JP2005002225A - ゴム組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、特定のゴム状重合体と取り扱い性が優れ且つコスト競争力の強い湿式シリカからなる、透明性とゴム性能が優れるゴム組成物、及び該ゴム組成物を使用する履物を提供するものである。
【解決手段】ゴム状重合体100重量部と該ゴム状重合体100重量部当り5〜150重量部の湿式シリカからなるゴム組成物において、ゴム状重合体が23℃における屈折率が1.535〜1.600であるゴム状重合体(A)成分5〜80重量%と、23℃における屈折率が1.400〜1.530であるゴム状重合体(B)成分20〜95重量%からなり、湿式シリカが比表面積100〜350m/g、吸油量(V;cc/100g)と比表面積(S;m/g)との比が1.05以上であり、かつ平均粒子径1〜20μmであって、該ゴム組成物5mm厚のHAZE値(曇価)が50%以下であることを特徴とするゴム組成物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴム状重合体と湿式シリカからなる透明性が優れるゴム組成物に関する。詳しくはゴム状重合体と湿式シリカからなる、透明性が優れゴム物性特に耐圧縮永久歪性(c−set)やゴム弾性が優れるゴム組成物及び該ゴム組成物を使用した履物等の製品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、透明性やカラーリングが要求される種々の用途においてゴム状重合体にシリカを配合したゴム組成物が報告されている。
シリカとしては、分散性・透明性の観点から主として乾式シリカが使われてきたが、乾式シリカが使われているゴム組成物は製品価格の上昇を余儀なくされ、工業的には特別な用途に限定されている。また、製造工程においても、乾式シリカは嵩密度が低いため、粉が舞い上がって作業性が劣る問題がある。
【0003】
このような事情に鑑み、乾式シリカより安価な湿式シリカを用いることが検討されたが、透明性が著しく劣るものとなり、しかも硬さ、モジュラスが劣る補強効果が小さいゴム組成物となる。
【0004】
特許文献1はシリカとシランカップリング剤を限定し、ゴムに熱可塑性樹脂を混合することにより着色性と耐摩耗性が優れる靴底に関するものであり、カーボンブラックを使用しないことで着色可能である事を記載している。
特許文献2はハイシスポリブタジエンとスチレンレジンとシリカからなる、軽量化、耐摩耗性靴底材が開示されている。
特許文献3は、ゴムとシリカを限定しその比重を限定した靴底が示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭62−137002号公報
【特許文献2】
特開2000−236905号公報
【特許文献3】
特開2001−161404号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は透明性や着色性が優れ、ゴム特性、特にc−setやゴム弾性が優れる透明ゴム組成物を工業的に安価に製造する手段を提供し、透明ゴム組成物を使用したデザイン性、機能特性が優れる履物等の製品を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するため、湿式シリカをもちいるゴム組成物について鋭意研究をおこなった結果、特定の複数ゴムの組み合わせと特定の湿式シリカからなるゴム組成物が、HAZE値の低い優れた透明性と、ゴム物性も優れるものとなることを見出したことにより達成されたものである。即ち、下記ゴム組成物である。
【0008】
(1)ゴム状重合体100重量部と該ゴム状重合体100重量部当り5〜150重量部の湿式シリカからなるゴム組成物において、ゴム状重合体が23℃における屈折率が1.535〜1.600であるゴム状重合体(A)成分5〜80重量%と、23℃における屈折率が1.400〜1.530であるゴム状重合体(B)成分20〜95重量%からなり、湿式シリカが比表面積100〜350m/g、吸油量(V;cc/100g)と比表面積(S;m/g)との比が1.05以上であり、かつ平均粒子径1〜20μmであって、該ゴム組成物5mm厚のHAZE値(曇価)が50%以下であることを特徴とするゴム組成物。
(2)湿式シリカの吸油量が105〜370cc/100gであり、細孔容積が2.5cc/g以上である前記(1)に記載のゴム組成物。
(3)ゴム状重合体(A)成分と(B)成分の屈折率差が0.01以上である前記(1)または(2)に記載のゴム組成物。
(4)ゴム状重合体(A)成分と(B)成分のアセトン抽出分がそれぞれ2重量%以下である前記(1)から(3)のいずれか1項に記載のゴム組成物。
(5)ゴム状重合体(A)成分がビニル芳香族化合物結合量26〜90重量%のビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物の共重合体である前記(1)から(4)のいずれか1項に記載のゴム組成物。
(6)ゴム状重合体(B)成分が1,4−シス結合量80重量%以上のポリブタジエンである前記(1)から(5)のいずれか1項に記載のゴム組成物。
(7)前記(1)から(6)のいずれか1項に記載のゴム組成物を使用した履物。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、ゴム状重合体100重量部と該ゴム状重合体100重量部当り5〜150重量部の湿式シリカからなるゴム組成物において、ゴム状重合体が23℃における屈折率が1.535〜1.600であるゴム状重合体(A)成分5〜80重量%と、23℃における屈折率が1.400〜1.530であるゴム状重合体(B)成分20〜95重量%からなり、湿式シリカが比表面積100〜350m/g、吸油量(V;cc/100g)と比表面積(S;m/g)との比が1.05以上であり、かつ平均粒子径1〜20μmであって、該ゴム組成物5mm厚のHAZE値(曇価)が50%以下であることを特徴とするゴム組成物である。
本発明のゴム組成物において、ゴム状重合体としては、例えばジエン系重合体、オレフィン系重合体、ウレタン系重合体などを用いることができる。好ましいゴム状重合体はジエン系重合体やオレフィン系重合体である。
【0010】
ジエン系重合体は例えば、少なくとも1種の共役ジエン化合物または該共役ジエン化合物と共重合可能な少なくとも1種の他の単量体との共重合体である。
共役ジエン化合物としては例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどを用いることができ、共重合可能な他の単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレンなどのビニル芳香族化合物、及びアクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルなどを用いることができ、好ましいのはビニル芳香族化合物である。
【0011】
ジエン系重合体としては例えばブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、スチレン・イソプレン・ブタジエンゴム(SIBR)、ニトリル・ブタジエンゴム(NBR)更には高純度天然ゴムなどを用いることができる。さらに、これらの変性ポリマーやカップリングなどの分岐状ポリマーや水素添加物でもよい。共重合体中のモノマー単位はランダムに分布していても、ブロックに分布していてもよい。
【0012】
オレフィン系重合体はオレフィン類を重合して得られるゴム状重合体である。例えばブチルゴム(IIR)、エチレン・プロピレンゴム(EPM、EPDM)、エチレン・アルファオレフィン共重合体、エチレン・スチレン共重合体、などである。また、エチレン・共役ジエン共重合体も含まれる。
ウレタン系重合体としては例えばウレタンゴム(TPU)である。
本発明で使用するゴム状重合体はその構造がリニア−構造でもよく、分岐構造でもよい。
【0013】
また、末端が変性剤で変性された変性ゴム状重合体も好ましい原料ゴムであり、変性剤としては例えば、錫化合物などの金属化合物、水酸基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、アミン誘導体、アミド類、イミン類、シラン化合物、エポキシ化合物などであり、特にシリカと親和性の大きい変性基を有する変性剤、例えば水酸基含有化合物、アミン誘導体、アミド類、イミン類、シラン化合物、エポキシ化合物を使用することが好ましい。このような変性剤を2種以上併用することも可能であり、その他の変性剤を使用する事も可能である。
【0014】
本発明においてゴム状重合体は、屈折率の異なるゴム状重合体(A)成分と(B)成分からなることが必要である。(A)成分はJIS K7105に準じて測定される23℃の屈折率が1.535〜1.600であり、好ましくは1.540〜1.600である。重合体の屈折率を高くするには、例えばビニル芳香族化合物などの高屈折率のモノマー成分を増量することにより達成される。
【0015】
(B)成分はJIS K7105に準じて測定される23℃の屈折率が1.400〜1.530の重合体である。ゴム状重合体が屈折率の異なる2成分の重合体からなることにより、HAZE値が低下してより良好な透明性を有するゴム組成物が得られる。
(A)成分と(B)成分の屈折率差は0.010以上あることが好ましいが、より好ましくは0.020以上である。屈折率差が大きくなることによりゴム組成物の透明性が更に向上する。
【0016】
ゴム状重合体中の(A)成分の含有量は5〜80重量%であり、好ましくは10〜75重量%、特に好ましくは15〜70重量%であり、(B)成分は20〜95重量%、好ましくは25〜90重量%、特に好ましくは30〜85重量%である。
(A)成分が5重量%〜80重量%、(B)成分が20重量%〜95重量%の組成であることにより透明性が良好となり、c−setやゴム弾性などのゴム物性と透明性のバランスが良好となる。
【0017】
本発明のゴム状重合体は、(A)成分と(B)成分からなるものであり、(A)成分と(B)成分以外のゴム状重合体が、本発明の目的を達成できる範囲で加えられても良く、好ましくはゴム成分中20重量%以下、さらに好ましくは15重量%以下含有されるものでも良い。
【0018】
本発明において、(A)成分と(B)成分はアセトン抽出分がそれぞれ2重量%以下のものが好ましい。アセトン抽出成分は、例えば乳化重合などに使用される乳化剤や酸、塩類などの残渣であり、ゴム中に残留してHAZE値を大きくしてゴム組成物の透明性を低下させ、また着色原因ともなる。さらに、本発明で使用するゴム状重合体は、溶液重合で製造された不純物の少ない重合体が好ましい。
【0019】
本発明のゴム組成物において、好ましい(A)成分はビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物の共重合体であり、ビニル芳香族化合物としては前述のものが挙げられ、特に好ましいのはスチレンである。
共役ジエン化合物としては前述のものが挙げられ、好ましいのは1,3−ブタジエン、イソプレンである。
【0020】
本発明の、屈折率が1.535〜1.600であるゴム状重合体(A)成分がビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物からなる共重合体である場合は、該共重合体中のビニル芳香族化合物結合量は好ましくは26〜90重量%である。その場合、得られるゴム組成物の透明性が良好であり、靴底などに使用する場合グリップ性なども好ましいものとなる。またゴム組成物の混練加工性が優れ無機充填剤の分散性が好ましいものとなる。
【0021】
本発明において、(A)成分である共重合体中のビニル芳香族化合物結合構造と共役ジエン化合物の結合構造はブロック分布でもランダム分布でもよく、特に制限は無いが、得られるゴム組成物の目的によって選択すればよい。例えば硬度の高い組成物を得る場合はブロック分布構造の共重合体を選択し、また耐摩耗性などを向上する場合はランダム分布構造の共重合体を選択することが出来る。
本発明の、屈折率が1.400〜1.530であるゴム状重合体(B)成分がビニル芳香族化合物を含有するジエン系重合体である場合は、ビニル芳香族化合物結合量が25重量%以下であることが望ましい。その場合、得られるゴム組成物は、優れた透明性を有する。
【0022】
(B)成分であるジエン系重合体中のビニル芳香族化合物結合構造と共役ジエン化合物の結合構造はブロック分布でもランダム分布でも良く特に制限は無い。
本発明のゴム組成物のゴム状重合体(A)成分は(B)成分よりビニル芳香族化合物結合量が25重量%以上多い方が好ましく、その場合に(A)成分と(B)成分の屈折率差が大きくなり、より優れた透明性のゴム組成物が得られる。(A)成分と(B)成分の相溶性が低いほど、湿式シリカを添加したゴム組成物の透明性がより優れたものとなる。
【0023】
本発明のゴム組成物のゴム状重合体として特に好ましい(A)成分は結合スチレン量が26〜90重量%のスチレン−ブタジエン共重合体であり、更に好ましい結合スチレン量は30〜80重量%である。(A)成分の結合スチレン量が26〜90重量%の範囲にある場合、透明性と物性バランスに優れるゴム組成物が得られる。
【0024】
また、(A)成分として結合スチレン量の異なる2種以上のスチレン・ブタジエン共重合体を使用することも出来る。その場合、用いるスチレン・ブタジエン共重合体の結合スチレン量が用いる量に応じた加重平均値で本発明の範囲内であることが好ましい。スチレン・ブタジエン共重合体中のスチレンの結合はブロック分布でもランダム分布でも良く、特に制限は無い。ブタジエン部分のビニル結合分布もブロック分布でもランダム分布でも良いが、耐摩耗性を満足するためにはビニル結合量は80重量%以下、好ましくは60重量%以下、より好ましくは40重量%以下であることが望ましい。
【0025】
本発明の好ましい(B)成分である結合スチレン量が25重量%以下であるスチレン・ブタジエン共重合体中におけるスチレンの結合はブロック分布でもランダム分布でもよく、特に制限は無い。ブタジエン部分のビニル結合分布もブロック分布でもランダム分布でもよいが、耐摩耗性を満足するためにはビニル結合量は80重量%以下、好ましくは60重量%以下、より好ましくは40重量%以下であることが望ましい。ポリブタジエンの場合は耐摩耗性を満足するためにはビニル結合量は80重量%以下、好ましくは60重量%以下、より好ましくは40重量%以下であることが望ましい。
【0026】
本発明における(B)成分として1,4−シス結合が80重量%以上のハイシスポリブタジエンが特に好ましい。その場合に、透明性に加えて耐摩耗性がより優れたものとなる。
また、本発明に用いられるゴム状重合体のムーニー粘度は特に制限されるものではないが、好ましいムーニー粘度(ML1+4 100℃)の範囲は10〜150であり、高硬度の重合体の場合はML5+4 100℃やMS1+4 100℃条件などで5〜120の範囲が好ましく、ムーニー粘度は加工出来る範囲のものであればよい。
【0027】
本発明の湿式シリカとしては、一般的には珪酸アルカリ水溶液と無機酸を反応させて得られるものであり、種々の製造方法が知られている。
本発明の湿式シリカは、比表面積100〜350m/g、吸油量(V;cc/100g)と比表面積(S;m/g)との比(V/S)が1.05以上であり、かつ平均粒子径1〜20μmであることが必要である。
本発明の湿式シリカは、比表面積が100〜350 m/gである。その場合、得られるゴム組成物の透明性が優れる。好ましくは150〜250m/gである。比表面積は1次粒子径の大きさを表す尺度であり、比表面積が小さいとゴムとの混練後に到達する粒子径(以下、最終到達粒子径とも言う。)を十分小さくできず、得られるゴム組成物の透明性が低下する。一方、比表面積が大きいとシリカ粒子の凝集性が増大しその結果ゴム組成物中での分散性が劣ることになり、得られるゴム組成物の透明性が低下する。
【0028】
また、本発明において、湿式シリカの吸油量(V;cc/100g)と比表面積(S;m/g)との比(V/S)は1.05以上である。その場合、混練における解砕性・分散性が良く、最終到達粒子径を十分小さくでき、得られるゴム組成物は透明性が優れる。好ましくはV/Sが1.10以上である。また、V/Sは高いほど良いが、通常製造可能な範囲としては2.0以下である。
【0029】
さらに、本発明において、湿式シリカの平均粒子径は1〜20μmである。その場合、混練における最終到達粒子径を十分小さくでき、得られるゴム組成物の透明性が優れ、シリカの取り扱い性も良好である。平均粒子径が大きいと最終到達粒子径が大きくなる方向であり、小さすぎると取り扱い性が悪くなり、さらに製造に多大な労力を要する。好ましくは平均粒子径が2〜15μmであり、さらに好ましくは平均粒子径が5〜10μmである。
【0030】
本発明において用いられる湿式シリカは、好ましくは湿式シリカの吸油量が105〜370cc/100gであり、好ましくは細孔容積が2.5cc/g以上である。この場合、ストラクチャーがルーズになり分散性が向上するので、得られるゴム組成物の透明性がより優れたものとなる。吸油量はさらに好ましくは、150〜300cc/100g、より好ましくは165〜275cc/100gである。細孔容積はさらに好ましくは2.6cc/g以上である。
【0031】
本発明において用いられる湿式シリカは、鉄不純物が0.02重量%以下であることが好ましい。その場合、ゴム組成物の黒ずみ・黄変を少なくすることができる。
本発明において用いられる湿式シリカは、5%懸濁液にて測定されるPHが6.0〜7.5であることが好ましい。その場合、ゴム組成物の加硫時間の短縮を図ることができる。そして、これにより、ゴムの酸化分解による微量不純物の発生を防止し、得られるゴム組成物の着色を抑えるとともに加硫時間短縮による生産性の向上を図ることができる。
【0032】
本発明において用いられる湿式シリカは、粒子径が45μm以上の粗粉の量が0.01重量%以下であることが好ましい。その場合、ゴム組成物の透明性と機械的特性を高めることができる。
本発明において用いられる湿式シリカは、種々の方法で製造することが可能であるが、一例としてあげれば、ケイ酸ソーダ水溶液と硫酸を用いた中和反応から製造することができる。これは、ケイ酸ソーダ水溶液を60〜98℃の温度で連続的に攪拌しながら硫酸を適宜添加し反応を行なわせるものであり、この硫酸の添加方法は、先ず最初に硫酸を添加し中和反応を生じせしめその後連続的に添加してもいいし、反応のはじめから硫酸を連続的に添加してもいい。また、このときケイ酸ソーダを同時に添加せしめても構わない。
【0033】
所定の物性が得られるまで反応を継続した後に水溶液pH値を2〜5に調整し、その後沈殿珪酸を濾別し、洗浄し、次いで乾燥させる。また、場合によっては粉砕・造粒等の処置を施す。この場合の濾過・洗浄・乾燥等はそれぞれ公知の方法を採用しても何ら問題はない。
本発明のゴム組成物において、湿式シリカの使用量は原料ゴムであるゴム状重合体100重量部に対し5〜150重量部、好ましくは10〜120重量部、特に好ましくは10〜100重量部である。この範囲内において透明性が優れ、耐摩耗性やc−setとのバランスが優れたゴム組成物となる。
【0034】
また、本発明のゴム組成物は5mm厚のHAZE値(曇価)が50%以下である。この場合、透明性が良好で、種々の透明ゴム用途で用いることができる。さらに、好ましくは5mm厚のHAZE値(曇価)が37%以下である。
本発明のゴム組成物における湿式シリカの最終到達粒子径は、好ましくは0.1μm以下である。また、ゴム組成物中に、長径が0.3μm以上のシリカの凝集塊が存在しないことが好ましい。この場合、ゴム組成物の透明性が優れ、機械的物性も良好となる。なお、ゴム組成物中のシリカの状態はSPM(スキャニング プローブ マイクロスコープ)で測定することができる。
【0035】
本発明のゴム組成物には軟化剤として非汚染性のオイルを添加してもよい。このようなオイルとしては例えば、ナフテンオイルやパラフィンオイルなどであって、好ましい添加量は原料ゴム100重量部に対して50重量部以下である。
また、本発明のゴム組成物には、その特性改良のために各種の添加剤を添加することができる。
添加剤としては、例えば、シリカとゴム状重合体の親和性を高めるようなシランカップリング剤等が包含される。
【0036】
シランカップリング剤としては例えば、テトラエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビス−〔3−(トリエトキシシリル)−プロピル〕テトラスルフィド、ビス−〔3−(トリエトキシシリル)−プロピル〕ジスルフィド、トリエトキシシリルプロピル−メタクリレート−モノスルフィドなどのアルコキシシラン化合物が挙げられ、特に好ましいのはテトラエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シランである。本発明でシランカップリング剤の好ましい使用量は原料ゴム100重量部に対し0〜20重量部、より好ましくは0.5〜10重量部であって、2種以上を併用してもよい。シランカップリング剤を使用することによりゴム組成物のモジュラス、引張強度、引き裂き強度などの機械的強度が向上し、またc−setや耐摩耗性なども向上して透明性とのバランスが優れたものとなる。
【0037】
また、添加剤として、分散剤や活性剤を添加することもできる。例えば、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸などの脂肪酸やその誘導体またはジエチレングリコールやポリエチレングリコールなどを原料ゴム100重量部に対して5重量部以下添加してもよいが、出来るだけ融点の低いものが好ましい。このような分散剤や活性剤などの添加量が5重量部より多くなると得られるゴム組成物の濁りやブリードなどの原因になり好ましくない。
その他、非汚染性の老化防止剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、紫外線吸収剤などの各種安定剤や用途に応じて顔料などの着色剤を添加してもよい。
【0038】
また、本発明のゴム組成物を架橋・加硫する場合、各種の架橋剤や加硫剤が使用できる。例えば硫黄、硫黄化合物、有機過酸化物、オキシム類、ニトロソ化合物、ポリアミン類、金属化合物などでありこれらを併用することも出来る。好ましいものは硫黄、硫黄化合物、有機過酸化物であるが、特に好ましいのは有機過酸化物であって例えばt−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジーt−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル2,5−(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ベンゾイルペルオキシド、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどである。硫黄系の加硫では非汚染性の加硫促進剤を使用することが好ましい。
【0039】
本発明のゴム組成物の製造方法は、少なくとも1種のゴム状重合体100重量部と該ゴム状重合体100重量部当たり湿式シリカ5〜150重量部とを含むゴム組成物の製造方法において、該ゴム状重合体と湿式シリカを混練する工程中、少なくとも1回ゴム温度が0〜60℃で30秒間以上混練することが好ましい。より好ましくは10〜50℃の温度域で30秒間以上、さらに好ましくは1分間以上混練するゴム組成物の製造方法であり、この範囲内で混練することにより無機充填剤の分散性が向上し、透明性とc−setやゴム弾性などの物性とのバランスが優れたものとなる。
【0040】
このような本発明のゴム組成物の製造方法では、あらゆる混練機を使用できる。例えばバンバリーミキサー、加圧ニーダー、インターミキサー、押出し機、オープンロールなどである。
本発明におけるゴム組成物の混練方法は、例えば、0〜60℃の温度域でゴム状重合体と湿式シリカの全部又は一部、及び必要に応じその他添加剤の全部または一部を添加し30秒間以上混練する方法、またはその後混練による発熱などで60〜180℃の所定の温度で、所定の時間まで混練する製造方法などであってもよい。
【0041】
あるいは、1段目において、60〜180℃の最高混練温度で配合した後、ゴム組成物を0〜60℃で30秒間以上再練りする方法などであってもよく、再練り時に加硫剤、架橋剤などその他添加剤を添加してもよい。
また、混合ロールなどを使用し0〜60℃の一定温度域でゴム状重合体と湿式シリカ及び必要に応じその他添加剤を添加し混練するゴム組成物の製造方法や、または従来のように60℃を超える高い温度でゴム状重合体と湿式シリカなどを配合混練する従来の混練温度で配合した後に、ゴム組成物を0〜60℃で30秒間以上再練する方法などであって、再練時に加硫剤、架橋剤などその他添加剤を添加する方法であってもよい。
【0042】
また、高硬度のゴムは低い温度では混練が困難であるため60℃を越える高い混練温度が必要であるが、予め高硬度のゴムと混練可能な低硬度のゴムと必要に応じ湿式シリカを60℃以上の温度でブレンドし、その後ゴム組成物を0〜60℃で30秒間以上再練する方法、また再練時に加硫剤、架橋剤などその他添加剤を添加する方法であってもよい。
あるいは、高温で加工が必要な材料とその他ゴム、湿式シリカや加硫剤などその他添加剤を同時に60℃以上の温度で混練して、その後0℃〜60℃の温度で再練する方法や、更にもう一度60℃以上の温度で混練して製造する方法など、高温練りと低温練りを繰り返して混練する方法などである。
【0043】
要するに、本発明のゴム組成物を得る混練方法は連続的に混練する工程、又は多段で混練する工程の初期工程、途中の工程又は最終の工程のいずれかにおいて、0〜60℃の温度域で30秒以上の時間、ゴム状重合体と湿式シリカを混練することを特徴とし、ゴム組成物中の湿式シリカの分散性を向上して透明性と物性の向上を図ったものである。
【0044】
本発明のゴム組成物の製造方法で使用する原料ゴム及び湿式シリカの水分などが高い場合、当該水分が透明性を悪化させたり補強効果を弱めて物性を低下させたりする。このような含水率の高い原料ゴムや湿式シリカを使用する場合は、出来れば予め乾燥して揮発分の少ない湿式シリカを使用することが望ましい。
また、100℃以上の高温練によって混練と同時に水分を蒸発除去する事も可能である。配合物に水分が残っていると架橋・加硫が不均質になり、得られる加硫ゴム組成物に濁りや気泡が発生し、また各種物性も不充分となる。
更に、本発明は前述したゴム状重合体と湿式シリカからなるゴム組成物を含む履物に関する。
【0045】
また、本発明のゴム組成物は、透明性やカラーリング特性、c−setやゴム弾性などを活かしたあらゆる用途に利用できる。
例えば、靴底やサンダル、履物の各種部品などに特に有用であり、その他各種タイヤ、自動車用品、OA機器や事務用品、キャスター、家電、医療用途、スポーツ用品、玩具、家具など各種用途に使用できる。
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
【0046】
《原料ゴム状重合体の調製》
以下の実施例及び比較例で使用したゴム組成物の原料となるゴム状重合体を下記表1の重合処方に従って窒素置換した攪拌機付き10Lオートクレーブを使用して、バッチ重合で調製した。
全モノマー量は1.00kgとして、モノマー100重量部当たり550重量部(以下、phm(per hundred monomer)と表記する)のシクロヘキサン溶媒中、n−ブチルリチウムを重合開始剤としてスチレンモノマーと1,3−ブタジエンを共重合し、スチレン・ブタジエンゴムSBR−A〜SBR−Dを得た。
【0047】
SBR−A、Dについては、オートクレーブに表1記載の材料を全て仕込み反応を行ったが、SBR−Bについては、特開昭59−140211号公報記載のランダムスチレン・ブタジエン製造方法に準じて、表1記載の1,3−ブタジエンのうち24重量部を重合の途中から重合最高到達温度まで重合系中に6分間連続的に添加してランダム化した。
【0048】
各重合バッチとも重合最高到達温度から2分後にモノマーの転化率(ガスクロマトグラフィーで測定)はスチレンが全て99.5%以上、1,3ブタジエンは全て99.8%以上であった。SBR−Bは重合最高到達温度から2分後にその重合体溶液の半量をオートクレーブから抜き出して、SBR−Bを仕上げた。オートクレーブ中に残存した、活性なSBR−Bの重合体溶液にテトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンを表1の▲1▼に記載の量添加してSBR−Cを製造した。
【0049】
【表1】
Figure 2005002225
【0050】
反応終了後、それぞれの重合体溶液に水をn−ブチルリチウムの10倍モル量添加して反応を停止した。その後、重合体溶液に夫々安定剤として2,6−ジ−tertブチル−4−メチルフェノールをゴム100重量部当たり0.3重量部添加し、ドラムドライヤーで脱溶媒、乾燥して仕上げた。
下記表2に、製造したスチレン・ブタジエンゴムの分析値を記載した。
【0051】
《調製スチレン・ブタジエンゴムの分析方法》
(1)結合スチレン量
紫外分光光度計(日本分光社製 V−520 UV)で、標準ポリスチレンのUV吸収強度と比較して求めた。
(2)スチレンブロック量
ゴム状重合体2重量部をクロロホルム100重量部に溶解し、ターシャリーブチルヒドロペルオキシド5重量部とオスミウムテトラオキシド0.01重量部を添加した後、攪拌しながら80℃湯浴中で15分間分解した後、分解溶液に10倍容量のメタノールを添加して生成沈澱物を濾別(フィルター網目サイズ0.45μm)し、乾燥してその重量からゴム状重合体中のスチレンブロック量を求めた。
(3)ブタジエン中の1,2−ビニル結合量
赤外分光光度計(日本分光社製 V−520 UV)で測定しハンプトン法で求めた。
(4)アセトン抽出分の測定
200メッシュ金網袋に厚さ0.5mmのゴム状重合体サンプルシートを入れ、アセトン還流2時間抽出後、真空乾燥をして抽出前後の重量差から求めた。
(5)ゴム状重合体の屈折率の測定
ATAGO OPTICAL WORKS社製屈折計を使用、JIS−K7105に準じて23℃で測定した。
【0052】
【表2】
Figure 2005002225
【0053】
その他以下記載の市販スチレン・ブタジエンゴムとブタジエンゴムを使用した。
SBR−EとしてJSR0202(JSR社製 結合スチレン量46重量%、ムーニー粘度ML1+4 100℃45の乳化重合SBR)を使用した。アセトン抽出分4.1重量%、屈折率は1.557であった。
BRはUBEPOL−150(宇部興産製1,4−シス結合98重量%、ムーニー粘度ML1+4 100℃が43)を使用した。アセトン抽出分0.6重量%、屈折率は1.523であった。
【0054】
《実施例及び比較例で使用した湿式シリカの調製》
<シリカ−1>
1000Lの反応層に、予め水180Lと珪酸ソーダ溶液7L(市販の珪酸ソーダ溶液:SiO/NaO=3.32)を投入し、攪拌しながら水溶液の温度を92℃に調整した。次いで液温を92℃に保ちながら珪酸ソーダを3.1L/分、22%硫酸を0.49L/分の割合で40分間連続して投入した後、珪酸ソーダと硫酸の添加を中断して温度90℃で30分間攪拌した。その後最初の条件と同様に再度珪酸ソーダと硫酸を65分間連続して投入した。更にPHが3.5になるまで硫酸のみを添加して反応を終了した。この反応液をフィルタープレスを用いて濾別ケークの電気伝導度が41μSになるまで十分に濾過、水洗した後、ケークを乾燥し、更に粉砕、分級を実施して表3に示す湿式シリカ−1を得た。
【0055】
<シリカ−2>
1000Lの反応層に、予め水180Lと珪酸ソーダ溶液7L(市販の珪酸ソーダ溶液:SiO/NaO=3.32)を投入し、攪拌しながら水溶液の温度を92℃に調整した。次いで液温を89℃に保ちながら珪酸ソーダを3.1L/分、22%硫酸を0.49L/分の割合で115分間連続して投入した。その後PHが3.3になるまで硫酸のみを添加して反応を終了した。この反応液をフィルタープレスを用いて濾別ケークの電気伝導度が41μSになるまで十分に濾過、水洗した後、ケークを乾燥し、更に粉砕、分級を実施して表3に示す湿式シリカ−2を得た。
【0056】
<シリカ−3>
1000Lの反応層に、予め水180Lと珪酸ソーダ溶液7L(市販の珪酸ソーダ溶液:SiO/NaO=3.32)を投入し、攪拌しながら水溶液の温度を85℃に調整した。次いで液温を85℃に保ちながら珪酸ソーダを3.1L/分、22%硫酸を0.49L/分の割合で40分間連続して投入した後、珪酸ソーダと硫酸の添加を中断して温度85℃で30分間攪拌した。その後最初の条件と同様に再度珪酸ソーダと硫酸を120分間連続して投入した。更にPHが3.5になるまで硫酸のみを添加して反応を終了した。この反応液をフィルタープレスを用いて濾別ケークの電気伝導度が41μSになるまで十分に濾過、水洗した後、ケークを乾燥し、更に粉砕、分級を実施して表3に示す湿式シリカ−3を得た。
【0057】
<シリカ−4>
1000Lの反応層に、予め水180Lと珪酸ソーダ溶液7L(市販の珪酸ソーダ溶液:SiO/NaO=3.32)を投入し、攪拌しながら水溶液の温度を85℃に調整した。次いで液温を85℃に保ちながら珪酸ソーダを3.1L/分、22%硫酸を0.49L/分の割合で40分間連続して投入した後、珪酸ソーダと硫酸の添加を中断して温度85℃で30分間攪拌した。その後最初の条件と同様に再度珪酸ソーダと硫酸を35分間連続して投入した。更にPHが3.5になるまで硫酸のみを添加して反応を終了した。この反応液をフィルタープレスを用いて濾別ケークの電気伝導度が41μSになるまで十分に濾過、水洗した後、ケークを乾燥し、更に粉砕、分級を実施して表3に示す湿式シリカ−4を得た。
【0058】
<シリカ−5>
シリカ−2の反応終了後、同条件で濾別、水洗、ケーク乾燥後、粉砕・分級条件を調整して表3に示すシリカ−5を製造した。
<シリカ−6>
市販品の湿式シリカ:Ultrasil VN3(Degussa社製)をシリカ−6として使用した。
【0059】
《調製シリカの試験・測定方法》
(1)比表面積
簡易型窒素吸着法によるBET1点法により求めた。
(2)吸油量
JIS K5101に準じて測定した。
(3)平均粒子径
少量の試料をメタノールに添加し、超音波分散器で60W、3分間分散する。
この溶液をコールターカウンター法粒度分布測定器(COULTER ELECTRONICS INS製TA−II型)で、50μm若しくは200μmのアパーチャーを用いて測定した。
(4)鉄不純物量
試料を一定量秤量して成型した後に、予め検量線を作成しておいた蛍光X線測定装置にて測定をした。
(5)細孔容積
CARLO ERBA社製の水銀圧入法による細孔径分布測定器ポロシメーター2000型で測定した。
(6)湿式シリカのPH
蒸留水100mLに、試料5gを添加し、5分間攪拌した後、10分間静置後のPHをPHメーターで測定した。
(7)45μm以上の粗粉の量
試料1kgをポリエチレン袋に入れ、蒸留水で良く湿潤させた後、このスラリー溶液を45μmの篩をセットしたミクロウオッシブに少量ずつ投入する。この篩をそのまま乾燥機に入れ105℃で半日乾燥後、この篩上に残った粗粉の量を測定した。
(8)電気伝導度
蒸留水100mLに、試料5gを添加し、5分間攪拌した後、10分間静置後の電気伝導度を電気伝導度計で測定した。
【0060】
【表3】
Figure 2005002225
【0061】
《実施例ゴム組成物と比較例ゴム組成物の製造》
参考例で調製したSBR−A〜D及び市販のSBR−Eと市販のBR、及び参考例で調製した湿式シリカを以下のように、配合・混練して実施例1〜6のゴム組成物と比較例1〜7のゴム組成物を製造した。
配合混練は、温度コントロールの出来る6インチオープンロールを使用した。
【0062】
<実施例1>
原料ゴムとしてSBR−A80g(40重量部)とBR120g(60重量部)を温度40℃のミキシングロールで巻き付け混合し、同ロール温度で約5分間かけてシリカ−1を70g(35重量部)と老化防止剤(ノクラックSP)1.0g(0.5重量部)とシランカップリング剤(ビニルトリメトキシシラン)4g(2重量部)を添加し、引き続き同温度条件(ゴム温度49℃)でジクミルペルオキシド1.0g(0.5重量部)を添加して2分間混練混合しゴム組成物を製造した。
【0063】
<実施例2>
原料ゴムとしてSBR−B70g(35重量部)とBR130g(65重量部)を80℃のミキシングロールで巻き付け混合し、同ロール温度で約5分間かけてシリカ−2を60g(30重量部)と老化防止剤(ノクラックSP)1g(0.5重量部)とシランカップリング剤(ビニルトリメトキシシラン)4g(2重量部)を添加混合した(ゴム温度85℃)。室温冷却後、ロール温度30℃でジクミルペルオキシド1.0g(0.5重量部)を添加して3分間再練混合し(ゴム温度41℃)ゴム組成物を製造した。
【0064】
<実施例3>
原料ゴムとしてSBR−C80g(40重量部)とBR120g(60重量部)を35℃のミキシングロールで巻き付け混合し、同ロール温度で約5分間かけてシリカ−1を80g(40重量部)と老化防止剤(ノクラックSP)1g(0.5重量部)とシランカップリング剤(ビニルトリメトキシシラン)4g(2重量部)を添加混合した(ゴム温度45℃)。その後、同ロール温度でジクミルペルオキシド1.0g(0.5重量部)を添加して2分間混練混合しゴム組成物を製造した。
【0065】
<実施例4>
原料ゴムとして(A)成分であるSBR−A40g(20重量部)及び(A)成分と(B)成分以外のゴム状重合体であるSBR−D30g(15重量部)と(B)成分であるBR130g(65重量部)を40℃のミキシングロールで巻き付け混合し、同ロール温度で約5分間かけてシリカ−2を60g(30重量部)と老化防止剤(ノクラックSP)1g(0.5重量部)とシランカップリング剤(ビニルトリメトキシシラン)4g(2重量部)を添加混合した(ゴム温度49℃)。その後、同ロール温度でジクミルペルオキシド1.0g(0.5重量部)を添加して2分間混練混合しゴム組成物を製造した。
【0066】
<実施例5>
原料ゴムとして(A)成分であるSBR−B50g(25重量部)及び(A)成分と(B)成分以外のゴム状重合体であるSBR−D30g(15重量部)と(B)成分であるBR120g(60重量部)を40℃のミキシングロールで巻き付け混合し、同ロール温度で約5分間かけてシリカ−1を70g(35重量部)と老化防止剤(ノクラックSP)1g(0.5重量部)とシランカップリング剤(ビニルトリメトキシシラン)4g(2重量部)を添加混合した(ゴム温度48℃)。その後、同ロール温度でジクミルペルオキシド1.0g(0.5重量部)を添加して2分間混練混合しゴム組成物を製造した。
【0067】
<実施例6>
原料ゴムとしてSBR−E80g(40重量部)とBR120g(60重量部)を40℃のミキシングロールで巻き付け混合し、同ロール温度で約5分間かけてシリカ−2を80g(40重量部)と老化防止剤(ノクラックSP)1g(0.5重量部)とシランカップリング剤(ビニルトリメトキシシラン)4g(2重量部)を添加混練りした(ゴム温度48℃)。その後、同ロール温度でジクミルペルオキシド1.0g(0.5重量部)を添加して3分間混合しゴム組成物を製造した。
以上の実施例1から6の処方を表4に示す。
【0068】
<比較例1>
原料ゴムとしてSBR−D90g(45重量部)とBR110g(55重量部)を40℃のミキシングロールで巻き付け混合し、同ロール温度で約5分間かけてシリカ−1を70g(35重量部)と老化防止剤(ノクラックSP)1g(0.5重量部)とシランカップリング剤(ビニルトリメトキシシラン)4g(2重量部)を添加混合した(ゴム温度49℃)。その後、同ロール温度でジクミルペルオキシド1.0g(0.5重量部)を添加して2分間混練混合しゴム組成物を製造した。
【0069】
<比較例2>
原料ゴムとしてSBR−A70g(35重量部)とBR130g(65重量部)を40℃のミキシングロールで巻き付け混合し、同ロール温度で約5分間かけてシリカ−3を70g(35重量部)と老化防止剤(ノクラックSP)1g(0.5重量部)とシランカップリング剤(ビニルトリメトキシシラン)4g(2重量部)を添加混練りした(ゴム温度48℃)。その後、同ロール温度でジクミルペルオキシド1.0g(0.5重量部)を添加して3分間混合しゴム組成物を製造した。
【0070】
<比較例3>
原料ゴムとしてSBR−A60g(30重量部)とBR140g(70重量部)を35℃のミキシングロールで巻き付け混合し、同ロール温度で約5分間かけてシリカ−4を70g(35重量部)と老化防止剤(ノクラックSP)1g(0.5重量部)とシランカップリング剤(ビニルトリメトキシシラン)4g(2重量部)を添加混練りした(ゴム温度43℃)。その後、同ロール温度でジクミルペルオキシド1.0g(0.5重量部)を添加して3分間混合しゴム組成物を製造した。
【0071】
<比較例4>
原料ゴムとしてSBR−A70g(35重量部)とBR130g(65重量部)を35℃のミキシングロールで巻き付け混合し、同ロール温度で約5分間かけてシリカ−5を70g(35重量部)と老化防止剤(ノクラックSP)1g(0.5重量部)とシランカップリング剤(ビニルトリメトキシシラン)4g(2重量部)を添加混練りした(ゴム温度43℃)。その後、同ロール温度でジクミルペルオキシド1.0g(0.5重量部)を添加して3分間混合しゴム組成物を製造した。
【0072】
<比較例5>
原料ゴムとしてBR200g(100重量部)を40℃のミキシングロールで巻き付け混合し、同ロール温度で約5分間かけてシリカ−1を80g(40重量部)と老化防止剤(ノクラックSP)1g(0.5重量部)とシランカップリング剤(ビニルトリメトキシシラン)4g(2重量部)を添加混練りした(ゴム温度49℃)。その後、同ロール温度でジクミルペルオキシド1.0g(0.5重量部)を添加して3分間混合しゴム組成物を製造した。
【0073】
<比較例6>
原料ゴムとしてSBR−A70g(35重量部)とBR130g(65重量部)を40℃のミキシングロールで巻き付け混合し、同ロール温度で約5分間かけてシリカ−1を6g(3重量部)と老化防止剤(ノクラックSP)1g(0.5重量部)とシランカップリング剤(ビニルトリメトキシシラン)4g(2重量部)を添加混練りした(ゴム温度46℃)。その後、同ロール温度でジクミルペルオキシド1.0g(0.5重量部)を添加して3分間混合しゴム組成物を製造した。
【0074】
<比較例7>
原料ゴムとしてSBR−A60g(30重量部)とBR140g(70重量部)を40℃のミキシングロールで巻き付け混合し、同ロール温度で約5分間かけてシリカ−6を70g(35重量部)と老化防止剤(ノクラックSP)1g(0.5重量部)とシランカップリング剤(ビニルトリメトキシシラン)4g(2重量部)を添加混練りした(ゴム温度49℃)。その後、同ロール温度でジクミルペルオキシド1.0g(0.5重量部)を添加して3分間混合しゴム組成物を製造した。
以上の比較例1〜7の処方を表5に示す。
【0075】
【表4】
Figure 2005002225
(単位:重量部)
*老化防止剤ノクラックSP(商品名)は大内新興化学工業社製のスチレン化フェノールである。
【0076】
【表5】
Figure 2005002225
(単位:重量部)
*老化防止剤ノクラックSP(商品名)は大内新興化学工業社製のスチレン化フェノールである。
【0077】
以上の実施例1〜6及び比較例1〜7で得られたゴム組成物を160℃で10分間プレス(10メガパスカル加圧)加硫して一昼夜放冷後、加硫したゴム組成物のHAZE値とc−set、反発弾性(ゴム弾性)、引張り物性及びシリカの分散状態などを測定した。その結果を表6、7に記載する。
【0078】
《実施例及び比較例ゴム組成物の架橋・加硫物物性測定方法》
<透明性の測定>
日本電色工業(株)製 HAZEメーター NDH−1001DP型を使用し、各実施例及び比較例で得られたゴム組成物の厚さ5mm板サンプルのHAZE値(曇価)と平行透過率を測定した。
<圧縮永久歪性(c−set)の測定>
JIS K6262に準じて70℃22時間条件で測定した。
<リュプケ反発弾性の測定>
JIS K6255に準じて(株)上島製作所製JIS反発弾性試験機
MODEL VR−502を使用、23℃恒温室で反発弾性を測定した。
<加硫ゴムの硬度の測定>
JIS K6253に準じて高分子計器(株)製CL−150Aタイプの
ShoreA硬度計を用いて室温条件(23℃恒温室)で測定した。
<引張試験>
JIS K6251に準じて室温条件(23℃恒温室)で引張試験をした。
<シリカの分散状態の測定>
セイコーインスツルメンツ(株)製SPM(スキャニング プローブ マイクロスコープ) 機種:SPI3800N
測定条件 温度 室温(23℃)サイクリックコンタクトモード、位相像
架橋ゴム組成物の5μm四方の異なる領域画像を5点観察して、画像5点のゴム組成物中における湿式シリカの最終到達粒子直径とそのシリカ粒子凝集塊を測定し、シリカ分散画像の3段階評価をした。
3はシリカの最終到達粒子直径が0.1μm以下であり、長径0.1μm以上のシリカ凝集塊がないもの。
2はシリカの最終到達粒子直径が0.1μm以下であるが、長径0.1μm〜0.3μmのシリカ凝集塊が1個以上5個以下であるもの。
1はシリカの最終到達粒子直径が0.1μm以上のものが1個以上あるか、または、長径0.1μm以上のシリカ凝集塊が6個以上あるもの。または、長径0.3μm以上の凝集塊が1個以上有るもの。
【0079】
【表6】
Figure 2005002225
【0080】
【表7】
Figure 2005002225
【0081】
実施例1〜5のゴム組成物はHAZE値が小さく何れも透明性が優れており、c−setやゴム弾性(リュプケ反発弾性)も良好で、透明性と物性のバランスが優れている。
実施例6はアセトン抽出分が多い乳化重合のSBRを使用して加硫物はやや薄い黄色に着色したが、透明性と物性のバランスは良好であった。
比較例のゴム組成物は何れもHAZE値が高く透明性が劣る結果であった。
比較例1はゴム状重合体(A)成分の屈折率が低すぎてHAZE値が高くなり、比較例2は湿式シリカの比表面積が小さいことによりシリカの分散最終到達粒子径が大きくなってHAZE値が高くなり、比較例3、4及び比較例7は湿式シリカのV/Sが低いことによりシリカの分散最終到達粒子径が大きくなってHAZE値が高くなった。
また、比較例5はゴム状重合体が(B)成分のみでありシリカの分散状態が不良となり、比較例6はシリカ量が少ないことによりHAZE値が高くなって透明性が低下した。
【0082】
透明性が優れる実施例の加硫物と透明性が劣る比較例の加硫物の、組成物中におけるシリカの分散状態をSPM(スキャニング プローブ マイクロスコープ)で観察した結果、実施例ではゴム組成物中におけるシリカの分散最終到達粒子径が0.1μm以下であった。特に実施例1、2、3は好ましいシリカの分散状態であり、長径が0.1μm以上のシリカ凝集塊は存在しなかった。
【0083】
【発明の効果】
本発明のゴム組成物は、優れた透明性とc−setやゴム弾性などの優れた物性を有しており、高度な着色性やデザイン性が要求される履物、高いグリップ性やゴム弾性などの高機能性が要求される履物、これら各種履物の各種部品などに有用であり、その他各種タイヤ、自動車用品、OA機器や事務用品、キャスター、家電、医療用途、スポーツ用品、玩具、家具など各種用途に使用できる。

Claims (7)

  1. ゴム状重合体100重量部と該ゴム状重合体100重量部当り5〜150重量部の湿式シリカからなるゴム組成物において、OLE_LINK1ゴム状重合体が23℃における屈折率が1.535〜1.600であるゴム状重合体(A)成分5〜80重量%と、23℃における屈折率が1.400〜1.530であるゴム状重合体(B)成分20〜95重量%からなり、湿式シリカが比表面積100〜350m/g、吸油量(V;cc/100g)と比表面積(S;m/g)との比が1.05以上であり、かつ平均粒子径1〜20μmであって、該ゴム組成物5mm厚のHAZE値(曇価)が50%以下であることを特徴とするゴム組成物。
  2. 湿式シリカの吸油量が105〜370cc/100gであり、細孔容積が2.5cc/g以上である請求項1記載のゴム組成物。
  3. ゴム状重合体(A)成分と(B)成分の屈折率差が0.01以上である請求項1または請求項2記載のゴム組成物。
  4. ゴム状重合体(A)成分と(B)成分のアセトン抽出分がそれぞれ2重量%以下である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  5. ゴム状重合体(A)成分がビニル芳香族化合物結合量26〜90重量%のビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物の共重合体である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  6. ゴム状重合体(B)成分が1,4−シス結合量80重量%以上のポリブタジエンである請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のゴム組成物を使用した履物。
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