JP2005013171A - コンバインの前処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】刈取り穀稈の搬送負荷を検出する搬送負荷検出手段を設けたコンバインの前処理装置において、前処理装置の各部で発生する藁詰まりを早期に発見して藁詰まりの除去作業の容易化を図る。
【解決手段】前処理装置16及び脱穀フィードチェン17を連動して駆動させる作業機用HST19と、該作業機用HST19の負荷圧力を検出する搬送負荷検出手段である油圧センサ65と、刈取り穀稈の稈量を検出する稈量検出手段61aを備え、前記油圧センサ65が所定値以上の搬送負荷である作業機用HST19の過負荷値を検出すると、前処理装置16の駆動を停止させるコンバインであって、前記稈量検出手段61aにより検出する刈取り穀稈の稈量に基づいて、作業機用HST19の過負荷値を設定するように構成した。
【選択図】 図8
【解決手段】前処理装置16及び脱穀フィードチェン17を連動して駆動させる作業機用HST19と、該作業機用HST19の負荷圧力を検出する搬送負荷検出手段である油圧センサ65と、刈取り穀稈の稈量を検出する稈量検出手段61aを備え、前記油圧センサ65が所定値以上の搬送負荷である作業機用HST19の過負荷値を検出すると、前処理装置16の駆動を停止させるコンバインであって、前記稈量検出手段61aにより検出する刈取り穀稈の稈量に基づいて、作業機用HST19の過負荷値を設定するように構成した。
【選択図】 図8
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、刈取り穀稈の搬送負荷検出手段が設けられたコンバインの前処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、穀稈搬送を含む前処理部の伝動系に、閉回路で接続された1対の可変容量型油圧ポンプと油圧モータとを具備する油圧無段変速装置(HST)を設けたコンバインが知られており、前記HSTをコンバインの走行速度に対応させて変速することにより、当該コンバインの走行速度と前処理部の駆動速度とを連動させて変速制御するように構成してある。
【0003】
そして、上述したコンバインの走行速度と前処理部の駆動速度とを連動させる変速制御はマイコンユニットによってなされる一方、前処理部の藁詰まり等によってHSTの所定値以上の油圧負荷を油圧センサが検出した際は、当該コンバインのエンジンを緊急停止させるエンジン停止手段(機能)を作動させるか、または故障等によりエンジン停止手段が作動しない場合にはHSTの油圧モータを停止する正転規制機能を作動させるように構成してある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−310297号公報(第4−6頁、図4−図6)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した油圧センサで検出しようとするHSTの所定値以上の油圧負荷は、そもそもHSTに過負荷が作用して故障が発生することを防止するために設定した高負荷な圧力(値)であって、該圧力(値)は作柄や前処理部の伝動系が有する固有負荷を考慮して設定したものではなく、しかもこの圧力(値)を油圧センサで検出することにより前処理部の各部で発生する藁詰まり等を早期に発見しようとするものではないので、当該油圧センサがHSTの所定値以上の油圧負荷を検出した時点では、前処理部で発生した藁詰まりは著しく進行してしまっており、この藁詰まりを除去するために多くの作業時間を要していた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決することを目的として創案したものであって、前処理装置に刈取り穀稈の稈量を検出する稈量検出手段と、刈取り穀稈の搬送負荷を検出する搬送負荷検出手段とを設け、該搬送負荷検出手段が所定値以上の搬送負荷である前処理装置の過負荷値を検出すると、前処理装置の駆動を停止させるコンバインであって、前記稈量検出手段により検出する刈取り穀稈の稈量に基づいて、前処理装置の駆動を停止させる当該前処理装置の過負荷値を設定するように構成したことを第1の特徴としている。
【0007】
また、前処理装置に刈取り穀稈の搬送負荷を検出する搬送負荷検出手段を設け、該搬送負荷検出手段が所定値以上の搬送負荷である前処理装置の過負荷値を検出すると、前処理装置の駆動を停止させるコンバインであって、前記前処理装置の空運転時に搬送負荷検出手段により検出した前処理装置の固有負荷に基づき、当該前処理装置の駆動を停止させる過負荷値を設定するように構成したことを第2の特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を以下添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0009】
図1は、コンバインの伝動系統を示したものであり、エンジン1の出力軸1aには出力取り出し用の2つのプーリ2,3を取り付けてあり、エンジン1の駆動力がプーリ2を介して走行伝動系の油圧伝動装置である走行用HST4に出力されると共に、プーリ3を介して作業機伝動系の扱胴6の入力軸7にそれぞれ分岐して出力される構成になっている。
【0010】
そして、前記走行用HST4と副変速機構8を備えた走行伝動用のトランスミッション9により左右のクローラ走行装置10,10が変速駆動され、それによって機体を変速走行させることができるようになっている。
尚、前記プーリ2と走行用HST4の入力プーリ4aとの間にはメインクラッチ5が設けてあり、該メインクラッチ5を切り操作することにより走行伝動系への駆動力の伝動を断って、機体の走行を停止させることができるようになっている。
【0011】
また、エンジン1側のプーリ3と扱胴6の入力軸7に取り付けられたプーリ11の間には、駆動力伝動用のベルト12が巻き掛けられると共に、該ベルト12には作業機クラッチ13(テンションクラッチ)が配設してあり、この作業機クラッチ13を介してエンジン1の駆動力が作業機伝動系へ断接自在に伝動される。
【0012】
一方、前処理部(前処理装置)16、及び脱穀フィードチェン17を変速駆動させる作業機伝動用の変速機18も油圧伝動装置である作業機用HST19を備えており、該作業機用HST19には、その入力軸20に固定したプーリ21と、前記扱胴6の入力軸7に取り付けたプーリ22との間に掛け渡したベルト23によって駆動力が伝動されると共に、前記変速機18から前処理部16への伝動系と、脱穀フィードチェン17への伝動系に駆動力が分岐して出力されるように構成してある。
【0013】
更に詳しくは、前記変速機18には、前処理部16への駆動力出力用の前処理出力軸24と、脱穀フィードチェン17への駆動力出力用のフィードチェン出力軸25との2つの出力軸が設けてあり、脱穀フィードチェン17はフィードチェン出力軸25の端部に設けたスプロケット26によって駆動される。
また、扱胴6には、該扱胴6の入力軸7からベベルギヤ27を介して直接(変速機18を介さず)駆動力が入力される。
【0014】
即ち、上述した作業機伝動系は脱穀部31への伝動系(扱胴6及び脱穀フィードチェン17への駆動力の伝動)を含み、この脱穀部31と作業機伝動用の変速機18への駆動力の断接は、作業機伝動系における前記変速機18の伝動上手側に設けた作業機クラッチ13によってなされる。
【0015】
また、前処理部16は、デバイダ(不図示)で分草した穀稈を引起す引起装置35、穀稈を刈取る刈刃36、刈取った穀稈を脱穀部31に向けて搬送すると共に、穀稈の扱ぎ深さを適正に調整する扱深搬送装置37等の穀稈搬送装置を備えている。
そして、前処理部16への駆動力の伝動は、前処理部16側の駆動力入力軸41に取り付けたプーリ42と、上述の前処理出力軸24に取り付けたプーリ43との間に巻き掛けた伝動ベルト44を介して行われる。
【0016】
尚、前処理部16は、その駆動力入力軸41に入力される駆動力により、上述した各機構が、当該駆動力の回転数(速度)に応じた駆動速度によって駆動される構成になっている。
また、前記伝動ベルト44には前処理部16(入力軸41)への駆動力の伝動を断接する刈取りラッチ45(テンションクラッチ)が設けてある。
【0017】
また、上述した作業機伝動用の変速機18は、図2に示すように、作業機用HST19と一体的に構成してあり、該作業機用HST19の出力軸19aに軸支したギヤG1が前処理出力軸24に軸支したギヤG2と噛合すると共に、前処理出力軸24に軸支したギヤG3と出力軸19aに回転自在に軸支したギヤG4とが噛合し、更にギヤG4に固設して一体回転するスプロケットP1と、フィードチェン出力軸25に一体回転可能に軸支したスプロケットP2とがチェンCを介して伝動連結されている。
即ち、上述した構成によって、前処理出力軸24及びフィードチェン出力軸25に伝動される駆動力は共に作業機用HST19により変速されるので、前処理部16及び脱穀フィードチェン17の駆動速度は同調して変速される。
【0018】
一方、走行伝動用のトランスミッション9側には、走行用HST4からの出力を変速する主変速レバー53と副変速機構8を操作する副変速レバー(不図示)が設けてあり、前記主変速レバー53及び副変速レバーを操作することにより、左右のクローラ走行装置10,10を変速駆動して機体を変速走行させるようになっている。
【0019】
また、副変速機構8には、副変速された駆動力を出力する副変速出力軸54が設けられると共に、該副変速出力軸54の軸端に走行回転センサ55が取り付けられており、副変速出力軸54の回転数(走行速度)を検出できるようになっている。
一方、作業機伝動用の変速機18の前処理出力軸24には、該前処理出力軸24の回転数(前処理部16の駆動速度)を検出する前処理回転センサ57を設けると共に、前記作業機用HST19のトラニオン軸(不図示)側には、このトラニオン軸を回動させて作業機用HST19を変速操作するモータ59を当該作業機用HST19に一体的に取り付けている。
そして、前記作業機用HST19をコンバインの走行速度に対応させて変速することにより、当該コンバインの走行速度と前処理部16の駆動速度とを連動させて変速制御するように構成してある。
【0020】
また、前記扱深搬送装置37には、図1に示すように搬送途中の穀稈の有無を検出する穀稈検出手段として、ON・OFFスイッチからなる扱ぎ深さメインセンサ61を配設してある。
【0021】
また、前記作業機用HST19は、図3は示すように、エンジン1側からの駆動力によって駆動する可変容量型の油圧ポンプ19Pと、該油圧ポンプ19Pに閉回路で接続された油圧モータ19Mと、当該閉回路内にオイルを補給するチャージポンプ19Cとを備えると共に、該チャージポンプ19Cは油圧ポンプ19Pと一体的に駆動されるように構成してある。
そして、詳細は後述するように、前処理部16における搬送負荷検出手段として、前記油圧ポンプ19Pの負荷圧力を検出する油圧センサ(圧力検出センサ)65を設けている。
【0022】
また、図4は運転席71の周辺を示す平面図であって、運転座席72の前方に横設した把持ステー73の下部の運転ステップ74には、上述したメインクラッチ5を断接するクラッチペダル75が、また、運転パネル76側には機体の左右操向と、前処理部16の高さを上下動調節するためのマルチステアリングレバー77や、機体各部の操作装置の作動状態が正常であるか否かオペレータに知らせるモニターランプ(または警報)78・・等が設けられると共に、その左側方には、前記作業機用HST19の油圧ポンプ19Pの圧力を表示する圧力モニター79、及び主変速レバー53等を設けている。
【0023】
そして、図5は本発明におけるコンバインのマイコンユニット85を示したものであって、該マイコンユニット85の入力側には、車速を検出する走行回転センサ55、前処理部16の駆動速度を検出する前処理回転センサ57、扱深搬送装置37において搬送途中の穀稈の有無を検出する扱ぎ深さメインセンサ61に付設したポテンショメータ61a、上述した油圧センサ(圧力検出センサ)65、前処理部16の分草体(不図示)近傍に設けた自動方向制御用の方向自動センサ82、及び作業機クラッチ13の断接を検出する作業機クラッチスイッチ83を接続する一方、出力側には、作業機用HST19を変速操作するモータ59、モニターランプ(または警報)78、圧力モニター79、及びエンジン停止用のソレノイドバルブ84を接続してある。
【0024】
上述したマイコンユニット85による制御は、前処理部16の搬送負荷を検出する搬送負荷検出手段である油圧センサ65が、所定値以上の搬送負荷である前処理装置16の過負荷値を検出するとエンジン1を緊急停止させるものであって、その際、前記油圧センサ65が検出する前処理装置16の過負荷値の設定は、刈取り穀稈の稈量検出によって変更されるように構成してあり、以下当該エンジン停止制御を添付図面に基づいて詳しく説明する。
【0025】
図6は、予め前処理部16の空運転時の固有負荷を検出するために設けられている制御フローを示したものであって、先ずステップS1では、前記作業機クラッチスイッチ83により作業機クラッチ13の断接状態を検出して、該作業機クラッチ13が「ON」状態、即ち刈取り作業中を開始した状態になっていればステップS2に移る。
【0026】
ステップS2では、前処理部16の分草体(不図示)近傍に設けた自動方向制御用の方向自動センサ82が、刈取り穀稈を検出しない「OFF」状態になっていればステップS3に移る。
【0027】
ステップS3では、前記扱ぎ深さメインセンサ61が刈取られた穀稈を検出しない「OFF」状態、即ち前処理部16自体が空運転の状態になっていれば引き続いてステップS4に移る。
【0028】
ステップS4では、前処理部16の伝動系が有する固有負荷を検出するために、図7に示すように走行回転センサ55または前処理回転センサ57による空運転時(低速走行状態)の車速の検出と、その車速に対応する相関データとして、作業機用HST19(油圧ポンプ19P)の負荷圧力を油圧センサ65によりサンプリングしてステップS5に移る。
【0029】
そして、ステップS5では、前記ステップS4で検出した作業機用HST19の負荷圧力が、前処理部16の各所に配設されたボールベアリング等の損傷によるものと推定される異常高圧であるかにあるか否かを判断し、異常高圧であればステップS6に移って、前記エンジン停止用のソレノイドバルブ84を作動させて燃料カットによるエンジン1の緊急停止がなされる。
一方、前記ステップS4で検出した作業機用HST19の負荷圧力が異常高圧でなければ、このステップS4でサンプリングした作業機用HST19の負荷圧力が前処理部16の伝動系の有する固有負荷に相当するのでステップS7に移る。
尚、上述した固有負荷は、前処理部16の老巧化度合い、即ち前処理部16伝動系の各所に配設されたボールベアリングの損傷、刈り刃への藁/泥等の噛み込み、及び前処理部16の各摺動装置の潤滑状態等によって変化する。
【0030】
ステップS7では、図7に示すように、上述した前処理部16の伝動系が有する固有負荷のサンプリングデータを基に、車速が高速側の実刈り作業域における車速と作業機用HST19の負荷圧力のデータ範囲(二点鎖線で示すYmin〜Ymax)を推定すると共に、更にその上限推定式Ymaxに若干の余裕圧(+α)を加えた相関関係式Ya(点線)を作成する。
【0031】
そして、前記相関関係式Yaは、後述する刈取り作業におけるエンジン停止制御において、作業機用HST19の過負荷値を設定する際の基準的な相関関係式となっている。以下、このエンジン停止制御を図8に示すフローチャートに基づいて詳しく説明する。
【0032】
先ず、ステップS1では、前記作業機クラッチスイッチ83により作業機クラッチ13の断接状態を検出して、該作業機クラッチ13が「ON」状態、即ち刈取り作業中を開始した状態になっていればステップS2に移る。
【0033】
ステップS2では、前記扱深搬送装置37の扱ぎ深さメインセンサ61に付設した稈量検出手段であるポテンショメータ61aにより、当該扱深搬送装置37において搬送途中にある刈取り穀稈の稈量(稈ボリューム)を検出すると共に、走行回転センサ55または前処理回転センサ57による車速の検出と、それに対応する相関データとして作業機用HST19(油圧ポンプ19P)の負荷圧力を油圧センサ65によってサンプリングし、しかる後にステップS3に移る。
尚、上述した刈取り穀稈の稈量を、脱穀フィードチェン17と、この脱穀フィードチェン17に対置して設けられている挟扼レール(不図示)との開度によって検出するように構成してもよい。
【0034】
そして、ステップS3では、前ステップS2で検出した刈取り穀稈の稈量(稈ボリューム)に対応する作業機用HST19の過負荷値を自動設定し、しかる後にステップS4に移る。
その際、前記作業機用HST19の過負荷値は、図7に例示するように、上述の前処理部16の伝動系が有する固有負荷を基に作成した相関関係式Yaを包含した相関関係式として設定されるようになっており、刈取り穀稈の稈量が小の場合は相関関係式Yb、刈取り穀稈の稈量が大の場合は相関関係式Ycの如く作業機用HST19の過負荷値が設定される。この時、Yc>Yb>Yaを保った状態で、作業機用HST19の過負荷値は設定される。
尚、前記相関関係式Yb及びYcは、刈取り穀稈の種類や作柄等によって変動するものであるが、同一の刈取り圃場においては作柄のバラツキが少ないことから、その圃場特有の相関関係式が得られると推定される。
【0035】
ステップS4では、引き続いて行う刈取り作業における車速と、この車速に対応する作業機用HST19の負荷圧力を油圧センサ65で検出しながらステップS5に移る。
【0036】
そして、ステップS5では、前記ステップS4で検出した作業機用HST19の負荷圧力が、ステップS3において設定した当該作業機用HST19の過負荷値以上の値(「YES」)であればステップS6に移る。
【0037】
ステップS6では、前記エンジン停止用のソレノイドバルブ84を作動させて燃料カットによるエンジン1の緊急停止がなされる。
【0038】
上述した前処理部16の搬送負荷を検出する搬送負荷検出手段である油圧センサ65が、所定値以上の搬送負荷である前処理装置16の過負荷値を検出すると、エンジン1を緊急停止させるコンバインのエンジン停止制御は、具体的には前記油圧センサ65で作業機用HST19の負荷圧力を検出し、この負荷圧力が作業機用HST19の所定値(過負荷値)以上になるとエンジン1を緊急停止させるものであって、この作業機用HST19の過負荷値は刈取り穀稈の稈量(稈ボリューム)によって自動的に設定変更されるように構成してあり、その際の刈取り穀稈の稈量(稈ボリューム)は、扱深搬送装置37の扱ぎ深さメインセンサ61に付設したポテンショメータ61aによって検出されるように構成してある。
【0039】
即ち、前記油圧センサ65で検出しようとする作業機用HST19の過負荷値自体が、従来のように前処理装置16を駆動させる駆動装置に過負荷が作用して故障が発生することを防止するために設定されていた高負荷な圧力(値)ではなく、刈取り穀稈の稈量(稈ボリューム)に対応した適切な低い値が自動設定されるので、当該油圧センサ65が作業機用HST19の設定値以上の油圧負荷(過負荷値)を検出した時点における前処理部16に発生する藁詰まりの進行を抑制でき、その藁詰まりの除去に要する作業時間を軽減すると共に、作業機用HST19が受けるダメージを少なくすることができる。
【0040】
そして、前記油圧センサ65で検出しようとする作業機用HST19の過負荷値に、予め検出した前処理部16の空運転時の固有負荷を内包させたことによって、当該前処理部16の老巧化による伝動系のボールベアリングの損傷、刈り刃への藁/泥等の噛み込み、及び前処理部16の各摺動装置の潤滑状態等を考慮したきめ細かな作業機用HST19の過負荷値の設定ができるようになる。
【0041】
尚、上述した実施例では、前処理部16の搬送負荷を検出する油圧センサ65が、所定値以上の搬送負荷である前処理装置16の過負荷値を検出した際に、エンジン1を緊急停止するように構成したエンジン停止制御について説明したが、図1に示したコンバインの伝動系統図から明らかなように、通常はエンジン1の緊急停止に連動して前処理部16の駆動も停止されるようになっており、一方前記油圧センサ65が前処理装置16の過負荷値を検出した際に前処理部16の駆動のみを単独で停止させるように構成したい場合は、当該油圧センサ65の前処理装置16の過負荷値検出に連動させて刈取りクラッチ45を切断するか、或いは作業機用HST19を構成する油圧ポンプ19Pの可動斜板の斜板角を中立位置に戻す制御手段を備えた構成にすればよい。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、前処理装置16に刈取り穀稈の稈量を検出する稈量検出手段61と、刈取り穀稈の搬送負荷を検出する搬送負荷検出手段65とを設け、該搬送負荷検出手段65が所定値以上の搬送負荷である前処理装置16の過負荷値を検出すると、前処理装置16の駆動を停止させるコンバインであって、前記稈量検出手段61により検出する刈取り穀稈の稈量に基づいて、前処理装置16の駆動を停止させる当該前処理装置16の過負荷値を設定するように構成したことによって、前記油圧センサ65で検出しようとする作業機用HST19の過負荷値自体が、従来のように前処理装置16を駆動させる駆動装置に過負荷が作用して故障が発生することを防止するために設定されていた高負荷な圧力(値)ではなく、刈取り穀稈の稈量(稈ボリューム)に対応した適切な低い値が自動設定されるので、当該油圧センサ65が作業機用HST19の設定値以上の油圧負荷(過負荷値)を検出した時点における前処理部16に発生する藁詰まりの進行を抑制でき、その藁詰まりの除去に要する作業時間を軽減すると共に、作業機用HST19が受けるダメージを少なくすることができる。
【0043】
また、前処理装置16に刈取り穀稈の搬送負荷を検出する搬送負荷検出手段65を設け、該搬送負荷検出手段65が所定値以上の搬送負荷である前処理装置16の過負荷値を検出すると、前処理装置16の駆動を停止させるコンバインであって、前記前処理装置16の空運転時に搬送負荷検出手段65により検出した前処理装置16の固有負荷に基づき、当該前処理装置16の駆動を停止させる過負荷値を設定するように構成したことによって、当該前処理部16の老巧化による伝動系のボールベアリングの損傷、刈り刃への藁/泥等の噛み込み、及び前処理部16の各摺動装置の潤滑状態等を考慮したきめ細かな作業機用HST19の過負荷値の設定ができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンバインの伝動系統図。
【図2】作業機伝動用の変速機の断面図。
【図3】作業機用HSTの油圧回路図。
【図4】運転席周辺の平面図。
【図5】マイコンユニットを示すブロック図。
【図6】前処理装置の空運転時の固有負荷を検出する制御を示すフローチャート。
【図7】車速と作業機用HSTの負荷圧力の相関図。
【図8】エンジン停止制御を示すフローチャート。
【符号の説明】
16 前処理装置
61a 稈量検出手段
65 搬送負荷検出手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、刈取り穀稈の搬送負荷検出手段が設けられたコンバインの前処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、穀稈搬送を含む前処理部の伝動系に、閉回路で接続された1対の可変容量型油圧ポンプと油圧モータとを具備する油圧無段変速装置(HST)を設けたコンバインが知られており、前記HSTをコンバインの走行速度に対応させて変速することにより、当該コンバインの走行速度と前処理部の駆動速度とを連動させて変速制御するように構成してある。
【0003】
そして、上述したコンバインの走行速度と前処理部の駆動速度とを連動させる変速制御はマイコンユニットによってなされる一方、前処理部の藁詰まり等によってHSTの所定値以上の油圧負荷を油圧センサが検出した際は、当該コンバインのエンジンを緊急停止させるエンジン停止手段(機能)を作動させるか、または故障等によりエンジン停止手段が作動しない場合にはHSTの油圧モータを停止する正転規制機能を作動させるように構成してある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−310297号公報(第4−6頁、図4−図6)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した油圧センサで検出しようとするHSTの所定値以上の油圧負荷は、そもそもHSTに過負荷が作用して故障が発生することを防止するために設定した高負荷な圧力(値)であって、該圧力(値)は作柄や前処理部の伝動系が有する固有負荷を考慮して設定したものではなく、しかもこの圧力(値)を油圧センサで検出することにより前処理部の各部で発生する藁詰まり等を早期に発見しようとするものではないので、当該油圧センサがHSTの所定値以上の油圧負荷を検出した時点では、前処理部で発生した藁詰まりは著しく進行してしまっており、この藁詰まりを除去するために多くの作業時間を要していた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決することを目的として創案したものであって、前処理装置に刈取り穀稈の稈量を検出する稈量検出手段と、刈取り穀稈の搬送負荷を検出する搬送負荷検出手段とを設け、該搬送負荷検出手段が所定値以上の搬送負荷である前処理装置の過負荷値を検出すると、前処理装置の駆動を停止させるコンバインであって、前記稈量検出手段により検出する刈取り穀稈の稈量に基づいて、前処理装置の駆動を停止させる当該前処理装置の過負荷値を設定するように構成したことを第1の特徴としている。
【0007】
また、前処理装置に刈取り穀稈の搬送負荷を検出する搬送負荷検出手段を設け、該搬送負荷検出手段が所定値以上の搬送負荷である前処理装置の過負荷値を検出すると、前処理装置の駆動を停止させるコンバインであって、前記前処理装置の空運転時に搬送負荷検出手段により検出した前処理装置の固有負荷に基づき、当該前処理装置の駆動を停止させる過負荷値を設定するように構成したことを第2の特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を以下添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0009】
図1は、コンバインの伝動系統を示したものであり、エンジン1の出力軸1aには出力取り出し用の2つのプーリ2,3を取り付けてあり、エンジン1の駆動力がプーリ2を介して走行伝動系の油圧伝動装置である走行用HST4に出力されると共に、プーリ3を介して作業機伝動系の扱胴6の入力軸7にそれぞれ分岐して出力される構成になっている。
【0010】
そして、前記走行用HST4と副変速機構8を備えた走行伝動用のトランスミッション9により左右のクローラ走行装置10,10が変速駆動され、それによって機体を変速走行させることができるようになっている。
尚、前記プーリ2と走行用HST4の入力プーリ4aとの間にはメインクラッチ5が設けてあり、該メインクラッチ5を切り操作することにより走行伝動系への駆動力の伝動を断って、機体の走行を停止させることができるようになっている。
【0011】
また、エンジン1側のプーリ3と扱胴6の入力軸7に取り付けられたプーリ11の間には、駆動力伝動用のベルト12が巻き掛けられると共に、該ベルト12には作業機クラッチ13(テンションクラッチ)が配設してあり、この作業機クラッチ13を介してエンジン1の駆動力が作業機伝動系へ断接自在に伝動される。
【0012】
一方、前処理部(前処理装置)16、及び脱穀フィードチェン17を変速駆動させる作業機伝動用の変速機18も油圧伝動装置である作業機用HST19を備えており、該作業機用HST19には、その入力軸20に固定したプーリ21と、前記扱胴6の入力軸7に取り付けたプーリ22との間に掛け渡したベルト23によって駆動力が伝動されると共に、前記変速機18から前処理部16への伝動系と、脱穀フィードチェン17への伝動系に駆動力が分岐して出力されるように構成してある。
【0013】
更に詳しくは、前記変速機18には、前処理部16への駆動力出力用の前処理出力軸24と、脱穀フィードチェン17への駆動力出力用のフィードチェン出力軸25との2つの出力軸が設けてあり、脱穀フィードチェン17はフィードチェン出力軸25の端部に設けたスプロケット26によって駆動される。
また、扱胴6には、該扱胴6の入力軸7からベベルギヤ27を介して直接(変速機18を介さず)駆動力が入力される。
【0014】
即ち、上述した作業機伝動系は脱穀部31への伝動系(扱胴6及び脱穀フィードチェン17への駆動力の伝動)を含み、この脱穀部31と作業機伝動用の変速機18への駆動力の断接は、作業機伝動系における前記変速機18の伝動上手側に設けた作業機クラッチ13によってなされる。
【0015】
また、前処理部16は、デバイダ(不図示)で分草した穀稈を引起す引起装置35、穀稈を刈取る刈刃36、刈取った穀稈を脱穀部31に向けて搬送すると共に、穀稈の扱ぎ深さを適正に調整する扱深搬送装置37等の穀稈搬送装置を備えている。
そして、前処理部16への駆動力の伝動は、前処理部16側の駆動力入力軸41に取り付けたプーリ42と、上述の前処理出力軸24に取り付けたプーリ43との間に巻き掛けた伝動ベルト44を介して行われる。
【0016】
尚、前処理部16は、その駆動力入力軸41に入力される駆動力により、上述した各機構が、当該駆動力の回転数(速度)に応じた駆動速度によって駆動される構成になっている。
また、前記伝動ベルト44には前処理部16(入力軸41)への駆動力の伝動を断接する刈取りラッチ45(テンションクラッチ)が設けてある。
【0017】
また、上述した作業機伝動用の変速機18は、図2に示すように、作業機用HST19と一体的に構成してあり、該作業機用HST19の出力軸19aに軸支したギヤG1が前処理出力軸24に軸支したギヤG2と噛合すると共に、前処理出力軸24に軸支したギヤG3と出力軸19aに回転自在に軸支したギヤG4とが噛合し、更にギヤG4に固設して一体回転するスプロケットP1と、フィードチェン出力軸25に一体回転可能に軸支したスプロケットP2とがチェンCを介して伝動連結されている。
即ち、上述した構成によって、前処理出力軸24及びフィードチェン出力軸25に伝動される駆動力は共に作業機用HST19により変速されるので、前処理部16及び脱穀フィードチェン17の駆動速度は同調して変速される。
【0018】
一方、走行伝動用のトランスミッション9側には、走行用HST4からの出力を変速する主変速レバー53と副変速機構8を操作する副変速レバー(不図示)が設けてあり、前記主変速レバー53及び副変速レバーを操作することにより、左右のクローラ走行装置10,10を変速駆動して機体を変速走行させるようになっている。
【0019】
また、副変速機構8には、副変速された駆動力を出力する副変速出力軸54が設けられると共に、該副変速出力軸54の軸端に走行回転センサ55が取り付けられており、副変速出力軸54の回転数(走行速度)を検出できるようになっている。
一方、作業機伝動用の変速機18の前処理出力軸24には、該前処理出力軸24の回転数(前処理部16の駆動速度)を検出する前処理回転センサ57を設けると共に、前記作業機用HST19のトラニオン軸(不図示)側には、このトラニオン軸を回動させて作業機用HST19を変速操作するモータ59を当該作業機用HST19に一体的に取り付けている。
そして、前記作業機用HST19をコンバインの走行速度に対応させて変速することにより、当該コンバインの走行速度と前処理部16の駆動速度とを連動させて変速制御するように構成してある。
【0020】
また、前記扱深搬送装置37には、図1に示すように搬送途中の穀稈の有無を検出する穀稈検出手段として、ON・OFFスイッチからなる扱ぎ深さメインセンサ61を配設してある。
【0021】
また、前記作業機用HST19は、図3は示すように、エンジン1側からの駆動力によって駆動する可変容量型の油圧ポンプ19Pと、該油圧ポンプ19Pに閉回路で接続された油圧モータ19Mと、当該閉回路内にオイルを補給するチャージポンプ19Cとを備えると共に、該チャージポンプ19Cは油圧ポンプ19Pと一体的に駆動されるように構成してある。
そして、詳細は後述するように、前処理部16における搬送負荷検出手段として、前記油圧ポンプ19Pの負荷圧力を検出する油圧センサ(圧力検出センサ)65を設けている。
【0022】
また、図4は運転席71の周辺を示す平面図であって、運転座席72の前方に横設した把持ステー73の下部の運転ステップ74には、上述したメインクラッチ5を断接するクラッチペダル75が、また、運転パネル76側には機体の左右操向と、前処理部16の高さを上下動調節するためのマルチステアリングレバー77や、機体各部の操作装置の作動状態が正常であるか否かオペレータに知らせるモニターランプ(または警報)78・・等が設けられると共に、その左側方には、前記作業機用HST19の油圧ポンプ19Pの圧力を表示する圧力モニター79、及び主変速レバー53等を設けている。
【0023】
そして、図5は本発明におけるコンバインのマイコンユニット85を示したものであって、該マイコンユニット85の入力側には、車速を検出する走行回転センサ55、前処理部16の駆動速度を検出する前処理回転センサ57、扱深搬送装置37において搬送途中の穀稈の有無を検出する扱ぎ深さメインセンサ61に付設したポテンショメータ61a、上述した油圧センサ(圧力検出センサ)65、前処理部16の分草体(不図示)近傍に設けた自動方向制御用の方向自動センサ82、及び作業機クラッチ13の断接を検出する作業機クラッチスイッチ83を接続する一方、出力側には、作業機用HST19を変速操作するモータ59、モニターランプ(または警報)78、圧力モニター79、及びエンジン停止用のソレノイドバルブ84を接続してある。
【0024】
上述したマイコンユニット85による制御は、前処理部16の搬送負荷を検出する搬送負荷検出手段である油圧センサ65が、所定値以上の搬送負荷である前処理装置16の過負荷値を検出するとエンジン1を緊急停止させるものであって、その際、前記油圧センサ65が検出する前処理装置16の過負荷値の設定は、刈取り穀稈の稈量検出によって変更されるように構成してあり、以下当該エンジン停止制御を添付図面に基づいて詳しく説明する。
【0025】
図6は、予め前処理部16の空運転時の固有負荷を検出するために設けられている制御フローを示したものであって、先ずステップS1では、前記作業機クラッチスイッチ83により作業機クラッチ13の断接状態を検出して、該作業機クラッチ13が「ON」状態、即ち刈取り作業中を開始した状態になっていればステップS2に移る。
【0026】
ステップS2では、前処理部16の分草体(不図示)近傍に設けた自動方向制御用の方向自動センサ82が、刈取り穀稈を検出しない「OFF」状態になっていればステップS3に移る。
【0027】
ステップS3では、前記扱ぎ深さメインセンサ61が刈取られた穀稈を検出しない「OFF」状態、即ち前処理部16自体が空運転の状態になっていれば引き続いてステップS4に移る。
【0028】
ステップS4では、前処理部16の伝動系が有する固有負荷を検出するために、図7に示すように走行回転センサ55または前処理回転センサ57による空運転時(低速走行状態)の車速の検出と、その車速に対応する相関データとして、作業機用HST19(油圧ポンプ19P)の負荷圧力を油圧センサ65によりサンプリングしてステップS5に移る。
【0029】
そして、ステップS5では、前記ステップS4で検出した作業機用HST19の負荷圧力が、前処理部16の各所に配設されたボールベアリング等の損傷によるものと推定される異常高圧であるかにあるか否かを判断し、異常高圧であればステップS6に移って、前記エンジン停止用のソレノイドバルブ84を作動させて燃料カットによるエンジン1の緊急停止がなされる。
一方、前記ステップS4で検出した作業機用HST19の負荷圧力が異常高圧でなければ、このステップS4でサンプリングした作業機用HST19の負荷圧力が前処理部16の伝動系の有する固有負荷に相当するのでステップS7に移る。
尚、上述した固有負荷は、前処理部16の老巧化度合い、即ち前処理部16伝動系の各所に配設されたボールベアリングの損傷、刈り刃への藁/泥等の噛み込み、及び前処理部16の各摺動装置の潤滑状態等によって変化する。
【0030】
ステップS7では、図7に示すように、上述した前処理部16の伝動系が有する固有負荷のサンプリングデータを基に、車速が高速側の実刈り作業域における車速と作業機用HST19の負荷圧力のデータ範囲(二点鎖線で示すYmin〜Ymax)を推定すると共に、更にその上限推定式Ymaxに若干の余裕圧(+α)を加えた相関関係式Ya(点線)を作成する。
【0031】
そして、前記相関関係式Yaは、後述する刈取り作業におけるエンジン停止制御において、作業機用HST19の過負荷値を設定する際の基準的な相関関係式となっている。以下、このエンジン停止制御を図8に示すフローチャートに基づいて詳しく説明する。
【0032】
先ず、ステップS1では、前記作業機クラッチスイッチ83により作業機クラッチ13の断接状態を検出して、該作業機クラッチ13が「ON」状態、即ち刈取り作業中を開始した状態になっていればステップS2に移る。
【0033】
ステップS2では、前記扱深搬送装置37の扱ぎ深さメインセンサ61に付設した稈量検出手段であるポテンショメータ61aにより、当該扱深搬送装置37において搬送途中にある刈取り穀稈の稈量(稈ボリューム)を検出すると共に、走行回転センサ55または前処理回転センサ57による車速の検出と、それに対応する相関データとして作業機用HST19(油圧ポンプ19P)の負荷圧力を油圧センサ65によってサンプリングし、しかる後にステップS3に移る。
尚、上述した刈取り穀稈の稈量を、脱穀フィードチェン17と、この脱穀フィードチェン17に対置して設けられている挟扼レール(不図示)との開度によって検出するように構成してもよい。
【0034】
そして、ステップS3では、前ステップS2で検出した刈取り穀稈の稈量(稈ボリューム)に対応する作業機用HST19の過負荷値を自動設定し、しかる後にステップS4に移る。
その際、前記作業機用HST19の過負荷値は、図7に例示するように、上述の前処理部16の伝動系が有する固有負荷を基に作成した相関関係式Yaを包含した相関関係式として設定されるようになっており、刈取り穀稈の稈量が小の場合は相関関係式Yb、刈取り穀稈の稈量が大の場合は相関関係式Ycの如く作業機用HST19の過負荷値が設定される。この時、Yc>Yb>Yaを保った状態で、作業機用HST19の過負荷値は設定される。
尚、前記相関関係式Yb及びYcは、刈取り穀稈の種類や作柄等によって変動するものであるが、同一の刈取り圃場においては作柄のバラツキが少ないことから、その圃場特有の相関関係式が得られると推定される。
【0035】
ステップS4では、引き続いて行う刈取り作業における車速と、この車速に対応する作業機用HST19の負荷圧力を油圧センサ65で検出しながらステップS5に移る。
【0036】
そして、ステップS5では、前記ステップS4で検出した作業機用HST19の負荷圧力が、ステップS3において設定した当該作業機用HST19の過負荷値以上の値(「YES」)であればステップS6に移る。
【0037】
ステップS6では、前記エンジン停止用のソレノイドバルブ84を作動させて燃料カットによるエンジン1の緊急停止がなされる。
【0038】
上述した前処理部16の搬送負荷を検出する搬送負荷検出手段である油圧センサ65が、所定値以上の搬送負荷である前処理装置16の過負荷値を検出すると、エンジン1を緊急停止させるコンバインのエンジン停止制御は、具体的には前記油圧センサ65で作業機用HST19の負荷圧力を検出し、この負荷圧力が作業機用HST19の所定値(過負荷値)以上になるとエンジン1を緊急停止させるものであって、この作業機用HST19の過負荷値は刈取り穀稈の稈量(稈ボリューム)によって自動的に設定変更されるように構成してあり、その際の刈取り穀稈の稈量(稈ボリューム)は、扱深搬送装置37の扱ぎ深さメインセンサ61に付設したポテンショメータ61aによって検出されるように構成してある。
【0039】
即ち、前記油圧センサ65で検出しようとする作業機用HST19の過負荷値自体が、従来のように前処理装置16を駆動させる駆動装置に過負荷が作用して故障が発生することを防止するために設定されていた高負荷な圧力(値)ではなく、刈取り穀稈の稈量(稈ボリューム)に対応した適切な低い値が自動設定されるので、当該油圧センサ65が作業機用HST19の設定値以上の油圧負荷(過負荷値)を検出した時点における前処理部16に発生する藁詰まりの進行を抑制でき、その藁詰まりの除去に要する作業時間を軽減すると共に、作業機用HST19が受けるダメージを少なくすることができる。
【0040】
そして、前記油圧センサ65で検出しようとする作業機用HST19の過負荷値に、予め検出した前処理部16の空運転時の固有負荷を内包させたことによって、当該前処理部16の老巧化による伝動系のボールベアリングの損傷、刈り刃への藁/泥等の噛み込み、及び前処理部16の各摺動装置の潤滑状態等を考慮したきめ細かな作業機用HST19の過負荷値の設定ができるようになる。
【0041】
尚、上述した実施例では、前処理部16の搬送負荷を検出する油圧センサ65が、所定値以上の搬送負荷である前処理装置16の過負荷値を検出した際に、エンジン1を緊急停止するように構成したエンジン停止制御について説明したが、図1に示したコンバインの伝動系統図から明らかなように、通常はエンジン1の緊急停止に連動して前処理部16の駆動も停止されるようになっており、一方前記油圧センサ65が前処理装置16の過負荷値を検出した際に前処理部16の駆動のみを単独で停止させるように構成したい場合は、当該油圧センサ65の前処理装置16の過負荷値検出に連動させて刈取りクラッチ45を切断するか、或いは作業機用HST19を構成する油圧ポンプ19Pの可動斜板の斜板角を中立位置に戻す制御手段を備えた構成にすればよい。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、前処理装置16に刈取り穀稈の稈量を検出する稈量検出手段61と、刈取り穀稈の搬送負荷を検出する搬送負荷検出手段65とを設け、該搬送負荷検出手段65が所定値以上の搬送負荷である前処理装置16の過負荷値を検出すると、前処理装置16の駆動を停止させるコンバインであって、前記稈量検出手段61により検出する刈取り穀稈の稈量に基づいて、前処理装置16の駆動を停止させる当該前処理装置16の過負荷値を設定するように構成したことによって、前記油圧センサ65で検出しようとする作業機用HST19の過負荷値自体が、従来のように前処理装置16を駆動させる駆動装置に過負荷が作用して故障が発生することを防止するために設定されていた高負荷な圧力(値)ではなく、刈取り穀稈の稈量(稈ボリューム)に対応した適切な低い値が自動設定されるので、当該油圧センサ65が作業機用HST19の設定値以上の油圧負荷(過負荷値)を検出した時点における前処理部16に発生する藁詰まりの進行を抑制でき、その藁詰まりの除去に要する作業時間を軽減すると共に、作業機用HST19が受けるダメージを少なくすることができる。
【0043】
また、前処理装置16に刈取り穀稈の搬送負荷を検出する搬送負荷検出手段65を設け、該搬送負荷検出手段65が所定値以上の搬送負荷である前処理装置16の過負荷値を検出すると、前処理装置16の駆動を停止させるコンバインであって、前記前処理装置16の空運転時に搬送負荷検出手段65により検出した前処理装置16の固有負荷に基づき、当該前処理装置16の駆動を停止させる過負荷値を設定するように構成したことによって、当該前処理部16の老巧化による伝動系のボールベアリングの損傷、刈り刃への藁/泥等の噛み込み、及び前処理部16の各摺動装置の潤滑状態等を考慮したきめ細かな作業機用HST19の過負荷値の設定ができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンバインの伝動系統図。
【図2】作業機伝動用の変速機の断面図。
【図3】作業機用HSTの油圧回路図。
【図4】運転席周辺の平面図。
【図5】マイコンユニットを示すブロック図。
【図6】前処理装置の空運転時の固有負荷を検出する制御を示すフローチャート。
【図7】車速と作業機用HSTの負荷圧力の相関図。
【図8】エンジン停止制御を示すフローチャート。
【符号の説明】
16 前処理装置
61a 稈量検出手段
65 搬送負荷検出手段
Claims (2)
- 前処理装置(16)に刈取り穀稈の稈量を検出する稈量検出手段(61a)と、刈取り穀稈の搬送負荷を検出する搬送負荷検出手段(65)とを設け、該搬送負荷検出手段(65)が所定値以上の搬送負荷である前処理装置(16)の過負荷値を検出すると、前処理装置(16)の駆動を停止させるコンバインであって、前記稈量検出手段(61a)により検出する刈取り穀稈の稈量に基づいて、前処理装置(16)の駆動を停止させる当該前処理装置(16)の過負荷値を設定するように構成したことを特徴とするコンバインの前処理装置。
- 前処理装置(16)に刈取り穀稈の搬送負荷を検出する搬送負荷検出手段(65)を設け、該搬送負荷検出手段(65)が所定値以上の搬送負荷である前処理装置(16)の過負荷値を検出すると、前処理装置(16)の駆動を停止させるコンバインであって、前記前処理装置(16)の空運転時に搬送負荷検出手段(65)により検出した前処理装置(16)の固有負荷に基づき、当該前処理装置(16)の駆動を停止させる過負荷値を設定するように構成したことを特徴とするコンバインの前処理装置。
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- 2003-06-30 JP JP2003186134A patent/JP2005013171A/ja active Pending
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