JP2023155551A - ゴム組成物、アウトソール、ゴム組成物の製造方法、及び架橋ゴムシートの製造方法 - Google Patents

ゴム組成物、アウトソール、ゴム組成物の製造方法、及び架橋ゴムシートの製造方法 Download PDF

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康平 塩月
Kohei Shiotsuki
英樹 山崎
Hideki Yamazaki
剛司 羽山
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Abstract

【課題】ゴム組成物の加工性を損なわずに、架橋後のゴム組成物の耐摩耗性及び強度を向上させたゴム組成物を提供する。【解決手段】(A):スチレンブロック量/結合スチレン量の質量比が0.02~0.23、ブタジエン部分の1,2-ビニル結合量が10~60質量%、結合スチレン量が35~55質量%であり、ムーニー粘度が80~110の範囲にある、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム5~50質量%と、(B):天然ゴム、ジエン系合成ゴム、及び芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種であって、ムーニー粘度が20以上80未満であるジエン系ゴム50~95質量%とを含有するゴム成分と、(A)及び(B)からなるゴム成分100質量部に対し、(C):充填剤10~50質量部、及び、(D):脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体0.01~1質量部を、含有する、ゴム組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物、アウトソール、ゴム組成物の製造方法、及び架橋ゴムシートの製造方法に関する。
履物底材(アウトソール)には、耐摩耗性等の機能だけでなく、ファッション性、例えば、ミッドソール(履物中間層)のデザイン及び/又は色を透過させるための透明性等が要求されている。そのような履物底材を製造すること等を目的として、従来から種々のゴム組成物が開発されている。
特許文献1には、所定の屈折率差を有する二成分系のゴム重合体と湿式シリカとを含む透明性に優れたゴム組成物が開示されている。
また、特許文献2には、シリカを実質的に含まない低cisイソプレンゴム(以下、「IR」ともいう。)成分と他のゴム成分とを組み合わせたゴム組成物が開示されている。
さらに、特許文献3及び4には、ブロックスチレンブタジエンゴム(以下、「SBR」ともいう。)及び/又はランダムSBRを使用した履物底材用のゴム組成物が開示されている。
特開2005-2225号公報 特開2017-66423号公報 国際公開第2018/193555号 特開昭63-11102号公報
しかしながら、特許文献1に記載のゴム組成物は、耐摩耗性及び/又は強度が不十分な場合がある、という問題点を有している。
また、特許文献2に記載のゴム組成物は、低cisイソプレンゴム及び1,2-ポリブタジエンのような屈折率に差のあるゴム同士を組み合わせを用いており、ゴム組成物全体として透明性が不十分であると考えられる。なお、特許文献2の実施例では、低cisイソプレンゴム/1,2-ポリブタジエン又は低cisイソプレンゴム/ブタジエンの組み合わせのゴム成分を含有する架橋ゴム組成物のみが用いられており、それ以外の低cisイソプレンゴム(IR)と、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、ウレタンゴム(U)、エチレンプロピレンゴム(EPM)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、又はクロロプレンゴム(CR)との組み合わせは開示されておらず、透明性を高めるための検討がなされていない。また、特許文献2のいずれの実施例も充填剤を含まないため、強度特性が低い、という問題点を有している。
また、特許文献3及び4に記載の履物底材用のゴム組成物も、透明性や耐摩耗性が不十分である、という問題点を有している。
上述したような従来開示されている技術の問題点に鑑み、履物底材を構成するゴム組成物に関し、ゴムの分子量を大きくすれば、ゴム組成物としての耐摩耗性は上がる傾向にあるが、粘度が高くなって加工性が悪化し、さらには充填材との混練が十分にできないため、ゴム組成物における充填剤の分散による強度や耐摩耗性の向上効果を発揮しにくくなるという問題が生じる。
そこで本発明においては、上述した従来技術の問題点に鑑み、加工性に優れ、かつ強度及び耐摩耗性にも優れた架橋ゴム組成物が得られるゴム組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、所定のスチレン-ブタジエン共重合体ゴムと、所定のジエン系ゴムと、充填剤と、脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体を含むゴム組成物が、加工性に優れ、架橋後のゴム組成物の耐摩耗性や強度にも優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
(A):スチレンブロック量/結合スチレン量の質量比が0.02~0.23、
ブタジエン部分の1,2-ビニル結合量が10~60質量%、
結合スチレン量が35~55質量%、
であり、
ムーニー粘度が80~110の範囲にある、
スチレン-ブタジエン共重合体ゴム5~50質量%と、
(B):天然ゴム、ジエン系合成ゴム、及び芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種であって、ムーニー粘度が20以上80未満であるジエン系ゴム50~95質量%と、
を、含有するゴム成分と、
前記(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴム及び前記(B)ジエン系ゴムからなるゴム成分100質量部に対し、
(C):充填剤10~50質量部、及び、
(D):脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体0.01~1質量部
を、含有する、ゴム組成物。
〔2〕
前記(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴム及び前記(B)ジエン系ゴムからなるゴム成分100質量部に対して、(E):液状ジエンゴムを0~5質量部、さらに含有する、前記〔1〕に記載のゴム組成物。
〔3〕
前記(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴム中のスチレンブロック量が、0.70~12質量%である、前記〔1〕又は〔2〕に記載のゴム組成物。
〔4〕
前記(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの屈折率が、1.530~1.570であり、
前記(B)ジエン系ゴムの屈折率が、1.450~1.530であり、かつ
前記(C)充填剤の屈折率が1.370~1.500である、
前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載のゴム組成物。
〔5〕
前記(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの結合スチレン量が、40~50質量%である、前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載のゴム組成物。
〔6〕
前記(C)充填剤が、シリカ、炭酸マグネシウム、カーボンブラック及び水酸化マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも一種である、前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載のゴム組成物。
〔7〕
前記(D)脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体が、炭素数8~30のアルキル基又はアルケニル基を有する、前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載のゴム組成物。
〔8〕
前記(E)液状ジエンゴムが、
ブタジエン、及び/又は、スチレン-ブタジエン若しくはアクリロニトリル-ブタジエンのオリゴマーである、前記〔2〕乃至〔7〕のいずれか一に記載のゴム組成物。
〔9〕
HAZE値が10~40%である、前記〔1〕乃至〔8〕のいずれか一に記載のゴム組成物。
〔10〕
前記〔1〕乃至〔9〕のいずれか一に記載のゴム組成物を含むアウトソール。
〔11〕
(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴム98~99.98質量%と、(D)脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体0.02~2質量%を含有するベールと、
(B)天然ゴム、ジエン系合成ゴム、及び芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種であって、ムーニー粘度が20以上80未満であるジエン系ゴムと、
を、前記(A)及び前記(B)を、(A)/(B)の質量比が5/95~50/50とし、かつ、
前記(A)及び前記(B)からなるゴム成分100質量部に対して、(C)充填剤10~50質量部を、混練する工程を有し、
前記(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムは、スチレンブロック量/結合スチレン量の比が0.02~0.23であり、ブタジエン部分の1,2-ビニル結合が10~60質量%であり、結合スチレン量が35~55質量%であり、ムーニー粘度が80~110であるものとする、
ゴム組成物の製造方法。
〔12〕
(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴム98~99.98質量%と、(D)脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体0.02~2質量%とを含有するベールと、
(B)天然ゴム、ジエン系合成ゴム、及び芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種であって、ムーニー粘度が20以上80未満であるジエン系ゴムと、
を、前記(A)及び前記(B)を、(A)/(B)の質量比が5/95~50/50とし、かつ、
前記(A)及び前記(B)からなるゴム成分100質量部に対して、(C)充填剤10~50質量%を、混練し、混練物を得る工程と、
前記混練物に(G)架橋剤を混合し、加圧及び/又は加熱する工程と、
を、有し、
前記(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムは、スチレンブロック量/結合スチレン量の比が0.02~0.23であり、ブタジエン部分の1,2-ビニル結合が10~60質量%であり、結合スチレン量が35~55質量%であり、ムーニー粘度が80~110であるものとする、
架橋ゴムシートの製造方法。
本発明によれば、ゴム組成物の加工性を損なわずに、架橋後のゴム組成物の耐摩耗性及び強度を向上させたゴム組成物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施することができる。
〔ゴム組成物〕
本実施形態のゴム組成物は、
(A):スチレンブロック量/結合スチレン量の質量比が0.02~0.23、
ブタジエン部分の1,2-結合量が10~60質量%、
結合スチレン量が35~55質量%、
であり、ムーニー粘度が80~110の範囲にある、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム5~50質量%と、
(B):天然ゴム、ジエン系合成ゴム、及び芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種であって、ムーニー粘度が20以上80未満であるジエン系ゴム50~95質量%と、
を、含有するゴム成分と、
前記(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴム及び前記(B)ジエン系ゴムからなるゴム成分100質量部に対し、
(C):充填剤10~50質量部と、
(D):脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体0.01~1質量部
を、含有する。
本実施形態によれば、ゴム組成物の加工性を損なわずに、架橋後のゴム組成物の耐摩耗性及び強度を向上させたゴム組成物を提供できる。
((A) スチレン-ブタジエン共重合体ゴム)
本実施形態のゴム組成物は、(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(本明細書中、(A)成分と記載する場合がある。)を含有する。
(A)成分は、スチレンブロック量/結合スチレン量の質量比が0.02~0.23であり、ブタジエン部分の1,2-結合量が10~60質量%であり、結合スチレン量が35~55質量%であり、かつ、JIS K6300-1に準拠して測定される100℃におけるムーニー粘度が80~110の範囲である。
本発明者らは、(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムを所定の割合で含むゴム組成物が、耐摩耗性に優れ、かつアウトソール等の成形体に加工する際の加工性(混練し易さ)に優れた効果を発揮することを見出した。
本明細書において、スチレン-ブタジエン共重合体ゴムとは、スチレンモノマー及びブタジエンモノマーの共重合体を意味する。以下、スチレン-ブタジエン共重合体ゴムにおいてスチレンモノマーに由来する部分をスチレン部分、ブタジエンモノマーに由来する部分をブタジエン部分という。
<結合スチレン量>
(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムは、結合スチレン量が35~55質量%である。これにより、引張強度及び引裂強度といった機械的特性に優れるゴム組成物が得られる。同様の観点から、(A)成分の結合スチレン量は、好ましくは38~53質量%、より好ましくは40~50質量%である。
結合スチレン量が35~55質量%の場合、(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの屈折率は1.544~1.561程度になる。
本明細書において、「結合スチレン量」とは、(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムにおける、スチレン単量体単位の含有量(質量%)を意味する。すなわち、結合スチレン量は、(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムにおいて、スチレン部分及びブタジエン部分の総質量に対するスチレン部分の質量割合を意味するため、(A)成分に含まれるスチレンブロックを構成するスチレン単量体単位と、(A)成分がランダムブロックを有する場合はランダムブロックに含まれるスチレン単量体単位の合計量を表す。
結合スチレン量は、(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムにおけるスチレン部分のフェニル基の紫外吸収を測定することによって算出できる。より具体的には、後述する実施例に記載の方法を用いて測定できる。
結合スチレン量は、(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの合成の際に、添加するスチレンモノマーの配合量を調整することにより、上述した数値範囲に制御することができる。
なお、(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムにおける、ブタジエン部分の含有量(質量%)は、100質量%から結合スチレン量の値(質量%)を引いた値である。
<スチレンブロック量/結合スチレン量の質量比>
(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの結合スチレン量に対するスチレンブロック量の質量比(以下、「スチレンブロック量/結合スチレン量の質量比」ともいう。)は、0.02~0.23である。これにより、ゴム組成物において、優れた耐摩耗性を担保しつつ、所期の物性に制御することができる。同様の観点から、スチレンブロック量/結合スチレン量の質量比は、好ましくは0.02以上0.22以下であり、より好ましくは0.02以上0.20以下である。
スチレンブロック量/結合スチレン量の質量比が0.23以下にすることで良好な耐摩耗性を示す。透明な成形体を設計する場合、スチレンブロック量/結合スチレン量の質量比は、好ましくは0.030以上であり、より好ましくは0.040以上である。
本明細書において、「スチレンブロック量」とは、(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムにおける、スチレンモノマーが8以上連続して結合している部分の含有量(質量%)であり、後述の実施例に記載の方法により測定できる。したがって、スチレンブロック量/結合スチレン量の質量比は、(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムにおいて、スチレン部分全体に対する、スチレンブロックとして存在しているスチレン部分の質量割合を意味する。
スチレンブロック量は、Kolthoffの方法(I.M.Kolthoff,et al.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の四酸化オスミウム分解法)により共重合体を分解し、メタノールに不溶なスチレンブロックの量を分析する公知の方法により測定することができる。より具体的には、後述する実施例に記載の方法を用いることができる。
スチレンブロック量は、(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムを重合する際に添加するランダム化剤の添加量を調整することにより制御することができ、スチレンブロック量/結合スチレン量を上記数値範囲に制御できる。ランダム化剤の添加量を増加させると、スチレンブロック量が減少する傾向にある。
<スチレンブロック量>
(A)成分は、上述したスチレンブロック量が、0.70質量%以上12質量%以下であることが好ましく、0.70質量%以上8質量%以下であることがより好ましく、0.70質量%以上4質量%以下であることがさらに好ましい。
(A)成分のスチレンブロック量は、のポリマーの生産性の観点から、0.70質量%以上であることが好ましく、耐摩耗性の観点から12質量%以下であることが好ましい。
(A)成分のスチレンブロック量は、上記のように、重合工程におけるランダム化剤の添加量を調整することにより、上記数値範囲に制御することができる。
<1,2-ビニル結合量>
ブタジエン部分の1,2-ビニル結合量は、(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムのガラス転移温度に作用し、ゴム組成物の耐摩耗性に影響する。
(A)成分は、ブタジエン部分の1,2-ビニル結合量が10~60質量%である。これにより、ゴム組成物の透明性や強度を確保した上で、耐摩耗性を高く設定することができる。ブタジエン部分の1,2-ビニル結合量は、好ましくは13~50質量%であり、おり好ましくは15~40質量%である。
ブタジエン部分の1,2-ビニル結合量が10質量%以上にすることで、共存する他の成分の屈折率の設定によっては透明性を高く設計できる傾向にある。また、ブタジエン部分の1,2-ビニル結合量が60質量%以下にすることで、ゴム組成物の耐摩耗性及び強度を高くしやすい傾向にある。
一般的に、ブタジエンモノマーが重合する際、ブタジエンモノマーは1,2付加、又は1,4付加により重合体に付加し得る。本明細書において、「ブタジエン部分の1,2-ビニル結合量」とは、ブタジエン部分全体に対する、1,2付加により重合したブタジエン部分の割合(質量%)を意味する。なお、1,2付加により重合したブタジエン部分は、架橋前のスチレン-ブタジエン共重合体ゴムにおいてビニル基を有する部分として存在し、1,4付加により重合したブタジエン部分は、架橋前のスチレン-ブタジエン共重合体ゴムの主鎖に二重結合を有する部分として存在する。
ブタジエン部分の1,2-ビニル結合量は、例えば、赤外分光光度計を用いたハンプトンの方法(R.R.Hampton,Analytical Chemistry,21,923(1949))に従い測定することができる。より具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
ブタジエン部分の1,2-ビニル結合量は、スチレン-ブタジエン共重合体ゴムを重合する際に添加するビニル化剤の添加量を調整することにより、上述した数値範囲に調整することができる。ビニル化剤の添加量を増加させると、ブタジエン部分の1,2-ビニル結合量が増加する傾向にある。
<ムーニー粘度>
(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムは、JIS K6300-1に準拠して測定される100℃におけるムーニー粘度(以下、単に「ムーニー粘度」ということがある。)が80~110である。
(A)成分のムーニー粘度が80以上であると、ムーニー粘度が80未満のスチレン-ブタジエン共重合体ゴム使用時よりも、本実施形態のゴム組成物の耐摩耗性及び強度が向上する傾向にある。ただし、(A)成分のムーニー粘度が80以上であると未架橋のゴム組成物の加工性は、ムーニー粘度が80未満のスチレン-ブタジエン共重合体ゴムを使用した未加硫のゴム組成物よりも低下するが、ムーニー粘度が80~110の範囲であれば、ゴム組成物に、後述する(D)脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体を添加することにより、優れた加工性が得られる。(D)脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体の添加量は、ゴム組成物の耐摩耗性及び強度を損なわない範囲で決定する。本実施形態のゴム組成物の加工性を高める観点からは、(D)脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体の添加量を増量するか、あるいは、後述する(E)液状ジエンゴムを添加することが好ましいが、これらにより本実施形態のゴム組成物の強度に影響する場合があるので、添加剤の種類や添加量を目的とする架橋ゴム組成物の物性に応じて設定することが好ましい。
本実施形態のゴム組成物において、加工性を担保するためには(D)脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体を添加することが好ましいが、強度の観点からは(D)脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体の添加量を低く設定することが好ましい。かかる観点から、(A)成分のムーニー粘度は好ましくは81~105、より好ましくは83~100である。
本明細書において、ムーニー粘度は、L型ローターを用いて、100℃で余熱1分、駆動後4分後のトルクであるML1+4(100℃)を測定する。より具体的には、後述する実施例に記載の方法を用いることができる。
(A)成分のムーニー粘度は、(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの結合スチレン量、ブタジエン部分の1,2-ビニル結合量、スチレンブロック量、分子量、カップリング剤、カップリング率、及び分子量分布等を適宜調整することにより、80~110の数値に制御することができる。
具体的には、1,2-ビニル結合量、スチレンブロック量、分子量、カップリング率は上昇させると、それと伴いムーニー粘度が上昇していく。特にスチレンブロック量を上げることと、カップリング剤により分岐数を増やすことにより、ムーニー粘度は大幅に上昇する。また、ムーニー粘度はスチレンブロックとの相関が高く、分子量にもよるがスチレンブロック量が5質量%程度生じるとムーニー粘度は10程度上がる傾向にある。
また、カップリング剤により(A)成分の分岐数を上げるとムーニー粘度は上がる傾向にある。
分子量分布は、一般的には広がるとムーニー粘度は下がる傾向にある。例えば、スチレン-ブタジエン共重合体の質量平均分子量を15万に設定する場合、スチレンブロック量を20質量%程度に大きくするか、カップリングにより(A)成分を分岐させることで、ムーニー粘度を80~110に制御できる。
ただし、ムーニー粘度が所定の範囲である限り、上記の各値を限定することを意図するものではない。
<屈折率>
(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムは、屈折率が1.530~1.570であることが好ましい。これにより、ゴム組成物の透明性の観点から、混練する他の成分の屈折率を適宜設定しやすく、本実施形態のゴム組成物の透明性を良好にしやすい傾向にある。
本実施形態のゴム組成物を架橋ゴム組成物とした場合、透明な架橋ゴム組成物を得る観点から、(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの屈折率は、より好ましくは1.535~1.570であり、さらに好ましくは1.540~1.565である。
(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの屈折率が1.530~1.570の範囲外であると、本実施形態のゴム組成物の透明性が低下する傾向にある。
本明細書において、(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴム、(B)ジエン系ゴム、(C)充填剤の屈折率は、日本産業規格JIS K0062に準拠して測定される。より具体的には、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの屈折率は、結合スチレン量が大きく影響するため、結合スチレン量を調整することにより上記数値範囲に制御することができる。
ゴム組成物は、構成成分の屈折率が近くなった時に透明性が発現する。具体例を示すと、(A)成分1.55、(B)成分1.51、(C)成分1.47の、屈折率である場合、(C)成分は(A)成分に付着するような形になるので、(A)成分と(C)成分の平均値が(B)成分と近くなり、高い透明性が発現する。
ここで、(A)成分はスチレン量が多いほど屈折率が高くなるので、(C)成分はそれに応じて多くする必要がある。
一般に、ゴム組成物に含まれる成分の屈折率を変化させることによって、ゴム組成物全体としての透明性が変化することが知られている。
本発明者らは、(B)ジエン系ゴムの屈折率が、(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの屈折率と、(C)充填剤の屈折率との間の値になるように制御することにより、ゴム組成物全体の透明性が向上することを見出した。また、さらに鋭意検討した結果、(B)ジエン系ゴムの屈折率が、(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの屈折率と、(C)充填剤の屈折率との間の値にならない場合でも、(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴム、(C)充填剤、及び(B)ジエン系ゴムの屈折率を所定の範囲内とすることで、ゴム組成物全体の透明性が向上することを見出した。
上述の観点から、本実施形態のゴム組成物において、(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの好ましい屈折率は1.530~1.570であり、(B)ジエン系ゴムの好ましい屈折率は1.450~1.530であり、(C)充填剤の好ましい屈折率は1.370~1.500である。
上記の観点から、(B)ジエン系ゴムの屈折率は、(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの屈折率と、(C)充填剤の屈折率との間の値になるように制御されることが好ましい。(B)ジエン系ゴムの屈折率は、(C)充填剤の屈折率以上であり、(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの屈折率以下であることがより好ましい。(B)ジエン系ゴムの屈折率は、(C)充填剤の屈折率と(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの屈折率との、質量加重平均の値±0.0260の範囲内とすることが好ましい。
<ピークトップ分子量>
(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムは、GPC測定法により測定されるピークトップ分子量が、特に限定されないが、5.00×10以上90.0×10以下であることが好ましい。
(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの合成の際に、カップリング剤を用いてカップリングした場合、GPC測定では、未カップリングの共重合体ゴムに由来するピークと、カップリングした共重合体ゴムに由来するピークの2つにピークが観測される。
未カップリングの共重合体ゴムに由来するピークにおけるピークトップ分子量は、好ましくは10.0×10以上50.0×10以下、より好ましくは13.0×10以上50.0×10以下、さらに好ましくは15.0×10以上45.0×10以下である。
ピークトップ分子量が上記の範囲にあると、本実施形態のゴム組成物の透明性、強度、がバランス良く向上する傾向にある。
本明細書において、ピークトップ分子量は、ポリスチレンを標準物質としたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定法により測定される分布の頂点の位置から求められる分子量である。より具体的には、ピークトップ分子量は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムのピークトップ分子量は、重合条件やカップリング剤の添加量や種類を調整することにより制御でき、具体的には、モノマーに対する重合開始剤の量を減らしたり、重合時間を長くしたり、カップリング剤によりカップリングしたりすることで、(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムのピークトップ分子量を大きくすることができる傾向にある。
<分子量分布>
(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムは、分子量分布(数平均分子量に対する質量平均分子量の比)については特に限定されず、例えば1.03以上2.50以下であり、好ましくは1.10以上2.00以下である。本明細書において、分子量分布は、GPC測定法により測定される質量平均分子量と、GPC測定法により測定される数平均分子量とを用いて算出される。重合条件を適宜調整することで、分子量分布を制御することができる。
<カップリング率>
(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムは、カップリング剤(重合カップリング)によりカップリングされていてもよい。カップリングされている場合のカップリング率は特に限定されず、例えば0.10%以上95%以下、5.0%以上90%以下、10%以上88%以下、30%以上85%以下、又は50%以上83%以下であってよい。
カップリング率は、GPC測定法により検出される未カップリングの共重合体ゴムに由来するピーク、及びカップリングした共重合体ゴムに由来するピークのピーク面積から求めることができる。
カップリング剤としては、例えば後述するカップリング剤を用いることができる。
<(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの製造方法>
(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムは、例えば適当な溶媒中、スチレンモノマーとブタジエンモノマーとを適当な重合開始剤により重合することにより合成することができる。スチレンモノマー及びブタジエンモノマーは、一度に混合してもよく、複数回に分けて混合してもよい。
重合開始温度(すなわち、重合開始剤を添加した時の温度)、重合ピーク温度(すなわち、重合工程における最高到達温度)、及び重合時間等は、所望する(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの性質に応じて適宜調整することができる。
重合開始温度は、特に限定されず、例えば40℃以上80℃以下であり、好ましくは45℃以上70℃以下であり、より好ましくは50℃以上65℃以下である。
重合ピーク温度は、特に限定されず、例えば50℃以上100℃以下であり、好ましくは60℃以上95℃以下であり、より好ましくは70℃以上90℃以下である。
重合時間は、特に限定されず、例えば重合ピーク温度を迎えてから30秒以上30分以下であり、好ましくは重合ピーク温度を迎えてから45秒以上15分以下であり、より好ましくは重合ピーク温度を迎えてから1.0分以上5.0分以下である。
重合反応は、メタノール等の重合停止剤、又は後述のようなカップリング剤を添加することで停止される。
重合に用いる溶媒は、従来知られているスチレン-ブタジエン共重合体の合成に用いられる任意の不活性な炭化水素溶媒を用いることができる。溶媒としては、以下に限定されないが、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、及びオクタン、並びにそれらがアルキル基で置換された誘導体等の直鎖及び分岐鎖の炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、及びシクロヘプタン、並びにそれらがアルキル基で置換された誘導体等の脂環式炭化水素;ベンゼン、ナフタレン、トルエン、及びキシレン、並びにそれらがアルキル基で置換された誘導体等の芳香族系炭化水素;テトラリン、及びデカリン、並びにそれらがアルキル基で置換された誘導体等の水素化芳香族系炭化水素が挙げられる。
これらの溶媒は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせ用いてよい。
重合に用いる重合開始剤は、従来スチレン-ブタジエン共重合体の合成に用いられる任意の重合開始剤(例えばラジカル重合開始剤、リビング重合開始剤等)であってよい。残渣が少ないスチレン-ブタジエン共重合体ゴムが得られ、高い透明性に寄与できる傾向にあるため、リチウム重合開始剤を用いることが好ましい。リチウム重合開始剤としては、例えば、有機リチウム化合物を用いることができ、例えば、炭素数1~20の炭化水素基、好ましくは炭素数2~8の炭化水素基で一置換から四置換された有機リチウム化合物を用いることができる。透明性を向上させる観点からは、乳化重合は好ましくない。
有機リチウム化合物としては、以下に限定されないが、例えば、アルキルリチウム(メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、n-ブチルリチウム、s-ブチルリチウム、及びt-ブチルリチウム等)、アリールリチウム(フェニルリチウム、及びトリルリチウム等)、アルケニルリチウム(ビニルリチウム、及びプロペニルリチウム等)、アルキレンリチウム(テトラメチレンリチウム、及びペンタメチレンリチウム等)が挙げられる。これらの中でも、重合開始剤としてアルキルリチウムを用いることが好ましく、n-ブチルリチウムを用いることがより好ましい。
これらの有機リチウム化合物は、1種単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせ用いてよい。
(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの重合工程においては、スチレンブロック量及び/又はブタジエン部分の1,2-ビニル結合量の値を制御するための添加剤を反応系に添加してもよい。そのような添加剤としては、ビニル化剤及びランダム化剤が挙げられる。(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの重合工程において、少なくともビニル化剤が添加されることが好ましい。
ビニル化剤としては、以下に限定されないが、例えば、ジエチルエーテル、エチレングリコール-ジメチルエーテル、エチレングリコール-ジ-n-ブチルエーテル、エチレングリコール-n-ブチル-t-ブチルエーテル、エチレングリコール-ジ-t-ブチルエーテル、ジエチレングリコール-ジメチルエーテル、トリエチレングリコール-ジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、α-メトキシテトラヒドロフラン、2-メトキシメチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2-ジメトキシベンゼン、トリエチルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、及び2,2’-ジテトラヒドロフリルプロパン等が挙げられる。これらのビニル化剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせ用いてよい。
なお、ビニル化剤は、その添加量が多くなるとブタジエン部分の1,2-ビニル結合量を増加させる機能だけでなく、スチレンブロック量を減少させるランダム化剤としての機能も果たし得る。
ランダム化剤としては、以下に限定されないが、例えば、ポタシウム-t-アミルアルコキシド、及びポタシウム-t-ブチルアルコキシド等が挙げられる。これらのランダム化剤は、ブタジエン部分の1,2-ビニル結合量に影響することなくスチレンブロック量を減少させる効果がある傾向にある。
ビニル化剤を添加する場合、その添加量は特に限定されないが、重合開始剤の添加量に対する割合を調整すればよい。ビニル化剤の添加量は、重合開始剤の添加量1.0モルに対して、例えば0.050~1.0モルであってよく、好ましくは0.10~0.80モルであり、より好ましくは0.12~0.70モルである。
また、ランダム化剤を添加する場合、その添加量は特に限定されないが、重合開始剤の添加量に対する割合を調整すればよい。ランダム化剤の添加量は、重合開始剤の添加量1.0モルに対して、例えば0.010~0.50モルであってよく、好ましくは0.020~0.30モルであり、より好ましくは0.030~0.10モルである。
((B)天然ゴム、ジエン系合成ゴム(但し、上記(A)成分を除く)、及び芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種)
本実施形態のゴム組成物は、天然ゴム、ジエン系合成ゴム、及び芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体からなる群より選ばれるいずれか一種であって、ムーニー粘度が20以上80未満であるジエン系ゴム(本明細書において、(B)ジエン系ゴム、(B)成分と記載する場合がある。)を含有する。
本実施形態において、(B)ジエン系ゴムとしては、天然ゴム、ジエン系合成ゴム、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体を使用できる。
「ジエン系ゴム」とは、少なくともジエン化合物モノマーに由来する部分を有するゴムを意味し、すなわち、少なくともジエン化合物モノマーを重合させて得られるゴムである。ここで、ジエン系ゴムを構成するジエン化合物モノマーは共役ジエン化合物であってよく、非共役ジエン化合物であってもよい。
(B)成分は、好ましくは共役ジエン化合物モノマーに由来するものであり、例えばスチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、及び任意のグレードの天然ゴム(NR)が挙げられる。また、(B)成分は、スチレン等の芳香族環及び不飽和結合を有する単量体単位を含まないものであってもよく、脂肪族モノマーに由来する部分のみからなるものであってもよい。
ブタジエンゴムは、1,2-ポリブタジエンゴムであってよく、1,4-ポリブタジエンゴムであってもよい。いずれもムーニー粘度が20以上80未満である。
(B)成分は、1種単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせ用いてよい。
(B)ジエン系ゴムにおいて、例えば主鎖に二重結合を含む場合など、cis及びtransの立体異性体部分が存在する場合がある。ジエン系ゴムでは、cis及びtrans含量によって物性が変化し得る。cis含量は例えば、日本産業規格JIS K6230(又はISO 4650)に準拠した赤外分光分析法によって測定可能である。
(B)ジエン系ゴムにおいてcis含量の程度の高低はポリマーの種類に依って変わるが、例えばポリブタジエンについては、一般的に、cis含量が約20~40%程度のものが「低cis(低シス、ローシス)」、約94~99%程度のものが「高cis(高シス、ハイシス)」、それらの中間のものが「中cis(中シス)」と称される。また、例えばポリイソプレンの場合については、一般的に、cis含量が約90~95%、より典型的には約90~94%程度、さらに典型的には約90~92%程度のものが「低cis」、約95%を超えるもの、より典型的には約98%~約99%程度のものが「高cis」、それらの中間のものが「中cis」と称される。
より高い透明性又は優れた強度及び耐摩耗性を有するゴム組成物を得る観点から、(B)成分として、低cis、中cis又は高cisのポリブタジエンを少なくとも1種用いることが好ましい。ジエン系ゴムは、1,4-ポリブタジエンゴムであることがより好ましく、中cis又は高cisの1,4-ポリブタジエンゴムであることがさらに好ましく、高cisの1,4-ポリブタジエンゴムであることがさらにより好ましい。
<屈折率>
(B)ジエン系ゴムの屈折率は、1.450~1.530が好ましい。これにより、(C)充填剤の屈折率を適切に選択することにより、本実施形態のゴム組成物の透明性を高くすることができる。(B)ジエン系ゴムの屈折率は、より好ましくは1.470~1.530、さらに好ましくは1.490~1.525である。(B)ジエン系ゴムの屈折率が1.450~1.530の範囲を外れると、本実施形態のゴム組成物は透明性に劣る傾向にある。(B)成分の屈折率は、(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの屈折率、及び(C)充填剤の屈折率に基づいて適宜調整してもよい。
<ピークトップ分子量、分子量分布>
(B)ジエン系ゴムのGPC測定法により測定されるピークトップ分子量は特に限定されず、例えば10.0×10以上200×10以下である。好ましくは20.0×10以上100×10以下、より好ましくは30.0×10以上70.0×10以下である。ピークトップ分子量が上記の範囲にあると、本実施形態のゴム組成物の透明性、強度、及び耐摩耗性がバランス良く向上する傾向にある。
また、分子量分布は特に限定されず、例えば1.100以上5.500以下であり、好ましくは1.500以上4.000以下である。
上記のような(B)ジエン系ゴムは、市販のものを購入することにより入手してもよいし、従来公知の方法により製造してもよい。
((C)充填剤)
本実施形態のゴム組成物は、(C)充填剤(本明細書中、(C)成分と記載する場合がある。)を含む。
(C)充填剤は、シリカ、炭酸マグネシウム、カーボンブラック、及び水酸化マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
(C)充填剤は、屈折率が1.370~1.500であることが好ましい。(C)充填剤の屈折率は、本実施形態のゴム組成物の透明性を向上させる観点から、好ましくは1.380~1.500であり、さらに好ましくは1.390~1.490である。(C)充填剤の屈折率が1.370~1.500の範囲を外れると、ゴム組成物の透明性が低下する傾向にある。
本実施形態のゴム組成物において、(C)充填剤は十分に分散していることが好ましい。分散性向上の観点からは(C)充填剤の粒径は小さい方が好ましい。また、(C)充填剤とゴム成分との親和性が劣る場合、本実施形態のゴム組成物中において二次粒子と呼ばれる(C)充填剤(一次粒子)の凝集体が生じる場合がある。そのような二次粒子が生じ、可視光波長以上の大きさの凝集塊が存在すると、(C)充填剤の存在していない領域との屈折率差に起因して、ゴム組成物が不透明となる傾向にある。したがって、一次粒子径の小さい(C)充填剤を用い、適当な混練条件で混練することにより、透明性に優れたゴム組成物を得ることができる傾向にある。
上記の観点から、(C)充填剤の一次粒子径の平均値は、好ましくは50nm以下、より好ましくは40nm、さらに好ましくは30nm以下である。上記の一次粒子径の平均値は、(C)充填剤がシリカである場合、特に好適である。(C)充填剤の一次粒子径の平均値の下限値は特に限定されず、例えば1.0nm、5.0nm、又は10nmであってよい。
(C)充填剤の一次粒子径の平均値は、ゴム組成物に添加する前、あるいはゴム組成物中の(C)充填剤を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、円相当直径を算出することで測定することができる。平均値は、10以上の(C)充填剤を観察して得られる相加平均値である。
あるいは、(C)充填剤の小ささの指標として比表面積を用いてもよい。(C)充填剤の比表面積は、例えば80.0m/g以上であり、好ましくは100m/g以上である。
(C)充填剤の比表面積は、従来公知の方法で測定でき、例えばBET法により測定することができる。
(C)充填剤とゴム成分との親和性を向上させる観点から、本実施形態のゴム組成物中に、又は(C)充填剤の表面に、シランカップリング剤等の、(C)充填剤とゴム成分との親和性を向上させるための物質を添加することが好ましい。シランカップリング剤の詳細については、後述する。
(C)充填剤としては、以下に限定されないが、例えば、シリカ(乾式シリカ、湿式シリカ、コロイダルシリカ)、及び合成ケイ酸塩系ホワイトカーボン等が、特に好ましい例として挙げられる。また表面を疎水化したシリカ、及びシリカとシリカ以外の無機充填剤との混合物を用いてもよい。上記の(C)充填剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせ用いてよい。(C)充填剤としてはシリカがより好ましく、乾式シリカがさらに好ましい。
上記のような(C)充填剤は、市販のものを購入することにより入手してもよいし、従来公知の方法により製造してもよい。
(C)充填剤としてカーボンブラックを用いる場合、当該カーボンブラックとしては、以下に限定されないが、例えば、SRF、GPF、FEF、HAF、1SAF、SAF等が挙げられ、ヨウ素吸着量(IA)が60mg/g以上、かつジブチルフタレート吸油量(DBP)が80mL/100g以上のカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックを用いることにより、耐摩耗性が優れるゴム組成物が得られる。カーボンブラックとしては、HAF、ISAF、SAFが特に好ましい。
(ゴム組成物を構成する成分(A)~(C)の含有量)
本実施形態のゴム組成物は、(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴム及び(B)ジエン系ゴムからなるゴム成分を100質量部としたとき、(C)充填剤を10~50質量部含有する。
(C)充填剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対し、好ましくは15~45質量部、より好ましくは25~40質量部である。(C)充填剤の含有量が10質量部以上であることにより優れた透明性が得られる傾向にある。また、(C)充填剤の含有量が50質量部以下であることにより優れた耐摩耗性及び強度特性が得られる傾向にある。
((A)成分及び(B)成分からなるゴム成分における、(A)、(B)成分の含有量)
本実施形態のゴム組成物は、(A)成分及び(B)成分からなるゴム成分100質量%のうち、(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの含有量は5~50質量%であり、(B)ジエン系ゴムの含有量は50~95質量%である。
このような配合比で各成分を含むことで、本実施形態のゴム組成物は、透明性、耐摩耗性、及び強度がバランスよく向上する。
(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの含有量は、ゴム成分100質量%に対し、好ましくは15~45質量%、より好ましくは25~40質量%である。
(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの含有量が5質量%以上であることにより優れた透明性が得られる傾向にある。また、(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの含有量が50質量%以下であることにより、優れた耐摩耗性及び強度特性が得られる傾向にある。
(B)ジエン系ゴムの含有量は、ゴム成分100質量%に対し、好ましくは55~85質量%、より好ましくは60~75質量%である。
(B)ジエン系ゴムの含有量が95質量%以下であることにより、優れた透明性が得られる傾向にある。また、(B)ジエン系ゴムの含有量が50質量%以上であることにより、優れた耐摩耗性及び強度特性が得られる傾向にある。
((D)脂肪酸及び/又は及び脂肪酸誘導体)
本実施形態のゴム組成物は、(D)脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体(本明細書中、(D)成分と記載する場合がある。)を含有する。
(D)脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体は、炭素数8~30のアルキル基又はアルケニル基を有する有機化合物であり、脂肪酸としては、以下に限定されないが、例えば、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、ベヘン酸、ヤシ油、牛脂等が挙げられる。
その中で、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ヤシ油、牛脂が好ましく、ステアリン酸がより好ましい。
脂肪酸誘導体としては、以下に限定されないが、例えば、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミドが好ましく、ステアリン酸アミドがより好ましい。
(D)脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体は1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
<(D)成分の含有量>
本実施形態のゴム組成物における(D)脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体の含有量は、(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴム及び(B)ジエン系ゴムからなるゴム成分100質量部に対して、0.01~1質量部である。
(D)脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体の含有量は、好ましくは0.02~0.90質量部であり、より好ましくは0.04~0.80質量部、さらに好ましくは0.06~0.70質量部である。
(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムは、流通する際に、一般的な形状としてのベール成形体であるが、この(A)成分のベール成形体中に(D)脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体が含有されていてもよい。これにより、本実施形態のゴム組成物に(D)脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体が含まれるようになる。ベール成形体が(D)脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体を含有するようにすることで、ベール成形体を仕上げ安くなるという利点がある。
前記(A)成分のベール成形体中の(D)脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体の含有量は、(A)成分を100質量部としたとき、好ましくは0.04~1.80質量部であり、より好ましくは0.08~1.6質量部、さらに好ましくは0.12~1.4質量部である。
(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムのベール成形体に(D)脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体を配合せず、本実施形態のゴム組成物を混練する工程で(D)脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体を添加してもよい。
本実施形態のゴム組成物中の(D)脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体の含有量が(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴム及び(B)ジエン系ゴムの合計100質量部に対して、0.2~1質量部であることにより、ゴム組成物の加工性が改善されて、耐摩耗性や強度に影響を与えない。
また、本実施形態のゴム組成物の熱安定性の観点で、(D)脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体の含有量を、合計100質量部のゴム成分に対して、1質量部以下とする。
なお、(D)脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体によるゴム組成物の加工性改善が不十分である場合には、上述する(E)液状ジエンゴムを配合することが好ましい。
((E)液状ジエンゴム)
本実施形態のゴム組成物は、(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムのムーニー粘度が100~110の場合に、上述した(D)脂肪酸添加によるゴム組成物の熱安定性悪化を抑制する観点で、(D)脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体と(E)液状ジエンゴムを併用することが好ましい。
(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムや(B)ジエン系ゴムもジエンゴムに該当する構造になり得るが、ムーニー粘度の測定対象は固体であるので、液状ジエンゴムは、液状である点で、(A)成分又は(B)成分とは明確に区別できる。
(E)液状ジエンゴムとしては、例えば、ブタジエン、スチレン-ブタジエン、アクリロニトリル-ブタジエンのオリゴマーが挙げられる。
(E)液状ジエンゴムとしては、例えば液状SBRである場合には、屈折率が1.5300~1.5700であるものを用いることが好ましい。液状ジエンゴム(特に液状SBR)の屈折率は、より好ましくは1.5350~1.5700であり、さらに好ましくは1.5400~1.5650である。液状ジエンゴムの屈折率が上記範囲内にあることにより、本実施形態のゴム組成物の透明性を高く維持することができる傾向にある。
(E)液状ジエンゴムとしては、例えば、液状BRである場合には、屈折率が1.4500~1.5300であるものを用いるこが好ましい。液状ジエンゴムの屈折率は、より好ましくは1.4700~1.5300であり、さらに好ましくは1.4900~1.5250である。液状ジエンゴムの屈折率が上記範囲内にあることにより、本実施形態のゴム組成物の透明性を高く維持することができる傾向にある。
(E)液状ジエンゴムが液状ブタジエンゴム(液状BR)である場合、前記液状BRのシス含量は特に限定されず、高cis、中cis、及び低cisいずれの液状BRが含まれていてもよい。
(E)液状ジエンゴムは、液状である限り特に限定されないが、GPC測定法により測定されるピークトップ分子量が1000~50000の範囲のものであることが好ましい。(E)液状ジエンゴムのGPC測定法により測定されるピークトップ分子量は、より好ましくは4000~35000であり、さらに好ましくは7000~30000である。(E)液状ジエンゴムのピークトップ分子量が上記の範囲内にあることにより、本実施形態のゴム組成物の加工性が一層向上する。
(E)液状ジエンゴムの含有量は、前記(A)成分と(B)成分からなるゴム成分100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましい。
(E)成分をゴム成分100質量部に対して、5質量部以下とすることにより、本実施形態のゴム組成物は、引張強度、引裂強度及び耐摩耗性といった機械的特性が優れたものとなる。
本実施形態のゴム組成物において、(E)液状ジエンゴムを用いる場合、ピークトップ分子量が4000~10000と分子量が低い(E)液状ジエンゴムを用いると加工性は一層向上するが、引張強度、引裂強度を高くする観点からは、ピークトップ分子量が10000~50000と分子量が高い(E)液状ジエンゴムを選択することが好ましい。
(E)液状ジエンゴムは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせ用いてよい。
本実施形態のゴム組成物における(E)液状ジエンゴムの含有量は、前記(A)成分及び(B)成分からなるゴム成分100質量部に対して、0.5質量部以上4質量部以下がより好ましく、1質量部以上3質量部以下がさらに好ましい。
(E)液状ジエンゴムを(D)脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体と併用する場合、(D)脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体と(E)液状ジエンゴムの含有量総量は、(A)成分及び(B)成分からなるゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.25~10質量部、より好ましくは0.25~8.0質量部である。
((F)シランカップリング剤)
本実施形態のゴム組成物は、(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴム、(B)ジエン系ゴム、(C)充填剤、及び(D)脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体以外の成分を含んでいてもよい。例えば、本実施形態のゴム組成物は、(C)充填剤とゴム成分との親和性を向上させる観点から、シランカップリング剤を含有することが好ましい。この態様によれば、(C)充填剤の分散性及びゴム成分との密着性が向上し、本実施形態のゴム組成物の耐摩耗性、透明性及び強度が一層向上する傾向にある。
シランカップリング剤としては、以下に限定されないが、例えば、テトラエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビス-〔3-(トリエトキシシリル)-プロピル〕テトラスルフィド、ビス-〔3-(トリエトキシシリル)-プロピル〕ジスルフィド、及びトリエトキシシリルプロピル-メタクリレート-モノスルフィド等のアルコキシシラン化合物が挙げられる。
シランカップリング剤は、好ましくはビニル基及びアルコキシ基を含有するポリシロキサンであり、より好ましくはビニル基及びエトキシ基又はメトキシ基を含有するポリシロキサンであり、さらに好ましくはビニルトリメトキシシラン、又はビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シランである。上記のシランカップリング剤は、1種単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてよい。
本実施形態ゴム組成物における(F)シランカップリング剤の含有量は特に限定されず、(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴム及び(B)ジエン系ゴムの合計100質量部に対して、例えば0~20質量部が好ましい。(F)シランカップリング剤の含有量は、上記範囲において、より好ましくは0.50~10質量部である。
((G)架橋剤)
本実施形態のゴム組成物は、少なくとも上記の(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分を上記の含有量で含み、架橋することで架橋ゴム組成物が得られる。
架橋ゴム組成物は、(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴム、(B)ジエン系ゴム、及び(C)充填剤が架橋された構造を含む。かかる架橋は、(G)架橋剤によるものであってよい。本実施形態のゴム組成物の耐摩耗性、強度、透明性は、架橋した状態で評価した性能を表す。
(G)架橋剤としては、以下に限定されず、ゴム組成物の架橋に用いられる従来公知の架橋剤を用いてよい。架橋剤は、好ましくは、過酸化物、及びラジカル架橋剤の1つ以上である。
過酸化物としては、以下に限定されないが、例えば、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ-t-ヘキシルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジイソブチリルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、ジ(2-t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ジ(4-t-ブチルシクロへキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t-ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシピバレート、ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジコハク酸パーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ(4-メチルベンゾイル)パーオキサイド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ(3-メチルベンゾイル)パーオキサイド、ベンゾイル(3-メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)-2-メチルシクロヘキサン、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、1.1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2-ジ(4,4-ジ-(t-ブチルパーオキシ)シクロへキシル)プロパン、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシマレイン酸、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキシルモノカーボネート、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシアセテート、2,2-ジ-(t-ブチルパーオキシ)ブタン、t-ブチルパーオキシベンゾエート、n-ブチル-4,4-ジ-(t-ブチルパーオキシ)バレレート、ジ(2-t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジーt-ブチルパーオキサイド、p-メンタンヒドロパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、及びt-ブチルヒドロパーオキサイドが挙げられる。
ラジカル架橋剤としては、以下に限定されないが、例えば、エチレングリコールメタアクリラート(EGDMA)、トリメチロールプロパントリメタクリラート、トリアリルイソシアヌラート、トリアリルシアヌラート、ジエチレングリコールジアクリラート、及びネオフェニレングリコールジアクリラートが挙げられる。
これらの架橋剤の中でも、生成物に与える汚染の少なさの観点から、過酸化物がより好ましい。また、悪臭及び残渣の少なさの観点から、架橋剤は、さらに好ましくは、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ(2-t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、及び1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサンである。
上記の架橋剤は、1種単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてよい。
本実施形態のゴム組成物に対する(G)架橋剤の添加量は、特に限定されず、(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴム及び(B)ジエン系ゴムからなるゴム成分100質量部に対して、例えば0.10~10質量部であり、好ましくは0.20~8.0質量部であり、より好ましくは0.50~6.0質量部である。すなわち、本実施形態のゴム組成物は、(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴム及び(B)ジエン系ゴムの合計100質量部に対して、例えば0.10~10質量部、好ましくは0.20~8.0質量部、より好ましくは0.50~6.0質量部の(G)架橋剤が添加されて製造される。
(その他成分)
本実施形態のゴム組成物は、透明性を著しく損わない限り、前記(A)~(G)成分以外のその他の成分をさらに含んでいてもよい。
その他の成分としては、以下に限定されないが、例えば、抗酸化剤、着色剤、変性剤、加工剤、還元剤、脱酸素剤、光安定剤、pH安定剤、表面処理剤、熱安定剤、着色剤、充填剤(タルク、及び炭酸カルシウム等)、界面活性剤、ゲル化剤、UV吸収剤(サリチル酸、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、シアノアクリラート、及びヒンダードアミン等)、ダスティング剤(ポリエチレン等のポリオレフィン、タルク、及び炭酸カルシウム粉末等)、及びポリリン酸が挙げられる。
これらのその他の成分は、1種単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせ用いてよい。
抗酸化剤としては、以下に限定されないが、例えば、モノフェノール系、ビスフェノール系、ポリフェノール系、硫黄系、及びリン系の化合物等が挙げられ、具体的には、ノクラックSP(大内新興化学工業製)、イルガノックス1076(BASF製)、イルガフォス168(BASF製)、及びイルガノックス1520(BASF製)等が挙げられる。
着色剤は、例えばゴム組成物に対し、単なる透明性ではなく、クリアブルー、クリアレッド、又はクリアグリーンのような透明感のある色彩を与えたい場合に用いてもよい。
そのような着色剤としては、任意の公知の着色剤を用いてよく、以下に限定されないが、例えば、着色顔料、体質顔料、防錆顔料、及び機能性顔料等(例えばフタロシアニングリーン、チタン、紺青、酸化鉄、亜酸化鉛、及び硫化亜鉛等)が挙げられる。
本実施形態のゴム組成物は、抗酸化剤、着色剤、変性剤、加工剤、還元剤、脱酸素剤、光安定剤、pH安定剤、表面処理剤、熱安定剤、着色剤、充填剤、界面活性剤、ゲル化剤、UV吸収剤、ダスティング剤、及びポリリン酸等の成分のうちの1種以上を、(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴム及び(B)ジエン系ゴムからなるゴム成分100質量部に対して、合計で例えば0~15質量部の範囲で含んでいてもよい。これらのその他の成分を含む場合、これらその他の成分の含有量の合計は、好ましくは0.10~10質量部であり、より好ましくは0.20~5.0質量部であり、さらに好ましくは0.25~2.0質量部である。
〔ゴム組成物の各物性値〕
本明細書において、「架橋ゴム組成物」とは、少なくとも1種のゴム成分が架橋された構造を有するゴム組成物を意味する。すなわち、少なくとも1種のゴム成分を含むゴム組成物を架橋して得られるゴム組成物を意味する。本明細書において、架橋ゴム組成物は、少なくとも1種のゴム成分に由来する部分と少なくとも1種の架橋剤に由来する部分とを有するゴム組成物である。すなわち、少なくとも1種のゴム成分を含むゴム組成物を任意の架橋剤により架橋して得られるゴム組成物である。
(HAZE値)
本実施形態のゴム組成物は、透明性の観点から、HAZE値が10~40%であることが好ましい。
本明細書において、ゴム組成物の透明性は、架橋ゴム組成物のHAZE値によって評価されるものとする。HAZE値が低いほど透明性が高いことを表し、HAZE値が一定以上であるゴム組成物を、本明細書においては「不透明」又は「半透明」であるという。
「ヘーズ」(HAZE)値とは、日本産業規格JIS K7136(又はISO 14782)に準拠して測定される、透明材料の曇りの度合いのことをいう。本明細書において、HAZE値は3.00mm厚のシートを測定試料として用いて、上記規格に従う試験装置を用いて測定される。
本実施形態のゴム組成物のJIS K7136に準拠して3.00mm厚のシートで測定したHAZE値は特に限定されず、10~50%であることが好ましい。透明性に優れる観点から、ゴム組成物のHAZE値は、上記範囲において、好ましくは40%以下であり、より好ましくは38%以下であり、さらに好ましくは35%以下、さらにより好ましくは30%以下である。ゴム組成物のHAZE値の下限値は特に限定されず、例えば15%、18%、又は20%であってよい。
ゴム組成物のHAZE値は、例えば(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴム、(B)ジエン系ゴム、及び(C)充填剤の屈折率及びそれらの大小関係等を調整することにより制御することができる。
(硬度)
本実施形態のゴム組成物の硬度は、架橋ゴム組成物の硬度で評価されるものとする。
本実施形態のゴム組成物の硬度は、タイプAデュロメータ硬さによって評価される。タイプAデュロメータ硬さの値が大きいほど硬い材料であることを表す。
「タイプAデュロメータ硬さ」(Type A Durometer Hardness、又はHs)又は「ショアA」とは、日本産業規格JIS K6253-3に準拠して測定される、ゴム組成物の硬さのことをいう。本明細書において、タイプAデュロメータ硬さ又はショアAの値は、6.00mm厚のシートを測定試料として用いて、試験片にプランジャを一定の押し込みで押しつけてから3秒後の沈み込みの深さとして、測定される。
本実施形態のゴム組成物のJIS K6253-3に準拠して測定したデュロメータタイプAによる硬さは特に限定されず、例えば50~80であることが好ましい。耐摩耗性及び強度に優れる観点から、ゴム組成物のデュロメータタイプAによる硬さは、上記範囲において、好ましくは60~75であり、より好ましくは63~73であり、さらに好ましくは65~70である。ゴム組成物のデュロメータタイプAによる硬さが60以上であると耐摩耗性及び強度が一層向上し、75以下であると引裂強度及び摩擦力が一層向上する傾向にある。
ゴム組成物のデュロメータタイプAによる硬さは、例えば、(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴム、(B)ジエン系ゴム、及び(C)充填剤の含有量等を調整することにより制御することができる。
(強度)
本実施形態のゴム組成物の強度は、架橋ゴム組成物の強度で評価されるものとする。
本実施形態のゴム組成物の強度は、引張強度及び引裂強度によって評価される。引張強度及び引裂強度が大きいほど、強度が高いことを表す。
「引張強度」(tensile strength)とは、日本産業規格JIS K6251に準拠して測定される、ゴム組成物の引張強さのことをいう。本明細書において、引張強度の値は、2.00mm厚のシートを測定試料として用いて、ダンベル状5号形試験片にて測定したものをMPa単位に換算した値である。
「引裂強度」(tear strength)とは、日本産業規格JIS K6252-1に準拠して測定される、ゴム組成物の引裂強さのことをいう。本明細書において、引裂強度の値は、2.00mm厚のシートを測定試料として用いて、切込みなしアングル形試験片にて測定したものをN/mm単位に換算した値である。
ゴム組成物の強度は、例えば(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴム、(B)ジエン系ゴム、及び(C)充填剤の含有量等を調整することにより制御することができる。
(耐摩耗性)
本実施形態のゴム組成物の耐摩耗性は、架橋ゴム組成物の強度で評価されるものとする。
本実施形態のゴム組成物の耐摩耗性は、日本産業規格JIS K6264-2(又はISO4649)に準拠して測定される、ゴム組成物の摩耗抵抗指数によって評価される。摩耗抵抗指数が大きいほど、耐摩耗性が高いことを表す。
本明細書において、摩耗抵抗指数の値は、上記規格に従うDIN摩耗試験機を用いて、上記規格に従って測定される。
ゴム組成物の耐摩耗性は、充填剤(カーボンやシリカ)の添加や、耐摩耗性に強いジエン系ゴム(BR)をブレンドさせることにより、制御することができる。
(屈折率)
本実施形態のゴム組成物の屈折率は、架橋ゴム組成物の強度で評価されるものとする。
本実施形態のゴム組成物の屈折率は特に限定されず、例えば1.4700~1.5500であることが好ましい。透明性に優れる観点から、ゴム組成物の屈折率は、好ましくは1.5000~1.5400であり、より好ましくは1.5050~1.5350であり、さらに好ましくは1.5100~1.5320であり、さらにより好ましくは1.5150~1.5315である。
ゴム組成物の屈折率は、(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴム、(B)ジエン系ゴム、及び(C)充填剤の屈折率及び含有量を調整することにより制御することができる。
〔ゴム組成物の製造方法〕
本実施形態のゴム組成物は、(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴム、(B)ジエン系ゴム、(C)充填剤、(D)脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体、及び(F)シランカップリング剤、(G)架橋剤等、さらには選択的にその他の成分とを、所定の配合比で添加して混練することにより製造することができる。
より具体的には、例えば、以下のような方法を用いてもよい。
すなわち本実施形態のゴム組成物の製造方法は、
(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴム98~99.98質量%と、(D)脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体0.02~2質量%を含有するベールと、(B)ジエン系ゴムとを、(A)成分/(B)成分の質量比を5/95~50/50とし、前記(A)成分及び前記(B)成分からなるゴム成分100質量部に対して、(C)充填剤10~50質量部とを混練する工程を有するものであることが好ましい形態である。
さらに、前記ゴム成分100質量部に対して、(E)液状ジエンゴムを0~5質量部、配合して混練することが好ましい。
さらにまた、(F)シランカップリング剤、(G)架橋剤を所望の量、配合させてもよい。
ここで、各成分(A)~(G)は、上述した〔ゴム組成物〕における対応する各成分と同様のものである。
また、本実施形態の架橋ゴムシートの製造方法としては、
(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴム98~99.98質量%と、(D)脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体0.02~2質量%を含有するベールと、(B)ジエン系ゴムとを、(A)成分/(B)成分の質量比を5/95~50/50とし、前記(A)成分及び前記(B)成分からなるゴム成分100質量部に対して、(C)充填剤10~50質量部とを混練して、混練物を得る工程と、前記混練物に(G)架橋剤を混合し、加圧及び/加熱する工程を有するものであることが好ましい形態である。
上記混練工程は、例えばオープンロール、バンバリーミキサー、ニーダー、二軸押し出し機、及び/又はラボプラストミル等を用いて行うことができる。
混練工程は、上記成分(A)~(E)及び(G)架橋剤を一度に混練してもよいが、成分(A)~(E)を一度混練して、その後、成分(G)架橋剤を添加した後にさらに混練する方法が好ましい。
成分(A)~(E)の混練は、各成分を均一に混合させる観点から、例えば120~160℃の温度で行ってもよい。成分(G)架橋剤を添加した後の混練は、副反応を抑制する観点等から、例えば120℃以下の温度で行ってもよい。
(G)架橋剤を添加した後の混練における温度は、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下、さらに好ましくは0~50℃である。
上記混練工程において、成分(A)~(E)、(G)以外の成分を適宜添加してもよい。そのような成分としては、(F)シランカップリング剤や抗酸化剤等が挙げられる。混練工程は、(F)シランカップリング剤を更に混練することも好ましい形態である。
成分(F)シランカップリング剤を混練することで、ゴム組成物の透明性、強度が一層向上する傾向にある。成分(F)は、成分(A)~(E)の混練時に一緒に混練させることが好ましい。
なお、各成分の配合量は、ゴム組成物の説明において、各成分の含有量として説明した値と同じであってよい。
本実施形態のゴム組成物の製造方法においては、混練物を成形する成形工程により、所望の形状のゴム組成物を得ることができる。
成形工程は、例えば混練工程で得られた混練物を適当な形状のプレス金型内に入れ、加圧及び加熱する工程であってよい。これにより、例えば、シート状の成形体を得ることができる。
成形工程における成形温度は、特に限定されないが、好ましくは140~180℃であり、より好ましくは150~170℃である。
成形圧力は、好ましくは140~200Kgfであり、より好ましくは160~180Kgfである。
なお、成形工程において、混練物を射出成形機に導入し、射出成形することにより、所望形状のゴム組成物、成形体を得てもよい。
〔ゴム組成物の用途〕
本実施形態のゴム組成物は、透明性が活かされる任意の産業用途に用いることができる。そのような用途の例としては、靴底、雨具、玩具、制振材、建築部材、配線用被覆材、梱包材、及びコンピュータ用保護部材等が挙げられるが、これらに限定されない。
特に靴底においては、本実施形態のゴム組成物を用いることで、透明性に優れ、かつ引張強度、引裂強度、耐摩耗性、及び加工性のバランスに優れるアウトソール、チップ、オーナメント、及びその他のパーツを作製できる点で好適に使用される。このような透明靴底はファッション性を向上させることができるため、商業的にきわめて高い価値を有しうる。
上記の用途はあくまで例示であり、本実施形態のゴム組成物の用途はこれらに限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例を挙げ、本実施形態を更に詳述する。ただし、本発明は以下の実施例及び比較例により何ら限定されるものではない。
〔材料〕
実施例及び比較例で用いた材料を以下に示す。なお、各材料の屈折率は、事前に、後述する方法により測定した。
(スチレン-ブタジエン共重合体ゴム)
・以下の製造例により製造したスチレン-ブタジエン共重合体ゴムSBR1~10
・アサプレン303(旭化成株式会社)
(ジエン系ゴム)
・BR1208(LG Chem)(1,4-ポリブタジエンゴム、高シス、ML:45、屈折率:1.5236)
・BRU150(宇部興産)(1,4-ポリブタジエンゴム、高シス、ML:39、屈折率:1.5224)
・IR2200(日本ゼオン)(イソプレンゴム、1,4-ビニル結合量=98.0%3,4-ビニル結合量=2.0%、ML:82、屈折率:1.5203)
(充填剤)
・レオロシール(株式会社トクヤマ)(湿式シリカ、屈折率:1.4621)
・VN3(Nipsil)(湿式シリカ、屈折率:1.4491)
・CB N339(カーボンブラック)
(架橋剤)
・パークミルD(日本油脂株式会社)(ジクミルパーオキサイド)
(シランカップリング剤)
・Dynasylan6498(Evonik)(ビニル基及びエトキシ基を含有するポリシロキサン)
・Si69(CHENGUANG)
(抗酸化剤)
・ノクラックSP(大内新興化学工業株式会社)(モノ(又はジ、又はトリ)(α-メチルベンジル)フェノール)
(液状ジエンゴム)
・LBR307(株式会社クラレ)(液状1,4-ブタジエンゴム、ピークトップ分子量:8000、屈折率:1.5157)
(ランダム化剤)
・ポタシウム-t-アミルアルコキシド
(ビニル化剤)
・2.2’-ジテトラヒドロフリルプロパン
(カップリング剤(重合カップリング剤))
・1,3-ビス(N,N’-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン
(重合開始剤)
・n-ブチルリチウム
(安定剤)
・n-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネート
(脂肪酸)
・ステアリン酸(試薬)
・ヘキサン酸(試薬)
〔材料の物性〕
(スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの各物性の測定)
スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの各物性の測定は次のようにして行った。
(1)結合スチレン量の測定
スチレン-ブタジエン共重合体ゴムを試料として、紫外分光光度計(UV-2450;島津製作所製)を用いて吸光スペクトルを測定した。スチレンのフェニル基に由来する紫外線(254nm付近)の吸光量から結合スチレン量を求めた。
(2)スチレンブロック量の測定
スチレンブロック量は、I.M.Kolthoff,et al.J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の四酸化オスミウム分解法に従って測定した。より具体的には、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム0.050gをクロロホルム10mLに溶解し、tert-ブチルハイドロパーオキサイドの69質量%水溶液16mLと四酸化オスミウムの0.050質量%クロロホルム溶液4.0mLとを加え、90℃バス中にて12分間還流させて酸化分解反応を行った。反応終了後、反応溶液を冷却し、該反応溶液中にメタノール200mLを攪拌しながら加えてスチレンブロック成分を沈殿させ、これを5μmのガラスフィルターにて濾別した。得られたものの質量をスチレン-ブタジエン共重合体ゴムの全質量で除すことにより、スチレンブロック量を求めた。
(3)スチレンブロック量/結合スチレン量の比
上記で測定したスチレンブロック量と結合スチレン量の比から算出した。
(4)ブタジエン部分の1,2-ビニル結合量
スチレン-ブタジエン共重合体ゴムを二硫化炭素に溶解して測定試料とした。各試料の赤外線スペクトルを赤外分光光度計(日本分光社製 V-520V)で測定した。ハンプトン法(R.R.Hampton,Analytical Chemistry 21,923(1949)に記載の方法)に従い、所定の波数における吸光度からブタジエン部分の1,2-ビニル結合量を求めた。
(5)ムーニー粘度の測定
JIS K6300-1に準拠したムーニー粘度計(島津製作所製、SMV-301RT)を用いて測定した。L型ローターを使用し、試料を1分間試験温度(100℃)で予熱した後、ローターを2rpmで回転させ、4分後のトルクを測定することで、ムーニー粘度ML1+4(100℃)を測定した。
なお、ムーニー粘度の測定は、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム、及びジエン系ゴムの双方に対して行った。
(6)ピークトップ分子量の測定
GPC(装置は東ソー社製HLC-8320GPC EcoSECであり、カラムはPLgel Column MiniMix-Cを3本である。また、溶媒はテトラヒドロフランを使用し、測定条件は、温度40℃、流速0.4mL/分、試料濃度0.1質量%、注入量50μLである。)のクロマトグラフを測定した。分子量が既知の市販の標準単分散ポリスチレンを用いて作成した検量線を使用し、得られたGPCクロマトグラムから各試料のピークトップ分子量を求めた。なお、スチレン-ブタジエン共重合体ゴムがカップリング剤によりカップリングされている場合、未カップリングのスチレン-ブタジエン共重合体ゴムに由来するピークと、カップリング済みのスチレン-ブタジエン共重合体ゴムに由来するピークが得られた。この場合、各ピークについて、ピークトップ分子量を求めた。また、未カップリングに由来するピークとカップリング済みに由来するピークの比率からカップリング率を求めた。
(7)屈折率の測定
屈折率の測定は、アタゴ社製のアッベ屈折計(NAR-3T)を使用し、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム、ジエン系ゴムは、JIS K0062に準じて23℃で測定した。
また、充填剤の屈折率の測定方法については下記に示すように実施した。
屈折率の異なる二つの液体を用意し、屈折率の低い液体に充填剤を微量入れた。この際、液体と充填剤の屈折率は異なるため、充填剤を目視できる。ここで、一方の屈折率の高い液体を少しずつ添加した。混合液の屈折率が充填剤の屈折率と等しくなったとき、充填剤を目視で確認できなくなった。その混合液の屈折率を測定し、その値を充填剤の屈折率とした。
なお、本実施例においては、その他の材料の屈折率の測定も、上記方法に準じて行った。
実施例及び比較例で得たゴム組成物の特性の評価方法を以下に示す。
〔ゴム組成物の未加硫加工性の評価〕
(1)纏まり性
バンバリー混練後に取り出したゴム組成物の形態を、以下に示す基準で、点数をつけ、纏まり性を評価した。
大小のいくつもの塊がある。 :1点
大きな塊といくつかの小さな塊がある :2点
ほぼ大きな塊になっている :3点
きれいで、大きな塊になっている :4点
(2)巻き付き性
ロールで混練する際のゴム組成物のロールへの巻きつき状態を、以下に示す基準で、点数をつけ、巻き付き性を評価した。
ロールに巻きつき難い :1点
何とかロールに巻きつく :2点
ロールに巻きつく :3点
ロールに巻きつき易い :4点
(3)ロール加工性
ゴム組成物をロールに巻きつけて混練している際の、ゴム組成物の状態を、以下に示す基準で、点数をつけ、ロール加工性を評価した。
大きな穴ができている。 :1点
小さな穴ができている。 :2点
時々、穴ができる。 :3点
ゴム組成物がロール表面を覆っている。 :4点
(4)シート状態
ロールからシート状に取り出したゴム組成物の、シート表面の状態を、以下に示す基準で、点数をつけ、シート状態を評価した。
大きい凹凸がある。 :1点
小さい凹凸がある。 :2点
ほぼ平滑である。 :3点
平滑で、艶がある。 :4点
前記ゴム組成物の未加硫加工性の評価においては、(1)~(4)の点数の合計点が高いほど、未加硫ゴム組成物の加工性に優れていると判断した。
また、未加硫ゴム組成物のムーニー粘度(ML)も加工性の判断基準とした。
一般的に、ゴムの未加硫組成物は、MLが低い方が加工性が良好で、特に170付近よりも大きいと大幅に悪化する傾向にある。
そのため、MLが170よりも低い方が好ましいと判断した。
〔加硫後のゴム組成物の物性の評価〕
(1)タイプAデュロメータ硬さ
タイプAデュロメータ硬さは、日本産業規格JIS K6253-3に準拠して3.00mm厚のシートを2枚重ねたもの(計6.00mm厚)を測定試料として用いて測定した。シートにプランジャを一定の押し込みで押しつけてから3秒後の沈み込みの深さをタイプAデュロメータ硬さとして測定した。
(2)HAZE値
日本産業規格JIS K7136(又はISO 14782)に準拠してHAZE値(%)を測定した。ゴム組成物を3.00mm厚のシート状に成形し、ヘーズメータ(日本電色工業社製、NDH 2000)を用いて測定した。なお、表中単位(%)の記載は省略している。
(3)耐摩耗性
JIS K 6264に準拠したDIN摩耗試験によって測定した。
具体的には、DIN摩耗試験で、実施例及び比較例の試験片の摩耗体積を測定し、摩耗体積から摩耗抵抗指数を算出することで耐摩耗性を決定した。
(4)物理強度(引張強度及び引裂強度)
引張強度は日本産業規格JIS K6251に準拠して測定した。
引裂強度は日本産業規格JIS K6252-1に準拠して測定した。
引張強度は、2.00mm厚のシートを測定試料として用いて、ダンベル状5号形試験片にて測定したものをMPa単位に換算した。
引裂強度は、2.00mm厚のシートを測定試料として用いて、切込みなしアングル形試験片にて測定したものをN/mm単位に換算した。
〔スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの製造〕
スチレン-ブタジエン共重合体ゴムを、下記の表1、表2の配合に従って、窒素置換した攪拌機付き10Lオートクレーブを使用してバッチ重合で合成した。
なお、以下の各製造例及び比較製造例において、全モノマー量は1200gとした。シクロヘキサン溶媒(550phm)中のn-ブチルリチウムを重合開始剤として、スチレンモノマー及び1,3-ブタジエンを共重合した。
(製造例1)
表1に記載のブタジエンモノマー及びスチレンモノマーをオートクレーブに計量後、ビニル化剤としての2,2’-ジテトラヒドロフリルプロパン、及びランダム化剤としてのポタシウム-t-アミルアルコキシドを添加した。重合開始温度50.2℃でn-ブチルリチウムを添加し重合を開始した。重合反応ピーク温度は73℃であった。温度ピークから2分後に、メタノールをn-ブチルリチウムの1倍モル量添加して反応を停止させることで、スチレン-ブタジエン共重合体ゴムSBR-1を得た。
結合スチレン量は45.9質量%、スチレンブロック量は2.10質量%であった。
その他の物性を下記表1に示す。
(製造例2)
SBR-2、3は、製造例1の方法に従い、重合開始剤であるノルマルブチルリチウムの量を各々調整した。その結果、ピークトップ分子量の異なるポリマーが得られた。これらは、ピークトップ分子量が上がるとMLの値が増加した。
各ポリマーの重合開始温度、反応ピーク温度、結合スチレン量、スチレンブロック量、ブタジエン部の1,2-ビニル結合量、ムーニー粘度、ピークトップ分子量、及び屈折率を、表1に示す。
(製造例3)
SBR-4は、ランダム化剤を加えず、その他は製造例1の方法と同様にして製造を行った。
得られたポリマーの重合開始温度、反応ピーク温度、結合スチレン量、スチレンブロック量、ブタジエン部の1,2-ビニル結合量、ムーニー粘度、ピークトップ分子量、及び屈折率を表1に示す。
(製造例4)
SBR-5及び6は、スチレンの添加量を変量し、それに応じてランダム化剤の添加量を調整し、その他は製造例1の方法と同様にして製造を行った。
得られたポリマーの重合開始温度、反応ピーク温度、結合スチレン量、スチレンブロック量、ブタジエン部の1,2-ビニル結合量、ムーニー粘度、ピークトップ分子量、及び屈折率を表1に示す。
(製造例5)
SBR-7及び8は、目的の1,2-ビニル結合量に応じてビニル化剤の添加量を調整し、その他は製造例1の方法と同様にして製造を行った。
得られたポリマーの重合開始温度、反応ピーク温度、結合スチレン量、スチレンブロック量、ブタジエン部の1,2-ビニル結合量、ムーニー粘度、ピークトップ分子量、及び屈折率を表2に示す。
(製造例6)
表2記載のブタジエンモノマー及びスチレンモノマーをオートクレーブに計量後、ビニル化剤としての2,2’-ジテトラヒドロフリルプロパン、及びランダム化剤としてのポタシウム-t-アミルアルコキシドを添加した。
重合開始温度50℃でn-ブチルリチウムを添加し重合を開始した。重合反応ピーク温度は71℃であった。温度ピークから2分後に、メタノールをn-ブチルリチウムの1倍モル量添加して反応を停止させることで、スチレン-ブタジエン共重合体ゴムSBR-9を得た。結合スチレン量は45.9質量%、スチレンブロック量は1.90質量%であった。
その他の物性を表2に示す。
(製造例7)
SBR-10は、製造例1の方法に従い、重合開始剤であるノルマルブチルリチウムの量を調整した結果、表2に示すピークトップ分子量のポリマーが得られた。ピークトップ分子量に従いピークトップ分子量が上がるとMLの値が低下した。
ポリマーの開始温度、反応ピーク温度、結合スチレン量、スチレンブロック量、ブタジエン部の1,2-ビニル結合量、ムーニー粘度、ピークトップ分子量、及び屈折率を表2に示す。
以上の製造例において、各重合バッチのいずれも、反応ピーク温度から2分後経過した時のスチレンの転化率は95%以上であり、1,3-ブタジエンの転化率は99.8%以上であった。上記転化率は、ガスクロマトグラフィーを用いて測定した。
反応終了後、各製造例及び比較製造例で得られたスチレン-ブタジエン共重合体ゴム溶液に、安定剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム100質量部当たり0.30質量部添加し、ドラムドライヤー(160℃)で脱溶媒し、乾燥して仕上げた。
表1、表2に、各スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの結合スチレン量、スチレンブロック量、スチレンブロック量/結合スチレン量の比、ブタジエン部分の1,2-ビニル結合量、ムーニー粘度、ピークトップ分子量、カップリング率、及び屈折率を示す。
Figure 2023155551000001
Figure 2023155551000002
〔ゴム組成物の製造及び評価〕
(実施例1~3)
表3に示す組成で、(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴム、(B)ジエン系ゴム、(C)充填剤、(D)脂肪酸、(F)シランカップリング剤、(G)架橋剤、及び抗酸化剤を配合し、6インチのオープンロール(関西ロール製、ロール温度119~121℃、回転比1:1.25)を用いて、排出温度120~130℃の温度条件で混練した。
その後、混練物に架橋剤を配合し、6インチのオープンロールを用いて30~40℃の温度でさらに混練した。
実施例1~3は、(A)成分としてSBR-1を用い、また、表3中、(D)脂肪酸の「指定量」については、下記の表4に示す配合量に従った。
次に、この混練物を、加熱プレス機を用いて、160℃、圧力約16MPaで約6分加圧して、厚み2.00mmの加硫ゴムシート、及び厚み3.00mmの加硫ゴムシートを作製した。
さらに、同様にして、直径16.0mm、厚み8.00mmの円柱状の加硫ゴム片を作製した。
なお、厚み2.00mmの加硫ゴムシートは、引張強度及び引裂強度の測定用の試験片として使用した。
厚み3.00mmの加硫ゴムシートは、HAZE値及びタイプAデュロメータ硬さの測定用の試験片として使用した。
円柱状の加硫ゴム片は、耐摩耗試験用の試験片として使用した。以下、同様とした。
Figure 2023155551000003
(実施例4)
実施例4においては、(A)成分として使用するSBR-1をポリマー溶液段階で、脂肪酸0.6質量部を加え、乾燥したものを使用し、ゴム組成物にするときは脂肪酸を添加せず、それ以外は、実施例1の条件と同様にして、各加硫ゴムシート及び加硫ゴム片を作製した。
〔実施例5、6、7、8、9〕
実施例5、6、7、8及び9においては、(A)成分として下記表4に示すものを用い、(E)成分の液状ブタジエンゴムを表4に従って加え、それ以外は実施例1と同様にして、ゴム組成物を作製し、各加硫ゴムシート、及び加硫ゴム片を作製した。
〔実施例10、11、12、13、14〕
実施例10、11、12、13、及び14においては、(A)成分として表5に示すものを用い、また、(D)成分の配合量を表5に従い、その他の条件は、実施例1と同様にして、ゴム組成物を作製し、加硫ゴムシート、及び加硫ゴム片を作製した。
〔実施例15〕
実施例15においては、(A)成分、(B)成分、(D)成分を、表5に示す配合量とし、その他の条件は、実施例1と同様にしてゴム組成物を作製し、加硫ゴムシート、及び加硫ゴム片を作製した。
〔実施例16〕
実施例16においては、(A)成分としてSBR-1を用い、(B)成分にはBRU150及びIR2200を用い、(C)成分としては湿式シリカVN3を用い、これらを表5に示す配合量に従って加え、その他の条件は実施例1と同様にしてゴム組成物を作製し、加硫ゴムシート、及び加硫ゴム片を作製した。
〔実施例17〕
実施例17においては、(A)成分としてはSBR-1を用い、(C)成分にカーボンブラック(CB N339)を用い、これらを表5に示す配合量に従って加え、その他の条件は実施例1と同様にしてゴム組成物を作製し、加硫ゴムシート、及び加硫ゴム片を作製した。
〔比較例1、2、3、4、7〕
比較例1、2、3、4及び7は、(D)成分を用いなかった。また、表6に従って所定の成分を配合した。その他の条件は実施例1と同様にしてゴム組成物を作製し、加硫ゴムシート、及び加硫ゴム片を作製した。
〔比較例5〕
比較例5は、比較例4の配合条件をベースに、ヘキサン酸を下記表6に示す配合量で加えた。その他の条件は実施例1と同様にしてゴム組成物を作製し、加硫ゴムシート、及び加硫ゴム片を作製した。
〔比較例6〕
比較例6においては、比較例4の配合条件をベースに、(E)成分として液状ブタジエンゴムを加えた。その他の条件は実施例1と同様にしてゴム組成物を作製し、加硫ゴムシート、及び加硫ゴム片を作製した。
〔比較例8〕
比較例8においては、表6に示すように、(A)成分としてアサプレン303を用い、(B)成分としてBRU150及びIR2200を用い、(C)成分として湿式シリカVN3を用い、表6に示す配合量に従った。(D)成分は加えなかった。その他の条件は、実施例1と同様にしてゴム組成物を作製し、加硫ゴムシート、及び加硫ゴム片を作製した。
〔比較例9〕
比較例9においては、表6に示すように、(A)成分はSBR1を用い、(C)成分にカーボンブラック(CB N339)を用いた。また、(D))成分は加えなかった。その他の条件は、実施例1と同様にして、ゴム組成物を作製し、加硫ゴムシート、及び加硫ゴム片を作製した。
実施例1~17及び比較例1~9のゴム組成物の物性値の測定結果を表4~表6に示す。
Figure 2023155551000004
Figure 2023155551000005
Figure 2023155551000006
タイプAデュロメータ硬さ及びHAZE値は実測値である。
HAZE値は低い方がより透明性が良好なことを示す。
耐摩耗性、引張強度、及び引裂強度については、比較例1の物性を100としたときのINDEX表示とした。INDEXは高いほど物性が優れる。
表4~表6から、各実施例において、脂肪酸追加による、加工性、耐摩耗性、及び引裂強度の改善傾向が分かった。
例えば、実施例1、2、3、16及び17は、脂肪酸添加のみで得られた効果を示しており、比較例と比べるとそれらでは得られなかった加工性を得てかつ、物性を損なわずに得られていることが分かった。
また実施例1、2、3は、耐摩耗性、引張特性、及び引裂特性といった機械的特性に加え、透明性を損なわなかったことが分かった。
実施例4によれば、脂肪酸の添加のタイミングを、ポリマー仕上げ時に変更しても、指定量含有していれば加工性の改善が得られたことが分かった。
実施例5、6、7、8は、脂肪酸と液状ブタジエンゴムの併用によりさらなる加工性改善が図られた。いずれも加工性は改善され、加硫後物性値は改善された。特に摩耗性が大幅に改善された。また、HAZE値を大きく低下させることはなかった。
しかし、実施例9のように液状ブタジエンゴムの量が多い場合、耐摩耗性、引張特性、及び引裂特性といった機械的特性に影響を与えたが、実用上は問題がなかった。
また、実施例8は脂肪酸の添加のタイミングをポリマーの仕上げ時に変えたものであるが、添加のタイミングで加工性や物性が異なることはなかった。
本発明のゴム組成物は、各種架橋ゴムシート、靴用のアウトソールの材料の分野において、産業上の利用可能性を有する。





Claims (12)

  1. (A):スチレンブロック量/結合スチレン量の質量比が0.02~0.23、
    ブタジエン部分の1,2-ビニル結合量が10~60質量%、
    結合スチレン量が35~55質量%、
    であり、
    ムーニー粘度が80~110の範囲にある、
    スチレン-ブタジエン共重合体ゴム5~50質量%と、
    (B):天然ゴム、ジエン系合成ゴム、及び芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種であって、ムーニー粘度が20以上80未満であるジエン系ゴム50~95質量%と、
    を、含有するゴム成分と、
    前記(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴム及び前記(B)ジエン系ゴムからなるゴム成分100質量部に対し、
    (C):充填剤10~50質量部、及び、
    (D):脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体0.01~1質量部
    を、含有する、ゴム組成物。
  2. 前記(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴム及び前記(B)ジエン系ゴムからなるゴム成分100質量部に対して、
    (E):液状ジエンゴムを0~5質量部、さらに含有する、
    請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴム中のスチレンブロック量が、0.70~12質量%である、
    請求項1又は2に記載のゴム組成物。
  4. 前記(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの屈折率が、1.530~1.570であり、
    前記(B)ジエン系ゴムの屈折率が、1.450~1.530であり、かつ
    前記(C)充填剤の屈折率が1.370~1.500である、
    請求項1又は2に記載のゴム組成物。
  5. 前記(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの結合スチレン量が、40~50質量%である、
    請求項1又は2に記載のゴム組成物。
  6. 前記(C)充填剤が、シリカ、炭酸マグネシウム、カーボンブラック及び水酸化マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも一種である、
    請求項1又は2に記載のゴム組成物。
  7. 前記(D)脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体が、炭素数8~30のアルキル基又はアルケニル基を有する、
    請求項1又は2に記載のゴム組成物。
  8. 前記(E)液状ジエンゴムが、
    ブタジエン、及び/又は、スチレン-ブタジエン若しくはアクリロニトリル-ブタジエンのオリゴマーである、
    請求項2に記載のゴム組成物。
  9. HAZE値が10~40%である、
    請求項1又は2に記載のゴム組成物。
  10. 請求項1又は2に記載のゴム組成物を含むアウトソール。
  11. (A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴム98~99.98質量%と、(D)脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体0.02~2質量%を含有するベールと、
    (B)天然ゴム、ジエン系合成ゴム、及び芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種であって、ムーニー粘度が20以上80未満であるジエン系ゴムと、
    を、前記(A)及び前記(B)を、(A)/(B)の質量比が5/95~50/50とし、かつ、
    前記(A)及び前記(B)からなるゴム成分100質量部に対して、(C)充填剤10~50質量部を、混練する工程を有し、
    前記(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムは、スチレンブロック量/結合スチレン量の比が0.02~0.23であり、ブタジエン部分の1,2-ビニル結合が10~60質量%であり、結合スチレン量が35~55質量%であり、ムーニー粘度が80~110であるものとする、
    ゴム組成物の製造方法。
  12. (A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴム98~99.98質量%と、(D)脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体0.02~2質量%とを含有するベールと、
    (B)天然ゴム、ジエン系合成ゴム、及び芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種であって、ムーニー粘度が20以上80未満であるジエン系ゴムと、
    を、前記(A)及び前記(B)を、(A)/(B)の質量比が5/95~50/50とし、かつ、
    前記(A)及び前記(B)からなるゴム成分100質量部に対して、(C)充填剤10~50質量%を、混練し、混練物を得る工程と、
    前記混練物に(G)架橋剤を混合し、加圧及び/又は加熱する工程と、
    を、有し、
    前記(A)スチレン-ブタジエン共重合体ゴムは、スチレンブロック量/結合スチレン量の比が0.02~0.23であり、ブタジエン部分の1,2-ビニル結合が10~60質量%であり、結合スチレン量が35~55質量%であり、ムーニー粘度が80~110であるものとする、
    架橋ゴムシートの製造方法。


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