JP2019104889A - ゴム組成物およびタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】ドライハンドリング性と、耐オゾンクラック性と、耐変色性とを高度にバランスさせたゴム組成物を提供すること。【解決手段】ゴム成分とスチレン・アルキレンブロック共重合体と老化防止剤とを含み、スチレン・アルキレンブロック共重合体の合計スチレン含量が、スチレン・アルキレンブロック共重合体の総質量に対して、30質量%以上であり、老化防止剤の配合量が、前記ゴム成分100質量部に対して、0.5〜3質量部である、ゴム組成物。【選択図】図1
Description
本発明は、ゴム組成物およびタイヤに関する。
近年、環境問題への関心の高まりに伴う世界的な二酸化炭素排出規制の動きに関連して、自動車の低燃費化に対する要求が強まりつつある。このような要求に対応するため、タイヤ性能についても転がり抵抗の低減が求められている。従来、タイヤの転がり抵抗を低減させる手法として、タイヤ構造を最適化する手法も検討されてきたが、タイヤに適用するゴム組成物について、tanδが低く(以下、「低ロス性」という)、低発熱性の優れたものを用いることも、現在一般的な手法として行われている。
また、従来、スチレンブタジエンゴムとシリカを使いこなすことで、WET性能と低ロス性を両立したタイヤが主流であった。
近年、天然ゴムをベースに、熱可塑性樹脂や軟化剤を従来よりも多量に配合することで、更に高いWET性能と低ロス性を発揮できることが分かった(例えば、特許文献1および2参照)。しかし、その場合、乾燥路面での操縦安定性(ドライハンドリング性)に改善の余地があった。
また、一般に、天然ゴムやジエン系合成ゴムを原料としたゴム物品は、オゾン環境下にさらされることにより経時的に劣化し、その表面にクラックが発生し得る。このクラックは、ゴム物品が静的応力及び動的応力を受け続けることにより更に進行し、結果的にゴム物品が破壊に至ってしまう。
このオゾンによるクラックの発生及び進行を防止ないし抑制するために、ゴム物品、特にタイヤのトレッドゴムやサイドウォールゴムには、老化防止剤として、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン等のアミン系老化防止剤を配合したゴム組成物を適用するのが一般的となっている。しかしながら、ゴム物品に上述のアミン系老化防止剤を用いると、時間の経過に伴ってかかる老化防止剤がゴム表面に移行し、ゴム表面の変色や汚染をもたらすいわゆるブルームが発生し易く、ゴム物品の外観を損ねるおそれがある。
そこで、本発明は、ドライハンドリング性と、耐オゾンクラック性と、耐変色性とを高度にバランスさせたゴム組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、ドライハンドリング性と、耐オゾンクラック性と、耐変色性とを高度にバランスさせたタイヤを提供することを目的とする。
本発明に係るゴム組成物は、ゴム成分とスチレン・アルキレンブロック共重合体と老化防止剤とを含み、前記スチレン・アルキレンブロック共重合体の合計スチレン含量が、前記スチレン・アルキレンブロック共重合体の総質量に対して、30質量%以上であり、前記老化防止剤の配合量が、前記ゴム成分100質量部に対して、0.5〜3質量部である、ゴム組成物である。
これにより、ドライハンドリング性と、耐オゾンクラック性と、耐変色性とを高度にバランスさせることができる。
これにより、ドライハンドリング性と、耐オゾンクラック性と、耐変色性とを高度にバランスさせることができる。
本発明に係るゴム組成物は、スキッドベースゲージが1〜1.5mmであるタイヤ用であることが好ましい。
これにより、タイヤの耐オゾンクラック性と耐変色性が良好であり、タイヤの軽量化が可能となり、より優れた低ロス性とドライハンドリング性が得られる。
これにより、タイヤの耐オゾンクラック性と耐変色性が良好であり、タイヤの軽量化が可能となり、より優れた低ロス性とドライハンドリング性が得られる。
本発明に係るゴム組成物は、前記合計スチレン含量が、前記スチレン・アルキレンブロック共重合体の総質量に対して、50質量%以上であることが好ましい。
これにより、ドライハンドリング性をさらに高めることができる。
これにより、ドライハンドリング性をさらに高めることができる。
本発明に係るタイヤは、上記いずれかに記載のゴム組成物を用いた、タイヤである。
これにより、ドライハンドリング性と、耐オゾンクラック性と、耐変色性とを高度にバランスさせることができる。
これにより、ドライハンドリング性と、耐オゾンクラック性と、耐変色性とを高度にバランスさせることができる。
本発明によれば、ドライハンドリング性と、耐オゾンクラック性と、耐変色性とを高度にバランスさせたゴム組成物を提供することができる。本発明によれば、ドライハンドリング性と、耐オゾンクラック性と、耐変色性とを高度にバランスさせたタイヤを提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。これらの記載は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
(ゴム組成物)
本発明に係るゴム組成物は、ゴム成分とスチレン・アルキレンブロック共重合体と老化防止剤とを含み、前記スチレン・アルキレンブロック共重合体の合計スチレン含量が、前記スチレン・アルキレンブロック共重合体の総質量に対して、30質量%以上であり、前記老化防止剤の配合量が、前記ゴム成分100質量部に対して、0.5〜3質量部である、ゴム組成物である。
これにより、ドライハンドリング性と、耐オゾンクラック性と、耐変色性とを高度にバランスさせることができる。
本発明に係るゴム組成物は、ゴム成分とスチレン・アルキレンブロック共重合体と老化防止剤とを含み、前記スチレン・アルキレンブロック共重合体の合計スチレン含量が、前記スチレン・アルキレンブロック共重合体の総質量に対して、30質量%以上であり、前記老化防止剤の配合量が、前記ゴム成分100質量部に対して、0.5〜3質量部である、ゴム組成物である。
これにより、ドライハンドリング性と、耐オゾンクラック性と、耐変色性とを高度にバランスさせることができる。
上記効果について、理論に拘束されることを望むものではないが、これは、スチレン・アルキレンブロック共重合体をゴム組成物に配合することによりドライハンドリング性と、耐オゾンクラック性が向上し、老化防止剤を従来のタイヤ用ゴム組成物よりも減量することができ、耐変色性が向上するためと推測される。
<ゴム成分>
ゴム成分としては、特に限定されず、公知のゴム組成物において用いられるゴム成分を用いることができる。ゴム成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリイソプレンゴム、これらの変性体などが挙げられる。ゴム成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ゴム成分としては、特に限定されず、公知のゴム組成物において用いられるゴム成分を用いることができる。ゴム成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリイソプレンゴム、これらの変性体などが挙げられる。ゴム成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係るゴム組成物は、前記ゴム成分として天然ゴムを含むことが好ましい。
これにより、耐寒性と低ロス性を向上させることができる。
これにより、耐寒性と低ロス性を向上させることができる。
本発明に係るゴム組成物は、前記ゴム成分中における前記天然ゴムの割合が、50質量%以上であることが好ましい。
これにより、耐寒性と低ロス性を向上させることができる。
これにより、耐寒性と低ロス性を向上させることができる。
本発明に係るゴム組成物は、ゴム成分として、未変性SBRおよび変性SBRからなる群より選択される1種以上を含むことが好ましい。
本発明に係るゴム組成物は、ゴム成分として、変性SBRなどの変性共役ジエン系重合体を含むことが好ましい。
変性共役ジエン系重合体としては、例えば、以下の変性共役ジエン系重合体(A)が好ましい。この変性共役ジエン系重合体(A)は、重量平均分子量が20×104以上300×104以下であって、該変性共役ジエン系重合体(A)の総量に対して、分子量が200×104以上500×104以下である変性共役ジエン系重合体を、0.25質量%以上30質量%以下含み、収縮因子(g’)が0.64未満である。この変性共役ジエン系重合体(A)により、低ロス性をより向上させることができる。
変性共役ジエン系重合体(A)は、分岐を有し、分岐度が5以上であることが好ましい。この場合、タイヤに適用することで、タイヤのWET性能を更に向上させることができる。
変性共役ジエン系重合体(A)は、1以上のカップリング残基と、該カップリング残基に対して結合する共役ジエン系重合体鎖と、を有し、
前記分岐は、1の前記カップリング残基に対して5以上の前記共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むことが好ましい。この場合、タイヤに適用することで、タイヤのWET性能を更に向上させることができる。
前記分岐は、1の前記カップリング残基に対して5以上の前記共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むことが好ましい。この場合、タイヤに適用することで、タイヤのWET性能を更に向上させることができる。
変性共役ジエン系重合体(A)は、下記一般式(I):
[一般式(I)中、Dは、共役ジエン系重合体鎖を示し、R1、R2及びR3は、それぞれ独立して単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R4及びR7は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基を示し、R5、R8、及びR9は、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、R6及びR10は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R11は、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、m及びxは、それぞれ独立して1〜3の整数を示し、x≦mであり、pは、1又は2を示し、yは、1〜3の整数を示し、y≦(p+1)であり、zは、1又は2の整数を示し、それぞれ複数存在する場合のD、R1〜R11、m、p、x、y、及びzは、それぞれ独立しており、iは、0〜6の整数を示し、jは、0〜6の整数を示し、kは、0〜6の整数を示し、(i+j+k)は、3〜10の整数であり、((x×i)+(y×j)+(z×k))は、5〜30の整数であり、Aは、炭素数1〜20の、炭化水素基、又は、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を有し、かつ、活性水素を有しない有機基を示す]で表されるものであることが好ましい。この場合、タイヤに適用することで、タイヤの耐摩耗性を向上させることができる。
ここで、一般式(I)において、Aは、下記一般式(II)〜(V)のいずれかで表されるものであることが好ましい。この場合、タイヤに適用することで、タイヤの低ロス性と、WET性能と、耐摩耗性とを高度にバランスさせることができる。
[一般式(II)中、B1は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示し、複数存在する場合のB1は、各々独立している;
一般式(III)中、B2は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、B3は、炭素数1〜20のアルキル基を示し、aは、1〜10の整数を示し、それぞれ複数存在する場合のB2及びB3は、各々独立している;
一般式(IV)中、B4は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示し、複数存在する場合のB4は、各々独立している;
一般式(V)中、B5は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示し、複数存在する場合のB5は、各々独立している]、
一般式(III)中、B2は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、B3は、炭素数1〜20のアルキル基を示し、aは、1〜10の整数を示し、それぞれ複数存在する場合のB2及びB3は、各々独立している;
一般式(IV)中、B4は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示し、複数存在する場合のB4は、各々独立している;
一般式(V)中、B5は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示し、複数存在する場合のB5は、各々独立している]、
変性共役ジエン系重合体(A)は、共役ジエン系重合体を、下記一般式(VI)で表されるカップリング剤と反応させてなることが好ましい。この場合、タイヤに適用することで、タイヤの耐摩耗性を向上させることができる。
[一般式(VI)中、R12、R13及びR14は、それぞれ独立して単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R15、R16、R17、R18及びR20は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基を示し、R19及びR22は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R21は、炭素数1〜20の、アルキル基又はトリアルキルシリル基を示し、mは、1〜3の整数を示し、pは、1又は2を示し、R12〜R22、m及びpは、複数存在する場合、それぞれ独立しており、i、j及びkは、それぞれ独立して0〜6の整数を示し、但し、(i+j+k)は、3〜10の整数であり、Aは、炭素数1〜20の、炭化水素基、又は、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子からなる群から選択される少なくとも一種の原子を有し、活性水素を有しない有機基を示す]
ここで、一般式(VI)で表されるカップリング剤は、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、及びテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンからなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。この場合、タイヤに適用することで、タイヤの耐摩耗性を更に向上させることができる。
一般に、分岐を有する重合体は、同一の絶対分子量である直鎖状の重合体と比較した場合に、分子の大きさが小さくなる傾向にあり、前記収縮因子(g’)は、想定上同一の絶対分子量である直鎖状重合体に対する、分子の占める大きさの比率の指標である。即ち、重合体の分岐度が大きくなれば、収縮因子(g’)は小さくなる傾向にある。本実施形態では、分子の大きさの指標として固有粘度を用い、直鎖状の重合体は、固有粘度[η]=−3.883M0.771の関係式に従うものとして用いる。変性共役ジエン系重合体の各絶対分子量のときの収縮因子(g’)を算出し、絶対分子量が100×104〜200×104のときの収縮因子(g’)の平均値を、その変性共役ジエン系重合体の収縮因子(g’)とする。ここで、「分岐」とは、1つの重合体に対して、他の重合体が直接的又は間接的に結合することにより形成されるものである。また、「分岐度」は、1の分岐に対して、直接的又は間接的に互いに結合している重合体の数である。例えば、後述するカップリング残基を介して間接的に、後述の5つの共役ジエン系重合体鎖が互いに結合している場合には、分岐度は5である。なお、カップリング残基とは、共役ジエン系重合体鎖に結合される、変性共役ジエン系重合体の構成単位であり、例えば、後述する共役ジエン系重合体とカップリング剤とを反応させることによって生じる、カップリング剤由来の構造単位である。また、共役ジエン系重合体鎖は、変性共役ジエン系重合体の構成単位であり、例えば、後述する共役ジエン系重合体とカップリング剤とを反応させることによって生じる、共役ジエン系重合体由来の構造単位である。
前記収縮因子(g’)は、0.64未満であり、好ましくは0.63以下であり、より好ましくは0.60以下であり、さらに好ましくは0.59以下であり、より一層好ましくは0.57以下である。また、収縮因子(g’)の下限は特に限定されず、検出限界値以下であってもよいが、好ましくは0.30以上であり、より好ましくは0.33以上であり、さらに好ましくは0.35以上であり、より一層好ましくは0.45以上であり、さらには0.59以上である。収縮因子(g’)がこの範囲である変性共役ジエン系重合体(A)を使用することで、ゴム組成物の加工性が向上する。
収縮因子(g’)は分岐度に依存する傾向にあるため、例えば、分岐度を指標として収縮因子(g’)を制御することができる。具体的には、分岐度が6である変性共役ジエン系重合体とした場合には、その収縮因子(g’)は0.59以上0.63以下となる傾向にあり、分岐度が8である変性共役ジエン系重合体とした場合には、その収縮因子(g’)は0.45以上0.59以下となる傾向にある。
前記収縮因子(g’)は、0.64未満であり、好ましくは0.63以下であり、より好ましくは0.60以下であり、さらに好ましくは0.59以下であり、より一層好ましくは0.57以下である。また、収縮因子(g’)の下限は特に限定されず、検出限界値以下であってもよいが、好ましくは0.30以上であり、より好ましくは0.33以上であり、さらに好ましくは0.35以上であり、より一層好ましくは0.45以上であり、さらには0.59以上である。収縮因子(g’)がこの範囲である変性共役ジエン系重合体(A)を使用することで、ゴム組成物の加工性が向上する。
収縮因子(g’)は分岐度に依存する傾向にあるため、例えば、分岐度を指標として収縮因子(g’)を制御することができる。具体的には、分岐度が6である変性共役ジエン系重合体とした場合には、その収縮因子(g’)は0.59以上0.63以下となる傾向にあり、分岐度が8である変性共役ジエン系重合体とした場合には、その収縮因子(g’)は0.45以上0.59以下となる傾向にある。
収縮因子(g’)の測定方法は、以下のとおりである。変性共役ジエン系重合体を試料として、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したGPC測定装置(Malvern社製の商品名「GPCmax VE−2001」)を使用して、光散乱検出器、RI検出器、粘度検出器(Malvern社製の商品名「TDA305」)の順番に接続されている3つの検出器を用いて測定し、標準ポリスチレンに基づいて、光散乱検出器とRI検出器の結果から絶対分子量を、RI検出器と粘度検出器の結果から固有粘度を求める。直鎖ポリマーは、固有粘度[η]=−3.883M0.771に従うものとして用い、各分子量に対応する固有粘度の比としての収縮因子(g’)を算出する。溶離液は5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHFを使用する。カラムは、東ソー社製の商品名「TSKgel G4000HXL」、「TSKgel G5000HXL」、及び「TSKgel G6000HXL」を接続して使用する。測定用の試料20mgを10mLのTHFに溶解して測定溶液とし、測定溶液100μLをGPC測定装置に注入して、オーブン温度40℃、THF流量1mL/分の条件で測定する。
変性共役ジエン系重合体(A)は、分岐を有し、分岐度が5以上であることが好ましい。また、変性共役ジエン系重合体(A)は、1以上のカップリング残基と、該カップリング残基に対して結合する共役ジエン系重合体鎖とを有し、さらに、上記分岐が、1の当該カップリング残基に対して5以上の当該共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むことがより好ましい。分岐度が5以上であること、及び、分岐が、1のカップリング残基に対して5以上の共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むよう、変性共役ジエン系重合体の構造を特定することにより、より確実に収縮因子(g’)を0.64未満にすることができる。なお、1のカップリング残基に対して結合している共役ジエン系重合体鎖の数は、収縮因子(g’)の値から確認することができる。
また、変性共役ジエン系重合体(A)は、分岐を有し、分岐度が6以上であることがより好ましい。また、変性共役ジエン系重合体(A)は、1以上のカップリング残基と、該カップリング残基に対して結合する共役ジエン系重合体鎖とを有し、さらに、上記分岐が、1の当該カップリング残基に対して6以上の当該共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むことが、さらに好ましい。分岐度が6以上であること、及び、分岐が、1のカップリング残基に対して6以上の共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むよう、変性共役ジエン系重合体の構造を特定することにより、収縮因子(g’)を0.63以下にすることができる。
更に、変性共役ジエン系重合体(A)は、分岐を有し、分岐度が7以上であることがさらに好ましく、分岐度が8以上であることがより一層好ましい。分岐度の上限は特に限定されないが、18以下であることが好ましい。また、変性共役ジエン系重合体(A)は、1以上のカップリング残基と、該カップリング残基に対して結合する共役ジエン系重合体鎖とを有し、さらに、上記分岐が、1の当該カップリング残基に対して7以上の当該共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むことが、より一層好ましく、1の当該カップリング残基に対して8以上の当該共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むことが、特に好ましい。分岐度が8以上であること、及び、分岐が、1のカップリング残基に対して8以上の共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むよう、変性共役ジエン系重合体の構造を特定することにより、収縮因子(g’)を0.59以下にすることができる。
また、変性共役ジエン系重合体(A)は、分岐を有し、分岐度が6以上であることがより好ましい。また、変性共役ジエン系重合体(A)は、1以上のカップリング残基と、該カップリング残基に対して結合する共役ジエン系重合体鎖とを有し、さらに、上記分岐が、1の当該カップリング残基に対して6以上の当該共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むことが、さらに好ましい。分岐度が6以上であること、及び、分岐が、1のカップリング残基に対して6以上の共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むよう、変性共役ジエン系重合体の構造を特定することにより、収縮因子(g’)を0.63以下にすることができる。
更に、変性共役ジエン系重合体(A)は、分岐を有し、分岐度が7以上であることがさらに好ましく、分岐度が8以上であることがより一層好ましい。分岐度の上限は特に限定されないが、18以下であることが好ましい。また、変性共役ジエン系重合体(A)は、1以上のカップリング残基と、該カップリング残基に対して結合する共役ジエン系重合体鎖とを有し、さらに、上記分岐が、1の当該カップリング残基に対して7以上の当該共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むことが、より一層好ましく、1の当該カップリング残基に対して8以上の当該共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むことが、特に好ましい。分岐度が8以上であること、及び、分岐が、1のカップリング残基に対して8以上の共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むよう、変性共役ジエン系重合体の構造を特定することにより、収縮因子(g’)を0.59以下にすることができる。
変性共役ジエン系重合体(A)は、窒素原子と、ケイ素原子とを有することが好ましい。この場合、ゴム組成物の加工性が良好となり、また、タイヤに適用した際に、タイヤのWET性能及び耐摩耗性を向上させつつ、低ロス性を更に向上することができる。なお、変性共役ジエン系重合体(A)が窒素原子を有することについては、後述する変性率の測定方法で、算出された変性率が10%以上であった場合、窒素原子を有していると判断する。特定のカラムへの吸着の有無によって確認することができる。
変性共役ジエン系重合体(A)がケイ素原子を有することは、以下の方法により判断する。変性共役ジエン系重合体0.5gを試料として、JIS K 0101 44.3.1に準拠して、紫外可視分光光度計(島津製作所社製の商品名「UV−1800」)を用いて測定し、モリブデン青吸光光度法により定量する。これにより、ケイ素原子が検出された場合(検出下限10質量ppm)、ケイ素原子を有していると判断する。
前記共役ジエン系重合体鎖は、少なくともその1つの末端が、それぞれカップリング残基が有するケイ素原子と結合していることが好ましい。この場合、複数の共役ジエン系重合体鎖の末端が、1のケイ素原子と結合していてもよい。また、共役ジエン系重合体鎖の末端と炭素数1〜20のアルコキシ基又は水酸基とが、一つのケイ素原子に結合し、その結果として、その1つのケイ素原子が炭素数1〜20のアルコキシシリル基又はシラノール基を構成していてもよい。
前記変性共役ジエン系共重合体(A)は、伸展油を加えた油展重合体とすることができる。該変性共役ジエン系共重合体(A)は、非油展であっても、油展であってもよいが、耐摩耗性の観点から、100℃で測定されるムーニー粘度が、20以上100以下であることが好ましく、30以上80以下であることがより好ましい。
ムーニー粘度の測定方法は、以下のとおりである。共役ジエン系重合体又は変性共役ジエン系重合体を試料として、ムーニー粘度計(上島製作所社製の商品名「VR1132」)を用い、JIS K6300に準拠し、L形ローターを用いてムーニー粘度を測定する。測定温度は、共役ジエン系重合体を試料とする場合には110℃とし、変性共役ジエン系重合体を試料とする場合には100℃とする。まず、試料を1分間試験温度で予熱した後、ローターを2rpmで回転させ、4分後のトルクを測定してムーニー粘度(ML(1+4))とする。
変性共役ジエン系重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、20×104以上300×104以下であり、好ましくは50×104以上であり、より好ましくは64×104以上であり、さらに好ましくは80×104以上である。また、上記重量平均分子量は、好ましくは250×104以下であり、更に好ましくは180×104以下であり、より好ましくは150×104以下である。重量平均分子量が20×104以上であれば、タイヤの低ロス性とWET性能とを高度に両立することができる。また、重量平均分子量が300×104以下であれば、ゴム組成物の加工性が向上する。
変性共役ジエン系重合体(A)及び後述する共役ジエン系重合体に対する、数平均分子量、重量平均分子量、分子量分布、特定の高分子量成分の含有量は、以下のように測定する。共役ジエン系重合体又は変性共役ジエン系重合体を試料として、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したGPC測定装置(東ソー社製の商品名「HLC−8320GPC」)を使用して、RI検出器(東ソー社製の商品名「HLC8020」)を用いてクロマトグラムを測定し、標準ポリスチレンを使用して得られる検量線に基づいて、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)と分子量分布(Mw/Mn)と、変性共役ジエン系重合体のピークトップ分子量(Mp1)と共役ジエン系重合体のピークトップ分子量(Mp2)とその比率(Mp1/Mp2)と、分子量200×104以上500×104以下の割合と、を求める。溶離液は5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHF(テトラヒドロフラン)を使用する。カラムは、東ソー社製の商品名「TSKgel SuperMultiporeHZ−H」を3本接続し、その前段にガードカラムとして東ソー社製の商品名「TSKguardcolumn SuperMP(HZ)−H」を接続して使用する。測定用の試料10mgを10mLのTHFに溶解して測定溶液とし、測定溶液10μLをGPC測定装置に注入して、オーブン温度40℃、THF流量0.35mL/分の条件で測定する。
上記のピークトップ分子量(Mp1及びMp2)は、次のようにして求める。測定して得られるGPC曲線において、最も高分子量の成分として検出されるピークを選択する。その選択したピークについて、そのピークの極大値に相当する分子量を算出し、ピークトップ分子量とする。
また、上記の分子量200×104以上500×104以下の割合は、積分分子量分布曲線から分子量500×104以下が全体に占める割合から分子量200×104未満が占める割合を差し引くことで算出する。
上記のピークトップ分子量(Mp1及びMp2)は、次のようにして求める。測定して得られるGPC曲線において、最も高分子量の成分として検出されるピークを選択する。その選択したピークについて、そのピークの極大値に相当する分子量を算出し、ピークトップ分子量とする。
また、上記の分子量200×104以上500×104以下の割合は、積分分子量分布曲線から分子量500×104以下が全体に占める割合から分子量200×104未満が占める割合を差し引くことで算出する。
変性共役ジエン系重合体(A)は、該変性共役ジエン系重合体の総量(100質量%)に対して、分子量が200×104以上500×104以下である変性共役ジエン系重合体(本明細書において、「特定の高分子量成分」ともいう。)を、0.25質量%以上30質量%以下含む。該特定の高分子量成分の含有量がこの範囲内であれば、タイヤの低ロス性とWET性能とを高度に両立することができる。
変性共役ジエン系重合体(A)は、特定の高分子量成分を、好ましくは1.0質量%以上含み、より好ましくは1.4質量%以上含み、さらに好ましくは1.75質量%以上含み、より一層好ましくは2.0質量%以上含み、特に好ましくは2.15質量%以上含み、極めて好ましくは2.5質量%以上含む。また、変性共役ジエン系重合体(A)は、特定の高分子量成分を、好ましくは28質量%以下含み、より好ましくは25質量%以下含み、さらに好ましくは20質量%以下含み、より一層好ましくは18質量%以下含む。
なお、本明細書において「分子量」とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって得られる、標準ポリスチレン換算分子量である。特定の高分子量成分の含有量がこのような範囲にある変性共役ジエン系重合体(A)を得るためには、後述する重合工程と反応工程とにおける反応条件を制御することが好ましい。例えば、重合工程においては、後述する有機モノリチウム化合物の重合開始剤としての使用量を調整すればよい。また、重合工程において、連続式、及び回分式のいずれの重合様式においても、滞留時間分布を有する方法を用いる、すなわち、成長反応の時間分布を広げるとよい。
変性共役ジエン系重合体(A)は、特定の高分子量成分を、好ましくは1.0質量%以上含み、より好ましくは1.4質量%以上含み、さらに好ましくは1.75質量%以上含み、より一層好ましくは2.0質量%以上含み、特に好ましくは2.15質量%以上含み、極めて好ましくは2.5質量%以上含む。また、変性共役ジエン系重合体(A)は、特定の高分子量成分を、好ましくは28質量%以下含み、より好ましくは25質量%以下含み、さらに好ましくは20質量%以下含み、より一層好ましくは18質量%以下含む。
なお、本明細書において「分子量」とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって得られる、標準ポリスチレン換算分子量である。特定の高分子量成分の含有量がこのような範囲にある変性共役ジエン系重合体(A)を得るためには、後述する重合工程と反応工程とにおける反応条件を制御することが好ましい。例えば、重合工程においては、後述する有機モノリチウム化合物の重合開始剤としての使用量を調整すればよい。また、重合工程において、連続式、及び回分式のいずれの重合様式においても、滞留時間分布を有する方法を用いる、すなわち、成長反応の時間分布を広げるとよい。
変性共役ジエン系重合体(A)においては、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、1.6以上3.0以下が好ましい。変性共役ジエン系重合体(A)の分子量分布がこの範囲であれば、ゴム組成物の加工性が良好となる。
変性共役ジエン系重合体(A)の製造方法は、特に限定されるものではないが、有機モノリチウム化合物を重合開始剤として用い、少なくとも共役ジエン化合物を重合し、共役ジエン系重合体を得る重合工程と、該共役ジエン系重合体の活性末端に対して、5官能以上の反応性化合物(以下、「カップリング剤」ともいう。)を反応させる反応工程と、を有することが好ましい。カップリング剤としては、窒素原子とケイ素原子とを有する5官能以上の反応性化合物を反応させるのが好ましい。
変性共役ジエン系重合体(A)は、共役ジエン系重合体を、上記一般式(VI)で表されるカップリング剤と反応させてなることが好ましい。該カップリング剤と反応させてなる変性共役ジエン系重合体(A)を含むゴム組成物をタイヤに使用することで、タイヤの耐摩耗性を向上させることも可能となる。
ここで、一般式(VI)中、Aが示す炭化水素基は、飽和、不飽和、脂肪族、及び芳香族の炭化水素基を包含する。活性水素を有しない有機基としては、例えば、水酸基(−OH)、第2級アミノ基(>NH)、第1級アミノ基(−NH2)、スルフヒドリル基(−SH)等の活性水素を有する官能基、を有しない有機基が挙げられる。
ここで、一般式(VI)中、Aが示す炭化水素基は、飽和、不飽和、脂肪族、及び芳香族の炭化水素基を包含する。活性水素を有しない有機基としては、例えば、水酸基(−OH)、第2級アミノ基(>NH)、第1級アミノ基(−NH2)、スルフヒドリル基(−SH)等の活性水素を有する官能基、を有しない有機基が挙げられる。
前記重合工程は、リビングアニオン重合反応による成長反応による重合が好ましく、これにより、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得ることができ、高変性率の変性ジエン系重合体(A)を得ることができる。
前記共役ジエン系重合体は、少なくとも共役ジエン化合物を重合して得られ、必要に応じて共役ジエン化合物とビニル置換芳香族化合物との両方を共重合して得られる。
前記共役ジエン化合物としては、炭素数4〜12の共役ジエン化合物が好ましく、より好ましくは炭素数4〜8の共役ジエン化合物である。このような共役ジエン化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、及び1,3−ヘプタジエンが挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、1,3−ブタジエン、及びイソプレンが好ましい。これら共役ジエン化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記ビニル置換芳香族化合物としては、モノビニル芳香族化合物が好ましい。該モノビニル芳香族化合物としては、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、及びジフェニルエチレンが挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、スチレンが好ましい。これらビニル置換芳香族化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記共役ジエン化合物としては、炭素数4〜12の共役ジエン化合物が好ましく、より好ましくは炭素数4〜8の共役ジエン化合物である。このような共役ジエン化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、及び1,3−ヘプタジエンが挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、1,3−ブタジエン、及びイソプレンが好ましい。これら共役ジエン化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記ビニル置換芳香族化合物としては、モノビニル芳香族化合物が好ましい。該モノビニル芳香族化合物としては、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、及びジフェニルエチレンが挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、スチレンが好ましい。これらビニル置換芳香族化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機モノリチウム化合物の重合開始剤としての使用量は、目標とする共役ジエン系重合体又は変性共役ジエン系重合体の分子量によって決めることが好ましい。重合開始剤の使用量に対する、共役ジエン化合物等の単量体の使用量が重合度に関係し、すなわち、数平均分子量及び/又は重量平均分子量に関係する。従って、分子量を増大させるためには、重合開始剤を減らす方向に調整するとよく、分子量を低下させるためには、重合開始剤量を増やす方向に調整するとよい。
前記有機モノリチウム化合物は、工業的入手の容易さ及び重合反応のコントロールの容易さの観点から、好ましくは、アルキルリチウム化合物である。この場合、重合開始末端にアルキル基を有する、共役ジエン系重合体が得られる。アルキルリチウム化合物としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、及びスチルベンリチウムが挙げられる。アルキルリチウム化合物としては、工業的入手の容易さ及び重合反応のコントロールの容易さの観点から、n−ブチルリチウム、及びsec−ブチルリチウムが好ましい。これらの有機モノリチウム化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機モノリチウム化合物は、工業的入手の容易さ及び重合反応のコントロールの容易さの観点から、好ましくは、アルキルリチウム化合物である。この場合、重合開始末端にアルキル基を有する、共役ジエン系重合体が得られる。アルキルリチウム化合物としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、及びスチルベンリチウムが挙げられる。アルキルリチウム化合物としては、工業的入手の容易さ及び重合反応のコントロールの容易さの観点から、n−ブチルリチウム、及びsec−ブチルリチウムが好ましい。これらの有機モノリチウム化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記重合工程において、重合反応様式としては、例えば、回分式、連続式の重合反応様式が挙げられる。連続式においては、1個又は2個以上の連結された反応器を用いることができる。連続式の反応器は、例えば、撹拌機付きの槽型、管型のものが用いられる。連続式においては、好ましくは、連続的に単量体、不活性溶媒、及び重合開始剤が反応器にフィードされ、該反応器内で重合体を含む重合体溶液が得られ、連続的に重合体溶液が排出される。回分式の反応器は、例えば、攪拌機付の槽型のものが用いられる。回分式においては、好ましくは、単量体、不活性溶媒、及び重合開始剤がフィードされ、必要により単量体が重合中に連続的又は断続的に追加され、該反応器内で重合体を含む重合体溶液が得られ、重合終了後に重合体溶液が排出される。本実施形態において、高い割合で活性末端を有する共役ジエン系重合体を得るには、重合体を連続的に排出し、短時間で次の反応に供することが可能な、連続式が好ましい。
前記重合工程は、不活性溶媒中で重合することが好ましい。不活性溶媒としては、例えば、飽和炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素系溶媒が挙げられる。具体的な炭化水素系溶媒としては、以下のものに限定されないが、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素及びそれらの混合物からなる炭化水素が挙げられる。重合反応に供する前に、不純物であるアレン類、及びアセチレン類を有機金属化合物で処理することで、高濃度の活性末端を有する共役ジエン系重合体が得られる傾向にあり、高い変性率の変性共役ジエン系重合体が得られる傾向にあるため好ましい。
前記重合工程においては、極性化合物を添加してもよい。極性化合物を添加することで、芳香族ビニル化合物を共役ジエン化合物とランダムに共重合させることができ、また、極性化合物は、共役ジエン部のミクロ構造を制御するためのビニル化剤としても用いることができる傾向にある。
前記極性化合物としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジメトキシベンゼン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン等のエーテル類;テトラメチルエチレンジアミン、ジピペリジノエタン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、キヌクリジン等の第3級アミン化合物;カリウム−tert−アミラート、カリウム−tert−ブチラート、ナトリウム−tert−ブチラート、ナトリウムアミラート等のアルカリ金属アルコキシド化合物;トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物等を用いることができる。これらの極性化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記極性化合物としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジメトキシベンゼン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン等のエーテル類;テトラメチルエチレンジアミン、ジピペリジノエタン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、キヌクリジン等の第3級アミン化合物;カリウム−tert−アミラート、カリウム−tert−ブチラート、ナトリウム−tert−ブチラート、ナトリウムアミラート等のアルカリ金属アルコキシド化合物;トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物等を用いることができる。これらの極性化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記重合工程において、重合温度は、生産性の観点から、0℃以上であることが好ましく、120℃以下であることがさらに好ましく、50℃以上100℃以下であることが特に好ましい。このような範囲にあることで、重合終了後の活性末端に対するカップリング剤の反応量を充分に確保することができる傾向にある。
前記共役ジエン系重合体又は変性共役ジエン系重合体(A)中の結合共役ジエン量は、特に限定されないが、40質量%以上100質量%以下であることが好ましく、55質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
また、前記共役ジエン系重合体又は変性共役ジエン系重合体(A)中の結合芳香族ビニル量は、特に限定されないが、0質量%以上60質量%以下であることが好ましく、20質量%以上45質量%以下であることがより好ましい。
前記結合共役ジエン量及び結合芳香族ビニル量が上記範囲であると、ゴム組成物をタイヤに適用した際に、低ロス性と、WET性能と、耐摩耗性とを、高度にバランスすることが可能となる。
なお、結合芳香族ビニル量は、フェニル基の紫外吸光によって測定でき、ここから結合共役ジエン量も求めることができる。具体的には、以下に準じて測定する。変性共役ジエン系重合体を試料として、試料100mgを、クロロホルムで100mLにメスアップし、溶解して測定サンプルとする。スチレンのフェニル基による紫外線吸収波長(254nm付近)の吸収量により、試料100質量%に対しての結合スチレン量(質量%)を測定する(島津製作所社製の分光光度計「UV−2450」)。
また、前記共役ジエン系重合体又は変性共役ジエン系重合体(A)中の結合芳香族ビニル量は、特に限定されないが、0質量%以上60質量%以下であることが好ましく、20質量%以上45質量%以下であることがより好ましい。
前記結合共役ジエン量及び結合芳香族ビニル量が上記範囲であると、ゴム組成物をタイヤに適用した際に、低ロス性と、WET性能と、耐摩耗性とを、高度にバランスすることが可能となる。
なお、結合芳香族ビニル量は、フェニル基の紫外吸光によって測定でき、ここから結合共役ジエン量も求めることができる。具体的には、以下に準じて測定する。変性共役ジエン系重合体を試料として、試料100mgを、クロロホルムで100mLにメスアップし、溶解して測定サンプルとする。スチレンのフェニル基による紫外線吸収波長(254nm付近)の吸収量により、試料100質量%に対しての結合スチレン量(質量%)を測定する(島津製作所社製の分光光度計「UV−2450」)。
前記共役ジエン系重合体又は変性共役ジエン系重合体(A)において、共役ジエン結合単位中のビニル結合量は、特に限定されないが、10モル%以上75モル%以下であることが好ましく、20モル%以上65モル%以下であることがより好ましい。ビニル結合量が上記範囲であると、ゴム組成物をタイヤに適用した際に、低ロス性と、WET性能と、耐摩耗性とを、高度にバランスすることが可能となる。
なお、変性共役ジエン系重合体(A)がブタジエンとスチレンとの共重合体である場合には、ハンプトンの方法[R.R.Hampton,Analytical Chemistry,21,923(1949)]により、ブタジエン結合単位中のビニル結合量(1,2−結合量)を求めることができる。具体的には、以下のとおりである。変性共役ジエン系重合体を試料として、試料50mgを、10mLの二硫化炭素に溶解して測定サンプルとする。溶液セルを用いて、赤外線スペクトルを600〜1000cm−1の範囲で測定して、所定の波数における吸光度により上記ハンプトンの方法の計算式に従い、ブタジエン部分のミクロ構造、すなわち、1,2−ビニル結合量(mol%)を求める(日本分光社製のフーリエ変換赤外分光光度計「FT−IR230」)。
なお、変性共役ジエン系重合体(A)がブタジエンとスチレンとの共重合体である場合には、ハンプトンの方法[R.R.Hampton,Analytical Chemistry,21,923(1949)]により、ブタジエン結合単位中のビニル結合量(1,2−結合量)を求めることができる。具体的には、以下のとおりである。変性共役ジエン系重合体を試料として、試料50mgを、10mLの二硫化炭素に溶解して測定サンプルとする。溶液セルを用いて、赤外線スペクトルを600〜1000cm−1の範囲で測定して、所定の波数における吸光度により上記ハンプトンの方法の計算式に従い、ブタジエン部分のミクロ構造、すなわち、1,2−ビニル結合量(mol%)を求める(日本分光社製のフーリエ変換赤外分光光度計「FT−IR230」)。
変性共役ジエン系重合体(A)は、ガラス転移温度(Tg)が−50℃を超えることが好ましく、−45℃以上−15℃以下であることが更に好ましい。変性共役ジエン系重合体(A)のガラス転移温度(Tg)が−45℃以上−15℃以下の範囲にあると、ゴム組成物をタイヤに適用した際に、低ロス性とWET性能とを更に高度に両立することができる。
なお、ガラス転移温度については、ISO 22768:2006に従い、所定の温度範囲で昇温しながらDSC曲線を記録し、DSC微分曲線のピークトップ(Inflection point)をガラス転移温度とする。具体的には、以下のとおりである。変性共役ジエン系重合体を試料として、ISO 22768:2006に準拠して、マックサイエンス社製の示差走査熱量計「DSC3200S」を用い、ヘリウム50mL/分の流通下、−100℃から20℃/分で昇温しながらDSC曲線を記録し、DSC微分曲線のピークトップ(Inflection point)をガラス転移温度とする。
なお、ガラス転移温度については、ISO 22768:2006に従い、所定の温度範囲で昇温しながらDSC曲線を記録し、DSC微分曲線のピークトップ(Inflection point)をガラス転移温度とする。具体的には、以下のとおりである。変性共役ジエン系重合体を試料として、ISO 22768:2006に準拠して、マックサイエンス社製の示差走査熱量計「DSC3200S」を用い、ヘリウム50mL/分の流通下、−100℃から20℃/分で昇温しながらDSC曲線を記録し、DSC微分曲線のピークトップ(Inflection point)をガラス転移温度とする。
前記反応性化合物(カップリング剤)は、好ましくは、窒素原子とケイ素原子とを有する5官能以上の反応性化合物であることが好ましく、少なくとも3個のケイ素含有官能基を有していることが好ましい。さらに好ましいカップリング剤は、少なくとも1のケイ素原子が、炭素数1〜20のアルコキシシリル基又はシラノール基を構成するものであり、より好ましくは上記一般式(VI)で表される化合物である。
カップリング剤が有するアルコキシシリル基は、例えば、共役ジエン系重合体が有する活性末端と反応して、アルコキシリチウムが解離し、共役ジエン系重合体鎖の末端とカップリング残基のケイ素との結合を形成する傾向にある。カップリング剤1分子が有するSiORの総数から、反応により減じたSiOR数を差し引いた値が、カップリング残基が有するアルコキシシリル基の数となる。また、カップリング剤が有するアザシラサイクル基は、>N−Li結合及び共役ジエン系重合体末端とカップリング残基のケイ素との結合を形成する。なお、>N−Li結合は、仕上げ時の水等により容易に>NH及びLiOHとなる傾向にある。また、カップリング剤において、未反応で残存したアルコキシシリル基は、仕上げ時の水等により容易にシラノール(Si−OH基)となり得る傾向にある。
カップリング剤が有するアルコキシシリル基は、例えば、共役ジエン系重合体が有する活性末端と反応して、アルコキシリチウムが解離し、共役ジエン系重合体鎖の末端とカップリング残基のケイ素との結合を形成する傾向にある。カップリング剤1分子が有するSiORの総数から、反応により減じたSiOR数を差し引いた値が、カップリング残基が有するアルコキシシリル基の数となる。また、カップリング剤が有するアザシラサイクル基は、>N−Li結合及び共役ジエン系重合体末端とカップリング残基のケイ素との結合を形成する。なお、>N−Li結合は、仕上げ時の水等により容易に>NH及びLiOHとなる傾向にある。また、カップリング剤において、未反応で残存したアルコキシシリル基は、仕上げ時の水等により容易にシラノール(Si−OH基)となり得る傾向にある。
前記反応工程における反応温度は、好ましくは共役ジエン系重合体の重合温度と同様の温度であり、より好ましくは0℃以上120℃以下であり、さらに好ましくは50℃以上100℃以下である。また、重合工程後からカップリング剤が添加されるまでの温度変化は、好ましくは10℃以下であり、より好ましくは5℃以下である。
前記反応工程における反応時間は、好ましくは10秒以上であり、より好ましくは30秒以上である。重合工程の終了時から反応工程の開始時までの時間は、カップリング率の観点から、より短い方が好ましいが、より好ましくは5分以内である。
反応工程における混合は、機械的な攪拌、スタティックミキサーによる攪拌等のいずれでもよい。重合工程が連続式である場合は、反応工程も連続式であることが好ましい。反応工程における反応器は、例えば、撹拌機付きの槽型、管型のものが用いられる。カップリング剤は、不活性溶媒により希釈して反応器に連続的に供給してもよい。重合工程が回分式の場合は、重合反応器にカップリング剤を投入する方法でも、別の反応器に移送して反応工程を行ってもよい。
前記反応工程における反応時間は、好ましくは10秒以上であり、より好ましくは30秒以上である。重合工程の終了時から反応工程の開始時までの時間は、カップリング率の観点から、より短い方が好ましいが、より好ましくは5分以内である。
反応工程における混合は、機械的な攪拌、スタティックミキサーによる攪拌等のいずれでもよい。重合工程が連続式である場合は、反応工程も連続式であることが好ましい。反応工程における反応器は、例えば、撹拌機付きの槽型、管型のものが用いられる。カップリング剤は、不活性溶媒により希釈して反応器に連続的に供給してもよい。重合工程が回分式の場合は、重合反応器にカップリング剤を投入する方法でも、別の反応器に移送して反応工程を行ってもよい。
前記一般式(VI)において、Aは、好ましくは上記一般式(II)〜(V)のいずれかで表される。Aが一般式(II)〜(V)のいずれかで表されるものであることにより、より優れた性能を有する変性共役ジエン系重合体(A)を得ることができる。
なお、前記一般式(II)〜(V)中のB1、B2、B4、B5に関して、炭素数1〜20の炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキレン基等が挙げられる。
好ましくは、前記一般式(VI)において、Aは、前記一般式(II)又は(III)で表され、kは、0を示す。
より好ましくは、前記一般式(VI)において、Aは、前記一般式(II)又は(III)で表され、kは、0を示し、前記一般式(II)又は(III)において、aは、2〜10の整数を示す。
より一層好ましくは、前記一般式(VI)において、Aは、前記一般式(II)で表され、kは、0を示し、前記一般式(II)において、aは、2〜10の整数を示す。
かかるカップリング剤としては、例えば、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン、ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリスメトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン等が挙げられ、これらの中でも、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンが特に好ましい。
より好ましくは、前記一般式(VI)において、Aは、前記一般式(II)又は(III)で表され、kは、0を示し、前記一般式(II)又は(III)において、aは、2〜10の整数を示す。
より一層好ましくは、前記一般式(VI)において、Aは、前記一般式(II)で表され、kは、0を示し、前記一般式(II)において、aは、2〜10の整数を示す。
かかるカップリング剤としては、例えば、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン、ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリスメトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン等が挙げられ、これらの中でも、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンが特に好ましい。
前記カップリング剤としての一般式(VI)で表される化合物の添加量は、共役ジエン系重合体のモル数対カップリング剤のモル数が、所望の化学量論的比率で反応させるよう調整することができ、そのことにより所望の分岐度が達成される傾向にある。具体的な重合開始剤のモル数は、カップリング剤のモル数に対して、好ましくは5.0倍モル以上、より好ましくは6.0倍モル以上であることが好ましい。この場合、一般式(VI)において、カップリング剤の官能基数((m−1)×i+p×j+k)は、5〜10の整数であることが好ましく、6〜10の整数であることがより好ましい。
前記特定の高分子成分を有する変性共役ジエン系重合体(A)を得るためには、共役ジエン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)を、好ましくは1.5以上2.5以下、より好ましくは1.8以上2.2以下とするとよい。また、得られる変性共役ジエン系重合体(A)は、GPCによる分子量曲線が一山のピークが検出されるものであることが好ましい。
変性共役ジエン系重合体(A)のGPCによるピーク分子量をMp1、共役ジエン系重合体のピーク分子量をMp2とした場合、以下の式が成り立つことが好ましい。
(Mp1/Mp2)<1.8×10−12×(Mp2−120×104)2+2
Mp2は、20×104以上80×104以下、Mp1は30×104以上150×104以下がより好ましい。
変性共役ジエン系重合体(A)のGPCによるピーク分子量をMp1、共役ジエン系重合体のピーク分子量をMp2とした場合、以下の式が成り立つことが好ましい。
(Mp1/Mp2)<1.8×10−12×(Mp2−120×104)2+2
Mp2は、20×104以上80×104以下、Mp1は30×104以上150×104以下がより好ましい。
変性共役ジエン系重合体(A)の変性率は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。変性率が30質量%以上であることで、ゴム組成物をタイヤに適用した際に、タイヤの耐摩耗性を向上させつつ、低ロス性を更に向上することができる。
変性率の測定方法は、以下のとおりである。変性共役ジエン系重合体を試料として、シリカ系ゲルを充填剤としたGPCカラムに、変性した塩基性重合体成分が吸着する特性を応用することにより、測定する。試料及び低分子量内部標準ポリスチレンを含む試料溶液を、ポリスチレン系カラムで測定したクロマトグラムと、シリカ系カラムで測定したクロマトグラムと、の差分よりシリカ系カラムへの吸着量を測定し、変性率を求める。具体的には、以下に示すとおりである。
試料溶液の調製:試料10mg及び標準ポリスチレン5mgを20mLのTHFに溶解させて、試料溶液とする。
ポリスチレン系カラムを用いたGPC測定条件:東ソー社製の商品名「HLC−8320GPC」を使用して、5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHFを溶離液として用い、試料溶液10μLを装置に注入し、カラムオーブン温度40℃、THF流量0.35mL/分の条件で、RI検出器を用いてクロマトグラムを得る。カラムは、東ソー社製の商品名「TSKgel SuperMultiporeHZ−H」を3本接続し、その前段にガードカラムとして東ソー社製の商品名「TSKguardcolumn SuperMP(HZ)−H」を接続して使用する。
シリカ系カラムを用いたGPC測定条件:東ソー社製の商品名「HLC−8320GPC」を使用して、THFを溶離液として用い、試料溶液50μLを装置に注入し、カラムオーブン温度40℃、THF流量0.5ml/分の条件で、RI検出器を用いてクロマトグラムを得る。カラムは、商品名「Zorbax PSM−1000S」、「PSM−300S」、「PSM−60S」を接続して使用し、その前段にガードカラムとして商品名「DIOL 4.6×12.5mm 5micron」を接続して使用する。
変性率の計算方法:ポリスチレン系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、試料のピーク面積をP1、標準ポリスチレンのピーク面積をP2、シリカ系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、試料のピーク面積をP3、標準ポリスチレンのピーク面積をP4として、下記式より変性率(%)を求める。
変性率(%)=[1−(P2×P3)/(P1×P4)]×100
(ただし、P1+P2=P3+P4=100)
試料溶液の調製:試料10mg及び標準ポリスチレン5mgを20mLのTHFに溶解させて、試料溶液とする。
ポリスチレン系カラムを用いたGPC測定条件:東ソー社製の商品名「HLC−8320GPC」を使用して、5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHFを溶離液として用い、試料溶液10μLを装置に注入し、カラムオーブン温度40℃、THF流量0.35mL/分の条件で、RI検出器を用いてクロマトグラムを得る。カラムは、東ソー社製の商品名「TSKgel SuperMultiporeHZ−H」を3本接続し、その前段にガードカラムとして東ソー社製の商品名「TSKguardcolumn SuperMP(HZ)−H」を接続して使用する。
シリカ系カラムを用いたGPC測定条件:東ソー社製の商品名「HLC−8320GPC」を使用して、THFを溶離液として用い、試料溶液50μLを装置に注入し、カラムオーブン温度40℃、THF流量0.5ml/分の条件で、RI検出器を用いてクロマトグラムを得る。カラムは、商品名「Zorbax PSM−1000S」、「PSM−300S」、「PSM−60S」を接続して使用し、その前段にガードカラムとして商品名「DIOL 4.6×12.5mm 5micron」を接続して使用する。
変性率の計算方法:ポリスチレン系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、試料のピーク面積をP1、標準ポリスチレンのピーク面積をP2、シリカ系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、試料のピーク面積をP3、標準ポリスチレンのピーク面積をP4として、下記式より変性率(%)を求める。
変性率(%)=[1−(P2×P3)/(P1×P4)]×100
(ただし、P1+P2=P3+P4=100)
前記反応工程の後、共重合体溶液に、必要に応じて、失活剤、中和剤等を添加してもよい。失活剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール等が挙げられる。中和剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、バーサチック酸(炭素数9〜11個で、10個を中心とする、分岐の多いカルボン酸混合物)等のカルボン酸;無機酸の水溶液、炭酸ガス等が挙げられる。
また、変性共役ジエン系重合体(A)は、重合後のゲル生成を防止する観点、及び加工時の安定性を向上させる観点から、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェノール)プロピネート、2−メチル−4,6−ビス[(オクチルチオ)メチル]フェノール等の酸化防止剤を添加することが好ましい。
また、変性共役ジエン系重合体(A)は、重合後のゲル生成を防止する観点、及び加工時の安定性を向上させる観点から、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェノール)プロピネート、2−メチル−4,6−ビス[(オクチルチオ)メチル]フェノール等の酸化防止剤を添加することが好ましい。
変性共役ジエン系重合体(A)の加工性をより改善するために、必要に応じて、伸展油を変性共役ジエン系共重合体に添加することができる。伸展油を変性共役ジエン系重合体に添加する方法としては、以下のものに限定されないが、伸展油を該重合体溶液に加え、混合して、油展共重合体溶液としたものを脱溶媒する方法が好ましい。伸展油としては、例えば、アロマ油、ナフテン油、パラフィン油等が挙げられる。これらの中でも、環境安全上の観点、並びにオイルブリード防止及びWET性能の観点から、IP346法による多環芳香族(PCA)成分が3質量%以下であるアロマ代替油が好ましい。アロマ代替油としては、Kautschuk Gummi Kunststoffe52(12)799(1999)に示されるTDAE(Treated Distillate Aromatic Extracts)、MES(Mild Extraction Solvate)等の他、RAE(Residual Aromatic Extracts)が挙げられる。伸展油の添加量は、特に限定されないが、変性共役ジエン系重合体(A)100質量部に対し、10〜60質量部が好ましく、20〜37.5質量部がより好ましい。
変性共役ジエン系重合体(A)を、重合体溶液から取得する方法としては、公知の方法を用いることができる。その方法として、例えば、スチームストリッピング等で溶媒を分離した後、重合体を濾別し、さらにそれを脱水及び乾燥して重合体を取得する方法、フラッシングタンクで濃縮し、さらにベント押出し機等で脱揮する方法、ドラムドライヤー等で直接脱揮する方法が挙げられる。
上記一般式(VI)で表されるカップリング剤と、共役ジエン系重合体とを反応させてなる変性共役ジエン系重合体(A)は、例えば、上記一般式(I)で表される。
一般式(I)中、Dは、共役ジエン系重合体鎖を示し、該共役ジエン系重合体鎖の重量平均分子量は、10×104〜100×104であることが好ましい。該共役ジエン系重合体鎖は、変性共役ジエン系重合体の構成単位であり、例えば、共役ジエン系重合体とカップリング剤とを反応させることによって生じる、共役ジエン系重合体由来の構造単位である。
一般式(I)中、Aが示す炭化水素基は、飽和、不飽和、脂肪族、及び芳香族の炭化水素基を包含する。上記活性水素を有しない有機基としては、例えば、水酸基(−OH)、第2級アミノ基(>NH)、第1級アミノ基(−NH2)、スルフヒドリル基(−SH)等の活性水素を有する官能基、を有しない有機基が挙げられる。
一般式(I)中、Aが示す炭化水素基は、飽和、不飽和、脂肪族、及び芳香族の炭化水素基を包含する。上記活性水素を有しない有機基としては、例えば、水酸基(−OH)、第2級アミノ基(>NH)、第1級アミノ基(−NH2)、スルフヒドリル基(−SH)等の活性水素を有する官能基、を有しない有機基が挙げられる。
好ましくは、前記一般式(I)において、Aは、前記一般式(II)又は(III)で表され、kは、0を示す。
より好ましくは、前記一般式(I)において、Aは、前記一般式(II)又は(III)で表され、kは、0を示し、前記一般式(II)又は(III)において、aは、2〜10の整数を示す。
より一層好ましくは、前記一般式(I)において、Aは、前記一般式(II)で表され、kは、0を示し、前記一般式(II)において、aは、2〜10の整数を示す。
より好ましくは、前記一般式(I)において、Aは、前記一般式(II)又は(III)で表され、kは、0を示し、前記一般式(II)又は(III)において、aは、2〜10の整数を示す。
より一層好ましくは、前記一般式(I)において、Aは、前記一般式(II)で表され、kは、0を示し、前記一般式(II)において、aは、2〜10の整数を示す。
前記ゴム成分中の、変性共役ジエン系重合体(A)の含有率は、10〜40質量%が好ましく、30〜35質量%が更に好ましい。ゴム成分中の変性共役ジエン系重合体(A)の含有率が10質量%以上の場合、タイヤに適用した際に、タイヤのWET性能を更に向上させることができる。また、ゴム成分中の変性共役ジエン系重合体(A)の含有率が40質量%以下の場合、ゴム組成物の加工性が向上する。
本発明のゴム成分は、上記変性共役ジエン系重合体(A)以外の変性SBRでもよいし、未変性SBRでもよい。例えば、その他の変性SBRとしては、国際公開第2017/077712号のポリマー成分P2としての変性(共)重合体および実施例に記載の変性重合体C、変性重合体Dなどが挙げられる。
<スチレン・アルキレンブロック共重合体>
スチレン・アルキレンブロック共重合体は、スチレン系モノマー由来のブロックと、アルキレンブロックとを有する共重合体である。本発明に係るゴム組成物おけるスチレン・アルキレンブロック共重合体は、当該スチレン・アルキレンブロック共重合体の総質量に対して、当該スチレン・アルキレンブロック共重合体の合計スチレン含量が30質量%以上である。スチレン・アルキレンブロック共重合体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
スチレン・アルキレンブロック共重合体は、スチレン系モノマー由来のブロックと、アルキレンブロックとを有する共重合体である。本発明に係るゴム組成物おけるスチレン・アルキレンブロック共重合体は、当該スチレン・アルキレンブロック共重合体の総質量に対して、当該スチレン・アルキレンブロック共重合体の合計スチレン含量が30質量%以上である。スチレン・アルキレンブロック共重合体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
スチレン・アルキレンブロック共重合体の合計スチレン含量(スチレン系モノマー由来のブロックの合計含量)は、適宜調節すればよいが、例えば、30〜60質量%である。
本発明に係るゴム組成物は、前記合計スチレン含量が、50質量%以上であることが好ましい。これにより、ドライハンドリング性をさらに高めることができる。
本発明において、スチレン・アルキレンブロック共重合体のスチレン含量と、後述するアルキレン単位の含量は、1H−NMRの積分比により求める。
スチレン・アルキレンブロック共重合体のスチレンブロックは、スチレン系モノマーに由来する(スチレン系モノマーを重合した)単位を有する。このようなスチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエンなどが挙げられる。この中でも、スチレン系モノマーとしては、スチレンが好ましい。
スチレン・アルキレンブロック共重合体のアルキレンブロックは、アルキレン(二価の飽和炭化水素基)単位を有する。このようなアルキレン単位としては、例えば、炭素数1〜20のアルキレン基が挙げられる。アルキレン単位は、直鎖構造でもよいし、分岐構造でもよいし、これらの組み合わせでもよい。直鎖構造のアルキレン単位としては、例えば、−(CH2−CH2)−単位(エチレン単位)、−(CH2−CH2−CH2−CH2)−単位(ブチレン単位)などが挙げられる。分岐構造のアルキレン単位としては、例えば、−(CH2−CH(C2H5))−単位(ブチレン単位)などが挙げられる。これらのうち、アルキレン単位としては、−(CH2−CH(C2H5))−単位を有することが好ましい。
アルキレン単位の合計含量は適宜調節すればよいが、例えば、スチレン・アルキレンブロック共重合体の総質量に対して、40〜70質量%である。
本発明に係るゴム組成物は、前記スチレン・アルキレンブロック共重合体のアルキレンブロックが、−(CH2−CH(C2H5))−単位(A)と−(CH2−CH2)−単位(B)を有し、単位(A)の合計含量が、全アルキレンブロック(A単位+B単位)の総質量に対して、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上がより好ましく、65質量%以上であることがさらに好ましい。
これにより、ドライハンドリング性に優れながら、WET性能と低ロス性を両立することができる。
これにより、ドライハンドリング性に優れながら、WET性能と低ロス性を両立することができる。
本発明に係るゴム組成物の一例では、前記スチレン・アルキレンブロック共重合体が、スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン・エチレンプロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)およびスチレン・エチレン−エチレンプロピレン・スチレンブロック共重合体(SEEPS)からなる群より選択される1種上である。
本発明に係るゴム組成物は、前記スチレン・アルキレンブロック共重合体が、スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロック共重合体であることが好ましい。
これにより、ドライハンドリング性に優れながら、WET性能と低ロス性を両立することができる。このスチレン・エチレンブチレン・スチレンブロック共重合体のエチレンブチレンブロックは、上述したエチレン単位とブチレン単位を有するブロックである。
これにより、ドライハンドリング性に優れながら、WET性能と低ロス性を両立することができる。このスチレン・エチレンブチレン・スチレンブロック共重合体のエチレンブチレンブロックは、上述したエチレン単位とブチレン単位を有するブロックである。
スチレン・アルキレンブロック共重合体は、上記スチレンブロックとアルキレンブロック以外のその他の構成単位を含んでいてもよい。このようなその他の構成単位としては、例えば、−(CH2−CH(CH=CH2))−単位などの不飽和結合を有する構成単位などが挙げられる。
スチレン・アルキレンブロック共重合体の調製方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、スチレンなどのスチレン系モノマーと、1,3−ブタジエンなどの共役ジエン化合物またはブテンなどのオレフィンとを共重合させ、前駆共重合体を得て、この前駆共重合体を水素添加することによって、スチレン・アルキレンブロック共重合体を得ることができる。
スチレン・アルキレンブロック共重合体は、市販品を用いてもよい。このような市販品としては、例えば、JSR社のJSR DYNARON(登録商標)8903P、9901Pなどが挙げられる。
ゴム組成物におけるスチレン・アルキレンブロック共重合体の配合量は、特に限定されず、適宜調節すればよい。例えば、スチレン・アルキレンブロック共重合体の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、4〜30質量部である。ドライハンドリング性に優れながら、WET性能と低ロス性を両立する観点から、スチレン・アルキレンブロック共重合体の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、8.5〜30質量部であることが好ましい。
<老化防止剤>
本発明に係るゴム組成物に配合する老化防止剤としては、特に限定されず、公知の老化防止剤を適宜選択して用いることができる。老化防止剤としては、例えば、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン(6PPD)、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体(TMDQ)、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン(AW)、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(DPPD)、N,N′−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミンなどのアミン系老化防止剤や、スチレン化フェノール、ミックスドブチルオクチルフェノール、2,6−ジ第三ブチル−P−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクトキシフェノール、ステアリル−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)チオグリコレート、ステアリル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ第三ブチルフェニル)プロピオネート、ジステアリル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、トリエチレングリコールビス[β−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2,2−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2’−メチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−第二ブチル−6−第三ブチルフェノール)、ビス[3,5−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシド]グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ビス[2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、2−第三ブチル−4−メチル−5−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニルアクリレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,6−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス[β−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、テトラキス[メチレン−β−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどのフェノール系老化防止剤などが挙げられる。
本発明に係るゴム組成物に配合する老化防止剤としては、特に限定されず、公知の老化防止剤を適宜選択して用いることができる。老化防止剤としては、例えば、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン(6PPD)、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体(TMDQ)、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン(AW)、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(DPPD)、N,N′−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミンなどのアミン系老化防止剤や、スチレン化フェノール、ミックスドブチルオクチルフェノール、2,6−ジ第三ブチル−P−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクトキシフェノール、ステアリル−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)チオグリコレート、ステアリル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ第三ブチルフェニル)プロピオネート、ジステアリル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、トリエチレングリコールビス[β−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2,2−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2’−メチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−第二ブチル−6−第三ブチルフェノール)、ビス[3,5−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシド]グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ビス[2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、2−第三ブチル−4−メチル−5−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニルアクリレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,6−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス[β−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、テトラキス[メチレン−β−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどのフェノール系老化防止剤などが挙げられる。
老化防止剤の配合量は、特に限定されず、前記ゴム成分100質量部に対して、0.5〜3質量部であり、ドライハンドリング性と、低ロス性と、耐オゾンクラック性と、耐変色性とを高度にバランスさせる観点から、ゴム成分100質量部に対して0.5〜1.5質量部であることが好ましい。
本発明に係るゴム組成物は、ゴム成分とスチレン・アルキレンブロック共重合体と老化防止剤に加えて、充填剤、加硫促進剤、シランカップリング剤、加硫剤およびグリセリン脂肪酸エステルからなる群より選択される1種以上をさらに含んでいてもよい。
<充填剤>
充填剤としては、例えば、シリカ、カーボンブラック、酸化アルミニウム、クレー、アルミナ、タルク、マイカ、カオリン、ガラスバルーン、ガラスビーズ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、チタン酸カリウム、硫酸バリウムなどが挙げられる。充填剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
充填剤としては、例えば、シリカ、カーボンブラック、酸化アルミニウム、クレー、アルミナ、タルク、マイカ、カオリン、ガラスバルーン、ガラスビーズ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、チタン酸カリウム、硫酸バリウムなどが挙げられる。充填剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
補強性と低ロス性の観点から、充填剤はシリカを含むことが好ましい。
シリカとしては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムなどが挙げられる。
シリカのBET比表面積は、特に限定されず、例えば、40〜350m2/g、または80〜300m2/gであり、150〜280m2/gが好ましい。
充填剤中のシリカの量は、特に限定されず、目的に応じて適宜調節することができるが、充填剤の総質量に対して、50〜100質量%であることが好ましく、80〜100質量%であることがより好ましく、90〜100質量%であることが特に好ましい。
カーボンブラックとしては、特に限定されず、例えば高、中または低ストラクチャーのSAF、ISAF、ISAF−HS、IISAF、N339、HAF、FEF、GPF、SRFグレードなどのカーボンブラックが挙げられる。
充填剤の配合量としては、特に限定されず、適宜調節すればよいが、例えば、ゴム成分100質量部に対して20〜120質量部である。充填剤の配合量は、低ロス性とWET性能の観点から、ゴム成分100質量部に対して50〜100質量部であることが好ましい。
<加硫促進剤>
本発明に係るゴム組成物は、ゴム成分とスチレン・アルキレンブロック共重合体に加えて、加硫促進剤を含むことが好ましい。加硫促進剤は、例えば、グアニジン類、スルフェンアミド類、チアゾール類、チオウレアおよびジエチルチオウレアの中から選ばれる少なくとも1種である。これらは、それぞれ、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係るゴム組成物は、ゴム成分とスチレン・アルキレンブロック共重合体に加えて、加硫促進剤を含むことが好ましい。加硫促進剤は、例えば、グアニジン類、スルフェンアミド類、チアゾール類、チオウレアおよびジエチルチオウレアの中から選ばれる少なくとも1種である。これらは、それぞれ、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
加硫促進剤の配合量としては、特に限定されず、目的に応じて適宜調節することができ、例えば、ゴム成分100質量部に対して0.1〜20質量部である。0.1質量部以上であると、加硫の効果が得られやすく、20質量部以下であると、加硫の過度の進行を抑制することができる。
−グアニジン類−
グアニジン類としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,3−ジフェニルグアニジン、1,3−ジ−o−トリルグアニジン、1−o−トリルビグアニド、ジカテコールボレートのジ−o−トリルグアニジン塩、1,3−ジ−o−クメニルグアニジン、1,3−ジ−o−ビフェニルグアニジン、1,3−ジ−o−クメニル−2−プロピオニルグアニジンなどが挙げられる。これらの中でも、反応性が高い点で、1,3−ジフェニルグアニジン、1,3−ジ−o−トリルグアニジンおよび1−o−トリルビグアニドが好ましく、1,3−ジフェニルグアニジンがより好ましい。
グアニジン類としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,3−ジフェニルグアニジン、1,3−ジ−o−トリルグアニジン、1−o−トリルビグアニド、ジカテコールボレートのジ−o−トリルグアニジン塩、1,3−ジ−o−クメニルグアニジン、1,3−ジ−o−ビフェニルグアニジン、1,3−ジ−o−クメニル−2−プロピオニルグアニジンなどが挙げられる。これらの中でも、反応性が高い点で、1,3−ジフェニルグアニジン、1,3−ジ−o−トリルグアニジンおよび1−o−トリルビグアニドが好ましく、1,3−ジフェニルグアニジンがより好ましい。
−スルフェンアミド類−
スルフェンアミド類としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−メチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−エチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−プロピル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−ペンチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−ヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−オクチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−2−エチルヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−デシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−ドデシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−ステアリル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジメチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジエチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジプロピル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジペンチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジオクチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジ−2−エチルヘキシルベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジドデシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジステアリル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドなどが挙げられる。これらの中でも、反応性が高い点で、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドおよびN−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドが好ましい。
スルフェンアミド類としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−メチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−エチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−プロピル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−ペンチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−ヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−オクチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−2−エチルヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−デシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−ドデシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−ステアリル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジメチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジエチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジプロピル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジペンチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジオクチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジ−2−エチルヘキシルベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジドデシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジステアリル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドなどが挙げられる。これらの中でも、反応性が高い点で、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドおよびN−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドが好ましい。
−チアゾール類−
チアゾール類としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩、2−メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、2−(N,N−ジエチルチオカルバモイルチオ)ベンゾチアゾール、2−(4´−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール、4−メチル−2−メルカプトベンゾチアゾール、ジ−(4−メチル−2−ベンゾチアゾリル)ジスルフィド、5−クロロ−2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾールナトリウム、2−メルカプト−6−ニトロベンゾチアゾール、2−メルカプト−ナフト[1,2−d]チアゾール、2−メルカプト−5−メトキシベンゾチアゾール、6−アミノ−2−メルカプトベンゾチアゾールなどが挙げられる。これらの中でも、反応性が高い点で、2−メルカプトベンゾチアゾールおよびジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドが好ましい。
チアゾール類としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩、2−メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、2−(N,N−ジエチルチオカルバモイルチオ)ベンゾチアゾール、2−(4´−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール、4−メチル−2−メルカプトベンゾチアゾール、ジ−(4−メチル−2−ベンゾチアゾリル)ジスルフィド、5−クロロ−2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾールナトリウム、2−メルカプト−6−ニトロベンゾチアゾール、2−メルカプト−ナフト[1,2−d]チアゾール、2−メルカプト−5−メトキシベンゾチアゾール、6−アミノ−2−メルカプトベンゾチアゾールなどが挙げられる。これらの中でも、反応性が高い点で、2−メルカプトベンゾチアゾールおよびジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドが好ましい。
−チオウレア−
チオウレアは、NH2CSNH2で表される化合物である。
チオウレアは、NH2CSNH2で表される化合物である。
−ジエチルチオウレア−
ジエチルチオウレアは、C2H5NHCSNHC2H5で表される化合物である。
ジエチルチオウレアは、C2H5NHCSNHC2H5で表される化合物である。
<シランカップリング剤>
シランカップリング剤を用いることによって、ゴム加工時の作業性が更に優れると共に、耐摩耗性がより良好なタイヤを得ることができる。シランカップリング剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤を用いることによって、ゴム加工時の作業性が更に優れると共に、耐摩耗性がより良好なタイヤを得ることができる。シランカップリング剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、式(I):(R1O)3−p(R2)pSi−R3−Sa−R3−Si(OR1)3−r(R2)rで表わされる化合物、式(II):(R4O)3−s(R5)sSi−R6−Sk−R7−Sk−R6−Si(OR4)3−t(R5)tで表わされる化合物などが挙げられる。
式(I)中、R1はそれぞれ独立して炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分岐のアルキル基、炭素数2〜8の直鎖もしくは分岐のアルコキシアルキル基または水素原子であり、R2はそれぞれ独立して炭素数1〜8の直鎖、環状または分岐のアルキル基であり、R3はそれぞれ独立して炭素数1〜8の直鎖または分岐のアルキレン基である。aは平均値として2〜6であり、pおよびrは同一でも異なっていてもよく、各々平均値として0〜3である。ただし、pおよびrの双方が3であることはない。
式(II)中、R4はそれぞれ独立して炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分岐のアルキル基、炭素数2〜8の直鎖もしくは分岐のアルコキシアルキル基または水素原子であり、R5はそれぞれ独立して炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分岐のアルキル基であり、R6はそれぞれ独立して炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐のアルキレン基である。R7は一般式(−S−R8−S−)、(−R9−Sm1−R10−)および(−R11−Sm2−R12−Sm3−R13−)のいずれかの二価の基(R8〜R13は各々炭素数1〜20の二価の炭化水素基、二価の芳香族基、または硫黄および酸素以外のヘテロ元素を含む二価の有機基であり、m1、m2およびm3は同一でも異なっていてもよく、各々平均値として1以上4未満である。)であり、kはそれぞれ独立して平均値として1〜6であり、sおよびtは各々平均値として0〜3である。ただし、sおよびtの双方が3であることはない。
式(I)で表わされるシランカップリング剤としては、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(3−モノエトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−モノエトキシジメチルシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−モノエトキシジメチルシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−モノメトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−モノメトキシジメチルシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−モノメトキシジメチルシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−モノエトキシジメチルシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2−モノエトキシジメチルシリルエチル)トリスルフィド、ビス(2−モノエトキシジメチルシリルエチル)ジスルフィドなどが挙げられる。
式(II)で表わされるシランカップリング剤としては、例えば、平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S2−(CH2)6−S2−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S2−(CH2)10−S2−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S3−(CH2)6−S3−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S4−(CH2)6−S4−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S−(CH2)6−S2−(CH2)6−S−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S−(CH2)6−S2.5−(CH2)6−S−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S−(CH2)6−S3−(CH2)6−S−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S−(CH2)6−S4−(CH2)6−S−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S−(CH2)10−S2−(CH2)10−S−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S4−(CH2)6−S4−(CH2)6−S4−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S2−(CH2)6−S2−(CH2)6−S2−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S−(CH2)6−S2−(CH2)6−S2−(CH2)6−S−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3を有するものなどが挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、エボニック・デグサ社製Si363(エトキシ(3−メルカプトプロピル)ビス(3,6,9,12,15−ペンタオキサオクタコサン−1−イルオキシ)シラン、[C13H27O(CH2CH2O)5]2(CH3CH2O)Si(CH2)3SH)などが挙げられる。
シランカップリング剤の配合量としては、適宜調節すればよいが、例えば、ゴム成分100質量部に対して2質量部以上である。シリカの反応性向上の観点から、ゴム成分100質量部に対して2〜20質量部であることが好ましく、4〜12質量部であることがより好ましい。
シリカの配合量(質量)に対するシランカップリング剤の配合量(質量)の割合(シランカップリング剤の配合量/シリカの配合量)としては、特に限定されず、目的に応じて適宜調節することができるが、0.01〜0.20が好ましく、0.03〜0.20がより好ましく、0.04〜0.10が特に好ましい。この割合が、0.01以上であると、ゴム組成物の発熱性の低減の効果を得られやすく、0.20以下であると、ゴム組成物の製造コストが低減し、経済性を向上させることができる。
<加硫剤>
加硫剤としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硫黄などが挙げられる。加硫剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
加硫剤としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硫黄などが挙げられる。加硫剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
加硫剤の配合量としては、特に限定されず、目的に応じて適宜調節することができ、例えば、ゴム成分100質量部に対して、0.1〜2.0質量部であり、1.0〜2.0質量部がより好ましく、1.2〜1.8質量部が特に好ましい。
<熱可塑性樹脂>
本発明に係るゴム組成物は、ゴム成分とスチレン・アルキレンブロック共重合体に加えて、例えば、C5系樹脂、C5〜C9系樹脂、C9系樹脂、テルペン系樹脂、テルペン−芳香族化合物系樹脂、ロジン系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、アルキルフェノール系樹脂およびこれらを一部水素添加したものからなる群より選択される熱可塑性樹脂をさらに含んでいてもよい。これらは、それぞれ、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係るゴム組成物は、ゴム成分とスチレン・アルキレンブロック共重合体に加えて、例えば、C5系樹脂、C5〜C9系樹脂、C9系樹脂、テルペン系樹脂、テルペン−芳香族化合物系樹脂、ロジン系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、アルキルフェノール系樹脂およびこれらを一部水素添加したものからなる群より選択される熱可塑性樹脂をさらに含んでいてもよい。これらは、それぞれ、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性樹脂の配合量としては、特に限定されず、目的に応じて適宜調節することができ、例えば、ゴム成分100質量部に対して、5〜50質量部である。
−C5系樹脂−
C5系樹脂は、C5系合成石油樹脂を指し、C5留分を、AlCl3やBF3などのフリーデルクラフツ型触媒を用いて重合して得られる樹脂を意味する。具体的には、イソプレン、シクロペンタジエン、1,3−ペンタジエン及び1−ペンテンなどを主成分とする共重合体、2−ペンテンとジシクロペンタジエンとの共重合体、1,3−ペンタジエンを主体とする重合体などが挙げられる。
C5系樹脂は、C5系合成石油樹脂を指し、C5留分を、AlCl3やBF3などのフリーデルクラフツ型触媒を用いて重合して得られる樹脂を意味する。具体的には、イソプレン、シクロペンタジエン、1,3−ペンタジエン及び1−ペンテンなどを主成分とする共重合体、2−ペンテンとジシクロペンタジエンとの共重合体、1,3−ペンタジエンを主体とする重合体などが挙げられる。
−C5〜C9系樹脂−
C5〜C9系樹脂は、C5〜C9系合成石油樹脂を指し、C5〜C11留分を、AlCl3やBF3などのフリーデルクラフツ型触媒を用いて重合して得られる樹脂を意味する。例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、インデン等を主成分とする共重合体などが挙げられる。これらの中でも、C9以上の成分の少ないC5〜C9系樹脂は、ゴム成分との相溶性が優れるため好ましい。具体的には、C5〜C9系樹脂におけるC9以上の成分の割合が50質量%未満の樹脂が好ましく、40質量%以下の樹脂がより好ましい。また、これらを一部水添したもの(例えば、荒川化学工業社のアルコン(登録商標))なども挙げられる。
C5〜C9系樹脂は、C5〜C9系合成石油樹脂を指し、C5〜C11留分を、AlCl3やBF3などのフリーデルクラフツ型触媒を用いて重合して得られる樹脂を意味する。例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、インデン等を主成分とする共重合体などが挙げられる。これらの中でも、C9以上の成分の少ないC5〜C9系樹脂は、ゴム成分との相溶性が優れるため好ましい。具体的には、C5〜C9系樹脂におけるC9以上の成分の割合が50質量%未満の樹脂が好ましく、40質量%以下の樹脂がより好ましい。また、これらを一部水添したもの(例えば、荒川化学工業社のアルコン(登録商標))なども挙げられる。
−C9系樹脂−
C9系樹脂は、C9系合成石油樹脂を指し、C9留分をAlCl3やBF3などのフリーデルクラフツ型触媒を用いて重合して得られる樹脂を意味する。例えば、インデン、メチルインデン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどを主成分とする共重合体などが挙げられる。また、これらを一部水添したもの(例えば、荒川化学工業社のアルコン(登録商標))なども挙げられる。
C9系樹脂は、C9系合成石油樹脂を指し、C9留分をAlCl3やBF3などのフリーデルクラフツ型触媒を用いて重合して得られる樹脂を意味する。例えば、インデン、メチルインデン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどを主成分とする共重合体などが挙げられる。また、これらを一部水添したもの(例えば、荒川化学工業社のアルコン(登録商標))なども挙げられる。
−テルペン系樹脂−
テルペン系樹脂は、松属の木からロジンを得る際に同時に得られるテレビン油またはこれから分離した重合成分を配合し、フリーデルクラフツ型触媒を用いて重合して得ることができる。例えば、β−ピネン樹脂、α−ピネン樹脂などが挙げられる。
テルペン系樹脂は、松属の木からロジンを得る際に同時に得られるテレビン油またはこれから分離した重合成分を配合し、フリーデルクラフツ型触媒を用いて重合して得ることができる。例えば、β−ピネン樹脂、α−ピネン樹脂などが挙げられる。
−テルペン−芳香族化合物系樹脂−
テルペン−芳香族化合物系樹脂は、テルペン類と種々のフェノール類とを、フリーデルクラフツ型触媒を用いて反応させたり、あるいはさらにホルマリンで縮合することで得ることができる。例えば、テルペン−フェノール樹脂などが挙げられる。前記テルペン−フェノール樹脂のなかでも、テルペン−フェノール樹脂中のフェノール成分が50質量%未満の樹脂が好ましく、40質量%以下の樹脂がより好ましい。
テルペン−芳香族化合物系樹脂は、テルペン類と種々のフェノール類とを、フリーデルクラフツ型触媒を用いて反応させたり、あるいはさらにホルマリンで縮合することで得ることができる。例えば、テルペン−フェノール樹脂などが挙げられる。前記テルペン−フェノール樹脂のなかでも、テルペン−フェノール樹脂中のフェノール成分が50質量%未満の樹脂が好ましく、40質量%以下の樹脂がより好ましい。
原料のテルペン類としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、α−ピネン、リモネンなどのモノテルペン炭化水素などが挙げられる。これらの中でも、α−ピネンを含むものが好ましく、α−ピネンがより好ましい。
−ロジン系樹脂−
ロジン系樹脂としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、生松ヤニやトール油に含まれるガムロジン、トール油レジン、ウッドロジンなどの天然樹脂ロジン;変性ロジン;変性ロジン誘導体などが挙げられる。前記変性ロジン誘導体は、具体的には、重合ロジン、その部分水添ロジン;グリセリンエステルロジン、その部分水添ロジンや完全水添ロジン;ペンタエリスリトールエステルロジン、その部分水添ロジンや完全水添ロジンなどが挙げられる。
ロジン系樹脂としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、生松ヤニやトール油に含まれるガムロジン、トール油レジン、ウッドロジンなどの天然樹脂ロジン;変性ロジン;変性ロジン誘導体などが挙げられる。前記変性ロジン誘導体は、具体的には、重合ロジン、その部分水添ロジン;グリセリンエステルロジン、その部分水添ロジンや完全水添ロジン;ペンタエリスリトールエステルロジン、その部分水添ロジンや完全水添ロジンなどが挙げられる。
−ジシクロペンタジエン樹脂−
ジシクロペンタジエン樹脂は、ジシクロペンタジエンを、AlCl3やBF3などのフリーデルクラフツ型触媒などを用いて重合して得ることができる。ジシクロペンタジエン樹脂の市販品の具体例としては、クイントン1920(日本ゼオン社製)、クイントン1105(日本ゼオン社製)、マルカレッツM−890A(丸善石油化学社製)などが挙げられる。
ジシクロペンタジエン樹脂は、ジシクロペンタジエンを、AlCl3やBF3などのフリーデルクラフツ型触媒などを用いて重合して得ることができる。ジシクロペンタジエン樹脂の市販品の具体例としては、クイントン1920(日本ゼオン社製)、クイントン1105(日本ゼオン社製)、マルカレッツM−890A(丸善石油化学社製)などが挙げられる。
−アルキルフェノール系樹脂−
アルキルフェノール系樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、p−tert−ブチルフェノール−アセチレン樹脂などのアルキルフェノール−アセチレン樹脂、低重合度のアルキルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂などが挙げられる。
アルキルフェノール系樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、p−tert−ブチルフェノール−アセチレン樹脂などのアルキルフェノール−アセチレン樹脂、低重合度のアルキルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂などが挙げられる。
本発明のゴム組成物は、充填剤としてシリカを含む場合、更に、グリセリン脂肪酸エステルからなり、該グリセリン脂肪酸エステルが、グリセリンと、2種以上の脂肪酸とのエステルであって、該グリセリン脂肪酸エステルを構成する2種以上の脂肪酸のうち、最も多い脂肪酸成分が全脂肪酸中に10〜90質量%であり、さらにモノエステル成分をグリセリン脂肪酸エステル中に50〜100質量%含むことを特徴とする、グリセリン脂肪酸エステル組成物を含むことが好ましい。該グリセリン脂肪酸エステル組成物を含む場合、ゴム組成物の加工性が向上し、また、ゴム組成物をタイヤに適用することで、タイヤの低ロス性を更に向上することができる。
前記グリセリン脂肪酸エステルは、グリセリンと、2種以上の脂肪酸とのエステルである。なお、グリセリン脂肪酸エステルとは、グリセリンの3つのOH基の少なくとも1つと、脂肪酸のCOOH基とがエステル結合してなる化合物である。
ここで、前記グリセリン脂肪酸エステルは、グリセリン1分子と脂肪酸1分子とがエステル化してなるグリセリン脂肪酸モノエステル(モノエステル成分)でも、グリセリン1分子と脂肪酸2分子とがエステル化してなるグリセリン脂肪酸ジエステル(ジエステル成分)でも、グリセリン1分子と脂肪酸3分子とがエステル化してなるグリセリン脂肪酸トリエステル(トリエステル成分)でもよいし、これらの混合物でもよいが、グリセリン脂肪酸モノエステルが好ましい。なお、グリセリン脂肪酸エステルがグリセリン脂肪酸モノエステル、グリセリン脂肪酸ジエステル、グリセリン脂肪酸トリエステルの混合物である場合、各エステルの含有率は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定することができる。また、グリセリン脂肪酸ジエステルを構成する2つの脂肪酸、並びに、グリセリン脂肪酸トリエステルを構成する3つの脂肪酸は、同一でも、異なってもよい。
ここで、前記グリセリン脂肪酸エステルは、グリセリン1分子と脂肪酸1分子とがエステル化してなるグリセリン脂肪酸モノエステル(モノエステル成分)でも、グリセリン1分子と脂肪酸2分子とがエステル化してなるグリセリン脂肪酸ジエステル(ジエステル成分)でも、グリセリン1分子と脂肪酸3分子とがエステル化してなるグリセリン脂肪酸トリエステル(トリエステル成分)でもよいし、これらの混合物でもよいが、グリセリン脂肪酸モノエステルが好ましい。なお、グリセリン脂肪酸エステルがグリセリン脂肪酸モノエステル、グリセリン脂肪酸ジエステル、グリセリン脂肪酸トリエステルの混合物である場合、各エステルの含有率は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定することができる。また、グリセリン脂肪酸ジエステルを構成する2つの脂肪酸、並びに、グリセリン脂肪酸トリエステルを構成する3つの脂肪酸は、同一でも、異なってもよい。
前記グリセリン脂肪酸エステルは、グリセリンと、2種以上の脂肪酸とのエステルであり、2種以上の脂肪酸がグリセリン1分子とエステル化してなるグリセリン脂肪酸ジエステルやグリセリン脂肪酸トリエステルでもよいが、グリセリン1分子と上記2種以上の脂肪酸のうち1種類の脂肪酸1分子とがエステル化してなるグリセリン脂肪酸モノエステルと、グリセリン1分子と他の種類の脂肪酸1分子とがエステル化してなるグリセリン脂肪酸モノエステルとの混合物であることが好ましい。
前記グリセリン脂肪酸エステルの原料となる2種以上の脂肪酸(即ち、グリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸)としては、ゴム組成物の加工性、低ロス性、破壊特性の観点から、炭素数が8〜22である脂肪酸が好ましく、炭素数12〜18である脂肪酸がより好ましく、炭素数が14〜18である脂肪酸がさらに好ましく、炭素数が16の脂肪酸と炭素数が18の脂肪酸がよりさらに好ましい。また、前記グリセリン脂肪酸エステルの原料となる2種以上の脂肪酸のうち、最も多い脂肪酸成分と2番目に多い脂肪酸成分は、一方が炭素数16の脂肪酸で他方が炭素数18の脂肪酸であることがより好ましい。
また、前記グリセリン脂肪酸エステルがグリセリンと炭素数が16の脂肪酸及び炭素数が18の脂肪酸とのエステルである場合、炭素数が16の脂肪酸と炭素数が18の脂肪酸との質量比(炭素数16の脂肪酸/炭素数18の脂肪酸)は、90/10〜10/90の範囲が好ましく、80/20〜20/80の範囲がより好ましく、75/25〜25/75の範囲がより一層好ましい。炭素数が16の脂肪酸と炭素数が18の脂肪酸との質量比がこの範囲であれば、ゴム組成物の加工性、低ロス性、破壊特性を更に向上させることができる。
前記グリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸は、直鎖状でも、分岐状でもよいが、直鎖状であることが好ましく、また、飽和脂肪酸でも、不飽和脂肪酸でもよいが、飽和脂肪酸であることが好ましい。
前記グリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸として、具体的には、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラギン酸、アラキドン酸、ベヘン酸等が挙げられ、これらの中でも、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸が好ましく、パルミチン酸及びステアリン酸がより好ましい。
また、前記グリセリン脂肪酸エステルとして、具体的には、ラウリン酸モノグリセリド、ミリスチン酸モノグリセリド、パルミチン酸モノグリセリド、ステアリン酸モノグリセリドが好ましく、パルミチン酸モノグリセリド及びステアリン酸モノグリセリドがより好ましい。
本発明のゴム組成物において、前記グリセリン脂肪酸エステル組成物の配合量は、ゴム組成物の加工性の観点から、前記シリカ100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、より一層好ましくは1.5質量部以上であり、また、ゴム組成物の破壊特性の観点から、前記シリカ100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、より一層好ましくは5質量部以下である。
<その他の成分>
本発明に係るゴム組成物は、上述した成分以外に、ゴム工業界で通常使用される成分、例えば、加硫促進助剤、有機酸化合物などを、本発明の趣旨に反しない範囲で適宜選択して含有することができる。
本発明に係るゴム組成物は、上述した成分以外に、ゴム工業界で通常使用される成分、例えば、加硫促進助剤、有機酸化合物などを、本発明の趣旨に反しない範囲で適宜選択して含有することができる。
(ゴム組成物の調製方法)
本発明に係るゴム組成物の調製方法は特に限定されず、公知の混練方法を用いて、ゴム成分、スチレン・アルキレンブロック共重合体、老化防止剤や、充填剤などの成分を混練すればよい。
本発明に係るゴム組成物の調製方法は特に限定されず、公知の混練方法を用いて、ゴム成分、スチレン・アルキレンブロック共重合体、老化防止剤や、充填剤などの成分を混練すればよい。
本発明に係るゴム組成物は、スキッドベースゲージが1〜1.5mmであるタイヤ用であることが好ましい。
これにより、タイヤの耐オゾンクラック性と耐変色性が良好であり、タイヤの軽量化が可能となり、より優れた低ロス性とドライハンドリング性が得られる。スキッドベースゲージについては後述する。
これにより、タイヤの耐オゾンクラック性と耐変色性が良好であり、タイヤの軽量化が可能となり、より優れた低ロス性とドライハンドリング性が得られる。スキッドベースゲージについては後述する。
(タイヤ)
本発明に係るタイヤは、上記いずれかに記載のゴム組成物を用いた、タイヤである。
これにより、ドライハンドリング性と、耐オゾンクラック性と、耐変色性とを高度にバランスさせることができる。
本発明に係るタイヤは、上記いずれかに記載のゴム組成物を用いた、タイヤである。
これにより、ドライハンドリング性と、耐オゾンクラック性と、耐変色性とを高度にバランスさせることができる。
ゴム組成物の適用部位は特に限定されないが、タイヤのトレッドゴムに用いることが好ましい。
本発明に係るタイヤのスキッドベースゲージ(SBG)は、特に限定されないが、上記ゴム組成物を用いることにより、SBGを小さく(薄ゲージ化)しても、トレッドの耐オゾンクラック性と耐変色性に優れる。
本発明では、スキッドベースゲージは、タイヤのトレッドに設けられた溝底から最外層のベルト層または補強層上までの最短距離をいう。
図1は、本発明に係るタイヤの一例のタイヤ幅方向断面図である。図1の例のタイヤ10では、一対のビード部1および一対のサイドウォール部2と、両サイドウォール部に連なるトレッド部3とを備え、各ビード部1は、ビードコア4をそれぞれ有し、一対のビードコア4の間にカーカス層5がトロイド状に延びるように設けられている。カーカス層5のタイヤ外周側にはベルト層6が配置されている。また、図1の例では、トレッド部3のトレッドゴム3aに溝(リブ溝)8が設けられており、この溝8の底から最外層のベルト層6までの最短距離がSBGである。
タイヤのスキッドベースゲージは、特に限定されないが、例えば、1.0〜2.0mmである。
本発明に係るタイヤは、タイヤのスキッドベースゲージが、1〜1.5mmであることが、タイヤの耐オゾンクラック性と、耐変色性と、タイヤの軽量化と、低ロス性と、ドライハンドリング性との観点から好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
実施例で使用した材料の詳細は以下のとおりである。
天然ゴム(NR):RSS#3
スチレンブタジエンゴム(低TgSBR):後述する方法により合成した
変性スチレンブタジエンゴム(変性SBR):後述する方法により合成した
未変性SBR:JSR製の商品名HP755B
スチレン・アルキレンブロック共重合体(合計スチレン含量15質量%):JSR社製のDYNARON(登録商標)8600P、A単位のA+B単位に対する割合68質量%
スチレン・アルキレンブロック共重合体(合計スチレン含量32質量%):クラレ社製のSEPTON(登録商標)8007、A単位のA+B単位に対する割合41質量%
スチレン・アルキレンブロック共重合体(合計スチレン含量53質量%):JSR社製のDYNARON(登録商標)9901P、A単位のA+B単位に対する割合70質量%
シリカ:東ソー・シリカ社製の商品名NipSil(登録商標) AQ
カーボンブラック:旭カーボン社製の商品名#80
シランカップリング剤:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、エボニックデグッサ社製の商品名Si69
老化防止剤(6PPD):N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業社製の商品名ノクラック 6C
ワックス:マイクロクリスタリンワックス、日本精蝋社製の商品名オゾエース0701
加硫促進剤(DPG):1,3−ジフェニルグアニジン、大内新興化学工業社製の商品名ノクセラーD
加硫促進剤(MBTS):ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、大内新興化学工業社製の商品名ノクセラーDM
加硫促進剤(CBS):N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、三新化学工業社製の商品名サンセラーCM−G
天然ゴム(NR):RSS#3
スチレンブタジエンゴム(低TgSBR):後述する方法により合成した
変性スチレンブタジエンゴム(変性SBR):後述する方法により合成した
未変性SBR:JSR製の商品名HP755B
スチレン・アルキレンブロック共重合体(合計スチレン含量15質量%):JSR社製のDYNARON(登録商標)8600P、A単位のA+B単位に対する割合68質量%
スチレン・アルキレンブロック共重合体(合計スチレン含量32質量%):クラレ社製のSEPTON(登録商標)8007、A単位のA+B単位に対する割合41質量%
スチレン・アルキレンブロック共重合体(合計スチレン含量53質量%):JSR社製のDYNARON(登録商標)9901P、A単位のA+B単位に対する割合70質量%
シリカ:東ソー・シリカ社製の商品名NipSil(登録商標) AQ
カーボンブラック:旭カーボン社製の商品名#80
シランカップリング剤:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、エボニックデグッサ社製の商品名Si69
老化防止剤(6PPD):N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業社製の商品名ノクラック 6C
ワックス:マイクロクリスタリンワックス、日本精蝋社製の商品名オゾエース0701
加硫促進剤(DPG):1,3−ジフェニルグアニジン、大内新興化学工業社製の商品名ノクセラーD
加硫促進剤(MBTS):ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、大内新興化学工業社製の商品名ノクセラーDM
加硫促進剤(CBS):N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、三新化学工業社製の商品名サンセラーCM−G
変性SBR(低TgSBR)の合成
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液およびスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン67.5gおよびスチレン7.5gになるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.6mmolを加え、0.8mmolのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率がほぼ100%となった重合反応系に対し、変性剤としてN,N−ビス(トリメチルシリル)−3−[ジエトキシ(メチル)シリル]プロピルアミンを0.72mmol添加し、50℃で30分間変性反応を行った。その後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5質量%溶液2mLを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して変性SBRを得た。得られた変性SBRのミクロ構造を測定した結果、結合スチレン量が10質量%、ブタジエン部分のビニル結合量が40%、ピーク分子量が200,000であった。
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液およびスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン67.5gおよびスチレン7.5gになるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.6mmolを加え、0.8mmolのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率がほぼ100%となった重合反応系に対し、変性剤としてN,N−ビス(トリメチルシリル)−3−[ジエトキシ(メチル)シリル]プロピルアミンを0.72mmol添加し、50℃で30分間変性反応を行った。その後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5質量%溶液2mLを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して変性SBRを得た。得られた変性SBRのミクロ構造を測定した結果、結合スチレン量が10質量%、ブタジエン部分のビニル結合量が40%、ピーク分子量が200,000であった。
<変性SBRの合成>
内容積が10Lで、内部の高さ(L)と直径(D)との比(L/D)が4.0であり、底部に入口、頂部に出口を有し、撹拌機付槽型反応器である撹拌機及び温度制御用のジャケットを有する槽型圧力容器を重合反応器とした。予め水分除去した、1,3−ブタジエンを17.9g/分、スチレンを9.8g/分、n−ヘキサンを145.3g/分の条件で混合した。この混合溶液を反応基の入口に供給する配管の途中に設けたスタティックミキサーにおいて、残存不純物不活性処理用のn−ブチルリチウムを0.117mmol/分で添加、混合した後、反応基の底部に連続的に供給した。更に、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンを0.0194g/分の速度で、重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.242mmol/分の速度で、撹拌機で激しく混合する重合反応器の底部へ供給し、連続的に重合反応を継続させた。反応器頂部出口における重合溶液の温度が75℃となるように温度を制御した。重合が十分に安定したところで、反応器頂部出口より、カップリング剤添加前の重合体溶液を少量抜出し、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように添加した後に溶媒を除去し、110℃のムーニー粘度及び各種の分子量を測定した。
次に、反応器の出口より流出した重合体溶液に、カップリング剤として2.74mmol/Lに希釈したテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミンを0.0302mmol/分(水分5.2ppm含有n−ヘキサン溶液)の速度で連続的に添加し、カップリング剤を添加された重合体溶液はスタティックミキサーを通ることで混合されカップリング反応した。このとき、反応器の出口より流出した重合溶液にカップリング剤が添加されるまでの時間は4.8分、温度は68℃であり、重合工程における温度と、変性剤を添加するまでの温度との差は7℃であった。カップリング反応した重合体溶液に、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように0.055g/分(n−ヘキサン溶液)で連続的に添加し、カップリング反応を終了した。酸化防止剤と同時に、重合体100gに対してオイル(JX日鉱日石エネルギー社製 JOMOプロセスNC140)が37.5gとなるように連続的に添加し、スタティックミキサーで混合した。スチームストリッピングにより溶媒を除去して、変性SBRを得た。
内容積が10Lで、内部の高さ(L)と直径(D)との比(L/D)が4.0であり、底部に入口、頂部に出口を有し、撹拌機付槽型反応器である撹拌機及び温度制御用のジャケットを有する槽型圧力容器を重合反応器とした。予め水分除去した、1,3−ブタジエンを17.9g/分、スチレンを9.8g/分、n−ヘキサンを145.3g/分の条件で混合した。この混合溶液を反応基の入口に供給する配管の途中に設けたスタティックミキサーにおいて、残存不純物不活性処理用のn−ブチルリチウムを0.117mmol/分で添加、混合した後、反応基の底部に連続的に供給した。更に、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンを0.0194g/分の速度で、重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.242mmol/分の速度で、撹拌機で激しく混合する重合反応器の底部へ供給し、連続的に重合反応を継続させた。反応器頂部出口における重合溶液の温度が75℃となるように温度を制御した。重合が十分に安定したところで、反応器頂部出口より、カップリング剤添加前の重合体溶液を少量抜出し、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように添加した後に溶媒を除去し、110℃のムーニー粘度及び各種の分子量を測定した。
次に、反応器の出口より流出した重合体溶液に、カップリング剤として2.74mmol/Lに希釈したテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミンを0.0302mmol/分(水分5.2ppm含有n−ヘキサン溶液)の速度で連続的に添加し、カップリング剤を添加された重合体溶液はスタティックミキサーを通ることで混合されカップリング反応した。このとき、反応器の出口より流出した重合溶液にカップリング剤が添加されるまでの時間は4.8分、温度は68℃であり、重合工程における温度と、変性剤を添加するまでの温度との差は7℃であった。カップリング反応した重合体溶液に、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように0.055g/分(n−ヘキサン溶液)で連続的に添加し、カップリング反応を終了した。酸化防止剤と同時に、重合体100gに対してオイル(JX日鉱日石エネルギー社製 JOMOプロセスNC140)が37.5gとなるように連続的に添加し、スタティックミキサーで混合した。スチームストリッピングにより溶媒を除去して、変性SBRを得た。
カップリング剤添加前の重合体溶液から得たSBR(共役ジエン系重合体)を上記の方法で分析したところ、重量平均分子量(Mw)が35.8×104g/molであり、数平均分子量(Mn)が16.6×104g/molであり、分子量分布(Mw/Mn)が2.16であり、ピークトップ分子量(Mp2)が30.9×104g/molであり、ムーニー粘度(110℃)が47であることが分かった。
また、得られた変性SBRを上記の方法で分析したところ、結合スチレン量が35質量%であり、ビニル結合量(1,2−結合量)が42mol%であり、重量平均分子量(Mw)が85.2×104g/molであり、数平均分子量(Mn)が38.2×104g/molであり、分子量分布(Mw/Mn)が2.23であり、ピークトップ分子量(Mp1)が96.8×104g/molであり、ピークトップ分子量の比率(Mp1/Mp2)が3.13であり、分子量200×104以上500×104以下の割合が4.6%であり、収縮因子(g’)が0.57であり、ムーニー粘度(100℃)が65であり、ガラス転移温度(Tg)が−24℃であり、変性率が80%であることが分かった。また、得られた変性SBRが窒素原子を有すること、ケイ素原子を有することも確認した。
なお、前記変性SBRは、カップリング剤の官能基数と添加量から想定される分岐数に相当する「分岐度」は8であり(収縮因子の値からも確認できる)、カップリング剤1分子が有するSiORの総数から反応により減じたSiOR数を引いた値に相当する「SiOR残基数」は4である。
また、得られた変性SBRを上記の方法で分析したところ、結合スチレン量が35質量%であり、ビニル結合量(1,2−結合量)が42mol%であり、重量平均分子量(Mw)が85.2×104g/molであり、数平均分子量(Mn)が38.2×104g/molであり、分子量分布(Mw/Mn)が2.23であり、ピークトップ分子量(Mp1)が96.8×104g/molであり、ピークトップ分子量の比率(Mp1/Mp2)が3.13であり、分子量200×104以上500×104以下の割合が4.6%であり、収縮因子(g’)が0.57であり、ムーニー粘度(100℃)が65であり、ガラス転移温度(Tg)が−24℃であり、変性率が80%であることが分かった。また、得られた変性SBRが窒素原子を有すること、ケイ素原子を有することも確認した。
なお、前記変性SBRは、カップリング剤の官能基数と添加量から想定される分岐数に相当する「分岐度」は8であり(収縮因子の値からも確認できる)、カップリング剤1分子が有するSiORの総数から反応により減じたSiOR数を引いた値に相当する「SiOR残基数」は4である。
<実施例1〜7および比較例1〜8>
表1〜2に示す配合処方に従って、ゴム組成物を調製した。そのゴム組成物をトレッドゴムに用いて、常法に従ってサイズ:195/65R15の乗用車用ラジアルタイヤを作製した。その際、比較例1〜6および実施例1〜5は、タイヤのSBGを2.0mmとし、比較例7〜8および実施例6〜7は、タイヤのSBGを1.2mmとした。
表1〜2に示す配合処方に従って、ゴム組成物を調製した。そのゴム組成物をトレッドゴムに用いて、常法に従ってサイズ:195/65R15の乗用車用ラジアルタイヤを作製した。その際、比較例1〜6および実施例1〜5は、タイヤのSBGを2.0mmとし、比較例7〜8および実施例6〜7は、タイヤのSBGを1.2mmとした。
(性能評価)
<ドライハンドリング性>
各供試タイヤにつき、乾燥路面での実車試験にて、テストドライバーによるフィーリングに基づき、ドライハンドリング性を評価した。比較例1の評価結果を10点満点で5.5点として、各比較例と実施例のドライハンドリング性を相対評価した。指数値が大きいほどドライハンドリング性に優れる。
<ドライハンドリング性>
各供試タイヤにつき、乾燥路面での実車試験にて、テストドライバーによるフィーリングに基づき、ドライハンドリング性を評価した。比較例1の評価結果を10点満点で5.5点として、各比較例と実施例のドライハンドリング性を相対評価した。指数値が大きいほどドライハンドリング性に優れる。
<低ロス性>
各ゴム組成物を145℃で33分間加硫して得られた加硫ゴムについて、損失正接(tanδ)を、上島製作所製スペクトロメーター、温度50℃、初期歪2%、動歪1%、周波数52Hzの条件で測定した。比較例1のtanδを100として指数表示した。結果を表2に示す。指数値が小さいほど低ロス性に優れる。
各ゴム組成物を145℃で33分間加硫して得られた加硫ゴムについて、損失正接(tanδ)を、上島製作所製スペクトロメーター、温度50℃、初期歪2%、動歪1%、周波数52Hzの条件で測定した。比較例1のtanδを100として指数表示した。結果を表2に示す。指数値が小さいほど低ロス性に優れる。
<耐オゾンクラック性>
各ゴム組成物を145℃で33分間加硫して得られた加硫ゴムについて、20mm×100mm×1.0mmの試験片を50%伸張させ、40℃、オゾン濃度50pphmの恒温槽中に放置し、肉眼でクラックが確認できるまでの時間を測定した。比較例1の耐オゾンクラック性を100として指数表示した。評価結果を表2に示す。指数値が大きいほど、耐オゾンクラック性に優れる。
各ゴム組成物を145℃で33分間加硫して得られた加硫ゴムについて、20mm×100mm×1.0mmの試験片を50%伸張させ、40℃、オゾン濃度50pphmの恒温槽中に放置し、肉眼でクラックが確認できるまでの時間を測定した。比較例1の耐オゾンクラック性を100として指数表示した。評価結果を表2に示す。指数値が大きいほど、耐オゾンクラック性に優れる。
<耐変色性>
各ゴム組成物を145℃で33分間加硫して得られた加硫ゴムについて、色差を分光測色計CM−700d(コニカミノルタ株式会社製)を用いて測定することで、耐変色性の評価を行った。評価結果をA、B、Cの3段階で表2に示す。比較例1の耐変色性をB(従来タイヤレベル)とし、比較例1より優れるものをA、劣るものをCとして表示した。
各ゴム組成物を145℃で33分間加硫して得られた加硫ゴムについて、色差を分光測色計CM−700d(コニカミノルタ株式会社製)を用いて測定することで、耐変色性の評価を行った。評価結果をA、B、Cの3段階で表2に示す。比較例1の耐変色性をB(従来タイヤレベル)とし、比較例1より優れるものをA、劣るものをCとして表示した。
表2に示すように、スチレン・アルキレンブロック共重合体の合計スチレン含量が30質量%以上であり、老化防止剤の配合量が、ゴム成分100質量部に対して、0.5〜3質量部であるゴム組成物によって、ドライハンドリング性と、耐オゾンクラック性と、耐変色性とを高度にバランスさせることができた。
本発明によれば、ドライハンドリング性と、耐オゾンクラック性と、耐変色性とを高度にバランスさせたゴム組成物を提供することができる。本発明によれば、ドライハンドリング性と、耐オゾンクラック性と、耐変色性とを高度にバランスさせたタイヤを提供することができる。
Claims (4)
- ゴム成分とスチレン・アルキレンブロック共重合体と老化防止剤とを含み、
前記スチレン・アルキレンブロック共重合体の合計スチレン含量が、前記スチレン・アルキレンブロック共重合体の総質量に対して、30質量%以上であり、
前記老化防止剤の配合量が、前記ゴム成分100質量部に対して、0.5〜3質量部である、ゴム組成物。 - スキッドベースゲージが1〜1.5mmであるタイヤ用である、請求項1に記載のゴム組成物。
- 前記合計スチレン含量が、前記スチレン・アルキレンブロック共重合体の総質量に対して、50質量%以上である、請求項1または2に記載のゴム組成物。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のゴム組成物を用いた、タイヤ。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2017240087A JP2019104889A (ja) | 2017-12-14 | 2017-12-14 | ゴム組成物およびタイヤ |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2021200098A1 (ja) * | 2020-04-03 | 2021-10-07 | 株式会社ブリヂストン | タイヤ |
JP7506301B2 (ja) | 2020-04-03 | 2024-06-26 | 横浜ゴム株式会社 | 空気入りタイヤ |
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2017
- 2017-12-14 JP JP2017240087A patent/JP2019104889A/ja active Pending
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