JP2005015856A - 伸び特性に優れる安価なステンレス鋼線材及び細線及びその製造方法 - Google Patents

伸び特性に優れる安価なステンレス鋼線材及び細線及びその製造方法 Download PDF

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【課題】安価な低Ni系(≦10%)のオーステナイト系ステンレス鋼線材を線径300μm以下の細線に伸線加工しストランド焼鈍する方法において、該焼鈍を超短時間で行なった場合の伸び値を安定して向上させる。
【解決手段】質量%で、C:0.005〜0.08%,Si:0.1〜2.0%,Mn:0.4〜10.0%,P:0.04%以下,S:0.03%以下,Ni:5.0〜10.0%,Cr:17.0〜20.0%,Cu:0.1〜4.0%,N;0.005〜0.07%とし、残部を不可避的不純物とし、M値(%)を−30℃以下に制御することにより、線径が300μm以下で、全伸びが30%以上の伸び特性に優れる安価なステンレス鋼細線を製造する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低Ni系のオーステナイト系ステンレス鋼線材を素材として冷間伸線性加工により線径φ300μm以下の細線に加工した後において、超短時間ストランド焼鈍後の伸び値を改善することができる線材及び伸び値を改善した細線およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金網用等のステンレス鋼細線は、高い製品加工性(この場合、製網性)が要求される観点から高い伸び値が要求される一方で、民生用であるため低価格が要求される。すなわち、安価な素材と安価な製造方法(高生産性)が求められる。特に、線径が細くなればなる程、高生産性が望まれる。
【0003】
従来、このようなステンレス鋼細線は、線径が5mm程度の線材を線径2mm程度まで伸線加工を施した後、約60秒間の中間ストランド焼鈍を施し、続いて線径0.2mm程度まで伸線加工を施した後、約10秒間の超短時間ストランド焼鈍を施して製造している。
【0004】
このような製造方法により安価に製造するためには、線材は伸線加工において大きな加工率であっても断線しない高伸線性であることが必要であり、また、ストランド焼鈍は所要時間が短い超短時間ストランド焼鈍であっても所定の伸び値が得られることが必要である。このような条件を満足するために、従来はNi含有量が10%超の高価なSUS304L系が使用されていたが高Ni材は素材コストを上げるため、低Ni化が要望されてきた。
【0005】
すなわち、最近の低コスト化ニーズから、安価な材料を使用し、線径300μm以下まで高生産性(高伸線性および超短時間焼鈍)で生産され、安定して高い伸び値を示す安価なステンレス鋼細線が望まれるようになってきた。しかし、安価なステンレス鋼細線を製造するために低Ni化すると、線径φ300μm以下の細線まで伸線加工した後の伸び値が悪くなるため、伸び値を改善するためのストランド焼鈍に長時間を要して生産能率が悪くなる。
【0006】
低Ni含有量のステンレス鋼線材の伸線性を改善した発明が、例えば特許文献1により知られているが、この発明による線材の線径が6.0mmであり、線径300μm以下の細線を対象としたものではない。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−121208号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高伸線性で且つ超短時間ストランド焼鈍であっても安定して高い伸び値を示す線径300μm以下の低Ni系ステンレス鋼細線を安価に提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために種々検討した結果、安価な低Ni系のステンレス鋼線材を300μm以下の細線に伸線加工した後、該細線に超短時間ストランド焼鈍を行った場合において、高い伸び値を達成するためには、伸線加工時の加工誘起マルテンサイト量を抑制することが重要であることを解明し、低Ni化しても加工誘起マルテンサイトの生成量の指標であるM値を制御して成分調整すれば、低Ni系の安価な線材から線径300μm以下のステンレス細線を安価に高生産性で製造できることを見出し、本発明をなしたものである。
【0010】
すなわち、本発明の要旨とするところは以下の通りである。
(1)質量%で、C:0.005〜0.08%,Si:0.1〜2.0%,Mn:0.4〜10.0%,P:0.04%以下,S:0.03%以下,Ni:5.0〜10.0%,Cr:17.0〜20.0%,Cu:0.1〜4.0%,N;0.005〜0.07%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物であり、M値(%)が−30%以下に制御されていることを特徴とする伸び特性に優れる安価な細線用ステンレス鋼線材である。
M値=551−462(C+N)−9.2Si−8.1Mn
−29(Ni+Cu)−13.7Cr−18.5Mo −−−(1)式
(2)前記(1)記載の化学組成において、質量%で、Mo:0.3〜2.5%を含有することを特徴とする伸び特性に優れる安価な細線用ステンレス鋼線材である。
(3)前記(1)または(2)記載の化学組成であって、線径が300μm以下で、伸び値が30%以上であることを特徴とする伸び特性に優れる安価なステンレス鋼細線である。
(4)前記(1)または(2)記載の化学組成のステンレス鋼線材を溶体化処理した後、80%以上の減面率で線径300μm以下まで冷間伸線加工し、続いて在炉時間が10秒以下の超短時間ストランド焼鈍を施すことを特徴とする伸び特性に優れる安価なステンレス鋼細線の製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、先ず、本発明の請求項1及び2記載の化学組成(質量%)の限定理由について説明する。
【0012】
Cは、高い伸線性と超短時間ストランド焼鈍後の伸び値を確保(焼鈍時の再結晶促進)するために、0.08%以下とする。しかしながら、0.005%未満にすることは工業的な脱炭プロセスにおいて不経済である。そのため、下限を0.005%とする。好ましい範囲は、0.01〜0.06%である。
【0013】
Siは、脱酸に必要であり、経済的に0.1%未満に落とすことが困難であるため、0.1%以上とする。しかしながら、2.0%を超えると固溶強化のため伸線性が劣化する。そのため、上限を2.0%とする。好ましい範囲は、0.2〜1.0%である。
【0014】
Mnは、0.4%未満に低下することは不経済であり、また、伸線加工時にオーステナイト組織を安定化させて加工誘起マルテンサイト組織の生成を抑制する元素であるため、0.4%以上とする。しかしながら、10.0%を超えるとステンレス鋼としての耐食性が損なわれる。そのため、上限を10.0%とする。好ましい範囲は、0.8〜3.0%である。
【0015】
P,Sは、材質を劣化させて伸線性を劣化させるばかりか、耐食性をも劣化させるため、P:0.04%以下,S:0.03%とする。好ましい範囲は、Pでは0.01〜0.03%,Sでは0.0005〜0.01%である。
【0016】
Niは、高価な元素であり高コストの原因であるため、従来の10%超材よりも経済的効果を発揮させるために、10.0%以下とする。しかしながら、5%未満では、その他の成分を調整しても加工誘起マルテンサイトの生成を抑制できず、伸線性と超短時間焼鈍後の伸び値が劣化する。そのため、下限を5%とする。好ましい範囲は、7〜9.5%である。
【0017】
Crは、耐食性を付与するために、17.0%以上とする。しかしながら、20.0%を超えると逆に伸線加工性ばかりか伸び値も劣化する。そのため、上限を20.0%とする。好ましい範囲は、18.0〜19.0%である。
【0018】
Cuは、冷間伸線加工時の加工硬化を抑制し、また、オーステナイト組織を安定化させて加工誘起マルテンサイト組織の生成を抑制する元素であるため、0.1%以上とする。しかしながら、4.0%を超えるとCu脆化により製造性が著しく劣化するため、上限を4.0%とする。好ましい範囲は、0.5〜3.5%である。
【0019】
Nは、伸線性と超短時間ストランド焼鈍後の伸び値を確保(焼鈍時の再結晶を促進)するために、0.07%以下とする。しかしながら、0.005%未満では工業的な脱窒プロセスにおいて不経済であるため、下限を0.005%とする。好ましい範囲は、0.01〜0.05%である。
【0020】
Moは、耐食性を付与するため、必要に応じて0.3%以上添加する。しかしながら、3.0%を超えると高コストとなるばかりか超短時間焼鈍後の伸び値が劣化する。そのため、上限を3.0%にする。好ましい範囲は、0.5〜2.0%である。
【0021】
続いて、請求項1記載のM値(%)を−30%以下とした限定理由について説明する。
【0022】
M値(%)が低いと線径300μm以下の細線に伸線加工するとき、加工誘起マルテンサイト量を抑制し、超短時間ストランド焼鈍時の再結晶を促進させることができる。そのため、安価材料・安価プロセスで伸び値を確保するためには、M値(%)を−30%以下に限定する。
【0023】
図1は、線径が200μmの細線に1050℃でストランド焼鈍を行った場合の、焼鈍時間毎のM値(%)と焼鈍後の伸び値の関係を示す。M値(%)が−30%を超えると実際のストランド焼鈍時間レベル(10秒以内)で再結晶が完了せずに伸び値が30%以下に低下する。そのため。M値(%)を−30%以下とすることが必要である。好ましい範囲は、−40%以下である。
【0024】
次に、請求項3記載の線径を300μm以下とした限定した理由について説明する。
【0025】
線径(直径)が300μm以下の場合、線径が小さいことにより細線中心までの熱伝導が短時間で済むため、超短時間ストランド焼鈍を施すことで生産性を向上させることができる。そのため、高伸線性および超短時間ストランド焼鈍で高い伸び値が得られ易いので本発明の効果が顕著に発揮される。一方、300μmよりも大きくなると、線径が大きいことにより細線中心までの熱伝導に長時間を要するため、ストランド焼鈍の在路時間が長くなるので本発明鋼の効果が明確でなくなる。そのため、本発明では線径が300μm以下の細線に限定した。
【0026】
次に、請求項3記載の伸び値を30%以上と限定した理由について説明する。
【0027】
伸び値は、加工性の観点から一般に高い程望ましい。ここで、伸び値が30%未満では、他鋼種との差が明確にならないため、他鋼種との優位性が明らかな30%以上の伸び値に限定する。
【0028】
次に、請求項4記載の限定理由について説明する。
【0029】
超短時間ストランド焼鈍を施す前の伸線加工の減面率は、80%未満では加工誘起マルテンサイトの生成量が少ないことにより高い伸び値を示すため、本発明鋼の効果が得難い。そのため、加工誘起マルテンサイトが生成し易くなって伸び値が低くなり本発明の効果が明確になる80%以上の減面率に限定する。好ましい減面率は90%以上である。
【0030】
線径を300μm以下とした限定理由は、前記課題を解決する手段の最初の段落に記載した通りである。
【0031】
超短時間ストランド焼鈍の在炉時間が10秒以上では、汎用の大半の鋼も再結晶して高い伸び値を示すため、本発明鋼の効果が明確でない。そのため、在炉時間が短いことにより伸び値が低くなって本発明の効果が明確となる10秒以下の在炉時間に限定する。在炉時間を10秒以下とすることにより生産能率が向上する。
【0032】
【実施例】
以下に本発明の実施例について説明する。
【0033】
表1に実施例の鋼の化学組成を示す。
【0034】
本発明鋼A〜Cおよび比較鋼O,Pは、0.5Si−1Mn−0.03P−0.005S−9.2Ni−18.5Cr−0.7Cu鋼を基本化学組成として、伸線性と超短時間ストランド焼鈍後の伸び値に影響を及ぼすC含有量(%)とN含有量(%)を変化させたものである。
【0035】
本発明鋼A,D,Eおよび比較鋼Qは、0.04C−1Mn−0.03P−0.005S−9.2Ni−18.5Cr−0.7Cu−0.03N鋼を基本化学組成として、伸線性に影響を及ぼすSi含有量(%)を変化させたものである。
【0036】
本発明鋼A,F〜Hおよび比較鋼R〜Uは、0.04C−0.5Si−0.03P−0.005S−18.5Cr−0.03N鋼を基本化学組成として、オーステナイト組織の安定度、すなわち、伸線性と超ストランド焼鈍後の伸び値に影響を及ぼすMn含有量(%),Ni含有量(%)とCu含有量(%)を変化させたものである。比較鋼R、TはM値が本発明範囲を外れている。
【0037】
本発明鋼A,I,Jおよび比較鋼W,Xは、0.04C−0.5Si−1Mn−9.3Ni−18.5Cr−0.8Cu−0.03N鋼を基本化学組成として、伸線性および耐食性に影響を及ぼすP含有量(%)およびS含有量(%)を変化させたものである。
【0038】
本発明鋼A,K,Lおよび比較鋼Y,Zは、0.04C−0.5Si−1Mn−0.03P−0.005S−9.3Ni−0.8Cu−0.03N鋼を基本化学組成として、耐食性および伸線性,超短時間ストランド焼鈍後の伸び値に影響を及ぼすCr含有量(%)を変化させたものである。
【0039】
本発明A,M,Nおよび比較鋼AAは、0.04C−0.5Si−1Mn−0.03P−0.005S−9.3Ni−18.5Cr−0.8Cu−0.03N鋼を基本化学組成として、耐食性および超短時間ストランド焼鈍後の伸び値に影響を及ぼすMo含有量(%)を変化させたものである。
【0040】
【表1】
Figure 2005015856
【0041】
これら化学組成の鋼は、100kgの真空溶解炉にて溶解し、φ180mmの鋳片に鋳造し、その鋳片をφ5.5mmまで熱間の線材圧延を行い、1000℃で熱延を終了し、室温まで冷却した。そして、その線材を1050℃で30分の溶体化処理(水冷)を施した。その後、酸洗・被膜処理し、φ1.8mmまで伸線加工を施して、1050℃で60秒の中間のストランド焼鈍を施し、続いて、φ0.2mmまで伸線加工を施して伸線性を評価し、引き続き1050℃で5秒間在炉の超短時間ストランド焼鈍を施した。そして、伸び値を評価した。
【0042】
伸線性は、中間焼鈍無しでφ1.8mmからφ0.2mmに線加工したとき、断線するかどうかで評価した。断線しなかった場合は伸線性を○とし、断線した場合は伸線性を×として評価した。表2に伸線性の評価結果を示す。本発明の細線の伸線性は、全て○であった。
【0043】
伸び値は、JIS Z 2241に基づき、長さ300mmの鋼線を標点距離100mmで10本づつ引張試験を行い、破断伸びを測定し、破断A材の平均値で評価した。表2に伸び値の評価結果を示す。本発明の細線の伸び値は、30%以上であった。
【0044】
【表2】
Figure 2005015856
【0045】
比較例No.15,16では、伸線性のみならず、超短時間ストランド焼鈍の伸び値を劣化させるC含有量(%)およびN含有量(%)が高いため伸線性および伸び値に劣っている。
【0046】
比較例No.17では、伸線性を劣化させるSi含有量(%)が高いため、伸線性に劣っている。
【0047】
比較例No.18では、M値が−30%を超えているため、超短時間ストランド焼鈍時の再結晶が遅延し、伸び値に劣っている。
【0048】
比較例No.19では、Mn含有量(%)が高すぎるため、ステンレス鋼としての耐食性に劣っている。
【0049】
比較例No.20では、Ni含有量(%)が低く、M値が−30%を超えているため、伸線性に劣るばかりか、伸び値に劣っている。
【0050】
比較例No.21では、従来の高Ni材であり、特性は満足しているが、Ni含有量(%)が高いため素材価格が高い。
【0051】
比較例No.22では、Cu含有量(%)が高いため、Cu脆性のため熱間製造性に劣り、経済的でない。
【0052】
比較例No.23,24では、それぞれP含有量(%)又はS含有量(%)が高いため、伸線性に劣るばかりか、ステンレス鋼として耐食性に劣っている。
【0053】
比較例No.25では、Cr含有量(%)が低いため、ステンレス鋼として耐食性に劣っている。
【0054】
比較例No.26では、Cr含有量(%)が高いため、伸線性に劣っているばかりか、伸び値にも劣っている。
【0055】
比較例No.27では、Mo含有量(%)が高いため、伸び値に劣っている。
【0056】
次に、伸び値に及ぼすストランド焼鈍時間の影響を調べるため、本発明鋼Aおよび比較鋼P,Sについて、1050℃でのストランド焼鈍の在炉時間を5〜30秒と変化させた。そして、伸び値を評価した。その評価結果を表3に示す。
【0057】
【表3】
Figure 2005015856
【0058】
ストランド焼鈍時間が10秒以下の本発明例No.28,29と比較例No.33,34を比べると、比較例No.33,34は鋼成分のM値が本発明範囲から外れているために伸び値が不良であるのに対して、本発明例No.28,29は、従来の高Ni系材料である比較例No.38,39並みの伸び値を示しており、本発明鋼の効果は明確である。しかしながら、10秒を超えて十分にストランド焼鈍を施した比較例No.30〜32,35〜37,40〜42の場合、M値が高い材料(比較例No.35〜37)も30%以上の伸び値を示し、本発明鋼の優位性が認められない。
【0059】
次に、超短時間ストランド焼鈍前の伸線率の影響を調べるため、本発明鋼Aおよび比較鋼P,Sについて、φ1.8mmとφ0.2mmの間に中間ストランド焼鈍を施して、最終伸線加工の減面率を60〜99%と変化させ、その後、φ0.2mmで同様の5秒間の超短時間ストランド焼鈍を施して伸び値を評価した。その評価結果を表4に示す。
【0060】
【表4】
Figure 2005015856
【0061】
超短時間ストランド焼鈍前の伸線加工の減面率が80%以上の本発明例No.44,45と比較例No.47,48を比べると、比較例No.47,48は鋼成分のM値が本発明範囲から外れているために伸び値が30%未満であるのに対して、本発明例No.44,45は従来の高Ni系材料である比較例No.50,51並の伸び値を示しており、本発明鋼の効果は明確である。しかしながら、伸線加工の減面率が80%未満の比較例No.43,46,49の場合は、伸び値が30%以上であり、本発明の優位性は認められない。
【0062】
以上の実施例から分かるように本発明鋼の優位性が明らかである。
【0063】
【発明の効果】
以上の各実施例から明らかなように、本発明によれば、線径300μm以下に伸線加工を行った場合でも断線を生じることなく、また、10秒以下の超短時間ストランド焼鈍を行った場合でも安定した高い伸び値を示す低Ni系ステンレス鋼細線を安価に提供することが可能であり、金網等の用途として、産業上極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】細線の焼鈍時間毎のM値と焼鈍後の伸び値の関係を示す図

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.005〜0.08%,Si:0.1〜2.0%,Mn:0.4〜10.0%,P:0.04%以下,S:0.03%以下,Ni:5.0〜10.0%,Cr:17.0〜20.0%,Cu:0.1〜4.0%,N;0.005〜0.07%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物であり、M値(%)が−30%以下に制御されていることを特徴とする伸び特性に優れる安価な細線用ステンレス鋼線材。
    M値=551−462(C+N)−9.2Si−8.1Mn
    −29(Ni+Cu)−13.7Cr−18.5Mo −−−(1)式
  2. 請求項1記載の化学組成において、質量%で、Mo:0.3〜2.5%を含有することを特徴とする伸び特性に優れる安価な細線用ステンレス鋼線材。
  3. 請求項1又は2記載の化学組成であって、線径が300μm以下で、伸び値が30%以上であることを特徴とする伸び特性に優れる安価なステンレス鋼細線。
  4. 請求項1または2記載の化学組成のステンレス鋼線材を溶体化処理した後、80%以上の減面率で線径300μm以下まで冷間伸線加工し、続いて在炉時間が10秒以下の超短時間ストランド焼鈍を施すことを特徴とする伸び特性に優れる安価なステンレス鋼細線の製造方法。
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