JP2005014644A - 空気入りタイヤ - Google Patents

Abstract

【課題】アイス性能の向上及び段差摩耗を抑制することを目的とする。
【解決手段】トレッド１表面に刻まれたタイヤ周方向Ｒに連なる主溝２と、主溝２同士を連通する横溝３とによって区画されたブロック４、主溝２によって区画されたリブ９を備えた空気入りタイヤにおいて、ブロック４及びリブ９の側壁に断面ジグザグ形状の切り欠き溝６が刻まれ、切り欠き溝６の山部７は平坦部７ａを備えた空気入りタイヤとする。また、平坦部７ａの幅Ｘ１は切り欠き溝６のピッチＸの２０％〜７０％とし、切り欠き溝６の深さＸ２はピッチＸの１５％〜５５％とする。
【選択図】図１

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トレッド面にブロック及び／又はリブを備えた空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、スタッドレスタイヤのアイス性能及び耐摩耗性の向上に関する。
【０００２】
【従来の技術】
タイヤトレッドにブロック及び／又はリブを備えた空気入りタイヤにおいては、ブロック及び／又はリブにサイプを刻んで、サイプのエッジ効果、除水効果、粘着効果を上げてきた。さらに、ブロック又はリブの側壁に断面ジグザグ形状の切り欠き溝を刻み、該切り欠き溝の山部によるエッジ効果が増大することにより、アイス性能の向上を図ってきた。ブロックの側壁に断面ジグザグ形状の切り欠き溝を刻まれた空気入りタイヤの例として、特許文献１に開示された空気入りタイヤが知られている。
【０００３】
【特許文献１】
特許公報第２７００９８４号（第１〜３頁、第１、３図）
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
かかる従来技術の空気入りタイヤにおいては、切り欠き溝の山部は鋭角となっていることが多く、特にエッジ効果を高めるために切り欠き溝の数を多くした場合、山部を鋭角とせざるを得ないので、必然的に当該山部の剛性は他の部分に比べて低くなる。その結果、制動時など前後力、旋回時の横力を負荷として受けた場合、当該山部が動きやすくなり接地圧が不均一となり、接地面積の低下を招きエッジ効果が低下し、制動性能や旋回性能が低下することがあった。また、新品時はもちろん摩耗進行時においても、当該山部の剛性が低い状態であるので、段差摩耗が発生しやすい問題点もあった。
【０００５】
本発明の目的は、アイス性能の向上及び段差摩耗を抑制することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、請求項１に記載の発明は、トレッドに刻まれたタイヤ周方向に連なる主溝と前記主溝同士を連通する横溝とによって区画されたブロック、及び／又は、前記主溝により区画されたリブを備えた空気入りタイヤにおいて、
前記ブロック及び／又は前記リブの側壁に断面ジグザグ形状の切り欠き溝が刻まれ、前記切り欠き溝の山部は平坦部を備えた空気入りタイヤとした。
【０００７】
切り欠き溝の山部が平坦部を備えているので、鋭角的な山部とは異なり山部の剛性は他の部分に比べて極端に剛性が低下することはない。そのため、制動時など前後力や旋回時の横力を受けても、動きが抑えられ接地圧が不均一とならない。その結果、接地面積の低下を招くことなくエッジ効果を発揮でき、制動性能や旋回性能が向上される。また、山部の剛性の低下が抑えられているので、他の部分との剛性差が小さくなり段差摩耗を防止することができる。
【０００８】
請求項２に記載の発明は、前記平坦部の幅Ｘ１は、前記切り欠き溝のピッチＸの２０％〜７０％である請求項１に記載の空気入りタイヤとした。
【０００９】
切り欠き溝のピッチＸに対して、平坦部の幅Ｘ１がピッチＸの２０％未満であると、剛性低下抑制の効果が小さい。逆に、ピッチＸの７０％を越えると、切り欠き溝６によるエッジ効果が小さくアイス性能があまり向上しない。
【００１０】
請求項３に記載の発明は、前記切り欠き溝の深さＸ２は、前記切り欠き溝のピッチＸの１５％〜５５％である請求項１に記載の空気入りタイヤとした。
【００１１】
前記切り欠き溝の深さＸ２がピッチＸの１５％未満であると、切り欠き溝によるエッジ効果が小さい。逆に、ピッチＸの５５％を越えると、山部全体が薄くなり剛性が低下してしまう。
【００１２】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて、本発明に係る空気入りタイヤの一実施形態を説明する。図１は本発明に係る空気入りタイヤの一実施形態におけるパターンを示す概略図である。図２は、同パターンにおいて、説明のため１つのブロックについての詳細を示す図である。
【００１３】
図１及び図２において、トレッド１の表面には、周方向Ｒに連なる主溝２と、主溝２同士を連通する横溝３が刻まれている。主溝２及び横溝３によってブロック４が形成されている。ブロック４にはサイプ５が刻まれている。ブロック４の側壁には、断面ジグザグ形状の切り欠き溝６が刻まれている。切り欠き溝６の山部７は鋭角的な突起を有さず、平坦部７ａを備えている。
【００１４】
ブロック４の側壁に断面ジグザグ形状の切り欠き溝６が刻まれ、切り欠き溝６の山部７は鋭角的な突起を有さず平坦部７ａを備えているので、山部７の剛性が低下することはない。そのため、制動時、駆動時の前後力や旋回時の横力が負荷として加わっても山部７の動きが抑えられる。その結果、山部７の接地圧が低下することがないので、接地面積の減少を招くことがない。切り欠き溝６のエッジ効果が高められ、駆動・制動性能や旋回性能が向上する。
【００１５】
また、山部７とそれ以外の部分との剛性差も小さくなっているので、段差摩耗の発生も抑えることができる。
【００１６】
平坦部７ａの幅Ｘ１は、切り欠き溝６のピッチＸ（隣接する山部の間隔）の２０％〜７０％とすることが好ましい。ピッチＸの２０％未満であると、平坦部７ａの幅Ｘ１が小さいので山部７の剛性向上の効果が小さい。逆に、Ｘ１の７０％を越えると、切り欠き溝６によるエッジ効果が小さくアイス性能があまり向上しない。
【００１７】
切り欠き溝６の深さＸ２（切り欠き溝６の山部７から谷部８までの距離）は、切り欠き溝６のピッチＸの１５％〜５５％とすることが好ましい。ピッチＸの１５％未満であると、切り欠き溝６によるエッジ効果が小さい。逆に、ピッチＸの５５％を越えると、山部７全体が薄くなり剛性が低下してしまう。
【００１８】
本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、図３に示すように、タイヤセンター領域にて主溝２によってリブ９が形成され、タイヤショルダー領域及びタイヤ中間領域にブロック４がそれぞれ形成されているパターンであってもよい。この実施形態のタイヤは、リブ９の中央部にタイヤ周方向に波状に延びる波型溝が設けられている。そして、ブロック４及びリブ９にサイプ５が刻まれている。ブロック４及びリブ９の側壁には、断面ジグザグ形状の切り欠き溝６が刻まれている。この実施形態のタイヤも、切り欠き溝６の山部７は鋭角的な突起を有さず、平坦部７ａを備えている。このタイヤは、ブロック４のみならず、リブ９の側壁に刻まれた切り欠き溝６によっても、先のブロック４で説明したのと同様の効果を得ることができる。
【００１９】
このようなことから、本発明のタイヤは、図３に示すように、サイプ５は、いずれの方向に延びるサイプであってもよい。また、ブロック４やリブ９の側壁に開口するオープンサイプのほか、一端又は両端がブロック４内やリブ９内で閉塞しているクローズドサイプであってもよく、なお、欠けやクラックの防止の観点から、サイプ５が側壁に開口するオープンサイプの場合、図２に示すように切り欠き溝６の谷部８に開口していることが好ましい。
【００２０】
以上、ブロック及びリブを備えた空気入りタイヤについての実施形態を説明したが、リブのみ、又はブロックのみを備えた空気入りタイヤにおいて、主溝や横溝の側壁に平坦部を備えた切り欠き溝を刻んでも、同様の効果を得ることができる。また、特定のブロックもしくはブロック列やリブの側壁にのみ平坦部を備えた切り欠き溝を刻んでもよく、ブロックやリブの一部の側壁にのみ平坦部を備えた切り欠き溝を刻んでもよい。
【００２１】
【実施例】
本発明に係る空気入りタイヤを試作して性能評価を行った。実施例１、２及び比較例１、２のタイヤは、図２に示した形状のブロックを有する図１のパターンを有したタイヤであり、平坦部の幅Ｘ１は実施例では０．３Ｘ、０．６Ｘ、比較例では０．１Ｘ、０．８Ｘである。従来例は、図４に示すように切り欠き溝６の山部７は鋭角部を備えたタイヤである。実施例、従来例、比較例のいずれにおいても、切り欠き溝６の深さＸ２は０．３Ｘで、タイヤサイズは１９５／６５Ｒ１５であり、排気量２０００ｃｃの前輪駆動乗用車に装着して、性能評価を行った。
【００２２】
性能評価の結果を表１に示す。表１において、アイス制動性能はアイス路面上４０ｋｍ／ｈからのフルロック制動距離の逆数を、アイス旋回性能はアイス路面（８の字路）走行のラップタイムの逆数を、耐摩耗性能は８０００ｋｍ走行後の段差摩耗量の逆数をそれぞれ示し、比較例を１００とした指数で表示している。したがって、指数が大きいほど性能が良いことを表す。表１によれば、アイス性能（制動及び旋回）及び耐摩耗性能のいずれも性能が向上している。
【００２３】
【表１】

【００２４】
【発明の効果】
以上の通り、本発明の空気入りタイヤでは、ブロック及び／又はリブの側壁に断面ジグザグ形状の切り欠き溝を刻み、切り欠き溝の山部に平坦部を設けた構造としたので、山部の剛性が高くなる。その結果、山部の動きが抑えられ接地圧が均一化されるので、接地面積が増大しアイス性能が向上する。また、剛性差が小さくなるので段差摩耗の発生が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る空気入りタイヤの一実施形態を示すトレッドパターンの概略図である。
【図２】同タイヤのブロックを示す拡大図である。
【図３】本発明に係る空気入りタイヤの他実施形態を示すトレッドパターンの概略図である。
【図４】従来例に係る空気入りタイヤのパターンを示す概略図である。
【符号の説明】
１ トレッド
２ 主溝
３ 横溝
４ ブロック
５ サイプ
６ 切り欠き溝
７ 山部
７ａ 平坦部
９ リブ

Claims (3)

1. トレッド表面に刻まれたタイヤ周方向に連なる主溝と前記主溝同士を連通する横溝とによって区画されたブロック、及び／又は、前記主溝により区画されたリブを備えた空気入りタイヤにおいて、
   前記ブロック及び／又は前記リブの側壁に断面ジグザグ形状の切り欠き溝が刻まれ、前記切り欠き溝の山部は平坦部を備えた空気入りタイヤ。
2. 前記平坦部の幅Ｘ１は、前記切り欠き溝のピッチＸの２０％〜７０％である請求項１に記載の空気入りタイヤ。
3. 前記切り欠き溝の深さＸ２は、前記切り欠き溝のピッチＸの１５％〜５５％である請求項１に記載の空気入りタイヤ。

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