JP6170851B2 - 濃色加工布帛 - Google Patents
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Description
前記有機繊維が総繊度20〜300dtexかつ単糸数10〜200本のマルチフィラメントであり、
前記濃色化剤がカチオン性微粒子の水分散体(a)と炭化水素基を含有しない塩基の塩酸塩(b)とを含み、
前記カチオン性微粒子において平均粒子径100〜300nmであり、
前記カチオン性微粒子の水分散体(a)が三次元内部架橋カチオン性アクリル系エマルジョンであり形成皮膜のガラス転移点(Tg)が−10〜60℃の範囲であり、
前記カチオン性微粒子が、メチロール基、水酸基、アルコキシアルキル基、グリシジル基のからなる群のうちいずれか一種類以上の官能基を有しており、
前記炭化水素基を含有しない塩基の塩酸塩(b)が塩酸グアニジンであり、
JIS Z 8729(L,a,b表色系)による測定での明度(L値)が10未満であり、かつ、JIS L 0849で規定する摩擦試験II形(学振形、摩擦子の質量200g)を用いて濃色加工布帛同士を100回擦過した後の該明度(L値)が10未満であり、かつ、JIS L 1094 5.2による摩擦帯電圧が1000V未満であることを特徴とする濃色加工布帛。」が提供される。
その際、濃色化剤が、トリアジン環含有化合物を含有していることが好ましい。また、濃色化剤が、イソシアネート化合物を含有していることが好ましい。また、濃色化剤が、アミノシリコーンを含有していることが好ましい。また、濃色化剤が、エポキシシリコーンを含有していることが好ましい。
まず、カチオン性微粒子の水分散体(a)としては、カチオン性界面活性剤の存在下に、一分子に複数のエチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和単量体を含むエチレン性不飽和単量体を共重合させて得られるものが好ましい。
また、前記の三次元内部架橋カチオン性アクリル系エマルジョンの合成に用いられる重合開始剤としては、2.2−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2.2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩が好ましく用いられる。
ここで、炭化水素基を含有しない塩基の塩酸塩以外の制電剤は好ましくない。例えば慣用されるポリオキシエチレン結合を有する剤は濃色加工面での三次元内部架橋カチオン性アクリル系エマルジョンによる凸部の突出が低くなる結果、濃色化効果が極度に低下するおそれがある。
また、(ポリオキシエチレン)アルキルアミン塩等のカチオン性制電剤はポリエステル繊維への吸着が速いため、目的の該カチオン性アクリル系エマルジョンの付着を抑制する結果、濃色化効果が出難い。
前記該アミノシリコーンとしてはPOLON MF−52(信越化学)、SM−9709(東レ・ダウコーニング)が、エポキシシリコーンとしてはPOLON MF−18(信越化学)が挙げられる。
ここで、前記有機繊維としてはポリエステル繊維、ナイロン繊維、木綿やウールなどの天然繊維など特に限定されないが、ポリエステル繊維であることが好ましい。
その際、マルチフィラメントの単繊維繊度、総繊度、単糸数は、単繊維繊度0.1〜10.0dtex、総繊度20〜300dtex(より好ましくは20〜50dtex)、単糸数10〜200本(より好ましくは110〜200本)の範囲であることが好ましい。特に、優れたソフト性を得る上で単糸繊維繊度が2.0dtex以下(より好ましくは0.0001〜0.5dtex)であることが特に好ましい。
また、前記の布帛において、布帛の組織としては、例えば、よこ編組織としては、平編、ゴム編、両面編、パール編、タック編、浮き編、片畔編、レース編、添え毛編等が例示され、たて編組織としては、シングルデンビー編、シングルアトラス編、ダブルコード編、ハーフ編、ハーフベース編、サテン編、ハーフトリコット編、裏毛編、ジャガード編等などが例示され、織物組織としては、平織、綾織、朱子織等の三原組織、変化組織、たて二重織、よこ二重織等の片二重組織、たてビロードなどが例示される。層数も単層でもよいし、2層以上の多層でもよい。さらには、不織布でもよい。なお、これらの布帛は常法により製造することができる。
例えば、まず、前記のような布帛を用意する。かかる布帛には、通常の染色加工、減量加工、起毛加工、カレンダー加工、エンボス加工、蓄熱加工、吸汗加工、マイナスイオン加工などを適宜施してもよい。
かかる方法としては、特に限定されないが、例えば、本発明の濃色化剤を固型分0.2〜2.0%になるようにイオン交換水で希釈し、布帛に含浸させ、マングルで含浸率50〜80%に絞り、次いで熱風循環乾燥機中で100〜130にて2〜3分間乾燥した後、150〜180℃にて30秒〜1分間キュアリングする方法が挙げられる。
前記の熱処理条件は特に限定されるものではなく、通常の熱処理条件、例えば加熱オーブン中80〜120℃にて2〜3分間乾燥した後、130〜180℃、30秒〜3分間のキュアリングする条件も採用され得る。
その際、JIS Z 8729(L,a,b表色系)による測定での明度(L値)が10未満(好ましくは8.0〜9.4)であり、かつ、JIS L 0849で規定する摩擦試験II形(学振形、摩擦子の質量200g)を用いて濃色加工布帛同志を100回擦過した後の該明度(L値)が10未満(好ましくは8.0〜9.7)であり、かつ、JIS L 1094 5.2による摩擦帯電圧が1000V未満(より好ましくは50〜900V)であることが好ましい。
該Tg値は、ポリマハンドブックに記載されている数値を基にアクリル系エマルジョンの形成皮膜のTgは下式に従い推定した。
1/形性皮膜のTg=1W/Tg1+2W/Tg2+3W/Tg3・・・・・・
1〜3W:エチレン性単量体全体に対する其々のエチレン性単量体−1〜3の比率
Tg1〜3:其々のエチレン性単量体ホモポリマ−のTg
レーザ回析散乱式粒氏径分布測定装置 LA−950型(堀場製作所製)を用いて測定した。
JIS Z 8729(L,a,b表色系)に準拠し、グレタグマクベス分光光度計CE−3100を用い明度(L値)を求めた。
仕様 : 積分球方式制御ソフト
光源 : D65 クセノンランプフラッシュ
JIS L 0849で規定する摩擦試験機II型(学振形、摩擦子の質量:200g)を用い、試験布同志を100回擦過させる。
日本電子(株)製 JSM 6330Fを用い、布帛表面を5万倍拡大写真撮影した。
JIS L 0194 5.2摩擦耐電圧測定法に基づき測定した。試料布は20℃、湿度40%R.H.環境下、24時間調湿し、JIS L 0803に規定する綿白布を摩擦布に用いて測定した。
1Lガラスビーカーに、イソブチルメタアクリレート 65.0g、イソブチルアクリレート 125.0g、エチレンジメタアクリレート 4.0g、60%N−メチロールアクリルアミド 10.0g、合計204.0gのエチレン性不飽和単量体と、セチルトリメチルアンモニウムクロライド 0.8g、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(HLB:12) 0.2gを秤量混合する。次いで、その中へイオン交換水 180.0g入れ30℃に加温し、ホモジナイザーで乳化し、エチレン性不飽和単量体混合物の乳化液 385g調製した。
次に、1.5Lガラスセパラブル四つ口合成用フラスコにイオン交換水436.0gを入れ、窒素ガスブローしながら78℃に昇温し、前記エチレン性不飽和単量体混合物の乳化液 77g添加した。続いて、5% 2.2−アゾビス−2−アミジノプロパン二塩酸塩水溶液 20g添加し重合を開始させてから、前記エチレン性不飽和単量体混合物の乳化液 308gと、5% 2.2−アゾビス−2−アミジノプロパン二塩酸塩水溶液 20gを78℃で90分間要して並行滴下した。重合完了後、イオン交換水で固型分20%に調整し、三次元内部架橋カチオン性アクリル系共重合体エマルジョン 約1000gを得た。
得られた該カチオン性アクリル系エマルジョンは、形成皮膜のガラス転移点(Tg)15℃、エマルジョン粒子の平均粒径 180nmであった。
合成例1記載の、60%N−メチロールアクリルアミド 10.0gをβ−ヒドロキシエチルメタアクリレート 6.0gに、イオン交換水 180.0gを184.0gに変え、他の操作は合成例1と同様に行い、三次元内部架橋カチオン性アクリル系共重合体エマルジョン 約1000gを得た。
得られた該カチオン性アクリル系共重合体エマルジョンは、形成皮膜のガラス転移点(Tg)14℃、エマルジョン粒子の平均粒系170nmであった。
合成例1記載の、イソブチルメタアクリレート 65.0gを69.0gに、エチレンジメタアクリレート 4.0gを0.0gに変え、他の操作は合成例1と同様に行い内部架橋されていないカチオン性アクリル系エマルジョン 約1000gを得た。得られた前記カチオン性アクリル系エマルジョンは、形成皮膜のガラス転移点(Tg)14℃、エマルジョン粒子の平均粒径150nmであった。
合成例1記載の、イソブチルメタアクリレート 65.0gを4.0gに、イソブチルアクレレート 125.0gを186.0gに、セチルトリメチルアンモニウムクロライド 0.8gを4.8gに、イオン交換水 180.0gを176.0gに変え、他の操作は合成例−1と同様に行い三次元内部架橋カチオン性アクリル系エマルジョン約1000gを得た。得られた該カチオン性アクリル系エマルジョンは、形成皮膜のガラス転移点(Tg)−15℃、エマルジョン粒子の平均粒径70nmであった。
合成例1 三次元内部架橋カチオン性アクリル系エマルジョン
Tg:15℃、平均粒径:180nm、官能基:メチロール基
合成例2 三次元内部架橋カチオン性アクリル系エマルジョン
Tg:14℃、平均粒径:170nm、官能基:水酸基
合成例3 三次元内部架橋されていないカチオン性アクリル系エマルジョン
Tg:14℃、平均粒径:150nm、官能基:メチロール基
合成例4 三次元内部架橋カチオン性アクリル系エマルジョン
Tg:−15℃、平均粒径:70nm、官能基:メチロール基
塩酸グアニジン キシダ化学(株)製 試薬一級
ポリオキシエチレンラウリルアミン(HLB:15〜18) 静電気防止剤
ポリオキシエチレンラウリルエーテル(HLB:15〜18)静電気防止剤
ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド 静電気防止剤
ベッカミン M−3 DIC(株)製 メラミン系架橋剤
バーノック DNW−5000 DIC(株)製 水分散性ポリイソシアネート
キャタリスト 376 DIC(株)製 メラミン系架橋用触媒
POLON MF−52 信越化学(株)製 アミノ基含有シリコーンエマルジョン
常法に従って精練し、98℃の苛性ソーダ水溶液により10%減量処理したポリエステルフイラメント織物(目付け208g/m2、経糸:175dtex/51fill、S撚1800t/m、緯糸:175dtex/51fill、S撚1800t/m、経糸密度:230本/吋、緯糸密度:220本/吋)を分散染料紀和化学SK−205 Liquid 8%(owf)で染色し、次いで、常法により還元洗浄し、乾燥、160℃、30秒熱セットしたものを、幅:30cm、長さ:80cmにカットし試料布とした。 表1に示したように、水 964.3g中に、合成例1 30g、ベッカミン M−3 3g、キャタリスト 376 1g、POLON MF−52 0.7g、塩酸グアニジン 1g、を添加混合した濃色化剤の配合液1000gを作製した。
次に、前記試料布を前記配合液に浸漬後、マングルロールでウエットピックアップ60%の絞り、130℃熱風循環乾燥機で3分間乾燥し、更に170℃熱風循環乾燥機で1分間熱セットした。
本実施例で得られた加工布は、表1に示すように従来にない極めて濃い黒色(低い明度)、耐擦過性に優れた濃色化効果と共に、優れた制電性(低い帯電圧)を兼備していた。
表1に示したように、実施例2以降は、実施例1での配合液に代えて其々の実施例の配合液を使用して、実施例1と同様の手順で操作した。その結果は表1に示した。
表2に示したように、比較例1〜5は、実施例1での配合液に代えて其々の比較例の配合液を使用して、実施例と同様の手順で操作した。その結果は表2に示したように、其々が本発明のような優れた結果が得られなかった。
Claims (5)
- 有機繊維で構成される布帛に濃色化剤が付着してなる濃色加工布帛であって、
前記有機繊維が総繊度20〜300dtexかつ単糸数10〜200本のマルチフィラメントであり、
前記濃色化剤がカチオン性微粒子の水分散体(a)と炭化水素基を含有しない塩基の塩酸塩(b)とを含み、
前記カチオン性微粒子において平均粒子径100〜300nmであり、
前記カチオン性微粒子の水分散体(a)が三次元内部架橋カチオン性アクリル系エマルジョンであり形成皮膜のガラス転移点(Tg)が−10〜60℃の範囲であり、
前記カチオン性微粒子が、メチロール基、水酸基、アルコキシアルキル基、グリシジル基のからなる群のうちいずれか一種類以上の官能基を有しており、
前記炭化水素基を含有しない塩基の塩酸塩(b)が塩酸グアニジンであり、
JIS Z 8729(L,a,b表色系)による測定での明度(L値)が10未満であり、かつ、JIS L 0849で規定する摩擦試験II形(学振形、摩擦子の質量200g)を用いて濃色加工布帛同士を100回擦過した後の該明度(L値)が10未満であり、かつ、JIS L 1094 5.2による摩擦帯電圧が1000V未満であることを特徴とする濃色加工布帛。 - 濃色化剤が、トリアジン環含有化合物を含有している、請求項1に記載の濃色加工布帛。
- 濃色化剤が、イソシアネート化合物を含有している、請求項1または請求項2に記載の濃色加工布帛。
- 濃色化剤が、アミノシリコーンを含有している、請求項1〜3のいずれかに記載の濃色加工布帛。
- 濃色化剤が、エポキシシリコーンを含有している、請求項1〜4のいずれかに記載の濃色加工布帛。
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