JP2005014702A - 車両用空調装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】蒸発器12のコア部12a形成領域内の点とフェイス開口部23の開口領域内の点とを結ぶいずれの線分上、およびヒータコア13のコア部13a形成領域内の点とフェイス開口部23の開口領域内の点とを結ぶいずれの線分上にも、上部支持壁16、仕切壁17およびセンタフェイスドア24の少なくともいずれかが配置され、コア部12a、13aで発生した風切り音が、センタフェイス開口部23まで直進することはない。したがって、フェイスダクト50の形状によらず、センタフェイス吹出口からの騒音を低減できる。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車室内フェイス吹出口からの騒音の低減策が講じられた車両用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、空調ケース内の冷却用熱交換器で冷却された冷風と、この冷風が加熱用熱交換器で再加熱された温風とを、所望の温度となるように混合して、車室内計器盤中央部のフェイス吹出口から車室内の乗員頭部方向に向かって吹き出す車両用空調装置がある。空調ケースには、冷風通路および温風通路の空気流れ下流側の合流点の直後にフェイス開口部を形成し、このフェイス開口部と車室内のフェイス吹出口とをフェイスダクトで接続して、フェイスダクトを介して温調風を送風するようになっている。
【0003】
このような車両用空調装置では、冷却用熱交換器や加熱用熱交換器のコア部において発生した風切り音が、フェイスダクトを通って車室内に直線的に侵入すると、乗員頭部方向に向かって放射されることになるので、乗員が騒音として不快を感じ易い。そこで、屈曲したフェイスダクトによりフェイス開口部とフェイス吹出口とを接続し、風切り音をフェイスダクト内で反射させ減衰することで騒音を低減している(下記特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−294032号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来技術の車両用空調装置では、騒音低減を考慮してフェイスダクト形状を設定する必要があるので、フェイスダクトの設計自由度が低下するという問題がある。
【0006】
本発明は、上記点に鑑みてなされたもので、フェイスダクトの設計自由度を向上するとともに風切り音による騒音を低減することが可能な車両用空調装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、
車室内に吹き出すための空気を内部に流通する空調ケース(11)と、
空調ケース(11)内に設けられ、空調ケース(11)内を流通する空気を冷却するための第1コア部(12a)を有する冷却用熱交換器(12)と、
空調ケース(11)内の冷却用熱交換器(12)より下流側に設けられ、冷却用熱交換器(12)で冷却された空気を加熱するための第2コア部(13a)を有する加熱用熱交換器(13)と、
空調ケース(11)内の加熱用熱交換器(13)より下流側に設けられ、加熱用熱交換器(13)で加熱された空気を流通する温風通路(18)と、
空調ケース(11)内の冷却用熱交換器(12)より下流側に設けられ、冷却用熱交換器(12)で冷却された空気を加熱用熱交換器(13)をバイパスして流通する冷風通路(15)と、
空調ケース(11)の温風通路(18)と冷風通路(15)との合流点直後に設けられ、乗員頭部側に向けて空気を吹き出すフェイス吹出口にフェイスダクト(50)を介して接続されるフェイス開口部(23)とを備える車両用空調装置において、
第1コア部(12a)形成領域内の点とフェイス開口部(23)の開口領域内の点とを結ぶいずれの線分上、および第2コア部(13a)形成領域内の点とフェイス開口部(23)の開口領域内の点とを結ぶいずれの線分上にも、遮音部材(16、17、24)が形成され、
遮音部材(16、17、24)を迂回してフェイス開口部(23)に向かうように空調ケース(11)内を空気が流通することを特徴としている。
【0008】
これによると、第1コア部(12a)および第2コア部(13a)で発生した風切り音がフェイス開口部(23)に直線的に向かうことを防止できる。すなわち、フェイス開口部(23)に到達する風切り音を空調ケース(11)内の反射等により確実に減衰することができる。したがって、フェイスダクト(50)を設計するときには騒音低減を考慮する必要がない。このようにして、フェイスダクト(50)の設計自由度を向上するとともに風切り音による騒音を低減することができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明では、遮音部材(16、17、24)は、空調ケース(11)を形成する壁部(16、17)および空調ケース(11)内の空気の流通状態を可変するドア部材(24)の少なくともいずれかからなることを特徴としている。
【0010】
これによると、空調ケース(11)の壁部(16、17)およびドア部材(24)の少なくともいずれかを遮音部材(16、17、24)とすることで、遮音のための部材を新たに形成することなく、フェイスダクト(50)の設計自由度を向上するとともに風切り音による騒音を低減することが可能である。
【0011】
また、請求項3に記載の発明では、温風通路(18)および冷風通路(15)は、いずれも湾曲して形成され、冷風通路(15)の曲率は、温風通路(18)の曲率より小さいことを特徴としている。
【0012】
フェイス吹出口から空気を吹き出す吹き出しモードにおいては、比較的低温の空気を吹き出す場合が多い。請求項3に記載の発明によれば、温風通路(18)より冷風通路(15)の方が緩やかに湾曲しているので、フェイス吹出口から乗員頭部側に向けて吹き出す風量を確保し易い。
【0013】
なお、上記各手段に付した括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本発明を適用した車両用空調装置の室内ユニットのうち空調ユニット部分の縦断面図である。
【0016】
本実施形態の車両用空調装置の通風系は、大別して、空調ユニット10と図示しない送風機ユニットとの2つの部分に分かれている。空調ユニット10は車室内の計器盤下方部のうち、左右方向の略中央部に配置されており、送風機ユニット部は空調ユニット10の車両前方側に配置されている。
【0017】
図示しない送風機ユニット部は周知のごとく内気(車室内空気)と外気(車室外空気)とを切換導入する内外気切換箱と、この内外気切換箱から導入される空気を送風する送風機とから構成されている。この送風機は周知の遠心多翼ファン(例えばシロッコファン等)を電動モータにて回転駆動するものである。空調ユニット10は、1つの共通の空調ケース11内に蒸発器(冷却用熱交換器)12とヒータコア(加熱用熱交換器)13とを内蔵するタイプのものである。
【0018】
空調ケース11はポリプロピレンのような、ある程度弾性を有し、強度的にも優れた樹脂の成形品からなり、分割された複数のケースからなる。この分割されたケースは、上記熱交換器12、13、後述のドア等の機器を収納した後に、金属バネクリップ、ネジ等の締結手段により一体に結合されて空調ケース11を構成する。
【0019】
空調ユニット10は、車室内の計器盤下方部の略中央部に、車両の前後および上下方向に対して、図1に示す形態で配置され、空調ケース11の最も車両前方部の部位には、空気流入口14が配設されており、この空気流入口14には、前述の送風機ユニットから送風される空気が流入する。
【0020】
空調ケース11内において、空気流入口14直後の部位に蒸発器12が空気通路の全域を横切るように配置されている。この蒸発器12は周知のごとく冷凍サイクルの冷媒の蒸発潜熱を空気から吸収して、空気を冷却するものである。ここで、蒸発器12は図1に示すように、車両前後方向には薄型で、車両上下方向に長手方向が向く形態で空調ケース11内に設置されている。
【0021】
また、蒸発器12は周知の積層型のものであって、アルミニウム等の金属薄板等により構成した偏平チューブをコルゲートフィンを介在して多数積層配置し、一体ろう付けしたコア部(第1コア部に相当)12aを有する。そして、蒸発器12の空気流れ下流側(車両後方側)に、所定の間隔を開けてヒータコア13が隣接配置されている。
【0022】
このヒータコア13は、蒸発器12を通過した冷風を再加熱するものであって、その内部に高温のエンジン冷却水(温水)が流れ、この冷却水を熱源として空気を加熱するものである。このヒータコア13も蒸発器12と同様に、車両前後方向には薄型で、車両上下方向に長手方向が向く形態で空調ケース11内に若干傾斜して設置されている。
【0023】
ヒータコア13は周知のものであって、アルミニウム等の金属薄板等により構成した偏平チューブをコルゲートフィンを介在して多数積層配置し、一体ろう付けしたコア部(第2コア部に相当)13aを有する。図示を省略しているが、ヒータコア13にエンジン冷却水を循環する回路には流量調整弁が配設され、ヒータコア13を流通する冷却水流量を調整することで、ヒータコア13による空気加熱量を調節するものである。
【0024】
なお、ヒータコア13は、図1に示すように、空調ケース11の上面から垂下する上部支持壁16や後述する仕切壁17等により空調ケース11内に支持されている。
【0025】
空調ケース11の上面部において、車両前方側の部位にはデフロスタ開口部21が開口している。このデフロスタ開口部21はヒータコア13により再加熱され温度制御された空気が流入するものであって、図示しないデフロスタダクトを介してデフロスタ吹出口に接続され、この吹出口から車両前面窓ガラスの内面に向けて風を吹き出すようになっている。デフロスタ開口部21はデフロスタドア22により開閉される。
【0026】
空調ケース11の上面部において、デフロスタ開口部21よりも車両後方側の部位には、サイドフェイス開口部33が開口している。このサイドフェイス開口部33もヒータコア13により再加熱され温度制御された空気が流入するものである。サイドフェイス開口部33は、図示しないサイドフェイスダクトを介して、計器盤左右両端部の上方側に配置されているサイドフェイス吹出口に接続され、この吹出口から車室内左右両側部の乗員頭部側または車両側面窓ガラスに向けて風を吹き出す。サイドフェイス開口部33はサイドフェイスドア34により開閉される。
【0027】
サイドフェイス吹出口は周知のごとく手動操作される風向変更装置を備えており、この風向変更装置の風向板の方向の調整により、吹出空気を車室内左右両側部の乗員頭部側または車両側面窓ガラスに向けて風を吹き出すことが可能になっている。
【0028】
また、空調ケース11の側面部には、車両左右方向両面にフット開口部27が開口している(片方のみ図示)。このフット開口部27もヒータコア13により再加熱され温度制御された空気が流入するものであって、図示しないフットダクトを介してフット吹出口に接続され、この吹出口から乗員の足元に向けて風を吹き出すようになっている。フット開口部27はフットドア29により開閉される。
【0029】
空調ケース11の車両後方側の面には、センタフェイス開口部23が開口している。このセンタフェイス開口部23もヒータコア13により再加熱され温度制御された空気が温風通路18を介して流入するものである。温風通路18はセンタフェイスドア24により開閉される。換言すれば、実質的にセンタフェイス開口部23はセンタフェイスドア24により開閉される。また、図1に示すように、温風通路18は円弧状に湾曲して形成されており、内面には吸音パッキン材が貼着されている。
【0030】
空調ケース11内で、ヒータコア13の下方部位には、このヒータコア13をバイパスして空気(蒸発器12で冷却された冷風)が流れるバイパス通路である冷風通路15が形成されている。冷風通路15内には、この通路を開閉するクールバイパスドア25が配設されている。図1に示すように、冷風通路15は円弧状に湾曲して形成されている。ただし、冷風通路15は、曲率が温風通路18の曲率より小さくなるように緩やかに湾曲している。
【0031】
冷風通路15と、ヒータコア13の下流側空間および温風通路18(センタフェイス開口部23へ向かう実質的な温風通路)とは、仕切壁17により仕切られており、温風通路18と冷風通路15との合流点直後に前述のセンタフェイス開口部23が開口している。
【0032】
センタフェイス開口部23は、図1に示す位置に装着されるフェイスダクト50を介して、計器盤左右方向の中央部上方側に配置されているセンタフェイス吹出口に接続され、この吹出口から車室内中央部の乗員頭部に向けて風を吹き出す。
【0033】
センタフェイス開口部23は、温風通路18と冷風通路15との合流点直後に設けられ、乗員頭部側に向けて空気を吹き出すフェイス吹出口(センタフェイス吹出口)にフェイスダクト50を介して接続される本実施形態におけるフェイス開口部である。
【0034】
上述した各ドア22、24、25、29、34はいずれも単体の状態では同様の構造であり、各回転軸と一体に結合された樹脂製(ポリプロピレン製)のドア基板を、回転軸径方向の対向する両側に有する所謂バタフライタイプのドアであり、ドア基板の先端部にはエラストマ材からなるシール部が形成されている。
【0035】
なお、図1において、各ドア22、24、25、34を実線で示した位置が各開口部もしくは通路の全開(開度100%)位置であり、2点鎖線で示した位置が全閉(開度0%)位置である。
【0036】
次に、上記構成において本実施形態の作動を説明すると、車両用空調装置は、周知のように、空調操作パネルに設けられた各種操作部材からの操作信号および空調制御用の各種センサからのセンサ信号が入力される電子制御装置(図示せず)を備えており、この制御装置の出力信号により各ドア22、24、25、29、34の位置が制御される。
【0037】
まず、フェイス吹出モードについて図2に基づいて説明する。各モードドアは図2に示すように、デフロスタドア22は開度30%、サイドフェイスドア34は開度100%、センタフェイスドア24は開度100%の位置に操作される。また、フットドア29は開度0%の位置に操作される。
【0038】
フェイス吹出モードでは、センタフェイス吹出口から吹き出す風に冷風が必要とされることが多い。そこで、フェイス吹出口からの吹き出す空気の温度が所望の温度となるように、クールバイパスドア25の開度を調節する。
【0039】
したがって、この状態では、図示しない送風機ユニットからの送風空気が空気流入口14より空調ユニット10内に流入し、まず、蒸発器12のコア部12aにて冷却されて冷風となる。そして、この冷風がヒータコア13のコア部13aを通過して必要に応じて再加熱され、極一部はデフロスタ開口部21に流入し、デフロスタ吹出口から車両前面窓ガラスに向かって吹き出される。
【0040】
ヒータコア13を通過した空気の残部は、温風通路18およびサイドフェイス開口部33に流入する。サイドフェイス開口部33に流入した空気は、サイドフェイスダクト、サイドフェイス吹出口を経て、車室内の乗員上半身に向けて吹き出される。
【0041】
温風通路18に流入した空気は、クールバイパスドア25の開度に応じてヒータコア13をバイパスして冷風通路15に流入した冷風と、両通路15、18の合流点より下流側で混合されながら、センタフェイス開口部23からフェイスダクト50、センタフェイス吹出口を経て、車室内の乗員上半身に向けて吹き出される。
【0042】
次に、バイレベル吹出モードについて図3に基づいて説明する。各モードドアは図3に示すように、デフロスタドア22は開度30%、サイドフェイスドア34は開度60%、センタフェイスドア24は開度50%の位置に操作される。また、フットドア29は開度45%の位置に操作される。
【0043】
バイレベル吹出モードにおいても、センタフェイス吹出口から吹き出す風に比較的冷風が必要とされることが多い。そこで、フェイス吹出口からの吹き出す空気の温度が所望の温度となるように、クールバイパスドア25の開度を調節する。
【0044】
したがって、この状態では、図示しない送風機ユニットからの送風空気が空気流入口14より空調ユニット10内に流入し、まず、蒸発器12のコア部12aにて冷却されて冷風となる。そして、この冷風がヒータコア13のコア部13aを通過して必要に応じて再加熱され、各モードドア22、24、29、34の開度に応じて、デフロスタ開口部21、温風通路18、フット開口部27、サイドフェイス開口部33に流入する。
【0045】
デフロスタ開口部21に流入した空気は、デフロスタ吹出口から車両前面窓ガラスに向かって吹き出される。フット開口部27に流入した空気は、フット吹出口から乗員足元に向かって吹き出される。サイドフェイス開口部33に流入した空気は、サイドフェイス吹出口から車室内の乗員上半身に向けて吹き出される。
【0046】
温風通路18に流入した空気は、クールバイパスドア25の開度に応じてヒータコア13をバイパスして冷風通路15に流入した冷風と、両通路15、18の合流点より下流側で混合されながら、センタフェイス開口部23からフェイスダクト50、センタフェイス吹出口を経て、車室内の乗員上半身に向けて吹き出される。
【0047】
次に、フットデフロスタ吹出モードにおいては、デフロスタドア22は開度35%、サイドフェイスドア34は開度30%、センタフェイスドア24は開度0%の位置に操作される。また、フットドア29は開度100%の位置に操作される。
【0048】
したがって、この状態では、蒸発器12のコア部12aにて冷却され、ヒータコア13のコア部13aを通過して再加熱された空気が、各モードドア22、29、34の開度に応じて、デフロスタ開口部21、フット開口部27、サイドフェイス開口部33に流入する。そして、デフロスタ吹出口、フット吹出口、サイドフェイス吹出口から、車両前面窓ガラス、乗員足元、車両側面窓ガラスに向かって吹き出される。
【0049】
また、上記したフットデフロスタ吹出モードの状態からデフロスタドア22の開度を所定量だけ小さくなるように回動操作しとときに、フット吹出モードが得られる。
【0050】
次に、デフロスタ吹出モードにおいては、デフロスタドア22は開度100%、サイドフェイスドア34は開度30%、センタフェイスドア24は開度0%の位置に操作される。また、フットドア29も開度0%の位置に操作される。
【0051】
したがって、この状態では、蒸発器12のコア部12aにて冷却され、ヒータコア13のコア部13aを通過して再加熱された空気が、各モードドア22、34の開度に応じて、デフロスタ開口部21、サイドフェイス開口部33に流入する。そして、デフロスタ吹出口、サイドフェイス吹出口から、車両前面窓ガラス、車両側面窓ガラスに向かって吹き出され、窓ガラスの曇り止めを行なう。
【0052】
車両用空調装置が作動し、図示しない送風機ユニットが送風しているときには、蒸発器12を通過する空気は、コア部12aを通過するときに、風切り音を発生する。また、蒸発器12を通過した後ヒータコア13を通過する空気は、コア部13aを通過するときに、風切り音を発生する。
【0053】
センタフェイス吹出口から空気が吹き出されるモードにおいては、コア部12a、13aで発生した風切り音も空調ケース11内をセンタフェイス開口部23方向に進む。
【0054】
ところが、図2および図3に示すように、空調ケース11内がフェイス吹出モードおよびバイレベル吹出モードであるときには、蒸発器12のコア部12a形成領域内の点とフェイス開口部23の開口領域内の点とを結ぶいずれの線分上にも、上部支持壁16、仕切壁17およびセンタフェイスドア24の少なくともいずれかが存在する。すなわち、図2および図3で示す2本の一点鎖線間の領域内では、コア部12aで発生した風切り音が、センタフェイス開口部23まで直進することはない。
【0055】
一方、ヒータコア13のコア部13a形成領域内の点とフェイス開口部23の開口領域内の点とを結ぶいずれの線分上にも、仕切壁17およびセンタフェイスドア24の少なくともいずれかが存在する。すなわち、図2および図3で示す2本の二点鎖線間の領域内では、コア部13aで発生した風切り音が、センタフェイス開口部23まで直進することはない。
【0056】
また、他の吹き出しモードにおいても風切り音は発生するが、センタフェイスドア24の開度は0%であるので、言うまでもなくコア部12a、13aで発生した風切り音が、センタフェイス開口部23まで直進することはない。
【0057】
ここで、上部支持壁16および仕切壁17が遮音部材として機能する本実施形態における壁部であり、センタフェイスドア24が遮音部材として機能する本実施形態におけるドア部材である。
【0058】
上述の構成および作動によれば、蒸発器12やヒータコア13を通過した送風空気がセンタフェイス開口部23からフェイスダクト50を介してセンタフェイス吹出口に送られるときにも、蒸発器12のコア部12aで発生した風切り音、およびヒータコア13のコア部13aで発生した風切り音が、センタフェイス開口部23に直線的に向かうことを防止できる。
【0059】
すなわち、センタフェイス開口部23に到達する風切り音を空調ケース11内の反射等により確実に減衰することができる。したがって、フェイスダクト50の形状を騒音低減等を考慮せずに設定したとしても(例えば、直線状のダクトを採用したとしても)、車室内の乗員が、風切り音をセンタフェイス吹出口からの騒音として感じ難い。このようにして、フェイスダクト50の設計自由度を確保しつつ風切り音による騒音を低減することができる。
【0060】
また、温風通路18の内側には、吸音材層が形成されているので、風切り音を一層減衰し易い。
【0061】
また、風切り音のセンタフェイス開口部23への直進を防止する遮音部材として、空調ケース11の一部である上部支持壁16、仕切壁17およびセンタフェイスドア24を利用しているので、遮音を目的とした新たな部材を設ける必要がない。したがって、部品点数の増加を防止することができる。
【0062】
また、温風通路18および冷風通路15はいずれも湾曲しており、冷風通路15は、曲率が温風通路18の曲率より小さくなるように形成されている。フェイス吹出口から空気を吹き出すフェイス吹き出しモードやバイレベル吹き出しモード等においては、比較的低温の空気を吹き出す場合が多い。したがって、緩やかに湾曲している冷風通路15を採用することで、フェイス吹出口から乗員頭部側に向けて吹き出す風量を確保し易い。
【0063】
また、冷風通路15を緩やかに湾曲して形成することは比較的スペースを必要とするが、冷風通路15を開口部21、23、27、33を設けていない空調ケース11の下面側に配置しているので、体格の拡大を極力抑制することが可能となっている。
【0064】
(他の実施形態)
上記一実施形態では、遮音部材として上部支持壁16、仕切壁17およびセンタフェイスドア24を用いていたが、空調ユニット11の他の壁部やドア等の既存構成を利用するものであってもかまわない。また、壁部のみ、もしくはドア部材のみで遮音するものであってもよい。また、遮音のみを目的とした部材を設けるものであってもよい。
【0065】
また、上記一実施形態では、各ドアは、回転軸の両側にドア部が形成された所謂バタフライタイプのドアであったが、他のタイプのドアであってもよい。例えば、回転軸の片側にドア部が形成された所謂片手持ちタイプのドアであってもよいし、スライドタイプのドアであってもかまわない。
【0066】
また、上記一実施形態では、空調ユニット10は、送風空気の温度調節をヒータコア13に流通する冷却水の流量を調整して行なうタイプであったが、ヒータコア13を通過する空気とヒータコア13をバイパスする空気との配分をエアミックスドア等により調整するタイプにおいても、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における車両用空調装置の空調ユニット部の断面図である。
【図2】フェイス吹き出しモード設定時の空調ユニット部の断面図である。
【図3】バイレベル吹き出しモード設定時の空調ユニット部の断面図である。
【符号の説明】
10 空調ユニット
11 空調ケース
12 蒸発器(冷却用熱交換器)
12a コア部(第1コア部)
13 ヒータコア(加熱用熱交換器)
13a コア部(第2コア部)
15 冷風通路
16 上部支持壁(遮音部材、壁部)
17 仕切壁(遮音部材、壁部)
18 温風通路
23 センタフェイス開口部(フェイス開口部)
24 センタフェイスドア(遮音部材、ドア部材)
25 クールバイパスドア
50 フェイスダクト
Claims (3)
- 車室内に吹き出すための空気を内部に流通する空調ケース(11)と、
前記空調ケース(11)内に設けられ、前記空気を冷却するための第1コア部(12a)を有する冷却用熱交換器(12)と、
前記空調ケース(11)内の前記冷却用熱交換器(12)より下流側に設けられ、前記冷却用熱交換器(12)で冷却された前記空気を加熱するための第2コア部(13a)を有する加熱用熱交換器(13)と、
前記空調ケース(11)内の前記加熱用熱交換器(13)より下流側に設けられ、前記加熱用熱交換器(13)で加熱された前記空気を流通する温風通路(18)と、
前記空調ケース(11)内の前記冷却用熱交換器(12)より下流側に設けられ、前記冷却用熱交換器(12)で冷却された前記空気を前記加熱用熱交換器(13)をバイパスして流通する冷風通路(15)と、
前記空調ケース(11)の前記温風通路(18)と前記冷風通路(15)との合流点直後に設けられ、前記空気を乗員頭部側に向けて吹き出すフェイス吹出口にフェイスダクト(50)を介して接続されるフェイス開口部(23)とを備える車両用空調装置において、
前記第1コア部(12a)形成領域内の点と前記フェイス開口部(23)の開口領域内の点とを結ぶいずれの線分上、および前記第2コア部(13a)形成領域内の点と前記フェイス開口部(23)の開口領域内の点とを結ぶいずれの線分上にも、遮音部材(16、17、24)が形成され、
前記空気は、前記遮音部材(16、17、24)を迂回して前記フェイス開口部(23)に向かうように前記空調ケース(11)内を流通することを特徴とする車両用空調装置。 - 前記遮音部材(16、17、24)は、前記空調ケース(11)を形成する壁部(16、17)および前記空調ケース(11)内の前記空気の流通状態を可変するドア部材(24)の少なくともいずれかからなることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
- 前記温風通路(18)および前記冷風通路(15)は、いずれも湾曲して形成され、前記冷風通路(15)の曲率は、前記温風通路(18)の曲率より小さいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用空調装置。
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