JP2004231987A - 窒化処理部品及び冷媒圧縮機及び冷凍空調装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】HFC冷媒で使用されるロータリ圧縮機などで過酷な使用条件では、従来の摺動部品である窒化処理部品ではその耐久性が十分ではなかった。
【解決手段】ベーンなどHFC冷媒で使用されるロータリ圧縮機などの過酷な摺動条件で使用される摺動部品については、窒化処理において、処理層が表面側の化合物層とその内側の拡散層より構成し、化合物層厚さが0より大きく2μm以下で、化合物層に含有する炭素量が1.0重量%以上とする窒化処理を施すことにより耐久性を向上する。
【選択図】 図1
【解決手段】ベーンなどHFC冷媒で使用されるロータリ圧縮機などの過酷な摺動条件で使用される摺動部品については、窒化処理において、処理層が表面側の化合物層とその内側の拡散層より構成し、化合物層厚さが0より大きく2μm以下で、化合物層に含有する炭素量が1.0重量%以上とする窒化処理を施すことにより耐久性を向上する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、過酷な摺動条件で使用される窒化処理部品及びそれを使用する冷媒圧縮機、冷凍空調装置に関するものであり、さらに詳しくは、鉄系材料に窒化処理により特徴ある化合物層と拡散層とを形成した窒化処理部品及びそれを使用する冷媒圧縮機、冷凍空調装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エアコン、冷蔵庫及び冷凍機等の冷凍空調装置は、密閉された配管内を冷媒や潤滑油などが循環して運転されるが、長期間潤滑油交換などのメンテナンスの無いまま使用されるため、使用される冷媒圧縮機の摺動部品には耐摩耗性などの高度な潤滑特性が求められる。
【0003】
殊にオゾン層保護を目的とした冷媒の代替とこれに伴う潤滑油の変更により、その摺動環境はより苛酷なものとなっている。即ち、冷媒として塩素を含まず潤滑性に寄与しないハイドロフルオロカーボンなどを冷媒として使用しなければならず、しかもこの冷媒と適合する潤滑油には、潤滑性能の低いエステル油などを使用しなければならない。
【0004】
こうした中で、高度な潤滑性を実現するためにロータリ型圧縮機のベーンに窒化処理を適用することが報告されている。(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、ベーン表面にイオン窒化処理により耐摩耗性の化合物層を生成することが記載されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
また、摺動部材に窒化処理を施し、表面に化合物層、内側に拡散層を生じ、化合物層はほとんど無く、拡散層は60μm以上とすることが記載されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0007】
【特許文献1】
特開昭60−228794号公報(第2頁、第1図〜第5図)
【特許文献2】
特開平5−86442号公報(第3頁〜第4頁、図1〜図4)
【特許文献3】
特開平11−217665号公報(第3頁、図3)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1、2の窒化処理の適用では、化合物層の厚さの特定がなく、また、その潤滑特性も十分ではない。
【0009】
即ち、化合物層は高い硬度を持つ一方で、脆弱なため、製造過程又は使用中において割れやカケなどの不具合があり、加工不良による歩留まり低下や、製品性能の信頼性低下をまねく危険性がある。さらに、その高い硬度のため、相手攻撃性も強く、相手材料を激しく摩耗させる危険性がある。
【0010】
また、ロータリ型圧縮機のベーンなど特に過酷な潤滑特性が求められる部品については、上記の割れやカケも含めてその部品自身の耐久性も十分ではない。
【0011】
一方、これら窒化処理での潤滑特性の不足を補うためには、さらに高硬度で、摺動特性の高い潤滑皮膜、例えばクロムナイトライドやチタンカーバイトなどをPVDやCVDによりコーティングする方法などが挙げられる。
【0012】
しかし、単に素材の上にこれら潤滑皮膜をコーティングする方法では、素材とコーティング層との硬度差から剥離が生じ易く、長期の耐摩耗性は実現できない。
【0013】
また、窒化を施した上にコーティングする方法により剥離強度を向上させることができるが、2度に渡る表面処理により、製造コストが著しく上昇し、また、寸法管理も煩雑になるなどの問題がある。
【0014】
また、特許文献3の窒化処理には、更なる改良の余地がある。
【0015】
本発明は、前記問題点を解決するためになされたものであり、窒化処理のみで冷媒圧縮機などの過酷な摺動環境下で使用されるベーン等の摺動部品の潤滑特性を改善し、これを使用する製品の長期信頼性を実現するものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の窒化処理部品は、鉄系材料に窒化処理を施し、窒化処理による処理層は表面側の化合物層とその内部の拡散層により構成され、化合物層の厚さが0より大きく2μm以下である窒化処理部品であって、
化合物層が1.0重量%以上の炭素を含有するか、化合物層と該化合物層の表面から20μm位置の拡散層の硬度差が300Hmv以下であるか、又は、鉄系材料が1.3重量%以上のCr及び/又は0.15重量%以上のMo及び/又は0.5重量%以上のWを含有し、窒化処理によって拡散層の硬度が上昇する材料であるものである。
【0017】
また、本発明の冷媒圧縮機は、前記窒化処理部品をベーン等の摺動部品に使用したものであり、冷凍空調装置は、前記の冷媒圧縮機を使用したものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1のロータリ型圧縮機の縦断面図であり、図2は、図1の圧縮要素の横断面模式図であり、図3は、図1の圧縮機が使用される冷凍回路の模式図であり、図4は、図1の圧縮機に使用され、窒化処理が施される窒化処理部品であるベーンの外観模式図であり、図4(a)が図2のベーンと同じ方向から見た図、図4(b)が、その直角方向から見た図である。
【0019】
これらの図において、冷媒圧縮機の内部は図1に示される様に、密閉容器1内に、電動要素2と、これに駆動される圧縮要素3と、両者を連結するシャフト5と、冷凍機油4とが収納され、密閉端子7が密閉容器1に取り付けられている。これらで冷媒圧縮機10を構成する。
そして、密閉端子7を通じて供給される電力により電動要素2が駆動し、その駆動力はシャフト5を通じて圧縮要素3に伝えられ、これにより冷媒の圧縮動作が行われる。
【0020】
圧縮要素3内は、図2に示される様にシリンダー11とシリンダー11内を揺動運動するローリングピストン12と、高低圧室を仕切る窒化処理部品であるベーン13により構成される。即ち、ローリングピストン12がシリンダー11内を揺動運動することにより吸入口14から冷媒が吸入され、シリンダー11とローリングピストン12とベーン13で密閉された空間で冷媒が圧縮され、吐出口15から高温高圧の状態で吐出される。
【0021】
図3の冷凍回路内には、熱移動媒体であるハイドロフルオロカーボンなどの低温低圧の冷媒が封入され、さらに図2に示すとおり冷媒圧縮機10には潤滑油である冷凍機油4が貯留される。冷媒圧縮機10で圧縮され高温、高圧となったガス状の冷媒は吐出され四方弁25を通過後、第一の熱交換器22で冷却される。その後冷凍回路の絞り機構部23で減圧され、さらに低温となって第2の熱交換器24で加熱され再び四方弁25を通り冷媒圧縮機10に戻される。本動作の繰返しにより冷凍空調装置の運転が行われる。
【0022】
冷媒圧縮機10の運転中は、ベーン13とローリングピストン12は常に当接した状態で圧縮室を構成する必要があり、ローリングピストン12の自転及び揺動運動により、この当接部分13a(図4)が摺動することから、境界潤滑状態に近い過酷な摺動負荷を受けることになる。
【0023】
このベーン13とローリングピストン12の摺動形態ではその組合せ形状から、ベーン13の耐摩耗性、ピストンへのアタック性が問題となることが多く、一般にはベーン13の方により硬い材料を適用することが多い。特に冷媒代替等での、より過酷な摺動条件に対応するために、更なる耐摩耗性の改善が必要となり、この改善のためにベーン13に窒化処理を行うことが有効であることが確認されている。
【0024】
しかし発明者らは、種々のロータリ圧縮機を使用した実機耐久試験を行い、特に冷媒の圧縮比が大きくなる条件など、より過酷な実機運転条件においては単純な窒化処理では十分でないことを知り、窒化処理の改良を試みた。
その結果、窒化処理部品の摩耗特性の改善、処理部品の信頼性には、窒化処理により生じる化合物層の厚さ(第1の要件)、化合物層の炭素(C)量(第2の要件)、化合物層とその内側に形成される拡散層との硬度差(第3の要件)の窒化処理3要件が大きな要因となることが判明した。
【0025】
表1に実機耐久試験結果として、図4に示したベーン13の当接部13aに窒化処理を実施した試験試料に関し、窒化処理の性状、実機試験条件及び摩耗量試験結果を示す。
【0026】
【表1】
【0027】
また、潤滑性試験機を使用して窒化性状による耐焼付き性の評価を行ったが、この結果を、それぞれ、化合物層の厚さによる焼付き試験結果として図5に、また、硬度差による焼付き試験結果として図6に示す。本試験は密閉容器内に5wt%のエステル系冷凍機油を含むR134aの液冷媒雰囲気下で、前記の表1の窒化性状と同様のものを使用して、ステップ荷重により焼付きの発生する荷重を測定したものである。
【0028】
化合物層の炭素量については、従来より炭窒化化合物層を利用して表面処理を行う技術として軟窒化処理が挙げられ、もっぱら一般の窒化処理によって窒素拡散層の硬度アップが望めない鋳物や炭素鋼などの表面処理手法として活用されている。
【0029】
軟窒化処理には溶融塩処理やガスプロセスであるガス軟窒化処理などが実用化されているが、圧縮機のベーンの様な非常に過酷な摺動条件で高度な耐久性を確保するには、化合物層厚さが大きすぎて、その高硬度な特性を十分発揮しきれない。
【0030】
本実施の形態では、極微少の浸炭性成分を窒化処理媒体に加えれば良い。
例えば、窒化ガスに全窒化ガス量の1から10%程度の浸炭性ガスである一酸化炭素(CO)又はメタン(CH4)を加える。浸炭性ガスの導入は一定量供給でも、窒化プロセスでの傾斜供給でもよく、窒化する素材や温度、印加電圧などに合わせて便宜調整すればよい。
【0031】
又、同様に浸炭性ガスを微少量、プロセスガスに混入させる他、プロセスに関与する部材に炭素を含む材料を使用することによっても実現できる。
【0032】
ただし、過剰な炭素の供給を行うと、従来の軟窒化処理と同様の窒化プロセスとなり、炭窒化化合物が安定化し、厚い化合物層を生成してしまう。
【0033】
また、本実施の形態では、窒化処理を行うベーン材料として鉄系材料で、1.3重量%以上のCr及び/又は0.15重量%以上のMo及び/又は0.5重量%以上のWを含有する材料を選択し、窒化処理により形成される拡散層の硬度を上げ、化合物層との硬度差を小さくする。
以上のように摺動部品は、鉄系材料が1.3重量%以上のCrかつ/又は0.15重量%以上のMoかつ/又は0.5重量%以上のWを含有し、窒化処理によって拡散層の硬度が上昇する材料であるので、化合物層との硬度差が少なくなり、応力集中が減少し、化合物層の剥離強度が高くなり、信頼性が向上する。
【0034】
表1、図5、図6に示す試験結果から次の結論が得られる。
第1の要件である化合物層の厚さに関しては、表1の実施例1と比較例1、2とを比較すると、厚さを0〜2μmと小さくするほうがベーン及びローリングピストンと当接部の摩耗量が小さくなる。また、図5によると、焼付き特性も2μm以下で、化合物層なし(厚さ0)を除いて、試験条件対応の許容限界(図5に点線で表示)を越えて向上する。
特に、表1の実施例1と比較例1との比較より、前記第1の要件の化合物層の厚さを0〜2μmと小さくし、第2の要件である化合物層の炭素(C)量が0.8から2.0に増加すると前記摩耗量の改善が著しい。
【0035】
第2の要件である化合物層の炭素(C)量に関しては、表1より炭素量が多い方が摩耗量が改善される。
【0036】
第3の要件である化合物層とその内側に形成される拡散層との硬度差に関しては、図6より窒化処理表面の化合物層の硬度と20μm深さの拡散層の硬度との差が300Hmv以下では、焼付き特性が試験条件対応の許容限界(図6に点線で表示)を超えて向上する。
また、前記硬度差を300Hmv以下とし、かつ、化合物層の厚さを小さくして、即ち、0より大きく2μm以下とし摩耗量を減少することにより、摺動部品の潤滑性を向上し、耐磨耗性を向上し、信頼性を向上できる。
さらに、化合物層の硬度と拡散層の硬度との差を小さくすることは、応力集中の減少により化合物層の剥離が防止でき、耐久性が向上し、信頼性が向上する。
【0037】
これら結果が示す通り、3窒化処理要件に関し、化合物層の厚さを2μm以下とすること、化合物層の炭素濃度を1.0重量%以上とすること、また上記化合物層と表面から20μm位置の拡散層の硬度差を300Hmv以下とすることを適宜組合せることにより、過酷な摺動条件でも、摩耗特性の改善及び信頼性の確保が図れる。
特に、これらの3特性を同時に満足することによって、より高度な摩耗特性の及び信頼性の確保が図れる。
【0038】
また、化合物層の厚さは0よりも大きく1.0μm以下がより望ましく(図5)、化合物層中の炭素量は2.0重量%以上がより望ましい。
【0039】
但し、一般の軟窒化処理を応用し、後加工によって厚い化合物層を除去し、極薄(0より大きく2μm以下)の素材密着層のみ残存させることによっても同様の窒化性状を作り出すこともできる。
【0040】
本実施の形態では、ベーン13等の窒化処理部品13を、鉄系材料に窒化処理を施し、窒化処理による処理層は表面側の化合物層とその内部の拡散層により構成され、化合物層の厚さが0より大きく2μm以下とし、かつ、化合物層を1.0重量%以上の炭素を含有するか、化合物層と該化合物層の表面から20μm位置の拡散層の硬度差が300Hmv以下であるか、又は、鉄系材料が1.3重量%以上のCr及び/又は0.15重量%以上のMo及び/又は0.5重量%以上のWを含有し、窒化処理によって拡散層の硬度が上昇する材料であるものとし、
冷媒としてハイドロフルオロカーボン又はハイドロカーボン又は炭酸ガスを使用するロータリ圧縮機10等の冷媒圧縮機10の摺動部品に、この窒化処理部品13を使用することにより、冷媒に塩素等の潤滑材がない過酷な摺動条件においても、信頼性の高い冷媒圧縮機が得られる。
【0041】
実施の形態2
実施の形態2では、実施の形態1記載の窒化処理を冷媒圧縮機であるスクロール型圧縮機のスライダー部品に適用した。本スライダー部品の外観模式図を図7に示す。図7(a)が平面図、図7(b)が正面図である。
【0042】
窒化処理部品であるスライダー部品27の材料には合金燒結鋼を使用し、実施の形態1と同様な窒化処理を行った。本窒化処理部品も実施の形態1で示したロータリ圧縮機のベーンと同様に過酷な摺動条件にさらされる部品であるが、本窒化処理により、同様な効果が得られ、高度な耐久性を実現することができた。また、本スライダー使用のスクロール型圧縮機及び該圧縮機使用の冷凍空調装置も同様に信頼性の高い製品となる。
【0043】
実施の形態3
本発明の実施の形態に記載の窒化処理は一般の金属塑性加工工具への適用によっても、窒化処理部品である金属塑性加工工具の大きな耐久性の改善を実現することができる。図8に本発明の実施の形態3の窒化処理部品である銅管拡管工具の外観模式図を示す。図8(a)が平面図であり、図8(b)が正面図である。
【0044】
本工具の材料には合金工具鋼(JIS−SKD11)を使用し、高温調質後、本発明の実施の形態1に記載の窒化処理を施した。
【0045】
窒化処理後の本工具を使用して銅管(JIS−C1220T−H)を無給油で拡管加工した時の拡管可能回数を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】
表2に示すように、実施例2と比較例3、4との比較より、本窒化処理の適用により、著しく工具寿命を延ばすことが可能となった。
【0048】
前記の各実施の形態では、本発明の窒化処理を、窒化処理部品としては、ロータリ圧縮機のベーン、スクロール圧縮機のスライダー部品、金属塑性加工工具に適用することについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、自動車用のエンジン部品や真空ポンプ、送風機など、極めて過酷な条件で使用される摺動部品にも応用可能であり、又プレスや、成形用の金型などにも応用でき、その要旨を脱し得ない範囲で種々変形して実施することができる。
【0049】
【発明の効果】
本発明の窒化処理部品は、鉄系材料に窒化処理を施し、窒化処理による処理層は表面側の化合物層とその内部の拡散層により構成され、化合物層の厚さが0より大きく2μm以下である窒化処理部品であって、
化合物層が1.0重量%以上の炭素を含有するか、化合物層と該化合物層の表面から20μm位置の拡散層の硬度差が300Hmv以下であるか、又は、鉄系材料が1.3重量%以上のCr及び/又は0.15重量%以上のMo及び/又は0.5重量%以上のWを含有し、窒化処理によって拡散層の硬度が上昇する材料であるものである。
そこで、過酷な摺動条件での使用によっても高度な耐摩耗性及び耐久性を確保することができる。従って、この窒化処理部品を使用する冷媒圧縮機、冷凍空調装置は信頼性の高い製品となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1におけるロータリ圧縮機の縦断面図である。
【図2】図1の圧縮要素の横断面模式図である。
【図3】図1のロータリ圧縮機使用の冷凍回路模式図である。
【図4】図2のベーンの外観模式図である。
【図5】本発明の実施の形態1におけるベーンの窒化処理による化合物層の厚さに対する焼付き荷重の関係の試験結果を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1におけるベーンの窒化処理による化合物層表面と20μm深さの拡散層との硬度差に対する焼付き荷重の関係の試験結果を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態2におけるスライダー部品の外観模式図である。
【図8】本発明の実施の形態3における銅管拡管工具の外観模式図である。
【符号の説明】
10 冷媒圧縮機(ロータリ圧縮機)、13 ベーン(窒化処理部品)、27、28 窒化処理部品。
【発明の属する技術分野】
本発明は、過酷な摺動条件で使用される窒化処理部品及びそれを使用する冷媒圧縮機、冷凍空調装置に関するものであり、さらに詳しくは、鉄系材料に窒化処理により特徴ある化合物層と拡散層とを形成した窒化処理部品及びそれを使用する冷媒圧縮機、冷凍空調装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エアコン、冷蔵庫及び冷凍機等の冷凍空調装置は、密閉された配管内を冷媒や潤滑油などが循環して運転されるが、長期間潤滑油交換などのメンテナンスの無いまま使用されるため、使用される冷媒圧縮機の摺動部品には耐摩耗性などの高度な潤滑特性が求められる。
【0003】
殊にオゾン層保護を目的とした冷媒の代替とこれに伴う潤滑油の変更により、その摺動環境はより苛酷なものとなっている。即ち、冷媒として塩素を含まず潤滑性に寄与しないハイドロフルオロカーボンなどを冷媒として使用しなければならず、しかもこの冷媒と適合する潤滑油には、潤滑性能の低いエステル油などを使用しなければならない。
【0004】
こうした中で、高度な潤滑性を実現するためにロータリ型圧縮機のベーンに窒化処理を適用することが報告されている。(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、ベーン表面にイオン窒化処理により耐摩耗性の化合物層を生成することが記載されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
また、摺動部材に窒化処理を施し、表面に化合物層、内側に拡散層を生じ、化合物層はほとんど無く、拡散層は60μm以上とすることが記載されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0007】
【特許文献1】
特開昭60−228794号公報(第2頁、第1図〜第5図)
【特許文献2】
特開平5−86442号公報(第3頁〜第4頁、図1〜図4)
【特許文献3】
特開平11−217665号公報(第3頁、図3)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1、2の窒化処理の適用では、化合物層の厚さの特定がなく、また、その潤滑特性も十分ではない。
【0009】
即ち、化合物層は高い硬度を持つ一方で、脆弱なため、製造過程又は使用中において割れやカケなどの不具合があり、加工不良による歩留まり低下や、製品性能の信頼性低下をまねく危険性がある。さらに、その高い硬度のため、相手攻撃性も強く、相手材料を激しく摩耗させる危険性がある。
【0010】
また、ロータリ型圧縮機のベーンなど特に過酷な潤滑特性が求められる部品については、上記の割れやカケも含めてその部品自身の耐久性も十分ではない。
【0011】
一方、これら窒化処理での潤滑特性の不足を補うためには、さらに高硬度で、摺動特性の高い潤滑皮膜、例えばクロムナイトライドやチタンカーバイトなどをPVDやCVDによりコーティングする方法などが挙げられる。
【0012】
しかし、単に素材の上にこれら潤滑皮膜をコーティングする方法では、素材とコーティング層との硬度差から剥離が生じ易く、長期の耐摩耗性は実現できない。
【0013】
また、窒化を施した上にコーティングする方法により剥離強度を向上させることができるが、2度に渡る表面処理により、製造コストが著しく上昇し、また、寸法管理も煩雑になるなどの問題がある。
【0014】
また、特許文献3の窒化処理には、更なる改良の余地がある。
【0015】
本発明は、前記問題点を解決するためになされたものであり、窒化処理のみで冷媒圧縮機などの過酷な摺動環境下で使用されるベーン等の摺動部品の潤滑特性を改善し、これを使用する製品の長期信頼性を実現するものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の窒化処理部品は、鉄系材料に窒化処理を施し、窒化処理による処理層は表面側の化合物層とその内部の拡散層により構成され、化合物層の厚さが0より大きく2μm以下である窒化処理部品であって、
化合物層が1.0重量%以上の炭素を含有するか、化合物層と該化合物層の表面から20μm位置の拡散層の硬度差が300Hmv以下であるか、又は、鉄系材料が1.3重量%以上のCr及び/又は0.15重量%以上のMo及び/又は0.5重量%以上のWを含有し、窒化処理によって拡散層の硬度が上昇する材料であるものである。
【0017】
また、本発明の冷媒圧縮機は、前記窒化処理部品をベーン等の摺動部品に使用したものであり、冷凍空調装置は、前記の冷媒圧縮機を使用したものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1のロータリ型圧縮機の縦断面図であり、図2は、図1の圧縮要素の横断面模式図であり、図3は、図1の圧縮機が使用される冷凍回路の模式図であり、図4は、図1の圧縮機に使用され、窒化処理が施される窒化処理部品であるベーンの外観模式図であり、図4(a)が図2のベーンと同じ方向から見た図、図4(b)が、その直角方向から見た図である。
【0019】
これらの図において、冷媒圧縮機の内部は図1に示される様に、密閉容器1内に、電動要素2と、これに駆動される圧縮要素3と、両者を連結するシャフト5と、冷凍機油4とが収納され、密閉端子7が密閉容器1に取り付けられている。これらで冷媒圧縮機10を構成する。
そして、密閉端子7を通じて供給される電力により電動要素2が駆動し、その駆動力はシャフト5を通じて圧縮要素3に伝えられ、これにより冷媒の圧縮動作が行われる。
【0020】
圧縮要素3内は、図2に示される様にシリンダー11とシリンダー11内を揺動運動するローリングピストン12と、高低圧室を仕切る窒化処理部品であるベーン13により構成される。即ち、ローリングピストン12がシリンダー11内を揺動運動することにより吸入口14から冷媒が吸入され、シリンダー11とローリングピストン12とベーン13で密閉された空間で冷媒が圧縮され、吐出口15から高温高圧の状態で吐出される。
【0021】
図3の冷凍回路内には、熱移動媒体であるハイドロフルオロカーボンなどの低温低圧の冷媒が封入され、さらに図2に示すとおり冷媒圧縮機10には潤滑油である冷凍機油4が貯留される。冷媒圧縮機10で圧縮され高温、高圧となったガス状の冷媒は吐出され四方弁25を通過後、第一の熱交換器22で冷却される。その後冷凍回路の絞り機構部23で減圧され、さらに低温となって第2の熱交換器24で加熱され再び四方弁25を通り冷媒圧縮機10に戻される。本動作の繰返しにより冷凍空調装置の運転が行われる。
【0022】
冷媒圧縮機10の運転中は、ベーン13とローリングピストン12は常に当接した状態で圧縮室を構成する必要があり、ローリングピストン12の自転及び揺動運動により、この当接部分13a(図4)が摺動することから、境界潤滑状態に近い過酷な摺動負荷を受けることになる。
【0023】
このベーン13とローリングピストン12の摺動形態ではその組合せ形状から、ベーン13の耐摩耗性、ピストンへのアタック性が問題となることが多く、一般にはベーン13の方により硬い材料を適用することが多い。特に冷媒代替等での、より過酷な摺動条件に対応するために、更なる耐摩耗性の改善が必要となり、この改善のためにベーン13に窒化処理を行うことが有効であることが確認されている。
【0024】
しかし発明者らは、種々のロータリ圧縮機を使用した実機耐久試験を行い、特に冷媒の圧縮比が大きくなる条件など、より過酷な実機運転条件においては単純な窒化処理では十分でないことを知り、窒化処理の改良を試みた。
その結果、窒化処理部品の摩耗特性の改善、処理部品の信頼性には、窒化処理により生じる化合物層の厚さ(第1の要件)、化合物層の炭素(C)量(第2の要件)、化合物層とその内側に形成される拡散層との硬度差(第3の要件)の窒化処理3要件が大きな要因となることが判明した。
【0025】
表1に実機耐久試験結果として、図4に示したベーン13の当接部13aに窒化処理を実施した試験試料に関し、窒化処理の性状、実機試験条件及び摩耗量試験結果を示す。
【0026】
【表1】
【0027】
また、潤滑性試験機を使用して窒化性状による耐焼付き性の評価を行ったが、この結果を、それぞれ、化合物層の厚さによる焼付き試験結果として図5に、また、硬度差による焼付き試験結果として図6に示す。本試験は密閉容器内に5wt%のエステル系冷凍機油を含むR134aの液冷媒雰囲気下で、前記の表1の窒化性状と同様のものを使用して、ステップ荷重により焼付きの発生する荷重を測定したものである。
【0028】
化合物層の炭素量については、従来より炭窒化化合物層を利用して表面処理を行う技術として軟窒化処理が挙げられ、もっぱら一般の窒化処理によって窒素拡散層の硬度アップが望めない鋳物や炭素鋼などの表面処理手法として活用されている。
【0029】
軟窒化処理には溶融塩処理やガスプロセスであるガス軟窒化処理などが実用化されているが、圧縮機のベーンの様な非常に過酷な摺動条件で高度な耐久性を確保するには、化合物層厚さが大きすぎて、その高硬度な特性を十分発揮しきれない。
【0030】
本実施の形態では、極微少の浸炭性成分を窒化処理媒体に加えれば良い。
例えば、窒化ガスに全窒化ガス量の1から10%程度の浸炭性ガスである一酸化炭素(CO)又はメタン(CH4)を加える。浸炭性ガスの導入は一定量供給でも、窒化プロセスでの傾斜供給でもよく、窒化する素材や温度、印加電圧などに合わせて便宜調整すればよい。
【0031】
又、同様に浸炭性ガスを微少量、プロセスガスに混入させる他、プロセスに関与する部材に炭素を含む材料を使用することによっても実現できる。
【0032】
ただし、過剰な炭素の供給を行うと、従来の軟窒化処理と同様の窒化プロセスとなり、炭窒化化合物が安定化し、厚い化合物層を生成してしまう。
【0033】
また、本実施の形態では、窒化処理を行うベーン材料として鉄系材料で、1.3重量%以上のCr及び/又は0.15重量%以上のMo及び/又は0.5重量%以上のWを含有する材料を選択し、窒化処理により形成される拡散層の硬度を上げ、化合物層との硬度差を小さくする。
以上のように摺動部品は、鉄系材料が1.3重量%以上のCrかつ/又は0.15重量%以上のMoかつ/又は0.5重量%以上のWを含有し、窒化処理によって拡散層の硬度が上昇する材料であるので、化合物層との硬度差が少なくなり、応力集中が減少し、化合物層の剥離強度が高くなり、信頼性が向上する。
【0034】
表1、図5、図6に示す試験結果から次の結論が得られる。
第1の要件である化合物層の厚さに関しては、表1の実施例1と比較例1、2とを比較すると、厚さを0〜2μmと小さくするほうがベーン及びローリングピストンと当接部の摩耗量が小さくなる。また、図5によると、焼付き特性も2μm以下で、化合物層なし(厚さ0)を除いて、試験条件対応の許容限界(図5に点線で表示)を越えて向上する。
特に、表1の実施例1と比較例1との比較より、前記第1の要件の化合物層の厚さを0〜2μmと小さくし、第2の要件である化合物層の炭素(C)量が0.8から2.0に増加すると前記摩耗量の改善が著しい。
【0035】
第2の要件である化合物層の炭素(C)量に関しては、表1より炭素量が多い方が摩耗量が改善される。
【0036】
第3の要件である化合物層とその内側に形成される拡散層との硬度差に関しては、図6より窒化処理表面の化合物層の硬度と20μm深さの拡散層の硬度との差が300Hmv以下では、焼付き特性が試験条件対応の許容限界(図6に点線で表示)を超えて向上する。
また、前記硬度差を300Hmv以下とし、かつ、化合物層の厚さを小さくして、即ち、0より大きく2μm以下とし摩耗量を減少することにより、摺動部品の潤滑性を向上し、耐磨耗性を向上し、信頼性を向上できる。
さらに、化合物層の硬度と拡散層の硬度との差を小さくすることは、応力集中の減少により化合物層の剥離が防止でき、耐久性が向上し、信頼性が向上する。
【0037】
これら結果が示す通り、3窒化処理要件に関し、化合物層の厚さを2μm以下とすること、化合物層の炭素濃度を1.0重量%以上とすること、また上記化合物層と表面から20μm位置の拡散層の硬度差を300Hmv以下とすることを適宜組合せることにより、過酷な摺動条件でも、摩耗特性の改善及び信頼性の確保が図れる。
特に、これらの3特性を同時に満足することによって、より高度な摩耗特性の及び信頼性の確保が図れる。
【0038】
また、化合物層の厚さは0よりも大きく1.0μm以下がより望ましく(図5)、化合物層中の炭素量は2.0重量%以上がより望ましい。
【0039】
但し、一般の軟窒化処理を応用し、後加工によって厚い化合物層を除去し、極薄(0より大きく2μm以下)の素材密着層のみ残存させることによっても同様の窒化性状を作り出すこともできる。
【0040】
本実施の形態では、ベーン13等の窒化処理部品13を、鉄系材料に窒化処理を施し、窒化処理による処理層は表面側の化合物層とその内部の拡散層により構成され、化合物層の厚さが0より大きく2μm以下とし、かつ、化合物層を1.0重量%以上の炭素を含有するか、化合物層と該化合物層の表面から20μm位置の拡散層の硬度差が300Hmv以下であるか、又は、鉄系材料が1.3重量%以上のCr及び/又は0.15重量%以上のMo及び/又は0.5重量%以上のWを含有し、窒化処理によって拡散層の硬度が上昇する材料であるものとし、
冷媒としてハイドロフルオロカーボン又はハイドロカーボン又は炭酸ガスを使用するロータリ圧縮機10等の冷媒圧縮機10の摺動部品に、この窒化処理部品13を使用することにより、冷媒に塩素等の潤滑材がない過酷な摺動条件においても、信頼性の高い冷媒圧縮機が得られる。
【0041】
実施の形態2
実施の形態2では、実施の形態1記載の窒化処理を冷媒圧縮機であるスクロール型圧縮機のスライダー部品に適用した。本スライダー部品の外観模式図を図7に示す。図7(a)が平面図、図7(b)が正面図である。
【0042】
窒化処理部品であるスライダー部品27の材料には合金燒結鋼を使用し、実施の形態1と同様な窒化処理を行った。本窒化処理部品も実施の形態1で示したロータリ圧縮機のベーンと同様に過酷な摺動条件にさらされる部品であるが、本窒化処理により、同様な効果が得られ、高度な耐久性を実現することができた。また、本スライダー使用のスクロール型圧縮機及び該圧縮機使用の冷凍空調装置も同様に信頼性の高い製品となる。
【0043】
実施の形態3
本発明の実施の形態に記載の窒化処理は一般の金属塑性加工工具への適用によっても、窒化処理部品である金属塑性加工工具の大きな耐久性の改善を実現することができる。図8に本発明の実施の形態3の窒化処理部品である銅管拡管工具の外観模式図を示す。図8(a)が平面図であり、図8(b)が正面図である。
【0044】
本工具の材料には合金工具鋼(JIS−SKD11)を使用し、高温調質後、本発明の実施の形態1に記載の窒化処理を施した。
【0045】
窒化処理後の本工具を使用して銅管(JIS−C1220T−H)を無給油で拡管加工した時の拡管可能回数を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】
表2に示すように、実施例2と比較例3、4との比較より、本窒化処理の適用により、著しく工具寿命を延ばすことが可能となった。
【0048】
前記の各実施の形態では、本発明の窒化処理を、窒化処理部品としては、ロータリ圧縮機のベーン、スクロール圧縮機のスライダー部品、金属塑性加工工具に適用することについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、自動車用のエンジン部品や真空ポンプ、送風機など、極めて過酷な条件で使用される摺動部品にも応用可能であり、又プレスや、成形用の金型などにも応用でき、その要旨を脱し得ない範囲で種々変形して実施することができる。
【0049】
【発明の効果】
本発明の窒化処理部品は、鉄系材料に窒化処理を施し、窒化処理による処理層は表面側の化合物層とその内部の拡散層により構成され、化合物層の厚さが0より大きく2μm以下である窒化処理部品であって、
化合物層が1.0重量%以上の炭素を含有するか、化合物層と該化合物層の表面から20μm位置の拡散層の硬度差が300Hmv以下であるか、又は、鉄系材料が1.3重量%以上のCr及び/又は0.15重量%以上のMo及び/又は0.5重量%以上のWを含有し、窒化処理によって拡散層の硬度が上昇する材料であるものである。
そこで、過酷な摺動条件での使用によっても高度な耐摩耗性及び耐久性を確保することができる。従って、この窒化処理部品を使用する冷媒圧縮機、冷凍空調装置は信頼性の高い製品となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1におけるロータリ圧縮機の縦断面図である。
【図2】図1の圧縮要素の横断面模式図である。
【図3】図1のロータリ圧縮機使用の冷凍回路模式図である。
【図4】図2のベーンの外観模式図である。
【図5】本発明の実施の形態1におけるベーンの窒化処理による化合物層の厚さに対する焼付き荷重の関係の試験結果を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1におけるベーンの窒化処理による化合物層表面と20μm深さの拡散層との硬度差に対する焼付き荷重の関係の試験結果を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態2におけるスライダー部品の外観模式図である。
【図8】本発明の実施の形態3における銅管拡管工具の外観模式図である。
【符号の説明】
10 冷媒圧縮機(ロータリ圧縮機)、13 ベーン(窒化処理部品)、27、28 窒化処理部品。
Claims (7)
- 鉄系材料に窒化処理を施した窒化処理部品であって、前記窒化処理による処理層は表面側の化合物層とその内部の拡散層により構成され、前記化合物層の厚さが0より大きく2μm以下であり、かつ、前記化合物層が1.0重量%以上の炭素を含有することを特徴とする窒化処理部品。
- 鉄系材料に窒化処理を施した窒化処理部品であって、前記窒化処理による処理層は表面側の化合物層とその内部の拡散層により構成され、前記化合物層の厚さが0より大きく2μm以下であり、かつ、前記化合物層と該化合物層の表面から20μm位置の拡散層の硬度差が300Hmv以下であることを特徴とする窒化処理部品。
- 鉄系材料に窒化処理を施した窒化処理部品であって、前記窒化処理による処理層は表面側の化合物層とその内部の拡散層により構成され、前記化合物層の厚さが0より大きく2μm以下であり、かつ、前記鉄系材料が1.3重量%以上のCr及び/又は0.15重量%以上のMo及び/又は0.5重量%以上のWを含有し、窒化処理によって拡散層の硬度が上昇する材料であることを特徴とする窒化処理部品。
- 請求項1から請求項3のいずれかの請求項に記載の窒化処理部品を摺動部品に使用したことを特徴とする冷媒圧縮機。
- 前記摺動部品がベーンであり、前記冷媒圧縮機がロータリ圧縮機であることを特徴とする請求項4に記載の冷媒圧縮機。
- 冷媒としてハイドロフルオロカーボン又はハイドロカーボン又は炭酸ガスを使用することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の冷媒圧縮機。
- 請求項4から請求項6のいづれかの請求項に記載の冷媒圧縮機を使用したことを特徴とする冷凍空調装置。
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WO2014027438A1 (ja) * | 2012-08-17 | 2014-02-20 | 東芝キヤリア株式会社 | 冷凍サイクル装置 |
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2003
- 2003-01-28 JP JP2003018802A patent/JP2004231987A/ja active Pending
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