JP2002168855A - 無機ガラス試料の溶液化方法、および無機ガラス試料の定量分析方法 - Google Patents
無機ガラス試料の溶液化方法、および無機ガラス試料の定量分析方法Info
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Abstract
機ガラス試料に、酸性溶液と、酸化ケイ素が[Si
F6 2-]錯体を形成するためのフッ素イオンを酸化ケイ素
のモル数の6倍量から12倍量の範囲で含有するととも
に、酸化ホウ素が[BF4 -]錯体を形成するためのフッ素
イオンを酸化ホウ素のモル数の8倍量から16倍量の範
囲で含有するフッ化水素酸とを添加して、密閉系で加熱
した後、放冷して試料溶液を得る。 【効果】無機ガラス試料を1回の密閉系で加熱するだけ
で、無機ガラス試料中の成分を一斉に定量分析できる試
料溶液を得ることができ、短時間で効率良く無機ガラス
試料を溶液化することができる。
Description
ケイ素および酸化ホウ素を主成分とする無機ガラスを含
有する無機ガラス試料を試料溶液とするための無機ガラ
ス試料の溶液化方法、および無機ガラス試料中の成分を
定量分析する無機ガラス試料の定量分析方法に関するも
のである。
には関係なく、用途や目的に応じて任意の酸化物を混
合、熔融して得られることから、様々な組成を持つもの
である。このような無機ガラスは、セラミック電子部品
の分野において、電極を形成するための導電性ペースト
に含有させたり、セラミック素体を被覆するための絶縁
性ペーストとして用いられている。したがって、無機ガ
ラスは、セラミック電子部品の電気的特性や機械的特性
等に大きな影響を与えるものであり、無機ガラスと諸特
性との関係を明確にするために、無機ガラスの組成を主
成分から微量成分まで精度良く定量分析することが必要
とされている。
は、特開平11−287761号公報に開示されている
金属元素の定量法がある。この金属元素の定量法には、
各種化粧品、香粧品、洗浄剤、医薬部外品、医薬品、農
薬等に含有する金属元素を定量分析することが開示され
ており、具体的に次のような手順で行われる。試料で
ある無機物及び/または金属含有有機物を含有し、かつ
これらの物質以外に界面活性剤、天然・合成高分子化合
物、各種油剤、有機溶剤を含む試料に、pKa2以下の
強酸を添加して密閉系でマイクロ波を照射する。フッ
化水素酸を添加して密閉系でマイクロ波を照射する。
ホウ酸を添加して密閉系でマイクロ波を照射する。高
周波誘導、結合プラズマ発光分光分析法(ICP−AE
S)や原子吸光分光分析法(AAS)等の常法で定量分
析を行う。すなわち、3段階のマイクロ波照射後に試料
溶液を得ることができ、この試料溶液を用いて定量分析
を行うことにより数多くの金属元素の一斉に定量可能と
なり、例えばAl,Si,Ca,Ti,Ba,Fe,M
g,Zn,As,S,P,K,Na等が一斉に定量分析
できる。
た金属元素の定量法では、試料中の数多くの金属元素を
一斉に定量可能とする試料溶液を得るために、3段階の
マイクロ波照射を行う必要であり、長時間を要し、作業
効率が悪い。
ウ素を添加して密閉系でマイクロ波を照射するために、
酸化ホウ素を含有する無機ガラス試料では、ホウ素量を
精度良く定量化することができなくなってしまう。すな
わち、無機ガラス試料中にはホウ素が含有されているの
で、試料溶液を得るためにホウ素を添加すればその分だ
け無機ガラス試料中のホウ素を増加させることになり、
無機ガラス中のホウ素を精度良く定量化できなくなる。
めになされたものであり、無機ガラス試料中の組成を、
主成分から微量成分まで高精度に定量分析するための無
機ガラス試料の溶液化方法および無機ガラス試料の定量
分析方法を提供するものである。
ラス試料に含有される酸化ケイ素以外はフッ化水素酸が
存在しなくても溶解すること、またフッ素イオンが存在
する場合には、酸化ケイ素および酸化ホウ素がフッ素イ
オンと錯体を形成し、しかもその錯体が無機ガラス試料
中の他の成分とフッ素イオンが難溶性のフッ素化合物を
生成させる前に形成されることを見出した。そして、こ
の知見に基づき種々検討した結果、無機ガラス試料に酸
性溶液とフッ化水素酸を添加して密閉系で加熱するとと
もに、酸化ケイ素および酸化ホウ素がそれぞれ[SiF
6 2-]錯体および[BF4 -]錯体を形成するためだけに
必要なフッ素イオンを含有する特定量のフッ化水素酸を
添加することで、無機ガラス試料の成分を一斉に定量可
能とする試料溶液を得られることがわかり、本発明をな
すに至った。
ガラス試料の溶液化方法は、酸化ケイ素を含有する無機
ガラス試料に、酸性溶液と、酸化ケイ素が[SiF6 2-]
錯体を形成するためのフッ素イオンを酸化ケイ素のモル
数の6倍量から12倍量含有するフッ化水素酸を添加し
て、密閉系で加熱した後、放冷して試料溶液を得ること
を特徴とする。
ス試料の溶液化方法は、酸化ケイ素および酸化ホウ素を
含有する無機ガラス試料に、酸性溶液と、酸化ケイ素が
[SiF6 2-]錯体を形成するためのフッ素イオンを酸化
ケイ素のモル数の6倍量から12倍量の範囲で含有する
とともに、酸化ホウ素が[BF4 -]錯体を形成するための
フッ素イオンを酸化ホウ素のモル数の8倍量から16倍
量の範囲で含有するフッ化水素酸を添加して、密閉系で
加熱した後、放冷して試料溶液を得ることを特徴とす
る。
ラス試料の定量分析方法は、本願発明の請求項1ないし
2記載の無機ガラス試料の溶液化方法によって得られた
試料溶液を用いて無機ガラス中の成分を定量分析するこ
とを特徴とする。
化方法および無機ガラス試料の定量方法に関するもので
あり、酸化ケイ素、酸化ケイ素および酸化ホウ素を主成
分とする無機ガラスやこの無機ガラスを含有するペース
ト等の無機ガラス試料の成分を一斉に定量可能とする試
料溶液を効率よく得ることができるとともに、得られた
試料溶液を用いて、ICP−AESやAAS等の分析法
で定量分析を行うものである。なお、無機ガラス試料
は、あらかじめ硝酸、過塩素酸の少なくとも1つを用い
たり、熱処理を行う等して、含有されている有機溶剤を
除去した方が好ましい。
収納した状態で、この密閉容器内に、硝酸、塩酸、硫酸
等から選択された少なくとも一種の酸性溶液と、無機ガ
ラス試料中に含有する酸化ケイ素、酸化ケイ素および酸
化ホウ素が、それぞれ[SiF6 2-]錯体、[SiF6 2-]錯
体および[BF4 -]錯体を形成するために必要なフッ素
イオンを含有する特定量のフッ化水素酸(HF)を添加
し、密閉系でマイクロ波照射を行った後、密閉容器内で
室温まで放冷し、得られた試料溶液を密閉容器から取り
出す。
酸が特に好ましく、王水等でもよい。また、酸性溶液の
添加量は、硝酸の場合、30%硝酸として無機ガラス試
料0.1gに対して5〜30ml、特に10〜25ml
が好ましい。
酸化ケイ素を含有する無機ガラス試料の場合には、酸化
ケイ素が[SiF6 2-]錯体を形成するためのフッ素イ
オンを酸化ケイ素のモル数の6倍量から12倍量含有す
るフッ化水素酸を添加する。また、酸化ケイ素および酸
化ホウ素を含有する無機ガラス試料の場合には、酸化ケ
イ素が[SiF6 2-]錯体を形成するためのフッ素イオ
ンを酸化ケイ素のモル数の6倍量から12倍量の範囲で
含有するとともに、酸化ホウ素が[BF4 -]錯体を形成
するためのフッ素イオンを酸化ホウ素のモル数の8倍量
から16倍量の範囲で含有するフッ化水素酸を添加す
る。したがって、酸化ケイ素を含有する無機ガラス試料
の場合には、酸化ケイ素が[SiF6 2-]錯体を形成す
るためのフッ素イオンを酸化ケイ素のモル数の6倍量含
有するフッ化水素酸を最低添加量とし、また酸化ケイ素
および酸化ホウ素を含有する無機ガラス試料の場合に
は、酸化ケイ素が[SiF6 2-]錯体を形成するための
フッ素イオンを酸化ケイ素のモル数の6倍量含有するフ
ッ化水素酸と酸化ホウ素が[BF4 -]錯体を形成するた
めのフッ素イオンを酸化ホウ素のモル数の8倍量含有す
るフッ化水素酸との和を最低添加量とし、この最低添加
量からこの最低添加量の2倍までの任意の量を添加する
ことができる。フッ化水素酸の添加量をこのような範囲
とする理由は、いずれの無機ガラス試料の場合も、酸化
ケイ素および酸化ホウ素を十分に溶解させることがで
き、酸化ケイ素および酸化ホウ素以外の他の成分とフッ
素イオンが難溶性のフッ素化合物を生成されなくなるか
らである。
水素酸を収納する密閉容器は、耐酸性、耐熱性、耐圧性
の樹脂で構成され、圧力開放機能を備えたものが好まし
く、例えばテフロン(登録商標)容器が用いられる。
波照射で良く、例えば2450+50MHzのマイクロ
波照射装置を用いれば良い。出力は特に限定されるもの
ではなく、通常250W〜600Wが好ましく、操作中
の突沸、高圧、高熱を防ぐため、圧力および温度コント
ロール可能な装置が好ましい。さらに、マイクロ波照射
時の圧力は、密閉状態で圧力を42psi以下、好まし
くは2回にわたり圧力を上げ、各段階で5分以上保持す
るのが好ましい。
するものに限定されるもではなく、密閉系で加熱処理を
行うものであれば同様の効果を得ることができる。
として、無機ガラス試料に含有されていない元素、例え
ばイットリウム、スカンジウム、ニオブ等を添加し、さ
らに超純水を加えて分析試料とした後、ICP−AES
やAAS等で定量分析を行う。
る酸化ケイ素、酸化ケイ素および酸化ホウ素が、それぞ
れ[SiF6 2-]錯体、[SiF6 2-]錯体および[BF4 -]
錯体を形成するために必要なフッ素イオンを含有する特
定量のフッ化水素酸を添加することによって、酸化ケイ
素等が不溶物として沈殿したり、酸化ケイ素および酸化
ホウ素以外の他の成分とフッ素イオンが難溶性のフッ素
化合物を生成されることを防止し、1回のマイクロ波照
射を行うだけで、無機ガラス試料中の成分を一斉に定量
分析できる試料溶液を得ることができ、ICP−AE
S、AAS等の常法の定量分析法によって、無機ガラス
試料中のケイ素、ホウ素、バリウム、カルシウム、スト
ロンチウム、ジルコニウム、チタン、ランタン、ナトリ
ウム、カリウム、リチウム等の成分が一斉に定量分析で
きる。
なお、詳述する実施例はあくまでの本願発明の一実施例
であって、本願発明はこれら実施例に何ら限定されるも
のではない。 (実施例1)酸化ケイ素および酸化ホウ素の含有量が、
それぞれ20wt%、11wt%の無機ガラスからなる
無機ガラス試料0.1gをテフロン製の分解容器内に精
密に秤量して収納し、さらに(1+1)硝酸20mlと
フッ化水素酸0.15mlを添加した。次に、分解容器
をポリプロピレン製の耐圧容器に封入して耐圧容器を完
全に密閉し、マイクロ波分解装置(CHEM社製MDS
2000)にて分解した。分解後、マイクロ波分解装置
から耐圧容器を取り出し、室温まで放冷した後、分解容
器から試料溶液を取り出す。なお、マイクロ波分解装置
のマイクロ波出力条件を表1に示す。
製100mlメスフラスコに移すとともに、分解容器を
超純水で数回洗浄し、洗液も同100mlメスフラスコ
に移した後、内標準元素としてスカンジウム溶液(10
0μg/ml)を1ml添加して超純水を加えて100
mlとし、分析試料とした。この分析試料をICP−A
ESを用いて定量分析を行い、その結果を表2に示し
た。
の含有量が、それぞれ30wt%、17wt%の無機ガ
ラスを含有するペーストを無機ガラス試料とし、この無
機ガラス試料から有機溶剤成分を取り除き、(1+1)
硝酸20mlとフッ化水素酸0.25mlを添加した以
外は、実施例1と同様にして、定量分析を行い、この結
果を表3に示した。
の含有量が、それぞれ70wt%、13wt%の無機ガ
ラスを無機ガラス試料とし、この無機ガラス試料に(1
+1)硝酸20mlとフッ化水素酸0.45mlを添加
した以外は、実施例1と同様にして定量分析を行い、こ
の結果を表4に示した。
の含有量が、それぞれ22wt%、43wt%の無機ガ
ラスを無機ガラス試料とし、この無機ガラス試料に(1
+1)硝酸20mlとフッ化水素酸0.19ml、0.
30ml、0.38ml添加した以外は、実施例1と同
様にして定量分析を行い、この結果を表5に示した。な
お、比較例としてフッ化水素酸の添加量を0.15m
l、0.18ml、0.42ml、0.45mlにする
以外は、実施例4と同様にして定量分析を行い、その結
果を表5に合わせて示した。フッ化水素酸の添加量を
0.18mlとした場合は、HF添加量/最低添加量が
0.95倍となってフッ化水素酸が不足し、SiO2が
完全に溶解しておらず、正確に定量分析出来なくなる。
また、フッ化水素酸の添加量が0.42mlの場合は、
HF添加量/最低添加量が2.2倍でフッ化水素酸が過
剰となりAl、Mgが不溶物を生成して正確に定量分析
が出来なくなる。
(ml)はフッ化水素酸の添加量、HF添加量/最低添
加量はフッ化水素酸の最低添加量に対する実際のふっ化
水素酸の添加量の割合、平均値(%)は実施例および比
較例についてそれぞれ2つの試料溶液を作成して定量分
析を行った結果を平均したものであり、Rは平均値と各
試料溶液との差をバラツキとして示したものである。ま
た、表2〜表5において、測定元素は定量分析において
金属元素として検出された元素を酸化物に換算して示し
ている。
系で加熱するだけで、無機ガラス試料中の成分を一斉に
定量分析できる試料溶液を得ることができ、短時間で効
率良く無機ガラス試料を溶液化することができる。
機ガラス試料に含有する元素、特にホウ素を添加するこ
とがないので、無機ガラス中の成分を精度良く定量分析
を行うことができる。
Claims (3)
- 【請求項1】酸化ケイ素を含有する無機ガラス試料に、
酸性溶液と、酸化ケイ素が[SiF6 2-]錯体を形成する
ためのフッ素イオンを酸化ケイ素のモル数の6倍量から
12倍量の範囲で含有するフッ化水素酸を添加して、密
閉系で加熱した後、放冷して試料溶液を得ることを特徴
とする無機ガラス試料の溶液化方法。 - 【請求項2】酸化ケイ素および酸化ホウ素を含有する無
機ガラス試料に、酸性溶液と、酸化ケイ素が[Si
F6 2-]錯体を形成するためのフッ素イオンを酸化ケイ素
のモル数の6倍量から12倍量の範囲で含有するととも
に、酸化ホウ素が[BF4 -]錯体を形成するためのフッ素
イオンを酸化ホウ素のモル数の8倍量から16倍量の範
囲で含有するフッ化水素酸を添加して、密閉系で加熱し
た後、放冷して試料溶液を得ることを特徴とする無機ガ
ラス試料の溶液化方法。 - 【請求項3】請求項1ないし2記載の無機ガラス試料の
溶液化方法によって得られた試料溶液を用いて無機ガラ
ス中の成分を定量分析することを特徴とする無機ガラス
試料の定量分析方法。
Priority Applications (1)
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JP2000292262A JP4729780B2 (ja) | 2000-09-25 | 2000-09-26 | 無機ガラス試料の溶液化方法、および無機ガラス試料の定量分析方法 |
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- 2000-09-26 JP JP2000292262A patent/JP4729780B2/ja not_active Expired - Lifetime
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