JP2005015851A - 薄膜形成方法、薄膜製造装置及び薄膜形成体 - Google Patents

薄膜形成方法、薄膜製造装置及び薄膜形成体 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、励起した放電ガスを直接基材と接触させないで、極力基材のダメージを低減させた薄膜形成方法、薄膜製造装置及び薄膜形成体を提供することにある。
【解決手段】大気圧または大気圧近傍の圧力下で放電ガスを放電空間に導入して励起し、該励起した放電ガスを直接基材と接触させないように、原料を含む薄膜形成ガスを基材と該励起した放電ガスで挟み込み、該薄膜形成ガスを放電空間外で前記励起した放電ガスと接触させることにより間接励起し、基材を該間接励起したガスに晒すことにより該基材上に薄膜を形成することを特徴とする薄膜形成方法。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜形成方法、薄膜製造装置及び薄膜形成体に関し、詳しくは励起した放電ガスを直接基材と接触させないで、極力基材のダメージを低減させた薄膜形成方法、薄膜製造装置及び薄膜形成体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、基材上に高機能性の薄膜、例えば反射防止膜、防汚膜、電極膜、誘電体保護膜、半導体膜、透明導電膜、耐摩耗性膜、バリア膜を設ける場合、乾式製膜法としてはスパッタリング法、真空蒸着法、真空プラズマCVD法、イオンプレーティング法等の真空空間を用いる製膜法が主流であった。
【0003】
このような真空空間を用いる製膜方法では、大掛かりな真空設備を必要とするため、設備費用が高額となる。さらに連続生産には不向きであり、生産性が低いという課題を有していた。
【0004】
これら真空空間を用いることによるデメリットを克服する方法として、特開昭61−238961号等において、大気圧下で放電プラズマを発生させ、該放電プラズマにより高い処理効果を得られる大気圧プラズマ処理方法が提案されている。大気圧プラズマ処理方法は、基材表面に均一な組成、物性、分布で処理できる。また、大気圧または大気圧近傍の圧力下で処理を行うことができることから、真空設備を必要とせず、設備費用を抑えることができる。更に、連続生産にも向いており、生産性を向上させることができる。
【0005】
この大気圧プラズマ処理方法の応用例として、薄膜形成ガスをプラズマ励起させ、基材上に薄膜を形成する技術が開示されている(例えば、特許文献1〜10参照。)。
【0006】
このような大気圧プラズマを用いた薄膜形成装置では、電極間に放電ガス及び薄膜形成ガスなどが存在し、該電極間で放電プラズマを発生させることから、電極にも製膜物質が付着するという課題がある。特に大気圧プラズマを用いた薄膜製造装置では、電極間の間隙が狭い場合が多く、電極への製膜物質の付着によって放電やガス流れが不均一になり、最悪の場合アーク放電の発生や電極間が詰まってしまう場合がある。
【0007】
これに対し、電極間に薄膜形成ガスを存在させずに、該電極間で放電ガスを大気圧プラズマ放電によって発生した励起ガスと、大気圧プラズマ放電に晒さなかった薄膜形成ガスとを基材に吹き付けることによって、薄膜形成を行う技術が開示されている(例えば、特許文献11、12参照。)。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−133205号公報
【0009】
【特許文献2】
特開平11−61406号公報
【0010】
【特許文献3】
特開2000−147209号公報
【0011】
【特許文献4】
特開2000−121804号公報
【0012】
【特許文献5】
特開2001−98093号公報
【0013】
【特許文献6】
特開2001−185398号公報
【0014】
【特許文献7】
特開2002−110587号公報
【0015】
【特許文献8】
特開2003−3266号公報
【0016】
【特許文献9】
特開2003−41372号公報
【0017】
【特許文献10】
特開2003−98303号公報
【0018】
【特許文献11】
特開平9−59777号公報
【0019】
【特許文献12】
特開2003−49272号公報
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
上記これらの方法は、高機能の薄膜を形成するのに有効な手段の一つであり、特にフッ素原子を有する有機基を有する有機金属化合物を原料とした防汚膜を製膜するのに有効である。
【0021】
しかしながら、これらの方法は励起した放電ガスと薄膜形成ガスを基材に対して各々吹き付ける、または薄膜形成ガスを励起した放電ガスに接触させながら基材に吹き付けるものであるため、励起ガスが直接基材へ吹き付けられ、その結果基材へダメージを与えることもあり必ずしも好ましい方法とはいえない。
【0022】
従って本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、励起した放電ガスを直接基材と接触させないで、極力基材のダメージを低減させた薄膜形成方法、薄膜製造装置及び薄膜形成体を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
【0024】
1.大気圧または大気圧近傍の圧力下で放電ガスを放電空間に導入して励起し、該励起した放電ガスを直接基材と接触させないように、原料を含む薄膜形成ガスを基材と該励起した放電ガスで挟み込み、該薄膜形成ガスを放電空間外で前記励起した放電ガスと接触させることにより間接励起し、基材を該間接励起したガスに晒すことにより該基材上に薄膜を形成することを特徴とする薄膜形成方法。
【0025】
2.前記放電空間は、対向する電極間に高周波電圧を印加することにより形成されたものであることを特徴とする前記1項に記載の薄膜形成方法。
【0026】
3.前記放電ガスが、窒素及び/または希ガスを含有することを特徴とする前記1または2項に記載の薄膜形成方法。
【0027】
4.前記原料が、有機金属化合物、金属ハロゲン化物及び/または有機フッ素化合物を含有することを特徴とする前記1〜3項のいずれか1項に記載の薄膜形成方法。
【0028】
5.前記原料がフッ素原子を有する有機基を有する有機金属化合物であることを特徴とする前記4項に記載の薄膜形成方法。
【0029】
6.前記基材の表面が、無機化合物を含むことを特徴とする前記1〜5項のいずれか1項に記載の薄膜形成方法。
【0030】
7.前記基材の表面の主成分が、金属酸化物であることを特徴とする前記1〜6項のいずれか1項に記載の薄膜形成方法。
【0031】
8.前記基材を、放電空間または前記励起した放電ガスに晒して前処理を行った後、前記間接励起したガスに基材を晒すことを特徴とする前記1〜7項のいずれか1項に記載の薄膜形成方法。
【0032】
9.前記1〜8項のいずれか1項に記載の薄膜形成方法を用いることを特徴とする薄膜製造装置。
【0033】
10.大気圧または大気圧近傍の圧力下で放電ガスを放電空間に導入して励起させる手段と、該励起した放電ガスを直接基材と接触させないように、薄膜形成ガスを基材と該励起した放電ガスで挟み込ませる手段を有し、該挟み込みにより前記励起した放電ガスが該薄膜形成ガスを間接励起させることにより、前記基材上に薄膜を形成させることを特徴とする前記9項に記載の薄膜製造装置。
【0034】
11.前記放電空間が、対向する電極間に高周波電圧を印加する高周波電圧印加手段を有し、かつ大気圧または大気圧近傍の圧力下で、該印加手段により該電極間に電圧を印加された空間であることを特徴とする前記9または10項に記載の薄膜製造装置。
【0035】
12.前記電極が、少なくとも一方の電極が誘電体で被覆されていることを特徴とする前記11項に記載の薄膜製造装置。
【0036】
13.前記薄膜形成ガスを前記基材と前記励起した放電ガスで挟み込ませる手段が、該薄膜形成ガスを基材表面に存在するように供給する手段と、該励起した放電ガスと薄膜形成ガスとを接触させるように供給する手段を有することを特徴とする前記9〜12項のいずれか1項に記載の薄膜製造装置。
【0037】
14.前記1〜8項のいずれか1項に記載の薄膜形成方法により得られたことを特徴とする薄膜形成体。
【0038】
15.前記9〜13項のいずれか1項に記載の薄膜製造装置により得られたことを特徴とする薄膜形成体。
【0039】
16.表面比抵抗値が、23℃、55%RH条件下で1×1012Ω/□以下であることを特徴とする前記14または15項に記載の薄膜形成体。
【0040】
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明の薄膜形成方法は、大気圧または大気圧近傍の圧力下で放電ガスを放電空間に導入して励起し、該励起した放電ガスを直接基材と接触させないように、原料を含む薄膜形成ガスを基材と該励起した放電ガスで挟み込み、該薄膜形成ガスを放電空間外で前記励起した放電ガスと接触させることにより間接励起し、基材を該間接励起したガスに晒すことにより該基材上に薄膜を形成することを特徴とする。即ち、基材に直接接触するのは薄膜形成ガス及び前記間接励起したガスであり、高周波電圧印加手段により励起した放電ガスは基材には直接接触しない。その為、励起した放電ガスによる基材のダメージが小さく、より高性能で均一な薄膜が形成されることが大きな特徴である。
【0041】
最初に、本発明に係る放電ガス及び薄膜形成ガスについて説明する。
使用するガスは、基本的に原料を含有しない放電ガスと原料を構成成分とする薄膜形成ガスであり、更に反応性を加速させたり、制御したりする補助ガスを用いることもある。放電ガスと薄膜形成ガスの供給装置及び供給方法については後述する。
【0042】
放電ガスとは、プラズマ放電を起こすことの出来るガスであり、それ自身がエネルギーを授受する媒体として働くガスで、プラズマ放電を発生させるに必要なガスである。放電ガスとしては、窒素、希ガス、空気などがあり、これらを単独で放電ガスとして用いても、混合して用いても構わない。希ガスとしては、周期表の第18属元素、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等を挙げることが出来る。本発明において、放電ガスとしては窒素、アルゴン、ヘリウムが好ましい。放電ガス量は、放電空間内に供給する全ガス量に対して70〜100体積%含有することが好ましい。尚、放電ガスには、補助ガスとして水素、酸素、炭化水素、窒素酸化物、アンモニアまたは水分を該ガスに対して0.001体積%〜30体積%混合させて使用してもよい。
【0043】
薄膜形成ガスとは、励起した放電ガスからのエネルギーを受け取って、それ自身も励起して活性となり、基材上に化学的に薄膜を形成する原料を含むガスのことである。
【0044】
薄膜形成ガスは、原料だけでもよいが、原料の他に窒素、希ガス、酸素、水素、炭化水素及び窒素酸化物から選ばれる少なくとも一つ以上を含有することが好ましい。これらを単独で薄膜形成ガスとして用いても、混合して用いても構わない。希ガスとしては、周期表の第18属元素、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等を挙げることが出来る。
【0045】
本発明に有用な薄膜形成ガスに含有される原料としては、有機金属化合物、金属ハロゲン化物または有機フッ素化合物等を挙げることが出来、機能性薄膜を形成するのに有用である。
【0046】
より具体的には、原料に有機金属化合物またはハロゲン化金属を添加する場合、例えば、Li、Be、B、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Cd、In、Ir、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Tl、Pb、Bi、Ce、Pr、Nd、Pm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luから選択される金属を含むことができる。中でも、Sn、In、Al、Ti、Zn、Si、Sb、Mg、Ba、Mo、V、Nb、P、B、W、Cs、Zr、Ga、Asから選ばれる元素の少なくとも1種を含有することが好ましい。また、有機金属化合物の場合は金属アルコキシド、アルキル化金属、金属錯体から選ばれるものが好ましい。
【0047】
上記または上記以外の原料を適宜選択し、薄膜形成することによりさまざまな高機能性の薄膜を得ることができる。その一例を以下に示すが、本発明はこれに限られるものではない。
【0048】
電極膜 Au、Al、Ag、Ti、Ti、Pt、Mo、Mo−Si
誘電体保護膜 SiO、SiO、Si、Al、Al、Y
透明導電膜 In、SnO、ZnO
エレクトロクロミック膜 WO、IrO、MoO、V
蛍光膜 ZnS、ZnS+ZnSe、ZnS+CdS
磁気記録膜 Fe−Ni、Fe−Si−Al、γ−Fe、Co、Fe、Cr、SiO、Al
超導電膜 Nb、Nb−Ge、NbN
太陽電池膜 a−Si、Si
反射膜 Ag、Al、Au、Cu
選択性吸収膜 ZrC−Zr
選択性透過膜 In、SnO
反射防止膜 SiO、TiO、SnO、Ta
シャドーマスク Cr
耐摩耗性膜 Cr、Ta、Pt、TiC、TiN
耐食性膜 Al、Zn、Cd、Ta、Ti、Cr
耐熱膜 W、Ta、Ti
潤滑膜 MoS
装飾膜 Cr、Al、Ag、Au、TiC、Cu
例えば反射防止膜の形成において、低屈折率層形成用原料としては、有機珪素化合物、珪素水素化合物、ハロゲン化珪素化合物等を挙げることができ、有機珪素化合物としては、例えば、テトラエチルシラン、テトラメチルシラン、テトライソプロピルシラン、テトラブチルシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルシランジアセトアセトナート、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等、珪素水素化合物としては、テトラ水素化シラン、ヘキサ水素化ジシラン等、ハロゲン化珪素化合物としては、テトラクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ジエチルジクロロシラン等を挙げることができ、何れも本発明において好ましく用いることができる。
【0049】
反射防止膜の形成において、中屈折率層もしくは高屈折率層形成用原料に用いられる金属化合物として錫化合物があるが、好ましい錫化合物としては、有機錫化合物、錫水素化合物、ハロゲン化錫等であり、有機錫化合物としては、例えば、テトラエチル錫、テトラメチル錫、二酢酸ジ−n−ブチル錫、テトラブチル錫、テトラオクチル錫、テトラエトキシ錫、メチルトリエトキシ錫、ジエチルジエトキシ錫、トリイソプロピルエトキシ錫、ジエチル錫、ジメチル錫、ジイソプロピル錫、ジブチル錫、ジエトキシ錫、ジメトキシ錫、ジイソプロポキシ錫、ジブトキシ錫、錫ジブチラート、錫ジアセトアセトナート、エチル錫アセトアセトナート、エトキシ錫アセトアセトナート、ジメチル錫ジアセトアセトナート等、錫水素化合物等、ハロゲン化錫としては、二塩化錫、四塩化錫等を挙げることができ、何れも本発明において好ましく用いることができる。また、これらの反応性ガスを2種以上同時に混合して使用してもよい。なお、このようにして、形成された酸化錫層は表面比抵抗値を1×1012Ω/□以下に下げることができるため、帯電防止層としても有用である。
【0050】
また、反射防止膜において、高屈折率層形成用反応ガスに原料として使用するチタン化合物としては、有機チタン化合物、チタン水素化合物、ハロゲン化チタン等があり、有機チタン化合物としては、例えば、トリエチルチタン、トリメチルチタン、トリイソプロピルチタン、トリブチルチタン、テトラエチルチタン、テトライソプロピルチタン、テトラブチルチタン、トリエトキシチタン、トリメトキシチタン、トリイソプロポキシチタン、トリブトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、メチルジメトキシチタン、エチルトリエトキシチタン、メチルトリイソプロポキシチタン、テトラジメチルアミノチタン、ジメチルチタンジアセトアセトナート、エチルチタントリアセトアセトナート等、チタン水素化合物としてはモノチタン水素化合物、ジチタン水素化合物等、ハロゲン化チタンとしては、トリクロロチタン、テトラクロロチタン等を挙げることができる。または、高屈折率層としてテトライソプロポキシタンタル等のアルコキシタンタル類が酸化タンタル層を形成する原料として挙げられ、何れも本発明において好ましく用いることができる。またこれらの原料を2種以上を同時に混合して使用することができるがこれらに限定されない。
【0051】
更に、薄膜形成の代表的な例は、防汚膜のような高機能薄膜を有する物品である。本発明においては、防汚膜を作製する薄膜形成ガスを代表例として説明する。
【0052】
本発明に係る防汚膜を作製する薄膜形成ガスとしては、有機フッ素化合物や有機基が直接金属と結合した有機金属化合物が用いられ、特にフッ素原子を有する有機基を有する有機金属化合物が有用である。
【0053】
有機フッ素化合物として、フッ化炭素ガス、フッ化炭化水素ガス等を好ましく用いることが出来る。フッ化炭素ガスとしては、例えば、テトラフルオロメタン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、オクタフルオロシクロブタン等を挙げることが出来る。前記のフッ化炭化水素ガスとしては、例えば、ジフルオロメタン、テトラフルオロエタン、テトラフルオロプロピレン、トリフルオロプロピレン等を挙げることが出来る。更に、例えば、クロロトリフルオロメタン、クロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロシクロブタン等のフッ化炭化水素化合物のハロゲン化物やトリフルオロメタノール、ペンタフルオロエタノール等のフルオロアルコール、トリフルオロ酢酸、ペンタフルオロプロピオン酸等のフッ素化脂肪酸、ヘキサフルオロアセトン等のフッ素化ケトン等の有機フッ素化合物を用いることが出来るが、これらに限定されない。また、これらの化合物が分子内にフッ素化エチレン性不飽和基を有していてもよい。
【0054】
本発明に用いられる有機基を有する有機金属化合物において、有機基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基等を含有する有機基が挙げられるが、本発明において用いられる有機基を有する有機金属化合物は、これらの有機基が、金属原子、例えば、珪素、チタン、ゲルマニウム、ジルコニウム、スズ、アルミニウム、インジウム、アンチモン、イットリウム、ランタニウム、鉄、ネオジウム、銅、ガリウム、ハーフニューム等の金属に直接結合した有機金属化合物である。これらの金属のうちでは、珪素、チタン、ゲルマニウム、ジルコニウム、スズ等が好ましく、更に好ましいのは珪素、チタンである。これらのフッ素を有する有機基は、金属化合物にいかなる形で結合していてもよく、例えば、シロキサン等複数の金属原子を有する化合物が、これらの有機基を有する場合、少なくとも1つの金属原子が有機基を有していれば良く、またその位置も問わない。
【0055】
例えば、有機基を有する珪素化合物としては、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、エチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、エチルジクロロシラン、n−プロピルトリクロロシラン、エチルメチルジクロロシラン、トリメチルブロモシラン、トリメチルクロロシラン、n−ブチルトリクロロシラン、i−ブチルトリクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、メチルプロピルジクロロシラン、テトラメチルシラン、ジエチルシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ペンチルトリクロロシラン、ブチルメチルジクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリクロロシラン、トリエチルクロロシラン、ジメチルジエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ヘプチルトリクロロシラン、ヘキサメチルジクロロシラン、ブチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクチルトリクロロシラン、ヘプチルメチルジクロロシラン、ジブチルジクロロシラン、ジエチルジエトキシラン、エチルトリエトキシシラン、トリプロピルクロロシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、デシルトリクロロシラン、ジメチルオクチルクロロシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルメチルジエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、オクタデシルメチルジエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,1,3,3,−テトラメチルジシラザン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、ヘキサエチルジシロキサン、1,3−ジブチル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、ヘキサプロピルジシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシトキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルシクロトリシラザン、ヘキサエチルシクロシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、1,1,1,3,5,7,7,7−オクタメチルテトラシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルシクロテトラシラザン、デカメチルテトラシロキサン等を挙げることが出来、いずれも本発明において好ましく用いることが出来る。
【0056】
本発明においては、前記有機基中にフッ素原子を含有している、つまりフッ素原子を有する有機基を有する有機金属化合物が好ましく、下記一般式(1)で表される化合物を好ましく用いることができる。
【0057】
【化1】
Figure 2005015851
【0058】
上記一般式(1)において、MはSi、Ti、Ge、ZrまたはSnを表す。また、R〜Rは各々水素原子または一価の基を表し、R〜Rで表される基の少なくとも1つは、フッ素原子を有する有機基であり、例えば、フッ素原子を有するアルキル基、アルケニル基またはアリール基を含有する有機基が好ましく、フッ素原子を有するアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、4,4,3,3,2,2,1,1−オクタフルオロブチル基等の基が、フッ素原子を有するアルケニル基としては、例えば、3,3,3−トリフルオロ−1−プロペニル基等の基が、また、フッ素原子を有するアリール基としては、例えば、ペンタフルオロフェニル基等の基が挙げられる。また、これらフッ素原子を有するアルキル基、アルケニル基、またアリール基から形成されるアルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基等なども用いることができる。
【0059】
また、フッ素原子は、前記アルキル基、アルケニル基、アリール基等においては、骨格中の炭素原子のどの位置に任意の数結合していてもよいが、少なくとも1個以上結合していることが好ましい。また、アルキル基、アルケニル基骨格中の炭素原子は、例えば、酸素、窒素、硫黄等他の原子、また、酸素、窒素、硫黄等を含む2価の基、例えば、カルボニル基、チオカルボニル基等の基で置換されていてもよい。
【0060】
〜Rで表される基のうち、前記フッ素原子を有する有機基以外は、水素原子または1価の基を表し、1価の基としては、例えば、ヒドロキシ基、アミノ基、イソシアネート基、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基等の基が挙げられるが、これに限定されない。jは0〜150の整数を表し、好ましくは0〜50、更に好ましいのはjが0〜20の範囲である。
【0061】
前記1価の基のうち、ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、更に好ましいのは塩素原子である。また、前記1価の基である前記アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基のうち、好ましいのは、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基であり、更に好ましいのはアルコキシ基である。
【0062】
また、Mで表される金属原子のうち、好ましいのは、Si、Tiであり、更に好ましいのはSiである。
【0063】
前記1価の基は、更にその他の基で置換されていてもよく、特に限定されないが、好ましい置換基としては、アミノ基、ヒドロキシル基、イソシアネート基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、フェニル基等のアリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルカンアミド基、アリールアミド基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、シリル基、アルキルシリル基、アルコキシシリル基等の基が挙げられる。
【0064】
また、前記フッ素原子を有する有機基、またはそれ以外のこれらR〜Rで表される基は、RM−(Mは、前記金属原子を表し、R、R、Rはそれぞれ1価の基を表し、1価の基としては前記フッ素原子を有する有機基またはR〜Rとして挙げられた前記フッ素原子を有する有機基以外の基を表す。)で表される基によって更に置換された複数の金属原子を有する構造であっても良い。これらの金属原子としては、Si、Tiなどが挙げられ、例えば、シリル基、アルキルシリル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。
【0065】
前記R〜Rにおいて挙げられたフッ素原子を有する基であるアルキル基、アルケニル基、またこれらから形成されるアルコキシ基、アルケニルオキシ基におけるアルキル基、アルケニル基としては、下記一般式(F)で表される基が好ましい。
【0066】
一般式(F)
Rf−X−(CH
ここにおいてRfは、水素の少なくとも1つがフッ素原子により置換されたアルキル基、アルケニル基を表し、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロオクチル基、ヘプタフルオロプロピル基のようなパーフルオロアルキル基等の基、また、3,3,3−トリフルオロプロピル基、4,4,3,3,2,2,1,1−オクタフルオロブチル基等の基、また、1,1,1−トリフルオロ−2−クロルプロペニル基等のようなフッ素原子により置換されたアルケニル基が好ましく、中でも、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロオクチル基、ヘプタフルオロプロピル基等の基、また、3,3,3−トリフルオロプロピル基、4,4,3,3,2,2,1,1−オクタフルオロブチル基等の少なくとも2つ以上のフッ素原子有するアルキル基が好ましい。
【0067】
また、Xは単なる結合手または2価の基である、2価の基としては−O−、−S−、−NR−(Rは水素原子またはアルキル基を表す)等の基、−CO−、−CO−O−、−CONH−、−SONH−、−SO−O−、−OCONH−、
【0068】
【化2】
Figure 2005015851
【0069】
等の基を表す。
kは0〜50、好ましくは0〜30の整数を表す。
【0070】
Rf中にはフッ素原子のほか、他の置換基が置換されていてもよく、置換可能な基としては、前記R〜Rにおいて置換基として挙げられた基と同様の基が挙げられる。また、Rf中の骨格炭素原子が他の原子、例えば、−O−、−S−、−NR−(Rは水素原子または置換もしくは非置換のアルキル基を表し、また前記一般式(F)で表される基であってもよい)、カルボニル基、−NHCO−、−CO−O−、−SONH−等の基によって一部置換されていてもよい。
【0071】
前記一般式(1)で表される化合物のうち、好ましいのは下記一般式(2)で表される化合物である。
【0072】
一般式(2)
[Rf−X−(CH−M(R10(OR11
一般式(2)において、Mは前記一般式(1)と同様の金属原子を表し、Rf、Xは前記一般式(F)におけるRf、Xと同様の基を表し、kについても同じ整数を表す。R10はアルキル基、アルケニル基を、またR11はアルキル基、アルケニル基、アリール基を表し、それぞれ、前記一般式(1)のR〜Rの置換基として挙げた基と同様の基により置換されていてもよいが、好ましくは、非置換のアルキル基、アルケニル基を表す。また、q+r+t=4であり、q≧1、またt≧1である。また、r≧2の時2つのR10は連結して環を形成してもよい。
【0073】
一般式(2)のうち、更に好ましいものものは下記一般式(3)で表される化合物である。
【0074】
一般式(3)
Rf−X−(CH−M(OR12
ここにおいて、Rf、Xまたkは、前記一般式(2)におけるものと同義である。また、R12も、前記一般式(2)におけるR11と同義である。また、Mも前記一般式(2)におけるMと同様であるが、特に、Si、Tiが好ましく、最も好ましいのはSiである。
【0075】
本発明において、フッ素原子を有する有機金属化合物の他の好ましい例は、下記一般式(4)で表される化合物が挙げられる。
【0076】
【化3】
Figure 2005015851
【0077】
一般式(4)において、R〜Rは、前記一般式(1)におけるR〜Rと同義である。ここにおいても、R〜Rの少なくとも1つは、前記フッ素原子を有する有機基であり、前記一般式(F)で表される基が好ましい。Rは水素原子、または置換もしくは非置換のアルキル基を表す。また、jは0〜150の整数を表し、好ましくは0〜50、最も好ましいのはjが0〜20の範囲である。
【0078】
本発明において用いられる他の好ましいフッ素原子を有する化合物として、下記一般式(5)で表されるフッ素原子を有する有機金属化合物がある。
【0079】
一般式(5)
[Rf−X−(CH−Y]−M(R(OR
一般式(5)において、MはIn、Al、Sb、YまたはLaを表す。Rf、Xは前記一般式(F)におけるRf、Xと同様の基を表し、Yは単なる結合手または酸素を表す。kについても同じく0〜50の整数を表し、好ましくは30以下の整数である。Rはアルキル基またはアルケニル基を、またRはアルキル基、アルケニル基またはアリール基を表し、それぞれ、前記一般式(1)のR〜Rの置換基として挙げた基と同様の基により置換されていてもよい。また、一般式(5)において、m+n+p=3であり、mは少なくとも1であり、nは0〜2を、またpも0〜2の整数を表す。m+p=3、即ちn=0であることが好ましい。
【0080】
本発明において用いられる他の好ましいフッ素原子を有する化合物として、下記一般式(6)で表されるフッ素原子を有する有機金属化合物がある。
【0081】
一般式(6)
f1(OCm1−O−(CFn1−(CHp1−Z−(CHq1−Si−(R
一般式(6)において、Rf1は炭素数1〜16の直鎖状又は分岐状のパーフルオロアルキル基、Rは加水分解基、Zは−OCONH−又は−O−を表し、m1は1〜50の整数、n1は0〜3の整数、p1は0〜3の整数、q1は1〜6の整数を表し、6≧n1+p1>0である。
【0082】
f1に導入しうる直鎖状又は分岐状のパーフルオロアルキル基の炭素数は、1〜16がより好ましく、1〜3が最も好ましい。従って、Rf1としては、−CF、−C、−C等が好ましい。
【0083】
に導入しうる加水分解基としては、−Cl、−Br、−I、−OR11、−OCOR11、−CO(R11)C=C(R12、−ON=C(R11、−ON=CR13、−N(R12、−R12NOCR11などが好ましい。R11はアルキル基などの炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を、またはフェニル基などの炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を表し、R12は水素原子またはアルキル基などの炭素数1〜5の脂肪族炭化水素を表し、R13はアルキリデン基などの炭素数3〜6の二価の脂肪族炭化水素基を表す。これらの加水分解基の中でも、−OCH、−OC、−OC、−OCOCH及び−NHが好ましい。
【0084】
上記一般式(6)におけるm1は1〜30あることがより好ましく、5〜20であることが更に好ましい。n1は1または2であることがより好ましく、p1は1または2であることがより好ましい。また、q1は1〜3であることがより好ましい。
【0085】
本発明において用いられる他の好ましいフッ素原子を有する化合物として、下記一般式(7)で表されるフッ素原子を有する有機金属化合物がある。
【0086】
【化4】
Figure 2005015851
【0087】
一般式(7)において、Rfは炭素数1〜16の直鎖状または分岐状パーフルオロアルキル基、Xはヨウ素原子または水素原子、Yは水素原子または低級アルキル基、Zはフッ素原子またはトリフルオロメチル基、R21は加水分解可能な基、R22は水素原子または不活性な一価の有機基を表し、a、b、c、dはそれぞれ0〜200の整数、eは0または1、mおよびnは0〜2の整数、pは1〜10の整数を表す。
【0088】
前記一般式(7)において、Rfは、通常、炭素数1〜16の直鎖状または分岐状パーフルオロアルキル基であり、好ましくは、CF基、C基、C基である。Yにおける低級アルキル基としては、通常、炭素数1〜5のものが挙げられる。
【0089】
21の加水分解可能な基としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、R23O基、R23COO基、(R24C=C(R23)CO基、(R23C=NO基、R25C=NO基、(R24N基、及びR23CONR24基が好ましい。ここで、R23はアルキル基等の通常は炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基またはフェニル基等の通常は炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、R24は水素原子またはアルキル基等の通常は炭素数1〜5の低級脂肪族炭化水素基、R25はアルキリデン基等の通常は炭素数3〜6の二価の脂肪族炭化水素基である。さらに好ましくは、塩素原子、CHO基、CO基、CO基である。
【0090】
22は水素原子または不活性な一価の有機基であり、好ましくは、アルキル基等の通常は炭素数1〜4の一価の炭化水素基である。a、b、c、dは0〜200の整数であり、好ましくは1〜50である。mおよびnは、0〜2の整数であり、好ましくは0である。pは1または2以上の整数であり、好ましくは1〜10の整数であり、さらに好ましくは1〜5の整数である。また、数平均分子量は5×10〜1×10であり、好ましくは1×10〜1×10である。
【0091】
また、前記一般式(7)で表されるシラン化合物の好ましい構造のものとして、RfがC基であり、aが1〜50の整数であり、b、c及びdが0であり、eが1であり、Zがフッ素原子であり、nが0である化合物である。
【0092】
本発明において、フッ素原子を有するシラン化合物として好ましく用いられるフッ素を有する有機基を有する有機金属化合物、及び前記一般式(1)〜(7)で表される化合物の代表的化合物を以下に挙げるが、本発明ではこれらの化合物に限定されるものではない。
【0093】
1:(CFCHCHSi
2:(CFCHCH(CHSi
3:(C17CHCH)Si(OC
4:CH=CHSi(CF
5:(CH=CHCOO)Si(CF
6:(CFCHCHSiCl(CH
7:C17CHCHSi(Cl)
8:(C17CHCHSi(OC
9:CFCHCHSi(OCH
10:CFCHCHSiCl
11:CF(CFCHCHSiCl
12:CF(CFCHCHSiCl
13:CF(CFCHCHSi(OCH
14:CF(CFCHCHSiCl
15:CF(CFCHCHSi(OCH
16:CF(CFCHSi(OC
17:CF(CHSi(OC
18:CF(CHSi(OC
19:CF(CHSi(OC
20:CF(CF(CHSi(OC
21:CF(CF(CHSi(OC
22:CF(CF(CHSi(OC
23:CF(CF(CHSi(OC
24:CF(CF(CHSi(OCH)(OC
25:CF(CF(CHSi(OCHOC
26:CF(CF(CHSiCH(OCH
27:CF(CF(CHSiCH(OC
28:CF(CF(CHSiCH(OC
29:(CFCF(CF(CHSi(OCH
30:C15CONH(CHSi(OC
31:C17SONH(CHSi(OC
32:C17(CHOCONH(CHSi(OCH
33:CF(CF(CHSi(CH)(OCH
34:CF(CF(CHSi(CH)(OC
35:CF(CF(CHSi(CH)(OC
36:CF(CF(CHSi(C)(OCH
37:CF(CF(CHSi(C)(OC
38:CF(CHSi(CH)(OCH
39:CF(CHSi(CH)(OC
40:CF(CHSi(CH)(OC
41:CF(CF(CHSi(CH)(OCH
42:CF(CF(CHSi(CH)(OC
43:CF(CFO(CF(CHSi(OC
44:C15CHO(CHSi(OC
45:C17SOO(CHSi(OC
46:C17(CHOCHO(CHSi(OCH
47:CF(CFCH(C)CHSi(OCH
48:CF(CFCH(C)CHSi(OCH
49:(CF(p−CH−C)COCHCHCHSi(OCH
50:CFCO−O−CHCHCHSi(OCH
51:CF(CFCHCHSi(CH)Cl
52:CFCHCH(CH)Si(OCH
53:CFCO−O−Si(CH
54:CFCHCHSi(CH)Cl
55:(CF(p−CH−C)COCHCHSi(OCH
56:(CF(p−CH−C)COCHCHSi(OC
57:(CF)(CHSi−O−Si(CH
58:(CF)(CHSi−O−Si(CF)(CH59:CF(OC24−O−(CF−CH−O−CHSi(OCH
60:CFO(CF(CF)CFO)CFCONHCSi(OC (m=11〜30)、
61:(CO)SiCNHCOCFO(CFO)(CFCFO)CFCONHCSi(OC (n/p=約0.5、数平均分子量=約3000)
62:C−(OCFCFCF)q−O−(CF−[CHCH{Si−(OCH}]−H (q=約10)
63:F(CF(CF)CFO)15CF(CF)CONHCHCHCHSi(OC
64:F(CF[CHCH(Si(OCH)]2.02OCH
65:(CO)SiCNHCO−[CF(OC10(OCFOCF]−CONHCSi(OC
66:C(OC24O(CFCHOCHSi(OCH
67:CF(CF(C)CSi(OCH
68:(CFCF(CFCHCHSiCH(OCH
69:CF(CF(C)CSiCH(OCH
70:CF(CF(C)CSi(OC
71:CF(CFSi(NCO)
72:CF(CFSi(NCO)
73:C19CONH(CHSi(OC
74:C19CONH(CHSiCl
75:C19CONH(CHSi(OC
76:CO(CF(CF)CFO)−CF(CF)−CONH(CH)Si(OC
77:CFO(CF(CF)CFO)CFCONH(CHSiOSi(OC(CHNHCOCF(OCFCF(CF))OCF
78:CCOOCHSi(CHOSi(CHCHOCOC
79:CF(CFCHCHO(CHSi(CHOSi(CH(CHOCHCH(CFCF
80:CF(CFCHCHO(CHSi(CHOSi(CH(OC
81:CF(CFCHCHO(CHSi(CHOSi(CH)(OC
82:CF(CFCHCHO(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH3)(OC
上記例示した化合物の他には、フッ素置換アルコキシシランとして、
83:(パーフルオロプロピルオキシ)ジメチルシラン
84:トリス(パーフルオロプロピルオキシ)メチルシラン
85:ジメチルビス(ノナフルオロブトキシ)シラン
86:メチルトリス(ノナフルオロブトキシ)シラン
87:ビス(パーフルオロプロピルオキシ)ジフェニルシラン
88:ビス(パーフルオロプロピルオキシ)メチルビニルシラン
89:ビス(1,1,1,3,3,4,4,4−オクタフルオロブトキシ)ジメチルシラン
90:ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロポキシ)ジメチルシラン
91:トリス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロポキシ)メチルシラン
92:テトラキス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロポキシ)シラン
93:ジメチルビス(ノナフルオロ−t−ブトキシ)シラン
94:ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロポキシ)ジフェニルシラン
95:テトラキス(1,1,3,3−テトラフルオロイソプロポキシ)シラン
96:ビス〔1,1−ビス(トリフルオロメチル)エトキシ〕ジメチルシラン
97:ビス(1,1,1,3,3,4,4,4−オクタフルオロ−2−ブトキシ)ジメチルシラン
98:メチルトリス〔2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1,1−ビス(トリフルオロメチル)プロポキシ〕シラン
99:ジフェニルビス〔2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)−1−トリルエトキシ〕シラン
等の化合物や、以下の化合物、
100:(CFCHSi(CH−NH
101:(CFCHSi−N(CH
【0094】
【化5】
Figure 2005015851
【0095】
更に、
【0096】
【化6】
Figure 2005015851
【0097】
等のシラザン類や、
106:CFCH−CHTiCl
107:CF(CFCHCHTiCl
108:CF(CFCHCHTi(OCH
109:CF(CFCHCHTiCl
110:Ti(OC
111:(CFCH−CHO)TiCl
112:(CF)(CHTi−O−Ti(CH
等のフッ素を有する有機チタン化合物、また、以下のようなフッ素含有有機金属化合物を例として挙げることができる。
【0098】
113:CF(CFCHCHO(CHGeCl
114:CF(CFCHCHOCHGe(OCH
115:(CO)Ge(OCH
116:[(CFCHO]Ge
117:[(CFCHO]Zr
118:(CCHCHSn(OC
119:(CCHCH)Sn(OC
120:Sn(OC
121:CFCHCHIn(OCH
122:In(OCHCHOC
123:Al(OCHCHOC
124:Al(OC
125:Sb(OC
126:Fe(OC
127:Cu(OCHCHOC
128:C(OC24O(CFCHOCHSi(OCH
【0099】
【化7】
Figure 2005015851
【0100】
これら具体例で挙げられた各化合物は、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)、信越化学(株)、ダイキン化学(株)(例えば、オプツールDSX)また、Gelest Inc.等により上市されており、容易に入手することができる他、例えば、J.Fluorine Chem.,79(1).87(1996)、材料技術,16(5),209(1998)、Collect.Czech.Chem.Commun.,44巻,750〜755頁、J.Amer.Chem.Soc.1990年,112巻,2341〜2348頁、Inorg.Chem.,10巻,889〜892頁,1971年、米国特許第3,668,233号明細書等、また、特開昭58−122979号、特開平7−242675号、特開平9−61605号、同11−29585号、特開2000ー64348号、同2000−144097号公報等に記載の合成方法、あるいはこれに準じた合成方法により製造することができる。
【0101】
前記有機フッ素化合物、有機基を有する有機金属化合物、フッ素原子を有する有機基を有する有機金属化合物を、単独使用または適宜2種以上混合して使用してもよい。
【0102】
かかる防汚層を形成する有機フッ素化合物、有機基を有する有機金属化合物、またはフッ素原子を有する有機基を有する有機金属化合物を用いることによって、防汚層(防汚層の表面)の表面エネルギーを低くし、撥水性及び撥油性を兼ね備えた薄膜を得ることが出来る。
【0103】
尚、本発明に有機フッ素化合物、有機基を有する有機金属化合物、フッ素原子を有する有機基を有する有機金属化合物が常温、常圧で気体である場合は、混合ガスの構成成分として、そのまま使用出来るので最も容易に本発明の方法を遂行することが出来る。しかし、有機フッ素化合物、有機基を有する有機金属化合物、フッ素原子を有する有機基を有する有機金属化合物が常温・常圧で液体または固体である場合には、加熱、減圧等の方法により気化して使用すればよく、また、適切な溶剤に溶解して用いてもよい。
【0104】
本発明の薄膜形成方法は、前述のように、大気圧もしくは大気圧近傍の圧力下で放電ガスを放電空間に導入して励起し、放電空間外で、前述の有機金属化合物を含有する薄膜形成ガスと放電空間外で接触させて間接励起ガスとし、間接励起ガスを基材に晒して薄膜を形成するものである。
【0105】
放電空間に直接晒した放電ガス(励起ガス)と薄膜形成ガスとを、放電空間外で接触させると、前記薄膜形成ガスが前記放電空間で励起した放電ガスからエネルギーを受け取り、間接的に励起すると推定している。本発明では、薄膜形成ガスをこのようにして処理したものを間接励起ガスと呼ぶ。
【0106】
原理は定かでないが、薄膜形成ガスを直接放電空間に晒して用いる場合に比して、非常に高性能に、かつ高速に防汚膜を形成出来ることを本発明者らは見出したものである。
【0107】
本発明において、放電空間とは、所定の距離を有して対向配置された電極対により挟まれ、かつ前記電極対間へ放電ガスを導入して電圧印加することにより放電を起こす空間である。放電空間外とは、前記放電空間ではない空間のことをいう。
【0108】
放電空間の形態は、特に制限は無く、例えば、対向する平板電極対により形成されるスリット状であっても、あるいは2つの円筒電極間に円周状に形成された空間であっても良い。また、励起ガスと薄膜形成ガスは接触するように供給し、供給方向は並流でも向流でも、また斜めに交差するように流してもよい。
【0109】
次いで、本発明の薄膜形成方法に用いる大気圧プラズマ放電処理装置、大気圧プラズマ放電処理方法及び大気圧プラズマ放電処理装置用の電極システムについて、以下にその実施の形態を図を用いて説明するが、本発明はこれに限定されない。また、以下の説明には、用語等に対し断定的な表現が含まれている場合があるが、本発明の好ましい例を示すものであって、本発明の用語の意義や技術的な範囲を限定するものではない。
【0110】
本発明でいう大気圧または大気圧近傍の圧力下とは、20kPa〜110kPaの圧力下である。本発明において、電圧を印加する電極間の更に好ましい圧力は、70kPa〜140kPaである。
【0111】
図1は、本発明に係るジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示す断面図である。
【0112】
図1において、大気圧プラズマ放電処理装置1は、主には、第1電極2と第2電極3とが各々対向する様に配置されている対向電極、電圧印加手段4である対向電極間に高周波電界を印加する高周波電源5の他に、図示していないが、放電ガスを放電空間に、薄膜形成ガスを放電空間外に導入するガス供給手段、前記電極温度を制御する電極温度調整手段等から構成されている。
【0113】
第1電極2と第2電極3とで挟まれ、かつ第一電極上の斜線で示した誘電体を有する領域Aが放電空間である。この放電空間Aに放電ガスGを導入して、放電ガスを励起させる。また、電極が設置してある領域とは別の放電をしない領域に薄膜形成原料を含む薄膜形成ガスMを導入する。次いで、電極が存在しない放電空間外Bの領域で、励起した放電ガスG′と、薄膜形成ガスMとを接触させて間接励起ガスNとして、この間接励起ガスNが基材8表面に拡散し、薄膜を形成する。本発明では、励起した放電ガスは基材に直接接触せず、間接励起ガスが基材に接触することにより、励起した放電ガスが基材に直接接触する場合に比較し、基材に対するダメージを遙かに小さく出来る。
【0114】
尚、基材8は、支持体のようなシート状の基材のみでなく、様々な大きさ、形状のものを処理することが可能となる。例えば、レンズ形状、球状などの厚みを有するような形状の基材へも薄膜形成することが出来る。
【0115】
基材8は、例えば、図で示したような回転する多角形の供給装置の一辺上に設置され薄膜形成される。他の辺に他の基材を設置すれば連続的に薄膜形成体を得ることができる。
【0116】
本発明の薄膜形成方法においては、例えば薄膜形成原料として、フッ素原子を有する有機基を有する有機金属化合物を用い、かつ励起した放電ガスと、薄膜形成ガスとを放電空間外の領域で接触させて間接励起ガスとすることにより、長期保存後でも優れた撥水性、撥油性、指紋拭き取り性を有し、かつ耐擦性、耐傷性が良好な防汚層用薄膜を得ることも出来る。
【0117】
一対の対向電極(第1電極2と第2電極3)は、金属母材と誘電体7で構成され、該金属母材をライニングすることにより無機質的性質の誘電体を被覆する組み合わせにより、また、金属母材に対しセラミックス溶射した後、無機質的性質の物質により封孔処理した誘電体を被覆する組み合わせにより構成されていてもよい。金属母材としては、チタン、銅、金、銀、白金、ステンレススティール、アルミニウム、鉄等の金属が使えるが、ステンレススティールまたはチタンが好ましい。また、誘電体のライニング材としては、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、ゲルマン酸塩系ガラス、亜テルル酸塩ガラス、アルミン酸塩ガラス、バナジン酸塩ガラス等を用いることが出来、この中でもホウ酸塩系ガラスが加工し易く好ましい。また、誘電体の溶射に用いるセラミックスとしては、アルミナが良く、酸化珪素等で封孔処理することが好ましい。また封孔処理としては、アルコキシラン系封孔材をゾルゲル反応させて無機化させることができる。
【0118】
また、図1では、一対の対向電極は、第1電極2と第2電極3のように平板電極を用いてあるが、一方もしくは双方の電極を中空の円柱型電極あるいは角柱型電極としてもよい。この一対の対向電極のうち一方の電極(例えば、第1電極2)に高周波電源5が接続され、他方の電極(例えば、第2電極3)には、アース9により接地され、一対の対向電極間に電界を印加出来るように構成されている。
【0119】
電圧印加手段4は高周波電源5より、それぞれの電極の金属対に電圧を印加する。本発明に用いる高周波電源としては、特に限定は無い。防汚膜の形成に使用し得る高周波電源としては、神鋼電機製高周波電源(50kHz)、ハイデン研究所製高周波電源(連続モード使用、100kHz)、パール工業製高周波電源(200kHz)、パール工業製高周波電源(800kHz)、パール工業製高周波電源(2MHz)、日本電子製高周波電源(13.56MHz)、パール工業製高周波電源(27MHz)、パール工業製高周波電源(150MHz)等を好ましく使用出来る。また、433MHz、800MHz、1.3GHz、1.5GHz、1.9GHz、2.45GHz、5.2GHz、10GHzを発振する電源を用いてもよい。
【0120】
本発明の有用な一例である防汚膜を形成するする場合の対向電極間に印加する高周波電界の周波数としては、特に限定は無いが、高周波電源として0.5kHz以上、2.45GHz以下が好ましい。また、対向電極間に供給する電力は、好ましくは0.1W/cm以上であり、好ましくは50W/cm以下である。尚、対向電極における電圧の印加面積(cm)は、放電が起こる範囲の面積のことを指す。対向電極間に印加する高周波電圧は、断続的なパルス波であっても、連続したサイン波であっても構わない。
【0121】
また、本発明においては電極間に2つ以上の高周波電界を印加し、放電空間を形成してもよい。
【0122】
本発明において、対向電極間の距離(図1のギャップ1)は、電極の金属母材上の誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮して決定される。上記電極の一方に誘電体を設置した場合の誘電体と電極の最短距離、上記電極の双方に誘電体を設置した場合の誘電体同士の距離を電極間の距離として、いずれの場合も均一な放電を行う観点から0.1mm〜20mmが好ましく、より好ましくは0.2〜10mmである。
【0123】
本発明に係る薄膜形成前に、基材を放電空間または励起ガスに晒して基材の表面処理を行ってもよい。例えば、原料がアルコキシドの場合、放電空間または励起ガスに晒すことによる親水化処理が好ましく用いられる。また、薄膜形成前に予め基材表面の除電処理を行い、更にゴミ除去を行ってもよい。除電手段及び除電処理後のゴミ除去手段としては、前述装置のところでした手段と同様の手段を採用出来る。図示してないが、除電手段としては、通常のブロアー式や接触式以外に、複数の正負のイオン生成用除電電極と基材を挟むようにイオン吸引電極を対向させた除電装置とその後に正負の直流式除電装置を設けた高密度除電システム(特開平7−263173号)をを用いてもよい。また除電処理後のゴミ除去手段としては、非接触式のジェット風式減圧型ゴミ除去装置(特開平7−60211号)等を挙げることが出来好ましく用いることが出来るが、これらに限定されない。
【0124】
本発明に係る薄膜形成方法で処理される基材の材質は、特に限定は無く、プラスチック、金属、陶器、紙、木材、不織布、ガラス板、セラミックス、建築材料等を挙げることが出来、その中でも、基材表面がシリカ等の酸化金属であることが好ましい。また、基材の形態は、シート状でも成型品でもよく、ガラスとしては板ガラスやレンズ等、プラスチックとしては、プラスチックレンズ、プラスチックフィルム、プラスチックシート、あるいはプラスチック成型品等が挙げられる。基材がこのようなプラスチックを支持体とする場合には、その表面に反射防止膜のような金属酸化膜を形成したものが好ましく用いられる。
【0125】
図2は、比較のジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置の例を示す断面図である。
【0126】
図1で示した一対の対向電極(第一電極2と第2電極3)が、基材8が設置されている側の筒に配置されており、図1とは反対筒側の領域に放電ガスGを導入して、放電空間Aにおいてガス励起させる。また、対向電極が設置してある筒と反対側の筒には薄膜形成ガスMを導入する。次いで、放電空間外Bの領域で、励起した放電ガスG′と薄膜形成ガスMとを接触させて間接励起ガスNとして、この間接励起ガスNが基材8表面に拡散し薄膜形成される。このような配置の場合、励起した放電ガス及び間接励起ガスが基材上に直接接するため、励起した放電ガスによる基材表面のダメージが進行し易く、高性能で均一な薄膜が得られない。
【0127】
図3は、本発明に係る基材への反射防止膜の形成に用いた大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示した概略図である。
【0128】
図3はプラズマ放電処理装置130、ガス供給手段150、電圧印加手段140、及び電極温度調節手段160から構成されている。ロール回転電極135と角筒型固定電極群136として、基材8をプラズマ放電処理をするものである。ロール回転電極(第1電極)135と角筒型固定電極群(第2電極)136との間の放電空間(対向電極間)132にロール回転電極(第1電極)135には第1電源141から周波数ωであって高周波電圧Vを、また角筒型固定電極群(第2電極)136には第2電源142から周波数ωであって高周波電圧Vをかけるようになっている。
【0129】
ロール回転電極(第1電極)135と第1電源141との間には、第1電源141からの電流がロール回転電極(第1電極)135に向かって流れるように第1フィルター143が設置されている。該第1フィルターは第1電源141からの電流をアース側へと通過しにくくし、第2電源142からの電流をアース側へと通過し易くするように設計されている。また、角筒型固定電極群(第2電極)136と第2電源142との間には、第2電源からの電流が第2電極に向かって流れるように第2フィルター144が設置されている。第2フィルター144は、第2電源142からの電流をアース側へと通過しにくくし、第1電源141からの電流をアース側へと通過し易くするように設計されている。
【0130】
尚、ロール回転電極135を第2電極、また角筒型固定電極群136を第1電極としてもよい。何れにしろ第1電極には第1電源が、また第2電極には第2電源が接続される。第1電源は第2電源より大きな高周波電圧(V>V)を印加できる能力を有しており、周波数はω<ωとなる能力を有している。また、第1電源、第2電源は必ずしも両方とも使用する必要はなく、どちらか一方だけを使用することもできる。
【0131】
基材8は、ガイドロール164を経てニップロール165で基材に同伴してくる空気等を遮断し、ロール回転電極135に接触したまま巻き回されながら角筒型固定電極群136との間を移送され、ニップロール166、ガイドロール167を経て、次工程である本発明に係る薄膜形成工程に移送する。処理ガスはガス供給手段150であるガス発生装置151で発生させた処理ガスHを、流量制御して給気口152より対向電極間(ここが放電空間になる)132のプラズマ放電処理容器131内に入れ、該プラズマ放電処理容器131内を処理ガスで充填し、放電処理が行われた処理排ガスH′を排気口153より排出するようにする。
【0132】
ロール回転電極135及び角筒型固定電極群136を電極温度調節手段160を用いて媒体を加熱または冷却し電極に送液する。電極温度調節手段160で温度を調節した媒体を送液ポンプPで配管161を経てロール回転電極135及び角筒型固定電極群136内側から温度を調節する。プラズマ放電処理の際、基材の温度によって得られる薄膜の物性や組成は変化することがあり、これに対して適宜制御することが好ましい。媒体としては、蒸留水、油等の絶縁性材料が好ましく用いられる。プラズマ放電処理の際、幅手方向あるいは長手方向での基材の温度ムラを出来るだけ生じさせないようにロール回転電極135の内部の温度を制御することが望ましい。尚、168及び169はプラズマ放電処理容器131と外界を仕切る仕切板である。
【0133】
図4は、本発明に係る前処理に用いる大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。
【0134】
装置は、第1電極2と第2電極3とが対向するように配置されている対向電極、電圧印加手段4である対向電極間に高周波電界を印加する高周波電源5のほかに、図示していないが、ガス供給手段、電極温度調整手段等から構成されている。
【0135】
第1電極2と第2電極3とが対向している領域には、放電ガスGを導入して、放電空間Aにおいて励起される。そして励起した放電ガスG′を基材に晒すことによって、基材8の表面処理を行う。
【0136】
図5は、本発明に係る前処理に用いる大気圧プラズマ放電処理装置の別の一例を示す概略図である。
【0137】
装置は、第1電極2と第2電極3とが対向するように配置されている対向電極、電圧印加手段4である対向電極間に高周波電界を印加する高周波電源5のほかに、図示していないが、ガス供給手段、電極温度調整手段等から構成されている。
【0138】
第1電極2と第2電極3とが対向している領域に、基材8を配置し、放電ガスGを導入して、放電空間Aに基材8を晒すことによって、基材8の表面処理を行う。
【0139】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0140】
《薄膜(防汚膜)形成試料の作製》
〔実施例試料1の作製:本発明〕
(大気圧プラズマ放電処理装置)
図1に示す大気圧プラズマ放電処理装置を用いて、1分間かけて、基材8上に防汚膜の製膜を行った。放電ガス導入口13より導入される放電ガスにはガス種A、薄膜形成ガス導入口15より導入される薄膜形成ガスにはガス種Bを用いた。
【0141】
〈ガス種A:放電ガス〉
窒素ガス 98.5体積%
水素ガス 1.5体積%
〈ガス種B:薄膜形成ガス〉
窒素ガス 99.9体積%
有機金属化合物(表1記載) 0.1体積%
(エステック社製気化器により、窒素ガス中に表1記載化合物を気化)
〈ガス種供給比及び混合〉
ガス種A:ガス種B=2:1(体積比)で供給し、ガス吹き出し口16を経て放電空間外Bで接触させた後、基材表面に供給した。
【0142】
電極2、3は、電極にステンレスSUS316を用い、更に、電極の表面にアルミナセラミックスを1mmになるまで溶射被覆させた後、アルコキシシランモノマーを有機溶媒に溶解させた塗布液をアルミナセラミックス被膜に塗布し、乾燥させた後に、150℃で加熱し封孔処理を行って誘電体を形成した。電極の誘電体を被覆していない部分に、高周波電源5の接続やアース9接地を行った。尚、励起ガス吹き出し口及び薄膜形成ガス吹き出し口のギャップ1,2の間隙は表1に示した。
【0143】
高周波電源5には、ハイデン研究所製高周波電源(40KHz)で、7W/cmの放電電力を印加した。
【0144】
基材8には、幅10mm、長さ10mm、厚み0.5mmの日本板硝子製0.5tソーダライムガラス(片面研磨)を用いた。
【0145】
〔実施例試料2の作製:本発明〕
上記実施例試料1の作製において、ガス種A、ガス種B、励起ガス側ギャップ1及び薄膜形成ガス側ギャップ2の間隙を下記に示すように変更した以外は同様にして、実施例試料2を作製した。
【0146】
〈ガス種A:放電ガス〉
窒素ガス 100体積%
〈ガス種B:薄膜形成ガス〉
窒素ガス 99.9体積%
有機金属化合物(表1記載) 0.1体積%
(エステック社製気化器により、窒素ガス中に表1記載化合物を気化)
ギャップ1、2は表1に記載した。
【0147】
〔実施例試料3の作製:本発明〕
上記実施例試料2の作製において、ガス種A、ガス種B、励起ガス側ギャップ1及び薄膜形成ガス側ギャップ2の間隙を下記に示すよう変更した以外は同様にして、実施例試料3を作製した。
【0148】
〈ガス種A:放電ガス〉
アルゴンガス 98.5体積%
水素ガス 1.5体積%
〈ガス種B:薄膜形成ガス〉
アルゴンガス 99.9体積%
有機金属化合物(表1記載) 0.1体積%
(エステック社製気化器により、アルゴンガス中に表1記載化合物を気化)
ギャップ1、2は表1に記載した。
【0149】
高周波電源5はパール工業製高周波電源(13.56MHz)で7W/cmで印加した。
【0150】
〔実施例試料4の作製:本発明〕
実施例試料1で用いた基材を、前処理として下記前処理Aを施した以外は実施例試料1と同様にして、実施例試料4を作製し同様に評価を行った。
【0151】
前処理A:基材を間接励起ガスに晒す前に、図4に記載の第1電極2と第3電極3とが対向するように配置されている構成からなる放電空間に、放電ガスとして窒素:酸素=99:1(体積比)を流入し、基材をその励起放電ガスに3秒間晒した。尚、高周波電源として、ハイデン研究所製高周波電源(周波数:40kHz)、放電出力は10W/cmに設定して行った。
【0152】
〔実施例試料5の作製:本発明〕
実施例試料2で用いた基材を、前処理として下記前処理Bを施した以外は、実施例試料2と同様にして、実施例試料5を作製し同様に評価を行った。
【0153】
前処理B:基材を間接励起ガスに晒す前に、図5に記載の第1電極2と第2電極3とが対向するように配置されている構成からなる放電空間に、放電ガスとして窒素:酸素=99:1(体積比)を流入し、基材をその励起放電ガスに3秒間晒した。尚、高周波電源として、ハイデン研究所製高周波電源(周波数:40kHz)、放電出力は5W/cmに設定して行った
〔実施例試料6の作製:本発明〕
実施例試料1の基材を、下記に示すセルロースエステルフィルム上に大気圧プラズマ法により反射防止層を形成した反射防止フィルムを使用した以外は、実施例試料1と同条件で薄膜形成し、実施例試料6を作製した。
【0154】
以上のようにして得られた実施例試料6について、表面比抵抗測定を下記に示す方法で行い、表面比抵抗値が1×1012Ω/□以下であることを確認した。
【0155】
(表面比抵抗の測定方法)
試料を23℃、55%RHの環境下で24時間調湿した後、川口電機社製のテラオームメーターモデルVE−30を用いて測定した。測定に用いた電極は、2本の電極(試料と接触する部分が1cm×5cm)を1cmの間隔で配置し、電極に試料を接触させて測定し、測定値を5倍にした値を表面比抵抗値(Ω/□)とした。
【0156】
〔基材の作製〕
(帯電防止層の形成)
厚さ80μmのセルローストリアセテートフィルム(コニカ社製、商品名:コニカタックKC80UVSF)の一方の面に、下記組成の帯電防止層の塗布組成物を乾燥膜厚で0.2μmとなるようにダイコートし、80℃、5分間乾燥して、帯電防止層を設けた。
【0157】
Figure 2005015851
(ハードコート層の形成)
上記帯電防止層を形成したフィルムに、下記ハードコート層組成物を、乾燥膜厚が3.5μmとなるように塗布し、80℃にて5分間乾燥した。次に80W/cm高圧水銀灯を12cmの距離から4秒間照射して硬化させ、ハードコート層を有するハードコートフィルムを作製した。ハードコート層の屈折率は1.50であった。
【0158】
Figure 2005015851
上記組成物を撹拌しながら溶解した。
【0159】
(バックコート層の塗設)
前記ハードコート層を塗設した面の反対面に、下記のバックコート層塗布組成物を、ウェット膜厚14μmとなるようにグラビアコーターで塗布し、乾燥温度85℃にて乾燥させてバックコート層を塗設した。
【0160】
Figure 2005015851
(反射防止層の形成)
図3に示した大気圧プラズマ放電処理装置を4基接続し、それぞれの装置の2個の電極の電極間隙を1mmとし、各装置の放電空間に下記ガスをそれぞれ供給し、上記作製したハードコート層上に、順次薄膜を形成した。各装置の第1電極に第1の高周波電源として、神鋼電機社製(50kHz)の高周波電源を使用し、高周波電圧10kV/mm及び出力密度1W/cmで、また、第2電極に第2の高周波電源として、パール工業社製(13.56MHz)の高周波電源を使用し、高周波電圧0.8kV/mm及び出力密度5.0W/cmで印加し、プラズマ放電を行って酸化チタンを主成分とする薄膜及び酸化珪素を主成分とする反射防止層を形成した。このときの各装置の放電空間における窒素ガスの放電開始電圧は3.7kV/mmであった。尚、下記薄膜形成ガスは窒素ガス中で気化器によって蒸気とし、加温しながら放電空間に供給した。また、ロール電極はドライブを用いてセルロースエステルフィルムの搬送を同期して回転させた。両電極を80℃になるように調節保温して行った。
【0161】
〈酸化チタン層形成用ガス組成〉
放電ガス:窒素 97.9体積%
薄膜形成ガス:テトライソプロポキシチタン 0.1体積%
添加ガス:水素 2.0体積%
〈酸化珪素層形成用ガス組成〉
放電ガス:窒素 98.9体積%
薄膜形成ガス:テトラエトキシシラン 0.1体積%
添加ガス:酸素 1.0体積%
前記ハードコート層の上に、順に酸化チタン層、酸化珪素層、酸化チタン層、酸化珪素層を設け、帯電防止層、ハードコート層及び反射防止層を有する基材(表1には、これをTAC−ARと記す)を作製した。尚、反射防止層を構成するそれぞれの層は、順に屈折率2.1(膜厚15nm)、屈折率1.46(膜厚33nm)、屈折率2.1(膜厚120nm)、屈折率1.46(膜厚76nm)であった。
【0162】
〔比較試料1〜3の作製:比較例〕
図2に示す大気圧プラズマ放電処理装置を用いて、1分間かけて、基材8上に防汚膜の製膜を行った。表1に記載のように放電ガス導入口13より導入される放電ガスにはガス種A、薄膜形成ガス導入口15より導入される薄膜形成ガスにはガス種Bを用いた。ガス種A、ガス種B、励起ガス側ギャップ1及び薄膜形成ガス側ギャップ2の間隙、基材を表1に記載のように変更し、実施例試料1と同様にして薄膜形成し、比較試料1〜3を得た。
【0163】
各試料の薄膜形成方法の主な特徴を、表1に示す。
【0164】
【表1】
Figure 2005015851
【0165】
次いで得られた試料について、下記に示す評価を実施した。
《各試料の特性値の測定及び評価》
〔接触角の測定〕
各試料について、協和界面科学社製接触角計CA−Wを用いて、23℃、55%の環境下で、防汚膜表面と水、及びヘキサデカンとの接触角を測定した。尚、測定はランダムに10カ所について行い、その平均値を求めた。
【0166】
〔拭き取り容易性の評価:油性インク〕
油性インク(ゼブラ社製 マッキー極細黒)で線を書き、柔らかい布(旭化成社製 BEMCOT M−3 250mm×250mm)で5往復させて拭き取り、インクの残り状況を目視観察し、下記の基準に則り拭き取り容易性の評価を行った。
【0167】
◎:油性インクが、完全に拭き取れた
○:油性インクが、ほぼ拭き取れた
△:油性インクが、一部で拭き取られず残っている
×:油性インクが基材表面に残っている
また、油性インクの拭き取りを20回繰り返し、20回目に上記の評価を実施した。
【0168】
〔灰付着試験〕
製膜した基材上をゴムロールで10回転転がし、煙草の灰を近づけて、基材にくっつくかどうか試験した。
【0169】
◎:1cmまで近づけても全く付着しない
○:1〜10cmまで近づけると付着する
×:10cm以上でも付着する
以上により得られた結果を、表2に示す。
【0170】
【表2】
Figure 2005015851
【0171】
表2より明らかなように本発明の薄膜形成方法及び薄膜製造装置に従って防汚膜を形成した本発明の試料は、比較例に対し、撥水性(接触角)、撥油性(拭き取り容易性の評価)が良好であることが分かる。
【0172】
また、帯電防止機能が付与されている本発明に係る実施例試料6は灰の付着がしにくくなっており、ゴミ付着に対して良好な性能を有することが分かった。
【0173】
【発明の効果】
本発明により、基材への影響が無く、優れた撥水性、撥油性を有する薄膜製造装置、それを用いた薄膜形成方法及び薄膜形成体を提供することが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示す断面図である。
【図2】比較のジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示す断面図である。
【図3】基材上への反射防止膜の形成に用いた大気圧プラズマ放電装置の一例を示す概略図である。
【図4】本発明に係る前処理に用いる大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。
【図5】本発明に係る前処理に用いる大気圧プラズマ放電処理装置の別の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 大気圧プラズマ放電処理装置
2 第1電極
3 第2電極
4 電圧印加手段
5 高周波電源
7 誘電体
8 基材
9 アース
13 放電ガス導入口
15 薄膜形成ガス導入口
16 ガス吹き出し口
G 放電ガス
G′ 励起した放電ガス
M 薄膜形成ガス
N 間接励起ガス
A 放電空間
B 放電空間外
131 プラズマ放電処理容器
132 放電空間
135 ロール電極(第1電極)
136 角筒型電極群(第2電極)
140 電圧印加手段
141 第1電源
142 第2電源
143 第1フィルター
144 第2フィルター
150 ガス供給手段
160 電極温度調節手段
H 処理ガス
H′ 処理排ガス
P 送液ポンプ

Claims (16)

  1. 大気圧または大気圧近傍の圧力下で放電ガスを放電空間に導入して励起し、該励起した放電ガスを直接基材と接触させないように、原料を含む薄膜形成ガスを基材と該励起した放電ガスで挟み込み、該薄膜形成ガスを放電空間外で前記励起した放電ガスと接触させることにより間接励起し、基材を該間接励起したガスに晒すことにより該基材上に薄膜を形成することを特徴とする薄膜形成方法。
  2. 前記放電空間は、対向する電極間に高周波電圧を印加することにより形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成方法。
  3. 前記放電ガスが、窒素及び/または希ガスを含有することを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜形成方法。
  4. 前記原料が、有機金属化合物、金属ハロゲン化物及び/または有機フッ素化合物を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の薄膜形成方法。
  5. 前記原料がフッ素原子を有する有機基を有する有機金属化合物であることを特徴とする請求項4に記載の薄膜形成方法。
  6. 前記基材の表面が、無機化合物を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の薄膜形成方法。
  7. 前記基材の表面の主成分が、金属酸化物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の薄膜形成方法。
  8. 前記基材を、放電空間または前記励起した放電ガスに晒して前処理を行った後、前記間接励起したガスに基材を晒すことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の薄膜形成方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の薄膜形成方法を用いることを特徴とする薄膜製造装置。
  10. 大気圧または大気圧近傍の圧力下で放電ガスを放電空間に導入して励起させる手段と、該励起した放電ガスを直接基材と接触させないように、薄膜形成ガスを基材と該励起した放電ガスで挟み込ませる手段を有し、該挟み込みにより前記励起した放電ガスが該薄膜形成ガスを間接励起させることにより、前記基材上に薄膜を形成させることを特徴とする請求項9に記載の薄膜製造装置。
  11. 前記放電空間が、対向する電極間に高周波電圧を印加する高周波電圧印加手段を有し、かつ大気圧または大気圧近傍の圧力下で、該印加手段により該電極間に電圧を印加された空間であることを特徴とする請求項9または10に記載の薄膜製造装置。
  12. 前記電極が、少なくとも一方の電極が誘電体で被覆されていることを特徴とする請求項11に記載の薄膜製造装置。
  13. 前記薄膜形成ガスを前記基材と前記励起した放電ガスで挟み込ませる手段が、該薄膜形成ガスを基材表面に存在するように供給する手段と、該励起した放電ガスと薄膜形成ガスとを接触させるように供給する手段を有することを特徴とする請求項9〜12のいずれか1項に記載の薄膜製造装置。
  14. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の薄膜形成方法により得られたことを特徴とする薄膜形成体。
  15. 請求項9〜13のいずれか1項に記載の薄膜製造装置により得られたことを特徴とする薄膜形成体。
  16. 表面比抵抗値が、23℃、55%RH条件下で1×1012Ω/□以下であることを特徴とする請求項14または15に記載の薄膜形成体。
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