JP2005000195A - かみそり - Google Patents

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之宏 吉村
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Abstract

【課題】熟練を要することなく、簡単に顔剃りを行う。
【解決手段】頭部11に固定した円板状の台座20の第2の当接面27には、45度ごとに計8個の溝状の凹部a1〜a8(a2〜a4を図示)が形成されている。カセット替え刃43を保持する回転ベース12のねじ部は、頭部11の取付け孔に挿通され、圧縮ばね41を介してナット42が螺合されている。回転ベース12の第1の当接面37には、凹部a1〜a8に係脱可能な凸部が突設されている。回転ベース12は、凸部が凹部に係合されてホームポジションに配置されている。この状態から回転ベース12を回転させ、凸部を他の凹部に係合させることで、カセット替え刃43の刃先46,47,48の向きを利用者が好適な向きに変更できる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、着脱自在なカセット替え刃を装着し、柄部を手で握って使用するかみそりに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば理容店において、客の顔剃りには、主に折り畳み式の長刃かみそりが使用されていた。このものは、柄部に収納された長刃を、柄部の一方の端部を中心に180度回転させるようにして引き出し、柄部を握って使用するものである。
【0003】
ところで、この長刃かみそりは、うまく使いこなすには相当の熟練が必要であり、誰もが手軽に簡単に使用できるというものではなかった。
【0004】
この点を改善したものとして、カセット替え刃を利用したものが知られている。
【0005】
このかみそりは、柄部の先端から延びる頭部にカセット保持部を設け、このカセット保持部にカセット替え刃を、頭部と平行になるように取り付けて使用する。カセット替え刃は、例えば、1枚刃,2枚刃,3枚刃といったものがあり、いずれも刃先が長方形状のカセットの一方の長辺に向かって配置された、いわゆる片刃である。またカセット替え刃には、顔面に対する刃先の角度をほぼ一定に保持するための保護部が設けてある。このかみそりは、水平にして柄部に対して頭部が左側に位置するように柄部を右手で握った状態で、カセット替え刃の刃先を顔面に接触させると、刃先は下方を向く。この状態で、かみそりを上から下に動かすことで、顔面を上から下に向かって剃ることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述のカセット替え刃を利用したかみそりは、上述のように保護部が設けてあるので、特に熟練を要することなく比較的安全に使用することができる。
【0007】
ところで、顔面は複雑に凸凹しており、また髭等は一方に傾斜して生えているために、かみそりで顔面を安全にうまく剃ろうとすると、刃先、したがって柄部を種々の向きに向ける必要がある。すなわち、手首の角度を微妙に変化させたり、上半身を不自然に傾斜させたりねじったりすることが必要となる。
【0008】
このようにカセット替え刃を使用したかみそりは、前述の折り畳み式の長刃かみそりと比較して、例えば頬部のような単純な形状の部位を剃るには簡単に使用することができるようになるが、顔面の頬部以外の他の部位を良好に剃るには、長刃かみそりほどではないにしても、適度な習熟を必要とする。これは主に、柄部に対して刃先が平行に固定配置されていることに起因する。また、一般にかみそりにおいては、一般家庭で使用するカセット替え刃交換方式のかみそりのように、T字形、すなわち刃先が柄部に対して直角に配置されているほうが、力が入って深剃りが利くことが知られている。
【0009】
そこで、本発明は、柄部に対して刃先の向きを任意に位置決めすることができるようにし、誰でも簡単に使用できるようにしたかみそりを提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、着脱自在なカセット替え刃を装着し、柄部を手で握って使用するかみそりにおいて、前記柄部に取り付けられた頭部と、前記頭部によって回転自在に支持されるとともに、着脱自在なカセット替え刃が装着される回転ベースと、前記回転ベースを前記頭部に対して所定の回転角度で位置決め固定する位置決め機構と、を備える、ことを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のかみそりにおいて、前記回転ベースは、前記柄部の長手方向に直交する方向の回転軸を有し、前記柄部の長手方向に平行な平面内で回転可能である、ことを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載のかみそりにおいて、前記位置決め機構は、前記頭部を前記長手方向に直交する方向に貫通する取付け孔と、前記回転ベースにおける前記頭部との当接面である第1の当接面に突設されるとともに前記取付け孔に挿通されたねじ部と、前記ねじ部に螺合されたナットとを有し、前記ナットの弛緩状態において前記回転ベースの回転を許容し、また前記ナットの締結状態において前記回転ベースを前記頭部に固定する、ことを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載のかみそりにおいて、前記位置決め機構は、前記回転ベースの前記ねじ部における前記頭部と前記ナットとの間に介装されて、前記回転ベースの前記第1の当接面を、前記第1の当接面に接触する前記頭部側の第2の当接面に押圧する圧縮ばねを有する、ことを特徴とする。
【0014】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載のかみそりにおいて、前記位置決め機構は、前記回転ベース側の前記第1の当接面と、前記頭部側の前記第2の当接面とに、相互に係脱可能な係合部を有する、ことを特徴とする。
【0015】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載のかみそりにおいて、前記係合部は、前記第1の当接面と前記第2の当接面とのうちの一方に形成されて複数の凹部と、他方に形成された前記複数の凹部に係脱可能な凸部とを有する、ことを特徴とする。
【0016】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載のかみそりにおいて、前記複数の凹部は、前記第1の当接面と前記第2の当接面との一方に、前記回転ベースの回転中心を基準とした回転方向に沿っての異なる位置に形成されている、ことを特徴とする。
【0017】
請求項8に係る発明は、請求項7に記載のかみそりにおいて、前記複数の凹部は、前記回転ベースの回転中心を基準として所定の回転角度ごとに形成されている、ことを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面に沿って、本発明の実施の形態について説明する。なお、各図面において、同一の符号を付したものは、同様の構成又は作用を有するものであり、これらについての重複説明は適宜省略するものとする。
【0019】
<実施の形態1>
図1,図2に、本発明に係るかみそりの一例として、実施の形態1に係るかみそりを示す。このうち図1は全体の構成を示す斜視図であり、また図2は分解斜視図である。なお、図1には、かみそり1に装着されるカセット替え刃43及びその刃先46,47,48を二点鎖線で図示してある。
【0020】
これらの図に示すように、かみそり1は、柄部10と、この柄部10に取り付けられた頭部11と、この頭部11によって回転自在に支持された回転ベース12と、位置決め機構13とを備えている。以下、柄部10から順に説明する。
【0021】
柄部10は、利用者がかみそり1を使用する際に右手(以下では、利用者が右利きである場合を例に説明する。)で握る部分であり、本実施の形態では、掌の幅と同等かこれよりもわずかに長い棒状に形成されている。すなわち利用者が右手で握ったときにほぼ掌に収まる長さに設定されている。また、柄部10は、長手方向に直交する方向の断面が角のとれた長方形状に形成されていて、使用時に利用者の手の中で不要に回転することを防止している。柄部10の長手方向の一方の端部14には、他方の端部15に向かって挿入穴16が形成されている。この挿入穴16は、次に説明する頭部11の一部である挿入部17が挿入される部分である。柄部10は、材質としては、例えば、軟質ゴム,硬質ゴム,プラスチック,木材等を使用することができる。特に、軟質ゴムは、滑り止めとしても作用するので材質として好適である。ただし、軟質ゴムを使用した場合には、強度が不足しがちになって、柄部10が不要に湾曲するおそれがあるので、この場合には、上述の挿入穴16を他方の端部15近傍まで長く形成して、ここまで頭部11の挿入部17が進入するようにして不要な湾曲を防止することができる。さらには、柄部10単体としては、ほぼまっすぐな棒状に形成し、挿入穴16に挿入される後述の挿入部17を、利用者の手に馴染むように積極的に湾曲させておけば、この挿入部17を挿入穴16に挿入したときに、柄部10を挿入部17に倣って湾曲させることが可能となる。なお、柄部10は、積極的な取り外し動作に対しては、頭部11から比較的容易に取り外すことができるように構成するとよい。このように構成することで、利用者にとって最適な形状、長さ等の柄部10に簡単に交換することができる。
【0022】
頭部11は、全体としてはほぼ棒状に形成されている。頭部11は、一方の端部側に挿入部17を有し、他方の端部側にベース支持部18を有し、さらにこのベース支持部18には、円板状の台座20が固定されている。図3(a),(b),(c),(d)に、それぞれ頭部11単体としての上面図,正面図,左側面図,右側面図を示す。
【0023】
頭部11の挿入部17は、これらの図に示すように、長手方向に交差する方向の断面が、上述の柄部10の挿入穴16(図1,図2参照)のそれと同形に、すなわち長方形状に形成されている。挿入部17は、上述の柄部10に対しその端部14側から他方の端部15に向けて挿入されている。この断面形状が長方形状の挿入部17は、図3(d)に示すように、ベース支持部18に対して傾斜角度(同図に示す例では45度)を持って形成されている。このように傾斜角度をつけることにより、挿入部17が挿入された状態の上述の柄部10を利用者が右手で握ってかみそり1を使用する際に、後述のカセット替え刃43の刃先46,47,48が例えば顔面に対して最適な位置に配置されるようになっている。
【0024】
頭部11のベース支持部18は、ほぼ丸棒状に形成されていて、台座20が固定される取付け面21が平面状に形成されている。またベース支持部18の長手方向に沿っての、取付け面21の両端側には、後述の回転ベース12が回転する際の接触面となる摺動面22,23が平面状に形成されている。上述の取付け面21には、ベース支持部18を、その長手方向に直交する方向に貫通する取付け孔24が穿孔されている。この取付け孔24における、取付け面21とは反対側の部分には、円柱状の座グリ25が形成されている。
【0025】
頭部11の台座20は、上述の取付け面21に固定される。台座20は、上述のように円板状に形成されていて、中心には、上述の取付け孔24と同形の透孔26が穿設されている。台座20の表面は、平面状に形成されていて、後述の回転ベース12が摺動する第2の当接面27を形成している。この第2の当接面27には、複数(本実施の形態では8個)の溝状の凹部a1〜a8が設けてある。凹部a1〜a8はその長手方向を第2の当接面27の放射方向に向けた状態で、第2の当接面27を周方向に等分(8等分)する位置にそれぞれ配置されている。つまり各凹部a1〜a8は、第2の当接面27上に45度ごとに形成されている。本実施の形態では、このように、8個の凹部a1〜a8が形成されていることに基づき、カセット替え刃43の刃先46,47,48は、後述のように45度ごとに8通りの位置をとることができるようになっている。
【0026】
回転ベース12は、図4(a),(b),(c),(d)にそれぞれ単体としての上面図,正面図,下面図,右側面図を示すように、カセット替え刃43を保持するホルダ部30と、このホルダ部30から下方に突設されたねじ部31とを有している。
【0027】
回転ベース12のホルダ部30は、長方形の板状のベース板32と、その一方の長辺の両端部にそれぞれ立設された保持爪33,34と、他方の長辺の中央部近傍に立設された保持爪35,36と、ベース板32の裏面である第1の当接面37に突設された凸部b1,b2とを有している。このうち保持爪33,34は、(d)に示すように上下方向の中間部が外側に凸状となるように屈曲されている。一方、保持爪35,36は、その基端側に対して上端側がわずかに内側に位置するように傾斜されている。これら保持爪33〜36は、カセット替え刃43の弾性を利用して、保持爪33,34と、保持爪35,36との間に、カセット替え刃43を着脱可能に保持(挟持)するようになっている。ホルダ部30の裏面の第1の当接面37は、後述のように、頭部11に対して回転ベース12が回転する際に、前述の頭部11の台座20の第2の当接面27に摺擦するものである。この第1の当接面37には、2個の凸部b1,b2が下方に向けてほぼ半球状に突設されている。これら2個の凸部b1,b2は、第1の当接面37の中心(次に説明するねじ部31の回転中心)を基準としてそれぞれ点対称となる位置に形成されている。凸部b1,b2の、第1の当接面37の中心からの距離は、前述の台座20の溝状の凹部a1〜a8に係脱可能となるように設定されている。
【0028】
回転ベース12のねじ部31は、上述のホルダ部30の第1の当接面37の中心から下方に突設されている。ねじ部31は、頭部11のベース支持部18を貫通する上述の取付け孔24にわずかな間隙を介して挿通されている。ねじ部31の先端側は、上述の取付け孔24及びこれに連続する座グリ25からさらに下方に突出されている。
【0029】
位置決め機構13は、上述の頭部11の取付け孔24と、この取付け孔24に挿通される上述の回転ベース12のねじ部31と、回転ベース12の第1の当接面37に突設された上述の凸部b1,b2と、上述の台座20の第2の当接面27に形成された複数の溝状の凹部a1〜a8と、次に説明する圧縮ばね41及びナット42とによって構成されている。このうち圧縮ばね41は、図1,図2に示すように、上述の座グリ25に配置されて、回転ベース12のねじ部31の先端側に挿着されている。ナット42は、圧縮ばね41よりもさらに先端側においてねじ部31に螺合されている。すなわち圧縮ばね41は、圧縮状態で頭部11とナット42との間に介装されることになり、回転ベース12側の第1の当接面37を、頭部11側の第2の当接面27に押圧している。このときの押圧力(当接力)は、ナット42を締め込むことによって大きくなり、逆にナット42を緩めることによって小さくなる。つまりナット42に締め加減によって押圧力の大きさを調整することができるようになっている。
【0030】
図5は、上述構成のかみそり1に装着されるカセット替え刃43の一例を示す上面図である。カセット替え刃43は、ほぼ直方体状に形成されていて、図5に示すように、上面視においては長辺a,b、短辺c,dを有する長方形状となっている。カセット替え刃43の上部においては、それぞれの長辺a,bに沿って保護部44,45が設けられていて、これら保護部44,45の間に、例えば3枚の刃先46,47,48が保護部44,45と平行に、かつ短辺方向の位置を少しずつずらしながら、下から順に上下に重なるようにして配置されている。そして各刃先46,47,48の間にはわずかな間隙が設けられている。これら歯先46,47,48は、一方の長辺bに向けて(図5中の上方に向けて)取り付けられており、全体として片刃となっている。なお、以下の説明で刃先46,47,48の向きといった場合には、刃先46,47,48から一方の長辺bに向かう方向、つまり矢印A方向をいうものとする。この矢印A方向は、かみそり1を使用する際の、刃先46,47,48の移動方向と一致する。これに対してカセット替え刃43の向きといった場合には、カセット替え刃43の長手方向、つまり矢印B方向をいうものとする。カセット替え刃43は、上述の刃先46,47,48を有する替え刃(不図示)は金属性であり、他の部分はプラスチックによって形成されていて多少の弾性変形が可能である。
【0031】
以上構成のかみそり1の作用・効果について説明する。なお、以下の説明では、説明の便宜上、柄部10及び頭部11に対して、回転ベース12が図1に示す位置に配置されたとき、すなわち回転ベース12のホルダ部30に装着されたカセット替え刃43の刃先46,47,48の向きが図1に示す方向となったときを回転ベース12(又はカセット替え刃43)のホームポジションと決める。
【0032】
まず、回転ベース12をホームポジションに配置する。この状態では、頭部11の台座20の第2の当接面27に形成されている8個の凹部a1〜a8のうちの凹部a1,a5に、回転ベース12のホルダ部30の第1の当接面37に形成されている凸部b1,b2がそれぞれ係合されている。
【0033】
カセット替え刃43を回転ベース12のホルダ部30に装着する。ホルダ部30の保持爪33,34をカセット替え刃43の長辺aのそれぞれの端部に係合させ、また保持爪35,36をカセット替え刃43の裏面の一部(不図示)に係合させる。この係合は、カセット替え刃43の弾性変形を利用して行われる。すなわち着脱動作には、カセット替え刃43を弾性変形させるための比較的大きな力が必要あるが、装着後には、ホルダ部30に対するカセット替え刃43の不要な動きを確実に防止できるようになっている。
【0034】
位置決め機構13の一部を構成するナット42を調整する。このナット42を締め込むと圧縮ばね41が縮められて頭部11側の第2の当接面27に対する回転ベース12側の第1の当接面37の押圧力が強くなるため、頭部11に対して回転ベース12を回転させる際に大きな力が必要となる。すなわち、第2の当接面27の凹部a1,a5に係合されている第1の当接面37の凸部b1,b2を、凹部a1,a5から外して凸部b1,b2を第2の当接面27に摺擦させながら回転ベース12を回転させるのに大きな力が必要となる。このことは、かみそり1の使用中には、頭部11に対して回転ベース12が不要に移動しにくいということを意味する。一方、ナット42を緩めると圧縮ばね41が伸びて第2の当接面27に対する第1の当接面37の押圧力が弱くなるため、頭部11に対して回転ベース12を回転させる際に小さな力で済む。すなわち、第2の当接面27の凹部a1,a5に係合されている第1の当接面37の凸部b1,b2を、凹部a1,a5から外して凸部b1,b2を第2の当接面27に摺擦させながら回転ベース12を回転させるのに大きな力は必要でない。このことはかみそり1の使用中に、頭部11に対して回転ベース12が不要に回転しやすいということを意味する。以上を踏まえて、ナット43の締め付け力は、回転ベース12を回転させるには比較的大きな力が必要となるが、凹部a1〜a8のうちの2個に凸部b1,b2を係合させて頭部12を位置決めした後、つまりかみそり1の使用時には、頭部11に対して回転ベース12が不要に移動しないようにするのが安全上好ましい。
【0035】
以上のようにしてホームポジションに配置された刃先46,47,48は、頭部11及び柄部10に対してほぼ平行に配置されている。利用者は、例えば客の顔面を上から下に向かって剃りたい場合には、かみそり1の柄部10を右手で握り、頭部が11が柄部10の左側に位置するようにしてかみそり1全体をほぼ水平にして刃先46,47,48を客の顔面に当てる。このとき刃先46,47,48は、下方を向いている。この状態でかみそり1を下方に移動させることで、顔を剃ることができる。一方、下から上に向かって剃りたい場合には、刃先46,47,48を180度回転させて位置決めする。すなわち回転ベース12を回転させ、第1の当接面37の凸部b1,b2をそれぞれ第2の当接面27の凹部a1,a5から外し、さらに回転ベース12を回転させて、凸部b1,b2をそれぞれ凹部a5,a1に係合させて位置決めするのである。この状態で柄部10を右手で水平に握って刃先46,47,48を顔に当てると、刃先46,47,48は上方を向く。この状態でかみそり1を上方に移動させることで、顔面を下方から右方に向かって剃ることができる。さらに例えば、回転ベース12側の凸部b1,b2を、それぞれ頭部11側の凹部a7,a3に係合させることにより、頭部11及び柄部10に対してカセット替え刃43を直角に配置して刃先46,47,48の向きを柄部10側に向けることができる。この場合には、一般家庭で顔剃りに使用されるいわゆるT字形のかみそりとほぼ同形となり、顔剃りの際に力が入りやすい。本実施の形態に係るかみそり1は、頭部11側の凹部a1〜a8に対して、回転ベース12側の凸部b1,b2を係合させる凹部を代えることで、回転ベース12を45度ずつ回転した位置に位置決めすることができる。すなわち、はじめホームポジションにおいて凹部a1,a5に係合されていた凸部b1,b2を、順次45度ずつ回転させて、凹部a2,a6、凹部a3,a7、凹部a4,a8、凹部a5,a1,凹部a6,a2、凹部a7,a3、凹部a8,a4に係合させることで、刃先46,47,48の向きを45度ごとに変更することができる。このように、利用者は、刃先46,47,48の向きを、自身で使用しやすい位置に配置して使用することができるので、複雑に凹凸のある顔面を剃る場合でも、特に熟練を必要とすることなく、誰でも比較的簡単にかみそり1を良好に使用することができる。
【0036】
以下、本発明に含まれる変形例について説明する。
【0037】
以上の実施の形態では、頭部11側の台座20の第2の当接面27に、台座20を周方向に8等分する位置にそれぞれ1個ずつ、合計8個の凹部a1〜a8を設けた。本発明はこれに限定されるものではなく、凹部は複数であれば、2個、3〜7個、9個以上の任意の数とすることができる。これらの場合、凹部の位置は、台座20を等分する位置でなくてもよい。さらに、上面図である図6(a),正面図である図6(b)に示すように、台座20の第2の当接面27に、径方向に向けた凸部50と凹部51とを、周方向に交互に多数設け、第1の当接面37にもこれに対応する多数の凹部と凸部(不図示)とを設けるようにしてもよい。この場合、これら凸部50と凹部51の、径方向に直交する方向の断面形状を例えば逆V字形、V字形に形成し、これら凸部50及び凹部51を小さく形成して全体に形成個数を多くすることにより、回転ベース12をほぼ任意の回転角度で位置決め固定することが可能となる。さらにまた、第1,第2の当接面37,27に凸部と凹部とを設けるに代えて、これら第1,第2の当接面37,27を適度に粗い平面状、すなわち相互の静止摩擦係数μが高くなるように形成するようにしてもよい。この場合には、頭部11に対して回転ベース12を回転させる際には、圧縮ばね41のばね力に抗して回転ベース12を少し持ち上げて、第2の当接面27と第1の当接面37との間に隙間を設けた状態で回転ベース12を任意の位置に回転させるようにするとよい。
【0038】
また、上述の実施の形態では、頭部11に円板状の台座20を設けてその第2の当接面27に凹部a1〜a8を設けたが、例えば、頭部12に適宜に広い第2の当接面を直接確保できる場合には、台座20を省略するようにして、その第2の当接面に直接、凹部a1〜a8を設けるようにしてもよい。
【0039】
また、上述の実施の形態では、頭部11側に凹部a1〜a8を形成し、回転ベース12側に凸部b1,b2を形成するようにしたが、この逆に、頭部11側に凸部を形成し、回転ベース12側に凹部を形成するようにしてもよい。
【0040】
また、凹部a1〜a8及び凸部b1,b2の形状については、上述のものに限らず、本発明の趣旨に沿って係脱できるものであれば、それぞれ任意の形状とすることができる。
【0041】
また、上述の実施の形態における圧縮ばね41は省略することも可能である。この場合には、回転ベース12を回転させる際には、ナット13を緩め、回転ベース12を回転させて位置決めした後に、ナット13を締めるようにすればよい。なお、圧縮ばね41を設けることの利点としては、ナット13を緩めたり締めたりすることなく、回転ベース12を回転させて位置決めすることができる点、ナット42をねじ部31の軸方向に付勢してナット42の緩みを防止する点などがあげられる。
【0042】
また、回転ベース12のホルダ部30の構成、特に保持爪33〜36の形状や位置については、上述では一例を示すものであり、使用するカセット替え刃の形状に応じて適宜に変更するものとする。上述ではカセット替え刃43が3枚刃であり、回転ベース12は、このカセット替え刃43を保持するために好適な形状となっているが、例えば1枚刃や2枚刃のカセット替え刃(不図示)をそれぞれ保持するのに好適な別の回転ベース12を準備しておけば、回転ベース12を交換するだけで、簡単に、他のカセット替え刃に対応することができる。図7に、2枚刃のカセット替え刃に使用する回転ベース52を示す。同図に示す回転ベース52は、長手方向に直交する方向の断面がほぼコ字形に形成されていて、その端部を外側に屈曲させて長手方向に沿ったガイドレール53,54が設けてある。裏面側には、図4に示す回転ベース12のねじ部31と同様のねじ部55が突設されている。一方、2枚刃のカセット替え刃には、上述のガイドレール53,54に係脱可能なガイド溝(不図示)が形成されている。この回転ベース55に2枚刃のカセット替え刃を取り付けるには、カセット替え刃の長手方向の一方の端部側からそのガイド溝に、ガイドレール53,54が係合するように回転ベース52を長手方向にスライドさせるようにして取り付ける。取り外しは、この逆となる。
【0043】
また、上述の実施の形態では、柄部10と頭部11を別の構成としたが、これらは一体に形成されていてもよいのはもちろんである。
【0044】
なお、本発明に係るかみそりとしては、上述のように、替え刃が着脱自在なカセット替え刃であることに鑑み、カセット替え刃が装着されていない状態のものも、カセット替え刃が装着された状態のものも含むものとする。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、柄部に対してカセット替え刃の刃先の向きを任意の向きに変更して位置決めすることができるので、利用者は、例えば複雑に凹凸のある顔面の顔剃りを行う場合でも、特に熟練を必要とすることなく、誰でも比較的簡単に安全に顔剃りを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】かみそり全体の斜視図である。
【図2】かみそりの分解斜視図である。
【図3】(a),(b),(c),(d)は、この順に頭部単体の上面図,正面図,左側面図,右側面図である。
【図4】(a),(b),(c),(d)は、この順に回転ベース単体の上面図,正面図,下面図,右側面図である。
【図5】カセット替え刃の上面図である。
【図6】(a),(b)は、第1の当接面に形成された凹部の他の例を説明する上面図,正面図である。
【図7】2枚刃用の回転ベースを示す斜視図である。
【符号の説明】
1 かみそり
10 柄部
11 頭部
12 回転ベース
13 位置決め機構
24 取付け孔
27 第2の当接面
31 ねじ部
37 第1の当接面
41 圧縮ばね
42 ナット
a1〜a8 係合部(凹部)
b1,b2 係合部(凸部)

Claims (8)

  1. 着脱自在なカセット替え刃を装着し、柄部を手で握って使用するかみそりにおいて、
    前記柄部に取り付けられた頭部と、
    前記頭部によって回転自在に支持されるとともに、着脱自在なカセット替え刃が装着される回転ベースと、
    前記回転ベースを前記頭部に対して所定の回転角度で位置決め固定する位置決め機構と、を備える、
    ことを特徴とするかみそり。
  2. 前記回転ベースは、前記柄部の長手方向に直交する方向の回転軸を有し、前記柄部の長手方向に平行な平面内で回転可能である、
    ことを特徴とする請求項1に記載のかみそり。
  3. 前記位置決め機構は、前記頭部を前記長手方向に直交する方向に貫通する取付け孔と、前記回転ベースにおける前記頭部との当接面である第1の当接面に突設されるとともに前記取付け孔に挿通されたねじ部と、前記ねじ部に螺合されたナットとを有し、前記ナットの弛緩状態において前記回転ベースの回転を許容し、また前記ナットの締結状態において前記回転ベースを前記頭部に固定する、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のかみそり。
  4. 前記位置決め機構は、前記回転ベースの前記ねじ部における前記頭部と前記ナットとの間に介装されて、前記回転ベースの前記第1の当接面を、前記第1の当接面に接触する前記頭部側の第2の当接面に押圧する圧縮ばねを有する、
    ことを特徴とする請求項3に記載のかみそり。
  5. 前記位置決め機構は、前記回転ベース側の前記第1の当接面と、前記頭部側の前記第2の当接面とに、相互に係脱可能な係合部を有する、
    ことを特徴とする請求項4に記載のかみそり。
  6. 前記係合部は、前記第1の当接面と前記第2の当接面とのうちの一方に形成された複数の凹部と、他方に形成されて前記複数の凹部に係脱可能な凸部とを有する、
    ことを特徴とする請求項5に記載のかみそり。
  7. 前記複数の凹部は、前記第1の当接面と前記第2の当接面との一方に、前記回転ベースの回転中心を基準とした回転方向に沿っての異なる位置に形成されている、
    ことを特徴とする請求項6に記載のかみそり。
  8. 前記複数の凹部は、前記回転ベースの回転中心を基準として所定の回転角度ごとに形成されている、
    ことを特徴とする請求項7に記載のかみそり。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006296614A (ja) * 2005-04-19 2006-11-02 Yoshio Yabe 剃刀
WO2020124375A1 (zh) * 2018-12-18 2020-06-25 任向荣 剃须单元及其制造方法

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