JP2005017250A - Icp分析方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】試料溶液にHFを添加しないと溶解しない試料におけるホウ素またはホウ素を含む複数の成分を樹脂製のスプレーチャンバを用いて分析する場合において、それらの成分を精度よく分析するICP分析方法を提供すること。
【解決手段】フッ化水素酸共存試料溶液を樹脂製のスプレーチャンバ1を介してプラズマトーチに供給し、前記試料溶液13中のホウ素またはホウ素を含む元素を分析するICP分析方法において、前記スプレーチャンバ1に供給される標準溶液と試料溶液14または洗浄液14の少なくともいずれかに、前記スプレーチャンバ1の内壁の濡れ性を向上させるための表面張力を小さくさせる薬剤を添加する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、誘導結合高周波プラズマ放電を利用して測定対象である試料溶液の成分元素を分析するICP分析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開平9−318538号公報
従来より、ICP分析方法の一つとして、ICP(高周波誘導結合プラズマ)によるプラズマ発光を用いて分析対象である試料溶液の成分元素を分析するICP発光分光分析方法が知られている。このようなICP発光分光分析装置においては、プラズマトーチに分析対象の試料溶液を供給するのに、プラズマトーチの前段にネブライザを備えたスプレーチャンバを設け、試料溶液をネブライザによってスプレーチャンバ内に吹き付けて霧化し、この霧化された試料溶液を選別してプラズマトーチに試料として供給している。
【0003】
ところで、Ti(チタン)、Zr(ジルコニウム)、Nb(ニオブ)やこれらの酸化物を含有する試料は、通常の溶媒には溶けにくいため、これらの物質を含む試料溶液にHF(フッ化水素酸またはフッ酸)を加えることによって溶解する。しかしながら、このHF共存試料溶液は、ガラスを冒しやすいため、このHF共存試料溶液中の成分(元素)をICP発光分光分析装置によって分析する場合、従来より、ネブライザを含むスプレーチャンバやシースガス部などシステムを構成する主たる構成部材を樹脂(ポリマー)製のものによって構成している。
【0004】そして、前記HF共存試料溶液を樹脂(ポリマー)製のICP発光分光分析装置によって分析する場合、まず、数点の標準溶液をスプレーチャンバなどを介してプラズマトーチに供給し、ここで発光した光を分光器を通してそれぞれの元素スペクトルに分離して測定し、検量線を作成する。次いで、前記スプレーチャンバ等を蒸留水で30秒程度洗浄し、前記HF共存試料溶液をスプレーチャンバなどを介してプラズマトーチに供給し、標準溶液における場合と同様にして定量分析を行うのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述のように、樹脂製のスプレーチャンバを用いた場合、次のような不都合があることが分かった。すなわち、スプレーチャンバ等システムを構成する主たる部材が樹脂製であるため、水溶液に対する濡れ性が小さく、スプレーチャンバ内壁に液滴が生じやすく、ドレイン溶液が排出されにくく、そのため、洗浄が不十分となるとともに、例えば、ネブライザの試料ノズルからスプレーチャンバ内に噴射されて当該スプレーチャンバ内において霧化した試料(霧化試料)がプラズマトーチ方向へ導出される量にバラツキが生じ、その結果、発光強度にバラツキが生じ、下記表1に示すように、測定精度にバラツキが生ずることがあった。
【0006】
【表1】
Figure 2005017250
表中の数字は%である。
【0007】前記表1は、HF共存試料溶液を、2〜3時間内に適宜の時間をおいて複数回(10回)測定したときにおける成分(元素)ごとの測定結果のバラツキを示すもので、2日間の結果を示している。各元素共、通常のガラスよりなるシステムの場合における相対標準偏差が1%以下であるのに対し、前記樹脂製のシステムの場合、相対標準偏差が概ね1%を超えている。
【0008】そして、特に、前記樹脂製のスプレーチャンバを用いて、前記HF共存試料溶液中に含まれるホウ素やホウ素を含む元素を測定した場合、スプレーチャンバ内に低沸点化合物であるBFが生成して、これがスプレーチャンバの内壁に液滴を形成し、洗浄によっても確実かつ速やかに排出されないとともに、前記霧化試料のプラズマトーチ方向への導出量にBFがとびだしてくるので、バラツキが生じ、その結果、ホウ素の発光強度にもバラツキが生じ、測定精度が低下することがあった。
【0009】ところで、水溶性の有機性試料(例えば、洗髪用のリンスなど)や高塩濃度の試料を分析する場合、スプレーチャンバとしてはガラス製であっても樹脂製であってもよいが、発明者らの研究によると、これら有機性試料や高塩濃度試料の分析を行う場合、以下のような問題があることを見出した。
【0010】すなわち、前記水溶性の有機性試料をネブライザの試料ノズルからスプレーチャンバ内に噴射すると、有機性試料中に含まれる有機物質がスプレーチャンバ内において析出し、この有機析出物がスプレーチャンバ内壁に付着するので、これに基づいてスプレーチャンバ内の霧に乱れが生じること、有機析出物の発生が必ずしも一定でないことから、霧化試料のプラズマトーチ方向への導出量にバラツキを生じ、その結果、目的とする元素の発光強度にバラツキが生じ、測定精度が低下することがあった。
【0011】また、前記高塩濃度試料をネブライザの試料ノズルからスプレーチャンバ内に噴射すると、当該噴射によって高塩濃度試料が霧化される際、ネブライザに対して供給される乾燥アルゴンによって高塩濃度試料から水分が奪われ、ネブライザの出口付近に塩に基づく結晶が析出し、その結果、ネブライザによる吸い込み量が変動し、霧化試料のプラズマトーチ方向への導出量が一定にならず、その結果、目的とする元素の発光強度にバラツキが生じ、測定精度が低下することがあった。
【0012】上述のように、ICP分析方法によって分析される試料は多岐にわたり、分析対象の試料とその分析に用いる装置、特に、ネブライザやスプレーチャンバなどの装置部品の材質との組み合わせによっては、その分析精度が低下するといったことが生ずる。
【0013】なお、上述のような課題は、例えばICP質量分析装置など他のICP分析装置においても同様に生じているところである。
【0014】この発明は、上述の事柄に留意してなされたもので、その第1の目的は、試料溶液にHFを添加しないと溶解しない試料におけるホウ素またはホウ素を含む複数の成分を樹脂製のスプレーチャンバを用いて分析する場合において、それらの成分を精度よく分析するICP分析方法を提供することであり、その第2の目的は、例えば、水溶性の有機性試料溶液や高塩濃度試料溶液といった試料溶液をガラス製または樹脂製のスプレーチャンバを用いて分析する場合において、それらの成分を精度よく分析するICP分析方法を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成するため、この発明では、フッ化水素酸共存試料溶液を樹脂製のスプレーチャンバを介してプラズマトーチに供給し、前記試料溶液中のホウ素またはホウ素を含む元素を分析するICP分析方法において、前記スプレーチャンバに供給される標準溶液と試料溶液または洗浄液の少なくともいずれかに、前記スプレーチャンバの内壁の濡れ性を向上させるための表面張力を小さくさせる薬剤を添加することを特徴としている(請求項1)。
【0016】また、上記第1の目的を達成するため、この発明では、試料溶液をガラス製または樹脂製のスプレーチャンバを介してプラズマトーチに供給し、前記試料溶液中の元素を分析するICP分析方法において、前記スプレーチャンバに供給される標準溶液と試料溶液または洗浄液の少なくともいずれかに、前記スプレーチャンバの内壁の濡れ性を向上させるための表面張力を小さくさせる薬剤を添加することを特徴としている(請求項2)。
【0017】そして、前記請求項1に記載のICP分析方法においては、例えば、スプレーチャンバに供給される洗浄液に界面活性剤を添加し、この界面活性剤を添加した洗浄液によってスプレーチャンバの内壁やネブライザの内部流路を洗浄するのである。これによって、スプレーチャンバやネブライザが樹脂製であっても、その内壁や内部流路に界面活性剤の薄膜が形成されることによって、前記内壁等における濡れ性が向上し、スプレーチャンバ内壁等に液滴が殆ど生じなくなるので、スプレーチャンバ等の内部を確実に洗浄することができる。したがって、洗浄後にスプレーチャンバ等の内部にBFなどの低沸点化合物が残留することがなくなり、霧化試料のプラズマトーチ方向への導出が安定に行われ、したがって、プラズマトーチにおける発光が安定に行われることにより、安定した測定精度が得られる。
【0018】また、前記請求項2に記載のICP分析方法においては、例えば、スプレーチャンバに供給される洗浄液に界面活性剤を添加し、この界面活性剤を添加した洗浄液によってスプレーチャンバの内壁やネブライザの内部流路を洗浄するのである。これによって、スプレーチャンバやネブライザが樹脂製またはガラス製のいずれであっても、その内壁や内部流路に界面活性剤の薄膜が形成されることによって、前記内壁等における濡れ性が向上する。そして、スプレーチャンバに供給される試料が有機性試料である場合(請求項4)、試料溶液や標準溶液に界面活性剤を加えると、当該試料中に含まれる有機物質を含んだ溶液の霧が界面活性剤の膜に包まれるため、スプレーチャンバ内において有機物が析出することがないので、有機物質がスプレーチャンバ内壁に付着したり、これに基づくスプレーチャンバ内における霧の発生が防止され、霧化試料のプラズマトーチ方向への導出が安定に行われ、プラズマトーチにおける発光が安定に行われることにより、安定した測定精度が得られる。また、スプレーチャンバに供給される試料が高塩濃度試料である場合(請求項5)、界面活性剤が霧粒子を小さくしかつ当該霧粒子を薄膜で被覆するため、高塩濃度試料中の水分が飛ばなくなり、塩に基づく結晶の析出が防止される。したがって、霧化試料のプラズマトーチ方向への導出が安定に行われ、プラズマトーチにおける発光が安定に行われることにより、安定した測定精度が得られる。
【0019】なお、前記界面活性剤を洗浄液に加えるのに代えて、標準溶液と試料溶液の双方に添加してもよい。つまり、前記界面活性剤を洗浄液に加えない場合は、標準溶液と試料溶液の双方に添加する。そして、前記界面活性剤をこれらの洗浄液、標準溶液と試料溶液の全てに添加してもよい。さらに、界面活性剤に代えて、表面張力の小さいアルコール類を添加してもよい(請求項3)。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、この発明の詳細を、図を参照しながら説明する。図1は、この発明のICP分析方法を実施するためのICP発光分光分析装置の構成を概略的に示すものである。この図において、1はスプレーチャンバで、その前段にはネブライザ2が連設されている。このネブライザ2は、互いに同心配置された試料ノズル2aとキャリアガスノズル2bとを有し、ネブライザアダプタ3に装着され、このネブライザアダプタ3がスプレーチャンバ1の流入側に着脱自在に取り付けられている。
【0021】そして、スプレーチャンバ1は、その内部に霧状試料を選別するための筒状または末広がり状の選別部材4が設けられているとともに、その上部壁面にはネブライザ2の試料ノズル2aから噴射されて霧化した試料(霧化試料)を導出する霧化試料導出口5が形成され、この霧化試料導出口5には接続管6を介して後述するプラズマトーチ19の試料流路20が接続されている。また、スプレーチャンバ1の底部の排出側には排出口7が形成され、この排出口7にはほぼS字形状のドレイン管8が接続され、スプレーチャンバ1内の底部に溜まった不要な液はドレイン管8を介して廃液(ドレイン液)9として廃液容器10に排出される。
【0022】11,12はネブライザ2側に並設される試料容器および洗浄液容器で、それぞれ試料溶液13および洗浄液14が収容されている。そして、15は一端が試料ノズル2aの試料流入側に接続され、途中にペリスタポンプ16を備えた可撓性のチューブよりなる液供給路で、この液供給路15の他端側を試料容器11、洗浄液容器12に択一的に挿入した状態で、ペリスタポンプ16を動作させることにより、試料溶液13および洗浄液14のいずれかを択一的にネブライザ2に供給できるようにしてある。なお、17はネブライザ2のキャリアガスノズル2bにキャリアガス18を導入するための導入部である。
【0023】そして、前記スプレーチャンバ1やネブライザ2など試料溶液13が通過しこれと接触する部分を有する各部材は、前記試料溶液13中に存在するHFに冒されにくい高分子樹脂より構成されている。
【0024】19はスプレーチャンバ1の上方に立設されるプラズマトーチで、キャリアガス7とともに霧状試料20が流れる試料流路21と、補助ガスが流れる補助ガス流路22と、冷却ガスが流れる冷却ガス流路23とが、この順に内から外に同心配置されるとともに、冷却ガス流路23の先端部近傍の外周には高周波電源(図示していない)に接続された誘導コイル24が周設されており、この誘導コイル24による高周波磁界によってプラズマトーチ19に供給される試料がプラズマ化し、プラズマ発光する。ここで発光した光は、分光器(図示していない)を通してそれぞれの元素スペクトルに分離して測定される。
【0025】上記ICP発光分光分析装置を用いて、HF共存試料溶液中のCrなど複数の金属元素(成分)を定量分析する場合について説明する。今、試料溶液13として、溶媒に濃度3%のHFを添加したHF共存試料溶液13を用いるとともに、洗浄液14として蒸留水に適宜濃度の界面活性剤(例えば、トリトンX100(商品名)を添加したものを用い、それぞれ、試料容器11および洗浄液容器12内に収容する。
【0026】そして、前記HF共存試料溶液13の測定に先立って検量線の作成を行う。すなわち、標準溶液を収容した標準試料容器(図示していない)を、液供給路15を介してネブライザ2に接続し、ネブライザ2にキャリアガス18を供給している状態においてペリスタポンプ16を動作させることにより、数点の標準溶液をネブライザ2を介してスプレーチャンバ1内に噴霧されるように導入し、このときの噴霧標準試料をプラズマトーチ19に供給し、ここで発光した光を分光器を通してそれぞれの元素スペクトルに分離して測定して検量線を作成する。
【0027】次いで、ネブライザ2に液供給路15を介して、界面活性剤を添加した洗浄液14を収容した洗浄液容器12を接続し、ネブライザ2にキャリアガス18を供給している状態においてペリスタポンプ16を動作させることにより、洗浄液14をネブライザ2を介してスプレーチャンバ1に30秒程度供給する。このとき、洗浄液14は、ネブライザ2の内部流路を洗浄するとともに、ネブライザ2から噴霧状態でスプレーチャンバ1内に供給され、これによってスプレーチャンバ1内壁を隈なく洗浄する。この洗浄に供された洗浄液14は、排出口7およびドレイン管8を経て廃液9として廃液容器10に排出される。これにより、スプレーチャンバ1の内壁およびネブライザ2の内部流路が洗浄される。
【0028】そして、前記洗浄後、ネブライザ2に液供給路15を介して、溶媒に3%のHFを添加したHF共存試料溶液13を収容した試料容器11を接続し、ネブライザ2にキャリアガス18を供給している状態においてペリスタポンプ16を動作させることにより、前記HF共存試料溶液13を供給すると、このHF共存試料溶液13は、スプレーチャンバ11内に噴霧供給され、所定の粒径以下の噴霧試料20がプラズマトーチ19に供給され、標準溶液における場合と同様にして、HF共存試料溶液13中の成分の定量分析が行われる。
【0029】そして、前記HF共存試料溶液13の測定が完了すると、ネブライザ2に洗浄液容器12を接続し、上述と同様に、洗浄液14を供給することによりスプレーチャンバ1の内壁およびネブライザ2の内部流路を洗浄し、次の試料溶液の測定に備える。
【0030】上述のように、上記実施の形態においては、ネブライザ2を介してスプレーチャンバ1内に界面活性剤を添加した洗浄液14を供給しているので、スプレーチャンバやネブライザが樹脂製であっても、その内壁や内部流路に界面活性剤の薄膜が形成されることによって、前記内壁等における標準試料やHF共存試料溶液13の濡れ性が向上し、スプレーチャンバ1の内壁等に液滴が殆ど生じなくなり、スプレーチャンバ1内において霧化した試料(霧化試料)がプラズマトーチ19方向に安定して導出されようになり、その結果、発光強度が安定し、測定精度が安定する。また、標準試料やHF共存試料溶液13を用いた分析の後に、洗浄液14をネブライザ2を介してスプレーチャンバ1内に噴霧供給してスプレーチャンバ1内等を洗浄するに際しても、当該洗浄液14の前記内壁等における濡れ性が向上し、したがって、前記内壁等を確実に洗浄することができるとともに、洗浄液14のスプレーチャンバ1からの排出が確実に行われる。したがって、前の測定に用いた試料等に起因したコンタミネーションが確実に防止される。
【0031】下記表2は、上述した界面活性剤を添加した洗浄液14を用いてHF共存試料溶液13を、2〜3時間内に適宜の時間をおいて複数回(2回)測定したときにおける成分ごとの測定結果のバラツキを示すものである。
【0032】
【表2】
Figure 2005017250
表中の数字は%である。
【0033】上記表2から、この発明のICP分析方法によれば、各元素についての相対標準偏差が1%以下というように、従来のICP分析方法に比べて2〜8倍も改善されていることが分かる。
【0034】上述の実施の形態においては、樹脂製スプレーチャンバ1等を用いて、HF共存試料溶液13中の複数の成分を分析していたが、この発明は、これに限られるものではなく、樹脂製またはガラス製のスプレーチャンバ1等を用いて、例えば、洗髪用のリンスなど水溶性の有機性試料を分析したり、塩分濃度が高い高塩濃度試料を分析する場合にも同様に適用することができる。
【0035】下記表3は、ガラス製のスプレーチャンバ1等を用いて、高塩濃度試料を分析したときに得られたデータを示すものである。すなわち、9%KSO中のCu(銅)を、界面活性剤を添加しない洗浄液14を用いた測定(比較例)と、適宜濃度の界面活性剤を添加した洗浄液14を用いた測定(実施例)とを、それぞれ5回行ったときにおける信号強度とその標準偏差を併記して示すものである。
【0036】
【表3】
Figure 2005017250
【0037】上記表3から、前記比較例においては信号強度のバラツキが大きいが、前記実施例では前記バラツキが小さく、1/10以下に改善されていることが分かる。これは、洗浄液14に添加されている界面活性剤がスプレーチャンバ1内における霧粒子を小さくしかつ当該霧粒子を薄膜で被覆して、高塩濃度試料中の水分の飛散が効果的に防止され、その結果、塩分に基づく結晶の析出が防止され、霧化試料のプラズマトーチ19方向への導出が安定に行われ、プラズマトーチ19における発光が安定に行われることにより、安定した測定が行われるためであると考えられる。
【0038】なお、上述した各実施の形態においては、適宜濃度の界面活性剤を洗浄液14に添加しているが、これに代えて、前記界面活性剤を、標準溶液とHF共存試料溶液13の双方に添加してもよく、また、前記界面活性剤を、標準溶液、HF共存試料溶液13および洗浄液14の全てに添加してもよい。
【0039】また、前記界面活性剤に代えてアルコール類を用い、標準溶液、HF共存試料溶液13および洗浄液14の表面張力を小さくさせるようにしてもよい。さらに、前記洗浄液14として適宜濃度の酸溶液を用いてもよい。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、この発明のICP分析方法においては、スプレーチャンバに供給される標準溶液と試料溶液または洗浄液の少なくともいずれかに、前記スプレーチャンバの内壁の濡れ性を向上させるための表面張力を小さくさせる薬剤を添加するようにしているので、スプレーチャンバやネブライザがガラス製のときは勿論のこと、樹脂製であっても、標準試料、試料溶液および洗浄液に対する濡れ性が向上する。
【0041】そして、標準試料や試料溶液等に対するスプレーチャンバ内の濡れ性が向上することにより、これらの試料をそれぞれ霧化したときの霧化試料がプラズマトーチ方向へ確実に導出され、その結果、プラズマトーチにおける発光が安定し、安定した測定精度が得られる。また、スプレーチャンバ内の洗浄液に対する濡れ性が向上することにより、スプレーチャンバ等の内部を確実に洗浄することができ、前の測定において用いた試料等に起因するコンタミネーションが確実に防止される。これらの相乗的効果により、従来に比べて測定精度の高い測定結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のICP分析方法を実施するためのICP発光分光分析装置におけるスプレーチャンバおよびその近傍の構成を概略的に示す図である。
【符号の説明】1…スプレーチャンバ、13…試料溶液、14…洗浄液、19…プラズマトーチ。

Claims (5)

  1. フッ化水素酸共存試料溶液を樹脂製のスプレーチャンバを介してプラズマトーチに供給し、前記試料溶液中のホウ素またはホウ素を含む元素を分析するICP分析方法において、前記スプレーチャンバに供給される標準溶液と試料溶液または洗浄液の少なくともいずれかに、前記スプレーチャンバの内壁の濡れ性を向上させるための表面張力を小さくさせる薬剤を添加することを特徴とするICP分析方法。
  2. 試料溶液をガラス製または樹脂製のスプレーチャンバを介してプラズマトーチに供給し、前記試料溶液中の元素を分析するICP分析方法において、前記スプレーチャンバに供給される標準溶液と試料溶液または洗浄液の少なくともいずれかに、前記スプレーチャンバの内壁の濡れ性を向上させるための表面張力を小さくさせる薬剤を添加することを特徴とするICP分析方法。
  3. 表面張力を小さくさせる薬剤が界面活性剤またはアルコール類である請求項1または2に記載のICP分析方法。
  4. 試料が有機性試料である請求項2に記載のICP分析方法。
  5. 試料が高塩濃度試料である請求項2に記載のICP分析方法。
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