JP3688593B2 - 珪素材料中の不純物分析方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、珪素材料、特にシリコンウエハ中に含まれる拡散元素であるAs等の不純物分析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
珪素材料、特にシリコンウエハに含まれる微量成分は半導体特性や信頼性に影響するため、その濃度を評価・管理をすることは重要である。ウエハ中に含まれる微量金属成分は一般に、フッ化水素酸+硝酸で分解後、残渣を何らかの液で溶解し測定する方法により、微量の鉄や銅の分析が行われている。
【0003】
一方、Asはウエハ中のドーパント元素として半導体では重要な元素である。そのため、イオン注入した濃度が、正確に注入されているかを評価する方法が要求されている。しかし、分析においては鉄などの遷移金属等と比較して、分解する際、揮散しやすく正確な濃度評価が困難な面がある。またAsは、近年ではより表層部に近い部分にイオン注入される傾向があり、その正確な分析方法も要求されている。
【0004】
従来のAs分析方法としてモリブデンブルー・吸光光度法が知られている。
この方法は、先ず、試料約0.2gを白金皿にはかりとり、水1ml、硝酸1ml、硫酸(1+1)2ml、過マンガン酸カリウム溶液(1w/v%)0.3mlおよびフッ化水素酸5mlを加え、白金棒でよくかき混ぜ加熱分解する。冷却後、フッ化水素酸5mlを加えてよくかき混ぜ、蒸発させ硫酸の白煙が出始めてから約5分間加熱を続ける。冷却後、少量の水で皿の内壁を洗い、再び加熱蒸発して濃いシロップ状にする。冷却後、塩酸(1+1)5mlおよび温水約50mlを加えてかき混ぜ、水浴上で加熱する。冷却後、メスフラスコ100mlに移し、水で標線まで薄めて振り混ぜホールピペットで50mlをメスフラスコ100mlに分取する。次に指示薬としてフェノールフタレイン・アルコール溶液(0.1w/v%)1滴を加え、水酸化ナトリウム溶液(5w/v%)を赤色になるまで加えてから、硫酸(1+5)を滴下して赤色を消す。モリブデン酸アンモニウム溶液5ml、硫酸ヒドラジン溶液(0.15w/v%)3mlを加え、水で標線まで薄める。沸騰水浴中に約10分間浸したのち流水中で冷却後、吸光度(モリブデンブルー)を測定する。
【0005】
この方法によって、ガラスを硝酸、硫酸、過マンガン酸カリウム、フッ化水素酸で分解、モリブデンブルー・吸光光度法にて測定を行い、Asを分析する事ができる。しかし、吸光光度法では、測定限界が100ppbと低い問題があった。従って、それ以下を測定したい場合の方法がなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来のAs分析方法では、ガラスを硝酸、硫酸、過マンガン酸カリウム、フッ化水素酸で分解、モリブデンブルー・吸光光度法で測定を行っているが、測定限界が100ppbであり、それ以下を測定する事ができなかった。
【0007】
本発明によれば、従来検出限界とされた測定限界が100ppb以下のAs分析を可能とする珪素材料中の不純物分析方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の珪素材料中の不純物分析方法は、過マンガン酸カリウム溶液、過ヨウ素酸カリウム溶液、及び過ヨウ素酸溶液から選ばれる試薬を被分析不純物含有の珪素材料に接触させた後、硝酸及びフッ化水素酸溶液を接触させて加熱処理し、前記珪素材料を前記被分析不純物と共に溶解させた試料溶液を得る第1工程と、この試料溶液に過酸化水素及び硝酸を添加して前記試薬を構成するマンガン、カリウム及びヨウ素をイオンにする第2工程と、前記試料溶液をイオン交換樹脂と接触させて前記イオンを前記イオン交換樹脂に吸着させ残りの分離溶液を得る第3工程と、この分離溶液に存在する前記被分析不純物を質量分析方法にて検出する第4工程とを具備することを特徴とする。ここで、試薬としての、過マンガン酸カリウム溶液、過ヨウ素酸カリウム溶液、及び過ヨウ素酸溶液は単独で使用するほうが望ましい。これらの試薬を相互に混合させると水素が還元されてしまい試薬としての能力を発揮できないからである。
【0009】
請求項2の珪素材料中の不純物分析方法は、請求項1の前記第1工程において、前記硝酸及び前記フッ化水素酸溶液を前記珪素材料に接触させた後、さらに前記試料溶液の色が無色になるまで前記試薬を前記試料溶液に添加することを特徴とする。
【0010】
請求項3の珪素材料中の不純物分析方法は、請求項1において、前記質量分析方法が、誘導結合プラズマ質量分析方法或いはマイクロ波誘導プラズマ質量分析方法であることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明による半導体シリコンウエハ(珪素材料の代表例として以降説明する)中のAs(以降被分析不純物の代表例として説明する)の分析方法を図1のフローチャートに沿って説明する。
(洗浄工程)
先ず、被分析用の珪素材料として鏡面研磨されたSiウエハを準備するステップ1を行う。この準備段階ではSiウエハ表面を所定の水による洗浄を行う。
(第1工程)
ついで、ウエハを過マンガン酸カリウム溶液、硝酸、フッ化水素酸を順次接触させて溶液中で分解するステップ2を行う。この際、分解の終了を確認するには過マンガン酸カリウム溶液の色(桃色)を視覚認識するステップ3を経ることで反応の進行状況から終了までを確認することが可能である。桃色を視覚認識できず反応が終了していない場合には過マンガン酸カリウム溶液の添加ステップ4を行う。この様にステップ3、及びステップ4を行う事によって、Asがシリコンの化合物となって揮散しないようにすることができる。
【0012】
その後得られた試料溶液が加熱濃縮ステップ5を経ることでAsを含む分解液を得る反応工程(第1工程)10が終了する。この第1工程での化学反応は以下の式(1)で表される。また、過マンガン酸カリウムに代え、過ヨウ素酸カリウム溶液、及び過ヨウ素酸溶液から選ばれる試薬を採用することができる。これは過マンガン酸カリウムと同様の反応が起こるからである。過マンガン酸カリウム溶液に代えて、過ヨウ素酸カリウム溶液、及び過ヨウ素酸溶液を使用する場合はこの第1工程での化学反応は式(1)と同様に以下の式(2)で表される
2MnO4 −+16H++5As→2Mn2 ++5As5++8H2O …(1)
2IO3 −+12H++5As3+→2I++5As5++6H2O …(2)
この第1工程にて、Asを3価から5価に個数を上げて、飛散してしまう化学物質になり難い元素に変えることができる。また、この工程では、反応式で示していないがシリコンはH2SiF6等の飛散しやすい化合物にして除去する様にしている。
【0013】
上記第1工程に用いる容器に関しては、硝酸、フツ化水素酸を用いるため、これらの薬品に耐えうるものが好ましく、フッ素樹脂製容器が良い。容積としてはその後の処理操作性を考慮すると100〜250ml程度のフッ素樹脂製ボトルを使用するのが好ましい。また第1工程に用いる試薬と濃度に関しては、ウエハ分解に用いるのに必要な試薬濃度は、試料が分解する濃度であればかまわない。過マンガン酸カリウムの濃度は4〜6%、硝酸濃度は50〜68%、フツ化水素酸濃度は30〜38%の範囲が試料分解の面から適当でありこの範囲外では試料を分解するのが困難となる。また、酸濃度については濃度が高いほどウエハの分解時間が短くなる傾向があるため、高いほうが好ましい。
(第2工程)
この後、反応第1工程後の試料溶液を硝酸と過酸化水素を用いた再溶解ステップ6を行う事で、Asを含む試料溶液を得る反応工程(第2工程)を終了する。この工程では試料溶液に硝酸および過酸化水素を添加して被分析不純物である例えばAs、Se、Mo、Nb以外の試薬の構成元素であるマンガン、カリウム、ヨウ素と反応させてマンガン、カリウム、ヨウ素を陽イオン或いは陰イオンにする。第1工程で使用した試薬によってイオンにする元素はマンガン、カリウム、ヨウ素からの幾つかの元素が該当する。この第2工程での化学反応は以下の式(3)で示される。同様に過ヨウ素酸カリウム溶液、及び過ヨウ素酸溶液を使用する場合はこの第2工程での化学反応は式(4)で表される。
【0014】
5H2O2+MnO4 -+6H+→ 2Mn2++2H2O+5O2 …(3)
5H2O2+2IO3 -+6H+→ I2 ++8H2O+4O2 …(4)
この第2工程を経ることによってマンガン、カリウム、ヨウ素をイオンにし、次のイオン交換樹脂での吸着の準備を行う事ができる。
【0015】
第1工程のみならず第2工程の再溶解方法においても、用いる試薬は不純物の少ない高純度酸(硝酸、過酸化水素)を使用するのが好ましく、その過酸化水素水の濃度は20〜35%、硝酸濃度は50〜60%が過酸化水素は飛散しやすいので濃度は低く、硝酸はMnO4 -を早く分解するために高濃度であることが望ましい。また後に行うイオン交換分離操作が可能な濃度であればよい。
(第3工程)
さらに第2工程の後、上述した試料溶液をイオン交換樹脂と接触させるステップ7を行い、上述したイオンを陽イオン交換樹脂に吸着させ、Asのみを陽イオン交換樹脂から溶出させる反応工程(第3工程)が終了する。この工程は重要である。この第3工程がない場合は、次の第4工程でAsを質量分析する際、Asと比べて1000倍〜10000倍程度高濃度のマンガン、カリウム、ヨウ素がAs等の被測定不純物を散乱させてしまうため、質量分析装置に導入することができず、低濃度のAsを正確に定量分析できない。従って、この第3工程においてイオン交換樹脂で除去する必要がある。
第3工程の陽イオン交換樹脂と接触させる方法においては、陽イオン交換樹脂を用いることが適当である。その中でも、たとえばスチレンとジビニルベンゼンの共重合体を基体とし、交換基としてスルホン基(−SO3H)を持っている陽イオン交換樹脂が好ましい。また、用いるイオン交換樹脂の粒径は、分析に供するAs量、処理すべき水溶液の量、精製効率、液流速などの因子などによって適宜条件を選定することになる。通常、50〜400メッシュ程度ものまで適用できるが、100〜200メッシュの粒径のものが好ましい。その理由は50未満では流速が早すぎてK、Mnも同様に出てしまい、400より大きいと流速が遅すぎてトータルの分析時間がかかりすぎからである。
【0016】
溶液とイオン交換樹脂とを接触させる方法はバッチ法でもカラム法でも良いが、バッチ法はAsとマンガン、カリウムが完全に分離できないためカラム法が望ましい。バッチ及びカラム材質は、フッ化水素酸、硝酸等の用いる試薬に耐えうるものであれば何でも良いが、塩素系樹脂(例えば塩化ビニールなど)は塩素が溶出し測定に影響する場合があるので控えた方がよい。バッチ及びカラムは使用する樹脂量により任意内径のものを使用することができる。またどちらの方法でも操作の自動化として、振とう機や送液ポンプを用いたクロマトグラフで行っても良い。
(第4工程)
最後に、第3工程後の分離溶液を例えば誘導結合プラズマ質量分析装置にてAs、Se、Mo、Nb等の被分析不純物を分析する工程(第4工程)を終了する。この段階で分解溶液中に含まれる被分析不純物以外の元素は主としてO、N、H等であり硝酸、過酸化水素、水等の分子として存在している。
【0017】
この方法はシリコンウエハや半導体製造用シリコン、及びシリカ等の珪素材料において、微量含有しているAs等の不純物分析の検討・研究を行った結果、酸化性酸などを用いて処理を施した場合、As等の不純物が揮散せず回収できることが明らかとなった知見に基づく。この現象を利用してAs濃度を0.1ppbレベルという従来より100倍以上の高感度で容易かつ確実に定量できるとの知見に基づいてなされたものである。
【0018】
即ち、本発明によれば、半導体シリコンウエハ中にイオン注入した拡散元素を化学的な手法で抽出するため、二次イオン質量分析方法のような物理的な影響を受けることなく、高精度での分析が可能となる。また、本発明のウエハの分解に関して、硝酸、フッ化水素酸に加えて酸化剤として過マンガン酸カリウムを添加することでAsの揮散防止ができる。また、陽イオン交換分離法を用いることにより、選択的に目的元素が抽出されるためブランク値の低減ができ他の元素の妨害なく測定ができる。さらに測定装置として誘導結合プラズマ質量分析装置を使用することにより高感度での測定が可能となる。
【0019】
分析に供される珪素材料の試料はウエハの大きさ(サイズ)を限定するものではない。そのままでも良いし、任意の大きさに切断することも可能である。この珪素材料は、表面に酸化膜(SiO2)や窒化膜(Si3N4)が形成されていてもこれらの膜中の不純物を分析することができる。また、珪素材料として、主成分がSiで有ればよく、シリコンウエハ以外、例えばシリコンウエハの表面に酸化膜或いはチッ化膜を形成したウエハ、ガラス基板、Si3N4基板(セラミックス基板を含む)等でもSiウエハに代えて分析対象として内部の不純物分析をすることも可能である。また試料のはかりとり量、希釈量、及び測定液量は測定するAs濃度により任意に組み合わせることができる。
第4の工程でのAsの分析には、測定する濃度にもよるが、誘導結合プラズマ発光分析法、誘導結合プラズマ質量分析方法、マイクロ波質量分析方法等の手法を用いた高感度質量分析装置を用いることができる。特にこれらに分析装置においてプラズマを形成させるプラズマトーチ部は微量のAs分析に耐えうるものであれば良い。アルミナ等も適用できるが、石英製にすることが好ましい。また全反射蛍光X線分析装置も測定溶液の取り扱いを清浄ウエハ上で行うことで使用可能である。
【0020】
以上の本分析においては、第1〜第4工程まで各々独立に操作を行っても良いし、また試料分解から測定までライン化した自動分析も可能である。また本分析法はウエハ自身の分析法であるが、試薬濃度を適宜調整することにより、ウエハ極表層のAs分析や、繰り返し本分析操作を行うことで、表層からのAsの深さ方向分析等にも適用することができるなど、限定されるものではない。
被分析不純物としては、As以外にSe、Mo、NbをAsと同様に分析することができる。
【0021】
【実施例】
以下本発明の実施例を説明する。
(実施例1)
この実施例1は、珪素材料としてのSiウエハ表面の深さ1000オングストロームまでの深さ領域に対してAsを10ppbの平均濃度で予め不純物注入したものを準備した。このAsイオン注入されたSiウエハ1cm×1cmを正確に切断し、250mlのフッ素樹脂製ボトルにはかり取り、過マンガン酸カリウム(溶液(6%w/v)10ml、高純度硝酸7ml、高純度フッ化水素酸7mlを加えホットプレート上(200℃)で加熱分解する。試料分解に際して、過マンガン酸カリウム溶液が飛散しないようにはじめは軽く蓋をし、反応が安定した後に蓋を取る。また、硝酸との反応により過マンガン酸カリウム溶液の色(薄桃色)が無くなるようであれば適宜追加する。
【0022】
放冷後、過マンガン酸カリウムを還元させるため、高純度過酸化水素水0.1ml〜0.5ml(過マンガン酸カリウム溶液の色(薄桃色)が無くなるまで加える)毎加え、その後100mlのフッ素樹脂製ビーカーに移し、ホットプレート上(230℃)で蒸発濃縮する(第1工程)。
【0023】
放冷後、加熱濃縮により酸化した過マンガン酸カリウムを還元するために、高純度硝酸0.1ml、高純度過酸化水素水0.5mlを加え、50mlフッ素樹脂製メスフラスコに移し標線まで水を加える(第2工程)。
【0024】
次に、陽イオン交換樹脂として強酸性ジビニルベンゼンGEL(平均粒径:75〜150メッシュ)10gを底にポリプロピレンウールを詰めた、長さ150mm、直径5mmのポリプロピレン製カラムに充填し、純水および硝酸で十分に洗浄・膨潤させる。ついで、第1の反応で得られた処理液をエッペンドルフピペットにて1ml分取し陽イオン交換カラムに流す。この操作を10回(計10ml)行い陽イオン交換カラムに金属類を吸着させる。さらに、水5mlを3回に分けて陽イオン交換カラムに流し、計25mlでAsを溶出させる(第3工程)。
【0025】
溶出液は全て30mlのフッ素樹脂製容器に回収し、その溶液を誘導結合プラズマ質量分析方法にてAsの定量する(第4工程)。
【0026】
表1は本発明に係る分析によって得られた値から、用いた薬品に含まれるブランク値を引いた結果である。X1〜X3の3つの試料に対する測定結果を示している。測定結果は10ppbを全体とする百分率で表している。
(比較例1)
実施例1において過マンガン酸カリウムを添加しない以外は、実施例と同様にして分析を行った。
(比較例2)
実施例1においてイオン交換法を用いない以外は、実施例と同様にして分析を行った。
(比較例3)
実施例1と同一の試料に対して、従来の技術で説明したモリブデンブルー・吸光光度法で得られた結果を示す。
【0027】
実施例1および比較例1〜3で分析、測定した結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
この比較例1〜比較例3及び実施例1とを対比すると、実施例1が100p pb以下のAsを精度良くしかも再現性良く測定できる事が分かった。
(実施例2〜実施例10)
実施例2〜実施例4は、珪素材料としてのSiウエハ表面の深さ1000オングストロームまでの深さ領域に対してAs、Se、Mo、Nbの各元素をAs:10ppb、Se:10ppb、Mo:10ppb、Nb:10ppbの平均濃度で予め不純物注入したものを準備した。そして、このシリコンウエハの表面に対して実施例1における第1工程の過マンガン酸カリウム溶液及びこの過マンガン酸カリウム溶液に代えて、過ヨウ素酸カリウム溶液、及び過ヨウ素酸溶液を試薬として用い、その他の条件・工程順序などは実施例1と同一にして各不純物の分析を行った。分析結果を表2に示した。
【0030】
実施例5〜実施例7は、珪素材料としてのSiウエハ表面に厚さ1μmの熱酸化膜を形成し、この熱酸化膜表面から深さ1000オングストロームまでの深さ領域に対してAs、Se、Mo、Nbの各元素をAs:10ppb、Se:10ppb、Mo:10ppb、Nb:10ppbの平均濃度で予め不純物注入したものを準備した。その他は、実施例2〜実施例4と同様の条件で不純物を分析した。分析結果を表2に示した。
【0031】
実施例8〜実施例10は、珪素材料としてSiウエハ表面に厚さ0.5μmのCVDチッ化膜を形成し、この膜に表面から深さ500オングストロームまでの深さ領域に対してAs、Se、Mo、Nbの各元素をAs:10ppb、Se:10ppb、Mo:10ppb、Nb:10ppbの平均濃度で予め不純物注入したものを準備した以外は実施例5〜実施例7と同様である。これも分析結果を表2に示した。
【0032】
【表2】
【0033】
以上の表2から明らかなように、実施例1と同様に各珪素材料中にAs、Se、Mo、Nbが10ppb付近に微量存在する事を精度良く検出できた。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、従来検出限界とされた測定限界が100ppb以下のAs等の分析を可能とする珪素材料中の不純物分析方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1に係る拡散元素のドーパント量を測定する分析フローチャート
【符号の説明】
1 シリコンウエハ準備ステップ
2 過マンガン酸カリ添加ステップ
3 分解度確認ステップ
4 過マンガン酸カリ追加添加ステップ
5 加熱濃縮ステップ
6 最溶解ステップ
7 イオン交換ステップ
8 ドーパント元素の定量ステップ
Claims (3)
- 過マンガン酸カリウム溶液、過ヨウ素酸カリウム溶液、及び過ヨウ素酸溶液から選ばれる試薬を被分析不純物含有の珪素材料に接触させた後、硝酸及びフツ化水素酸溶液を接触させて加熱処理し、前記珪素材料を前記被分析不純物と共に溶解させた試料溶液を得る第1工程と、この試料溶液に過酸化水素及び硝酸を添加して前記試薬を構成するマンガン、カリウム及びヨウ素をイオンにする第2工程と、前記試料溶液をイオン交換樹脂と接触させて前記イオンを前記イオン交換樹脂に吸着させ残りの分離溶液を得る第3工程と、この分離溶液に存在する前記被分析不純物を質量分析方法にて検出する第4工程とを具備することを特徴とする珪素材料中の不純物分析方法。
- 前記第1工程において、前記硝酸及び前記フッ化水素酸溶液を前記珪素材料に接触させた後、さらに前記試料溶液の色が無色になるまで前記試薬を前記試料溶液に添加することを特徴とする請求項1に記載の珪素材料中の不純物分析方法。
- 前記質量分析方法は、誘導結合プラズマ質量分析方法或いはマイクロ波誘導プラズマ質量分析方法であることを特徴とする請求項1に記載の珪素材料中の不純物分析方法。
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