JP2005005298A - 積層型チップインダクタとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】端面に端子を有する従来型と同等以上のプリント基板への接着強度が得られ、従来の積層工程を使用して製造できる積層型チップインダクタとその製造方法を提供する。
【解決手段】積層体1の両端面にそれぞれ外部接続用の端面端子4、5を設けると共に、積層体1の底面に外部接続用の2つの底面端子6、7を設ける。積層体1内の2つのコイル2、3のうち、一方のコイル2の一端は一方の端面端子4に接続し、一方のコイル2の他端を一方の底面端子6に接続する。他方のコイル3の一端は他方の端面端子5に接続し、他方のコイル3の他端を他方の底面端子7に接続する。
【選択図】図1
【解決手段】積層体1の両端面にそれぞれ外部接続用の端面端子4、5を設けると共に、積層体1の底面に外部接続用の2つの底面端子6、7を設ける。積層体1内の2つのコイル2、3のうち、一方のコイル2の一端は一方の端面端子4に接続し、一方のコイル2の他端を一方の底面端子6に接続する。他方のコイル3の一端は他方の端面端子5に接続し、他方のコイル3の他端を他方の底面端子7に接続する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層構造により実現される磁性体内部に2つのコイルを形成した積層型チップインダクタとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の積層型チップインダクタにおいて、内部に2つのコイルを有するものでは、プリント基板へ半田付けなどにより実装を行うための端子は、図9、図10に示すように、内部に2つのコイル31、32を有する積層体30の側面(短手方向の両端面となる面)にそれぞれ2個ずつ端子33〜36を設け、これらの端子33〜36を、プリント基板8上の導体パターン37、38に半田13により接続、固定することが一般的に行われる。このような構造をとるものとして例えば特許文献1に記載のものがある。ただし特許文献1に記載のものは、コモンモードチョークコイルに関するものであって、積層体30の両端面にも端子(図示せず)が形成されている。
【0003】
また、別の公知例として、特許文献2では、積層体の4隅を使用して2回路分の入出力端子を形成したものが開示されている。
【0004】
さらに他の公知例として、特許文献3には、積層体の端面に端子を設けるのみならず、側面、上下面を周回する構造で入出力端子を設けたものが開示されている。上記従来の積層体の端子構造はいずれも端子を後付けする構造である。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−138938号公報
【特許文献2】
実公昭60−31243号公報
【特許文献3】
特開平11−16769号公報。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図9、図10に示され、かつ特許文献1に記載のように、積層体30の両側面に端子電極33〜36を設けた構造では、側面のみの半田フィレットで接着強度を保持するため、図11に示すように、1つのコイル41を内蔵した積層体40の両端面に端子電極42、43を設ける構造に比較して、接着強度が弱くなるという問題点がある。特に例えば1005タイプ(縦1mm、横0.5mm、高さ0.5mm)のチップインダクタように、小型のチップインダクタ内に2つのコイルを形成した場合には、接着強度が小さくなる上、端子33〜36の形成が困難になる。
【0007】
また、特許文献1〜3のいずれの構造においても、図11に示したような一般的な積層型電子部品と端子構造が相違するため、特殊な設備や治工具が必要となり、工程の標準化ができず、コスト高を招くという問題点がある。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑み、2個のコイルを内蔵する積層型チップインダクタにおいて、端面に端子を有する従来型と同等以上のプリント基板への接着強度が得られる構造のものとその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、特殊な設備や治工具を要せず、従来の積層工程を使用して製造でき、しかも前記接着強度が得られる積層型チップインダクタとその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明の積層型チップインダクタは、コイル用導体と磁性体とを積層して積層体を構成し、該積層体の内部に2つのコイルを横並びに形成したほぼ直方体状をなす積層型チップインダクタであって、
前記積層体の両端面にそれぞれ外部接続用の端面端子を設けると共に、前記積層体の底面に外部接続用の2つの底面端子を設け、
前記積層体内の2つのコイルのうち、一方のコイルの一端は一方の端面端子に接続し、該一方のコイルの他端を一方の底面端子に接続し、
他方のコイルの一端は他方の端面端子に接続し、該他方のコイルの他端を他方の底面端子に接続した
ことを特徴とする。
【0010】
(2)また、本発明の積層型チップインダクタは、前記(1)において、
前記底面端子は、積層体の積層工程において形成された導体膜により基地層が形成されていることを特徴とする積層型チップインダクタ。
【0011】
(3)本発明の積層型チップインダクタの製造方法は、前記(1)または(2)に記載の積層型チップインダクタを製造する方法であって、
片面にフィルムを有する磁性体グリーンシートを形成する工程と、
該磁性体グリーンシート形成後に、該磁性体グリーンシートにレーザ光を照射して磁性体グリーンシートにスルーホールを形成する工程と、
該スルーホールを形成した後に該スルーホールに導体ペーストが充填されるように磁性体グリーンシート上にコイル用導体を形成する工程と、
前記コイル用導体形成工程後に、磁性体グリーンシートのフィルム側を上に向けて下側の磁性体グリーンシートに積み重ねて圧着することにより、下側の磁性体グリーンシートのスルーホールを介して下側の磁性体グリーンシートの前記コイル用導体と上側の磁性体グリーンシートのコイル用導体とを接続する工程を含み、
最初に、底面端子となる導体パターンを有する磁性体グリーンシートを積層用基台上に置き、その後、前記コイル用導体を形成した磁性体グリーンシートを所定枚数積層し、圧着した後、チップ単位に切断し、焼成後に積層体の長手方向の両端部に端面端子を形成する
ことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は本発明による積層型チップインダクタの一実施の形態を示す透視図、図2はそのプリント基板への取付け状態を示す斜視図である。この積層型チップインダクタは、通常チップビーズと称されるものである。図1において、1は内部に2個のコイル2、3を形成した磁性体からなる積層体、4、5は積層体1の長手方向の両端に設けられた端面端子、6、7は積層体1の底面、すなわち図2に示すプリント基板8への取付け面に設けられた底面端子である。前記コイル2、3のうち、一方のコイル2の一端は、一方の端面端子4に接続され、他端は、前記端面端子4に近い方の一方の底面端子6に接続される。また、他方のコイル3の一端は、他方の端面端子5に接続され、他端は、前記端面端子5に近い方の他方の底面端子7に接続される。
【0013】
このチップインダクタは、図2に示すようにプリント基板8上に半田付けされる。すなわちプリント基板8には、端面端子対応のパッド9、10が形成され、両パッド9、10間に底面端子対応のパッド11、12が形成される。そしてこれらのパッド9、10、11、12に端面端子4、5および底面端子6、7を載せた構造で半田(導電性接着剤でもよい)13により接続し固定する。
【0014】
図3は本実施の形態のチップインダクタの1個分の層構造図、図4はグリーンシートの積層によりこのチップインダクタを製造する場合の積層構造を示す図である。図3および図4において、1a〜1kは前記積層体1となる基体を構成する磁性体グリーンシートであり、この磁性体グリーンシートは、磁性粉末と、バインダーとなる樹脂と、溶剤とを混合してペースト状にし、これをドクターブレード法等によりシート化したものである。なお、本実施の形態においては、磁性粉末として、Ni−Cu−Zn系フェライトを用いたが、Ni−Cu−Zn−Mg系フェライトや、Ni−Cu系フェライトを用いることができる。また、磁性金属粉末あるいは磁性金属粒子を絶縁膜により覆ったものを用いることもできる。
【0015】
2a〜2h、3a〜3hはそれぞれ前記コイル2、3を構成するコイル用導体であり、前記磁性体グリーンシート1c〜1j上に銀ペースト等の導体粉末混合導体ペーストを印刷する等により形成される。図中、2h、3hはコイル用導体のみならず、引き出し用導体を兼ね、これらの導体2h、3hは互いに反対側に向けて引き出される。
【0016】
6a、7aはそれぞれ前記導体ペーストの印刷等により形成された底面端子用導体である。14(15)は前記底面端子用導体6a(7a)やコイル用導体2a〜2h(3a〜3h)の端部を接続するスルーホールである。なお、本実施の形態においては、スルーホール14、15の形成は、レーザー加工により行った。
【0017】
このグリーンシートの積層は下記のように行った。まず底面端子6、7となる導体6a、7aを形成した磁性体グリーンシート1aを、積層用基台(図示せず)上に、導体6a、7aを下側にし、導体6a、7a形成面の反対側に被着したフィルムを剥離して載置した。この導体6a、7aは、磁性体グリーンシート1aに形成したスルーホール14、15に導体ペーストとして充填されると同時に、導体6a、7aを片面に形成したものである。
【0018】
次にこのグリーンシート1a上に、導体ペーストを充填したスルーホール14、15を有する磁性体グリーンシート1bを、前記同様にフィルムを剥離して1枚以上重ねた。
【0019】
次に、ほぼ1/2ターン分のコイル用導体2a、3aを導体ペーストの印刷により形成し、かつスルーホール14、15に導体ペーストを充填した磁性体グリーンシート1cを、各コイル用導体2a、3aの形成面が下側となり、かつ上側のフィルムを剥離して、コイル用導体2a、3aの一端が、前記磁性体グリーンシート1bのスルーホール14、15に重なるようにして積層した。
【0020】
このようにして引き出し用導体を兼ねたコイル用導体2h、3hを形成した磁性体グリーンシート1jまで積層した後、最後に、チップインダクタの積層方向の厚みを維持するため、コイル用導体を形成しない磁性体グリーンシート1kを1枚以上積層した。さらに、チップの搭載方向を示すマークを形成してもよい。
【0021】
このようにして積層したものを、図5に示すように圧着し、この圧着したものを、焼成後の寸法が前述の1005タイプとなるように単体に切断した。その後、870℃で焼成した。この焼成後の状態を図6に示す。
【0022】
その後、単体の両端面に銀ペーストを塗布して焼付けし、続いて端面端子4、5と底面端子6、7にバレルめっきにより半田付けのためのメッキを行った。この半田付けは、銅とニッケルと錫、ニッケルと錫、ニッケルと金、ニッケルとパラジウムと金、ニッケルとパラジウムと銀、あるいはニッケルと銀等で行うことが好ましい。
【0023】
このチップインダクタの実装構造では、積層体1の両端の端面端子4、5を半田付けする構造とした上、底面端子6、7も底面で半田付けする構造としたので、大きな接着強度が得られる。
【0024】
また、底面端子6、7は、積層工程により形成したものを用いたので、端子形成のための設備や、治工具を用いる必要がないので、製造コストを低減することができる。
【0025】
図7、図8は本発明によるチップインダクタ16の配置例を示す図であり、図7の例は、ドライバIC17の対をなす端子18、19に配線20、21を介してそれぞれ前記各チップインダクタ16の底面端子6、7を接続し、配線22、23を介してそれぞれ端面端子4、5を不図示の他の回路に接続した例である。
【0026】
図8の例は、ドライバIC17の対をなす端子18、19のうち、一方の端子18は配線24を介してチップインダクタ16の一方の端面端子4に接続し、他方の端子19は配線25を介してチップインダクタ16の一方の底面端子7に接続し、不図示の他の回路につながる配線26、27をそれぞれ他方の底面端子6と他方の端面端子7に接続した例である。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、積層体に内蔵する2つのコイルの各一端をそれぞれ接続する積層体両端面の端面端子と、各コイルの他端をそれぞれ接続する2つの底面端子とを有し、端面端子と底面端子とをプリント基板に半田付けする構造としたので、大きな接着強度が得られる。
【0028】
また、底面端子は、積層工程により形成したものを用いたので、端子形成のための設備や、治工具を用いる必要がないので、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による積層型チップインダクタの一実施の形態を示す透視斜視図である。
【図2】本実施の形態のプリント基板への実装構造を示す斜視図である。
【図3】本実施の形態のチップインダクタの1個分の層構造を示す斜視図である。
【図4】本実施の形態のチップインダクタのグリーンシートの積層構造を示す斜視図である。
【図5】図4のグリーンシートの積層後の状態を示す斜視図である。
【図6】本実施の形態のチップ単位に切断した後の状態を示す透視図である。
【図7】本実施の形態のチップインダクタのプリント基板への配置の一例を示す平面図である。
【図8】本実施の形態のチップインダクタのプリント基板への配置の他の例を示す平面図である。
【図9】従来のチップインダクタのプリント基板への実装構造を示す斜視図である。
【図10】図9のチップインダクタの透視斜視図である。
【図11】従来のチップインダクタの他の例を示す透視斜視図である。
【符号の説明】
1:積層体、1a〜1k:磁性体グリーンシート、2a〜2h、3a〜3h:コイル用導体、4、5:端面端子、6、7:底面端子、6a、7a:底面端子用導体、8:プリント基板、9〜12:パッド、13:半田、14、15:スルーホール、16;チップインダクタ、17:ドライバIC、18、19:端子、20〜27:配線
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層構造により実現される磁性体内部に2つのコイルを形成した積層型チップインダクタとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の積層型チップインダクタにおいて、内部に2つのコイルを有するものでは、プリント基板へ半田付けなどにより実装を行うための端子は、図9、図10に示すように、内部に2つのコイル31、32を有する積層体30の側面(短手方向の両端面となる面)にそれぞれ2個ずつ端子33〜36を設け、これらの端子33〜36を、プリント基板8上の導体パターン37、38に半田13により接続、固定することが一般的に行われる。このような構造をとるものとして例えば特許文献1に記載のものがある。ただし特許文献1に記載のものは、コモンモードチョークコイルに関するものであって、積層体30の両端面にも端子(図示せず)が形成されている。
【0003】
また、別の公知例として、特許文献2では、積層体の4隅を使用して2回路分の入出力端子を形成したものが開示されている。
【0004】
さらに他の公知例として、特許文献3には、積層体の端面に端子を設けるのみならず、側面、上下面を周回する構造で入出力端子を設けたものが開示されている。上記従来の積層体の端子構造はいずれも端子を後付けする構造である。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−138938号公報
【特許文献2】
実公昭60−31243号公報
【特許文献3】
特開平11−16769号公報。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図9、図10に示され、かつ特許文献1に記載のように、積層体30の両側面に端子電極33〜36を設けた構造では、側面のみの半田フィレットで接着強度を保持するため、図11に示すように、1つのコイル41を内蔵した積層体40の両端面に端子電極42、43を設ける構造に比較して、接着強度が弱くなるという問題点がある。特に例えば1005タイプ(縦1mm、横0.5mm、高さ0.5mm)のチップインダクタように、小型のチップインダクタ内に2つのコイルを形成した場合には、接着強度が小さくなる上、端子33〜36の形成が困難になる。
【0007】
また、特許文献1〜3のいずれの構造においても、図11に示したような一般的な積層型電子部品と端子構造が相違するため、特殊な設備や治工具が必要となり、工程の標準化ができず、コスト高を招くという問題点がある。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑み、2個のコイルを内蔵する積層型チップインダクタにおいて、端面に端子を有する従来型と同等以上のプリント基板への接着強度が得られる構造のものとその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、特殊な設備や治工具を要せず、従来の積層工程を使用して製造でき、しかも前記接着強度が得られる積層型チップインダクタとその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明の積層型チップインダクタは、コイル用導体と磁性体とを積層して積層体を構成し、該積層体の内部に2つのコイルを横並びに形成したほぼ直方体状をなす積層型チップインダクタであって、
前記積層体の両端面にそれぞれ外部接続用の端面端子を設けると共に、前記積層体の底面に外部接続用の2つの底面端子を設け、
前記積層体内の2つのコイルのうち、一方のコイルの一端は一方の端面端子に接続し、該一方のコイルの他端を一方の底面端子に接続し、
他方のコイルの一端は他方の端面端子に接続し、該他方のコイルの他端を他方の底面端子に接続した
ことを特徴とする。
【0010】
(2)また、本発明の積層型チップインダクタは、前記(1)において、
前記底面端子は、積層体の積層工程において形成された導体膜により基地層が形成されていることを特徴とする積層型チップインダクタ。
【0011】
(3)本発明の積層型チップインダクタの製造方法は、前記(1)または(2)に記載の積層型チップインダクタを製造する方法であって、
片面にフィルムを有する磁性体グリーンシートを形成する工程と、
該磁性体グリーンシート形成後に、該磁性体グリーンシートにレーザ光を照射して磁性体グリーンシートにスルーホールを形成する工程と、
該スルーホールを形成した後に該スルーホールに導体ペーストが充填されるように磁性体グリーンシート上にコイル用導体を形成する工程と、
前記コイル用導体形成工程後に、磁性体グリーンシートのフィルム側を上に向けて下側の磁性体グリーンシートに積み重ねて圧着することにより、下側の磁性体グリーンシートのスルーホールを介して下側の磁性体グリーンシートの前記コイル用導体と上側の磁性体グリーンシートのコイル用導体とを接続する工程を含み、
最初に、底面端子となる導体パターンを有する磁性体グリーンシートを積層用基台上に置き、その後、前記コイル用導体を形成した磁性体グリーンシートを所定枚数積層し、圧着した後、チップ単位に切断し、焼成後に積層体の長手方向の両端部に端面端子を形成する
ことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は本発明による積層型チップインダクタの一実施の形態を示す透視図、図2はそのプリント基板への取付け状態を示す斜視図である。この積層型チップインダクタは、通常チップビーズと称されるものである。図1において、1は内部に2個のコイル2、3を形成した磁性体からなる積層体、4、5は積層体1の長手方向の両端に設けられた端面端子、6、7は積層体1の底面、すなわち図2に示すプリント基板8への取付け面に設けられた底面端子である。前記コイル2、3のうち、一方のコイル2の一端は、一方の端面端子4に接続され、他端は、前記端面端子4に近い方の一方の底面端子6に接続される。また、他方のコイル3の一端は、他方の端面端子5に接続され、他端は、前記端面端子5に近い方の他方の底面端子7に接続される。
【0013】
このチップインダクタは、図2に示すようにプリント基板8上に半田付けされる。すなわちプリント基板8には、端面端子対応のパッド9、10が形成され、両パッド9、10間に底面端子対応のパッド11、12が形成される。そしてこれらのパッド9、10、11、12に端面端子4、5および底面端子6、7を載せた構造で半田(導電性接着剤でもよい)13により接続し固定する。
【0014】
図3は本実施の形態のチップインダクタの1個分の層構造図、図4はグリーンシートの積層によりこのチップインダクタを製造する場合の積層構造を示す図である。図3および図4において、1a〜1kは前記積層体1となる基体を構成する磁性体グリーンシートであり、この磁性体グリーンシートは、磁性粉末と、バインダーとなる樹脂と、溶剤とを混合してペースト状にし、これをドクターブレード法等によりシート化したものである。なお、本実施の形態においては、磁性粉末として、Ni−Cu−Zn系フェライトを用いたが、Ni−Cu−Zn−Mg系フェライトや、Ni−Cu系フェライトを用いることができる。また、磁性金属粉末あるいは磁性金属粒子を絶縁膜により覆ったものを用いることもできる。
【0015】
2a〜2h、3a〜3hはそれぞれ前記コイル2、3を構成するコイル用導体であり、前記磁性体グリーンシート1c〜1j上に銀ペースト等の導体粉末混合導体ペーストを印刷する等により形成される。図中、2h、3hはコイル用導体のみならず、引き出し用導体を兼ね、これらの導体2h、3hは互いに反対側に向けて引き出される。
【0016】
6a、7aはそれぞれ前記導体ペーストの印刷等により形成された底面端子用導体である。14(15)は前記底面端子用導体6a(7a)やコイル用導体2a〜2h(3a〜3h)の端部を接続するスルーホールである。なお、本実施の形態においては、スルーホール14、15の形成は、レーザー加工により行った。
【0017】
このグリーンシートの積層は下記のように行った。まず底面端子6、7となる導体6a、7aを形成した磁性体グリーンシート1aを、積層用基台(図示せず)上に、導体6a、7aを下側にし、導体6a、7a形成面の反対側に被着したフィルムを剥離して載置した。この導体6a、7aは、磁性体グリーンシート1aに形成したスルーホール14、15に導体ペーストとして充填されると同時に、導体6a、7aを片面に形成したものである。
【0018】
次にこのグリーンシート1a上に、導体ペーストを充填したスルーホール14、15を有する磁性体グリーンシート1bを、前記同様にフィルムを剥離して1枚以上重ねた。
【0019】
次に、ほぼ1/2ターン分のコイル用導体2a、3aを導体ペーストの印刷により形成し、かつスルーホール14、15に導体ペーストを充填した磁性体グリーンシート1cを、各コイル用導体2a、3aの形成面が下側となり、かつ上側のフィルムを剥離して、コイル用導体2a、3aの一端が、前記磁性体グリーンシート1bのスルーホール14、15に重なるようにして積層した。
【0020】
このようにして引き出し用導体を兼ねたコイル用導体2h、3hを形成した磁性体グリーンシート1jまで積層した後、最後に、チップインダクタの積層方向の厚みを維持するため、コイル用導体を形成しない磁性体グリーンシート1kを1枚以上積層した。さらに、チップの搭載方向を示すマークを形成してもよい。
【0021】
このようにして積層したものを、図5に示すように圧着し、この圧着したものを、焼成後の寸法が前述の1005タイプとなるように単体に切断した。その後、870℃で焼成した。この焼成後の状態を図6に示す。
【0022】
その後、単体の両端面に銀ペーストを塗布して焼付けし、続いて端面端子4、5と底面端子6、7にバレルめっきにより半田付けのためのメッキを行った。この半田付けは、銅とニッケルと錫、ニッケルと錫、ニッケルと金、ニッケルとパラジウムと金、ニッケルとパラジウムと銀、あるいはニッケルと銀等で行うことが好ましい。
【0023】
このチップインダクタの実装構造では、積層体1の両端の端面端子4、5を半田付けする構造とした上、底面端子6、7も底面で半田付けする構造としたので、大きな接着強度が得られる。
【0024】
また、底面端子6、7は、積層工程により形成したものを用いたので、端子形成のための設備や、治工具を用いる必要がないので、製造コストを低減することができる。
【0025】
図7、図8は本発明によるチップインダクタ16の配置例を示す図であり、図7の例は、ドライバIC17の対をなす端子18、19に配線20、21を介してそれぞれ前記各チップインダクタ16の底面端子6、7を接続し、配線22、23を介してそれぞれ端面端子4、5を不図示の他の回路に接続した例である。
【0026】
図8の例は、ドライバIC17の対をなす端子18、19のうち、一方の端子18は配線24を介してチップインダクタ16の一方の端面端子4に接続し、他方の端子19は配線25を介してチップインダクタ16の一方の底面端子7に接続し、不図示の他の回路につながる配線26、27をそれぞれ他方の底面端子6と他方の端面端子7に接続した例である。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、積層体に内蔵する2つのコイルの各一端をそれぞれ接続する積層体両端面の端面端子と、各コイルの他端をそれぞれ接続する2つの底面端子とを有し、端面端子と底面端子とをプリント基板に半田付けする構造としたので、大きな接着強度が得られる。
【0028】
また、底面端子は、積層工程により形成したものを用いたので、端子形成のための設備や、治工具を用いる必要がないので、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による積層型チップインダクタの一実施の形態を示す透視斜視図である。
【図2】本実施の形態のプリント基板への実装構造を示す斜視図である。
【図3】本実施の形態のチップインダクタの1個分の層構造を示す斜視図である。
【図4】本実施の形態のチップインダクタのグリーンシートの積層構造を示す斜視図である。
【図5】図4のグリーンシートの積層後の状態を示す斜視図である。
【図6】本実施の形態のチップ単位に切断した後の状態を示す透視図である。
【図7】本実施の形態のチップインダクタのプリント基板への配置の一例を示す平面図である。
【図8】本実施の形態のチップインダクタのプリント基板への配置の他の例を示す平面図である。
【図9】従来のチップインダクタのプリント基板への実装構造を示す斜視図である。
【図10】図9のチップインダクタの透視斜視図である。
【図11】従来のチップインダクタの他の例を示す透視斜視図である。
【符号の説明】
1:積層体、1a〜1k:磁性体グリーンシート、2a〜2h、3a〜3h:コイル用導体、4、5:端面端子、6、7:底面端子、6a、7a:底面端子用導体、8:プリント基板、9〜12:パッド、13:半田、14、15:スルーホール、16;チップインダクタ、17:ドライバIC、18、19:端子、20〜27:配線
Claims (3)
- コイル用導体と磁性体とを積層して積層体を構成し、該積層体の内部に2つのコイルを横並びに形成したほぼ直方体状をなす積層型チップインダクタであって、
前記積層体の両端面にそれぞれ外部接続用の端面端子を設けると共に、前記積層体の底面に外部接続用の2つの底面端子を設け、
前記積層体内の2つのコイルのうち、一方のコイルの一端は一方の端面端子に接続し、該一方のコイルの他端を一方の底面端子に接続し、
他方のコイルの一端は他方の端面端子に接続し、該他方のコイルの他端を他方の底面端子に接続した
ことを特徴とする積層型チップインダクタ。 - 請求項1に記載の積層型チップインダクタにおいて、
前記底面端子は、積層体の積層工程において形成された導体膜により基地層が形成されていることを特徴とする積層型チップインダクタ。 - 請求項1または2に記載の積層型チップインダクタを製造する方法であって、
片面にフィルムを有する磁性体グリーンシートを形成する工程と、
該磁性体グリーンシート形成後に、該磁性体グリーンシートにレーザ光を照射して磁性体グリーンシートにスルーホールを形成する工程と、
該スルーホールを形成した後に該スルーホールに導体ペーストが充填されるように磁性体グリーンシート上にコイル用導体を形成する工程と、
前記コイル用導体形成工程後に、磁性体グリーンシートのフィルム側を上に向けて下側の磁性体グリーンシートに積み重ねて圧着することにより、下側の磁性体グリーンシートのスルーホールを介して下側の磁性体グリーンシートの前記コイル用導体と上側の磁性体グリーンシートのコイル用導体とを接続する工程を含み、
最初に、底面端子となる導体パターンを有する磁性体グリーンシートを積層用基台上に置き、その後、前記コイル用導体を形成した磁性体グリーンシートを所定枚数積層し、圧着した後、チップ単位に切断し、焼成後に積層体の長手方向の両端部に端面端子を形成する
ことを特徴とする積層型チップインダクタの製造方法。
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