JP2005006553A - 細胞培養検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】観察効率が向上すると共に小型且つ簡単なスキャニング光学系で、培養中の細胞から所定の情報を検出する。
【解決手段】コリメート光L1を発する固定された光源10と、該光源10から入射されたコリメート光L1を細胞Aに照射すると共に該細胞Aから発せられた蛍光L2を出射する照射ユニット20と、該照射ユニット20から出射された蛍光L2を検出する固定された検出ユニット40とを備え、コリメート光L1の入射方向と蛍光L2の出射方向とが略平行に配され、照射ユニット20が入射方向及び出射方向に平行なX方向に移動可能とされている細胞培養検出装置1を提供する。
【選択図】 図1
【解決手段】コリメート光L1を発する固定された光源10と、該光源10から入射されたコリメート光L1を細胞Aに照射すると共に該細胞Aから発せられた蛍光L2を出射する照射ユニット20と、該照射ユニット20から出射された蛍光L2を検出する固定された検出ユニット40とを備え、コリメート光L1の入射方向と蛍光L2の出射方向とが略平行に配され、照射ユニット20が入射方向及び出射方向に平行なX方向に移動可能とされている細胞培養検出装置1を提供する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、培養中の細胞の反応による情報を検出する細胞培養検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の遺伝子技術の進歩に伴って、人を含む多くの生物における遺伝子配列が明らかになると共に、解析されたタンパク質等の遺伝子産物と疾病との因果関係も少しずつ解明され始めている。また、今後さらに、各種タンパク質や遺伝子等を網羅的且つ統計的に解析するため、細胞を用いた様々な検査方法や装置が考えられ始めている。特に、上記解析を行なうには、細胞を長期間培養しながら、所定の情報を検出することが必要である。そのため、顕微鏡下で細胞を培養し、観察することが可能な装置が求めれられている。
【0003】
このような装置の1つとして、各種の細胞の培養条件を設定可能な顕微鏡観察用透明恒温培養容器を使用する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この顕微鏡観察用透明恒温培養容器は、温度調節器により所定温度に制御可能な一対の透明発熱プレート、容器内部の二酸化炭素濃度を調整するための二酸化炭素供給口及び二酸化炭素排出口、シール用パッキンにより密閉された容器内に所定湿度を保つための蒸発皿を有している。
この顕微鏡観察用透明恒温培養容器を使用しての観察では、容器内部の温度、二酸化炭素濃度及び湿度を制御可能であるので、細胞培養しながら観察を行なうことが可能である。即ち、透明発熱プレートの下方から、例えば、対物レンズで観察することにより、細胞の培養状態の経時的変化等を観察することが可能である。
【0004】
従って、上記顕微鏡観察用透明恒温培養容器を利用した観察によれば、生物、生殖又はバイオテクノロジー等の研究分野において、各種の細胞の培養状態の観察、写真撮影等の記録を行なう際に、顕微鏡観察を行ないながら温度、二酸化炭素濃度及び湿度を自由に制御して培養状態を各種設定し、その経時的変化の観察及び記録が連続的且つ簡便に行なうことができる。
特に、細胞は、遺伝子等とは異なり、生きている状態での蛍光検出、例えば、細胞内でのGFP(Green Fluorescent Protein)発現の検出等が測定手法として多用されているため、細胞を培養するための環境条件の管理が、正確な測定結果を得るための重要な項目となっている。従って、長時間の顕微鏡観察により細胞を死滅させないように、顕微鏡下に配置する培養容器、例えば、プラスチック製又はガラス製のディッシュ、シャーレ等は、上述したように温度及び二酸化炭素濃度の管理が必須とされている。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−28576号公報(段落番号0004−0007、図1−図4)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1記載の顕微鏡観察用透明恒温培養容器を利用した観察では、培養容器に、容器内部の二酸化炭素濃度を調整する二酸化炭素供給用の配管等が多数取り付けられているので、例えば、培養容器をXY方向(水平方向)に移動させ、広範囲に渡って細胞を観察した場合には、配管等による負荷抵抗が発生し、観察効率が低下するという不都合があった。特に、XY方向へのスキャンを高速にした場合には、培養液の揺らぎが発生したり、細胞が、例えば、基板から剥離してしまう可能性があった。
【0007】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、観察効率が向上すると共に小型且つ簡単なスキャニング光学系で、培養中の細胞から所定の情報を検出することができる細胞培養検出装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明は、以下の手段を提供する。
請求項1に係る発明は、担体上で培養中の細胞に光を照射し、該細胞から発せられた蛍光を検出する細胞培養検出装置であって、コリメート光を発する固定された光源と、該光源から入射された前記コリメート光を前記細胞に照射すると共に該細胞から発せられた前記蛍光を出射する照射ユニットと、該照射ユニットから出射された前記蛍光を検出する固定された検出ユニットとを備え、前記入射方向と前記出射方向とが略平行に配され、前記照射ユニットが前記入射方向及び前記出射方向に平行な方向に移動可能とされている細胞培養検出装置を提供する。
【0009】
この発明に係る細胞培養検出装置においては、光源から発せられたコリメート光は、照射ユニットにより細胞に照射され、この光の照射によって細胞から発せられた蛍光は、照射ユニットにより検出ユニットに向けて出射される。これにより、検出ユニットは、細胞から発せられた蛍光を検出して解析等を行なうことができる。この際、入射方向と出射方向とが平行に配され、これらに平行な方向に照射ユニットが移動可能であるので、担体に対して一方向に走査(スキャニング)しながら担体上の各細胞の蛍光検出が可能である。
このように細胞が存在する担体側ではなく、照射ユニット側を走査しながら細胞の蛍光検出を行なえるので、培養液の揺らぎや細胞の剥離等を考慮せずに、蛍光検出が行うことができる。従って、照射ユニットを高速に移動することができ、細胞の観察効率を向上することができる。また、照射ユニットは、光源及び検出ユニットとは別に配設されているので、必要最低限の構成にでき、小型且つ簡単な構成のスキャニング光学系とすることができる。このことからも、高速スキャニングが可能であり、観察効率を向上することができる。更に、光源が発する光は、コリメート光であるので、光源と照射ユニットとの移動距離に関係なく均一な光スポットを細胞に照射することができる。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の細胞培養検出装置において、前記平行な方向に対して直交する方向に前記担体を移動可能に支持する担体搬送ユニットを備えている細胞培養検出装置を提供する。
この発明に係る細胞培養検出装置においては、担体搬送ユニットによる移動と照射ユニットによる移動とで、担体に対してXY方向(平面方向)の走査が可能である。従って、担体上の全範囲にわたって走査し、より広範囲の細胞の蛍光検出を行なえるので更に観察効率を向上することができる。この際、上述したように照射ユニットは高速に移動可能であるので、担体搬送ユニットの移動は微小移動で済む。従って、培養液の揺らぎや細胞への負担をかけることはない。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の細胞培養検出装置において、前記照射ユニットが、前記細胞から発せられた発散光である前記蛍光を、コリメート光に変える対物レンズを備えている細胞培養検出装置を提供する。
この発明に係る発明においては、照射ユニットが、対物レンズにより蛍光をコリメート光に変えるので、該対物レンズを出射した径のまま検出ユニットに出射することが可能である。従って、細胞から発せられた蛍光を低損失で検出ユニットに出射でき、高精度の解析等を行なうことができる。また、照射ユニットが出射する光はコリメート光であるので、照射ユニットと検出ユニットとの移動距離に関係なく同一強度の蛍光を検出することができる。このことからも検出の精度を向上することができる。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の細胞培養検出装置において、前記照射ユニットが、前記光源から入射された前記コリメート光を集光する投光レンズと、該投光レンズを透過した光を前記細胞に向けて偏向する偏向素子とを備え、前記対物レンズが、前記偏向素子の後側焦点位置に集光した光をコリメート光に変えて前記細胞に照射する細胞培養検出装置を提供する。
この発明に係る細胞培養検出装置においては、投光レンズによりコリメート光を集光すると共に、投光レンズを透過した後の光を偏向素子により細胞に向けて偏向する。そして、対物レンズにより偏向後に焦点した光を再度コリメート光に変えるので、光束径の比較的小さいコリメート光からなるスポット光を細胞に照射することが可能である。従って、温度等の外乱により担体の測定面が歪んだり、反っていたとしても、スポット光の光径の変動を低減した状態で細胞に照射することができ、より正確に蛍光検出を行なうことができる。また、スポット光を照射するので、細胞から発せられる蛍光は、実質的に点光源となる。そのため、焦点深度が深い場合等であっても、検出ユニットは、細胞上に焦点を合わせた状態で、十分な蛍光量を正確に検出することができる。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項3に記載の細胞培養検出装置において、前記照射ユニットが、前記光源から入射された前記コリメート光の光路中に配された投光ピンホールと、該投光ピンホールと前側焦点を一致するよう配され、該投光ピンホールを通過した光を集光する投光レンズと、該投光レンズを透過した光を前記細胞に向けて偏向する第1の波長選択素子と、前記対物レンズによって変換された前記コリメート光を偏向し、前記検出ユニットに向けて出射する第2の波長選択素子とを備え、前記対物レンズが、前記第1の波長選択素子の後側焦点位置に集光した光をコリメート光に変えて前記細胞に照射する細胞培養検出装置を提供する。
【0014】
この発明に係る細胞培養検出装置においては、投光ピンホールによりコリメート光を整形(絞り)し、該投光ピンホールを通過した整形後の光を投光レンズにより集光すると共に、投光レンズを透過した後の光を第1の波長選択素子により細胞に向けて偏向する。この際、投光レンズは、投光レンズに前側焦点位置が一致するように配されているので、整形後の光を確実に後側焦点位置に焦点することができる。そして、対物レンズにより偏向後に焦点した光を再度コリメート光に変えるので、光束径の比較的小さいコリメート光からなるスポット光を細胞に照射することができ、より正確に蛍光検出を行なうことができる。また、第1の波長選択素子により例えば、蛍光検出に必要な特定の波長の光のみ選択して偏向させるので、より正確な蛍光検出を行なうことができる。
また、スポット光を照射するので、細胞から発せられる蛍光は、実質的に点光源となる。そのため、焦点深度が深い場合等であっても検出ユニットは、細胞上に焦点を合わせた状態で十分な蛍光量を正確に検出することができる。
更に、対物レンズによってコリメート光に変換された蛍光は、第2の波長選択素子によって偏向された後、検出ユニットに向けて出射される。この際、第1の波長選択素子と同様に、検出に必要な波長の光のみを選択して検出ユニットに出射可能である。即ち、蛍光に含まれる、細胞自家蛍光等の余分な光をカットすることができる。従って、非常に弱い蛍光強度も確実に検出でき、信頼性を向上することができる。
【0015】
請求項6に係る発明は、請求項3に記載の細胞培養検出装置において、前記照射ユニットが、前記光源から入射された前記コリメート光を前記細胞に向けて偏向する偏向素子を備え、前記対物レンズが、前記偏向素子によって偏向された光を前記細胞に照射する細胞培養検出装置を提供する。
この発明に係る細胞培養検出装置においては、光源から入射されたコリメート光を偏向素子により細胞に向けて偏向する。そして、対物レンズにより偏向されたコリメート光を集束させ細胞に照射する。従って、部品構成を少なくより簡易に構成可能であるので、小型化、軽量化を図ることができ、更なる高速スキャニングを可能とすることができる。
【0016】
請求項7に係る発明は、請求項3に記載の細胞培養検出装置において、前記照射ユニットが、前記光源から入射された前記コリメート光の光路中に配された投光ピンホールと、該投光ピンホールを通過した光を前記細胞に向けて偏向する第1の波長選択素子と、前記対物レンズによって変換された前記コリメート光を偏向し、前記検出ユニットに向けて出射する第2の波長選択素子とを備え、前記対物レンズが、前記第1の波長選択素子によって偏向された光を前記細胞に照射する細胞培養検出装置を提供する。
【0017】
この発明に係る細胞培養検出装置においては、投光ピンホールによりコリメート光を整形(絞り)し、該投光ピンホールを通過した整形後の光を第1の波長選択素子により細胞に向けて偏向する。そして、対物レンズにより偏向後に焦点した光を再度コリメート光に変えるので、光束径の比較的小さいコリメート光からなるスポット光を細胞に照射することができ、より正確に蛍光検出を行なうことができる。また、第1の波長選択素子により例えば、蛍光検出に必要な特定の波長の光のみ選択して偏向させるので、より正確な蛍光検出を行なうことができる。
また、スポット光を照射するので、細胞から発せられる蛍光は、実質的に点光源となる。そのため、焦点深度が深い場合等であっても検出ユニットは、細胞上に焦点を合わせた状態で十分な蛍光量を正確に検出することができる。
更に、対物レンズによってコリメート光に変換された蛍光は、第2の波長選択素子によって偏向された後、検出ユニットに向けて出射される。この際、第1の波長選択素子と同様に、検出に必要な波長の光のみを選択して検出ユニットに出射可能である。即ち、蛍光に含まれる、細胞自家蛍光等の余分な光をカットすることができる。従って、非常に弱い蛍光強度も確実に検出でき、信頼性を向上することができる。
【0018】
請求項8に係る発明は、請求項1から7のいずれか1項に記載の細胞培養検出装置において、前記検出ユニットが、前記照射ユニットから出射された前記蛍光を結像する結像レンズと、該結像レンズの結像位置に設けられた受光ピンホールと、該受光ピンホールを通過した前記蛍光を検出する光検出器とを備えている細胞培養検出装置を提供する。
この発明に係る細胞培養検出装置においては、結像レンズにより照射ユニットから入射された蛍光を結像すると共に、受光ピンホールを通過した蛍光を光検出器が検出する。この際、受光ピンホールは、結像レンズの結像位置に設けられているので、例えば、照射ユニットから入射された蛍光から不要な散乱光等の外乱光をカットすることができ、細胞の蛍光量を正確に検出することができる。
【0019】
請求項9に係る発明は、請求項1から8のいずれか1項に記載の細胞培養検出装置において、前記検出ユニットが、前記照射ユニットを挟んで前記光源に対向するように配設されている細胞培養検出装置を提供する。
この発明に係る細胞培養検出装置においては、照射ユニットを入射方向及び出射方向に平行な方向に移動させた際に、照射ユニットが、光源又は検出ユニットのどちらか一方に近づく。つまり、光源と照射ユニットとの距離、照射ユニットと検出ユニットとの距離が共に長い距離になることはない。例えば、光源と照射ユニットとの距離が長い場合には、コリメート光を確実に入射させるため、両者の取り付けに精度が求められる。このように、各構成品間の距離が長くなればなるほど取付精度等が求められるが、上述したように、光源及び検出ユニットと照射ユニットとの間が共に長くなることはないので、容易に構成することができる。
【0020】
請求項10に係る発明は、請求項1から8のいずれか1項に記載の細胞培養検出装置において、前記検出ユニットが、前記照射ユニットに対して、前記光源と同一側に配設されている細胞培養検出装置を提供する。
この発明に係る細胞培養検出装置においては、光源と検出ユニットとが、同一側に配設されているので、全体をコンパクトに構成することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る細胞培養検出装置の第1実施形態について図1から図3を参照して説明する。
本実施形態の細胞培養検出装置1は、図1及び図2に示すスライドガラス(担体)2上で培養中の細胞Aに光を照射し、該細胞Aから発せられた蛍光L2を検出する装置である。また、細胞培養検出装置1は、コリメート光L1を発する固定された光源10と、該光源10から入射されたコリメート光L1を細胞Aに照射すると共に、細胞Aから発せられた蛍光L2を出射する移動光学ユニット(照射ユニット)20と、該移動光学ユニット20から照射された蛍光L2を検出する固定された検出ユニット40と、スライドガラス2を移動可能に支持している担体搬送ユニット50とを備えている。
【0022】
上記光源10及び検出ユニット40は、上記入射方向と出射方向とが略平行になるように配設されている。即ち、検出ユニット40は、移動光学ユニット20を挟んで光源10に対向するように配設されている。また、移動光学ユニット20は、入射方向及び出射方向に平行なX方向に移動可能とされている。
【0023】
上記スライドガラス2は、板状に形成されており、上面に複数の細胞Aがアレイ状に整列配置されて保持されると共に培養されている。このスライドガラス2は、ステージ3上に載置されている。なお、ステージ3は、透明ガラス等の透明材料で形成されており、ステージ3の下方から該ステージ3及びスライドガラス2を介して細胞Aに光を照射可能とされている。また、ステージ3は、例えば、図1に示すようにケーシング内に収納されており、温度37℃、湿度100%、二酸化炭素濃度5%になるように調整されている。これにより、細胞Aがスライドガラス2上で最適な環境で培養されている。
【0024】
上記光源10は、ステージ3の下方であってフレーム内の図示しない取付架台に固定されており、所定の径のコリメート光束からなるレーザ光を発生するレーザ光源である。レーザ光の波長は、蛍光色素の励起線に応じて選択されるものであり、例えば、GFPのS65Tの場合には、励起線の波長は489nmである。なお、GFPは、青色光に励起されると緑色光を発するという特徴をもつ蛍光物質である。
【0025】
上記移動光学ユニット20は、図2に示すように上記ステージ3の下方に配され、筐体21内に、細胞Aから発せられた発散光である蛍光L2を、コリメート光に変える対物レンズ22、光源10から入射されたコリメート光L1の光路中に配された励起ピンホール(投光ピンホール)23、該励起ピンホール23に前側焦点を一致するよう配され励起ピンホール23を通過した光を集光する投光レンズ24、該投光レンズ24を透過した光を細胞Aに向けて偏向する第1の波長選択素子(偏向素子)25及び対物レンズ22によって変換されたコリメート光を偏向し検出ユニット40に向けて出射する第2の波長選択素子26を有している。
【0026】
上記筐体21は、箱状に形成されており、光源10側にコリメート光L1を入射する入射口21aが設けられ、該入射口21aの対向側、即ち、検出ユニット40側に蛍光L2を出射する出射口21bが設けられている。入射口21aの内側には、上記励起ピンホール23が配設されている。この励起ピンホール23は、微小なピンホールが設けられた板状部材であって、コリメート光L1の径を整形(絞る)する機能を有している。また、励起ピンホール23の後側には、上記投光レンズ24が配設されている。また、投光レンズ24の後側には、上記第1の波長選択素子25が、投光レンズ24によって集光された光の光路を90°(紙面に対して上向き)偏向するように光路中に配設されている。この第1の波長選択素子25は、例えば、ダイクロイックミラーであり、細胞Aから発せられた蛍光(細胞自家蛍光等を含む)の波長のみを透過し、それ以外の波長の光は反射する機能を有している。つまり、投光レンズ24によって集光された光は、全て対物レンズ22に向けて偏向される。
【0027】
上記対物レンズ22は、例えば、約20倍の高倍率の無限遠設計された対物レンズであって、第1の波長選択素子25の真上、即ち、該第1の波長選択素子25の反射光路上に位置するように、筐体20に取付けられている。また、対物レンズ22は、第1の波長選択素子25の後側焦点位置25aに集光した光をコリメート光に変えて細胞Aに照射する機能を有している。即ち、対物レンズ22は、第1の波長選択素子25で反射された光を、細いコリメート光束、つまりコリメート光からなるスポット光L3として、ステージ3及びスライドガラス2を透過させて細胞Aに向けて下方から照射する機能を有している。
【0028】
上記第2の波長選択素子26は、細胞から発せられた平行な蛍光成分(特定波長のみの光)を略100%反射し、それ以外の波長の光はカットする機能を有している。この第2の波長選択素子26は、第1の波長選択素子25の下方、即ち、第1の波長選択素子25の透過光路上であって、該第1の波長選択素子25を透過した光を90°(紙面に対して左向き)偏向して出射口21bより出射する位置に配設されている。これにより、対物レンズ22によってコリメート光に変換された蛍光L2は、第1の波長選択素子25を透過した後、第2の波長選択素子26によって偏向されて、出射口21bより出射される。
【0029】
また、移動光学ユニット20は、図1に示すように、筐体21をX方向に移動させる光学ユニット駆動機構30を備えている。該光学ユニット駆動機構30は、一対のガイドレール31、筐体21に連結されているブラケット32、該ブラケットに回転可能に係止されているボールネジ33及び該ボールネジ33を回転駆動するステッピングモータ34を有している。
即ち、筐体21には、X方向に向けて一対のガイドレール孔21cが形成されており、該ガイドレール孔21cに、例えば、ステンレス等の丸棒である上記一対のガイドレール31が摺動可能に挿入されている。これにより、筐体21は
、ガイドレール31に沿って、X方向に円滑に移動可能とされている。
なお、一対のガイドレール孔21cに、例えば、ボールベアリング、含油軸受等を設けても構わない。この場合には、さらなる低摺動摩擦が得られる。
【0030】
上記ブラケット32は、筐体21の下方に連結され、X方向に向けて上記ボールネジ33が挿通されている。また、該ボールネジ33の一端には、上記ステッピングモータ34が連結されている。つまり、ステッピングモータ34を駆動してボールネジ33を回転させることで、フレーム32と共に筐体21をX方向に移動可能にしている。
なお、ステッピングモータ34は、図示しない制御部により駆動制御されている。また、一対のガイドフレーム31、ボールネジ33及びステッピングモータ34等は、フレーム内に固定されている。
【0031】
上記検出ユニット40は、フレーム内の図示しない取付架台に固定されており、図2に示すように、照射ユニット20から出射された蛍光をL2を結像する結像レンズ41、該結像レンズ41の結像位置に設けられた微小のピンホールが形成された板状部材である受光ピンホール42及び該受光ピンホール41を通過した蛍光L2を検出する、例えば、フォトマルチプライヤ、アバランシェフォトダイオード、CCDやラインセンサ等若しくはこれらを複数組み合わせて構成する光検出器43を備えている。なお、受光ピンホール42は、測定目的に応じて様々な検出を行なえるようピンホール径の異なる数種類を任意に自動的に切り替えるように構成しても良い。
【0032】
上記担体搬送ユニット50は、図1に示すように、X方向に対して直交するY方向にスライドガラス3を移動可能に支持するものであって、上記ステージ3、該ステージ3に回転可能に係止されたボールネジ51及び該ボールネジ51を回転駆動するステッピングモータ52を備えている。つまり、ステッピングモータ52を駆動してボールネジ51を回転させることで、ステージ3と共にスライドガラス2をY方向に移動可能にしている。また、光学ユニット駆動機構30の作動と組み合わせることにより、スライドガラス2の全範囲にわたって細胞Aの観察を行なうことが可能である。
なお、ステッピングモータ52は、図示しない制御部により駆動制御されている。また、該ステッピングモータ52及びボールネジ51は、Y軸送り機構53を構成している。
【0033】
このように構成された細胞培養検出装置1により、細胞Aの蛍光検出を行なう場合について以下に説明する。
まず、光学ユニット駆動機構30及び担体搬送ユニット50のY軸送り機構53を作動させて、蛍光検出を所望する細胞Aの真下に対物レンズ22が位置するように位置合わせを行なう。
位置合わせ後、光源10より励起光であるコリメート光L1を出射する。出射されたコリメート光L1は、移動光学ユニット20の入射口21aより、筐体21内部に入射し、励起ピンホール23を通過する。この際、光源10から出射された光は、コリメート光L1であるので光源10と移動光学ユニット20との距離に関係なく、光源10から出射されたときと同一の光束で励起ピンホール23に入射する。
【0034】
励起ピンホール23に入射したコリメート光Lは、励起ピンホール23を通過するときに、光束径が絞られて整形される。径が絞られたコリメート光L1は、投光レンズ24により集光された後、第1の波長選択素子25によって90°方向を変えて偏向(反射)される。偏向した光は、後側焦点位置25a付近で焦点を結ぶ、即ち、対物レンズ22の瞳位置に1次ピンホール像として集光する。そして、集光した光は、対物レンズ22により微小な径のコリメート光束、つまり、一定の断面積を有したコリメート光からなるスポット光L3に変換され、ステージ3及びスライドガラス2を介して細胞Aに励起光として照射される。
なお、スポット光L3の光束径は、対物レンズ22の倍率により任意の径に設定可能である。例えば、細胞Aの直径が10〜20μmの場合には、それ以下の径の光束径に設定することが望ましく、更に、細胞Aの直径の1/10程度の光束径に設定することがより好ましい。このような設定とすることで、細胞Aの内部におけるGFP等の発現位置を特定することが可能である。
【0035】
上記スポット光L3は、スライドガラス2上の細胞Aにテレセントリックに照射され2次ピンホール像を作る。即ち、図3に示すように励起ピンホール23で生じた回析光が、スライドガラス2面上で2次ピンホール像を作る。なお、この2次ピンホール像により、スライドガラス2上の細胞Aのピント位置を容易に知ることができる。
【0036】
また、スポット光L3の照射により細胞Aから発せられた発散光である蛍光L2は、第2次の面光束、或いは実質的な点光源となり、再度対物レンズ22によってコリメート光に変換される。このコリメート光である蛍光L2は、第1の波長選択素子25を透過して、第2の波長選択素子26により90°向きを変えて偏向(反射)され、出射口21bより出射する。この際、対物レンズ22によりコリメート光とされた蛍光L2には、検出に必要な蛍光成分以外に、例えば、バックグランド基材自家蛍光、細胞自家蛍光及び培養液自家蛍光等の不要な光が含まれているが、第2波長選択素子により不要な光がカットされ、検出に必要な蛍光成分のみを検出ユニット40に向けて出射されている。更に、対物レンズ22から出射された径を維持したコリメート光として、蛍光L2を検出ユニット40に出射するので、低損失状態で蛍光L2を検出ユニット40に出射している。
【0037】
出射口21bから出射した蛍光L2は、検出ユニット40の結像レンズ41によって結像され、結像レンズ41の後側焦点位置で3次ピンホール像を作る。そして、該結像位置に設けられた受光ピンホール42を通過して光検出器43によって検出される。これにより、検出ユニット40は、細胞Aから発せられた蛍光L2を検出することができる。
この際、3次ピンホール像とほぼ同一径の受光ピンホール42を利用することで、スライドガラス2面以外から発せられた蛍光や外乱光が光検出器43に到達することを防止することが可能である。また、検出ユニット40は、焦点合わせを行なう際に、上述したように励起ピンホール23で生じた回析光が、スライドガラス2上で2次ピンホール像を作っているので、該2次ピンホール像を基準として容易に焦点合わせを行なうことが可能である。
【0038】
上述したように、1つの細胞Aの蛍光検出が終了した後、光学ユニット移動機構30及び担体搬送ユニット50を作動させて、スライドガラス2上の全ての細胞Aの蛍光検出を行なう。
例えば、光学ユニット移動機構30により、移動光学ユニット20をX方向に移動させ、X方向に存在する細胞Aの蛍光検出を行なう。このX方向の検出が終了した後、担体搬送ユニット50の送り機構53により、ステージ3をスポット光L3の光束径を1ピッチとして、該1ピッチ分だけY方向に送りをかける。そして、再度光学ユニット移動機構30により、移動光学ユニット20をX方向に移動させて蛍光検出を行なう。このように、移動光学ユニット20のX方向への走査とステージ3の1ピッチ移動とを繰り返して、スライドガラス2上の細胞Aの検出領域全面にわたって、2次元的に走査を行い細胞Aの蛍光検出を行なう。
上述したように、Y方向へのステージ3の移動は、スポット光L3の光束径の1ピッチという微小な距離のため、細胞Aの剥離や、培養液の揺らぎ等を防止することが可能である。また、移動光学ユニット20は、X方向に高速移動が可能であるので、観察に掛ける時間を短縮でき観察効率を向上させることができる。
なお、分解能をより高めるために、スポット光の光束径の1/2の距離を1ピットとして、ステージ3を送るよう担体搬送ユニット50を作動しても良い。つまり、所望する分解能に応じて1ピッチ分の送り量を設定可能である。
【0039】
上述したように、この細胞培養検出装置1によれば、移動光学ユニット20に入射するコリメート光L1の入射方向と、移動光学ユニット20から出射する蛍光L2の出射方向とが平行であり、平行なX方向に移動光学ユニット20が移動するので、スライドガラス2に対して一方向に走査しながらスライドガラス2上の各細胞Aの蛍光検出が行なえる。このように、移動光学ユニット20を走査しながら細胞Aの蛍光検出が可能であるので、培養液の揺らぎや細胞Aの剥離等を考慮せずに、蛍光検出が行うことができる。従って、移動光学ユニット20を高速に移動することができ、細胞Aの観察効率を向上することができる。また、移動光学ユニット20は、光源10や検出ユニット40とは別に必要最低限の構成で配設されるので、小型且つ簡単な構成のスキャニング光学系とすることができる。このことからも、高速スキャニングが可能であり、観察効率を向上することができる。更に、光源10が発する光は、コリメート光L1であるので、光源10と移動光学ユニット20との移動距離に関係なく均一な光スポットL3を細胞に照射することができる。
【0040】
また、光学ユニット移動機構30による移動光学ユニット20のX方向への移動と、担体搬送ユニット50によるステージ3のY方向への移動とで、スライドガラス2に対してXY方向(平面方向)の2次元的な走査を行なえる。従って、スライドガラス2上の全範囲にわたって走査し、より広範囲の細胞Aの蛍光検出を行なうことが可能であり、更に観察効率を向上することができる。
また、移動光学ユニット20は、対物レンズ22により蛍光L2をコリメート光に変えるので、該対物レンズ22を出射した径のまま検出ユニット40に出射する。従って、細胞Aから発せられた蛍光L2を低損失で検出ユニット40に出射でき、高精度の解析等を行なうことができる。また、移動光学ユニット20と検出ユニット40との移動距離に関係なく同一強度の蛍光L2を検出することができることからも検出の精度を向上することができる。
【0041】
更に、対物レンズ22は、光束径の比較的小さいコリメート光からなるスポット光L3を細胞Aに照射するので、温度等の外乱によりスライドガラス2の測定面が歪んだり、反っていたとしても、スポット光L3の光径の変動を低減した状態で細胞Aに照射することができる。従って、より正確に蛍光検出を行なうことができる。また、スポット光L3を照射するので、細胞Aから発せられる蛍光L2は、実質的に点光源となる。そのため、焦点深度が深い場合等であっても、検出ユニット40は、細胞A上に焦点を合わせた状態で、十分な蛍光量を正確に検出することができる。
【0042】
また、第1の波長選択素子25及び第2の波長選択素子26により、対物レンズ22によってコリメート光に変換された蛍光L2から、細胞自家蛍光等の不要な光をカットすることができる。従って、検出ユニット40は、非常に弱い蛍光強度も確実に検出でき、信頼性を向上することができる。
また、検出ユニット40は、結像レンズ41及び受光ピンホール42により、更に、蛍光L2から不要な散乱光等の外乱光をカットすることができるので、細胞の蛍光量を正確に検出することができる。
【0043】
更には、光源10及び検出ユニット40が、移動光学ユニット20を挟んで対向配置されているので、移動光学ユニット20をX方向に移動させた際に、光源10又は検出ユニット40のどちらか一方に近づく。つまり、光源10と移動光学ユニット20との距離、移動光学ユニット20と検出ユニット40との距離が共に長い距離になることはない。各構成品間の距離が長くなればなるほど取付精度等が求められるが、上述したように光源10及び検出ユニット40と移動光学ユニット20との間が共に長くなることはないので、容易に構成することができる。
【0044】
なお、本実施形態において、3次ピンホール像とほぼ同一径の受光ピンホール42を利用したが、これに限られず、3次ピンホール像よりも大きい径の受光ピンホール42を使用しても構わない。この場合には、スライドガラス2上の細胞Aからの全蛍光量を光検出器43で検出することが可能であり、走査にかける測定時間をより短縮でき、観察効率を向上させることができる。また、3次ピンホール像よりも小さい径の受光ピンホール42を使用しても構わない。この場合には、細胞A内の一部からの蛍光を観察することができるので、順次走査しながら測光することで、細胞A内の蛍光分布を画像化し、解析することができる。
【0045】
また、光学ユニット駆動機構30及び担体搬送ユニット50のY軸送り機構53に、光学的又は磁気的な位置センサ等を設け、各方向の走査に伴う位置座標を検出するようにしても構わない。この場合には、各蛍光の発生位置を正確に検出することが可能であり、該蛍光強度発生位置と蛍光強度の値をコンピュータ等に取り込んで計算処理し、2次元画像としてスライドガラス2上の細胞Aからの蛍光を表現することができる。更に、1つの細胞Aに注目した蛍光強度の変化を時間経過と共にグラフ化することも可能である。更には、培養されている細胞Aは、その活性周期に応じて形態や蛍光量が変化するが、位置センサ等により検出した蛍光量の位置座標も認識することができるので、細胞Aから発する蛍光量と
、蛍光を発している位置情報と、細胞Aを培養する時間との相関関係により、タンパク質の機能等の細胞解析を行なうことができる。更には、検出ユニット40は、固定されているので、スキャニングによる振動等の影響を受けにくく正確な検出を行なうことができる。
【0046】
次に、本発明に係る細胞培養検出装置の第2実施形態を、図4及び図5を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、移動光学ユニット20が、光源10から入射されたコリメート光L1を励起ピンホール23を通過させ痛快投光レンズ24によって集光した後に、第1の波長選択素子25により偏向していたのに対し、第2実施形態の細胞培養検出装置60では、光源80から入射されたコリメート光L1を励起ピンホール71を通過させた後に第1の波長選択素子25により偏向する点である。
【0047】
即ち、本実施形態の細胞培養検出装置60の移動光学ユニット(照射ユニット)70は、図4に示すように、筐体21内に、対物レンズ22、光源80から入射されたコリメート光L1の光路中に配された励起ピンホール(投光ピンホール)71、該励起ピンホール71を通過した光を細胞Aに向けて偏向する第1の波長選択素子25、対物レンズ22によって変換されたコリメート光である蛍光L2を変更し、検出ユニット40に向けて出射する第2の波長選択素子26を備えている。
【0048】
上記励起ピンホール71は、筐体21の入射口21aの内側に配設されており、微小なピンホールが設けられた板状部材であって、コリメート光L1の径を整形(絞る)する機能を有している。なお、励起ピンホール71は、ピンホール径を任意に変更できるように可変制御可能な構成にしても構わない。また、光源80は、光源ユニット81の内部に収納されている。
【0049】
このように構成された細胞培養検出装置60により、細胞Aの蛍光検出を行なう場合について以下に説明する。
光学ユニット駆動機構30及び担体搬送ユニット50により、対物レンズ22の位置合わせをした後、光源80からコリメート光L1を出射する。出射されたコリメート光L1は、入射口21aより筐体21内部に入射し、励起ピンホール71によって径が絞られて整形される。なお、対物レンズ22がNA0.1レンズで、励起ピンホール71のピンホール径が1mmである場合には、d=1.2λ/0.1=5.8μmとなる。上述したように、励起ピンホール71の径を可変制御可能にしておくことで、様々な解析対象に対応することが可能である。
【0050】
そして、励起ピンホール71を通過したコリメート光L1は、第1の波長選択素子25により90°方向を変えて変更され、対物レンズ22によって集束されてスライドガラス2上の細胞Aに合焦して照射される。この際、光束径は、対物レンズ22の倍率により、任意の径に設定される。例えば、低倍率の対物レンズ22の場合には、細胞Aの直径の数倍から数十倍程度の光束径とすることができ、スライドガラス2全面を高速且つ網羅的に走査することが可能である。
【0051】
一方、細胞から発せられた蛍光L2は、対物レンズ22でコリメート光に変換された後、第1の波長選択素子25を透過して、第2の波長選択素子26より不要な光がカットされると共に、90°向きを変えて偏向され、出射口21bより検出ユニット40に向けて出射される。そして、出射した蛍光L2は、検出ユニット40の結像レンズ41で結像された後、受光ピンホール42を通過して光検出器43に検出される。このようにして検出ユニット40は、細胞Aから発せられた蛍光L2を検出することができる。
なお、本実施形態においては、受光ピンホール42のピンホール径は、結像レンズ41の出射側のNAから計算される径より若干大きく設定されている。
【0052】
この細胞培養検出装置60によれば、移動光学ユニット60を部品構成を更に少なくして構成可能であるので、より小型化、軽量化を図ることができる。従って、さらなる高速スキャニングを可能とすることができ、観察効率を向上させることができる。また、焦点深度が浅いので、合焦時に細胞Aや培養液等の自家蛍光の影響が小さく、ノイズが少ない測定を行なうことができる。更に、高分解能であり、微小部分、例えば、1個の細胞Aの精密測定を行なうことができる。
【0053】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記各実施形態では、光源及び検出ユニットは、移動光学ユニットを挟んで対向するように配設されているが、これに限られず、図6に示すように、光源及び検出ユニットを移動光学ユニットに対して同一側に配設しても構わない。この場合には、余分な配置スペースを必要としないので、装置のコンパクト化を図ることができる。
また、担体として、スライドガラスを用いたが、96穴マイクロプレートや384穴マイクロプレート等を採用しても構わない。この際、各穴内において細胞を培養し、マイクロプレートの下側(底面側)において、細胞培養からの蛍光強度を測定することが可能である。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に係る細胞培養検出装置によれば、細胞が存在する担体側ではなく、照射ユニット側を走査しながら細胞の蛍光検出が可能あるので、培養液の揺らぎや細胞の剥離等を考慮せずに、蛍光検出が行うことができる。従って、照射ユニットを高速に移動することが可能であり、細胞の観察効率を向上することができる。また、照射ユニットは、光源及び検出ユニットとは別に配設されているので、必要最低限の構成にでき、小型且つ簡単な構成のスキャニング光学系とすることができることからも、高速スキャニングが可能であり、観察効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る細胞培養検出装置の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す細胞培養検出装置の側方断面図である。
【図3】図2に示す細胞培養検出装置の断面矢視図B−Bである。
【図4】本発明に係る細胞培養検出装置の第2実施形態を示す側方断面である。
【図5】図4に示す細胞培養検出装置の断面矢視図C−Cである。
【図6】細胞培養検出装置の他の変形例を示す構成図である。
【符号の説明】
A 細胞
L1 コリメート光
L2 蛍光
1、60 細胞培養検出装置
2 スライドガラス(担体)
10、80 光源
20、70 移動光学ユニット(照射ユニット)
22 対物レンズ
23、71 励起ピンホール(投光ピンホール)
24 投光ピンホール
25 第1の波長選択素子(偏向素子)
26 第2の波長選択素子
40 検出ユニット
41 結像レンズ
42 受光ピンホール
43 光検出器
50 担体搬送ユニット
【発明の属する技術分野】
この発明は、培養中の細胞の反応による情報を検出する細胞培養検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の遺伝子技術の進歩に伴って、人を含む多くの生物における遺伝子配列が明らかになると共に、解析されたタンパク質等の遺伝子産物と疾病との因果関係も少しずつ解明され始めている。また、今後さらに、各種タンパク質や遺伝子等を網羅的且つ統計的に解析するため、細胞を用いた様々な検査方法や装置が考えられ始めている。特に、上記解析を行なうには、細胞を長期間培養しながら、所定の情報を検出することが必要である。そのため、顕微鏡下で細胞を培養し、観察することが可能な装置が求めれられている。
【0003】
このような装置の1つとして、各種の細胞の培養条件を設定可能な顕微鏡観察用透明恒温培養容器を使用する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この顕微鏡観察用透明恒温培養容器は、温度調節器により所定温度に制御可能な一対の透明発熱プレート、容器内部の二酸化炭素濃度を調整するための二酸化炭素供給口及び二酸化炭素排出口、シール用パッキンにより密閉された容器内に所定湿度を保つための蒸発皿を有している。
この顕微鏡観察用透明恒温培養容器を使用しての観察では、容器内部の温度、二酸化炭素濃度及び湿度を制御可能であるので、細胞培養しながら観察を行なうことが可能である。即ち、透明発熱プレートの下方から、例えば、対物レンズで観察することにより、細胞の培養状態の経時的変化等を観察することが可能である。
【0004】
従って、上記顕微鏡観察用透明恒温培養容器を利用した観察によれば、生物、生殖又はバイオテクノロジー等の研究分野において、各種の細胞の培養状態の観察、写真撮影等の記録を行なう際に、顕微鏡観察を行ないながら温度、二酸化炭素濃度及び湿度を自由に制御して培養状態を各種設定し、その経時的変化の観察及び記録が連続的且つ簡便に行なうことができる。
特に、細胞は、遺伝子等とは異なり、生きている状態での蛍光検出、例えば、細胞内でのGFP(Green Fluorescent Protein)発現の検出等が測定手法として多用されているため、細胞を培養するための環境条件の管理が、正確な測定結果を得るための重要な項目となっている。従って、長時間の顕微鏡観察により細胞を死滅させないように、顕微鏡下に配置する培養容器、例えば、プラスチック製又はガラス製のディッシュ、シャーレ等は、上述したように温度及び二酸化炭素濃度の管理が必須とされている。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−28576号公報(段落番号0004−0007、図1−図4)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1記載の顕微鏡観察用透明恒温培養容器を利用した観察では、培養容器に、容器内部の二酸化炭素濃度を調整する二酸化炭素供給用の配管等が多数取り付けられているので、例えば、培養容器をXY方向(水平方向)に移動させ、広範囲に渡って細胞を観察した場合には、配管等による負荷抵抗が発生し、観察効率が低下するという不都合があった。特に、XY方向へのスキャンを高速にした場合には、培養液の揺らぎが発生したり、細胞が、例えば、基板から剥離してしまう可能性があった。
【0007】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、観察効率が向上すると共に小型且つ簡単なスキャニング光学系で、培養中の細胞から所定の情報を検出することができる細胞培養検出装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明は、以下の手段を提供する。
請求項1に係る発明は、担体上で培養中の細胞に光を照射し、該細胞から発せられた蛍光を検出する細胞培養検出装置であって、コリメート光を発する固定された光源と、該光源から入射された前記コリメート光を前記細胞に照射すると共に該細胞から発せられた前記蛍光を出射する照射ユニットと、該照射ユニットから出射された前記蛍光を検出する固定された検出ユニットとを備え、前記入射方向と前記出射方向とが略平行に配され、前記照射ユニットが前記入射方向及び前記出射方向に平行な方向に移動可能とされている細胞培養検出装置を提供する。
【0009】
この発明に係る細胞培養検出装置においては、光源から発せられたコリメート光は、照射ユニットにより細胞に照射され、この光の照射によって細胞から発せられた蛍光は、照射ユニットにより検出ユニットに向けて出射される。これにより、検出ユニットは、細胞から発せられた蛍光を検出して解析等を行なうことができる。この際、入射方向と出射方向とが平行に配され、これらに平行な方向に照射ユニットが移動可能であるので、担体に対して一方向に走査(スキャニング)しながら担体上の各細胞の蛍光検出が可能である。
このように細胞が存在する担体側ではなく、照射ユニット側を走査しながら細胞の蛍光検出を行なえるので、培養液の揺らぎや細胞の剥離等を考慮せずに、蛍光検出が行うことができる。従って、照射ユニットを高速に移動することができ、細胞の観察効率を向上することができる。また、照射ユニットは、光源及び検出ユニットとは別に配設されているので、必要最低限の構成にでき、小型且つ簡単な構成のスキャニング光学系とすることができる。このことからも、高速スキャニングが可能であり、観察効率を向上することができる。更に、光源が発する光は、コリメート光であるので、光源と照射ユニットとの移動距離に関係なく均一な光スポットを細胞に照射することができる。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の細胞培養検出装置において、前記平行な方向に対して直交する方向に前記担体を移動可能に支持する担体搬送ユニットを備えている細胞培養検出装置を提供する。
この発明に係る細胞培養検出装置においては、担体搬送ユニットによる移動と照射ユニットによる移動とで、担体に対してXY方向(平面方向)の走査が可能である。従って、担体上の全範囲にわたって走査し、より広範囲の細胞の蛍光検出を行なえるので更に観察効率を向上することができる。この際、上述したように照射ユニットは高速に移動可能であるので、担体搬送ユニットの移動は微小移動で済む。従って、培養液の揺らぎや細胞への負担をかけることはない。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の細胞培養検出装置において、前記照射ユニットが、前記細胞から発せられた発散光である前記蛍光を、コリメート光に変える対物レンズを備えている細胞培養検出装置を提供する。
この発明に係る発明においては、照射ユニットが、対物レンズにより蛍光をコリメート光に変えるので、該対物レンズを出射した径のまま検出ユニットに出射することが可能である。従って、細胞から発せられた蛍光を低損失で検出ユニットに出射でき、高精度の解析等を行なうことができる。また、照射ユニットが出射する光はコリメート光であるので、照射ユニットと検出ユニットとの移動距離に関係なく同一強度の蛍光を検出することができる。このことからも検出の精度を向上することができる。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の細胞培養検出装置において、前記照射ユニットが、前記光源から入射された前記コリメート光を集光する投光レンズと、該投光レンズを透過した光を前記細胞に向けて偏向する偏向素子とを備え、前記対物レンズが、前記偏向素子の後側焦点位置に集光した光をコリメート光に変えて前記細胞に照射する細胞培養検出装置を提供する。
この発明に係る細胞培養検出装置においては、投光レンズによりコリメート光を集光すると共に、投光レンズを透過した後の光を偏向素子により細胞に向けて偏向する。そして、対物レンズにより偏向後に焦点した光を再度コリメート光に変えるので、光束径の比較的小さいコリメート光からなるスポット光を細胞に照射することが可能である。従って、温度等の外乱により担体の測定面が歪んだり、反っていたとしても、スポット光の光径の変動を低減した状態で細胞に照射することができ、より正確に蛍光検出を行なうことができる。また、スポット光を照射するので、細胞から発せられる蛍光は、実質的に点光源となる。そのため、焦点深度が深い場合等であっても、検出ユニットは、細胞上に焦点を合わせた状態で、十分な蛍光量を正確に検出することができる。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項3に記載の細胞培養検出装置において、前記照射ユニットが、前記光源から入射された前記コリメート光の光路中に配された投光ピンホールと、該投光ピンホールと前側焦点を一致するよう配され、該投光ピンホールを通過した光を集光する投光レンズと、該投光レンズを透過した光を前記細胞に向けて偏向する第1の波長選択素子と、前記対物レンズによって変換された前記コリメート光を偏向し、前記検出ユニットに向けて出射する第2の波長選択素子とを備え、前記対物レンズが、前記第1の波長選択素子の後側焦点位置に集光した光をコリメート光に変えて前記細胞に照射する細胞培養検出装置を提供する。
【0014】
この発明に係る細胞培養検出装置においては、投光ピンホールによりコリメート光を整形(絞り)し、該投光ピンホールを通過した整形後の光を投光レンズにより集光すると共に、投光レンズを透過した後の光を第1の波長選択素子により細胞に向けて偏向する。この際、投光レンズは、投光レンズに前側焦点位置が一致するように配されているので、整形後の光を確実に後側焦点位置に焦点することができる。そして、対物レンズにより偏向後に焦点した光を再度コリメート光に変えるので、光束径の比較的小さいコリメート光からなるスポット光を細胞に照射することができ、より正確に蛍光検出を行なうことができる。また、第1の波長選択素子により例えば、蛍光検出に必要な特定の波長の光のみ選択して偏向させるので、より正確な蛍光検出を行なうことができる。
また、スポット光を照射するので、細胞から発せられる蛍光は、実質的に点光源となる。そのため、焦点深度が深い場合等であっても検出ユニットは、細胞上に焦点を合わせた状態で十分な蛍光量を正確に検出することができる。
更に、対物レンズによってコリメート光に変換された蛍光は、第2の波長選択素子によって偏向された後、検出ユニットに向けて出射される。この際、第1の波長選択素子と同様に、検出に必要な波長の光のみを選択して検出ユニットに出射可能である。即ち、蛍光に含まれる、細胞自家蛍光等の余分な光をカットすることができる。従って、非常に弱い蛍光強度も確実に検出でき、信頼性を向上することができる。
【0015】
請求項6に係る発明は、請求項3に記載の細胞培養検出装置において、前記照射ユニットが、前記光源から入射された前記コリメート光を前記細胞に向けて偏向する偏向素子を備え、前記対物レンズが、前記偏向素子によって偏向された光を前記細胞に照射する細胞培養検出装置を提供する。
この発明に係る細胞培養検出装置においては、光源から入射されたコリメート光を偏向素子により細胞に向けて偏向する。そして、対物レンズにより偏向されたコリメート光を集束させ細胞に照射する。従って、部品構成を少なくより簡易に構成可能であるので、小型化、軽量化を図ることができ、更なる高速スキャニングを可能とすることができる。
【0016】
請求項7に係る発明は、請求項3に記載の細胞培養検出装置において、前記照射ユニットが、前記光源から入射された前記コリメート光の光路中に配された投光ピンホールと、該投光ピンホールを通過した光を前記細胞に向けて偏向する第1の波長選択素子と、前記対物レンズによって変換された前記コリメート光を偏向し、前記検出ユニットに向けて出射する第2の波長選択素子とを備え、前記対物レンズが、前記第1の波長選択素子によって偏向された光を前記細胞に照射する細胞培養検出装置を提供する。
【0017】
この発明に係る細胞培養検出装置においては、投光ピンホールによりコリメート光を整形(絞り)し、該投光ピンホールを通過した整形後の光を第1の波長選択素子により細胞に向けて偏向する。そして、対物レンズにより偏向後に焦点した光を再度コリメート光に変えるので、光束径の比較的小さいコリメート光からなるスポット光を細胞に照射することができ、より正確に蛍光検出を行なうことができる。また、第1の波長選択素子により例えば、蛍光検出に必要な特定の波長の光のみ選択して偏向させるので、より正確な蛍光検出を行なうことができる。
また、スポット光を照射するので、細胞から発せられる蛍光は、実質的に点光源となる。そのため、焦点深度が深い場合等であっても検出ユニットは、細胞上に焦点を合わせた状態で十分な蛍光量を正確に検出することができる。
更に、対物レンズによってコリメート光に変換された蛍光は、第2の波長選択素子によって偏向された後、検出ユニットに向けて出射される。この際、第1の波長選択素子と同様に、検出に必要な波長の光のみを選択して検出ユニットに出射可能である。即ち、蛍光に含まれる、細胞自家蛍光等の余分な光をカットすることができる。従って、非常に弱い蛍光強度も確実に検出でき、信頼性を向上することができる。
【0018】
請求項8に係る発明は、請求項1から7のいずれか1項に記載の細胞培養検出装置において、前記検出ユニットが、前記照射ユニットから出射された前記蛍光を結像する結像レンズと、該結像レンズの結像位置に設けられた受光ピンホールと、該受光ピンホールを通過した前記蛍光を検出する光検出器とを備えている細胞培養検出装置を提供する。
この発明に係る細胞培養検出装置においては、結像レンズにより照射ユニットから入射された蛍光を結像すると共に、受光ピンホールを通過した蛍光を光検出器が検出する。この際、受光ピンホールは、結像レンズの結像位置に設けられているので、例えば、照射ユニットから入射された蛍光から不要な散乱光等の外乱光をカットすることができ、細胞の蛍光量を正確に検出することができる。
【0019】
請求項9に係る発明は、請求項1から8のいずれか1項に記載の細胞培養検出装置において、前記検出ユニットが、前記照射ユニットを挟んで前記光源に対向するように配設されている細胞培養検出装置を提供する。
この発明に係る細胞培養検出装置においては、照射ユニットを入射方向及び出射方向に平行な方向に移動させた際に、照射ユニットが、光源又は検出ユニットのどちらか一方に近づく。つまり、光源と照射ユニットとの距離、照射ユニットと検出ユニットとの距離が共に長い距離になることはない。例えば、光源と照射ユニットとの距離が長い場合には、コリメート光を確実に入射させるため、両者の取り付けに精度が求められる。このように、各構成品間の距離が長くなればなるほど取付精度等が求められるが、上述したように、光源及び検出ユニットと照射ユニットとの間が共に長くなることはないので、容易に構成することができる。
【0020】
請求項10に係る発明は、請求項1から8のいずれか1項に記載の細胞培養検出装置において、前記検出ユニットが、前記照射ユニットに対して、前記光源と同一側に配設されている細胞培養検出装置を提供する。
この発明に係る細胞培養検出装置においては、光源と検出ユニットとが、同一側に配設されているので、全体をコンパクトに構成することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る細胞培養検出装置の第1実施形態について図1から図3を参照して説明する。
本実施形態の細胞培養検出装置1は、図1及び図2に示すスライドガラス(担体)2上で培養中の細胞Aに光を照射し、該細胞Aから発せられた蛍光L2を検出する装置である。また、細胞培養検出装置1は、コリメート光L1を発する固定された光源10と、該光源10から入射されたコリメート光L1を細胞Aに照射すると共に、細胞Aから発せられた蛍光L2を出射する移動光学ユニット(照射ユニット)20と、該移動光学ユニット20から照射された蛍光L2を検出する固定された検出ユニット40と、スライドガラス2を移動可能に支持している担体搬送ユニット50とを備えている。
【0022】
上記光源10及び検出ユニット40は、上記入射方向と出射方向とが略平行になるように配設されている。即ち、検出ユニット40は、移動光学ユニット20を挟んで光源10に対向するように配設されている。また、移動光学ユニット20は、入射方向及び出射方向に平行なX方向に移動可能とされている。
【0023】
上記スライドガラス2は、板状に形成されており、上面に複数の細胞Aがアレイ状に整列配置されて保持されると共に培養されている。このスライドガラス2は、ステージ3上に載置されている。なお、ステージ3は、透明ガラス等の透明材料で形成されており、ステージ3の下方から該ステージ3及びスライドガラス2を介して細胞Aに光を照射可能とされている。また、ステージ3は、例えば、図1に示すようにケーシング内に収納されており、温度37℃、湿度100%、二酸化炭素濃度5%になるように調整されている。これにより、細胞Aがスライドガラス2上で最適な環境で培養されている。
【0024】
上記光源10は、ステージ3の下方であってフレーム内の図示しない取付架台に固定されており、所定の径のコリメート光束からなるレーザ光を発生するレーザ光源である。レーザ光の波長は、蛍光色素の励起線に応じて選択されるものであり、例えば、GFPのS65Tの場合には、励起線の波長は489nmである。なお、GFPは、青色光に励起されると緑色光を発するという特徴をもつ蛍光物質である。
【0025】
上記移動光学ユニット20は、図2に示すように上記ステージ3の下方に配され、筐体21内に、細胞Aから発せられた発散光である蛍光L2を、コリメート光に変える対物レンズ22、光源10から入射されたコリメート光L1の光路中に配された励起ピンホール(投光ピンホール)23、該励起ピンホール23に前側焦点を一致するよう配され励起ピンホール23を通過した光を集光する投光レンズ24、該投光レンズ24を透過した光を細胞Aに向けて偏向する第1の波長選択素子(偏向素子)25及び対物レンズ22によって変換されたコリメート光を偏向し検出ユニット40に向けて出射する第2の波長選択素子26を有している。
【0026】
上記筐体21は、箱状に形成されており、光源10側にコリメート光L1を入射する入射口21aが設けられ、該入射口21aの対向側、即ち、検出ユニット40側に蛍光L2を出射する出射口21bが設けられている。入射口21aの内側には、上記励起ピンホール23が配設されている。この励起ピンホール23は、微小なピンホールが設けられた板状部材であって、コリメート光L1の径を整形(絞る)する機能を有している。また、励起ピンホール23の後側には、上記投光レンズ24が配設されている。また、投光レンズ24の後側には、上記第1の波長選択素子25が、投光レンズ24によって集光された光の光路を90°(紙面に対して上向き)偏向するように光路中に配設されている。この第1の波長選択素子25は、例えば、ダイクロイックミラーであり、細胞Aから発せられた蛍光(細胞自家蛍光等を含む)の波長のみを透過し、それ以外の波長の光は反射する機能を有している。つまり、投光レンズ24によって集光された光は、全て対物レンズ22に向けて偏向される。
【0027】
上記対物レンズ22は、例えば、約20倍の高倍率の無限遠設計された対物レンズであって、第1の波長選択素子25の真上、即ち、該第1の波長選択素子25の反射光路上に位置するように、筐体20に取付けられている。また、対物レンズ22は、第1の波長選択素子25の後側焦点位置25aに集光した光をコリメート光に変えて細胞Aに照射する機能を有している。即ち、対物レンズ22は、第1の波長選択素子25で反射された光を、細いコリメート光束、つまりコリメート光からなるスポット光L3として、ステージ3及びスライドガラス2を透過させて細胞Aに向けて下方から照射する機能を有している。
【0028】
上記第2の波長選択素子26は、細胞から発せられた平行な蛍光成分(特定波長のみの光)を略100%反射し、それ以外の波長の光はカットする機能を有している。この第2の波長選択素子26は、第1の波長選択素子25の下方、即ち、第1の波長選択素子25の透過光路上であって、該第1の波長選択素子25を透過した光を90°(紙面に対して左向き)偏向して出射口21bより出射する位置に配設されている。これにより、対物レンズ22によってコリメート光に変換された蛍光L2は、第1の波長選択素子25を透過した後、第2の波長選択素子26によって偏向されて、出射口21bより出射される。
【0029】
また、移動光学ユニット20は、図1に示すように、筐体21をX方向に移動させる光学ユニット駆動機構30を備えている。該光学ユニット駆動機構30は、一対のガイドレール31、筐体21に連結されているブラケット32、該ブラケットに回転可能に係止されているボールネジ33及び該ボールネジ33を回転駆動するステッピングモータ34を有している。
即ち、筐体21には、X方向に向けて一対のガイドレール孔21cが形成されており、該ガイドレール孔21cに、例えば、ステンレス等の丸棒である上記一対のガイドレール31が摺動可能に挿入されている。これにより、筐体21は
、ガイドレール31に沿って、X方向に円滑に移動可能とされている。
なお、一対のガイドレール孔21cに、例えば、ボールベアリング、含油軸受等を設けても構わない。この場合には、さらなる低摺動摩擦が得られる。
【0030】
上記ブラケット32は、筐体21の下方に連結され、X方向に向けて上記ボールネジ33が挿通されている。また、該ボールネジ33の一端には、上記ステッピングモータ34が連結されている。つまり、ステッピングモータ34を駆動してボールネジ33を回転させることで、フレーム32と共に筐体21をX方向に移動可能にしている。
なお、ステッピングモータ34は、図示しない制御部により駆動制御されている。また、一対のガイドフレーム31、ボールネジ33及びステッピングモータ34等は、フレーム内に固定されている。
【0031】
上記検出ユニット40は、フレーム内の図示しない取付架台に固定されており、図2に示すように、照射ユニット20から出射された蛍光をL2を結像する結像レンズ41、該結像レンズ41の結像位置に設けられた微小のピンホールが形成された板状部材である受光ピンホール42及び該受光ピンホール41を通過した蛍光L2を検出する、例えば、フォトマルチプライヤ、アバランシェフォトダイオード、CCDやラインセンサ等若しくはこれらを複数組み合わせて構成する光検出器43を備えている。なお、受光ピンホール42は、測定目的に応じて様々な検出を行なえるようピンホール径の異なる数種類を任意に自動的に切り替えるように構成しても良い。
【0032】
上記担体搬送ユニット50は、図1に示すように、X方向に対して直交するY方向にスライドガラス3を移動可能に支持するものであって、上記ステージ3、該ステージ3に回転可能に係止されたボールネジ51及び該ボールネジ51を回転駆動するステッピングモータ52を備えている。つまり、ステッピングモータ52を駆動してボールネジ51を回転させることで、ステージ3と共にスライドガラス2をY方向に移動可能にしている。また、光学ユニット駆動機構30の作動と組み合わせることにより、スライドガラス2の全範囲にわたって細胞Aの観察を行なうことが可能である。
なお、ステッピングモータ52は、図示しない制御部により駆動制御されている。また、該ステッピングモータ52及びボールネジ51は、Y軸送り機構53を構成している。
【0033】
このように構成された細胞培養検出装置1により、細胞Aの蛍光検出を行なう場合について以下に説明する。
まず、光学ユニット駆動機構30及び担体搬送ユニット50のY軸送り機構53を作動させて、蛍光検出を所望する細胞Aの真下に対物レンズ22が位置するように位置合わせを行なう。
位置合わせ後、光源10より励起光であるコリメート光L1を出射する。出射されたコリメート光L1は、移動光学ユニット20の入射口21aより、筐体21内部に入射し、励起ピンホール23を通過する。この際、光源10から出射された光は、コリメート光L1であるので光源10と移動光学ユニット20との距離に関係なく、光源10から出射されたときと同一の光束で励起ピンホール23に入射する。
【0034】
励起ピンホール23に入射したコリメート光Lは、励起ピンホール23を通過するときに、光束径が絞られて整形される。径が絞られたコリメート光L1は、投光レンズ24により集光された後、第1の波長選択素子25によって90°方向を変えて偏向(反射)される。偏向した光は、後側焦点位置25a付近で焦点を結ぶ、即ち、対物レンズ22の瞳位置に1次ピンホール像として集光する。そして、集光した光は、対物レンズ22により微小な径のコリメート光束、つまり、一定の断面積を有したコリメート光からなるスポット光L3に変換され、ステージ3及びスライドガラス2を介して細胞Aに励起光として照射される。
なお、スポット光L3の光束径は、対物レンズ22の倍率により任意の径に設定可能である。例えば、細胞Aの直径が10〜20μmの場合には、それ以下の径の光束径に設定することが望ましく、更に、細胞Aの直径の1/10程度の光束径に設定することがより好ましい。このような設定とすることで、細胞Aの内部におけるGFP等の発現位置を特定することが可能である。
【0035】
上記スポット光L3は、スライドガラス2上の細胞Aにテレセントリックに照射され2次ピンホール像を作る。即ち、図3に示すように励起ピンホール23で生じた回析光が、スライドガラス2面上で2次ピンホール像を作る。なお、この2次ピンホール像により、スライドガラス2上の細胞Aのピント位置を容易に知ることができる。
【0036】
また、スポット光L3の照射により細胞Aから発せられた発散光である蛍光L2は、第2次の面光束、或いは実質的な点光源となり、再度対物レンズ22によってコリメート光に変換される。このコリメート光である蛍光L2は、第1の波長選択素子25を透過して、第2の波長選択素子26により90°向きを変えて偏向(反射)され、出射口21bより出射する。この際、対物レンズ22によりコリメート光とされた蛍光L2には、検出に必要な蛍光成分以外に、例えば、バックグランド基材自家蛍光、細胞自家蛍光及び培養液自家蛍光等の不要な光が含まれているが、第2波長選択素子により不要な光がカットされ、検出に必要な蛍光成分のみを検出ユニット40に向けて出射されている。更に、対物レンズ22から出射された径を維持したコリメート光として、蛍光L2を検出ユニット40に出射するので、低損失状態で蛍光L2を検出ユニット40に出射している。
【0037】
出射口21bから出射した蛍光L2は、検出ユニット40の結像レンズ41によって結像され、結像レンズ41の後側焦点位置で3次ピンホール像を作る。そして、該結像位置に設けられた受光ピンホール42を通過して光検出器43によって検出される。これにより、検出ユニット40は、細胞Aから発せられた蛍光L2を検出することができる。
この際、3次ピンホール像とほぼ同一径の受光ピンホール42を利用することで、スライドガラス2面以外から発せられた蛍光や外乱光が光検出器43に到達することを防止することが可能である。また、検出ユニット40は、焦点合わせを行なう際に、上述したように励起ピンホール23で生じた回析光が、スライドガラス2上で2次ピンホール像を作っているので、該2次ピンホール像を基準として容易に焦点合わせを行なうことが可能である。
【0038】
上述したように、1つの細胞Aの蛍光検出が終了した後、光学ユニット移動機構30及び担体搬送ユニット50を作動させて、スライドガラス2上の全ての細胞Aの蛍光検出を行なう。
例えば、光学ユニット移動機構30により、移動光学ユニット20をX方向に移動させ、X方向に存在する細胞Aの蛍光検出を行なう。このX方向の検出が終了した後、担体搬送ユニット50の送り機構53により、ステージ3をスポット光L3の光束径を1ピッチとして、該1ピッチ分だけY方向に送りをかける。そして、再度光学ユニット移動機構30により、移動光学ユニット20をX方向に移動させて蛍光検出を行なう。このように、移動光学ユニット20のX方向への走査とステージ3の1ピッチ移動とを繰り返して、スライドガラス2上の細胞Aの検出領域全面にわたって、2次元的に走査を行い細胞Aの蛍光検出を行なう。
上述したように、Y方向へのステージ3の移動は、スポット光L3の光束径の1ピッチという微小な距離のため、細胞Aの剥離や、培養液の揺らぎ等を防止することが可能である。また、移動光学ユニット20は、X方向に高速移動が可能であるので、観察に掛ける時間を短縮でき観察効率を向上させることができる。
なお、分解能をより高めるために、スポット光の光束径の1/2の距離を1ピットとして、ステージ3を送るよう担体搬送ユニット50を作動しても良い。つまり、所望する分解能に応じて1ピッチ分の送り量を設定可能である。
【0039】
上述したように、この細胞培養検出装置1によれば、移動光学ユニット20に入射するコリメート光L1の入射方向と、移動光学ユニット20から出射する蛍光L2の出射方向とが平行であり、平行なX方向に移動光学ユニット20が移動するので、スライドガラス2に対して一方向に走査しながらスライドガラス2上の各細胞Aの蛍光検出が行なえる。このように、移動光学ユニット20を走査しながら細胞Aの蛍光検出が可能であるので、培養液の揺らぎや細胞Aの剥離等を考慮せずに、蛍光検出が行うことができる。従って、移動光学ユニット20を高速に移動することができ、細胞Aの観察効率を向上することができる。また、移動光学ユニット20は、光源10や検出ユニット40とは別に必要最低限の構成で配設されるので、小型且つ簡単な構成のスキャニング光学系とすることができる。このことからも、高速スキャニングが可能であり、観察効率を向上することができる。更に、光源10が発する光は、コリメート光L1であるので、光源10と移動光学ユニット20との移動距離に関係なく均一な光スポットL3を細胞に照射することができる。
【0040】
また、光学ユニット移動機構30による移動光学ユニット20のX方向への移動と、担体搬送ユニット50によるステージ3のY方向への移動とで、スライドガラス2に対してXY方向(平面方向)の2次元的な走査を行なえる。従って、スライドガラス2上の全範囲にわたって走査し、より広範囲の細胞Aの蛍光検出を行なうことが可能であり、更に観察効率を向上することができる。
また、移動光学ユニット20は、対物レンズ22により蛍光L2をコリメート光に変えるので、該対物レンズ22を出射した径のまま検出ユニット40に出射する。従って、細胞Aから発せられた蛍光L2を低損失で検出ユニット40に出射でき、高精度の解析等を行なうことができる。また、移動光学ユニット20と検出ユニット40との移動距離に関係なく同一強度の蛍光L2を検出することができることからも検出の精度を向上することができる。
【0041】
更に、対物レンズ22は、光束径の比較的小さいコリメート光からなるスポット光L3を細胞Aに照射するので、温度等の外乱によりスライドガラス2の測定面が歪んだり、反っていたとしても、スポット光L3の光径の変動を低減した状態で細胞Aに照射することができる。従って、より正確に蛍光検出を行なうことができる。また、スポット光L3を照射するので、細胞Aから発せられる蛍光L2は、実質的に点光源となる。そのため、焦点深度が深い場合等であっても、検出ユニット40は、細胞A上に焦点を合わせた状態で、十分な蛍光量を正確に検出することができる。
【0042】
また、第1の波長選択素子25及び第2の波長選択素子26により、対物レンズ22によってコリメート光に変換された蛍光L2から、細胞自家蛍光等の不要な光をカットすることができる。従って、検出ユニット40は、非常に弱い蛍光強度も確実に検出でき、信頼性を向上することができる。
また、検出ユニット40は、結像レンズ41及び受光ピンホール42により、更に、蛍光L2から不要な散乱光等の外乱光をカットすることができるので、細胞の蛍光量を正確に検出することができる。
【0043】
更には、光源10及び検出ユニット40が、移動光学ユニット20を挟んで対向配置されているので、移動光学ユニット20をX方向に移動させた際に、光源10又は検出ユニット40のどちらか一方に近づく。つまり、光源10と移動光学ユニット20との距離、移動光学ユニット20と検出ユニット40との距離が共に長い距離になることはない。各構成品間の距離が長くなればなるほど取付精度等が求められるが、上述したように光源10及び検出ユニット40と移動光学ユニット20との間が共に長くなることはないので、容易に構成することができる。
【0044】
なお、本実施形態において、3次ピンホール像とほぼ同一径の受光ピンホール42を利用したが、これに限られず、3次ピンホール像よりも大きい径の受光ピンホール42を使用しても構わない。この場合には、スライドガラス2上の細胞Aからの全蛍光量を光検出器43で検出することが可能であり、走査にかける測定時間をより短縮でき、観察効率を向上させることができる。また、3次ピンホール像よりも小さい径の受光ピンホール42を使用しても構わない。この場合には、細胞A内の一部からの蛍光を観察することができるので、順次走査しながら測光することで、細胞A内の蛍光分布を画像化し、解析することができる。
【0045】
また、光学ユニット駆動機構30及び担体搬送ユニット50のY軸送り機構53に、光学的又は磁気的な位置センサ等を設け、各方向の走査に伴う位置座標を検出するようにしても構わない。この場合には、各蛍光の発生位置を正確に検出することが可能であり、該蛍光強度発生位置と蛍光強度の値をコンピュータ等に取り込んで計算処理し、2次元画像としてスライドガラス2上の細胞Aからの蛍光を表現することができる。更に、1つの細胞Aに注目した蛍光強度の変化を時間経過と共にグラフ化することも可能である。更には、培養されている細胞Aは、その活性周期に応じて形態や蛍光量が変化するが、位置センサ等により検出した蛍光量の位置座標も認識することができるので、細胞Aから発する蛍光量と
、蛍光を発している位置情報と、細胞Aを培養する時間との相関関係により、タンパク質の機能等の細胞解析を行なうことができる。更には、検出ユニット40は、固定されているので、スキャニングによる振動等の影響を受けにくく正確な検出を行なうことができる。
【0046】
次に、本発明に係る細胞培養検出装置の第2実施形態を、図4及び図5を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、移動光学ユニット20が、光源10から入射されたコリメート光L1を励起ピンホール23を通過させ痛快投光レンズ24によって集光した後に、第1の波長選択素子25により偏向していたのに対し、第2実施形態の細胞培養検出装置60では、光源80から入射されたコリメート光L1を励起ピンホール71を通過させた後に第1の波長選択素子25により偏向する点である。
【0047】
即ち、本実施形態の細胞培養検出装置60の移動光学ユニット(照射ユニット)70は、図4に示すように、筐体21内に、対物レンズ22、光源80から入射されたコリメート光L1の光路中に配された励起ピンホール(投光ピンホール)71、該励起ピンホール71を通過した光を細胞Aに向けて偏向する第1の波長選択素子25、対物レンズ22によって変換されたコリメート光である蛍光L2を変更し、検出ユニット40に向けて出射する第2の波長選択素子26を備えている。
【0048】
上記励起ピンホール71は、筐体21の入射口21aの内側に配設されており、微小なピンホールが設けられた板状部材であって、コリメート光L1の径を整形(絞る)する機能を有している。なお、励起ピンホール71は、ピンホール径を任意に変更できるように可変制御可能な構成にしても構わない。また、光源80は、光源ユニット81の内部に収納されている。
【0049】
このように構成された細胞培養検出装置60により、細胞Aの蛍光検出を行なう場合について以下に説明する。
光学ユニット駆動機構30及び担体搬送ユニット50により、対物レンズ22の位置合わせをした後、光源80からコリメート光L1を出射する。出射されたコリメート光L1は、入射口21aより筐体21内部に入射し、励起ピンホール71によって径が絞られて整形される。なお、対物レンズ22がNA0.1レンズで、励起ピンホール71のピンホール径が1mmである場合には、d=1.2λ/0.1=5.8μmとなる。上述したように、励起ピンホール71の径を可変制御可能にしておくことで、様々な解析対象に対応することが可能である。
【0050】
そして、励起ピンホール71を通過したコリメート光L1は、第1の波長選択素子25により90°方向を変えて変更され、対物レンズ22によって集束されてスライドガラス2上の細胞Aに合焦して照射される。この際、光束径は、対物レンズ22の倍率により、任意の径に設定される。例えば、低倍率の対物レンズ22の場合には、細胞Aの直径の数倍から数十倍程度の光束径とすることができ、スライドガラス2全面を高速且つ網羅的に走査することが可能である。
【0051】
一方、細胞から発せられた蛍光L2は、対物レンズ22でコリメート光に変換された後、第1の波長選択素子25を透過して、第2の波長選択素子26より不要な光がカットされると共に、90°向きを変えて偏向され、出射口21bより検出ユニット40に向けて出射される。そして、出射した蛍光L2は、検出ユニット40の結像レンズ41で結像された後、受光ピンホール42を通過して光検出器43に検出される。このようにして検出ユニット40は、細胞Aから発せられた蛍光L2を検出することができる。
なお、本実施形態においては、受光ピンホール42のピンホール径は、結像レンズ41の出射側のNAから計算される径より若干大きく設定されている。
【0052】
この細胞培養検出装置60によれば、移動光学ユニット60を部品構成を更に少なくして構成可能であるので、より小型化、軽量化を図ることができる。従って、さらなる高速スキャニングを可能とすることができ、観察効率を向上させることができる。また、焦点深度が浅いので、合焦時に細胞Aや培養液等の自家蛍光の影響が小さく、ノイズが少ない測定を行なうことができる。更に、高分解能であり、微小部分、例えば、1個の細胞Aの精密測定を行なうことができる。
【0053】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記各実施形態では、光源及び検出ユニットは、移動光学ユニットを挟んで対向するように配設されているが、これに限られず、図6に示すように、光源及び検出ユニットを移動光学ユニットに対して同一側に配設しても構わない。この場合には、余分な配置スペースを必要としないので、装置のコンパクト化を図ることができる。
また、担体として、スライドガラスを用いたが、96穴マイクロプレートや384穴マイクロプレート等を採用しても構わない。この際、各穴内において細胞を培養し、マイクロプレートの下側(底面側)において、細胞培養からの蛍光強度を測定することが可能である。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に係る細胞培養検出装置によれば、細胞が存在する担体側ではなく、照射ユニット側を走査しながら細胞の蛍光検出が可能あるので、培養液の揺らぎや細胞の剥離等を考慮せずに、蛍光検出が行うことができる。従って、照射ユニットを高速に移動することが可能であり、細胞の観察効率を向上することができる。また、照射ユニットは、光源及び検出ユニットとは別に配設されているので、必要最低限の構成にでき、小型且つ簡単な構成のスキャニング光学系とすることができることからも、高速スキャニングが可能であり、観察効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る細胞培養検出装置の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す細胞培養検出装置の側方断面図である。
【図3】図2に示す細胞培養検出装置の断面矢視図B−Bである。
【図4】本発明に係る細胞培養検出装置の第2実施形態を示す側方断面である。
【図5】図4に示す細胞培養検出装置の断面矢視図C−Cである。
【図6】細胞培養検出装置の他の変形例を示す構成図である。
【符号の説明】
A 細胞
L1 コリメート光
L2 蛍光
1、60 細胞培養検出装置
2 スライドガラス(担体)
10、80 光源
20、70 移動光学ユニット(照射ユニット)
22 対物レンズ
23、71 励起ピンホール(投光ピンホール)
24 投光ピンホール
25 第1の波長選択素子(偏向素子)
26 第2の波長選択素子
40 検出ユニット
41 結像レンズ
42 受光ピンホール
43 光検出器
50 担体搬送ユニット
Claims (10)
- 担体上で培養中の細胞に光を照射し、該細胞から発せられた蛍光を検出する細胞培養検出装置であって、
コリメート光を発する固定された光源と、
該光源から入射された前記コリメート光を前記細胞に照射すると共に該細胞から発せられた前記蛍光を出射する照射ユニットと、
該照射ユニットから出射された前記蛍光を検出する固定された検出ユニットとを備え、
前記入射方向と前記出射方向とが略平行に配され、
前記照射ユニットが、前記入射方向及び前記出射方向に平行な方向に移動可能とされていることを特徴とする細胞培養検出装置。 - 請求項1に記載の細胞培養検出装置において、
前記平行な方向に対して直交する方向に前記担体を移動可能に支持する担体搬送ユニットを備えていることを特徴とする細胞培養検出装置。 - 請求項1又は2に記載の細胞培養検出装置において、
前記照射ユニットが、前記細胞から発せられた発散光である前記蛍光を、コリメート光に変える対物レンズを備えていることを特徴とする細胞培養検出装置。 - 請求項3に記載の細胞培養検出装置において、
前記照射ユニットが、前記光源から入射された前記コリメート光を集光する投光レンズと、
該投光レンズを透過した光を前記細胞に向けて偏向する偏向素子とを備え、
前記対物レンズが、前記偏向素子の後側焦点位置に集光した光をコリメート光に変えて前記細胞に照射することを特徴とする細胞培養検出装置。 - 請求項3に記載の細胞培養検出装置において、
前記照射ユニットが、前記光源から入射された前記コリメート光の光路中に配された投光ピンホールと、
該投光ピンホールと前側焦点を一致するよう配され、該投光ピンホールを通過した光を集光する投光レンズと、
該投光レンズを透過した光を前記細胞に向けて偏向する第1の波長選択素子と、
前記対物レンズによって変換された前記コリメート光を偏向し、前記検出ユニットに向けて出射する第2の波長選択素子とを備え、
前記対物レンズが、前記第1の波長選択素子の後側焦点位置に集光した光をコリメート光に変えて前記細胞に照射することを特徴とする細胞培養検出装置。 - 請求項3に記載の細胞培養検出装置において、
前記照射ユニットが、前記光源から入射された前記コリメート光を前記細胞に向けて偏向する偏向素子を備え、
前記対物レンズが、前記偏向素子によって偏向された光を前記細胞に照射することを特徴とする細胞培養検出装置。 - 請求項3に記載の細胞培養検出装置において、
前記照射ユニットが、前記光源から入射された前記コリメート光の光路中に配された投光ピンホールと、
該投光ピンホールを通過した光を前記細胞に向けて偏向する第1の波長選択素子と、
前記対物レンズによって変換された前記コリメート光を偏向し、前記検出ユニットに向けて出射する第2の波長選択素子とを備え、
前記対物レンズが、前記第1の波長選択素子によって偏向された光を前記細胞に照射することを特徴とする細胞培養検出装置。 - 請求項1から7のいずれか1項に記載の細胞培養検出装置において、
前記検出ユニットが、前記照射ユニットから出射された前記蛍光を結像する結像レンズと、
該結像レンズの結像位置に設けられた受光ピンホールと、
該受光ピンホールを通過した前記蛍光を検出する光検出器とを備えていることを特徴とする細胞培養検出装置。 - 請求項1から8のいずれか1項に記載の細胞培養検出装置において、
前記検出ユニットが、前記照射ユニットを挟んで前記光源に対向するように配設されていることを特徴とする細胞培養検出装置。 - 請求項1から8のいずれか1項に記載の細胞培養検出装置において、
前記検出ユニットが、前記照射ユニットに対して、前記光源と同一側に配設されていることを特徴とする細胞培養検出装置。
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