JP2005002484A - 耐候性向上剤及びこれを用いた処理法 - Google Patents
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Abstract
【課題】繊維・皮革・紙、い草等の素材及びそれらの着色物の紫外線及び酸化窒素等の酸化性ガスによる変色及び退色を改善すること、すなわち各種素材及びそれらの着色物の耐候性を改善する方法を開発すること
【解決手段】(A)エチレン性二重結合を有するベンゾフェノン系化合物モノマー及び/又はベンゾトリアゾール系化合物モノマーと(メタ)アクリル酸エステルモノマーとの共重合物及び(B)セミカルバジド基を有する化合物を含有することを特徴とする耐候性向上剤。
【解決手段】(A)エチレン性二重結合を有するベンゾフェノン系化合物モノマー及び/又はベンゾトリアゾール系化合物モノマーと(メタ)アクリル酸エステルモノマーとの共重合物及び(B)セミカルバジド基を有する化合物を含有することを特徴とする耐候性向上剤。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は耐候性向上剤及びこれを用いる処理法に関する。更に詳しくは、特定の成分からなる耐光性向上剤及びこれを用いる天然繊維、合成繊維、皮革、紙、い草から成る素材又はこれらの素材の着色物の処理法に関する。
【0002】
【従来の技術】
衣・食・住は人間が生活を営んでいくために必要な3大要素とされ、その中でも繊維、皮革、紙、い草等は衣料・インテリア資材・産業資材等の衣・住の要素に幅広く使用されており、更に、その殆どが染料及び顔料等で色づけされて利用されている。
【0003】
しかしながら繊維・皮革・紙、い草等の素材はそれ自体が紫外線や大気中の酸化窒素、オゾン等の酸化性ガスによる影響を受け、変色する要素を含んでいる。また、それらが染料及び顔料で着色された製品も、加工に使用される染料及び顔料の種類によっては紫外線や酸化性ガスによる影響により変色及び/または退色する問題点がある。又、繊維およびその着色物が濡れた状態で大気中の酸化性ガスや汗等に含まれる還元物質と接触し、且つ紫外線の照射を受けると著しい変色及び/または退色することがある。例えば、スポーツウェアでは汗を掻いて日光に当たると変色及び退色が著しく大きくなるという問題があり、日本工業規格には光及び汗に対する染色堅牢度試験方法(JIS L−0888)が定められている。
【0004】
従来、繊維・皮革・紙、い草等の素材及びそれらの着色物の一部は紫外線吸収剤等を有機溶剤や水に溶解或は分散させて、それらの素材又はその着色物を処理することにより、紫外線吸収剤等を付与させたり、或は合成樹脂自体に紫外線吸収剤を練りこみ合成樹脂製製品の紫外線による影響を低減する等の方法により、耐光性を改善する方法が行われている。例えば、羊毛繊維については、例えば特許文献1に、ヒンダードアミン系化合物、セミカルバジド系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物の何れか一種以上をポリウレタン樹脂系等のバイダーを用いて付与する方法が記載されている。ポリアミド繊維については、例えば特許文献2に、ヒドラジアミノ基含有化合物単独またはベンゾトリアゾール誘導体と組合せてバインダー等を用いて処理することが有効と記載されている。天然アミド繊維及びセルロース系繊維ついては、例えば特許文献3に、ベンゾトリアゾール系化合物とヒンダードアミン系化合物の何れか一種以上で処理する方法が記載されている。ポリエステル繊維についてはベンゾトリアゾール系紫外線、吸収剤ベンゾフェノン系紫外線吸収剤を併用して染色することが一般的であるが、例えば特許文献4にはヒドラジドアミド基含有化合物等をバインダー等に添加混合して処理することが有効であると記載されている。
しかしながら、素材及びそれらの着色物のすべてについて、満足出来る十分な耐光性向上の方法は無く、さらなる改善が要望されている。特に水分を保有し易い素材や酸化性ガスを吸収し易い素材については、紫外線の影響だけでなく、酸化窒素、オゾンガス、塩素ガス等によって変色又は退色する要素も大きく、耐光性のみならず、耐候性の改善が要求されており、従来の耐光性向上を目的とした改善加工では十分な効果がみられなかった。
【特許文献1】
特開平2−242970号公報
【特許文献2】
特開平1−124695号公報
【特許文献3】
特開平1−282388号公報
【特許文献4】
特開平1−124694号公報
【特許文献5】
特表平11−501702号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
繊維・皮革・紙、い草等の素材及びそれらの着色物の紫外線及び酸化窒素等の酸化性ガス、塩素ガスによる変色及び退色を改善すること、すなわち各種素材及びそれらの着色物の耐候性を改善する方法を開発することを本発明の目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討の結果、特定の薬剤を必須成分として含有する組成物で処理することにより前記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
即ち、本発明は、
(1)(A)エチレン性二重結合を有するベンゾフェノン系化合物モノマー及び/又はエチレン性二重結合を有するベンゾトリアゾール系化合物モノマーと、(メタ)アクリル酸エステルモノマー及び/又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルモノマーとの共重合物及び(B)セミカルバジド基を有する化合物を含有することを特徴とする耐候性向上剤、
(2)(A)エチレン性二重結合を有するベンゾフェノン系化合物モノマー及び/又はエチレン性二重結合を有するベンゾトリアゾール系化合物モノマーと(メタ)アクリル酸エステルモノマー及び/又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルモノマーとの共重合物、(B)セミカルバジド基を有する化合物及び(C)水溶性ベンゾフェノン系紫外線吸収剤及び/またはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及び/又はヒンダードアミン系光安定剤を含有することを特徴とする耐候性向上剤、
(3)エチレン性二重結合を有するベンゾフェノン系化合物モノマー及びエチレン性二重結合を有するベンゾトリアゾール系化合物モノマーが、それぞれ一般式(1)で表されるベンゾフェノン系化合物及び一般式(2)で表されるベンゾトリアゾール系化合物である(1)又は(2)に記載の耐候性向上剤、
【化11】
(Rは、H又はCH3を、Xは、−CH2CH2−又は−CH2CH(OH)CH2−をそれぞれ示す。)
【化12】
(Rは、H又はCH3を、Xは、−CH2CH2−又は−CH2CH(OH)CH2−をそれぞれ示す。)
(4)(3に記載の一般式(1)で表されるベンゾフェノン系化合物及び/又は一般式(2)で表されるベンゾトリアゾール系化合物のアクリル酸エステル共重合物中の含有割合が8〜55モル%である(3の耐候性向上剤
(5)(B)セミカルバジド基を有する化合物が一般式(3)、(4)又は(5)で表される化合物である(1)乃至(4)の何れか一項に記載の耐候性向上剤、
【化13】
【化14】
【化15】
(式(3)、(4)及び(5)においてR1、R2、R3及びR4は炭素数1〜2のアルキル基を、X1は−(CH2)2 〜 8をそれぞれ示す。)
(6)(C)水溶性ベンゾフェノン系紫外線吸収剤及び/またはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及び/又はヒンダードアミン系光安定剤が一般式(6)、(7)、(8)又は(9)で表されるベンゾフェノン系化合物及び/又はベンゾトリアゾール系化合物及び/又はヒンダードアミン系光安定剤である(2)乃至(5)の何れか一項に記載の耐候性向上剤、
【化16】
(式(6)において、XはCl、CH3又はOR1を、YはOR2又はSO3Hを、m及びnは0から2の整数をそれぞれ示す。又、R1及びR2はH又は炭素数1から12のアルキル基を示す。)
【化17】
(式(7)において、XはH又はClを示す。R3及びR4は、同一又は異なっていてよく、H、炭素数1〜8のアルキル基又はアルコキシ基を示す。R5はH、COOH又はCH2COOHを示す。)
【化18】
【化19】
(式(8)及び式(9)においてR6は式(10)を示す。)
【化20】
(式(10)において、R7はH又はメチル基を示す。)
(7)(1)乃至(6)の何れか一項に記載の耐候性向上剤を用いることを特徴とする天然繊維、合成繊維、皮革、紙、い草等から成る素材又はこれらの素材の着色物の処理法、
に関する。
【0008】
以下本発明を詳細に説明する。
まず、本発明の耐候性向上剤において必須の成分として含有される(A)エチレン性二重結合を有するベンゾフェノン系化合物モノマー及び/又はベンゾトリアゾール系化合物モノマーと(メタ)アクリル酸エステルモノマーとの共重合物について説明する。
【0009】
(A)は、一般式(1)で表されるエチレン性二重結合を有するベンゾフェノン系化合物モノマー及び/又は一般式(2)で表されるベンゾトリアゾール系化合物モノマーから選ばれる少なくとも一種の紫外線吸収モノマーと(メタ)アクリル酸エステルモノマーの共重合物が好ましく、該共重合物中の該紫外線吸収モノマーの割合は通常8〜55重量%である。(A)の本発明の耐候向上剤に中における含有量は通常40〜95重量%、好ましくは50〜90重量%である。
【0010】
次ぎに本発明の耐候性向上剤において必須の成分として含有される(B)セミカルバジド基を有する化合物について説明する。
(B)は一般式(3)、一般式(4)、または一般式(5)で表されるセミカルバジド基を有する化合物であるのが好ましく、これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。本発明の耐候向上剤における(B)成分の含有量は2〜50重量%、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは5〜25重量%である。
【0011】
更に、本発明の耐候性向上剤において必要により含有される(C)水溶性ベンゾフェノン系紫外線吸収剤及び/またはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及び/又はヒンダードアミン系光安定剤について説明する。
(C)は、一般式(6)で表される水溶性ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、一般式(7)で表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、一般式(8)又は一般式(9)で表されるヒンダードアミン系光安定剤から選ばれるのが好ましく、又水溶性あるいは低級アルコールに対する溶解性が良好な化合物であるのが好ましく、本発明の耐候向上剤における含有量は通常0〜60重量%、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは5〜25重量%である。
【0012】
(A)エチレン性二重結合を有するベンゾフェノン系化合物モノマー及び/又はベンゾトリアゾール系化合物モノマーと(メタ)アクリル酸エステルモノマーとの共重合物と(B)セミカルバジド基を有する化合物に、必要により(C)水溶性ベンゾフェノン系紫外線吸収剤及び/またはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及び/又はヒンダードアミン系光安定剤を含有する場合の含有重量%について説明する。
本発明の耐候性向上剤において必須の成分として含有される(A)エチレン性二重結合を有するベンゾフェノン系化合物モノマー及び/又はベンゾトリアゾール系化合物モノマーと(メタ)アクリル酸エステルモノマーとの共重合物の含有量は50重量%以上であることが好ましい。その含有量が50重量%未満であると本発明の耐候性向上剤に含有される化合物に対するバイダー効果が減少し、耐久性が低下する傾向がある。同じく本発明の耐候性向上剤において必須の成分として含有される(B)セミカルバジド基を有する化合物の含有量は2.5〜25重量%、(C)水溶性ベンゾフェノン系紫外線吸収剤及び/またはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及び/又はヒンダードアミン系光安定剤の含有量は2.5〜25重量%が好ましい。
【0013】
本発明の耐候性向上剤はこれ自体で使用しても十分耐久性を有するが、所望なら従来公知の加工剤、フィックス剤、バインダー、コーティング剤、バッキング剤を併用することもできる。
【0014】
本発明の耐光性向上剤は前記各成分を前記した含有量になるように合成、混合、攪拌することにより製造される。溶剤としてメタノール等の低級アルコールを用いることもできるが本発明の耐候性向上剤は水または水と混和可能な溶媒との混合物に溶解させて使用するのが好ましい。
【0015】
本発明の耐光性向上剤を用いる天然繊維、合成繊維、皮革、紙、い草等から成る素材又はこれらの素材の着色物の処理法について説明する。
【0016】
本発明の耐候性向上剤は水または水と混和可能な溶媒との混合物に溶解又は分散させて使用することができる。その濃度は通常0.2〜10.0重量%程度が好ましい。本発明の耐候性向上剤を浸漬法、パディング法、コーティング法、スプレー法、印捺法により前記素材及びそれら素材の着色物に対して有効性と経済性を考慮すれば通常0.2〜4重量%を付与し、乾燥、時には熱処理を行ことにより耐候性を向上させることができる。乾燥は通常80〜140℃、好ましくは100〜130℃、通常3〜5分程度、他の加工剤、バインダー等と併用して高温熱処理が必要な場合は、その処理条件に合わせて差し支えない。
【0017】
本発明の耐候性向上剤は木綿、レーヨン等のセルロース系繊維、ウール、絹等の動物繊維、アセテート、トリアセテート等の半合成繊維、ナイロン、ポリエステル、アクリル等の合成繊維、皮革、紙、い草等の素材、及びそれらの着色物の日光(紫外線)、酸化窒素、オゾン等の酸化性ガス、塩素ガス等による変色及び退色を改善することができる。
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。なお、実施例において「部」とあるのは「重量部」を、また「%」とあるのは「重量%」をそれぞれ意味する。
【0018】
合成例1
(共重合物1の合成)
攪拌機、還流冷却機、窒素導入管、温度計、滴下ロート、圧力計を備えた反応器を窒素置換した後、イオン交換水300部、アクアロンHS−20(商品名、反応性乳化剤、第一工業製薬(株)製)15部、2−ヒドロキシ−4−メタクリロイルオキシエトキシベンゾフェノン45部、メタクリル酸メチル30部、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル20部、アクリル酸5部を攪拌機下で混合しプレエマルジョンとし、攪拌下で昇温を開始し内温が70℃となったところで、別途重合開始剤(AIBN)1重量部をメタノール20重量部に溶解した溶液を滴下ロートを用いて1時間かけて滴下した、滴下終了後3時間反応を行い、エマルジョン共重合物(共重合物1)を得た。
【0019】
合成例2
(共重合物2の合成)
攪拌機、還流冷却機、窒素導入管、温度計、滴下ロート、圧力計を備えた反応器を窒素置換した後、イオン交換水300部、アクアロンHS−20(商品名、反応性乳化剤、第一工業製薬(株)製)15部、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタクロイルオキシ)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール(大塚化学(株)製RUVA−93)45部、メタクリル酸メチル30部、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル20部、アクリル酸5部を攪拌機下で混合しプレエマルジョンとし、攪拌機下で昇温を開始し内温が70℃となったところで、別途重合開始剤(AIBN)1重量部をメタノール20重量部に溶解した溶液を滴下ロートを用いて1時間かけて滴下した、滴下終了後3時間反応を行い、エマルジョン共重合物(共重合物2)を得た。
【0020】
実施例1
(本発明の組成物1の調製)
合成例1で得た共重合物1のエマルジョン95重量部に6−ヘキサメチレンビス(N,N−ジメチルセミカルバジド)5重量部を添加攪拌して乳化させ、溶解固形分28%の配合組成物(組成物1)を得た。
【0021】
実施例2
(本発明の組成物2の調製)
合成例2で得た共重合物2のエマルジョン95重量部に6−ヘキサメチレンビス(N,N−ジメチルセミカルバジド)5重量部を添加攪拌して乳化させ、溶解固形分28%の配合組成物(組成物2)を得た。
【0022】
実施例3
(本発明の組成物3の調製)
合成例1で得たエマルジョン共重合物45重量部、合成例2で得たエマルジョン共重合物45重量部、6−ヘキサメチレンビス(N,N−ジメチルセミカルバジド)10重量部を添加攪拌して乳化させ、溶解固形分28%の配合組成物(組成物3)を得た。
【0023】
参考例1
(組成物4の調製)
実施例1で得たエマルジョン共重合物35重量部、実施例2で得たエマルジョン共重合物35重量部、2−ヒドロキシ−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン 5%水溶液 15重量部、3−〔3−tert−ブチル−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオン酸 5% 水/ブチルセロソルブ(50/50)溶液 15重量部の混合攪拌して配合組成物(組成物4)を得た。
【0024】
参考例2
(組成物5の調製)
1、6−ヘキサメチレンビス(N、N−ジメチルセミカルバジド)20重量部、水40重量部、メタノール40重量部を攪拌溶解して組成物(組成物5)を得た。
【0025】
染色例1
木綿繊維(ニット)を下記の染料、薬剤を用いて染色した。染色条件は浴比 1:15、染色温度 60℃、染色時間 60分。染色後、水洗し、スコアロールC−2100〔花王(株)製〕10g/lを用いて100℃で15分間ソーピングを行った。
【0026】
使用染料は以下カラーインデックスナンバーで表示する。使用染料中「%」とあるのは特記しない限り「対生地重量%」を示すものとする。
【0027】
使用染料、薬剤
C.I.Reactive Yellow145 0.54%、 C.I.Reactive Red195 0.38%、 C.I.Reactive Blue225 0.5%、 ボウ硝 40g/l,ソーダ灰 10g/l
【0028】
染色例2
半合成繊維(トリアセテートタフタ)を下記の染料、薬剤を用いて染色した。染色条件は浴比 1:15、染色温度 120℃、染色時間 60分。染色後、水洗し、スコアロールC−2100〔花王(株)製〕10g/lを用いて70℃で10分間ソーピングを行った。
【0029】
使用染料、薬剤
C.I.Disperse Yellow79 0.1%、 C.I.Disperse Blue148 0.1%、 80%酢酸 0.4ml/l、 レベノールTD−680〔花王(株)製〕 0.5g/l
【0030】
染色例3
ナイロン(ニット)を下記の染料、薬剤を用いて染色した。染色条件は浴比 1:15、染色温度 100℃、染色時間 60分。染色後、水洗し、スコアロールC−2100〔花王(株)製〕10g/lを用いて100℃で15分間ソーピングを行った。
【0031】
C.I.Acid Yellow49 0.1%、 C.I.Acid Red257 0.1%、 C.I.Acid Blue40 0.1%、 80%酢酸 1%、 酢酸アンモニュウム 3%
【0032】
染色例4
半合成繊維(トリアセテートタフタ)を下記の染料、薬剤を用いて染色した。染色条件の浴比 1:15、染色温度 120℃、染色時間 60分、染色後、水洗し、スコアロールC−2100〔花王(株)製〕10g/lを用いて70℃で10分間ソーピングを行った。
【0033】
使用染料、薬剤
C.I.Disperse Blue56 0.1%、 80%酢酸 0.4ml/l、 レベノールTD−680〔花王(株)製〕 0.5g/l
【0034】
実施例4〜7
(木綿繊維(ニット)染色物の耐光堅牢度試験)
染色例1で得られた木綿繊維(ニット)の染色物を使用し、耐候向上剤として下記パッド浴組成で、実施例1〜3で得られた組成物1〜3と水との混合浴にパッド法にて含浸、絞り率90%、130℃にて3分乾燥・熱処理を行った。JISL0842に従い20時間及び40時間耐光堅牢度試験を行い、試験布をJISブルースケールで判定した。結果を表1に表す。
【0035】
比較例1
耐候向上剤として組成物1のかわりに、共重合物1を用いる以外は実施例4と同様にして試験を行った。結果を表1に表す。
【0036】
比較例2
耐候向上剤として組成物1のかわりに、共重合物2を用いる以外は実施例4と同様にして試験を行った。結果を表1に表す。
【0037】
比較例3
組成物1で処理しない、未処理布を用い、実施例4と同様にして試験を行った。結果を表1に表す。
【0038】
表1
【0039】
表1より、実施例4〜7は、比較例1〜3に比べて耐光堅牢度が強いことがわかる。
【0040】
(半合成繊維(トリアセテートタフタ)染色物の耐光堅牢度試験)
実施例8
染色例2で得られた半合繊維(トリアセテートタフタ)の染色物を使用し、耐候向上剤として下記パッド浴組成で、実施例1で得られた組成物1と水との混合浴にパッド法にて含浸、絞り率82%、130℃にて3分乾燥・熱処理を行った。JIS L0842に従い20時間及び40時間耐光堅牢度試験を行い、試験布JISブルースケールで判定した。結果を表2に表す。
【0041】
比較例4
耐候向上剤として組成物1のかわりに、共重合物1を用いる以外は実施例8と同様にして試験を行った。結果を表2に表す。
【0042】
比較例5
耐候向上剤で処理しない未処理布を用い、実施例8と同様にして試験を行った。結果を表2に表す。
【0043】
表2
【0044】
表2より、実施例8は、比較例4、5に比べて耐光堅牢度が強いことがわかる。
【0045】
実施例9
(ナイロン(ニット)染色物の耐光堅牢度試験)
染色例3で得られたナイロン(ニット)の染色物を使用し、耐候向上剤として下記パッド浴組成で、実施例1で得られた組成物1と水との混合浴にパッド法にて含浸、絞り率43%、130℃にて3分乾燥・熱処理を行った。JIS L0842に従い20時間及び40時間耐光堅牢度試験を行い、試験布JISブルースケールで判定した。結果を表3に表す。
【0046】
比較例6
耐候向上剤として組成物1のかわりに、共重合物1を用いる以外は実施例9と同様にして試験を行った。結果を表3に表す。
【0047】
比較例7
耐候向上剤で処理しない未処理布を用い、実施例9と同様にして耐光堅牢度試験を行った。結果を表3に表す。
【0048】
表3
【0049】
表3より、実施例9は、比較例6、7に比べて耐光堅牢度が強いことがわかる。
【0050】
実施例10
(羊毛繊維織物(未染色物)の耐光堅牢度試験)
着色されていない市販の素材として、羊毛繊維織物を用い、耐候向上剤として実施例1で得られた組成物1と水との混合浴にパッド法にて含浸、絞り率80%、130℃にて3分乾燥・熱処理を行った。JIS L0842に従い10時間及び20時間耐光堅牢度試験を行い、試験布JISブルースケールで判定した。結果を表4に表す。
【0051】
比較例8
耐候向上剤で処理しない未処理羊毛繊維織物を用い、実施例10と同様にして試験を行った。結果を表4に表す。
【0052】
表4
【0053】
表4より、着色されていない羊毛繊維(比較例8)が光により変退色することがわかると共に、実施例10は、比較例8に比べて耐光堅牢度が強いことがわかる。
【0054】
実施例11
(い草の畳表の耐光堅牢度試験)
い草の畳表を用い、耐候向上剤として実施例1で得られた組成物1と水との混合浴にパッド法にて含浸、絞り率19%、130℃にて3分乾燥・熱処理を行った。JIS L0842に従い10時間及び20時間耐光堅牢度試験を行い、試験布JISブルースケールで判定した。結果を表5に表す。
【0055】
比較例9
耐候向上剤で処理しない未処理のい草の畳表を用い、実施例11と同様にして試験を行った。結果を表5に表す。
【0056】
表5
【0057】
い草の畳表は淡い緑色を呈しているが、表5より、未処理の畳表(比較例9)は光により変退色することがわかると共に、実施例11は比較例9に比べて耐光堅牢度が強いことがわかる。
【0058】
実施例12〜15
(木綿繊維(ニット)染色物の汗耐光堅牢度試験)
染色例1で得られた染色物を使用し、耐候向上剤として実施例1〜3で得られた組成物1〜3と水との混合浴にパッド法にて含浸、絞り率90%、130℃にて3分乾燥・熱処理を行った。JIS L0888に準拠し、光及び汗に対する染色堅牢度試験を行い、試験布JIS変退色グレーケールで判定した。ただし、L−ヒスチジン塩酸塩はJIS規格の5倍量を使用し、カーボンアークフェードメーターで10時間照射した。結果を表6に表す。
【0059】
比較例10
耐候向上剤として組成物1のかわりに、共重合物1を用いる以外は実施例12と同様にして試験を行った。結果を表6に表す。
【0060】
比較例11
耐候向上剤として組成物1のかわりに、共重合物2を用いる以外は実施例12と同様にして試験を行った。結果を表6に表す。
【0061】
比較例12
組成物1で処理しない、未処理布を用い、実施例12と同様にして試験を行った。結果を表1に表す。
【0062】
表6
【0063】
表6より、実施例12〜15は、比較例10〜12に比べて汗耐光堅牢度が強いことがわかる。
【0064】
実施例17〜20
の染色例4で得られた染色物を使用し、耐候向上剤として実施例1〜3で得られた組成物1〜3と水との下記パッド浴組成の混合浴にパッド法にて含浸、絞り率43%、130℃にて3分乾燥・熱処理を行った。JIS L0855に従い窒素酸化物に対する染色堅牢度試験(強)を行い、試験布をJIS変退色グレーケールで判定した。結果を表7に表す。
【0065】
比較例16
耐候向上剤として組成物1のかわりに、共重合物1を用いる以外は実施例17と同様にして試験を行った。結果を表7に表す。
【0066】
比較例17
耐候向上剤として組成物1のかわりに、共重合物2を用いる以外は実施例17と同様にして試験を行った。結果を表7に表す。
【0067】
比較例18
組成物1で処理しない、未処理布を用い、実施例17と同様にして試験を行った。結果を表7に表す。
【0068】
表7
【0069】
表7より、実施例17〜20は、比較例16〜18に比べて窒素酸化物堅牢度が強いことがわかる。
【0070】
実施例21,22
染色例1で得られた染色物を使用し、耐候向上剤として参考例1で得られた共重合物(組成物4)と参考例2で得られた共重合物(組成物5)を用い、本発明の耐候性向上剤とし、水との下記パッド浴組成の混合浴にパッド法にて含浸、絞り率90%、130℃にて3分乾燥・熱処理を行った。JIS L0842に従い20時間及び40時間耐光堅牢度試験を行い、試験布JISブルースケールで判定した。結果を表8に表す。
【0071】
比較例19
耐候向上剤として組成物1のかわりに、組成物5を用いない以外は実施例21と同様にして試験を行った。結果を表8に表す。
【0072】
比較例20
組成物1で処理しない、未処理布を用い、実施例21と同様にして試験を行った。結果を表8に表す。
【0073】
表8
【0074】
表8より、実施例21,22は、比較例19,20に比べて耐光堅牢度が強いことがわかる。
【0075】
実施例23〜26
染色例1で得られた染色物を使用し、耐候向上剤として実施例1〜3で得られた組成物1〜3と水との下記パッド浴組成の混合浴にパッド法にて含浸、絞り率90%、130℃にて3分乾燥・熱処理を行った。JIS L0884に準拠し、塩素処理水に対する染色堅牢度試験(強:有効塩素20ppm)を行い、試験布をJIS変退色グレーケールで判定した。結果を表9に表す。
【0076】
比較例21
耐候向上剤として組成物1のかわりに、共重合物1を用いる以外は実施例23と同様にして試験を行った。結果を表9に表す。
【0077】
比較例22
耐候向上剤として組成物1のかわりに、共重合物2を用いる以外は実施例23と同様にして試験を行った。結果を表9に表す。
【0078】
比較例23
組成物1で処理しない、未処理布を用い、実施例23と同様にして試験を行った。結果を表9に表す。
【0079】
表9
【0080】
表9より、実施例23〜26は、比較例21〜23に比べて塩素堅牢度が強いことがわかる。
【発明の効果】
本発明の耐候性向上剤は天然繊維、半合成繊維、合成繊維、い草等の素材、及びそれらの着色物の紫外線及び酸化窒素等の酸化性ガス、塩素ガスによる変色及び退色を改善することができる。更に今まで困難とされていたセルロース系繊維の紫外線及び酸化窒素等の酸化性ガス、塩素ガスによる変色及び退色を改善することができる。このような効果を奏する本発明の耐候性向上剤は極めて有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は耐候性向上剤及びこれを用いる処理法に関する。更に詳しくは、特定の成分からなる耐光性向上剤及びこれを用いる天然繊維、合成繊維、皮革、紙、い草から成る素材又はこれらの素材の着色物の処理法に関する。
【0002】
【従来の技術】
衣・食・住は人間が生活を営んでいくために必要な3大要素とされ、その中でも繊維、皮革、紙、い草等は衣料・インテリア資材・産業資材等の衣・住の要素に幅広く使用されており、更に、その殆どが染料及び顔料等で色づけされて利用されている。
【0003】
しかしながら繊維・皮革・紙、い草等の素材はそれ自体が紫外線や大気中の酸化窒素、オゾン等の酸化性ガスによる影響を受け、変色する要素を含んでいる。また、それらが染料及び顔料で着色された製品も、加工に使用される染料及び顔料の種類によっては紫外線や酸化性ガスによる影響により変色及び/または退色する問題点がある。又、繊維およびその着色物が濡れた状態で大気中の酸化性ガスや汗等に含まれる還元物質と接触し、且つ紫外線の照射を受けると著しい変色及び/または退色することがある。例えば、スポーツウェアでは汗を掻いて日光に当たると変色及び退色が著しく大きくなるという問題があり、日本工業規格には光及び汗に対する染色堅牢度試験方法(JIS L−0888)が定められている。
【0004】
従来、繊維・皮革・紙、い草等の素材及びそれらの着色物の一部は紫外線吸収剤等を有機溶剤や水に溶解或は分散させて、それらの素材又はその着色物を処理することにより、紫外線吸収剤等を付与させたり、或は合成樹脂自体に紫外線吸収剤を練りこみ合成樹脂製製品の紫外線による影響を低減する等の方法により、耐光性を改善する方法が行われている。例えば、羊毛繊維については、例えば特許文献1に、ヒンダードアミン系化合物、セミカルバジド系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物の何れか一種以上をポリウレタン樹脂系等のバイダーを用いて付与する方法が記載されている。ポリアミド繊維については、例えば特許文献2に、ヒドラジアミノ基含有化合物単独またはベンゾトリアゾール誘導体と組合せてバインダー等を用いて処理することが有効と記載されている。天然アミド繊維及びセルロース系繊維ついては、例えば特許文献3に、ベンゾトリアゾール系化合物とヒンダードアミン系化合物の何れか一種以上で処理する方法が記載されている。ポリエステル繊維についてはベンゾトリアゾール系紫外線、吸収剤ベンゾフェノン系紫外線吸収剤を併用して染色することが一般的であるが、例えば特許文献4にはヒドラジドアミド基含有化合物等をバインダー等に添加混合して処理することが有効であると記載されている。
しかしながら、素材及びそれらの着色物のすべてについて、満足出来る十分な耐光性向上の方法は無く、さらなる改善が要望されている。特に水分を保有し易い素材や酸化性ガスを吸収し易い素材については、紫外線の影響だけでなく、酸化窒素、オゾンガス、塩素ガス等によって変色又は退色する要素も大きく、耐光性のみならず、耐候性の改善が要求されており、従来の耐光性向上を目的とした改善加工では十分な効果がみられなかった。
【特許文献1】
特開平2−242970号公報
【特許文献2】
特開平1−124695号公報
【特許文献3】
特開平1−282388号公報
【特許文献4】
特開平1−124694号公報
【特許文献5】
特表平11−501702号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
繊維・皮革・紙、い草等の素材及びそれらの着色物の紫外線及び酸化窒素等の酸化性ガス、塩素ガスによる変色及び退色を改善すること、すなわち各種素材及びそれらの着色物の耐候性を改善する方法を開発することを本発明の目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討の結果、特定の薬剤を必須成分として含有する組成物で処理することにより前記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
即ち、本発明は、
(1)(A)エチレン性二重結合を有するベンゾフェノン系化合物モノマー及び/又はエチレン性二重結合を有するベンゾトリアゾール系化合物モノマーと、(メタ)アクリル酸エステルモノマー及び/又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルモノマーとの共重合物及び(B)セミカルバジド基を有する化合物を含有することを特徴とする耐候性向上剤、
(2)(A)エチレン性二重結合を有するベンゾフェノン系化合物モノマー及び/又はエチレン性二重結合を有するベンゾトリアゾール系化合物モノマーと(メタ)アクリル酸エステルモノマー及び/又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルモノマーとの共重合物、(B)セミカルバジド基を有する化合物及び(C)水溶性ベンゾフェノン系紫外線吸収剤及び/またはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及び/又はヒンダードアミン系光安定剤を含有することを特徴とする耐候性向上剤、
(3)エチレン性二重結合を有するベンゾフェノン系化合物モノマー及びエチレン性二重結合を有するベンゾトリアゾール系化合物モノマーが、それぞれ一般式(1)で表されるベンゾフェノン系化合物及び一般式(2)で表されるベンゾトリアゾール系化合物である(1)又は(2)に記載の耐候性向上剤、
【化11】
(Rは、H又はCH3を、Xは、−CH2CH2−又は−CH2CH(OH)CH2−をそれぞれ示す。)
【化12】
(Rは、H又はCH3を、Xは、−CH2CH2−又は−CH2CH(OH)CH2−をそれぞれ示す。)
(4)(3に記載の一般式(1)で表されるベンゾフェノン系化合物及び/又は一般式(2)で表されるベンゾトリアゾール系化合物のアクリル酸エステル共重合物中の含有割合が8〜55モル%である(3の耐候性向上剤
(5)(B)セミカルバジド基を有する化合物が一般式(3)、(4)又は(5)で表される化合物である(1)乃至(4)の何れか一項に記載の耐候性向上剤、
【化13】
【化14】
【化15】
(式(3)、(4)及び(5)においてR1、R2、R3及びR4は炭素数1〜2のアルキル基を、X1は−(CH2)2 〜 8をそれぞれ示す。)
(6)(C)水溶性ベンゾフェノン系紫外線吸収剤及び/またはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及び/又はヒンダードアミン系光安定剤が一般式(6)、(7)、(8)又は(9)で表されるベンゾフェノン系化合物及び/又はベンゾトリアゾール系化合物及び/又はヒンダードアミン系光安定剤である(2)乃至(5)の何れか一項に記載の耐候性向上剤、
【化16】
(式(6)において、XはCl、CH3又はOR1を、YはOR2又はSO3Hを、m及びnは0から2の整数をそれぞれ示す。又、R1及びR2はH又は炭素数1から12のアルキル基を示す。)
【化17】
(式(7)において、XはH又はClを示す。R3及びR4は、同一又は異なっていてよく、H、炭素数1〜8のアルキル基又はアルコキシ基を示す。R5はH、COOH又はCH2COOHを示す。)
【化18】
【化19】
(式(8)及び式(9)においてR6は式(10)を示す。)
【化20】
(式(10)において、R7はH又はメチル基を示す。)
(7)(1)乃至(6)の何れか一項に記載の耐候性向上剤を用いることを特徴とする天然繊維、合成繊維、皮革、紙、い草等から成る素材又はこれらの素材の着色物の処理法、
に関する。
【0008】
以下本発明を詳細に説明する。
まず、本発明の耐候性向上剤において必須の成分として含有される(A)エチレン性二重結合を有するベンゾフェノン系化合物モノマー及び/又はベンゾトリアゾール系化合物モノマーと(メタ)アクリル酸エステルモノマーとの共重合物について説明する。
【0009】
(A)は、一般式(1)で表されるエチレン性二重結合を有するベンゾフェノン系化合物モノマー及び/又は一般式(2)で表されるベンゾトリアゾール系化合物モノマーから選ばれる少なくとも一種の紫外線吸収モノマーと(メタ)アクリル酸エステルモノマーの共重合物が好ましく、該共重合物中の該紫外線吸収モノマーの割合は通常8〜55重量%である。(A)の本発明の耐候向上剤に中における含有量は通常40〜95重量%、好ましくは50〜90重量%である。
【0010】
次ぎに本発明の耐候性向上剤において必須の成分として含有される(B)セミカルバジド基を有する化合物について説明する。
(B)は一般式(3)、一般式(4)、または一般式(5)で表されるセミカルバジド基を有する化合物であるのが好ましく、これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。本発明の耐候向上剤における(B)成分の含有量は2〜50重量%、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは5〜25重量%である。
【0011】
更に、本発明の耐候性向上剤において必要により含有される(C)水溶性ベンゾフェノン系紫外線吸収剤及び/またはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及び/又はヒンダードアミン系光安定剤について説明する。
(C)は、一般式(6)で表される水溶性ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、一般式(7)で表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、一般式(8)又は一般式(9)で表されるヒンダードアミン系光安定剤から選ばれるのが好ましく、又水溶性あるいは低級アルコールに対する溶解性が良好な化合物であるのが好ましく、本発明の耐候向上剤における含有量は通常0〜60重量%、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは5〜25重量%である。
【0012】
(A)エチレン性二重結合を有するベンゾフェノン系化合物モノマー及び/又はベンゾトリアゾール系化合物モノマーと(メタ)アクリル酸エステルモノマーとの共重合物と(B)セミカルバジド基を有する化合物に、必要により(C)水溶性ベンゾフェノン系紫外線吸収剤及び/またはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及び/又はヒンダードアミン系光安定剤を含有する場合の含有重量%について説明する。
本発明の耐候性向上剤において必須の成分として含有される(A)エチレン性二重結合を有するベンゾフェノン系化合物モノマー及び/又はベンゾトリアゾール系化合物モノマーと(メタ)アクリル酸エステルモノマーとの共重合物の含有量は50重量%以上であることが好ましい。その含有量が50重量%未満であると本発明の耐候性向上剤に含有される化合物に対するバイダー効果が減少し、耐久性が低下する傾向がある。同じく本発明の耐候性向上剤において必須の成分として含有される(B)セミカルバジド基を有する化合物の含有量は2.5〜25重量%、(C)水溶性ベンゾフェノン系紫外線吸収剤及び/またはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及び/又はヒンダードアミン系光安定剤の含有量は2.5〜25重量%が好ましい。
【0013】
本発明の耐候性向上剤はこれ自体で使用しても十分耐久性を有するが、所望なら従来公知の加工剤、フィックス剤、バインダー、コーティング剤、バッキング剤を併用することもできる。
【0014】
本発明の耐光性向上剤は前記各成分を前記した含有量になるように合成、混合、攪拌することにより製造される。溶剤としてメタノール等の低級アルコールを用いることもできるが本発明の耐候性向上剤は水または水と混和可能な溶媒との混合物に溶解させて使用するのが好ましい。
【0015】
本発明の耐光性向上剤を用いる天然繊維、合成繊維、皮革、紙、い草等から成る素材又はこれらの素材の着色物の処理法について説明する。
【0016】
本発明の耐候性向上剤は水または水と混和可能な溶媒との混合物に溶解又は分散させて使用することができる。その濃度は通常0.2〜10.0重量%程度が好ましい。本発明の耐候性向上剤を浸漬法、パディング法、コーティング法、スプレー法、印捺法により前記素材及びそれら素材の着色物に対して有効性と経済性を考慮すれば通常0.2〜4重量%を付与し、乾燥、時には熱処理を行ことにより耐候性を向上させることができる。乾燥は通常80〜140℃、好ましくは100〜130℃、通常3〜5分程度、他の加工剤、バインダー等と併用して高温熱処理が必要な場合は、その処理条件に合わせて差し支えない。
【0017】
本発明の耐候性向上剤は木綿、レーヨン等のセルロース系繊維、ウール、絹等の動物繊維、アセテート、トリアセテート等の半合成繊維、ナイロン、ポリエステル、アクリル等の合成繊維、皮革、紙、い草等の素材、及びそれらの着色物の日光(紫外線)、酸化窒素、オゾン等の酸化性ガス、塩素ガス等による変色及び退色を改善することができる。
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。なお、実施例において「部」とあるのは「重量部」を、また「%」とあるのは「重量%」をそれぞれ意味する。
【0018】
合成例1
(共重合物1の合成)
攪拌機、還流冷却機、窒素導入管、温度計、滴下ロート、圧力計を備えた反応器を窒素置換した後、イオン交換水300部、アクアロンHS−20(商品名、反応性乳化剤、第一工業製薬(株)製)15部、2−ヒドロキシ−4−メタクリロイルオキシエトキシベンゾフェノン45部、メタクリル酸メチル30部、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル20部、アクリル酸5部を攪拌機下で混合しプレエマルジョンとし、攪拌下で昇温を開始し内温が70℃となったところで、別途重合開始剤(AIBN)1重量部をメタノール20重量部に溶解した溶液を滴下ロートを用いて1時間かけて滴下した、滴下終了後3時間反応を行い、エマルジョン共重合物(共重合物1)を得た。
【0019】
合成例2
(共重合物2の合成)
攪拌機、還流冷却機、窒素導入管、温度計、滴下ロート、圧力計を備えた反応器を窒素置換した後、イオン交換水300部、アクアロンHS−20(商品名、反応性乳化剤、第一工業製薬(株)製)15部、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタクロイルオキシ)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール(大塚化学(株)製RUVA−93)45部、メタクリル酸メチル30部、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル20部、アクリル酸5部を攪拌機下で混合しプレエマルジョンとし、攪拌機下で昇温を開始し内温が70℃となったところで、別途重合開始剤(AIBN)1重量部をメタノール20重量部に溶解した溶液を滴下ロートを用いて1時間かけて滴下した、滴下終了後3時間反応を行い、エマルジョン共重合物(共重合物2)を得た。
【0020】
実施例1
(本発明の組成物1の調製)
合成例1で得た共重合物1のエマルジョン95重量部に6−ヘキサメチレンビス(N,N−ジメチルセミカルバジド)5重量部を添加攪拌して乳化させ、溶解固形分28%の配合組成物(組成物1)を得た。
【0021】
実施例2
(本発明の組成物2の調製)
合成例2で得た共重合物2のエマルジョン95重量部に6−ヘキサメチレンビス(N,N−ジメチルセミカルバジド)5重量部を添加攪拌して乳化させ、溶解固形分28%の配合組成物(組成物2)を得た。
【0022】
実施例3
(本発明の組成物3の調製)
合成例1で得たエマルジョン共重合物45重量部、合成例2で得たエマルジョン共重合物45重量部、6−ヘキサメチレンビス(N,N−ジメチルセミカルバジド)10重量部を添加攪拌して乳化させ、溶解固形分28%の配合組成物(組成物3)を得た。
【0023】
参考例1
(組成物4の調製)
実施例1で得たエマルジョン共重合物35重量部、実施例2で得たエマルジョン共重合物35重量部、2−ヒドロキシ−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン 5%水溶液 15重量部、3−〔3−tert−ブチル−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオン酸 5% 水/ブチルセロソルブ(50/50)溶液 15重量部の混合攪拌して配合組成物(組成物4)を得た。
【0024】
参考例2
(組成物5の調製)
1、6−ヘキサメチレンビス(N、N−ジメチルセミカルバジド)20重量部、水40重量部、メタノール40重量部を攪拌溶解して組成物(組成物5)を得た。
【0025】
染色例1
木綿繊維(ニット)を下記の染料、薬剤を用いて染色した。染色条件は浴比 1:15、染色温度 60℃、染色時間 60分。染色後、水洗し、スコアロールC−2100〔花王(株)製〕10g/lを用いて100℃で15分間ソーピングを行った。
【0026】
使用染料は以下カラーインデックスナンバーで表示する。使用染料中「%」とあるのは特記しない限り「対生地重量%」を示すものとする。
【0027】
使用染料、薬剤
C.I.Reactive Yellow145 0.54%、 C.I.Reactive Red195 0.38%、 C.I.Reactive Blue225 0.5%、 ボウ硝 40g/l,ソーダ灰 10g/l
【0028】
染色例2
半合成繊維(トリアセテートタフタ)を下記の染料、薬剤を用いて染色した。染色条件は浴比 1:15、染色温度 120℃、染色時間 60分。染色後、水洗し、スコアロールC−2100〔花王(株)製〕10g/lを用いて70℃で10分間ソーピングを行った。
【0029】
使用染料、薬剤
C.I.Disperse Yellow79 0.1%、 C.I.Disperse Blue148 0.1%、 80%酢酸 0.4ml/l、 レベノールTD−680〔花王(株)製〕 0.5g/l
【0030】
染色例3
ナイロン(ニット)を下記の染料、薬剤を用いて染色した。染色条件は浴比 1:15、染色温度 100℃、染色時間 60分。染色後、水洗し、スコアロールC−2100〔花王(株)製〕10g/lを用いて100℃で15分間ソーピングを行った。
【0031】
C.I.Acid Yellow49 0.1%、 C.I.Acid Red257 0.1%、 C.I.Acid Blue40 0.1%、 80%酢酸 1%、 酢酸アンモニュウム 3%
【0032】
染色例4
半合成繊維(トリアセテートタフタ)を下記の染料、薬剤を用いて染色した。染色条件の浴比 1:15、染色温度 120℃、染色時間 60分、染色後、水洗し、スコアロールC−2100〔花王(株)製〕10g/lを用いて70℃で10分間ソーピングを行った。
【0033】
使用染料、薬剤
C.I.Disperse Blue56 0.1%、 80%酢酸 0.4ml/l、 レベノールTD−680〔花王(株)製〕 0.5g/l
【0034】
実施例4〜7
(木綿繊維(ニット)染色物の耐光堅牢度試験)
染色例1で得られた木綿繊維(ニット)の染色物を使用し、耐候向上剤として下記パッド浴組成で、実施例1〜3で得られた組成物1〜3と水との混合浴にパッド法にて含浸、絞り率90%、130℃にて3分乾燥・熱処理を行った。JISL0842に従い20時間及び40時間耐光堅牢度試験を行い、試験布をJISブルースケールで判定した。結果を表1に表す。
【0035】
比較例1
耐候向上剤として組成物1のかわりに、共重合物1を用いる以外は実施例4と同様にして試験を行った。結果を表1に表す。
【0036】
比較例2
耐候向上剤として組成物1のかわりに、共重合物2を用いる以外は実施例4と同様にして試験を行った。結果を表1に表す。
【0037】
比較例3
組成物1で処理しない、未処理布を用い、実施例4と同様にして試験を行った。結果を表1に表す。
【0038】
表1
【0039】
表1より、実施例4〜7は、比較例1〜3に比べて耐光堅牢度が強いことがわかる。
【0040】
(半合成繊維(トリアセテートタフタ)染色物の耐光堅牢度試験)
実施例8
染色例2で得られた半合繊維(トリアセテートタフタ)の染色物を使用し、耐候向上剤として下記パッド浴組成で、実施例1で得られた組成物1と水との混合浴にパッド法にて含浸、絞り率82%、130℃にて3分乾燥・熱処理を行った。JIS L0842に従い20時間及び40時間耐光堅牢度試験を行い、試験布JISブルースケールで判定した。結果を表2に表す。
【0041】
比較例4
耐候向上剤として組成物1のかわりに、共重合物1を用いる以外は実施例8と同様にして試験を行った。結果を表2に表す。
【0042】
比較例5
耐候向上剤で処理しない未処理布を用い、実施例8と同様にして試験を行った。結果を表2に表す。
【0043】
表2
【0044】
表2より、実施例8は、比較例4、5に比べて耐光堅牢度が強いことがわかる。
【0045】
実施例9
(ナイロン(ニット)染色物の耐光堅牢度試験)
染色例3で得られたナイロン(ニット)の染色物を使用し、耐候向上剤として下記パッド浴組成で、実施例1で得られた組成物1と水との混合浴にパッド法にて含浸、絞り率43%、130℃にて3分乾燥・熱処理を行った。JIS L0842に従い20時間及び40時間耐光堅牢度試験を行い、試験布JISブルースケールで判定した。結果を表3に表す。
【0046】
比較例6
耐候向上剤として組成物1のかわりに、共重合物1を用いる以外は実施例9と同様にして試験を行った。結果を表3に表す。
【0047】
比較例7
耐候向上剤で処理しない未処理布を用い、実施例9と同様にして耐光堅牢度試験を行った。結果を表3に表す。
【0048】
表3
【0049】
表3より、実施例9は、比較例6、7に比べて耐光堅牢度が強いことがわかる。
【0050】
実施例10
(羊毛繊維織物(未染色物)の耐光堅牢度試験)
着色されていない市販の素材として、羊毛繊維織物を用い、耐候向上剤として実施例1で得られた組成物1と水との混合浴にパッド法にて含浸、絞り率80%、130℃にて3分乾燥・熱処理を行った。JIS L0842に従い10時間及び20時間耐光堅牢度試験を行い、試験布JISブルースケールで判定した。結果を表4に表す。
【0051】
比較例8
耐候向上剤で処理しない未処理羊毛繊維織物を用い、実施例10と同様にして試験を行った。結果を表4に表す。
【0052】
表4
【0053】
表4より、着色されていない羊毛繊維(比較例8)が光により変退色することがわかると共に、実施例10は、比較例8に比べて耐光堅牢度が強いことがわかる。
【0054】
実施例11
(い草の畳表の耐光堅牢度試験)
い草の畳表を用い、耐候向上剤として実施例1で得られた組成物1と水との混合浴にパッド法にて含浸、絞り率19%、130℃にて3分乾燥・熱処理を行った。JIS L0842に従い10時間及び20時間耐光堅牢度試験を行い、試験布JISブルースケールで判定した。結果を表5に表す。
【0055】
比較例9
耐候向上剤で処理しない未処理のい草の畳表を用い、実施例11と同様にして試験を行った。結果を表5に表す。
【0056】
表5
【0057】
い草の畳表は淡い緑色を呈しているが、表5より、未処理の畳表(比較例9)は光により変退色することがわかると共に、実施例11は比較例9に比べて耐光堅牢度が強いことがわかる。
【0058】
実施例12〜15
(木綿繊維(ニット)染色物の汗耐光堅牢度試験)
染色例1で得られた染色物を使用し、耐候向上剤として実施例1〜3で得られた組成物1〜3と水との混合浴にパッド法にて含浸、絞り率90%、130℃にて3分乾燥・熱処理を行った。JIS L0888に準拠し、光及び汗に対する染色堅牢度試験を行い、試験布JIS変退色グレーケールで判定した。ただし、L−ヒスチジン塩酸塩はJIS規格の5倍量を使用し、カーボンアークフェードメーターで10時間照射した。結果を表6に表す。
【0059】
比較例10
耐候向上剤として組成物1のかわりに、共重合物1を用いる以外は実施例12と同様にして試験を行った。結果を表6に表す。
【0060】
比較例11
耐候向上剤として組成物1のかわりに、共重合物2を用いる以外は実施例12と同様にして試験を行った。結果を表6に表す。
【0061】
比較例12
組成物1で処理しない、未処理布を用い、実施例12と同様にして試験を行った。結果を表1に表す。
【0062】
表6
【0063】
表6より、実施例12〜15は、比較例10〜12に比べて汗耐光堅牢度が強いことがわかる。
【0064】
実施例17〜20
の染色例4で得られた染色物を使用し、耐候向上剤として実施例1〜3で得られた組成物1〜3と水との下記パッド浴組成の混合浴にパッド法にて含浸、絞り率43%、130℃にて3分乾燥・熱処理を行った。JIS L0855に従い窒素酸化物に対する染色堅牢度試験(強)を行い、試験布をJIS変退色グレーケールで判定した。結果を表7に表す。
【0065】
比較例16
耐候向上剤として組成物1のかわりに、共重合物1を用いる以外は実施例17と同様にして試験を行った。結果を表7に表す。
【0066】
比較例17
耐候向上剤として組成物1のかわりに、共重合物2を用いる以外は実施例17と同様にして試験を行った。結果を表7に表す。
【0067】
比較例18
組成物1で処理しない、未処理布を用い、実施例17と同様にして試験を行った。結果を表7に表す。
【0068】
表7
【0069】
表7より、実施例17〜20は、比較例16〜18に比べて窒素酸化物堅牢度が強いことがわかる。
【0070】
実施例21,22
染色例1で得られた染色物を使用し、耐候向上剤として参考例1で得られた共重合物(組成物4)と参考例2で得られた共重合物(組成物5)を用い、本発明の耐候性向上剤とし、水との下記パッド浴組成の混合浴にパッド法にて含浸、絞り率90%、130℃にて3分乾燥・熱処理を行った。JIS L0842に従い20時間及び40時間耐光堅牢度試験を行い、試験布JISブルースケールで判定した。結果を表8に表す。
【0071】
比較例19
耐候向上剤として組成物1のかわりに、組成物5を用いない以外は実施例21と同様にして試験を行った。結果を表8に表す。
【0072】
比較例20
組成物1で処理しない、未処理布を用い、実施例21と同様にして試験を行った。結果を表8に表す。
【0073】
表8
【0074】
表8より、実施例21,22は、比較例19,20に比べて耐光堅牢度が強いことがわかる。
【0075】
実施例23〜26
染色例1で得られた染色物を使用し、耐候向上剤として実施例1〜3で得られた組成物1〜3と水との下記パッド浴組成の混合浴にパッド法にて含浸、絞り率90%、130℃にて3分乾燥・熱処理を行った。JIS L0884に準拠し、塩素処理水に対する染色堅牢度試験(強:有効塩素20ppm)を行い、試験布をJIS変退色グレーケールで判定した。結果を表9に表す。
【0076】
比較例21
耐候向上剤として組成物1のかわりに、共重合物1を用いる以外は実施例23と同様にして試験を行った。結果を表9に表す。
【0077】
比較例22
耐候向上剤として組成物1のかわりに、共重合物2を用いる以外は実施例23と同様にして試験を行った。結果を表9に表す。
【0078】
比較例23
組成物1で処理しない、未処理布を用い、実施例23と同様にして試験を行った。結果を表9に表す。
【0079】
表9
【0080】
表9より、実施例23〜26は、比較例21〜23に比べて塩素堅牢度が強いことがわかる。
【発明の効果】
本発明の耐候性向上剤は天然繊維、半合成繊維、合成繊維、い草等の素材、及びそれらの着色物の紫外線及び酸化窒素等の酸化性ガス、塩素ガスによる変色及び退色を改善することができる。更に今まで困難とされていたセルロース系繊維の紫外線及び酸化窒素等の酸化性ガス、塩素ガスによる変色及び退色を改善することができる。このような効果を奏する本発明の耐候性向上剤は極めて有用である。
Claims (7)
- (A)エチレン性二重結合を有するベンゾフェノン系化合物モノマー及び/又はエチレン性二重結合を有するベンゾトリアゾール系化合物モノマーと、(メタ)アクリル酸エステルモノマー及び/又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルモノマーとの共重合物及び(B)セミカルバジド基を有する化合物を含有することを特徴とする耐候性向上剤
- (A)エチレン性二重結合を有するベンゾフェノン系化合物モノマー及び/又はエチレン性二重結合を有するベンゾトリアゾール系化合物モノマーと(メタ)アクリル酸エステルモノマー及び/又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルモノマーとの共重合物、(B)セミカルバジド基を有する化合物及び(C)水溶性ベンゾフェノン系紫外線吸収剤及び/またはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及び/又はヒンダードアミン系光安定剤を含有することを特徴とする耐候性向上剤
- 請求項3に記載の一般式(1)で表されるベンゾフェノン系化合物及び/又は一般式(2)で表されるベンゾトリアゾール系化合物のアクリル酸エステル共重合物中の含有割合が8〜55モル%である請求項3の耐候性向上剤
- (C)水溶性ベンゾフェノン系紫外線吸収剤及び/またはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及び/又はヒンダードアミン系光安定剤が一般式(6)、(7)、(8)又は(9)で表されるベンゾフェノン系化合物及び/又はベンゾトリアゾール系化合物及び/又はヒンダードアミン系光安定剤である請求項2乃至請求項5の何れか一項に記載の耐候性向上剤
- 請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の耐候性向上剤を用いることを特徴とする天然繊維、合成繊維、皮革、紙、い草等から成る素材又はこれらの素材の着色物の処理法
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JP2003164736A JP2005002484A (ja) | 2003-06-10 | 2003-06-10 | 耐候性向上剤及びこれを用いた処理法 |
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-
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- 2003-06-10 JP JP2003164736A patent/JP2005002484A/ja active Pending
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