JP2005001291A - 熱転写記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】主に樹脂フィルム製の被転写体に対して、耐熱性、耐擦性、耐溶剤性、耐光性などの耐久性に優れ、しかも低い印加エネルギーで高精細な印字が可能な熱転写記録媒体を提供する
【解決手段】本発明の熱転写記録媒体は、耐熱性の支持体上に、ワックスを主体とする剥離層と、ポリエステル樹脂および着色剤を含むインキ層と、を順次積層した熱転写記録媒体であって、前記ポリエステル樹脂は数平均分子量が6000〜18000の範囲に含まれる複数のポリエステル樹脂の混合物である。また、前記剥離層と前記インキ層の膜圧合計は0.8〜1.2μmの範囲である。
【解決手段】本発明の熱転写記録媒体は、耐熱性の支持体上に、ワックスを主体とする剥離層と、ポリエステル樹脂および着色剤を含むインキ層と、を順次積層した熱転写記録媒体であって、前記ポリエステル樹脂は数平均分子量が6000〜18000の範囲に含まれる複数のポリエステル樹脂の混合物である。また、前記剥離層と前記インキ層の膜圧合計は0.8〜1.2μmの範囲である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラベルなどの被転写体に対して、加熱によりインキを転写して印字(文字や記号、絵などを含む)を行う熱転写リボンに関し、特に樹脂フィルム製の被転写体に対して低い印加エネルギーで高精細な印字が可能であり、かつ優れた耐久性を有する印字が得られる熱転写記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、熱転写方式のプリンタを使用してバーコードや文字などを熱転写印字したラベルが各方面で使われている。このようなラベルは製品などに貼付され、バーコードをスキャナでスキャンして製品管理情報などを取得するのに用いられるので、読み取りの際に誤読が発生しないような印字精度の高さが要求される。特に、工業製品に貼着される銘板ラベル、野外使用のガスボンベに貼着されるボンベラベル、医療用途に用いられる医療ラベルなどは、熱や擦れ、溶剤、光などの外部要因を受けやすいので、これらの外部要因に左右されない高い印字の耐久性が求められている。
このような印字の耐久性を要求する用途に対して、ポリエステル基材などの被転写体に印字を行うのに用いられる、樹脂材料主体のインキをフィルム基材に塗布した熱転写記録媒体(以下、樹脂系リボンと称す)に関する発明が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特許第2726928号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、樹脂系リボンは、サーマルヘッドからの加熱により樹脂インキを軟化して接着力を発現させ、被転写体への転写を行っているので、一般に80℃程度で溶解するワックス材料主体のインキを塗布した熱転写記録媒体(以下、ワックス系リボンと称す)よりも加熱温度を上げて印字を行っている。すなわち、樹脂系リボンでの印字は、プリンタのサーマルヘッドに供給するエネルギー(以下、印加エネルギーと称す)を多く必要とするので、印字速度が遅くなったり、サーマルヘッドの寿命が短くなったりするという問題がある。例えば、従来の代表的な樹脂系リボンの印加エネルギー(発熱体の単位面積あたり)は20mj/mm2を超えるものが一般的であり、13mj/mm2前後で印字可能なワックス系リボンと比較して大きい。また、印加エネルギーを下げるために軟化点の低い樹脂をインキに用いると、フィルム基材裏面にインキ層が転移して発生するいわゆるブロッキングなどにより保存安定性が低下し、あるいはまた、耐熱性などの印字の耐久性が低下するという問題が生じた。
【0005】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、すなわち本発明は、主に樹脂フィルム製の被転写体に対して、耐熱性、耐擦性、耐溶剤性、耐光性などの耐久性に優れ、しかも低い印加エネルギーで高精細な印字が可能な熱転写記録媒体の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち請求項第1の発明は、耐熱性の支持体上に、ワックスを主体とする剥離層と、ポリエステル樹脂および着色剤を含むインキ層と、を順次積層した熱転写記録媒体であって、前記ポリエステル樹脂は数平均分子量が6000〜18000の範囲に含まれる複数のポリエステル樹脂の混合物であることを特徴とする、熱転写記録媒体である。
【0007】
請求項第2の発明は、インキ層に含まれる複数のポリエステル樹脂は、数平均分子量が6000〜10000の範囲に含まれる第1のポリエステル樹脂と、数平均分子量が14000〜18000の範囲に含まれる第2のポリエステル樹脂であることを特徴とする、請求項1に記載の熱転写記録媒体である。
【0008】
請求項3の発明は、第1のポリエステル樹脂と第2のポリエステル樹脂の混合割合が重量比で10:90〜40:60であることを特徴とする、請求項2に記載の熱転写記録媒体である。
【0009】
請求項4の発明は、剥離層に含まれるワックスがカルナバワックスであることを特徴とする、請求項1に記載の熱転写記録媒体である。
【0010】
請求項5の発明は、剥離層の膜圧が0.4〜0.7μm、インキ層の膜圧が0.4〜0.7μmであり、かつ前記剥離層と前記インキ層の膜圧合計が0.8〜1.2μmの範囲に含まれることを特徴とする、請求項1に記載の熱転写記録媒体である。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る熱転写記録媒体についてその詳細を説明する。本発明の熱転写記録媒体は、基材の一方の面に剥離層およびインキ層を順次積層して記録層を形成している。
【0012】
基材は熱転写記録媒体に一般的に使用されるフィルム材料が使用可能である。このようなものとしては、例えばポリエステル、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリイミド、ポリエチレンなどの樹脂フィルムやコンデンサーペーパーなどの紙があげられる。また、基材の厚みに関しては、薄くすると熱伝導性が良くなる反面耐熱性が低くなり、厚くすると耐熱性が高くなる反面熱伝導性が悪くなるので、これらの点を勘案し、好ましくは2〜12μmであり、より好ましくは4〜6μmである。
【0013】
また、基材の記録層とは反対の面(裏面)に、サーマルヘッドから受ける熱の影響を緩和すると共に、ヘッドとの滑りを良くするための耐熱滑性層を設けても良く、これにはシリコーン樹脂、フッ素樹脂、ニトロセルロース樹脂、シリコーン変性樹脂、あるいはこれらにシリコーンオイルやワックスなどの滑剤を添加した樹脂を用いることが出来る。
【0014】
剥離層は、被転写体に対して低い印加エネルギーでインキ層を転写可能にするために設けたものであり、冷(室温)時には基材とインキ層とをつなぎ止めてインキ層の剥離を防止すると共に、印字時にはサーマルヘッドからの熱により溶融して基材とインキ層の切り離しを容易にするものである。また、印字後はインキ層の表面をカバーし、耐擦性などの向上に寄与するものである。このような目的にかなうように、剥離層はワックスを主体に形成されており、通常、カルナバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリタリンワックス、酸化ワックス、ポリエチレンワックスなどが使用可能であり、とりわけカルナバワックスが好適に用いられる。
【0015】
ワックスのみで構成された剥離層は、冷時における基材への接着力が弱く、基材からインキ層が剥離して作業環境や作業者の手を汚したり、印字時に余分なインキ層が基材から剥離して印字太りの原因になる場合がある。これらを回避するために、剥離層には少量の接着成分を添加して基材との接着性を高めるようにしてもよい。このような接着成分としては、ポリエステル樹脂(PET樹脂)、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、芳香族系石油樹脂、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などの熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーを用いることが出来る。
【0016】
上記ワックスと接着成分の混合割合は、通常、重量比で95:5〜80:20である。
【0017】
また、剥離層の厚みは、薄いと印字の耐擦性などの耐性が低下し、厚いと剥がれやすくなるので、通常、0.3〜1.0μmであり、好ましくは0.4〜0.7μmである。
【0018】
本発明において、インキ層は印字の適正な色濃度を形成すると共に、印字精度に影響する切れの良さ、耐熱性、耐擦性、耐溶剤性などの印字耐久性の強さなどに重要な役割を果たしている。インキ層にはこのような目的で選定された着色剤と、熱可塑性のポリエステル樹脂を含有する。
【0019】
着色剤は、従来から熱転写記録媒体で用いられるカーボンブラック、酸化チタンなどの顔料や、塩基性ベース塩やネオザポン染料系などの染料を用いることが出来る。
【0020】
ポリエステル樹脂は、分子量が小さい第1のポリエステル樹脂と、分子量が大きい第2のポリエステル樹脂との、少なくとも2種類の材料の混合物である。分子量が小さい第1のポリエステル樹脂は軟化点が低く、低い印加エネルギーで印字を行うのに好適であるが、一般に耐熱性などの耐久性では分子量が大きい第2のポリエステル樹脂に劣る。一方、分子量が大きい第2のポリエステル樹脂は軟化点が高いので、耐熱性などの耐久性に優れるが、熱感度が低く印加エネルギーが高くなる。両者のこのような性質から、通常、分子量が小さい第1の共重合ポリエステルの分子量は6000〜10000、分子量が大きい第2の共重合ポリエステルの分子量は14000〜18000であり、好ましくは第1の共重合ポリエステルの分子量が7000〜9000、第2の共重合ポリエステルの分子量が15000〜17000である。
【0021】
第1のポリエステル樹脂と第2のポリエステル樹脂の混合割合は、通常、重量比で5:95〜95:5であるが、好ましくは10:90〜40:60である。第1のポリエステル樹脂が多くなると印字の耐久性が低下すると共に、基材裏面とのブロッキングが生じやすくなる。
【0022】
また、ブロッキング防止の観点から、共重合ポリエステルのガラス転移点は40℃以上であることが好ましい。
【0023】
インキ層の厚みは、薄い方が転写時の記録層の切れがよくて印字精度が向上するが、印字の耐久性や印字の色濃度が低下する。一方、厚いと印字の耐久性や印字の色濃度は良好になるが、インキ層のインキを溶融させて被転写体に印字を転写(接着)するのに多くの印加エネルギーを必要とし、また記録層の切れも低下する。これらの点から、インキ層の厚みは、通常、0.3〜1.0μmであり、好ましくは0.4〜0.7μmである。
【0024】
また、記録層の総厚は、通常、0.6〜1.6μmであり、好ましくは0.8〜1.2μmである。
【0025】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
【0026】
上記剥離層材料を容器に入れて加熱溶解後冷却し、さらにビーズミルで分散して剥離層組成物を得た。一面に耐熱層を設けた厚さ4.5μmのポリエステルフィルム(帝人製、FB1)の他面にこの剥離層組成物をグラビアコーターで塗工し、厚さ0.5μmの剥離層を形成した。次に、上記インキ層材料をビーズミルで分散後、グラビアコーターで塗工して乾燥し、厚さ0.5μmのインキ層を形成して熱転写記録媒体を得た。
【0027】
[実施例2]
実施例1と同様にして形成した剥離層上に、下記インキ層材料をビーズミルで分散後、グラビアコーターで塗工して乾燥し、厚さ0.5μmのインキ層を形成して熱転写記録媒体を得た。
【0028】
[実施例3]
実施例1と同様にして形成した剥離層上に、下記インキ層材料をビーズミルで分散後、グラビアコーターで塗工して乾燥し、厚さ0.5μmのインキ層を形成して熱転写記録媒体を得た。
【0029】
[実施例4]
インキ層の塗工厚を0.7μmに変えた他は、実施例1と同様にして熱転写記録媒体を得た。
【0030】
[比較例1]
実施例1と同様にして形成した剥離層上に、下記インキ層材料をビーズミルで分散後、グラビアコーターで塗工して乾燥し、厚さ0.5μmのインキ層を形成して熱転写記録媒体を得た。
【0031】
[比較例2]
実施例1と同様にして形成した剥離層上に、下記インキ層材料をビーズミルで分散後、グラビアコーターで塗工して乾燥し、厚さ0.5μmのインキ層を形成して熱転写記録媒体を得た。
【0032】
[比較例3]
実施例1と同じ組成の剥離層組成物で形成した厚さ0.2μmの剥離層の上に、下記インキ層材料をビーズミルで分散後、グラビアコーターで塗工して乾燥し、厚さ0.3μmのインキ層を形成して熱転写記録媒体を得た。
【0033】
[比較例4]
剥離層の塗工厚を1.0μm、インキ層の塗工厚を1.0μmに変えた他は、実施例1と同様にして熱転写記録媒体を得た。
【0034】
[印字評価試験用印字ラベル]
バーコードプリンタM−4800(サトー製)を使用し、バーコード印字用ポリエステルラベル(サトー製、◇3ケミスト汎用50)に対して100mm/秒の印字速度で印加エネルギーを変化させながらJAN13のバーコードを印字する。印加エネルギーに対応した印字ラベルからバーコード検証機で最適な印字ラベルを判定し、これを印字評価試験用印字ラベル(以下評価ラベルと称す)とした。
[感度の評価方法]
上記評価ラベルを用いて印加エネルギーの大きさを求め、下記の基準で相対評価する。
○:感度が高い(印加エネルギー18mj/mm2以下)。
×:感度が低い(印加エネルギー18mj/mm2超)。
[印字品質の評価方法]
上記評価ラベルを用いて下記の基準で印字品質を相対評価する。
○:鮮明な印字である。
×:ボイド、かすれ、印字の太りなどがある。
[耐熱性の評価方法]
上記評価ラベルの上にワープロ用紙(オストリッチ製作所製、フー017W)を重ね、その上から180℃に加熱したアイロンを5秒間に5往復させ、ワープロ用紙に対する印字の転写の有無を確認する耐熱性テストを行い、下記の基準で評価する。
○:用紙に印字が転写しない。
×:用紙に印字が転写する。
[耐擦性の評価方法]
上記評価ラベルの印字を爪で10回ひっかいて印字の擦れ強さを確認する耐擦性テストを行い、下記の基準で評価する。
○:印字に乱れが発生しない。
×:印字に乱れが発生する。
[耐溶剤性の評価方法]
上記評価ラベルにエタノールをしみこませた綿棒で20往復擦って溶剤に対する強さを判断する耐溶剤性テストを行い、下記の基準で評価する。
○:印字に乱れが発生しない。
×:印字に乱れが発生する。
【0035】
[評価結果]
上記の実施例および比較例の評価結果を表1に示す。
【表1】
【0036】
表1に示すように、本発明の実施例で得られた熱転写記録媒体は、低い印加エネルギー(高感度)で優れた印字品質の印字を得ることが可能であり、しかも得られた印字は優れた耐熱性、耐擦性、耐溶剤性を示す。しかしながら、比較例の熱転写記録媒体は、上記いずれかの点において問題がある。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る熱転写記録媒体によれば、耐熱性、耐擦性、耐溶剤性を有する鮮明な印字を低い印加エネルギーで可能とする。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラベルなどの被転写体に対して、加熱によりインキを転写して印字(文字や記号、絵などを含む)を行う熱転写リボンに関し、特に樹脂フィルム製の被転写体に対して低い印加エネルギーで高精細な印字が可能であり、かつ優れた耐久性を有する印字が得られる熱転写記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、熱転写方式のプリンタを使用してバーコードや文字などを熱転写印字したラベルが各方面で使われている。このようなラベルは製品などに貼付され、バーコードをスキャナでスキャンして製品管理情報などを取得するのに用いられるので、読み取りの際に誤読が発生しないような印字精度の高さが要求される。特に、工業製品に貼着される銘板ラベル、野外使用のガスボンベに貼着されるボンベラベル、医療用途に用いられる医療ラベルなどは、熱や擦れ、溶剤、光などの外部要因を受けやすいので、これらの外部要因に左右されない高い印字の耐久性が求められている。
このような印字の耐久性を要求する用途に対して、ポリエステル基材などの被転写体に印字を行うのに用いられる、樹脂材料主体のインキをフィルム基材に塗布した熱転写記録媒体(以下、樹脂系リボンと称す)に関する発明が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特許第2726928号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、樹脂系リボンは、サーマルヘッドからの加熱により樹脂インキを軟化して接着力を発現させ、被転写体への転写を行っているので、一般に80℃程度で溶解するワックス材料主体のインキを塗布した熱転写記録媒体(以下、ワックス系リボンと称す)よりも加熱温度を上げて印字を行っている。すなわち、樹脂系リボンでの印字は、プリンタのサーマルヘッドに供給するエネルギー(以下、印加エネルギーと称す)を多く必要とするので、印字速度が遅くなったり、サーマルヘッドの寿命が短くなったりするという問題がある。例えば、従来の代表的な樹脂系リボンの印加エネルギー(発熱体の単位面積あたり)は20mj/mm2を超えるものが一般的であり、13mj/mm2前後で印字可能なワックス系リボンと比較して大きい。また、印加エネルギーを下げるために軟化点の低い樹脂をインキに用いると、フィルム基材裏面にインキ層が転移して発生するいわゆるブロッキングなどにより保存安定性が低下し、あるいはまた、耐熱性などの印字の耐久性が低下するという問題が生じた。
【0005】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、すなわち本発明は、主に樹脂フィルム製の被転写体に対して、耐熱性、耐擦性、耐溶剤性、耐光性などの耐久性に優れ、しかも低い印加エネルギーで高精細な印字が可能な熱転写記録媒体の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち請求項第1の発明は、耐熱性の支持体上に、ワックスを主体とする剥離層と、ポリエステル樹脂および着色剤を含むインキ層と、を順次積層した熱転写記録媒体であって、前記ポリエステル樹脂は数平均分子量が6000〜18000の範囲に含まれる複数のポリエステル樹脂の混合物であることを特徴とする、熱転写記録媒体である。
【0007】
請求項第2の発明は、インキ層に含まれる複数のポリエステル樹脂は、数平均分子量が6000〜10000の範囲に含まれる第1のポリエステル樹脂と、数平均分子量が14000〜18000の範囲に含まれる第2のポリエステル樹脂であることを特徴とする、請求項1に記載の熱転写記録媒体である。
【0008】
請求項3の発明は、第1のポリエステル樹脂と第2のポリエステル樹脂の混合割合が重量比で10:90〜40:60であることを特徴とする、請求項2に記載の熱転写記録媒体である。
【0009】
請求項4の発明は、剥離層に含まれるワックスがカルナバワックスであることを特徴とする、請求項1に記載の熱転写記録媒体である。
【0010】
請求項5の発明は、剥離層の膜圧が0.4〜0.7μm、インキ層の膜圧が0.4〜0.7μmであり、かつ前記剥離層と前記インキ層の膜圧合計が0.8〜1.2μmの範囲に含まれることを特徴とする、請求項1に記載の熱転写記録媒体である。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る熱転写記録媒体についてその詳細を説明する。本発明の熱転写記録媒体は、基材の一方の面に剥離層およびインキ層を順次積層して記録層を形成している。
【0012】
基材は熱転写記録媒体に一般的に使用されるフィルム材料が使用可能である。このようなものとしては、例えばポリエステル、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリイミド、ポリエチレンなどの樹脂フィルムやコンデンサーペーパーなどの紙があげられる。また、基材の厚みに関しては、薄くすると熱伝導性が良くなる反面耐熱性が低くなり、厚くすると耐熱性が高くなる反面熱伝導性が悪くなるので、これらの点を勘案し、好ましくは2〜12μmであり、より好ましくは4〜6μmである。
【0013】
また、基材の記録層とは反対の面(裏面)に、サーマルヘッドから受ける熱の影響を緩和すると共に、ヘッドとの滑りを良くするための耐熱滑性層を設けても良く、これにはシリコーン樹脂、フッ素樹脂、ニトロセルロース樹脂、シリコーン変性樹脂、あるいはこれらにシリコーンオイルやワックスなどの滑剤を添加した樹脂を用いることが出来る。
【0014】
剥離層は、被転写体に対して低い印加エネルギーでインキ層を転写可能にするために設けたものであり、冷(室温)時には基材とインキ層とをつなぎ止めてインキ層の剥離を防止すると共に、印字時にはサーマルヘッドからの熱により溶融して基材とインキ層の切り離しを容易にするものである。また、印字後はインキ層の表面をカバーし、耐擦性などの向上に寄与するものである。このような目的にかなうように、剥離層はワックスを主体に形成されており、通常、カルナバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリタリンワックス、酸化ワックス、ポリエチレンワックスなどが使用可能であり、とりわけカルナバワックスが好適に用いられる。
【0015】
ワックスのみで構成された剥離層は、冷時における基材への接着力が弱く、基材からインキ層が剥離して作業環境や作業者の手を汚したり、印字時に余分なインキ層が基材から剥離して印字太りの原因になる場合がある。これらを回避するために、剥離層には少量の接着成分を添加して基材との接着性を高めるようにしてもよい。このような接着成分としては、ポリエステル樹脂(PET樹脂)、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、芳香族系石油樹脂、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などの熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーを用いることが出来る。
【0016】
上記ワックスと接着成分の混合割合は、通常、重量比で95:5〜80:20である。
【0017】
また、剥離層の厚みは、薄いと印字の耐擦性などの耐性が低下し、厚いと剥がれやすくなるので、通常、0.3〜1.0μmであり、好ましくは0.4〜0.7μmである。
【0018】
本発明において、インキ層は印字の適正な色濃度を形成すると共に、印字精度に影響する切れの良さ、耐熱性、耐擦性、耐溶剤性などの印字耐久性の強さなどに重要な役割を果たしている。インキ層にはこのような目的で選定された着色剤と、熱可塑性のポリエステル樹脂を含有する。
【0019】
着色剤は、従来から熱転写記録媒体で用いられるカーボンブラック、酸化チタンなどの顔料や、塩基性ベース塩やネオザポン染料系などの染料を用いることが出来る。
【0020】
ポリエステル樹脂は、分子量が小さい第1のポリエステル樹脂と、分子量が大きい第2のポリエステル樹脂との、少なくとも2種類の材料の混合物である。分子量が小さい第1のポリエステル樹脂は軟化点が低く、低い印加エネルギーで印字を行うのに好適であるが、一般に耐熱性などの耐久性では分子量が大きい第2のポリエステル樹脂に劣る。一方、分子量が大きい第2のポリエステル樹脂は軟化点が高いので、耐熱性などの耐久性に優れるが、熱感度が低く印加エネルギーが高くなる。両者のこのような性質から、通常、分子量が小さい第1の共重合ポリエステルの分子量は6000〜10000、分子量が大きい第2の共重合ポリエステルの分子量は14000〜18000であり、好ましくは第1の共重合ポリエステルの分子量が7000〜9000、第2の共重合ポリエステルの分子量が15000〜17000である。
【0021】
第1のポリエステル樹脂と第2のポリエステル樹脂の混合割合は、通常、重量比で5:95〜95:5であるが、好ましくは10:90〜40:60である。第1のポリエステル樹脂が多くなると印字の耐久性が低下すると共に、基材裏面とのブロッキングが生じやすくなる。
【0022】
また、ブロッキング防止の観点から、共重合ポリエステルのガラス転移点は40℃以上であることが好ましい。
【0023】
インキ層の厚みは、薄い方が転写時の記録層の切れがよくて印字精度が向上するが、印字の耐久性や印字の色濃度が低下する。一方、厚いと印字の耐久性や印字の色濃度は良好になるが、インキ層のインキを溶融させて被転写体に印字を転写(接着)するのに多くの印加エネルギーを必要とし、また記録層の切れも低下する。これらの点から、インキ層の厚みは、通常、0.3〜1.0μmであり、好ましくは0.4〜0.7μmである。
【0024】
また、記録層の総厚は、通常、0.6〜1.6μmであり、好ましくは0.8〜1.2μmである。
【0025】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
【0026】
上記剥離層材料を容器に入れて加熱溶解後冷却し、さらにビーズミルで分散して剥離層組成物を得た。一面に耐熱層を設けた厚さ4.5μmのポリエステルフィルム(帝人製、FB1)の他面にこの剥離層組成物をグラビアコーターで塗工し、厚さ0.5μmの剥離層を形成した。次に、上記インキ層材料をビーズミルで分散後、グラビアコーターで塗工して乾燥し、厚さ0.5μmのインキ層を形成して熱転写記録媒体を得た。
【0027】
[実施例2]
実施例1と同様にして形成した剥離層上に、下記インキ層材料をビーズミルで分散後、グラビアコーターで塗工して乾燥し、厚さ0.5μmのインキ層を形成して熱転写記録媒体を得た。
【0028】
[実施例3]
実施例1と同様にして形成した剥離層上に、下記インキ層材料をビーズミルで分散後、グラビアコーターで塗工して乾燥し、厚さ0.5μmのインキ層を形成して熱転写記録媒体を得た。
【0029】
[実施例4]
インキ層の塗工厚を0.7μmに変えた他は、実施例1と同様にして熱転写記録媒体を得た。
【0030】
[比較例1]
実施例1と同様にして形成した剥離層上に、下記インキ層材料をビーズミルで分散後、グラビアコーターで塗工して乾燥し、厚さ0.5μmのインキ層を形成して熱転写記録媒体を得た。
【0031】
[比較例2]
実施例1と同様にして形成した剥離層上に、下記インキ層材料をビーズミルで分散後、グラビアコーターで塗工して乾燥し、厚さ0.5μmのインキ層を形成して熱転写記録媒体を得た。
【0032】
[比較例3]
実施例1と同じ組成の剥離層組成物で形成した厚さ0.2μmの剥離層の上に、下記インキ層材料をビーズミルで分散後、グラビアコーターで塗工して乾燥し、厚さ0.3μmのインキ層を形成して熱転写記録媒体を得た。
【0033】
[比較例4]
剥離層の塗工厚を1.0μm、インキ層の塗工厚を1.0μmに変えた他は、実施例1と同様にして熱転写記録媒体を得た。
【0034】
[印字評価試験用印字ラベル]
バーコードプリンタM−4800(サトー製)を使用し、バーコード印字用ポリエステルラベル(サトー製、◇3ケミスト汎用50)に対して100mm/秒の印字速度で印加エネルギーを変化させながらJAN13のバーコードを印字する。印加エネルギーに対応した印字ラベルからバーコード検証機で最適な印字ラベルを判定し、これを印字評価試験用印字ラベル(以下評価ラベルと称す)とした。
[感度の評価方法]
上記評価ラベルを用いて印加エネルギーの大きさを求め、下記の基準で相対評価する。
○:感度が高い(印加エネルギー18mj/mm2以下)。
×:感度が低い(印加エネルギー18mj/mm2超)。
[印字品質の評価方法]
上記評価ラベルを用いて下記の基準で印字品質を相対評価する。
○:鮮明な印字である。
×:ボイド、かすれ、印字の太りなどがある。
[耐熱性の評価方法]
上記評価ラベルの上にワープロ用紙(オストリッチ製作所製、フー017W)を重ね、その上から180℃に加熱したアイロンを5秒間に5往復させ、ワープロ用紙に対する印字の転写の有無を確認する耐熱性テストを行い、下記の基準で評価する。
○:用紙に印字が転写しない。
×:用紙に印字が転写する。
[耐擦性の評価方法]
上記評価ラベルの印字を爪で10回ひっかいて印字の擦れ強さを確認する耐擦性テストを行い、下記の基準で評価する。
○:印字に乱れが発生しない。
×:印字に乱れが発生する。
[耐溶剤性の評価方法]
上記評価ラベルにエタノールをしみこませた綿棒で20往復擦って溶剤に対する強さを判断する耐溶剤性テストを行い、下記の基準で評価する。
○:印字に乱れが発生しない。
×:印字に乱れが発生する。
【0035】
[評価結果]
上記の実施例および比較例の評価結果を表1に示す。
【表1】
【0036】
表1に示すように、本発明の実施例で得られた熱転写記録媒体は、低い印加エネルギー(高感度)で優れた印字品質の印字を得ることが可能であり、しかも得られた印字は優れた耐熱性、耐擦性、耐溶剤性を示す。しかしながら、比較例の熱転写記録媒体は、上記いずれかの点において問題がある。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る熱転写記録媒体によれば、耐熱性、耐擦性、耐溶剤性を有する鮮明な印字を低い印加エネルギーで可能とする。
Claims (5)
- 耐熱性の支持体上に、ワックスを主体とする剥離層と、ポリエステル樹脂および着色剤を含むインキ層と、を順次積層した熱転写記録媒体であって、前記ポリエステル樹脂は数平均分子量が6000〜18000の範囲に含まれる複数のポリエステル樹脂の混合物であることを特徴とする、熱転写記録媒体。
- インキ層に含まれる複数のポリエステル樹脂は、数平均分子量が6000〜10000の範囲に含まれる第1のポリエステル樹脂と、数平均分子量が14000〜18000の範囲に含まれる第2のポリエステル樹脂であることを特徴とする、請求項1に記載の熱転写記録媒体。
- 第1のポリエステル樹脂と第2のポリエステル樹脂の混合割合が重量比で10:90〜40:60であることを特徴とする、請求項2に記載の熱転写記録媒体。
- 剥離層に含まれるワックスがカルナバワックスであることを特徴とする、請求項1に記載の熱転写記録媒体。
- 剥離層の膜圧が0.4〜0.7μm、インキ層の膜圧が0.4〜0.7μmであり、かつ前記剥離層と前記インキ層の膜圧合計が0.8〜1.2μmの範囲に含まれることを特徴とする、請求項1に記載の熱転写記録媒体。
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