JP2005002525A - 繊維構造物の加工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】着色繊維構造物に対してカチオン化剤を付着させた後、被膜形成性樹脂及び無機微粒子を含有する処理液で処理し、上記繊維構造物の表面に被膜形成性樹脂及び無機微粒子を含有する被膜を形成させることを特徴とする繊維構造物の加工方法。
【効果】本発明によれば、特定の染色方法に限定されずに、中濃色から濃色までの広範囲な色相領域で高い深色効果を得ることができる。
【選択図】 なし
【効果】本発明によれば、特定の染色方法に限定されずに、中濃色から濃色までの広範囲な色相領域で高い深色効果を得ることができる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、着色された繊維構造物の色をより深味のある色に仕上げる濃色化加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、染色等により着色された繊維構造物の色を一段と深味のある色にするため、繊維構造物表面の粗面化や繊維構造物表面で低屈折率性樹脂を被膜化する等により、繊維構造物の表面反射率を低減させ、濃色化する方法が種々提案されている。例えば、繊維製品の表面にメチルハイドロジェンポリシロキサンを含む加工剤を付着させた後、該表面を低温プラズマ処理する方法(特許文献1:特開平2−74685号公報参照)や、シリカ微粒子を繊維の表面に付着させ、低温プラズマ処理する方法(特許文献2:特開平2−259160号公報参照)が提案されている。また、シリコーン化合物とシリカ、アルミナ等の無機微粒子とを含む被膜を繊維構造物の表面に形成することにより濃色度を改善する方法も提案されている(特許文献3〜5:特開平9−176960号公報、特公平7−3032号公報、特開昭61−83375号公報参照)。更に、深色効果の持続性を向上させるために、前処理として、布帛表面にポリエポキシド化合物を付着させ、次いで、エポキシ基と反応し得るアミノ基を有するシリカ微粒子を付着させたり、アミノ変性シリコーン樹脂とシリカ微粒子とを含む被膜で被覆する方法も提案されている(特許文献6:特開平3−269171号公報、特許文献7:特開平4−214482号公報参照)。
【0003】
上記以外にも、シリカ微粒子とビニル重合体とを含む被膜を繊維表面に形成させる方法(特許文献8:特公昭57−53475号公報参照)、屈折率が1.50以下の被膜を形成する方法(特許文献9:特公昭61−35309号公報参照)、含フッ素ポリマーを用いる方法(特許文献10:特公平1−24918号公報参照)、屈折率が1.55以下のポリウレタンを含有する薄膜を形成する方法(特許文献11:特開平1−11868号公報参照)、ポリウレタン界面活性剤、エポキシ基含有重合体、フッ素系重合体及びシリコーン化合物を含む被膜を形成する方法(特許文献12:特開2002−285475号公報参照)、フッ素系樹脂やシリコーン系樹脂を使用する方法(特許文献13:特許第3079766号公報参照)、染色前にプラズマ放電処理及び特定の有機溶剤で処理する方法(特許文献14:特公平4−28834号公報参照)等が提案されている。
以上のような加工剤による濃色化は、生産効率が良く、繊維製品の強力低下や堅牢度低下も小さいため種々行われているが、十分な濃色効果が得られていないのが現状であった。
【0004】
【特許文献1】
特開平2−74685号公報
【特許文献2】
特開平2−259160号公報
【特許文献3】
特開平9−176960号公報
【特許文献4】
特公平7−3032号公報
【特許文献5】
特開昭61−83375号公報
【特許文献6】
特開平3−269171号公報
【特許文献7】
特開平4−214482号公報
【特許文献8】
特公昭57−53475号公報
【特許文献9】
特公昭61−35309号公報
【特許文献10】
特公平1−24918号公報
【特許文献11】
特開平1−11868号公報
【特許文献12】
特開2002−285475号公報
【特許文献13】
特許第3079766号公報
【特許文献14】
特公平4−28834号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、中濃色から濃色までの広範囲な領域で高い濃染効果が得られる繊維構造物の加工方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った。そして、染料等により着色された繊維構造物の表面にシリコーン系樹脂等の低屈折率の樹脂被膜を形成すると共に、シリカ等の微粒子により該表面に凹凸を形成することで濃色効果が得られるという知見に基づき更に検討した結果、被膜を形成するに際し、前処理として、カチオン化剤を繊維表面に付着させ、次いで、シリコーン系等の樹脂とアニオン性のシリカ微粒子等の無機微粒子とを付着させることによって高い濃色効果が得られることを見出し、本発明をなすに至った。
【0007】
即ち、本発明は、下記の繊維構造物の加工方法を提供する。
[1]着色繊維構造物に対してカチオン化剤を付着させた後、被膜形成性樹脂及び無機微粒子を含有する処理液で処理し、上記繊維構造物の表面に被膜形成性樹脂及び無機微粒子を含有する被膜を形成させることを特徴とする繊維構造物の加工方法。
[2]カチオン化剤がアリルアミン系重合物及び/又はジアリルアミン系重合物であることを特徴とする[1]記載の加工方法。
[3]被膜形成性樹脂がシリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂及びフッ素系樹脂から選ばれることを特徴とする[1]又は[2]記載の加工方法。
[4]無機微粒子がコロイダルシリカ、オルガノシリケート及びアルミナから選ばれることを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか1項記載の加工方法。
【0008】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
本発明の加工方法は着色繊維構造物をカチオン化処理し、被膜形成性樹脂及び無機微粒子を含有する処理液で処理するものである。
【0009】
ここで、本発明における着色繊維構造物とは、染料や顔料等により着色された繊維構造物、繊維製造時に顔料等を混入させて得られる原着(原液着色)繊維を用いた繊維構造物等、任意の方法によって得られる着色された繊維構造物をいう。また、本発明で用いられる繊維構造物の形態としては特に制限されず、例えば、綿、糸、織編物、不織布等及びこれらの縫製品などが挙げられる。これら繊維構造物に使用される繊維も特に限定されず、木綿、麻、羊毛、絹等の天然繊維、レーヨン、キュプラ、ポリノジック、高強度再生セルロース繊維(例えば、商品名テンセル)等の再生繊維、アセテート等の半再生繊維、ナイロン、ポリエステル、アクリル等の化学合成繊維等の繊維を挙げることができ、これらは単独で又は2種以上を混用した混紡、交織繊維等として用いることができる。
【0010】
本発明では、これらの中でも綿等の天然繊維、レーヨン等の再生セルロース繊維等のセルロース系繊維を用いるのが好ましく、特に綿等の天然繊維が好ましく、更に好ましくは綿を35質量%以上、特に50質量%以上用いたものが優れた吸湿性、吸水性、風合の点から望ましい。
【0011】
本発明の加工方法は、上記着色繊維構造物に対して、まず、カチオン化処理を行う。
【0012】
本発明で用いられるカチオン化剤としては、例えば、ジメチルアミン・エピクロルヒドリン重合物、モノアリルアミン塩酸塩重合物、ジアリルアミン塩酸塩重合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級化物の重合物、ジアリルアミン塩酸塩・二酸化硫黄共重合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド・二酸化硫黄共重合物、モノアリルアミン塩酸塩・ジアリルアミン塩酸塩共重合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド・エピクロルヒドリンジアリルアンモニウムクロライド共重合物等を好ましく用いることができるが、アリルアミン系重合物及びジアリルアミン系重合物を特に好ましく用いることができる。
【0013】
以下にこれらをより具体的に示す。
(1)ジメチルアミン・エピクロルヒドリン重合物
【化1】
【0014】
(2)モノアリルアミン塩酸塩重合物
【化2】
【0015】
(3)ジアリルアミン塩酸塩重合物
【化3】
【0016】
(4)ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物
【化4】
【0017】
(5)ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級化物の重合物
【化5】
(Rは水素原子又はメチル基、R1、R2、R3はアルキル基、X−は陰イオン。)
【0018】
(6)ジアリルアミン塩酸塩・二酸化硫黄共重合物
【化6】
【0019】
(7)ジメチルジアリルアンモニウムクロライド・二酸化硫黄共重合物
【化7】
【0020】
(8)モノアリルアミン塩酸塩・ジアリルアミン塩酸塩共重合物
【化8】
(k,mは正数。)
【0021】
(9)ジメチルジアリルアンモニウムクロライド・エピクロルヒドリンジアリルアンモニウムクロライド共重合物
【化9】
(k,mは正数。)
【0022】
上記カチオン化剤の重量平均分子量は約1,000〜70,000、特に5,000〜40,000であることが好ましく、濃度10〜60質量%の水溶液又は固体状のものを用いることができる。
【0023】
上記カチオン化剤の繊維構造物に対する付着量は、0.3〜3.0質量%、好ましくは0.5〜2.0質量%である。この場合、付着量が少なすぎると濃色化が不十分になる場合があり、多すぎると繊維構造物の吸水性が阻害される場合がある。
【0024】
カチオン化処理の方法としては、テンターを用いたパッド/ドライ法、液流染色機やドラム染色機を用いる方法等により行うことができるが、経済性の点からパッド/ドライ法を好ましく採用することができる。この場合、絞り率は繊維構造物に対するカチオン化剤の付着量が上述した範囲になるように適宜選択される。また、ドライは80〜130℃で1〜4分程度であることが好ましい。
【0025】
次に、カチオン化処理を行った繊維構造物に対して、被膜形成性樹脂及び無機微粒子を含有する処理液で処理する。
【0026】
ここで、被膜形成性の合成樹脂としては、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。シリコーン系樹脂としては、例えば、両末端OH基含有ジメチルポリシロキサンと両末端Si−H基含有ジメチルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンとを含有する反応型シリコーン樹脂等が好ましく用いられ、ウレタン系樹脂としては、ポリエーテル系ウレタン樹脂等が好適に使用できる。また、フッ素系樹脂としては、パーフルオロアルキル系フッ素樹脂等が好ましく使用できる。
【0027】
一方、無機微粒子としては、例えば、コロイダルシリカ、アルミナ、メチルシリケート、エチルシリケート、n−プロピルシリケート、n−ブチルシリケート、sec−ブチルシリケート、t−ブチルシリケート等のオルガノシリケート等が挙げられ、中でもコロイダルシリカが好ましく用いられる。無機微粒子の形状は、棒状、針状、羽毛状、粒状等のいずれであってもよく、その平均粒子径は5〜100nm、特に10〜30nmであるものが経済性及び濃色化効果の点から好ましく用いられる。
【0028】
ここで、合成樹脂と無機微粒子の使用割合は、質量比で10:1〜1:1、特に4:1〜2:1の水分散液として使用するのが好ましく、いずれの使用量が多すぎても使用量に見合う濃色化効果が得られず、経済的でなくなり、少なすぎても濃色化効果が乏しくなる場合があり好ましくない。
【0029】
また、上記合成樹脂と無機微粒子の繊維構造物に対する総付着量は、好ましくは1〜10質量%、特に好ましくは3〜7質量%である。付着量が多すぎると吸水性が阻害される場合があり、少なすぎると濃色化効果が乏しくなる場合がある。
【0030】
本発明で使用される上記処理液には、任意成分として、帯電防止剤、浸透剤、消泡剤、架橋剤、機能性薬剤等を本発明の目的を妨げない範囲で添加することができる。
【0031】
上記処理液を繊維構造物に付着させる方法は特に限定されず、例えば、パッド/ドライ法、液流染色機、ドラム染色機を用いた浸漬法により行い、乾燥する方法を挙げることができ、これらの中でも、パッド/ドライ法がコスト面から好ましく採用することができる。
【0032】
この場合、絞り率は最終的に繊維構造物に付着させる合成樹脂と無機微粒子の量によって適宜選択され、繊維構造物に対する付着量が上述した範囲になるように調整される。
【0033】
また、被膜形成性樹脂を加熱硬化させて被膜を形成させる場合、加熱時間及び加熱温度は使用される樹脂により適宜選定されるが、例えば、反応型シリコーン樹脂のポロンMF−23(信越シリコーン(株)製)を使用する場合、加熱硬化温度は通常100〜180℃程度であり、加熱時間は繊維構造物の特性を劣化させない範囲で任意とすることができる。
【0034】
本発明の加工方法により得られる繊維構造物は、堅牢度等の低下もなく、高い濃色効果を有するため、商品価値を大きく向上させることができるものである。
【0035】
【実施例】
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0036】
[実施例1]
綿100%の50番手平織物(経糸密度148本/インチ、緯糸密度80本/インチ)を常法により漂白し、20質量%NaOH水溶液を用いてシルケット処理した後、レマゾールブラックKN(ダイスター(株)製)の12質量%水溶液を用い、アルカリパッド/スチーム法により染色を行った。染色後は常法により水洗、ソーピング及び乾燥を行った。
【0037】
染色した織物について、下記構造式で表される重量平均分子量40,000のジアリルアミン系重合物(商品名:ダンフィックスT2,日東紡績(株)製)2質量%水溶液をテンターで絞り率60%でパッド処理し、120℃で60秒間乾燥してカチオン化処理を行った。
【化10】
【0038】
次に、反応型シリコーン樹脂(商品名:ポロンMF−23、信越シリコーン(株)製)60g/L及びコロイダルシリカ分散液(商品名:スノーテックスC、日産化学工業(株)製)30g/Lを含有する水分散液をテンターを用いて絞り率60%でパッド処理し、120℃で60秒乾燥した。得られた織物について、下記方法に従って濃色効果を評価した。結果を表1に示す。
【0039】
濃色効果の評価
カラーアイ7000(マクベス社製)を用い、反射率を測定し、下記に示すクベルカ・ムンク(Kuberka−Munk)の式:
K/S=(R−1)2/2R
(式中、Kは吸収係数、Sは散乱係数、Rは反射率を表す。)
を用いて波長400〜700nmにおけるK/S値を算出した。この値が大きい程濃色効果が高いことを示す。
【0040】
[比較例1]
実施例1と同様の織物を用い、水通しした後、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0041】
[比較例2]
カチオン化処理を行わない以外は実施例1と同様に処理し、同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0042】
[比較例3]
コロイダルシリカ分散液を用いない以外は実施例1と同様に処理し、同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0043】
[比較例4]
反応型シリコーン樹脂を用いない以外は実施例1と同様に処理し、同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、特定の染色方法に限定されずに、中濃色から濃色までの広範囲な色相領域で高い深色効果を得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、着色された繊維構造物の色をより深味のある色に仕上げる濃色化加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、染色等により着色された繊維構造物の色を一段と深味のある色にするため、繊維構造物表面の粗面化や繊維構造物表面で低屈折率性樹脂を被膜化する等により、繊維構造物の表面反射率を低減させ、濃色化する方法が種々提案されている。例えば、繊維製品の表面にメチルハイドロジェンポリシロキサンを含む加工剤を付着させた後、該表面を低温プラズマ処理する方法(特許文献1:特開平2−74685号公報参照)や、シリカ微粒子を繊維の表面に付着させ、低温プラズマ処理する方法(特許文献2:特開平2−259160号公報参照)が提案されている。また、シリコーン化合物とシリカ、アルミナ等の無機微粒子とを含む被膜を繊維構造物の表面に形成することにより濃色度を改善する方法も提案されている(特許文献3〜5:特開平9−176960号公報、特公平7−3032号公報、特開昭61−83375号公報参照)。更に、深色効果の持続性を向上させるために、前処理として、布帛表面にポリエポキシド化合物を付着させ、次いで、エポキシ基と反応し得るアミノ基を有するシリカ微粒子を付着させたり、アミノ変性シリコーン樹脂とシリカ微粒子とを含む被膜で被覆する方法も提案されている(特許文献6:特開平3−269171号公報、特許文献7:特開平4−214482号公報参照)。
【0003】
上記以外にも、シリカ微粒子とビニル重合体とを含む被膜を繊維表面に形成させる方法(特許文献8:特公昭57−53475号公報参照)、屈折率が1.50以下の被膜を形成する方法(特許文献9:特公昭61−35309号公報参照)、含フッ素ポリマーを用いる方法(特許文献10:特公平1−24918号公報参照)、屈折率が1.55以下のポリウレタンを含有する薄膜を形成する方法(特許文献11:特開平1−11868号公報参照)、ポリウレタン界面活性剤、エポキシ基含有重合体、フッ素系重合体及びシリコーン化合物を含む被膜を形成する方法(特許文献12:特開2002−285475号公報参照)、フッ素系樹脂やシリコーン系樹脂を使用する方法(特許文献13:特許第3079766号公報参照)、染色前にプラズマ放電処理及び特定の有機溶剤で処理する方法(特許文献14:特公平4−28834号公報参照)等が提案されている。
以上のような加工剤による濃色化は、生産効率が良く、繊維製品の強力低下や堅牢度低下も小さいため種々行われているが、十分な濃色効果が得られていないのが現状であった。
【0004】
【特許文献1】
特開平2−74685号公報
【特許文献2】
特開平2−259160号公報
【特許文献3】
特開平9−176960号公報
【特許文献4】
特公平7−3032号公報
【特許文献5】
特開昭61−83375号公報
【特許文献6】
特開平3−269171号公報
【特許文献7】
特開平4−214482号公報
【特許文献8】
特公昭57−53475号公報
【特許文献9】
特公昭61−35309号公報
【特許文献10】
特公平1−24918号公報
【特許文献11】
特開平1−11868号公報
【特許文献12】
特開2002−285475号公報
【特許文献13】
特許第3079766号公報
【特許文献14】
特公平4−28834号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、中濃色から濃色までの広範囲な領域で高い濃染効果が得られる繊維構造物の加工方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った。そして、染料等により着色された繊維構造物の表面にシリコーン系樹脂等の低屈折率の樹脂被膜を形成すると共に、シリカ等の微粒子により該表面に凹凸を形成することで濃色効果が得られるという知見に基づき更に検討した結果、被膜を形成するに際し、前処理として、カチオン化剤を繊維表面に付着させ、次いで、シリコーン系等の樹脂とアニオン性のシリカ微粒子等の無機微粒子とを付着させることによって高い濃色効果が得られることを見出し、本発明をなすに至った。
【0007】
即ち、本発明は、下記の繊維構造物の加工方法を提供する。
[1]着色繊維構造物に対してカチオン化剤を付着させた後、被膜形成性樹脂及び無機微粒子を含有する処理液で処理し、上記繊維構造物の表面に被膜形成性樹脂及び無機微粒子を含有する被膜を形成させることを特徴とする繊維構造物の加工方法。
[2]カチオン化剤がアリルアミン系重合物及び/又はジアリルアミン系重合物であることを特徴とする[1]記載の加工方法。
[3]被膜形成性樹脂がシリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂及びフッ素系樹脂から選ばれることを特徴とする[1]又は[2]記載の加工方法。
[4]無機微粒子がコロイダルシリカ、オルガノシリケート及びアルミナから選ばれることを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか1項記載の加工方法。
【0008】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
本発明の加工方法は着色繊維構造物をカチオン化処理し、被膜形成性樹脂及び無機微粒子を含有する処理液で処理するものである。
【0009】
ここで、本発明における着色繊維構造物とは、染料や顔料等により着色された繊維構造物、繊維製造時に顔料等を混入させて得られる原着(原液着色)繊維を用いた繊維構造物等、任意の方法によって得られる着色された繊維構造物をいう。また、本発明で用いられる繊維構造物の形態としては特に制限されず、例えば、綿、糸、織編物、不織布等及びこれらの縫製品などが挙げられる。これら繊維構造物に使用される繊維も特に限定されず、木綿、麻、羊毛、絹等の天然繊維、レーヨン、キュプラ、ポリノジック、高強度再生セルロース繊維(例えば、商品名テンセル)等の再生繊維、アセテート等の半再生繊維、ナイロン、ポリエステル、アクリル等の化学合成繊維等の繊維を挙げることができ、これらは単独で又は2種以上を混用した混紡、交織繊維等として用いることができる。
【0010】
本発明では、これらの中でも綿等の天然繊維、レーヨン等の再生セルロース繊維等のセルロース系繊維を用いるのが好ましく、特に綿等の天然繊維が好ましく、更に好ましくは綿を35質量%以上、特に50質量%以上用いたものが優れた吸湿性、吸水性、風合の点から望ましい。
【0011】
本発明の加工方法は、上記着色繊維構造物に対して、まず、カチオン化処理を行う。
【0012】
本発明で用いられるカチオン化剤としては、例えば、ジメチルアミン・エピクロルヒドリン重合物、モノアリルアミン塩酸塩重合物、ジアリルアミン塩酸塩重合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級化物の重合物、ジアリルアミン塩酸塩・二酸化硫黄共重合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド・二酸化硫黄共重合物、モノアリルアミン塩酸塩・ジアリルアミン塩酸塩共重合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド・エピクロルヒドリンジアリルアンモニウムクロライド共重合物等を好ましく用いることができるが、アリルアミン系重合物及びジアリルアミン系重合物を特に好ましく用いることができる。
【0013】
以下にこれらをより具体的に示す。
(1)ジメチルアミン・エピクロルヒドリン重合物
【化1】
【0014】
(2)モノアリルアミン塩酸塩重合物
【化2】
【0015】
(3)ジアリルアミン塩酸塩重合物
【化3】
【0016】
(4)ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物
【化4】
【0017】
(5)ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級化物の重合物
【化5】
(Rは水素原子又はメチル基、R1、R2、R3はアルキル基、X−は陰イオン。)
【0018】
(6)ジアリルアミン塩酸塩・二酸化硫黄共重合物
【化6】
【0019】
(7)ジメチルジアリルアンモニウムクロライド・二酸化硫黄共重合物
【化7】
【0020】
(8)モノアリルアミン塩酸塩・ジアリルアミン塩酸塩共重合物
【化8】
(k,mは正数。)
【0021】
(9)ジメチルジアリルアンモニウムクロライド・エピクロルヒドリンジアリルアンモニウムクロライド共重合物
【化9】
(k,mは正数。)
【0022】
上記カチオン化剤の重量平均分子量は約1,000〜70,000、特に5,000〜40,000であることが好ましく、濃度10〜60質量%の水溶液又は固体状のものを用いることができる。
【0023】
上記カチオン化剤の繊維構造物に対する付着量は、0.3〜3.0質量%、好ましくは0.5〜2.0質量%である。この場合、付着量が少なすぎると濃色化が不十分になる場合があり、多すぎると繊維構造物の吸水性が阻害される場合がある。
【0024】
カチオン化処理の方法としては、テンターを用いたパッド/ドライ法、液流染色機やドラム染色機を用いる方法等により行うことができるが、経済性の点からパッド/ドライ法を好ましく採用することができる。この場合、絞り率は繊維構造物に対するカチオン化剤の付着量が上述した範囲になるように適宜選択される。また、ドライは80〜130℃で1〜4分程度であることが好ましい。
【0025】
次に、カチオン化処理を行った繊維構造物に対して、被膜形成性樹脂及び無機微粒子を含有する処理液で処理する。
【0026】
ここで、被膜形成性の合成樹脂としては、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。シリコーン系樹脂としては、例えば、両末端OH基含有ジメチルポリシロキサンと両末端Si−H基含有ジメチルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンとを含有する反応型シリコーン樹脂等が好ましく用いられ、ウレタン系樹脂としては、ポリエーテル系ウレタン樹脂等が好適に使用できる。また、フッ素系樹脂としては、パーフルオロアルキル系フッ素樹脂等が好ましく使用できる。
【0027】
一方、無機微粒子としては、例えば、コロイダルシリカ、アルミナ、メチルシリケート、エチルシリケート、n−プロピルシリケート、n−ブチルシリケート、sec−ブチルシリケート、t−ブチルシリケート等のオルガノシリケート等が挙げられ、中でもコロイダルシリカが好ましく用いられる。無機微粒子の形状は、棒状、針状、羽毛状、粒状等のいずれであってもよく、その平均粒子径は5〜100nm、特に10〜30nmであるものが経済性及び濃色化効果の点から好ましく用いられる。
【0028】
ここで、合成樹脂と無機微粒子の使用割合は、質量比で10:1〜1:1、特に4:1〜2:1の水分散液として使用するのが好ましく、いずれの使用量が多すぎても使用量に見合う濃色化効果が得られず、経済的でなくなり、少なすぎても濃色化効果が乏しくなる場合があり好ましくない。
【0029】
また、上記合成樹脂と無機微粒子の繊維構造物に対する総付着量は、好ましくは1〜10質量%、特に好ましくは3〜7質量%である。付着量が多すぎると吸水性が阻害される場合があり、少なすぎると濃色化効果が乏しくなる場合がある。
【0030】
本発明で使用される上記処理液には、任意成分として、帯電防止剤、浸透剤、消泡剤、架橋剤、機能性薬剤等を本発明の目的を妨げない範囲で添加することができる。
【0031】
上記処理液を繊維構造物に付着させる方法は特に限定されず、例えば、パッド/ドライ法、液流染色機、ドラム染色機を用いた浸漬法により行い、乾燥する方法を挙げることができ、これらの中でも、パッド/ドライ法がコスト面から好ましく採用することができる。
【0032】
この場合、絞り率は最終的に繊維構造物に付着させる合成樹脂と無機微粒子の量によって適宜選択され、繊維構造物に対する付着量が上述した範囲になるように調整される。
【0033】
また、被膜形成性樹脂を加熱硬化させて被膜を形成させる場合、加熱時間及び加熱温度は使用される樹脂により適宜選定されるが、例えば、反応型シリコーン樹脂のポロンMF−23(信越シリコーン(株)製)を使用する場合、加熱硬化温度は通常100〜180℃程度であり、加熱時間は繊維構造物の特性を劣化させない範囲で任意とすることができる。
【0034】
本発明の加工方法により得られる繊維構造物は、堅牢度等の低下もなく、高い濃色効果を有するため、商品価値を大きく向上させることができるものである。
【0035】
【実施例】
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0036】
[実施例1]
綿100%の50番手平織物(経糸密度148本/インチ、緯糸密度80本/インチ)を常法により漂白し、20質量%NaOH水溶液を用いてシルケット処理した後、レマゾールブラックKN(ダイスター(株)製)の12質量%水溶液を用い、アルカリパッド/スチーム法により染色を行った。染色後は常法により水洗、ソーピング及び乾燥を行った。
【0037】
染色した織物について、下記構造式で表される重量平均分子量40,000のジアリルアミン系重合物(商品名:ダンフィックスT2,日東紡績(株)製)2質量%水溶液をテンターで絞り率60%でパッド処理し、120℃で60秒間乾燥してカチオン化処理を行った。
【化10】
【0038】
次に、反応型シリコーン樹脂(商品名:ポロンMF−23、信越シリコーン(株)製)60g/L及びコロイダルシリカ分散液(商品名:スノーテックスC、日産化学工業(株)製)30g/Lを含有する水分散液をテンターを用いて絞り率60%でパッド処理し、120℃で60秒乾燥した。得られた織物について、下記方法に従って濃色効果を評価した。結果を表1に示す。
【0039】
濃色効果の評価
カラーアイ7000(マクベス社製)を用い、反射率を測定し、下記に示すクベルカ・ムンク(Kuberka−Munk)の式:
K/S=(R−1)2/2R
(式中、Kは吸収係数、Sは散乱係数、Rは反射率を表す。)
を用いて波長400〜700nmにおけるK/S値を算出した。この値が大きい程濃色効果が高いことを示す。
【0040】
[比較例1]
実施例1と同様の織物を用い、水通しした後、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0041】
[比較例2]
カチオン化処理を行わない以外は実施例1と同様に処理し、同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0042】
[比較例3]
コロイダルシリカ分散液を用いない以外は実施例1と同様に処理し、同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0043】
[比較例4]
反応型シリコーン樹脂を用いない以外は実施例1と同様に処理し、同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、特定の染色方法に限定されずに、中濃色から濃色までの広範囲な色相領域で高い深色効果を得ることができる。
Claims (4)
- 着色繊維構造物に対してカチオン化剤を付着させた後、被膜形成性樹脂及び無機微粒子を含有する処理液で処理し、上記繊維構造物の表面に被膜形成性樹脂及び無機微粒子を含有する被膜を形成させることを特徴とする繊維構造物の加工方法。
- カチオン化剤がアリルアミン系重合物及び/又はジアリルアミン系重合物であることを特徴とする請求項1記載の加工方法。
- 被膜形成性樹脂がシリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂及びフッ素系樹脂から選ばれることを特徴とする請求項1又は2記載の加工方法。
- 無機微粒子がコロイダルシリカ、オルガノシリケート及びアルミナから選ばれることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の加工方法。
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JP2003169474A JP2005002525A (ja) | 2003-06-13 | 2003-06-13 | 繊維構造物の加工方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2014528992A (ja) * | 2011-09-28 | 2014-10-30 | ジィリン ホンタイ ガーメント ウォッシング アンド ダイイング サイエンス アンド テクノロジー インスティテュート | 有色の織物用の色強調洗剤及びその調製方法 |
-
2003
- 2003-06-13 JP JP2003169474A patent/JP2005002525A/ja active Pending
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