JP2005001973A - セメントの硬化阻止方法及び硬化阻止剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】水分を含有しているセメントの凝固を許容するも硬化を阻止し、余分な生コンクリートから骨材を取り出し再利用する。
【解決手段】水分が含有されているセメントに、当該セメントの硬化を阻止するための所定量の無水クエン酸を投入し(セメント1kgあたり無水クエン酸6g以上)、当該セメントの凝固を許容するも硬化の阻止を図ることを特徴とするセメントの硬化阻止方法。
【解決手段】水分が含有されているセメントに、当該セメントの硬化を阻止するための所定量の無水クエン酸を投入し(セメント1kgあたり無水クエン酸6g以上)、当該セメントの凝固を許容するも硬化の阻止を図ることを特徴とするセメントの硬化阻止方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリートを使用する工事現場等で不要となったコンクリート等の硬化を阻止するための方法、及び当該方法に使用される硬化阻止に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、コンクリートを使用する工事現場等で不要となった生コンクリートは、コンクリートミキサー車にてそのまま生コンクリート製造業者に引き取られ、当該生コンクリート内のセメント成分は骨材である砂や砂利と分離され再利用もしくは廃棄されていた。
【0003】
前記生コンクリート内のセメント成分を骨材と分離するためには、高価で大型の設備と大量の水が必要となるため、小規模の生コンクリート製造業者では当該設備投資等に耐えきれず、引き取った生コンクリートを一旦硬化させた後、削岩機などで破砕し、産業廃棄物処理業者に処分を依頼していた。
【0004】
生コンクリートは一般に2時間ないし5時間で硬化を開始し、4週間で所定の硬度(略90%程度)に硬化するものであり、一般に、この4週間で所定の硬度に達しないものは、「硬化しない」と判断される。
【0005】
なお、不要となる生コンクリートは、一般的に、供給された生コンクリートの1%ないし3%に達し、実質的にその量は膨大なものとなっている。
【0006】
また、工事作業日程との関係で生コンクリートの硬化を遅延(1日ないし2日)させるための硬化遅延剤は多数存在する(特開平10−53444号公報、特開平11−199288号公報等)。
【0007】
更に、本発明者は過去にクエン酸ナトリウム等を使用して生コンクリートの硬化阻止を図る手段を開発したが、このクエン酸ナトリウムを使用する場合、充分な効果を奏さしめるためには大量に投与する必要があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、小規模の生コンクリート製造業者では、引き取った生コンクリートを屋外にて一旦硬化させた後、削岩機などで破砕し、産業廃棄物処理業者に処分を依頼していたが、硬化したコンクリートを破砕するには多大な労力が必要になるばかりでなく、耐え難い騒音を発生させることになり、環境破壊の一因にもなっていた。
【0009】
また、一旦硬化したコンクリートを粉砕して骨材(砕石、小石、砂等)を取り出し再利用しようとしても、当該骨材の表面に硬化したセメントが付着しており、前記骨材に再度新規のセメントを投入しても前記硬化したセメントが禍し、新規のセメントの接着力を減殺させ実用に供し得なくなる。
【0010】
従って、極めて限られた用途以外には再利用できず、資源の再利用は事実上不可能であったが、現在、バージンの骨材は入手が困難になってきており資源の再利用化は喫緊の課題となっている。
【0011】
また、産業廃棄物処理業者に処分を依頼するにも相当のコストが必要となり、ただでさえ利益の少ない生コンクリート製造業者の経営を圧迫していた。
【0012】
更に、生コンクリート内のセメント成分を骨材と分離するためには、大量の水が必要となるため、水資源の浪費に繋がる虞もあり、また塩基性の高い排水を大量の中和剤を使用して中和処理する必要もあった。
【0013】
なお、硬化遅延剤はセメントの硬化を遅延させるものの、最終的にはセメントが完全に硬化しなければ目的を達成することができず、もしセメントが完全に硬化しなければ、建築物の一部となるコンクリートが脆弱なものとなって危険となり、使い物にはならないことになる。
【0014】
本発明は、かかる従来の技術の課題に鑑みてなされたもので、水分を含有するセメント即ち生コンクリートを硬化させることなく凝固させ、骨材(砕石、小石、砂等)を極めて容易に取り出し再利用を可能にせんとするものである。
【0015】
なお、前述のように硬化遅延剤については種々のものが周知で、一見本発明と類似するような誤解を受ける可能性があるが、これらの硬化遅延剤は全て最終的にはセメントを完全に硬化させるもので、その硬化時間を遅延させるためのものであって、本発明のように最終的に硬化させないものとは、根本的に異なるものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、水分が含有されているセメントに、当該セメントの硬化を阻止するための所定量の無水クエン酸を投入し、当該セメントの凝固を許容するも硬化の阻止を図ることを特徴とするセメントの硬化阻止方法である。
【0017】
本発明では、水分が含有されているセメントに、当該セメントの硬化を阻止する所定量の無水クエン酸を投入し、当該セメントの凝固を許容するも硬化の阻止を図るので、前記セメントは固形化するも脆弱な状態となるので、容易に粉砕することが可能となる。
【0018】
また、生コンクリートに投入すると、骨材の表面に付着している凝固後のセメントも容易に剥離され、前記骨材をバージンの骨材と同様に再利用することが可能となる。
【0019】
なお、本発明および以下の発明において、「凝固」とは、例えば水分を含有するセメントを所定の型枠に流し込み水分が蒸発した状態で、型枠を取り外しても当該セメントが暫定的に当該型枠の形状を保持することをいい、「硬化」と異なる点は、強度発現がなされず、微細な外力(例えば人間の指先)でも容易に崩れる状態を意味する。
【0020】
また、「硬化」とは所定の強度(例えば、呼び強度が21のコンクリートの場合には、強度が21N/cm2になる等)に達することをいい、硬化を阻止するということは、コンクリートが凝固してから数日後も所定の硬度に達するのを阻止することを意味する。
【0021】
第2の発明は、第1の発明を前提とし、セメント1kg当たり、無水クエン酸を6g以上、より好適には8g以上投入することを特徴とする硬化阻止方法である。
【0022】
一般的な普通ポルトランド系のセメントの場合、当該セメント1kg当たり、無水クエン酸を12g以上投入すると凝固するも硬化は阻止されるが、セメントの質によって変化することが考えられるので15g以上投入するとより確実に硬化は阻止される。
【0023】
第3の発明は、前記第1もしくは第2の発明を前提とし、水とセメントの重量比は、水が1に対してセメントが1.3ないし1.8であるセメントの硬化阻止方法である。
【0024】
第4の発明は、前記第1もしくは第2の発明を前提とし、生コンクリートに含有されているセメントの硬化阻止方法である。
【0025】
本発明では、生コンクリートに含有されているセメントの硬化の阻止が図られるので、凝固したコンクリートを容易に粉砕することが可能となる。
【0026】
また、コンクリートの新たな骨材として再生利用することが可能となる。
【0027】
第5の発明は、水分が含有されているセメントに投入され、当該セメントの凝固を許容するも硬化を阻止するための、無水クエン酸を主成分とするセメントの硬化阻止剤である。
【0028】
本発明では、水分が含有されているセメントに、当該セメントの硬化を阻止する所定量の無水クエン酸が投入され、当該セメントの凝固を許容するも硬化が阻止されるので、前記セメントは固形化するも脆弱な状態となり、容易に粉砕することが可能となる。
【0029】
また、生コンクリートに投入すると、新たなバージンの骨材と同様に再利用することが可能となる。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態では、セメントの硬化阻止剤として、粉末の無水クエン酸(C6H8O7)が用いられる。
【0031】
【実施例1】
普通ポルトランドセメント(N)、呼び強度18N/cm2、スランプ18cm、粗骨材最大寸法20mm、空気量4.5%で、30リットルの生コンクリートを生成した場合の配合は下記のとおりである。
【0032】
セメント 8.64kg
水 5.88kg
海砂 16.05kg
砕砂 8.76kg
砂利(6号) 10.98kg
砂利(5号) 16.47kg
AE減水剤 0.086kg
※ 6号砂利はその寸法が5〜10mm(以下同じ)
5号砂利はその寸法が10〜20mm(以下同じ)
【0033】
而して、コンクリートミキサーにて90秒間混練後1時間放置し、硬化阻止剤である無水クエン酸52g(セメント1kg当たり無水クエン酸を6g)を当該生コンクリートに投入し、再度90秒間混練した後所定の場所に放置した。
【0034】
そうすると、前記コンクリートは3日目から凝固が開始し、28日後にも、コンクリート(セメント)は凝固はするも硬化せず、容易に粉砕処理を行い得る状態となる。
【0035】
なお、前記硬化阻止処理をされたコンクリートは容易に粉砕されるので、これから砕石等骨材を取り出し、新たな生コンクリートの材料として使用しても全く問題が生じなかった。
【0036】
【実施例2】
普通ポルトランドセメント(N)、呼び強度18N/cm2、スランプ18cm、粗骨材最大寸法20mm、空気量4.5%で、30リットルの生コンクリートを生成した場合の配合は下記のとおりである。
【0037】
セメント 8.64kg
水 5.88kg
海砂 16.05kg
砕砂 8.76kg
砂利(6号) 10.98kg
砂利(5号) 16.47kg
AE減水剤 0.086kg
※ 6号砂利はその寸法が5〜10mm(以下同じ)
5号砂利はその寸法が10〜20mm(以下同じ)
【0038】
而して、コンクリートミキサーにて90秒間混練後1時間放置し、硬化阻止剤である無水クエン酸70g(セメント1kg当たり無水クエン酸を8g)を当該生コンクリートに投入し、再度90秒間混練した後所定の場所に放置した。
【0039】
そうすると、前記コンクリートは3日目から凝固が開始し、28日後にも、コンクリート(セメント)は凝固はするも硬化せず、容易に粉砕処理を行い得る状態となる。
【0040】
なお、前記硬化阻止処理をされたコンクリートは容易に粉砕されるので、これから砕石等骨材を取り出し、新たな生コンクリートの材料として使用しても全く問題が生じなかった。
【0041】
【実施例3】
普通ポルトランドセメント(N)、呼び強度21N/cm2、スランプ18cm、粗骨材最大寸法20mm、空気量4.5%で、30リットルの生コンクリートを生成した場合の配合は下記のとおりである。
【0042】
セメント 9.30kg
水 5.85kg
海砂 15.75kg
砕砂 8.58kg
砂利(6号) 10.98kg
砂利(5号) 16.47kg
AE減水剤 0.093kg
【0043】
而して、ミキサーにて90秒間混練後1時間放置し、硬化阻止剤であるクエン酸の結晶74g(セメント1kg当たりム無水クエン酸を8g)を当該生コンクリートに投入し、再度90秒間混練した後所定の場所に放置した。
【0044】
そうすると、5日目から凝固が開始し、28日後には、コンクリート(セメント)は凝固はするも硬化せず、容易に粉砕処理を行い得る状態となる。
【0045】
また、28日間以上、半永久的に放置しても、コンクリート(セメント)は凝固はするも硬化せず、人間の指先の力でも容易に粉砕され得る状態となる。
【0046】
なお、前記硬化阻止処理をされたコンクリートは容易に粉砕されるので、これから砕石等骨材を取り出し、新たな生コンクリートの材料として使用しても全く問題が生じなかった。
【0047】
【発明の効果】
第1の発明では、水分が含有されているセメントに、当該セメントの硬化を阻止する所定量の無水クエン酸を投入し、当該セメントの凝固を許容するも硬化の阻止を図るので、前記セメントは固形化するも脆弱な状態となるので、容易に粉砕することが可能となる。
【0048】
従って、生コンクリートに投入すると、前記骨材をバージンの骨材と同様に再利用することが可能となり、地球的規模で資源枯渇化が叫ばれる昨今この効果は絶大である。
【0049】
また、削岩機等で破砕する必要がなくなり、多大な労力が不要になるばかりでなく、耐え難い騒音を発生させることもなくなり、環境にも優しいものとなる。
【0050】
第2の発明では、一般的な普通ポルトランド系のセメントの場合、当該セメント1kg当たり、無水クエン酸を6gという少量を投入するだけで凝固するも硬化は阻止される。
【0051】
なお、セメントの質によって変化することが考えられるので8g以上投入するとより確実に硬化は阻止されるが、いずれも少量のクエン酸で所望の効果が発揮され経済的にも安価となる。
【0052】
第4の発明では、凝固したコンクリートを容易に粉砕することが可能となり、取り出したコンクリートの骨材を新たな骨材として再生利用することが可能となる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリートを使用する工事現場等で不要となったコンクリート等の硬化を阻止するための方法、及び当該方法に使用される硬化阻止に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、コンクリートを使用する工事現場等で不要となった生コンクリートは、コンクリートミキサー車にてそのまま生コンクリート製造業者に引き取られ、当該生コンクリート内のセメント成分は骨材である砂や砂利と分離され再利用もしくは廃棄されていた。
【0003】
前記生コンクリート内のセメント成分を骨材と分離するためには、高価で大型の設備と大量の水が必要となるため、小規模の生コンクリート製造業者では当該設備投資等に耐えきれず、引き取った生コンクリートを一旦硬化させた後、削岩機などで破砕し、産業廃棄物処理業者に処分を依頼していた。
【0004】
生コンクリートは一般に2時間ないし5時間で硬化を開始し、4週間で所定の硬度(略90%程度)に硬化するものであり、一般に、この4週間で所定の硬度に達しないものは、「硬化しない」と判断される。
【0005】
なお、不要となる生コンクリートは、一般的に、供給された生コンクリートの1%ないし3%に達し、実質的にその量は膨大なものとなっている。
【0006】
また、工事作業日程との関係で生コンクリートの硬化を遅延(1日ないし2日)させるための硬化遅延剤は多数存在する(特開平10−53444号公報、特開平11−199288号公報等)。
【0007】
更に、本発明者は過去にクエン酸ナトリウム等を使用して生コンクリートの硬化阻止を図る手段を開発したが、このクエン酸ナトリウムを使用する場合、充分な効果を奏さしめるためには大量に投与する必要があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、小規模の生コンクリート製造業者では、引き取った生コンクリートを屋外にて一旦硬化させた後、削岩機などで破砕し、産業廃棄物処理業者に処分を依頼していたが、硬化したコンクリートを破砕するには多大な労力が必要になるばかりでなく、耐え難い騒音を発生させることになり、環境破壊の一因にもなっていた。
【0009】
また、一旦硬化したコンクリートを粉砕して骨材(砕石、小石、砂等)を取り出し再利用しようとしても、当該骨材の表面に硬化したセメントが付着しており、前記骨材に再度新規のセメントを投入しても前記硬化したセメントが禍し、新規のセメントの接着力を減殺させ実用に供し得なくなる。
【0010】
従って、極めて限られた用途以外には再利用できず、資源の再利用は事実上不可能であったが、現在、バージンの骨材は入手が困難になってきており資源の再利用化は喫緊の課題となっている。
【0011】
また、産業廃棄物処理業者に処分を依頼するにも相当のコストが必要となり、ただでさえ利益の少ない生コンクリート製造業者の経営を圧迫していた。
【0012】
更に、生コンクリート内のセメント成分を骨材と分離するためには、大量の水が必要となるため、水資源の浪費に繋がる虞もあり、また塩基性の高い排水を大量の中和剤を使用して中和処理する必要もあった。
【0013】
なお、硬化遅延剤はセメントの硬化を遅延させるものの、最終的にはセメントが完全に硬化しなければ目的を達成することができず、もしセメントが完全に硬化しなければ、建築物の一部となるコンクリートが脆弱なものとなって危険となり、使い物にはならないことになる。
【0014】
本発明は、かかる従来の技術の課題に鑑みてなされたもので、水分を含有するセメント即ち生コンクリートを硬化させることなく凝固させ、骨材(砕石、小石、砂等)を極めて容易に取り出し再利用を可能にせんとするものである。
【0015】
なお、前述のように硬化遅延剤については種々のものが周知で、一見本発明と類似するような誤解を受ける可能性があるが、これらの硬化遅延剤は全て最終的にはセメントを完全に硬化させるもので、その硬化時間を遅延させるためのものであって、本発明のように最終的に硬化させないものとは、根本的に異なるものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、水分が含有されているセメントに、当該セメントの硬化を阻止するための所定量の無水クエン酸を投入し、当該セメントの凝固を許容するも硬化の阻止を図ることを特徴とするセメントの硬化阻止方法である。
【0017】
本発明では、水分が含有されているセメントに、当該セメントの硬化を阻止する所定量の無水クエン酸を投入し、当該セメントの凝固を許容するも硬化の阻止を図るので、前記セメントは固形化するも脆弱な状態となるので、容易に粉砕することが可能となる。
【0018】
また、生コンクリートに投入すると、骨材の表面に付着している凝固後のセメントも容易に剥離され、前記骨材をバージンの骨材と同様に再利用することが可能となる。
【0019】
なお、本発明および以下の発明において、「凝固」とは、例えば水分を含有するセメントを所定の型枠に流し込み水分が蒸発した状態で、型枠を取り外しても当該セメントが暫定的に当該型枠の形状を保持することをいい、「硬化」と異なる点は、強度発現がなされず、微細な外力(例えば人間の指先)でも容易に崩れる状態を意味する。
【0020】
また、「硬化」とは所定の強度(例えば、呼び強度が21のコンクリートの場合には、強度が21N/cm2になる等)に達することをいい、硬化を阻止するということは、コンクリートが凝固してから数日後も所定の硬度に達するのを阻止することを意味する。
【0021】
第2の発明は、第1の発明を前提とし、セメント1kg当たり、無水クエン酸を6g以上、より好適には8g以上投入することを特徴とする硬化阻止方法である。
【0022】
一般的な普通ポルトランド系のセメントの場合、当該セメント1kg当たり、無水クエン酸を12g以上投入すると凝固するも硬化は阻止されるが、セメントの質によって変化することが考えられるので15g以上投入するとより確実に硬化は阻止される。
【0023】
第3の発明は、前記第1もしくは第2の発明を前提とし、水とセメントの重量比は、水が1に対してセメントが1.3ないし1.8であるセメントの硬化阻止方法である。
【0024】
第4の発明は、前記第1もしくは第2の発明を前提とし、生コンクリートに含有されているセメントの硬化阻止方法である。
【0025】
本発明では、生コンクリートに含有されているセメントの硬化の阻止が図られるので、凝固したコンクリートを容易に粉砕することが可能となる。
【0026】
また、コンクリートの新たな骨材として再生利用することが可能となる。
【0027】
第5の発明は、水分が含有されているセメントに投入され、当該セメントの凝固を許容するも硬化を阻止するための、無水クエン酸を主成分とするセメントの硬化阻止剤である。
【0028】
本発明では、水分が含有されているセメントに、当該セメントの硬化を阻止する所定量の無水クエン酸が投入され、当該セメントの凝固を許容するも硬化が阻止されるので、前記セメントは固形化するも脆弱な状態となり、容易に粉砕することが可能となる。
【0029】
また、生コンクリートに投入すると、新たなバージンの骨材と同様に再利用することが可能となる。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態では、セメントの硬化阻止剤として、粉末の無水クエン酸(C6H8O7)が用いられる。
【0031】
【実施例1】
普通ポルトランドセメント(N)、呼び強度18N/cm2、スランプ18cm、粗骨材最大寸法20mm、空気量4.5%で、30リットルの生コンクリートを生成した場合の配合は下記のとおりである。
【0032】
セメント 8.64kg
水 5.88kg
海砂 16.05kg
砕砂 8.76kg
砂利(6号) 10.98kg
砂利(5号) 16.47kg
AE減水剤 0.086kg
※ 6号砂利はその寸法が5〜10mm(以下同じ)
5号砂利はその寸法が10〜20mm(以下同じ)
【0033】
而して、コンクリートミキサーにて90秒間混練後1時間放置し、硬化阻止剤である無水クエン酸52g(セメント1kg当たり無水クエン酸を6g)を当該生コンクリートに投入し、再度90秒間混練した後所定の場所に放置した。
【0034】
そうすると、前記コンクリートは3日目から凝固が開始し、28日後にも、コンクリート(セメント)は凝固はするも硬化せず、容易に粉砕処理を行い得る状態となる。
【0035】
なお、前記硬化阻止処理をされたコンクリートは容易に粉砕されるので、これから砕石等骨材を取り出し、新たな生コンクリートの材料として使用しても全く問題が生じなかった。
【0036】
【実施例2】
普通ポルトランドセメント(N)、呼び強度18N/cm2、スランプ18cm、粗骨材最大寸法20mm、空気量4.5%で、30リットルの生コンクリートを生成した場合の配合は下記のとおりである。
【0037】
セメント 8.64kg
水 5.88kg
海砂 16.05kg
砕砂 8.76kg
砂利(6号) 10.98kg
砂利(5号) 16.47kg
AE減水剤 0.086kg
※ 6号砂利はその寸法が5〜10mm(以下同じ)
5号砂利はその寸法が10〜20mm(以下同じ)
【0038】
而して、コンクリートミキサーにて90秒間混練後1時間放置し、硬化阻止剤である無水クエン酸70g(セメント1kg当たり無水クエン酸を8g)を当該生コンクリートに投入し、再度90秒間混練した後所定の場所に放置した。
【0039】
そうすると、前記コンクリートは3日目から凝固が開始し、28日後にも、コンクリート(セメント)は凝固はするも硬化せず、容易に粉砕処理を行い得る状態となる。
【0040】
なお、前記硬化阻止処理をされたコンクリートは容易に粉砕されるので、これから砕石等骨材を取り出し、新たな生コンクリートの材料として使用しても全く問題が生じなかった。
【0041】
【実施例3】
普通ポルトランドセメント(N)、呼び強度21N/cm2、スランプ18cm、粗骨材最大寸法20mm、空気量4.5%で、30リットルの生コンクリートを生成した場合の配合は下記のとおりである。
【0042】
セメント 9.30kg
水 5.85kg
海砂 15.75kg
砕砂 8.58kg
砂利(6号) 10.98kg
砂利(5号) 16.47kg
AE減水剤 0.093kg
【0043】
而して、ミキサーにて90秒間混練後1時間放置し、硬化阻止剤であるクエン酸の結晶74g(セメント1kg当たりム無水クエン酸を8g)を当該生コンクリートに投入し、再度90秒間混練した後所定の場所に放置した。
【0044】
そうすると、5日目から凝固が開始し、28日後には、コンクリート(セメント)は凝固はするも硬化せず、容易に粉砕処理を行い得る状態となる。
【0045】
また、28日間以上、半永久的に放置しても、コンクリート(セメント)は凝固はするも硬化せず、人間の指先の力でも容易に粉砕され得る状態となる。
【0046】
なお、前記硬化阻止処理をされたコンクリートは容易に粉砕されるので、これから砕石等骨材を取り出し、新たな生コンクリートの材料として使用しても全く問題が生じなかった。
【0047】
【発明の効果】
第1の発明では、水分が含有されているセメントに、当該セメントの硬化を阻止する所定量の無水クエン酸を投入し、当該セメントの凝固を許容するも硬化の阻止を図るので、前記セメントは固形化するも脆弱な状態となるので、容易に粉砕することが可能となる。
【0048】
従って、生コンクリートに投入すると、前記骨材をバージンの骨材と同様に再利用することが可能となり、地球的規模で資源枯渇化が叫ばれる昨今この効果は絶大である。
【0049】
また、削岩機等で破砕する必要がなくなり、多大な労力が不要になるばかりでなく、耐え難い騒音を発生させることもなくなり、環境にも優しいものとなる。
【0050】
第2の発明では、一般的な普通ポルトランド系のセメントの場合、当該セメント1kg当たり、無水クエン酸を6gという少量を投入するだけで凝固するも硬化は阻止される。
【0051】
なお、セメントの質によって変化することが考えられるので8g以上投入するとより確実に硬化は阻止されるが、いずれも少量のクエン酸で所望の効果が発揮され経済的にも安価となる。
【0052】
第4の発明では、凝固したコンクリートを容易に粉砕することが可能となり、取り出したコンクリートの骨材を新たな骨材として再生利用することが可能となる。
Claims (5)
- セメントに、水と、当該セメントの硬化を阻止するための所定量の無水クエン酸を投入し、当該セメントの凝固を許容するも硬化の阻止を図ることを特徴とするセメントの硬化阻止方法。
- セメント1kg当たり無水クエン酸を6g以上より好適には8g以上投入することを特徴とする請求項1記載のセメントの硬化阻止方法。
- 水とセメントの重量比は、水が1に対してセメントが1.3ないし1.8である請求項1もしくは請求項2記載のセメントの硬化阻止方法。
- 生コンクリートに含有されているセメントの硬化の阻止を図ることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のセメントの硬化阻止方法。
- 水分が含有されているセメントに投入され、当該セメントの凝固を許容するも硬化を阻止するための、無水クエン酸を主成分とするセメントの硬化阻止剤。
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JP2003198114A JP2005001973A (ja) | 2003-06-12 | 2003-06-12 | セメントの硬化阻止方法及び硬化阻止剤 |
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- 2003-06-12 JP JP2003198114A patent/JP2005001973A/ja active Pending
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