JP2005007339A - 有機性廃液の処理方法および処理装置 - Google Patents

有機性廃液の処理方法および処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】有機性廃液の嫌気性処理において、効率的に汚泥の溶解性を向上させると同時に、汚泥中に存在するリンを溶出させ、消化ガスの発生を促進し、処分汚泥量の低減をはかるとともに、リンを回収する。
【解決手段】流入する有機性廃液にオゾン処理を行ない、ついでアルカリ処理を行なったのち、改質後の有機性廃液を固形物と溶液に分離する。分離後の固形物を嫌気性消化槽に導入して嫌気性消化を行なうとともに、分離後の溶液からリンを回収する。嫌気性消化槽の消化汚泥を引き抜き、引き抜いた消化汚泥に分散および改質の処理を加えてもよい。また、引き抜いた消化汚泥の固液分離を行ない、得られた濃縮汚泥に分散および改質の処理を加えるようにしてもよい。
【選択図】 図9

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機性廃液の処理方法および処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
食品などの製造プロセスからの廃液、下廃水処理プロセスで排出される有機性汚泥あるいは人畜のし尿など、スラリー状の高濃度有機性廃液の処理には、嫌気性微生物を用いた嫌気性消化と呼ばれる処理方法が広く実施されている。この嫌気性消化では、廃液中の有機物は微生物の作用により、固形物の溶解、有機酸生成、メタン生成のプロセスを経て、最終的にはメタンガスに変換される。このメタンガスは燃料や発電原料として利用できるため、エネルギー生産型の処理方法として注目されている。
【0003】
しかし、この嫌気性消化においては、固形物の溶解から有機酸生成、メタン生成までの微生物の作用が遅く、処理に長時間を要するため装置、とくに嫌気性消化を行なう消化槽が大型化するという欠点がある。
【0004】
さらに、処理すべき流入廃液中には、紙や木材などに由来する繊維質や微生物の細胞壁など、嫌気性微生物によって溶解され難い固形物、すなわち難溶解性物質が含まれる場合が多い。この難溶解性物質は、固形物の溶解および有機酸生成の過程でも溶解されずに残存するため、メタンガスに変換されることなく未分解の汚泥として消化槽から引き抜かれ、焼却などの方法でエネルギーを投入して処分される。現状の嫌気性消化では、流入廃液中の固形物の約50%が溶解できずに引き抜き処分されており、その結果、メタンガスとしてのエネルギー回収も50%程度にとどまっている。したがって、流入廃液中の有機物からのエネルギー回収率を高め、処分する汚泥の量を減らすには、流入廃液中や消化汚泥中に存在する難溶解性物質を溶解させ、メタンガスへの変換を促進することが課題である。
【0005】
これら難溶解性物質の溶解には、難溶解性物質を易溶解性物質ヘ改質する、すなわち嫌気性消化槽内の微生物にとって溶解可能な物質に改質し、それを微生物によって溶解させることが有効であり、効率的な易溶解性物質への改質方法、改質装置が重要である。
【0006】
また、近年、リンの採掘年数に限界があることが明らかとなり、リン資源の再利用が重要視されている。有機性廃液、特に下廃水処理プロセスで発生する有機汚泥にはリンが比較的高濃度で含まれている場合があり、この有機汚泥中からリンを溶出させ、回収し、再利用するための方法、装置が重要となっている。
【0007】
嫌気性消化において固形物の溶解性を増大し、メタンガスへの変換を向上する方法として、特許文献1には、嫌気性消化槽から引き抜いた消化汚泥をオゾン処理または高圧パルス放電処理により改質し、この処理汚泥を嫌気性消化槽に戻す処理方法が記載されている。このような処理方法では、処理すべき廃液を被処理液路から投入し、嫌気性消化槽で消化処理を行なう。嫌気性消化槽の汚泥は連絡路を通って膜分離装置へ輸送され、濃縮汚泥と処理液に分離される。膜分離装置で分離された汚泥は返送汚泥路によって嫌気性消化槽へ返送されるとともに、その一部は濃縮液取出路を通って改質槽へ送られ、ここでオゾン処理を行なった後、改質汚泥路を介して嫌気性消化槽に返送される。
【0008】
また、廃水処理プロセスにて発生する有機汚泥からリンを溶出させ回収する試みの例が、たとえば非特許文献1に開示されている。ここでは、下水処理場の活性汚泥を70〜90℃で最大120分間加熱処理することにより、活性汚泥中のリン成分を液相中に溶出させた結果が開示されている。
【0009】
【特許文献1】
特開平9−206785号公報(第2−3頁、第1図)
【非特許文献1】
大竹久夫、他4名,「バイオレメディエーション技術を活用する汚染環境の修復 リン資源の循環再利用のためのバイオテクノロジー」,環境科学会誌,社団法人環境科学会,平成11年,第12巻,第4号,p.433〜441
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1のオゾンを用いた従来技術では、汚泥の溶解性を向上させるためだけに汚泥のオゾン処理を行なっており、このオゾン処理において、汚泥中に含まれるリンを液相中に溶出させる効果についてはまったく示されていない。一方、非特許文献1下水汚泥からのリン回収に関する従来技術では、加熱処理によって汚泥中のリン成分を液相中に溶出させているが、この加熱処理はリン溶出のためだけに行なわれており、汚泥を加熱処理することによるリン溶出以外の効果はまったく示されていない。したがって、汚泥からエネルギーとリンを同時に回収するための処理方法および処理装置についてはこれまでまったく開示されておらず実現するための方法、装置は全く存在しない。
【0011】
また、嫌気性消化槽内の汚泥は、種々の微生物や有機ポリマーなどが高度に密集し汚泥フロックを形成している。ところが、前記のオゾンを用いた従来技術では、消化汚泥中の固形物に対し直接オゾン処理を行なっているため、オゾンがこの汚泥フロックの内部にまで浸透できず、オゾンは汚泥固形物の表面とのみ反応することになる。その結果、このようなオゾン処理単独では、難溶解性物質の改質、すなわち易溶解性物質への変換が不充分となり、汚泥固形物の溶解性増大およびメタンガスへの変換効率向上の効果が充分に得られないという問題があった。
【0012】
また、前記従来技術において、オゾン処理によって固形物を分散させ、オゾンを固形物の内部の難分解性物質と反応させることも可能ではあるが、オゾンのみで固形物の分散を行なおうとすると、その分オゾン消費量が増加してしまい、難溶解性物質の改質すなわち易溶解物質への変換を達成するために大量のオゾンが必要となり、効率的な処理とならず、運転費用が高くなってしまうという問題があった。
【0013】
本発明は、生産プロセスからの有機性廃液や下廃水処理で生じる有機汚泥などを嫌気性消化によって処理する際に、有機性廃液、有機汚泥または嫌気性消化汚泥に含まれる固形物の溶解性を増大させ、メタンガスへの変換率を向上させ、処分すべき汚泥量を低減できるだけでなく、これと同時に、枯渇が懸念されているリンを有機性廃液、有機汚泥または嫌気性消化汚泥から溶出させ、資源として回収できるエネルギー・リン同時回収型の処理方法および処理装置を提供することを目的とする。さらに、本発明は、単独処理では効率が低い課題を解決するため、2つ以上の処理を組み合わせることで、より少ないエネルギー、コストで効率的にエネルギー・リン同時回収を達成できる有機性廃液の処理方法および処理装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明の有機性廃液処理方法は、嫌気性消化を行なう有機性廃液の処理方法であって、
流入する有機性廃液、嫌気性消化を行なう工程から引き抜かれた消化汚泥、および当該消化汚泥を固液分離したのちの固形物である濃縮汚泥のうち少なくとも2つの少なくとも一部分、あるいは該有機性廃液、該消化汚泥、および該濃縮汚泥のうち少なくとも2つからなる混合物の少なくとも一部分にオゾン処理を行なうオゾン処理工程と、
該オゾン処理後に行なうアルカリ処理工程と、
該アルカリ処理後に嫌気性消化を行なう工程
とを含む方法である。
【0015】
本発明の他の有機性廃液処理方法は、嫌気性消化を行なう有機性廃液の処理方法であって、
流入する有機性廃液、嫌気性消化を行なう工程から引き抜かれた消化汚泥、および当該消化汚泥を固液分離したのちの固形物である濃縮汚泥のうち少なくとも1つの少なくとも一部分、あるいは該有機性廃液、該消化汚泥、および該濃縮汚泥のうち少なくとも2つからなる混合物の少なくとも一部分にオゾン処理を行なうオゾン処理工程と、
該オゾン処理後に行なうアルカリ処理工程と、
該アルカリ処理工程後に、溶液と固形物に分離する固液分離工程と、
該溶液からリンを回収するリン回収工程工程と
該固形物に嫌気性消化を行なう工程
とを含み、
前記アルカリ処理工程において、前記溶液中のアルカリ物質を用いる方法である。
【0016】
本発明のまた他の有機性廃液処理方法は、嫌気性消化を行なう有機性廃液の処理方法であって、
流入する有機性廃液、嫌気性消化を行なう工程から引き抜かれた消化汚泥、および該消化汚泥を固液分離したのちの固形物である濃縮汚泥のうち少なくとも2つの少なくとも一部分、あるいは該有機性廃液、該消化汚泥、および該濃縮汚泥のうち少なくとも2つからなる混合物の少なくとも一部分にオゾン処理を行なうオゾン処理工程と、
該オゾン処理後に嫌気性消化を行なう工程とを含み、
該オゾン処理工程を、過酸化水素の存在下、または紫外線照射下で行なう方法である。
【0017】
本発明のさらなる有機性廃液処理方法は、嫌気性消化を行なう有機性廃液の処理方法であって、
流入する有機性廃液、嫌気性消化を行なう工程から引き抜かれた消化汚泥、および該消化汚泥を固液分離したのちの固形物である濃縮汚泥のうち少なくとも1つの少なくとも一部分、あるいは該有機性廃液、該消化汚泥、および該濃縮汚泥のうち少なくとも2つからなる混合物の少なくとも一部分にオゾン処理を行なうオゾン処理工程と、
該オゾン処理後に行なうアルカリ処理工程と、
該アルカリ処理工程後に、溶液と固形物に分離する固液分離工程と、
該溶液からリンを回収するリン回収工程と
該固形物に嫌気性消化を行なう工程
とを含む方法
または、
流入する有機性廃液、嫌気性消化を行なう工程から引き抜かれた消化汚泥、および該消化汚泥を固液分離したのちの固形物である濃縮汚泥のうち少なくとも1つの少なくとも一部分、あるいは該有機性廃液、該消化汚泥、および該濃縮汚泥のうち少なくとも2つからなる混合物の少なくとも一部分に、過酸化水素存在下または紫外線照射下でオゾン処理を行なうオゾン処理工程と
該オゾン処理工程後に、溶液と固形物に分離する固液分離工程と、
該溶液からリンを回収するリン回収工程と
該固形物に嫌気性消化を行なう工程
とを含む方法
において、前記オゾン処理および前記アルカリ処理の少なくとも1つを加熱しながら行なう方法である。
【0018】
本発明のさらに他の有機性廃液処理方法は、嫌気性消化を行なう有機性廃液の処理方法であって、
流入する有機性廃液、嫌気性消化を行なう工程から引き抜かれた消化汚泥、および該消化汚泥を固液分離したのちの固形物である濃縮汚泥のうち少なくとも1つの少なくとも一部分、あるいは該有機性廃液、該消化汚泥、および該濃縮汚泥のうち少なくとも2つからなる混合物の少なくとも一部分にオゾン処理を行なうオゾン処理工程と、
該オゾン処理後に行なうアルカリ処理工程と、
該アルカリ処理工程後に、溶液と固形物に分離する固液分離工程と、
該溶液からリンを回収するリン回収工程と
該固形物に嫌気性消化を行なう工程
とを含む方法
または、
流入する有機性廃液、嫌気性消化を行なう工程から引き抜かれた消化汚泥、および該消化汚泥を固液分離したのちの固形物である濃縮汚泥のうち少なくとも1つの少なくとも一部分、あるいは該有機性廃液、該消化汚泥、および該濃縮汚泥のうち少なくとも2つからなる混合物の少なくとも一部分に、過酸化水素存在下または紫外線照射下でオゾン処理を行なうオゾン処理工程と
該オゾン処理工程後に、溶液と固形物に分離する固液分離工程と、
該溶液からリンを回収するリン回収工程と
該固形物に嫌気性消化を行なう工程
とを含む方法
において、前記固形物を嫌気性消化に導入する際、微生物活性増大物質を混合する方法である。
【0019】
また、上記目的を達成するための、本発明の有機性廃液処理装置は、嫌気性消化を行なう装置を備える有機性廃液の処理装置であって、
流入する有機性廃液、該嫌気性消化を行なう装置から引き抜かれた消化汚泥、および該消化汚泥を固液分離したのちの固形物である濃縮汚泥のうち少なくとも2つの少なくとも一部分、あるいは該有機性廃液、該消化汚泥、および該濃縮汚泥のうち少なくとも2つからなる混合物の少なくとも一部分にオゾン処理を行なうオゾン処理装置と、
該オゾン処理後に行なうアルカリ処理のためのアルカリ処理装置と、
該アルカリ処理ののちに該嫌気性消化を行なう装置に導入するための導入装置
とを含む装置である。
【0020】
本発明による他の有機性廃液処理装置は、嫌気性消化を行なう装置を備える有機性廃液の処理装置であって、
流入する有機性廃液、嫌気性消化を行なう装置から引き抜かれた消化汚泥、および当該消化汚泥を固液分離したのちの固形物である濃縮汚泥のうち少なくとも1つの少なくとも一部分、あるいは該有機性廃液、該消化汚泥、および該濃縮汚泥のうち少なくとも2つからなる混合物の少なくとも一部分にオゾン処理を行なうオゾン処理装置と、
該オゾン処理後に行なうアルカリ処理のためのアルカリ処理装置と、
該アルカリ処理後に、溶液と固形物に分離する固液分離装置と、
該溶液からリンを回収するリン回収装置と
該固形物を、該嫌気性消化を行なう装置に導入する導入装置
とを備え、
前記アルカリ処理装置において、前記溶液に含まれるアルカリ物質を利用するためのアルカリ再利用装置を備える装置である。
【0021】
本発明によるまた他の有機性廃液処理装置は、嫌気性消化を行なう装置を備える有機性廃液の処理装置であって、
流入する有機性廃液、嫌気性消化を行なう装置から引き抜かれた消化汚泥、および該消化汚泥を固液分離したのちの固形物である濃縮汚泥のうち少なくとも2つの少なくとも一部分、あるいは該有機性廃液、該消化汚泥、および該濃縮汚泥のうち少なくとも2つからなる混合物の少なくとも一部分にオゾン処理を行なうオゾン処理装置と、
該オゾン処理ののちに嫌気性消化を行なう装置とを備え、
該オゾン処理装置が、過酸化水素の存在下、または紫外線照射下でオゾン処理を行なうための手段を備える装置である。
【0022】
本発明によるさらなる有機性廃液処理装置は、嫌気性消化を行なう装置を備える有機性廃液の処理装置であって、
流入する有機性廃液、嫌気性消化を行なう装置から引き抜かれた消化汚泥、および当該消化汚泥を固液分離したのちの固形物である濃縮汚泥のうち少なくとも1つの少なくとも一部分、あるいは該有機性廃液、該消化汚泥、および該濃縮汚泥のうち少なくとも2つからなる混合物の少なくとも一部分にオゾン処理を行なうオゾン処理装置と、
該オゾン処理後に行なうアルカリ処理のためのアルカリ処理装置と、
該アルカリ処理ののちに溶液と固形物に分離するための固液分離装置と、
該溶液からリンを回収するリン回収装置と
該固形物を、該嫌気性消化を行なう装置に導入する導入装置
とを備える装置
または、
流入する有機性廃液、嫌気性消化を行なう装置から引き抜かれた消化汚泥、および当該消化汚泥を固液分離したのちの固形物である濃縮汚泥のうち少なくとも1つの少なくとも一部分、あるいは該有機性廃液、該消化汚泥、および該濃縮汚泥のうち少なくとも2つからなる混合物の少なくとも一部分に、過酸化水素存在下または紫外線照射下でオゾン処理を行なうオゾン処理装置と
該オゾン処理ののちに溶液と固形物に分離する固液分離装置と、
該溶液からリンを回収するリン回収装置と
該固形物を、該嫌気性消化を行なう装置に導入する導入装置
とを備える装置
において、前記オゾン処理装置および前記アルカリ処理装置の少なくとも1つが加熱手段を備える装置である。
【0023】
本発明によるさらに他の有機性廃液処理装置は、嫌気性消化を行なう装置を備える有機性廃液の処理装置であって、
流入する有機性廃液、嫌気性消化を行なう装置から引き抜かれた消化汚泥、および当該消化汚泥を固液分離したのちの固形物である濃縮汚泥のうち少なくとも1つの少なくとも一部分、あるいは該有機性廃液、該消化汚泥、および該濃縮汚泥のうち少なくとも2つからなる混合物の少なくとも一部分にオゾン処理を行なうオゾン処理装置と、
該オゾン処理後に行なうアルカリ処理のためのアルカリ処理装置と、
該アルカリ処理ののちに溶液と固形物に分離するための固液分離装置と、
該溶液からリンを回収するリン回収装置と
該固形物を、該嫌気性消化を行なう装置に導入する導入装置
とを備える装置
または、
流入する有機性廃液、嫌気性消化を行なう装置から引き抜かれた消化汚泥、および該消化汚泥を固液分離したのちの固形物である濃縮汚泥のうち少なくとも1つの少なくとも一部分、あるいは該有機性廃液、該消化汚泥、および該濃縮汚泥のうち少なくとも2つからなる混合物の少なくとも一部分に、過酸化水素存在下または紫外線照射下でオゾン処理を行なうオゾン処理装置と
該オゾン処理ののちに溶液と固形物に分離する固液分離装置と、
該溶液からリンを回収するリン回収装置と
該固形物を、該嫌気性消化を行なう装置に導入する導入装置
とを備える装置
において、前記導入装置に微生物活性増大物質を導入するための手段を備える装置である。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の有機性廃液処理方法について、その効果を確認するために実験を行なった。
【0025】
実験1
下水処理場の余剰汚泥と初沈汚泥を混合した有機汚泥に対して、室温条件において、オゾン処理を行なった後にアルカリ処理を行なった。オゾン処理ではオゾン注入率を0.05g−O/g−SSとし、アルカリ処理では水酸化ナトリウム溶液を添加しpH12で10分保持した。
【0026】
有効容積3.0Lの培養ビンにVSS濃度約20,000mg/Lの嫌気性消化汚泥を1.0L分投入し、ここに、pHを中性付近に調整しVSS濃度を約20,000mg/Lに調整した前記処理汚泥(オゾン、アルカリ処理を行なった汚泥)1.0Lを混合した。このようにして調製したVSS濃度約20,000mg/Lの混合汚泥2.0Lを、50℃で嫌気状態に保ち消化処理を行なった。
【0027】
また、アルカリ処理直後の汚泥について遠心分離を行ない、上澄み液に炭酸カルシウム溶液を混合した。析出した固形物を分離膜を用いて回収し、同時に溶液をろ液として分離した(以後、このろ液を1回目アルカリ廃液とする)。この1回目アルカリ廃液を、上記と同じ条件でオゾン処理のみを行なった別の有機汚泥と混合し10分間保持してアルカリ処理を行なった。この汚泥を、pHを中性付近、VSS濃度を約20,000mg/Lに調整し、上記同様嫌気性消化汚泥と混合し、50℃で嫌気状態に保ち消化処理を行なった。この1回目アルカリ廃液を用いてアルカリ処理した汚泥をアルカリ再利用汚泥(1回目)とする。
【0028】
さらに、上記のアルカリ再利用汚泥(1回目)について、同様の遠心分離を行なった。分離した上澄み液に炭酸カルシウム溶液を混合し、析出した固形物を分離膜を用いて回収し、分離後のろ液(以後、2回目アルカリ廃液とする)を、さらに別のオゾン処理のみ行なった有機汚泥と混合し10分間保持してアルカリ処理を行なった。この汚泥を、pHを中性付近、VSS濃度を約20,000mg/Lに調整し、上記同様嫌気性消化汚泥と混合し、50℃で嫌気状態に保ち消化処理を行なった。この2回目アルカリ廃液を用いてアルカリ処理した汚泥をアルカリ再利用汚泥(2回目)とする。
【0029】
また、対照実験として、オゾン処理およびアルカリ処理のいずれの処理も行なっていないVSS濃度約20,000mg/Lの嫌気性消化汚泥2.0Lについても、同様に50℃で嫌気状態に保ち消化処理を行なった。
【0030】
本実験におけるVSS濃度の経日変化を図1に、消化ガスの発生量(積算値)を図2に示す。図1および図2は、それぞれVSS濃度の経日変化および積算のガス発生量の経日変化の結果であって、未処理の場合のデータは曲線L1、オゾン処理後水酸化ナトリウムでアルカリ処理を行なった処理汚泥の場合のデータは曲線L2、アルカリ再利用汚泥(1回目)の場合のデータは曲線L3、アルカリ再利用汚泥(2回目)の場合のデータは曲線L4、でそれぞれ示される。
【0031】
図1に示すように、オゾンおよびアルカリ処理によって、汚泥中の固形物の溶解がすすみVSS濃度の低下が促進される。さらに、汚泥のアルカリ処理を水酸化ナトリウム溶液で行なった汚泥、1回目アルカリ廃液を用いて処理したアルカリ再利用汚泥(1回目)、2回目アルカリ廃液を用いて処理したアルカリ再利用汚泥(2回目)のVSS濃度の低下は、ほとんど同じであった。
【0032】
また、図2に示すように、各処理における消化ガス発生量(積算値)も、汚泥のアルカリ処理を水酸化ナトリウム溶液で行なった汚泥、1回目アルカリ廃液を用いて処理したアルカリ再利用汚泥(1回目)、2回目アルカリ廃液を用いて処理したアルカリ再利用汚泥(2回目)のガス発生量も、ほとんど同じであった。
【0033】
また、汚泥のアルカリ処理を水酸化ナトリウム溶液で行なった汚泥、1回目アルカリ廃液を用いて処理したアルカリ再利用汚泥(1回目)、2回目アルカリ廃液を用いて処理したアルカリ再利用汚泥(2回目)の遠心分離後の上澄み液中のリン濃度を図3に示す。図3のように未処理ではほとんどリンは検出されなかったが、各上澄み液中のリン濃度はいずれも50mg/L程度が得られた。上記したように、このようにリンが溶出した上澄み液に炭酸カルシウム溶液を混合して攪拌すると溶液中のリンをリン酸カルシウムとして析出することができ、さらに遠心分離や膜分離などの固液分離を行なうことで固形状のリンとして回収できた。
【0034】
これらの結果より、オゾン処理後アルカリ処理する本発明の処理方式が、有機汚泥中の有機性固形物の溶解、および消化ガスの発生を促進する効果だけでなく、同時に、有機汚泥中のリンを溶出させる効果を有し、さらに、汚泥をアルカリ処理した後のアルカリ廃液を汚泥のアルカリ処理に再利用できることがわかった。このようにアルカリ廃液を再利用することで、投入する薬品の量を削減でき低コスト型の処理が可能となる。
【0035】
オゾン処理におけるオゾン注入率は、0.01〜0.10g−O/g−SSが好ましく、とくに0.03〜0.07g−O/g−SS程度が好ましい。オゾン注入率が0.01g−O/g−SSより少ないと、有機汚泥中の有機物を充分に分解できずメタンガスへの変換効率を向上させることができないだけでなく、有機汚泥中のリンを溶出させることもできない。一方、オゾン注入率が0.10g−O/g−SSを超えると、高いメタンガスへの変換効率およびリン溶出量を確保できるものの、大幅な効率向上にはつながらずコスト高となる。
【0036】
また、アルカリ処理は、pH9〜13の範囲で、5〜30分程度行なうのが好ましい。pHが9よりも低いと、有機性廃液中の有機物を充分に改質できずメタンガスへの変換効率を向上させることができない。また、汚泥中のリンを溶出させることもできない。一方、pHを13よりも高くした場合、高いメタンガスへの変換効率およびリン溶出量を確保できるものの、大幅な効率向上にはつながらず経済的にコスト高となる。また、処理時間が5分よりも短いと、有機性廃液中の有機物を充分に改質できずメタンガスへの変換効率を向上させることができない。また、汚泥中のリンを溶出させることもできない。処理時間が30分よりも長い場合、高いメタンガスへの変換効率およびリン溶出量を確保できるものの、大幅な効率向上にはつながらず経済的にコスト高となる。
【0037】
実験2
下水処理場の余剰汚泥と初沈汚泥を混合した有機汚泥に対して、室温条件において▲1▼オゾン処理を行なった後にアルカリ処理を行なう、▲2▼過酸化水素存在下でオゾン処理を行なう、▲3▼紫外線照射下でオゾン処理を行なう、の3種類の処理を行なった。オゾン処理では全ての処理でオゾン注入率を0.05g−O/g−SSとし、アルカリ処理ではpH12で10分の保持を行なった。過酸化水素は添加後の濃度が20〜100mg/Lとなるように加え、紫外線照射は、波長260nm、出力100Wの紫外線ランプを30分間照射した。また、▲1▼〜▲3▼の処理装置を約70℃に加熱して、高温条件で処理を行なう実験もあわせて行なった。加熱時の各処理条件は室温条件と同様とした。
【0038】
有効容積3.0Lの培養ビンにVSS濃度約20,000mg/Lの嫌気性消化汚泥を1.0L分投入し、ここに、pHを中性付近に調整しVSS濃度を約20,000mg/Lに調整した前記処理汚泥(室温、および高温下における▲1▼〜▲3▼の処理を行なった汚泥)1.0Lを混合した。このようにして調製したVSS濃度約20,000mg/Lの混合汚泥2.0Lを、50℃で嫌気状態に保ち消化処理を行なった。
【0039】
また、対照実験として、オゾン処理およびアルカリ処理のいずれの処理も行なっていないVSS濃度約20,000mg/Lの嫌気性消化汚泥2.0Lについても、同様に50℃で嫌気状態に保ち消化処理を行なった。
【0040】
本実験におけるVSS濃度の経日変化を図4に、消化ガスの発生量(積算値)を図5に示す。図4および図5において、室温でのオゾンおよびアルカリ処理(曲線L7)、加熱条件でのオゾンおよびアルカリ処理(曲線L8)、室温、過酸化水素存在下でのオゾン処理(曲線L9)、加熱条件、過酸化水素存在下でのオゾン処理(曲線L10)、室温、紫外線照射下でのオゾン処理(曲線L11)、加熱条件、紫外線照射下でのオゾン処理(曲線L12)、未処理(曲線L5)、加熱のみ(曲線L6)のそれぞれの場合について、VSS濃度の経日変化および積算のガス発生量を示している。
【0041】
図4に示すように、室温条件において、オゾンおよびアルカリ処理、過酸化水素存在下でのオゾン処理、紫外線照射下でのオゾン処理によって、汚泥中の固形物の溶解がすすみVSS濃度の低下が促進される。さらに、これら処理を高温条件下で行なった場合、室温条件の場合にくらべ、さらに汚泥中の固形物の溶解が促進され、VSS濃度の低減効果が著しく大きくなる。
【0042】
たとえば、15日間でのVSS濃度の低下は、加熱処理のみの場合約1,000mg/L、オゾンおよびアルカリ処理の場合約5,500mg/L、過酸化水素存在下でのオゾン処理の場合約5,000mg/L、紫外線照射下でのオゾン処理の場合約4,900mg/Lであるのに対し、加熱処理を併用し高温で処理するとオゾンおよびアルカリ処理の場合約7,900mg/L、過酸化水素存在下でのオゾン処理の場合約7,500mg/L、紫外線照射下でのオゾン処理の場合約6,800mg/Lと大幅に大きくなり、加熱処理のみの場合と室温における各処理の場合との単純な和では得られない大きなVSS濃度の低減が得られた。
【0043】
また、図5に示すように、高温条件での各処理における消化ガス発生量(積算値)は、加熱処理単独、あるいは室温における各処理の場合のガス発生量よりも大きいのはもちろんのこと、それらの和とくらべても大きくなった。
【0044】
また、各処理直後の汚泥について遠心分離を行ない、上澄み液中のリン濃度を測定した。結果を図6に示す。未処理ではほとんどリンは検出されず、加熱処理のみでは約20mg/L、室温における各処理では40〜50mg/L程度であったが、高温下での各処理では65〜85mg/Lとなり、加熱処理単独の場合と室温における各処理の場合との単純な和では得られない大きなリン溶出濃度が得られた。このようにリンが溶出した上澄み液に炭酸カルシウム溶液を混合して攪拌すると溶液中のリンをリン酸カルシウムとして析出することができ、さらに遠心分離や膜分離などの固液分離を行なうことで固形状のリンとして回収できた。
【0045】
これらの結果より、高温条件下でオゾンおよびアルカリ処理、過酸化水素存在下でのオゾン処理、紫外線照射下でのオゾン処理をする本発明の処理方式が、有機汚泥中の有機性固形物の溶解、および消化ガスの発生を促進する効果が大きいだけでなく、同時に、有機汚泥中のリンを溶出させる効果が大きいことがわかった。
【0046】
オゾン処理におけるオゾン注入率は、0.01〜0.10g−O/g−SSが好ましく、とくに0.03〜0.07g−O/g−SS程度が好ましい。オゾン注入率が0.01g−O/g−SSより少ないと、有機汚泥中の有機物を充分に分解できずメタンガスへの変換効率を向上させることができないだけでなく、有機汚泥中のリンを溶出させることもできない。一方、オゾン注入率が0.10g−O/g−SSを超えると、高いメタンガスへの変換効率およびリン溶出量を確保できるものの、大幅な効率向上にはつながらずコスト高となる。
【0047】
また、アルカリ処理は、pH9〜13の範囲で、5〜30分程度行なうのが好ましい。pHが9よりも低いと、有機性廃液中の有機物を充分に改質できずメタンガスへの変換効率を向上させることができない。また、汚泥中のリンを溶出させることもできない。一方、pHを13よりも高くした場合、高いメタンガスへの変換効率およびリン溶出量を確保できるものの、大幅な効率向上にはつながらず経済的にコスト高となる。また、処理時間が5分よりも短いと、有機性廃液中の有機物を充分に改質できずメタンガスへの変換効率を向上させることができない。また、汚泥中のリンを溶出させることもできない。処理時間が30分よりも長い場合、高いメタンガスへの変換効率およびリン溶出量を確保できるものの、大幅な効率向上にはつながらず経済的にコスト高となる。
【0048】
また、前述のとおり、過酸化水素は、添加後の濃度が20〜100mg/Lとなるように加えるのが好ましい。添加後の濃度が20mg/Lよりも低いと、有機性廃液中の有機物を充分に改質できずメタンガスへの変換効率を向上させることができない。また、汚泥中のリンを溶出させることもできない。一方、添加後の濃度が100mg/Lよりも高い場合、高いメタンガスへの変換効率およびリン溶出量を確保できるものの、大幅な効率向上にはつながらず経済的にコスト高となる。
【0049】
また、紫外線処理においては、波長180〜300nm、出力5.0〜200Wの紫外線を、5〜30分程度照射することが好ましい。波長が180nmよりも短いと、高いメタンガスへの変換効率およびリン溶出量を確保できるものの、大幅な効率向上にはつながらず経済的にコスト高となる。波長が300nmよりも長いと、有機性廃液中の有機物を充分に改質できずメタンガスへの変換効率を向上させることができない。また、汚泥中のリンを溶出させることもできない。また、出力が5.0Wよりも小さいと、有機性廃液中の有機物を充分に改質できずメタンガスへの変換効率を向上させることができない。また、汚泥中のリンを溶出させることもできない。出力が200Wよりも大きい場合、高いメタンガスへの変換効率およびリン溶出量を確保できるものの、大幅な効率向上にはつながらず経済的にコスト高となる。さらに、照射時間が5分よりも短いと、有機性廃液中の有機物を充分に改質できずメタンガスへの変換効率を向上させることができない。また、汚泥中のリンを溶出させることもできない。照射時間が30分よりも長い場合、高いメタンガスへの変換効率およびリン溶出量を確保できるものの、大幅な効率向上にはつながらず経済的にコスト高となる。
【0050】
実験3
下水処理場の余剰汚泥に対して、室温条件において▲1▼オゾン処理を行なった後にアルカリ処理を行なう、▲2▼過酸化水素存在下でオゾン処理を行なう、▲3▼紫外線照射下でオゾン処理を行なう、の3種類の処理を行なった。処理条件は全て実験2と同様とした。また、この処理後の汚泥に、亜セレン酸ナトリウム、塩化ニッケル、モリブデン酸ナトリウム、葉酸、リボフラビンを含む促進剤溶液を添加したものと、添加しないものを調整した。有効容積3.0Lの培養ビンにVSS濃度約20,000mg/Lの嫌気性消化汚泥を1.0L分投入し、ここに、pHを中性付近に調整しVSS濃度を約20,000mg/Lに調整した前記処理汚泥(▲1▼〜▲3▼の処理を行ない促進剤溶液を添加した汚泥および添加しない汚泥)1.0Lを混合した。このようにして調製したVSS濃度約20,000mg/Lの混合汚泥2.0Lを、50℃で嫌気状態に保ち消化処理を行なった。
【0051】
また、対照実験として、いずれの処理も行なっていないVSS濃度約20,000mg/Lの嫌気性消化汚泥2.0Lについても、同様に50℃で嫌気状態に保ち消化処理を行なった。
【0052】
本実験におけるVSS濃度の経日変化を図7に、消化ガスの発生量(積算値)を図8にそれぞれ示す。図7および図8において、オゾンおよびアルカリ処理のみの汚泥(曲線L7)、オゾンおよびアルカリ処理後に促進剤溶液を添加した汚泥(曲線L14)、過酸化水素存在下でのオゾン処理のみの汚泥(曲線L9)、過酸化水素存在下でのオゾン処理後に促進剤を添加した汚泥(曲線L15)、紫外線照射下でのオゾン処理のみの汚泥(曲線L11)、紫外線照射下でのオゾン処理後に促進剤を添加した汚泥(曲線L16)、未処理汚泥(曲線L5)、促進剤添加のみの汚泥(曲線L13)の場合について、VSS濃度の経日変化および積算のガス発生量を示している。
【0053】
図7に示すように、オゾンおよびアルカリ処理、過酸化水素存在下でのオゾン処理、紫外線照射下でのオゾン処理によって、汚泥中の固形物の溶解がすすみVSS濃度の低下が促進される。さらに、これら処理汚泥に促進剤を添加した場合、非添加の場合にくらべ、さらに汚泥中の固形物の溶解が促進され、VSS濃度の低減効果が著しく大きくなる。
【0054】
たとえば、15日間でのVSS濃度の低下は、促進剤添加のみの場合約1,300mg/L、オゾンおよびアルカリ処理の場合約5,500mg/L、過酸化水素存在下でのオゾン処理の場合約5,000mg/L、紫外線照射下でのオゾン処理の場合約4,900mg/Lであるのに対し、処理後に促進剤を添加するとオゾンおよびアルカリ処理の場合約8,000mg/L、過酸化水素存在下でのオゾン処理の場合約7,350mg/L、紫外線照射下でのオゾン処理の場合約7,200mg/Lと大幅に大きくなり、促進剤添加のみの場合と各処理の場合との単純な和では得られない大きなVSS濃度の低減が得られた。
【0055】
また、図8に示すように、各処理後に促進剤添加した場合の消化ガス発生量(積算値)は、消化剤添加単独、あるいは室温における各処理の場合のガス発生量よりも大きいのはもちろんのこと、それらの和とくらべても大きくなった。
【0056】
これらの結果より、オゾンおよびアルカリ処理、過酸化水素存在下でのオゾン処理、紫外線照射下でのオゾン処理を行なった汚泥に、嫌気性消化の活性を促進する物質を混合して、消化処理を行なうことで、有機汚泥中の有機性固形物の溶解、および消化ガスの発生を促進する効果がより大きくなることがわかった。
【0057】
オゾン処理におけるオゾン注入率は、0.01〜0.10g−O/g−SSが好ましく、とくに0.03〜0.07g−O/g−SS程度が好ましい。オゾン注入率が0.01g−O/g−SSより少ないと、有機汚泥中の有機物を充分に分解できずメタンガスへの変換効率を向上させることができないだけでなく、有機汚泥中のリンを溶出させることもできない。一方、オゾン注入率が0.10g−O/g−SSを超えると、高いメタンガスへの変換効率およびリン溶出量を確保できるものの、大幅な効率向上にはつながらずコスト高となる。
【0058】
また、アルカリ処理は、pH9〜13の範囲で、5〜30分程度行なうのが好ましい。pHが9よりも低いと、有機性廃液中の有機物を充分に改質できずメタンガスへの変換効率を向上させることができない。また、汚泥中のリンを溶出させることもできない。一方、pHを13よりも高くした場合、高いメタンガスへの変換効率およびリン溶出量を確保できるものの、大幅な効率向上にはつながらず経済的にコスト高となる。また、処理時間が5分よりも短いと、有機性廃液中の有機物を充分に改質できずメタンガスへの変換効率を向上させることができない。また、汚泥中のリンを溶出させることもできない。処理時間が30分よりも長い場合、高いメタンガスへの変換効率およびリン溶出量を確保できるものの、大幅な効率向上にはつながらず経済的にコスト高となる。
【0059】
また、前述のとおり、過酸化水素は、添加後の濃度が20〜100mg/Lとなるように加えるのが好ましい。添加後の濃度が20mg/Lよりも低いと、有機性廃液中の有機物を充分に改質できずメタンガスへの変換効率を向上させることができない。また、汚泥中のリンを溶出させることもできない。一方、添加後の濃度が100mg/Lよりも高い場合、高いメタンガスへの変換効率およびリン溶出量を確保できるものの、大幅な効率向上にはつながらず経済的にコスト高となる。
【0060】
また、紫外線処理においては、波長180〜300nm、出力5.0〜200Wの紫外線を、5〜30分程度照射することが好ましい。波長が180nmよりも短いと、高いメタンガスへの変換効率およびリン溶出量を確保できるものの、大幅な効率向上にはつながらず経済的にコスト高となる。波長が300nmよりも長いと、有機性廃液中の有機物を充分に改質できずメタンガスへの変換効率を向上させることができない。また、汚泥中のリンを溶出させることもできない。また、出力が5.0Wよりも小さいと、有機性廃液中の有機物を充分に改質できずメタンガスへの変換効率を向上させることができない。また、汚泥中のリンを溶出させることもできない。出力が200Wよりも大きい場合、高いメタンガスへの変換効率およびリン溶出量を確保できるものの、大幅な効率向上にはつながらず経済的にコスト高となる。さらに、照射時間が5分よりも短いと、有機性廃液中の有機物を充分に改質できずメタンガスへの変換効率を向上させることができない。また、汚泥中のリンを溶出させることもできない。照射時間が30分よりも長い場合、高いメタンガスへの変換効率およびリン溶出量を確保できるものの、大幅な効率向上にはつながらず経済的にコスト高となる。
【0061】
実施の形態1
つぎに、本発明による有機性廃液の処理装置およびそれを用いた有機性廃液の処理方法について説明する。
【0062】
図9は、本発明の一実施の形態における有機性廃液の処理装置について、その概略の構成および処理の流れを示した図である。
【0063】
図9に示すように、嫌気性消化槽1と有機性廃液導入路2のあいだに、オゾン処理槽9、アルカリ処理槽12および固液分離槽17が設けられている。オゾン処理槽9、アルカリ処理槽12の内部は2つに仕切られている。仕切られたオゾン処理槽9の一方は有機性廃液導入路2に、他方は消化汚泥引抜き路34に接続されており、それぞれのオゾン処理槽9はオゾン処理液排出路16によって、アルカリ処理槽12と接続している。アルカリ処理槽12はアルカリ処理液排出路18によって固液分離槽17に、固液分離槽17は処理廃液導入路19によって嫌気性消化槽1にそれぞれ接続されている。オゾン処理槽9にはオゾンガス注入路11を介してオゾン発生器10が接続されている。また、アルカリ処理槽12には、アルカリ液導入路14を介してアルカリ液保持槽13が接続され、アルカリ液導入路14にはアルカリ液導入ポンプ15が設置されている。また、消化汚泥引抜き路34は嫌気性消化槽1に接続しており、有機性廃液導入路2には有機性廃液導入ポンプ60が、消化汚泥引抜き路34には汚泥返送ポンプ61がそれぞれ設置されている。
【0064】
また、固液分離槽17とリン回収槽24が、リン含有溶液排出路20によって接続されており、リン回収槽24はリン回収後溶液排出路26を介して嫌気性消化槽1に接続されている。リン含有溶液排出路20には凝集剤導入路23が接続され、凝集剤導入路23の他端は凝集剤保持槽21へと接続されている。凝集剤導入路23には凝集剤導入ポンプ22が設置されており、リン回収槽24にはリン回収路25が接続されている。
【0065】
さらに、嫌気性消化槽1は消化汚泥排出路3を介して固液分離槽4に接続され、固液分離槽4には濃縮汚泥排出路5および処理水排出路8が接続されている。濃縮汚泥排出路5は汚泥廃棄路6と汚泥返送路7に分岐し、汚泥返送路7は嫌気性消化槽1に接続されている。また、嫌気性消化槽1には消化ガス排出路27が接続されている。
【0066】
つぎに本実施の形態の処理装置の動作について説明する。
【0067】
有機性廃液導入ポンプ60を動作させ、下水処理場の初沈汚泥と余剰汚泥を混合した有機汚泥を、有機性廃液として有機性廃液導入路2からオゾン処理槽9に導入し、オゾン発生器10で発生させたオゾンガスをオゾンガス注入路11を通してオゾン処理槽9に注入して、有機汚泥のオゾン処理を行なう。
【0068】
オゾン処理後の有機汚泥をオゾン処理液排出路16を介してアルカリ処理槽12に送る。アルカリ液導入液ポンプ15を動作させ、アルカリ液保持槽13に保持された水酸化ナトリウム溶液を、アルカリ液導入路14を通してアルカリ処理槽12に導入し、有機汚泥のアルカリ処理を行なう。
【0069】
また、この過程において、消化汚泥引抜きポンプ61を動作させ、嫌気性消化槽1の消化汚泥を消化汚泥引抜き路34を通してオゾン処理槽9に導入し、同時にオゾン発生器10で発生させたオゾンガスをオゾンガス注入路11を通してオゾン処理槽9に注入し、消化汚泥のオゾン処理を行なう。
【0070】
オゾン処理後の消化汚泥を、オゾン処理液排出路16を介してアルカリ処理槽12に送る。アルカリ液導入ポンプ15を動作させ、アルカリ液保持槽13に保持された水酸化ナトリウム溶液をアルカリ液導入路14を通してアルカリ処理槽12に導入し、消化汚泥のアルカリ処理を行なう。
【0071】
このアルカリ処理した有機汚泥および消化汚泥を、アルカリ処理液排出路18を通して固液分離槽17へと送り、固液分離槽17で固形物と溶液に分ける。分離後の固形物を処理廃液導入路19から嫌気性消化槽1に導入し、微生物によって有機汚泥、消化汚泥を消化する。一方、分離後の溶液を、リン含有溶液排出路20を通してリン回収槽24に送る。この際、凝集剤導入ポンプ22を動作させ、凝集剤保持槽21に保持した炭酸カルシウム溶液を、凝集剤導入路23を通してリン含有溶液排出路20に導入し、リン含有溶液排出路20を通るリン含有溶液に、炭酸カルシウム溶液を混合し、リン酸カルシウムを析出させる。リン回収槽24では析出したリン酸カルシウムを分離し、リン回収路25から引き抜く。
【0072】
嫌気性消化槽1内の汚泥を消化汚泥排出路3から排出し、固液分離槽4で固形物と溶液に分け、溶液は処理水排出路8から、固形物は濃縮汚泥排出路5からそれぞれ排出する。
【0073】
濃縮汚泥排出路5中の固形物を汚泥返送路7を介して嫌気性消化槽1に返送するとともに、一部を汚泥廃棄路6から系外に排出する。また、嫌気性消化槽1で発生する消化ガスは、消化ガス排出路27によって排出する。
【0074】
このように有機汚泥、および消化汚泥に対し、オゾンとアルカリを組み合わせた処理を行なうことによって、オゾンの強い酸化作用とアルカリの有機物分解作用の相乗効果によって有機汚泥、消化汚泥の固形物中の繊維質や細胞壁などの難溶解性物質を改質し、消化槽内の汚泥によって溶解されやすい易溶解性物質へと変換することができる。このためオゾン処理あるいはアルカリ処理を単独で用いた場合、およびこれらの処理の単純な和とくらべ、汚泥の溶解量およびメタンへの変換量を大幅に増大することができる。また、これに対応して、処分すべき汚泥の発生量も大幅に低減できる。
【0075】
同時に、オゾンの強い酸化作用とアルカリの有機物分解作用の相乗効果によって細胞壁の分解がより進むため、有機汚泥、消化汚泥中の固形成分中に含有されるリンを固形成分外へと高い効率で溶出させることができる。このためオゾン処理あるいはアルカリ処理を単独で用いた場合、およびこれらの処理の単純な和とくらべ、リンの溶出量を増大することができる。さらに、これを凝集剤を用いて固形状のリンとし、再利用可能なリンとして回収することができる。
【0076】
また、初沈汚泥と余剰汚泥を混合した有機汚泥には消化汚泥より多くリンが含まれる場合がある。また、消化汚泥には、生物によって溶解し難い難溶解性物質が多く蓄積している。したがって、本実施の形態のように、これらそれぞれにオゾン処理およびアルカリ処理を行うことによって、有機汚泥からのリン回収、および難溶解性物質の溶解を促進することによる有機汚泥からのエネルギー回収を高い効率で達成することができる。さらに、本実施の形態のように、有機汚泥、消化汚泥のそれぞれに対してオゾン処理およびアルカリ処理することで、有機汚泥に対してはリンを溶出させることを優先した処理条件で、消化汚泥に対しては難溶解性物質の溶解を促進させることを優先した処理条件で処理を行うことができ、有機汚泥からのリン回収、エネルギー回収をより高い効率で達成することができる。
【0077】
なお、本実施の形態では、アルカリ処理後の有機汚泥、消化汚泥の両方を固液分離槽に送ったが、これに限るものではなく、例えば、消化汚泥中のリン含有量が少ない場合にはアルカリ処理後の消化汚泥を固液分離せずに嫌気性消化槽に導入し、アルカリ処理後の有機汚泥のみを固液分離し、リンを回収するようにしてもよい。
【0078】
なお、本実施の形態では、有機汚泥と消化汚泥のオゾン処理、アルカリ処理を分離して行ったが、有機汚泥の処理と消化汚泥の処理を時間的に分けて同じ処理槽で交互に行ってもよい。さらに、余剰汚泥、消化汚泥の処理条件が同様な場合などでは、本実施の形態のように処理槽に仕切りを設けず、これら汚泥を混合し、混合後の汚泥に対してオゾン処理、アルカリ処理を行うこともできる。
【0079】
また、本実施の形態では嫌気性消化槽へ導入する有機汚泥の全てをオゾンおよびアルカリ処理したが、導入する有機汚泥の一部にオゾンおよびアルカリ処理を行ない、残りは処理を行なわずに嫌気性消化槽へ導入するようにしてもよい。
【0080】
実施の形態2
つぎに、本発明による有機性廃液の処理装置およびそれを用いた有機性廃液の処理方法について説明する。
【0081】
図10は、本発明の一実施の形態における有機性廃液の処理装置について、その概略の構成および処理の流れを示した図である。
【0082】
図10に示すように、嫌気性消化槽1と有機性廃液導入路2のあいだに、オゾン処理槽9、アルカリ処理槽12および固液分離槽17が設けられている。オゾン処理槽9、アルカリ処理槽12の内部は2つに仕切られており、仕切られたオゾン処理槽9の一方は有機性廃液導入路2に、他方は汚泥返送路7に接続され、それぞれのオゾン処理槽9はオゾン処理液排出路16によってアルカリ処理槽12と接続している。アルカリ処理槽12はアルカリ処理液排出路18によって固液分離槽17に、固液分離槽17は処理廃液導入路19によって嫌気性消化槽1にそれぞれ接続されている。オゾン処理槽9にはオゾンガス注入路11を介してオゾン発生器10が接続されている。また、アルカリ処理槽12には、アルカリ液導入路14を介してアルカリ液保持槽13が接続され、アルカリ液導入路14にはアルカリ液導入ポンプ15が設置されている。また、有機性廃液導入路2には有機性廃液導入ポンプ60が、汚泥返送路7には汚泥返送ポンプ62がそれぞれ設置されている。
【0083】
また、固液分離槽17とリン回収槽24が、リン含有溶液排出路20によって接続されており、リン回収槽24はリン回収後溶液排出路26を介して嫌気性消化槽1に接続されている。リン含有溶液排出路20には凝集剤導入路23が接続され、凝集剤導入路23の他端は凝集剤保持槽21へと接続されている。凝集剤導入路23には凝集剤導入ポンプ22が設置されており、リン回収槽24にはリン回収路25が接続されている。
【0084】
さらに、嫌気性消化槽1は消化汚泥排出路3を介して固液分離槽4に接続され、固液分離槽4には濃縮汚泥排出路5および処理水排出路8が接続されている。濃縮汚泥排出路5は汚泥廃棄路6と汚泥返送路7に分岐している。また、嫌気性消化槽1には消化ガス排出路27が接続されている。
【0085】
つぎに本実施の形態の処理装置の動作について説明する。
【0086】
有機性廃液導入ポンプ60を動作させ、下水処理場の初沈汚泥と余剰汚泥を混合した有機汚泥を、有機性廃液として有機性廃液導入路2からオゾン処理槽9に導入し、オゾン発生器10で発生させたオゾンガスをオゾンガス注入路11を通してオゾン処理槽9に注入して、有機汚泥のオゾン処理を行なう。
【0087】
オゾン処理後の有機汚泥をオゾン処理液排出路16を介してアルカリ処理槽12に送る。アルカリ液導入液ポンプ15を動作させ、アルカリ液保持槽13に保持された水酸化ナトリウム溶液を、アルカリ液導入路14を通してアルカリ処理槽12に導入し、有機汚泥のアルカリ処理を行なう。
【0088】
また、嫌気性消化槽1内の汚泥を消化汚泥排出路3から排出し、固液分離槽4で固形物と溶液に分け、溶液は処理水排出路8から、固形物は濃縮汚泥排出路5からそれぞれ排出する。また、嫌気性消化槽1で発生する消化ガスは、消化ガス排出路27によって排出する。
【0089】
この過程において、濃縮汚泥排出路5中の濃縮汚泥の一部を汚泥廃棄路6から系外に排出するとともに、汚泥返送ポンプ62を動作させ濃縮汚泥排出路5中の濃縮汚泥の一部を汚泥返送路7をオゾン処理槽9に送る。同時にオゾン発生器10で発生させたオゾンガスをオゾンガス注入路11を通してオゾン処理槽9に注入し、濃縮汚泥のオゾン処理を行なう。
【0090】
オゾン処理後の消化汚泥を、オゾン処理液排出路16を介してアルカリ処理槽12に送る。アルカリ液導入ポンプ15を動作させ、アルカリ液保持槽13に保持された水酸化ナトリウム溶液をアルカリ液導入路14を通してアルカリ処理槽12に導入し、濃縮汚泥のアルカリ処理を行なう。
【0091】
このアルカリ処理した有機汚泥および消化汚泥を、アルカリ処理液排出路18を通して固液分離槽17へと送り、固液分離槽17で固形物と溶液に分ける。分離後の固形物を処理廃液導入路19から嫌気性消化槽1に導入し、微生物によって有機汚泥、濃縮汚泥を消化する。一方、分離後の溶液を、リン含有溶液排出路20を通してリン回収槽24に送る。この際、凝集剤導入ポンプ22を動作させ、凝集剤保持槽21に保持した炭酸カルシウム溶液を、凝集剤導入路23を通してリン含有溶液排出路20に導入し、リン含有溶液排出路20を通るリン含有溶液に、炭酸カルシウム溶液を混合し、リン酸カルシウムを析出させる。リン回収槽24では析出したリン酸カルシウムを分離し、リン回収路25から引き抜く。また、嫌気性消化槽1で発生する消化ガスは、消化ガス排出路27によって排出する。
【0092】
このように有機汚泥、および消化汚泥を濃縮した濃縮汚泥に対し、オゾンとアルカリを組み合わせた処理を行なうことによって、オゾンの強い酸化作用とアルカリの有機物分解作用の相乗効果によって有機汚泥、濃縮汚泥の固形物中の繊維質や細胞壁などの難溶解性物質を改質し、消化槽内の汚泥によって溶解されやすい易溶解性物質へと変換することができる。このためオゾン処理あるいはアルカリ処理を単独で用いた場合、およびこれらの処理の単純な和とくらべ、汚泥の溶解量およびメタンへの変換量を大幅に増大することができる。また、これに対応して、処分すべき汚泥の発生量も大幅に低減できる。
【0093】
同時に、オゾンの強い酸化作用とアルカリの有機物分解作用の相乗効果によって細胞壁の分解がより進むため、有機汚泥、濃縮汚泥中の固形成分中に含有されるリンを固形成分外へと高い効率で溶出させることができる。このためオゾン処理あるいはアルカリ処理を単独で用いた場合、およびこれらの処理の単純な和とくらべ、リンの溶出量を増大することができる。さらに、これを凝集剤を用いて固形状のリンとし、再利用可能なリンとして回収することができる。
【0094】
また、初沈汚泥と余剰汚泥を混合した有機汚泥には濃縮汚泥より多くリンが含まれる場合がある。また、濃縮汚泥には、生物によって溶解し難い難溶解性物質が多く蓄積している。したがって、本実施の形態のように、これらそれぞれにオゾン処理およびアルカリ処理を行うことによって、有機汚泥からのリン回収、および難溶解性物質の溶解を促進することによる有機汚泥からのエネルギー回収を高い効率で達成することができる。さらに、本実施の形態のように、有機汚泥、消化汚泥のそれぞれに対してオゾン処理およびアルカリ処理することで、有機汚泥に対してはリンを溶出させることを優先した処理条件で、濃縮汚泥に対しては難溶解性物質の溶解を促進させることを優先した処理条件で処理を行うことができ、有機汚泥からのリン回収、エネルギー回収をより高い効率で達成することができる。
【0095】
なお、本実施の形態では、アルカリ処理後の有機汚泥、濃縮汚泥の両方を固液分離槽に送ったが、これに限るものではなく、例えば、濃縮汚泥中のリン含有量が少ない場合にはアルカリ処理後の濃縮汚泥を固液分離せずに嫌気性消化槽に導入し、アルカリ処理後の有機汚泥のみを固液分離し、リンを回収するようにしてもよい。
【0096】
なお、本実施の形態では、有機汚泥と濃縮汚泥のオゾン処理、アルカリ処理を分離して行ったが、有機汚泥の処理と濃縮汚泥の処理を時間的に分けて同じ処理槽で交互に行ってもよい。さらに、余剰汚泥、濃縮汚泥の処理条件が同様な場合などでは、本実施の形態のように処理槽に仕切りを設けず、これら汚泥を混合し、混合後の汚泥に対してオゾン処理、アルカリ処理を行うこともできる。
【0097】
また、本実施の形態では嫌気性消化槽へ導入する有機汚泥の全てをオゾンおよびアルカリ処理したが、導入する有機汚泥の一部にオゾンおよびアルカリ処理を行ない、残りは処理を行なわずに嫌気性消化槽へ導入するようにしてもよい。
【0098】
実施の形態3
つぎに、本発明による有機性廃液の処理装置およびそれを用いた有機性廃液の処理方法について説明する。
【0099】
図11は、本発明の一実施の形態における有機性廃液の処理装置について、その概略の構成および処理の流れを示した図である。
【0100】
図11に示すように、嫌気性消化槽1と有機性廃液導入路2のあいだに、オゾン処理槽9、アルカリ処理槽12および固液分離槽17が設けられている。オゾン処理槽9には、オゾンガス注入路11を介してオゾン発生器10が接続されている。またアルカリ処理槽12には、アルカリ液導入路14を介してアルカリ液保持槽13が接続され、アルカリ液導入路14にはアルカリ液導入ポンプ15が設置されている。オゾン処理槽9とアルカリ処理槽12はオゾン処理液排出路16によって、アルカリ処理槽12と固液分離槽17はアルカリ処理液排出路18によって、固液分離槽17と嫌気性消化槽1は処理廃液導入路19によって、それぞれ接続されている。また、有機性廃液導入路2には有機性廃液導入ポンプ60が設置されている。
【0101】
また、固液分離槽17とリン回収槽24が、リン含有溶液排出路20によって接続されており、リン回収槽24はリン回収後溶液排出路26を介してアルカリ液回収槽31に接続されている。リン含有溶液排出路20には凝集剤導入路23が接続され、凝集剤導入路23の他端は凝集剤保持槽21へと接続されている。凝集剤導入路23には凝集剤導入ポンプ22が設置されており、リン回収槽24にはリン回収路25が接続されている。また、アルカリ液回収槽31はアルカリ液循環路32によってアルカリ液保持槽13に接続されている。
【0102】
さらに、嫌気性消化槽1は消化汚泥排出路3を介して固液分離槽4に接続され、固液分離槽4には濃縮汚泥排出路5および処理水排出路8が接続されている。濃縮汚泥排出路5は汚泥廃棄路6と汚泥返送路7に分岐し、汚泥返送路7は嫌気性消化槽1に接続されている。また、嫌気性消化槽1には消化ガス排出路27が接続されている。
【0103】
つぎに本実施の形態の処理装置の動作について説明する。
【0104】
有機性廃液導入ポンプ60を動作させ、下水処理場の初沈汚泥と余剰汚泥を混合した有機汚泥を、有機性廃液として有機性廃液導入路2からオゾン処理槽9に導入し、オゾン発生器10で発生させたオゾンガスをオゾンガス注入路11を通してオゾン処理槽9に注入して、有機汚泥のオゾン処理を行なう。
【0105】
オゾン処理後の有機汚泥をオゾン処理液排出路16を介してアルカリ処理槽12に送る。アルカリ液導入液ポンプ15を動作させ、アルカリ液保持槽13に保持された水酸化ナトリウム溶液を、アルカリ液導入路14を通してアルカリ処理槽12に導入し、有機汚泥のアルカリ処理を行なう。
【0106】
このアルカリ処理した有機汚泥を、アルカリ処理液排出路18を通して固液分離槽17へと送り、固液分離槽17で固形物と溶液に分ける。分離後の固形物を処理廃液導入路19から嫌気性消化槽1に導入し、微生物によって有機汚泥を消化する。一方、分離後の溶液を、リン含有溶液排出路20を通してリン回収槽24に送る。この際、凝集剤導入ポンプ22を動作させ、凝集剤保持槽21に保持した炭酸カルシウム溶液を、凝集剤導入路23を通してリン含有溶液排出路20に導入し、リン含有溶液排出路20を通るリン含有溶液に、炭酸カルシウム溶液を混合し、リン酸カルシウムを析出させる。リン回収槽24では析出したリン酸カルシウムを分離し、リン回収路25から引き抜くとともに、リン回収後の溶液をリン回収後溶液排出路26を通してアルカリ液回収槽31に導入する。アルカリ液回収槽31ではリン回収後の溶液を保持し、これをアルカリ液保持槽13に送る。
【0107】
嫌気性消化槽1内の汚泥を消化汚泥排出路3から排出し、固液分離槽4で固形物と溶液に分け、溶液は処理水排出路8から、固形物は濃縮汚泥排出路5からそれぞれ排出する。
【0108】
濃縮汚泥排出路5中の固形物を汚泥返送路7を介して嫌気性消化槽1に返送するとともに、一部を汚泥廃棄路6から系外に排出する。また、嫌気性消化槽1で発生する消化ガスは、消化ガス排出路27によって排出する。
【0109】
このように有機汚泥に対し、オゾンとアルカリを組み合わせた処理を行なうことによって、オゾンの強い酸化作用とアルカリの有機物分解作用の相乗効果によって有機汚泥の固形物中の繊維質や細胞壁などの難溶解性物質を改質し、消化槽内の汚泥によって溶解されやすい易溶解性物質へと変換することができる。このためオゾン処理あるいはアルカリ処理を単独で用いた場合、およびこれらの処理の単純な和とくらべ、汚泥の溶解量およびメタンへの変換量を大幅に増大することができる。また、これに対応して、処分すべき汚泥の発生量も大幅に低減できる。
【0110】
同時に、オゾンの強い酸化作用とアルカリの有機物分解作用の相乗効果によって細胞壁の分解がより進むため、有機汚泥中の固形成分中に含有されるリンを固形成分外へと高い効率で溶出させることができる。このためオゾン処理あるいはアルカリ処理を単独で用いた場合、およびこれらの処理の単純な和とくらべ、リンの溶出量を増大することができる。さらに、これを凝集剤を用いて固形状のリンとし、再利用可能なリンとして回収することができる。
【0111】
また、リン回収後の溶液中にはアルカリ処理の際に添加した水酸化ナトリウムが残存している。この溶液を嫌気性消化槽に導入すると、急激なpHの変化や、ナトリウムイオンによる消化槽内の微生物活性の低下を引き起こす可能性があリ、嫌気性消化槽の運転が安定に維持されなくなる恐れがある。また、この溶液の水酸化ナトリウムは処理の過程でほとんど消費されることがないため、再び有機汚泥のアルカリ処理を行なうことが可能である。したがって、本実施の形態のようにリン回収後の溶液をいったんアルカリ回収槽に保持し、これをアルカリ液保持槽に送ることによって、嫌気性消化槽の急激なpHの変化、および微生物活性の低下を回避して、嫌気性消化槽を安定に運転できると同時に、アルカリ処理に必要な水酸化ナトリウム溶液を循環して利用することができる。
【0112】
したがって、嫌気性消化槽へ導入する有機汚泥をオゾン処理に続いてアルカリ処理した後、固形物と溶液に分離し、分離後の固形物を消化槽に導入するとともに、分離後の溶液からリン回収し、回収後の溶液をアルカリ処理に再利用することによって、より安定かつ効率的なエネルギー、リン同時回収が可能となる。
【0113】
なお、本実施の形態では、嫌気性消化槽へ導入する有機汚泥の全てをオゾンおよびアルカリ処理したが、導入する有機汚泥の一部にオゾンおよびアルカリ処理を行ない、残りは処理を行なわずに嫌気性消化槽へ導入するようにしてもよい。
【0114】
また、本実施の形態では、アルカリ処理後の溶液の全てをアルカリ回収槽に送りこれをアルカリ処理に再利用したが、リン回収後の溶液の一部を循環再利用し、残りは系外に廃棄してもよい。また、リン回収後の溶液の一部を循環再利用し、残りを嫌気性消化槽に悪影響を及ぼさない範囲内で嫌気性消化槽に導入するようにしてもよい。このリン回収後の溶液を嫌気性消化槽に導入する際には、硫酸などの酸を加えpHを中性付近に調整して導入するようにすれば急激なpHの変化を避けることができる。
【0115】
実施の形態4
本発明のほかの実施の形態における有機性廃液の処理装置およびそれを用いた有機性廃液の処理方法について説明する。
【0116】
図12は本実施の形態の有機性廃液の処理装置について、その概略の構成および処理の流れを示した図である。図12に示した本実施の形態の処理装置は、図11に示した前記実施の形態3の処理装置において、リン回収に関する部分を除いた構成となっている。すなわち、図11に示した処理装置から、凝集剤保持槽21、凝集剤導入ポンプ22、凝集剤導入路23、リン回収槽24、リン回収路25、リン回収後溶液排出路26が除かれており、リン含有溶液排出路20はアルカリ液回収槽31に接続されている。それ以外は図12に示した実施の形態3の処理装置と同様の構成である。
【0117】
つぎに本実施の形態の処理装置の動作について説明する。
【0118】
下水処理場の初沈汚泥と余剰汚泥を混合した有機汚泥に実施の形態3と同様のオゾン処理、およびアルカリ処理を行なう。このアルカリ処理した有機汚泥を、アルカリ処理液排出路18を通して固液分離槽17へと送り、固液分離槽17で固形物と溶液に分ける。分離後の固形物を処理廃液導入路19から嫌気性消化槽1に導入し、微生物によって有機汚泥を消化する。一方、分離後の溶液を、リン含有溶液排出路20を通してアルカリ液回収槽31に導入する。アルカリ液回収槽31ではリン回収後の溶液を保持し、これをアルカリ液保持槽13に送る。その他は実施の形態3と同様である。
【0119】
本実施の形態は、有機汚泥中のリン含有量が少ない場合などに、汚泥からのエネルギー回収を優先して行なう場合の例である。このように有機汚泥に対し、オゾンとアルカリを組み合わせた処理を行なうことにより、オゾンの強い酸化作用とアルカリの有機物分解作用の相乗効果によって有機汚泥の固形物中の繊維質や細胞壁などの難溶解性物質を改質し、消化槽内の汚泥によって溶解されやすい易溶解性物質へと変換することができる。このためオゾン処理あるいはアルカリ処理を単独で行なった場合に比べ、有機汚泥中の固形物の溶解量を増大でき、汚泥のメタンへの変換量を大幅に向上できる。また、これに対応して、処分すべき汚泥の発生量も大幅に低減できる。
【0120】
また、分離後の溶液中にはアルカリ処理の際に添加した水酸化ナトリウムが残存している。この溶液を嫌気性消化槽に導入すると、急激なpHの変化や、ナトリウムイオンによる消化槽内の微生物活性の低下を引き起こす可能性があリ、嫌気性消化槽の運転が安定に維持されなくなる恐れがある。また、この溶液の水酸化ナトリウムは処理の過程でほとんど消費されることがないため、再び有機汚泥のアルカリ処理を行なうことが可能である。したがって本実施の形態のようにアルカリ処理後の溶液をいったんアルカリ回収槽に保持し、これをアルカリ液保持槽に送ることによって、嫌気性消化槽の急激なpHの変化、および微生物活性の低下を回避して、嫌気性消化槽を安定に運転できると同時に、アルカリ処理に必要な水酸化ナトリウム溶液を循環して利用することができる。
【0121】
なお、本実施の形態では、嫌気性消化槽へ導入する有機汚泥の全てをオゾンおよびアルカリ処理したが、導入する有機汚泥の一部にオゾンおよびアルカリ処理を行ない、残りは処理を行なわずに嫌気性消化槽へ導入するようにしてもよい。
【0122】
実施の形態5
本発明のほかの実施の形態における有機性廃液の処理装置およびそれを用いた有機性廃液の処理方法について説明する。
【0123】
図13は本実施の形態の有機性廃液の処理装置について、その構成の概略と処理の流れを示した図である。図13に示すように、嫌気性消化槽1には有機性廃液導入路2が接続されている。嫌気性消化槽1には消化汚泥引抜き路34が接続され、消化汚泥引抜き路34のもう一端はオゾン処理槽9に接続されている。さらに、オゾン処理槽9は、オゾン処理液排出路16を介してアルカリ処理槽12に、アルカリ処理槽12は、アルカリ処理液排出路18を介して固液分離槽17に、固液分離槽17は、処理廃液導入路19を介して嫌気性消化槽1に、それぞれ接続されている。オゾン処理槽9には、オゾンガス注入路11を介してオゾン発生器10が接続されている。アルカリ処理槽12には、アルカリ液導入路14を介してアルカリ液保持槽13が接続されており、アルカリ液導入路14にはアルカリ液導入ポンプ15が設置されている。また、有機性廃液導入路2には有機性廃液導入ポンプ60が、消化汚泥引抜き路34には汚泥返送ポンプ61が設置されている。
【0124】
また、固液分離槽17とリン回収槽24が、リン含有溶液排出路20によって接続されており、リン回収槽24はリン回収後溶液排出路26を介してアルカリ液回収槽31に接続されている。リン含有溶液排出路20には凝集剤導入路23が接続され、凝集剤導入路23の他端は凝集剤保持槽21へと接続されている。凝集剤導入路23には凝集剤導入ポンプ22が設置されており、リン回収槽24にはリン回収路25が接続されている。また、アルカリ液回収槽31はアルカリ液循環路32によってアルカリ液保持槽13接続されている。
【0125】
また、嫌気性消化槽1には消化汚泥排出路3を介して固液分離槽4が接続され、固液分離槽4には濃縮汚泥排出路5および処理水排出路8が接続されている。濃縮汚泥排出路5は汚泥廃棄路6と汚泥返送路7に分岐し、汚泥返送路7は嫌気性消化槽1に接続されている。さらに、嫌気性消化槽1には消化ガス排出路27が接続されている。
【0126】
つぎに本実施の形態の処理装置の動作について説明する。
【0127】
下水処理場の初沈汚泥と余剰汚泥を混合した有機汚泥を、有機性廃液として有機性廃液導入路2から嫌気性消化槽1に導入する。嫌気性消化槽1で微生物によって有機汚泥を消化した後、嫌気性消化槽1内の汚泥を消化汚泥排出路3から排出し、固液分離槽4で固形物と溶液に分け、溶液は処理水排出路8から、固形物は濃縮汚泥排出路5からそれぞれ排出する。
【0128】
濃縮汚泥排出路5中の固形物を汚泥返送路7を介して嫌気性消化槽1に返送するとともに、一部を汚泥廃棄路6から系外に排出する。また、嫌気性消化槽1で発生する消化ガスは、消化ガス排出路27によって排出する。
【0129】
この嫌気性消化の過程において、消化汚泥引抜きポンプ61を動作させ、嫌気性消化槽1の消化汚泥を消化汚泥引抜き路34を通してオゾン処理槽9に導入し、同時にオゾン発生器10で発生させたオゾンガスをオゾンガス注入路11を通してオゾン処理槽9に注入し、消化汚泥のオゾン処理を行なう。
【0130】
オゾン処理後の消化汚泥を、オゾン処理液排出路16を介してアルカリ処理槽12に送る。アルカリ液導入ポンプ15を動作させ、アルカリ液保持槽13に保持された水酸化ナトリウム溶液をアルカリ液導入路14を通してアルカリ処理槽12に導入し、消化汚泥のアルカリ処理を行なう。
【0131】
このアルカリ処理した消化汚泥を、アルカリ処理液排出路18を通して固液分離槽17へと送り、固液分離槽17で固形物と溶液に分ける。分離後の固形物を処理廃液導入路19から嫌気性消化槽1に導入し、微生物によって消化汚泥を分解する。一方、分離後の溶液を、リン含有溶液排出路20を通してリン回収槽24に送る。この際、凝集剤導入ポンプ22を動作させ、凝集剤保持槽21に保持した炭酸カルシウム溶液を、凝集剤導入路23を通してリン含有溶液排出路20に導入し、リン含有溶液排出路20を通るリン含有溶液に、炭酸カルシウム溶液を混合し、リン酸カルシウムを析出させる。リン回収槽24では析出したリン酸カルシウムを分離し、リン回収路25から引き抜くとともに、リン回収後の溶液をリン回収後溶液排出路26を通してアルカリ液回収槽31に導入する。アルカリ液回収槽31ではリン回収後の溶液を保持し、これをアルカリ液保持槽13に送る。
【0132】
このように、消化汚泥に対し、オゾンとアルカリを組み合わせた処理を行なうことによって、オゾンの強い酸化作用とアルカリの有機物分解作用の相乗効果によって消化汚泥の固形物中の繊維質や細胞壁などの難溶解性物質を改質し、消化槽内の汚泥によって溶解されやすい易溶解性物質へと変換することができる。このためオゾン処理あるいはアルカリ処理を単独で用いた場合、およびこれらの処理の単純な和とくらべ、汚泥の溶解量およびメタンへの変換量を大幅に増大することができる。また、これに対応して、処分すべき汚泥の発生量も大幅に低減できる。
【0133】
同時に、オゾンの強い酸化作用とアルカリの有機物分解作用の相乗効果によって細胞壁の分解がより進むため、消化汚泥中の固形成分中に含有されるリンを固形成分外へと高い効率で溶出させることができる。このためオゾン処理あるいはアルカリ処理を単独で用いた場合、およびこれらの処理の単純な和とくらべ、リンの溶出量を増大することができる。さらに、これを凝集剤を用いて固形状のリンとし、再利用可能なリンとして回収することができる。
【0134】
また、リン回収後の溶液中にはアルカリ処理の際に添加した水酸化ナトリウムが残存している。この溶液を嫌気性消化槽に導入すると、急激なpHの変化や、ナトリウムイオンによる消化槽内の微生物活性の低下を引き起こす可能性があリ、嫌気性消化槽の運転が安定に維持されなくなる恐れがある。また、この溶液の水酸化ナトリウムは処理の過程でほとんど消費されることがないため、再び消化汚泥のアルカリ処理を行なうことが可能である。したがって本実施の形態のようにリン回収後の溶液をいったんアルカリ回収槽に保持し、これをアルカリ液保持槽に送ることによって、嫌気性消化槽の急激なpHの変化、および微生物活性の低下を回避して、嫌気性消化槽を安定に運転できると同時に、アルカリ処理に必要な水酸化ナトリウム溶液を循環して利用することができる。
【0135】
したがって、嫌気性消化槽の消化汚泥をオゾン処理に続いてアルカリ処理した後、固形物と溶液に分離し、分離後の固形物を消化槽に導入するとともに、分離後の溶液からリン回収し、回収後の溶液をアルカリ処理に再利用することによって、より安定かつ効率的なエネルギー、リン同時回収が可能となる。
【0136】
また、嫌気性消化槽の消化汚泥中には、生物によって溶解し難い難溶解性物質が多く蓄積している。したがって、本実施の形態のように、嫌気性消化槽から消化汚泥の一部を引き抜き、引き抜いた消化汚泥中の固形物質を改質処理して易溶解性物質へ変換することによって、より効果的にエネルギー回収を進めることが可能となる。
【0137】
また、本実施の形態では、アルカリ処理後の溶液の全てをアルカリ回収槽に送りこれをアルカリ処理に再利用したが、リン回収後の溶液の一部を循環再利用し、残りは系外に廃棄してもよい。また、リン回収後の溶液の一部を循環再利用し、残りを嫌気性消化槽に悪影響を及ぼさない範囲内で嫌気性消化槽に導入するようにしてもよい。このリン回収後の溶液を嫌気性消化槽に導入する際には、硫酸などの酸を加えpHを中性付近に調整して導入するようにすれば急激なpHの変化を避けることができる。
【0138】
実施の形態6
本発明のほかの実施の形態における有機性廃液の処理装置およびそれを用いた有機性廃液の処理方法について説明する。
【0139】
図14は本実施の形態の有機性廃液の処理装置について、その概略の構成および処理の流れを示した図である。図14に示した本実施の形態の処理装置は、図13に示した前記実施の形態5の処理装置において、リン回収に関する部分を除いた構成となっている。すなわち、図13に示した処理装置から、凝集剤保持槽21、凝集剤導入ポンプ22、凝集剤導入路23、リン回収槽24、リン回収路25、リン回収後溶液排出路26が除かれており、リン含有溶液排出路20はアルカリ液回収槽31に接続されている。それ以外は図13に示した実施の形態5の処理装置と同様の構成である。
【0140】
つぎに本実施の形態の処理装置の動作について説明する。
【0141】
消化汚泥引抜きポンプ61を動作させ、嫌気性消化槽1の消化汚泥を消化汚泥引抜き路34を通してオゾン処理槽9に導入し実施の形態5と同様のオゾン処理、およびアルカリ処理を行なう。このアルカリ処理した有機汚泥を、アルカリ処理液排出路18を通して固液分離槽17へと送り、固液分離槽17で固形物と溶液に分ける。分離後の固形物を処理廃液導入路19から嫌気性消化槽1に導入し、微生物によって有機汚泥を消化する。一方、分離後の溶液を、リン含有溶液排出路20を通してアルカリ液回収槽31に導入する。アルカリ液回収槽31ではリン回収後の溶液を保持し、これをアルカリ液保持槽13に送る。その他は実施の形態5と同様である。
【0142】
本実施の形態は、消化汚泥中のリン含有量が少ない場合などに、汚泥からのエネルギー回収を優先して行なう場合の例である。このように消化汚泥に対し、オゾンとアルカリを組み合わせた処理を行なうことにより、オゾンの強い酸化作用とアルカリの有機物分解作用の相乗効果によって消化汚泥の固形物中の繊維質や細胞壁などの難溶解性物質を改質し、消化槽内の汚泥によって溶解されやすい易溶解性物質へと変換することができる。このためオゾン処理あるいはアルカリ処理を単独で行なった場合に比べ、消化汚泥中の固形物の溶解性を増大でき、汚泥のメタンへの変換率を大幅に向上できる。また、これに対応して、処分すべき汚泥の発生量も大幅に低減できる。
【0143】
また、分離後の溶液中にはアルカリ処理の際に添加した水酸化ナトリウムが残存している。この溶液を嫌気性消化槽に導入すると、急激なpHの変化や、ナトリウムイオンによる消化槽内の微生物活性の低下を引き起こす可能性があリ、嫌気性消化槽の運転が安定に維持されなくなる恐れがある。また、この溶液の水酸化ナトリウムは処理の過程でほとんど消費されることがないため、再び消化汚泥のアルカリ処理を行なうことが可能である。したがって本実施の形態のようにアルカリ処理後の溶液をいったんアルカリ回収槽に保持し、これをアルカリ液保持槽に送ることによって、嫌気性消化槽の急激なpHの変化、および微生物活性の低下を回避して、嫌気性消化槽を安定に運転できると同時に、アルカリ処理に必要な水酸化ナトリウム溶液を循環して利用することができる。
【0144】
また、嫌気性消化槽の消化汚泥中には、生物によって溶解し難い難溶解性物質が多く蓄積している。したがって、本実施の形態のように、嫌気性消化槽から消化汚泥の一部を引き抜き、引き抜いた消化汚泥中の固形物質を改質処理して易溶解性物質へ変換することによって、より効果的にエネルギー回収を進めることが可能となる。
【0145】
実施の形態7
本発明のほかの実施の形態における有機性廃液の処理装置およびそれを用いた有機性廃液の処理について説明する。
【0146】
図15は本実施の形態の有機性廃液の処理装置について、構成の概略と処理の流れを示した図である。図15に示すように、嫌気性消化槽1には有機性廃液導入路2が接続されている。嫌気性消化槽1は消化汚泥排出路3を介して固液分離槽4に接続され、固液分離槽4には濃縮汚泥排出路5および処理水排出路8が接続されている。濃縮汚泥排出路5は汚泥廃棄路6と汚泥返送路7に分岐し、汚泥返送路7はオゾン処理槽9に接続されている。さらに、オゾン処理槽9は、オゾン処理液排出路16を介してアルカリ処理槽12に、アルカリ処理槽12は、アルカリ処理液排出路18を介して固液分離槽17に、固液分離槽17は、処理廃液導入路19を介して嫌気性消化槽1に、それぞれ接続されている。オゾン処理槽9には、オゾンガス注入路11を介してオゾン発生器10が接続されている。アルカリ処理槽12には、アルカリ液導入路14を介してアルカリ液保持槽13が接続されており、アルカリ液導入路14にはアルカリ液導入ポンプ15が設置されている。また、有機性廃液導入路2には有機性廃液導入ポンプ60が、汚泥返送路7には汚泥返送ポンプ62が設置されている。
【0147】
また、固液分離槽17とリン回収槽24が、リン含有溶液排出路20によって接続されており、リン回収槽24はリン回収後溶液排出路26を介してアルカリ液回収槽31に接続されている。リン含有溶液排出路20には凝集剤導入路23が接続され、凝集剤導入路23の他端は凝集剤保持槽21へと接続されている。凝集剤導入路23には凝集剤導入ポンプ22が設置されており、リン回収槽24にはリン回収路25が接続されている。また、アルカリ液回収槽31はアルカリ液循環路32によってアルカリ液保持槽13接続されている。
【0148】
つぎに本実施の形態の処理装置の動作について説明する。
【0149】
下水処理場の初沈汚泥と余剰汚泥を混合した有機汚泥を、有機性廃液として有機性廃液導入路2から嫌気性消化槽1に導入する。嫌気性消化槽1で微生物によって有機汚泥を消化した後、嫌気性消化槽1内の汚泥を消化汚泥排出路3から排出し、固液分離槽4で固形物と溶液に分け、溶液は処理水排出路8から、固形物は濃縮汚泥排出路5からそれぞれ排出する。また、嫌気性消化槽1で発生する消化ガスは、消化ガス排出路27によって排出する。
【0150】
この嫌気性消化の過程において、濃縮汚泥排出路5中の濃縮汚泥の一部を汚泥廃棄路6から系外に排出するとともに、汚泥返送ポンプ62を動作させ濃縮汚泥排出路5中の濃縮汚泥の一部を汚泥返送路7を介してオゾン処理槽9に送る。オゾン処理槽9に導入された濃縮汚泥に対し、オゾン発生器10で発生させたオゾンガスをオゾンガス注入路11を通して注入し、オゾン処理槽9内で濃縮汚泥のオゾン処理を行なう。
【0151】
オゾン処理後の濃縮汚泥を、オゾン処理液排出路16を介してアルカリ処理槽12に送る。アルカリ液導入液ポンプ15を動作させ、アルカリ液保持槽13に保持された水酸化ナトリウム溶液をアルカリ液導入路14を通してアルカリ処理槽12に導入し、濃縮汚泥のアルカリ処理を行なう。
【0152】
このアルカリ処理した濃縮汚泥を、アルカリ処理液排出路18を通して固液分離槽17へと送り、固液分離槽17で固形物と溶液に分ける。分離後の固形物を処理廃液導入路19から嫌気性消化槽1に導入し、微生物によって濃縮汚泥を分解する。一方、分離後の溶液を、リン含有溶液排出路20を通してリン回収槽24に送る。この際、凝集剤導入ポンプ22を動作させ、凝集剤保持槽21に保持した炭酸カルシウム溶液を、凝集剤導入路23を通してリン含有溶液排出路20に導入し、リン含有溶液排出路20を通るリン含有溶液に、炭酸カルシウム溶液を混合し、リン酸カルシウムを析出させる。リン回収槽24では析出したリン酸カルシウムを分離し、リン回収路25から引き抜くとともに、リン回収後の溶液をリン回収後溶液排出路26を通してアルカリ液回収槽31に導入する。アルカリ液回収槽31ではリン回収後の溶液を保持し、これをアルカリ液保持槽13に送る。
【0153】
このように、消化槽の消化汚泥を濃縮した濃縮汚泥に対し、オゾンとアルカリを組み合わせた処理を行なうことによって、オゾンの強い酸化作用とアルカリの有機物分解作用の相乗効果によって濃縮汚泥の固形物中の繊維質や細胞壁などの難溶解性物質を改質し、消化槽内の汚泥によって溶解されやすい易溶解性物質へと変換することができる。このためオゾン処理あるいはアルカリ処理を単独で用いた場合、およびこれらの処理の単純な和とくらべ、汚泥の溶解量およびメタンへの変換量を大幅に増大することができる。また、これに対応して、処分すべき汚泥の発生量も大幅に低減できる。
【0154】
同時に、オゾンの強い酸化作用とアルカリの有機物分解作用の相乗効果によって細胞壁の分解がより進むため、濃縮汚泥中の固形成分中に含有されるリンを固形成分外へと高い効率で溶出させることができる。このためオゾン処理あるいはアルカリ処理を単独で用いた場合、およびこれらの処理の単純な和とくらべ、リンの溶出量を増大することができる。さらに、これを凝集剤を用いて固形状のリンとし、再利用可能なリンとして回収することができる。
【0155】
また、リン回収後の溶液中にはアルカリ処理の際に添加した水酸化ナトリウムが残存している。この溶液を嫌気性消化槽に導入すると、急激なpHの変化や、ナトリウムイオンによる消化槽内の微生物活性の低下を引き起こす可能性があリ、嫌気性消化槽の運転が安定に維持されなくなる恐れがある。また、この溶液の水酸化ナトリウムは処理の過程でほとんど消費されることがないため、再び濃縮汚泥のアルカリ処理を行なうことが可能である。したがって本実施の形態のようにリン回収後の溶液をいったんアルカリ回収槽に保持し、これをアルカリ液保持槽に送ることによって、嫌気性消化槽の急激なpHの変化、および微生物活性の低下を回避して、嫌気性消化槽を安定に運転できると同時に、アルカリ処理に必要な水酸化ナトリウム溶液を循環して利用することができる。
【0156】
したがって、嫌気性消化槽の消化汚泥を濃縮した濃縮汚泥をオゾン処理に続いてアルカリ処理した後、固形物と溶液に分離し、分離後の固形物を消化槽に導入するとともに、分離後の溶液からリン回収し、回収後の溶液をアルカリ処理に再利用することによって、より安定かつ効率的なエネルギー、リン同時回収が可能となる。
【0157】
また、嫌気性消化槽の消化汚泥中には生物によって溶解し難い難溶解性物質が多く蓄積している。したがって、本実施の形態のように、嫌気性消化槽内の汚泥を濃縮し、濃縮した汚泥中の固形物質を改質処理して易溶解性物質へ変換することによって、より効果的にエネルギー回収を進めることが可能となる。
【0158】
また、本実施の形態では、アルカリ処理後の溶液の全てをアルカリ回収槽に送りこれをアルカリ処理に再利用したが、リン回収後の溶液の一部を循環再利用し、残りは系外に廃棄してもよい。また、リン回収後の溶液の一部を循環再利用し、残りを嫌気性消化槽に悪影響を及ぼさない範囲内で嫌気性消化槽に導入するようにしてもよい。このリン回収後の溶液を嫌気性消化槽に導入する際には、硫酸などの酸を加えpHを中性付近に調整して導入するようにすれば急激なpHの変化を避けることができる。
【0159】
実施の形態8
本発明のほかの実施の形態における有機性廃液の処理装置およびそれを用いた有機性廃液の処理方法について説明する。
【0160】
図16は本実施の形態の有機性廃液の処理装置について、その概略の構成および処理の流れを示した図である。図16に示した本実施の形態の処理装置は、図15に示した前記実施の形態7の処理装置において、リン回収に関する部分を除いた構成となっている。すなわち、図15に示した処理装置から、凝集剤保持槽21、凝集剤導入ポンプ22、凝集剤導入路23、リン回収槽24、リン回収路25、リン回収後溶液排出路26が除かれており、リン含有溶液排出路20はアルカリ液回収槽31に接続されている。それ以外は図15に示した実施の形態7の処理装置と同様の構成である。
【0161】
つぎに本実施の形態の処理装置の動作について説明する。
【0162】
実施の形態7と同様に、嫌気性消化の過程において、濃縮汚泥排出路5中の濃縮汚泥の一部を汚泥廃棄路6から系外に排出するとともに、汚泥返送ポンプ62を動作させ濃縮汚泥排出路5中の濃縮汚泥の一部を汚泥返送路7を介してオゾン処理槽9に導入し実施の形態7と同様のオゾン処理、およびアルカリ処理を行なう。このアルカリ処理した濃縮汚泥を、アルカリ処理液排出路18を通して固液分離槽17へと送り、固液分離槽17で固形物と溶液に分ける。分離後の固形物を処理廃液導入路19から嫌気性消化槽1に導入し、微生物によって濃縮汚泥を分解する。一方、分離後の溶液を、リン含有溶液排出路20を通してアルカリ液回収槽31に導入する。アルカリ液回収槽31ではリン回収後の溶液を保持し、これをアルカリ液保持槽13に送る。その他は実施の形態7と同様である。
【0163】
本実施の形態は、濃縮汚泥中のリン含有量が少ない場合などに、汚泥からのエネルギー回収を優先して行なう場合の例である。このように濃縮汚泥に対し、オゾンとアルカリを組み合わせた処理を行なうことにより、オゾンの強い酸化作用とアルカリの有機物分解作用の相乗効果によって濃縮汚泥の固形物中の繊維質や細胞壁などの難溶解性物質を改質し、消化槽内の汚泥によって溶解されやすい易溶解性物質へと変換することができる。このためオゾン処理あるいはアルカリ処理を単独で行なった場合に比べ、濃縮汚泥中の固形物の溶解性を増大でき、汚泥のメタンへの変換率を大幅に向上できる。また、これに対応して、処分すべき汚泥の発生量も大幅に低減できる。
【0164】
また、分離後の溶液中にはアルカリ処理の際に添加した水酸化ナトリウムが残存している。この溶液を嫌気性消化槽に導入すると、急激なpHの変化や、ナトリウムイオンによる消化槽内の微生物活性の低下を引き起こす可能性があリ、嫌気性消化槽の運転が安定に維持されなくなる恐れがある。また、この溶液の水酸化ナトリウムは処理の過程でほとんど消費されることがないため、再び濃縮汚泥のアルカリ処理を行なうことが可能である。したがって本実施の形態のようにアルカリ処理後の溶液をいったんアルカリ回収槽に保持し、これをアルカリ液保持槽に送ることによって、嫌気性消化槽の急激なpHの変化、および微生物活性の低下を回避して、嫌気性消化槽を安定に運転できると同時に、アルカリ処理に必要な水酸化ナトリウム溶液を循環して利用することができる。
【0165】
また、嫌気性消化槽の消化汚泥中には、生物によって溶解し難い難溶解性物質が多く蓄積している。したがって、本実施の形態のように、嫌気性消化槽内の汚泥を濃縮し、濃縮した消化汚泥中の固形物質を処理して易溶解性物質へ変換することによって、より効果的にエネルギー回収を進めることが可能となる。
【0166】
実施の形態9
本発明のほかの実施の形態における有機性廃液の処理装置、およびそれを用いた有機性廃液の処理方法について説明する。
【0167】
図17に示す本実施の形態の処理装置は、図11に示した実施の形態3の処理装置において、消化ガス排出路27が消化ガスホルダ45と接続されている。また、消化ガスホルダ45は消化ガス導入路46によって脱硫装置47と、脱硫装置47は脱硫後ガス導入路48によってガス発電器49にそれぞれ接続されている。またガス発電器49には排ガス排出路51が接続し、排ガス排出路51は排ガス供給路52、53に分岐している。排ガス供給路52はオゾン反応槽9に設置したオゾン反応槽加熱装置42に、排ガス供給路53はアルカリ反応槽12に設置したオゾン反応槽加熱装置43に、それぞれ接続されている。本実施の形態の処理装置は、消化ガスホルダ45、消化ガス導入路46、脱硫装置47、脱硫後ガス導入路48、ガス発電器49、排ガス排出路51、排ガス供給路52、53、オゾン反応槽加熱装置42、オゾン反応槽加熱装置43を備える点を除き、図11に示した実施の形態3の処理装置と同様の構成である。
【0168】
つぎに本実施の形態の処理装置の動作について説明する。
【0169】
実施の形態3と同様の有機汚泥のオゾン処理、アルカリ処理、嫌気性消化、およびリン回収を行なう過程で、嫌気性消化槽1で発生する消化ガスを消化ガス排出路27を通して消化ガスホルダ45へ導入して保持する。続いて消化ガスホルダ45に保持した消化ガスを消化ガス導入路46を通して脱硫装置47に導入し、消化ガス中の硫黄など、後段のガス発電器において阻害になる物質を除去する。阻害物質を除去された消化ガスを脱硫後ガス導入路48を通してガス発電器49に供給し、ガス発電器で消化ガス中のメタンを原料として発電する。この発電過程で生じる200〜500℃の高温の排ガスを排ガス排出路51、および排ガス供給路52、53を通してオゾン反応槽加熱装置42、オゾン反応槽加熱装置43に、それぞれ供給する。オゾン反応槽加熱装置42、オゾン反応槽加熱装置43では供給された高温の排ガスを用いてオゾン反応槽9、アルカリ反応槽12を30〜90℃の範囲で加熱する。すなわち、有機汚泥のオゾン処理、アルカリ処理を高温下で行なう。その他は実施の形態3と同様である。
【0170】
このように、有機汚泥のオゾン処理およびアルカリ処理を高温下で行なうことにより、オゾン、アルカリ処理の有する2つの効果、すなわち、有機汚泥の固形物中の繊維質や細胞壁などの難溶解性物質を改質し消化槽内の汚泥によって溶解されやすい易溶解性物質へと変換する効果、および細胞壁の分解を進め有機汚泥の固形物中に含有されるリンを固形物外へと高い効率で溶出させる効果をさらに増大させることができる。よって、オゾン処理に引き続きアルカリ処理を行なう処理と加熱処理の相乗効果によって、オゾン処理とアルカリ処理のみを行なう場合、加熱処理のみを行なう場合、およびこれらの単純な和とくらべ、汚泥の溶解量とメタンへの変換量、および汚泥からのリン溶出量を大幅に増大することができる。さらに、本実施の形態のようにガス発電器からの排ガスを用いて加熱するため、加熱にはエネルギーが不要となる。
【0171】
したがって、有機汚泥のオゾン処理、アルカリ処理をガス発電器からの高温の排ガスを用いて加熱しながら行なうことによって、より効率的で低コスト、省エネ型のエネルギー、リン同時回収が可能となる。
【0172】
また、本実施の形態ではオゾン、アルカリ処理を行なった有機汚泥を固液分離し、分離した溶液からリンを回収する場合を示したが、図12に示した実施の形態4のように、リン回収を行なわず、エネルギー回収を優先して行なう場合においても、同様の加熱を行なうことでエネルギー回収に対する高い効果が得られる。
【0173】
さらに、本実施の形態では、全てのリン回収後の溶液をリン回収後溶液排出路26を通してアルカリ液回収槽31に導入したが、本発明はこれに限るものではなく、一部、あるいは全てを嫌気性消化槽1に導入するようにしてもよい。
【0174】
実施の形態10
本発明のほかの実施の形態における有機性廃液の処理装置、およびそれを用いた有機性廃液の処理方法について説明する。
【0175】
図18に示す本実施の形態の処理装置は、図13に示した実施の形態5の処理装置において、消化ガス排出路27が消化ガスホルダ45と接続されている。また、消化ガスホルダ45は消化ガス導入路46によって脱硫装置47と、脱硫装置47は脱硫後ガス導入路48によってガス発電器49にそれぞれ接続されている。またガス発電器49には排ガス排出路51が接続し、排ガス排出路51は排ガス供給路52、53に分岐している。排ガス供給路52はオゾン反応槽9に設置したオゾン反応槽加熱装置42に、排ガス供給路53はアルカリ反応槽12に設置したオゾン反応槽加熱装置43に、それぞれ接続されている。本実施の形態の処理装置は、消化ガスホルダ45、消化ガス導入路46、脱硫装置47、脱硫後ガス導入路48、ガス発電器49、排ガス排出路51、排ガス供給路52、53、オゾン反応槽加熱装置42、オゾン反応槽加熱装置43を備える点を除き、図13に示した実施の形態5の処理装置と同様の構成である。
【0176】
つぎに本実施の形態の処理装置の動作について説明する。
【0177】
実施の形態5と同様の嫌気性消化槽1の消化汚泥のオゾン処理、アルカリ処理、嫌気性消化、およびリン回収を行なう過程で、嫌気性消化槽1で発生する消化ガスを消化ガス排出路27を通して消化ガスホルダ45へ導入して保持する。続いて消化ガスホルダ45に保持した消化ガスを消化ガス導入路46を通して脱硫装置47に導入し、消化ガス中の硫黄など、後段のガス発電器において阻害になる物質を除去する。阻害物質を除去された消化ガスを脱硫後ガス導入路48を通してガス発電器49に供給し、ガス発電器で消化ガス中のメタンを原料として発電する。この発電過程で生じる200〜500℃の高温の排ガスを排ガス排出路51、および排ガス供給路52、53を通してオゾン反応槽加熱装置42、オゾン反応槽加熱装置43に、それぞれ供給する。オゾン反応槽加熱装置42、オゾン反応槽加熱装置43では供給された高温の排ガスを用いてオゾン反応槽9、アルカリ反応槽12を30〜90℃の範囲で加熱する。すなわち、消化汚泥のオゾン処理、アルカリ処理を高温下で行なう。その他は実施の形態5と同様である。
【0178】
このように、消化汚泥のオゾン処理およびアルカリ処理を高温下で行なうことにより、オゾン、アルカリ処理の有する2つの効果、すなわち、消化汚泥の固形物中の繊維質や細胞壁などの難溶解性物質を改質し消化槽内の汚泥によって溶解されやすい易溶解性物質へと変換する効果、および細胞壁の分解を進め消化汚泥の固形物中に含有されるリンを固形物外へと高い効率で溶出させる効果をさらに増大させることができる。よって、オゾン処理に引き続きアルカリ処理を行なう処理と加熱処理の相乗効果によって、オゾン処理とアルカリ処理のみを行なう場合、加熱処理のみを行なう場合、およびこれらの単純な和とくらべ、汚泥の溶解量とメタンへの変換量、および汚泥からのリン溶出量を大幅に増大することができる。さらに、本実施の形態のようにガス発電器からの排ガスを用いて加熱するため、加熱にはエネルギーが不要となる。
【0179】
したがって、消化汚泥のオゾン処理、アルカリ処理をガス発電器からの高温の排ガスを用いて加熱しながら行なうことによって、より効率的で低コスト、省エネ型のエネルギー、リン同時回収が可能となる。
【0180】
また、本実施の形態ではオゾン、アルカリ処理を行なった消化汚泥を固液分離し、分離した溶液からリンを回収する場合を示したが、図14に示した実施の形態6のように、リン回収を行なわず、エネルギー回収を優先して行なう場合においても、同様の加熱を行なうことでエネルギー回収に対する高い効果が得られる。
【0181】
さらに、本実施の形態では、全てのリン回収後の溶液をリン回収後溶液排出路26を通してアルカリ液回収槽31に導入したが、本発明はこれに限るものではなく、一部、あるいは全てを嫌気性消化槽1に導入するようにしてもよい。
【0182】
実施の形態11
本発明のほかの実施の形態における有機性廃液の処理装置、およびそれを用いた有機性廃液の処理方法について説明する。
【0183】
図19に示す本実施の形態の処理装置は、図15に示した実施の形態7の処理装置において、消化ガス排出路27が消化ガスホルダ45と接続されている。また、消化ガスホルダ45は消化ガス導入路46によって脱硫装置47と、脱硫装置47は脱硫後ガス導入路48によってガス発電器49にそれぞれ接続されている。またガス発電器49には排ガス排出路51が接続し、排ガス排出路51は排ガス供給路52、53に分岐している。排ガス供給路52はオゾン反応槽9に設置したオゾン反応槽加熱装置42に、排ガス供給路53はアルカリ反応槽12に設置したオゾン反応槽加熱装置43に、それぞれ接続されている。本実施の形態の処理装置は、消化ガスホルダ45、消化ガス導入路46、脱硫装置47、脱硫後ガス導入路48、ガス発電器49、排ガス排出路51、排ガス供給路52、53、オゾン反応槽加熱装置42、オゾン反応槽加熱装置43を備える点を除き、図15に示した実施の形態7の処理装置と同様の構成である。
【0184】
つぎに本実施の形態の処理装置の動作について説明する。
【0185】
実施の形態7と同様の嫌気性消化槽1の消化汚泥を濃縮した濃縮汚泥のオゾン処理、アルカリ処理、嫌気性消化、およびリン回収を行なう過程で、嫌気性消化槽1で発生する消化ガスを消化ガス排出路27を通して消化ガスホルダ45へ導入して保持する。続いて消化ガスホルダ45に保持した消化ガスを消化ガス導入路46を通して脱硫装置47に導入し、消化ガス中の硫黄など、後段のガス発電器において阻害になる物質を除去する。阻害物質を除去された消化ガスを脱硫後ガス導入路48を通してガス発電器49に供給し、ガス発電器で消化ガス中のメタンを原料として発電する。この発電過程で生じる200〜500℃の高温の排ガスを排ガス排出路51、および排ガス供給路52、53を通してオゾン反応槽加熱装置42、オゾン反応槽加熱装置43に、それぞれ供給する。オゾン反応槽加熱装置42、オゾン反応槽加熱装置43では供給された高温の排ガスを用いてオゾン反応槽9、アルカリ反応槽12を30〜90℃の範囲で加熱する。すなわち、濃縮汚泥のオゾン処理、アルカリ処理を高温下で行なう。その他は実施の形態7と同様である。
【0186】
このように、消化汚泥を濃縮した濃縮汚泥のオゾン処理およびアルカリ処理を高温下で行なうことにより、オゾン、アルカリ処理の有する2つの効果、すなわち、濃縮汚泥の固形物中の繊維質や細胞壁などの難溶解性物質を改質し消化槽内の汚泥によって溶解されやすい易溶解性物質へと変換する効果、および細胞壁の分解を進め濃縮汚泥の固形物中に含有されるリンを固形物外へと高い効率で溶出させる効果をさらに増大させることができる。よって、オゾン処理に引き続きアルカリ処理を行なう処理と加熱処理の相乗効果によって、オゾン処理とアルカリ処理のみを行なう場合、加熱処理のみを行なう場合、およびこれらの単純な和とくらべ、汚泥の溶解量とメタンへの変換量、および汚泥からのリン溶出量を大幅に増大することができる。さらに、本実施の形態のようにガス発電器からの排ガスを用いて加熱するため、加熱にはエネルギーが不要となる。
【0187】
したがって、濃縮汚泥のオゾン処理、アルカリ処理をガス発電器からの高温の排ガスを用いて加熱しながら行なうことによって、より効率的で低コスト、省エネ型のエネルギー、リン同時回収が可能となる。
【0188】
また、本実施の形態ではオゾン、アルカリ処理を行なった濃縮汚泥を固液分離し、分離した溶液からリンを回収する場合を示したが、図16に示した実施の形態8のように、リン回収を行なわず、エネルギー回収を優先して行なう場合においても、同様の加熱を行なうことでエネルギー回収に対する高い効果が得られる。
【0189】
さらに、本実施の形態では、全てのリン回収後の溶液をリン回収後溶液排出路26を通してアルカリ液回収槽31に導入したが、本発明はこれに限るものではなく、一部、あるいは全てを嫌気性消化槽1に導入するようにしてもよい。
【0190】
実施の形態12
本発明のほかの実施の形態における有機性廃液の処理装置、およびそれを用いた有機性廃液の処理方法について説明する。
【0191】
図20に示す本実施の形態の処理装置は、図11に示した実施の形態3の処理装置において、処理廃液導入路19に微生物活性増大物質(以下、増大物質という)を混合するための増大物質混合槽35が接続され、この増大物質混合槽35は増大物質混合汚泥導入路39によって嫌気性消化槽1に接続されている。また、増大物質混合槽35には、増大物質導入路37を介して増大物質保持槽38が接続されており、増大物質導入路37には増大物質導入ポンプ36が設置されている。本実施の形態の処理装置は、増大物質混合槽35、増大物質導入ポンプ36、増大物質導入路37、増大物質保持槽38、増大物質混合汚泥導入路39を備える点を除き、図12に示した実施の形態3の処理装置と同様の構成である。
【0192】
つぎに本実施の形態の処理装置の動作について説明する。
【0193】
実施の形態3と同様、有機性廃液導入ポンプ60を動作させ、下水処理場の初沈汚泥と余剰汚泥を混合した有機汚泥を有機性廃液導入路2からオゾン処理槽9に導入し、有機汚泥のオゾン処理を行なう。続いてアルカリ処理槽12に導入してアルカリ処理を行ない固液分離槽17で固形物と溶液に分ける。分離後の固形物を処理廃液導入路19を介して増大物質混合槽35に送り、増大物質導入ポンプ36を動作させ、増大物質保持槽38に保持された、亜セレン酸ナトリウム、塩化ニッケル、モリブデン酸ナトリウム、葉酸、リボフラビンを含む増大物質溶液を増大物質導入路37を通して増大物質混合槽35に導入し、固形物と混合する。混合後の固形物を増大物質混合汚泥導入路39を介して嫌気性消化槽1に導入する。その他は実施の形態3と同様である。
【0194】
このように、オゾンおよびアルカリ処理した有機汚泥の固形物に、嫌気性消化槽内の微生物の消化活性を増加する亜セレン酸ナトリウム、塩化ニッケル、モリブデン酸ナトリウム、葉酸、リボフラビンを混合して嫌気性消化槽に導入することによって、有機汚泥を消化槽内の微生物によって溶解されやすい物質へと変換できるだけでなく、処理後の汚泥を消化する嫌気性消化槽内の微生物活性を高めることができる。さらに、この両者の相乗効果によって、オゾン、アルカリ処理のみを行なう場合、増大物質添加のみを行なう場合、およびこれらの単純な和とくらべ、汚泥の溶解量およびメタンへの変換量を大幅に増大することができる。また、これに対応して、処分すべき汚泥の発生量も大幅に低減できる。
【0195】
したがって、嫌気性消化槽に導入する有機汚泥をオゾン処理した後にアルカリ処理し、嫌気性消化槽内の微生物活性増大物質と混合して嫌気性消化に導入することによって、効率的なエネルギー、リン同時回収が可能となり、特にエネルギー回収に対して高い効果が得られる。
【0196】
また、本実施の形態ではオゾン、アルカリ処理を行なった有機汚泥を固液分離し、分離した溶液からリンを回収する場合を示したが、図12に示した実施の形態4のように、リン回収を行なわず、エネルギー回収を優先して行なう場合においても、同様の増大物質の混合を行なうことでエネルギー回収に対する高い効果が得られる。
【0197】
実施の形態13
本発明のほかの実施の形態における有機性廃液の処理装置、およびそれを用いた有機性廃液の処理方法について説明する。
【0198】
図21に示す本実施の形態の処理装置は、図13に示した実施の形態5の処理装置において、処理廃液導入路19に増大物質混合槽35が接続され、この増大物質混合槽35は増大物質混合汚泥導入路39によって嫌気性消化槽1に接続されている。また、増大物質混合槽35には、増大物質導入路37を介して増大物質保持槽38が接続されており、増大物質導入路37には増大物質導入ポンプ36が設置されている。本実施の形態の処理装置は、増大物質混合槽35、増大物質導入ポンプ36、増大物質導入路37、増大物質保持槽38、増大物質混合汚泥導入路39を備える点を除き、図13に示した実施の形態5の処理装置と同様の構成である。
【0199】
つぎに本実施の形態の処理装置の動作について説明する。
【0200】
実施の形態5と同様、下水処理場の初沈汚泥と余剰汚泥を混合した有機汚泥を嫌気性消化槽1に導入し嫌気性消化槽1で微生物によって有機汚泥を消化する。この嫌気性消化の過程において、消化汚泥引抜きポンプ61を動作させ、嫌気性消化槽1の消化汚泥を消化汚泥引抜き路34を通してオゾン処理槽9に導入し、有機汚泥のオゾン処理を行なう。続いてアルカリ処理槽12に導入してアルカリ処理を行ない固液分離槽17で固形物と溶液に分ける。分離後の固形物を処理廃液導入路19を介して増大物質混合槽35に送り、増大物質導入ポンプ36を動作させ、増大物質保持槽38に保持された、亜セレン酸ナトリウム、塩化ニッケル、モリブデン酸ナトリウム、葉酸、リボフラビンを含む増大物質溶液を増大物質導入路37を通して増大物質混合槽35に導入し、固形物と混合する。混合後の固形物を増大物質混合汚泥導入路39を介して嫌気性消化槽1に導入する。その他は実施の形態5と同様である。
【0201】
このように、オゾンおよびアルカリ処理した消化汚泥の固形物に、嫌気性消化槽内の微生物の消化活性を増加する亜セレン酸ナトリウム、塩化ニッケル、モリブデン酸ナトリウム、葉酸、リボフラビンを混合して嫌気性消化槽に導入することによって、消化汚泥を消化槽内の微生物によって溶解されやすい物質へと変換できるだけでなく、処理後の汚泥を消化する嫌気性消化槽内の微生物活性を高めることができる。さらに、この両者の相乗効果によって、オゾン、アルカリ処理のみを行なう場合、増大物質添加のみを行なう場合、およびこれらの単純な和とくらべ、汚泥の溶解量およびメタンへの変換量を大幅に増大することができる。また、これに対応して、処分すべき汚泥の発生量も大幅に低減できる。
【0202】
したがって、嫌気性消化槽の消化汚泥をオゾン処理した後にアルカリ処理し、嫌気性消化槽内の微生物活性増大物質と混合して嫌気性消化に導入することによって、効率的なエネルギー、リン同時が可能となり、特にエネルギー回収に対して高い効果が得られる。
【0203】
また、本実施の形態ではオゾン、アルカリ処理を行なった消化汚泥を固液分離し、分離した溶液からリンを回収する場合を示したが、図14に示した実施の形態6のように、リン回収を行なわず、エネルギー回収を優先して行なう場合においても、同様の増大物質の混合を行なうことでエネルギー回収に対する高い効果が得られる。
【0204】
実施の形態14
本発明のほかの実施の形態における有機性廃液の処理装置、およびそれを用いた有機性廃液の処理方法について説明する。
【0205】
図22に示す本実施の形態の処理装置は、図15に示した実施の形態7の処理装置において、処理廃液導入路19に増大物質混合槽35が接続され、この増大物質混合槽35は増大物質混合汚泥導入路39によって嫌気性消化槽1に接続されている。また、増大物質混合槽35には、増大物質導入路37を介して増大物質保持槽38が接続されており、増大物質導入路37には増大物質導入ポンプ36が設置されている。本実施の形態の処理装置は、増大物質混合槽35、増大物質導入ポンプ36、増大物質導入路37、増大物質保持槽38、増大物質混合汚泥導入路39を備える点を除き、図15に示した実施の形態7の処理装置と同様の構成である。
【0206】
つぎに本実施の形態の処理装置の動作について説明する。
【0207】
実施の形態7と同様、下水処理場の初沈汚泥と余剰汚泥を混合した有機汚泥を嫌気性消化槽1に導入し嫌気性消化槽1で微生物によって有機汚泥を消化する。この嫌気性消化の過程において、濃縮汚泥排出路5中の濃縮汚泥の一部を汚泥廃棄路6から系外に排出するとともに、汚泥返送ポンプ62を動作させ濃縮汚泥排出路5中の濃縮汚泥の一部を汚泥返送路7を通してオゾン処理槽9に導入し、濃縮汚泥のオゾン処理を行なう。続いてアルカリ処理槽12に導入してアルカリ処理を行ない固液分離槽17で固形物と溶液に分ける。分離後の固形物を処理廃液導入路19を介して増大物質混合槽35に送り、増大物質導入ポンプ36を動作させ、増大物質保持槽38に保持された、亜セレン酸ナトリウム、塩化ニッケル、モリブデン酸ナトリウム、葉酸、リボフラビンを含む増大物質溶液を増大物質導入路37を通して増大物質混合槽35に導入し、固形物と混合する。混合後の固形物を増大物質混合汚泥導入路39を介して嫌気性消化槽1に導入する。その他は実施の形態5と同様である。
【0208】
このように、オゾンおよびアルカリ処理した消化槽の濃縮汚泥の固形物に、嫌気性消化槽内の微生物の消化活性を増加する亜セレン酸ナトリウム、塩化ニッケル、モリブデン酸ナトリウム、葉酸、リボフラビンを混合して嫌気性消化槽に導入することによって、濃縮汚泥を消化槽内の微生物によって溶解されやすい物質へと変換できるだけでなく、処理後の汚泥を消化する嫌気性消化槽内の微生物活性を高めることができる。さらに、この両者の相乗効果によって、オゾン、アルカリ処理のみを行なう場合、増大物質添加のみを行なう場合、およびこれらの単純な和とくらべ、汚泥の溶解量およびメタンへの変換量を大幅に増大することができる。また、これに対応して、処分すべき汚泥の発生量も大幅に低減できる。
【0209】
したがって、嫌気性消化槽の消化汚泥を濃縮した濃縮汚泥をオゾン処理した後にアルカリ処理し、嫌気性消化槽内の微生物活性増大物質と混合して嫌気性消化に導入することによって、効率的なエネルギー、リン同時回収が可能となり、特にエネルギー回収に対して高い効果が得られる。
【0210】
また、本実施の形態ではオゾン、アルカリ処理を行なった濃縮汚泥を固液分離し、分離した溶液からリンを回収する場合を示したが、図16に示した実施の形態8のように、リン回収を行なわず、エネルギー回収を優先して行なう場合においても、同様の増大物質の混合を行なうことでエネルギー回収に対する高い効果が得られる。
【0211】
実施の形態15
つぎに、本発明による有機性廃液の処理装置およびそれを用いた有機性廃液の処理方法について説明する。
【0212】
図23は、本発明の一実施の形態における有機性廃液の処理装置について、その概略の構成および処理の流れを示した図である。
【0213】
図23に示すように、嫌気性消化槽1と有機性廃液導入路2のあいだに、オゾン処理槽9および固液分離槽17が設けられている。オゾン処理槽9には、オゾンガス注入路11を介してオゾン発生器10が接続されている。また、オゾン処理槽9には、過酸化水素液導入路56を介して過酸化水素保持槽54が接続され、過酸化水素液導入路56には過酸化水素導入ポンプ55が設置されている。オゾン処理槽9と固液分離槽17はオゾン処理液排出路57によって、固液分離槽17と嫌気性消化槽1は処理廃液導入路19によって、それぞれ接続されている。また、有機性廃液導入路2には有機性廃液導入ポンプ60が設置されている。
【0214】
また、固液分離槽17とリン回収槽24が、リン含有溶液排出路20によって接続されており、リン回収槽24はリン回収後溶液排出路26を介して嫌気性消化槽1に接続されている。リン含有溶液排出路20には凝集剤導入路23が接続され、凝集剤導入路23の他端は凝集剤保持槽21へと接続されている。凝集剤導入路23には凝集剤導入ポンプ22が設置されており、リン回収槽24にはリン回収路25が接続されている。
【0215】
さらに、嫌気性消化槽1は消化汚泥排出路3を介して固液分離槽4に接続され、固液分離槽4には濃縮汚泥排出路5および処理水排出路8が接続されている。濃縮汚泥排出路5は汚泥廃棄路6と汚泥返送路7に分岐し、汚泥返送路7は嫌気性消化槽1に接続されている。また、嫌気性消化槽1には消化ガス排出路27が接続されている。
【0216】
また、消化ガス排出路27が消化ガスホルダ45と接続されている。また、消化ガスホルダ45は消化ガス導入路46によって脱硫装置47と、脱硫装置47は脱硫後ガス導入路48によってガス発電器49にそれぞれ接続されている。またガス発電器49には排ガス排出路51が接続し、排ガス排出路51はオゾン反応槽9に設置したオゾン反応槽加熱装置42に接続されている。
【0217】
つぎに本実施の形態の処理装置の動作について説明する。
【0218】
有機性廃液導入ポンプ60を動作させ、下水処理場の初沈汚泥と余剰汚泥を混合した有機汚泥を、有機性廃液として有機性廃液導入路2からオゾン処理槽9に導入し、オゾン発生器10で発生させたオゾンガスをオゾンガス注入路11を通してオゾン処理槽9に注入して、有機汚泥のオゾン処理を行なう。
【0219】
このとき、同時に過酸化水素導入ポンプ55を動作させ過酸化水素保持槽54に保持された過酸化水素を、過酸化水素液導入路56を通してオゾン処理槽9に導入し、過酸化水素存在下で有機汚泥のオゾン処理を行なう。
【0220】
この過酸化水素存在下でオゾン処理した有機汚泥を、オゾン処理液排出路57を通して固液分離槽17に送り、固形物と溶液に分ける。分離後の固形物を処理廃液導入路19から嫌気性消化槽1に導入し、微生物によって有機汚泥を消化する。一方、分離後の溶液を、リン含有処理水排出路20を通してリン回収槽24に送る。この際、凝集剤導入ポンプ22を動作させ、凝集剤保持槽21に保持した炭酸カルシウム溶液を凝集剤導入路23を通してリン含有処理水排出路20に供給し、リン含有処理水排出路20を通るリン含有処理水に混合させる。リン回収槽24では、析出したリン酸カルシウムを分離しリン回収路25から引き抜くとともに、リン回収後の溶液をリン回収後溶液排出路26を通して嫌気性消化槽1に導入する。
【0221】
嫌気性消化槽1内の汚泥を消化汚泥排出路3から排出し、固液分離槽4で固形物と溶液に分け、溶液は処理水排出路8から、固形物は濃縮汚泥排出路5からそれぞれ排出する。
【0222】
濃縮汚泥排出路5中の固形物を汚泥返送路7を介して嫌気性消化槽1に返送するとともに、一部を汚泥廃棄路6から系外に排出する。また、嫌気性消化槽1で発生する消化ガスは、消化ガス排出路27によって排出する。
【0223】
また、嫌気性消化槽1で発生する消化ガスを消化ガス排出路27を通して消化ガスホルダ45へ導入して保持する。続いて消化ガスホルダ45に保持した消化ガスを消化ガス導入路46を通して脱硫装置47に導入し、消化ガス中の硫黄など、後段のガス発電器において阻害になる物質を除去する。阻害物質を除去された消化ガスを脱硫後ガス導入路48を通してガス発電器49に供給し、ガス発電器で消化ガス中のメタンを原料として発電する。この発電過程で生じる200〜500℃の高温の排ガスを排ガス排出路51を通してオゾン反応槽加熱装置42に供給する。オゾン反応槽加熱装置42では供給された高温の排ガスを用いてオゾン反応槽9を30〜90℃の範囲で加熱する。すなわち、有機汚泥の過酸化水素存在下でのオゾン処理を高温下で行なう。
【0224】
このように、有機汚泥に対し過酸化水素存在下でオゾン処理を行なうことによって、オゾンよりもさらに強い酸化・分解作用を有するOHラジカルなどのラジカル種が生成し、このラジカルの作用によって有機汚泥の固形成分中の繊維質や細胞壁などの難溶解性物質を改質し、消化槽内の汚泥によって溶解されやすい易溶解性物質へと変換することができる。このためオゾン処理や過酸化水素の添加を単独で行なった場合、およびこれらの処理の単純な和とくらべ、汚泥の溶解量およびメタンへの変換量を大幅に増大することができる。また、これに対応して、処分すべき汚泥の発生量も大幅に低減できる。
【0225】
同時に、ラジカルの作用によって細胞壁の分解がより進むため、有機汚泥の固形成分中に含有されるリンを固形物外へと高い効率で溶出させることができる。このためオゾン処理や過酸化水素の添加を単独で行なった場合、およびこれらの処理の単純な和とくらべ、リンの溶出量を増大することができる。さらに、これを凝集剤を用いて固形状のリンとし、再利用可能なリンとして回収することができる。
【0226】
また、オゾン処理と同時に加熱することで、ラジカルの発生をさらに増大させ、過酸化水素存在下でのオゾン処理の難溶解性物質の易溶解性物質への変換、およびリン溶出に対する効果をさらに増大することができる。よって、過酸化水素存在下でのオゾン処理と加熱処理の相乗効果によって、過酸化水素存在下でのオゾン処理のみを行なう場合、加熱処理のみを行なう場合、およびこれらの単純な和とくらべ、汚泥の溶解量とメタンへの変換量、および汚泥からのリン溶出量を大幅に増大することができる。さらに、本実施の形態のようにガス発電器からの排ガスを用いて加熱するため、加熱にはエネルギーが不要となる。
【0227】
したがって、有機汚泥の過酸化水素存在下でのオゾン処理をガス発電器からの高温の排ガスを用いて加熱しながら行なうことによって、より効率的で低コスト、省エネ型のエネルギー、リン同時回収が可能となる。
【0228】
また、本実施の形態では過酸化水素存在下でのオゾン処理を行なった有機汚泥を固液分離し、分離した溶液からリンを回収する場合を示したが、図12に示した実施の形態4のように、リン回収を行なわず、エネルギー回収を優先して行なう場合においても、同様の加熱を行なうことでエネルギー回収に対する高い効果が得られる。
【0229】
なお、本実施の形態では、嫌気性消化槽へ導入する有機汚泥の全てをオゾン処理したが、導入する有機汚泥の一部にオゾン処理を行ない、残りは処理を行なわずに嫌気性消化槽へ導入するようにしてもよい。
【0230】
さらに、本実施の形態では、全てのリン回収後の溶液をリン回収後溶液排出路26を通して嫌気性消化槽1に導入したが、本発明はこれに限るものではなく、一部、あるいは全てをリン回収後溶液排出路26から系外に排出し、別途処分してもよい。
【0231】
実施の形態16
つぎに、本発明による有機性廃液の処理装置およびそれを用いた有機性廃液の処理方法について説明する。
【0232】
図24は、本発明の一実施の形態における有機性廃液の処理装置について、その概略の構成および処理の流れを示した図である。図24に示すように、嫌気性消化槽1には有機性廃液導入路2が接続されている。嫌気性消化槽1には消化汚泥引抜き路34が接続され、消化汚泥引抜き路34のもう一端はオゾン処理槽9および固液分離槽17に接続されている。オゾン処理槽9には、オゾンガス注入路11を介してオゾン発生器10が接続されている。また、オゾン処理槽9には、過酸化水素液導入路56を介して過酸化水素保持槽54が接続され、過酸化水素液導入路56には過酸化水素導入ポンプ55が設置されている。オゾン処理槽9と固液分離槽17はオゾン処理液排出路57によって、固液分離槽17と嫌気性消化槽1は処理廃液導入路19によって、それぞれ接続されている。また、有機性廃液導入路2には有機性廃液導入ポンプ60が、消化汚泥引抜き路34には消化汚泥引抜きポンプ61が設置されている。
【0233】
また、固液分離槽17とリン回収槽24が、リン含有溶液排出路20によって接続されており、リン回収槽24はリン回収後溶液排出路26を介して嫌気性消化槽1に接続されている。リン含有溶液排出路20には凝集剤導入路23が接続され、凝集剤導入路23の他端は凝集剤保持槽21へと接続されている。凝集剤導入路23には凝集剤導入ポンプ22が設置されており、リン回収槽24にはリン回収路25が接続されている。
【0234】
また、嫌気性消化槽1には消化汚泥排出路3を介して固液分離槽4が接続され、固液分離槽4には濃縮汚泥排出路5および処理水排出路8が接続されている。濃縮汚泥排出路5は汚泥廃棄路6と汚泥返送路7に分岐し、汚泥返送路7は嫌気性消化槽1に接続されている。また、嫌気性消化槽1には消化ガス排出路27が接続されている。
【0235】
また、消化ガス排出路27が消化ガスホルダ45と接続されている。また、消化ガスホルダ45は消化ガス導入路46によって脱硫装置47と、脱硫装置47は脱硫後ガス導入路48によってガス発電器49にそれぞれ接続されている。またガス発電器49には排ガス排出路51が接続し、排ガス排出路51はオゾン反応槽9に設置したオゾン反応槽加熱装置42に接続されている。
【0236】
つぎに本実施の形態の処理装置の動作について説明する。
【0237】
下水処理場の初沈汚泥と余剰汚泥を混合した有機汚泥を、有機性廃液として有機性廃液導入路2から嫌気性消化槽1に導入する。嫌気性消化槽1で微生物によって有機汚泥を消化した後、嫌気性消化槽1内の汚泥を消化汚泥排出路3から排出し、固液分離槽4で固形物と溶液に分け、溶液は処理水排出路8から、固形物は濃縮汚泥排出路5からそれぞれ排出する。
【0238】
濃縮汚泥排出路5中の固形物を汚泥返送路7を介して嫌気性消化槽1に返送するとともに、一部を汚泥廃棄路6から系外に排出する。また、嫌気性消化槽1で発生する消化ガスは、消化ガス排出路27によって排出する。
【0239】
この嫌気性消化の過程において、消化汚泥引抜きポンプ61を動作させ、嫌気性消化槽1の消化汚泥を消化汚泥引抜き路34を通してオゾン処理槽9に導入し、オゾン発生器10で発生させたオゾンガスをオゾンガス注入路11を通してオゾン処理槽9に注入して、消化汚泥のオゾン処理を行なう。
【0240】
このとき、同時に過酸化水素導入ポンプ55を動作させ過酸化水素保持槽54に保持された過酸化水素を、過酸化水素液導入路56を通してオゾン処理槽9に導入し、過酸化水素存在下で消化汚泥のオゾン処理を行なう。
【0241】
この過酸化水素存在下でオゾン処理した消化汚泥を、オゾン処理液排出路57を通して固液分離槽17に送り、固形物と溶液に分ける。分離後の固形物を処理廃液導入路19から嫌気性消化槽1に導入し、微生物によって消化汚泥を分解する。一方、分離後の溶液を、リン含有処理水排出路20を通してリン回収槽24に送る。この際、凝集剤導入ポンプ22を動作させ、凝集剤保持槽21に保持した炭酸カルシウム溶液を凝集剤導入路23を通してリン含有処理水排出路20に供給し、リン含有処理水排出路20を通るリン含有処理水に混合させる。リン回収槽24では、析出したリン酸カルシウムを分離しリン回収路25から引き抜くとともに、リン回収後の溶液をリン回収後溶液排出路26を通して嫌気性消化槽1に導入する。
【0242】
また、嫌気性消化槽1で発生する消化ガスを消化ガス排出路27を通して消化ガスホルダ45へ導入して保持する。続いて消化ガスホルダ45に保持した消化ガスを消化ガス導入路46を通して脱硫装置47に導入し、消化ガス中の硫黄など、後段のガス発電器において阻害になる物質を除去する。阻害物質を除去された消化ガスを脱硫後ガス導入路48を通してガス発電器49に供給し、ガス発電器で消化ガス中のメタンを原料として発電する。この発電過程で生じる200〜500℃の高温の排ガスを排ガス排出路51を通してオゾン反応槽加熱装置42に供給する。オゾン反応槽加熱装置42では供給された高温の排ガスを用いてオゾン反応槽9を30〜90℃の範囲で加熱する。すなわち、消化汚泥の過酸化水素存在下でのオゾン処理を高温下で行なう。
【0243】
このように、消化汚泥に対し過酸化水素存在下でオゾン処理を行なうことによって、オゾンよりもさらに強い酸化・分解作用を有するOHラジカルなどのラジカル種が生成し、このラジカルの作用によって汚泥の固形成分中の繊維質や細胞壁などの難溶解性物質を改質し、消化槽内の汚泥によって溶解されやすい易溶解性物質へと変換することができる。このためオゾン処理や過酸化水素の添加を単独で行なった場合、およびこれらの処理の単純な和とくらべ、汚泥の溶解量およびメタンへの変換量を大幅に増大することができる。また、これに対応して、処分すべき汚泥の発生量も大幅に低減できる。
【0244】
同時に、ラジカルの作用によって細胞壁の分解がより進むため、消化汚泥の固形成分中に含有されるリンを固形物外へと高い効率で溶出させることができる。このためオゾン処理や過酸化水素の添加を単独で行なった場合、およびこれらの処理の単純な和とくらべ、リンの溶出量を増大することができる。さらに、これを凝集剤を用いて固形状のリンとし、再利用可能なリンとして回収することができる。
【0245】
また、オゾン処理と同時に加熱することで、ラジカルの発生をさらに増大させ、過酸化水素存在下でのオゾン処理の難溶解性物質の易溶解性物質への変換、およびリン溶出に対する効果をさらに増大することができる。よって、過酸化水素存在下でのオゾン処理と加熱処理の相乗効果によって、過酸化水素存在下でのオゾン処理のみを行なう場合、加熱処理のみを行なう場合、およびこれらの単純な和とくらべ、汚泥の溶解量とメタンへの変換量、および汚泥からのリン溶出量を大幅に増大することができる。さらに、本実施の形態のようにガス発電器からの排ガスを用いて加熱するため、加熱にはエネルギーが不要となる。
【0246】
したがって、消化汚泥の過酸化水素存在下でのオゾン処理をガス発電器からの高温の排ガスを用いて加熱しながら行なうことによって、より効率的で低コスト、省エネ型のエネルギー、リン同時回収が可能となる。
【0247】
また、本実施の形態では過酸化水素存在下でのオゾン処理を行なった有機汚泥を固液分離し、分離した溶液からリンを回収する場合を示したが、図12に示した実施の形態4のように、リン回収を行なわず、エネルギー回収を優先して行なう場合においても、同様の加熱を行なうことでエネルギー回収に対する高い効果が得られる。
【0248】
また、嫌気性消化槽の消化汚泥中には、生物によって溶解し難い難溶解性物質が多く蓄積している。したがって、本実施の形態のように、嫌気性消化槽から消化汚泥の一部を引き抜き、引き抜いた消化汚泥中の固形物質を改質処理して易溶解性物質へ変換することによって、より効果的にエネルギー回収を進めることが可能となる。
【0249】
なお、本実施の形態では嫌気性消化槽の消化汚泥を過酸化水素存在下で加熱しながらオゾン処理を行なったが、実施の形態7、8のように嫌気性消化槽の消化汚泥を濃縮した濃縮汚泥に対して同様の処理を行なってもよい。
【0250】
さらに、本実施の形態では、全てのリン回収後の溶液をリン回収後溶液排出路26を通して嫌気性消化槽1に導入したが、本発明はこれに限るものではなく、一部、あるいは全てをリン回収後溶液排出路26から系外に排出し、別途処分してもよい。
【0251】
実施の形態17
本発明のほかの実施の形態における有機性廃液の処理装置、およびそれを用いた有機性廃液の処理方法について説明する。
【0252】
図25に示す本実施の形態の処理装置は、図23に示した実施の形態15の処理装置において、処理廃液導入路19に増大物質混合槽35が接続され、この増大物質混合槽35は増大物質混合汚泥導入路39によって嫌気性消化槽1に接続されている。また、増大物質混合槽35には、増大物質導入路37を介して増大物質保持槽38が接続されており、増大物質導入路37には増大物質導入ポンプ36が設置されている。本実施の形態の処理装置は、増大物質混合槽35、増大物質導入ポンプ36、増大物質導入路37、増大物質保持槽38、増大物質混合汚泥導入路39を備える点を除き、図23に示した実施の形態15の処理装置と同様の構成である。なお、図25ではガス発電、廃熱を利用した加熱装置に関する消化ガスホルダ45、消化ガス導入路46、脱硫装置47、脱硫後ガス導入路48、ガス発電器49、排ガス排出路51、オゾン反応槽加熱装置42を省いて示している。
【0253】
つぎに本実施の形態の処理装置の動作について説明する。
【0254】
実施の形態15と同様、有機性廃液導入ポンプ60を動作させ、下水処理場の初沈汚泥と余剰汚泥を混合した有機汚泥を有機性廃液導入路2からオゾン処理槽9に導入し、過酸化水素を導入しながら有機汚泥のオゾン処理を行なう。続いて固液分離槽17で固形物と溶液に分け、分離後の固形物を処理廃液導入路19を介して増大物質混合槽35に送り、増大物質導入ポンプ36を動作させ、増大物質保持槽38に保持された、亜セレン酸ナトリウム、塩化ニッケル、モリブデン酸ナトリウム、葉酸、リボフラビンを含む増大物質溶液を増大物質導入路37を通して増大物質混合槽35に導入し、固形物と混合する。混合後の固形物を増大物質混合汚泥導入路39を介して嫌気性消化槽1に導入する。その他は実施の形態15と同様である。
【0255】
このように、過酸化水素の存在下でオゾン処理した有機汚泥の固形物に、嫌気性消化槽内の微生物の消化活性を増加する亜セレン酸ナトリウム、塩化ニッケル、モリブデン酸ナトリウム、葉酸、リボフラビンを混合して嫌気性消化槽に導入することによって、有機汚泥を消化槽内の微生物によって溶解されやすい物質へと変換できるだけでなく、有機汚泥を消化する嫌気性消化槽内の微生物活性を高めることができる。さらに、この両者の相乗効果によって、過酸化水素存在下でのオゾン処理のみを行なう場合、増大物質添加のみを行なう場合、およびこれらの単純な和とくらべ、汚泥の溶解量およびメタンへの変換量を大幅に増大することができる。また、これに対応して、処分すべき汚泥の発生量も大幅に低減できる。
【0256】
したがって、嫌気性消化槽に導入する有機汚泥を過酸化水素存在下でオゾン処理し、嫌気性消化槽内の微生物活性増大物質と混合して嫌気性消化に導入することによって、より効率的なエネルギー、リン同時回収が可能となり、特にエネルギー回収に対して高い効果が得られる。
【0257】
また、本実施の形態では過酸化水素共存下でオゾン処理を行なった有機汚泥を固液分離し、分離した溶液からリンを回収する場合を示したが、図12に示した実施の形態4のように、リン回収を行なわず、エネルギー回収を優先して行なう場合においても、同様の増大物質の混合を行なうことでエネルギー回収に対する高い効果が得られる。
【0258】
さらに、本実施の形態では、全てのリン回収後の溶液をリン回収後溶液排出路26を通して嫌気性消化槽1に導入したが、本発明はこれに限るものではなく、一部、あるいは全てをリン回収後溶液排出路26から系外に排出し、別途処分してもよい。
【0259】
実施の形態18
本発明のほかの実施の形態における有機性廃液の処理装置、およびそれを用いた有機性廃液の処理方法について説明する。
【0260】
図26に示す本実施の形態の処理装置は、図24に示した実施の形態16の処理装置において、処理廃液導入路19に増大物質混合槽35が接続され、この増大物質混合槽35は増大物質混合汚泥導入路39によって嫌気性消化槽1に接続されている。また、増大物質混合槽35には、増大物質導入路37を介して増大物質保持槽38が接続されており、増大物質導入路37には増大物質導入ポンプ36が設置されている。本実施の形態の処理装置は、増大物質混合槽35、増大物質導入ポンプ36、増大物質導入路37、増大物質保持槽38、増大物質混合汚泥導入路39を備える点を除き、図25に示した実施の形態16の処理装置と同様の構成である。なお、図26ではガス発電、廃熱を利用した加熱装置に関する消化ガスホルダ45、消化ガス導入路46、脱硫装置47、脱硫後ガス導入路48、ガス発電器49、排ガス排出路51、オゾン反応槽加熱装置42を省いて示している。
【0261】
つぎに本実施の形態の処理装置の動作について説明する。
【0262】
実施の形態16と同様、下水処理場の初沈汚泥と余剰汚泥を混合した有機汚泥を嫌気性消化槽1に導入し嫌気性消化槽1で微生物によって有機汚泥を消化する。この嫌気性消化の過程において、消化汚泥引抜きポンプ61を動作させ、嫌気性消化槽1の消化汚泥を消化汚泥引抜き路34を通してオゾン処理槽9に導入し、過酸化水素を導入しながら有機汚泥のオゾン処理を行なう。続いて固液分離槽17で固形物と溶液に分け、分離後の固形物を処理廃液導入路19を介して増大物質混合槽35に送り、増大物質導入ポンプ36を動作させ、増大物質保持槽38に保持された、亜セレン酸ナトリウム、塩化ニッケル、モリブデン酸ナトリウム、葉酸、リボフラビンを含む増大物質溶液を増大物質導入路37を通して増大物質混合槽35に導入し、固形物と混合する。混合後の固形物を増大物質混合汚泥導入路39を介して嫌気性消化槽1に導入する。その他は実施の形態16と同様である。
【0263】
このように、オゾンおよびアルカリ処理した消化汚泥の固形物に、嫌気性消化槽内の微生物の消化活性を増加する亜セレン酸ナトリウム、塩化ニッケル、モリブデン酸ナトリウム、葉酸、リボフラビンを混合して嫌気性消化槽に導入することによって、消化汚泥を消化槽内の微生物によって溶解されやすい物質へと変換できるだけでなく、この処理した汚泥を消化する嫌気性消化槽内の微生物活性を高めることができる。さらに、この両者の相乗効果によって、オゾン、アルカリ処理のみを行なう場合、増大物質添加のみを行なう場合、およびこれらの単純な和とくらべ、汚泥の溶解量およびメタンへの変換量を大幅に増大することができる。また、これに対応して、処分すべき汚泥の発生量も大幅に低減できる。
【0264】
したがって、嫌気性消化槽の消化汚泥をオゾン処理した後にアルカリ処理し、嫌気性消化槽内の微生物活性増大物質と混合して嫌気性消化に導入することによって、より効率的なエネルギー、リン同時回収が可能となり、特にエネルギー回収に対して高い効果が得られる。
【0265】
また、本実施の形態ではオゾン、アルカリ処理を行なった消化汚泥を固液分離し、分離した溶液からリンを回収する場合を示したが、図14に示した実施の形態6のように、リン回収を行なわず、エネルギー回収を優先して行なう場合においても、同様の増大物質の混合を行なうことでエネルギー回収に対する高い効果が得られる。
【0266】
また、嫌気性消化槽の消化汚泥中には、生物によって溶解し難い難溶解性物質が多く蓄積している。したがって、本実施の形態のように、嫌気性消化槽から消化汚泥の一部を引き抜き、引き抜いた消化汚泥中の固形物質を改質処理して易溶解性物質へ変換することによって、より効果的にエネルギー回収を進めることが可能となる。
【0267】
なお、本実施の形態では嫌気性消化槽の消化汚泥を過酸化水素存在下でオゾン処理を行なったが、実施の形態7、8のように嫌気性消化槽の消化汚泥を濃縮した濃縮汚泥に対して同様の処理を行なってもよい。
【0268】
さらに、本実施の形態では、全てのリン回収後の溶液をリン回収後溶液排出路26を通して嫌気性消化槽1に導入したが、本発明はこれに限るものではなく、一部、あるいは全てをリン回収後溶液排出路26から系外に排出し、別途処分してもよい。
【0269】
実施の形態19
つぎに、本発明による有機性廃液の処理装置およびそれを用いた有機性廃液の処理方法について説明する。
【0270】
図27は、本発明の一実施の形態における有機性廃液の処理装置について、その概略の構成および処理の流れを示した図である。
【0271】
図27に示すように、嫌気性消化槽1と有機性廃液導入路2のあいだに、オゾン処理槽9および固液分離槽17が設けられている。オゾン処理槽9には、オゾンガス注入路11を介してオゾン発生器10が接続されている。また、オゾン処理槽9の上面は、透明窓などにより紫外光を照射できる構造になっており、紫外線照射装置58が設置されている。オゾン処理槽9と固液分離槽17はオゾン処理液排出路57によって、固液分離槽17と嫌気性消化槽1は処理廃液導入路19によって、それぞれ接続されている。また、有機性廃液導入路2には有機性廃液導入ポンプ60が設置されている。
【0272】
また、固液分離槽17とリン回収槽24が、リン含有溶液排出路20によって接続されている。リン含有溶液排出路20には凝集剤導入路23が接続され、凝集剤導入路23の他端は凝集剤保持槽21へと接続されている。凝集剤導入路23には凝集剤導入ポンプ22が設置されており、リン回収槽24にはリン回収路25、およびリン回収後溶液排出路26が接続されている。
【0273】
さらに、嫌気性消化槽1は消化汚泥排出路3を介して固液分離槽4に接続され、固液分離槽4には濃縮汚泥排出路5および処理水排出路8が接続されている。濃縮汚泥排出路5は汚泥廃棄路6と汚泥返送路7に分岐し、汚泥返送路7は嫌気性消化槽1に接続されている。また、嫌気性消化槽1には消化ガス排出路27が接続されている。
【0274】
また、消化ガス排出路27が消化ガスホルダ45と接続されている。また、消化ガスホルダ45は消化ガス導入路46によって脱硫装置47と、脱硫装置47は脱硫後ガス導入路48によってガス発電器49にそれぞれ接続されている。またガス発電器49には排ガス排出路51が接続し、排ガス排出路51はオゾン反応槽9に設置したオゾン反応槽加熱装置42に接続されている。
【0275】
つぎに本実施の形態の処理装置の動作について説明する。
【0276】
有機性廃液導入ポンプ60を動作させ、下水処理場の初沈汚泥と余剰汚泥を混合した有機汚泥を、有機性廃液として有機性廃液導入路2からオゾン処理槽9に導入し、オゾン発生器10で発生させたオゾンガスをオゾンガス注入路11を通してオゾン処理槽9に注入して、有機汚泥のオゾン処理を行なう。
【0277】
このとき、同時に紫外線照射装置58によりオゾン処理槽9の中の有機汚泥に紫外線を照射し、紫外線照射下で有機汚泥のオゾン処理を行なう。
【0278】
この紫外線照射下でオゾン処理した有機汚泥を、オゾン処理液排出路57を通して固液分離槽17に送り、固形物と溶液に分ける。分離後の固形物を処理廃液導入路19から嫌気性消化槽1に導入し、微生物によって有機汚泥を消化する。一方、分離後の溶液を、リン含有処理水排出路20を通してリン回収槽24に送る。この際、凝集剤導入ポンプ22を動作させ、凝集剤保持槽21に保持した炭酸カルシウム溶液を凝集剤導入路23を通してリン含有処理水排出路20に供給し、リン含有処理水排出路20を通るリン含有処理水に混合させる。リン回収槽24では、析出したリン酸カルシウムを分離しリン回収路25から引き抜くとともに、リン回収後の溶液をリン回収後溶液排出路26から系外に排出し、別途処分する。
【0279】
嫌気性消化槽1内の汚泥を消化汚泥排出路3から排出し、固液分離槽4で固形物と溶液に分け、溶液は処理水排出路8から、固形物は濃縮汚泥排出路5からそれぞれ排出する。
【0280】
濃縮汚泥排出路5中の固形物を汚泥返送路7を介して嫌気性消化槽1に返送するとともに、一部を汚泥廃棄路6から系外に排出する。また、嫌気性消化槽1で発生する消化ガスは、消化ガス排出路27によって排出する。
【0281】
また、嫌気性消化槽1で発生する消化ガスを消化ガス排出路27を通して消化ガスホルダ45へ導入して保持する。続いて消化ガスホルダ45に保持した消化ガスを消化ガス導入路46を通して脱硫装置47に導入し、消化ガス中の硫黄など、後段のガス発電器において阻害になる物質を除去する。阻害物質を除去された消化ガスを脱硫後ガス導入路48を通してガス発電器49に供給し、ガス発電器で消化ガス中のメタンを原料として発電する。この発電過程で生じる200〜500℃の高温の排ガスを排ガス排出路51を通してオゾン反応槽加熱装置42に供給する。オゾン反応槽加熱装置42では供給された高温の排ガスを用いてオゾン反応槽9を30〜90℃の範囲で加熱する。すなわち、消化汚泥の紫外線照射下でのオゾン処理を高温下で行なう。
【0282】
このように、有機汚泥に対し紫外線照射下でオゾン処理を行なうことによって、オゾンよりもさらに強い酸化・分解作用を有するOHラジカルなどのラジカル種が生成し、このラジカルの作用によって有機汚泥の固形成分中の繊維質や細胞壁などの難溶解性物質を改質し、消化槽内の汚泥によって溶解されやすい易溶解性物質へと変換することができる。このためオゾン処理や紫外線の照射を単独で行なった場合、およびこれらの処理の単純な和とくらべ、汚泥の溶解量およびメタンへの変換量を大幅に増大することができる。また、これに対応して、処分すべき汚泥の発生量も大幅に低減できる。
【0283】
同時に、ラジカルの作用によって細胞壁の分解がより進むため、有機汚泥の固形成分中に含有されるリンを固形物外へと高い効率で溶出させることができる。このためオゾン処理や紫外線の照射を単独で行なった場合、およびこれらの処理の単純な和とくらべ、リンの溶出量を増大することができる。さらに、これを凝集剤を用いて固形状のリンとし、再利用可能なリンとして回収することができる。
【0284】
また、オゾン処理と同時に加熱することで、ラジカルの発生をさらに増大させ、紫外線照射下でのオゾン処理が有する難溶解性物質を易溶解性物質へ変換する効果、およびリンを溶出させる効果をさらに増大することができ、紫外線照射下でのオゾン処理と加熱処理の相乗効果によって、紫外線照射下でのオゾン処理のみを行なう場合、加熱処理のみを行なう場合、およびこれらの単純な和とくらべ、汚泥の溶解量およびメタンへの変換量、リン溶出量を大幅に増大することができる。さらに、本実施の形態のようにガス発電器からの排ガスを用いて加熱するため、加熱にはエネルギーが不要となる。
【0285】
したがって、消化汚泥の紫外線照射下でのオゾン処理をガス発電器からの高温の排ガスを用いて加熱しながら行なうことによって、より効率的で低コスト、省エネ型のエネルギー、リン同時回収が可能となる。
【0286】
また、本実施の形態ではオゾン、アルカリ処理を行なった有機汚泥を固液分離し、分離した溶液からリンを回収する場合を示したが、図12に示した実施の形態4のように、リン回収を行なわず、エネルギー回収を優先して行なう場合においても、同様の加熱を行なうことでエネルギー回収に対する高い効果が得られる。
【0287】
なお、本実施の形態では嫌気性消化槽に投入される有機汚泥を紫外線照射下で加熱しながらオゾン処理を行なったが、実施の形態5、6のように嫌気性消化槽の消化汚泥、または実施の形態7、8のように嫌気性消化槽の消化汚泥を濃縮した濃縮汚泥に対して同様の処理を行なってもよい。
【0288】
さらに、本実施の形態では、全てのリン回収後の溶液をリン回収後溶液排出路26から系外に排出し、別途処分したが、本発明はこれに限るものではなく、一部、あるいは全てをリン回収後溶液排出路26を通して嫌気性消化槽1に導入してもよい。
【0289】
実施の形態20
本発明のほかの実施の形態における有機性廃液の処理装置、およびそれを用いた有機性廃液の処理方法について説明する。
【0290】
図28に示す本実施の形態の処理装置は、図27に示した実施の形態19の処理装置において、処理廃液導入路19に増大物質混合槽35が接続され、この増大物質混合槽35は増大物質混合汚泥導入路39によって嫌気性消化槽1に接続されている。また、増大物質混合槽35には、増大物質導入路37を介して増大物質保持槽38が接続されており、増大物質導入路37には増大物質導入ポンプ36が設置されている。本実施の形態の処理装置は、増大物質混合槽35、増大物質導入ポンプ36、増大物質導入路37、増大物質保持槽38、増大物質混合汚泥導入路39を備える点を除き、図27に示した実施の形態19の処理装置と同様の構成である。なお、図28ではガス発電、廃熱を利用した加熱装置に関する消化ガスホルダ45、消化ガス導入路46、脱硫装置47、脱硫後ガス導入路48、ガス発電器49、排ガス排出路51、オゾン反応槽加熱装置42を省いて示している。
【0291】
つぎに本実施の形態の処理装置の動作について説明する。
【0292】
実施の形態19と同様、有機性廃液導入ポンプ60を動作させ、下水処理場の初沈汚泥と余剰汚泥を混合した有機汚泥を有機性廃液導入路2からオゾン処理槽9に導入し、紫外線を照射しながら有機汚泥のオゾン処理を行なう。続いて固液分離槽17で固形物と溶液に分け、分離後の固形物を処理廃液導入路19を介して増大物質混合槽35に送り、増大物質導入ポンプ36を動作させ、増大物質保持槽38に保持された、亜セレン酸ナトリウム、塩化ニッケル、モリブデン酸ナトリウム、葉酸、リボフラビンを含む増大物質溶液を増大物質導入路37を通して増大物質混合槽35に導入し、固形物と混合する。混合後の固形物を増大物質混合汚泥導入路39を介して嫌気性消化槽1に導入する。その他は実施の形態19と同様である。
【0293】
このように、紫外線照射下でオゾン処理した有機汚泥の固形物に、嫌気性消化槽内の微生物の消化活性を増加する亜セレン酸ナトリウム、塩化ニッケル、モリブデン酸ナトリウム、葉酸、リボフラビンを混合して嫌気性消化槽に導入することによって、有機汚泥を消化槽内の微生物によって溶解されやすい物質へと変換できるだけでなく、有機汚泥を消化する嫌気性消化槽内の微生物活性を高めることができる。さらに、この両者の相乗効果によって、過酸化水素存在下でのオゾン処理のみを行なう場合、増大物質添加のみを行なう場合、およびこれらの単純な和とくらべ、汚泥の溶解量およびメタンへの変換量を大幅に増大することができる。また、これに対応して、処分すべき汚泥の発生量も大幅に低減できる。
【0294】
したがって、嫌気性消化槽に導入する有機汚泥を紫外線照射下でオゾン処理し、嫌気性消化槽内の微生物活性増大物質と混合して嫌気性消化に導入することによって、より効率的なエネルギー、リン同時回収が可能となり、特にエネルギー回収に対して高い効果が得られる。
【0295】
また、本実施の形態では紫外線照射下でオゾン処理を行なった有機汚泥を固液分離し、分離した溶液からリンを回収する場合を示したが、図13に示した実施の形態4のように、リン回収を行なわず、エネルギー回収を優先して行なう場合においても、同様の増大物質の混合を行なうことでエネルギー回収に対する高い効果が得られる。
【0296】
なお、本実施の形態では嫌気性消化槽に投入される有機汚泥を紫外線照射下でオゾン処理を行なったが、実施の形態5、6のように嫌気性消化槽の消化汚泥、または実施の形態7、8のように嫌気性消化槽の消化汚泥を濃縮した濃縮汚泥に対して同様の処理を行なってもよい。
【0297】
さらに、本実施の形態では、全てのリン回収後の溶液をリン回収後溶液排出路26から系外に排出し、別途処分したが、本発明はこれに限るものではなく、一部、あるいは全てをリン回収後溶液排出路26を通して嫌気性消化槽1に導入してもよい。
【0298】
実施の形態21
なお、実施の形態3〜20においては、有機汚泥、消化汚泥、濃縮汚泥のいずれか1つをオゾンまたはアルカリ処理したが、実施の形態1や実施の形態2のように有機汚泥と消化汚泥、有機汚泥と濃縮汚泥の複数の汚泥をそれぞれ処理しても良く、またはこれら複数の汚泥を混合して処理するようにしてもよい。
【0299】
実施の形態22
前記実験、および実施の形態1〜20においては、有機性廃液の嫌気性消化を1つの嫌気性消化槽で行なっているが、本発明はこれらに限られるものではない。たとえば、有機性廃液の嫌気性消化を、酸生成槽とメタン生成槽の2つの槽で分けて行なう場合についても、本発明の処理装置および処理方法が適用可能であり、難溶解性物質の効率的な改質、リン回収率の向上など、同様の効果を得ることができる。
【0300】
とくに、前記実施の形態5、6、10、13、16、18では嫌気性消化槽の消化汚泥を引き抜いて処理を行なったが、嫌気性消化を酸生成槽とメタン生成槽の2槽で行なう場合には、酸生成槽の汚泥を引き抜き同様の処理を行なうことで、同等またはそれ以上の効果が得られる。また、前記実施の形態7、8、11、14では嫌気性消化槽の消化汚泥を濃縮した濃縮汚泥の処理を行なったが、嫌気性消化を酸生成槽とメタン生成槽の2槽で行なう場合には、酸生成槽の汚泥を濃縮し、この濃縮した汚泥に同様の処理を行なうことで、同等またはそれ以上の効果が得られる。
【0301】
実施の形態23
前記実験、および実施の形態1〜3、5、7、および9〜20においては溶出したリンの回収に凝集剤として炭酸カルシウムを用いたが、これに限るものではなく、炭酸水素カルシウムなどほかのカルシウムを含む物質でも同等の効果が得られ、PAC(ポリ塩化アルミニウム)などの一般的な凝集剤を用いてもよい。また、前記実施の形態では溶出したリンの回収方法として凝集剤を用いたが、これに限るものではなく、晶析法などの別のリン固形化方法を用いることもできる。
【0302】
実施の形態24
前記実験、および実施の形態1〜20においては有機性廃液として下水処理場の初沈汚泥と余剰汚泥を混合したものを用いたが、これに限るものではなく、下水処理場の初沈汚泥、余剰汚泥、生ごみ、食品残渣、畜産糞尿、し尿、工場廃液、またはこれらの混合物でもよく、このような有機物濃度が高い汚泥、廃棄物、廃液に対して同等またはそれ以上の効果が得られる。
【0303】
また、前記実験、および実施の形態1〜20においては、アルカリ処理に水酸化ナトリウムを用いたがこれに限るものではなく、水酸化カリウム等他のアルカリ性の薬剤を用いてもよい。
【0304】
また、本実施の形態1〜20における固液分離槽17としては重力によって固形物と溶液を分離する沈殿槽を用いることができるが、これに限るものではなく、処理汚泥の性状によって沈殿槽では分離が不充分な場合、また、添加した水酸化ナトリウムが嫌気性消化槽に混入するのを確実に回避する場合は、膜分離装置や汚泥脱水装置を用いて固液分離を行なってもよい。
【0305】
実施の形態25
前記実施の形態19、20においては、紫外線を照射窓などによりオゾン処理槽の上面から照射したが、これに限るものではなく、オゾン処理槽の側面、下面に同様の照射窓などを設け紫外線を照射することができる。また、これらの実施の形態では紫外線照射装置をオゾン処理槽の外部に配置したがこれに限るものではなく、紫外線照射装置をオゾン処理槽内部に設置するようにしても、同等またはそれ以上の効果が得られる。
【0306】
【発明の効果】
本発明の有機性廃液の処理装置および処理方法によれば、流入する有機性廃液、嫌気性消化を行なう槽から引き抜いた消化汚泥、嫌気性消化を行なう槽の消化汚泥を固液分離した分離汚泥の少なくともひとつ、あるいはこれらの混合物に対し、オゾン処理の後にアルカリ処理を行なう処理によって、有機性廃液、消化汚泥、分離汚泥またはその混合物中の固形物の溶解性を増大でき、同時に固形物中に含有されるリンを固形物外に高い効率で溶出できるという効果がある。
【0307】
このような効果によって、流入廃液中の有機物のメタンへの変換率をより安定かつ効率的に向上できるとともに、処分すべき汚泥の発生量を低減できる。同時に、リンの固形物外への高効率溶出によって、有限資源であるリンもより安定かつ効率的に回収することが可能となり、効率的な有機性廃液からのエネルギー、リン同時回収が可能となる。
【0308】
また、本発明の有機性廃液の処理装置および処理方法によれば、流入する有機性廃液、嫌気性消化を行なう槽から引き抜いた消化汚泥、嫌気性消化を行なう槽の消化汚泥を固液分離した分離汚泥の少なくともひとつ、あるいはこれらの混合物に対し、過酸化水素存在下でオゾン処理を行なうことによって、有機性廃液とラジカルの反応を起こすことができ、有機性廃液、消化汚泥、分離汚泥またはその混合物中の固形物の溶解性を増大でき、同時に固形物中に含有されるリンを固形物外に高い効率で溶出できるという効果がある。
【0309】
このような効果によって、流入廃液中の有機物のメタンへの変換率をより安定かつ効率的に向上できるとともに、処分すべき汚泥の発生量を低減できる。同時に、リンの固形物外への高効率溶出によって、有限資源であるリンもより安定かつ効率的に回収することが可能となり、効率的な有機性廃液からのエネルギー、リン同時回収が可能となる。
【0310】
また、本発明の有機性廃液の処理装置および処理方法によれば、流入する有機性廃液、嫌気性消化を行なう槽から引き抜いた消化汚泥、嫌気性消化を行なう槽の消化汚泥を固液分離した分離汚泥の少なくともひとつ、あるいはこれらの混合物に対し、紫外線照射下でオゾン処理を行なうことによって、有機性廃液とラジカルの反応を起こすことができ、有機性廃液、消化汚泥、分離汚泥またはその混合物中の固形物の溶解性を増大でき、同時に固形物中に含有されるリンを固形物外に高い効率で溶出できるという効果がある。
【0311】
このような効果によって、流入廃液中の有機物のメタンへの変換率をより安定かつ効率的に向上できるとともに、処分すべき汚泥の発生量を低減できる。同時に、リンの固形物外への高効率溶出によって、有限資源であるリンもより安定かつ効率的に回収することが可能となり、効率的な有機性廃液からのエネルギー、リン同時回収が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機性廃液処理方法について、経過時間とVSS濃度の関係を示した図である。
【図2】本発明の有機性廃液処理方法について、経過時間と消化ガス発生量の関係を示した図である。
【図3】本発明の有機性廃液処理方法について、溶出リン濃度を示した図である。
【図4】本発明の有機性廃液処理方法について、経過時間とVSS濃度の関係を示した図である。
【図5】本発明の有機性廃液処理方法について、経過時間と消化ガス発生量の関係を示した図である。
【図6】本発明の有機性廃液処理方法について、溶出リン濃度を示した図である。
【図7】本発明の有機性廃液処理方法について、経過時間とTS濃度の関係を示した図である。
【図8】本発明の有機性廃液処理方法について、経過時間と消化ガス発生量の関係を示した図である。
【図9】本発明の一実施の形態の有機性廃液処理装置について、その構成および処理の流れを示した図である。
【図10】本発明の一実施の形態の有機性廃液処理装置について、その構成および処理の流れを示した図である。
【図11】本発明の一実施の形態の有機性廃液処理装置について、その構成および処理の流れを示した図である。
【図12】本発明の別の実施の形態の有機性廃液処理装置について、その構成および処理の流れを示した図である。
【図13】本発明の別の実施の形態の有機性廃液処理装置について、その構成および処理の流れを示した図である。
【図14】本発明の別の実施の形態の有機性廃液処理装置について、その構成および処理の流れを示した図である。
【図15】本発明の別の実施の形態の有機性廃液処理装置について、その構成および処理の流れを示した図である。
【図16】本発明の別の実施の形態の有機性廃液処理装置について、その構成および処理の流れを示した図である。
【図17】本発明の別の実施の形態の有機性廃液処理装置について、その構成および処理の流れを示した図である。
【図18】本発明の別の実施の形態の有機性廃液処理装置について、その構成および処理の流れを示した図である。
【図19】本発明の別の実施の形態の有機性廃液処理装置について、その構成および処理の流れを示した図である。
【図20】本発明の別の実施の形態の有機性廃液処理装置について、その構成および処理の流れを示した図である。
【図21】本発明の別の実施の形態の有機性廃液処理装置について、その構成および処理の流れを示した図である。
【図22】本発明の別の実施の形態の有機性廃液処理装置について、その構成および処理の流れを示した図である。
【図23】本発明の別の実施の形態の有機性廃液処理装置について、その構成および処理の流れを示した図である。
【図24】本発明の別の実施の形態の有機性廃液処理装置について、その構成および処理の流れを示した図である。
【図25】本発明の別の実施の形態の有機性廃液処理装置について、その構成および処理の流れを示した図である。
【図26】本発明の別の実施の形態の有機性廃液処理装置について、その構成および処理の流れを示した図である。
【図27】本発明の別の実施の形態の有機性廃液処理装置について、その構成および処理の流れを示した図である。
【図28】本発明の別の実施の形態の有機性廃液処理装置について、その構成および処理の流れを示した図である。
【符号の説明】
1 嫌気性消化槽、2 有機性廃液導入路、3 消化汚泥排出路、4 固液分離槽、5 濃縮汚泥排出路、6 汚泥廃棄路、7 汚泥返送路、8 処理水排出路、9 オゾン処理槽、10 オゾン発生器、11 オゾンガス注入路、 12 アルカリ処理槽、13 アルカリ液保持槽、14 アルカリ液導入路、 15 アルカリ液導入ポンプ、16 オゾン処理液排出路、17 固液分離槽、18 アルカリ処理液排出路、19 処理廃液導入路、20 リン含有溶液排出路、21 凝集剤保持槽、22 凝集剤導入ポンプ、23 凝集剤導入路、 24 リン回収槽、25 リン回収路、26 リン回収後溶液導入路、27 消化ガス排出路、31 アルカリ液回収槽、32 アルカリ液循環路、34 消化汚泥引抜き路、35 増大物質混合槽、36 増大物質導入ポンプ、37増大物質導入路、38 増大物質保持槽、39 増大物質混合汚泥導入路、42 オゾン反応槽加熱装置、45 消化ガスホルダ、46 消化ガス導入路、47 脱硫装置、48 脱硫後ガス導入路、49 ガス発電器、51 排ガス排出路、 52 排ガス供給路、53 排ガス供給路、54 過酸化水素保持槽、55 過酸化水素導入ポンプ、56 過酸化水素液導入路、57 オゾン処理液排出路、58 紫外線照射装置、60 有機性廃液導入ポンプ、61 消化汚泥引抜きポンプ、62 汚泥返送ポンプ、102 膜分離装置、103 改質槽、 104 被処理液路、105 返送汚泥路、111 連絡路、117 濃縮液取出路、123 改質汚泥路。

Claims (18)

  1. 嫌気性消化を行なう有機性廃液の処理方法であって、
    流入する有機性廃液、嫌気性消化を行なう工程から引き抜かれた消化汚泥、および当該消化汚泥を固液分離したのちの固形物である濃縮汚泥のうち少なくとも2つの少なくとも一部分、あるいは該有機性廃液、該消化汚泥、および該濃縮汚泥のうち少なくとも2つからなる混合物の少なくとも一部分にオゾン処理を行なうオゾン処理工程と、
    該オゾン処理後に行なうアルカリ処理工程と、
    該アルカリ処理後に嫌気性消化を行なう工程
    とを含む方法。
  2. 前記アルカリ処理後の、有機性廃液、消化汚泥、および濃縮汚泥のうち少なくとも2つ、あるいは該有機性廃液、該消化汚泥、および該濃縮汚泥のうち少なくとも2つからなる混合物を溶液と固形物とに分離する固液分離工程をさらに含み、該固形物に嫌気性消化を行なう請求項1記載の方法。
  3. 前記アルカリ処理後の、有機性廃液、消化汚泥、および濃縮汚泥のうち少なくとも2つ、あるいは該有機性廃液、該消化汚泥、および該濃縮汚泥のうち少なくとも2つからなる混合物を溶液と固形物に分離する固液分離工程と、前記溶液からリンを回収するリン回収工程とをさらに含む請求項1記載の方法。
  4. 嫌気性消化を行なう有機性廃液の処理方法であって、
    流入する有機性廃液、嫌気性消化を行なう工程から引き抜かれた消化汚泥、および当該消化汚泥を固液分離したのちの固形物である濃縮汚泥のうち少なくとも1つの少なくとも一部分、あるいは該有機性廃液、該消化汚泥、および該濃縮汚泥のうち少なくとも2つからなる混合物の少なくとも一部分にオゾン処理を行なうオゾン処理工程と、
    該オゾン処理後に行なうアルカリ処理工程と、
    該アルカリ処理工程後に、溶液と固形物に分離する固液分離工程と、
    該溶液からリンを回収するリン回収工程工程と
    該固形物に嫌気性消化を行なう工程
    とを含み、
    前記アルカリ処理工程において、前記溶液中のアルカリ物質を用いる方法。
  5. 嫌気性消化を行なう有機性廃液の処理方法であって、
    流入する有機性廃液、嫌気性消化を行なう工程から引き抜かれた消化汚泥、および該消化汚泥を固液分離したのちの固形物である濃縮汚泥のうち少なくとも2つの少なくとも一部分、あるいは該有機性廃液、該消化汚泥、および該濃縮汚泥のうち少なくとも2つからなる混合物の少なくとも一部分にオゾン処理を行なうオゾン処理工程と、
    該オゾン処理後に嫌気性消化を行なう工程とを含み、
    該オゾン処理工程を、過酸化水素の存在下、または紫外線照射下で行なう方法。
  6. 前記オゾン処理後の、有機性廃液、消化汚泥、および濃縮汚泥のうち少なくとも2つ、あるいは該有機性廃液、該消化汚泥、および該濃縮汚泥のうち少なくとも2つからなる混合物を溶液と固形物とに分離する固液分離工程をさらに含み、該固形物に嫌気性消化を行なう請求項5記載の方法。
  7. 前記オゾン処理後の、有機性廃液、消化汚泥、および濃縮汚泥のうち少なくとも2つ、あるいは該有機性廃液、該消化汚泥、および該濃縮汚泥のうち少なくとも2つからなる混合物を溶液と固形物とに分離する固液分離工程と、該溶液からリンを回収するリン回収工程とをさらに含む請求項5記載の方法。
  8. 嫌気性消化を行なう有機性廃液の処理方法であって、
    流入する有機性廃液、嫌気性消化を行なう工程から引き抜かれた消化汚泥、および該消化汚泥を固液分離したのちの固形物である濃縮汚泥のうち少なくとも1つの少なくとも一部分、あるいは該有機性廃液、該消化汚泥、および該濃縮汚泥のうち少なくとも2つからなる混合物の少なくとも一部分にオゾン処理を行なうオゾン処理工程と、
    該オゾン処理後に行なうアルカリ処理工程と、
    該アルカリ処理工程後に、溶液と固形物に分離する固液分離工程と、
    該溶液からリンを回収するリン回収工程と
    該固形物に嫌気性消化を行なう工程
    とを含む方法
    または、
    流入する有機性廃液、嫌気性消化を行なう工程から引き抜かれた消化汚泥、および該消化汚泥を固液分離したのちの固形物である濃縮汚泥のうち少なくとも1つの少なくとも一部分、あるいは該有機性廃液、該消化汚泥、および該濃縮汚泥のうち少なくとも2つからなる混合物の少なくとも一部分に、過酸化水素存在下または紫外線照射下でオゾン処理を行なうオゾン処理工程と
    該オゾン処理工程後に、溶液と固形物に分離する固液分離工程と、
    該溶液からリンを回収するリン回収工程と
    該固形物に嫌気性消化を行なう工程
    とを含む方法
    において、前記オゾン処理および前記アルカリ処理の少なくとも1つを加熱しながら行なう方法。
  9. 嫌気性消化を行なう有機性廃液の処理方法であって、
    流入する有機性廃液、嫌気性消化を行なう工程から引き抜かれた消化汚泥、および該消化汚泥を固液分離したのちの固形物である濃縮汚泥のうち少なくとも1つの少なくとも一部分、あるいは該有機性廃液、該消化汚泥、および該濃縮汚泥のうち少なくとも2つからなる混合物の少なくとも一部分にオゾン処理を行なうオゾン処理工程と、
    該オゾン処理後に行なうアルカリ処理工程と、
    該アルカリ処理工程後に、溶液と固形物に分離する固液分離工程と、
    該溶液からリンを回収するリン回収工程と
    該固形物に嫌気性消化を行なう工程
    とを含む方法
    または、
    流入する有機性廃液、嫌気性消化を行なう工程から引き抜かれた消化汚泥、および該消化汚泥を固液分離したのちの固形物である濃縮汚泥のうち少なくとも1つの少なくとも一部分、あるいは該有機性廃液、該消化汚泥、および該濃縮汚泥のうち少なくとも2つからなる混合物の少なくとも一部分に、過酸化水素存在下または紫外線照射下でオゾン処理を行なうオゾン処理工程と
    該オゾン処理工程後に、溶液と固形物に分離する固液分離工程と、
    該溶液からリンを回収するリン回収工程と
    該固形物に嫌気性消化を行なう工程
    とを含む方法
    において、前記固形物を嫌気性消化に導入する際、微生物活性増大物質を混合する方法。
  10. 嫌気性消化を行なう装置を備える有機性廃液の処理装置であって、
    流入する有機性廃液、該嫌気性消化を行なう装置から引き抜かれた消化汚泥、および該消化汚泥を固液分離したのちの固形物である濃縮汚泥のうち少なくとも2つの少なくとも一部分、あるいは該有機性廃液、該消化汚泥、および該濃縮汚泥のうち少なくとも2つからなる混合物の少なくとも一部分にオゾン処理を行なうオゾン処理装置と、
    該オゾン処理後に行なうアルカリ処理のためのアルカリ処理装置と、
    該アルカリ処理ののちに該嫌気性消化を行なう装置に導入するための導入装置
    とを含む装置。
  11. 前記アルカリ処理後の、有機性廃液、消化汚泥、および濃縮汚泥のうち少なくとも2つ、あるいは該有機性廃液、該消化汚泥、および該濃縮汚泥のうち少なくとも2つからなる混合物を溶液と固形物とに分離する固液分離装置をさらに備え、該固形物を前記嫌気性消化を行なう装置に導入する導入装置を備える請求項10記載の装置。
  12. 前記アルカリ処理後の、有機性廃液、消化汚泥、および濃縮汚泥のうち少なくとも2つ、あるいは該有機性廃液、該消化汚泥、および該濃縮汚泥のうち少なくとも2つからなる混合物を溶液と固形物に分離する固液分離装置と、前記溶液からリンを回収するリン回収装置とをさらに備える請求項10記載の装置。
  13. 嫌気性消化を行なう装置を備える有機性廃液の処理装置であって、
    流入する有機性廃液、嫌気性消化を行なう装置から引き抜かれた消化汚泥、および当該消化汚泥を固液分離したのちの固形物である濃縮汚泥のうち少なくとも1つの少なくとも一部分、あるいは該有機性廃液、該消化汚泥、および該濃縮汚泥のうち少なくとも2つからなる混合物の少なくとも一部分にオゾン処理を行なうオゾン処理装置と、
    該オゾン処理後に行なうアルカリ処理のためのアルカリ処理装置と、
    該アルカリ処理後に、溶液と固形物に分離する固液分離装置と、
    該溶液からリンを回収するリン回収装置と
    該固形物を、該嫌気性消化を行なう装置に導入する導入装置
    とを備え、
    前記アルカリ処理装置において、前記溶液に含まれるアルカリ物質を利用するためのアルカリ再利用装置を備える装置。
  14. 嫌気性消化を行なう装置を備える有機性廃液の処理装置であって、
    流入する有機性廃液、嫌気性消化を行なう装置から引き抜かれた消化汚泥、および該消化汚泥を固液分離したのちの固形物である濃縮汚泥のうち少なくとも2つの少なくとも一部分、あるいは該有機性廃液、該消化汚泥、および該濃縮汚泥のうち少なくとも2つからなる混合物の少なくとも一部分にオゾン処理を行なうオゾン処理装置と、
    該オゾン処理ののちに嫌気性消化を行なう装置とを備え、
    該オゾン処理装置が、過酸化水素の存在下、または紫外線照射下でオゾン処理を行なうための手段を備える装置。
  15. 前記オゾン処理後の、有機性廃液、消化汚泥、および濃縮汚泥のうち少なくとも2つ、あるいは該有機性廃液、該消化汚泥、および該濃縮汚泥のうち少なくとも2つからなる混合物を溶液と固形物とに分離する固液分離装置と、該固形物を前記嫌気性消化を行なう装置に導入する導入装置とをさらに備える請求項14記載の装置。
  16. 前記オゾン処理後の、有機性廃液、消化汚泥、および濃縮汚泥のうち少なくとも2つ、あるいは該有機性廃液、該消化汚泥、および該濃縮汚泥のうち少なくとも2つからなる混合物を溶液と固形物とに分離する固液分離装置と、前記溶液からリンを回収するリン回収装置とをさらに備える請求項14記載の装置。
  17. 嫌気性消化を行なう装置を備える有機性廃液の処理装置であって、
    流入する有機性廃液、嫌気性消化を行なう装置から引き抜かれた消化汚泥、および当該消化汚泥を固液分離したのちの固形物である濃縮汚泥のうち少なくとも1つの少なくとも一部分、あるいは該有機性廃液、該消化汚泥、および該濃縮汚泥のうち少なくとも2つからなる混合物の少なくとも一部分にオゾン処理を行なうオゾン処理装置と、
    該オゾン処理後に行なうアルカリ処理のためのアルカリ処理装置と、
    該アルカリ処理ののちに溶液と固形物に分離するための固液分離装置と、
    該溶液からリンを回収するリン回収装置と
    該固形物を、該嫌気性消化を行なう装置に導入する導入装置
    とを備える装置
    または、
    流入する有機性廃液、嫌気性消化を行なう装置から引き抜かれた消化汚泥、および当該消化汚泥を固液分離したのちの固形物である濃縮汚泥のうち少なくとも1つの少なくとも一部分、あるいは該有機性廃液、該消化汚泥、および該濃縮汚泥のうち少なくとも2つからなる混合物の少なくとも一部分に、過酸化水素存在下または紫外線照射下でオゾン処理を行なうオゾン処理装置と
    該オゾン処理ののちに溶液と固形物に分離する固液分離装置と、
    該溶液からリンを回収するリン回収装置と
    該固形物を、該嫌気性消化を行なう装置に導入する導入装置
    とを備える装置
    において、前記オゾン処理装置および前記アルカリ処理装置の少なくとも1つが加熱手段を備える装置。
  18. 嫌気性消化を行なう装置を備える有機性廃液の処理装置であって、
    流入する有機性廃液、嫌気性消化を行なう装置から引き抜かれた消化汚泥、および当該消化汚泥を固液分離したのちの固形物である濃縮汚泥のうち少なくとも1つの少なくとも一部分、あるいは該有機性廃液、該消化汚泥、および該濃縮汚泥のうち少なくとも2つからなる混合物の少なくとも一部分にオゾン処理を行なうオゾン処理装置と、
    該オゾン処理後に行なうアルカリ処理のためのアルカリ処理装置と、
    該アルカリ処理ののちに溶液と固形物に分離するための固液分離装置と、
    該溶液からリンを回収するリン回収装置と
    該固形物を、該嫌気性消化を行なう装置に導入する導入装置
    とを備える装置
    または、
    流入する有機性廃液、嫌気性消化を行なう装置から引き抜かれた消化汚泥、および該消化汚泥を固液分離したのちの固形物である濃縮汚泥のうち少なくとも1つの少なくとも一部分、あるいは該有機性廃液、該消化汚泥、および該濃縮汚泥のうち少なくとも2つからなる混合物の少なくとも一部分に、過酸化水素存在下または紫外線照射下でオゾン処理を行なうオゾン処理装置と
    該オゾン処理ののちに溶液と固形物に分離する固液分離装置と、
    該溶液からリンを回収するリン回収装置と
    該固形物を、該嫌気性消化を行なう装置に導入する導入装置
    とを備える装置
    において、前記導入装置に微生物活性増大物質を導入するための手段を備える装置。
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