JPS6379970A - プラズマcvd法による高密着性薄膜形成方法 - Google Patents

プラズマcvd法による高密着性薄膜形成方法

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JPS6379970A
JPS6379970A JP22365286A JP22365286A JPS6379970A JP S6379970 A JPS6379970 A JP S6379970A JP 22365286 A JP22365286 A JP 22365286A JP 22365286 A JP22365286 A JP 22365286A JP S6379970 A JPS6379970 A JP S6379970A
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真壁 遼治
Shingo Kawamura
河村 新吾
Shoichi Mochizuki
望月 昭一
Saburo Kimura
三郎 木村
Sadao Nakajima
中島 貞夫
Osamu Tabata
田畑 収
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は例えば工具、金型、機械部品等の立体形状をし
た基材の表面に、金属おるいはセラミックス被膜を形成
し、高機能化させる場合に適用されるプラズマCVD法
による高密着性薄膜の形成方法に関する。
[従来の技術] 従来、工具、金型、機械部品等へセラミック薄膜を形成
するには、化学蒸着法(以下CVD法と略記する)が実
用化されている。この方法は基材を高温に加熱した炉内
に置き、原オ′4ガスを所要時間送り込んで基材との間
に化学反応を進行させ薄膜を形成する。この方法は膜層
の生成が然エネルギーに依存して行なわれるので「熱C
VD法」と呼ばれている。
そして近年ではイオンプレーデインク等の物理蒸着法(
以下PVD法と略記する)が開発され、より低い温度で
薄膜を形成することが可能となった。
又、低温でセラミック薄膜を複雑形状をした基(Aに被
覆できるプラズマCVD法が開発され、太陽電池作成の
ためのアモルファスシリコン膜や、層間絶縁膜といった
半導体分野でもっばら使用されてきたが、工具、金型、
機械部品への応用も数件報告されている。
1発明が解決しようとする問題点] ところて熱CVD法は基材の温度を1000°C程度の
高温にしな【プればならず、これに伴う基材の熱的損傷
を避けることができない。
PVD法は500°○前後の低温で処理することかでき
るが、複雑な形状をした基材に均一に被膜を形成するこ
とはできない。
プラズマCVD法は低温でセラミックス薄膜を複雑な形
状をした基材に被覆することかできるとされ、工具、金
型、機械部品へ応用した数件の事例が報告されているが
、高負荷に耐えられるだけの膜と基(Aとの密着力が得
られなかったのが現状である。又、形成される膜の均一
性、膜中の不純物量等にも問題が必り、実用の域に達し
ていない。
セラミックス薄膜の密着性低下の原因となるのは、基材
の表面が基十A本来の組成とは異なること、すなわち基
(1表面には酸化闇等の層が存在し、その上からセラミ
ックス薄層を形成するためである。従来ではこのような
認識が欠(プてい1こ。
又、不純物の問題は下記の理由による。従来のプラズマ
CVD法では水素ガス等の放電維持ガスでプラズマ放電
場を形成したのち、反応ガスをプラズマ放電場に導き、
成膜を開始する。
この方法だと放電維持ガスでプラズマ放電場を形成して
いるときに、プラズマ発生電極゛いプラズマ発生コイル
あるいは真空容器の壁に付着した不純物原子が、プラズ
マ衝撃によるスパッタリング現象により、減圧空間内に
飛び出し、基材表面にイ」着してしまうからでおる。
したがって本発明はプラズマCVD法によって、基材が
熱的損傷を受けない温度で、複雑形状の基材に、均一に
、しかも不純物濃度の低い高密着性を有する金属および
またはセラミック薄膜を形成することを目的としてなさ
れたものでおる。
[問題点を解決するための手段] 本発明は、減圧空間内において、基材のクリーニング及
び成膜の為の独立した主副2つの放電機構を用意し、ま
ず副放電機構により基材のクリーニングを開始し、所要
時間経過後速やかに原料ガスを導入し、該減圧空間内の
圧力か設定動作圧に達し安定した後、そのまま瞬時にプ
ラズマ放電を起動することにより、成膜開始と同時に基
材に負の電位を生じさせ、高密着性の金属およびまたは
セラミックス薄膜を形成することを特徴とするプラズマ
CVD法による高密着性薄膜形成方法である。
上記プラズマ放電は、減圧空間内においた基材に直流電
圧や高周波、低周波を印加することにより発生させる。
この場合の空間の圧力は比較的低い圧力である10−2
〜10−5 Torr稈度で、基材が最も強いイオン衝
撃を受ける形でプラズマ放電場を形成させれば、基材表
面の酸化物等の不純物層を除去することができる。さら
に、プラズマCVD処理で使用される圧力条件下では、
原子、分子の平均自由行程か基材の形状寸法よりも小さ
くなるため、プラズマ放電が強すぎると、複雑な形状を
した基材の必る部分では放電クリーニングによりスパッ
タされた不純物の原子や分子が、基材表面に再吸盾し、
基材と強固に結合してしまうことか起きる。そのため、
上記程度の比較的低圧かよい。
ところが、放電クリーニングを停止すると、直ちに基材
表面は減圧容器内に残留する酸素分子、水蒸気分子等の
不純物分子に瞬時にしておおわれてしまう。プラズマC
V D法は処理圧力がO11〜数’rorrの範囲であ
るので、成膜開始時には放電クリーニング時の圧力ある
いは放電クリーニング後のバックグラウンド排気の到達
圧カ(10’ 〜10−8 Torr )から処理圧力
にまで減圧容器内圧力を上昇させてやらなければならな
い。
この間数分から数十分を要するため、この時間内に基材
表面は酸素分子、水蒸気分子等におおわれてしまうこと
になる。
そこで本発明では放電クリーニング時の圧力あるいはパ
ックグランドの圧力からプラズマCVD処理圧まで、減
圧容器内を昇圧する際微弱な放電場を基材の回りに形成
し、成膜開始までクリーニングを続行し、ガス圧力が設
定動作圧に達し、安定したのち、瞬時に成膜のためのプ
ラズマ放電場を形成し、基材表面にセラミック薄膜を形
成するのでおる。成膜条件の圧力に減圧容器内圧力が到
達した後、成膜開始まで成膜条件の圧力にみあった微弱
なプラズマ放電を数秒から数分続行してもよい。
本発明はまたその実tfIfA態様として、成膜初期の
数百〜数千入の膜厚になるまで、放電開始時に生じた負
の電位をそのまま基材に印加させておき、その後基材の
電位を数分間に数秒ずつ数回アースポテンシャルあるい
は放電場の電位にすることを含むものである。このこと
によって密着性の高い安定した組成をもつ不純物濃度の
低い膜を形成する。
前述のとおり、従来のように水素ガス等でプラズマ放電
場を形成した後、減圧容器内へ反応ガスを導入し成膜を
開始すると、電極、]コイル減圧容器壁等からスパッタ
される不純物のため、基材表面は汚染されてしまう。本
発明では成膜のためのプラズマ放電場を形成せずに、反
応ガスを減圧容器内に導入し、反応ガス組成および処理
能力が目的とする値に到達するまて、前記放電クリーニ
ングを続行する。この場合、微弱な放電場でおるため、
膜形成よりも基+Aのクリーニングが優先して起こる。
減圧容器内の反応ガス組成、斥力が目的値に達した段階
で、瞬時にプラズマ発生電極おるいはプラズマ発生コイ
ルに電力を印加し、プラズマを発生させたところ、プラ
ズマは瞬時に安定し、清浄な基材表面に組成の安定した
膜が形成されることを見出した。またそれまで基材のま
わりに形成されていた微弱なプラズマ放電場は、成膜の
ために形成されたプラズマ放電場には何ら影響を与えず
消滅し、基材は負の電位をもった状態で成膜のために形
成されたプラズマ放電場におかれることになる。このた
め、基材は成膜前には弱いイオン衝撃、成膜開始時点お
よびその後の膜成長時には負の電位を与えているため、
強いプラズマ放電場による強いイオン衝撃を受(プるこ
とになり、基材表面上には密着性の良好な不純物の少な
い強固な膜を形成することができる。成膜中にのみ基材
に負の電位を印加することによっても密着性は改善され
るが、放電クリーニングとの組合せにより、−層強固な
密着性を得ることかできる。
また、成膜開始と同時にあるいは所定1時間経過1麦、
基材の電位を任意に変化させることにより、様々な結晶
構造をもつ膜を作成することができる。
また、 f&的にプラズマCVD法を用いてドリル等の
鋭いエツジ部をもつ複雑形状をした基拐を処理する場合
、エツジ部等に局所的にアーク放電が発生し、形成され
る膜の性能を損うことが多い。ところが本発明の場合、
基材の電位を膜質により異なるが、一般的に1分間に数
回以上、数秒間以内でアース電位あるいは放電場の電位
にしてやれば、膜質を変化させることなく、アーク放電
を防止できることを発見した。
また、成膜初期の数百から数千入の膜厚形成時点では、
基材に連続した電位を印加してもアーク放電は起きず、
連続した電位を印加させた方がより強ツノな密着性が得
られることを見出した。
[実施例] 実施例1 第1図a、bは本発明を実施するに適した容量結合型プ
ラズマCVD装置の基本構造て必る。
この装置は内部に減圧空間1を形成する減圧容器2を設
け、この減圧容器2内の−に段位置に、上部電極3を略
水平に配置している。この上部−10= 電極3に対向する前記減圧容器?内の下段位置に下部電
極4を配設している。この下部電極4は通常はアースポ
テンシャルにしておく。また、前記上部電極3と前記下
部電極4の間に、ガス吹出用ノズル5を配設する。この
ノズル5は櫛型でも、リング状でも、メツシュ状のもの
でもよい。さらにノズル5と下部電極4の間に基材ホル
ダー7を配置し、この基材ホルダー7に基材6を固定す
る。この基材ホルダーlは基材6を固定した状態で、自
公転させることも可能である。基材6の加熱のために下
部電極4の下側に電熱ヒーター8および前記減圧容器2
の側面に、ヒーター9を配置する。このヒーター9は電
熱ヒーターでもハロゲンランプヒーターでもよい。
前記基材ホルダー7は、基材6の放電クリーニング時の
プラズマ発生電極を兼ねた電位印加電極でもあって、こ
の基材ホルダー7にクリーニング放電電源10を接続し
、基材6の回りにクリーニングプラズマ放電場11を形
成させる。前記プラズマ放電電源は、直流電源でも交流
電源でも高周波電源でも低周波電源で必ってもよい。
また、任意波形の交番電源で必ってもよい。また、クリ
ーニングプラズマ放電場11を強化、安定化させるため
、前記ガスノズル5や下部電極4に、電源12.13に
より電圧を印加したり、補助電極や熱電子放出フィラメ
ントを併用することができる。
成膜時には、前記基材ホルダー7は電源10に接続した
ままにしておくか、あるいはスイッチ16の切り換え操
作により電源17に接続されるかして、任意波形の電位
を基材6に印加する。前記クリーニング放電電源10と
電源17は共通の電源であってもよい。
前記上部電極3は成膜時のプラズマ放電場18を発生さ
せるための電極で必って、この上部電極3に成膜時の放
電電源19を接続する。この成膜時に使用する放電電源
19は直流電源でも高周波電源でも低周波電源であって
もよい。
ガス供給系は反応ガス供給系20および液体原利力゛ス
供給系21からのガスを混合したのち、バルブ22の操
作て前記減圧容器2内へ流すことができる。また、ベー
パライザ23が安定するまでは、バルブ24の操作によ
り排気経路25を通して液体原料を含んだ反応ガスを真
空ポンプ26へ流しておくことができる。また、この間
、前記減圧容器?内の圧力を成膜時の圧力で安定化させ
るため、あるいは基材6のクリーニングを継続して行な
うため、プラズマ放電場形成ガスを供給経路27より前
記減圧容器2内へ供給しておくことができる。
そして、前記減圧容器2の下端部に、大排気量の真空ポ
ンプ28を含む排気経路29と成膜時の真空ポンプ30
を含む排気経路31を接続する。なお、図中、32.3
3はバルブ、34はダークスペースでおる。
次いで上記装置の作動とともに本発明の方法について説
明する。まず真空ポンプ28により、減圧容器2内を1
0−5〜1O−8Torr程度の圧力に排気するととも
に、基材ホルダー7にセットした基材6をヒーター8及
び9により所定温度に加熱しておく。その後供給経路2
7より、Arガス等の不活性ガスあるいは水素等の化学
的エツチング効果のおるガス、あるいは両者の混合ガス
を前記減圧容器2へ導入しながら、前記大排気量の真空
ポンプ28を含む排気経路29て排気を続ける。減圧容
器2内の圧力が10−3〜10’ Torr程度の目的
とする圧力で安定したら、基tJホルダー7にクリーニ
ングプラズマ発生の為の電圧を印加し、基材6の回りに
グロー放電場11を形成し、基材の放電クリーニングを
行なう。必要ならばノズル5や下部電極4にも電圧を印
加したり、あるいは補助電極や熱電子放出フィラメント
を作動させ、プラズマの安定化をはかる。この放電クリ
ーニングにより、基材6の表面上に大気中で形成された
不純物層を除去することかできる。士数分から数十分間
放電クリーニングを続行させた後、成膜時に使用する真
空ポンプ30を含む排気経路31へとバルブ32と33
の操作により、前記排気経路29から排気ルーi〜の切
り換えを行ない、前記減圧容器2内に成膜時の放電場維
持ガス必るいはクリーニング用ガスを供給経路27より
導入し、減圧容器?内の圧力を成膜時の圧力まで上昇さ
せる。この間に基材ホルダー7に印加する電圧を減圧容
器2内の圧力上昇とともに下げ、基材6の回りに微弱な
放電場を形成しておく。この放電クリーニングにより、
減圧容器2内において不純物分子の基材6表面への付着
を避けることかできる。また減圧容器2内の圧力を上昇
させる前に一旦ガス導入を停止し、減圧容器2内の圧力
を真空ポンプ28を含む排気経路29のルートで10−
6〜10−8 Torrに降圧してもよい。以上の操作
を行なっている間に液体原料の入ったベーパライザ23
にキャリアガスを導入し、真空ポンプ26を含む排気経
路25に成膜時のガス組成、流量条件にて混合反応ガス
を流しておく。
減圧容器2内の圧力が成膜時の圧力で安定し、ベーパラ
イザ23が安定したのち、バルブ22.32.33の同
時操作により混合反応ガスを減圧容器2へ、この時点ま
で減圧容器2へ流していた成膜時の放電場維持ガスある
いはクリーニング用ガスを真空ポンプ26を含む排気経
路25へ流す。この操作は多方向の切り換えが一度にで
きる1つのバルブを使用して行なってもよい。以上の操
作により、減圧容器2内の圧力を変化させることなしに
混合反応ガスを減圧容器?へ導入することができるため
、この間は基材は連続して安定した微弱な放電クリーニ
ングを受けることができる。この後、前記上部電極3に
所定の電力を電源19により印加し、瞬時に成膜のため
の放電場18を形成する。プラズマ放電場18は瞬時に
安定し、それまで基材に放電クリーニングの為に印加し
ておいた電圧により、基材の回りにはプラズマ放電場1
8の中でダークスペース34が形成され、lには負の電
位が印加されたことになり、成膜中の連続したイオン衝
撃効果を得ることになる。
このようにして清浄な基材上に密着性に優れた不純物の
少ない良質な膜を形成させることができる。
また成膜開始と同時あるいは所定時間経過後スイッチ1
6の切換操作により電源10から電源17へ切換えるか
、そのまま電源10を使用して基材6に印加する電圧を
変化させることにより、種々の膜質を得ることができる
実施例2 本発明のプラズマCVD法を実施する為、横巾800m
m、奥行600mm、高さ600mmの立方体形状ステ
ンレス製減圧容器を製作した。上部電極は直径200m
mの大きさに下部電極は1辺が300mmの正方形形状
とした。上部電極と下部電極間の距離は100mmに設
定した。第2図に示すようにノズルは直径6mmの先端
が閉じた管の側面に直径0.6mmのガス吹出口を20
mmピッチであけ、合計6本のノズルを左右から交互に
略水平にガス吹出口が下部電極側を向く形で配設した。
液体原料としてTiQ14を反応ガスとしてN2ガス、
Arガス及びN2ガスをプラズマ放電クリーニングガス
としてArガス及びH2ガスを用い、TiN膜の形成を
行なった。
縦40mm、横40mm、厚さ5mmの5KH51板を
熱処理後、鏡面研摩、脱脂し、減圧容器内の基材ホルダ
ーに固定し、減圧容器内を10−6 Torrまで排気
したのち、Arガスを50CC/m l nの流量で減
圧容器に導入しながら排気を続け、減圧容器内圧力を2
X 10−’ TOrrに保つ。しかる後基手Aホルダ
ーに一1kvの直流電圧、下部電極及びノズルに+50
0Vの直流電圧を印加したところ、基材の回りに安定し
たArプラズマのグロー放電か発生し、大気中で形成さ
れた基材表面の不純物層が数十分で完全に除去された。
その後、減圧容器を一旦10−6 Torrまで排気し
たのち、下部電極及びノズルはアースポテンシャルとし
、排気経路を成膜時に使用する排気経路へと切り換えN
2ガスを導入し、成膜時の圧力である0、3TOrrま
で減圧容器内の圧力を上昇させるのと並行して基材ホル
ダーに印加する直流電圧を一300Vまで落した。この
間基材の回りには微弱なH2プラズマのグロー放電か発
生して基材は放電クリーニングされ続ける。減圧容器内
の圧力が所定圧力で安定したところで、あらかじめマツ
チングをとっておいた上部電極に13.56MHz。
2、OKWの高周波電力を印加したところ、瞬時に安定
したプラズマ敢電場か形成され、基材表面にTiN膜か
堆積を開始した。基材の回りにはダークスペースが生じ
基材の電位は一150Vとなった。この状態で約100
分成膜を続行した。この結果、5KH51基材上には3
.5μmの黄金色のTiN膜が形成された。また下iN
膜の表面は基材の面粗度をそのまま反映し、鏡面となっ
た。形成されたTiN膜をスクラッチテス]へにより密
着性を評価したところ、4ONの高い臨界荷重が得られ
、膜の破壊の様子を観察したところ、膜が木材に密着し
た形でTiN膜自体が破壊していることが判明した。
この結果との比較のためにプラズマ放電クリーニングを
行なわないで基材に一200Vの電位を印加した状態で
3.5μmのTiN膜を鏡面研摩した5KH51基材上
に形成し、スクラッチテストを行なったところ、臨界荷
重は25Nであった。
またTiN膜の破壊の様子を観察したところTiN膜が
基材界面から剥離し、基材表面か露出しているのが観察
された。またプラズマ放電クリーニングを行なった後、
基材に印加する電位をアースポテンシャルとした場合、
臨界荷重は3ONであり、TiN膜は基材界面から剥離
していた。
実施例3 実施例2と同様な方法でドリル径6mmのハイス鋼ドリ
ルにTiN膜を2μm程度の厚さ被覆し、切削デス1〜
を行なったところ、第3図に示す様にコーティングを行
なっていないドリルに比べ、ドリルの可能穴あけ数が4
倍となった。
またTiN膜を被覆したドリルのマージン部、すくい面
部の膜厚を測定したところ、全長にわたり、±20%の
膜厚範囲で均一なTiN膜が形成されていることか判明
した。本実施例の場合、ドリルは回転させずに固定した
状態で膜形成を行なったにもかかわらず、良好な膜厚分
布が得られ、複雑形状をした基材に均一に膜形成を行な
うことが可能であることが実証された。また第3図に示
す様に放電クリーニングを行なわずにTiN膜を形成し
たドリルはコーティングを行なっていないドリルに比べ
可能穴あけ数が1.5倍にしか向上しなかった。
実施例4 成膜中に基材にバイアスを印加した場合と、印加しない
場合とて基材との界面近傍の膜中にとりこまれる不純物
濃度を調べた。基材に実施例2で使用したものと同じ鏡
面研摩したS K H51板を用い、プラズマ放電クリ
ーニングを行なった後、−200Vの電位を印加して形
成したTiN膜と、プラズマ放電クリーニングを行なっ
た後、アースポテンシャルにして形成したTiN膜の基
材との界面近傍の不純物濃度をオージェ電子分光法で調
べた。この結果第5図に示す様にアースポテンシャルの
場合は、界面近傍に酸素が異常に多くとりこまれるが、
第4図に示すように基材に一200Vの電位を印加した
場合は、界面近傍の酸素濃度が極度に減少することが判
明した。このように基(Aの放電クリーニングだけでな
く、成膜中に基材に電位を印加することが重要であるこ
とが実証された。
以上、実施例2.3.4に示ずように本発明の成膜前の
基材のプラズマ放電クリーニングおよび成膜中の基材へ
の電位印加は膜と基材の密着性向上に非常に有効である
ことが実証された。
なお、本発明に係るプラズマCVDの方法は、前記実施
例に限定されないのは勿論であり、例えば基材ホルダー
と下部電極を同一のものにし、基材を下部電極に固定し
、下部電極をクリーニングプラズマ放電電源を兼ねた電
位印加電源としてもよい。またノズルのかわりに上部電
極から反応ガスをシャワー状に供給する方式でおっても
よい。また基材プラズマ放電クリーユング後放電を一旦
停止して、成膜前に数十秒から数分の放電クリーニング
をすることによっても密着性に優れる膜を作成できるこ
とも実証した。
またポンプ系は圧力の広い領域で安定した排気速度をも
つものを使用して一経路で行なってもよい。
また各電極の配列方向は上、下方向は問わず、逆であっ
ても、ざらに水平対向式であってもよい。
[発明の効果] 本発明によれば、プラズマCVD法により、工具、金型
、機械部品等へセラミックコーティングを、均一で不純
物濃度の低い高密着性をもって形成することができ、高
機能化させることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図a、bは本発明に用いる容量結合型プラズマCV
D装置の概要図でおり、第2図はガス吹出ノズルの斜視
図、第3図はドリルの切削デス1〜結果を示すグラフ、
第4図は一200Vのバイアス電位を印加した場合のオ
ージェ電子分光分析の結果を示すグラフ、第5図はアー
スポテンシャルの場合のオージェ電子分光分析の結果を
示すグラフである。 1・・・減圧空間、2・・・減圧容器、3・・・上部電
極、4・・・下部電極、5・・・ガス吹出用ノズル、6
・・・基材、7・・・基材ホルダー、8・・・電熱ヒー
ター、9・・・ヒーター、10・・・クリーニング放電
電源、 11・・・クリーニングプラズマ放電場、12・・・電
源、13・・・電源、16・・・スイッチ、17・・・
電源、18・・・プラズマ放電場、19・・・放電電源
、20・・・反応ガス供給系、 21・・・液体原料ガス供給系、22・・・バルブ、2
3・・・ベーパライザ、24・・・バルブ、25・・・
排気経路、26・・・真空ポンプ、27・・・供給経路
、28・・・真空ポンプ、29・・・排気経路、30・
・・真空ポンプ、31・・・排気経路、32・・・バル
ブ、33・・・バルブ、34・・・ダークスペース。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 (1)減圧空間において、基材のクリーニング及び成膜
    の為の独立した主副2つの放電機構を用意し、まず副放
    電機構により基材のクリーニングを開始し、所要時間経
    過後速やかに原料ガスを導入し、該減圧空間内の圧力が
    設定動作圧に達し安定した後、そのまま瞬時に主プラズ
    マ放電を起動することにより、成膜開始と同時に基材に
    負の電位を生じさせ、高密着性の金属及びセラミックス
    薄膜を形成することを特徴とするプラズマCVD法によ
    る高密着性薄膜形成方法。 (2)成膜初期の数百〜数千Åの膜厚になるまで、放電
    開始時に生じた負の電位をそのまま基材に印加させてお
    き、その後基材の電位を数分間に数秒間ずつ数回アース
    ポテンシャルあるいは放電場の電位にする特許請求の範
    囲第 (1)項記載のプラズマCVD法による高密着性薄膜形
    成方法。
JP22365286A 1986-09-24 1986-09-24 プラズマcvd法による高密着性薄膜形成方法 Granted JPS6379970A (ja)

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02258979A (ja) * 1989-02-21 1990-10-19 Anelva Corp 常圧cvd方法および装置
US5690759A (en) * 1996-06-24 1997-11-25 General Motors Corporation Coated permanent mold having textured undersurface
US6037017A (en) * 1994-04-26 2000-03-14 Kabushiki Kaisha Toshiba Method for formation of multilayer film
US6224950B1 (en) 1993-12-27 2001-05-01 Kabushiki Kaisha Toshiba Method for formation of thin film
JP2016094342A (ja) * 2011-08-24 2016-05-26 日本ゼオン株式会社 カーボンナノチューブ配向集合体の製造装置及び製造方法

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