JP2005002065A - 硫黄含有シラン化合物、ゴム組成物及びタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記平均組成式(I):
(R1O)3−p−qR2 pR3 qSi−R4−Sx−R4−SiR3 qR2 p(OR1)3−p−q ・・・ (I)
(式中、R1及びR2はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基、R3は炭素数2〜4のアルケニル基、R4は炭素数1〜15の2価の炭化水素基、pは0〜2の整数、qは1〜3の整数、但しp+q≦3、xは平均値として1以上4未満である)で表される硫黄含有シラン化合物、並びにゴム成分100質量部に対して、シリカ10〜200質量部及び上記硫黄含有シラン化合物1〜30質量部を配合してなるゴム組成物である。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の構造を有する新規硫黄含有シラン化合物、該シラン化合物を配合したゴム組成物及び該ゴム組成物を用いたタイヤに関し、特にシリカのゴム成分への分散性を向上させ、シリカを含むゴム組成物の未加硫粘度を低下させることが可能な新規硫黄含有シラン化合物、並びにタイヤトレッドに使用した場合に、タイヤの耐摩耗性を向上させ、転がり抵抗を低下させ、更に湿潤路面での制動性・操縦安定性を改善できるゴム組成物及び該ゴム組成物を使用したタイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ゴム組成物に使用される多数の充填剤の中でも、シリカは、カーボンブラックに比較して、タイヤの転がり抵抗を低くでき、且つタイヤの湿潤路面で制動性・操縦安定性を向上させることができる。しかしながら、シリカを配合したゴム組成物は、未加硫状態での粘度が高いため多段練り等の作業が必要であり、作業性に難点があった。また、シリカは、ゴム成分中への分散性が低く、ゴム組成物の加硫を遅延させ、更にはゴム組成物の破断強力及び耐摩耗性を大幅に低下させるという問題点を有していた。
【0003】
そこで、通常はゴム成分にシリカを配合する場合には、カップリング剤を添加して、ゴム組成物の未加硫粘度を低下させ、更にはモジュラス及び耐摩耗性の向上を図ることが行われるが(特許文献1参照)、これらカップリング剤は高価なため、配合によって製造コストが増大するという問題があった。また、シリカを配合したゴム組成物の作業性を更に向上させるため、従来のカップリング剤よりもシリカの分散性を向上させる効果及び未加硫粘度を低下させる効果が高いカップリング剤が求められていた。
【0004】
また、シリカのゴム成分への分散性を向上させ、ゴム組成物の未加硫粘度を低下させることによって作業性を改良するために、分散改良剤が用いられることがあるが、この場合は、ゴム組成物の耐摩耗性が低下してしまうという問題点があった。更に、分散改良剤として強イオン性化合物を用いた場合には、ロール密着等の加工性の低下がみられる場合があった。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−120827号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、シリカのゴム成分への分散性を向上させ、シリカを配合したゴム組成物の未加硫粘度を更に低下させることが可能な新規硫黄含有シラン化合物及びそれを配合したゴム組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、該ゴム組成物をトレッドに適用した、耐摩耗性が高く、転がり抵抗が低く、且つ湿潤路面での制動性及び操縦安定性に優れたタイヤを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、特定の構造を有する硫黄含有シラン化合物を新規に合成し、該シラン化合物をシリカ含有ゴム組成物に添加することによって、シリカのゴム成分への分散性が大きく向上し、且つゴム組成物の未加硫粘度が大きく低下し、更に、該ゴム組成物をトレッドに適用することによって、タイヤの耐摩耗性が向上し、転がり抵抗が低下することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
即ち、本発明の硫黄含有シラン化合物は、下記平均組成式(I):
(R1O)3−p−qR2 pR3 qSi−R4−Sx−R4−SiR3 qR2 p(OR1)3−p−q ・・・ (I)
(式中、R1及びR2はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基、R3は炭素数2〜4のアルケニル基、R4は炭素数1〜15の2価の炭化水素基、pは0〜2の整数、qは1〜3の整数、但しp+q≦3、xは平均値として1以上4未満である)で表されることを特徴とする。
【0009】
本発明の硫黄含有シラン化合物の好適例においては、前記式(I)のxが平均値として2以上3以下である。
【0010】
本発明の硫黄含有シラン化合物の他の好適例においては、前記式(I)のpが2で、qが1である。ここで、前記式(I)のR2がメチル基で、R3が2−プロペニル基であるのが更に好ましい。
【0011】
また、本発明のゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対して、シリカ10〜200質量部及び上記硫黄含有シラン化合物1〜30質量部を配合してなることを特徴とする。
【0012】
本発明のゴム組成物の好適例においては、前記シリカのBET表面積が40〜350m2/gである。また、前記ゴム成分としては、ジエン系ゴムが好ましい。
【0013】
更に、本発明のタイヤは、上記ゴム組成物をタイヤ部材のいずれかに適用したことを特徴とする。ここで、該タイヤ部材としては、トレッドが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明の硫黄含有シラン化合物は、下記平均組成式(I):
(R1O)3−p−qR2 pR3 qSi−R4−Sx−R4−SiR3 qR2 p(OR1)3−p−q ・・・ (I)
(式中、R1及びR2はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基、R3は炭素数2〜4のアルケニル基、R4は炭素数1〜15の2価の炭化水素基、pは0〜2の整数、qは1〜3の整数、但しp+q≦3で、xは平均値として1以上4未満である)で表される。該硫黄含有シラン化合物は、分子の両末端にオルガノシリル基を有し、分子中央部にスルフィド又はポリスルフィドを有する。本発明の硫黄含有シラン化合物は、シリカのゴム成分への分散性を向上させる効果及びシリカ配合ゴム組成物の未加硫粘度を低下させる効果に優れるため、シランカップリング剤として有用である。また、本発明の硫黄含有シラン化合物とシリカが配合されたゴム組成物は、従来のシランカップリング剤とシリカが配合されたゴム組成物よりも、耐摩耗性及び低発熱性に優れる。
【0015】
上記式(I)において、R1及びR2は、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基であって、該アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられ、これらの中でもメチル基が好ましい。ここで、R1とR2とは、同一でも異なってもよい。
【0016】
式(I)中のR3は、それぞれ炭素数2〜4のアルケニル基であって、該アルケニル基としては、ビニル基、アリル基(2−プロペニル基)、イソプロペニル基等が挙げられ、これらの中でも、アリル基が好ましい。
【0017】
また、R4は、炭素数1〜15の2価の炭化水素基であって、該2価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、n−ブチレン基、i−ブチレン基、ヘキシレン基、デシレン基、フェニレン基、メチルフェニルエチレン基等が挙げられる。
【0018】
更に、pは0〜2の整数で、qは1〜3の整数で、pとqとは、p+q≦3の関係を満たす。また、xは平均値として1以上4未満の数である。ここで、xは、平均値として2以上4未満であることが好ましく、2以上3以下であるのが更に好ましい。
【0019】
本発明の硫黄含有シラン化合物は、特に限定されるものではないが、例えば、無水硫化ナトリウム(Na2S)と硫黄とを不活性ガス雰囲気下、エタノール等の極性溶媒中で反応させて多硫化ナトリウムを得、次に、該多硫化ナトリウムと、下記式(II):
(R1O)3−p−qR2 pR3 qSi−R4−X ・・・ (II)
(式中、R1、R2、R3、R4、p及びqは上記と同義で、Xはハロゲン原子である)で表されるシラン化合物とを反応させることで得られる。この方法では、多硫化ナトリウムの硫黄数に分布が有る場合、生成物の硫黄数にも分布が生じるが、該硫黄数は平均値として1以上4未満であればよい。
【0020】
また、本発明のゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対して、シリカ10〜200質量部及び上述の硫黄含有シラン化合物1〜30質量部を配合してなることを特徴とする。硫黄含有シラン化合物の配合量が1質量部未満では、シリカのゴム成分への分散性を改善する効果、及びゴム組成物の未加硫粘度を低下させる効果が小さい。また、硫黄含有シラン化合物の配合量が30質量部を超えると、ゴム組成物のコストが高くなる。ここで、上記硫黄含有シラン化合物の配合量は、効果とコストの観点から、ゴム成分100質量部に対して2〜20質量部の範囲が更に好ましい。
本発明のゴム組成物は、従来のシランカップリング剤が配合されたゴム組成物に比べ、作業性が良好であることに加え、耐摩耗性及び低発熱性に優れる。そのため、本発明のゴム組成物をタイヤのトレッドに用いることで、タイヤの耐摩耗性を向上させることができ、更に、タイヤの転がり抵抗を低下させて低燃費性を向上させることができる。
【0021】
本発明のゴム組成物に用いられるゴム成分は、特に限定されるものではないが、ジエン系ゴムであるのが好ましい。該ジエン系ゴムとしては、天然ゴム及びジエン系合成ゴムが挙げられるが、ジエン系合成ゴムが好ましい。ここで、該ジエン系合成ゴムとしては、ポリブタジエンゴム(BR)、ブタジエンと芳香族ビニル化合物との共重合体、ブタジエンと他のジエン系モノマーとの共重合体等のブタジエン系重合体;ポリイソプレン(IR)、イソプレンと芳香族ビニル化合物との共重合体、イソプレンと他のジエン系モノマーとの共重合体等のイソプレン系重合体;ブチルゴム(IIR)、エチレン・プロピレン共重合体及びこれらの混合物等が挙げられ、これらの中でも、ブタジエン系重合体及びイソプレン系重合体が好ましい。上記ジエン系モノマーとしては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン等が挙げられ、これらの中でも、1,3−ブタジエンが最も好ましい。これらモノマーは、一種単独で用いても、二種以上を混合してもよく、更に1,3−ヘキサジエン等他のジエンと共重合して用いてもよい。また、上記芳香族ビニル化合物としては、スチレン等が挙げられる。
【0022】
上記ゴム成分の中でも、スチレン・ブタジエン共重合体ゴム(SBR)が特に好ましい。該スチレン・ブタジエン共重合体ゴムのミクロ構造は、特に制限はないが、結合スチレン量が5〜60質量%のものが好ましく、15〜45質量%のものが更に好ましい。本発明のゴム組成物は、ゴム成分中のスチレン・ブタジエン共重合体ゴムの含有率が50質量%以上であるのが好ましく、ゴム成分がスチレン・ブタジエン共重合体ゴム単独であるのが特に好ましい。
【0023】
本発明のゴム組成物におけるシリカの配合量は、ゴム成分100質量部に対して10〜200質量部である。シリカの配合量が10質量部未満では、タイヤの転がり抵抗を下げる効果、湿潤路面での制動性・操縦安定性を向上させる効果が低く、200質量部を超えると、ゴム組成物の未加硫粘度が上昇して作業性が悪化する。本発明のゴム組成物に使用するシリカとしては、特に制限はなく、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられ、これらの中でも、耐破壊性の改良効果、湿潤路面での制動性・操縦安定性(ウェットグリップ性)及び低転がり抵抗性の両立効果が最も顕著である湿式シリカが好ましい。また、上記シリカは、BET表面積が40〜350m2/gであるのが好ましい。BET表面積がこの範囲であるシリカは、ゴム補強性とゴム成分中への分散性とを両立できるという利点がある。この観から、BET表面積が80〜300m2/gの範囲にあるシリカが更に好ましい。
【0024】
また、本発明のゴム組成物には、通常のゴム組成物に配合する添加剤を本発明の効果を損なわない程度に配合することができ、例えば、ゴム工業で通常使用されているカーボンブラック、老化防止剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤等の添加剤を適宜配合することができる。
【0025】
本発明のゴム組成物は、ロール等の開放式混練機、バンバリーミキサー等の密閉式混練機等の混練り機を用いて混練りすることによって得られ、成形加工後に加硫を行い、各種ゴム製品に適用可能である。例えば、本発明のゴム組成物は、タイヤトレッド、アンダートレッド、カーカス、サイドウォール、ビード部等のタイヤ用途を始め、防振ゴム、防舷材、ベルト、ホース、その他の工業製品等の用途に用いることができ、これらの中でも、特にタイヤトレッドとして好適である。
【0026】
また、本発明のタイヤは、上記ゴム組成物を用いたことを特徴とする。ここで、本発明のタイヤにおいては、上記ゴム組成物をトレッドに用いるのが特に好ましく、上記ゴム組成物をトレッドに用いたタイヤは、耐摩耗性が高く、転がり抵抗が低く、更に湿潤路面での制動性・操縦安定性に優れる。なお、本発明のタイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を変えた空気、又は窒素等の不活性ガスが挙げられる。
【0027】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0028】
(合成例1)
窒素ガス導入管、温度計、ジムロート型コンデンサー及び滴下ロートを備えた0.5Lのセパラブルフラスコに、エタノール80g、無水硫化ソーダ5.46g(0.07mol)、硫黄2.24g(0.07mol)を仕込み、80℃に昇温した。この溶液を撹拌しながら、2−プロペニル(3−クロロプロピル)ジメチルシラン[CH2=CHCH2(CH3)2Si−(CH2)3−Cl]24.7g(0.14mol)をゆっくり滴下した。滴下終了後、80℃にて10時間更に撹拌を続けた。撹拌終了後、反応液を冷却し、生成した塩を濾別した後、溶媒のエタノールを減圧蒸留した。
【0029】
得られた溶液を赤外吸収スペクトル分析(IR分析)、1H核磁気共鳴スペクトル分析(1H−NMR分析)及び超臨界クロマトグラフィー分析を行ったところ、平均組成式[CH2=CHCH2(CH3)2Si−(CH2)3−S2−(CH2)3−Si(CH3)2CH2CH=CH2]で表される化合物であることを確認した。
【0030】
(合成例2)
合成例1における2−プロペニル(3−クロロプロピル)ジメチルシランに代えてビニル(3−クロロプロピル)ジメチルシラン[CH2=CH(CH3)2Si−(CH2)3−Cl]22.8g(0.14mol)を用いた以外は合成例1と同様に合成を行った。
【0031】
得られた溶液をIR分析、1H−NMR分析及び超臨界クロマトグラフィー分析を行った結果、平均組成式[CH2=CH(CH3)2Si−(CH2)3−S2−(CH2)3−Si(CH3)2CH=CH2]で表される化合物であることを確認した。
【0032】
(実施例1)
ジエン系ゴム[SBR, 日本合成ゴム(株)製「#1712」, ゴム成分100質量部に対して37.5質量部のアロマ油で油展]110質量部、天然ゴム20質量部を1.8Lのバンバリーミキサーにて、70rpm、開始温度80℃で30秒間素練りし、これにISAF級カーボンブラック[東海カーボン(株)製「シースト7HM」]20質量部、シリカ[日本シリカ工業(株)製「ニップシールAQ」, BET表面積=210m2/g]50質量部、ステアリン酸1質量部、老化防止剤6PPD[N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン]1.0質量部及び合成例1にて合成した化合物3.64phr(ゴム成分100質量部に対する配合量)を配合し160℃になるまで混練した後、混練物を放出し、ロールにてシート状にした。次いで、得られたシート状混練物に対し、1.8Lバンバリーミキサーにて、70rpm、開始温度80℃で1分30秒間リミル操作を行った後、混練物を放出し、ロールにて再びシート状にした。
【0033】
上記のようにして得られた混練物を室温まで充分冷却した後、活性亜鉛3質量部、加硫促進剤DM(ジベンゾチアジルジスルフィド)0.5質量部、加硫促進剤NS(N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)1.0質量部及び硫黄1.5質量部を加え、60rpm、開始温度80℃で1分間混練してゴム組成物を得た。
【0034】
(実施例2)
実施例1において、合成例1で合成した化合物に代えて、合成例2で合成した化合物を添加量3.52phrで用いた以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を得た。
【0035】
(比較例1)
実施例1において、合成例1で合成した化合物に代えて、市販のシランカップリング剤[デグッサ社製「Si69」, (CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S4−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3]を5.5phr添加した以外は実施例1と同様にしてゴム組成物を得た。
【0036】
(比較例2)
実施例1において、合成例1で合成した化合物に代えて、市販のシランカップリング剤[デグッサ社製「Si75」, (CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S2.2−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3]を5.0phr添加した以外は実施例1と同様にしてゴム組成物を得た。
【0037】
上記のようにして得られた各ゴム組成物のムーニー粘度、ムーニースコーチタイム、硬さ、破壊特性、反発弾性及び耐摩耗性を下記の方法で測定した。評価結果を表1に示す。
【0038】
(1)ムーニー粘度
JIS K6300−1994に準拠して、130℃にてムーニー粘度ML1+4(130℃)を測定し、比較例2の値を100として指数表示した。指数値が小さい程、ムーニー粘度が低く、加工性が良好であることを示す。
【0039】
(2)ムーニースコーチタイム
ゴム組成物の加工安定性の評価として、JIS K6300−1994に準拠して、ムーニー粘度試験と同じ装置を用いて、加硫系配合剤を混練した未加硫ゴム組成物に対して、130℃でムーニー粘度を測定し、余熱を始めてからの値が最低値Vmより5単位上昇するまでの時間(ムーニースコーチタイム, MST)を測定した。測定値は、比較例2の値を100として指数表示した。指数値が大きい程、加工安定性が良好であることを示す。
【0040】
(3)硬さ
JIS K6253−1997に準拠して、硬さを測定し、比較例2の値を100として指数表示した。
【0041】
(4)破壊特性
JIS K6251−1993に準拠して、切断時伸び(Eb)、切断時の強力(Tb)及び300%伸長時の引張応力(M300)を測定し、それぞれ比較例2の値を100として指数表示した。
【0042】
(5)反発弾性
JIS K6255−1996に準拠して、ダンロップトリプソメーターを用いて反発弾性を測定し、比較例2の値を100として指数表示した。指数値が大きい程、反発弾性が高く、低発熱性に優れることを示す。
【0043】
(6)耐摩耗性(ゴム組成物)
ランボーン型摩耗試験機を用い、室温で、スリップ率60%での摩耗量を測定し、各例の摩耗量の逆数を、比較例2の摩耗量の逆数を100として指数表示した。指数値が大きい程、摩耗量が少なく、耐摩耗性が良好であることを示す。
【0044】
【表1】
【0045】
表1から明らかなように、実施例のゴム組成物は、比較例のゴム組成物に比べて、ムーニー粘度が低いため、作業性に優れ、且つ耐摩耗性が良好であり、バランスのとれた物性を有している。また、実施例のゴム組成物は、比較例2のゴム組成物よりも反発弾性が高く、低発熱性に優れる。
【0046】
(実施例3)
実施例1のゴム組成物をトレッドに用い、通常の方法でサイズ205/65R15のタイヤを製造した。
【0047】
(実施例4)
実施例2のゴム組成物を用い、実施例3と同様にしてタイヤを製造した。
【0048】
(比較例3)
比較例2のゴム組成物を用い、実施例3と同様にしてタイヤを製造した。
【0049】
上記のようにして製造した各タイヤをサイズ15×6JJのリムにそれぞれ組み付け、空気を充填して内圧を220kPaとした。これらのタイヤを用いて、下記の方法で転がり抵抗性試験及び耐摩耗性試験(タイヤ)を実施した。結果を表2に示す。
【0050】
(7)転がり抵抗性試験
転がり抵抗は、スチール平滑面を有する外径1707.6mm、幅350mmの回転ドラムを用い、460kgの荷重の作用下で、80km/hの速度で回転させたときの惰行法をもって測定して評価した。測定値は比較例3の値を100として指数表示した。指数値が大きい程、転がり抵抗が小さく、良好であることを示す。
【0051】
(8)耐摩耗性(タイヤ)
実車にて舗装路面を2万km走行後、タイヤの残溝を測定し、トレッドが1mm摩耗するのに要した走行距離を相対比較し、比較例3の値を100として指数表示した。指数値が大きい程、耐摩耗性が良好であることを示す。
【0052】
【表2】
【0053】
表2から明らかなように、実施例のタイヤは、比較例のタイヤに比べて、転がり抵抗及び耐摩耗性のいずれも良好である。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、シリカのゴム成分への分散性を向上させ、ゴム組成物の未加硫粘度を下げることが可能な新規硫黄含有シラン化合物、及び該シラン化合物が配合されたゴム組成物を提供することができる。また、該ゴム組成物をトレッドに用いることによって、タイヤの耐摩耗性を向上させ、転がり抵抗を下げ、更に湿潤路面での制動性及び操縦安定性を向上させることができる。
Claims (9)
- 下記平均組成式(I):
(R1O)3−p−qR2 pR3 qSi−R4−Sx−R4−SiR3 qR2 p(OR1)3−p−q ・・・ (I)
(式中、R1及びR2はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基、R3は炭素数2〜4のアルケニル基、R4は炭素数1〜15の2価の炭化水素基、pは0〜2の整数、qは1〜3の整数、但しp+q≦3、xは平均値として1以上4未満である)で表される硫黄含有シラン化合物。 - 前記式(I)のxが平均値として2以上3以下である請求項1に記載の硫黄含有シラン化合物。
- 前記式(I)のpが2で、qが1である請求項1に記載の硫黄含有シラン化合物。
- 前記式(I)のR2がメチル基で、R3が2−プロペニル基である請求項3に記載の硫黄含有シラン化合物。
- ゴム成分100質量部に対して、シリカ10〜200質量部及び請求項1〜4のいずれかに記載の硫黄含有シラン化合物1〜30質量部を配合してなるゴム組成物。
- 前記シリカのBET表面積が40〜350m2/gである請求項5に記載のゴム組成物。
- 前記ゴム成分がジエン系ゴムである請求項5に記載のゴム組成物。
- 請求項5〜7のいずれかに記載のゴム組成物をタイヤ部材のいずれかに適用したタイヤ。
- 前記タイヤ部材がトレッドである請求項8に記載のタイヤ。
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