JP2004176119A - 常圧プラズマcvdによる薄膜形成方法及び常圧プラズマcvd装置 - Google Patents

常圧プラズマcvdによる薄膜形成方法及び常圧プラズマcvd装置 Download PDF

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弘二 下西
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Abstract

【課題】放電空間内成膜とガス吹き付け成膜とを組み合わせることによって、放電ムラによる膜厚の不均一性を解消する。
【解決手段】大気圧近傍の圧力下において、金属化合物を含むガス雰囲気中で、少なくとも一方の対向電極1A,2A表面が固体誘電体6で被覆された対向電極1A,2A間に電界を印加することにより発生するプラズマを利用して、基材10上に金属酸化物薄膜を形成する常圧プラズマCVD装置であって、対向電極1A,2Aの周囲または端部に、対向面積を拡張するように絶縁部材3A,4Aを配置し、対向電極1A,2A部内において放電空間内成膜を行い、絶縁部材3A,4Aによって拡張された空間7Aにおいてプラズマ化されたガスによる吹き付け成膜を行う。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、常圧プラズマCVDによる薄膜形成方法及び常圧プラズマCVD装置に関し、より詳細には、ガス状金属化合物を用い、金属酸化膜薄膜を常圧プラズマCVD法により形成する常圧プラズマCVDによる薄膜形成方法及び常圧プラズマCVD装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、低圧条件下でグロー放電プラズマを生成させて被処理体の表面改質、または被処理体上に薄膜形成を行う方法が実用化されている。しかし、これらの低圧条件下における処理は、真空チャンバー、真空排気装置等が必要であり、表面処理装置は高価なものとなり、大面積基板等を処理する際にはほとんど用いられていなかった。このため、大気圧近傍の圧力下で放電プラズマを発生させる方法が提案されている。
【0003】
これまでの常圧プラズマ処理法としては、ヘリウム雰囲気下で処理を行う方法や、アルゴンとアセトン及び/またはヘリウムからなる雰囲気下で処理を行う方法等が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2等参照)。
【0004】
しかし、上記方法はいずれも、ヘリウムまたはアセトン等の有機化合物を含有するガス雰囲気中でプラズマを発生させるものであり、ガス雰囲気が限定される。さらに、ヘリウムは高価であるため工業的には不利であり、有機化合物を含有させた場合には、有機化合物自体が被処理体と反応する場合が多く、所望する表面改質処理ができないことがある。
【0005】
また、一般的な常圧プラズマ処理方法では、主に処理槽内部において、固体誘電体等で被覆した平行平板型電極間に被処理体を設置し、処理槽に処理ガスを導入し、電極間の電圧を印加し、発生したプラズマで被処理体を処理する方法が採られている(例えば、特許文献3参照)。このような方法によると、被処理体全体を放電空間に置くこととなり、被処理体にダメージを与えることになりやすいといった問題があった。
【0006】
これに対し、本出願人は、常圧プラズマCVD法による表面処理品の製造方法に関する提案をすでに行っている(特許文献4参照)。
【0007】
上記特許文献4には、常圧プラズマを用いた二酸化珪素や二酸化チタン等の薄膜の連続成膜法を実施するための常圧プラズマCVD装置が開示されている。
【0008】
この常圧プラズマCVD装置は、図9に示すように、ロール電極101と、このロール電極101の表面と一定間隔を存して湾曲状の表面を有する曲面電極102とを対向して配置し、両電極101,102間に略等間隔に湾曲した放電空間103を備えた連続成膜装置となっている。なお、ロール電極101及び曲面電極102には固体誘電体104が密着して被覆されている。このロール電極101及び曲面電極102によって形成される放電空間103は、チャンバー200に収納されている。ロール電極101は接地されており、図示しないパルス電圧印加電源からパルス電界がロール電極101と曲面電極102との間に印加されることにより、放電空間103でプラズマが発生する。
【0009】
放電空間103の一端側(図9では左側)には、ガス供給ノズル105のガス導入口1051が配置されており、図示しないガスボンベ等の混合ガス供給装置より配管106を通って供給された混合ガスは、配管106の途中に設けられたマスフローコントローラ107によってガス流量が制御され、ガス供給ノズル105のガス導入口1051から放電空間103に吹き込まれ、対向する両電極101,102間の放電空間103を充満し、プラズマ処理される。これにより、放電空間103に供給される基材120上に混合ガスによって薄膜が連続的に形成される。
【0010】
一方、放電空間103の他端側(図9では右側)には、排気ガス吸引ノズル108の排気口1081が配置されており、プラズマ処理された処理ガス及び未反応ガスからなる排気ガスは、配管109の途中に設けられたマスフローコントローラ110によって排気量が制御されて、排気口1081から排気される。
【0011】
排気口1081から排気されたガスは、この排気口1081に連なる排気ガス吸引ノズル108を経てマスフローコントローラ110を通過する。マスフローコントローラ110は、排気配管109内を流れるガス流量を検出し、この検出結果に基づきフィードバック制御により流量調整弁111の開度を調整して、排気量を所定量に制御する。なお、112は開閉弁、113は真空ポンプである。
【0012】
排気ガス吸引ノズル108からマスフローコントローラ110に至る排気配管109には、排気ガス吸引ノズル108側から順に粉体除去用フィルタ114、ミスト除去用フィルタ115が設けられている。図示は省略しているが、これらフィルタ114,115は、フィルタケース内に装填されている。
【0013】
また、フィルタ114,115の目詰まりについては、図示しない圧力計によって随時モニタされている。また、その表面に連続成膜される基材120は、図示しない清浄化装置によって基材表面に付着した塵埃・異物が除去された後、チャンバ200内の放電空間103に供給されるものであってもよい。
【0014】
一方、このような放電空間内成膜とは別に、本出願人は、電極間に処理ガスを導入してパルス状の電界を印加することにより得られる放電プラズマを、放電空間外に配置された被処理基材に誘導して接触させるいわゆるガス吹き付け成膜も提案している(特願2000−369489号参照)。
【0015】
【特許文献1】
特開平2−48626号公報
【特許文献2】
特開平4−74525号公報
【特許文献3】
特開平6−2149号公報
【特許文献4】
特開平11−241165号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、大気圧近傍の圧力下の反応に必要な混合ガスを放電空間に導入する場合、低圧条件下で行う場合に比べて、ガスを拡散させることが困難であるため、混合ガスの偏りが生じやすい。また、大気圧近傍の圧力下では放電ムラ(放電不均一)も起こりやすく、この放電ムラに起因する膜厚の不均一が問題となる。特に、反射防止膜(AR)では外観ムラにつながっている。この放電ムラの影響による外観ムラは、200℃以下の低温成膜において顕著となる。
【0017】
この場合、上記の放電空間内成膜では、成膜速度(デポレート)が速く、ガス導入付近では外観は良好であるが、ガス排気付近では外観が悪くなる。すなわち、ガス導入初期は励起途上であり、放電ムラが現れにくいが、原料の分解に伴いキャリアガス自体の放電特性が出てくるため、ハイパワー(高電力)による過剰な励起により粒子状の膜が出来て表面が白化、粉化するといった問題があった。また、ハイパワー(高電力)を投入した場合、ガス排気部分では、電極端部でアーク放電が発生しやすくなり、スジ状の外観ムラが発生するといった問題もあった。
【0018】
一方、上記のガス吹き付け成膜では、膜厚が均一で外観が良好であり、成膜速度(デポレート)は遅い。これは、吹き付け面積が小さいこと、及び吹き付け距離やガスの流速にもよるが、励起終了直後のガスを吹き付けるため、時系列でラジカルが失活していくことが要因である。また、基材を直接高電圧放電空間に入れないので、基材へのダメージは少ない。
【0019】
本発明はかかる実情に鑑みて創案されたもので、その目的は、放電空間内成膜とガス吹き付け成膜とを組み合わせることによって、膜厚の均一性を向上させた常圧プラズマCVDによる薄膜形成方法及び常圧プラズマCVD装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明の常圧プラズマCVDによる薄膜形成方法は、大気圧近傍の圧力下において、金属化合物を含むガス雰囲気中で、少なくとも一方の対向電極表面が固体誘電体で被覆された対向電極間に電界を印加することにより発生するプラズマを利用して、基材上に金属酸化物薄膜を形成する薄膜形成方法であって、前記対向電極間に前記基材を配置して成膜した後、続けて前記プラズマ吹き付けによる成膜を行うことを特徴としている。また、前記対向電極の一方の電極がロール状電極で構成され、対向面積を拡張するための絶縁部材と他方の電極とが前記ロール状電極に対峙して配置されており、前記対向電極部内において放電空間内成膜を行い、前記絶縁部材によって拡張された空間においてプラズマ化されたガスによる吹き付け成膜を行うことを特徴としている。
【0021】
また、本発明の常圧プラズマCVD装置は、大気圧近傍の圧力下において、金属化合物を含むガス雰囲気中で、少なくとも一方の対向電極表面が固体誘電体で被覆された対向電極間に電界を印加することにより発生するプラズマを利用して、基材上に金属酸化物薄膜を形成する常圧プラズマCVD装置であって、前記対向電極間に前記基材を配置して成膜した後、続けて前記プラズマ吹き付けによる成膜を行うことを特徴としている。この場合、対向電極は、その周囲または端部に、対向面積を拡張するように絶縁部材が配置された構成となっており、対向電極部内において放電空間内成膜を行い、絶縁部材によって拡張された空間においてプラズマ化されたガスによる吹き付け成膜を行うようになっている。
【0022】
また、ガス雰囲気としては、Nガス及び酸素、HO、酸性水、ハロゲンガスなどの酸化性ガスの混合物が好適である。このように、アフタープラズマ効果の大きいガス、すなわち放電終了後の励起子寿命の長いガスを使用することで、吹き付け成膜域での成膜速度(デポレート)を向上することが可能となる。
【0023】
上記大気圧近傍の圧力下とは、1.333×104 〜10.664×104 Paの圧力下を指す。中でも、圧力調整が容易で、装置構成が簡便になる9.331×104 〜10.397×104 Paの範囲が好ましい。
【0024】
ここで、対向電極の材質としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム等の金属単体、ステンレス、真鍮等の合金、金属間化合物等などが挙げられる。対向電極を構成する一対の電極の形状は、特に限定されないが、電界集中によるアーク放電の発生を避けるために、対向電極間の距離が一定となる構造であることが好ましい。この条件を満たす電極構造としては、例えば平行平板型、円筒型構造が挙げられるが、3枚以上の電極を用いる場合には、平行平板型が好ましい。
【0025】
さらに、プラズマを発生させる電極は、一対のうち少なくとも一方の対向面に固体誘電体が配置されている必要がある。この際、配置される側の電極と固定誘電体とが密着し、かつ、接する電極の対向面を完全に覆うようにすることが好ましい。固体誘電体によって覆われずに電極同士が直接対向する部位があると、そこからアーク放電が生じやすいためである。
【0026】
上記固体誘電体の形状は、シート状でもフィルム状でもよく、厚みが0.01〜4mmであることが好ましい。厚すぎると放電プラズマを発生するのに高電圧を要することがあり、薄すぎると電圧印加時に絶縁破壊が起こり、アーク放電が発生することがある。
【0027】
上記個体誘電体の材質としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチック、ガラス、二酸化珪素、酸化アルミニウム、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン等の金属酸化物、チタン酸バリウム等の複酸化物、及びこれらの複層化したもの等が挙げられる。
【0028】
また、上記固体誘電体は、比誘電率が2以上(25℃環境下、以下同じ)であることが好ましい。比誘電率が2以上の誘電体の具体例としては、ポリテトラフルオロエチレン、ガラス、金属酸化膜等を挙げることができる。さらに高密度の放電プラズマを安定して発生させるためには、比誘電率が10以上の固体誘電体を用いることが好ましい。比誘電率の上限は特に限定されるものではないが、現実の材料では18,500程度のものが知られている。比誘電率が10以上である個体誘電体としては、例えば、二酸化チタン5〜50重量%、酸化アルミニウム50〜95重量%で混合された金属酸化物皮膜、または、酸化ジルコニウムを含有する金属酸化皮膜からなるものが好ましい。
【0029】
上記電極間の距離は、個体誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮して適宜決定されるが、0.1〜50mmであることが好ましく、より好ましくは5mm以下である。50mmを超えると、均一な放電プラズマを発生させにくい。さらに好ましくは、放電が安定しやすい0.5〜3mmの間隔である。
【0030】
上記電極間には、電界が印加され、プラズマを発生させるが、パルス電界を印加することが好ましく、特に、電界の立ち上がり及び/または立ち下がり時間が、10μs以下である電界が好ましい。10μsを超えると放電状態がアークに移行しやすく不安定なものとなり、パルス電界による高密度プラズマ状態を保持しにくくなる。また、立ち上がり時間及び立ち下がり時間が短いほどプラズマ発生の際のガスの電離が効率よく行われるが、40ns未満の立ち上がり時間のパルス電界を実現することは、実際には困難である。より好ましくは50ns〜5μsである。なお、ここでいう立ち上がり時間とは、電圧(絶対値)が連続して増加する時間、立ち下がり時間とは、電圧(絶対値)が連続して減少する時間を指すものとする。
【0031】
上記パルス電界の電界強度は、10〜1000kV/cmであり、好ましくは20〜300kV/cmである。電界強度が10kV/cm未満であると処理に時間がかかりすぎ、1000kV/cmを超えるとアーク放電が発生しやすくなる。
【0032】
上記パルス電界の周波数は、0.5kHz以上であることが好ましい。0.5kHz未満であるとプラズマ密度が低いため処理に時間がかかりすぎる。上限は特に限定されないが、常用されている13.56MHz、試験的に使用されている500MHzといった高周波帯でも構わない。負荷との整合のとり易さや取り扱い性を考慮すると、500kHz以下が好ましい。このようなパルス電界を印加することにより、処理速度を大きく向上させることができる。
【0033】
また、上記パルス電界におけるひとつのパルス継続時間は、1000μs以下であることが好ましく、より好ましくは1〜1000μsである。1000μsを超えるとアーク放電に移行しやすくなる。ここで、ひとつのパルス継続時間とは、ON、OFFの繰り返しからなるパルス電界における、ひとつのパルスの連続するON時間を言う。
【0034】
薄膜の原料としての原料ガスとしては、例えば、SiH、Si、SiCl、SiHCl、Si( CH等のシラン含有ガスからアモルファスシリコン膜、ポリシリコン膜、また上記シラン含有ガスと無水アンモニア、窒素ガス等の窒素含有ガスからSiN膜、上記シラン含有ガスと上記窒素含有ガスとO、O等の酸素含有ガスからSiON膜がそれぞれ形成される。
【0035】
また、SIH、Si、テトラエトキシシラン等のシラン含有ガス、及びSi( OEt)、Si( OMe)、Si( CH(OMe)などのアルコキシドのガスと酸素ガスからSiO等の酸化膜が得られる。
【0036】
また、Al( CH、In( C、MoCl、WF、Cu(HFAcAc)、TiCl等またはSiH等のシランガスの混合ガスから、Al、In、Mo、W、Cu等の金属薄膜、TiSi、WSi等の金属シリサイド薄膜を形成することができる。
【0037】
また、In( Oi−C、Zn( OC、In( CH、Zn( C等よりIn+Sn、SnO+Sb、ZnO+Al等の透明導電膜が形成される。
【0038】
また、B、BClとNHガス等からBN膜、SiFガスと酸素ガス等からSiOF膜、HSi(OR)、CHSi( OR)、( CHSi( OR)等からポリマー膜等が形成される。
【0039】
また、Ta(OC、Y(OiC、Y(C、Hf(OiC、Zn(C等からTa、Y、HfO、ZnO等の酸化膜等が形成される。
【0040】
また、CO、CH、COH等の炭素含有ガスからDLC膜を形成することができる。
【0041】
さらに、CF、C、CFCFCF、C等のフッ素含有化合物ガス、O、O、HO、CHOH、COH等の酸素含有化合物ガス、N、NH等の窒素含有化合物ガス、SO、SO等のイオウ含有化合物ガス、アクリル酸、メタクリルアミド、ポリエチレングリコールジメタクリル酸エステル等の重合性親水モノマーガス等をそれぞれの目的に応じて用いることができる。
【0042】
また、ハロゲン系ガスを用いてチックング処理、ダイシング処理を行ったり、酸素系ガスを用いてアッシング処理、レジスト処理や有機物汚染の除去を行ったり、アルゴン、窒素等の不活性ガスによるプラズマで表面クリーニングや表面改質を行うこともできる。
【0043】
本発明では、上記したように、Nガス及び酸素、HO、酸性水、ハロゲンガスなどの酸化性ガスの混合物を使用する。
【0044】
また、本発明では、経済性及び安全性等の観点から、原料ガスを希釈ガスによって希釈し、これを処理ガスとして用いる方法が特に好ましい。希釈ガスは、単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
【0045】
原料ガスの不活性ガスとの混合比は、使用する不活性ガスの種類により適宜決定される。パルス電界を印加する場合は、任意の混合比の雰囲気下で処理が可能であるが、原料ガスの濃度が高すぎると放電プラズマが発生し難くなるため、原料ガスの濃度が、原料ガスと不活性ガスとの混合ガス中の0.001〜10体積%であることが好ましく、より好ましくは0.001〜0.5体積%である。
【0046】
上記薄膜を形成させる基材としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース、アルカリ処理されたトリアセチルセルロース等のプラスチック、ガラス、セラミック、金属等が挙げられ、これらの形状としては、板状、フィルム状等のものが挙げられるが、特に限定されるものではない。これらの基材の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、50〜200μm程度である。
【0047】
パルス電界を用いた大気圧放電では、全くガス種に依存せず、電極間において直接大気圧に放電を生ぜしめることが可能であり、より単純化された電極構造、放電手順による大気圧プラズマ装置、及び処理手法でかつ高速処理を実現することができる。また、印加電界の周波数、電圧、電極間隔等のパラメータにより処理に関するパラメータも調整できる。
【0048】
さらに、印加パルス電界の形状及び変調を含む周波数制御により選択励起が可能であり、特定化合物の成膜速度を選択的に向上させたり不純物等の純度制御が可能である。
【0049】
本発明の常圧プラズマCVD装置は、大気圧近傍の圧力下、上記混合ガス雰囲気中で、電界集中によるアーク放電の発生等がなく、均一な放電プラズマを発生し得るものであれば特に限定されるものではないが、例えば、平行平板型、円筒対向平板型、球対向平板型、双曲面対向平板型、同軸円筒型構造等の対向電極を有する常圧プラズマCVD装置が挙げられる。この中で、例えば図4に示すような、ロール状電極1Dと、このロール状電極1Dの表面と一定間隔を存して同軸回転面を表面とする曲面電極2Dとを対向して配置し、両電極1D,2D間に略等間隔に湾曲した放電空間5Dを備えた常圧プラズマCVD装置が特に好適に用いられる。
【0050】
上記ロール状電極は、円柱状もしくは円筒状の電極であって、電極本体を構成する導電材料としては、好ましくは、銅、アルミニウム等の金属、ステンレス鋼、真鍮等の合金、金属間化合物等が挙げられる。両電極間に略等間隔に湾曲して形成された放電空間が成膜空間となる。
【0051】
上記両電極の間隔は、常圧プラズマCVDによって形成される薄膜及び基材の厚さ以上であれば特に限定されるものではないが、余り広過ぎると放電がアーク状になり、放電の均一性を損ない易く、また、基材のダメージが大きくなるおそれがあるので、50mm以下が好ましい。
【0052】
上記両電極の間隔は、例えば、TiO薄膜を、Ar99.9体積%、反応性有機チタン化合物0.1体積%含有混合ガス中で成膜させる場合で1〜3mm程度、SiO2 薄膜を、N16体積%、Ar67.9体積%、O16体積%及び反応性有機珪素化合物0.1体積%含有混合ガス中で成膜させる場合で1〜3mm程度、で安定した放電プラズマがたち、安定したTiO薄膜またはSiO薄膜の成膜が可能である。
【0053】
上記ロール状電極と曲面電極の少なくとも一方の電極表面、特に曲面電極の表面が固体誘電体で被覆されていることが好ましい。
【0054】
ロール状電極と曲面電極の双方に固体誘電体が被覆された場合、成膜空間は、露出電極表面と固体誘電体被覆面との間の空間もしくは固体誘電体被覆面同志間の空間となる。
【0055】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0056】
本発明の常圧プラズマCVDによる薄膜形成方法は、大気圧近傍の圧力下において、金属化合物を含むガス雰囲気中で、少なくとも一方の対向電極表面が固体誘電体で被覆された対向電極間に電界を印加することにより発生するプラズマを利用して、基材上に金属酸化物薄膜を形成する薄膜形成方法であって、対向電極間に基材を配置して成膜した後、続けてプラズマ吹き付けによる成膜を行うことを特徴としている。すなわち、常圧プラズマを利用し、電極内成膜とガス吹き付け成膜とを連続して行う点に特徴を有している。
【0057】
ここで、電極内成膜の面内分布をみると、放電ムラの少ない(すなわち、膜厚均一性の良好な)原料ガスの導入部付近と、膜厚均一性の悪いガスの排気部付近とに大別される。従って、膜厚均一性が良好な原料ガスの導入部付近(条件にもよるが電極半分程度までの〜5cm)の放電空間で成膜を行い、次に、成膜速度(デポレート)は低いが、外観の良好な放電ムラの影響の少ない手法であるガス吹き付け成膜(すなわち、アフタープラズマを用いた成膜またはリモート成膜)を連続工程として行うことで、均一性の良好な成膜が可能となる。
【0058】
このような常圧プラズマCVDによる薄膜形成方法を実施するための常圧プラズマCVD装置の電極構造として、図1ないし図8に示す各種電極構造が考えられる。以下、これらの電極構造について、順次説明する。
【0059】
図1に示す電極構造は、平行平板型の対向電極1A,2Aに適用した例であって、この対向電極1A,2Aの周囲(図1では左右両側)に、対向面積を拡張するように絶縁部材3A,4Aがそれぞれ配置された構造となっており、対向電極1A,2A間に、略等間隔の一定広さを有する放電空間5が形成されている。なお、両電極1A,2Aの表面には固体誘電体6が密着して被覆されている。そして、放電空間5Aの一端側(図1では左側)から混合ガスを供給し、放電空間5Aの他端側(図1では右側)から処理後のガスを排気する構造となっている。なお、図中の符号10は基材である。そして、対向電極1A,2A間で成膜を行い、次いで絶縁部材3A,4A間によって形成された空間7Aに流れる励起されたガスによりガス吹き付け成膜を逐次的に行う構成となっている。
【0060】
なお、電極内成膜用の原料ガスと吹き付け成膜用の原料ガスに関しては、その供給箇所は同じであってもよく、また違う場所からの供給であってもよい。この際、ガスの種類は異なる種類の配合であってもよい。このことは、以下に説明する他の電極構造の場合も同様である。
【0061】
樹脂フィルム等の連続成膜を考えると、一方の電極はロール状が好ましく、他方の電極は任意の構造が採用可能である。図2に示す電極構造は、このような組み合わせの一例であって、一方をロール状電極1B、他方を平板電極2Bとした組み合わせの例である。なお、図示は省略しているが、電極構造以外の構成については、上記図9で説明した常圧プラズマCVD装置と同様の構成を採用することができる。このことは、以下に説明する図3ないし図8に示す電極構造においても同様である。
【0062】
図2に示す電極構造は、ロール電極1Bの表面に対向して平板電極2Bが設けられ、平板電極2Bの周囲(図2では、左右両側)に、対向面積を拡張するように平板状の絶縁部材3B,4Bがそれぞれ配置された構造となっており、対向電極1B,2B間に、所定広さを有する放電空間5Bが形成されている。なお、両電極1B,2Bの表面には固体誘電体6が密着して被覆されている。そして、放電空間5Bの一端側(図1では左側)から混合ガスを供給し、放電空間5Bの他端側(図1では右側)から処理後のガスを排気する構造となっている。そして、対向電極1B,2B間で成膜を行い、次いでロール状電極1Bと絶縁部材4Bとによって形成された空間7Bに流れる励起されたガスによりガス吹き付け成膜を逐次的に行う構成となっている。
【0063】
この場合、電極1B,2Bの間隔は、放電の安定性を考慮すると、5mm以下が好ましく、絶縁部材4Bとロール状電極1Bとによって形成される空間7Bの間隔も、ガスの流れの安定性を考慮すると、5mm以下が好ましいが、これ以上であっても構わない。図2に示す電極構造では、絶縁部材4Bとロール状電極1Bとによって形成される空間7Bの間隔が、平板電極2Bから離れるに従って広がっているため、その間隔は5mm以上となっている。
【0064】
図3に示す電極構造は、ロール電極1Cの表面に対向して平板電極2Cが設けられ、平板電極2Cの周囲(図3では、左右両側)に、対向面積を拡張するように対向表面が湾曲状に形成された絶縁部材3C,4Cがそれぞれ配置された構造となっており、対向電極1C,2C間に、所定広さを有する放電空間5Cが形成されている。なお、両電極1C,2Cの表面には固体誘電体6が密着して被覆されている。そして、左側の絶縁部材3Cの開口端部側から放電空間5Cに混合ガスを供給し、右側の絶縁部材4Cの開口端部側から処理後のガスを排気する構造となっている。そして、対向電極1C,2C間で成膜を行い、次いでロール状電極1Cと右側の絶縁部材4Cとによって形成された空間7Cに流れる励起されたガスによりガス吹き付け成膜を逐次的に行う構成となっている。
【0065】
この場合、電極1C,2Cの間隔は、放電の安定性を考慮すると、5mm以下が好ましく、絶縁部材4Cとロール状電極1Cとによって形成される空間7Cの間隔も、ガスの流れの安定性を考慮すると、5mm以下が好ましい。そのため、図3に示す電極構造では、絶縁部材4B(3Bも同じ)の表面が、ロール状電極1Cの表面の湾曲形状にほぼ沿う湾曲形状に形成されている。
【0066】
図4に示す電極構造は、ロール電極1Dの表面に対向して曲面電極(R型電極構造)2Dが設けられ、曲面電極2Dの周囲(図4では、右側のみ)に、対向面積を拡張するように対向表面が湾曲状に形成された絶縁部材4Dが配置された構造となっており、これら両電極1D,2D間に、略等間隔の一定広さを有する放電空間5Dが形成されている。なお、両電極1D,2Dの表面には固体誘電体6が密着して被覆されている。そして、放電空間5Dの左側開口端部から混合ガスを供給し、絶縁部材4Dの右側開口端部から処理後のガスを排気する構造となっている。そして、対向電極1D,2D間で成膜を行い、次いでロール状電極1Dと絶縁部材4Dとによって形成された空間7Dに流れる励起されたガスによりガス吹き付け成膜を逐次的に行う構成となっている。なお、電極長さに関しては、放電ムラが起こらない程度の長さにする必要がある。
【0067】
ところで、図3に示す電極構造では、小さなピッチの放電ムラは軽減されるが、絶縁部材4Dと接する曲面電極2Dの端部2D1部分が加工上のエッジが存在し、この端部2D1部分に放電が集中して端部異常放電が発生し、外観に悪影響を及ぼす可能性がある。この点を改良したのが、図5に示す電極構造である。
【0068】
図5に示す電極構造は、ロール電極1Eの表面に対向して曲面電極2Eが設けられ、曲面電極2Eの周囲(図5では、右側のみ)に、対向面積を拡張するように対向表面が湾曲状の絶縁部材4Eが配置された構造となっており、これら両電極1E,2E間に、略等間隔の一定広さを有する放電空間5Eが形成されている。なお、両電極1E,2Eの表面には固体誘電体6が密着して被覆されている。そして、放電空間5Eの左側開口端部から混合ガスを供給し、絶縁部材4Eの右側開口端部から処理後のガスを排気する構造となっている。そして、対向電極1E,2E間で成膜を行い、次いでロール状電極1Eと絶縁部材4Eとによって形成された空間7Eに流れる励起されたガスによりガス吹き付け成膜を逐次的に行う構成となっている。
【0069】
このような構成において、図5に示す電極構造では、曲面電極2Eの曲面2E1を、円弧の途中から、ロール状電極1Eから離れる方向に逆向きの円弧(凸円弧)を描くように形成している。すなわち、S型電極構造としている。一方、絶縁部材4Eの方も、この逆向きの円弧形状部分に合致するように、左下角部分を凹円弧状に形成し、この凹円弧部分4E1の先端部と、ロール状電極1Eに対向する対向曲面4E2の先端部とが鋭角で交わるように形成している。これにより、曲面電極2Eの円弧形状部分に絶縁部材4Eの凹円弧部分4E1を載置固定すると、曲面電極2Eと絶縁部材4Eとからなる電極構成体として、ロール状電極1Eとの対向空間全体に渡って略等間隔の空間を連続して形成することができる。なお、この場合も、電極の長さを放電ムラが起こらない程度にとどめることが重要である。
【0070】
図5に示す電極構造では、異常放電が起こりやすいエッジがなく、電極間隔がなめらかに曲率に従い変化する。また、放電後半部分は、ロール状電極1Eと曲面電極2Eとが、実質的にロール対ロールの関係となり、電極間隔が急激に広がる。さらに、同時に絶縁部材4Eにより電界が遮断されるので、電極中央部を過ぎると急激に放電が遮断されることになる。これらのことから、電極後半部での異常放電が解消され、電極内成膜とガス吹き付け成膜とがスムーズに重なり合い、成膜均一性も良好なものとなる。
【0071】
図6に示す電極構造は、図5に示す電極構造において、原料ガスの導入経路に改良を加えた例である。
【0072】
図6に示す電極構造は、ロール状電極1Fと曲面電極2Fの形状が、図5に示すロール状電極1Eと曲面電極2Eの形状と同じ形状となっている。違うところは、ガスの流通経路である。
【0073】
すなわち、図6に示す電極構造では、ロール状電極1Fに対向配置されている曲面電極2Fと絶縁部材4Fとが離れて配置されており、この曲面電極2Fと絶縁部材4Fとの間をガスの排気経路8Fとしたものである。そして、電極内成膜用の混合ガスは、曲面電極2Fの左側開口端部から導入され、放電空間5Fを通って排気経路8Fから外部に排気される。一方、ガス吹き付け成膜用の混合ガスは、絶縁部材4Fの右側開口端部から導入され、ロール状電極1Fと絶縁部材4Fとによって形成された空間7Fを通って排気経路8Fから外部に排気される構造となっている。
【0074】
図6に示す電極構造では、放電後半部分は、ロール状電極1Fと曲面電極2Fとが、実質的にロール対ロールの関係となり、電極間隔が急激に広がる。さらに、同時に絶縁部材4Fにより電界が遮断されるので、電極中央部を過ぎると急激に放電が遮断されることになる。これらのことから、電極後半部での異常放電が解消され、電極内成膜とガス吹き付け成膜とがスムーズに重なり合い、成膜均一性も良好なものとなる。
【0075】
なお、電極内成膜用の原料ガスと、ガス吹き付け成膜用の原料ガスに関しては、その供給箇所は同じであってもよいし、違う場所からの供給であってもよい。この際、ガスの種類は、異なる種類の配合であってもよい。ただし、空間7Fに投入されるガスは、別電極ですでに励起された原料ガスを用いる。
【0076】
図7に示す電極構造は、ロール対ロールの電極構造に適用した例であり、上下に対向配置された一対のロール電極1G,2Gの左右両側に、対向面積を拡張するように対向表面が湾曲状に形成された絶縁部材3G,4Gが配置された構造となっており、これら両電極1G,2G間に放電空間5Gが形成されている。なお、両電極1G,2Gの表面には固体誘電体が密着して被覆されている。
【0077】
そして、左側の絶縁部材3Gの上側開口端部から放電空間5Gに混合ガスを供給し、右側の絶縁部材4Gの上側開口端部から処理後のガスを排気する構造となっている。そして、対向電極1G,2G間で成膜を行い、次いで上側ロール状電極1Gと右側の絶縁部材4Gとによって形成された空間7Gに流れる励起されたガスによりガス吹き付け成膜を逐次的に行う構成となっている。
【0078】
図7に示す電極構造では、放電面積は小さいが、電界の集中があるので分解力はあり、成膜速度(デポレート)は平行平板と遜色がない。さらに、ロールタイプは小径タイプを数本並列に並べて配置することが比較的簡単であり、能力アップに適している。
【0079】
なお、混合ガスの放電空間5Gへの投入は、左側の絶縁部材3Gの上側開口端部からでもよいが、絶縁部材3Gの先端部分3G1からの投入でもよい。
【0080】
図8に示す電極構造は、図7に示す電極構造とほとんど同じであるが、違うところは、上側ロール状電極1Gと右側の絶縁部材4Gとによって形成された空間7Gに供給する原料ガスを、図示しない別の電極で励起済みとし、この励起済みの原料ガスを絶縁部材4Gの対向曲面4G1からシャワー状に送り込む構造とした点である。その他の構成は、図8に示す電極構造と同じであるので、ここでは同部材に同符号を付している。
【0081】
図8に示す電極構造では、放電面積は小さいが、電界の集中があるので分解力はあり、成膜速度(デポレート)は平行平板と遜色がない。さらに、ロールタイプは小径タイプを数本並列に並べて配置することが比較的簡単であり、能力アップに適している。
【0082】
なお、混合ガスの放電空間5Gへの投入は、左側の絶縁部材3Gの上側開口端部からでもよいが、絶縁部材3Gの先端部分3G1からの投入でもよい。
【0083】
次に、本発明の常圧プラズマCVDによる薄膜形成方法の実施例について、比較例と対比させて説明する。
【0084】
<比較例>
図9に示す装置において、ロール電極101の表面には固体誘電体として1mm厚のアルミナ被膜が施されており、曲面電極(R電極)102の表面には、チタン酸バリウム20質量%、アルミナ80質量%からなる1mm厚の固体誘電体が施されている。キャリアガスとしては、N:21slm、O:4slmに原料0.2g/minのテトラメトキシシランを気化させたガスを混合したものを原料ガスとし、図中のガス供給ノズル105から放電空間103に導入する。ロール電極101及び曲面電極102は循環水で70℃に保持されている。また、ロール電極101には、PETフィルムが1.0m/minで搬送されており、電極101,102間には、立ち上がり速度2μsecのパルス電源によりVPP20kV、周波数6kHzにてプラズマを発生させ、基材にSiO薄膜を形成した。
【0085】
[膜厚均一性の測定]
上記方法で成膜したSiO薄膜の膜厚は、測定された反射率波形から計算によって算出するものとし、基材幅方向に1mmピッチで10cm幅の膜厚を測定した。その結果を、以下に示す実施例とともに下記表1にまとめて示す。なお、膜厚均一性の計算式を下式(1)に示す。
【0086】
膜厚均一性 =((平均値−最大値or最小値)の大きな方)÷平均値×100% ・・・(1)
<実施例1>
本実施例1は、図4に示す電極構造とし、絶縁部材4Dにテフロン(登録商標)を用い、ロール電極1Dとの間隔を3mmとし、ガス吹き付け成膜部の長さを10cmとした以外は、上記比較例と同様の条件で成膜を行い、PET上にSiO薄膜を連続形成した。その結果を下記表1に示す。
【0087】
<実施例2>
本実施例2は、図6に示す電極構造とする以外は、上記実施例1と同様の条件で成膜を行い、PET上にSiO薄膜を連続形成した。その結果を下記表1に示す。
【0088】
<実施例3>
本実施例3は、図5に示す電極構造とし、曲面電極(S型構造電極)2Eは、中央部を境にして前半部分の凹型Rと、後半部分の凸型Rとを、共に曲率半径202mmの曲面として連続形成した。絶縁部材4Eは、テフロン(登録商標)を用いて凹型の曲面を形成し、ロール電極1Eとの間隔を2mmとした。さらに、上記実施例2の原料ガス(すなわち、比較例と同じ)に、イオン交換水3.0g/minを気化した水蒸気ガスを混合している。その他の条件は上記実施例2の条件と同様にして成膜を行い、PET上にSiO薄膜を連続形成した。その結果を下記表1に示す。
【0089】
【表1】
Figure 2004176119
【0090】
表1の結果から、本発明によれば膜厚均一性が向上していることが分かる。
【0091】
【発明の効果】
本発明によれば、常圧プラズマを利用し、電極内成膜とガス吹き付け成膜とを連続工程として行う構成としたので、膜厚均一性を向上することができる。また、成膜速度も向上するため、その結果として生産性も向上するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の常圧プラズマCVDによる薄膜形成方法を実施するための常圧プラズマCVD装置の電極構造の一例を示す説明図である。
【図2】本発明の常圧プラズマCVDによる薄膜形成方法を実施するための常圧プラズマCVD装置の電極構造の一例を示す説明図である。
【図3】本発明の常圧プラズマCVDによる薄膜形成方法を実施するための常圧プラズマCVD装置の電極構造の一例を示す説明図である。
【図4】本発明の常圧プラズマCVDによる薄膜形成方法を実施するための常圧プラズマCVD装置の電極構造の一例を示す説明図である。
【図5】本発明の常圧プラズマCVDによる薄膜形成方法を実施するための常圧プラズマCVD装置の電極構造の一例を示す説明図である。
【図6】本発明の常圧プラズマCVDによる薄膜形成方法を実施するための常圧プラズマCVD装置の電極構造の一例を示す説明図である。
【図7】本発明の常圧プラズマCVDによる薄膜形成方法を実施するための常圧プラズマCVD装置の電極構造の一例を示す説明図である。
【図8】本発明の常圧プラズマCVDによる薄膜形成方法を実施するための常圧プラズマCVD装置の電極構造の一例を示す説明図である。
【図9】従来の常圧プラズマCVD装置の電極構造の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1A,2A〜2C 平行平板型の対向電極
1B〜1G,2G ロール電極
2D〜2F 曲面電極
3A〜3C,3G,4A〜4G 絶縁部材
5A〜5G 放電空間
6 固体誘電体
7A 絶縁部材間によって形成された空間
7B〜7G ロール状電極と絶縁部材とによって形成された空間
10 基材

Claims (10)

  1. 大気圧近傍の圧力下において、金属化合物を含むガス雰囲気中で、少なくとも一方の対向電極表面が固体誘電体で被覆された対向電極間に電界を印加することにより発生するプラズマを利用して、基材上に金属酸化物薄膜を形成する薄膜形成方法であって、
    前記対向電極間に前記基材を配置して成膜した後、続けて前記プラズマ吹き付けによる成膜を行うことを特徴とする常圧プラズマCVDによる薄膜形成方法。
  2. 大気圧近傍の圧力下において、金属化合物を含むガス雰囲気中で、少なくとも一方の対向電極表面が固体誘電体で被覆された対向電極間に電界を印加することにより発生するプラズマを利用して、基材上に金属酸化物薄膜を形成する薄膜形成方法であって、
    前記対向電極の一方の電極がロール状電極で構成され、対向面積を拡張するための絶縁部材と他方の電極とが前記ロール状電極に対峙して配置されており、前記対向電極部内において放電空間内成膜を行い、前記絶縁部材によって拡張された空間においてプラズマ化されたガスによる吹き付け成膜を行うことを特徴とする常圧プラズマCVDによる薄膜形成方法。
  3. 前記電界がパルス状電界であり、電圧立ち上がり時間が10μs以下、電界強度が10〜1000kV/cm、周波数が0.5kHz以上、パルス継続時間が1〜1000μsであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の常圧プラズマCVDによる薄膜形成方法。
  4. 前記ガス雰囲気がNガス及び酸素、HO、酸性水、ハロゲンガスなどの酸化性ガスの混合物であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の常圧プラズマCVDによる薄膜形成方法。
  5. 大気圧近傍の圧力下において、金属化合物を含むガス雰囲気中で、少なくとも一方の対向電極表面が固体誘電体で被覆された対向電極間に電界を印加することにより発生するプラズマを利用して、基材上に金属酸化物薄膜を形成する常圧プラズマCVD装置であって、前記対向電極間に前記基材を配置して成膜した後、続けて前記プラズマ吹き付けによる成膜を行うことを特徴とする常圧プラズマCVD装置。
  6. 前記対向電極の周囲または端部に、対向面積を拡張するように絶縁部材が配置されていることを特徴とする請求項5に記載の常圧プラズマCVD装置。
  7. 前記対向電極部内において放電空間内成膜を行い、前記絶縁部材によって拡張された空間においてプラズマ化されたガスによる吹き付け成膜を行うことを特徴とする請求項6に記載の常圧プラズマCVD装置。
  8. 前記対向電極の一方の電極がロール状電極で構成され、他方の電極と前記絶縁部材とが前記ロール状電極に対峙して配置されていることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の常圧プラズマCVD装置。
  9. 前記電界がパルス状電界であり、電圧立ち上がり時間が10μs以下、電界強度が10〜1000kV/cm、周波数が0.5kHz以上、パルス継続時間が1〜1000μsであることを特徴とする請求項5ないし請求項8のいずれかに記載の常圧プラズマCVD装置。
  10. 前記ガス雰囲気がNガス及び酸素、HO、酸性水、ハロゲンガスなどの酸化性ガスの混合物であることを特徴とする請求項5ないし請求項9のいずれかに記載の常圧プラズマCVD装置。
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