JPH0925885A - ロータリコンプレッサ及びロータリコンプレッサ用ベーン - Google Patents

ロータリコンプレッサ及びロータリコンプレッサ用ベーン

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JPH0925885A
JPH0925885A JP17247695A JP17247695A JPH0925885A JP H0925885 A JPH0925885 A JP H0925885A JP 17247695 A JP17247695 A JP 17247695A JP 17247695 A JP17247695 A JP 17247695A JP H0925885 A JPH0925885 A JP H0925885A
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JP
Japan
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vane
rotary compressor
rotor
cylinder
fiber
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JP17247695A
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English (en)
Inventor
Tsutomu Matsuzaki
勉 松崎
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Marelli Corp
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Calsonic Corp
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Publication date
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F01MACHINES OR ENGINES IN GENERAL; ENGINE PLANTS IN GENERAL; STEAM ENGINES
    • F01CROTARY-PISTON OR OSCILLATING-PISTON MACHINES OR ENGINES
    • F01C21/00Component parts, details or accessories not provided for in groups F01C1/00 - F01C20/00
    • F01C21/08Rotary pistons
    • F01C21/0809Construction of vanes or vane holders

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  • Mechanical Engineering (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ベーンタイプのロータリコンプレッサの重量
を低減すると共に、耐摩耗性および音振性を向上する。 【解決手段】 シリンダ14とロータ22の間に形成さ
れるチャンバ24をいくつかに仕切って圧縮室30を形
成するベーン26を、樹脂材料をベースする材料により
形成している。またベース樹脂の中には、短繊維カーボ
ンファイバが縦(短手)方向Vに配向されており、高強
度化されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シリンダと、ロー
タと、この両者の間に形成されロータ回転方向で半径方
向の幅を変化させるポンプ室と、ロータ回転軸線に対し
て平行に延在してロータから半径方向に進退可能に保持
された複数のベーンとが設けられており、該隣接するベ
ーンがロータから突出したその先端部でシリンダの内壁
に押し付けられていて前記ポンプ室を各圧縮室に仕切っ
ている形式のロータリコンプレッサ及びロータリコンプ
レッサ用ベーンに関する。
【0002】
【従来の技術】従来のベーンタイプのロータリコンプレ
ッサにおいては、ほぼ楕円形のシリンダボアと、このボ
ア内に収容されるロータとの間に形成される断面ほぼ三
日月形のチャンバをいくつかの圧縮室に仕切るベーンの
材料として、鉄系、アルミニウム系などの金属材料が広
く用いられているが(図2参照)、以下の課題を有して
いる。
【0003】1.近年のコンプレッサの重量低減化のた
めに、ベーンと摺動するロータやシリンダなどの素材と
してアルミニウムを基材とするものが広く用いられてい
るが、この場合、相互の摺動面において潤滑の面での不
具合が生じることがある。
【0004】2.エアコンとして環境問題などを背景と
して用いられはじめた新冷媒HFC134a(テトラフ
ルオロエタン)は、潤滑性に乏しく、このような新冷媒
を用いるシステムでは、特に耐摩耗性に起因するコンプ
レッサの耐久性能の低下を防止する対策が必要となる。
【0005】3.エアコン始動時は、一般に潤滑油のコ
ンプレッサへの油戻りが十分でなく、また摺動部への潤
滑油のいきわたりも不十分なことがあるので、このよう
な状態における摺動部の摩耗を防止する必要がある。
【0006】4.遠心力等によりシリンダに向けて移動
されるベーンは、飛出し動作(換言すると、間欠的な運
動)によりシリンダ側に移動しており、この場合に、い
わゆる「たたき音」が生ずる。
【0007】こうした従来の金属製ベーンによる課題を
解決する方法として、実開昭55−128713号公報
には、「成形品は断面矩形の補強板の周囲に、ポリイミ
ド系樹脂を主成分とする組成物の加熱加圧成型層を横断
面舌型になるように設けた構造のコンプレッサ用ベーン
である耐熱性樹脂成形品」が開示されている。
【0008】このベーンは、摺動部材として要求される
耐冷媒性、耐冷凍油性、耐熱性、摺動性および耐摩耗性
などの諸特性に優れているばかりでなく、機械的強度も
充分に高く、しかも安価であるので、用途が広い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、該ベー
ンは、ポリイミド系樹脂を主成分とするものであるが、
ベーンの強度を確保するため金属インサート成形品に限
定される。また、ポリイミド系樹脂と金属補強板の熱膨
脹係数の大幅な差により、両者の融着部分が剥離しやす
く、両者間に空隙が生じたり、ポリイミド系樹脂側に微
細な亀裂が入ったりするため、熱伝達率が低下すると共
に機械的な強度が低下するなどの問題がある。さらに、
該ベーンである耐熱性樹脂成形品の成形法は、圧縮成形
であり、量産性に難がある。
【0010】上記とは別に、従来の金属製ベーンによる
課題を解決する手段として、特開平4−234593号
公報に開示されているものがある。これは、「カムリン
グと、ロータと、この両者の間に形成されロータ回転方
向で半径方向の幅を変化させる少なくとも1つのポンプ
室と、ロータ軸線に対して平行に延在してロータから半
径方向で走出可能に保持されたベーンとが設けられてお
り、該ベーンがロータから突出したその自由端でカムリ
ングの内壁に押し付けられていて少なくとも1つの前記
ポンプ室を吸込室と圧縮室とに仕切っている形式のロー
タリコンプレッサにおいて、カムリングが共晶アルミニ
ウム合金または亜共晶アルミニウム合金からなり、ベー
ンが炭素繊維およびテフロン挿入物を埋め込んだポリエ
ーテルエーテルケトンからなることを特徴とするセル形
ベーンコンプレッサまたはセル形ベーンポンプ」であ
る。
【0011】このようなセル形ベーンコンプレッサまた
はセル形ベーンポンプでは、カムリングとベーンの材料
の組合せにより、コンプレッサまたはポンプの重量が軽
減されると共にプラスチック製のベーンの良好な緩衝性
により、重量に制約されたアルミニウム合金からなるカ
ムリングの使用にもかかわらず、運転騒音が著しく軽減
され、さらにカムリングとベーンとの材料対の小さな摩
擦係数により、セル形ベーンコンプレッサまたはセル形
ベーンポンプの摩擦損失が軽減される。
【0012】しかしながら、セル形ベーンコンプレッサ
またはセル形ベーンポンプのベーン材料として、ポリエ
ーテルエーテルケトン(以下、単にPEEKともいう)
に炭素繊維(以下、単にCFともいう)およびテフロン
挿入物を埋め込んだ強化プラスチック材料(以下、単に
FRPともいう)に限定されており、かかるFRPをベ
ーンとして用いた場合、結晶性鎖状ポリマーであるPE
EKとCFとの複合材料では融点よりはるかに下のガラ
ス転移温度近傍で曲げ弾性率や曲げ強度が大きく低下す
る。したがって、通常の使用状態において170℃前後
まで温度上昇するエアコンのコンプレッサ用のベーンの
素材としては、十分な曲げ強度が得られているわけでは
ない。
【0013】本発明者らは、上記の事情に鑑み、新規な
ロータリコンプレッサについて鋭意研究を重ねた結果、
ロータリコンプレッサ用ベーンを、強化材料をベーンに
特殊短手配向させ形成した強化プラスチックを用いるこ
とにより、現在までに提案されているような耐熱性FR
Pと同程度の優れた耐熱性を有すると共に、上述したよ
うな現行アルミベーンおよび金属をインサートした耐熱
性樹脂製ベーン(実開昭55−128713号公報)、
あるいはPEEKにCFおよびテフロン挿入物を埋め込
んだ耐熱樹脂製ベーン(特開平4−234593号公
報)などに比べ強度、特にベーン曲げ応力に対する強度
を著しく向上させることができ、もって該ベーンの耐性
を向上できることを見出だし、これにより上記諸目的を
達成し得る事を知り、この知見に基づき本発明を完成す
るに至ったものである。
【0014】本発明の目的は、ロータリコンプレッサの
重量を低減しかつエアコン始動時の油戻りが十分でない
際の運転に対する耐性を向上させ摩耗などを防止し、ま
た潤滑性の乏しい新冷媒HFC134(テトラフルオロ
エタン)システムにおけるロータリコンプレッサの耐久
性を向上させると共に、ベーンの飛び出しによる、いわ
ゆる「たたき音」を著しく軽減させ、エアコンの運転騒
音を低減させてなるロータリコンプレッサ及びロータリ
コンプレッサ用ベーンを提供するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する請求
項1に記載の発明は、シリンダに形成された楕円形のボ
ア内に回転可能に設けられる断面円形のロータと、この
ロータに形成されるベーン溝内に進退移動自在に挿入さ
れると共に前記ボアの内壁に沿って摺動する先端部を有
するベーンと、一対のサイドブロックと前記シリンダと
を保持するケーシングとを有し、前記シリンダのボアの
内壁に先端部を接触させたベーンにより、吸入した冷媒
を圧縮する圧縮室が形成されるロータリコンプレッサに
おいて、前記ベーンが、ポリアミドイミドまたはポリイ
ミドと繊維状強化材料とからなり、かつ該繊維強化材料
がベーン曲げ応力に対し、直角に配向されていることを
特徴とする。請求項2に記載の発明は、ベーンを、ポリ
アミドイミドおよびポリイミドの少なくとも1種の耐熱
性のベース樹脂内に強化材料として短繊維カーボンファ
イバをベーン曲げ応力に対し直角配向したものであるこ
とを特徴とする。請求項3に記載の発明は、ベーンにお
ける強化材料の体積含有率を、10〜40%の範囲とし
たことを特徴とする。請求項4に記載の発明は、前記ロ
ータリコンプレッサ用ベーンにおいて、ベーンがポリア
ミドイミド又はポリイミドと繊維状強化材料とからな
り、かつ繊維状強化材料がベーン曲げ応力に対し直角に
配向されていることを特徴とする。請求項5に記載の発
明は、前記繊維強化材料が、短繊維カーボンファイバで
あることを特徴とする。請求項6に記載の発明は、前記
ベーンにおける繊維強化材料の重量含有率が、10〜4
0%であることを特徴とする。
【0016】
【作用】本発明のロータリコンプレッサでは、耐熱性の
ベース樹脂に短繊維カーボンファイバによる強化材料を
ベーン前後の圧力差によりベーンにかかるベーン曲げ応
力に対し、直角配向するように射出成形して、好ましく
は、短繊維カーボンファイバによる強化材料の繊維重量
含有率が、10〜40%の範囲となるように成形して、
所望の形状に加工してなるベーンを用いることにより、
以下の作用を奏するものである。 ベーンの軽量化により、ベーンに生ずるシリンダの内
壁に向けての遠心力成分が低下し、シリンダ内壁を押圧
するベーン押付力が低減される。また、ベーンの樹脂化
により、シリンダ内壁に当接される該ベーンの接触面積
が増加し、接触部面圧が低減される。このため、ベーン
と摺動するロータやシリンダの摺動部の摩擦条件が低減
される。 ベーンの樹脂化により耐潤滑性が向上し、油の乏しい
潤滑条件での摺動性が確保される。 ベーンと摺動するロータやシリンダとの熱膨張差を利
用し、コンプレッサ内の温度が低い時には、摺動部クリ
アランスが広がり液冷媒をリークすることができる。ま
たコンプレッサ内の温度が上がるにつれ、クリアランス
が適正になる。このため、コンプレッサ始動時の液圧縮
による破損が回避される。 ベーンの材料としてポリアミドイミドもしくはポリイ
ミドを使用しているので、高温使用時にも変形がない。 ベーンにおいて繊維状強化材料が曲げ応力方向に配向
しているので、強い曲げ強度を有する。 上記〜から総じてコンプレッサの耐久性が向上す
る。また、始動時等でベーンがシリンダ内壁に衝突する
際、いわゆる「たたき音」が発生するが、該樹脂製ベー
ンを用いることで軽量化されると共に、潤滑材の乏しい
状態においてはクリアランスが大きいためいわゆる飛び
出し動作が防止され、また低硬度化(弾性化ないし緩衝
化)されることにもなるため、該「たたき音」の発生を
著しく低減できる。これによりエアコン運転時の音振性
を向上でき、快適性の向上につながる。さらに、ベーン
の形成材料であるポリアミドイミド樹脂(耐熱性ベース
樹脂)は、短繊維カーボンファイバによる強化材料をベ
ーン曲げ応力に対し、直角配向するように射出成形が可
能であり、量産性にメリットがある。
【0017】
【発明の実施の形態】次に本発明に係るベーンコンプレ
ッサの実施の形態を図面を用いて説明する。図1は、実
施の形態のベーンコンプレッサを示す縦断面図であり、
図2は、図1のA−A線における断面図である。
【0018】図示される実施の形態のロータリコンプレ
ッサ1は、フロントケーシング10と、リアケーシング
12とを有している。両ケーシング10,12の間に
は、カムリングとも指称されるシリンダ14及び、この
シリンダ14の前後に位置するフロントサイドブロック
16とリアサイドブロック18とが配置されており、締
付ボルト(図示せず)をはじめとする締結手段によりケ
ーシング10,12に一体に組み付けられている。
【0019】このうちシリンダ14のボアの内壁14a
は、図2に示されるように、電動モータやエンジン等
(図示せず)の動力により回転されるシャフト20の回
転軸直角方向についての断面形状がほぼ楕円形になって
いる。また、シリンダ14のボア内には、ケーシング1
0,12及びサイドブロック16,18に回転自在に支
持されるシャフト20が貫くように配置されており、シ
ャフト20にはシリンダ14のボア内に収容されるほぼ
円筒形状のロータ22が取り付けられている。
【0020】したがって、図2に示されるように、シリ
ンダ14内には断面形状がほぼ三日月形状の2つのチャ
ンバ24が形成される。
【0021】なお、両チャンバ24は、シリンダ14の
ボアとロータ22との間のギャップが最も小さいところ
14sで仕切られている。
【0022】そして、ロータ22には、ロータ22の半
径方向に延びる5つのベーン溝22gが形成されてお
り、各ベーン溝22g内には、摺動自在なベーン26
(26a〜26e)が出没自在に挿入されている。なお
ベーン溝22gおよびベーン26の数は特に5つに限定
されるものではない。
【0023】また、各ベーン溝22gにベーン26を挿
入すると、各ベーン溝22gの底部に圧力室28が形成
される。圧力室28には、サイドブロック16,18に
設けた通路を通ってコンプレッサの吐出された冷媒によ
り加圧された潤滑油が導かれ、冷却媒体の吸入側での圧
力よりは大きく、かつ排出圧力よりは小さい所定圧力の
冷却媒体及び潤滑油が満たされる。つまり、ベーン26
は、ロータ22の回転により生ずる遠心力の他に、この
圧力室28内の冷媒及び潤滑油の圧力によってもロータ
22の外側に押される。
【0024】したがって、ロータから突出したベーン2
6の先端部27をボアの内壁14aに接触させた状態で
シャフト20を回転させると、ベーン26とボアの内壁
14aとが相互に接触するコンタクトポイントがボアの
内壁14aに沿って移動してベーン26の飛出し長さが
変化するとともに、隣接するベーン26により仕切られ
て形成される圧縮室30の容積が変化する。
【0025】各ベーン26は、ポリアミドイミドもしく
はポリイミドからなる耐熱性のベース樹脂に、強化材料
として短繊維カーボンファイバをベーン26に加わる曲
げ応力の方向に対して直角配向したものである。ポリイ
ミドとしては全芳香族のものが好ましく用いられる。つ
まり図3に示されるように、短繊維カーボンファイバを
矢印Vで示されるベーン26の縦(短手)方向に配向し
たものであり、射出成形などにより所望の形状に加工さ
れるものである。
【0026】上記繊維状強化材料としては、高弾性率ま
たは高強度を有するカーボンファイバ、スチール繊維、
ホウ素繊維、ガラス繊維、セラミック繊維などが挙げら
れるが、好ましくは短繊維カーボンファイバが用いられ
る。通常、短繊維カーボンファイバとしては、材料とし
て数平均直径5〜25μm、数平均繊維長0.05〜1
2mmのものが用いられる。このような繊維を材料とし
た場合、通常、ポリアミドイミドまたはポリイミドとの
混合、さらに成形によって、繊維は切断される。ベーン
中におけるカーボンファイバの形状としては、数平均直
径5〜15μm、数平均繊維長0.05〜0.5mmの
ものが好ましく用いられる。
【0027】また、ベーン26における繊維状強化材
料、特に好ましく用いられる短繊維カーボンファイバの
質量含有率としては、そのベーンに要求される特性によ
って可変であるが、10〜40%、さらに20〜40%
の範囲が好ましい。含有率が低い場合には繊維強化の効
果が十分に発現せず剛性が不足し、また含有率が高い場
合には、靱性が著しく低下する。
【0028】本発明では、繊維状強化材料がベーン内で
配向していることが重要である。この繊維状強化材料の
配向の程度としては、配向方向による曲げ強度の差を指
標として用いることができる。ベーンの長手方向に対す
る短手方向の曲げ強度の比が1.25倍以上となるもの
が、繊維状強化材料の好ましい配向状態である。
【0029】ただし、この値は、要求されるベーン26
の強度に応じて変化する値であることは言うまでもな
い。
【0030】また、上記ベーン26においては、上記必
須成分以外に、必要に応じて、摩擦低減の目的で、ポリ
テトラフルオロエチレン(PTFE)、MoS2 、グラ
ファイトなどを、ベース樹脂に代えて10%までの範囲
で必要量添加してもよい。
【0031】次に、本発明のベーンの特性について、表
1を用いて説明する。 実施の形態1 ポリアミドイミドに、強化材料として短繊維カーボンフ
ァイバが配向している図3に示す形状のベーンを作製し
た。ベーンにおける短繊維カーボンファイバの数平均直
径は7μm、数平均繊維長は0.075〜0.75mm
であり、質量含有率は40%であった。得られたベーン
の室温および170℃における曲げ強度および線膨脹係
数を表1に示す。
【0032】比較例1 ポリエーテルエーテルケトンおよび短繊維カーボンファ
イバからなる実施の形態1と同じ形状を有するベーンを
作製した。得られたベーンの温室および170℃におけ
る曲げ強度および線膨脹係数を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】表1から以下のことが明らかである。本発
明のベーンは、従来提案されているポリエーテルエーテ
ルケトンに比較して、ベーンが使用される温度(表1に
おいては170℃)において、高い曲げ強度を有する。
また線膨脹係数も小さいので、高温でも、寸法精度がよ
く、ロータリコンプレッサ内のクリアランスの保持が可
能である。
【0035】また表2は、実施の形態のベーンの性能結
果表である。
【0036】
【表2】
【0037】この結果に示されるように、耐熱性、摺動
性および耐油性のいずれについても、要求される性能以
上の性能が得られることが解った。また、ベーン26の
材料として上記のような材料を用いると、ベーン26が
軽量化されるので、遠心力によりベーン26がシリンダ
14のボアの内壁14aに押し付けられる際に生ずる押
圧力が低減され摩耗量が減少する。したがって、耐久性
が向上する。
【0038】そしてベーン26のベース材料をポリアミ
ドイミドまたはポリイミド樹脂にすると、摺動性が向上
する。
【0039】さらに、ベーンとロータやシリンダとでは
各材料の熱膨係数が異なる。つまり、樹脂をベース素材
とするベーンは、2.8×10-5/℃(20℃におい
て)であるのに対し、アルミニウムをベース素材とする
ロータやシリンダの材料は、1.8×10-5/℃(20
℃において)である。したがって、コンプレッサ内の温
度が低い時には、摺動部クリアランスが広がり液冷媒が
リークしやすく、またコンプレッサ内の温度が上昇する
と、クリアランスが適正になって圧縮室の気密性が確保
されるようにすることができる。このようにすると、コ
ンプレッサ始動時にコンプレッサ内に液冷媒が存在する
ような場合にも、いわゆる冷媒の液圧縮が防止される。
【0040】次に実施の形態のロータリコンプレッサの
作用を説明する。まずエンジン等からの動力がコンプレ
ッサ1に伝達されると、シャフト20が回転され、ロー
タ22が回転される。
【0041】ここで、例えばコンプレッサ1を長期間運
転していなかったような場合、コンプレッサ1の始動時
に、シリンダ14のボアの内壁14aとベーン22との
摺動部分における潤滑油が不足することがあるが、ベー
ン26の材料として上記材料を用いると、アルミニウム
をベースとする材料を用いた場合に比較してシリンダ1
4とベーン26との摺動部分の乾燥時における摩耗抵抗
が低減するので、シリンダ14あるいはベーン26の摩
耗を抑えることができ、結果としてコンプレッサ1の耐
久性を向上させることができる。
【0042】また、コンプレッサ1の始動時において
は、シリンダ14とベーン26が比較的低温状態にある
ので、シリンダ14とベーン26との間のクリアランス
が高温時に比較して大きくなっている。つまり、ベーン
26の材料の膨脹係数は、シリンダ14の材料のそれよ
り大きいので、コンプレッサ1の運転状態での温度にお
いてシリンダ14のボアの内壁14aとベーン26との
クリアランスを最適にするため、低温時のクリアランス
を大きくしているのである。
【0043】このようにすると、コンプレッサ1の始動
時にコンプレッサ1内に液状冷媒が存在して、いわゆる
液圧縮が生じるような場合でも、クリアランスを通して
冷媒を圧縮室から流れ出させることにより、液圧縮時に
圧縮室の中が所定以上の高圧になるということを防止で
きる。
【0044】そして、ロータ22が回転されると、ベー
ン26に遠心力が生じ、またコンプレッサ1の運転によ
り圧力室内の冷媒及び潤滑油からべーン26にロータ2
2の半径方向外側への押し出し力が働くので、ベーン2
6は半径方向外側に移動され、その先端部をシリンダ1
4のボアの内壁14aに接触する。つまり、ロータ22
は、ベーン26の先端部27をシリンダ14のボアの内
壁14aに接触させつつ回転する。
【0045】したがって、例えば図2においてシリンダ
14の内壁14aとロータ22の外周面とが最も近接す
る位置にある第1ベーン26aは、ロータ22の回転に
伴い、吸入ポート32から冷媒を吸入し圧縮室30の容
積が小さくなり始めるまでは、ロータ22から進出する
方向に移動する。
【0046】このような場合に、ベーン26の材料とし
て実施の形態の材料を用いると、ロータ22とベーン2
6の間の摩擦係数が低減するので、ベーン26がスムー
ズに進出移動することとなり、ベーン26の間欠的な動
きが防止される。
【0047】したがって、シリンダ14のボアの内壁1
4aとベーン26との衝突を防止でき、いわゆるたたき
音の発生を防止できる。また、ベーン26の材料を樹脂
素材をベースとするものとしたので、たとえベーン26
がボアの内壁14aに衝突することがあっても、この際
に生ずるたたき音は、アルミニウムをベースとする素材
相互の衝突の際に生ずるたたたき音に比較して、きわめ
て小さい音である。このように、実施の形態のコンプレ
ッサ1は、きわめて音振性に優れる。
【0048】そして、吸入ポート32から冷媒を吸入し
た後は、ロータ22の回転に伴い、ベーン26はロータ
22内に引っ込む方向に移動する。そして、ロータ22
が回転して圧縮室30と後のベーン26によって吸入ポ
ート32との連通が絶たれた後は、圧縮室30内の冷媒
が徐々に圧縮されるので、ベーン26の前後で圧力差が
生じ、ベーン26は圧縮冷媒から圧力を受け、ベーン溝
22gのエッジ部で曲げ応力が発生する。この場合、ロ
ータ22の外表面とベーン溝22gとのエッジ部におけ
るベーン26の剪断強度が問題になるが、実施の形態の
コンプレッサ1に用いられるベーン26には、短繊維カ
ーボンファイバが縦方向Vに配向されているので、ベー
ンとして十分な強度を有するようになっている。
【0049】このようにして圧縮室内において圧縮され
た冷媒は、ロータが回転して圧縮室と排出ポート(図示
せず)とが連通されると、排出ポートに設けた弁を押し
開け排出される。
【0050】
【発明の効果】以上のように、本発明に係るロータリコ
ンプレッサでは、ベーンにポリアミドイミドまたはポリ
イミド樹脂に短繊維カーボンファイバを特殊配向させた
強化プラスチックを用いることにより、以下の効果を発
揮する。 1.ベーンと摺動するロータやシリンダの摺動部の摩擦
条件が低減されるため、ロータリコンプレッサの耐久性
を向上させることができる。 2.樹脂製ベーンにより耐潤滑性を著しく向上でき、潤
滑剤の乏しい状態での摺動性、耐摩耗性を容易に確保す
ることができる。 3.ポリアミドイミド樹脂を用いられるベーンにおいて
は、射出成形により製造できるため、該ベーン側面に油
溝の設置など、比較的複雑な該ベーン形状を加工するの
が極めて容易であり、併せて量産化、低コスト化も図れ
る。 4.樹脂製ベーンを用いることで軽量化され、かつ低硬
度化(弾性化ないし緩衝化)されるため、エアコン運転
時の音振動を低減でき、ひいては快適性の向上をも達成
できる。 5.ベーンの材料としてポリアミドイミドもしくはポリ
イミドを使用しているので、高温使用時にも変形がな
い。 6.ベーンにおいて繊維状強化材料が曲げ応力方向に配
向しているので、強い曲げ強度を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態を示す側断面図である。
【図2】 図1のA−A線における断面図である。
【図3】 同実施の形態のベーンを示す斜視図である。
【符号の説明】
1…コンプレッサ、 14…シリンダ、22…
ロータ、 24…チャンバ、26…ベー
ン、 30…圧縮室、V…縦方向。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダ(14)に形成された楕円形のボア
    内に回転可能に設けられる断面円形のロータ(22)と、こ
    のロータ(22)に形成されるベーン溝(22g) 内に進退移動
    自在に挿入されると共に前記ボアの内壁(14)に沿って摺
    動する先端部(27)を有するベーン(26)と、一対のサイド
    ブロック(16,18) と前記シリンダ(14)とを保持するケー
    シング(10,12) とを有し、前記シリンダ(14)のボアの内
    壁(14)に先端部(27)を接触させたベーン(26)により、吸
    入した冷媒を圧縮する圧縮室(39)が形成されるロータリ
    コンプレッサ(1) において、 前記ベーン(26)が、ポリアミドイミド又はポリイミドと
    繊維状強化材料とからなり、かつ該繊維強化材料がベー
    ン曲げ応力に対し、直角に配向されていることを特徴と
    するロータリコンプレッサ。
  2. 【請求項2】 前記ベーン(26)における繊維強化材料
    が、短繊維カーボンファイバであることを特徴とする請
    求項1に記載のロータリコンプレッサ。
  3. 【請求項3】 前記ベーン(26)における繊維強化材料の
    重量含有率が、10〜40%であることを特徴とする請
    求項1又は2に記載のロータリコンプレッサ。
  4. 【請求項4】 前記ロータリコンプレッサ用ベーンにお
    いて、ベーンがポリアミドイミド又はポリイミドと繊維
    状強化材料とからなり、かつ繊維状強化材料がベーン曲
    げ応力に対し直角に配向されていることを特徴とするロ
    ータリコンプレッサ用ベーン。
  5. 【請求項5】 前記繊維強化材料が、短繊維カーボンフ
    ァイバであることを特徴とする請求項4に記載のロータ
    リコンプレッサ用ベーン。
  6. 【請求項6】 前記ベーン(26)における繊維強化材料の
    重量含有率が、10〜40%であることを特徴とする請
    求項4又は5に記載のロータリコンプレッサ用ベーン。
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