体を作成するに際しては、前記弾性体の溶液中に補強体を通して弾性体の層を形成することができるもので、そのような手段を用いる場合には、補強体として金網やチェーンネットのようなネット状部材を用いることと合わせて、網目の部分に任意の大きさの孔を形成する作業を容易に行うことができる。また、前記補強体と弾性体とを一体化するに際して、層状に構成した弾性体を補強体に重ねるか、または補強体を挟むようにして、任意の接続手段を用いて一体化してマット部材を構成することができる。そして、前記補強体として金網のような部材を用いた場合には、マット部材が一方には可撓性を有するので、巻き取った状態で搬送・敷設作業を行うことができ、その取扱いが容易にである。
【0031】
以下に、本発明の実施例を説明する。図1に示す例は、本発明の第1の実施例を説明しているもので、ゴムアスファルトを主体としてマット部材を構成する場合を説明している。図1の例において、マット部材を構成するマット単位体5は、不織布等の合成繊維等からなる繊維補強層6を芯として、その繊維補強層6にゴムアスファルト成分を含浸させるようにし、さらにその下面に、アスファルト層7を所定の厚さとなるように一体に成型している。前記マット単位体5は屋根の防水シート等として開発されたものであるから、そのマット単位体5の上面には、砂粒層8の層を所定の厚さで形成し、下面には薄いポリエチレン等のシート9を設けて、全体の厚さが3.5〜5mm程度のものとして構成されたものを基本として用いている。
【0032】
また、前記マット単位体5の巾は、その加工の都合上1m程度の巾を有するものとして構成されたものとして出荷されることか普通であるが、前記補強層(補強体)を幅の広いものとして構成することにより、より大サイズのものを構成することも可能である。前記マット単位体5を巻いて保管する場合、または多数枚重ねておいた場合でも、重ねた部分が接着されずに容易に剥離できるように、前記シート9を挟んで重ねるようにしている。なお、以下の説明では、マット部材を上下に貫通させる孔を任意に形成して、透水性を有するマットとして構成し、海底地盤の保護を行う場合を例にして説明するが、本実施例に示すマット部材に孔を形成せずに、不透水性のマットとして構成したものをそのまま利用する場合も有り得る。そして、前記マット部材を不透水性のマットとして構成したものの用途としては、例えば、陸上の廃棄物処分場の遮水マットとしても利用できるものであるが、その他に、海底地盤を洗掘や吸い出しから保護するための保護マット部材としても用いることができる。
【0033】
前記図1に示す例において、ゴムアスファルト層7の中に補強部材として配置する繊維補強層6は、ポリエステル等の繊維をシート状に成型した不織布を、マット単位体5の上面側に配置し、アスファルト成分を含浸させる処理を行って製作する。したがって、前記繊維補強層6の上面には薄いゴムアスファルトの層を、下面には厚いゴムアスファルトの層を設けて、任意の厚さに形成したマットとして構成することができる。なお、前記繊維補強層6としては、加熱したアスファルトを含浸させて保護マット部材として形成する際に、熱の影響を受けない性質を有する合成繊維であれば、任意の素材を用いたマットまたはシートを用いることができる。また、前記マット単位体5の下面を覆うように設ける保護シート9としては、ポリエチレン等のフィルム部材を用いることが可能であるが、その他に、任意のフィルム部材を用いても良く、マット単位体5の上面を覆うように付着させる砂粒層8としても、細かい砂等のような入手が容易な粒状のもの、または他の任意の物質で上面を覆い、マットを重ねておいても、マットを容易に分離できるようにする。
【0034】
前記マット単位体5を使用する場合には、そのマット単位体5が受けると想定される圧力等の値(荷重)に対応させて、複数枚のマット単位体を重ねて一体化して、図2に示すようなマット積層体3として構成したものを用いることができる。前記図2に示すマット積層体3を構成する場合には、マット単位体5、5a……の重ね面の一方の保護シート9を除去して、ゴムアスファルト等の接着剤4を塗布して重ねることで、任意の枚数を一体化させて必要な厚さと強度を有する保護マット部材として形成することができる。
【0035】
また、前記マット単位体5を重ねて一体化する際には、アスファルトを接着可能な2液反応型等の接着剤を用いて常温で接着すること、または、接着剤を塗布した面をプロパンバーナ等の加熱手段を用いて加熱し、軟化または溶融させたものの上にマット単位体を重ねて押圧・接着して、マットと積層体3を作成することも可能である。前述したような構成を有するマット積層体3を構成するマット単位体5は、ゴムアスファルト層7を繊維補強層6の層で補強したマット単位体であることから、海洋構築物の摩擦力を増大させるためや、止水・遮水作用や、衝撃力の緩和作用を発揮させるために使用する厚いアスファルトマットと同様、または、より以上の大きな強度を有するものとして構成することができる。
【0036】
本実施例で以下に説明するように、海洋構築物の基礎や消波構造体等の構築物を、海底地盤上で安定した状態で設置し、その設置状態を維持するために、前記保護マット部材1を使用する場合には、前記マット単位体5を積層したものを複数枚重ねて、マット積層体3として一体化してから、保護マット部材に通水性を持たせるために、孔あけ加工を行う。前記孔あけ加工のために、図3に示すような孔あけ装置15を用いることができるもので、前記孔あけ装置15としては、多数の突起部15bを設けたロール15aと、対向ロール15Aの間にマット積層体3を通して、前記突起部15bを突き刺して、マット積層体3を貫通させた孔2を設け、多数の孔2……を貫通させて設けた有孔マット部材3aとして形成する。前記有孔マット部材3aに形成する孔2……の開口率は、それを敷設する海底地盤の透水係数に合わせることができるもので、有孔マット部材を敷設した地盤内部に発生する過剰間隙水圧が、前記有孔マット部材の孔2……を通して消散されるようにする。
【0037】
前記保護マット部材1を構成するマット単位体5は、製造工場から出荷された状態では、巾が1〜2m、長さは10mないしはそれよりも長いものとして構成されている。そこで、前記保護マット部材1を海洋構築物の遮水シート等として用いる場合には、その遮水シートを敷設する現場の広さや使用条件に応じて、適当な広さ(面積)を有するものとして形成することが必要とされる。例えば、施工現場で要求される保護マット部材として、長くて巾の広いものを用いることが要求される場合には、巾が狭くて短いマット単位体を縦、横にそれぞれ接続して、所定の面積、長さまたは巾を有する保護マット部材として構成する。その際には、マット単位体を任意の接続手段を用いて接続できるが、図4に示すような接続手段を用いることができる。
【0038】
前記図4に示す保護マット部材1を作成する例では、前記図2のように、マット単位体5、5の接着面に挟まれる一方の保護シート9を除去して接着剤を塗布して接着し、マット積層体3として作成することが可能である。前記有孔マット部材3aを横に接続して、所定の幅と長さを有する保護マット部材1として形成する場合には、接着剤10としてゴムアスファルト系統の接着剤を用いることができるが、その他に2液反応型ゴムアスファルトを用いることができる。その他に、前記接着剤10として、ゴムアスファルトを接着可能な熱接着用の接着剤を用いることが可能であり、熱接着性の接着剤を塗布してから、バーナで加熱する処理を行って接着する手段を用いても良い。
【0039】
前記幅の広い保護マット部材1を作成する例として、陸上で保護マット部材1を作成する場合で説明したが、水中(海底)の海洋構築物の施工現場で、前記マット端部を所定の巾で重ねるように敷設して端部を接着し、所定の面積を有する保護マット部材1を作成しながら施工する場合もある。そのような水中での加工の例では、水中に敷設する前の段階で、マット単位体の端部の重ね部にそれぞれゴムアスファルト系統の接着剤を塗布したものを、海底で端部を重ねるように敷設し、その重ね部に対して荷重を載せる等の処理を行って、広い面積の保護マットとして構成することも可能である。なお、前記マット単位体の端部を接着せずに、単純に重ねるようにして敷設するような敷設方法を用いても、マット単位体の間に隙間が形成されないように施工すれば、特に接着手段を用いる必要もない。そして、前述したようにして、大面積の保護マットとして施工した場合でも、マットに設けた通水孔を介して、地盤中での水圧の変化に対処が可能であるから、保護マット部材が波浪の影響によりあおられたりすることがなく、地盤を洗掘や吸い出しから保護する作用を発揮できる。
【0040】
従来より海洋構築物に組み合わせて用いるアスファルトマットにおいては、基礎マウンドの上に配置してケーソン等の重量物がその重量により押圧する作用を付与した状態で、その押圧力により保護マットが緩やかに変形する。そして、海底地盤の凹凸の形状に対応して順次変形し、マットと地盤表面の間に大きな隙間が形成されない状態で、マットによる支持性能を良好に発揮できる。さらに、凹凸の大きな地盤や基礎の表面にアスファルトマットを敷設して、石や角張った廃棄物を投棄した時でも、その投棄物の角部により破損したりすることがなく、そのマットによる重量物の支持作用を維持可能であるという特性を発揮できる。したがって、単純に従来より用いられているアスファルトマットとは異なり、本実施例に示した保護マット部材では、その用途を特定することにより、海洋構築物を支持する性能が異なるものとなる。
【0041】
前記図1に示された例のように、マット単位体5を単体で用いた場合、または、マット単位体5を積層して構成する保護マット部材1においては、その保護マット部材の性質から、撓み性が良好なものである。また、ゴムアスファルトのような改質アスファルトを主要な構成材料としており、改質アスファルトに特有な粘弾性状を有しており、緩やかな変形には追従性が良好に発揮される。さらに、ゴムアスファルトを含浸した繊維補強層6が表面側に配置されているので、多数の孔を設けている状態でも、その孔の部分からクラックが生じたりすることがなく、急激な曲げ作用が付与された場合でも、容易に破損したりすることがない。
【0042】
前記保護マット部材は、図2に示しているような単位体として構成したものを、そのまま使用することの他に、負担する消波構造物の重量が大きい場合や、波浪による圧力の変化が大きい海域で用いる場合等には、図5に示すように、2枚またはそれ以上の枚数を重ねて、強度の大きなものとして構成することができる。前記図5に示す保護マット部材12では、有孔マット部材3a、3aを接着剤4aを挟んで重ねることにより、厚い保護マット部材として構成し、前記保護マット部材12に貫通孔2を設けて、通水性を発揮させることも可能である。
【0043】
また、前記保護マット部材12を作成するに際して、有孔マット部材3aに設けている孔を一致させにくい場合、もしくは、図3で説明したような孔あけ手段を用い得ない場合には、図6に示すように、有孔マット部材3a、3aの間に通水性材料の介在層14を挟んで、接着剤4aにより接着して一体化させ、複合マット13として構成することも可能である。前記複合保護マット部材13に設ける介在層14としては、不織布、織布または通水性スポンジ等の、任意の通水性を有する材料を用いることができ、前記介在層14を有孔マット部材と直接接着できない場合には、任意の止め具を貫通させて一体化した複合マットとして構成しても良い。
【0044】
前記図6に示す例の他に、保護マット部材の強度をより大きなものとすることが要求される場合には、図7に示すように、厚い積層保護マット部材11として形成することも可能である。前記積層保護マット部材11は、前記図6に示すようにして作成した複合保護マット部材13、13aの間に、通水性材料の介在層14Aを介在させて、接着剤または任意の接続手段を用いて一体化して構成する。前記積層保護マット部材11においては、前記図6に説明した複合保護マット部材の場合と同様に、有孔マット部材3a、3a……に各々設けている通水孔2……を通して水が流通する。また、前記有孔マット部材の間の介在層14と、積層保護マット部材の中に配置している介在層14Aのそれぞれが、通水性を有しているものである。
【0045】
前記図5ないし図7に示すように、複数枚のマット単位体を積層して厚いマット部材を形成した場合に、前記介在層14……を任意の厚さのものとして設けることで、その積層するマット単位体の間での通水性を発揮させることができる。そして、前記積層した保護マット部材の上に、ケーソンや消波構造体が載置されて、前記保護マットの一部が潰されて通水性を発揮できなくなることがあっても、前記保護マット部材の大部分には、マットの孔や介在層による通水性が維持される。したがって、海洋構築物を構築している海域が荒波の影響を受けた場合に、その波浪変動等の力が付与されて、地盤内部に発生する過剰間隙水圧を保護マットに設けている通水部から逃がすことが可能となるので、地盤の液状化を防止することができる。また、波浪の影響で保護マット部材があおられることを防止でき、地盤を洗掘および吸い出し作用から保護して、構造物本体と消波構造体の支持地盤の保護の作用を良好に発揮できる。
【0046】
なお、前記図示したマット部材の例のように、厚い保護マット部材を構成するに際して、前記図7に示した積層保護マット部材は、介在層14Aの上にのみ複合マット部材13を重ねて、海底地盤上に対応させる部分には、マット部材を設けないで構成することもある。例えば、海底地盤表面に大きな水圧の変動が作用することが想定される場合には、その水圧の変化をマット部材の下面に設けた通水層としての介在層14Aを通して、積層マット部材の孔から上に逃がすような性質を有するものとして、前記積層マット部材を構成すれば良い。
【0047】
前記保護マットの説明は、ゴムアスファルトを用いてマットを構成し、マット内部に設ける補強層として、不織布のような材料に、ゴムアスファルト成分を含浸させて、その補強層自体が遮水性を発揮するものとして構成されている。また、前記マット部材に任意の大きさを有する孔を設けることで、透水性を発揮させ得るようにしている。前記ゴムアスファルトを主体とする保護マットの他に、前記保護マットとしては、以下に説明するように、補強体としてや金網状の部材を用い、前記金網(ネット状部材)に対してゴムの被覆を一体に設けて、金網の目の間に任意の大きさの開口を設けたものを保護マットとして用いることも可能である。
【0048】
図8に示す例は、針金17aに対してゴム被覆17bを設けたゴム被覆針金17の例を示しているもので、前記針金の素線17aの太さと、被覆層17bの厚さは任意に形成することが可能である。前記被覆層17bを針金17aに形成するためには、従来公知のゴム被覆手段を用いることが可能であり、例えば、未加硫のゴムの溶液中に針金17aを通して、その針金17aの周囲を被覆するようにゴム液を付着させ、その後に加硫装置に収容して熱と圧力とを付与する処理を行うことで、被覆層17bの加硫処理することができる。
【0049】
そして、前述したようにして作成したゴム被覆針金17を金網状に編んで、補強体(ネット部材)として構成し、保護マットとして用いることが可能である。また、前記ゴム被覆針金17を用いて保護マットを作成するに際して、前記ゴム被覆針金17を金網状に編み込んで、任意の大きさのマット状部材を構成することができる。その他に、前記ゴム被覆針金17を所定の間隔を介して配置したものの上に、直交する状態で横の層を配置して、前記縦横のゴム被覆針金の層を任意の接着剤を用いて接着し、大きなサイズのマット部材として形成することも可能である。前記縦横のゴム被覆針金の層を接着するためには、未加硫のゴム被覆針金17を縦・横の針金として用いて、上下の層を重ねた後で、全体を加硫処理して一体化させるような手段を用いることも可能である。
【0050】
図9に示す例は、前記ゴム被覆針金を用いて、ネット部材16を構成する場合の1つの例を示している。前記図9のネット部材16において、縦横のゴム被覆針金17A、17Bとして、前記図8に示したようなゴム被覆針金17を用いるが、前記針金部材17で被覆層の厚さはマットに要求される強度や、その他の条件に応じて任意に設定される。また、前記ネット部材16に設ける開口部18の大きさは、針金部材の配置間隔Wにより任意に設定が可能であり、金網の網目の大きさ等に応じて形成される。
【0051】
前記図9に示すネット部材16において、被覆した針金を用いて構成することの他に、縦横に所定の間隔を介して針金17A、17Bを組み合わせた金網を、未加硫のゴム溶液内に浸漬(どぶ付け)して、被覆を設けることも可能である。前記ネット部材16においては、縦横に配置する針金を編み込んでネット部材として構成する必要はなく、縦横に所定の間隔を介して針金を層状に組み合わせて、針金の重なった部分を、ゴム径の接着剤を噴霧または塗布する等の、任意の手段を用いて仮止めし、その後に未加硫のゴム液に浸漬して、所定の厚さのゴム被覆を形成形成できる。その後に、加硫装置を用いて未加硫のゴム層を加硫する処理を施し、ゴム被覆により針金の層を一体化したネット部材16を構成することも可能である。
【0052】
前記針金を用いて金網状の補強手段を設けることの他に、図10に示すように、任意の孔を鉄板に形成したパンチングメタルを用いて、金属の表面をゴム被覆することにより、ネット部材16Aを構成することも可能である。前記図10に示す例において、任意の厚さの鉄板に対して、公知の手法を用いて任意の大きさの孔を任意の配列パターンで構成した、孔あき鉄板を用いることができる。そして、前記孔あき鉄板に対してゴム液が付着しやすいような表面処理を行い、未加硫のゴム溶液に浸漬して、所定の厚さの被覆層17bを被覆してから、加硫装置を用いて加硫処理することで、ゴム被覆を一体に設けた孔あき鉄板状のネット部材16Aを形成し、そのネット部材16Aを海底で縦横に所定の範囲を覆うように配置して、保護マット層を構築することが可能である。また、前記ネット部材16Aを作成してから、複数枚のネット部材を縦横に並べて針金等を用いて接続することにより、大サイズのマット部材として形成することも可能である。
【0053】
前記図9、10に示すように、比較的曲げにくい構造のマット部材の他に、汎用性を有する金網を主体として、前記金網に前記図9、10で説明したように、未加硫のゴム液に浸漬して、針金に対して所定の厚さのゴム被覆を形成したものを、保護マット部材として用いるようにしている。前記金網としては、従来より海底地盤の洗掘を防止するために使用されているところの、「アンカーマット……商品名」とは異なり、マット状またはシート状の部材をゴムで形成し、そのゴム層の中に補強材として金網を一体に埋め込んだものとして構成している。したがって、従来の軟質塩化ビニール樹脂シートを用いるマット部材の場合とは異なり、海中で長時間放置しても保護マットとしての性能を良好な状態で維持でき、有害なホルモン成分が滲出したりする恐れがなく、環境に与える影響を考慮せずに使用することができるものとされる。
【0054】
前記図11に示す例において、金網を補強材として用い、金網の針金17aをゴム層17bで被覆して、その網目の部分を任意の大きさの開口部18としてネット部材16Bを構成している。前記ネット部材16Bは、その針金の組み合わせにより、一方には巻取りが可能で、それと直交する側には曲げ不能な剛性が発揮されるので、巻いた状態で取扱いできるので、工場から出荷した後で、海底地盤上に敷設するまでの作業性を良好に発揮できるものとされる。また、前記ネット部材16Bでは、任意のサイズで形成した金網を、未加硫のゴム液中を通して針金の周囲をゴムで被覆してから、加硫装置で熱と圧力を加えて加硫処理を行い、針金の表面に強固なゴムの被膜を任意の厚さで形成する。したがって、前述したようにして作成したネット部材16Bでは、加硫装置が許容する範囲では、大サイズのマットを形成することが可能となる。
【0055】
なお、前記図11に説明したように、補強体として金網を用いる場合に、前記金網は図示するような、針金を編んで構成するものの他に、チェーンのようなそれ自体が屈曲性を有する材料を用いて、ネット状に編んだものを用いることも可能である。前記チェーンのような素材を網状に編んで形成した補強体では、任意の強度を有するネット部材を容易に構築できるのであるから、海洋構築物の重量が大きい場合でも、その荷重を容易に支持することができるものとなる。さらに、前記強度の大きいネット部材を用いても、そのマット部材は任意の方向に容易に曲げることができるので、施工現場への搬送・荷役やマットを敷設する時の取扱い作業を容易に行うことが可能である。
【0056】
図12以降に示す本発明の第2の実施例では、前記ゴムアスファルトを用いずに、ゴムのような弾性と柔軟性を有するシート材料と金網のような補強部材(以下ネット部材と呼ぶ)とを組み合わせて一体化し、保護マット部材を構成する場合を説明している。前記保護マット20としては、図12、13に説明するように、ネット部材21の上下の面に上シート24と下シート25とを重ねて一体化し、内部にネット部材21による補強層を介在させた保護マット20として構成しているものである。前記補強層として用いるネット部材21としては、アルミニウムメッキ処理した針金(鉄線)、または、他の表面被覆処理を施した針金22を用い、任意の大きさの網目23を有する金網として構成する。また、前記ネット部材21として一般的な菱形金網を用いる場合には、前記金網は針金22の長さ方向には曲げられないが、隣接する針金との接続部では相互に曲げることが可能なものである。そして、前記ネット部材21を補強部材として介在させ、シート状の部材と組み合わせた保護マット20は、長いものを巻いた状態で搬送・取扱いが可能なものとされる。
【0057】
本実施例に説明する保護マット20は、ネット部材の補強部材として、前記図11で用いたような金網を任意の大きさのものとして構成したものを用いている。そして、前記従来公知の「アンカーマット……商品名」とは異なり、シート状の部材としてゴムやゴムアスファルト、もしくは、所定の厚さを有する不織布にアスファルトを含浸させたシート等を用いることが可能である。したがって、従来の軟質塩化ビニール樹脂シートを用いる場合とは異なり、海中で長時間放置しても遮水性を維持でき、有害なホルモン成分が滲出したりする恐れがなく、環境に与える影響を考慮せずに使用することができる。
【0058】
前記保護マット20を、図13に示すように、上シート24と下シート25の間にネット部材21を挟みこむように介在させ、一体化して保護マットを構成するに際しては、前記3層の部材を任意の接続手段を用いて、綴じ込むことや接着する等の手段を用いて固着することが可能である。なお、前記図13に示す例及び、それに関連する説明において、金網を補強層として上下のシート部材の間に配置する例では、前記補強層(ネット部材21)を厚さの大きいように描いているが、実際には、上下に重ねるシート部材がかなあみの目の部分で接触する程度のものとされる。したがって、前記実施例では、例えば、図14に示すように、ネット部材21の網目23の部分で、ネット部材を挟むようにして上下のシートを接着する等の処理を施すことにより一体化が可能である。前記ネット部材21を挟んで重ねるシート部材24、25に接着部28を形成するに際しては、上下の2層のシート24、25の対向する面に接着剤を各々塗布しておき、ネット部材21を挟むように配置してシート部材を重ねる。そして、ネット部材の網目23の部分で任意の手段を用いて押圧する等の処理を施すことにより、前記上下のシートがネット部材の網目の部分で接着されて一体化される。
【0059】
また、前記ネット部材を挟んで接着剤により一体化することのほかに、図15に示すように、ネット部材21の上下に配置したシート層24、25を、針金等で綴じ込むようにする接続部27を用いて、綴じ綴じ込む等の手段を用いて一体化しても良いことはもちろんである。前記接続部27としては、上下の一方から単純に針金を刺し込んで、他方の側で捩って止める方法を用いることができるが、その他に、ポリプロピレン(PP)バンド等のような市販の綴じ込み手段を用いて保護マットとして一体化することが可能である。
【0060】
前述したようにして製造する保護マット30は、前記第1の実施例で説明したような、ゴムアスファルト製の保護マット部材1の場合と同様に、孔開け処理を施さない状態では、遮水性を持つシート状の部材のままであるから、従来のゴムシートに対してネット部材の補強手段を一体化しているものに過ぎない。したがって、前記保護マット20に孔開け加工する前の段階では、透水性を有しないシートであるから、それを陸上の廃棄物埋め立て処分場の遮水シートとして利用することができる。また、前記保護マット20に対して孔を設ける処理を施すことにより、有孔マットとして用いることが可能であり、例えば、海底地盤の洗掘防止用の保護マットとして利用可能なものとなる。
【0061】
前記保護マット20に対して孔開け加工を行うに際して、前記図3に説明したような孔あけ装置を用いることが可能であり、ロールの表面に突出させた突起としての切削具を、ネット部材21の網目23に対応させた間隔に設定して、孔開け加工を行うことができる。また、前記切削具の大きさを適宜選定することにより、所望の大きさの孔を設けることができ、保護マット20全体の孔(開口)の面積の比率を適宜調整することができる。前記保護マット20に対して開口29を形成するに際しては、例えば、図16に示すように円形の開口29を形成することや、図17のように角型の開口29を形成することが可能である。そして。前記開口29の大きさを適宜選択することにより、マットに設ける開口の面積を任意に設定することが可能となる。
【0062】
前述したように、ネット部材21による補強層をシート部材と一体に設けた保護マット20に対して、孔開け加工を行うに際しては、ネット部材21の針金22の間に形成される網目23の中に、任意の大きさで開口が形成されることになる。前記開口の形成に際しては、例えば、ネット部材21が従来の海洋工事の標準規格品として用いられている金網を用いると想定すると、前記金網の網目が75mmである場合に、前記金網に対して張力を付与している状態では、ネット部材21の網目23の間隔がほぼ一定であることから、前記孔開け加工装置を用いて開口29……を所定の間隔で形成することが可能である。つまり、前記保護マットのネット部材では、上下のシート層24、25の取付状態が正常であれば、ネット部材21の針金22……の間隔がほぼ一定であることによる。なお、前記保護マット20に設ける開口の大きさおよび数、配置間隔等の条件は、以下に説明するように、海底地盤の保護用マットとしての利用する際に、マットに要求される透水率等の条件に対応させて設定することはもちろんである。
【0063】
前述したようにして作成し、所定の幅と長さを有する保護マット部材1または20を、海洋構築物に組み合わせて施工する例としては、図18以降に示すようにして、海洋構築物に組み合わせて用いることができる。前記図18に示す例では、海底地盤33上に所定の高さで構築した基礎マウンド32上にケーソン31を設置して、防波堤等の海洋構築物30を構築しており、その外海域側に消波構造体35を構築している。前記消波構造体35は4脚ブロックを多数積み重ねて構築するもので、消波構造体35を保護するために、前記保護マット部材1を海底地盤上に敷設している。また、前記消波構造体35の凹凸が直接保護マット部材1に載置された状態で、前記載置されたものの突部が、局部的に保護マット部材に集中的な押圧作用を付与しないようにするために、石籠36の層を緩衝層として構築することもできる。前記石籠36としては、金網の籠に石を詰めたものを使用することができるが、その他に、基礎マウンドに使用する石よりも小さい石の層を設けても良い。また、前記海底地盤上に配置した保護マット部材1の外海域側の端部が、波によりあおられてその下部の地盤が洗掘されることを阻止するために、石籠と同様な端部保持部材37を配置する。
【0064】
図19に示す例では、保護マット部材1の上に大きなコンクリートブロックを積み重ねて、消波構造体38を構築する場合を示しているもので、保護マット部材1の外海域側の端部には、前記図18の例と同様に、端部保持部材37を押さえ部材として配置することができる。なお、前記図19に示す例では、海洋構築物30に対して海底地盤の洗掘を防止するために保護マット部材1を設けた例で説明しているが、消波構造体38を所定の高さに構築する場合には、消波性能を発揮できるものとすることが可能なことは勿論である。
【0065】
図20に示す例は、海岸の浸食を防止するために保護構造物40を構築し、保護マット部材1により保護している海域側の海底地盤33の洗掘を阻止し、消波構造体41により消波性能を発揮させて、保護構造物40を荒波と浸食から保護できるようにする。また、図21に示す例は、海中に橋脚46を立設した橋45を保護する場合を示しているもので、前記橋45のような構造物では、保護マット部材1を周囲に敷設して、その上にブロックによる消波構造体47を構築することができる。そして、前記橋脚の場合には、コンクリートの一体物として構成されていて、その橋脚自体の強度が非常に大きな構造物では、海底地盤の洗掘による基礎の弱体化を阻止できれば良いとも考えられる。なお、前記図21の例においても、荒波に対処させるためには、消波構造体47を通常の海水面よりも高く構築して、荒波が直接橋脚に当たらないように構成することも可能である。
【0066】
前記各実施例とは別に、図22に示すように、消波構造体48を構築するに際して、保護マット部材1を用いることも可能である。前記消波構造体48の例は、海岸線から外海域側に離れた場所で、砂等の海底地盤上に消波構造体を構築して、海岸が波により浸食されることを防止しようとするもので、任意の形状のコンクリートブロック体を多数積み重ねて離岸堤等として構築される。そして、前記消波構造体48により波の力を弱めて、海岸の斜面に敷設した保護材49に強い波が当たらないように保護することが可能である。
【0067】
なお、前記保護マット部材1に形成する孔は、海底地盤の透水係数に対応させて設けるが、例えば、海底地盤が砂地で、透水係数K=0,085cm/sec の場合に、間隙率は45%とすると、その地層の時間あたりの透水量Q(動水勾配2:1)は、A=100×100cmとすると、
Q=K・(H/L)・A
=0.085×(100/100)×100=850cm/sec /m
保護マット部材に地盤と同等の通水性を持たせるための、マットに要求される通水量Qは、Q=A・Vであり、
A=850cm/s/1cm/s=850cm/mとなる。
前述したように、海底地盤が砂地の場合には、保護マット部材に必要とされる孔の総面積は、A=850cmであるから、直径が2cmの孔を370個形成すれば良いことになる。または、より大きい孔を数少なく形成しても、地盤と保護マット部材を通る水の量をほぼ同一に設定可能である。さらに、前記海底地盤の透水率が小さい場合には、保護マット部材に設ける孔の数を少なくでき、地盤中を通る水により、保護マット部材が浮き上がったりすることがなく、地盤を洗掘から保護することが可能となる。
【0068】
前記各実施例で説明した構造物を構築する場所での海底地盤の保護方法に加えて、前記保護マット部材を用いた海底地盤の保護のためには、図23に説明するような方法も考えられる。前記図23に説明する例は、海底地盤33上に所定の大きさの人工マウンド50を構築する場合を説明しているもので、海底地盤33の上に所定の広さに亘って下面マット51を敷設して地盤の表面をカバーする。ついで、前記下面マット51の上に捨石や、陸上で作成した消波ブロック等のような塊を所定の高さに積み上げて、中詰め材54による所定の高さの構造体を構築する。その後で、前記構造体の表面をカバーするように、カバーマット52を配置して、下面マット51とカバーマット52の端部の重ねられた部分を、任意の綴じ込み手段により綴じ込んで、保護マットによる大きな袋体を構築するようにしている。なお、前記人工マウンド50の内部に挿入する石積層または中詰め材54としては、一般の海洋工事に用いられるような捨石等のように、任意の大きさの塊を用いると良いが、その他に、上下のシートの重ね部を、隙間なく綴じ込むことができれば、中詰め材54として、砂等を用いることも可能である。
【0069】
前記人工マウンド50を構築する場合には、前記下敷きとカバーした上のマットとしての、下面マット51、カバーマット52として、任意の厚さと強度を有する保護マット部材を用いることが可能である。そして、海底地盤の土質や、中詰め材54の構築高さ、つまり、下面マット51が負担する重量に対応させて、適当な透水性と強度とを有するマット部材を使用することも可能である。また、前記中詰め材54として捨石やコンクリート等のような、一定の大きさの塊を用いる場合には、カバーマット52の役目は、荒波により中詰め材が崩れることを阻止するのみである。そこで、前記カバーマット52としては、目の粗いネット状の部材を用いも良いことにもなる。
【0070】
前記図23のように、海底地盤上で人工マウンドを構築する場合の他に、中詰め材を収容した袋体を用いて、海底地盤の保護や、構造物の支持地盤の保護の作用を行わせることが可能である。図24に示す例は、前記保護マット部材を用いて袋体55を作成し、前記袋体55を消波ブロックと同様に、海底地盤上に積み重ねるなどして用いることを可能にしているものである。前記袋体55としては、任意の大きさで任意の形状のものとして構成できるものであり、前記各実施例に示したような、透水性を有する保護マット部材を用いて、袋状のものとして構成する。また、前記袋体55を大型のフレキシブルコンテナ状の構造体として形成する場合には、図示するように、その上部に絞り部を形成しておき、前記絞り部を任意の綴じる部材を用いて閉じ込めることで、中に収容した中詰め材57が漏れ出すことがないように、中に封じ込んだ袋体55として用いることが可能である。
【0071】
従来より用いられている土嚢等のように、前記袋体55を比較的小さな袋体として構成する場合には、その袋を構成するマット部材は、比較的薄い材料を用いることが可能であるから、中詰め材57を詰めた状態でも、小型のクレーン等を用いて荷役することができる。また、大型のコンテナ状の袋体を構成する場合には、少量の中詰め材を詰めた状態で海底地盤上に設置して、その後に、船から捨石等を袋体の中に大量に詰め込んで、任意の大きさの不定形の袋体として構成したものを、土嚢のようにして用いることも可能である。したがって、前述したようにして構成した袋体55は、前記各実施例に示した消波構造物として、または、海底地盤上に敷設した保護マットが、波浪により煽られたりすることを阻止する重量物としても用いることもできる。
【0072】
なお、前記人工マウンドに用いるマットや、袋体を構成する部材としては、前記各実施例に説明した積層マットのうちの適当なものを用いることが可能なものであり、そのマット部材の透水性や孔の大きさ、材料の厚さや補強部材の強度等は、任意のものを用いることが可能である。また、前記図23に示した人工マウンドや、図24で説明した袋体のような構造体は、砂地のような海底地盤が、波浪により洗掘・吸い出し等の影響を受けることを防止するために用いる。その他に、海岸の砂浜の近辺の海中に、前記人工マウンドを構築することや土嚢等のような袋体による構造物を設ける場合には、海岸の砂地を波から保護する作用を発揮することも可能である。そして、前記人工マウンドや袋体の中詰め材として石やコンクリートの塊等のようなものを用い、マットや袋体として透水性を有する材料を用いる場合には、波浪による洗掘や吸い出し作用から地盤を保護するための構築物を、任意の場所に容易に構築することができるものとなる。
【0073】
前記図23に説明したように、人工マウンドのような構造物を構築するに際して、以下に説明するように、大サイズのマット部材を用いて、中詰め材54として捨石やコンクリート等のような一定の大きさの塊を積み重ねたものを、カバーして一体化して構築することができる。この実施例において、図25に示すように、海底地盤33の上面を平に均す処理を行って、その上に大サイズの透水性を有するマット部材51を敷設する。前記マット部材51は、人工マウンド50aを構築する下面の面積の2倍以上で、台形状に構築する石積層54の表面全体をカバーして、端部に綴じ込み部を余裕部分として設け得るようにすると良い。つまり、図示するように、石積層54の底面の幅L1に対して、マット部材51の巾Lを、L>2(L1)として形成し、そのマット部材51の端部から範囲L1に亘って石積層を構築する。
【0074】
ついで、図26に示すように、マット部材51の自由側部分を石積層54の上をカバーするように移動させ、石積層54の下面に位置させるマット部材片51aに対して、前記石積層54の斜面部と上面部とを、上側マット部材51bによりカバーするように移動させる。前記上側マット部材51bを施工するに際しては、ウインチやクレーン等の装置を用いて、マット部材の自由側端部にワイヤを係止し、マウンド上でマット部材を移動させて、かしわ餅状に石積層54をカバーさせるようにしても良い。その後に、上下部のマット部材の自由側端部を重ね合わせて、任意の綴じ込み手段を用いて封止し、人工マウンド50aを構築すれば良いものである。なお、前記人工マウンド状の海中(海底)構築物は、任意の大きさのものとして構成可能ではあるが、海中でマット部材を移動させる手間が必要であることから、小型のマウンドや局部的な海底地盤の浸蝕防止用の保護構造物等を対象とすれば、有効に利用することが可能である。また、前記人工マウンド状の構造物50または50aは、他の地盤の保護手段と組み合わせて用いることで、より効果を発揮できるものともなる。
【0075】
【発明の効果】
本発明においては、前述したように、保護マットを強度の大きいものとして構成し、その保護マット部材を海底地盤上での海洋構造物および消波構造体を支持するため使用するものであるから、消波ブロックの突部がマットを押圧する状態でも、消波構築物等の海底地盤上に構築する構築物を、安定した状態で保護できる。また、前記構成を有する保護マット部材は、金網等を補強層として用いる場合には、金網の網目と一体に孔を設けたシート部材を組み合わせているので、例えば、薄いシート状の部材として構成したものであっても、従来のアスファルトマットと同様な強度を発揮することが可能であり、軽量であることから敷設の作業性を良好に発揮できる。
【0076】
前記遮水用マットは、任意の面積を有するものとして作成することが可能であり、薄いものとして形成できるとともに、貫通させる孔の大きさと面積比率を適宜設定することにより、地盤の通水性に対応させた通水性を持たせることが可能である。そして、波浪変動により地盤内部に発生する過剰間隙水圧による地盤の液状化を防止できるとともに、波浪の影響で保護マット部材があおられることを防止でき、地盤を洗掘および吸い出しから保護して、消波構築物の保護の作用を良好に発揮できる。さらに、マット部材に任意の大きさの通水孔を設けていることにより、荒波の影響下でもマット部材に揚圧が作用することを阻止でき、地盤の保護作用を良好に発揮可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】マット単位体の断面図である。
【図2】マット積層体の構成の説明図である。
【図3】マット積層体に孔を形成する装置の説明図である。
【図4】有孔マット部材を作成する工程の説明図である。
【図5】有孔マット部材を積層する例の説明図である。
【図6】有孔マット部材を積層する別の例の説明図である。
【図7】積層保護マット部材の断面図である。
【図8】金網の針金に被覆を設ける例の説明図である。
【図9】被覆した針金を用いた保護マットの説明図である。
【図10】保護マットの別の例の説明図である。
【図11】保護マットの別の例の構造の説明図である。
【図12】ネット部材を挟んで構成する保護マットの説明図である。
【図13】図12のマット部材の断面図である。
【図14】上下のシートを接着する例の説明図である。
【図15】上下のシートを綴じる例を説明する断面図である。
【図16】保護マットに設ける孔の説明図である。
【図17】保護マットに設ける孔の別の例の説明図である。
【図18】保護マット部材を用いて構築する海洋構築物の説明図である。
【図19】海洋構築物の別の例の説明図である。
【図20】護岸に適用する例の説明図である。
【図21】橋脚の保護に保護マット部材を使用する例の説明図である。
【図22】離岸堤の保護に保護マット部材を使用する例の説明図である。
【図23】消波構造体の説明図である。
【図24】袋体の説明図である。
【図25】海底構造物の他の実施例の施工状態を示す説明図である。
【図26】図25に説明した構造物の完成図である。
【符号の説明】
1 保護マット部材、 2 孔、 3 マット積層体、
4 接着剤、 5 マット単位体、 6 繊維補強層、
7 ゴムアスファルト層、 8 砂粒層、 9 シート、
10 接着剤、 11 積層保護マット部材、
12・13 保護マット部材、 15 孔あけ装置、
16 ネット部材、 17 針金部材、 18 開口部、
20 保護マット、 21 ネット部材、 22 針金、
23 網目、 24 上シート、 25 下シート、
27 接続部、 28 接着部、 29 開口、
30 海洋構築物、 31 ケーソン、 32 基礎マウンド、
33 海底地盤、 35・38 消波構造体、 36 石籠、
37 端部保持部材、 40 護岸、 45 橋、 46 橋脚、
47・48 消波構造体、 49 保護体、 50 人工マウンド、
51 下面マット、 52 カバーマット、 53 綴じ部、
54・57 中詰め材、 55 袋体、 56 絞り部。

Claims (21)

  1. 海底地盤上にケーソンのような既成の構築物を設置してなる海洋構築物の支持地盤の保護のために、
    前記構築物を海底地盤上に敷設した保護マット部材上に構築するとともに、
    前記保護マット部材により、海底地盤を荒波または潮汐変動による浸食から保護することを特徴とする海洋構築物の支持地盤の保護工法。
  2. 前記構築物よりも海域側に大きく張り出させて保護マット部材を敷設し、
    前記保護マット部材を海域側に張り出させた部分には消波構造体を構築して、
    前記構築物と消波構造体を支持する海底地盤を、前記保護マット部材により保護することを特徴とする請求項1に記載の海洋構築物の支持地盤の保護工法。
  3. 海底地盤上にケーソンのような既成の構築物を設置してなる海洋構築物の支持地盤の保護のために、
    前記構築物を海底地盤上に敷設した保護マット部材上に構築するとともに、
    前記保護マット部材を、任意の大きさと任意の形状の孔を形成した通水性を有するマットとして構成し、
    前記保護マット部材により、海底地盤を荒波または潮汐変動による浸食から保護することを特徴とする請求項1または2に記載の海洋構築物の支持地盤の保護工法。
  4. 前記海洋構築物を、前記保護マット上に構築した基礎マウンド上にケーソンのような既成の構築物を載置して構成し、
    前記基礎マウンドの海域側の荒波の影響を強く受ける側に、前記構築物に対する支持部分に対して大きく張り出させて保護マット部材を敷設し、
    前記構築物から海底地盤上に向けて張り出させて敷設した保護マット部材の上に、消波構造体を構築し、
    前記海洋構築物と消波構造体とを支持する保護マット部材により、荒波または潮汐変動による浸食から海底地盤を保護することを特徴とする請求項1に記載の海洋構築物の支持地盤の保護工法。
  5. 前記基礎マウンドの海域側の荒波の影響を強く受ける側に、前記構築物に対する支持部分に対して大きく張り出させて保護マット部材を敷設し、前記構築物を支持する海底地盤を、前記保護マット部材により保護することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の海洋構築物の支持地盤の保護工法。
  6. 海底地盤上に基礎マウンドを構築し、前記基礎マウンド上に既成の構築物を設置して構築する防波堤のような海洋構築物に対して、その支持地盤を保護するために用いる保護マットであって、
    前記保護マット部材の補強体を、遮水性の弾性体の層の中に埋設するかもしくは、補強体に弾性体を沿わせるように一体化して構成し、海底地盤上に敷設した上に構築物を支持させるように用いることを特徴とする保護マット。
  7. 前記マット部材に補強体とともに組み合わせて一体化する遮水性の弾性体は、ゴム系またはアスファルト系、またはポリエチレン系、ポリプロピレン系、塩化ビニール系もしくはゴムアスファルト系のような材料を用いて、所定の厚さの板状体として構成することを特徴とする請求項6に記載の保護マット。
  8. 前記マット部材に設ける補強体は、金属製の板状のもの、もしくは、所定の形状の孔を多数設けた金属の板状の部材であることを特徴とする請求項6または7に記載の保護マット。
  9. 前記マット部材に設ける補強体は、金属ネットのように、縦横の一方もしくは任意の方向に曲げ可能なもの、もしくは、所定の形状の孔を多数設けた金属の板状の部材であることを特徴とする請求項6または7に記載の保護マット。
  10. 前記マット部材に設ける補強体は、繊維製のネット部材、もしくは、織布もしくは不織布であることを特徴とする請求項6または7に記載の保護マット。
  11. 前記マット部材に設ける補強体としての繊維製の織布もしくは不織布には、必要に応じて孔を形成して使用することを特徴とする請求項10に記載の保護マット。
  12. 前記補強体と遮水性の弾性体とを組み合わせて一体化した板状体は、任意の大きさの通水孔を有し、前記通水孔は水を通すが海底地盤を構成する材料は通さない大きさのものとして構成することを特徴とする請求項6ないし11のいずれかに記載の保護マット。
  13. 前記補強体として、多数の孔を設けた有孔の補強体を用いるに際して、
    前記補強体の孔の一部を残してゴムのような材料により被覆して板状体を構成することを特徴とする請求項8ないし11のいずれかに記載の保護マット。
  14. 前記保護マット部材には、基礎マウンドが載置・構築される部分に対して、その外海域側に余分に突出させて敷設し、前記余分に敷設する部分においては、基礎マウンドを支持する部分よりも通水性の大きな部分として構成することを特徴とする請求項5ないし12のいずれかに記載の保護マット。
  15. 前記保護マット部材を通水性を有する合成繊維の層を芯材とし、ゴムアスファルトの層で両面を被覆して一体化したマット単位体を用い、前記マット単位体には水を通すが海底地盤を構成する材料を通さない大きさの孔を貫通させて設けて、通水性を発揮可能とし、
    前記マット単位体を基礎マウンドおよび消波構造体を構築する海底地盤に対して、所定の面積に亘って敷設することを特徴とする請求項5または6に記載の保護マット。
  16. 前記保護マット部材は、海底地盤上に構築する海洋構築物の重量に対応させて、任意の枚数のマット単位体を重ねて一体化したものを用いることを特徴とする請求項5または6に記載の保護マット。
  17. 前記マット単位体を複数枚重ねて保護マット部材として構成するに際して、
    前記重ねるマット単位体の間に、通水性を有する材料の層を介在させて一体化し、
    前記マット単位体の孔と、マット単位体の間に介在させる通水性材料の層を通して、通水性を発揮させることを特徴とする請求項5または6に記載の保護マット。
  18. 前記複数枚のマット単位体を繊維材料の層を介して一体化した保護マット部材を、さらに厚い通水性材料の層を介して複数層重ねたものを、海洋構築物もしくは消波構造体を支持するために用い、荒波または潮汐変動による浸食から海底地盤を保護することを特徴とする請求項16に記載の保護マット。
  19. 前記補強体と遮水性の弾性体とを組み合わせて一体化したものに、透水性を持たせる処理を施した保護マットを海底地盤上に敷設し、前記敷設した保護マットの上に所定の高さに重量物を積み重ね、
    前記積み重ね体の上面を保護マットでカバーし、前記下敷きとカバーした上のマットの端部を綴じ込んで一体化する処理を行って、海底地盤上に設置する構築物として構成し、
    前記構築物により海底地盤の保護と、消波等の作用を発揮させることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の海洋構造物の支持地盤の保護工法。
  20. 前記補強体と遮水性の弾性体とを組み合わせて一体化したものに、透水性を持たせる処理を施した保護マットを、敷設する予定の面積よりも大きい範囲で海底地盤上に敷設し、
    前記敷設した保護マットの略半分以下の面積の部分の上に、所定の高さに重量物を積み重ね、
    前記積み重ね体の上面に残りの保護マットを折り返して重ねるようにカバーし、前記カバーした上のマットの端部を下のマットと一体化する処理を行って、海底地盤上に設置する構築物として構成し、
    前記構築物により海底地盤の保護と、消波等の作用を発揮させることを特徴とする請求項19に記載の海洋構造物の支持地盤の保護工法。
  21. 前記弾性体の層の中に補強体を設けて、通水性を発揮する保護マット部材を用いて、任意の大きさの袋体を形成し、
    前記袋体の中に、石やコンクリートの屑のような材料を収容して、任意の大きさの不定形の塊体を形成し、
    前記不定形の塊体を用いて消波構造体、海底地盤の保護体として用いることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の海洋構造物の支持地盤の保護工法。
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