JP2005001542A - 噴射式推進艇の操向装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】船体11の噴射ノズル17bからジェット推進機17が発生する噴流を噴射することにより走行する噴射式推進艇10に操向装置20を設けた。この操向装置20は、噴射ノズル17bに左右に揺動可能に取り付けられたディフレクター21と、ディフレクター21の両側部に上下に揺動可能に取り付けられた垂直片28a,28bと水平片27a,27bとからなるアーム部22と、ラダー支持片23を介して垂直片28a,28bに取り付けられたラダー24と、水平片27a,27bに取り付けられたスラスト受け部25とで構成した。そして、スラスト受け部25を後端側が下方になるように傾斜させて、噴射ノズル17bの噴流によって押し上げられ、ラダー24を上方に移動させるようにした。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、噴射ノズルから噴流を噴射することにより走行する噴射式推進艇の進行方向を変更するための噴射式推進艇の操向装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ジェット推進機が発生する噴流を、船体の後端部に設けられた噴射ノズルから噴射することにより走行する噴射式推進艇においては、噴射ノズルの後部に水平方向に揺動可能になったディフレクターが設けられている。そして、このディフレクターを左右に移動させることにより、ジェット推進機の噴射時における噴射式推進艇の進行方向を変更できるようになっている。また、このような噴射式推進艇のなかに、ラダーを設けて、低速走行時やジェット推進機の停止時にも進行方向を変更できるようにしたものがある(例えば、特許文献1)。
【0003】
この噴射式推進艇では、ディフレクターは円筒状に形成されており、その内部の両側に水平方向に延びる軸部材を掛け渡している。そして、この軸部材の中央部に軸部材の軸回り方向(上下方向)に揺動可能になったアーム部材を設け、このアーム部材の先端に下方に延びる板状のラダーを取り付けている。また、ラダーの両側部にはスラスト受け部である翼部材を設けて、ジェット推進機が噴流を噴出すると、この翼部材がラダーとともに上昇するようにしている。
【0004】
したがって、噴射式推進艇が通常の走行をしているときには、ラダーが上昇して水の抵抗を受け難くなり、噴射式推進艇の進行方向はディフレクターの左右への移動によって変更される。また、噴射式推進艇が低速走行をしているときや、ジェット推進機が停止しているときには、ラダーが下降して水の抵抗を受けやすくなり、このラダーの角度に応じて噴射式推進艇が進行方向を変更するようになる。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−162689号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した従来の噴射式推進艇では、ディフレクターの内部中心に軸部材を設けているため、ラダーや翼部材が、噴射ノズルの噴射口に位置するようになる。この結果、軸部材およびそれに取り付けられたラダーや翼部材がジェット推進機が噴出する噴流の抵抗になってジェット推進機による推進力にロスが生じてしまうという問題がある。
【0007】
【発明の概要】
本発明は、上記問題に対処するためになされたもので、その目的は、ジェット推進機の推進力にロスを生じさせない噴射式推進艇の操向装置を提供することである。
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明にかかる噴射式推進艇の操向装置の構成上の特徴は、船体の後端部に設けられた噴射ノズルからジェット推進機が発生する噴流を噴射することにより走行する噴射式推進艇の操向装置であって、噴射ノズルの後部開口側に、後部側を水平方向に揺動可能にした状態で取り付けられ、噴射ノズルが噴射する噴流を通過させる略円筒状のディフレクターと、ディフレクターの両側部に設けられた支持部と、支持部から下方に延びる垂直部と、ディフレクターの両側部から後方に延びる水平部とからなり、支持部を中心として上下方向に揺動可能な状態で取り付けられた左右一対のアーム部と、左右一対のアーム部の垂直部の下端部に掛け渡されたラダー支持部と、長手方向を略前後方向に位置させてラダー支持部の下面に取り付けられたラダーと、一対の水平部の後端部に掛け渡され、後端側が下方になるように傾斜した傾斜部を有するスラスト受け部とを備え、噴射ノズルが噴出する噴流の流域に、スラスト受け部の傾斜部を位置させたにある。
【0009】
このように構成した本発明にかかる噴射式推進艇の操向装置においては、アーム部が、ディフレクターの両側部から下方に延びる一対の垂直部と、ディフレクターの両側部から後方に延びる一対の水平部とで構成されている。したがって、アーム部が噴射ノズルの開口部に位置してジェット推進機が噴射する噴流の抵抗になることはない。また、スラスト受け部は、一対の水平部の後端部に掛け渡されて、噴射ノズルが噴出する噴流の流域に位置するため、噴射式推進艇の高速走行時の強い噴流によって上方に押し上げられる。また、低速走行時には、下降して進行方向を変更可能にする。さらに、高速走行時には、スラスト受け部の抵抗力は最小となり殆ど噴流の妨げにならない。
【0010】
さらに、ラダーは、ディフレクターの両側部から下方に延びた一対の垂直部の両端部に掛け渡されたラダー支持部に取り付けられており、アーム部が上方に位置する噴射式推進艇の高速走行時には、長手方向が略水平方向になるように構成されている。したがって、噴射式推進艇の高速走行時には、ラダーの噴流や水に対する抵抗も小さくなり、ラダーが噴射式推進艇の高速走行の妨げになることはない。また、噴射式推進艇の低速走行時やジェット推進機の停止時には、ラダーは、下降して水の抵抗を受けやすくなり舵として機能する。
【0011】
また、本発明にかかる噴射式推進艇の操向装置の他の構成上の特徴は、噴射ノズルが噴流を噴射したときに、スラスト受け部が、ディフレクターの上端近傍の高さに押し上げられ、ラダーがディフレクターの下端位置よりも下方に位置するようにしたことにある。これによると、噴射式推進艇の高速走行時には、スラスト受け部およびラダーの位置が、噴流から外れた位置になり、噴射ノズルが噴射する噴流を妨げるものがなくなる。これによって、ジェット推進機による推進力は無駄なく噴射式推進艇の走行に利用される。
【0012】
本発明にかかる噴射式推進艇の操向装置のさらに他の構成上の特徴は、アーム部とディフレクターとの間にラダーを下方に付勢するばね部材を設けたことにある。これによると、ジェット推進機が停止したときに、素早くラダーが下降するようになる。したがって、ジェット推進機が停止しても噴射式推進艇が進行している間は、ラダーを操作することにより噴射式推進艇の進行方向を変更することができる。
【0013】
本発明にかかる噴射式推進艇の操向装置のさらに他の構成上の特徴は、ラダーを複数個で構成し、この複数個のラダーを左右方向に所定間隔を保ってラダー支持部に取り付けたことにある。これによると、低速走行時における噴射式推進艇の操舵を効果的に行えるようになる。また、この場合、それぞれのラダーの長さを短くすることができる。これによると、噴射式推進艇が浅瀬を低速走行する際に、ラダーの下端部が底に当たって破損したりすることを防止できる。
【0014】
本発明にかかる噴射式推進艇の操向装置のさらに他の構成上の特徴は、ラダー支持部を、両端部が上方に位置する円弧状に湾曲させて形成し、そのラダー支持部に複数個のラダーを左右方向に所定間隔を保って取り付けたことにある。これによると、噴射式推進艇の船底に沿わせた状態で複数のラダーを設けるようになり、ラダーの機能をより効果的に発揮させることができる。
【0015】
本発明にかかる噴射式推進艇の操向装置のさらに他の構成上の特徴は、下方に位置したラダーの下端部が船体の下端部より上方に位置するようにしたことにある。これによると、噴射式推進の低速走行時に船底が海底に接触してもラダーが破損することを防止できる。
【0016】
本発明にかかる噴射式推進艇の操向装置のさらに他の構成上の特徴は、ラダーを弾性部材で構成したことにある。これによると、噴射式推進の低速走行時にラダーが海底に接触しても破損することがなくなる。この場合の弾性部材としては、板状のゴムで構成してもよいし、金属板や木板等をばね等で支持して弾性を持たせたもので構成してもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。図1は、同実施形態に係る操向装置20を備えた噴射式推進艇10を示している。この噴射式推進艇10では、船体11がデッキ11aとハル11bとで構成されており、その船体11における上部の略中央に操舵ハンドル12が設けられ、操舵ハンドル12の後方にシート13が設けられている。
【0018】
そして、船体11内における底部中央にエンジン14が設けられ、このエンジン14の後部からはクランク軸(図示せず)が後方に向って延びている。そして、クランク軸にカップリング15を介してインペラー軸16が連結されている。このインペラー軸16は、船体11の船尾に設けられたジェット推進機17の内部に取り付けられたインペラー(図示せず)に連結され、エンジン14の駆動によるクランク軸の回転力をインペラーに伝達してインペラーを回転させる。
【0019】
ジェット推進機17は、船体11の底部に開口する水導入口17aと船尾に開口する噴射ノズル17bとを備えており、水導入口17aから導入される水をインペラーの回転により噴射ノズル17bから噴射させることにより船体11に推進力を生じさせる。このジェット推進機17は、ケーシング18によって、船体11の本体側と隔離された状態で船体11の船尾における底部に取り付けられており、インペラー軸16は、ケーシング18を貫通することによって、エンジン14側からジェット推進機17に延びている。
【0020】
そして、噴射ノズル17bの後部に操向装置20が取り付けられている。操向装置20は、図2および図3に示すように、ディフレクター21、アーム部22、本発明のラダー支持部としてのラダー支持片23、ラダー24およびスラスト受け部25で構成されている。ディフレクター21は、前部側が後部側よりもやや大径になった円筒状に形成され、前部側部分で噴射ノズル17bの後端側周縁部を覆った状態で配置されている。
【0021】
また、ディフレクター21の前端部における上端と下端とにはそれぞれ挿通穴を有する取付片21a,21bが突出しており、挿通穴にボルト26a,26bを挿通させてそのボルト26a,26bを噴射ノズル17bに固定することにより、ディフレクター21はボルト26a,26bを中心に左右に揺動可能になっている。また、ディフレクター21は、操作ワイヤによって操舵ハンドル12に連結され、操舵ハンドル12の操作に応じて左右に揺動する。
【0022】
アーム部22は、ディフレクター21の両側部から後方に向って延びる本発明の水平部としての一対の水平片27a,27bと、ディフレクター21の両側部から下方に向って延びる本発明の垂直部としての一対の垂直片28a,28bとで構成されている。すなわち、垂直片28aは、水平片27aの前端部よりもやや後部側の部分に位置して、水平片27aと垂直片28aとで略T字状の板状体が形成され、垂直片28bは、水平片27bの前端部よりもやや後部側の部分に位置して、水平片27bと垂直片28bとで略T字状の板状が形成されている。
【0023】
そして、水平片27aと垂直片28aとからなる板状体と、水平片27bと垂直片28bとからなる板状体とはディフレクター21を挟んで互いに対向した状態で配置されている。そして、水平片27a,27bの前端部側に設けられた挿通穴にボルト29(一方のボルトは図示せず)を挿通させてそのボルト29をディフレクター21に固定することにより、アーム部22はボルト29を中心として上下に揺動可能になっている。垂直片28a,28bの下端部には、板状のラダー支持片23が水平方向に掛け渡されている。
【0024】
ラダー支持片23の下面中央には、ラダー24が取り付けられている。ラダー24は、垂直片28a,28bに対して90度よりもやや大きな角度になるように傾斜して後方のやや下方に向って延びる板状体で構成されており、アーム部22が上方に向かって移動したときに略水平状態(図5参照)になるように設定されている。また、このラダー24は幅広の両平面部を左右方向に向けた状態で取り付けられており、進行方向に対して所定角度に傾斜することにより、水圧を受け噴射式推進艇10の進行方向を変化させる。なお、アーム部22は、垂直片28a,28bが垂直になる位置からラダー24が水平状態になる位置の間で揺動するように設定されている。
【0025】
スラスト受け部25は細長い板状体で構成され、水平片27a,27bの後端部に掛け渡されている。このスラスト受け部25は、水平片27a,27bが水平状態になっているときに、後端部が下方で前端部が上方に位置するように傾斜して取り付けられており、噴射ノズル17bから噴流が噴射されたときに、その噴流によって押し上げられて水平状態になる。このときに、アーム部22およびラダー支持片23とともにラダー24を上昇させて、ラダー24を水平状態にする。すなわち、ラダー24とスラスト受け部25との前後方向の傾斜角は略等しくなるように設定されている。
【0026】
アーム部22とラダー24との各角部は切り取られて円弧状のアール部に形成され、アーム部22とラダー支持片23との両連結部の角部は、それぞれ曲面に形成されている。また、ラダー24の下端部は、ラダー24が下降して最下部に位置したときでも、図1に示したように、船体11の底部よりも上方に位置するように設定されている。さらに、操向装置20の各部分は金属板等で構成されているが、ラダー24は金属板に代えてゴム板で構成されている。
【0027】
以上の構成において、操縦者が噴射式推進艇10を操縦する際には、操舵ハンドル12の近傍に設置されたスイッチ(図示せず)をオンにした状態で、操舵ハンドル12のグリップを握るとともに、グリップの近傍に設けられたスロットルレバーをグリップ側に移動させる。これによって、スロットルレバーの操作量に応じてエンジン14が駆動する。
【0028】
この場合、スロットルレバーをグリップ側に近づけるほどエンジン14は高速回転して噴射式推進艇10は高速走行し、スロットルレバーをグリップから遠ざけるほどエンジン14は低速回転して噴射式推進艇10は低速走行する。また、スロットルレバーをグリップから最も遠ざけたときには、アイドリング状態になる。この走行の際、ジェット推進機17が駆動して噴射ノズル17bから噴流が噴出される。
【0029】
この噴流によって、スラスト受け部25に水圧がかかってスラスト受け部25が上方に押し上げられ、スラスト受け部25と一体となったアーム部22やラダー24も上方に跳ね上げられて、図2及び図3の状態から図4の状態になっていく。そして、噴射式推進艇10が高速走行を開始すると、スラスト受け部25はさらに押し上げられて、アーム部22やラダー24は、図5の状態になる。
【0030】
この状態では、ラダー24は、水平になって、水の抵抗を殆ど受けない状態になっている。したがって、この状態では、ラダー24の向きは噴射式推進艇10の進行方向に殆ど影響しない。また、スラスト受け部25は、噴流の上端側に押し上げられ、ラダー支持片23およびラダー24は噴流の下端よりもやや下方に位置するため、噴流の抵抗になって、噴射式推進艇10の走行を妨げることはない。
【0031】
なお、噴射ノズル17bから噴射される噴流は、ディフレクター21の開口面積と略等しいかそれ以下の範囲で流れ、ディフレクター21の開口面積以上の広角に広がることはない。したがって、跳ね上げられたラダー24は、噴流と略平行の位置で止まり、それ以上は持ち上げる力が働かないため、噴射ノズル17bから噴流が噴射される間は、その位置に保持される。
【0032】
また、操舵ハンドル12を操作することにより、ディフレクター21を任意の方向に揺動させることができ、この操舵ハンドル12の操作によって、噴射式推進艇10の進路を変更できる。この場合、右手を手前に引くように操舵ハンドル12を操作すると、ディフレクター21の後部側が右側に移動して、噴射式推進艇10は右折するように進行方向を変え、左手を手前に引くように操舵ハンドル12を操作すると、ディフレクター21の後部側が左側に移動して、噴射式推進艇10は左折するように進行方向を変える。
【0033】
そして、ジェット推進機17の駆動を停止させたり、低速駆動させたりして噴射ノズル17bから噴出される噴流の勢いを弱くすると、スラスト受け部25が受ける水圧が減少してラダー24を跳ね上げる力がなくなり、アーム部22やラダー24は自重によって下降する。これによって、アーム部22やラダー24は図2または図4の状態になる。
【0034】
この状態では、ラダー24に水圧がかかりやすくなるため、操舵ハンドル12を操作することによって、ディフレクター21とともにラダー24等の向きを変えると、その操作角度に応じて噴射式推進艇10は走行方向を変更する。その走行の際に、噴射式推進艇10が浅瀬等に入って船底が海底に接触してもラダー24の下端部は船底よりも高い位置にあるため、海底に接触してラダー24が破損することはない。また、仮に、海底の突起物等にラダー24が衝突してもラダー24は弾性を有するゴム板で構成されているため、破損は防止される。
【0035】
このように、本実施形態による噴射式推進艇10の操向装置20では、アーム部22が噴射ノズル17bから噴射される噴流の進行方向から外れる位置になるように設けられているため、アーム部22に取り付けられたラダー支持片23やラダー24が噴流の抵抗になることはない。また、スラスト受け部25は、噴射ノズル17bの噴流によって上方に押し上げられて水平状態になるため、噴射式推進艇10の高速走行時には、その水に対する抵抗力は最小となり殆ど噴流の妨げにならない。
【0036】
そして、噴射式推進艇10の低速走行時やジェット推進機17の駆動が停止した時には、ラダー24は、下降して水の抵抗を受けやすくなり、噴射式推進艇10の進行方向を変更するための舵として機能する。したがって、この操向装置20によれば、噴射式推進艇10の高速時の走行を妨げることなく、低速時の進行方向を任意に操作することのできる噴射式推進艇10を得ることができる。
【0037】
また、ラダー24は、噴射式推進艇10が高速走行する際には、水平状態になるように、所定の角度でラダー支持片23に取り付けられているため、図6に示したラダー24aのようにさらに長さを長く設定することができる。この場合も、ラダー24aの下端部は、ラダー24aが下降して最下部に位置したときでも、船体11の底部aよりも上方に位置するように設定する。
【0038】
これによって、ラダー24aのように長くしても噴射式推進艇10の低速走行時および高速走行時の双方で、ラダー24aは図6ないし図8のように船底よりも高い位置になるため、海底等に衝突して破損することがない。このラダー24aのように長さを長くすることにより、舵としての機能はより向上する。なお、図6ないし図8におけるラダー24a以外の部分は図1ないし図5に示した各部分と同一であるため、同一部分に同一符号を記している。
【0039】
図9ないし図11は、本発明の他の実施形態に係る操向装置30を示している。この操向装置30では、アーム部32の一対の垂直片28(一方の垂直片28しか図示せず)の中央部と、ディフレクター31の前端下部側部分との間にスプリング35が設けられて、アーム部32の下部側が前方に付勢されている。この操向装置30におけるそれ以外の部分の構成については、前述した、操向装置20と同一である。したがって、同一部分に同一符号を記している。
【0040】
このように構成したため、噴射ノズル17bが噴流を噴射していないときには、ラダー24は、図9のように後方における斜め下方に傾斜し、左右に揺動することにより噴射式推進艇10の進行方向を変化できる状態になっている。そして、噴射ノズル17bが噴流を噴射すると、ラダー24等の後部側部分は、スプリング35の弾性に抗して図10のように上方に向かって移動していく。さらに、噴射ノズル17bの噴流が強くなり噴射式推進艇10が高速走行すると、ラダー24は、図11のように水平状態になって水圧を受けにくくなり、舵としては殆ど機能しなくなる。
【0041】
したがって、噴射式推進艇10は、噴流を噴射するディフレクター31の方向に応じて進行方向を変更する。また、ジェット推進機17の駆動を停止させたり、低速駆動させたりして噴射ノズル17bから噴出される噴流の勢いを弱くすると、スプリング35の弾性によって、ラダー24は素早く下降して、図10から図9の状態になる。この場合の噴流の勢いとラダー24の下降のタイミングとの関係は、スプリング35のばね荷重値を変更することにより適宜変更することができる。この操向装置30のそれ以外の作用効果については、操向装置20と同様である。
【0042】
図12および図13は、本発明のさらに他の実施形態に係る操向装置40を示している。この操向装置40では、ラダー支持片43の下面における左右の両端部にそれぞれラダー44a,44bが設けられている。この操向装置40におけるそれ以外の部分の構成については操向装置20と同一である。したがって、同一部分に同一符号を記している。
【0043】
このように構成したことにより、ラダー44a,44bの下方への突出量を増やすことなくラダー44a,44bの合計面積を増やすことができる。また、逆に、ラダー44a,44bの長さを短く設定することができる。これによって、ラダー44a,44bが物に衝突して破損したりすることがなくなる。また、間隔を保って2個のラダー44a,44bが設けられているため、噴射式推進艇10が安定した状態で進路の変更を行うことができる。それ以外の作用効果については、操向装置20と同様である。
【0044】
図14および図15は、本発明のさらに他の実施形態に係る操向装置50を示している。この操向装置50では、ラダー支持片53が、垂直片58a,58bの下端部からさらに外側の水平方向に延びる長い板状に形成されている。そして、ラダー支持片53の下面に、一定間隔を保って、4個のラダー54a,54b,54c,54dが設けられている。この操向装置50におけるそれ以外の部分の構成については操向装置20,40と同一である。したがって、同一部分に同一符号を記している。
【0045】
このように構成したことにより、下方への突出量を増やすことなくさらにラダー54a,54b,54c,54dの合計面積を増やすことができ、また、ラダー54a,54b,54c,54dの長さを短く設定することができる。これによって、さらに噴射式推進艇10が安定した状態で進路の変更を行うことができる。それ以外の作用効果については、操向装置20,40と同様である。
【0046】
また、図16および図17は、本発明のさらに他の実施形態に係る操向装置60を示している。この操向装置60では、ラダー支持片63が、垂直片68a,68bの下端部からさらに外側の水平方向に延びる長い板状に形成されているとともに、そのラダー支持片63の左右両端部が上方に位置するように湾曲している。そして、ラダー支持片63の下面に、一定間隔を保って、4個のラダー64a,64b,64c,64dが設けられている。この操向装置60におけるそれ以外の部分の構成については操向装置20,40,50と同一である。したがって、同一部分に同一符号を記している。
【0047】
このように構成したことにより、複数のラダー64a,64b,64c,64dを噴射式推進艇10の船底形状に沿わせるようにして配置することができる。これによって、ラダー64a,64b,64c,64dの船体から突出する部分が少なくなり、さらにラダー64a,64b,64c,64dの破損防止が可能になる。それ以外の作用効果については、操向装置50と同様である。
【0048】
また、本発明にかかる噴射式推進艇の操向装置は、前述した各実施形態に限定するものでなく、さらに種々の形態に変更することが可能である。例えば、前述した各実施形態では、ラダー24等をゴム板で構成したが、このラダー24等を構成する材料は、ゴム板に限らず、金属板や木板で構成することができる。また、その場合、ラダー24等をばね等の弾性部材を介してラダー支持片23等に取り付けることが好ましい。これによって、衝突時の衝撃等を吸収してラダー24等の損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による操向装置を備えた噴射式推進艇を示す側面図である。
【図2】図1に示した噴射式推進艇が備える操向装置を示す側面図である。
【図3】図2に示した操向装置の斜視図である。
【図4】図2に示した操向装置のラダーが上昇していく状態を示す側面図である。
【図5】図2に示した操向装置のラダーが上昇した状態を示す側面図である。
【図6】長いラダーを備えた操向装置を示す側面図である。
【図7】図6に示した操向装置を噴射式推進艇に取り付けた状態を示す概略側面図である。
【図8】図7に示した操向装置をA方向から見た状態を示す背面図である。
【図9】本発明の他の実施形態による操向装置を示す側面図である。
【図10】図9に示した操向装置のラダーが上昇していく状態を示す側面図である。
【図11】図9に示した操向装置のラダーが上昇した状態を示す側面図である。
【図12】本発明のさらに他の実施形態による操向装置を示す斜視図である。
【図13】図12に示した操向装置が取り付けられた噴射式推進艇を示す背面図である。
【図14】本発明のさらに他の実施形態による操向装置を示す斜視図である。
【図15】図14に示した操向装置が取り付けられた噴射式推進艇を示す背面図である。
【図16】本発明のさらに他の実施形態による操向装置を示す斜視図である。
【図17】図16に示した操向装置が取り付けられた噴射式推進艇を示す背面図である。
【符号の説明】
10…噴射式推進艇、11…船体、17…ジェット推進機、17b…噴射ノズル、20,30,40,50,60…操向装置、21,31…ディフレクター、22,32…アーム部、23,43,53,63…ラダー支持片、24,24a,44a,44b,54a,54b,54c,54d,64a,64b,64c,64d…ラダー、25…スラスト受け部、27a,27b…水平片、28,28a,28b,58a,58b,68a,68b…垂直片。
Claims (7)
- 船体の後端部に設けられた噴射ノズルからジェット推進機が発生する噴流を噴射することにより走行する噴射式推進艇の操向装置であって、
前記噴射ノズルの後部開口側に、後部側を水平方向に揺動可能にした状態で取り付けられ、前記噴射ノズルが噴射する噴流を通過させる略円筒状のディフレクターと、
前記ディフレクターの両側部に設けられた支持部と、前記支持部から下方に延びる垂直部と、前記ディフレクターの両側部から後方に延びる水平部とからなり、前記支持部を中心として上下方向に揺動可能な状態で取り付けられた左右一対のアーム部と、
前記左右一対のアーム部の垂直部の下端部に掛け渡されたラダー支持部と、
長手方向を略前後方向に位置させて前記ラダー支持部の下面に取り付けられたラダーと、
前記一対の水平部の後端部に掛け渡され、後端側が下方になるように傾斜した傾斜部を有するスラスト受け部とを備え、
前記噴射ノズルが噴出する噴流の流域に、前記スラスト受け部の傾斜部を位置させたことを特徴とする噴射式推進艇の操向装置。 - 前記噴射ノズルが噴流を噴射したときに、前記スラスト受け部が、前記ディフレクターの上端近傍の高さに押し上げられ、前記ラダーが前記ディフレクターの下端位置よりも下方に位置するようにした請求項1に記載の噴射式推進艇の操向装置。
- 前記アーム部と前記ディフレクターとの間に前記ラダーを下方に付勢するばね部材を設けた請求項1または2に記載の噴射式推進艇の操向装置。
- 前記ラダーを複数個で構成し、この複数個のラダーを左右方向に所定間隔を保って前記ラダー支持部に取り付けた請求項1ないし3のうちのいずれか一つに記載の噴射式推進艇の操向装置。
- 前記ラダー支持部を、両端部が上方に位置する円弧状に湾曲させて形成した請求項4に記載の噴射式推進艇の操向装置。
- 下方に位置した前記ラダーの下端部が船体の下端部より上方に位置するようにした請求項1ないし5のうちのいずれか一つに記載の噴射式推進艇の操向装置。
- 前記ラダーを弾性部材で構成した請求項1ないし6のうちのいずれか一つに記載の噴射式推進艇の操向装置。
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