JP2005022737A - 貯水装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 解凍手段を備えた貯水装置において、全量凍結していない場合でも効率よく解凍を完了させる。
【解決手段】 貯水部1内に伝熱部2として複数の伝熱体を設けると共に、貯水部1内の水のどの部分が凍結したかを判断し、該凍結部分に応じて前記複数の伝熱体のうちの一部または全部を選択的に発熱させるようにする。凍結部位は、予め貯水部1の温度と経過時間の関係から凍結進度を割り付けたマップを検索して判断する。
【選択図】 図1

Description

本発明は解凍手段を備えた貯水装置の改良に関する。
電熱器等の解凍手段を備えた貯水装置としては、例えば特許文献1に見られるように燃料電池スタックの加湿または冷却用の純水を蓄えるものが知られている。
従来の純水タンクは、純水を貯える貯水部と、純水や凍結した氷を直接加温する伝熱部とで構成されている。伝熱面積を広くとることにより解凍性能を向上させることができるため、貯水部の内壁にも伝熱部としての機能を持たせる場合が多い。加温手段には多くは電気ヒータが用いられる。
燃料電池用の純水タンクでは、限られたエネルギーでできるだけ速やかに解凍を行うことが求められる。氷が融けてできる液水の層の厚さは、解凍開始からの経過時間にほぼ比例することが分かっているため、素早く解凍するためにはヒータ間の氷の層を薄くしておく、すなわち複数のヒータをその間隔をできるだけ狭くして設ける必要がある。タンクの大きさが一定とすれば、ヒータの間隔を狭くするほどヒータの必要数が増加し、貯水量は減少するので、これらの要素のバランスを考慮してヒータの間隔および数が決定される。
特開2002-110187号公報
前述のような従来の純水タンクでは、全量凍結状態から全量解凍までの時間が主に注目されていたため、全量凍結する前に解凍が開始された場合、伝熱部の液水に触れている部分から液水に直接伝熱し、凍結量が少ない場合にも、全量凍結時と同じだけ解凍時間がかかるという問題があった。
本発明では、貯水部内に伝熱部として複数の伝熱体を設けると共に、貯水部内の水のどの部分が凍結したかを判断し、該凍結部分に応じて前記複数の伝熱体のうちの一部または全部を選択的に発熱させるようにする。
本発明によれば、水の凍結部分のみ加温して解凍することができるため、部分的に凍結した場合であっても、最小限の解凍時間およびエネルギー量で解凍することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に本発明の実施形態の構成概念を示す。図1において、1は水を蓄える容器としての貯水部、2は前記貯水部に収装された発熱源となる伝熱部で、これらにより水タンク9を構成している。3は制御部であり、貯水部1内の水の凍結状態に応じて伝熱部2の発熱を制御する。
前記制御部3はCPUおよびその周辺装置からなるマイクロコンピュータにより構成してあり、機能的には前記伝熱部2に発熱のための出力を供給する伝熱制御部4と、前記貯水部1内の水の凍結部位を判断する凍結部位判断部5とからなっている。さらに前記凍結部位判断部5は、貯水部1の壁面温度を計測する温度計測部6と、時間の経過を計測する経過時間計測部7と、温度計測部6と経過時間計測部7とがそれぞれ出力するデータを併せて記憶しておくことのできる温度履歴記憶部8とを有する。(請求項1〜請求項2)
図2と図3に前記水タンク9の概略構成例を示す。水を貯える容器としての貯水部1の内部に、伝熱部2を構成する6枚の板状の伝熱体2a〜2fを並列的に等間隔で収装してある。各伝熱体2a〜2fは電気ヒータからなり、それぞれ前記伝熱制御部4からの指令出力に応じて発熱する。貯水部1の内壁面にヒータを設けた構成とすることもできる。制御部3は、前記貯水部1内の水の凍結部位に応じて前記複数の伝熱体2a〜2fを選択的に発熱させる。(請求項5、請求項7)
図4は容器10内の水の凍結状態を概略的に示している。図中の11は凍結部分、12は液状部分をそれぞれ示している。水を貯えた容器10を低温下で放置すると、外気によって冷やされることにより、図示したように容器の外周域から凍結が始まる。
本出願人の知見によれば、容器内壁面を氷点下の一定温度に保ったときに、容器内壁面からある距離離れた部分の水が凍結するのに要する時間は、容器内壁面からの距離に比例する。例えば、容器に水を満たして凍結させた場合に、全量凍結するまで、すなわち図4の中央のB点が凍結するまでに約6時間を要したとすると、B点とタンク内壁との中間点のC点が凍結するのは約3時間経過した時である。このことから、容器内壁面をある一定温度に保ったときに全量凍結するのにかかる時間を計測することにより、その温度における単位時間当たりの凍結の進度が分かる。
従って、貯水部1の内壁面の温度を変えて、それぞれの温度における全量凍結の所要時間を計測することにより、各温度での凍結の進度のマップが作成できる。計測の間の温度変化が大きい場合でも、単位時間あたりの平均温度における凍結進度を積算することで正確な凍結部位を知ることができる。貯水部1の内部には伝熱部2があるが、伝熱部2はその仕様上熱伝導および水との熱伝達がしやすい材質で構成するので、伝熱部2の介在による凍結部位判断上の誤差は僅かである。
温度履歴記憶部8は、貯水部1の壁面温度とその壁面温度での時間経過を記憶する。凍結部位判断部5はそのデータに基づき、前述したようにして予め形成された温度毎の時間経過による凍結進度のマップを参照して、貯水部1の内壁面からどれだけの距離まで凍結が進んでいるかを推定することができる。(請求項3)
次に、前述の凍結部位の判断を含む解凍制御の手法について図5に示した流れ図に沿って説明する。図5は制御部3が周期的に実行する解凍制御の処理手順を示している。図5および以下の説明中で符号Sを付して示した数字は処理ステップ番号である。
この処理ではまず前述のようにして温度履歴から凍結部位を判断する(S1)。次いで、前記凍結部位に応じて発熱作動をさせる必要のある伝熱部とその作動時間とを算出する(S2)。
いま、図3のように6個の伝熱体2a〜2fを有する構成の水タンクにおいて凍結が進行して、図6〜図7に示したように貯溜した水の全量が凍結する前に解凍を開始するものとする(図中の11が凍結部)。またこの場合、貯水部1の内壁にも加温手段が設置されているものとする。
このとき、前記S1の凍結部位判断において、外側から2個目の伝熱体2bまたは2gの部分まで凍結していると判断され、これに応じて伝熱制御部4は貯水部1の内壁と、最外側および外側から2個目、つまり伝熱体2a,2b,2g,2fを発熱させる(S3)。伝熱体の壁面温度が一定のとき、解凍に要する時間についても壁面からの距離に比例することから、貯水部1または伝熱部2の表面温度と凍結部位に応じて解凍するのに要する時間も予めにマップとして記憶しておくことができる。そこで前記データに基づき、S2のステップでは凍結部位に応じた要解凍時間を設定しておき、当該時間が経過した時点で順次伝熱体の発熱を終了させるようにする(S4〜S5)。(請求項4)
このようにして、必要な部位のみ伝熱体を発熱させることにより、必要最小限の電力および解凍時間での解凍が可能となる。
次に図8〜図9に示した第2の実施形態について説明する。この実施形態は、水タンク9の伝熱部2を、貯水部1を横断面上で見てその内周壁からの距離が一定となるように環状に形成した複数の伝熱体2a〜2cで構成した点が図5と異なる。図示したように各伝熱体2a〜2cは互いに所定の間隔を保つように同軸的に配置してあり、それぞれを図10に示したように脚部13により貯水部1の底面に支持している。前記脚部13は電気ヒータからなる各伝熱体2a〜2cへの通電用の配線を通す経路にもなっている。(請求項6)
図8における凍結状況で解凍動作を行う場合、まず凍結部位判断部5により、外側から2番目の伝熱体2bの外側までが凍結していると判断される。この結果を受け、伝熱制御部4は、貯水部1の壁面、最外側の伝熱体2a、外側から2番目の伝熱体2bに電力を供給し氷を加温する。
第1の実施形態においては、板状の伝熱体2a〜2fを並列的に配置した構成であるので、図10に示したように全量凍結に近い状態では、中央付近の伝熱体(図6の2c,2d)を使用せずに解凍しようとすると、D部及びD'部のような壁面から離れた位置の氷が解凍されずに残る可能性がある。この対策として中央付近の伝熱体を使用して解凍しようとすると、中央付近の液水を余剰に加温することになりエネルギーの無駄が生じる。
これに対し、本実施形態では伝熱体を環状に形成したので、貯水部1の外壁面に沿って環状に凍結した氷だけを効率的に加温することができ、氷の融け残りやエネルギーの浪費を防止することができる。
図11〜図13は第3の実施形態である。これは加温した流体により貯水部1内の氷を解凍するように構成したものである。(請求項8)
図11または図12に示した水タンク9において、貯水部1の壁部1a,1cと、伝熱部2を構成する板状の伝熱体2a〜2fは中空であり、それぞれの内部が流体の経路を構成している。この実施形態では、前記流体経路に氷を解凍することのできる温度に加温したLLCを選択的に流通させて凍結部位に応じた解凍処理を行う。そのための流体循環装置の構成を図13に示す。
図13において、30はLLCを伝熱部2に循環させる循環流路、31はLLCを貯溜したタンク、32はLLCを圧送するポンプ、33はLLCを電気ヒータ等の加熱源により加熱する熱交換器である。前記ポンプ32と熱交換器33は制御部3からの指令に基づいて解凍時に作動する。
前記熱交換器33よりも下流の流路30は伝熱部2との間で4系統に分岐しており、それぞれの途中に4個の電磁流量制御弁a〜dを介装したバルブ群14が設けられている。各流量制御弁a〜dはそれぞれ制御部3からの指令に基づいてその開度が制御される。第1の流量制御弁aは壁部1a,1bへの、第2の流量制御弁bは最外側の伝熱体2a,2fへの、第3の流量制御弁cは外側から2番目の伝熱体2b,2gへの、第4の流量制御弁dは最内側の伝熱体2c,2dへの流体流量を各々調整する。前述した凍結部位判断部5による凍結部位の判断に基づき、加温が必要な伝熱部への流量が多くなるように前記流量制御弁a〜dの何れかを選択的に作動させることにより、前記各実施形態と同様にして必要な部分の解凍を効率よく行うことができる。
本発明の構成概念を示すブロック図 本発明の貯水部の構成に関する第1の実施形態の横断面図。 図2のA−A断面図。 本発明による解凍手法を説明するための貯水部の概略横断面図。 本発明による解凍制御の手法を示す流れ図。 本発明の貯水部の構成に関する第2の実施形態の横断面図。 図5のA−A断面図。 本発明の貯水部の構成に関する第3の実施形態の横断面図。 図7のA−A断面図。 凍結量が多いときの状態を示す貯水部の横断面図。 本発明の貯水部の構成に関する第4の実施形態の横断面図。 図10のA−A断面図。 第4の実施形態に係る流体循環装置の概略構成図。
符号の説明
1 貯水部
2 伝熱部
2a〜2f 伝熱体
3 制御部
4 伝熱制御部
5 凍結部位判断部
6 温度測定部
7 経過時間測定部
8 温度履歴記憶部
9 水タンク
14 バルブ群
a〜c 電磁流量制御弁
30 循環流路
31 LLCタンク
32 ポンプ
33 熱交換器

Claims (8)

  1. 水を蓄える貯水部と、
    前記貯水部内にて凍結した水を加熱する伝熱部と、
    前記伝熱部の温度を制御する制御部と、を備えた貯水装置において、
    前記伝熱部として複数の伝熱体を設けると共に、
    前記制御部に、前記貯水部内の水の凍結部位を判断する凍結部位判断部と、
    前記判断した凍結部位に基づいて前記複数の伝熱体を選択的に発熱させる伝熱制御部と
    を設けたことを特徴とする貯水装置。
  2. 前記凍結部位判断部は、
    前記貯水部の壁面温度を計測する温度計測部と、
    時間の経過を計測する経過時間計測部と、
    前記計測温度と経過時間との関係を記憶する温度履歴記憶部と、を備え、
    前記温度履歴に基づいて凍結部位を判断するように構成されている請求項1に記載の貯水装置。
  3. 前記凍結部位判断部は、
    前記貯水部の壁面温度と、該壁面からの時間あたりの水の凍結進度との関係を予め記憶したマップを備え、前記記憶した温度履歴に基づいて前記マップを参照することにより貯水部の凍結部位を判断するように構成されている請求項2に記載の貯水装置。
  4. 前記伝熱制御部は、
    前記凍結部位と温度に応じて解凍に要する時間を予め記憶したマップを備え、前記凍結部位の判断結果と温度測定結果に基づいて前記マップを参照することにより前記伝熱部を発熱させる時間を決定するように構成されている請求項1に記載の貯水装置。
  5. 前記伝熱部は、互いに間隙を開けて並列的に配置された複数の伝熱体からなる請求項1に記載の貯水装置。
  6. 前記伝熱部は、前記貯水部の内周壁面からの距離が一定となるように環状に形成された伝熱体からなる請求項1に記載の貯水装置。
  7. 前記伝熱部は、電気的に発熱するヒータを備える請求項1に記載の貯水装置。
  8. 前記伝熱部は、複数の流体経路からなる伝熱体と、前記複数の流体経路に前記制御部からの指令に基づきバルブにより選択的に加温流体を供給する流体循環装置とを備える請求項1に記載の貯水装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010080403A (ja) * 2008-09-29 2010-04-08 Nissan Motor Co Ltd 加熱制御装置

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