JP2545417B2 - 窒素化合物分解剤および窒素化合物中の窒素定量分析方法 - Google Patents

窒素化合物分解剤および窒素化合物中の窒素定量分析方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は窒素化合物分解剤および窒素化合物中の窒素
の定量分析方法に関する。
〔従来の技術および問題点〕
窒素化合物セラミックスはそれぞれに特徴的な物性を
有していることから、工業材料として様々な分野で利用
されている。これらの材料の品質管理分析や物性向上の
ための材料解析、製造研究のためのプロセス評価分析な
ど、多くの観点から分析が行われている。中でも主成分
の組成分析や不純物分析などは材料評価の基本を成すも
のであり日常的に分析が行われている。
窒素化合物セラミックスの主成分窒素定量法として、
下記文献に見られるとおり、古くから多くの分析方法が
試みられており、提案されている。
1) 成田貴一:日化誌、第79巻、1564頁(1958年) 2) A.Paker、C.Healy:Analyst、第95巻、204頁(197
0年) 3) 河野久征、村田守、荒井智也:第22回X線分析討
論会講演要旨集、26頁(1985年) 化学分析法は分析操作が煩雑でかつ分析時間が長いな
どの欠点があるものの、絶対量分析という点で重要な分
析法である。
化学分析法にはDumas法、溶融アルカリ分解法、湿式
分解法(JIS法R−1603として制定予定)がある。これ
らの分析法の中で、迅速性という点を考えれば溶融アル
カリ分解法を挙げることができる(文献:特公昭61−36
180号公報、特開昭61−70460号公報)。
溶融アルカリ分解法による窒素定量の原理は、窒化ケ
イ素の分解を例にとれば、以下に示す化学反応式で書き
表すことができる。
Si3N4+12NaOH→3Na2SiO3+3Na2O+4NH3↑ 閉じた系内でこの反応を起こさせ、発生するアンモニ
アを捕捉し中和滴定などを行うことにより窒素含有量の
測定が可能になる。化学反応式に従えば、NaOHの融点以
上に加熱を行うと分解反応が進行し定量が可能となるは
ずであるが、実際に精度の高い定量分析を行うことは容
易ではなく、反応を円滑にかつ完全に行いアンモニアを
回収する工夫が望まれる。
とくに、TiN、ZrNなどの難分解性窒素化合物はNaOHな
どのアルカリ溶融体では分解が不完全であり、分解温度
を高くするなどしても殆ど効果がない。本発明難分解性
窒素化合物に適用できる窒素化合物分解剤および窒素化
合物中の窒素定量分析方法を提供することを目的とす
る。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明の第1のアルカリ金属の水酸化物を主成分と
し、ホウ酸もしくはホウ酸塩を含む窒素化合物分解剤で
ある。
また、本発明の第2は窒素化合物を分解剤を用いて分
解し、生成したアンモニアガスを定量することにより、
該窒素化合物中の窒素を定量分析する方法において、ア
ルカリ金属の水酸化物を主成分とし、ホウ酸もしくはホ
ウ酸塩を含む窒素化合物分解剤を用いることを特徴とす
る窒素化合物中の窒素定量分析方法である。
以下、本発明について詳細に説明する。
(1)キャリアガスに水蒸気を併用 アンモニアガスを運搬するキャリアーガスに水分を含
ませると良好な結果が得られる。水分の併用効果は水分
が反応に関与するというより、多くの窒素化合物の場
合、水分を含んだ250℃から350℃の高温のNaOH溶融体が
生成し、生成と同時に分解反応が開始され、昇温と同時
に徐々に分解が進行し円滑な分解条件が提供されるから
である。水分を含んだNaOH溶融体の生成と同時に分解が
進行するが、分解開始温度や分解終了温度は窒素化合物
によりそれぞれ異なる。従って、窒素化合物により分解
開始温度や加熱温度を適切に選ぶことにより精度の高い
結果を得ることができる。
(2)水蒸気の導入量 水分子はアンモニアと親和力が高いのでアンモニアの
良いキャリアーとなり得るが、分析操作中、終始使用す
ると系内に残存するアンモニアを含有した水滴がどの回
収が不完全となり分析値が低くなる。このため、水分を
系内に導入する量は必要最小限に留める必要がある。従
って、昇温後、分解が開始される直前に導入し、それ以
後、約15分間程度導入するのが良い。これ以後は水分を
含まない乾燥したキャリアーガスに切り換え、残存する
アンモニアを含む水分を完全に回収する。
(3)分析装置 第1図に装置のブロック図を示す、装置は水蒸気発生
部1、試料分解部2、アンモニア吸収部3から構成され
ている。
アンモニア吸収部に至る系路は水分の凝結が発生しな
いようにリボンヒーターを巻き保温している。キャリア
ーガス4には窒素ガスを使用しているが、水分を含む条
件と乾燥窒素ガスの条件とを切換バルブ5、6の切換に
より使い分ける方式を採用している。
本発明においてアルカリ金属の水酸化物とは水酸化ナ
トリウムまたは水酸化カリウムである。また、ホウ酸塩
とは無水Li2B4O7、無水Na2B4O7などである。アルカリ金
属の水酸化物を主成分とし、ホウ酸もしくはホウ酸塩を
含む窒素化合物分解剤を用いると窒素化合物の分解が促
進され、安定した分析値を得ることができる。窒素化合
物分解剤中のホウ酸もしくはホウ酸塩の含有率はホウ素
(B)として0.5〜15重量%が好ましく、2〜10重量%
がとくに好ましい。0.5重量%未満では窒素化合物の分
解促進効果が小さい。また、15重量%を超えると粘度が
高くなり溶融が困難になる。窒素化合物分解剤の使用量
は窒素化合物量の3〜200倍(重量比)が好ましく、6
〜100倍がとくに好ましい。3倍未満では窒素化合物の
分解が不完全になる。また、200倍を超えると高温溶融
時に飛末が多く発生し、系内で汚染が生じたり、アンモ
ニア発生時に溶融物がルツボから溢れ出るなどの不都合
が生じる。
窒素化合物分解剤は分析時にそれぞれの構成成分を混
合して調製してもよいが、あらかじめ、配合して粉状あ
るいは粒状にしておくか、溶融混合した後に粉砕して粒
状にするか、あるいは錠剤に成型しておくと便利であ
る。
〔実施例〕
実施例1〜5 ニッケルルツボに分析対象の窒素化合物の粉末0.15g
を秤り取り、これを窒素化合物分解剤を表に示す方法で
加えた。表において全混合とは窒素化合物粉(以下、S
という)、水酸化ナトリウム粒(以下、Naという)、ホ
ウ酸もしくはホウ酸塩粉(以下、Bという)を均一に混
合したものである。積み重ねとはこれらをS/B/Naの順に
積み重ねたものである。全混合−上Naとは混合した上に
さらに水酸化ナトリウムで被ったものである。
得られた混合物もしくは積層物をルツボに入れ、第1
図の試料分解部2に入れた。キャリアガスとして窒素を
100ml/分程度流し、アンモニアガス吸収液として0.1N硫
酸水溶液をアンモニア吸収部3内にセットした。昇温を
開始し、試料分解部に付属の温度計の指示が200〜250℃
に達したときに窒素キャリアガスに水蒸気を混合させ
た。温度計の指示が250〜350℃に達したとき分解が開始
され、アンモニアガスを発生し始めた。温度計の指示が
530℃に達したとき、昇温を止め400℃まで降温した。40
0℃に達したときキャリアガスに水蒸気の混入を止め乾
燥した窒素ガスのみにした。引続き温度計の指示が150
〜200℃になるまで系内のアンモニアの回収を行なっ
た。
アンモニア吸収液をビーカーに移すと共に水滴が付着
しているアンモニア吸収部に至る冷却部を純水で洗い、
この洗液を先のアンモニア吸収液に加えた。吸収液に残
余する酸を0.1N水酸化ナトリウム標準液にて逆滴定し、
電位差滴定法にて終点を決定した。。水酸化ナトリウム
標準液の消費量から窒素含有量を算出した。
得られた結果は表に示すとおりである。表に窒素化合
物中のNの湿式分解法による分析値(%)を示した。湿
式分解法とはフッ酸・塩酸あるいはフッ酸・硫酸の混酸
とともに試料を密封容器の中で加熱加圧分解してから、
アンモニアの定量を行なう方法であり、分析に手数がか
かるが、水酸化ナトリウム分解法と同様に正確な値が得
られることが知られている。本発明の方法による分析値
は湿式分解法による分析値と同等であった。
比較例1、2 表に示すとおり窒素化合物分解剤として水酸化ナトリ
ウムのみを用いた。その他の分析条件は実施例1〜10と
同じにした。定量分析はそれぞれ3回くり返し行ない、
その平均値を表に示したが、湿式分解法による分析値に
比べ異常に低い値であった。
〔発明の効果〕
本発明の窒素化合物分解剤を用いて窒素化合物中の窒
素定量分析を行なうと、窒素化合物が難分解性のもので
あっても正確な定量分析値が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例で用いた窒素定量分析装置のブロック図
である。 符号 1……水蒸気発生部、2……試料分解部、3……アンモ
ニア吸収部、4……キャリアーガス、5、6……切換バ
ルブ

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルカリ金属の水酸化物を主成分とし、ホ
    ウ酸もしくはホウ酸塩を含む窒素化合物分解剤。
  2. 【請求項2】窒素化合物を分解剤を用いて分解し、生成
    したアンモニアガスを定量することにより、該窒素化合
    物中の窒素を定量分析する方法において、アルカリ金属
    の水酸化物を主成分とし、ホウ酸もしくはホウ酸塩を含
    む窒素化合物分解剤を用いることを特徴とする窒素化合
    物中の窒素定量分析方法。
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