JP2005016353A - 真空ポンプ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポンプ室2の排出路7に室外からのオイル流入を防止する逆止弁8を設けてなる真空ポンプ1であって、その逆止弁8は排出路7に配置される弁体81を有し、ポンプ室2側から所定以上の圧力が加わったときに弁体81が移動して開弁するとともに、所定温度以下の低温となったときにも弁体81が変形して開弁する。このような低温時の開弁によりポンプ室2にオイル10が大量に溜まることを防止でき、始動の円滑化が図れる。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両などに搭載される真空ポンプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、真空ポンプとして、特開平7−208339号公報に記載されるように、ポンプ室の吐出口に逆止弁を設けたものが知られている。この真空ポンプは、逆止弁を設けることにより、潤滑オイルが逆流して吐出口を通じてポンプ室内に流入することを防止しようとするものである。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−208339号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような真空ポンプにあっては、円滑に始動できないおそれがある。すなわち、吐出口が逆止弁で封鎖されているため、ポンプ室にオイルが進入するとポンプ室から抜けず大量にオイルが溜まりやすい。この場合、ポンプ室に大量のオイルが溜まった状態となり、この状態で真空ポンプを始動させると、大量のオイルによりベーンの回転抵抗が大きく、円滑な始動の支障となる。特に低温時の始動にあっては、オイルの粘性が大きいため、真空ポンプが正常に始動できないおそれもある。
【0005】
そこで本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、円滑な始動が可能な真空ポンプを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明に係る真空ポンプは、ポンプ室の排出路に室外からのオイル流入を防止する逆止弁を設けてなる真空ポンプにおいて、逆止弁が排出路に配置される弁体を有し、ポンプ室側から所定以上の圧力が加わったときに弁体が移動して開弁するとともに、所定温度以下となったときに弁体が変形して開弁することを特徴とする。
【0007】
また本発明に係る真空ポンプは、前述の逆止弁が0〜10゜Cの温度以下となったときに弁体の変形により開弁することを特徴とする。
【0008】
これらの発明によれば、作動停止後の温度変化により逆止弁が開弁するため、ポンプ室からオイルを排出することができ、ポンプ室にオイルが大量に溜まることを防止することができる。このため、始動の際にポンプ室に溜まるオイルによってベーンの回転が妨げられるという不具合が低減され、始動が円滑に行える。
【0009】
また本発明に係る真空ポンプは、ポンプ室の排出路に室外からのオイル流入を防止する逆止弁を設けてなる真空ポンプにおいて、ポンプ室内に作動時に回転するベーンを有し、ベーンが低温になるほど収縮してポンプ室との壁面とのクリアランスを大きくすることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、作動停止後にポンプ室にオイルが流入して大量に溜まってしまっても、低温になることによってベーンが収縮するため、始動の際にポンプ室に溜まるオイルによってベーンの回転が妨げられるという不具合が低減される。従って、始動が円滑に行える。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
(第一実施形態)
図1は本実施形態に係る真空ポンプの構成概要図である。
【0012】
本実施形態に係る真空ポンプ1は、車両に搭載して用いられる真空ポンプに適用したものであり、車両のエンジン(図示なし)の駆動と連動して作動する。
【0013】
図1に示すように、真空ポンプ1は、ポンプ室2内でベーン3を回転させることによってポンプ室2に吸引口4からエアを吸引し、その吸引したエアを排出口5から排出する。ポンプ室2は、断面円形に形成される空間である。
【0014】
ベーン3は、ポンプ室2内で回転可能に設けられる回転翼である。このベーン3は、ポンプ室2内に設けられるロータ6に支持され、ロータ6と共に回転する。例えば、ベーン3は、ロータ6に形成される溝6aに嵌め込まれ摺動可能に支持され、その回転時に溝6aの長手方向に沿ってスライドする。ロータ6は、例えば、ポンプ室2の外部でエンジンのカムシャフトと連結され、エンジンの駆動に連動して回転する。
【0015】
ポンプ室2には、オイル10が供給される。オイル10は真空ポンプ1の潤滑用オイルとして機能するものである。オイル10は、ベーン3が回転することにより、エアとともに排出口5から排出される。オイル10は、例えば吸引口4からポンプ室2内に供給される。また、オイル10を吸引口4以外の箇所から供給する場合もある。
【0016】
図2に本実施形態に係る真空ポンプの逆止弁の説明図である。
【0017】
図2に示すように、真空ポンプ1は、逆止弁8を備えている。逆止弁8は、ポンプ室2の排出路7に設けられている。この逆止弁8は、排出路7を通じて外部からオイルが逆流してポンプ室2に流入することを防止するためのものであり、ポンプ室2側から外部へは所定以上の圧力によって開弁しエア及びオイル10の流通を許容する。一方、外部側からポンプ室2へはオイル10の流通を禁止する。
【0018】
逆止弁8は、排出路7を開閉する弁体81を具備している。弁体81は、排出路7を塞ぐように配置される板部材で構成される。例えば、弁体81は、ポンプ室2を内蔵するケーシング9の外壁部にボルト91によって取り付けられる。これにより、排出路7を外側から塞ぐような状態に設置される。
【0019】
ポンプ室2側からの圧力が所定以上のときには、弁体81が移動して開弁状態となる。また、弁体81は、所定の温度以下となると、開弁方向に変形して逆止弁8を開弁させる。弁体81は、所定の温度より高温のときには平面状を呈し、所定の温度以下の低温時に湾曲して変形する。弁体81としては、例えば膨張率の異なる二つの板部材を貼り合わせてなるバイメタルなどが用いられる。
【0020】
また逆止弁8には、ストッパ82が設けられており、弁体81の過度の移動または変形を防止している。
【0021】
次に本実施形態に係る真空ポンプの動作について説明する。
【0022】
図1において、エンジンの駆動によりカムシャフト(図示なし)が回転すると、それに伴ってロータ6が回転し、ベーン3がポンプ室2内で回転する。このベーン3の回転によって、吸引口4からポンプ室2内にエアが吸引され、排出口5からエア及びオイル10が排出される。
【0023】
そして、図2に示すように、排出口5から排出されたエア及びオイル10は、排出路7を流通して逆止弁8に達し、この逆止弁8を開弁させて真空ポンプ1の外部へ排出されていく。
【0024】
図3に示すように、エア及びオイル10の排出に伴う逆止弁8の開弁は、エンジン運転中(エンジン駆動中)において、所定の周期で繰り返して行われる。 そして、エンジンが停止すると、それに伴ってロータ6の回転も停止し、ベーン3の回転も停止する。このとき、ポンプ室2が負圧状態となっていると、オイル10がポンプ室2に流入し、ポンプ室2に大量に溜まることとなる。
【0025】
そして、エンジン停止からある程度時間が経過すると、逆止弁8の温度が徐々に低下し、高温状態から常温状態となる。そして、逆止弁8が所定温度以下の低温状態となると、逆止弁8が開弁し始める。
【0026】
すなわち、図2に示すように、逆止弁8が所定の温度以下となることにより、弁体81が変形移動する(図2中の二点鎖線)。これにより、排出路7の出口が開口して、逆止弁8が開弁する。
【0027】
このように逆止弁8が開弁することにより、ポンプ室2に大量に溜まっていたオイル10が排出路7を通じて外部へ流出する。従って、ポンプ室2に大量にオイル10が溜まることが防止される。
【0028】
ここで、逆止弁8が変形して開弁する際の所定の温度は、例えば0〜10゜Cに設定することが好ましい。この所定の温度を0゜Cより低く設定すると、オイル10の粘性が大きくなり、粘性の大きいオイル10が大量にポンプ室2に溜まった状態で始動することとなり円滑な始動が行えないおそれがある。
【0029】
一方、所定の温度を10゜Cより高く設定すると、エンジン始動の際に逆止弁8が開弁状態から閉弁状態になるのに時間がかかり、排出路7を通じてオイルが逆流するおそれがある。所定の温度を0〜10゜Cに設定することでこれらの不具合を回避することができる。なお、オイル10の粘度に応じて、逆止弁8が変形して開弁する際の所定の温度を0〜10゜Cの範囲より低め又は高めに設定する場合もある。
【0030】
そして、図3に示すように、エンジンが始動すると、逆止弁8の温度が徐々に上昇する。そして、所定の温度より高温となると、弁体81が湾曲状態から平面状態へ戻り、逆止弁8が閉弁する。
【0031】
図4に真空ポンプにおける温度と始動時の駆動力の関係を示す。
【0032】
図4は、本実施形態に係る真空ポンプ1(本願発明)と、温度変化しても変形開弁しない通常の逆止弁を有する真空ポンプ(従来技術)とについて、温度と始動時のカムシャフトの駆動力の関係を示したものである。従来技術の真空ポンプは、逆止弁がポンプ室内のオイルの排出を妨げるため、低温になるに連れて始動時の駆動力が大きく増大していることが分かる。一方、本実施形態に係る真空ポンプ1では、低温になるに連れて始動時の駆動力が増大しているが、逆止弁8がポンプ室2内のオイル10の排出を許容するため、従来技術と比較して始動時の駆動力があまり増大しない。これにより、低温時の始動の円滑化が図れることが分かる。
【0033】
以上のように、本実施形態に係る真空ポンプ1によれば、作動停止後、所定温度以下の低温状態となったときに逆止弁8が開弁するため、ポンプ室2からオイル10を排出することができ、ポンプ室2にオイル10が大量に溜まることを防止することができる。このため、始動の際にポンプ室2に溜まるオイル10によってベーン3の回転が妨げられるという不具合が軽減され、始動が円滑に行える。
【0034】
(第二実施形態)
次に第二実施形態に係る真空ポンプについて説明する。
【0035】
図5に本実施形態に係る真空ポンプの概要図を示す。
【0036】
図5に示すように、本実施形態に係る真空ポンプ1aは、第一実施形態に係る真空ポンプとほぼ同様な構成を有するものであるが、ベーン3aが温度変化に応じて伸縮する点で第一実施形態に係る真空ポンプと異なっている。なお、本実施形態に係る真空ポンプ1aは、第一実施形態に係る真空ポンプ1のように温度変形する逆止弁8を備えるものでもよいが、そのような逆止弁8を備えず温度変形しない通常の逆止弁を備えるものであってもよい。
【0037】
真空ポンプ1aのベーン3aは、温度が低温となるに連れて収縮し、ポンプ室2の壁面とのクリアランスを大きくするものである。このベーン3aとしては、温度変化に対して膨張率が所定以上大きい部材を用いて構成される。この場合、ベーン3a全体を膨張率の大きい部材で構成してもよいし、ベーン3aの先端の一部を膨張率の大きい部材で構成して伸縮するようにしてもよい。
【0038】
このような真空ポンプ1aによれば、高温時や常温時においては、ベーン3aとポンプ室2の壁面とのクリアランスが小さくエアの吸引及び排出が効率よく行われる。そして、所定の温度より低い低温時には、ベーン3aが収縮する。これにより、ベーン3aとポンプ室2の壁面とのクリアランスが大きくなる。このため、ポンプ室2にオイル10が大量に溜まっていても、オイル10によってベーン3の回転が妨げられるという不具合が低減され、始動が円滑に行える。
【0039】
なお、上述した各実施形態では、車両に搭載される真空ポンプについて説明したが、本発明に係る真空ポンプはそのようなものに限られるものではなく、車両に搭載される以外の真空ポンプに適用してもよい。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、円滑な始動が可能な真空ポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態に係る真空ポンプの構成概略図である。
【図2】図1の真空ポンプにおける逆止弁の説明図である。
【図3】図1の真空ポンプの動作説明図である。
【図4】図1の真空ポンプの動作説明図である。
【図5】第二実施形態に係る真空ポンプの構成概略図である。
【符号の説明】
1…真空ポンプ、2…ポンプ室、3…ベーン(回転翼)、4…吸引口、5…排出口、6…ロータ、7…排出路、8…逆止弁、9…ケーシング、10…オイル、81…弁体、82…ストッパ。
Claims (3)
- ポンプ室の排出路に室外からのオイル流入を防止する逆止弁を設けてなる真空ポンプにおいて、
前記逆止弁は、前記排出路に配置される弁体を有し、前記ポンプ室側から所定以上の圧力が加わったときに前記弁体が移動して開弁するとともに、所定温度以下となったときに前記弁体が変形して開弁すること、
を特徴とする真空ポンプ。 - 前記逆止弁は、0〜10゜Cの温度以下となったときに前記弁体の変形により開弁することを特徴とする請求項1に記載の真空ポンプ。
- ポンプ室の排出路に室外からのオイル流入を防止する逆止弁を設けてなる真空ポンプにおいて、
前記ポンプ室内に作動時に回転するベーンを有し、前記ベーンが低温になるほど収縮して前記ポンプ室との壁面とのクリアランスを大きくすること、
を特徴とする真空ポンプ。
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- 2003-06-24 JP JP2003179944A patent/JP4583731B2/ja not_active Expired - Fee Related
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