JP2002180256A - 表面処理装置 - Google Patents

表面処理装置

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JP2002180256A
JP2002180256A JP2000381811A JP2000381811A JP2002180256A JP 2002180256 A JP2002180256 A JP 2002180256A JP 2000381811 A JP2000381811 A JP 2000381811A JP 2000381811 A JP2000381811 A JP 2000381811A JP 2002180256 A JP2002180256 A JP 2002180256A
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Hidetaka Hayashi
秀▲高▼ 林
Kiyotaka Ishibashi
清隆 石橋
Takayuki Hirano
貴之 平野
Toshihiro Kugimiya
敏洋 釘宮
Kazuyuki Hayashi
和志 林
Yuzo Mori
勇藏 森
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Abstract

(57)【要約】 【課題】より膜質の向上を図り得る表面処理装置を提供
する。 【解決手段】原料ガスおよびキャリアガスが導入される
処理容器1と、処理容器1内に回転するよう設けられた
円筒状回転電極2とを有し、回転電極2の周囲にプラズ
マ放電を発生させ、回転電極2と近接させた基板4に表
面処理を施す際に、基板4よりも電極回転方向の上流側
の第1位置Aで、回転電極2との間でのプラズマ放電に
よってキャリアガスの励起によるラジカルを発生させる
ラジカル発生手段と、第1位置Aよりも電極回転方向の
下流側であって基板4よりも電極回転方向の上流側の第
2位置Bに原料ガスを供給する原料ガス供給手段とを備
え、第1位置Aで発生したラジカルと第2位置Bに供給
された原料ガスが反応することにより基板4に表面処理
が施される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば耐摩耗性、耐腐
食性及び自潤滑性を持つハードコーティング膜、或いは
光起電力素子や各種センサー等の機能性表面を形成する
ためのもので、雰囲気制御された処理容器内でのプラズ
マ放電により処理対象基材の表面に成膜、加工又はクリ
ーニング等の処理を行う表面処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】上述したプラズマ放電を用いた表面処理
装置として、図2に示すものが提案されている(特開平
9−104985)。この提案装置は、均一な薄膜を高
速でかつ大面積に形成できるプラズマCVD装置であ
り、処理容器106内に設けられた高速回転する円筒状
の回転電極100に高周波電力または直流電力(図示例
では高周波電力)を印加して、回転電極100の下側に
設けたサセプタ101との間にプラズマ放電102を発
生させ、当該プラズマ放電102中に反応ガス103を
供給して化学反応により、サセプタ101の上側にセッ
トされた基板104の上表面に薄膜105を形成するよ
うに構成されている。
【0003】この表面処理装置による場合には、それま
では不可能であった1気圧以上の雰囲気下でプラズマを
発生させることが可能となる。そのようなプラズマは平
均自由行程が小さく、電子温度が低いため、イオンなど
による損傷が少なく、それ故に高品質な薄膜を高速で得
ることができる。実際に、上記表面処理装置を用いて実
験した結果、一応、相当高い成膜速度においても一定の
膜質、すなわち高い光電導度と低い暗電流値が得られて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
表面処理装置を用いて得られた薄膜は、高品質ではある
ものの、あくまで高速成膜のわりには膜質が良いといっ
た程度であり、改良すべき余地が残されていた。
【0005】本発明は、このような従来技術の課題を解
決すべくなされたものであり、より膜質の向上を図り得
る表面処理装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願出願人は、従来の表
面処理装置よりも薄膜の膜質を向上させるべく種々検討
し、以下のような知見を得た。
【0007】従来の表面処理装置を用いた実験研究にお
いて、代表的なキャリアガスであるヘリウムは、単に熱
伝導率の大きい性質から冷却能力に高い不活性希釈ガス
というだけでなく、次のことがデータから指摘されるよ
うになってきた。即ち、ヘリウム分子のイオン化エネル
ギーは24.6eVと非常に高いが、際立って寿命の長
い(6×105秒)準安定状態(ラジカル)が20.6
eVもの高いエネルギーで存在し、平衡状態での実効イ
オン化エネルギーは約4eVと低いため、大気圧下でも
容易に安定したプラズマ放電が起こり、プラズマ放電空
間に充満した高エネルギーのヘリウムラジカルが、原料
ガス(例えばシラン等)やその分子に衝突して励起/解
離に寄与することである。
【0008】また、プラズマ放電中での成膜には複数の
反応過程が関与しているが、その反応過程は2種類に大
別される。一つは放電電子が直接に原料ガス分子に衝突
して解離し、原料ガス分子の破片(イオン、ラジカルな
ど)が基板表面に膜として堆積していく過程である。も
う一つは、放電により、まずキャリアガスが励起してラ
ジカルとなり、それが原料ガス分子に衝突して間接的に
ラジカルの内部エネルギーを原料ガス分子に与え、励起
または解離して膜堆積する過程である。ここで、単純衝
突して内部エネルギーを解放したと仮定する。その場
合、両分子の質量の逆数比で運動エネルギーは分配され
る。このとき、ヘリウムが軽い故に、シラン分子は約
2.3eV(=20.6×4/36)の運動エネルギー
となり、これを温度換算すると20000℃に相当す
る。この換算温度は室温より十分高いため、結晶化に有
効な運動エネルギーを有するシラン分子が生成されると
解釈される。もちろん、平衡して解離過程(SiH4
SiH2+H2,SiH3+1/2H 2)が起こることもあ
り、その場合には水素が運動エネルギーを奪い去るた
め、平均的にはもっと低い運動エネルギーとなることも
考えられる。いずれの過程にせよ、従来の表面処理装置
の場合には、プラズマ放電と成膜反応が同一空間内で起
きるため、プラズマ放電によりキャリアガスが励起して
ラジカルとなるラジカル反応と、プラズマ放電によりシ
ランが直接解離することが同時に共存し、そのうちのシ
ランの直接解離に伴って、シラン分子からイオンが派生
し、そのイオンが高周波電場によって加速されて基材表
面に生成されたSi堆積膜に衝突し、膜の結晶性を損傷
させることが容易に推測される。その一方、プラズマ放
電が必要となるのは、前記キャリアガスの励起によるラ
ジカルの生成のみであり、このラジカルと原料ガス(例
えばシランガス)との反応にはプラズマ放電を要しな
い。しかも、一旦生成したラジカルは比較的長時間高い
エネルギーを保有し得る。
【0009】本願出願人は、かかる点に着目し、ラジカ
ル反応に必要なプラズマ放電を基材表面から遠い位置で
発生させ、これにより生成したラジカルを基材の近傍で
原料ガスと反応させて基材に表面処理を施すようにする
ことにより、プラズマ放電により原料ガスが直接解離し
てイオンが発生するのを抑制し、当該イオンの衝突に起
因する膜結晶性の損傷を防止させ得ることを知見した。
【0010】そこで、本発明は、上述した知見に基づき
以下のような表面処理装置を提案するものである。
【0011】本発明に係る表面処理装置は、原料ガスお
よびキャリアガスが導入される処理容器と、該処理容器
内に回転するよう設けられた円筒状回転電極とを有し、
該回転電極の周囲にプラズマ放電を発生させ、該回転電
極と近接させた処理対象用基材に表面処理を施す表面処
理装置において、前記基材よりも電極回転方向の上流側
の第1位置で、回転電極との間でのプラズマ放電によっ
てキャリアガスの励起によるラジカルを発生させるラジ
カル発生手段と、前記第1位置よりも電極回転方向の下
流側であって基材よりも電極回転方向の上流側の第2位
置に原料ガスを供給する原料ガス供給手段とを備え、上
記第1位置で発生したラジカルと上記第2位置に供給さ
れた原料ガスが反応することにより前記基材に表面処理
が施されることを特徴とする。
【0012】本発明にあっては、基材から電極回転方向
の上流側に離れた第1位置でプラズマ放電によるキャリ
アガスの励起でラジカルが発生し、その第1位置よりも
電極回転方向の下流側の第2位置に供給された原料ガス
とラジカルが反応して基材に表面処理が行われる。この
ようにプラズマ放電でキャリアガスの励起のみを行わ
せ、これとは別の位置に原料ガスを供給して前記キャリ
アガスのラジカルと反応させているので、プラズマ放電
による原料ガスの解離に伴うイオンの発生が起こり難
く、また、第1位置でのプラズマ放電により発生したラ
ジカルは中性であるので加速され難い。よって、基材付
近では、キャリアガス分子ラジカルによる原料ガスの励
起反応が起こるのみで、従来のように表面処理に悪影響
を与える原料ガスの直接解離は起こらないので、低損
傷、高品位の表面処理を実現できる。但し、原料ガス及
びラジカルの反応場所は基材の表面処理部分に近接した
箇所とするのが表面処理上好ましい。
【0013】本発明に係る表面処理装置において、前記
ラジカル発生手段は、前記第1位置に、前記回転電極に
対し所定の間隔を介して近接させて設けられていると共
にプラズマ放電用電源に電気的に接続される第2電極
と、この第2電極と該回転電極との間にキャリアガスの
みを供給するキャリアガス供給手段とを備え、前記回転
電極と第2電極との間のプラズマ放電により前記キャリ
アガスが励起される構成とすることができる。
【0014】この構成にあっては、回転電極と第2電極
との間でプラズマ放電が発生し、そのプラズマ放電の発
生部分にキャリアガスが供給されるので、効率良くラジ
カルを発生させることが可能になる。
【0015】また、本発明に係る表面処理装置におい
て、前記キャリアガス供給手段は、前記回転電極と第2
電極の間の放電間隙よりも電極回転方向上流側から該放
電間隙に向けてキャリアガスを噴出するキャリアガス導
入管を備える構成とするのが好ましい。
【0016】この構成にあっては、キャリアガスが電極
回転方向上流側回転電極と第2電極の間の放電間隙に向
けて噴出されるので、その放電間隙にキャリアガスが入
り易くなり、また、発生したラジカルが原料ガスと反応
する反応場所側に移動し易くなる。
【0017】また、本発明に係る表面処理装置におい
て、前記第2電極が、円筒状をした回転する電極を有
し、かつ前記回転電極とは逆方向に回転する構成とする
ことが好ましい。
【0018】この構成にあっては、回転電極と第2電極
(回転する円筒状電極)との間のプラズマ(グロー)放
電間隙を、キャリアガスが層流的に通過することがで
き、効率的かつ大量にキャリアガス分子のラジカルを生
成することができる。なお、第2電極の直径は、放電特
性(電源電圧、放電範囲など)を考慮すると、回転電極
よりも小径にするのが好ましい。
【0019】また、本発明に係る表面処理装置におい
て、前記原料ガス供給手段は、前記回転電極と基材の近
接場所よりも電極回転方向上流側から回転電極と基材と
の間隙に向けてガスを噴出する原料ガス導入管を有する
構成とするのが好ましい。
【0020】この構成にあっては、原料ガスが電極回転
方向上流側から回転電極と基材との間隙に向けて噴出さ
れるので、原料ガスとラジカルとの反応場所を基材の表
面処理部分に接近させ得る。
【0021】また、本発明に係る表面処理装置におい
て、前記回転電極と基材の近接場所よりも電極回転方向
下流側に排気口を有する排気手段が設けられ、該排気手
段には前記処理容器中のガスを吸引して排気するための
吸引手段が付設されている構成とすることが好ましい。
【0022】この構成にあっては、処理容器中のガスを
容器外に排気できることは勿論のこと、ラジカルと原料
ガスが反応して生成された生成物のうち基材に付着等し
ていない副生成物を容器外に排出させ得、これにより処
理容器内をクリーンに保持することができる。
【0023】更に、本発明に係る表面処理装置におい
て、前記キャリアガスに、準安定状態準位をもつ希ガス
または、負イオン状態を持つ酸素若しくはハロゲン系ガ
スが用いられる構成とすることができる。
【0024】この構成にあっては、基材材質と処理内容
(膜堆積やクリーニング処理など)に応じて用いるガス
を選択使用することにより、所望の材質の基材に所望の
処理を施すことが可能になる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を具
体的に説明する。
【0026】図1は、本実施形態に係る表面処理装置を
適用した、ラジカル励起型プラズマCVD装置を模式的
に示す正面断面図である。
【0027】このCVD装置は、処理容器(チャンバ
ー)1と、処理容器1内に共に回転可能に設けられた円
筒状をした大径の回転電極2及び円筒状をした小径の第
2電極としての回転電極3と、処理対象基材としての基
板4がセットされると共に移動可能なサセプタ5と、H
e等のキャリアガスを処理容器1内に導入するキャリア
ガス導入管6と、原料ガスを処理容器1内に導入する原
料ガス導入管7と、処理容器1内のガス等を排気する排
気管8と、排気管8の途中に設けた吸引手段、例えば吸
引ポンプ11とを有する。
【0028】処理容器1は、0.1〜1気圧以上の範囲
で、キャリアガスおよび希薄な原料ガスが満たされるよ
うになっている。
【0029】大径の回転電極2は、最高5000rpm
で高速回転でき、この回転電極2の下方にはサセプタ5
が一定速度で白抜矢印方向の移動を可能として配置さ
れ、そのサセプタ5の上面には基板4がセットされる。
回転電極2と基板4との間隙10は、例えば1mm以下
に設定されている。ここで、図中にC(白抜矢印)で示
す回転電極2の回転方向を電極回転方向と言う。
【0030】回転電極2の近傍には、前記間隙10から
電極回転方向上流側の位置、望ましくは回転電極2の軸
心を中心として間隙10からの角度が90゜以下の位置
Aに、放電間隙9をあけて回転電極3が配置されてい
る。この放電間隙9は、例えば1mm以下に設定されて
いる。上記回転電極3は、回転電極2とは逆方向に回転
し、また回転電極2より小径、例えば約1/3以下の直
径とされている。なお、回転電極3の直径を回転電極2
よりも小径とするのは、放電特性、例えば供給電圧、放
電範囲などを良好にできるからである。
【0031】上記回転電極3には、プラズマ放電用電源
としての高周波電源11が接続されており、放電間隙9
には回転電極2との間でプラズマ(グロー)放電が発生
するようになっている。この図示例では、回転電極3に
高周波電圧を印加し、一方回転電極2は接地するように
しているが、本発明はこれに限らない。例えば回転電極
3に高周波電圧を印加し、一方回転電極2にはバイアス
電圧を印加してもよく、或いは回転電極2と3の電圧印
加状態を逆にしてもよい。
【0032】キャリアガス導入管6は、放電間隙9より
も電極回転方向上流側から放電間隙9に向けて、より詳
細には、回転電極2と3の中心間を結ぶ線と直交し、か
つ放電間隙9に向くように設けられ、キャリアガス、こ
の例ではHeを噴出させる。
【0033】原料ガス導入管7は、サセプタ5の移動方
向と平行にし、かつ出口7aを放電間隙9よりも電極回
転方向下流側であって、間隙10よりも電極回転方向上
流側の位置Bに配し、間隙10に向くように設けられ、
原料ガス、この例ではシランを主体とするガス(SiH
4)を位置Bに噴出させる。ここで、位置Bは原料ガス
供給部となる。
【0034】排気管8は、間隙10よりも電極回転方向
下流側に排気口8aが配置され、吸引ポンプ11による
吸引力にて処理容器1内のガス等を吸気して容器外に排
出する。
【0035】このように構成された本実施形態に係る表
面処理装置の作用につき、基板表面への成膜処理を例に
挙げて説明する。
【0036】処理容器1の内部には、放電間隙9より電
極回転方向上流側に設けたキャリアガス導入管6から放
電間隙9に向けてキャリアガスとしてのHeが噴出され
る。このとき、放電間隙9にはプラズマ(グロー)放電
が発生しているので、その放電間隙9が存在する位置A
はプラズマ(グロー)放電に伴うキャリアガスの励起に
よりラジカルが発生するラジカル発生場所として機能す
る。
【0037】また、放電間隙9を形成する回転電極3
は、回転電極2より小径とされ、かつ回転電極2とは逆
方向に回転するので、位置Aにキャリアガスを層流的に
通過させることができる。これにより、効率的かつ大量
にキャリアガス分子のラジカルを生成することが可能に
なる。
【0038】ここでは、キャリアガスとしてHeを使用
するが、基材材質と処理内容に応じて、He、Arな
ど、長寿命の準安定状態(ラジカル)準位を持つ希ガス
または、電子親和力の大きな酸素またはハロゲン系ガス
など負イオン状態をもつガスが選ばれる。
【0039】また、回転電極3の回転速度は、回転電極
2と周速度が一致またはそれ以下(≦15000rpm
=5000rpm×3)とすることが望ましい。その理
由は、このような状況下では流体力学的にキャリアガス
(He)が層流状態となり、両回転電極2、3の表面で
相対速度ゼロの境界条件から、上記放電間隙9で生成さ
れたHeラジカルはその後に2分されて、一方は回転電
極2の表面に付着した状態のまま間隙10側へと強制移
動されるからである。もう一方は、同様にして間隙10
へと強制移動した後も、回転電極2の表面に付着した状
態のまま放電間隙9へ戻る。
【0040】上記位置Bから間隙10に向けて、原料ガ
スとしてシランを主体とするガス、図示例ではSiH4
が原料ガス導入管7を介して噴出される。このとき、位
置B〜間隙10の箇所には、プラズマ放電の発生がな
い。このように位置Bに供給された原料ガスは、プラズ
マ放電による解離を起こすことなく、回転電極2の表面
に付着した状態のHeラジカルを多く含むガスと合流
し、両ガスが反応する。特に、回転電極2と基板4の間
隙10の近傍では、あたかもHeラジカル層流と原料ガ
ス層流が重なって、間隙10で圧延されるが如く強制的
に速度が増し、薄く引き延ばされる過程で、Heラジカ
ルと原料ガスの両者が拡散的に混ざり合って顕著に反応
する。したがって、回転電極2の周囲であって、放電間
隙9と間隙10とで挟まれた空間、特に間隙10近傍箇
所は、Heラジカルと原料ガスの両者が反応する反応場
所として機能する。このことより、前記位置Bは間隙1
0の近傍に設定することが好ましい。
【0041】そして、反応場所で反応して生成されたS
iは、基板4の表面にて固体化してSi膜12として堆
積する。この基板4は、サセプタ5により一定速度で移
動するため、基板4の全面にわたり均一な成膜が行われ
る。
【0042】このようにして表面処理が実行されている
とき、排気口8aが間隙10よりも電極回転方向下流側
に設けられているので、Heラジカル及び原料ガスは勿
論のこと、副次的に生成されたSi微結晶粉末も効果的
に吸い込まれ、処理容器1内は常にクリーンに保持され
ることになる。
【0043】したがって、本実施形態に係るラジカル励
起型プラズマCVD装置による場合には、以上のような
電極配置とガス導入・排出系を採ることによって、プラ
ズマ放電が起こる位置Aのラジカル発生場所で発生した
ラジカルを、位置Aよりも電極回転方向下流側の位置B
に供給した原料ガスと反応させ、つまりラジカル発生場
所を原料ガス及びラジカルの反応場所から遠ざけている
ので、原料ガスが存在する箇所にはプラズマ放電が発生
しないようにでき、これによりプラズマ放電による原料
ガスの解離に伴うイオンの発生が起こり難くなると共
に、第1位置でのプラズマ放電により発生したラジカル
が中性であるので加速され難いため、ラジカル励起反応
のみを利用した低損傷、高品質のプラズマ表面処理を実
現することができ、従来の表面処理装置による場合より
も光電導度を高く、また暗電流値を低くすることが可能
となった。また、放電間隙9よりも電極回転方向上流側
から放電間隙9に向けてキャリアガスを噴出させている
ので、放電間隙9にキャリアガスが入り易くなると共
に、放電間隙9でのプラズマ(グロー)放電により発生
したラジカルが反応場所側に移動し易くなる。また、原
料ガスを間隙10よりも電極回転方向上流側から間隙1
0に向けて噴出させているので、原料ガスの殆どが反応
場所でラジカルと反応し、またその反応が起こる位置を
基板4の表面処理部分に接近させ得る。
【0044】また、図2に示した従来の表面処理装置に
よる場合には、イオン衝撃による結晶性損傷を抑えるた
めに非常に高い150MHzの高周波電源を用いざるを
得なかったが、これに対して本実施形態に係るラジカル
励起型プラズマCVD装置による場合には、放電空間で
あるラジカル発生場所を成膜空間である反応場所と異な
らせているため、イオン生成に配慮する必要が無くな
り、もっと扱い易く、かつ安価な低い周波数13.56
MHzの電源が利用できるようになった。
【0045】なお、上述した実施形態では、表面処理と
して結晶性の高い機能膜の堆積を例に挙げているが、本
発明はこれに限らない。例えば、表面改質、クリーニン
グ処理、負イオンを用いた貴金属系の腐食などの処理に
応用でき、これらの処理でも表面ダメージを低くするこ
とができる。
【0046】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、基材から電極回転方向の上流側に離れた第1位置
でプラズマ放電によるキャリアガスの励起でラジカルが
発生し、その第1位置よりも電極回転方向の下流側の第
2位置に供給された原料ガスとラジカルが反応して基材
に表面処理が行われるので、原料ガスが存在する箇所に
はプラズマ放電が発生しないようにでき、これによりプ
ラズマ放電による原料ガスの解離に伴うイオンの発生が
起こり難くなると共に、第1位置でのプラズマ放電によ
り発生したラジカルが中性であるので加速され難いた
め、キャリアガス分子ラジカルによる原料ガスの励起反
応のみによる低損傷、高品位の表面処理を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る表面処理装置を適用し
た、ラジカル励起型プラズマCVD装置を模式的に示す
正面断面図である。
【図2】従来の表面処理装置を模式的に示す正面断面図
である。
【符号の説明】
1 処理容器 2 回転電極 3 第2電極(回転電極) 4 基板(処理対象基材) 5 サセプタ 6 キャリアガス導入管 7 原料ガス導入管 8 排気管 8a 排気口 9 放電間隙 10 間隙 11 吸引ポンプ A 位置(ラジカル発生場所) B 位置(原料ガス供給部) C 電極回転方向
フロントページの続き (72)発明者 林 秀▲高▼ 神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会 社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 石橋 清隆 神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会 社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 平野 貴之 神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会 社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 釘宮 敏洋 神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会 社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 林 和志 神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会 社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 森 勇藏 大阪府交野市私市8丁目16番19号 Fターム(参考) 4G075 AA24 AA30 BC04 BC10 BD03 BD05 CA25 CA47 CA63 DA02 EA02 EB01 EC01 EC21 ED01 4K030 AA02 AA06 AA14 AA16 BA29 EA06 EA12 FA03 JA18 KA16 5F004 AA13 BA20 BB13 BC03 BD04 CA05 5F045 AA08 AB04 AC01 AC11 AC16 AC17 DA65 DP04 EE11 EH04 EH07 EH12

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料ガスおよびキャリアガスが導入され
    る処理容器と、該処理容器内に回転するよう設けられた
    円筒状回転電極とを有し、該回転電極の周囲にプラズマ
    放電を発生させ、該回転電極と近接させた処理対象用基
    材に表面処理を施す表面処理装置において、 前記基材よりも電極回転方向の上流側の第1位置で、回
    転電極との間でのプラズマ放電によってキャリアガスの
    励起によるラジカルを発生させるラジカル発生手段と、
    前記第1位置よりも電極回転方向の下流側であって基材
    よりも電極回転方向の上流側の第2位置に原料ガスを供
    給する原料ガス供給手段とを備え、上記第1位置で発生
    したラジカルと上記第2位置に供給された原料ガスが反
    応することにより前記基材に表面処理が施されることを
    特徴とする表面処理装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の表面処理装置において、 前記ラジカル発生手段は、前記第1位置に、前記回転電
    極に対し所定の間隔を介して近接させて設けられている
    と共にプラズマ放電用電源に電気的に接続される第2電
    極と、この第2電極と該回転電極との間にキャリアガス
    のみを供給するキャリアガス供給手段とを備え、前記回
    転電極と第2電極との間のプラズマ放電により前記キャ
    リアガスが励起されることを特徴とする表面処理装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の表面処理装置において、 前記キャリアガス供給手段は、前記回転電極と第2電極
    の間の放電間隙よりも電極回転方向上流側から該放電間
    隙に向けてキャリアガスを噴出するキャリアガス導入管
    を備えることを特徴とする表面処理装置。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の表面処理装置におい
    て、 前記第2電極が、円筒状をした回転する電極を有し、か
    つ前記回転電極とは逆方向に回転することを特徴とする
    表面処理装置。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載の表面
    処理装置において、 前記原料ガス供給手段は、前記回転電極と基材の近接場
    所よりも電極回転方向上流側から回転電極と基材との間
    隙に向けてガスを噴出する原料ガス導入管を有すること
    を特徴とする表面処理装置。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれかに記載の表面
    処理装置において、 前記回転電極と基材の近接場所よりも電極回転方向下流
    側に排気口を有する排気手段が設けられ、該排気手段に
    は前記処理容器中のガスを吸引して排気するための吸引
    手段が付設されていることを特徴とする表面処理装置。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれかに記載の表面
    処理装置において、 前記キャリアガスに、準安定状態準位をもつ希ガスまた
    は、負イオン状態を持つ酸素若しくはハロゲン系ガスが
    用いられることを特徴とする表面処理装置。
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