JP2004319265A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料電池1の解凍を正確に判断できる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】冷却液との熱交換により温度を調整される燃料電池1と、燃料電池1へ流通する冷却液を加温する加熱手段3を備える。また、燃料電池1の入口の冷却液温度Tiを検出する入口温度検出手段7と、燃料電池1の出口の冷却液温度Toを検出する出口温度検出手段8を備える。少なくとも燃料電池1の凍結時には、加熱手段3により加熱した冷却液を燃料電池1に循環させる。また、入口温度Tiと、出口温度Toに基づき、燃料電池1が解凍されたか否かを判断する。
【選択図】 図1
【解決手段】冷却液との熱交換により温度を調整される燃料電池1と、燃料電池1へ流通する冷却液を加温する加熱手段3を備える。また、燃料電池1の入口の冷却液温度Tiを検出する入口温度検出手段7と、燃料電池1の出口の冷却液温度Toを検出する出口温度検出手段8を備える。少なくとも燃料電池1の凍結時には、加熱手段3により加熱した冷却液を燃料電池1に循環させる。また、入口温度Tiと、出口温度Toに基づき、燃料電池1が解凍されたか否かを判断する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、加熱装置によって加温される冷却液を燃料電池と熱交換させることによって、燃料電池を暖機する起動装置を有する燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池が出力可能な電力は、燃料電池の温度に依存する。特に氷点下時には、電解質膜加湿のための水が凍っていると、発電特性が低下して出力可能な電力は低下する。無理に電力を取り出そうとすると、電解質膜に負担がかかり、劣化することがある。そこで、氷点下から燃料電池を起動する場合には、燃料電池の暖機が必要となる。
【0003】
従来の燃料電池として、始動冷機時の暖機を行うシステムを備えたものが知られている。例えば、燃料電池から吐出された余剰空気に含まれる反応水を回収する貯水タンクに、ヒータを内蔵したものがある。始動冷機時には、バッテリあるいは燃料電池からヒータに電力の供給が行われ、ヒータによって冷却液を加熱することにより燃料電池の暖機を促進している(例えば、特許文献1、参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−94202号公報
【0005】
【発明が解決しようとしている問題点】
上述した従来技術においては、燃料電池の温度を、燃料電池から排出された冷却液の温度に応じて判断している。冷却液温度が規定温度よりも低い場合にはヒータを用いた暖機を継続すると判断する。
【0006】
ここで、冷却液の流量が変化したり、燃料電池の冷却液入口温度が変化したりすると、冷却液温度が燃料電池温度まで低下しない状態で冷却液が排出され、冷却液の燃料電池出口温度が変化する可能性がある。従って、燃料電池が解凍しているか否かを判断するのが困難であるという問題が生じる。
【0007】
そこで本発明は、上記の問題を鑑みて、燃料電池の解凍を正確に判断することができる燃料電池システムを提供することを目的とする。
【0008】
【問題点を解決するための手段】
本発明は、冷却液との熱交換により温度を調整される燃料電池と、前記燃料電池へ流通する冷却液を加温する加熱手段と、を備える。また、前記燃料電池入口の冷却液温度を検出する冷却液入口温度検出手段と、前記燃料電池出口の冷却液温度を検出する冷却液出口温度検出手段と、を備える。少なくとも前記燃料電池の凍結時には、前記加熱手段により加熱した冷却液を前記燃料電池に循環させ、前記燃料電池の冷却液入口温度と、冷却液出口温度に基づき、前記燃料電池が解凍されたか否かを判断する。
【0009】
【作用及び効果】
燃料電池の冷却液入口温度と、冷却液出口温度に基づき、燃料電池が解凍されたか否かを判断するので、燃料電池が解凍されたか否かをより正確に判断することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
第1の実施形態に用いる燃料電池システムおよびその制御の構成を図1に示す。
【0011】
電気化学反応を生じることにより発電を行う燃料電池1を備える。燃料電池1のアノードには、図示しない燃料系より燃料ガスとしての水素ガスを、また燃料電池1のカソードには、図示しない空気系によりに酸化剤ガスとしての空気を供給し、以下に示す電極を進行させることにより発電を行う。
【0012】
【式1】
【0013】
燃料電池1では、発電に伴って熱が生じる。この熱を系外に排出して燃料電池1を適温に維持するために、燃料電池1と熱交換を行う冷却液を循環する冷却系を備える。
【0014】
冷却系には、後述するポンプ制御手段10によって回転数制御がなされ、冷却液を循環させるポンプ2を備える。また、起動時などに冷却液を加熱する加熱手段3を備える。加熱手段3としては、電気ヒータや水素燃焼器などを用いる。さらに、冷却液の有する熱を系外に排出するラジエータ4とラジエータファン5を備える。ラジエータファン5は、ラジエータ4に送る風量を調整するための装置である。また、冷却液を加熱手段3に供給するか、ラジエータ4に供給するかを切り換える三方弁6を備える。
【0015】
起動時には、冷却液を加熱手段3方向に流して、加温された冷却液を燃料電池1に流すことにより燃料電池1を暖機する。燃料電池1の温度が上がってくると、冷却液をラジエータ4の方向に流し、ラジエータ4で冷やされた冷却液により燃料電池1を冷却する。なお、暖機運転を行うか否かは、図示しない制御手段により判断する。例えば、図示しない外気温度検出手段や、後述する入口温度検出手段7、または出口温度検出手段8の出力から、燃料電池1が凍結しているか否を判断する。凍結していると判断されたら、三方弁6を加熱手段3側に設定するとともに、加熱手段3を駆動することにより暖機運転を行う。
【0016】
また、燃料電池1に供給される冷却液の温度(以下、入口温度Ti)を検出する入口温度検出手段7と、燃料電池1から排出された冷却液の温度(以下、出口温度To)を検出する出口温度検出手段8を備える。入口温度検出手段7、出口温度検出手段8としては、サーミスター等を用いる。入口温度検出手段7および出口温度検出手段8の出力は後述するような解凍判断を行う制御系に入力される。
【0017】
次に、上述したような燃料電池システムの制御系について説明する。ここでは、燃料電池1が凍結していると判断された場合に行う解凍判断制御について説明する。
【0018】
ここで、燃料電池1が出力可能な電力は、燃料電池1の温度に依存する。特に氷点下時には、電解質膜加湿のための水が凍っていると、発電特性が低下して出力可能な電力は低下する。無理に電力を取り出そうとすると、電解質膜に負担がかかり、劣化することがある。従って、取り出し電力を温度に応じて制限しなければならない。特に燃料電池1が凍っているときと、凍っていないときとでは、出力可能な電力が大きく変わってくるため、解凍判断が必要となる。なお、ここでは燃料電池1は凍結時には発電を行わず、解凍後に発電を開始する。
【0019】
制御系として、冷却液流量目標生成手段9を備える。ここでは、例えば燃料電池1の出口温度Toに応じて、燃料電池1へ流通させる冷却液流量目標値Lを算出する。また、ポンプ制御手段10を備える。ポンプ制御手段10では、冷却液流量目標生成手段9において設定した冷却液流量目標値Lと、冷却液の出口温度Toに応じてポンプ2の回転数を設定する。
【0020】
図2に、冷却液流量目標生成手段9とポンプ制御手段10の制御ブロックを示す。冷却液流量目標生成手段9に燃料電池1の出口温度Toを入力し、冷却液流量目標値Lを定める。ここでは、図に示すマップ等を予め記憶しておき、これに検出した出口温度Toを入力することにより冷却液流量目標値Lを定める。
【0021】
ここで、低温環境下で起動を行う場合等の冷却液温度が低い時には、冷却液の粘度が高くなり圧力が立ちやすくなる。この場合には、パワープラントの部品を保護するために、圧力が高くならないように冷却液の流量を少なめに調整する。冷却液の温度が上昇するにつれて冷却液の粘度が低くなるので、冷却液の流量を増加させる。つまり、マップに示すように、冷却液の出口温度Toが低いほど冷却液流量目標値Lを小さく設定する。
【0022】
このように設定した冷却液流量目標値Lと燃料電池の出口温度Toをポンプ制御手段10に入力し、これらに応じて、ポンプの回転数を決定する。ここでは、図に示すマップ等を予め記憶しておき、これに検出した出口温度Toと算出した冷却液流量目標値Lを入力することによりポンプ回転数を定める。マップに示すように、同じ冷却液流量を循環させるのに必要なポンプ回転数は、出口温度Toが低いほど大きくなる。また、冷却液流量目標値Lが大きいほど、ポンプ回転数が大きく設定される。
【0023】
さらに、制御系として、解凍判断温度閾値設定手段11を備える。ここでは、入口温度Tiと冷却液流量に応じて、燃料電池1が解凍したか否かを判断する出口温度閾値Totを設定する。ここで、出口温度閾値Totの設定方法を図3を用いて説明する。
【0024】
図3(c)に示すように、燃料電池1の冷却液入口温度Tiと冷却液流量に応じて出口温度閾値Totを設定する。なお、本実施形態では、冷却液流量目標値生成手段9に、流量を検出する冷却液流量検出手段の役目を兼ねさせており、冷却液の流量として冷却液流量目標値Lを用いる。これに替えて、直接に冷却液の流量を検出する冷却液流量検出手段を別途設けても良い。
【0025】
図3(a)に示すように、冷却液流量が大きくなるにつれ、冷却液が燃料電池1の温度まで冷やされきれないで排出されるようになり、出口温度Toが上昇する。よって、冷却液流量が大きくなるほど解凍判断を行う出口温度閾値Totを高い値に設定する。
【0026】
また、図3(b)に示すように、燃料電池1の冷却液入口温度Tiが高くなるほど、冷却液が燃料電池1の温度まで低下するのに時間がかかる。よって、冷却液が燃料電池1の温度まで冷やされないで排出されるようになり、出口温度Toが上昇する。よって、燃料電池1の冷却液の入口温度Tiが高くなるほど解凍判断を行う出口温度閾値Totを高い値に設定する。
【0027】
実験あるいは計算等により、図3(a)、(b)に示すような関係を明らかにしておき、図3(c)に示すようなマップを記憶しておく。制御時には、図3(c)のマップを用いて出口温度閾値Totの設定を行う。
【0028】
さらに、制御系として解凍判断手段12を備える。ここでは、燃料電池1が解凍したか否かの判断を行う。出口温度検出手段8で検出された出口温度Toが、解凍判断温度閾値設定手段11で設定した出口温度閾値Totを超えると、燃料電池1が解凍したと判断する。
【0029】
燃料電池1が解凍すれば出力可能な電力が大きくなる。そこで、図示しない制御手段において、燃料電池1から取り出す電力の制限値を大きな値に設定する。また、発電量が増大することにより自己発熱が増大するので、図示しない制御手段により加熱手段3の駆動を停止して、三方弁6をラジエータ側に切り換える。これにより、通常運転時の温度までの暖機を、燃料電池1の自己発熱により行うように制御する。
【0030】
以上のように、燃料電池1への冷却液流量目標値Lと、燃料電池1の入口温度Tiに応じて解凍判断を行うための出口温度閾値Totを設定する。出口温度敷地Totと出口温度Toを比較することにより解凍判断を行う。ここでは、燃料電池1が解凍したと判断されるまで、サンプル周期毎に上述したような制御を繰り返し行う。
【0031】
なお、本実施形態では、燃料電池1の解凍時には発電を行っていないが、この限りではない。暖機時に弱発電を行う燃料電池1について、図3に示すようなマップを予め求めておくことで、本実施形態と同様の制御を行うことができる。
【0032】
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0033】
冷却液との熱交換により温度を調整される燃料電池1と、燃料電池1へ流通する冷却液を加温する加熱手段3を備える。また、燃料電池1の入口の冷却液温度Tiを検出する入口温度検出手段7と、燃料電池1の出口の冷却液温度Toを検出する出口温度検出手段8を備える。少なくとも燃料電池1の凍結時には、加熱手段3により加熱した冷却液を燃料電池1に循環させる。また、入口温度Tiと、出口温度Toに基づき、燃料電池1が解凍されたか否かを判断する。これにより、冷却液の流量変化や加熱手段3の加熱量変動などによって冷却液の入口温度Tiが変化した場合においても、燃料電池1が解凍したか否かを正確に判断することができる。
【0034】
また、燃料電池1に流れる冷却液の流量を検出する冷却液流量検出手段、ここでは冷却液流量目標値生成手段9を備える。入口温度Tiと出口温度Toと冷却液流量目標値Lに基づき、燃料電池1が解凍されたか否かを判断する。これにより、冷却系の圧損の影響で冷却液の流量が変化した場合や、冷却液の入口温度Tiが変化した場合においても、燃料電池1が解凍したか否かを正確に判断することができる。
【0035】
さらに、冷却液流量目標値Lと入口温度Tiに応じて、解凍されたか否かを判断する出口温度閾値Totを設定する解凍判断温度閾値設定手段11を備える。また、出口温度検出手段8により検出された出口温度Toと、出口温度閾値Totとを比較して、出口温度Toが出口温度閾値Totを超えると、燃料電池1が解凍されたと判断する凍結判断手段12と、を備える。これにより、燃料電池1の温度と出口温度Toの温度差を考慮して出口温度閾値Totを設定することができるので、燃料電池1が解凍したか否かを正確に判断することができる。
【0036】
次に、第2の実施形態について説明する。燃料電池システムおよびその制御の構成を図5に示す。本燃料電池システムにおいては、氷点下起動中にも燃料電池1において弱発電を行うように制御する。以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0037】
燃料電池システムの構成を第1の実施形態と同様とする。以下、燃料電池1が凍結していると判断されたときに行われる解凍判断制御について説明する。
【0038】
解凍判断手段12では、入口温度検出手段7によって検出された入口温度Tiと、出口温度検出手段8によって検出された出口温度Toに応じて凍結判断を行う。ここでは、燃料電池1の出口温度Toが入口温度Tiを超えた時に、燃料電池1が解凍されたと判断する。
【0039】
燃料電池1が凍結している時には、加熱手段3により加温された冷却液が燃料電池1に供給され、燃料電池1内を流通する際に冷却液中の熱が燃料電池1に移動することにより燃料電池1の暖機が行われる。そのため、冷却液の出口温度Toは入口温度Tiよりも低くなる。このときには、冷却液の温度は、燃料電池1の弱発電による発熱よりも凍結部分による冷却の影響をより強く受ける。
【0040】
燃料電池1が解凍されると、燃料電池1の弱発電による発熱により、冷却液の出口温度Toは入口温度Tiよりも高くなる。出口温度Toが入口温度Tiを超えた時に燃料電池1が解凍したと判断する。
【0041】
ここでは、燃料電池1が解凍したと判断されるまで、入口温度Ti、出口温度Toをサンプル周期毎に検出して、解凍判断を行う。または、入口温度Ti、出口温度Toを常にモニタして、出口温度Toが入口温度Tiを超えた時点で、燃料電池1が解凍したと判断してもよい。
【0042】
次に、本実施形態の効果について説明する。以下、第1の実施形態と異なる効果のみを説明する。
【0043】
燃料電池1における発電を冷機状態で始動し、出口温度Toが入口温度Tiを超えた時に、燃料電池1が解凍されたと判断する解凍判断手段12を備える。このように、燃料電池1が解凍されて温度が上昇すると、燃料電池1の発電に伴って生じる発熱により、出口温度Toは冷却液入口温度Tiより高くなる、という現象を利用して、燃料電池1が解凍したことを正確に判断することができる。
【0044】
次に、第3の実施形態について説明する。燃料電池システムおよびその制御の構成を図5に示す。以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0045】
燃料電池システムの構成を第1の実施形態と同様とする。以下、燃料電池1が凍結していると判断されたときに行われる制御について説明する。
【0046】
解凍判断手段12は、解凍必要熱量算出手段13によって算出された燃料電池1を解凍するのに必要な熱量Qnと、投与熱量算出手段14によって算出された燃料電池1の温度上昇に用いられた正味投与熱量Qgetに応じて解凍判断を行う。
【0047】
解凍必要熱量算出手段13では、燃料電池1の起動直後の温度と、容量および比熱から、燃料電池1を解凍するのに必要な熱量である解凍必要熱量Qnを算出する。ここでは、起動直後の燃料電池1の温度を、例えば冷却液の出口温度Toとほぼ同じであると仮定する。つまり、出口温度検出手段8によって検出された出口温度Toと、燃料電池1の容量および比熱から、解凍必要熱量Qnを算出する。なお、起動直後の燃料電池1の温度を起動直後の冷却液の入口温度Ti1とほぼ同じであると仮定して、入口温度Ti1を用いて解凍必要熱量Qnを求めてもよい。起動直後にこの計算を一回行う。
【0048】
解凍必要熱量Qnを求める計算式は次式のようになる。
【0049】
【式2】
【0050】
なお、起動直後の出口温度ToをTo1(<0℃)、凍結している燃料電池1の含有水の容量をVw、氷の比熱をCi、氷が水に変わる相変化に必要な単位質量あたりの熱量をQiw、構成部品の容量をVp、構成部品の比熱をCpとする。
【0051】
投与熱量算出手段14では、冷却液流量目標生成手段9によって生成された冷却液流量目標値Lと、出口温度検出手段8により検出された出口温度To、入口温度検出手段7により検出された入口温度Tiから、冷却液が燃料電池1に与えた投与熱量Qaddを算出する。冷却液が燃料電池1に与えた投与熱量Qaddから、燃料電池1から外部へ逃げる放熱分を差し引いたものを正味投与熱量Qgetとする。サンプル周期毎にこの算出を行う。
【0052】
投与熱量Qaddは、次式により求められる。
【0053】
【式3】
【0054】
なお、冷却液の比熱をC、冷却液の流量をL、燃料電池1の冷却液入出口温度差をΔT(=Ti−To)とする。
【0055】
この熱投与のうちα%の熱量が燃料電池1から外気へ逃げるとする。燃料電池1が確保した正味投与熱量Qgetは、投与熱量Qaddから外気へ逃げる放熱分を差し引くことにより求められる。
【0056】
【式4】
【0057】
なお、断熱材により燃料電池1を囲っている場合等、燃料電池1からの放熱を無視できる場合には、正味投与熱量Qget=投与熱量Qaddとする。
【0058】
このように算出した解凍必要熱量Qnと、正味投与熱量Qgetを解凍判断手段12に入力して解凍判断を行う。解凍判断手段12では、解凍必要熱量Qnと正味投与熱量Qgetとを比較する。正味投与熱量Qgetが解凍必要熱量Qnを超えた時に、燃料電池1が解凍されたと判断する。
【0059】
次に、本実施形態の効果について説明する。以下、第1の実施形態とは異なる効果についてのみ説明する。
【0060】
起動直後に検出された入口温度Ti1あるいは出口温度To1に基づいて、燃料電池1を解凍するのに必要な熱量である解凍必要熱量Qnを算出する解凍必要熱量算出手段13を備える。ここでは、起動開始時に検出された出口温度To1と、燃料電池1の容量と比熱から解凍必要熱量Qnを算出する。また、検出された冷却液流量目標値Lと、入口温度Tiおよび出口温度Toから冷却液が燃料電池1に与えた熱量である正味投与熱量Qget(または投与熱量Qadd)を算出する投与熱量算出手段14を備える。さらに、解凍必要熱量Qnと正味投与熱量Qget(または投与熱量Qadd)を比較して、正味投与熱量Qget(または投与熱量Qadd)が解凍必要熱量Qnを超えると、燃料電池1が解凍された判断する凍結判断手段12と、を備える。従って、冷却液が燃料電池1の温度まで低下する以前に排出されるような場合でも、熱量計算から燃料電池1が解凍したか否かを正確に判断することができる。
【0061】
また、投与熱量算出手段14では、冷却液が燃料電池へ与えた熱量である投与熱量Qaddから燃料電池1の熱が外気へ逃げる放熱分を差し引いた熱量を正味投与熱量Qgetとして算出する。これにより、外気への放熱の影響を受けずに燃料電池1が解凍したか否かを正確に判断することができる。
【0062】
なお、本実施形態では、燃料電池1の凍結時には弱発電を行わないとしたが、この限りではない。弱発電を行う場合には、投与熱量算出手段14において、投与熱量Qaddに燃料電池1の自己発熱量を加算することで、同様の熱量計算を行うことができる。
【0063】
また、第1〜3実施形態において、燃料電池1が凍結している時のみに加熱手段3を駆動する制御について説明したが、この限りではない。解凍後にも、燃料電池1の自己発熱に加えて冷却液による暖機を行ってもよい。例えば、燃料電池1の起動に伴って加熱手段3の駆動を開始する。また、燃料電池1が凍結しているか否かを図示しない制御手段により判断する。燃料電池1が凍結していると判断された場合には、解凍判断を行う。解凍判断手段12において、燃料電池1が解凍したと判断されたら、燃料電池1からの取り出し電力の制限を緩和する。燃料電池1の自己発熱による暖機と、冷却液による暖機とを平行に行って、燃料電池1が所定の温度、例えば通常運転時の温度に達したら加熱手段3の運転を停止して、三方弁6をラジエータ4側に切り換える。これにより、燃料電池1の暖機時間を短縮することができる。
【0064】
このように、本発明は、上記実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術思想の範囲内で様々な変更が為し得ることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に用いる燃料電池システムおよび制御の構成図である。
【図2】第1の実施形態に用いるポンプの回転数制御のブロック図である。
【図3】第1の実施形態に用いる凍結判断のブロック図である。
【図4】第2の実施形態に用いる燃料電池システムおよび制御の構成図である。
【図5】第3の実施形態に用いる燃料電池システムおよび制御の構成図である。
【符号の説明】
1 燃料電池
3 加熱手段
7 入口温度検出手段(冷却液入口温度検出手段)
8 出口温度検出手段(冷却液出口温度検出手段)
9 冷却液流量目標生成手段(冷却液流量検出手段)
11 解凍判断温度閾値設定手段(解凍判断閾値設定手段)
12 解凍判断手段
13 解凍必要熱量算出手段
14 投与熱量算出手段
【産業上の利用分野】
本発明は、加熱装置によって加温される冷却液を燃料電池と熱交換させることによって、燃料電池を暖機する起動装置を有する燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池が出力可能な電力は、燃料電池の温度に依存する。特に氷点下時には、電解質膜加湿のための水が凍っていると、発電特性が低下して出力可能な電力は低下する。無理に電力を取り出そうとすると、電解質膜に負担がかかり、劣化することがある。そこで、氷点下から燃料電池を起動する場合には、燃料電池の暖機が必要となる。
【0003】
従来の燃料電池として、始動冷機時の暖機を行うシステムを備えたものが知られている。例えば、燃料電池から吐出された余剰空気に含まれる反応水を回収する貯水タンクに、ヒータを内蔵したものがある。始動冷機時には、バッテリあるいは燃料電池からヒータに電力の供給が行われ、ヒータによって冷却液を加熱することにより燃料電池の暖機を促進している(例えば、特許文献1、参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−94202号公報
【0005】
【発明が解決しようとしている問題点】
上述した従来技術においては、燃料電池の温度を、燃料電池から排出された冷却液の温度に応じて判断している。冷却液温度が規定温度よりも低い場合にはヒータを用いた暖機を継続すると判断する。
【0006】
ここで、冷却液の流量が変化したり、燃料電池の冷却液入口温度が変化したりすると、冷却液温度が燃料電池温度まで低下しない状態で冷却液が排出され、冷却液の燃料電池出口温度が変化する可能性がある。従って、燃料電池が解凍しているか否かを判断するのが困難であるという問題が生じる。
【0007】
そこで本発明は、上記の問題を鑑みて、燃料電池の解凍を正確に判断することができる燃料電池システムを提供することを目的とする。
【0008】
【問題点を解決するための手段】
本発明は、冷却液との熱交換により温度を調整される燃料電池と、前記燃料電池へ流通する冷却液を加温する加熱手段と、を備える。また、前記燃料電池入口の冷却液温度を検出する冷却液入口温度検出手段と、前記燃料電池出口の冷却液温度を検出する冷却液出口温度検出手段と、を備える。少なくとも前記燃料電池の凍結時には、前記加熱手段により加熱した冷却液を前記燃料電池に循環させ、前記燃料電池の冷却液入口温度と、冷却液出口温度に基づき、前記燃料電池が解凍されたか否かを判断する。
【0009】
【作用及び効果】
燃料電池の冷却液入口温度と、冷却液出口温度に基づき、燃料電池が解凍されたか否かを判断するので、燃料電池が解凍されたか否かをより正確に判断することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
第1の実施形態に用いる燃料電池システムおよびその制御の構成を図1に示す。
【0011】
電気化学反応を生じることにより発電を行う燃料電池1を備える。燃料電池1のアノードには、図示しない燃料系より燃料ガスとしての水素ガスを、また燃料電池1のカソードには、図示しない空気系によりに酸化剤ガスとしての空気を供給し、以下に示す電極を進行させることにより発電を行う。
【0012】
【式1】
【0013】
燃料電池1では、発電に伴って熱が生じる。この熱を系外に排出して燃料電池1を適温に維持するために、燃料電池1と熱交換を行う冷却液を循環する冷却系を備える。
【0014】
冷却系には、後述するポンプ制御手段10によって回転数制御がなされ、冷却液を循環させるポンプ2を備える。また、起動時などに冷却液を加熱する加熱手段3を備える。加熱手段3としては、電気ヒータや水素燃焼器などを用いる。さらに、冷却液の有する熱を系外に排出するラジエータ4とラジエータファン5を備える。ラジエータファン5は、ラジエータ4に送る風量を調整するための装置である。また、冷却液を加熱手段3に供給するか、ラジエータ4に供給するかを切り換える三方弁6を備える。
【0015】
起動時には、冷却液を加熱手段3方向に流して、加温された冷却液を燃料電池1に流すことにより燃料電池1を暖機する。燃料電池1の温度が上がってくると、冷却液をラジエータ4の方向に流し、ラジエータ4で冷やされた冷却液により燃料電池1を冷却する。なお、暖機運転を行うか否かは、図示しない制御手段により判断する。例えば、図示しない外気温度検出手段や、後述する入口温度検出手段7、または出口温度検出手段8の出力から、燃料電池1が凍結しているか否を判断する。凍結していると判断されたら、三方弁6を加熱手段3側に設定するとともに、加熱手段3を駆動することにより暖機運転を行う。
【0016】
また、燃料電池1に供給される冷却液の温度(以下、入口温度Ti)を検出する入口温度検出手段7と、燃料電池1から排出された冷却液の温度(以下、出口温度To)を検出する出口温度検出手段8を備える。入口温度検出手段7、出口温度検出手段8としては、サーミスター等を用いる。入口温度検出手段7および出口温度検出手段8の出力は後述するような解凍判断を行う制御系に入力される。
【0017】
次に、上述したような燃料電池システムの制御系について説明する。ここでは、燃料電池1が凍結していると判断された場合に行う解凍判断制御について説明する。
【0018】
ここで、燃料電池1が出力可能な電力は、燃料電池1の温度に依存する。特に氷点下時には、電解質膜加湿のための水が凍っていると、発電特性が低下して出力可能な電力は低下する。無理に電力を取り出そうとすると、電解質膜に負担がかかり、劣化することがある。従って、取り出し電力を温度に応じて制限しなければならない。特に燃料電池1が凍っているときと、凍っていないときとでは、出力可能な電力が大きく変わってくるため、解凍判断が必要となる。なお、ここでは燃料電池1は凍結時には発電を行わず、解凍後に発電を開始する。
【0019】
制御系として、冷却液流量目標生成手段9を備える。ここでは、例えば燃料電池1の出口温度Toに応じて、燃料電池1へ流通させる冷却液流量目標値Lを算出する。また、ポンプ制御手段10を備える。ポンプ制御手段10では、冷却液流量目標生成手段9において設定した冷却液流量目標値Lと、冷却液の出口温度Toに応じてポンプ2の回転数を設定する。
【0020】
図2に、冷却液流量目標生成手段9とポンプ制御手段10の制御ブロックを示す。冷却液流量目標生成手段9に燃料電池1の出口温度Toを入力し、冷却液流量目標値Lを定める。ここでは、図に示すマップ等を予め記憶しておき、これに検出した出口温度Toを入力することにより冷却液流量目標値Lを定める。
【0021】
ここで、低温環境下で起動を行う場合等の冷却液温度が低い時には、冷却液の粘度が高くなり圧力が立ちやすくなる。この場合には、パワープラントの部品を保護するために、圧力が高くならないように冷却液の流量を少なめに調整する。冷却液の温度が上昇するにつれて冷却液の粘度が低くなるので、冷却液の流量を増加させる。つまり、マップに示すように、冷却液の出口温度Toが低いほど冷却液流量目標値Lを小さく設定する。
【0022】
このように設定した冷却液流量目標値Lと燃料電池の出口温度Toをポンプ制御手段10に入力し、これらに応じて、ポンプの回転数を決定する。ここでは、図に示すマップ等を予め記憶しておき、これに検出した出口温度Toと算出した冷却液流量目標値Lを入力することによりポンプ回転数を定める。マップに示すように、同じ冷却液流量を循環させるのに必要なポンプ回転数は、出口温度Toが低いほど大きくなる。また、冷却液流量目標値Lが大きいほど、ポンプ回転数が大きく設定される。
【0023】
さらに、制御系として、解凍判断温度閾値設定手段11を備える。ここでは、入口温度Tiと冷却液流量に応じて、燃料電池1が解凍したか否かを判断する出口温度閾値Totを設定する。ここで、出口温度閾値Totの設定方法を図3を用いて説明する。
【0024】
図3(c)に示すように、燃料電池1の冷却液入口温度Tiと冷却液流量に応じて出口温度閾値Totを設定する。なお、本実施形態では、冷却液流量目標値生成手段9に、流量を検出する冷却液流量検出手段の役目を兼ねさせており、冷却液の流量として冷却液流量目標値Lを用いる。これに替えて、直接に冷却液の流量を検出する冷却液流量検出手段を別途設けても良い。
【0025】
図3(a)に示すように、冷却液流量が大きくなるにつれ、冷却液が燃料電池1の温度まで冷やされきれないで排出されるようになり、出口温度Toが上昇する。よって、冷却液流量が大きくなるほど解凍判断を行う出口温度閾値Totを高い値に設定する。
【0026】
また、図3(b)に示すように、燃料電池1の冷却液入口温度Tiが高くなるほど、冷却液が燃料電池1の温度まで低下するのに時間がかかる。よって、冷却液が燃料電池1の温度まで冷やされないで排出されるようになり、出口温度Toが上昇する。よって、燃料電池1の冷却液の入口温度Tiが高くなるほど解凍判断を行う出口温度閾値Totを高い値に設定する。
【0027】
実験あるいは計算等により、図3(a)、(b)に示すような関係を明らかにしておき、図3(c)に示すようなマップを記憶しておく。制御時には、図3(c)のマップを用いて出口温度閾値Totの設定を行う。
【0028】
さらに、制御系として解凍判断手段12を備える。ここでは、燃料電池1が解凍したか否かの判断を行う。出口温度検出手段8で検出された出口温度Toが、解凍判断温度閾値設定手段11で設定した出口温度閾値Totを超えると、燃料電池1が解凍したと判断する。
【0029】
燃料電池1が解凍すれば出力可能な電力が大きくなる。そこで、図示しない制御手段において、燃料電池1から取り出す電力の制限値を大きな値に設定する。また、発電量が増大することにより自己発熱が増大するので、図示しない制御手段により加熱手段3の駆動を停止して、三方弁6をラジエータ側に切り換える。これにより、通常運転時の温度までの暖機を、燃料電池1の自己発熱により行うように制御する。
【0030】
以上のように、燃料電池1への冷却液流量目標値Lと、燃料電池1の入口温度Tiに応じて解凍判断を行うための出口温度閾値Totを設定する。出口温度敷地Totと出口温度Toを比較することにより解凍判断を行う。ここでは、燃料電池1が解凍したと判断されるまで、サンプル周期毎に上述したような制御を繰り返し行う。
【0031】
なお、本実施形態では、燃料電池1の解凍時には発電を行っていないが、この限りではない。暖機時に弱発電を行う燃料電池1について、図3に示すようなマップを予め求めておくことで、本実施形態と同様の制御を行うことができる。
【0032】
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0033】
冷却液との熱交換により温度を調整される燃料電池1と、燃料電池1へ流通する冷却液を加温する加熱手段3を備える。また、燃料電池1の入口の冷却液温度Tiを検出する入口温度検出手段7と、燃料電池1の出口の冷却液温度Toを検出する出口温度検出手段8を備える。少なくとも燃料電池1の凍結時には、加熱手段3により加熱した冷却液を燃料電池1に循環させる。また、入口温度Tiと、出口温度Toに基づき、燃料電池1が解凍されたか否かを判断する。これにより、冷却液の流量変化や加熱手段3の加熱量変動などによって冷却液の入口温度Tiが変化した場合においても、燃料電池1が解凍したか否かを正確に判断することができる。
【0034】
また、燃料電池1に流れる冷却液の流量を検出する冷却液流量検出手段、ここでは冷却液流量目標値生成手段9を備える。入口温度Tiと出口温度Toと冷却液流量目標値Lに基づき、燃料電池1が解凍されたか否かを判断する。これにより、冷却系の圧損の影響で冷却液の流量が変化した場合や、冷却液の入口温度Tiが変化した場合においても、燃料電池1が解凍したか否かを正確に判断することができる。
【0035】
さらに、冷却液流量目標値Lと入口温度Tiに応じて、解凍されたか否かを判断する出口温度閾値Totを設定する解凍判断温度閾値設定手段11を備える。また、出口温度検出手段8により検出された出口温度Toと、出口温度閾値Totとを比較して、出口温度Toが出口温度閾値Totを超えると、燃料電池1が解凍されたと判断する凍結判断手段12と、を備える。これにより、燃料電池1の温度と出口温度Toの温度差を考慮して出口温度閾値Totを設定することができるので、燃料電池1が解凍したか否かを正確に判断することができる。
【0036】
次に、第2の実施形態について説明する。燃料電池システムおよびその制御の構成を図5に示す。本燃料電池システムにおいては、氷点下起動中にも燃料電池1において弱発電を行うように制御する。以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0037】
燃料電池システムの構成を第1の実施形態と同様とする。以下、燃料電池1が凍結していると判断されたときに行われる解凍判断制御について説明する。
【0038】
解凍判断手段12では、入口温度検出手段7によって検出された入口温度Tiと、出口温度検出手段8によって検出された出口温度Toに応じて凍結判断を行う。ここでは、燃料電池1の出口温度Toが入口温度Tiを超えた時に、燃料電池1が解凍されたと判断する。
【0039】
燃料電池1が凍結している時には、加熱手段3により加温された冷却液が燃料電池1に供給され、燃料電池1内を流通する際に冷却液中の熱が燃料電池1に移動することにより燃料電池1の暖機が行われる。そのため、冷却液の出口温度Toは入口温度Tiよりも低くなる。このときには、冷却液の温度は、燃料電池1の弱発電による発熱よりも凍結部分による冷却の影響をより強く受ける。
【0040】
燃料電池1が解凍されると、燃料電池1の弱発電による発熱により、冷却液の出口温度Toは入口温度Tiよりも高くなる。出口温度Toが入口温度Tiを超えた時に燃料電池1が解凍したと判断する。
【0041】
ここでは、燃料電池1が解凍したと判断されるまで、入口温度Ti、出口温度Toをサンプル周期毎に検出して、解凍判断を行う。または、入口温度Ti、出口温度Toを常にモニタして、出口温度Toが入口温度Tiを超えた時点で、燃料電池1が解凍したと判断してもよい。
【0042】
次に、本実施形態の効果について説明する。以下、第1の実施形態と異なる効果のみを説明する。
【0043】
燃料電池1における発電を冷機状態で始動し、出口温度Toが入口温度Tiを超えた時に、燃料電池1が解凍されたと判断する解凍判断手段12を備える。このように、燃料電池1が解凍されて温度が上昇すると、燃料電池1の発電に伴って生じる発熱により、出口温度Toは冷却液入口温度Tiより高くなる、という現象を利用して、燃料電池1が解凍したことを正確に判断することができる。
【0044】
次に、第3の実施形態について説明する。燃料電池システムおよびその制御の構成を図5に示す。以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0045】
燃料電池システムの構成を第1の実施形態と同様とする。以下、燃料電池1が凍結していると判断されたときに行われる制御について説明する。
【0046】
解凍判断手段12は、解凍必要熱量算出手段13によって算出された燃料電池1を解凍するのに必要な熱量Qnと、投与熱量算出手段14によって算出された燃料電池1の温度上昇に用いられた正味投与熱量Qgetに応じて解凍判断を行う。
【0047】
解凍必要熱量算出手段13では、燃料電池1の起動直後の温度と、容量および比熱から、燃料電池1を解凍するのに必要な熱量である解凍必要熱量Qnを算出する。ここでは、起動直後の燃料電池1の温度を、例えば冷却液の出口温度Toとほぼ同じであると仮定する。つまり、出口温度検出手段8によって検出された出口温度Toと、燃料電池1の容量および比熱から、解凍必要熱量Qnを算出する。なお、起動直後の燃料電池1の温度を起動直後の冷却液の入口温度Ti1とほぼ同じであると仮定して、入口温度Ti1を用いて解凍必要熱量Qnを求めてもよい。起動直後にこの計算を一回行う。
【0048】
解凍必要熱量Qnを求める計算式は次式のようになる。
【0049】
【式2】
【0050】
なお、起動直後の出口温度ToをTo1(<0℃)、凍結している燃料電池1の含有水の容量をVw、氷の比熱をCi、氷が水に変わる相変化に必要な単位質量あたりの熱量をQiw、構成部品の容量をVp、構成部品の比熱をCpとする。
【0051】
投与熱量算出手段14では、冷却液流量目標生成手段9によって生成された冷却液流量目標値Lと、出口温度検出手段8により検出された出口温度To、入口温度検出手段7により検出された入口温度Tiから、冷却液が燃料電池1に与えた投与熱量Qaddを算出する。冷却液が燃料電池1に与えた投与熱量Qaddから、燃料電池1から外部へ逃げる放熱分を差し引いたものを正味投与熱量Qgetとする。サンプル周期毎にこの算出を行う。
【0052】
投与熱量Qaddは、次式により求められる。
【0053】
【式3】
【0054】
なお、冷却液の比熱をC、冷却液の流量をL、燃料電池1の冷却液入出口温度差をΔT(=Ti−To)とする。
【0055】
この熱投与のうちα%の熱量が燃料電池1から外気へ逃げるとする。燃料電池1が確保した正味投与熱量Qgetは、投与熱量Qaddから外気へ逃げる放熱分を差し引くことにより求められる。
【0056】
【式4】
【0057】
なお、断熱材により燃料電池1を囲っている場合等、燃料電池1からの放熱を無視できる場合には、正味投与熱量Qget=投与熱量Qaddとする。
【0058】
このように算出した解凍必要熱量Qnと、正味投与熱量Qgetを解凍判断手段12に入力して解凍判断を行う。解凍判断手段12では、解凍必要熱量Qnと正味投与熱量Qgetとを比較する。正味投与熱量Qgetが解凍必要熱量Qnを超えた時に、燃料電池1が解凍されたと判断する。
【0059】
次に、本実施形態の効果について説明する。以下、第1の実施形態とは異なる効果についてのみ説明する。
【0060】
起動直後に検出された入口温度Ti1あるいは出口温度To1に基づいて、燃料電池1を解凍するのに必要な熱量である解凍必要熱量Qnを算出する解凍必要熱量算出手段13を備える。ここでは、起動開始時に検出された出口温度To1と、燃料電池1の容量と比熱から解凍必要熱量Qnを算出する。また、検出された冷却液流量目標値Lと、入口温度Tiおよび出口温度Toから冷却液が燃料電池1に与えた熱量である正味投与熱量Qget(または投与熱量Qadd)を算出する投与熱量算出手段14を備える。さらに、解凍必要熱量Qnと正味投与熱量Qget(または投与熱量Qadd)を比較して、正味投与熱量Qget(または投与熱量Qadd)が解凍必要熱量Qnを超えると、燃料電池1が解凍された判断する凍結判断手段12と、を備える。従って、冷却液が燃料電池1の温度まで低下する以前に排出されるような場合でも、熱量計算から燃料電池1が解凍したか否かを正確に判断することができる。
【0061】
また、投与熱量算出手段14では、冷却液が燃料電池へ与えた熱量である投与熱量Qaddから燃料電池1の熱が外気へ逃げる放熱分を差し引いた熱量を正味投与熱量Qgetとして算出する。これにより、外気への放熱の影響を受けずに燃料電池1が解凍したか否かを正確に判断することができる。
【0062】
なお、本実施形態では、燃料電池1の凍結時には弱発電を行わないとしたが、この限りではない。弱発電を行う場合には、投与熱量算出手段14において、投与熱量Qaddに燃料電池1の自己発熱量を加算することで、同様の熱量計算を行うことができる。
【0063】
また、第1〜3実施形態において、燃料電池1が凍結している時のみに加熱手段3を駆動する制御について説明したが、この限りではない。解凍後にも、燃料電池1の自己発熱に加えて冷却液による暖機を行ってもよい。例えば、燃料電池1の起動に伴って加熱手段3の駆動を開始する。また、燃料電池1が凍結しているか否かを図示しない制御手段により判断する。燃料電池1が凍結していると判断された場合には、解凍判断を行う。解凍判断手段12において、燃料電池1が解凍したと判断されたら、燃料電池1からの取り出し電力の制限を緩和する。燃料電池1の自己発熱による暖機と、冷却液による暖機とを平行に行って、燃料電池1が所定の温度、例えば通常運転時の温度に達したら加熱手段3の運転を停止して、三方弁6をラジエータ4側に切り換える。これにより、燃料電池1の暖機時間を短縮することができる。
【0064】
このように、本発明は、上記実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術思想の範囲内で様々な変更が為し得ることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に用いる燃料電池システムおよび制御の構成図である。
【図2】第1の実施形態に用いるポンプの回転数制御のブロック図である。
【図3】第1の実施形態に用いる凍結判断のブロック図である。
【図4】第2の実施形態に用いる燃料電池システムおよび制御の構成図である。
【図5】第3の実施形態に用いる燃料電池システムおよび制御の構成図である。
【符号の説明】
1 燃料電池
3 加熱手段
7 入口温度検出手段(冷却液入口温度検出手段)
8 出口温度検出手段(冷却液出口温度検出手段)
9 冷却液流量目標生成手段(冷却液流量検出手段)
11 解凍判断温度閾値設定手段(解凍判断閾値設定手段)
12 解凍判断手段
13 解凍必要熱量算出手段
14 投与熱量算出手段
Claims (6)
- 冷却液との熱交換により温度を調整される燃料電池と、
前記燃料電池へ流通する冷却液を加温する加熱手段と、
前記燃料電池入口の冷却液温度を検出する冷却液入口温度検出手段と、
前記燃料電池出口の冷却液温度を検出する冷却液出口温度検出手段と、を備え、
少なくとも前記燃料電池の凍結時には、前記加熱手段により加熱した冷却液を前記燃料電池に循環させ、
前記燃料電池の冷却液入口温度と、冷却液出口温度に基づき、前記燃料電池が解凍されたか否かを判断することを特徴とする燃料電池システム。 - 前記燃料電池に流れる冷却液の流量を検出する冷却液流量検出手段を備え、
前記燃料電池の冷却液入口温度と冷却液出口温度と冷却液流量に基づき、前記燃料電池が解凍されたか否かを判断する請求項1に記載の燃料電池システム。 - 前記冷却液流量と前記冷却液入口温度に応じて、解凍されたか否かを判断する燃料電池出口冷却液閾値を設定する解凍判断閾値設定手段と、
前記冷却液出口温度検出手段により検出された冷却液出口温度と、前記燃料電池出口冷却液閾値とを比較して、前記冷却液出口温度が前記燃料電池出口冷却液閾値を超えると、前記燃料電池が解凍されたと判断する前記凍結判断手段と、を備える請求項2に記載の燃料電池システム。 - 起動直後に検出された前記冷却液入口温度あるいは冷却液出口温度に基づいて、前記燃料電池を解凍するのに必要な熱量である解凍必要熱量を算出する解凍必要熱量算出手段と、
検出された冷却液流量と、前記冷却液入口温度および冷却液出口温度から冷却液が前記燃料電池に与えた熱量である投与熱量を算出する投与熱量算出手段と、
前記解凍必要熱量と前記投与熱量を比較して、前記投与熱量が前記解凍必要熱量を超えると、前記燃料電池が解凍された判断する凍結判断手段と、を備える請求項1に記載の燃料電池システム。 - 前記投与熱量算出手段では、冷却液が前記燃料電池へ与えた熱量から前記燃料電池の熱が外気へ逃げる放熱分を差し引いた熱量を前記投与熱量として算出する請求項4に記載の燃料電池システム。
- 前記燃料電池における発電を冷機状態で始動し、
前記冷却液出口温度が前記冷却液入口温度を超えた時に、燃料電池が解凍されたと判断する前記解凍判断手段を備える請求項1に記載の燃料電池システム。
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