JP2005008931A - 鉄骨用大入熱溶接に適する鋼材 - Google Patents

鉄骨用大入熱溶接に適する鋼材 Download PDF

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Abstract

【課題】鉄骨用として大入熱溶接を適用するのに適した鋼材を提供する。
【解決手段】C:0.05〜0.18%、Si:0.001〜0.55%、Mn:0.8〜1.6%、P:0.015%以下、S:0.010%以下、Ti:0.005〜0.035%、sol.Al:0.001〜0.090%、N:0.0005〜0.010%、O(酸素):0.0050%以下を含有し、残部鉄および不純物からなり、下記▲1▼〜▲6▼の条件を全て満たす鋼材。
▲1▼fHAZが0.46%以下、▲2▼Ceq’が0.30〜0.45%、▲3▼Pcm’が0.10〜0.29%、▲4▼JIS G 0555の点算法による顕微鏡試験方法で測定された鋼の清浄度が、dA60×400で0.040%以下、dB60×400で0.030%以下、dC60×400で0.030%以下、▲5▼連続鋳造鋳片の偏析部において、Cが0.29%以下、Pが0.30%以下、Mnが3.5%以下、Ps’が0.62%以下、▲6▼垂直超音波探傷法による探傷で、傷エコーF1が25%を超え、かつその欠陥指示長さが10mmを超える欠陥が1個/m以下。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築分野などで用いられる円形鋼管柱や極厚H形鋼のフランジ部の溶接のように、溶接部ビード長さが比較的短い溶接部に大入熱のエレトロガスアーク溶接を適用する場合に適する鋼材に関する。
【0002】
【従来の技術】
建築鉄骨構造などにおける溶接として、エレクトロガスアーク溶接の適用は、従来、いろいろと机上検討はなされている。しかし、現実に工事に適用された例は殆どない。
【0003】
鉄骨のボックス柱の製作においては、長手方向のシーム溶接には炭酸ガス溶接やサブマージドアーク溶接(以下SAWという)が用いられ、内側に設置されるダイヤフラムの溶接にはエレクトロスラグ溶接が使われる。
【0004】
工事現場での溶接長の短い柱と梁の仕口部の溶接などでは、炭酸ガス溶接や手溶接が用いられる。長手方向のシーム溶接には、溶接速度が速くできるSAWや、SAWの下盛りや仮付けとして炭酸ガス溶接が併用されるのが普通である。
【0005】
エレクトロスラグ溶接法は、その溶接入熱が 100kJ/mmに達するほどの超大入熱ともいうべき溶接法であって、下記のような独特の問題がある。また、鉄骨のボックス柱のダイヤフラムの溶接にあたっては、消耗ノズル式エレクトロスラグ溶接が多用されている。
【0006】
エレクトロスラグ溶接法においては、その巨大な溶接入熱によって、溶接熱影響部の組織が粗大化するという問題があるが、溶接入熱が大きい分、溶接熱影響部の冷却が遅い。従って、焼入れ性の面で溶接熱影響部の硬化が大きいといわれるエレクトロガスアーク溶接とは異なる事情がある。
【0007】
従来、鉄骨溶接で溶接長の短い場合にエレクトロガスアーク溶接が用いられないのは、溶接長が短い場合は、溶接装置のセッティングの時間が全体の作業時間の大きな部分を占め、エレクトロガスアーク溶接の利点が生かせないからである。
【0008】
また、エレクトロガスアーク溶接が長手方向のシーム溶接部に用いられないのは、このようなシーム溶接部は工場内溶接が通常であり、工場内溶接では溶接姿勢として下向き姿勢が可能なことから、溶接能率の点でSAWが優るからである。
【0009】
しかしながら、鉄骨溶接にエレクトロガスアーク溶接を用いようという動きがある(特許文献1…特開平11−33716号公報…参照)。そして、このような動きに対応するために、エレクトロガスアーク溶接に適した鉄骨用の鋼材の開発が求められている。
【0010】
なお、上記の特許文献1の発明は、前記のようなエレクトロガスアーク溶接の溶接長の短い場合の欠点について、溶接施工方法の工夫で対処するという発明である。即ち、鉄骨溶接へのエレクトロガスアーク溶接の適用の動きを示すものではあるが、本発明の目的とする鉄骨大入熱溶接に適した高張力鋼材については、開示も示唆もない。
【0011】
エレクトロスラグ溶接法の適用を目的とした超大入熱溶接用鋼材については、酸化物や硫化物を微細分散させるという発明が特許文献2(特開2002−256377号公報)および特許文献3(特開2002−309337号公報)に開示されている。しかし、これらの文献には酸化物や硫化物を分散させることによる清浄度の悪化に対する対策や鉄骨用鋼材の連続鋳造に起因する中心偏析対策についての記載がない。
【0012】
上記のような酸化物や硫化物を微細分散させる鋼にあっては、酸化物や硫化物の微細分散に特別の製鋼技術を要し、その安定製造がもっとも重要な要素である。この製造安定性を欠く場合、酸化物や硫化物の凝集を招き後述する鋼の清浄度が悪化し、鉄骨の場合における厳しい斜角超音波検査に合格できなくなる可能性がある。従って、鉄骨用鋼材への適用としては、介在物清浄度を悪化させない技術も求められている。
【0013】
工業的量産手段である連続鋳法により鋼材を製造する場合においては、単なる成分的な大入熱対策だけでなく、連続鋳造に起因する中心偏析を軽減しなければ、前記の鉄骨の場合における厳しい斜角超音波検査に合格できなくなる。即ち、連続鋳造法による鉄骨用鋼材の工業的量産が行えない。従って、鋼の清浄度を悪化させない製造法や連続鋳造における中心偏析対策も鉄骨用鋼材の重要な要素の一つである。
【0014】
大入熱溶接対策と、鋼の清浄度を悪化させない非金属介在物管理と、連続鋳造における中心偏析管理の三者が一体となって、初めて工業用量産鋼としての鉄骨用大入熱溶接に適した高張力鋼材が完成するのである。
【0015】
非特許文献1(鋼構造論文集、第9巻第33号、第1頁)には、「建築用大入熱溶接施工技術の開発」と題する論文がある。しかし、この論文においても大入熱対策について部分的な記述はあるものの、本発明のもう一つの重要要素である溶接継手部の斜角超音波検査に対する検討や連続鋳造における中心偏析についての検討がなされていない。
【0016】
【特許文献1】
特開平11−33716号公報
【特許文献2】
特開2002−256377号公報
【特許文献3】
特開2002−309337号公報
【非特許文献1】
「建築用大入熱溶接施工技術の開発」鋼構造論文集,第9巻,第33号,第1頁
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、種々の工夫によってエレクトロガスアーク溶接を鉄骨溶接に用いようという動きがある。このような大入熱溶接を鉄骨溶接に適用しようとするときの解決すべき課題としては、次の2つがある。
【0018】
1)鉄骨に適用される厳しい斜角超音波検査にも合格すること
2)鋼材は、大入熱溶接に適した鋼材であって、特に連続鋳造法で鋼を製造した場合における中心偏析が軽減されていること。
【0019】
まず1)について説明する。
【0020】
鉄骨溶接にあっては、大地震にも耐えるように、柱と梁の溶接部に厳しい斜角超音波検査が適用される場合が多い。このような斜角超音波検査に合格するためには、まず母材の非金属介在物を減らし、母材段階で厳しい超音波検査に合格する必要がある。
【0021】
即ち、鉄骨用鋼材の特殊事情として、溶接部の厳しい斜角超音波探傷が行われるということがある。厳しい斜角超音波探傷が行われると、鋼中の非金属介在物が欠陥のごとく検出されるので、鋼中の非金属介在物を極力少なくして、清浄度の高い鋼を製造する必要がある。
【0022】
さらに、鋼材の水素を低減し、非金属介在物を起点とした水素性欠陥を生じないようにする必要がある。水素性欠陥は、鋼材自身にとっても有害なばかりか、溶接継手においても、斜角超音波探傷において有害欠陥として検出されて問題になるからである。
【0023】
このため、鋼の出荷前に、鋼材に対する超音波探傷で鋼中の非金属介在物の状態や水素性欠陥の有無をしらべ、斜角超音波探傷で問題のないレベルであることを確認しておく必要がある。
【0024】
本発明は、上記の課題を解決し、鉄骨用として大入熱溶接、特にエレクトロガス溶接を適用するのに適した鋼材を提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明者の検討の結果、斜角超音波探傷で問題のないレベルであることを確認しておくためには、JIS G 0801に規定された検査では足りず、更に感度を上げて、後述のようにJIS G 0801の探傷において傷エコーF1で25%を超えるエコーについて評価を行う必要があることが判明した。
【0026】
さらに連続鋳造で製造する場合においては、中心偏析についても十分な対策を行っておく必要がある。中心偏析がひどければ、偏析部分が溶接熱影響により硬化し、割れが生じることがあるからである。
【0027】
エレクトロガスアーク溶接は、エレクトロスラグ溶接のような超大入熱ではない。即ち、エレクトロスラグ溶接に較べれば、エレクトロガスアーク溶接は、溶接入熱の小さい溶接法であるため、溶接熱影響部の冷却速度が速く熱影響部に焼きが入りやすくなる。
【0028】
この作用により、エレクトロスラグ溶接よりもエレクトロガスアーク溶接の場合の方が合金元素が偏析した部分に焼きが入り硬化しやすい。そして、溶接金属に入った拡散性水素が拡散してきて硬化した部分で溶接割れを生じ、超音波欠陥を生じる。
【0029】
そこで、鋼の偏析を制御し、このような超音波欠陥の生成を防止することが重要になる。また、中心偏析を軽減することは、この部分が溶接熱影響を受けた場合の靭性向上にも寄与するので、溶接部靭性の確保の観点からも重要である。
【0030】
さらに、エレクトロガスアーク溶接法の場合は、母材の希釈が大きく、溶接金属の靭性を確保するために、従来の引張強さ(TS)が 490MPa 級の鋼と大きく成分が変わらない溶接金属への影響も考慮した成分系が好まれる。
【0031】
さらに付言すれば、エレクトロガスアーク溶接に使用される引張強さが 490 MPa級の高張力鋼用溶接ワイヤーは、490 MPa 級高張力鋼を想定した成分を中心に調整されており、特異な成分、例えば極端な低C鋼成分にすると、溶接金属の成分が適正値を外れてしまい、溶接金属の靭性が悪化したり、極端な場合は溶接金属の強度が確保できなくなったりする。
【0032】
即ち、エレクトロガスアーク溶接の溶接金属が母材からの希釈の影響を大きく受けるため、母材成分の設計にあたって、溶接金属の靭性と強度が確保されるように配慮されなければならない。このような制約の下にエレクトロガスアーク溶接の大入熱での熱影響部の靭性を確保しなければならないという困難がある。
【0033】
特に、板厚が40mm以下の鋼材の場合、鉄骨用の一般的な 490 MPa 級高張力鋼の成分が、C含有量で0.15%を中心として、炭素等量で0.30〜0.45%のものが多く、この範囲で成分設計することが好ましい。
【0034】
前述のように、従来の技術は、鋼の成分的な工夫や酸化物や硫化物の粒子分散などで、大入熱溶接熱影響部の靭性を解決しようとするものであったが、鉄骨のエレクトロガスアーク溶接などを考えた場合、それだけでは十分ではない。それだけでは、鉄骨用途のような厳しい斜角超音波検査に合格できず、中心偏析部で溶接欠陥を生じ、また靭性確保も十分ではなくなる。さらに前記のように母材希釈による溶接金属の靭性低下にも配慮する必要がある。
【0035】
本発明は、これら従来技術の不備を解消すべく鋭意検討し、完成に至ったものである。以下、本発明について説明する。
【0036】
本発明は、下記の鋼材を要旨とする。なお、以下において、成分含有量の%は「質量%」を意味する。
【0037】
C:0.05〜0.18%、Si:0.001〜0.55%、Mn:0.8〜1.6%、P:0.015%以下、S:0.010%以下、Ti:0.005〜0.035%、sol.Al:0.001〜0.090%、N:0.0005〜0.010%、O(酸素):0.0050%以下を含有し、残部鉄および不純物からなり、下記▲1▼〜▲6▼の条件を全て満たすことを特徴とする鉄骨用大入熱溶接に適する鋼材。
【0038】
▲1▼ fHAZが0.46%以下
▲2▼ Ceq’が0.30〜0.45%
▲3▼ Pcm’が0.10〜0.29%
▲4▼ JIS G 0555(1998)「鋼の非金属介在物の顕微鏡試験方法」の表1の点算法による顕微鏡試験方法によって測定された鋼の清浄度が、dA60×400で0.040%以下、dB60×400で0.030%以下、dC60×400で0.030%以下。
【0039】
▲5▼ 連続鋳造法によって製造された鋳片の偏析部において、Cが0.29%以下、Pが0.30%以下、Mnが3.5%以下、Ps’が0.62%以下。
【0040】
▲6▼ 垂直超音波探傷法による縦または横100mmピッチの線上探傷で、傷エコーF1が25%を超え、かつその欠陥指示長さが10mmを超える欠陥が1個/平方メートル以下。
【0041】
ただし、
Figure 2005008931
なお、上記の各式中の元素記号は、それぞれの元素の含有量(質量%)である。
【0042】
本発明の鋼材は、上記の成分に加えてさらに下記の第1群および第2群の一方または両方から選ばれた1種以上の成分を含有してもよい。
【0043】
第1群…Cu:0.05〜0.6%、Ni:0.05〜1.0%、Cr:0.05〜0.5%、Mo:0.02〜0.5%、V:0.01〜0.20%、Nb:0.005〜0.10%およびB:0.0005〜0.0030%。
【0044】
第2群…Ca:0.00007〜0.0050%、Mg:0.00007〜0.0050%およびREM:0.00007〜0.0100%の中の1種以上。
【0045】
なお、第1群の成分の1種以上を含む場合は、前記のCeq’、Pcm’およびPs’は、それぞれ下記のCeq、PcmおよびPsとなる。
【0046】
Figure 2005008931
これらの式中の元素記号もそれぞれの元素の含有量(質量%)である。
【0047】
本発明の鋼材は、厚みが40mm以下である場合、C含有量が0.13〜0.18%であることが望ましい。
【0048】
【発明の実施の形態】
初めに、本発明の基本的な技術思想について述べる。
【0049】
本発明は、鉄骨溶接という耐震性を要求されるが故に厳しい斜角超音波探傷検査の行われる溶接施工において、エレクトロガスアーク溶接のような大入熱溶接を適用する場合の実際的課題を解決しようとするものである。
【0050】
そのためには、エレクトロガスアーク溶接においても溶接熱影響部の靭性が確保できるように、鋼材の成分上の大入熱対策が施されるべきことはもとより、それだけは足りず、連続鋳造材により工業的に量産しようとする場合においては、鋼中介在物を減少させ、鋼材中の水素を低減させて鋼材内部の水素性欠陥の発生を防止し、中心偏析を軽減しなければならない。
【0051】
このような、管理レベルを決定することは簡単なことではなく、鉄骨溶接へのエレクトロガスアーク溶接という事象の本質を捉えて十分な検討をしなければ、工業的規模での溶接が実施できないのである。
【0052】
エレクトロガスアーク溶接レベルの大入熱溶接の溶接部の靭性確保のための対策は、後述のように各種合金成分の調整とTiN粒子の微細分散、Bによる鋼中フリー窒素の固着などで行える。しかし、エレクトロガスアーク溶接の場合においては、さらに母材からの希釈による溶接金属特性の変化にも配慮する必要がある。
【0053】
すなわち、鋼材をあまりに特異な組成にすると、母材成分の希釈によって溶接金属の成分が最適範囲からずれてしまうということになる。ここにエレクトロガスアーク溶接の鉄骨溶接への実用化にあたっての困難がある。
【0054】
このような場合、SAWであれば、フラックスからの合金元素添加によって溶接金属成分の調整を行うことが可能であるが、エレクトロガスアーク溶接の場合にはこのような手段は取れない。
【0055】
以上の背景を総合的に考慮してなされたのが本発明である。以下に、本発明の各要件について述べる。
【0056】
(1)鋼材の化学組成
エレクトロガスアーク溶接の溶接施工においては、その溶接により鋼材に加えられる溶接熱履歴は、大入熱溶接の熱履歴となる。しかし、ここで前述のエレクトロガスアーク溶接に特有の問題に配慮しなければならない。従って、鋼材の組成は、従来の大入熱対策技術に加え、エレクトロガスアーク溶接適用の観点から規定する必要がある。以下、成分の作用効果と限定理由について述べる。
【0057】
C:0.05〜0.18%
Cは、鋼材の強度を確保する上で必要な元素である。その含有量が0.05%未満であると、必要な強度が得られないので下限は0.05%とした。より好ましい下限は0.06%である。一方、0.18%を超えると母材および溶接継手部の靱性が劣化するので、上限は0.18%とした。より好ましい上限は0.16%である。
【0058】
板厚が40mm以下の高張力鋼材では、Cの含有量を0.13〜0.18%にするのが望ましい。その理由は下記のとおりである。
【0059】
板厚40mm以下の鋼材は実際に使用される鋼材として量的にも多く、かつ板厚が40mmを超える鋼材に比較して、母材の強度・靭性確保の点で経済的に製造できる。一方、この程度の厚さであれば、エレクトロガスアーク溶接で1パス溶接が適用されるので、母材からの希釈が大きく、この面での配慮が重要になる。
【0060】
Cの含有量を0.13〜0.18%と狭い範囲に制限して、下限値を高めにすることにより、希釈の影響を軽減しつつ、合金元素を削減した経済的な鋼材が可能である。Cが0.13%未満では母材希釈による溶接金属強度の確保が難しく、また母材強度の確保のために多量の合金元素添加が必要になり、経済的ではなくなる。0.18%を超えると溶接性、母材靭性の面で好ましくない影響がある。
【0061】
Si:0.001〜0.55%
Siは、鋼の溶製時に脱酸剤として作用するとともに強度の向上にも有効である。これらの効果を得るためにSi含有量は0.001%以上とする。一方、0.55%を超えると島状マルテンサイトの生成が促進され、溶接熱影響部の靱性の劣化をもたらすので、その上限は0.55%とした。より好ましい上限は0.35%である。
【0062】
Mn:0.8〜1.6%
Mnは、鋼の脱酸剤として、また強度と靱性を向上させるのにも有効である。鋼材の強度を確保するには0.8%以上のMn含有量が必要である。一方、1.6%を超えると連続鋳造鋳片における中心偏析部のMn偏析が顕著になり、鋼材の靭性劣化が生じる。従って、上限は1.6%とした。より好ましい下限は0.9%であり、また、より好ましい上限は1.5%である。
【0063】
P:0.015%以下
Pは、鋼の不可避的不純物であり、中心偏析を助長するなど、鋼材の靭性を劣化させる。従って、本発明においては0.015%を許容上限とする。より望ましいのは0.012%以下である。
【0064】
S:0.010%以下
Sも鋼の不可避的不純物であり、多量に存在する場合、鋼の清浄度を悪化させ鋼材の超音波検査における不合格の原因となる。また、SはMnSを形成し、鋼材中の水素による欠陥の起点となる介在物を形成する。さらに溶接割れの原因となる。従って、許容上限を0.008%とした。より望ましいのは0.003%以下である。
【0065】
Ti:0.005〜0.035%
Tiは、微細な窒化物(TiN)を形成することによって溶接熱影響部のオーステナイト粒の粗大化を防止し、靱性を向上させるのに有効である。0.005%未満では、その効果が少ない。一方、0.035%を超えるとTiNが粗大化し、かえって靱性が低下する。より好ましい上限は0.025%である。
【0066】
sol.Al:0.001〜0.090%
Alは、脱酸材として効果があり、鋼中にsol.Alが0.001%以上存在するように添加することが、連続鋳造を健全に行う上で有効である。一方、Al含有量が過剰になると、Al系酸化物を形成するため、過剰な添加は行ってはならない。そのため、0.090%をsol.Alの上限とする。本発明の鋼材にはTiも添加され、これが脱酸剤としても作用するので、上限を0.015%としてもよい。
【0067】
N:0.0005〜0.010%
Nは、多量に存在する場合、母材靱性だけでなく溶接熱影響部の靱性をも悪化させる。通常は、鋼にTiを添加してTiNの形で固定して無害化しているが、Nが0.010%を超えて鋼中に存在する場合は、溶接熱影響部の靭性劣化を招く。このため、Nは0.010%を上限とする。好ましい上限は0.0080%である。一方、Nを0.0005%未満にまで低減すると、TiNの生成が少なくなり、TiNによる組織の微細化効果が乏しくなるので、0.0005%を下限値とする。
【0068】
O(酸素):0.0050%以下
鋼中にOが多量に存在すると、鋼の清浄度を悪化させ、高靭性の鋼を得ることができない。従って、Oはできるだけ少ない方がよい。0.0050%は含有量の許容上限である。より好ましいのは、0.0030%以下である。
【0069】
本発明鋼材の一つは、上記の成分の他、残部がFeと不純物からなるものである。他の一つは、前述の第1群または/および第2群の成分の中の少なくとも1種をさらに含有する鋼材である。
【0070】
第1群成分は、Cu、Ni、Cr、Mo、V、NbおよびBである。これらは、いずれも鋼材の強度を向上させるという共通の作用効果を持つ。以下、それぞれの含有量の限定理由を説明する。
【0071】
Cu:0.05〜0.6%
Cuは、鋼の強度上昇に有効な元素であるが、0.6%を超えると溶接性を劣化させる。より好ましい上限は、0.45%である。他の元素で代用する場合は、積極的に添加する必要はない。0.05%未満では、その効果が少ないので、添加する場合の含有量の下限は0.05%とした。
【0072】
Ni:0.05〜1.0%
Niは、鋼の強度を向上させ、また靱性の向上にも有効な加元素である。しかし、その含有量が1.0%を超えると経済性を損なう。経済面から、より好ましい上限は0.8%である。0.05%未満では、その効果が少ないので、添加する場合の含有量の下限は0.05%とする。なお、Niも他の元素で代用する場合は、積極的に添加する必要はない。
【0073】
Cr:0.05〜0.5%
Crは、鋼の強度上昇に有効な元素である。0.05%未満では、その効果が少ないので、これを下限とした。一方、Crの含有量が0.5%を超えると溶接性を劣化させる。より好ましい上限は0.2%である。Crも他の元素で代用する場合は、積極的に添加する必要はない。
【0074】
Mo:0.02〜0.5%
Moは、焼入れ性の向上とオーステナイトの再結晶抑制の効果を通して制御圧延効果を増大させることによって、鋼の強度を上昇させるのに有効である。0.02%未満では、その効果が少ないので、これを下限とした。一方、0.5%を超えると靱性の劣化をもたらすため、上限は0.5%とした。より好ましい上限は0.2%である。他の元素で代用する場合は、積極的に添加する必要はない。
【0075】
V:0.01〜0.20%
Vは、焼入れ性の向上と微細な炭窒化物の形成により、鋼の強度を上昇させる効果を有する。0.01%未満ではその効果が少ない。他方、0.20%を超えると鋼を脆化させる弊害の方が大きくなるため、上限は0.10%とした。より好ましい上限は0.08%である。
【0076】
Nb:0.005〜0.10%
Nbは、微細な炭窒化物を形成して鋼の強度を上昇させる効果を有する。0.005%未満では、その効果が少ない。しかし、0.10%を超えると鋼の脆化という弊害の方が大きくなるため、上限は0.06%とした。より好ましい上限は0.045%である。
【0077】
B:0.0005〜0.0030%
Bは、微量でもオーステナイト粒界からのフェライト生成を抑制し、母材強度を高めるためには有効な元素である。しかし、溶接熱影響部では靱性の低い硬化組織を形成するため、通常、溶接熱影響部の靱性確保の観点からは好まれない。
【0078】
本発明の鋼材では、鋼中にTiNが分散しており、Bの有無にかかわらず、溶接熱影響部のオーステナイト粒粗大化抑制因子として機能する。このため、Bの添加が容認され、含有量が0.0030%を超えなければ、溶接熱影響部の靱性は、たとえ劣化したとしても許容できるレベルに留まる。
【0079】
また、Bは、オーステナイト粒界からのフェライト生成を抑制し、溶接熱影響部の鋼中にTiNを形成する以外のフリーNが存在している場合は、BNの形成により靭性劣化の原因となるフリー窒素を固着し、粒内析出のフェライト量を増して組織を微細化する。従って、適量添加であればTiNを単独で使うより、エレクトロガスアーク溶接の場合における熱影響部の靱性を改善する効果がある。
【0080】
以上のような理由により、本発明ではB含有量の上限を0.0030%とした。より好ましい上限は、0.0020%である。0.0005%未満では前記の効果が少ない。なお、Bも必要に応じて添加する成分である。
【0081】
第2群成分は、Ca、MgおよびREM(希土類元素)である。これらは、脱酸効果、脱硫効果および硫化物の形態制御において共通の作用効果を持つ。このような効果を得たいときに1種または2種以上を含有させることができる。
【0082】
Ca:0.00007〜0.0050%
Caは、強力な脱酸元素であり、Sと結合しCaSを形成することにより脱硫にも有効である。MnよりもSとの結合力が強いためにMnSの形成を防ぎ、鋼の清浄度を上げる効果もある。0.00007%未満ではこれらの効果が少ない。しかし、Caの過剰添加は、かえって鋼の清浄度を悪化させ、コストも増加するので、0.0050%を上限とした。
【0083】
Mg:0.00007〜0.0050%
Mgも強力な脱酸元素でもある。鋼中のSやOと結合して、Mg系酸硫化物を形成する。Mg系酸硫化物は、必ずしもMgとSおよびOのみからなる酸化物ではなく、同時に添加されるAl、Caなどと複合した複雑な酸化物を含む場合もある。また、Oの一部がSによって置換された複合Mg系酸硫化物を形成する場合が多い。これら、Mg系酸硫化物または複合Mg系酸硫化物は、溶接熱で高温に加熱される鋼の熱影響部において、安定な粒子として存在する。従って、溶接熱影響部の結晶粒の粗大化を防止し、細粒の熱影響部組織をもたらすので、熱影響部靭性を向上させる効果がある。0.00007%未満では、その効果が少ない。しかし、Mgの過剰添加は、かえって鋼の清浄度を悪化させ、コストも増加するので、0.0050%を上限とした。
【0084】
REM:0.00007〜0.0100%
REMは、希土類元素とも呼ばれ、元素の周期律表でいうスカンジウム、イットリウム、ランタノイド系およびアクチノイド系の元素の総称である。これらの元素は、性質が似ていることから、添加元素としては、それぞれの希土類元素を単離することなく複数の種類の元素を含んだままで鋼中に添加される場合が多い。もちろん、希土類元素のうちの、例えばLaやCeなどを単離して、その1種または2種以上を複合添加してもよい。
【0085】
REMは、強力な脱酸元素であるとともに、Sと結合しREMSを形成することにより脱硫にも有効である。MnよりもSとの結合力が強いためにMnSの形成を防ぎ、鋼の清浄度を上げる効果がある。0.00007%未満では、その効果が少ない。一方、REMの過剰添加は、かえって鋼の清浄度を悪化させ、コストも増加するので0.0100%を上限とした。
【0086】
(2)次に前述の▲1▼から▲6▼までの要件について述べる。
【0087】
(2)−1.fHAZ:0.46%以下(▲1▼の要件)
fHAZは、「fHAZ=C+(Mn/8)+6P+6S+12N−4Ti」(これを式(A)とする)で算出される値である。この算出式自体は、鋼構造論文集No.8、Vol.32(2001)p.17−31により公知である。
【0088】
しかし、本発明者らは、エレクトロガス溶接のような大入熱溶接の解析にこの式を適用し、図1に示すようなVノッチシャルピー衝撃試験の最低値の包絡線の式(a)を得た。
【0089】
vE0=300/{exp(8fHAZ−2.5)+1} ・・・(a)
ここで、関数expは、よく知られた指数関数を表し、exp(x)はeのx乗を表す。eは2.718・・・であり、自然対数の底である。vE0は、溶接熱影響部におけるVノッチシャルピー衝撃試験の0℃での吸収エネルギー(単位:J)で表したものである。
【0090】
式(a)により、本発明のエレクトロガス溶接のような大入熱溶接のVノッチシャルピー衝撃試験の0℃における吸収エネルギーの予想下限値が得られる。即ち、実際の継手での値は、式(a)で得られる値より大きいと期待される。
【0091】
表1に幾つかの鋼板の組成から前記の式(A)によって算出したfHAZの値、およびその値を用いて式(a)で算出したvE0を示す。
【0092】
【表1】
Figure 2005008931
【0093】
表1に示すように、式(a)からvE0=70Jとなる臨界値がfHAZ=0.46%であり、vE0=100Jとなる臨界値がfHAZ=0.40%である。それぞれ、fHAZ値をこの臨界値以下にすることにより、高いvE0の値を得ることが期待できる。そこで、fHAZの上限を0.46%とした。好ましいのは、0.40%以下である。
【0094】
(2)−2. Ceq’またはCeq:0.30〜0.45%(▲2▼の要件)
Ceq’およびCeqは、それぞれ次の式で算出される。
【0095】
Figure 2005008931
これらの式は、JIS G 3136に規定されている炭素当量の式と同じである。
Ceq’またはCeqが0.30%を下回ると、エレクトロガスアーク溶接において溶接熱影響部の強度低下が大きいため下限を0.30%とした。一方、0.45%を超えると溶接性が悪くなるので上限を0.45%とした。
【0096】
(2)−3. Pcm’またはPcm:0.10〜0.29%
Pcm’およびPcmは、それぞれ下記の式で算出される。
【0097】
Figure 2005008931
これらは、JIS G 3136に規定されている「溶接割れ感受性組成」の式と同じである。
【0098】
Pcm’またはPcmが0.10%を下回ると、溶接熱影響部の強度低下が大きいため下限を0.10%とした。また、0.29%を超えると溶接性が悪くなるため、0.29%を上限とした。
【0099】
(2)−4.鋼の非金属介在物(要件▲4▼)
以下の記述では「鋼の非金属介在物」を単に「鋼中の介在物」、「介在物」などと略することがある。
【0100】
ここで使用した記号dA60、dB60およびdC60は、JIS G 0555(1998)「鋼の非金属介在物の顕微鏡試験方法」の表1の点算法による顕微鏡試験方法によって測定された鋼の清浄度を表し、その「5.6 表示」に例示されているとおりである。鋼の非金属介在物の低減は、鋼のシャルピー衝撃試験において、高吸収エネルギーを得るために有効な手段である。
【0101】
(i) dA60×400:0.040%以下
これは、A系介在物において、測定視野数が60、倍率が400倍で、清浄度が0.040%以下であることを表す。A系介在物は、主に圧延によって伸延した介在物であり、本発明鋼材ではMnSが主体である。A系介在物は、鋼の圧延によって伸延するため、圧延方向に直角に試験片を採取した場合の鋼の靭性を大きく劣化させ、溶接熱影響部の靭性についても同様に劣化させる傾向がある。また、溶接金属部から拡散して来る水素のトラップサイトとして作用し、伸延したA系介在物の応力集中効果によって溶接欠陥を生ずる。従って、A系介在物は、厳しく制限する必要があり、0.040%以下とした。好ましいのは0.030%以下である。
【0102】
(ii) dB60×400:0.030%以下
これは、B系介在物に関する先のdA60×400と同じJISによる表示である。B系介在物は、主に圧延方向に集団をなして不連続に粒状の介在物が並んだもので、本発明鋼材ではアルミナなどが主体である。
【0103】
B系介在物は、鋼の圧延方向に集団をなして不連続に粒状の介在物が並ぶので、圧延方向に直角に試験片を採取した場合の鋼の靭性を劣化させ、溶接熱影響部の靭性についても劣化させる傾向がある。従って、0.030%以下とした。
【0104】
(iii) dC60×400:0.030%以下
これは、C系介在物に関する先のdA60X400と同じJISによる表示である。C系介在物は、圧延により変形しないで不規則に分散するものをいい、酸化物系と炭窒化物系がある。本発明鋼材ではCa(O,S)やTi(N,C)などが主体である。C系介在物は、鋼中に不規則に分散するが、靭性を劣化させ、シャルピー吸収エネルギーを低下させる。従って、0.030%以下とした。
【0105】
(2)−5.連続鋳造鋳片の偏析(要件▲5▼)
連続鋳造法による偏析部では、Cが0.29%以下、Pが0.30%以下、Mnが3.5%以下、Ps’またはPsが0.62%以下でなければならない。
【0106】
現在の鋼材の製造法では連続鋳造法が中心である。そして、連続鋳造の鋳片は、造塊法(インゴット法ともいう)の鋳塊とはその偏析の成因や性状が全く異なる。そこで、本発明においては連続鋳造法における偏析についての規定を設けた。
【0107】
連続鋳造法おいては最大偏析部は板厚中央部に位置する場合が多い。その板厚中央部の偏析は「中心偏析」と呼ばれる。この中心偏析の存在は、以前から知られる連続鋳造法による鋼材製造上の問題であるが、一般鋼材では多少の中心偏析が存在しても使用上の問題がない場合が多い。しかし、鉄骨溶接にエレクトロガスアーク溶接を適用しようというような場合には、そこでも用いられる鉄骨用鋼材は、一般鋼材と同列には論じられない。
【0108】
中心偏析部には種々の元素が濃縮偏析するが、その代表的な元素がC、PおよびMnである。
【0109】
Cは、溶接性に最も大きな影響を及ぼす元素であり、また、Cは溶接熱影響部を硬化させ、靭性・延性を劣化させ、溶接割れを生じるので、その偏析には十分注意する必要がある。Pは、鋼の不純物元素の代表であり、Mnは合金元素の代表として、この3元素の偏析程度を管理しておけば、本発明鋼材の組成範囲では他の元素についても管理できる。即ち、上記の3元素の偏析程度が軽ければ、全体としての偏析程度が軽く、逆に、この3元素の偏析程度がひどければ、全体としての偏析もひどい。
【0110】
但し、他の元素も全く影響がないとはいえないので、本発明者は偏析する元素の熱影響部の割れに対する影響を検討し評価した。その結果、連続鋳造鋳片の偏析部でCを0.29%以下、Pを0.30%以下、Mnを3.5%以下、Ps’またはPsを0.62%以下と規定することによって、鉄骨材にエレクトロガスアーク溶接を適用した場合の熱影響部の靭性劣化や溶接欠陥の発生が避けられることを確認した。これらのいずれかの条件が満たされない場合、側曲げ評価で偏析部に割れが生じる。また、このような場合、実際の溶接施工でも溶接部に割れを生じる場合が多い。
【0111】
なお、Ps’およびPsはそれぞれ下記の式で算出される。
【0112】
Figure 2005008931
これらの式は、よく知られたPcm式を偏析評価用に改良した式であって、高濃度のMn偏析域においては、Mnの影響係数が小さくなることを見出し、Pcm式の「Mn/20」を「Mn/10」に置き換えたものである。さらに、Pの偏析についての影響を検討した結果、P偏析の影響係数がほぼ1であることを見出し、これを評価の項として追加した。
【0113】
即ち、上述の側曲げ評価に対する影響を多重回帰で調査したところ、Mnの影響係数が小さくなり、また、Pの影響がCと同じ程度に表れることが分かった。そして、この解析によりPcm式を改良した上記のPs’およびPsの算出式を導いた。なお、Ps式は、種々の合金元素を含む場合の評価式であるが、鋼材成分の中で関連する元素がC、Si、MnおよびPだけの場合はPs’式を用いる。
【0114】
偏析部の元素分析値としては、例えば、EPMAによる分析値を用いる。その場合、X線ビーム径100μmで、鋼材の長手方向断面に対し、板厚方向に10箇所線分析を行う。
【0115】
図2に偏析測定の例を模式的に示す。試料(鋼材)1の圧延方向に10ヶ所を測定する。各線分析の間隔は2mmである。各分析線の各元素の最大値を10箇所算術平均しその平均値を、前述のC:0.29%以下、P:0.30%以下、Mn:3.5%以下の判定に用いる。
【0116】
Ps式、Ps’式については、計算処理により各分析線における最大値を求め、同様に10箇所算術平均しその平均値を判定に用いる。
【0117】
溶接欠陥の発生は、溶接金属に侵入する拡散性水素の影響もあり、拡散性水素を低減する溶接管理を励行することにより、この欠陥発生の限界値は変動するが、一般的なエレクトロガスアーク溶接を想定した規定値である。
【0118】
後述の実施例の表3および表5に示すように、本発明の鋼材においては偏析部でも溶接熱影響による偏析部の硬化による割れは生じていない。一方、比較例の鋼材は、偏析が著しく、溶接熱影響による偏析部の硬化と溶接金属の拡散性水素によって割れが生じている。
【0119】
溶接熱影響部の割れの有無は、溶接後、48時間放置した後、試験片を切り出し、JIS Z 3122(1990)による突合せ溶接継手の曲げ試験における側曲げ試験によって割れの有無を確認する。 なお、このような側曲げ試験により割れが検出された試験体においては、斜角超音波試験によっても割れエコーが検出されることを確認している。
【0120】
次に、偏析の無い鋼を製造する方法について述べる。
【0121】
連続鋳造法における中心偏析軽減策のために、連続鋳造の鋳込み時の溶鋼の温度を過度に高くせず、溶鋼組成から決まる凝固温度に対し、その差が50℃以内になるように管理し、さらに凝固直前の電磁攪拌、凝固時の圧下などを行う。さらに、連続鋳造の操業管理としてピンチロールの配列の乱れがないように管理することなども重要である。
【0122】
溶鋼の不純物を十分低減し、非金属介在物の生成を抑制することも有効である。また、生成した非金属介在物を鋳込みの凝固段階以前に浮上させてスラグとして取り除くなどの対策も必要である。これらの管理の詳細は、後述の表9に示す。
【0123】
(2)−6.垂直超音波探傷法による欠陥の評価(要件▲6▼)
本発明の要件▲6▼では、「垂直超音波探傷法による縦または横100mmピッチの線上探傷で傷エコーF1が25%を超え、その欠陥指示長さが10mmを超える欠陥が1個/平方メートル以下」と規定している。
【0124】
上記の垂直超音波探傷法としては、JIS G 0801(1993)に規定される方法を応用する。JIS G 0801(1993)は、圧力容器用鋼板に対する規定であるが、この方法を更に感度を上げて鉄骨用鋼材に適用するのである。H形鋼においてはフランジ部に限って探傷を行うものとし、探傷はフランジ外表面から行う。
【0125】
通常のJIS G 0801においては、主に、F1または「F1/B1」が50%を超える中欠陥および重欠陥が判定の対象となり、F1または「F1/B1」が25〜50%の微細な欠陥は問題とされない場合が多い。例えば、JIS G 0801の評価方法の「8.1(1)鋼板内部」の項では、「〇欠陥は、評価対象としない」旨の記述がある。この〇欠陥とは前述の「F1/B1」が25〜50%の微細な欠陥を意味する。
【0126】
母材の欠陥評価としては、上記の基準でもよいが、溶接部の斜角探傷では軽微な欠陥であっても、F1または「F1/B1」が25%を超える場合は問題となることが多い。溶接部近傍、特に溶接熱影響部近傍にこのような欠陥が発見された場合、欠陥部を補修溶接しなければならない。
【0127】
この点に着目したのが本発明の大きな特徴の一つであって、通常のJIS G 0801の方法を基礎としながら、溶接継手に適用される斜角超音波試験との対応を検討し、鋼板内部であっても通常のJIS G 0801より更に感度を上げて評価する必要があることを見出し、また、通常のJIS G 0801ではほとんど無視されているF1または「F1/B1」が25〜50%の微細な欠陥をも評価する必要を見出したのである。
【0128】
つまり、従来の方法では見落とされてしまう微細な母材の欠陥が、溶接熱影響部では補修すべき欠陥の原因になる。詳述すれば、従来は評価対象外であり無視されてしまうような微小な欠陥であっても、溶接部近傍に存在すると、大入熱溶接の場合には溶接熱の影響や溶接の拡散性水素の影響で欠陥が大きくなることがある。また、溶接熱影響部においては、従来母材部では評価対象外であった25〜50%の微細な欠陥であっても、鋼構造物の破壊の原因になることが懸念される。これらの理由で、鉄骨大入熱溶接に適する鋼材に要求される特性の一つとして、従来評価対象外であった25〜50%の微細な欠陥をも含まない清浄度の高さがあるのである。このように清浄度の高い鋼材でなければ、溶接補修のために多大な工数を要しコストの高騰が避けられない。
【0129】
上記の理由で、要件▲6▼を満たすことが必要なのである。このような厳しい超音波検査に合格する鋼材とするためには、前述の介在物軽減や中心偏析軽減はもちろん、鋼材の残留水素を低減し、鋼中の非金属介在物から水素性欠陥が発生しないように管理する必要がある。
【0130】
そのためには、溶鋼段階で真空脱ガスを施して含有される水素を低減しておくと同時に、必要に応じスラブ段階あるいは製品を100℃以上の温度域で徐冷することで、水素を低減し、鋼材中心部における水素量を0.6ppm以下になるように管理することが望ましい。
【0131】
本発明は、引張強度が490−600MPaの鋼材に適用する場合に特に効果がある。エレクトロガスアーク溶接の適用を考える場合、溶接熱影響部の軟化による継ぎ手強度低下などから成分設計を考える必要があるからである。
【0132】
本発明は、厚さが13mmを超え、100mm以下の鋼材に適用する場合に特に効果がある。鋼材厚さ13mm以下では、エレクトロガスアーク溶接のような大入熱溶接の必要が少なく、100mmを超える鋼材は連続鋳造では作りにくい上、実際の適用例も少ないからである。なお、鋼材とは、鉄骨に主に用いられる鋼材を指し、H形鋼、円形鋼管柱、角型鋼管柱、およびそれらに成形される鋼板素材などを意味する。鋼材厚さとは、鋼板にあっては板厚、鋼管柱にあっては肉厚、H形鋼にあってはフランジ厚を意味する。
【0133】
本発明の鋼材が鉄骨用大入熱溶接に適するのは、前述のとおり、鉄骨用大入熱溶接の場合は、他の用途に比べ斜角超音波探傷の欠陥評価が、大地震に耐える必要上、格段に厳しい場合が多く、実用化にあたって他の大入熱用鋼材と異なる配慮が必要だからである。
【0134】
本発明鋼材は、熱間圧延鋼材であるが、当然ながら圧延ままの鋼材のみならず、さらに焼きならしや焼入れ焼戻しなどの熱処理を施したもの、および熱間圧延後オンラインでの水冷、またはそのオンライン水冷後に焼き戻しを施した鋼材などを含む。
【0135】
鋼のシャルピー衝撃試験においては、鉄骨用途で引張強度が490〜600MPaクラスとして、0℃での試験を想定している。通常は、圧延方向試験片で 27J 以上の吸収エネルギーを要求される場合が多いが、高吸収エネルギー、例えば 70Jないし 100Jを要求される場合もあり、鋼中介在物を低減することは、Niなどの高価な合金元素を節約する上でも有効である。また、溶接継手の場合、圧延方向に直角方向のシャルピー衝撃試験を要求される場合があり、そのような場合には、鋼中の介在物を低減することは、さらに有効性を増す。
【0136】
0℃でのシャルピー衝撃試験値(vE0)が70J以上という要求値について補足説明する。0℃は、日本国における冬季の代表的な寒冷を示す温度であり、JIS G 3136「建築構造用圧延鋼材」においてもシャルピー衝撃試験の温度として規定されているため、この温度での評価を採用した。
【0137】
70Jは、阪神大震災の教訓より、従来のJIS G 3136「建築構造用圧延鋼材」に規定されている27Jや従来のJIS G 3106「溶接構造用圧延鋼材」のC級鋼に規定されている47Jの評価では不十分であるとの意見に基づいて提唱されている値である。
【0138】
なお、鋼材のシャルピー衝撃試験方法は、JIS G 3106 (1999)「溶接構造用圧延鋼材」の規定に準じて行う。試験片は、鋼板の場合、板頂部 1/4幅、1/4厚でL方向採取である。
【0139】
【実施例】
1.供試材について
表2および表3に示す厚鋼板(記号A1〜A14)、ならびに表4および表5に示すH形鋼(記号H1〜H5)を準備した。厚鋼板の板厚は表2に、H形鋼のサイズは表6に示す。H形鋼のサイズで、例えば H918×303×19/37というのは、H(ウェブ高)が918mm、フランジ幅が303mm、「ウェブ厚/フランジ厚」が19/37(mm)であることを示す。なお、表4に示した「鋼材厚さ」はフランジの厚さである。
【0140】
厚鋼板およびH形鋼の製造法も表3および表5に示した。なお、製造法の欄の記号の意味は表7および表8に示すとおりである。
【0141】
表7および表8に示したもの以外の処理(溶銑処理から脱水素処理まで)を表9に示す。また、この表に示した処理の有無を表10および表11に示す。
【0142】
溶接は、下記の条件で実施した。
【0143】
溶接材料:JIS Z 3319 YFEG−22C相当の1.6mm径のワイヤ
溶接条件:電流;380A、電圧;40V、シールドガス;CO、開先形状;V型表3および表5に厚板およびH形鋼の母材特性と溶接部特性(FL…溶融線、およびFLから1mm母材側のHAZのvE0)を示す。
【0144】
2.試験方法
非金属介在物、最大偏析部、母材超音波欠陥、母材特性(機械的性質)の評価方法は前記のとおりである。なお、引張試験はJIS G 3106 (1999)「溶接構造用圧延鋼材」に準じて行い、溶接熱影響部の偏析部割れの評価は、JIS Z 3122 (1990)の側曲げ試験で行った。
【0145】
3.試験結果
表3の母材特性および溶接部のvE0の値から、次の結論が得られる。即ち、本発明の鋼板(A1〜A5、A13、A14)では、母材の強度、靱性ともに優れており、かつ、溶接部の靱性もきわめて優れている。
【0146】
一方、Tiを含まないA6、A7およびA8の鋼板では、HAZ靱性が低い。A8はfHAZの値も大きすぎて偏析も大きく、母材の靱性も劣る。また、母材の超音波欠陥も発生している。A9の鋼板はSおよびNの含有量が高く、非金属介在物も多いためにHAZ靱性が不良である。更に、A8と同様に、偏析も大きく、超音波欠陥もみられる。
【0147】
A10の鋼板はC含有量が過多でPcmもfHAZも大きいので母材、HAZとも靱性が低く、A11の鋼板はMnが過多なうえにCeqもfHAZも大きすぎ、かつ介在物も多いためて母材およびHAZとも靱性が不足する。特にA11は、A8およびA9と同じく偏析が大きく、母材の超音波欠陥も発生している。
【0148】
A12の鋼板はO(酸素)過多で非金属介在物も多いために母材もHAZも靱性不良である。また、母材の超音波欠陥もある。これらの比較例の性能が劣る原因は、鋼材の化学組成の不適とともに、表10に示すように必要な製造条件のどれかが欠けていることにもある。
【0149】
表5の試験結果を見れば、本発明例(H1、H2)では母材および溶接部ともに機械的性質に優れていることが明らかである。一方、Tiを含まず、fHAZの値が過大な母材を使用した比較例(H3、H4およびH5)では、いずれもHAZ靱性が劣っている。また、H3の介在物過多およびH4の偏析過多は、表11に示すように製造方法の不適切が原因でもある。
【0150】
【表2】
Figure 2005008931
【0151】
【表3】
Figure 2005008931
【0152】
【表4】
Figure 2005008931
【0153】
【表5】
Figure 2005008931
【0154】
【表6】
Figure 2005008931
【0155】
【表7】
Figure 2005008931
【0156】
【表8】
Figure 2005008931
【0157】
【表9】
Figure 2005008931
【0158】
【表10】
Figure 2005008931
【0159】
【表11】
Figure 2005008931
【0160】
【発明の効果】
本発明の鋼材を用いれば、鉄骨の溶接に大入熱溶接法、例えばエレクトロガスアーク溶接を適用する場合に、連続鋳造に起因する偏析による溶接熱影響部の割れを生じることなく、また溶接継手も、強度および靭性が共に優れた特性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】fHAZとvE0との関係を示す図である。
【図2】偏析測定法を模式的に示す図である。

Claims (5)

  1. 質量%で、C:0.05〜0.18%、Si:0.001〜0.55%、Mn:0.8〜1.6%、P:0.015%以下、S:0.010%以下、Ti:0.005〜0.035%、sol.Al:0.001〜0.090%、N:0.0005〜0.010%、O(酸素):0.0050%以下を含有し、残部鉄および不純物からなり、下記▲1▼〜▲6▼の条件を全て満たすことを特徴とする鉄骨用大入熱溶接に適する鋼材。
    ▲1▼ fHAZが0.46%以下
    ▲2▼ Ceq’が0.30〜0.45%
    ▲3▼ Pcm’が0.10〜0.29%
    ▲4▼ JIS G 0555(1998)「鋼の非金属介在物の顕微鏡試験方法」の表1の点算法による顕微鏡試験方法によって測定された鋼の清浄度が、dA60×400で0.040%以下、dB60×400で0.030%以下、dC60×400で0.030%以下。
    ▲5▼ 連続鋳造法によって製造された鋳片の偏析部において、Cが0.29%以下、Pが0.30%以下、Mnが3.5%以下、Ps’が0.62%以下。
    ▲6▼ 垂直超音波探傷法による縦または横100mmピッチの線上探傷で、傷エコーF1が25%を超え、かつその欠陥指示長さが10mmを超える欠陥が1個/平方メートル以下。
    ただし、
    Figure 2005008931
    なお、上記の各式中の元素記号は、それぞれの元素の含有量(質量%)である。
  2. 質量%で、C:0.05〜0.18%、Si:0.001〜0.55%、Mn:0.8〜1.6%、P:0.015%以下、S:0.010%以下、Ti:0.005〜0.035%、sol.Al:0.001〜0.090%、N:0.0005〜0.010%、O(酸素):0.0050%以下、ならびにCu:0.05〜0.6%、Ni:0.05〜1.0%、Cr:0.05〜0.5%、Mo:0.02〜0.5%、V:0.01〜0.20%、Nb:0.005〜0.10%およびB:0.0005〜0.0030%の中の1種以上を含有し、残部鉄および不純物からなり、下記▲1▼〜▲6▼の条件を全て満たすことを特徴とする鉄骨用大入熱溶接に適する鋼材。
    ▲1▼ fHAZが0.46%以下
    ▲2▼ Ceqが0.30〜0.45%
    ▲3▼ Pcmが0.10〜0.29%
    ▲4▼ JIS G 0555(1998)「鋼の非金属介在物の顕微鏡試験方法」の表1の点算法による顕微鏡試験方法によって測定された鋼の清浄度が、dA60×400で0.040%以下、dB60×400で0.030%以下、dC60×400で0.030%以下。
    ▲5▼ 連続鋳造法によって製造された鋳片の偏析部において、Cが0.29%以下、Pが0.30%以下、Mnが3.5%以下、Psが0.62%以下。
    ▲6▼ 垂直超音波探傷法による縦または横100mmピッチの線上探傷で、傷エコーF1が25%を超え、かつその欠陥指示長さが10mmを超える欠陥が1個/平方メートル以下。
    ただし、
    Figure 2005008931
    なお、上記の各式中の元素記号は、それぞれの元素の含有量(質量%)である。
  3. 質量%で、C:0.05〜0.18%、Si:0.001〜0.55%、Mn:0.8〜1.6%、P:0.015%以下、S:0.010%以下、Ti:0.005〜0.035%、sol.Al:0.001〜0.090%、N:0.0005〜0.010%、O(酸素):0.0050%以下、ならびにCa:0.00007〜0.0050%、Mg:0.00007〜0.0050%およびREM:0.00007〜0.0100%の中の1種以上を含有し、残部鉄および不純物からなり、下記▲1▼〜▲6▼の条件を全て満たすことを特徴とする鉄骨用大入熱溶接に適する鋼材。
    ▲1▼ fHAZが0.46%以下
    ▲2▼ Ceq’が0.30〜0.45%
    ▲3▼ Pcm’が0.10〜0.29%
    ▲4▼ JIS G 0555(1998)「鋼の非金属介在物の顕微鏡試験方法」の表1の点算法による顕微鏡試験方法によって測定された鋼の清浄度が、dA60×400で0.040%以下、dB60×400で0.030%以下、dC60×400で0.030%以下。
    ▲5▼ 連続鋳造法によって製造された鋳片の偏析部において、Cが0.29%以下、Pが0.30%以下、Mnが3.5%以下、Ps’が0.62%以下。
    ▲6▼ 垂直超音波探傷法による縦または横100mmピッチの線上探傷で、傷エコーF1が25%を超え、かつその欠陥指示長さが10mmを超える欠陥が1個/平方メートル以下。
    ただし、
    Figure 2005008931
    なお、上記の各式中の元素記号は、それぞれの元素の含有量(質量%)である。
  4. 質量%で、C:0.05〜0.18%、Si:0.001〜0.55%、Mn:0.8〜1.6%、P:0.015%以下、S:0.010%以下、Ti:0.005〜0.035%、sol.Al:0.001〜0.090%、N:0.0005〜0.010%、O(酸素):0.0050%以下、ならびにCu:0.05〜0.6%、Ni:0.05〜1.0%、Cr:0.05〜0.5%、Mo:0.02〜0.5%、V:0.01〜0.20%、Nb:0.005〜0.10%およびB:0.0005〜0.0030%の中の1種以上、更にCa:0.00007〜0.0050%、Mg:0.00007〜0.0050%およびREM:0.00007〜0.0100%の中の1種以上を含有し、残部鉄および不純物からなり、下記▲1▼〜▲6▼の条件を全て満たすことを特徴とする鉄骨用大入熱溶接に適する鋼材。
    ▲1▼ fHAZが0.46%以下
    ▲2▼ Ceqが0.30〜0.45%
    ▲3▼ Pcmが0.10〜0.29%
    ▲4▼ JIS G 0555(1998)「鋼の非金属介在物の顕微鏡試験方法」の表1の点算法による顕微鏡試験方法によって測定された鋼の清浄度が、dA60×400で0.040%以下、dB60×400で0.030%以下、dC60×400で0.030%以下。
    ▲5▼ 連続鋳造法によって製造された鋳片の偏析部において、Cが0.29%以下、Pが0.30%以下、Mnが3.5%以下、Psが0.62%以下。
    ▲6▼ 垂直超音波探傷法による縦または横100mmピッチの線上探傷で、傷エコーF1が25%を超え、かつその欠陥指示長さが10mmを超える欠陥が1個/平方メートル以下。
    ただし、
    Figure 2005008931
    なお、上記の各式中の元素記号は、それぞれの元素の含有量(質量%)である。
  5. Cの含有量が0.13〜0.18%であり、かつ鋼材の厚みが40mm以下であることを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の鉄骨用大入熱溶接に適する鋼材。
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