以下、本発明に係る実施例について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施例に係るハイブリッド式の給湯暖房装置1を示す。給湯暖房装置1は、タンクユニット11、ヒートポンプユニット12、ガス熱源ユニット13、および各ユニットを制御する制御装置(図示しない)を備えている。
タンクユニット11は、貯湯タンク101、熱交換器102、ポンプP2、ポンプP4を備えている。貯湯タンク101には、ヒートポンプユニット12によって加熱された温水を貯える。熱交換器102は、暖房機構を構成しており、暖房機構を循環する熱媒と貯湯タンク101の温水とを熱交換する。貯湯タンク101は、密閉式であり、断熱材によって外側が覆われている。湯を貯えた状態では、貯湯タンク101の内部に温度成層が形成されており、貯湯タンク101下部の水温は低く、上部の水温は高くなる。貯湯タンク101の頭頂部には導出口111、112、導入口113、118が設けられており、底部には導入口116、導出口117が設けられている。貯湯タンク101の高さ方向の中央部には、導出口114、導入口115が設けられている。貯湯タンク101の上部には、貯湯タンク内の温水温度を検知する温度センサTH1およびTH2が設置されている。
ヒートポンプユニット12は、配管で接続された圧縮機121、放熱器122、膨張機構123、蒸発器124を冷媒がこの順序で循環する冷凍サイクル装置である。貯湯タンク101からポンプP5によって放熱器122に送られる水は、放熱器122において、圧縮機121から吐出される高温高圧の冷媒によって加熱される。膨張機構123としては、膨張弁のほか、エジェクタや膨張機などを用いてもよい。蒸発器124はフィンチューブ型の熱交換器であり、ファンを回転させて外気と熱交換する。
ガス熱源ユニット13は、暖房機構、給湯機構、追い焚き機構を備えている。暖房機構は、暖房機構を循環する熱媒を加熱する第1燃焼機141、シスターン150、高温暖房端末(図示しない)、低温暖房端末(図示しない)、ポンプP1を備えている。給湯機構は給湯路144、上水路145、混合器146を備えている。追い焚き機構は、追い焚き用熱交換器143、ポンプP3を備えている。さらに、ガス熱源ユニット13は、貯湯タンク101内の水を加熱する第2燃焼機142を備えている。高温暖房端末の入口は高温暖房端末往路164と接続され、出口は暖房端末復路161に接続されている。低温暖房端末の入口は低温暖房端末往路165と接続され、出口は暖房端末復路161に接続されている。高温暖房端末往路164には熱媒の温度を検知する温度センサTH6が設けられている。
第1燃焼機141および第2燃焼機142は、都市ガスやLPガス等の燃料を燃焼させることによって、水等を加熱する燃焼機である。第1燃焼機141と第2燃焼機142は、ガス熱源ユニット13内において隣接して設置されており、ガス配管や電源等を共有できるようになっている。
本実施例においては、熱媒として水を用いており、シスターン150には暖房用水が貯えられている。以下、本実施例においては、熱媒として暖房用水(水)を用いる場合について説明するが、水の代わりに、例えば、エチレングリコール等を主成分とする不凍液を用いることもできる。シスターン150の底部の導出口151は、第2暖房端末往路163によって分岐部171に接続している。第2暖房端末往路163にはポンプP1が設けられており、ポンプP1と分岐部171との間には、熱媒(暖房用水)の温度を検知する温度センサTH5が設けられている。分岐部171において管路は分岐しており、一方の管路は低温暖房端末往路165と接続し、他方の管路は、第1燃焼機141、分岐部172を経由して高温暖房端末往路164に接続している。暖房端末復路161は熱交換器102の暖房温水入口に接続され、熱交換器102の暖房温水出口は第1暖房端末往路160によってシスターン150の底部の導入口152と接続している。暖房端末復路161には切替弁V1が設けられており、熱交換器102をバイパスして第1暖房端末往路160に接続するバイパス側と、熱交換器102側とを切り替えることができる。第1暖房端末往路160には熱媒(暖房用水)の温度を検知する温度センサTH4が設けられている。
シスターン150には、暖房用水が貯えられている。シスターン150には、排水口154が設けられており、水位が排水口154を超えるとオーバーフローによって排水される。また、上水路145と接続する給水口155と水位センサ153が設けられており、水位センサ153の検知値に基づいて、暖房用水をシスターン150に給水することができる。
貯湯タンク101中央部の導出口114は、タンクユニット11に設置されたポンプP4を経由して第2燃焼機142の温水(水)入口と接続されており、第2燃焼機142の温水出口は、貯湯タンク101頭頂部の導入口113に接続されている。導出口114、ポンプP4、第2燃焼機142、導入口113を備えた給湯用燃焼回路に貯湯タンク101内の水を循環させることで、貯湯タンク101の温水温度を高くすることができる。
貯湯タンク101の温水が流れる熱交換器102の流路については、入口側は暖房温水往路130によって導出口111に接続されており、出口側は第3暖房温水復路133によってポンプP2を経由して切替弁V3に接続されている。切替弁V3は、貯湯タンク101の導入口115に接続する第1暖房温水復路131と、合流部174において給湯温水経路134に接続する第2暖房温水復路132に分岐されている。給湯温水経路134は、貯湯タンク101の導出口112と接続し、合流部174を経由して、ガス熱源ユニット13内の合流部175に接続している。
合流部175は給湯温水経路134、上水路145、給湯路144と接続している。上水路145と合流部175とを接続する管路には、給湯の要求温度に応じて合流部175に流入する上水と温水との混合比を制御する混合器146が設けられている。
分岐部172は、追い焚き用熱交換器143の入口に設けられた流調弁V2と接続しており、追い焚き用熱交換器143の出口は、第1暖房端末往路160とを接続する管路に設けられた合流部173に接続されている。追い焚き用熱交換器143は二重管構造となっており、暖房温水流路が内側であり、浴槽に貯められた温水の流路が外側となっている。ポンプP3は、浴槽に貯められた温水を追い焚き回路に循環させる。
次に、本実施例の貯湯操作について説明する。貯湯タンク101の下部には、上水道と接続する導入口116から上水が供給される。導出口117は、ヒートポンプユニット12の放熱器122に接続されており、ポンプP5によって貯湯タンク101の下部の低温の水が供給され、放熱器122において冷媒と熱交換される。本実施例においては、冷媒としてはCO2を用いており、放熱器122の出口における温水の温度は、90℃程度に加熱される。ヒートポンプユニット12は、一般的な冷凍サイクル装置の制御方法によって制御される。例えば圧縮機121の吐出温度や、外気温、貯湯タンク101より流入する水の放熱器122での入口温度に基づいて制御することができる。
ヒートポンプユニット12で加熱された温水は、導入口118から貯湯タンク101の頭頂部に戻される。貯湯タンク101内に貯えられる水は、下部は低温であり、上部に向かって徐々に温度が高くなる。本実施例においては、貯湯タンク101上部の温水温度は90℃程度となる。
給湯暖房装置1の起動時や、貯湯タンク101の湯切れ時等、ヒートポンプユニット12の能力が不足する場合には、第2燃焼機142を通過する給湯用燃焼回路を用いて貯湯タンク101の温水をさらに加熱する。給湯用燃焼回路では、導出口114から中温程度の温水が抜き出され、第2燃焼機142によって加熱されて導入口113から貯湯タンク101の上部に戻される。ポンプP4によって給湯用燃焼回路に貯湯タンク101内の温水を循環させて第2燃焼機142によって加熱する。
次に本実施例の暖房操作について説明する。本実施例に係る給湯暖房装置では、貯湯タンクの温水を利用して暖房用水を加熱し、加熱された暖房用水を暖房機構に循環させて、暖房が行われる。タンクユニット11では、導出口111から貯湯タンク101の上部の高温水を抜き出し、暖房温水往路130を通して暖房機構を構成する熱交換器102へ送る。熱交換器102を通過した後の温水は、暖房機構を構成する第3暖房温水復路133を通して切替弁V3に戻される。給湯需要の無い場合には、切替弁V3を第1暖房温水復路131側に接続し、熱交換器102からの温水は貯湯タンク101に戻される。給湯需要のある場合には、切替弁V3を第2暖房温水復路132側に接続し、熱交換器102からの温水を給湯用水として利用することができる。
熱交換器102においては、貯湯タンク101からの温水によって暖房用水が加熱される。加熱された暖房用水は、第1暖房端末往路160からシスターン150に導入され、シスターン底部の導出口151からポンプP1によって汲み出されて、分岐部171において分流される。分流された暖房用水の一方は低温暖房端末往路165に流入する。他方は、第1燃焼機141を通過した後、分岐部172を経由して高温暖房端末往路164に流入する。高温暖房端末および低温暖房端末を通過した暖房用水は、混合され、暖房端末復路161を流れて熱交換器102に流入し、貯湯タンク101からの温水によって再度加熱される。上記のように、熱交換器102で加熱された暖房用水は、暖房機構を循環して、熱交換器102に戻って再度加熱される。
流調弁V2を開いて、高温暖房端末往路164を流れる暖房用水(第1燃焼機141を通過後の暖房用水)を分岐部172から追い焚き用熱交換器143に導入すれば、風呂の追い焚きを行うことも可能である。追い焚き機構においては、ポンプP3によって浴槽に貯められた温水を追い焚き用熱交換器143の外管に循環させ、追い焚き用熱交換器143の内管を通過する暖房用水と熱交換することで、追い焚きを行う。追い焚きに利用した暖房用水は、合流部173で第1暖房端末往路160を流れる暖房用水と合流し、シスターン150の底部へと戻される。追い焚きの設定温度等に応じて、第1燃焼機141を運転させることもできる。
次に本実施例の給湯操作について説明する。本実施例に係る給湯暖房装置では、貯湯タンク101の導出口112から取り出した温水を、給湯温水経路134から給湯機構を構成する合流部175へ供給する。給湯機構では、貯湯タンク101からの温水を上水と適宜混合し、給湯路144から給湯端末に給湯する。給湯温水経路134から流入した温水量に応じて、上水路145から、混合器146を経由して、貯湯タンク101の導入口116に上水が供給される。
切替弁V3が第1暖房温水復路131側に接続されている場合には、混合器146によって貯湯タンク101底部の導入口116に送られた水の量に応じて、導出口112から給湯温水経路134によって給湯機構を構成する合流部175に温水が供給される。
切替弁V3が第2暖房温水復路132側に接続されている場合には、ポンプP2によって、給湯温水経路134に暖房機構からの温水が供給される。第2暖房温水復路132から給湯温水経路134に流入する温水は、合流部174において導出口112から取り出される温水と合流し、給湯温水経路134を通過して、合流部175において給湯機構に供給される。合流部175では、給湯温水経路134から供給される温水と、上水路145から供給される上水が、適宜混合されて給湯路144に供給される。
混合器146は、給湯の要求温度、貯湯タンク101の上部の高温水の温度、熱交換器からの温水の温度、上水の温度などに基づいて、給湯温水経路134からの温水と上水との混合比を調整する。混合器146によって貯湯タンク101に流入する上水量と、ポンプP2によって貯湯タンク101から流出する温水量との差に応じて、貯湯タンク101の導出口112から合流部175に温水が供給される。
本実施例においては、給湯需要の有無および貯湯タンク上部に設けられた温度センサTH1の検知値に基づいて、制御装置が切替弁V3の流路を切り替える。貯湯タンク101の上部の高温水よりも高温の給湯用水に対する需要がある場合には、給湯用燃焼回路によって第2燃焼機142を用いて貯湯タンク101の上部の温水温度を速やかに高くして供給することができる。
本実施例によれば、給湯需要のある場合には、暖房機構を構成する熱交換器から戻る中温〜高温の温水の熱エネルギーが給湯機構によって有効利用される。暖房機構から戻る温水を貯湯タンクに戻さず、給湯用水として利用し、貯湯タンクにはより温度の低い上水を供給するため、貯湯タンク下部の水温を低く維持することができる。これによって、貯湯タンク下部からヒートポンプユニットに送られる水の温度も低く維持することが可能であるから、ヒートポンプユニットを高効率で運転することができる。ヒートポンプと燃焼機とを熱源として備えたハイブリッド式の給湯暖房装置において、低コスト熱源であるヒートポンプを有効利用できるため、低コスト運転を実現することができる。
次に、本実施例に係る給湯暖房装置の運転制御について説明する。本実施例においては、図2〜図5に示すフローチャートに従って、制御装置によって各ユニットが制御される。
(低温暖房運転+給湯)
低温暖房運転時に、給湯需要が発生した場合の本実施例における運転制御について、図2および図3に示すフローチャートを用いて説明する。尚、以下に説明するフローチャートにおいて、運転開始時には、切替弁V1はバイパス側(バイパス162側)に、切替弁V3はタンク側(貯湯タンク101側)に接続されている。流調弁V2は閉じている。
ステップS11において低温暖房運転が開始されると、まずステップS12によって、貯湯タンク101内の温水温度が、暖房に利用可能な温度以上となっているかを判断する。具体的には、低温暖房の要求温度以上の温度Aを設定し、貯湯タンク101の上部に設置された温度センサTH1の検知値が温度A以上でない場合には、ステップS13に移行して、ポンプP1をONとした後、ステップS14において第1燃焼機141による暖房運転を実施する。この間、ヒートポンプユニット12によって加熱された温水が貯湯タンク101に貯えられ、貯湯タンク101内の温水温度は上昇していく。ステップS12で温度センサTH1の検知値が温度A以上である場合には、ステップS15に移行する。
図3は、図2のステップS14およびステップS20によって実施される第1燃焼機141による暖房運転のフローチャートを示している。第1燃焼機141による暖房運転では、第1燃焼機141によって暖房用水を加熱することによって暖房を行う。低温暖房の要求温度に応じて温度D(40〜70℃)を設定し、ステップS71では、第2暖房端末往路163に設置された温度センサTH5の検知値が温度Dとなるように第1燃焼機141の燃焼量を制御する。次のステップS72においては、暖房がONとなっている場合には、ステップS73に移行する。暖房がOFFになっていると判断された場合には、図2に示すステップS28に移行して、切替弁V1をバイパス側とし、ポンプP1、P2を停止し、運転を終了する。ステップS73においては、貯湯タンク101内の温水温度が、暖房に利用可能な温度以上となっているかを再度判断する。低温暖房の要求温度以上の温度Cを設定し、貯湯タンク101の上部に設置された温度センサTH2の検知値が温度C以上である場合には、第1燃焼機141による暖房運転を終了し、図2に示すステップS15に移行する。温度センサTH2の検知値が温度Cより低い場合には、ステップS71に戻って第1燃焼機141による暖房用水の加熱が継続される。尚、本実施例においては、作動ハンチングを防ぐため、温度Cを温度Aより低く設定し、温度センサTH2の検知値に基づいて第1燃焼機141を制御している。
ステップS15では、貯湯タンク101の温水による暖房用水の加熱が開始される。具体的には、ステップS15において切替弁V1が熱交換器側(熱交換器102側)に、切替弁V3がタンク側(第1暖房温水復路131側)に接続され、ポンプP1およびポンプP2はONとなる。これによって、熱交換器102に貯湯タンク101からの温水と暖房用水が循環する。次に、ステップS16では、低温暖房の要求温度に応じて設定した温度F(40〜70℃)に対して、暖房端末往路163に設置された温度センサTH4の検知値が温度Fとなるように、ポンプP2が制御される。
低温暖房運転時には、低温暖房の要求温度以上の温度Bを設定し、貯湯タンク101内の温水温度が温度Bよりも低くならないように制御する。尚、温度Bは、作動ハンチングを防ぐため、温度Aよりも低く設定する。具体的には、ステップS17においてTH1の検知値が温度Bより低いと判断された場合には、ステップS18で、ポンプP2をOFFとし、切替弁V1をバイパス側に切り替えて、貯湯タンク101からの温水を利用した暖房用水の加熱を中断する。ステップS20によって第1燃焼機141による暖房用水の加熱を行い、この間にヒートポンプユニット12によって貯湯タンク101内の水が加熱される。次のステップS20では、ステップS14と同様に、図3のフローチャートに従って第1燃焼機141による暖房が実施される。ステップS73においてTH2の検知値が温度C以上であると判断された場合には、第1燃焼機141による暖房運転を終了し、ステップS21に移行する。ステップS21では、ポンプP2をONとし、切替弁V1を熱交換器側に切り替えて、貯湯タンク101からの温水を利用した暖房用水の加熱を再開し、ステップS22に移行する。ステップS17において、TH1≧Bと判断された場合にも、ステップS22に移行する。このように、適宜、暖房用水の加熱を第1燃焼機141によって行うことで、貯湯タンク101からの放熱を中断し、ヒートポンプユニット12によって貯湯タンク101の温水温度を速やかに上昇させるため、湯切れが発生することを回避できる。
ステップS22においては、暖房がONとなっている場合には、給湯需要の有無を判断するステップS23に移行する。暖房がOFFになっていると判断された場合には、ステップS28に移行して、切替弁V1をバイパス側とし、ポンプP1、P2を停止し、運転を終了する。
ステップS23において、給湯需要があった場合には、ステップS24において切替弁V3が給湯側(第2暖房温水復路132側)に切り替えられ、熱交換器102から戻る貯湯タンク101の温水が、第2暖房温水復路132に流入し、給湯機構で給湯用水として利用される。ステップS25において、暖房がONとなっている場合には、ステップS26に移行する。暖房がOFFになっていると判断された場合には、ステップS28に移行して、切替弁V1をバイパス側とし、ポンプP1、P2を停止し、運転を終了する。ステップS26では、貯湯タンク101上部の温度センサTH1の検知値と給湯需要の有無によって、切替弁V3を制御する。温度センサTH1の検知値が温度Bより小さくなっている場合や、給湯需要が無くなり、給湯OFFと判断された場合には、ステップS27に移行して切替弁V3等をタンク側に切り替え、熱交換器102からの温水を利用した給湯を停止して、ステップS16に戻る。このとき、給湯需要が継続している場合には、導出口112から取り出された貯湯タンク101上部の温水が給湯温水経路134によって給湯機構に供給される。温度センサTH1の検知値が温度B以上であり、かつ、給湯需要がある場合には、熱交換器102からの温水を利用した給湯が継続される。
本実施例においては、温度A=70℃、温度B=65℃、温度C=65℃、温度D=60℃、温度F=60℃として運転制御を実施している。これによれば、貯湯タンク101から熱交換器102に入る温水の温度が90℃の場合、熱交換器102を通過した後の温水の温度は45℃程度となる。暖房端末復路161の暖房用水の温度は40℃程度となり、熱交換器102を通過した後の暖房用水の温度は60℃程度となる。給湯温水経路134を流れる温水の温度は55℃程度になり、合流部175において10℃の上水と混合される。貯湯タンク101へは、混合器146によって、10℃の上水が流入する。これにより、貯湯タンク101の最下部の水温は、上水と同程度の10℃程度となり、この10℃程度の水が導出口117からヒートポンプユニット12の放熱器122に送られ、加熱される。
上記のとおり、低温暖房時に給湯需要が発生した場合には、例えば、熱交換器102から切替弁V3に戻る45℃程度の温水を給湯機構に供給することができる。同時に、貯湯タンク101の下部には、給湯機構に供給された熱交換器102からの温水量に応じて10℃程度の上水を供給できるため、ヒートポンプユニット12を高効率で運転することができる。また、貯湯タンク101内の温水温度を検知して、第1燃焼機による暖房用水の加熱を適宜実施するため、貯湯タンク101の湯切れを防ぐこともできる。
(高温暖房運転+給湯)
高温暖房運転時に、給湯需要が発生した場合の本実施例における運転制御について、図4のフローチャートを用いて説明する。
ステップS31において高温暖房運転が開始されると、第1燃焼機141による暖房用水の加熱が開始される。具体的には、ステップS32によって、切替弁V3がタンク側11に接続され、ポンプP1がONとなり、暖房用水を加熱する第1燃焼機141がONとなる。高温暖房の要求温度に応じて温度E(60〜90℃)が設定されており、ステップS33では、高温暖房端末往路164に設置された温度センサTH6の検知値が温度Eとなるように、第1燃焼機141の燃焼量を制御する。次のステップS34において、暖房がONとなっている場合には、給湯需要の有無を判断するステップS35に移行する。暖房がOFFになっていると判断された場合には、ステップS41に移行して、ポンプP1を停止し、運転を終了する。
ステップS35において、給湯需要がある場合には、ステップS36に移行し、温度センサTH1の検知値が温度A以上である場合には、さらにステップS37に移行する。ステップS37においては、第1燃焼機141がOFFとなり、切替弁V1が熱交換器側に、切替弁V3が給湯側に切り替えられ、ポンプP2がONとなる。これによって、貯湯タンク101からの温水を利用した暖房用水の加熱と、熱交換器102からの温水を利用した給湯とが開始される。高温暖房の要求温度に応じて温度G(60〜90℃)を設定し、ステップS38では、温度センサTH4の検知値が温度Gとなるように、ポンプP2が制御され、ステップS39に移行する。ステップS35において、給湯需要が無い場合には、ステップS33に戻る。
ステップS39で、温度センサTH1の検知値が温度Bより低い場合や、給湯需要が無くなり、給湯OFFと判断された場合には、ステップS40に移行する。ステップS40では、ステップS37と逆の操作によって貯湯タンク101の温水を利用した暖房用水の加熱が停止されて第1燃焼機141による暖房用水の加熱が開始され、ステップS33に戻る。ステップS39において、温度センサTH1の検知値が温度B以上、かつ、給湯需要がある場合には、熱交換器102からの温水を利用した給湯が継続される。
本実施例においては、温度A=90℃、温度B=85℃、温度E=80℃、温度G=80℃として運転制御を実施している。これによれば、貯湯タンク101から熱交換器102に入る温水の温度が90℃の場合、熱交換器102を通過した後の温水の温度は65℃程度となる。暖房端末復路161の暖房用水の温度は60℃程度となり、熱交換器102を通過した後の暖房用水の温度は80℃程度となる。給湯温水経路134を流れる温水の温度は70℃程度になり、合流部175において10℃の上水と混合される。貯湯タンク101へは、混合器146によって、10℃の上水が流入し、貯湯タンク101の最下部の水温は上水と同程度の10℃程度となる。
上記のとおり、高温暖房時に給湯需要が発生した場合には、例えば、熱交換器102から切替弁V3に戻る65℃程度の温水を給湯用水として利用することができる。同時に、貯湯タンク101の下部には10℃程度の上水を供給できるため、ヒートポンプユニット12を高効率で運転することができる。高温暖房時には熱交換器102から戻る温水温度が特に高くなるため、これを貯湯タンク101に戻すと、貯湯タンク101からヒートポンプユニット12に供給される水の温度が高くなり過ぎてヒートポンプユニット12を運転できなくなる場合もある。本実施例によれば、給湯需要が発生した場合には、高温暖房においてもヒートポンプユニット12を効率よく運転することが可能となる。
また、本実施例のように、ヒートポンプユニット12において冷媒としてCO2を用いている場合には、沸き上げ温度を90℃程度にすることも可能であるため、暖房用水を加熱する第1燃焼機141を利用することなく高温暖房と給湯との同時運転を実施することができる。例えば、風呂の湯はり(給湯)を行いながら、風呂場や脱衣室の温風暖房(高温暖房)を行うような場合にも、ヒートポンプユニット12を有効に利用できる。
(低温暖房+高温暖房運転+給湯)
高温暖房と低温暖房との同時運転時に、給湯需要が発生した場合の本実施例における運転制御について、図5のフローチャートを用いて説明する。尚、図4に示した高温暖房と給湯を同時に行う場合と大部分が共通しているので、共通部分は説明を省略する。
ステップS51において低温暖房運転、高温暖房運転が開始されると、ステップS52に移行する。ステップS52〜S56およびS61は、図4のステップS32〜S36およびS41と同様であるので、説明を省略する。
ステップS57においては、第1燃焼機141が運転され続ける点がステップS37と相違している。低温暖房端末往路165には、シスターン150からの暖房用水が直接流入し、高温暖房端末往路164には、第1燃焼機141によって加熱された暖房用水が流入する。ステップS53における制御が継続しており、第1燃焼機141は、温度センサTH6の検知値が温度Eとなるように制御されている。続くステップS58においては、温度センサTH4の検知値が、低温暖房の要求温度に応じて設定された温度Fとなるように、ポンプP2が制御される点において、ステップS38と相違している。
続くステップS59では、ステップS39と同様の判断が行われ、温度センサTH1の検知値が温度Bより低い場合や、給湯需要が無くなり、給湯OFFと判断された場合には、ステップS60に移行する。ステップS60では、ステップS57と逆の操作が行われ、ステップS53に戻る。ステップS59において、温度センサTH1の検知値が温度B以上、かつ、給湯需要がある場合には、熱交換器102から戻る温水を利用した給湯が継続される。
本実施例においては、温度A=70℃、温度B=65℃、温度E=80℃、温度F=60℃として運転制御を実施している。これによれば、貯湯タンク101から熱交換器102に入る温水の温度はが90℃である場合、熱交換器102を通過した後の温水の温度は55℃程度となる。暖房端末復路161の暖房用水の温度は50℃程度となり、熱交換器102を通過した後の暖房用水の温度は60℃程度となる。給湯温水経路134を流れる温水の温度は60℃程度になり、合流部175において10℃の上水と混合される。貯湯タンク101へは、混合器146によって、10℃の上水が流入し、貯湯タンク101の最下部の水温は上水と同程度の10℃程度となる。
上記のように、低温暖房、高温暖房を同時に運転している時に給湯需要が発生した場合には、例えば、熱交換器102から切替弁V3に戻る55℃程度の温水を給湯用水として利用することができる。同時に、貯湯タンク101の下部には10℃程度の上水を供給できるため、ヒートポンプユニット12を高効率で運転することができる。
以上、本実施例によれば、給湯と暖房の同時運転時には、貯湯タンクの温水は、暖房端末復路の暖房用水と熱交換した後、給湯機構に供給される低温の上水と混合されて給湯端末に供給されるため、貯湯タンクに戻される温水の熱エネルギーを給湯機構で有効利用できる。貯湯タンクの下部には、給湯機構に供給された貯湯タンクの温水に応じて上水が供給されるため、貯湯タンク下部の水温を低く維持することができる。これによって、貯湯タンク下部からヒートポンプユニットに送られる水の温度も低く維持することが可能であるから、ヒートポンプユニットを高効率で運転することができる。ヒートポンプと燃焼機とを熱源として備えたハイブリッド式の給湯暖房装置において、低コスト熱源であるヒートポンプを有効利用できるため、低コスト運転を実現することができる。
また、本実施例では、給湯需要の有無および貯湯タンクに貯えられた水の水温に基づいて切替弁を操作し、適宜、熱媒を加熱する燃焼機を運転することができるため、温水温度および温水量が確保され、湯切れの発生を防止でき、安定的に運転制御を実施することができる。
尚、本実施例においては、CO2を冷媒として用いた場合について説明したが、ヒートポンプユニットで加熱する水の入口温度を低くすれば、ヒートポンプユニットの効率が向上することは、フロン系冷媒等の他の冷媒についても同様である。ヒートポンプユニットの効率向上に寄与し、ハイブリッド式の給湯暖房装置の低コスト運転が可能である。
実施例1においては、貯湯タンクに貯えられた水を給湯用水に用いる場合について説明したが、実施例2に示すように、貯湯タンクに貯えられた水を暖房用水(熱媒)として用いる場合においても、本発明を有効に実施することができる。
図6は、実施例2に係る給湯暖房装置2を示す図である。給湯暖房装置2は、タンクユニット21、ヒートポンプユニット22、ガス熱源ユニット23、および各ユニットを制御する制御装置(図示しない)を備えている。
タンクユニット21は、貯湯タンク201、貯湯タンク201の上部に設置されるシスターン250を備えている。貯湯タンク201は開放式であり、ヒートポンプユニット22によって加熱された暖房用水を貯える。貯湯タンク201の上部には、暖房温水往路230と接続する導出口211、給湯温水経路234と接続する導出口212、ヒートポンプユニット22からの温水が流入する導入口218が設けられている。貯湯タンク201の中央部には、第1暖房温水復路231と接続する導入口215が設けられている。貯湯タンク201の底部には、給湯温水復路235と接続する導入口216、ヒートポンプユニット22に貯湯タンク201下部の水を送る導出口217が設けられている。第3暖房温水復路233と接続する切替弁V5は、暖房用水の流路を、第1暖房温水復路231と、第2暖房温水復路232との何れかに切り替えることができる。第2暖房温水復路232は合流部274において給湯温水経路234と接続しており、給湯温水復路235には、暖房用水を循環させるポンプP6が設けられている。
ヒートポンプユニット22は、実施例1に係るヒートポンプユニット12と同様の構成であるため、説明を省略する。
ガス熱源ユニット23は、暖房機構を構成する第1燃焼機241、高温暖房端末(図示しない)、低温暖房端末(図示しない)、混合弁V4、ポンプP7と、給湯用水を加熱する第2燃焼機242と、給湯機構を構成する熱交換器275、給湯路244、上水路245、混合器246と、追い焚き機構を構成する追い焚き用熱交換器243等を備えている。
混合弁V4には、暖房温水往路230から貯湯タンクの温水(暖房用水)が流入するとともに、暖房機構を構成する暖房端末復路261からの暖房用水の一部が流入する。混合弁V4の下流側の暖房端末往路260には、温度センサTH8が設けられており、暖房の要求温度に応じて設定された目標温度と温度センサTH8の検知値に基づいて混合弁V4が制御される。混合弁V4で合流した暖房用水は、分岐部271において高温暖房端末往路264と低温暖房端末往路265に分流される。高温および低温暖房端末を通過後の暖房用水は、暖房端末復路261から、分岐部272に至る。分岐部272において、暖房用水の一部は混合弁V4に送られる。残りの暖房用水は、暖房機構を構成する第3暖房温水復路233から切替弁V5に送られる。上記のとおり、混合弁V4から送られる暖房用水は、暖房機構を循環して、一部は混合弁V4に戻り、その残りは暖房機構から切替弁V5に戻される。
切替弁V5が第1暖房温水復路231側に接続されている場合には、暖房用水は貯湯タンク201中央部の導入口215に戻される。切替弁V5が第2暖房温水復路232側に接続されている場合には、暖房用水は、合流部274において給湯温水経路234を流れる貯湯タンク201からの温水と合流し、給湯機構を構成する熱交換器275を通過して給湯用水を加熱した後、貯湯タンク201底部の導入口216に戻される。熱交換器275において給湯用水と熱交換されるため、切替弁V5を第1暖房温水復路231側に接続して暖房用水を貯湯タンク201に直接戻す場合よりも、低い温度の暖房用水を貯湯タンク201に戻すことができる。
切替弁V5は、給湯需要が無い場合には第1暖房温水復路231側に接続し、給湯需要がある場合には第2暖房温水復路232側に接続するように制御することで、暖房機構からの温水を給湯用水の加熱に利用することができる。また、実施例1と同様に、給湯需要があっても、貯湯タンク201内の温水温度が低くなった場合には、切替弁V5を第1暖房温水復路231側に切り替えるようにすることもできる。
熱交換器275では、給湯温水経路234から供給される暖房用水によって上水路245から送られる上水が加熱され、給湯路244から給湯用水として供給される。熱交換器275の給湯用水側の出口流路には、温度センサTH7が設けられており、温度センサTH7の検知値に基づいて、タンクユニット21のポンプP6を制御し、熱交換器275での熱交換量を調整することができる。切替弁V6を切り替えることで、熱交換器275によって加熱された給湯用水を第2燃焼機242に送り、さらに加熱することもできる。
上記のように、貯湯タンクに暖房機構を循環させる暖房用水を貯える場合においても、切替弁によって、暖房機構からの温水の流路を貯湯タンクに戻す第1暖房温水復路と、暖房機構からの温水を給湯温水経路の給湯機構より上流側に供給する第2暖房温水復路との何れかに切り替えることができる。給湯機構に供給される水は、給湯機構に設けられた熱交換器を通過し、暖房用水によって加熱された後に給湯される。これによって、貯湯タンクに戻される温水(暖房用水)の熱エネルギーを給湯用水の加熱に利用することができる。また、貯湯タンクに戻される暖房用水(温水)の温度を低くすることができ、貯湯タンク下部の水温を低く維持できるため、ヒートポンプユニットで加熱する水の温度も低く維持され、ヒートポンプを高効率で運転できる。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。