JP2005008729A - 熱可塑性成形材料 - Google Patents

熱可塑性成形材料 Download PDF

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Makoto Mizuguchi
良 水口
Hiroyuki Yamazaki
裕之 山崎
Takeshi Morita
毅 森田
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Abstract

【課題】高い流動性を有し、透明性、耐薬品性に優れ、高温加熱成形時にもゲル化しないスチレンと2級ヒドロキシ基含有の(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体が成形材料として使用できることを見出し、ポリスチレンの透明性、強度を維持し、耐薬品性を発現させたスチレン系熱可塑性成形材料を提供する。
【解決手段】スチレンと2級ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートと炭素数1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとを構成成分とし、特にスチレンと2級ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートと炭素数1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとの質量比が、94〜25:5〜25:1〜50であり、メルトマスフローレートが0.1g/10min〜25g/10minである共重合体を含んでなる熱可塑性成形材料。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スチレンと2級ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体を含んでなる各種用途に使用される熱可塑性成形材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
スチレン系樹脂は剛性が高く、寸法安定性に優れ、かつ安価であることから、成形用途に広く使用されている。しかしながら、オレフィン系樹脂に比べ、薬品には犯されやすい。近年、種々の用途において、スチレン系樹脂の耐薬品性の向上が求められている。
そこで、シンジオタクティックポリスチレンとアタクティックポリスチレンからなるスチレン系樹脂組成物を270〜370℃程度の高温で加熱溶融し、100℃以下の金型温度で成形し、有機溶剤に対する耐薬品性を向上させた方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この方法では、透明性の低下、及び射出成形は可能であるが、押出成形は困難であるという制限がある。
【0003】
また、ポリスチレンと他の樹脂とのアロイや、多層成形により、耐薬品性を高める方法(例えば特許文献2参照)もあるが、操作性やモルホロジーの制御が困難であり、汎用樹脂の用途、特に包装資材分野には向かない。
【0004】
そのような中で、耐薬品性を高めるためには、水酸性の官能基を含有した樹脂設計を容易に思いつくが、スチレンと1級のヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートなどの共重合体は、高い熱履歴(200℃以上)を受けるような成形条件において、分子間による架橋反応が促進し、即座にゲル化が生じるため、成形材料に使用することはできない。
現在、コーティング材料、ラテックス、水酸性ゲル、複合材料、発泡用途などでスチレン、アクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステルを主成分とし、更に架橋反応を生じるために、2級のヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートを併用してなる樹脂が使用されている(例えば、特許文献3参照)。このような樹脂は、実質的に架橋剤を用いて硬化させることを目的としているため、所謂熱可塑性を有する成形材料として使用することができない。
【0005】
【特許文献1】特開平8−92385号公報
【特許文献2】特開平6−263941号公報
【特許文献3】特開昭61−288663号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、ポリスチレンの透明性、強度を維持し、耐薬品性を発現させたスチレン系熱可塑性成形材料の提供である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、高い流動性を有し、透明性、耐薬品性に優れ、高温加熱成形時にもゲル化しないスチレンと2級ヒドロキシ基含有の(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体が成形材料として使用できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、スチレンと2級ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートと炭素数1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとを構成成分とし、メルトマスフローレートが0.1g/10min〜25g/10minである共重合体を含んでなる熱可塑性成形材料及びそれからなるシート、容器を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の熱可塑性成形材料は、スチレンと2級ヒドロキシ基含有の(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる共重合体を含有するものである。
【0010】
本発明でのスチレンと2級ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体は、スチレンと2級ヒドロキシ基含有の(メタ)アクリレート(例えば、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート)からなる共重合体に比べて強度、特に、最大曲げ強度が高いものであり、成形材料に好適に用いることができるものである。
【0011】
かかるスチレンと2級ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体は、熱可塑性成形材料として用いるためには、適切な流動性を保持している必要があり、JIS K7210:99に従って測定されたメルトマスフローレート(以下、MFRと略す)が、0.1/10min〜25g/10minであり、1.0g/10min〜15g/10minであることが好ましい。かかるMFRの値が0.1/10minよりも小さいと成形性が悪く、25g/10minを越えると強度が劣るという不都合が生じて成形材料として好ましくない。
【0012】
スチレンと2級ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体においての重量平均分子量(Mw)は、前記のMFRとの関連から、Mw10万〜60万が好ましく、15万〜50万がより好ましい。
【0013】
スチレンと2級ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体は、トルエン不溶分の含有の比率が高まると、押出成形(シート成形)による、透明性や成形表面の外観不良が発生することから、トルエン不溶分の比率は5質量%以下であることが好ましく、2%以下であることがより好ましい。
【0014】
スチレンと2級ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸エステルの質量比において、2級ヒドロキシ基含有アクリレートの質量比が、30%を超えると成形時の熱履歴による架橋反応が増加し、成形材料としての利用が難しくなる。また、逆に2級ヒドロキシ基含有アクリレートの質量比が、小さいと、耐薬品性の効果が薄れ、(メタ)アクリル酸エステルの重量比が、小さいと物性強度が低くなることから、スチレン:2級ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート:(メタ)アクリル酸エステル=94:1:5〜25:25:50が好ましく、85:10:5〜40:20:40がより好ましい。
【0015】
本発明での共重合体の成分である2級ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートについては、特に制限はなく、例えば2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレートなどをあげることができる。熱履歴による架橋反応がエステル交換反応によると考えられ、架橋反応によるゲル生成を抑制するためには、ヒドロキシ基が結合する炭素の隣接する環境を、嵩高くするのが好ましい。そのような理由から、副反応を起こさない2級ヒドロキシ基を含有するアルキル鎖を有するものが好ましく、特に、水酸基の特徴(耐薬品性)を低下させないためには、ヒドロキシ基が結合する炭素の隣がメチル基である、特に2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0016】
スチレンと2−ヒドロキシプロピルアクリレートからなるコポリマーに比べ、スチレンと2−ヒドロキシプロピルアクリレートと(メタ)アクリレートから成るコポリマーは全モノマー比で同じ重量比の2−ヒドロキシプロピルアクリレートを含む場合、架橋反応によるゲル化を抑制する。
【0017】
前記スチレンと2級ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸エステルの重合反応には、公知慣用のスチレン系樹脂の重合方法を使用することが可能である。重合方式には特に限定はないが、塊状重合、懸濁重合、あるいは溶液重合が好ましい。重合開始剤を使用せずに熱重合することも可能であるが、慣用のラジカル重合開始剤を使用するのが好ましい。また、重合に必要な懸濁剤や乳化剤などのような重合助剤は、通常のスチレン系樹脂の製造に使用される慣用のものを使用することも可能である。
【0018】
また、共重合体の粘性を低下させるために、反応系に有機溶剤を添加してもよく、その有機溶剤は、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、アセトニトリル、ベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソール、シアノベンゼン、ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン等が挙げられる。
【0019】
用いるラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく、公知慣用の例えば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等のパーオキシケタール類、
クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類、ベンゾイルパーオキサイド、ジシナモイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシイシプロピルモノカーボネート等のパーオキシエステル類、
N,N’−アゾビスイソブチルニトリル、N,N’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、N,N’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、N,N’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、N,N’−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]等が挙げられ、これらの1種あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0020】
更に前記共重合体の分子量を制御するために連鎖移動剤を添加してもよい。連鎖移動剤としては、連鎖移動基を1つ有する単官能連鎖移動剤でも連鎖移動剤を複数有する多官能連鎖移動剤を使用できる。単官能連鎖移動剤としては、アルキルメルカプタン類、チオグリコール酸エステル類等が挙げられる。
【0021】
多官能連鎖移動剤としては、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール水酸基をチオグリコール酸または3−メルカプトプロピオン酸でエステル化したものが挙げられる。
【0022】
本発明の成形材料には、必要により、任意の添加剤を配合することができる。添加剤の種類は、プラスチックの配合に一般的に用いられるものであれば特に制限はないが、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、タルク等の無機充填剤、有機繊維、酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄等の顔料、染料、ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、エチレンビスステアロアミド等の滑剤、離型剤、有機ポリシロキサン、ミネラルオイル等の可塑剤、ヒンダードフェノール系やリン系の酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、ガラス繊維、炭素繊維、金属ウィスカ等の補強剤、発泡剤、その他添加剤或いはこれらの混合物等が挙げられる。
【0023】
本発明のスチレンと2級ヒドロキシを有する(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸エステルの共重合体を含有する成形材料を用いて、シート成形行う場合においても、通常のスチレン系樹脂と同様な条件で無色透明なシートを得ることが可能である。
【0024】
前記で得られるシートの二次成形、即ち容器成形においても、通常のスチレン系樹脂と同様な条件、容易に成形することが可能である。
【0025】
また、本発明の成形材料を有機溶剤に溶解して作成したキャストフィルムによる耐薬品性評価を行うと、ホモポリスチレンに比べ、高い耐薬品性を示すことも判明した。
尚、本発明の成形材料は、上記以外の用途、即ち射出成形、単軸押出成形、二軸延伸押出成形、インフレーション押出成形、異形押出成形、真空成形、圧空成形、吹込成形などの各種成形方法により各種成形品にして使用することができる。その用途は広範なものに及び、例えばオーディオプレーヤーなどの家庭電気・器具類の部品、複写機、プリンター、ファクシミリ、パソコンなどのOA機器の各種部品、ICキャリアマガジン、食品容器、医療器具類の部品、ブリスターパッケージ、食品の包装容器などにも使用することができる。
【0026】
而して、本発明の成形材料は、成形時にゲル化を抑制しつつ、ホモポリスチレンに比べ高い耐薬品性を発現することが可能である。
【0027】
【実施例】
以下に実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。本発明はもとより、これらの実施例の範囲に限定されるべきものではない。次に用いた測定方法について説明する。尚、例中「部」は、質量部である。
【0028】
(GPC測定法)
高速液体クロマトグラフィー(東ソー株式会社製HLC−8220GPC)、RI検出器、TSKgel G6000H×1+G5000H×1+G4000H×l+G3000H×l+TSKguard columnH×l−H、溶媒THF、流速1.0ml/分、温度40℃にて測定した。
【0029】
(メルトマスフローレイト測定法)
JIS K7210:99に従って測定した。なお測定条件は、温度200℃。荷重49Nである。
【0030】
(シャルピー衝撃強度)
JIS K7111:96に従って測定した。
【0031】
(ビカット軟化点)
JIS K7206:99に従って測定した。
【0032】
(引張破壊応力、引張破壊呼び歪、引張弾性率)
JIS K7161:94、JIS K7162:94に従って測定した。
【0033】
(熱安定性試験)
上記のメルトマスフローレイト測定で使用するMELT INDEXER(東洋精機製 TYPE C−5059D)を用いる。手順として、測定温度に安定化させ、樹脂を10g入れ、オリフィスからストランド樹脂が出だしたら、樹脂出口を塞いで、滞留状態で1kgの荷重を懸けた。
その後、オリフィス出口を開け、樹脂の状態を確認するために、3〜5kgの荷重でストランドを押出し、目視にて樹脂の安定性(ハードゲル化の有無)を確認した。
【0034】
(トルエン不溶分測定法)
試料をトルエンに1g/100mlの濃度にて溶解後、溶液中の不溶分を12000rpmで30分間、遠心分離した。遠心分離されたトルエン不溶分を乾燥し、乾燥後の質量を求め次式によりトルエン不溶分を求めた。
トルエン不溶分(質量%)=[乾燥後の不溶分質量/試料の質量]×100
【0035】
(キャストフィルムの作成)
樹脂をトルエンに溶解して、12%溶液を調整し、表面がなめらかなガラス板の上に塗布し、乾燥させ、50±10μmのフィルムを作成した。
【0036】
(耐薬品評価)
上記で得られたフィルムに対し、薬品(灯油、エタノール、大豆油、スピンドン酸、サラダ油、ゴマ油、バスマジックリン、の7つ)をパスツールピペットで、1適滴下し、経時変化を目視により確認した。(表の○は、変化なし、×は、フィルムの溶解や皺寄せが発生したことを示す)
【0037】
(ゲル化の評価)
重合反応によって得られたポリマーを230℃、真空下、1時間、高温反応後、トルエンに溶解し、その溶解性から目視によりゲル化を評価した。
【0038】
(連続塊状重合装置)
本実施例で得られるスチレン樹脂組成物は、図1に示すように配列された装置により得られる。他のモノマー類及び溶媒を含む混合溶液を、プランジャーポンプ(1)によって20リットルの攪拌式反応器(2)へ送り、攪拌翼による動的混合下で初期重合した。次いで、この混合溶液をギアポンプ(3)により循環重合ライン(I)へ送る。循環重合ライン(I)は入口から順に内径2.5インチ管状反応器(スイス国ゲブリューター・ズルツァー社製SMX型スタティックミキサー・静的ミキシングエレメント30個内蔵)、(4)、(5)及び(6)と混合溶液を循環させるためのギアポンプ(7)から構成されている。管状反応器(6)とギアポンプ(7)の間には非循環重合ライン(II)には入口から順に上記と同様の管状反応器(8)、(9)及び(10)とギアポンプ(11)が直結されている。
【0039】
(実施例1)
スチレン76.4部、2−ヒドロキシプロピルアクリレート9.1部、メタクリル酸メチル5.5部をトルエン10部からなる混合溶液を調整し、更に、有機過酸化物としてモノマーに対し150ppmのt−ブチルパーオキシベンゾエート、連鎖移動剤としてモノマーに対し、300ppmのテトラドデシルメルカプタンを加え、上記装置を用いて下記条件で、連続的に塊状重合させた。
【0040】
混合溶液の供給量:9リットル/時間
攪拌式反応器(2)での反応温度:115℃
循環重合ライン(I)での反応温度:115℃
非循環重合ライン(II)での反応温度:130〜160℃
還流比:R= F1/F2 = 6
【0041】
重合させて得られた混合溶液を熱交換器で220℃まで加熱し、50mmHgの減圧下で揮発性成分を除去した後、ペレット化して共重合体を得た。得られた共重合体の質量平均分子量(Mw)は、24.9万であった。なお、かかる共重合体の熱安定性試験では、滞留温度260℃/滞留時間30分および滞留温度240℃/滞留時間60分でもハードゲル化しなかった。尚、得られた共重合体の諸物性を測定し、表1に示した。
(実施例2)
タービン翼を備えた5リットルステンレス製反応器にイオン交換水1600mlを仕込み、これに懸濁安定剤として、部分けん化ポリビニルアルコール8%水溶液16g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.032g、炭酸ナトリウム10%水溶液、0.64g、リン酸カルシウム0.32g、を添加し溶解後、スチレン840gと2−ヒドロキシプロピルアクリレート210gとイソブチルメタアクリレート350gの混合溶液ベンゾイルパーオキサイド5.6g、t−ブチルパーオキシベンゾエート1.4gを順次に仕込んだ。
【0042】
反応器内を窒素ガスで置換後、500rpmの攪拌下で昇温し、85℃で4時間、110℃で2時間、懸濁重合させた。生成した樹脂を洗浄、脱水し、1100gの共重合体が得られた。得られた共重合体をシリンダー温度220℃の押出機で造粒した。得られた共重合体の質量平均分子量(Mw)は、43.3万であった。なお、かかる重合体の熱安定性試験では、滞留温度260℃/滞留時間20分および滞留温度220℃/滞留時間120分でもハードゲル化しなかった。尚、得られた共重合体の諸物性を測定し、表1に示した。
【0043】
(実施例3)
タービン翼を備えた5リットルステンレス製反応器にイオン交換水1600mlを仕込み、これに懸濁安定剤として、部分けん化ポリビニルアルコール8%水溶液16g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.032g、炭酸ナトリウム10%水溶液0.64g、リン酸カルシウム0.32g、を添加し溶解後、スチレン1190gと2−ヒドロキシプロピルアクリレート210g混合溶液、ベンゾイルパーオキサイド5.6g、t−ブチルパーオキシベンゾエート1.4gを順次に仕込んだ。
【0044】
反応器内を窒素ガスで置換後、500rpmの攪拌下で昇温し、85℃で4時間、110℃で2時間、懸濁重合させた。生成した樹脂を洗浄、脱水し、1100gの共重合体が得られた。得られた共重合体をシリンダー温度220℃の押出機で造粒した。得られた共重合体の質量平均分子量(Mw)は、40.0万であった。なお、かかる重合体の熱安定性試験では、滞留温度260℃/滞留時間20分および滞留温度220℃/滞留時間120分でもハードゲル化しなかった。尚、得られた共重合体の諸物性を測定し、表1に示した。
【0045】
(実施例4)
容量20mlのアンプル管に、スチレン(6.5g)と2−ヒドロキシプロピルアクリレート(1.5g)、イソブチルメタアクリレート(2g)、トルエン1g、t−ブチルパーオキシベンゾエート2.5mg、テトラドデシルメルカプタン5.0mg加え、窒素置換、封管した後、115℃、1.5時間、131℃、2時間、141℃、45分間、152℃、45分間、順に静置重合させた。重合率79%、得られた共重合体の質量平均分子量(Mw)は20.9万であった。尚、かかる共重合体のキャストフィルムによる耐薬品性のテストを実施した。その結果を表2に示す。
【0046】
(比較例1)
スチレン81.0部、2−ヒドロキシプロピルアクリレート9.0部をトルエン10部からなる混合溶液を調整し、更に、有機過酸化物としてモノマーに対し150ppmのt−ブチルパーオキシベンゾエート、連鎖移動剤としてモノマーに対し、300ppmのテトラドデシルメルカプタンを加え、上記装置を用いて下記条件で、連続的に塊状重合させた。
【0047】
混合溶液の供給量:9リットル/時間
攪拌式反応器(2)での反応温度:132℃
循環重合ライン(I)での反応温度:132℃
非循環重合ライン(II)での反応温度:140〜160℃
還流比:R= F1/F2 = 6
【0048】
重合させて得られた混合溶液を熱交換器で220℃まで加熱し、50mmHgの減圧下で揮発性成分を除去した後、ペレット化して共重合体を得た。得られた共重合体の質量平均分子量(Mw)は、21.3万であった。なお、かかる重合体の熱安定性試験では、滞留温度260℃/滞留時間20分および滞留温度220℃/滞留時間120分でもハードゲル化しなかった。尚、得られた共重合体の諸物性を測定し、表1に示した。
【0049】
(比較例2)
容量20mlのアンプル管に、スチレン(9.5g)と2−ヒドロキシプロピルアクリレート(0.3g)、イソブチルメタクリレート (0.2g)、トルエン1g、t−ブチルパーオキシベンゾエート1.5mg、テトラドデシルメルカプタン5.0mg加え、窒素置換、封管した後、132℃、1.5時間、138℃、2時間、151℃、45分間、158℃、45分間、順に静置重合させた。重合率77.3%、得られた共重合体の質量平均分子量(Mw)は24.5万であった。尚、かかる共重合体のキャストフィルムによる耐薬品性のテストを実施した。その結果を表2に示す。
【0050】
(比較例3)
容量20mlのアンプル管に、スチレン(2.5g)と2−ヒドロキシプロピルアクリレート(2.0g)、メチルメタクリレート(6.0g)、トルエン1g、t−ブチルパーオキシベンゾエート1.5mg、テトラドデシルメルカプタン5.0mg加え、窒素置換、封管した後、132℃、1.5時間、138℃、2時間、151℃、45分間、158℃、45分間、順に静置重合させた。重合率76.3%、得られた共重合体の質量平均分子量(Mw)は19.9万であった。なお、かかる重合体の熱安定性試験では、滞留温度230℃/滞留時間60分でハードゲル化した。
【0051】
(比較例4)
容量20mlのアンプル管に、スチレン(5.0g)と2−ヒドロキシプロピルアクリレート(3.0g)、イソブチルメタクリレート (2.0g)、トルエン1g、t−ブチルパーオキシベンゾエート1.5mg、テトラドデシルメルカプタン5.0mg加え、窒素置換、封管した後、132℃、1.5時間、138℃、2時間、151℃、45分間、158℃、45分間、順に静置重合させた。重合率80.3%、得られた共重合体の質量平均分子量(Mw)は21.5万であった。
なお、かかる重合体の熱安定性試験では、滞留温度230℃/滞留時間60分でハードゲル化した。
【0052】
【表1】連続塊状重合で得られた実施例1.2.3、比較例1の物性値
Figure 2005008729
【0053】
【表2】実施例4、比較例2のキャストフィルムによる耐薬品性評価耐油性実験の結果
Figure 2005008729
【0054】
表2中の記号は次の通りである。
〇:劣化せず(カッコ内の時間は保持時間)、×:劣化(フィルムに皺、破れ、溶解などあり、カッコ内時間は劣化時間)
【0055】
【発明の効果】
流動性を有し、しかも曲げ強度、本発明は、良好な透明性、耐薬品性にすぐれた熱可塑性成形材料およびその材料からなるシート、容器などを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】静的ミキシングエレメントを有する管状反応器を組み込んだ連続塊状重合ラインの1例を示す工程図である。

Claims (7)

  1. スチレンと2級ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートと炭素数1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとを構成成分とし、メルトマスフローレートが0.1g/10min〜25g/10minである共重合体を含んでなる熱可塑性成形材料。
  2. 前記共重合体のトルエン不溶分が5質量%以下である請求項1に記載の熱可塑性成形材料。
  3. 前記2級ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートが2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートである請求項1又は2に記載の熱可塑性成形材料。
  4. スチレンと2級ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートと炭素数1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとの質量比が、94〜25:5〜25:1〜50である請求項1乃至3のいずれかに記載の熱可塑性成形材料。
  5. 前記共重合体が、質量平均分子量10万〜50万である請求項1乃至4のいずれかに記載の熱可塑性成形材料。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の熱可塑性成形材料から成るシート。
  7. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の熱可塑性成形材料から成る容器。
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