JP6170851B2 - 濃色加工布帛 - Google Patents

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Description

本発明は、布帛に対して、優れた濃色化効果を付与し、色の濃さ、深み、鮮明性、色の耐擦過性、さらには制電性をも付与することのできる濃色化剤、および該濃色化剤を用いて得られた濃色加工布帛に関する。
従来から、合成繊維、特にポリエステル繊維は屈折率が高いこともあって染色加工されたものにおいて色の鮮明さ、深みが出難い。この対策として、繊維の表面にフッ素系樹脂等の低屈折率の薄膜を形成させるか、または微細な凸部を形成させることにより繊維表面での可視光線の反射を抑性し吸収を高める濃色加工技術が開発されてきた。
かかる技術を踏まえて、布帛を中心とする繊維製品の濃色化剤および濃色化方法が種々提案されてきた。例えば、水性樹脂組成物で、形成皮膜のガラス転移点(Tg)が20〜110℃、屈折率が1.5以下、且つ該水性樹脂組成物エマルジョンのζ−電位が+5〜+80mvである濃色化剤が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、かかる濃色化剤は、一般に用いられている(ポリオキシエチレン)アルキルスルホン酸塩等のアニオン性静電気防止剤と併用した場合、該配合液はシエアのかかる加工工程で凝集し易く、また、4級アンモニウム塩、アルキルアミン塩等のカチオン性静電気防止剤、あるいは、ポリオキシアルキルエーテル(エステル)等の非イオン性静電気防止剤を併用した場合、配合液の安定性は保たれるが濃色化効果が低下するという問題点があった。
かかる濃色化効果の低下を抑制する方法として、三次元内部架橋カチオン性アクリル系エマルジョン(a)に、静電気防止剤としてアニオン性の酸性アルキル燐酸エステル塩を用いる濃色化剤が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、配合液の安定性の点で十分とはいえなかった。
配合液の安定性を改善した濃色化剤として、三次元内部架橋アクリル系エマルジョン(a)に、酸性アルキル燐酸エステル塩からなる静電気防止剤にベタイン型両性界面活性剤を併用する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、該方法では、ベタイン型両性界面活性剤添加により濃色化効果が低下するだけでなく、際付(きわつき)という新たな不具合が発現するおそれがあった。
特開昭62−289685号公報 特開平9−302582号公報 特開2007−46176号公報
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、布帛に対して、優れた濃色化効果を付与し、色の濃さ、深み、鮮明性、色の耐擦過性、さらには制電性をも付与することのできる濃色化剤、および該濃色化剤を用いて得られた濃色加工布帛を提供することにある。
本発明者は上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、染色された布帛に、カチオン性微粒子の水分散体と特定の塩とを含む濃色化剤を付着させて熱処理した場合、上記課題が解決されることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば「有機繊維で構成される布帛に濃色化剤が付着してなる濃色加工布帛であって、
前記有機繊維が総繊度20〜300dtexかつ単糸数10〜200本のマルチフィラメントであり、
前記濃色化剤がカチオン性微粒子の水分散体(a)と炭化水素基を含有しない塩基の塩酸塩(b)とを含み、
前記カチオン性微粒子において平均粒子径100〜300nmであり、
前記カチオン性微粒子の水分散体(a)が三次元内部架橋カチオン性アクリル系エマルジョンであり形成皮膜のガラス転移点(Tg)が−10〜60℃の範囲であり、
前記カチオン性微粒子が、メチロール基、水酸基、アルコキシアルキル基、グリシジル基のからなる群のうちいずれか一種類以上の官能基を有しており、
前記炭化水素基を含有しない塩基の塩酸塩(b)が塩酸グアニジンであり、
JIS Z 8729(L,a,b表色系)による測定での明度(L値)が10未満であり、かつ、JIS L 0849で規定する摩擦試験II形(学振形、摩擦子の質量200g)を用いて濃色加工布帛同士を100回擦過した後の該明度(L値)が10未満であり、かつ、JIS L 1094 5.2による摩擦帯電圧が1000V未満であることを特徴とする濃色加工布帛。」が提供される。
その際、濃色化剤が、トリアジン環含有化合物を含有していることが好ましい。また、濃色化剤が、イソシアネート化合物を含有していることが好ましい。また、濃色化剤が、アミノシリコーンを含有していることが好ましい。また、濃色化剤が、エポキシシリコーンを含有していることが好ましい。
本発明によれば、布帛に対して、優れた濃色化効果を付与し、色の濃さ、深み、鮮明性、色の耐擦過性、さらには制電性をも付与することのできる濃色化剤、および該濃色化剤を用いて得られた濃色加工布帛が得られる。
原布において、擦過前の状態で走査型電子顕微鏡で観察したものである。 実施例1において、擦過前の状態で走査型電子顕微鏡で観察したものである。 実施例1において、擦過後の状態で走査型電子顕微鏡で観察したものである。 実施例10において、擦過前の状態で走査型電子顕微鏡で観察したものである。 比較例1において、擦過前の状態で走査型電子顕微鏡で観察したものである。 比較例1において、擦過後の状態で走査型電子顕微鏡で観察したものである。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、カチオン性微粒子の水分散体(a)としては、カチオン性界面活性剤の存在下に、一分子に複数のエチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和単量体を含むエチレン性不飽和単量体を共重合させて得られるものが好ましい。
ここで、前記カチオン性微粒子の平均粒子径は100〜300nmが好ましく、より好ましくは150〜250nmである。該平均粒子径が過小であると濃色化効果の低下と共に色合いが赤傾向が強くなり(a値が高くなる)、一方、該平均粒子径が過大にあると濃色化効果の低下とともに色合いが青傾向の強いものとなる(b値が低くなる)。なお、該平均粒子径は合成時に用いる界面活性剤の使用量に負うところが大きく、界面活性剤の使用量を増やすと平均粒子径が小さくなり、該界面活性剤の使用量を減じれば該平均粒子が大きくなる。
また、前記カチオン性微粒子の水分散体(a)が三次元内部架橋カチオン性アクリル系エマルジョンであり形成皮膜のガラス転移点(Tg)が−10〜60℃(より好ましくは0〜30℃)の範囲であることが好ましい。該Tgが過小であると濃色加工面の凸部が擦過で潰れ易く耐擦過性が劣るおそれがある。一方、該Tgが大き過ぎると風合いががさつになるおそれがある。
前記三次元内部架橋カチオン性アクリル系エマルジョンの原材料について述べる。一分子に複数のエチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和単量体としては、エチレンジ(メタ)アクリレート、ブチレンジ(メタ)アクリレート、ヘキシレンジ(メタ)アクリレート、トリメチロール(トリ)メタアクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンジ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレンジ(メタ)アクリレート、ジアリールフタレート等が挙げられる。
また、官能基を有するエチレン性不飽和単量体としては、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
また、主成分として好ましいエチレン性不飽和単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フルオロアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、アルキル第4級アンモニウム塩、アルキルベンジル第4級アンモニウム塩、アルキルピリジウム塩、アルキルイミダゾリウム塩、アルキルモルホリウム塩、アルキルアミン塩、カチオン性基含有エチレン性不飽和単量体が挙げられる。
また、前記の三次元内部架橋カチオン性アクリル系エマルジョンの合成に用いられる重合開始剤としては、2.2−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2.2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩が好ましく用いられる。
本発明の濃色化剤には前記カチオン性微粒子の水分散体(a)と塩酸グアニジンに代表される炭化水素基を含有しない塩基の塩酸塩(b)とが含まれる。
ここで、炭化水素基を含有しない塩基の塩酸塩以外の制電剤は好ましくない。例えば慣用されるポリオキシエチレン結合を有する剤は濃色加工面での三次元内部架橋カチオン性アクリル系エマルジョンによる凸部の突出が低くなる結果、濃色化効果が極度に低下するおそれがある。
また、塩化カルシウム、グルコン酸塩、グリコール酸塩、アルキル燐酸塩、アルキルスルホン酸塩等の電解質物質やアニオン物質は三次元内部架橋カチオン性アクリル系エマルジョンとの混合性が悪く該エマルジョンの凝集を来し実用上好ましくない。
また、(ポリオキシエチレン)アルキルアミン塩等のカチオン性制電剤はポリエステル繊維への吸着が速いため、目的の該カチオン性アクリル系エマルジョンの付着を抑制する結果、濃色化効果が出難い。
このように慣用の制電剤は、高度な濃色加工に補正し難い欠点があったが、カチオン性微粒子の水分散体(a)と炭化水素基を含有しない塩基の塩酸塩(b)とを組み合わせることにより、従来の常識を超えた深色性、鮮色性、耐擦過性、さらには制電性をも有する濃色加工布帛を具現化できる。その理由は、カチオン性微粒子が水中において前記塩酸塩(b)の存在によりある程度凝集するためであろうと推定している。
本発明の濃色化剤において、前記三次元内部架橋カチオン性アクリル系エマルジョン(a)の固型分に対し炭化水素基を含有しない塩基の塩酸塩(bの固型分が5〜100重量%の範囲で含有することが好ましい。塩酸グアニジンの含有量が、前記範囲より下回ると濃色化加工布の摩擦帯電圧が高くなり縫製し難くなったり着用時に纏わり着き易くなり、一方前記範囲より上回ると濃色加工布の表面がざらつき風合い劣悪になるおそれがある。
また、濃色化剤において、濃色色剤の布帛への浸透拡転性を高めるために、慣用されている低級アルコールを添加することは差し支えないが、むしろ低沸点の低級アルコールよりブチルジエチレングリコール等の比較的高沸点(沸点150〜250℃(1013hPa)のグリコールエーテルを濃色化剤の固型分に対し100〜300重量%添加した方が効果的である。
また、カチオン性微粒子の布帛面への固着をより強固にするために、メラミンのようなトリアジン環含有化合物、イソシアネート化合物等の架橋剤が有効である。前記該三次元内部架橋カチオン性アクリル系エマルジョン固型分に対する前記架橋剤固型分の使用量は30〜150重量%の範囲が好ましく、より好ましくは50〜100重量%である。該架橋剤使用量の過不足は濃色化効果、その耐擦過性、および風合いに微妙に影響する。
メラミンのようなトリアジン環含有化合物系架橋剤としてはベッカミン M−3、PM、ML−80(DIC)、ユニカレジン 380−K(ユニオン化成)が、その触媒としてはキャタリスト 376(DIC)、3−P(ユニオン化成)が挙げられる。またイソシアネート化合物としては、水分散性ポリイソシアネートのバーノック NDW−5000(DIC)が挙げられる。
また、主として風合いの改善にはアミノシリコーン、エポキシシリコーンが有効であり、前記カチオン性微粒子の水分散体(a)固型分に対する前記該シリコーン固型分の使用量は1〜50重量%が好ましく、より好ましくは2〜30重量%である。該シリコーン使用量の過不足は濃色化効果、その耐擦過性、および風合いに影響する。
前記該アミノシリコーンとしてはPOLON MF−52(信越化学)、SM−9709(東レ・ダウコーニング)が、エポキシシリコーンとしてはPOLON MF−18(信越化学)が挙げられる。
次に、本発明の濃色加工布帛は、有機繊維で構成される布帛に、前記の濃色化剤が付着してなるものである。
ここで、前記有機繊維としてはポリエステル繊維、ナイロン繊維、木綿やウールなどの天然繊維など特に限定されないが、ポリエステル繊維であることが好ましい。
前記ポリエステル繊維はジカルボン酸成分とジグリコール成分とから製造される。ジカルボン酸成分としては、主としてテレフタル酸が用いられることが好ましく、グリコール成分としては主としてエチレングリコール、トリメチレングリコール及びテトラメチレングリコールから選ばれた1種以上のアルキレングリコールを用いることが好ましい。また、ポリエステル樹脂には、前記ジカルボン酸成分及びグリコール成分の他に第3成分を含んでいてもよい。該第3成分としては、カチオン染料可染性アニオン成分、例えば、ナトリウムスルホイソフタル酸;テレフタル酸以外のジカルボン酸、例えばイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸;及びアルキレングリコール以外のグリコール化合物、例えばジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールスルフォンの1種以上を用いることができる。かかるポリエステルとしては、マテリアルリサイクルまたはケミカルリサイクルされたポリエステルや、バイオマスすなわち生物由来の物質を原材料として得られたモノマー成分を使用してなるポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ステレオコンプレックスポリ乳酸であってもよい。さらには、特開2004−270097号公報や特開2004−211268号公報に記載されているような、特定のリン化合物およびチタン化合物を含む触媒を用いて得られたポリエステルでもよい。
前記ポリエステル繊維の形状としては、短繊維でもよいし長繊維(マルチフィラメント)でもよいが、長繊維であることが好ましい。さらには、通常の仮撚捲縮加工が施された仮撚捲縮加工糸や2種以上の構成糸条を空気混繊加工や複合仮撚加工させた複合糸であってもよい。
その際、マルチフィラメントの単繊維繊度、総繊度、単糸数は、単繊維繊度0.1〜10.0dtex、総繊度20〜300dtex(より好ましくは20〜50dtex)、単糸数10〜200本(より好ましくは110〜200本)の範囲であることが好ましい。特に、優れたソフト性を得る上で単糸繊維繊度が2.0dtex以下(より好ましくは0.0001〜0.5dtex)であることが特に好ましい。
また、前記ポリエステル繊維において、単糸繊維の断面形状には制限はなく、通常の円形断面のほかに三角、扁平、特開2004−52167号公報に記載のくびれ付扁平、十字形、六様形、あるいは中空形などの異型断面形状であってもよい。
また、前記の布帛において、布帛の組織としては、例えば、よこ編組織としては、平編、ゴム編、両面編、パール編、タック編、浮き編、片畔編、レース編、添え毛編等が例示され、たて編組織としては、シングルデンビー編、シングルアトラス編、ダブルコード編、ハーフ編、ハーフベース編、サテン編、ハーフトリコット編、裏毛編、ジャガード編等などが例示され、織物組織としては、平織、綾織、朱子織等の三原組織、変化組織、たて二重織、よこ二重織等の片二重組織、たてビロードなどが例示される。層数も単層でもよいし、2層以上の多層でもよい。さらには、不織布でもよい。なお、これらの布帛は常法により製造することができる。
かかる濃色加工布帛は、布帛の種類、形態等に応じて、任意の方法で製造することができる。
例えば、まず、前記のような布帛を用意する。かかる布帛には、通常の染色加工、減量加工、起毛加工、カレンダー加工、エンボス加工、蓄熱加工、吸汗加工、マイナスイオン加工などを適宜施してもよい。
次いで、必要に応じて希釈を行い浸漬塗布あるいはスプレー等の如き被覆加工の既知の方法で布帛(好ましくは染色加工を施された布帛)の表面に付着させ熱処理する方法が採用される。
かかる方法としては、特に限定されないが、例えば、本発明の濃色化剤を固型分0.2〜2.0%になるようにイオン交換水で希釈し、布帛に含浸させ、マングルで含浸率50〜80%に絞り、次いで熱風循環乾燥機中で100〜130にて2〜3分間乾燥した後、150〜180℃にて30秒〜1分間キュアリングする方法が挙げられる。
前記の熱処理条件は特に限定されるものではなく、通常の熱処理条件、例えば加熱オーブン中80〜120℃にて2〜3分間乾燥した後、130〜180℃、30秒〜3分間のキュアリングする条件も採用され得る。
かくして得られた濃色加工布帛は、濃色性、深色性、鮮明性、色の耐擦過性、さらには制電性に優れる。
その際、JIS Z 8729(L,a,b表色系)による測定での明度(L値)が10未満(好ましくは8.0〜9.4)であり、かつ、JIS L 0849で規定する摩擦試験II形(学振形、摩擦子の質量200g)を用いて濃色加工布帛同志を100回擦過した後の該明度(L値)が10未満(好ましくは8.0〜9.7)であり、かつ、JIS L 1094 5.2による摩擦帯電圧が1000V未満(より好ましくは50〜900V)であることが好ましい。
かかる濃色加工布帛は、濃色性、深色性、鮮明性、色の耐擦過性、さらには制電性に優れるので、シャツ、ユニフォーム、食品工場用白衣ユニフォーム、オフィスユニフォーム、化粧品販売員用ユニフォーム、アパレル衣料、スポーツ衣料、紳士衣料、婦人衣料、学生服などの衣料や、カーテン、枕カバー、カーシートなどとして好適に使用される。
以下、本発明を合成例、実施例、比較例を用いて説明するが、本発明は、この合成例、実施例、比較例に限定されるものではない。実施例、比較例中の試験、物性、分析は下記の方法で行った。
(1)アクリル系共重合体のガラス転移点Tg
該Tg値は、ポリマハンドブックに記載されている数値を基にアクリル系エマルジョンの形成皮膜のTgは下式に従い推定した。
1/形性皮膜のTg=1W/Tg1+2W/Tg2+3W/Tg3・・・・・・
1〜3W:エチレン性単量体全体に対する其々のエチレン性単量体−1〜3の比率
Tg1〜3:其々のエチレン性単量体ホモポリマ−のTg
(2)アクリル系エマルジョンの平均粒径
レーザ回析散乱式粒氏径分布測定装置 LA−950型(堀場製作所製)を用いて測定した。
(3)濃色加工布帛のL値
JIS Z 8729(L,a,b表色系)に準拠し、グレタグマクベス分光光度計CE−3100を用い明度(L値)を求めた。
仕様 : 積分球方式制御ソフト
光源 : D65 クセノンランプフラッシュ
(4)濃色加工布帛の擦過
JIS L 0849で規定する摩擦試験機II型(学振形、摩擦子の質量:200g)を用い、試験布同志を100回擦過させる。
(5)濃色加工布帛の電顕観察
日本電子(株)製 JSM 6330Fを用い、布帛表面を5万倍拡大写真撮影した。
(6)濃色加工布帛の摩擦帯電圧
JIS L 0194 5.2摩擦耐電圧測定法に基づき測定した。試料布は20℃、湿度40%R.H.環境下、24時間調湿し、JIS L 0803に規定する綿白布を摩擦布に用いて測定した。
[合成例1]
1Lガラスビーカーに、イソブチルメタアクリレート 65.0g、イソブチルアクリレート 125.0g、エチレンジメタアクリレート 4.0g、60%N−メチロールアクリルアミド 10.0g、合計204.0gのエチレン性不飽和単量体と、セチルトリメチルアンモニウムクロライド 0.8g、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(HLB:12) 0.2gを秤量混合する。次いで、その中へイオン交換水 180.0g入れ30℃に加温し、ホモジナイザーで乳化し、エチレン性不飽和単量体混合物の乳化液 385g調製した。
次に、1.5Lガラスセパラブル四つ口合成用フラスコにイオン交換水436.0gを入れ、窒素ガスブローしながら78℃に昇温し、前記エチレン性不飽和単量体混合物の乳化液 77g添加した。続いて、5% 2.2−アゾビス−2−アミジノプロパン二塩酸塩水溶液 20g添加し重合を開始させてから、前記エチレン性不飽和単量体混合物の乳化液 308gと、5% 2.2−アゾビス−2−アミジノプロパン二塩酸塩水溶液 20gを78℃で90分間要して並行滴下した。重合完了後、イオン交換水で固型分20%に調整し、三次元内部架橋カチオン性アクリル系共重合体エマルジョン 約1000gを得た。
得られた該カチオン性アクリル系エマルジョンは、形成皮膜のガラス転移点(Tg)15℃、エマルジョン粒子の平均粒径 180nmであった。
[合成例2]
合成例1記載の、60%N−メチロールアクリルアミド 10.0gをβ−ヒドロキシエチルメタアクリレート 6.0gに、イオン交換水 180.0gを184.0gに変え、他の操作は合成例1と同様に行い、三次元内部架橋カチオン性アクリル系共重合体エマルジョン 約1000gを得た。
得られた該カチオン性アクリル系共重合体エマルジョンは、形成皮膜のガラス転移点(Tg)14℃、エマルジョン粒子の平均粒系170nmであった。
[合成例3]
合成例1記載の、イソブチルメタアクリレート 65.0gを69.0gに、エチレンジメタアクリレート 4.0gを0.0gに変え、他の操作は合成例1と同様に行い内部架橋されていないカチオン性アクリル系エマルジョン 約1000gを得た。得られた前記カチオン性アクリル系エマルジョンは、形成皮膜のガラス転移点(Tg)14℃、エマルジョン粒子の平均粒径150nmであった。
[合成例4]
合成例1記載の、イソブチルメタアクリレート 65.0gを4.0gに、イソブチルアクレレート 125.0gを186.0gに、セチルトリメチルアンモニウムクロライド 0.8gを4.8gに、イオン交換水 180.0gを176.0gに変え、他の操作は合成例−1と同様に行い三次元内部架橋カチオン性アクリル系エマルジョン約1000gを得た。得られた該カチオン性アクリル系エマルジョンは、形成皮膜のガラス転移点(Tg)−15℃、エマルジョン粒子の平均粒径70nmであった。
[薬剤類]
合成例1 三次元内部架橋カチオン性アクリル系エマルジョン
Tg:15℃、平均粒径:180nm、官能基:メチロール基
合成例2 三次元内部架橋カチオン性アクリル系エマルジョン
Tg:14℃、平均粒径:170nm、官能基:水酸基
合成例3 三次元内部架橋されていないカチオン性アクリル系エマルジョン
Tg:14℃、平均粒径:150nm、官能基:メチロール基
合成例4 三次元内部架橋カチオン性アクリル系エマルジョン
Tg:−15℃、平均粒径:70nm、官能基:メチロール基
塩酸グアニジン キシダ化学(株)製 試薬一級
ポリオキシエチレンラウリルアミン(HLB:15〜18) 静電気防止剤
ポリオキシエチレンラウリルエーテル(HLB:15〜18)静電気防止剤
ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド 静電気防止剤
ベッカミン M−3 DIC(株)製 メラミン系架橋剤
バーノック DNW−5000 DIC(株)製 水分散性ポリイソシアネート
キャタリスト 376 DIC(株)製 メラミン系架橋用触媒
POLON MF−52 信越化学(株)製 アミノ基含有シリコーンエマルジョン
[実施例1]
常法に従って精練し、98℃の苛性ソーダ水溶液により10%減量処理したポリエステルフイラメント織物(目付け208g/m、経糸:175dtex/51fill、S撚1800t/m、緯糸:175dtex/51fill、S撚1800t/m、経糸密度:230本/吋、緯糸密度:220本/吋)を分散染料紀和化学SK−205 Liquid 8%(owf)で染色し、次いで、常法により還元洗浄し、乾燥、160℃、30秒熱セットしたものを、幅:30cm、長さ:80cmにカットし試料布とした。 表1に示したように、水 964.3g中に、合成例1 30g、ベッカミン M−3 3g、キャタリスト 376 1g、POLON MF−52 0.7g、塩酸グアニジン 1g、を添加混合した濃色化剤の配合液1000gを作製した。
次に、前記試料布を前記配合液に浸漬後、マングルロールでウエットピックアップ60%の絞り、130℃熱風循環乾燥機で3分間乾燥し、更に170℃熱風循環乾燥機で1分間熱セットした。
本実施例で得られた加工布は、表1に示すように従来にない極めて濃い黒色(低い明度)、耐擦過性に優れた濃色化効果と共に、優れた制電性(低い帯電圧)を兼備していた。
[実施例2〜9]
表1に示したように、実施例2以降は、実施例1での配合液に代えて其々の実施例の配合液を使用して、実施例1と同様の手順で操作した。その結果は表1に示した。
[比較例1〜5、実施例10]
表2に示したように、比較例1〜5は、実施例1での配合液に代えて其々の比較例の配合液を使用して、実施例と同様の手順で操作した。その結果は表2に示したように、其々が本発明のような優れた結果が得られなかった。
染色された布帛の深色性、鮮色性、耐擦過性、および制電特性の面で、従来技術では到底達し得ないほどの濃色化加工布帛を具現化、提供することができ、その工業的価値は極めて大である。

Claims (5)

  1. 有機繊維で構成される布帛に濃色化剤が付着してなる濃色加工布帛であって、
    前記有機繊維が総繊度20〜300dtexかつ単糸数10〜200本のマルチフィラメントであり、
    前記濃色化剤がカチオン性微粒子の水分散体(a)と炭化水素基を含有しない塩基の塩酸塩(b)とを含み、
    前記カチオン性微粒子において平均粒子径100〜300nmであり、
    前記カチオン性微粒子の水分散体(a)が三次元内部架橋カチオン性アクリル系エマルジョンであり形成皮膜のガラス転移点(Tg)が−10〜60℃の範囲であり、
    前記カチオン性微粒子が、メチロール基、水酸基、アルコキシアルキル基、グリシジル基のからなる群のうちいずれか一種類以上の官能基を有しており、
    前記炭化水素基を含有しない塩基の塩酸塩(b)が塩酸グアニジンであり、
    JIS Z 8729(L,a,b表色系)による測定での明度(L値)が10未満であり、かつ、JIS L 0849で規定する摩擦試験II形(学振形、摩擦子の質量200g)を用いて濃色加工布帛同士を100回擦過した後の該明度(L値)が10未満であり、かつ、JIS L 1094 5.2による摩擦帯電圧が1000V未満であることを特徴とする濃色加工布帛
  2. 濃色化剤が、トリアジン環含有化合物を含有している、請求項1に記載の濃色加工布帛
  3. 濃色化剤が、イソシアネート化合物を含有している、請求項1または請求項2に記載の濃色加工布帛。
  4. 濃色化剤が、アミノシリコーンを含有している、請求項1〜3のいずれかに記載の濃色加工布帛
  5. 濃色化剤が、エポキシシリコーンを含有している、請求項1〜4のいずれかに記載の濃色加工布帛
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