以下、本発明における実施形態について図面を用いながら詳細に説明する。図1に示すように、本実施形態の給湯システム1は、発熱体2及び貯湯ユニット3を主な構成要素として備える。
発熱体2は、熱を発する源となるものであり、本実施形態では燃料電池とされる。この燃料電池としては、例えば、固体高分子形燃料電池(PEFC, Polymer Electrolyte Fuel Cell)、固体酸化物形燃料電池(SOFC, Solid Oxide Fuel Cell)、りん酸形燃料電池(PAFC, Phosphoric Acid Fuel Cell)、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC, Molten CPTbonate Fuel Cell)などがある。なお、燃料電池に代えて、発電用ガスタービンエンジン、発電用ガスエンジン又は発電用ディーゼルエンジンなどのエンジンが適用されても良く、太陽熱パネルなどが適用されても良い。
貯湯ユニット3は、貯湯タンク120及び熱源器130を有する。貯湯タンク120は、例えば70リットルの貯蔵容量を有するタンクである。この貯湯タンク120の下部と発熱体2とは管路121により連結され、貯湯タンク120の上部と発熱体2とは管路122により連結され、該管路121の所定部位には冷却用循環ポンプ123が設けられている。
冷却用循環ポンプ123は、貯湯タンク120に貯蔵される水を管路121を介して発熱体2に送り出し、該発熱体2が発する熱により温められる温水を管路122を介して貯湯タンク120に供給する。貯湯タンク120内で冷えた水は貯湯タンク120の下部に集まるため、該貯湯タンク120では、上部側の温水層と下部側の冷水層とこれら層間の境界層との温度成層が形成される。
このように貯湯ユニット3は、貯湯タンク120内で形成される温度成層にしたがって、発熱体2に対する冷却水を貯湯タンク120の下部から送り、該発熱体2で温められた温水を貯湯タンク120の上部に戻すようになっている。したがって、発熱体2に対する冷却水を貯湯タンク120の下部から送らない場合、又は、該発熱体2で温められた温水を貯湯タンク120の上部に戻さない場合に比べて、効率良く発熱体2が冷却される。
本実施形態の場合、貯湯タンク120における上部の外側面の周りには、該貯湯タンク120の一部分との間で熱交換する熱交換部125が設けられている。この熱交換部125は、筺体126、管路127、潜熱蓄熱剤128及び温度センサ129を含む構成とされる。
筺体126は、貯湯タンク120における上部の外側面を囲う部材であり、管路127及び潜熱蓄熱剤128を収納可能な空間を有する。この筺体126の所定部位には、該筺体126の内部と外部とを連通する入力側開口及び出力側開口が穿設される。
管路127は、筺体126内における貯湯タンク120の外周面の周りに巻回されており、その管路127の一端は筺体126の入力側開口に隙間なく接続され、管路127の他端は筺体126の出力側開口に隙間なく接続される。
潜熱蓄熱剤128は、貯湯タンク120の熱を吸収して固体から液体に相転移する蓄熱材である。この潜熱蓄熱剤128は、筺体126内に充填されることで、該筺体126内における貯湯タンク120の外周面と管路127の外周面との間を埋めるように配置される。
なお、潜熱蓄熱剤128としては、貯湯タンク120の熱を蓄熱するものである限り特に限定されないが、発熱体2から貯湯タンク120の上部に戻される水の温度に応じて潜熱蓄熱剤128の種類を変更することが好ましい。例えば、発熱体2がPEFCである場合、該発熱体2から貯湯タンク120の上部に戻される水の温度がおおむね65℃となる。この場合、潜熱蓄熱剤128としては、融点温度が58℃のNaCH3COO・3H2Oなどが挙げられる。潜熱蓄熱剤128がNaCH3COO・3H2Oとされた場合、該潜熱蓄熱剤128が水とされる場合に比べて、貯湯タンク120における熱の蓄熱量はおよそ60倍となる。また、発熱体2がSOFCである場合、該発熱体2から貯湯タンク120の上部に戻される水の温度がおおむね85℃となる。この場合、潜熱蓄熱剤128としては、融点温度が78℃のBa(OH)3・8H2Oなどが挙げられる。潜熱蓄熱剤128がBa(OH)3・8H2Oとされた場合、該潜熱蓄熱剤128が水とされる場合に比べて、貯湯タンク120における熱の蓄熱量はおよそ70倍となる。
温度センサ129は、筺体126に囲まれる貯湯タンク120の側壁部位の外表面に配置されており、該側壁部位上の温度を測定する。なお、この温度センサ129として、例えばサーミスタが適用される。
熱源器130は、暖房機10(10a〜10c)で室内等を温める暖房機能と、浴槽27に湯水を供給する湯張り機能と、該浴槽27に貯留する水を沸かし直す追い焚き機能と、図示しない水栓などに湯水を供給する給湯機能とを備える。
熱源器130と、該熱源器130の外部に設けられる暖房機10(10a〜10c)とは循環通路(以下、暖房用循環通路という)5を通じて接続される。暖房用循環通路5は、熱源器130のケース42内部に設けられた管路89〜99と、該ケース42外部に設けられた管路40,41,44,45,59とを有する。
管路40は管路97に接続され、管路41,44は合流部11と管路59とを介して管路95に接続され、管路45は熱動弁37を介して管路90に接続される。管路40,41には暖房機10aの内部通路51が接続され、管路44,45には暖房機10b,10cの内部通路52がそれぞれ接続される。暖房機10b,10cは例えば温水マット等の低温用の暖房機であり、暖房機10aは例えば浴室暖房機等の高温用の暖房機である。暖房機10aには熱動弁12が設けられ、暖房機10b,10cには熱動弁39が接続される。なお、熱動弁39には、必要に応じ、図1に示している他にも暖房機を接続することができる。
暖房用循環通路5には、該暖房用循環通路5に熱媒体を循環させる循環ポンプ6と、該循環ポンプ6の駆動により循環する熱媒体を加熱する暖房用熱交換器28が設けられている。本実施形態では、暖房用熱交換器28として、バーナ16で加熱された空気から顕熱を主に回収して熱媒体を加熱する顕熱熱交換器28bと、該顕熱熱交換器28bでの加熱により生じる排気の潜熱を主に回収して熱媒体を加熱する潜熱熱交換器28aとが設けられている。また、本実施形態では熱媒体は水とされる。
潜熱熱交換器28aにおける熱媒体の導入側には管路95が接続され、該熱媒体の導出側には管路94が接続され、顕熱熱交換器28bにおける熱媒体の導入側には管路91が接続され、該熱媒体の導出側には管路92が接続される。管路92には、顕熱熱交換器28bから出る熱媒体の温度を検出する暖房高温サーミスタ33が設けられている。
管路91は、循環ポンプ6の吐出側に管路90と共に接続されており、該管路91には、顕熱熱交換器28bに導入される熱媒体の温度を検出する暖房低温サーミスタ36が設けられている。また、循環ポンプ6の吸入口側には管路93が接続されており、該管路93と管路94との間にはシスターン装置100が介設されている。シスターン装置100のタンクの容量は例えば1〜1.8リットルであり、該シスターン装置100は大気導入通路53を介して外気と連通される。
暖房用熱交換器28の潜熱熱交換器28a及び顕熱熱交換器28bはそれぞれ燃焼室24内に設けられ、該暖房用熱交換器28の他に、暖房用熱交換器28を加熱するバーナ16と、該バーナ16の燃焼の給排気を行う燃焼ファン18とが燃焼室24内に設けられている。
燃焼室24には燃焼室25が連通され、燃焼室25内にはバーナ17と、該バーナ17により加熱される給湯用熱交換器29と、該バーナ17の燃焼の給排気を行う燃焼ファン19とが設けられている。本実施形態では、給湯用熱交換器29として、バーナ17で加熱された空気から顕熱を主に回収して熱媒体を加熱する顕熱熱交換器29bと、該顕熱熱交換器29bでの加熱により生じる排気の潜熱を主に回収して熱媒体を加熱する潜熱熱交換器29aとが設けられている。
潜熱熱交換器28a,29aの下方には、顕熱熱交換器28b,29bでの加熱により生じる排気の潜熱を回収することに起因して生じる凝縮水を受け止めて回収するための受け皿72が設けられ、該受け皿72はドレン排出通路75を介して中和器76と接続される。中和器76はドレン排出通路77を介して貯湯ユニット3の外部と連通しており、該中和器76にて中和された凝縮水が排出される。
バーナ16,17にはそれぞれのバーナ16,17燃料を供給するガス管31,32が接続される。これらガス管31,32はガス管30から分岐形成されており、該ガス管30にはガス開閉弁80が介設されている。また、ガス管31にはガス比例弁86とガス開閉弁81,82とが介設され、ガス管32にはガス比例弁87とガス開閉弁83〜85とが介設されている。これら弁80〜87はいずれも電磁弁により形成される。ガス開閉弁80〜85は、対応するバーナ16,17への燃料供給・停止し、ガス比例弁87は、対応するバーナ16,17に供給されるべき燃料量を開弁量により制御可能とされる。
給湯用熱交換器29における潜熱熱交換器29aの入口側には給水導入通路88が設けられている。この給水導入通路88は、接続通路57と補給水電磁弁46を介してシスターン装置100に接続され、暖房用循環通路5に接続されている。また、給水導入通路88は、管路61を介して混合弁62の出力端に接続される。混合弁62の一方の入力端には補給水通路63を介して貯湯タンク120の下部に接続され、該混合弁62の他方の入力端には補給湯水通路64を介して貯湯タンク120の上部に接続される。貯湯タンク120から補給湯水通路64を介して供給される湯水と補給水通路63を介して供給される冷水とは混合され、該混合水は管路61及び給水導入通路88を順次介して給湯用熱交換器29に流れる。したがって、給湯用熱交換器29は、給水導入通路88から供給される水だけを加熱する場合に比べ短時間で所定温度にまで加熱することができる。
給湯用熱交換器29における顕熱熱交換器29bの出口側には給湯通路26が設けられており、該給湯通路26には熱源器130の外部に設けられる図示しない水栓が接続される。また、給湯通路26には分岐通路70と湯水経路切替弁58を介して給水導入通路88が接続される。この分岐通路70の分岐部よりも下流側の給湯通路26には出湯湯温検出センサ113が設けられ、該分岐通路70の分岐部よりも給湯用熱交換器29側の給湯通路26には出湯湯温検出センサ114が設けられている。
熱源器130と、該熱源器130の外部に設けられる浴槽27とは追い焚き循環通路13を通じて接続される。追い焚き循環通路13は往管14と戻り管15とを有し、熱交換器7を介して暖房用循環通路5と接続される。なお、暖房用循環通路5の熱交換器7を形成する管路89には、該熱交換器7の入口に流量制御弁38が設けられている。追い焚き循環通路13には、浴槽27に貯留された水を循環させる風呂循環ポンプ20が設けられ、熱交換器7は、風呂循環ポンプ20の駆動によって追い焚き循環通路13を循環する水を加熱する風呂熱交換器として機能する。
また、追い焚き循環通路13には、浴槽27に貯留された水の温度を検出する風呂温度センサ21と、該浴槽27に貯留された水の水位を検出する水位センサ22と、追い焚き循環通路13の水流を検出する風呂水流スイッチ34とが介設されている。風呂循環ポンプ20の吸水口側には戻り管15の一端側が接続され、該戻り管15の他端側が循環金具56を介して浴槽27に連通される。風呂循環ポンプ20の吐出口側には往管14の一端側が接続され、該往管14の他端側は循環金具56を介して浴槽27に連通される。
風呂循環ポンプ20は風呂用注湯導入通路23を介して注湯水器55と接続されており、注湯水器55は管路54を介して分岐通路70の分岐部及び出湯湯温検出センサ113の配設部よりも下流側の給湯通路26に接続される。注湯水器55には、湯張り電磁弁48、湯張り水量センサ49、逆止弁50a,50bが設けられている。
このような熱源器130では、暖房機10を運転する場合、バーナ16によって暖房用熱交換器28が加熱され、循環ポンプ6が駆動されることによって図1の矢印A〜Gに示す暖房用循環通路5に沿って熱媒体が循環される。
すなわち、高温用の暖房機10aを運転する場合、熱動弁12が開いた状態とされ、熱動弁37及び流量制御弁38が閉じた状態とされる。この場合、顕熱熱交換器28bにおいて暖房用設定温度として設定される例えば80℃にまで熱媒体が加熱され、該熱媒体は、図1の矢印Aに示すように管路92を通り、図1の矢印Bに示すように管路97,40を順に通って暖房機10aに供給される。
暖房機10aに供給された熱媒体は、暖房機10a内部通路51を通るときに放熱して例えば60℃に下がり、図1の矢印Bに示すように管路41,59を通り、図1の矢印Cに示すように管路95を通って潜熱熱交換器28aに導入される。この潜熱熱交換器28aで加熱された熱媒体は、図1の矢印Dに示すように管路94を通ってシスターン装置100に導入され、このシスターン装置100から図1の矢印Eに示すように管路93を通って循環ポンプ6に導入される。その後、熱媒体は、図2の矢印Fに示すように管路91を通って顕熱熱交換器28bに導入され、該顕熱熱交換器28bで加熱され、上述したように循環する。
一方、低温用の暖房機10b,10cを運転する場合、熱動弁12が閉じた状態とされ、熱動弁37及び流量制御弁38が開いた状態とされる。この場合、高温用の暖房機10aの場合と同様に、顕熱熱交換器28bにおいて暖房用設定温度として設定される例えば80℃にまで熱媒体が加熱される。その後、熱媒体は、図1の矢印Aに示すように管路92を通り、図1の矢印B’に示すように熱交換器7の管路89を通った後に管路96を通り、図1の矢印C〜Eに示すように管路95,94,93を順に通って循環ポンプ6に導入される。そして、循環ポンプ6から吐出された熱媒体は、図1の矢印Fに示すように管路92を通って管路91を通って顕熱熱交換器28bに供給されるものと、図1の矢印Gに示すように管路90,45を順に通って暖房機10b,10cに供給されるものとに分かれる。このように、顕熱熱交換器28bから熱交換器7を介して暖房機10b,10cに熱媒体が供給されることで、該顕熱熱交換器28bから直接的に暖房機10b,10cに熱媒体が供給されるよりも熱媒体の温度が低くなる。
暖房機10b,10cに供給された熱媒体は、暖房機10b,10c内部の管路52を通るときに放熱して例えば40℃に下がり、図1の矢印B,Cに示すように管路44,59,95を通って潜熱熱交換器28aに導入され、図1の矢印D〜Eに示すように管路94,93を通って循環ポンプ6に導入され、上述したように循環する。
なお、高温用の暖房機10aと低温用の暖房機10b,10cとの双方を運転する場合、熱動弁12、熱動弁37及び流量制御弁38が開いた状態とされる。この場合、顕熱熱交換器28bで暖房用設定温度にまで加熱された熱媒体は、図1の矢印Aに示すように管路92を通った後、矢印Bに示す方向と矢印B’に示す方向とに分かれて、高温用の暖房機10aと低温用の暖房機10b,10cに供給される。
またこの熱源器130では、追い炊き運転する場合、循環ポンプ6及び風呂循環ポンプ20が駆動される。この場合、暖房用循環通路5内の熱媒体が循環ポンプ6により暖房用循環通路5に沿って循環されるとともに、浴槽27に貯留する湯水が風呂循環ポンプ20により矢印Hに示す焚き循環通路13に沿って循環される。このとき暖房用循環通路5内の熱媒体と追い焚き循環通路13内の湯水とが熱交換器7を介して熱交換し、この熱交換により浴槽27内の湯水が追い焚きされる。
この追い焚き運転中のときには、暖房高温サーミスタ33の温度が追焚設定温度となるようにバーナ16が燃焼され、風呂温度センサ21の検出温度が風呂設定温度となるまで、暖房用循環通路5内の熱媒体と追い焚き循環通路13内の湯水とが循環される。
さらにこの熱源器130では、湯張り運転する場合、バーナ17によって給湯用熱交換器29を通る水が加熱され、湯張り電磁弁48が開けた状態とされる。この場合、給湯用熱交換器29で加熱された湯水は注湯水器55に流入する。なお、湯張り運転する際に貯湯タンク120に湯水が貯留されている場合、混合弁62から給湯用熱交換器29を介して注湯水器55に混合水が供給される。注湯水器55に流入した湯水は、風呂用注湯導入通路23、風呂循環ポンプ20及び熱交換器7を順次介して往管14を通るとともに、該風呂循環ポンプ20から戻り管15を通って循環金具56に至る湯張り注水通路を介して浴槽27に供給される。
そして、浴槽設定水位の湯水が浴槽27に供給された以後、予め定められた保温期間(例えば4時間)を経過するまで風呂温度センサ21の検出温度と所定の許容風呂温度とが比較される。検出温度が許容風呂温度を下回っていた場合には、風呂温度センサ21の検出温度が風呂設定温度となるように、上述の追い焚き運転が行われる。
ところで、本実施形態の場合、暖房用循環通路5には、貯湯タンク120の外周面上に設けられている熱交換部125に迂回する通路が設けられる。すなわち、暖房用循環通路5の復路である管路95の所定部位には切替弁141を介して往バイパス通路142の一端側が接続され、該往バイパス通路142の他端側は熱交換部125の管路127の一端側と接続される。また、管路127の他端側には戻りバイパス通路143の一端側が接続され、該戻りバイパス通路143の他端側は切替弁141よりも潜熱熱交換器28a側となる管路95の所定部位に接続される。なお、切替弁141よりも暖房機10側となる管路95の所定部位には温度センサ145が設けられる。この温度センサ145としては例えばサーミスタが適用される。
切替弁141は、熱交換部125を経由して暖房機10から出る熱媒体を潜熱熱交換器28aに戻す第1の戻り路(以下、熱交換経由復路と呼ぶ)と、該熱交換部125を経由せずに暖房機10から出る熱媒体を潜熱熱交換器28aに戻す第2の戻り路(以下、熱交換非経由復路と呼ぶ)とを切り替える。
すなわち、熱交換経由復路では、暖房機10から出た熱媒体は、図1の矢印Bの方向に管路59を流れ、貯湯ユニット3内の管路95を流れて潜熱熱交換器28aに向かう。そして熱媒体は、管路95の途中の切替弁141から往バイパス通路142に流れて熱交換部125を経由し、該熱交換部125から戻りバイパス通路143を流れて再び管路95に入った後、図1の矢印Cの方向に管路95を流れて潜熱熱交換器28aに戻る。
熱交換非経由復路では、暖房機10から出た熱媒体は、図1の矢印Bの方向に管路59を流れ、貯湯ユニット3内の管路95を流れて潜熱熱交換器28aに向かう。そして熱媒体は、管路95の途中の切替弁141から熱交換部125を経由することなく、図1の矢印Cの方向に管路95を流れて潜熱熱交換器28aに戻る。
また、本実施形態の場合、暖房用循環通路5の往路である管路97と、暖房用循環通路5の復路である管路95とは連通路146で連通されており、該連通路146には開閉弁147が設けられる。
この開閉弁147は、熱源器130における熱媒体の燃焼量が所定量を超えると予測される場合に開いた状態とされる。本実施形態では、暖房機10が運転されている状態において貯湯タンク120に貯蔵される湯量が不足すると予測される場合に開閉弁147が開いた状態とされる。例えば、貯湯タンク120内に設けられる温度センサ120Aに基づいて貯湯タンク120に貯蔵される冷水層の高さが検出される。そして、温度センサ120Aに基づいて検出した冷水層の高さが貯湯タンク120に貯蔵される冷水層の高さの上限として設定される値(以下、冷水高閾値という)を越える場合に、開閉弁147が開いた状態とされる。
開閉弁147の開閉によって、暖房機10から出た熱媒体と暖房用熱交換器28で温められた熱媒体とを混合する経路(以下、入出媒体混合通路と呼ぶ)と、当該熱媒体同士を混合しない経路(以下、入出媒体分断経通路と呼ぶ)とに暖房用循環通路5が切り替えられる。
なお、入出媒体混合通路では、暖房用熱交換器28の顕熱熱交換器28bにおいて暖房用設定温度にまで加熱された熱媒体は、連通路146を介して管路95に流入するものと、該連通路146を介することなく暖房機10に流入するものとに分かれる。このため、例えば、暖房機10の運転中に追い炊き運転される等により暖房用熱交換器28におけるバーナ16の燃焼量が増えても、暖房設定温度よりも高い過度の温度の熱媒体が暖房機10に流入することが防止される。
図2に示すように、熱源器130には、該熱源器130の統括的な制御を担う制御器150が設けられている。この制御器150には、上述のバーナ16,17、燃焼ファン18,19、循環ポンプ6及び風呂循環ポンプ20が接続され、上述の各センサ及び電磁弁が接続される。また、制御器150には、熱源器130のリモートコントローラ151〜153に接続される。
リモートコントローラ151は風呂のリモートコントローラであり、リモートコントローラ152は高温用の暖房機10aのリモートコントローラであり、リモートコントローラ153は低温用の暖房機10b,10cのリモートコントローラである。リモートコントローラ151には、風呂設定温度入力操作部151a、湯張り予約入力操作部151b、追い焚きスイッチ151c及び風呂自動スイッチ151dが設けられている。リモートコントローラ152には暖房運転スイッチ152aが設けられ、リモートコントローラ153には暖房運転スイッチ153aが設けられている。
風呂設定温度入力操作部151aは、浴槽27に貯留させるべき湯の温度を設定する操作部であり、当該風呂設定温度は、例えば40℃前後の適宜の値に設定される。この風呂設定温度の情報は、制御器150に与えられる。湯張り予約入力操作部151bは、浴槽27に対して自動的に湯張りする湯張り運転の予約開始日時を設定する操作部であり、設定された湯張り運転の予約開始日時の情報は、制御器150に与えられる。
追い焚きスイッチ151cは、浴槽27に貯留する水を沸かし直す追い焚き運転を単独でオンオフするスイッチであり、該追い焚きスイッチ151cのオンオフ信号は制御器150に与えられる。風呂自動スイッチ151dは、浴槽27に対して自動的に湯張りする湯張り運転をオンオフするスイッチであり、該風呂自動スイッチ151dのオンオフ信号は制御器150に与えられる。
暖房運転スイッチ152a,153aは、対応する暖房機10a,10b,10cにオンオフ動作指令を与えるためのスイッチであり、該暖房運転スイッチ152a,153aのオンオフ信号は制御器150に与えられる。
制御器150は、リモートコントローラ151から風呂自動スイッチ151dのオン信号を受けた場合、あるいは、湯張り予約入力操作部151bから予約設定された湯張り開始日時となった場合、自動湯張り処理を実行する。
すなわち、制御器150は、ガス開閉弁83〜85、ガス比例弁87及び燃焼ファン19を適宜制御し、風呂設定温度入力操作部151aで設定された風呂設定温度となるようにバーナ17の燃焼量及び燃焼ファン19の回転数を調整する。これにより風呂設定温度の湯が上述の湯張り注水通路を通って浴槽27に注がれる。
また、制御器150は、混合弁62を適宜制御し、風呂設定温度入力操作部151aで設定された風呂設定温度となるように、貯湯タンク120の上部から供給される湯水と下部から供給される冷水との混合量を調整する。風呂設定温度となった湯水が熱源器130の給湯側の給水導入通路88に導入された場合、制御器150は、熱源器130の給湯側のバーナ17の燃焼を停止させ、混合弁62から給水導入通路88に導入される湯水をそのまま浴槽27に注がせる。これにより混合弁62から湯水が給水導入通路88に導入されない場合に比べて、バーナ17で燃焼される燃料が低減される。
さらに、制御器150は、予め内部メモリに記憶される浴槽27の水位と水量との関係を示すデータに基づいて、水位センサ22から得られる検出水位と、予め内部メモリに記憶される浴槽設定水位とを所定間隔ごとに比較する。そして制御器150は、水位センサ22から得られる検出水位が浴槽設定水位に達した場合には、ガス開閉弁83〜85及びガス比例弁87を閉じるとともに、燃焼ファン19を停止させる。
さらに制御器150は、水位センサ22から得られる検出水位が浴槽設定水位に達した以後、予め定められた保温期間(例えば4時間)を経過するまで、風呂温度センサ21から得られる検出温度と所定の許容風呂温度とを所定間隔ごとに比較する。そして制御器150は、風呂温度センサ21から得られる検出温度が許容風呂温度を下回っていた場合には後述の追い焚き処理を実行する。なお、制御器150は、上述の保温期間が経過した場合には自動湯張り処理を終了する。
制御器150は、上述の保温期間に風呂温度センサ21から得られる検出温度が許容風呂温度を下回っていた場合、あるいは、リモートコントローラ151から追い焚きスイッチ151cのオン信号を受けた場合、追い焚き処理を実行する。
すなわち、制御器150は、ガス開閉弁80,81、ガス比例弁86及び燃焼ファン18を適宜制御し、暖房高温サーミスタ33から得られる検出温度が追焚設定温度として設定される。例えば80℃となるようにバーナ16の燃焼量及び燃焼ファン18の回転数を調整する。このとき制御器150は、循環ポンプ6及び風呂循環ポンプ20を駆動させる。これにより上述したように、暖房用循環回路5内を循環する熱媒体と、追い焚き循環通路13内を循環する湯水とが熱交換器7を介して熱交換され、この熱交換により浴槽27内の湯水が追い焚きされる。
また制御器150は、風呂温度センサ21から得られる検出温度と、風呂設定温度よりも低い温度として予め設定される追い焚き停止温度とを所定間隔ごとに比較する。そして制御器150は、風呂温度センサ21から得られる検出温度が追い焚き停止温度となった場合には、ガス開閉弁80,81及びガス比例弁86を閉じるとともに、燃焼ファン18を停止させる。このとき制御器150は、循環ポンプ6及び風呂循環ポンプ20を継続して駆動させることで、暖房用熱交換器28の加熱停止以降にシスターン装置100が保有するシスターン保有熱量を利用して、追い焚き停止温度から風呂設定温度まで浴槽27内の湯水が追い焚きされる。
なお、制御器150は、風呂温度センサ21から得られる検出温度が風呂設定温度に達した場合には、予め定められたポストポンプ時間経過後に循環ポンプ6及び風呂循環ポンプ20を停止させ、追い焚き処理を終了する。
制御器150は、リモートコントローラ152から暖房運転スイッチ152aのオン信号を受けた場合、該暖房運転スイッチ152aのオフ信号を受けるまで高温暖房処理を実行する。
すなわち、制御器150は、熱動弁12に通電して熱動弁12を開ける。なお、熱動弁37及び流量制御弁38は閉じたままとされる。また、制御器150は、ガス開閉弁80,81、ガス比例弁86及び燃焼ファン18を適宜制御し、暖房高温サーミスタ33から得られる検出温度が暖房用設定温度として設定される例えば80℃となるようにバーナ16の燃焼量及び燃焼ファン18の回転数を調整するとともに、循環ポンプ6を駆動させる。これにより暖房用循環通路5内の熱媒体は、上述したように、図1の矢印A〜Gに示す流れに沿って循環され、高温用の暖房機10aが設けられる浴室内等が温められる。
制御器150は、リモートコントローラ153から暖房運転スイッチ153aのオン信号を受けた場合、該暖房運転スイッチ153aのオフ信号を受けるまで低温暖房処理を実行する。
すなわち、制御器150は、熱動弁37に通電して熱動弁37を開けるとともに、流量制御弁38の開弁量を適宜調整する。なお、熱動弁12は閉じたままとされる。また、制御器150は、ガス開閉弁80,81、ガス比例弁86及び燃焼ファン18を適宜制御し、暖房高温サーミスタ33から得られる検出温度が暖房用設定温度として設定される例えば80℃となるようにバーナ16の燃焼量及び燃焼ファン18の回転数を調整するとともに、循環ポンプ6を駆動させる。これにより暖房用循環通路5内の熱媒体は、上述したように、図1の矢印A、B’ 〜Gに示す流れに沿って循環され、低温用の暖房機10b,10cが設けられる室内等が温められる。
さらに、制御器150は、低温能力切替熱動弁47を制御する。具体的には、暖房運転スイッチ153aのオン信号を受けてから予め定められた期間(例えば15分間)を経過した通常期間の場合、制御器150は、暖房低温サーミスタ36から得られる検出温度が暖房用設定温度よりも低い第1温度(例えば60℃)となるように低温能力切替熱動弁47の開弁量を調整する。これにより管路94からシスターン装置100に導入される熱媒体に、管路92を通る高温の熱媒体が、管路99,98を通して混合される。
一方、暖房運転スイッチ153aのオン信号を受けてから予め定められた期間(例えば15分間)の場合、制御器150は、暖房低温サーミスタ36から得られる検出温度が暖房用設定温度よりも低く第1温度よりも高い第2温度(例えば70℃)となるように低温能力切替熱動弁47の開弁量を調整する。この場合、管路94からシスターン装置100に導入される熱媒体に対する、管路92を通る高温の熱媒体の混合量が通常期間に比べて増加される。このため、暖房機10b,10cの運転開始直後では比較的冷めた状態で内部通路51,52や管路44,45などに存在する熱媒体が速やかに加熱される。
なお、制御器150は、暖房運転スイッチ152a及び暖房運転スイッチ153aのオン信号をそれぞれ受けた場合には、上述の高温暖房処理及び低温暖房処理の双方を実行する。
制御器150は、上述の高温暖房処理又は低温暖房処理を実行している場合には、熱交換部125との間で熱交換する貯湯タンク部分の温度(以下、熱交換部温度という)と、暖房機10から出る熱媒体の温度(以下、熱媒体温度という)とに基づいて、暖房用循環通路5の戻り路を熱交換非経由復路又は熱交換非経由復路に切り替える。またこの場合、制御器150は、貯湯タンク120内に設けられる温度センサ120Aに基づいて、暖房用循環通路5を入出媒体混合通路又は入出媒体分断経通路に切り替える。
この通路切替処理は、図3に示すフローチャートに従って実行される。すなわち制御器150は、暖房運転スイッチ152a又は153aのオン信号を受けた場合、ステップSP1に進む。制御器150は、ステップSP1では、所定の期間が経過するごとに熱交換部温度及び熱媒体温度を取得する。
すなわち制御器150は、温度センサ129から出力される信号に基づいて熱交換部温度を取得するとともに、温度センサ145から出力される信号に基づいて熱媒体温度を取得し、ステップSP2に進む。
なお、発熱体2がPEFCである場合、そのPEFCの発熱で温められた水の温度はおおむね65℃となる。また、暖房用熱交換器28で例えば80℃に温められた熱媒体が暖房機10に送り出された場合、その暖房機10から出てくる熱媒体温度は、初期運転時では暖房機10が配置される室内とおおむね同程度の温度となる。一方、室内が所定温度以上となった状態ではおおむね40℃〜60℃程度の温度となる。
制御器150は、ステップSP2では、ステップSP1で取得した熱交換部温度と熱媒体温度とを比較し、該熱交換部温度が熱媒体温度よりも大きいか否かを認識する。
ここで、熱交換部温度が熱媒体温度よりも大きい場合、このことは、冷却用循環ポンプ123によって発熱体2の発熱で温められた温水が貯湯タンク120に供給されており、該温水が暖房機10から出る熱媒体よりも温まっていることを意味する。この場合、制御器150は、ステップSP3に進む。
制御器150は、ステップSP3では、ステップSP1で取得した熱交換部温度と、予め制御器150内のメモリに記憶される潜熱蓄熱剤128の融点温度と比較し、該熱交換部温度が潜熱蓄熱剤128の融点温度よりも大きいか否かを認識する。
ここで、熱交換部温度が潜熱蓄熱剤128の融点温度よりも大きい場合、このことは、潜熱蓄熱剤128に蓄えられた熱を暖房機10から出てくる熱媒体に回収させることで、その熱媒体が戻る暖房用熱交換器28の加熱能力を高め得ることを意味する。この場合、制御器150は、ステップSP4に進んで、暖房機10aから出た熱媒体を貯湯タンク120の外周面上に設けられている熱交換部125を経由しない熱交換非経由復路から、該熱交換部125を経由する熱交換経由復路に切替弁141を切り替えた後、ステップSP1に戻る。
なお、潜熱蓄熱剤128に蓄えられた熱を暖房機10から出てくる熱媒体に回収させても、該熱媒体が貯湯タンク120との間で熱交換することはないので、貯湯タンク120に貯蔵される水の温度成層が崩れることは抑制される。
一方、熱交換部温度が暖房機10から出る熱媒体の温度以下である場合、あるいは、該熱交換部温度が潜熱蓄熱剤128の融点温度以下である場合、このことは、冷却用循環ポンプ123が停止又は故障している等に起因して貯湯タンク120内における下部の冷水層が上部にまで上昇しており、貯湯タンク120に貯蔵される湯量が少ないことを意味する。この場合、制御器150は、ステップSP5に進む。
制御器150は、ステップSP5では、湯張り予約入力操作部151bから湯張り運転の予約開始日時の情報を受けているか否かを認識する。ここで、湯張り運転の予約開始日時の情報を受けている場合、このことは、貯湯タンク120に貯蔵される湯量が少ないにもかかわらず、浴槽27に貯留すべき多量の湯の得る必要性があることを意味する。この場合、制御器150は、ステップSP6に進む。
制御器150は、ステップSP6では、貯湯タンク120内の温度センサ120Aに基づいて貯湯タンク120に貯蔵される冷水層の高さを検出する。そして制御器150は、貯湯タンク120に貯蔵される冷水層の高さと、予め制御器150内のメモリに記憶される冷水高閾値とを比較し、該高さが冷水高閾値を超えているか否かを認識する。
ここで、貯湯タンク120に貯蔵される冷水層の高さが冷水高閾値を超える場合、このことは、ステップSP5で受けた湯張り運転の予約開始日時に湯張り運転をすると、貯湯タンク120に貯蔵される湯がなくなることが想定されることを意味する。この場合、制御器150は、ステップSP7に進んで開閉弁147を開けて暖房用循環通路5を入出媒体分断経通路から入出媒体混合通路に切り替える。その後、制御器150は、ステップSP4に進んで、熱交換非経由復路から、該熱交換部125を経由する熱交換経由復路に切替弁141を切り替える。
これにより、暖房機10から出た冷えた状態の熱媒体が、顕熱熱交換器28bにおいて暖房用設定温度にまで加熱された熱媒体と混合して温められ、貯湯タンク120の外周面上に設けられている熱交換部125に流入する。この結果、貯湯タンク120内における上部の湯水層が温められ、該湯水層が下部へ移行することになる。
なお、湯張り予約入力操作部151bから湯張り運転の予約開始日時の情報を受けており(ステップSP5)、貯湯タンク120内の温度センサ120Aに基づいて貯湯タンク120に貯蔵される冷水層の高さを検出し、メモリに記憶される冷水高閾値とを比較した結果、該高さが冷水高閾値を超えている場合には(テップSP6 Yes判断時には)、暖房機10等が運転していなくても無条件に開閉弁147を開け、熱媒体を循環させる循環ポンプ6を駆動して熱源器130における暖房側のバーナ16の燃焼を開始させることで冷水層の高さを冷水高閾値以下とし(テップSP6でNo判断時には、開閉弁147をOFF、循環ポンプ6をOFF、バーナ16の燃焼をOFF)、湯張り運転の予約開始日時に湯張り運転をしても、貯湯タンク120に貯蔵される湯がなくなることを防止するようにしても良い。
貯湯タンク120に貯蔵される湯量が湯張り運転で使用する湯量に満たないにもかかわらず、暖房機10から出る熱媒体を貯湯タンク120の外周面上に設けられている熱交換部125に送り出した場合、該熱媒体の熱が貯湯タンク120に回収される。このため、熱源器130における暖房側のバーナ16の燃焼量が増えることになる。しかしながら、上述のステップSP7において湯張り運転前に、貯湯タンク120に貯蔵される湯量を増やしておくことができる。したがって、例えば給湯16号のように給湯能力の低い熱源器130であっても、給湯24号のような給湯能力の高い熱源器と同程度の期間で湯張り運転を完了させることができる。
また、暖房用循環通路5が入出媒体分断経通路から入出媒体混合通路に切り替えられた場合、暖房用熱交換器28の顕熱熱交換器28bにおいて暖房用設定温度にまで加熱された熱媒体は、連通路146を介して管路95に流入するものと、該連通路146を介することなく暖房機10に流入するものとに分かれる。このため、熱源器130における暖房側のバーナ16の燃焼量が増えたとしても、暖房設定温度よりも高い過度の温度の熱媒体が暖房機10に流入することが防止される。
一方、湯張り予約入力操作部151bから湯張り運転の予約開始日時の情報を受けていない場合、あるいは、貯湯タンク120に貯蔵される冷水層の高さが冷水高閾値を超えていない場合、貯湯タンク120に貯蔵される湯がなくなることは想定されない。この場合、制御器150は、開閉弁147及び切替弁141を制御することなくステップSP1に戻る。
このため、開閉弁147は閉じた状態のまま維持されて暖房用循環通路5は入出媒体混合通路に切り替えられることなく入出媒体分断経通路のままとされる。また、熱交換非経由復路に切り替わった状態にある切替弁141がその状態のまま維持されて暖房用循環通路5の復路が熱交換経由復路に切り替られることなく熱交換非経由復路のままとされる。
このようにして制御器150は、暖房運転スイッチ152a又は153aのオン信号を受けた場合には回路切替処理を実行するようになっている。
以上のとおり、本実施形態における貯湯ユニット3の制御器150は、熱交換部温度が熱媒体温度よりも大きい場合には、熱交換部125の復路を熱交換経由復路に切り替える。一方、制御器150は、熱交換部温度が熱媒体温度以下である場合には、熱交換部125の復路を熱交換非経由復路に切り替える。
このような貯湯ユニット3では、暖房機10と熱源器130との間で熱媒体が単に循環されるのみならず、発熱体2の冷却用として用いられ貯湯タンク120に回収される湯水の熱が、熱源器130で加熱すべき熱媒体の加熱用として用いられる。このため、貯湯ユニット3は、熱源器130の加熱能力を維持したままでも、暖房機10における単位時間あたりの放熱量を増加して暖房期間を短縮することができる。したがって、貯湯ユニット3は、熱源器130における熱媒体の加熱能力を高める設備を要することなく、暖房機10に対する暖房能力を高めることができる。こうして、本実施形態の貯湯ユニット3は小型化を実現することができる。
また本実施形態の場合、熱交換部125は、貯湯タンク120における一部の外側面の周りに配置される管路127と、該貯湯タンク120における一部の外側面及び管路127の外側面の間に配置される潜熱蓄熱剤128とを含む。そして、この潜熱蓄熱剤128が配置される側壁部位の外側面上の温度(熱交換部温度)が暖房機10から出る熱媒体の温度(熱媒体温度)よりも大きく、かつ、該外側面上の温度(熱交換部温度)が潜熱蓄熱剤128の融点温度よりも大きい場合に、暖房用循環通路5の復路が熱交換非経由復路から熱交換経由復路に切り替えられる。
このような貯湯ユニット3では、潜熱蓄熱剤128に囲まれる貯湯タンク120は温められた状態にあるため、その潜熱蓄熱剤128に蓄えられた熱を暖房機10から出てくる熱媒体に回収させても、該潜熱蓄熱剤128が融点未満となって貯湯タンク120の熱を回収することで貯湯タンク120に貯蔵される水の温度成層が崩れることが抑制される。また、潜熱蓄熱剤128の融点温度よりも低い温度の熱媒体が貯湯タンク120に戻されないため、該熱媒体が貯湯タンク120の熱を回収することで貯湯タンク120内の湯水が過度に冷却され、貯湯タンク120に貯蔵される水の温度成層が崩れることが抑制される。したがって、貯湯タンク120の成層を崩すことなく熱源器130の加熱能力を高めることもできる。
また本実施形態の場合、熱交換部125の管路127は、貯湯タンク120における上部の外側面の周りに巻回される。したがって、管路127が貯湯タンク120の外周面の周りに巻回されることなく配置される場合に比べて、より一段と貯湯タンク120の成層を崩すことなく熱源器130の能力を高めることができる。
また本実施形態の場合、暖房用循環通路5における往路である管路97と復路である管路95とが連通路146により連通され、該連通路146には開閉弁147が設けられる。また、制御器150は、熱交換部温度が潜熱蓄熱剤128の融点温度以下であるが、湯張り運転の予約開始日時の情報を受けている場合には開閉弁147を開けた状態とし、暖房用循環通路5を入出媒体分断経通路から入出媒体混合通路に切り替える。
このような貯湯ユニット3では、湯張り命令を受けた場合、貯湯タンク120が冷えているにもかかわらず、暖房機10から出る熱媒体が貯湯タンク120の外周面上の熱交換部125に送り出される。このため、上述したように、例えば給湯16号のように給湯能力の低い熱源器130であっても、給湯24号のような給湯能力の高い熱源器と同程度の期間で湯張り運転を完了させることができる。
(2)変形例
上記実施形態が例として説明されたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することが可能である。
例えば上記実施形態では、貯湯タンク120の外側面上の温度が暖房機10から出る熱媒体の温度以下であるが、湯張り予約入力操作部151bから湯張り運転の予約開始日時の情報を受けている場合には、制御器150が、開閉弁147を開けて暖房用循環通路5を入出媒体分断経通路から入出媒体混合通路に切り替えた。しかしながら、暖房用循環通路5を入出媒体分断経通路から入出媒体混合通路に切り替える場合は、上記実施形態に限られない。例えば、所定期間ごとの使用給湯量のうち所定の給湯量以上となる期間となる場合が適用可能である。要するに、熱源器130における熱媒体の燃焼量が所定量を超える場合が適用可能である。なお、所定期間ごとの使用給湯量のうち所定の給湯量以上となる期間となる場合を適用するときには、例えば、該期間を予測し、その予測期間の前に給湯を準備すべき給湯準備命令を出力する予測部を、制御器150に接続させる。そして制御器150は、予測部から給湯準備命令を受けた場合に、熱交換部125を経由しない熱交換非経由復路から、該熱交換部125を経由する熱交換経由復路に切り替える。このようにすれば、所定期間ごとの使用給湯量のうち所定の給湯量以上となる期間となる場合を適用することが可能である。
また上記実施形態では、熱交換部125が貯湯タンク120の上部に設けられた。しかしながら、熱交換部125が貯湯タンク120の中部又は下部に設けられていても良い。ただし、上述したように、貯湯タンク120の成層を崩すことなく熱源器130の加熱能力を高めるという効果をより一段と高める観点では、熱交換部125が貯湯タンク120の上部に設けられているほうが好ましい。
また上記実施形態では、熱交換部125が筺体126、管路127、潜熱蓄熱剤128及び温度センサ129を含む構成とされた。しかしながら熱交換部125の構成は本実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、潜熱蓄熱剤128を省略し、断熱性を有する筺体126としても良い。別例として、筺体126及び潜熱蓄熱剤128を省略し、管路127を溶接等により貯湯タンク120の外周面に直接的に固定しても良い。
また上記実施形態では、温度センサ129が筺体126に囲まれる貯湯タンク120の側壁部位の外表面に配置された。しかしながら、例えば図4に示す熱交換部225のように、潜熱蓄熱剤128が充填される筺体226の内部であれば、貯湯タンク120の外表面に配置されていなくても良い。
なお、図4に示す熱交換部225では、筺体226が往バイパス通路142及び戻りバイパス通路143の間の一部の外側面を囲っており、該筺体126の内部に潜熱蓄熱剤128が充填される。往バイパス通路142及び戻りバイパス通路143の一端部は貯湯タンク120の上部の側壁などに穿設される貫通孔を介して、該貯湯タンク120の内部に設けられる管路227と連結される。また、温度センサ229は、上記実施形態のように筺体226内に設けられるのではなく、戻りバイパス通路143の外表面上に設けられる。さらに、往バイパス通路142には循環ポンプ230が設けられる。この循環ポンプ230は、入出媒体分断経通路から入出媒体混合通路に暖房用循環通路5が切り替えられた場合に制御器150により駆動される。
このような熱交換部225であっても、筺体226の内部における貯湯タンク120の外側面と、その外側面以外の筺体226の内部位との温度は同程度となるので、上記実施形態の場合と同様に、貯湯タンク120の外側面上の温度を温度センサ229から取得することができる。
また上記実施形態では、貯湯タンク120の外側面上の温度が暖房機10から出る熱媒体の温度よりも大きい場合には熱交換部125を経由する熱交換経由復路に切り替わるよう切替弁141が制御され、該熱交換部125を経由しない熱交換非経由復路に熱媒体が流れないようにした。しかしながら、貯湯タンク120の外側面上の温度と、暖房機10から出る熱媒体の温度との差が大きいほど、熱交換経由復路に流れる熱媒体量が熱交換非経由復路に流れる熱媒体量よりも多くなるように、切替弁141が制御されても良い。
また上記実施形態では、貯湯タンク120の外側面上の温度が暖房機10から出る熱媒体の温度以下の場合には熱交換部125を経由しない熱交換非経由復路に切り替わるよう切替弁141が制御され、該熱交換部125を経由する熱交換経由復路に熱媒体が流れないようにした。しかしながら、貯湯タンク120の外側面上の温度と、暖房機10から出る熱媒体の温度との差が小さいほど、熱交換非経由復路に流れる熱媒体量が熱交換経由復路に流れる熱媒体量よりも多くなるように、切替弁141が制御されても良い。
また上記実施形態では、熱交換部125の管路127の一端側に接続される往バイパス通路142と、該管路127の他端側に接続される戻りバイパス通路143とが、暖房用循環通路5の復路である管路95に接続されていた。
しかしながら、例えば図5に示すように、熱交換部125の管路127の一端側に接続される往バイパス通路142と、該管路127の他端側に接続される戻りバイパス通路143とが、潜熱熱交換器28aの出力側と顕熱熱交換器28bの入力側とを結ぶ通路の間に接続されていても良い。
なお、図5に示す例では、潜熱熱交換器28aの出力側とシスターン装置100を結ぶ管路94の所定部位に切替弁141が設けられ、その切替弁141に対して熱交換部125の管路127の一端側に接続される往バイパス通路142が接続される。また、熱交換部125の管路127の他端側に接続される戻りバイパス通路143は、切替弁141よりも潜熱熱交換器28a側となる管路94の所定部位に接続される。
上述したように、熱交換部温度が潜熱蓄熱剤128の融点温度以下であるが、湯張り運転の予約開始日時の情報を受けていた場合、貯湯タンク120が冷えていても、暖房機10から出る熱媒体が貯湯タンク120の外周面上の熱交換部125を経由される。このため、熱交換部125を経由させない場合に比べて熱媒体の温度が低くなる。このような熱媒体が上記実施形態では顕熱熱交換器28bに供給されることになるので、顕熱熱交換器28bの負荷が一時的な期間だけ高まる傾向がある。
これに対し、図5に示すように、往バイパス通路142と戻りバイパス通路143とが潜熱熱交換器28aの出力側と顕熱熱交換器28bの入力側とを結ぶ通路の間に接続された場合、熱交換部125を経由する熱媒体が顕熱熱交換器28bに供給されることがない。このため、上記実施形態のように、顕熱熱交換器28bの負荷が一時的な期間だけ高まることを回避することができる。
給湯システム1又は貯湯ユニット3の各構成要素は、上記実施形態若しくは変形例に示された内容以外に限定されず、本発明の目的を達せできる範囲内において、適宜、省略、変更、周知技術の付加などできる。