JP2004533244A - TyrA遺伝子及びその使用法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、植物遺伝学及び生化学の分野に含まれる。さらに詳細には、本発明は、トコフェロール生合成経路に関連する遺伝子に関する。本発明は、トコフェロール生合成経路の遺伝子に関連する核酸分子、タンパク質、及び抗体を提供かつ包含する。本発明は、例えば遺伝子単離、遺伝子解析及びトランスジェニック植物の生産において、このような薬剤を利用する方法をも提供する。さらに、本発明は、トコフェロール経路に関連するタンパク質を発現するように修飾したトランスジェニック植物を包含する。さらに、本発明は、トコフェロール生合成経路由来の産物の製造方法を包含する。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、植物遺伝学及び生化学の分野に含まれる。さらに詳細には、本発明は、トコフェロール生合成経路に関連する遺伝子に関する。本発明は、トコフェロール生合成経路の遺伝子に関連する核酸分子、タンパク質、及び抗体を提供かつ包含する。本発明は、例えば遺伝子単離、遺伝子解析及びトランスジェニック植物の生産において、このような薬剤を利用する方法をも提供する。さらに、本発明は、トコフェロール経路に関連するタンパク質を発現するように修飾したトランスジェニック植物を包含する。さらに、本発明は、トコフェロール生合成経路由来の産物の製造方法を包含する。
【背景技術】
【0002】
トコフェロールは、哺乳類の食餌の必須成分である。疫学的証拠は、トコフェロールの補充が、心臓病及び癌の危険の低減をもたらし、免疫機能を補助することができ、かつヒトの多くの変性疾患の予防又は遅延に関係することを示している(Traber及びSies, Annu. Rev. Nutr. 16:321-347 (1996))。トコフェロールは、部分的に、生体膜の脂質二重層を安定化し(Skrypin及びKagan, Biochim. Biophys. Acta 815:209 (1995); Kagan, N.Y. Acad. Sci. p 121, (1989);Gomez-Fernandezら, Ann. N.Y. Acad. Sci. p 109 (1989))、脂質の酸化により生じる多価不飽和脂肪酸(PUFA)遊離基を減らし(Fukuzawaら, Lipids 17: 511-513 (1982))、かつ酸素遊離基、脂質ペルオキシ基及び一重項酸素種を捕捉すること(Diplockら,Ann. N Y Acad. Sci. 570: 72 (1989); Fryer, Plant Cell Environ. 15(4):381-392 (1992))によって機能する。
【0003】
α-トコフェロールは、しばしばビタミンEと呼ばれ、α、β、γ、及びδ-トコフェロールと、α、β、γ、及びδ-トコトリエノールを含む脂質可溶性の抗酸化剤の分類に属する。α、β、γ、及びδ-トコフェロールとα、β、γ、及びδ-トコトリエノールは、まとめて“ビタミンE”と呼ばれることがあるが、ビタミンEは、より正確には化学的にα-トコフェロールと定義される。α-トコフェロールは、ヒトの健康にとって重要であり、その理由の一部は、人体に容易に吸収かつ保持され、また他のトコフェロール種より高度な生物活性を有するからである(Traber及びSies, Annu. Rev. Nutr. 16:321-347 (1996))。しかし、β、γ、及びδ-トコフェロールのような他のトコフェロールも、重要な健康及び栄養的な利益を有する。
【0004】
トコフェロールは、主として植物及びラン藻類を含む特定の他の光合成生物によってのみ合成される。結果として、哺乳類の食餌用トコフェロールは、これらの起源からほとんど排他的に得られる。植物組織は、トコフェロール総含量及びトコフェロール組成にかなり差があり、α-トコフェロールは、緑色の光合成植物組織内で優先的に見られるトコフェロール種である。葉組織は、新鮮質量1g当たり10〜50μgの総トコフェロールを含み得るが、世界の主な主食作物(例えば、米、トウモロコシ、小麦、ジャガイモ)のほとんどが、極端に低レベルの総トコフェロールを生成し、その小割合だけがα-トコフェロールである(Hess, Vitamin E, α-トコフェロール, In Antioxidants in Higher Plants, R. Alscher及びJ. Hess, Eds., CRC Press, Boca Raton. pp. 111-134 (1993))。油種子作物は、一般的にずっと高レベルの総トコフェロールを含むが、α-トコフェロールは少ない成分として存在するのみである(Taylor及びBarnes, Chemy Ind., Oct.:722-726 (1981))。
【0005】
平均的な米国人の食事から、毎日15〜30mgのビタミンEの推奨される食事による摂取を実現することはかなり困難である。例えば、この推奨される毎日のビタミンE摂取を満たすため、α-トコフェロールが総トコフェロールの60%を構成するホウレンソウの葉を750g、又は大豆油を200〜400g吸収しなければならない。サプリメントによって食事を補強できるが、天然のビタミンEは優先的に単一の異性体のみで構成されているにもかかわらず、これらサプリメントの多くは、主に、6つの立体異性体を有する合成ビタミンEを含んでいる。さらにサプリメントは、相対的に高価な傾向があり、かつ一般的な人々は、規則的な方式でサプリメントを取る気がしない。従って、総トコフェロール生産を増やすか、又は植物によって生成されるα-トコフェロールの相対的なパーセンテージを増やす組成物及び方法が技術的に要望されている。
【0006】
トコフェロールの健康的な利益に加え、作物中の増加したα-トコフェロールレベルは、植物産物の安定性の向上及び貯蔵寿命の延期に関係づけられている(Peterson, Cereal-Chem. 72(1):21-24 (1995); Ball, Fat-soluble vitamin assays in food analysis. A comprehensive review, London, Elsevier Science Publishers Ltd. (1988))。さらに、ブタ、ウシ、及び家禽の飼料のトコフェロール補充は、肉の品質を有意に高め、かつ望ましくない香り成分に寄与する後処理脂質酸化を遅延させることで、後処理肉製品の貯蔵寿命を延ばすことが示されている(Sante及びLacourt, J. Sci. Food Agric. 65(4):503-507 (1994); Buckleyら, J. of Animal Science 73:3122-3130 (1995))。
【0007】
(トコフェロール生合成)
高等植物の色素体は、トコフェロールを含む二次代謝につながる相互に連結する生化学経路を示す。高等植物におけるトコフェロール生合成経路は、ホモゲンチジン酸とフィチルピロリン酸の縮合による2-メチル-6 フィチルプラストキノールの生成を含む(Fiedlerら, Planta 155: 511-515 (1982);Sollら, Arch. Biochem. Biophys. 204: 544-550 (1980);Marshallら, Phytochem. 24: 1705-1711 (1985))。この植物トコフェロール経路は、以下の4つの部分:1)トコフェロールの芳香環に寄与するホモゲンチジン酸の合成;2)トコフェロールの側鎖に寄与するフィチルピロリン酸の合成;3)ビタミンEファミリーの不斉性及びクロマノール構造の役割を果たす環化;4)及びトコフェロール種のそれぞれの相対存在比に影響する、芳香環のS-アデノシルメチオニン依存メチル化;に分けることができる。
【0008】
(ホモゲンチジン酸の合成)
ホモゲンチジン酸は、トコフェロールとプラストキノンの両者に対する共通の前駆体である。少なくともいくつかの細菌内で、ホモゲンチジン酸の合成は、コリスメートのプレフェネートへの変換、次いで二官能性プレフェン酸デヒドロゲナーゼによるp-ヒドロキシフェニル-ピルビン酸への変換を経て起こると報告されている。二官能性の細菌性プレフェン酸デヒドロゲナーゼ酵素の例としては、エルウィニア-ヘルビコラ及び大腸菌のtryA遺伝子によってコードされるタンパク質が挙げられる。tryA遺伝子産物は、コリスメートからプレフェネートの生産、及び引き続くプレフェネートの脱水素によるp-ヒドロキシフェニルピルビン酸(p-HPP)、すなわちホモゲンチジン酸直前の前駆体の生産を触媒する。そして、p-HPPがヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ(HPPD)によってホモゲンチジン酸に変換される。対照的に、植物は、プレフェン酸デヒドロゲナーゼ活性を欠いていると考えられており、コリスメートからホモゲンチジン酸の合成は、中間体アロゲネート(arogenate)の合成及び変換を経て起こると考えられている。ホモゲンチジン酸合成に関与する経路は、チロシン形成の原因でもあるので、これら経路のどの変形も、チロシン合成及び他の芳香族アミノ酸の合成における変形にも成り得る。
【0009】
(フィチルピロリン酸の合成)
トコフェロールは、イソプレノイドと呼ばれる化合物の分類のメンバーである。他のイソプレノイドとしては、カロテノイド、ジベレリン、テルペン、クロロフィル及びアスコルビン酸が挙げられる。イソプレノイドの生産における中心的な中間体は、イソペンテニルニリン酸(IPP)である。IPPを生成する細胞質及び色素体ベースの経路が報告されている。細胞質ベースの経路は、酵素アセトアセチルCoAチオラーゼ、HMGCoAシンターゼ、HMGCoAレダクターゼ、メバロン酸キナーゼ、ホスホメバロン酸キナーゼ、及びメバロン酸ピロリン酸デカルボキシラーゼを含む。
【0010】
最近、RohmerとArigoniの調査団の研究から、これとは別の色素体ベースのイソプレノイド生合成経路の存在の証拠が示され(Eisenreichら, Chem. Bio., 5:R221-R233 (1998); Rohmer, Prog. Drug. Res., 50:135-154 (1998); Rohmer, Comprehensive Natural Products Chemistry, Vol. 2, pp. 45-68, Barton and Nakanishi (eds.)、特定の真正細菌及び植物テルペノイドに関する研究で観察される同位体標識パターンは、彼らは、メバロン酸経路については説明できないことを見いだした。Arigoni及び共同研究者らは、引き続き1-デオキシキシルロース、又はその誘導体が、この新規経路の中間体として働くことを示し、今やMEP経路と呼ばれている(Rohmerら, Biochem. J., 295:517-524 (1993); Schwarz, Ph.D. thesis, Eidgenoessiche Technische Hochschule, Zurich, Switzerland (1994))。最近の研究は、dxs遺伝子によってコードされる酵素による、それぞれグリセルアルデヒド3-リン酸(Rohmer, Comprehensive Natural Products Chemistry, Vol. 2, pp. 45-68, Barton and Nakanishi, eds., Pergamon Press, Oxford, England (1999))及びピルビン酸(Eisenreichら, Chem. Biol., 5:R223-R233 (1998); Schwarz supra; Rohmerら, J. Am. Chem. Soc., 118:2564-2566 (1996); 及びSprenger ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 94:12857-12862 (1997))の1分子から1-デオキシキシルロース5-リン酸の形成(Broers,博士号学位論文(Eidgenossiche Technische Hochschule, Zurich, Switzerland)を示した(Loisら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95:2105-2110 (1997);及びLangeら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95:2100-2104 (1998))。1-デオキシキシルロース5-リン酸は、さらに、dxr遺伝子によって触媒されるレダクトイソメラーゼによって2-C-メチルエリスリトール4-リン酸(Arigoniら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 94:10600-10605 (1997))に変換され得る(Bouvierら, Plant Physiol, 117:1421-1431 (1998);及びRohdichら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96:11758-11763 (1999))。
【0011】
このMEP経路で報告された遺伝子には、2-C-メチルエリスリトール4-リン酸をそのそれぞれのピロリン酸シチジル誘導体への変換を触媒するygbP、及び4-ホスホシチジル-2C-メチル-D-エリスリトールの2C-メチル-D-エリスリトール、3,4-シクロホスフェートへの変換を触媒するygbBも含まれる。これら遺伝子は、大腸菌ゲノム上に密接に結合されている(Herzら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 97(6):2485-2490 (2000))。
MEP経路によってIPPが形成されると、それはGGDPシンターゼによってGGDPに変換され、次いでトコフェロール側鎖の中心構成要素であるフィチルピロリン酸に変換される。
【0012】
(結合と環化)
ホモゲンチジン酸は、フィチル/プレニルトランスフェラーゼによってフィチルピロリン酸又はソラニルピロリン酸のどちらかと結合して、それぞれ2-メチル-6-フィチルプラストキノール又は2-メチル-6-ソラニルプラストキノールを形成する。2-メチル-6-ソラニルプラストキノールは、プラストキノンの生合成の前駆体であり、一方、2-メチル-6-フィチルプラストキノールは、究極的にトコフェロールに変換される。
【0013】
(芳香環のメチル化)
トコフェロールの各サブタイプ間の主な構造的相異は、フェニル環の周りのメチル基の位置である。2-メチル-6-フィチルプラストキノール及び2-メチル-6-ソラニルプラストキノールは両方とも7位のメチル化によって、それぞれプラストキノール-9及びγ-トコフェロールの形成を触媒する2-メチル-6-フィチルプラストキノール/2-メチル-6-ソラニルプラストキノール-9メチルトランスフェラーゼ(メチルトランスフェラーゼ1つまりMT1)の基質として働く。引き続くγ-メチル-トランスフェラーゼによるγ-トコフェロールの5位のメチル化によって、生物学的に活性なα-トコフェロールが生成する。トコフェロールメチルトランスフェラーゼ2(TMT2)は、MT1に対して同様の活性を示す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本技術では、トコフェロール生合成に関与する酵素をコードする核酸分子、並びに植物におけるトコフェロール生産の増強又は変更のための関連酵素と抗体が要望されている。さらに、食物及び飼料供給源を栄養的に向上させることのできる、トコフェロール生合成に関与する当該核酸分子を発現するトランスジェニック生物が要望されている。
【0015】
Figure 2004533244
本明細書で使用する場合、ホモゲンチジン酸フィチルトランスフェラーゼ(HPT)、フィチルプレニルトランスフェラーゼ(PPT)、slr1736、及びATPT2は、それぞれ同一の酵素活性を有するタンパク質をコードするタンパク質又は遺伝子を意味する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(発明の概要)
本発明は、操作可能に結合した成分として以下の成分:(A)植物細胞内で作用してmRNA分子の生産を引き起こすプロモーター領域;(B)コリスミ酸ムターゼ及びプレフェン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素又は前記酵素の少なくとも20個の連続アミノ酸である該酵素の断片をコードする異種核酸分子;を含んでなる実質的に精製した核酸分子を包含かつ提供する。
【0017】
本発明は、操作可能に結合した成分として以下の成分:(A)植物細胞内で作用してmRNA分子の生産を引き起こすプロモーター領域;(B)配列番号2、配列番号4及び少なくとも20個の連続アミノ酸であるそれらの断片から成る群より選択されるアミノ酸配列をコードする異種核酸分子;を含んでなる実質的に精製した核酸分子を包含かつ提供する。
【0018】
本発明は、操作可能に結合した成分として以下の成分:(A)植物細胞内で作用してmRNA分子の生産を引き起こすプロモーター領域;(B)転写鎖と非転写鎖を有し、前記転写鎖が、コリスミ酸ムターゼ及びプレフェン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードする核酸分子に相補的である、異種核酸分子;を含んでなる核酸分子を包含かつ提供する。
【0019】
本発明は、操作可能に結合した成分として以下の成分:(A)植物細胞内で作用してmRNA分子の生産を引き起こすプロモーター領域;(B)転写鎖と非転写鎖を有し、前記転写鎖が、配列番号2及び4から成る群より選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする核酸分子に相補的である、異種核酸分子;を含んでなる核酸分子を包含かつ提供する。
【0020】
本発明は、操作可能に結合した成分として以下の成分:(A)植物細胞内で作用してmRNA分子の生産を引き起こすプロモーター領域;(B)配列番号2及び4から成る群より選択されるアミノ酸配列又は少なくとも20個の連続アミノ酸をコードするそれらの断片を含むタンパク質をコードする外因性核酸分子;及び(c)前記植物細胞内で作用して転写の終結及び前記mRNA分子の3'末端へのポリアデニル化リボヌクレオチドの付加を引き起こす3'非翻訳配列;を含む核酸分子を有する形質転換植物を包含かつ提供する。
【0021】
本発明は、操作可能に結合した成分として以下の成分:(A)植物細胞内で作用してmRNA分子の生産を引き起こす外因性プロモーター領域;この領域が結合している(B)転写鎖と非転写鎖を有し、前記転写鎖が、配列番号2、配列番号4及び少なくとも20個の連続アミノ酸を含むそれらの断片から成る群より選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする核酸分子に相補的である、転写核酸分子;を含む核酸分子を有する形質転換植物を包含かつ提供する。
【0022】
本発明は、増加したトコフェロールレベルを有する植物の製造方法であって、以下の工程:(A)前記植物を核酸分子で形質転換させる工程であって、前記核酸分子がプロモーター領域を含み、このプロモーター領域が、配列番号2及び4から成る群より選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする核酸配列に結合していることを特徴とする工程;及び、前記植物を成長させる工程;を含む方法を包含かつ提供する。
【0023】
本発明は、植物内のトコフェロールレベルを低減する方法であって、以下の工程:(A)前記植物を核酸分子で形質転換させる工程であって、前記核酸分子が、植物細胞内で作用してmRNA分子の生産を引き起こす外因性のプロモーター領域と、転写鎖及び非転写鎖を有し、前記転写鎖が、配列番号1及び3から成る群より選択される核酸配列を有する核酸分子に相補的である転写核酸分子とを含み、かつ前記転写核酸分子が、前記植物細胞内で作用して転写の終結及び前記mRNA配列の3'末端へのポリアデニル化リボヌクレオチドの付加を引き起こす3'非翻訳配列に結合していることを特徴とする工程;及び、(B)前記形質転換植物を成長させる工程;を含む方法を包含かつ提供する。
【0024】
本発明は、植物内における増加したトコフェロールレベルのスクリーニング方法であって、配列番号1及び3及びそれらの補体から成る群より選択される核酸配列を有する核酸分子に特異的にハイブリダイズする標識分子の存否についてゲノムDNAに問い合わせる工程;及び前記標識の前記存否を検出する工程;を含む方法を包含かつ提供する。
【0025】
本発明は、トコフェロールレベルの増加が予測される植物内におけるゲノム多形性の決定方法であって、以下の工程:(A)核酸ハイブリダイゼーションが可能な条件下、標識核酸分子と前記植物から得た相補的核酸分子をインキュベートする工程であって、前記標識核酸分子が、配列番号1及び3及びその補体から成る群より選択される核酸配列を有する核酸分子に特異的にハイブリダイズすることを特徴とする工程;(B)前記植物から得た前記標識核酸分子と前記相補的核酸分子との間のハイブリダイゼーションを可能にする工程;及び(C)前記多形性の存在を検出する工程;を含む方法を包含かつ提供する。
【0026】
本発明は、植物細胞又は植物組織内におけるタンパク質の発現のレベル又はパターンの決定方法であって、以下の工程:(A)核酸ハイブリダイゼーションが可能な条件下、配列番号1及び配列番号3、どちらかの補体、又は前記配列の少なくとも約20個のヌクレオチドを含む断片から選択される核酸配列を有する標識核酸分子を、植物細胞又は植物組織から得た相補的核酸分子と共にインキュベートする工程;(B) 前記標識核酸分子と前記植物細胞又は植物組織から得た前記相補的核酸分子との間のハイブリダイゼーションを可能にする工程;及び(C)前記相補的核酸の前記レベル又はパターンを検出する工程であって、前記相補的核酸の検出が、前記タンパク質の前記発現の前記レベル又はパターンの予測であることを特徴とする工程;を含む方法を包含かつ提供する。
【0027】
本発明は、評価中、植物細胞又は植物組織内におけるタンパク質の発現のレベル又はパターンを決定する方法であって、以下の工程:評価中、前記植物細胞又は植物組織内の指標分子の濃度を分析する工程であって、前記指標分子の前記濃度が、遺伝子の発現によって決まり、かつ前記遺伝子が、配列番号1及び3及びそれらの補体から成る群より選択される核酸配列を有する核酸分子に特異的にハイブリダイズすることを特徴とする工程;及び前記指標の前記濃度を、前記タンパク質の既知レベル又はパターンの発現を有する植物細胞又は植物組織内で生じる前記指標分子の既知濃度と比較する工程;を含む方法を包含かつ提供する。
【0028】
本発明は、操作可能に結合した成分として以下の成分:(A)植物細胞内で作用してmRNA分子の生産を引き起こすプロモーター領域;(B)異種核酸分子であって、前記異種核酸分子が、コリスミ酸ムターゼ及びプレフェン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素を又は少なくとも20個の連続アミノ酸を含む前記核酸分子の断片をコードする異種核酸分子;を含む核酸分子を含む細胞を包含かつ提供する。
【0029】
本発明は、操作可能に結合した成分として以下の成分:(A)植物細胞内で作用してmRNA分子の生産を引き起こすプロモーター領域;(B)配列番号2及び4から成る群より選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする外因性核酸分子、及び(C)前記植物細胞内で作用して転写の終結及び前記mRNA分子の3'末端へのポリアデニル化リボヌクレオチドの付加を引き起こす3'非翻訳配列;を含む核酸分子を有する形質転換植物の種子から誘導される油を包含かつ提供する。
【0030】
本発明は、トコフェロールの製造方法であって、操作可能に結合した成分として以下の成分:(A)植物細胞内で作用してmRNA分子の生産を引き起こすプロモーター領域;(B)配列番号2及び4から成る群より選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする外因性核酸分子、及び(C)前記植物細胞内で作用して転写の終結及び前記mRNA分子の3'末端へのポリアデニル化リボヌクレオチドの付加を引き起こす3'非翻訳配列;を含む核酸で植物を形質転換させる工程;及び前記植物を成長させる工程;を含む方法を包含かつ提供する。
【0031】
本発明は、ホモゲンチジン酸の製造方法であって、操作可能に結合した成分として以下の成分:(A)植物細胞内で作用してmRNA分子の生産を引き起こすプロモーター領域;(B)配列番号2及び4から成る群より選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする外因性核酸分子、及び(C)前記植物細胞内で作用して転写の終結及び前記mRNA分子の3'末端へのポリアデニル化リボヌクレオチドの付加を引き起こす3'非翻訳配列;を含む核酸で植物を形質転換させる工程を含む方法を包含かつ提供する。
【0032】
本発明は、プラストキノンの製造方法であって、操作可能に結合した成分として以下の成分:(A)植物細胞内で作用してmRNA分子の生産を引き起こすプロモーター領域;(B)配列番号2及び4から成る群より選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質又はその断片をコードする外因性核酸分子、及び(C)前記植物細胞内で作用して転写の終結及び前記mRNA分子の3'末端へのポリアデニル化リボヌクレオチドの付加を引き起こす3'非翻訳配列;を含む核酸で植物を形質転換させる工程を含む方法を包含かつ提供する。
【0033】
本発明は、形質転換植物又はその一部を含んでなる供給原料であって、前記形質転換植物が、配列番号1及び3から成る群より選択される配列を含む外因性核酸分子を有することを特徴とする供給原料を包含かつ提供する。
本発明は、形質転換植物から製造した植物材料を含む食事であって、前記形質転換植物が、配列番号1及び3から成る群より選択される配列を含む外因性核酸分子を含有することを特徴とする食事を包含かつ提供する。
本発明は、配列番号2又は4のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする核酸配列を含む外因性核酸分子を有する形質転換植物を包含かつ提供する。
【0034】
本発明は、配列番号1又は3の核酸配列を含む外因性核酸分子を有する形質転換植物を包含かつ提供する。
本発明は、トコフェロールレベルが増加した種子を有する植物の製造方法であって、以下の工程:(A)前記植物を、コリスミ酸ムターゼ及びプレフェン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードする核酸分子で形質転換させる工程;及び(B)前記形質転換植物を成長させる工程;を含む方法を包含かつ提供する。
本発明は、トコフェロールレベルが増加した種子を有する植物の製造方法であって、以下の工程:(A)前記植物を、配列番号2又は4のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする核酸配列を含む核酸分子で形質転換させる工程;及び(B)前記形質転換植物を成長させる工程;を含む方法を包含かつ提供する。
【0035】
本発明は、コリスミ酸ムターゼ及びプレフェン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードする外因性核酸分子を有する形質転換植物から誘導される種子であって、前記種子が、同様の遺伝的バックグラウンドを有するが、前記外因性核酸分子を欠いている植物由来の種子と比較して増加したトコフェロールレベルを有することを特徴とする種子を包含かつ提供する。
本発明は、配列番号2又は4のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする核酸配列を含む外因性核酸分子を有する形質転換植物から誘導される種子であって、前記種子が、同様の遺伝的バックグラウンドを有するが、前記外因性核酸分子を欠いている植物由来の種子と比較して増加したトコフェロールレベルを有することを特徴とする種子を包含かつ提供する。
【0036】
本発明は、コリスミ酸ムターゼ及びプレフェン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードする外因性核酸分子を有する形質転換植物の種子から誘導される油であって、前記形質転換植物が、同様の遺伝的バックグラウンドを有するが、前記外因性核酸分子を欠いている植物由来の種子と比較して増加したトコフェロールレベルを有する種子を有することを特徴とする油を包含かつ提供する。
本発明は、配列番号2又は4のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする核酸配列を含む外因性核酸分子を有する形質転換植物の種子から誘導される油であって、前記形質転換植物が、同様の遺伝的バックグラウンドを有するが、前記外因性核酸分子を欠いている植物由来の種子と比較して増加したトコフェロールレベルを有する種子を有することを特徴とする油を包含かつ提供する。
【0037】
本発明は、コリスミ酸ムターゼ及びプレフェン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードする外因性核酸分子を有する形質転換植物又はその一部を含んでなる供給原料であって、前記形質転換植物が、同様の遺伝的バックグラウンドを有するが、前記外因性核酸分子を欠いている植物由来の種子と比較して増加したトコフェロールレベルを有する種子を有することを特徴とする供給原料を包含かつ提供する。
本発明は、配列番号2又は4のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする核酸配列を含む外因性核酸分子を有する形質転換植物又はその一部を含んでなる供給原料であって、前記形質転換植物が、同様の遺伝的バックグラウンドを有するが、前記外因性核酸分子を欠いている植物由来の種子と比較して増加したトコフェロールレベルを有する種子を有することを特徴とする供給原料を包含かつ提供する。
本発明は、コリスミ酸ムターゼ及びプレフェン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードする外因性核酸分子を有する形質転換植物又はその一部を含んでなる供給原料であって、前記形質転換植物が、同様の遺伝的バックグラウンドを有するが、前記外因性核酸分子を欠いている植物由来の種子と比較して増加したトコフェロールレベルを有する種子を有することを特徴とする供給原料を包含かつ提供する。
【0038】
本発明は、コリスミ酸ムターゼ及びプレフェン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードする外因性核酸分子を有する形質転換植物から製造した植物材料を含んでなる食事であって、前記形質転換植物が、同様の遺伝的バックグラウンドを有するが、前記外因性核酸分子を欠いている植物由来の種子と比較して増加したトコフェロールレベルを有する種子を有することを特徴とする食事を包含かつ提供する。
本発明は、配列番号2又は4のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする核酸配列を含む外因性核酸分子を有する形質転換植物から製造された植物材料を含んでなる食事であって、前記形質転換植物が、同様の遺伝的バックグラウンドを有するが、前記外因性核酸分子を欠いている植物由来の種子と比較して増加したトコフェロールレベルを有する種子を有することを特徴とする食事を包含かつ提供する。
【0039】
本発明は、コリスミ酸ムターゼ及びプレフェン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードする外因性核酸分子を有する形質転換植物から製造した植物材料を含んでなる食事であって、前記形質転換植物が、同様の遺伝的バックグラウンドを有するが、前記外因性核酸分子を欠いている植物由来の種子と比較して増加したトコフェロールレベルを有する種子を有することを特徴とする食事を包含かつ提供する。
本発明は、配列番号2又は4のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする核酸配列を含む外因性核酸分子を有する形質転換植物から製造した植物材料を含んでなる食事であって、前記形質転換植物が、同様の遺伝的バックグラウンドを有するが、前記外因性核酸分子を欠いている植物由来の種子と比較して増加したトコフェロールレベルを有する種子を有することを特徴とする食事を包含かつ提供する。
【0040】
本発明は、トコフェロール及びトコトリエノール生合成に関与する2種以上の遺伝子の組合せを有する、核酸構成物、並びに当該構成物を含有する植物及び生物を包含かつ提供する。以下の遺伝子:slr1736、ATPT2、dxs、dxr、GGH、GGPPS、HPPD、MT1、TMT2、GMT、AANT1、slr1737、及びホモゲンチジン酸ジオキシゲナーゼに対するアンチセンス構成物;とtyrAとのどの組合せも好ましい。特に好ましい実施形態では、tyrAと、HPPD及びslr1736又はATPT2のどちらかと組み合わせる。
【0041】
(核酸及びアミノ酸配列の説明)
配列番号1は、エルウィニア-ヘルビコラの二官能性プレフェン酸デヒドロゲナーゼをコードするDNA分子の核酸配列を示す。
配列番号2は、エルウィニア-ヘルビコラの二官能性プレフェン酸デヒドロゲナーゼの誘導アミノ酸配列を示す。
配列番号3は、大腸菌の二官能性プレフェン酸デヒドロゲナーゼをコードするDNA分子の核酸配列を示す。
配列番号4は、大腸菌の二官能性プレフェン酸デヒドロゲナーゼの誘導アミノ酸配列を示す。
配列番号5は、エルウィニア-ヘルビコラtyrA配列の増幅に用いる5'プライマーを示す。
配列番号6は、エルウィニア-ヘルビコラtyrA配列の増幅に用いる3'プライマーを示す。
配列番号7は、大腸菌tyrA配列の増幅に用いる5'プライマーを示す。
配列番号8は、大腸菌tyrA配列の増幅に用いる3'プライマーを示す。
配列番号9は、プライマー配列を示す。
配列番号10は、プライマー配列を示す。
配列番号11は、プライマー配列を示す。
配列番号12は、プライマー配列を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
(詳細な説明)
本明細書で開示されるいずれの核酸分子も、植物のような種々の生物内で増強又は過剰発現され、その結果ホモゲンチジン酸(HGA)のようなトコフェロール前駆体のレベルを高め、最終的に該生物内におけるトコフェロールのレベルを高めることができる。さらに、本明細書で示されるタンパク質の増強された発現又は過剰発現は、プラストキノンの生産のレベルをも高めることができる。さらに、本発明は、多数の薬剤、例えば、トコフェロールの生産に関連する核酸分子及びタンパク質を提供し、かつこのような薬剤の使用法を提供する。
【0043】
本発明は、ホモゲンチジン酸、プラストキノン、又はトコフェロールの産生を高めることが望ましい生物内で二官能性プレフェン酸デヒドロゲナーゼを発現させるための核酸構成物を包含かつ提供する。このような核酸構成物は、プレフェン酸デヒドロゲナーゼ活性のレベル増加が望ましい生物内で使用することができる。本発明は、プラストキノン、又はトコフェロールの産生を高めることが望ましい生物内でフィチルトランスフェラーゼを発現させるための核酸構成物、及びホモゲンチジン酸の産生を高めることが望ましい生物内でフィチルプレニルトランスフェラーゼに対してアンチセンス核酸を産生する構成物の使用法をも包含かつ提供する。
【0044】
(薬剤)
本発明の薬剤は、他の核酸分子にハイブリダイズするという核酸の能力のような構造的性状、又は抗体によって結合される(若しくは該結合のために別の分子と競合する)というタンパク質の能力のどちらかに関して、好ましくは“生物学的に活性”である。代わりに、このような性状は、触媒的でよく、従って化学反応又は応答を媒介する該薬剤の能力を含む。好ましくは、薬剤を“実質的に精製する”。本明細書で使用する場合、用語“実質的に精製した”とは、その天然状態で通常その分子に関連するすべての他の分子から実質的に分離した分子を指す。さらに詳細には、実質的に精製した分子は、製剤中に優先的に存在する種である。実質的に精製した分子は、60%、好ましくは75%、さらに好ましくは90%、最も好ましくは95%より多くの、天然混合物中に存在する他の分子(溶媒を除く)が除去されている。用語“実質的に精製した”は、その天然状態で存在する分子を包含することを意図していない。
【0045】
本発明の薬剤は、組換え体でもよい。本明細書で使用する場合、用語組換え体は、いずれの薬剤(例えば、DNA、ペプチド等)をも意味するが、換言すれば、間接的には、核酸分子の人的操作から生じる薬剤である。
本発明の薬剤は、該薬剤の検出を容易にする試薬で標識し得ることが理解される(例えば、蛍光標識,Proberら, Science 238:336-340 (1987); Albarellaら, EP 144914;化学標識,Sheldonら,米国特許第4,582,789号;Albarellaら,米国特許第4,563,417号;修飾塩基,Miyoshiら,EP 119448))。
【0046】
(核酸分子)
本発明の薬剤は、コリスミ酸ムターゼ及びプレフェン酸デヒドロゲナーゼ活性の両方を有する、二官能性プレフェン酸デヒドロゲナーゼをコードする核酸分子を含む。本発明の好ましい局面では、核酸分子は、二官能性プレフェン酸デヒドロゲナーゼの細菌相同体をコードする核酸配列を含む。好ましい実施形態では、核酸分子は、配列番号1又は3を有する核酸配列を含む。別の好ましい実施形態では、核酸分子は、プレフェン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するアミノ酸配列をコードする、ここで開示されるいずれかの核酸の断片である。
【0047】
本発明の別の好ましい局面では、核酸分子は、配列番号1及び3、それらの補体、及びどちらかの断片から成る群より選択される核酸配列を含む。本発明のさらなる局面では、核酸分子は、配列番号2及び4、及びそれらの断片から成る群より選択されるアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。
本発明の別の好ましい局面では、核酸分子は、二官能性プレフェン酸デヒドロゲナーゼをコードする核酸配列と、フィチルプレニルトランスフェラーゼ発現用の発現カセットの両方を含む。本発明のさらなる局面では、別個に二官能性プレフェン酸デヒドロゲナーゼとフィチルプレフェン酸トランスフェラーゼをコードする核酸構成物を利用することができる。
本発明の別の好ましい局面では、核酸分子は、本発明のタンパク質又は断片をコードする核酸分子に操作可能に結合した色素体輸送ペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
本発明のさらなる局面の核酸配列では、核酸は、該機能を変えることなく、1種以上のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているいずれのタンパク質とも異なるタンパク質をコードすることができることが理解される。例えば、このような保存的アミノ酸置換のためにコードできるコドンは、技術的に公知であることが理解される。
【0048】
本発明の核酸分子の1つのサブセットは、断片核酸分子である。断片核酸分子は、具体的に開示されるものように、本発明の核酸分子の重要なタンパク質、又は実際にはほとんどの本発明の核酸分子から成り得る。代わりに、断片は、より小さいオリゴヌクレオチド(約15〜約400個のヌクレオチド残基、さらに好ましくは約15〜約30個のヌクレオチド残基、又は約50〜約100個のヌクレオチド残基、又は約100〜約200個のヌクレオチド残基、又は約200〜約400個のヌクレオチド残基、又は約275〜約350個のヌクレオチド残基を有する)を含むことができる。
本発明の1つ以上の核酸分子の断片は、プローブ、具体的にはPCRプローブでよい。PCRプローブは、ポリメラーゼ活性を惹起可能な核酸分子であると同時に他の核酸との二本鎖構造中である。技術的にPCRプローブの構造決定の種々の方法及びPCR法が存在する。例えば、Primer3(www-genome.wi.mit.edu/cgi-bin/primer/primer3.cgi)、STSPipeline(www-genome.wi.mit.edu/cgi-bin/www-STS_Pipeline)、又はGeneUp(Pesoleら, BioTechniques 25:112-123 (1998))のようなプログラムを用いるコンピュータ生成検索を使用して、可能性のあるPCRプライマーを特定することができる。
【0049】
本発明の核酸の別のサブセットは、タンパク質又はその断片をコードする核酸分子を包含する。
本発明の核酸分子又はその断片は、特定の環境下で、他の核酸分子に特異的にハイブリダイズすることができる。本発明の核酸分子は、配列番号1及び3、及びそれらの補体から成る群より選択される核酸配列を有する核酸分子に特異的にハイブリダイズする核酸分子を含む。本発明の核酸分子は、配列番号2、4、それらの補体、及びどちらかの断片から成る群より選択されるアミノ酸配列をコードする核酸分子に特異的にハイブリダイズする核酸分子を含む。
【0050】
本明細書では、2つの核酸分子が反平行の二本鎖核酸構造を形成できる場合に、その2分子は相互にハイブリダイズ可能であると言われる。
核酸分子は、それらが完全な相補性を示す場合に、もう一方の核酸分子の“補体”と言われる。本明細書では、一方の分子のあらゆるヌクレオチドが他方のヌクレオチドに相補性であるとき、それら分子は“完全な相補性”を示すと言われる。2つの分子が相互にハイブリダイズし、少なくとも慣習的な“低厳密性”条件下、十分な安定性で相互にアニール状態を維持できる場合、これら2分子は“最小限に相補性”であると言われる。同様に、分子が相互にハイブリダイズし、慣習的な“高厳密性”条件下、十分な安定性で相互にアニール状態を維持できる場合、これら分子は“相補性”であると言われる。慣習的な厳密性条件は、Sambrookら, Molecular Cloning, A Laboratory Manual,第2版,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,New York(1989)、及びHaymesら, Nucleic Acid Hybridization, A Practical Approach, IRL Press, Washington,DC(1985)によって記述されている。完全な相補性からの逸脱は、該逸脱が二本鎖構造を形成するための核酸分子の能力を完全に不可能にしない限り許容される。従って、核酸分子がプライマー又はプローブとして働くためには、核酸分子は、使用する特定溶媒及び塩濃度下、安定な二本鎖構造を形成できる配列で十分に相補性であることだけが必要である。
【0051】
DNAハイブリダイゼーションを促進する適切な厳密性条件は、例えば、約45℃で6.0X塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)後、20〜25℃で2.0XSSCの洗浄が技術的に知られており、或いはCurrent Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N.Y. (1989), 6.3.1-6.3.6で述べられている。例えば、洗浄工程の塩濃度は、50℃の約2.0X SSCの低厳密性から65℃の約0.2X SSCの高厳密性より選択することができる。さらに、洗浄工程の温度は、室温、約22℃の低厳密性条件から約65℃の高厳密性条件まで上げることができる。温度と塩濃度の両方を変え、或いは温度又は塩濃度のどちらかを保ちながら他方の変量を変えてもよい。
【0052】
好ましい実施形態では、本発明の核酸は、適度に厳密性の条件、例えば、約2.0X SSC及び約65℃下、配列番号1及び3及びそれらの補体に示される1種以上の核酸分子に特異的にハイブリダイズする。
特に好ましい実施形態では、本発明の核酸は、約2.0X SSC及び約65℃のような高厳密性条件下、配列番号1と3及びそれらの補体に示される1種以上の核酸分子に特異的にハイブリダイズする当該核酸分子を含む。
【0053】
本発明の一局面では、本発明の核酸分子は、配列番号1及び3及びそれらの補体に示される1種以上の核酸配列を有する。本発明の別の局面では、本発明の1種以上の核酸分子は、配列番号1及び3及びそれらの補体並びにどちらかの断片に示される1種以上の核酸配列と、100%〜90%の配列同一性を共有する。本発明のさらなる局面では、本発明の1種以上の核酸分子は、配列番号1と3及びそれらの補体並びにどちらかの断片に示される1種以上の核酸配列と、100%〜95%の配列同一性を共有する。本発明のより好ましい局面では、本発明の1種以上の核酸分子は、配列番号1と3及びそれらの補体並びにどちらかの断片に示される1種以上の核酸配列と、100%〜98%の配列同一性を共有する。本発明のさらに好ましい局面では、本発明の1種以上の核酸分子は、配列番号1と3及びそれらの補体並びにどちらかの断片に示される1種以上の核酸配列と、100%〜99%の配列同一性を共有する。
好ましい実施形態では、同一性の割合の計算は、LASERGENE生命情報科学コンピューティングスート(デフォルトパラメーター、DNASTAR Inc.,Madison,Wisconsin)のMegalignプログラムを用いて行う。
【0054】
本発明の核酸分子は、相同体タンパク質をコードすることもできる。本明細書では、相同体タンパク質又はその断片は、二次種の対応タンパク質分子又はその断片である(例えば、トウモロコシrubiscoの小サブユニットは、アラビドプシスrubiscoの小サブユニットの相同体である)。相同体は、分子進化又はDNAシャッフリング法によっても生成され得るので、分子は、原タンパク質の少なくとも1つの機能又は構造特性を保持する(例えば、米国特許第5,811,238号参照)。
【0055】
別の実施形態では、相同体は、アルファルファ、アラビドプシス、大麦、ハクサイ(Brassica campestris)、アブラナ(Brassica napus)、ブロッコリ、キャベツ、キャノーラ、柑橘類、綿、ニンニク、オート麦、タマネギ、アマ、装飾植物、ピーナッツ、ペッパー、ジャガイモ、米、ライ麦、モロコシ、イチゴ、サトウキビ、サトウダイコン、トマト、小麦、ポプラ、パイン、モミ、ユーカリ、リンゴ、レタス、レンズマメ、ブドウ、バナナ、紅茶、芝草、ヒマワリ、大豆、トウモロコシ、インゲンマメ(Phaseolus)、アブラナ科ハマナ属の草木(crambe)、カラシナ、トウゴマ、ゴマ、綿実、亜麻仁、紅花、及びアブラヤシから成る群より選択される。さらに詳細には、好ましい相同体は、キャノーラ、トウモロコシ、アラビドプシス、ハクサイ、アブラナ、大豆、アブラナ科ハマナ属の草木、カラシナ、トウゴマ、ピーナッツ、ゴマ、綿実、亜麻仁、紅花、アブラヤシ、アマ、及びヒマワリから選択される。さらに好ましい実施形態では、相同体は、キャノーラ、トウモロコシ、アラビドプシス、ハクサイ、アブラナ、大豆、ヒマワリ、紅花、アブラヤシ、及びピーナッツから選択される。好ましい実施形態では、相同体は大豆である。好ましい実施形態では、相同体はアブラナである。
【0056】
好ましい実施形態では、配列番号1及び3、及びそれらの補体、並びにどちらかの断片;又は好ましくは配列番号1及び3、及びそれらの補体を有する核酸分子を用いてこのような相同体を得ることができる。
本発明の別のさらなる局面では、タンパク質は1種以上の保存的アミノ酸変化を有することができ、それゆえに該タンパク質をコードする核酸配列には配列の相異があるという事実のため、本発明の核酸分子は、配列番号2及び4のタンパク質又はその断片をコードする配列とは異なる配列を含むことができる。このような保存的アミノ酸置換をコードできるコドンは、技術的に公知であることが理解される。
【0057】
天然配列内の1種以上のアミノ酸は、電荷及び極性が天然アミノ酸と同様である他のアミノ酸と置換でき、すなわち、保存的アミノ酸置換は技術的に周知である。天然ポリペプチド配列内におけるアミノ酸の保存的置換は、該アミノ酸が属する分類の他のメンバーから選択することができる。アミノ酸は、以下の4群に分けることができる:(1)酸性アミノ酸、(2)塩基性アミノ酸、(3)中性の極性アミノ酸、及び(4)中性の無極性アミノ酸。これら種々の群内の代表的なアミノ酸としては、限定するものではないが、(1)アスパラギン酸及びグルタミン酸のような酸性(負に荷電している)アミノ酸;(2)アルギニン、ヒスチジン、及びリジンのような塩基性(正に荷電している);(3)グリシン、セリン、スレオニン、システイン、シスチン、チロシン、アスパラギン、及びグルタミンのような中性の極性アミノ酸;及び(4)アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、及びメチオニンのような中性の無極性(疎水性)アミノ酸が挙げられる。
【0058】
天然ポリペプチド配列内における保存的アミノ酸置換は、これらの1群内の1つのアミノ酸を、同一群内の別のアミノ酸と置換して行うことができる。好ましい局面では、本発明のタンパク質又はその断片の生物学的な機能等価物は、10以下の保存的アミノ酸変化、さらに好ましくは7以下の保存的アミノ酸変化、最も好ましくは5以下の保存的アミノ酸変化を有することができる。従って、コード化ヌクレオチド配列は、対応する塩基置換を有し、本発明のタンパク質又はその断片の生物学的な機能等価型をコードすることができる。
【0059】
特定のアミノ酸は、例えば、抗体の抗原結合部位又は基質分子上の結合部位のような構造と相互に結合する能力を認識できるほどに失うことなく、あるタンパク質構造内の他のアミノ酸に置換できることは分かっている。当該タンパク質の生物学的機能活性を定義するのは、タンパク質の相互作用的能力及び性質なので、特定のアミノ酸配列置換は、タンパク質配列、及び当然にその根底にあるDNAコーディング配列内で生じ得るにもかかわらず、同様の特性を有するタンパク質を得ることができる。従って、本発明のタンパク質又はその断片のペプチド配列、又は前記ペプチドをコードする対応DNA配列内で、その生物学的有用性又は活性を認識できるほどに失うことなく種々の変化が生じ得ることは、発明者らによって考慮されている。このようなアミノ酸の変化をコードできるコドンが技術的に公知であることは分かっている。
【0060】
このような変化の生成では、アミノ酸の疎水性親水性指標を考慮することができる。あるタンパク質に関する相互作用的な生物学的機能を与えるのにアミノ酸の疎水性親水性指標の重要性は、本技術では一般的に理解されている(Kyte及びDoolittle, J. Mol. Biol. 157, 105-132 (1982))。アミノ酸の相対的な疎水性親水性特性は、結果として生じるタンパク質の二次構造に寄与し、順次、該タンパク質の他の分子、例えば、酵素、基質、受容体、DNA、抗体、抗原などとの相互作用を規定する。
【0061】
各アミノ酸は、その疎水性と荷電特性に基づいて疎水性親水性指標が割り当てられており(Kyte及びDoolittle, J. Mol. Biol. 157:105-132 (1982));イソロイシン(+4.5)、バリン(+4.2)、ロイシン(+3.8)、フェニルアラニン(+2.8)、システイン/シスチン(+2.5)、メチオニン(+1.9)、アラニン(+1.8)、グリシン(-0.4)、スレオニン(-0.7)、セリン(-0.8)、トリプトファン(-0.9)、チロシン(-1.3)、プロリン(-1.6)、ヒスチジン(-3.2)、グルタミン酸(-3.5)、グルタミン(-3.5)、アスパラギン酸(-3.5)、アスパラギン(-3.5)、リジン(-3.9)、及びアルギニン(-4.5)である。
このような変化を生じさせるには、その疎水性親水性指標が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、±1以内のアミノ酸が特に好ましく、±0.5以内のアミノ酸がさらに特に好ましい。
【0062】
技術的には、同様のアミノ酸の置換は、疎水性親水性の基礎に基づいて効率的に生じうることも分かっている。米国特許第4,554,101号明細書は、タンパク質の最大の局所平均的疎水性親水性は、その隣接アミノ酸の疎水性親水性によって支配されるように、該タンパク質の生物学的特性と関係すると述べている。
米国特許第4,554,101号明細書に詳述されているように、以下の疎水性親水性指標値がアミノ酸残基に割当てられている:アルギニン(+3.0)、リジン(+3.0)、アスパラギン酸(+3.0±1)、グルタミン酸(+3.0±1)、セリン(+0.3)、アスパラギン(+0.2)、グルタミン(+0.2)、グリシン(0)、スレオニン(-0.4)、プロリン(-0.5±1)、アラニン(-0.5)、ヒスチジン(-0.5)、システイン(-1.0)、メチオニン(-1.3)、バリン(-1.5)、ロイシン(-1.8)、イソロイシン(-1.8)、チロシン(-2.3)、フェニルアラニン(-2.5)、及びトリプトファン(-3.4)。
このような変化を生じさせるには、その疎水性親水性指標値が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、±1以内のアミノ酸が特に好ましく、±0.5以内のアミノ酸がさらに特に好ましい。
【0063】
本発明のさらなる局面では、本発明の1種以上の核酸分子は、1種以上のコドンが、最初にコードされたいたアミノ酸の保存的置換をコードするコドンと置換されているので、特異的な配列が本明細書で提供される核酸配列とは異なる。
本発明の薬剤は、本発明のタンパク質の少なくとも連続約10個のアミノ酸領域、さらに好ましくは、本発明のタンパク質の少なくとも連続約25、40、50、100、又は125個のアミノ酸領域を含む。
好ましい実施形態では、本発明のいずれの核酸分子も、植物細胞内で作用してmRNA分子の生産を引き起こすプロモーター領域に操作可能に結合され、そのプロモーターに結合している核酸分子は、当該プロモーターに対して異種である。本明細書では、“異種”は、一緒には天然に存在しないことを意味する。
【0064】
(タンパク質及びペプチド分子)
1分類の薬剤は、本発明の核酸薬剤によってコードされる1種以上のタンパク質若しくはその断片又はペプチド分子を含む。特に好ましい分類のタンパク質は、配列番号2と4及びそれらの断片から成る群より選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質である。タンパク質又はペプチド薬剤は、C-末端又はN-末端アミノ酸配列拡張部分を持ち得る。好ましい実施形態で使用される1分類のN-末端拡張部分は、色素体輸送ペプチドである。使用する場合、色素体輸送ペプチドは、N-末端配列に操作可能に結合し、それによって該薬剤ペプチド又はタンパク質の色素体への局在化を可能にすることができる。好ましい実施形態では、色素体標的配列は、CTP1配列である。別の実施形態では、該配列はCTP2配列である。
【0065】
本明細書で使用する場合、用語“タンパク質”又は“ペプチド分子”は、5個以上のアミノ酸を含むいずれの分子をも包含する。タンパク質が、限定するものではないが、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、リン酸化、又はオリゴマー形成のような、翻訳後修飾を含む修飾を受け得ることは技術的に周知である。従って、本明細書で使用する場合、用語“タンパク質”又は“ペプチド分子”は、何らかの生物学的又は非生物学的プロセスで修飾されたいずれのタンパク質をも包含する。用語“アミノ酸”は、すべての天然に存在するL-アミノ酸を指す。この定義は、ノルロイシン、ノルバリン、オルニチン、ホモシステイン、及びホモセリンを包含することを意味する。
1種以上のタンパク質若しくはその断片又はペプチド分子は、化学合成によって、さらに好ましくは、適切な細菌又は真核生物宿主内の発現によって生産される。発現のための適切な方法は、Sambrookらによる分子クローニング,実験室マニュアル,第2版,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,New York(1989)に、又は同様のテキストに記述されている。
【0066】
“タンパク質断片”は、そのアミノ酸配列が当該タンパク質のアミノ酸配列のサブユニットを含むペプチド又はポリペプチド分子である。タンパク質又は当該タンパク質から誘導されない1つ以上の追加のペプチド領域を含むその断片は、“融合”タンパク質である。このような分子は誘導体化され、炭化水素又は他の成分(キーホールカザガイヘモシアニンのような)を含み得る。本発明の融合タンパク質又はペプチド分子は、好ましくは組換え手段によって生産される。
別分類の薬剤は、保存的な非必須又は無関連のアミノ酸残基が付加、置換又は欠失されいる、配列番号2と4及びそれらの断片を含むタンパク質若しくはペプチド分子又はそれらの断片若しくは融合を含む。タンパク質構造の修飾を設計するためのコンピュータ化手段は技術的に公知である(Dahiyat及びMayo,Science 278:82-87 (1997))。
本発明のタンパク質は、相同体タンパク質でもあり得る。本明細書では、相同体タンパク質又はその断片は、二次種内の対応タンパク質又はその断片である。相同体は、分子進化又はDNAシャッフリング法によっても生産されるので、分子は、元の少なくとも1つの機能又は構造特性を保持している(例えば、米国特許第5,811,238号明細書参照)。
【0067】
別の実施形態では、相同体は、アルファルファ、アラビドプシス、大麦、ブロッコリ、キャベツ、キャノーラ、柑橘類、綿、ニンニク、オート麦、タマネギ、アマ、装飾植物、ピーナッツ、ペッパー、ジャガイモ、米、ライ麦、モロコシ、イチゴ、サトウキビ、サトウダイコン、トマト、小麦、ポプラ、パイン、モミ、ユーカリ、リンゴ、レタス、レンズマメ、ブドウ、バナナ、紅茶、芝草、ヒマワリ、大豆、トウモロコシ、及びインゲンマメから成る群より選択される。さらに詳細には、好ましい相同体は、キャノーラ、トウモロコシ、アラビドプシス、ハクサイ、アブラナ、大豆、アブラナ科ハマナ属の草木、カラシナ、トウゴマ、ピーナッツ、ゴマ、綿実、亜麻仁、紅花、アブラヤシ、アマ、及びヒマワリから選択される。さらに好ましい実施形態では、相同体は、キャノーラ、トウモロコシ、アラビドプシス、ハクサイ、アブラナ、大豆、ヒマワリ、紅花、アブラヤシ、及びピーナッツから選択される。好ましい実施形態では、相同体は大豆である。好ましい実施形態では、相同体は、キャノーラである。好ましい実施形態では、相同体はアブラナである。
好ましい実施形態では、本発明の核酸分子又はいずれかの補体及び断片を用いてこのような相同体を得ることができる。
【0068】
本発明の薬剤は、本発明のタンパク質の少なくとも約10個の連続アミノ酸領域、好ましくは少なくとも約20個の連続アミノ酸領域、さらに好ましくは少なくとも約25、35、50、75又は100個の連続アミノ酸領域を含む少なくとも10個の連続アミノ酸領域を含むタンパク質及びその断片を包含する。別の好ましい実施形態では、本発明のタンパク質は、約10〜約25個の連続アミノ酸領域、さらに好ましくは約20〜約50個の連続アミノ酸領域、さなおらに好ましくは約40〜約80個の連続アミノ酸領域を含む。
【0069】
(植物構成物及び植物形質転換体)
本発明の1種以上の核酸分子は、植物形質転換又は形質移入で使用することができる。外因性遺伝物質を植物細胞内に伝達し、その植物細胞を全体的に繁殖性又は繁殖不能の植物に再生させ得る。外因性遺伝物質は、天然に存在するか否かにかかわず、何らかの生物内に挿入できるいずれの起源由来のいずれの遺伝物質でもある。好ましい実施形態では、外因性遺伝物質は、二官能性プレフェン酸デヒドロゲナーゼ又はその断片、さらに好ましくは原核生物由来の二官能性プレフェン酸デヒドロゲナーゼ、なおさらに好ましくはエルウィニア-ヘルビコラ又は大腸菌由来の二官能性プレフェン酸デヒドロゲナーゼをコードする。好ましい実施形態では、外因性遺伝物質は、本発明の核酸分子、好ましくは、配列番号1と3、それらの補体、及びどちらかの断片から成る群より選択される配列を有する核酸分子を含む。別の実施形態では、外因性遺伝物質は、本発明の核酸分子、好ましくは、フィチルトランスフェラーゼ活性を有するタンパク質又はその断片をコードする核酸を含む。
【0070】
本発明の一実施形態では、TryA相同体又はその断片を含む外因性遺伝物質が、1種以上の付加遺伝子を有する植物中に導入される。一実施形態では、遺伝子の好ましい組合せとして、以下の遺伝子の2種以上を含む:tyrA、slr1736、ATPT2、dxs、dxr、GGH、GGPPS、HPPD、MT1、TMT2、GMT、AANT1、slr1737、及びホモゲンチジン酸ジオキシゲナーゼに対するアンチセンス構成物(Krindlら,Seed Sci. Res. 1:209:219(1991); Keegstra, Cell 56(2):247-53 (1989); Nawrathら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 91:12760-12764 (1994); Xiaら, J. Gen. Microbiol. 138:1309-1316 (1992); Cyanobase on the world wide web at www.kazusa.or.jp/cyanobase; Loisら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 95 (5):2105-2110 (1998); Takahashiら. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 95 (17), 9879-9884 (1998); Norrisら, Plant Physiol. 117:1317-1323 (1998); Bartley and Scolnik, Plant Physiol. 104:1469-1470 (1994), Smithら, Plant J. 11: 83-92 (1997); WO 00/32757; WO 00/10380; Saint Guilyら, Plant Physiol., 100(2):1069-1071 (1992); Satoら, J. DNA Res. 7 (1):31-63 (2000))。好ましい組合せでは、核酸構成物又は構造は、tyrAに加え、HPPD及びslr1736又はATPT2のどちらかをコードする。
【0071】
このような組合せでは、1種以上の遺伝子産物を、色素体標的配列の使用によって色素体に向けることができる。代わりに、1種以上の遺伝子産物を細胞質内に局在させることができる。このような遺伝子は、例えば、TyrA相同体又はその断片と共に単一の構成物上に導入され、又は同一の形質転換事象を除き異なる構成物上に導入され、又は別個の植物中に導入され、その後1回以上交雑して遺伝子の所望の組合せが生じる。このような組合せでは、好ましいプロモーターは、napinプロモーターであり、好ましい色素体標的配列はCTP1配列である。
【0072】
このような遺伝物質は、限定するものではないが、キャノーラ、トウモロコシ、大豆、アラビドプシスphaseolus、ピーナッツ、アルファルファ、小麦、米、オート麦、モロコシ、ライ麦、tritordeum、キビ、フェスキュー、多年生ドクムギ、サトウキビ、クランベリー、パパイヤ、バナナ、紅花、アブラヤシ、アマ、マスクメロン、リンゴ、キュウリ、デンドロビウム、グラジオラス、キク、ユリ、綿、ユーカリ、ヒマワリ、ハクサイ、アブラナ、芝草、サトウダイコン、コーヒー及びdioscoreaを含む単子葉植物と双子葉植物のどちらかに伝達することができ(Christou,Particle Bombardment for Genetic Engineering of Plants, Biotechnology Intelligence Unit. Academic Press, San Diego, California (1996))、キャノーラ、トウモロコシ、アラビドプシス、ハクサイ、アブラナ、大豆、アブラナ科ハマナ属の草木、カラシナ、トウゴマ、ピーナッツ、ゴマ、綿実、亜麻仁、紅花、アブラヤシ、アマ、及びヒマワリが好ましく、かつキャノーラ、トウモロコシ、アラビドプシス、ハクサイ、アブラナ、大豆、ヒマワリ、紅花、アブラヤシ、及びピーナッツが好ましい。さらに好ましい実施形態では、遺伝物質をキャノーラに伝達する。さらに好ましい実施形態では、遺伝物質をアブラナに伝達する。別のさらに好ましい実施形態では、遺伝物質を大豆に伝達する。
【0073】
タンパク質をコードする核酸の伝達の結果、形質転換細胞又はトランスジェニック植物内で当該タンパク質の発現又は過剰発現となる。本発明の核酸分子によってコードされる1種以上のタンパク質又はその断片は、形質転換細胞又は形質転換植物内で過剰発現され得る。このような発現又は過剰発現は、外因性遺伝物質の一過性又は安定的な伝達の結果である。
好ましい実施形態では、植物内における本発明のタンパク質又はその断片の発現又は過剰発現は、同様の遺伝的バックグラウンドを有する非形質転換植物に比し、当該植物内で高レベルのトコトリエノールを与える。
好ましい実施形態では、植物内における本発明のタンパク質又はその断片の発現又は過剰発現は、同様の遺伝的バックグラウンドを有する非形質転換植物に比し、当該植物内で高レベルのトコフェロールを与える。
好ましい実施形態では、植物内における本発明のタンパク質又はその断片の発現又は過剰発現は、同様の遺伝的バックグラウンドを有する非形質転換植物に比し、当該植物内で高レベルのα-トコフェロールを与える。
好ましい実施形態では、植物内における本発明のタンパク質又はその断片の発現又は過剰発現は、同様の遺伝的バックグラウンドを有する非形質転換植物に比し、当該植物内で高レベルのγ-トコフェロールを与える。
好ましい実施形態では、植物内における本発明のタンパク質又はその断片の発現又は過剰発現は、同様の遺伝的バックグラウンドを有する非形質転換植物に比し、当該植物内で高レベルのホモゲンチジン酸を与える。
好ましい実施形態では、植物内における本発明のタンパク質又はその断片の発現又は過剰発現は、同様の遺伝的バックグラウンドを有する非形質転換植物に比し、当該植物内で高レベルのプラストキノンを与える。
【0074】
いくつかの実施形態では、トコトリエノール、トコフェロール、α-トコフェロール、γ-トコフェロール、プラストキノール、プラストキノン又はホモゲンチジン酸を含むトコフェロール生合成経路の1種以上の産物のレベルを、10%、さらに好ましくは25%、50%、100%、200%、250%、1,000%、2,000%、又は2,500%まで高められる。産物のレベルは、植物のような生物の全体にわたって高められ、又は生物の1種以上の特定の器官若しくは組織内に局在化されうる。例えば、限定するものではないが、産物のレベルは、根、塊茎、幹、葉、柄、果実、液果、木の実、樹皮、さや、種子及び花を含む植物の1種以上の組織及び器官内で上昇し得る。
【0075】
別の実施形態では、本発明のタンパク質又はその断片の植物内における過剰発現は、同様の遺伝的バックグラウンドを有する非形質転換植物又は植物組織に比し、当該植物、又は当該植物の組織内で、高いレベルのプレフェン酸デヒドロゲナーゼを与える。
別の実施形態では、本発明のタンパク質又はその断片の形質転換植物内における過剰発現は、種々のストレスに対する耐性、例えば、酸素若しくはオゾンに対するような酸化ストレス耐性、UV耐性、耐冷性、又は真菌/細菌性病原耐性を与え得る。
本明細書で使用する場合、好ましい局面では、ストレスに対する耐性又は抵抗性は、冷たさのようなストレスを誘発したとき、ストレスに対するこのような耐性又は抵抗性のない植物より高収量を有する植物を生じさせる植物の能力によって決定される。本発明の特に好ましい局面では、ストレスに対する耐性又は抵抗性は、該植物が本発明のタンパク質又はその断片を発現又は過剰発現すること以外、その耐性又は抵抗性植物と同様の遺伝的バックグラウンドを有する植物と比較して測定される。
【0076】
このような目的のために設計したDNAベクター又は構成物の使用によって、外因性遺伝物質を宿主細胞中に伝達することができる(植物分子生物学:実験室マニュアル, Clark(ed.),Springer,New York(1997))。この発明のいくつかの実施形態では、tyrA、slr1736、ATPT2、dxs、dxr、GGH、GGPPS、HPPD、MT1、TMT2、GMT、AANT1、slr1737、及びホモゲンチジン酸ジオキシゲナーゼに対するアンチセンス構成物から成る群より選択される単一の遺伝子配列を所望の標的植物に伝達することができる。好ましい組合せでは、核酸構成物は、tryAに加え、HPPD及びslr1736又はATPT2のどちらかをコードする。所望活性を発現する標的植物は、tyrA、slr1736、ATPT2、dxs、dxr、GGH、GGPPS、HPPD、MT1、TMT2、GMT、AANT1、slr1737、及びホモゲンチジン酸ジオキシゲナーゼに対するアンチセンス構成物から成る群より選択される1種以上の他の遺伝子配列で形質転換した植物と1回以上交雑させて、その伝達された遺伝子配列由来の2種以上の所望活性を発現する植物を得ることができる。好ましい組合せでは、核酸構成物は、tyrAに加え、HPPD及びslr1736又はATPT2のどちらかをコードする。別の実施形態では、DNAベクター構成物は、単一のDNAベクター構成物による形質転換は、2種以上の遺伝子配列の発現をもたらすような、tyrA、slr1736、ATPT2、dxs、dxr、GGH、GGPPS、HPPD、MT1、TMT2、GMT、AANT1、slr1737、及びホモゲンチジン酸ジオキシゲナーゼに対するアンチセンス構成物から成る群より選択される2種以上の遺伝子配列を含む複数の遺伝子構成物でよい。好ましい組合せでは、核酸構成物は、tyrAに加え、HPPD及びslr1736又はATPT2のどちらかをコードする。
【0077】
構成物又はベクターは、選択したタンパク質又はタンパク質断片を発現させるための植物プロモーターを含むことができる。好ましい実施形態では、本明細書で述べるいずれの核酸分子も、植物内で作用してmRNA分子の生産を引き起こすプロモーター領域に操作可能に結合し得る。例えば、限定するものではないが、本明細書で述べるプロモーターのような植物内で作用してmRNA分子の生産を引き起こすいずれのプロモーターも使用することができる。好ましい実施形態では、プロモーターは植物プロモーターである。
【0078】
植物細胞内で活性な多くのプロモーターが文献に示されている。例えば、ノパリンシンターゼ(NOS)プロモーター(Ebertら, Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.)84:5745-5749 (1987))、オクトピンシンターゼ(OCS)プロモーター(アグロバクテリウムチュメファシエンスの腫瘍誘発プラスミド上に運ばれる)、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)19Sプロモーター(Lawtonら., Plant Mol. Biol. 9:315-324 (1987))及びCaMV 35Sプロモーター(Odellら, Nature 313:810-812 (1985))のようなcaulimovirusプロモーター、figwortモザイクウイルス35S-プロモーター、リブロース-1,5-ビス-リン酸カルボキシラーゼ(ssRUBISCO)の小サブユニット由来の光誘発可能プロモーターAdhプロモーター(Walkerら, Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 84:6624-6628 (1987)),スクロースシンターゼプロモーター(Yangら, Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 87:4144-4148 (1990))、R遺伝子複合プロモーター(Chandlerら, The Plant Cell 1:1175-1183 (1989))及びクロロフィルa/b結合タンパク質遺伝子プロモーター等が挙げられる。これらプロモーターを用いて、植物内で発現するDNA構成物を創造する。例えば、PCT公開WO84/02913号明細書を参照せよ。CaMV 35Sプロモーターは、植物内で使用するのに好適である。本発明では、植物内でDNAの転写を起こさせることが分かっているプロモーターを使用することができる。
【0079】
葉、種子、根又は幹のような植物の起源組織内で発現させる目的では、利用するプロモーターは、これら特有の組織内で相対的に高い発現を有する。本発明のタンパク質の組織特異的発現は、特に好ましい実施形態である。この目的では、組織若しくは細胞特異的又は増強した発現を有する遺伝子用の多数のプロモーターから選択することができる。文献で報告されているこのようなプロモーターの例としては、エンドウマメ由来の葉緑体グルタミンシンセターゼGS2プロモーター(Edwardsら, Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 87:3459-3463 (1990))、小麦由来の葉緑体フルクトース-1,6-ビホスファターゼ(FBPase)プロモーター(Lloydら, Mol. Gen. Genet. 225:209-216 (1991))、ジャガイモ由来の核光合成ST-LS1プロモーター(Stockhausら, EMBO J. 8:2445-2451 (1989))、シロイヌナズナ由来のセリン/スレオニンキナーゼ(PAL)プロモーター及びグルコアミラーゼ(CHS)プロモーターが挙げられる。また、光合成的に活性な組織内で活性であると報告されているeastern larch由来のリブロース-1,5-二リン酸カルボキシラーゼ(RbcS)プロモーター(Larix laricina)、マツ由来のcab遺伝子cab6用のプロモーター(Yamamotoら, Plant Cell Physiol. 35:773-778 (1994))、小麦由来のCab-1用プロモーター(Fejesら, Plant Mol. Biol. 15:921-932 (1990))、ホウレンソウ由来のCAB-1遺伝子用プロモーター(Lubberstedtら, Plant Physiol. 104:997-1006 (1994))、米由来のcab1R遺伝子用プロモーター(Luanら, Plant Cell. 4:971-981 (1992))、トウモロコシ由来のピルビン酸、正リン酸ジキナーゼ(PPDK)プロモーター(Matsuokaら, Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 90: 9586-9590 (1993))、タバコLhcb1*2遺伝子用プロモーター(Cerdan, Plant Mol. Biol. 33:245-255 (1997))、シロイヌナズナSUC2スクロース-H+共輸送体プロモーター(Truernitら, Planta. 196:564-570 (1995))及びホウレンソウ由来のチラコイド膜タンパク質用プロモーター(psaD, psaF, psaE, PC, FNR, atpC, atpD, cab, rbcS)が、光合成的に活性な組織内で活性であると報告されている。本発明では、白色カラシナ由来のLhcB遺伝子及びPsbP遺伝子用プロモーターのような葉緑素a/b結合タンパク質用の他のプロモーターを用いてもよい(Sinapis alba; Kretschら, Plant Mol. Biol. 28:219-229 (1995))。
【0080】
ジャガイモ植物の塊茎、トマトの果実、又はトウモロコシの種子、小麦、米、大麦のような植物のシンク(sink)組織内の発現の目的では、本発明で利用するプロモーターは、これら特定の組織内でかなり高い発現を示すことが好ましい。塊茎特異的又は塊茎強化発現の遺伝子用の多くのプロモーターが知られており、分類Iパタチンプロモーター(Bevanら, EMBO J. 8:1899-1906 (1986);Jeffersonら, Plant Mol. Biol. 14:995-1006 (1990))、ジャガイモ塊茎ADPGPP遺伝子、大小のサブユニットの両者用プロモーター、スクロースシンターゼプロモーター(Salanoubat及びBelliard, Gene 60:47-56 (1987),Salanoubat及びBelliard, Gene 84:181-185 (1989))、22 kd タンパク質複合体及びプロテアーゼインヒビターを含む主要な塊茎タンパク質用プロモーター(Hannapel, Plant Physiol. 101:703-704 (1993))、顆粒領域スターチシンターゼ遺伝子(GBSS)(Visserら, Plant Mol. Biol. 17:691-699 (1991))及び他の分類I及びIIのパタチンプロモーター(Koster-Topferら, Mol. Gen. Genet. 219:390-396 (1989); Migneryら, Gene. 62:27-44 (1988))が挙げられる。
【0081】
他のプロモーターを用いて、種子又は果実のような特定組織内でタンパク質又はその断片を発現させることができる。実際、好ましい実施形態では、用いるプロモーターは種子特異的プロモーターである。このようなプロモーターの例としては、napinのような遺伝子由来の5'調節領域(Krindlら,, Seed Sci. Res. 1:209:219 (1991))、ファゼオリン(Bustosら, Plant Cell, 1(9):839-853 (1989))、大豆トリプシンインヒビター(Riggsら, Plant Cell 1(6):609-621 (1989))、ACP(Baersonら, Plant Mol. Biol., 22(2):255-267 (1993))、ステアロイル-ACPデサチュラーゼ(Slocombeら,Plant Physiol.104(4):167-176 (1994))、b-コングリシニンの大豆a'サブユニット(soy 7s, (Chenら, Proc. Natl. Acad. Sci., 83:8560-8564 (1986)))、及びオレオシン(例えば、Hongら, Plant Mol. Biol., 34(3):549-555 (1997)参照)が挙げられる。さらなる例としては、β-コングリシニン用プロモーター(Chenら, Dev. Genet. 10: 112-122 (1989))が挙げられる。またトウモロコシの胚乳内で見られる1群の貯蔵タンパク質であるゼインも含まれる。ゼイン遺伝子のゲノミッククローンが単離されており(Pedersenら, Cell 29:1015-1026 (1982),Russellら, Transgenic Res. 6(2):157-168)、15kD、16kD、19kD、22kD、27kD及び遺伝子を含むこれらクローン由来のプロモーターも使用することができる。例えば、トウモロコシ内で作用することが分かっている他のプロモーターとして、以下の遺伝子用プロモーターが挙げられる:waxy、Brittle、Shrunken2、ブランチング酵素I及びII、スターチシンターゼ、デブランチング酵素、オレオシン、グルテリン(glutelins)及びスクロースシンターゼ。トウモロコシ胚乳発現用で特に好ましいプロモーターは、米由来のグルテリン用プロモーター、さらに好ましくはOsgt-1プロモーターである(Zhengら, Mol. Cell Biol. 13:5829-5842 (1993))。小麦内での発現に好適なプロモーターの例としては、ADPグルコースピロシンターゼ(ADPGPP)サブユニット用プロモーター、顆粒領域及び他のスターチシンターゼ、ブランチング及びデブランチング酵素、胚発生豊富タンパク質、グリアジン及びグルテニンが挙げられる。米内のこのようなプロモーターの例としては、ADPGPPサブユニット用プロモーター、顆粒領域及び他のスターチシンターゼ、ブランチン酵素、デブランチング酵素、スクロースシンターゼ及びグルテニンが挙げられる。特に好ましいプロモーターは、米グルテニン用プロモーター、Osgt-1である。大麦用のこのようなプロモーターの例としては、ADPGPPサブユニット用プロモーター、顆粒領域及び他のスターチシンターゼ、ブランチング酵素、デブランチング酵素、スクロースシンターゼs、ホルデイン、胚グロブリン及びアリューロン特異性タンパク質が挙げられる。種子内での発現用の好ましいプロモーターは、napinプロモーターである。
【0082】
根特異的プロモーターも使用できる。このようなプロモーターの例は、酸キチナーゼ遺伝子である(Samacら, Plant Mol. Biol. 25:587-596 (1994))。根組織内での発現は、同定されているCaMV35Sプロモーターの根特異的サブドメインを用いても達成することができる(Lamら, Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 86:7890-7894 (1989))。他の根細胞特異的プロモーターとしては、Conklingらによって報告されているプロモーターが挙げられる(Conklingら, Plant Physiol. 93:1203-1211 (1990))。
利用できるさらなるプロモーターは、例えば、米国特許第5,378,619;5,391,725;5,428,147;5,447,858;5,608,144;5,608,144;5,614,399;5,633,441;5,633,435;及び4,633,436号に記載されている。さらに、組織特異的エンハンサーも使用できる(Frommら, The Plant Cell 1:977-984 (1989))。
【0083】
問題のコーディング領域を有する構成物又はベクターは、全体的又は部分的に作用して当該領域の転写を終結させる核酸配列をも含む。Tr7 3'配列及びNOS 3'配列を含む多くのこのような配列が単離されている(Ingelbrechtら, The Plant Cell 1:671-680 (1989); Bevanら, Nucleic Acids Res. 11:369-385 (1983))。同様にこの発明の植物発現構成物内で調節転写終結領域が提供され得る。転写終結領域は、問題の遺伝子をコードするDNA配列又は異なる遺伝子源由来の好都合な転写終結領域、例えば、生来該転写終結領域と関連している転写終結領域によって与えられる。熟練技術者は、植物細胞内で転写を終結させることのできるいずれの好都合な転写終結領域も本発明の構成物に利用できることを認識している。
ベクター又は構成物は、調節要素をも含むことができる。このような要素の例としては、Adhイントロン1(Callisら, Genes and Develop. 1:1183-1200 (1987))、スクロースシンターゼイントロン(Vasilら, Plant Physiol. 91:1575-1579 (1989))及びTMVオメガ要素が挙げられる(Gallieら, The Plant Cell 1:301-311 (1989))。適宜、これら及び他の調節要素が含まれる。
【0084】
ベクター又は構成物は、選択可能標識を含むこともできる。選択可能標識を用いて、外因性遺伝物質を含有する植物又は植物細胞を選択することもできる。このような標識の例としては、限定するものではないが、以下:カナマイシン抵抗性をコードし、かつカナマイシンの使用を選択できるネオ遺伝子、RptII、G418、hpt等(Potrykusら, Mol. Gen. Genet. 199:183-188 (1985));ビアラホス(bialaphos)抵抗性をコードするバー遺伝子;グリフォセート抵抗性をコードする突然変異体EPSPシンターゼ遺伝子(Hincheeら, Bio/Technology 6:915-922 (1988); Reynaertsら, 選択可能及びスクリーニング可能標識,Gelvin及びSchilperoort.植物分子生物学マニュアル, Kluwer, Dordrecht (1988); Reynaertsら, 選択可能及びスクリーニング可能標識,Gelvin and Schilperoort. 植物分子生物学マニュアル, Kluwer, Dordrecht (1988)), aadA (Jonesら, Mol. Gen. Genet. (1987));ブロモキシニルに対する抵抗性を与えるニトリラーゼ遺伝子 (Stalkerら, J. Biol. Chem. 263:6310-6314 (1988));イミダゾリノン又はスルホニルウレア抵抗性を与える突然変異体アセトラクテートシンターゼ遺伝子(ALS)(欧州特許出願第154,204号(1985年9月11日))、ALS(D'Halluinら, Bio/Technology 10: 309-314 (1992))、及びメトトレキセート抵抗性DHFR遺伝子(Thilletら, J. Biol. Chem. 263:12500-12508 (1988))が挙げられる。ベクター又は構成物は、輸送ペプチドも含み得る。
【0085】
適切な葉緑体輸送ペプチドの組込みも利用できる(欧州特許出願第0218571号)。翻訳エンハンサーをベクターDNAの一部として組み込むこともできる。DNA構成物は、結果のmRNA転写物からの遺伝子産物の発現を促進するために役立つ1種以上の5'非翻訳リーダー配列を含むことができる。このような配列は、該遺伝子を発現させるために選択されるプロモーターから導かれ又は特異的に修飾して該mRNAの翻訳を増やすことができる。このような領域は、ウイルス性RNA、適切な真核生物、又は合成遺伝子配列からも得ることができる。導入遺伝子の発現を最適化するレビューのため、Kozielら,Plant Mol. Biol. 32:393-405(1996)を参照せよ。好ましい輸送ペプチドはCTP1である。別の実施形態では、輸送ペプチドはCTP2配列である。
【0086】
ベクター又は構成物は、スクリーニング可能な標識を含むこともできる。スクリーニング可能な標識を用いて発現をモニターすることができる。スクリーニング可能な標識の例としては、種々の色素生産性基質が知られている酵素をコードするβ-グルクロニダーゼ又はuidA遺伝子(GUS)(Jefferson, Plant Mol. Biol, Rep. 5:387-405 (1987); Jeffersonら, EMBO J. 6:3901-3907 (1987));植物組織内でアントシアニン色素(赤色)の生産を調節する産物をコードするR-座遺伝子(Dellaportaら, Stadler Symposium 11:263-282 (1988));β-ラクタマーゼ遺伝子(Sutcliffeら, Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 75:3737-3741 (1978))、種々の色素生産性基質が知られている酵素をコードする遺伝子(例えば、PADAC、色素生産性セファロスポリン);ルシフェラーゼ遺伝子(Owら, Science 234:856-859 (1986));色素生産性カテコールを変換できるカテコールジオキシゲナーゼをコードするxylE遺伝子(Zukowskyら, Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 80:1101-1105 (1983));α-アミラーゼ遺伝子(Ikatuら, Bio/Technol. 8:241-242 (1990));チロシンをDOPA及びドーパキノンに酸化し、順次メラニンに縮合することができる酵素をコードするチロシナーゼ遺伝子(Katzら, J. Gen. Microbiol. 129:2703-2714 (1983));色素生産性α-ガラクトース基質に変わるα-ガラクトシダーゼが挙げられる。
【0087】
用語“選択可能又はスクリーニング可能な標識遺伝子”には、その分泌が、形質転換細胞を同定又は選択する手段として検出され得る分泌可能標識をコードする遺伝子も含まれる。例として、抗体相互作用によって検出され得る分泌可能抗原、又は触媒的に検出され得る分泌可能酵素でさえコードする標識が挙げられる。分泌可能タンパク質は、多数の分類に区分され、検出可能な(例えば、ELISAによって)小さい拡散性タンパク質、細胞外溶液(例えば、α-アミラーゼ、β-ラクタマーゼ、フォスフィノスリシントランスフェラーゼ)内で検出可能な小さい活性酵素、又は細胞壁中に挿入若しくは捕捉されるタンパク質(伸長若しくはタバコPR-Sの発現ユニット内に見られるようなリーダー配列を含むタンパク質)が挙げられる。他の可能性のある選択可能及び/又はスクリーニング可能な標識遺伝子は、本技術の当業者には明かだろう。
【0088】
形質転換核酸分子を植物細胞中に導入する多くの方法がある。好適な方法は、実質的には、アグロバクテリウム感染によってのような細胞中に核酸分子を導入できる方法、又は例えばPEG-媒介形質転換、エレクトロポレーション若しくはDNA被覆粒子の加速などによってのような核酸分子の直接送達が含まれる方法のいずれも含むと考えられる(Potrykus, Ann. Rev. Plant Physiol. Plant Mol. Biol. 42:205-225 (1991); Vasil, Plant Mol. Biol. 25:925-937 (1994))。例えば、エレクトロポレーションを利用してトウモロコシプロトプラストを形質転換した(Frommら, Nature 312:791-793 (1986))。
宿主植物細胞内に形質転換DNAを導入するのに好適な他のベクター系としては、限定するものではないが、バイナリー人工染色体(BIBAC)ベクター(Hamiltonら, Gene 200:107-116 (1997));及びRNAウイルスベクターによる形質移入(Della-Cioppaら, Ann. N.Y. Acad. Sci. (1996), 792 (商業生産及び用途のエンジニアリング植物), 57-61)が挙げられる。さらなるベクター系には、Mullenら,Molecular Breeding 4:449-457 (1988)に記述されているベクターのような植物選択可能YACベクターも含まれる。
【0089】
DNAの細胞中への導入技術は、本技術の当業者には周知である。遺伝子を細胞中に送達するため、以下の4つの一般的な方法が記述されている:(1)化学的方法(Graham及びvan der Eb, Virology 54:536-539 (1973));(2)マイクロインジェクション(Capecchi, Cell 22:479-488 (1980))、エレクトロポレーション(Wong及びNeumann, Biochem. Biophys. Res. Commun. 107:584-587 (1982);Frommら, Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 82:5824-5828 (1985);米国特許第5,384,253号);遺伝子銃(Johnston及びTang, Methods Cell Biol. 43:353-365 (1994));及び真空浸潤法(Bechtoldら, C.R. Acad. Sci. Paris, Life Sci. 316:1194-1199. (1993))のような物理的方法;(3)ウイルスベクター(Clapp, Clin. Perinatol. 20:155-168 (1993);Luら, J. Exp. Med. 178:2089-2096 (1993);Eglitis及びAnderson, Biotechniques 6:608-614 (1988));及び(4)受容体媒介メカニズム(Curielら, Hum. Gen. Ther. 3:147-154 (1992), Wagnerら, Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 89:6099-6103 (1992))。
【0090】
使用可能な加速法としては、例えば、微粒子銃などが挙げられる。形質転換核酸分子を植物細胞中に送達する方法の一例は、微粒子銃である。この方法は、Yang及びChristou (eds.), 遺伝子伝達のための微粒子銃技術, Oxford Press, Oxford, England (1994)でレビューされている。非生物学的粒子(微粒子)は、核酸で被覆されていてよいく、推進力によって細胞内に送達することができる。微粒子の例としては、タングステン、金、白金などを含むものが挙げられる。
微粒子銃の具体的な利点は、モノコット(monocots)を再現性よく形質転換する有効な手段であることに加え、プロトプラストの単離(Cristouら, Plant Physiol. 87:671-674 (1988))もアグロバクテリウム感染の感受性も必要ないことである。トウモロコシ細胞中にDNAを送達する方法の例示的実施形態は、微粒子銃α-粒子送達システムであり、これを使用して、ステンレススチール又はNytexスクリーンのようなスクリーンを通じてDNAで被覆された粒子を、懸濁液内で培養しているトウモロコシ細胞と変換されたフィルターの表面上に推進することができる。Gordon-Kammらは、DNAでタングステン粒子を被覆するための基礎前駆体について記述している (Gordon-Kammら, Plant Cell 2:603-618 (1990))。スクリーンがタングステン核酸粒子を拡散させるので、それら粒子は大きいアグロメレート内のレシピエントに送達されない。本発明の用途に好適な粒子送達システムはヘリウム加速PDS-1000/He銃であり、Bio-Rad研究所から入手可能である(Bio-Rad, Hercules, California)(Sanfordら, Technique 3:3-16 (1991))。
【0091】
ボンバードのため、懸濁液内の細胞をフィルター上で濃縮してよい。ボンバードすべき細胞を含有するフィルターは、微粒子停止プレートの前に適切な距離で配置される。所望により、銃とボンバードすべき細胞との間に1種以上のスクリーンも配置される。
これとは別に、未成熟胚又は他の標的細胞を固体培地上に配置することができる。ボンバードすべき細胞が微粒子停止プレートの前に適切な距離で配置される。所望により、銃とボンバードすべき細胞との間に1種以上のスクリーンも配置される。本明細書で述べる技術を用いて、標識遺伝子を過渡的に発現する細胞の1000以上の座を得ることができる。ボンバード48時間後に外因性遺伝子産物を発現する中心内の細胞数は、多くは1〜10の範囲であり、平均1〜3である。
【0092】
ボンバード形質転換では、プレボンバード培養条件とボンバードパラメーターを最適化して、最大数の安定形質転換体を得ることができる。この方法では、ボンバードの物理的及び生物学的な両パラメーターが重要である。物理的因子は、DNA/ミクロ噴出性沈殿の操作に関与する因子又はマクロ-若しくはミクロ噴出性のどちらかの飛行及び速度に影響する因子である。生物学的因子としては、ボンバードの前と直後の細胞の操作に関与する全工程、ボンバードに伴う外傷の軽減を助けるための標的細胞の浸透圧調整、及び線形DNA又は高次コイルプラスミドのような形質転換DNAの性質も挙げられる。未成熟胚の形質転換を成功させるには、プレボンバード操作が重要であると考えられる。
別の代替実施形態では、色素体を安定して形質転換することができる。高等植物における色素体形質転換のために開示されている方法としては、選択可能標識を含有するDNAの微粒子銃及び相同組換えによって該DNAを色素体ゲノムに向けて標的するという微粒子銃送達が挙げられる(Svabら, Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 87:8526-8530 (1990);Svab及びMaliga, Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 90:913-917 (1993);Staub及びMaliga, EMBO J. 12:601-606 (1993);米国特許第5,451,513号及び第5,545,818号)。
【0093】
従って、小規模研究で種々の局面のボンバードパラメーターを調整して該条件を完全に最適化することを望めると考えられる。特にギャップ距離、飛行距離、組織距離及びヘリウム圧力のような物理的パラメーターを調整することが望ましい。レシピエント細胞の生理的状態に影響し、それゆえに形質転換及び組込み効率に影響する条件を修正することで、外傷低減因子を最少にすることもできる。例えば、レシピエント細胞の浸透圧状態、組織水和及び継代培養段階又は細胞周期を最適形質転換に合わせて調整することができる。他の決まりきった調整の実行は、本開示に照らし、本技術の当業者には分かるだろう。
【0094】
アグロバクテリウム媒介伝達は、該DNAを全植物組織内に導入でき、それによってプロトプラストから無処置植物の再生の必要を迂回できるので、植物細胞中に遺伝子を導入するため広範に適用できるシステムである。DNAを植物細胞中に導入するためにアグロバクテリウム媒介植物組込みベクターを使用することは技術的に周知である。例えば、Fraleyら, Bio/Technology 3:629-635 (1985)及びRogersら, Methods Enzymol. 153:253-277 (1987)を参照せよ。さらにTi-DNAの組込みは、ほとんど再配列されない比較的正確なプロセスである。伝達すべきDNAの領域が、境界配列によって画定され、かつ介在DNAが述べられているような植物中に通常挿入されている(Spielmannら, Mol. Gen. Genet. 205:34 (1986))。
【0095】
最近のアグロバクテリウム形質転換ベクターは、アグロバクテリウムのみならず大腸菌内で複製でき、述べられているように便利な操作を可能にする(Kleeら, 植物DNA感染性物物質,Hohn及びSchell (eds.), Springer-Verlag, New York, pp. 179-203 (1985))。さらに、アグロバクテリウム媒介遺伝子伝達用ベクターの技術進歩によって、ベクター内における遺伝子及び制限部位の配列を改善し、種々のポリペプチドコーディング遺伝子を発現可能なベクターの構築を容易にした。記述されているベクターは、挿入したポリペプチドコーディング遺伝子の直接発現用プロモーター及びポリアデニル化部位に隣接している便利なマルチリンカー領域を有しており、本目的に好適である(Rogersら, Methods Enzymol. 153:253-277 (1987))。さらに、武装した及び非武装の両Ti遺伝子を含有するアグロバクテリウムを形質転換に使用することができる。アグロバクテリウム媒介形質転換が有効な当該植物株では、該遺伝子伝達の容易さ及び定義済み性質のためこの方法が選択される。
【0096】
アグロバクテリウム形質転換法を用いて生成したトランスジェニック植物は、通常1つの染色体上に単一の遺伝子を含む。このようなトランスジェニック植物は、その付加した遺伝子に対してヘテロ接合性であると言うことができる。さらに好ましくは、付加した構造遺伝子に対してホモ接合性であるトランスジェニック植物、すなわち、2つの付加遺伝子、染色体対の各染色体上の同一座に1つの遺伝子を含むトランスジェニック植物である。ホモ接合性トランスジェニック植物は、独立的な分離個体、すなわち生産した種子のいくつかを発芽させる単一の付加遺伝子を含有するトランスジェニック植物を雌雄交配(自家受粉)させ、かつ生産した結果植物を問題の遺伝子について解析することによって得ることができる。
【0097】
2つの異なるトランスジェニック植物を交配させても、2つの独立の分離した外因性遺伝子を含有する子孫を生産できることも理解される。適切な子孫の自家受粉は、問題のポリペプチドをコードする、付加した外因性の両遺伝子に対してホモ接合性である植物を生産できる。植物性増殖のように、親植物への戻し交配及び非トランスジェニック植物との異系交配も考慮される。
植物プロトプラストの形質転換は、リン酸カルシウム沈殿法、ポリエチレングリコール処理、エレクトロポレーション及びこれら処理の組合せに基づいた方法を用いて達成することができる(例えば、Potrykusら, Mol. Gen. Genet. 205:193-200 (1986);Lorzら, Mol. Gen. Genet. 199:178 (1985);Frommら, Nature 319:791 (1986);Uchimiyaら, Mol. Gen. Genet. 204:204 (1986);Marcotteら,Nature 335:454-457 (1988)参照)。
【0098】
これらシステムの異なる植物株への適用は、プロトプラストから当該特定の植物株を再生する能力に依存する。プロトプラストからの穀類の再生方法が例示されている(Fujimuraら,植物組織培養レター 2:74 (1985);Toriyamaら, Theor. Appl. Genet. 205:34 (1986);Yamadaら, Plant Cell Rep. 4:85 (1986);Abdullahら, Biotechnology 4:1087 (1986))。
プロトプラストからうまく再生できない植物株を形質転換するためには、無処置細胞又は組織中にDNAを導入する他の方法を利用できる。例えば、記述されているように、未成熟胚から穀類の再生を果たすことができる(Vasil, Biotechnology 6:397 (1988))。さらに、“微粒子銃”又は高速微粒子噴出法を利用できる(Vasilら, Bio/Technology 10:667 (1992))。
後者の方法を用いると、記述されているように、DNAは細胞壁を通じて小さい金属粒子の表面上の細胞質内に運ばれる(Kleinら, Nature 328:70 (1987);Kleinら, Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 85:8502-8505 (1988);McCabeら, Bio/Technology 6:923 (1988))。金属粒子は、数層の細胞を通じて浸透し、ひいては組織移植片内の細胞を形質転換させる。
細胞形質転換の他の方法、限定するものではないが、花粉中への直接DNA伝達(Hessら, Intern Rev. Cytol. 107:367 (1987);Luoら, Plant Mol Biol. Reporter 6:165 (1988))、DNAの植物の再生器官中への直接注入(Penaら, Nature 325:274 (1987))、又はDNAを未成熟胚の細胞内へ注入後、乾燥した胚の再水和(Neuhausら, Theor. Appl. Genet. 75:30 (1987))によって植物にDNAを導入する方法も使用できる。
【0099】
単一植物のプロトプラスト形質転換体又は種々の形質転換移植片からの再生、発生及び培養は技術的に周知である(Weissbach及びWeissbach,植物分子生物学の方法, Academic Press, San Diego, CA, (1988))。この再生及び成長プロセスは、通常、形質転換した細胞の選択工程、根のついた小植物段階中の胚発生という通常の段階にわたって当該個別化した細胞を培養する工程を含む。トランスジェニック胚及び種子も同様に再生される。その結果の形質転換した根のついた新芽が土壌のような適切な植物成長培地内に植えられる。
問題のタンパク質をコードする外来性の外因性遺伝子を含有する植物の発生又は再生は、技術的に周知である。好ましくは、再生植物は、自家受粉してホモ接合性のトランスジェニック植物を与える。そうでなければ、再生植物から得た花粉を農学的に重要な系統の種子成長植物に交配する。逆に、これら重要な系統の植物由来の花粉を用いて再生植物に受粉する。所望のポリペプチドを含有する本発明のトランスジェニック植物は、技術的に周知の方法を用いて培養される。
植物組織から植物を再生するための種々の方法がある。再生の特定の方法は、出発植物組織及び再生すべき特定の植物種によって決まる。
【0100】
主にアグロバクテリウムチュメファシエンスの使用によって双子葉類を形質転換してトランスジェニック植物を得る方法は、綿(米国特許第5,004,863号;米国特許第5,159,135号;米国特許第5,518,908号);大豆(米国特許第5,569,834号;米国特許第5,416,011号;McCabeら, Biotechnology 6:923 (1988);Christouら, Plant Physiol. 87:671-674 (1988));アブラナ属(米国特許第5,463,174号);ピーナッツ(Chengら, Plant Cell Rep. 15:653-657 (1996), McKentlyら, Plant Cell Rep. 14:699-703 (1995));パパイヤ;エンドウマメ(Grantら, Plant Cell Rep. 15:254-258 (1995));及びシロイヌナズナ(Bechtoldら, C.R. Acad. Sci. Paris, Life Sci. 316:1194-1199 (1993))について公表されている。シロイヌナズナを形質転換する後者の方法は、一般に“浸漬”又は真空浸潤又は生殖質形質転換と呼ばれる。
【0101】
エレクトロポレーション、微粒子銃及びアグロバクテリウムを用いた単子葉類の形質転換も報告されている。形質転換と植物再生は、アスパラガス(Bytebierら, Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 84:5354 (1987));大麦(Wan及びLemaux,Plant Physiol 104:37 (1994));トウモロコシ(Rhodesら, Science 240:204 (1988);Gordon-Kammら, Plant Cell 2:603-618 (1990);Frommら, Bio/Technology 8:833 (1990);Kozielら, Bio/Technology 11:194 (1993);Armstrongら, Crop Science 35:550-557 (1995));オート麦(Somersら, Bio/Technology 10:1589 (1992));果樹園草(Hornら, Plant Cell Rep. 7:469 (1988));米(Toriyamaら, Theor Appl. Genet. 205:34 (1986);Partら, Plant Mol. Biol. 32:1135-1148 (1996);Abediniaら, Aust. J. Plant Physiol. 24:133-141 (1997);Zhang及びWu, Theor. Appl. Genet. 76:835 (1988);Zhangら, Plant Cell Rep. 7:379 (1988);Battraw及びHall, Plant Sci. 86:191-202 (1992);Christouら, Bio/Technology 9:957 (1991));ライ麦(De la Penaら, Nature 325:274 (1987));サトウキビ(Bower及びBirch, Plant J. 2:409 (1992));トールフェスク(Wangら, Bio/Technology 10:691 (1992))及び小麦(Vasilら, Bio/Technology 10:667 (1992);米国特許第5,631,152号)中で行われた。
【0102】
クローン化核酸構成物の一過性発現に基づいた遺伝子発現の分析は、ポリエチレングリコール処理、エレクトロポレーション、又は微粒子銃によって植物細胞内に核酸分離を導入することによって展開される(Marcotteら, Nature 335:454-457 (1988);Marcotteら, Plant Cell 1:523-532 (1989);McCartyら, Cell 66:895-905 (1991);Hattoriら, Genes Dev. 6:609-618 (1992);Goffら, EMBO J. 9:2517-2522 (1990))。一過性発現系を用いて機能的に遺伝子構成物を精査することができる(一般的には、Mailgaら,植物分子生物学の方法, Cold Spring Harbor Press (1995)を参照せよ)。
本発明のいずれの核酸分子も、ベクター、プロモーター、エンハンサー等のような他の遺伝的要素と組み合わせて永久的又は過渡的様式で植物細胞内に導入することができる。さらに、本発明のいずれの核酸分子も、該核酸分子によってコードされるタンパク質又はその断片の発現又は過剰発現を可能にするように植物細胞内に導入することができる。
【0103】
共抑制は、発現レベル、通常特定の内因性遺伝子又は遺伝子ファミリーのRNAのレベルの、その内因性遺伝子の転写物と同一鎖のmRNAを転写できる相同性センス構成物の発現による低下である(Napolirら, Plant Cell 2:279-289 (1990);van der Krolら, Plant Cell 2:291-299 (1990))。共抑制は、該細胞と共に見られる核酸配列に相同性である単一コピー核酸分子(Prolls及びMeyer, Plant J. 2:465-475 (1992))又は該細胞と共に見られる核酸配列に相同性である核酸分子の多コピー(Mittlestenら, Mol. Gen. Genet. 244:325-330 (1994))による安定した形質転換から起こり得る。相同性プロモーターに結合している遺伝子は、異なっていても、その結合遺伝子の共抑制という結果になり得る(Vaucheret, C.R. Acad. Sci. III 316:1471-1483 (1993);Flavell, Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 91:3490-3496 (1994));van Bloklandら, Plant J. 6:861-877 (1994);Jorgensen, Trends Biotechnol. 8:340-344 (1990);Meins及び Kunz, 植物の遺伝子相互作用及び相同組換え, Paszkowski (ed.), pp. 335-348, Kluwer Academic, Netherlands (1994))。
【0104】
本発明の1種以上の核酸を植物細胞内に導入し、適切なプロモーターを用いて転写することができ、該転写の結果内因性タンパク質の共抑制となることが分かる。
アンチセンスアプローチは、遺伝物質を標的にすることで遺伝機能を妨げ、又は低減する方法である(Molら, FEBS Lett. 268:427-430 (1990))。アンチセンスアプローチの目的は、標的遺伝子に相補的な配列を使用して、その発現を遮断し、かつ単一の選択したタンパク質のレベルが選択的に低減又は撤廃される突然変異細胞系又は生物体を造ることである。アンチセンス法には、他の‘逆遺伝的’アプローチを越えるいくつかの利点がある。不活性化の部位及びその発生効果は、アンチセンス遺伝子用プロモーターの選択、又は外部適用若しくはマイクロインジェクションのタイミングによって操作することができる。アンチセンスは、標的遺伝子のユニークな領域又は他の関連遺伝子に対する相同性を共有する領域のどちらかを選択することで、その特異性を操作することができる(Hiattら, 遺伝子工学, Setlow (ed.), Vol. 11, New York: Plenum 49-63 (1989))。
【0105】
アンチセンスRNA法は、標的mRNAに相補的なRNAの細胞中への導入を含み、その結果、アンチセンス基質と標的mRNAとの間の塩基対合によって形成される特異的なRNA:RNA複合体が生じる(Greenら, Annu. Rev. Biochem. 55:569-597 (1986))。一実施形態では、このプロセスは、アンチセンス遺伝子配列の導入及び発現を含む。このような配列は、普通の遺伝子配列の一部又は全部が、プロモーターの存在下、‘間違った’又は相補的な鎖が、標的mRNAとハイブリダイズしてその発現を妨害する非コーディングアンチセンスRNAに転写されるように、逆配向に配置されている配列である(Takayama及び, Crit. Rev. Biochem. Mol. Biol. 25:155-184 (1990))。アンチセンスベクターは、標準的な手段で構築され、形質転換、形質移入、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、感染などによって細胞中に導入される。形質転換のタイプ及びベクターの選択は、発現が一過性であるか安定的であるかを決定する。アンチセンス遺伝子に使用されるプロモーターは、該アンチセンス阻害のレベル、タイミング、組織、特異性、又は誘導能に影響し得る。
植物細胞内のタンパク質の活性は、その非転写鎖がタンパク質又はその断片をコードする核酸分子を含有する形質転換植物細胞を成長させることによって低減又は抑制することができる。
【0106】
転写後遺伝子サイレンシング(PTGS)の結果、植物内のウイルス免疫又は遺伝子サイレンシングとなり得る。PTGSはdsRNAによって導入され、細胞質内に存在し、dsRNA鋳型を必要とするRNA-依存性RNAポリメラーゼに媒介される。dsRNAは、同一転写物の相補性導入遺伝子mRNAs又は相補性領域のハイブリダイゼーションによって形成される。二本鎖形成は、植物ゲノム内にごく近接して配置された1つのセンス遺伝子と1つのアンチセンス遺伝子由来の転写物、自己相補性を有する単一の転写物、又は交配よって一緒に導かれたセンス及びアンチセンス転写物を用いて達成することができる。dsRNA-依存性RNAポリメラーゼは、導入遺伝子mRNA由来の相補鎖を作り、RNAse分子がこの相補鎖(cRNA)に結合する。このcRNA-RNase分子が内遺伝子mRNAにハイブリダイズし、そのハイブリッドに隣接した一本鎖RNAを切断する。切断された一本鎖RNAsは、一方はキャップド5'末端を欠き、他方はポリ(A)尾部を欠いているので、他の宿主RNasesによってさらに分解される(Waterhouseら, PNAS 95: 13959-13964 (1998))。
【0107】
本発明の1種以上の核酸を植物細胞内に導入し、適切なプロモーターを用いて転写し、該転写の結果、内因性転写物の転写後遺伝子サイレンシングをもたらすことが分かる。
植物内で抗体が発現した(Hiattら, Nature 342:76-78 (1989); Conrad及びFielder, Plant Mol. Biol. 26:1023-1030 (1994))。scFv(単一鎖Fv抗体)の細胞質発現は、朝鮮アザミ斑点縮れ(crinkle)ウイルスによる感染を遅延させると報告されている。内因性タンパク質に向けた抗体を発現するトランスジェニック植物は、生理的効果を示し得る(Philipsら, EMBO J. 16:4489-4496 (1997); Marion-Poll, Trends in Plant Science 2:447-448 (1997))。例えば、発現した抗-アブシジン抗体は、種子発生の一般的な混乱をもたらすと報告されている(Philipsら, EMBO J. 16: 4489-4496 (1997))。
【0108】
触媒的である抗体は、植物内でも発現し得る(アブザイム)。アブザイムの原理は、抗体は多くの分子に対して産生され得るので、この認識能力が、遷移状態を結びつけて化学反応を前へ進める抗体の生成に向けて方向づけできるということである(Persidas, Nature Biotechnology 15:1313-1315 (1997); Bacaら, Ann. Rev. Biophys. Biomol. Struct. 26:461-493 (1997))。アブザイムの触媒能力は、部位特異的突然変異によって促進することができる。アブザイムの例は、例えば米国特許第5,658,753号;米国特許第 5,632,990号;米国特許第5,631,137号;米国特許第5,602,015号;米国特許第5,559,538号;米国特許第5,576,174号;米国特許第5,500,358号;米国特許第5,318,897号;米国特許第5,298,409;米国特許第5,258,289号及び米国特許第5,194,585号に示されている。
【0109】
本発明のいずれの抗体も、植物内で発現し、該発現の結果生理的効果をもたらし得ることが分かる。また、発現したいずれの抗体も触媒的であり得ることも分かる。
本発明の植物表現型の変形は、問題の核酸が導入されていない同様の遺伝的バックグラウンドを有する植物に関係し得る。好ましい局面では、同様の遺伝的バックグラウンドは、比較される生物が50%以上の核遺伝物質を共有するバックグラウンドである。さらに好ましい局面では、同様の遺伝的バックグラウンドは、比較される生物が75%以上、さらに好ましくは90%以上の核遺伝物質を共有するバックグラウンドである。別のなおさらに好ましい局面では、同様の遺伝的バックグラウンドは、比較される生物が植物であり、かつ植物形質転換法を用いて最初に導入された遺伝物質を除き、植物が同質遺伝子的である。
【0110】
本発明は、本発明の植物の一部、特に生殖又は貯蔵部分をも提供する。植物の部分としては、限定するものではないが、種子、胚乳、胚珠及び花粉が挙げられる。本発明の特に好ましい実施形態では、植物の部分は種子である。一実施形態では、種子は動物の食餌の構成成分である。
別の実施形態では、植物の部分は果実、さらに好ましくは貯蔵寿命が改善された果実である。別の好ましい実施形態では、果実は増加したトコフェロールレベルを有する。
本発明は、10,000、さらに好ましくは20,000、なおさらに好ましくは40,000個を超える種子で、その10%、さらに好ましくは25%、さらに好ましくは50%、なおさらに好ましくは75%又は90%を超える種子が本発明の植物から誘導される種子の容器をも提供する。
本発明は、10kg、さらに好ましくは25kg、なおさらに好ましくは50kgを超える種子で、その10%、さらに好ましくは25%、さらに好ましくは50%、なおさらに好ましくは75%又は90%を超える種子が本発明の植物から誘導される種子の容器をも提供する。
【0111】
本発明のいずれの植物又はその一部を処理しても、飼料、食事、タンパク質又は油製剤を製造することができる。この目的で特に好ましい植物の部分は種子である。好ましい実施形態では、飼料、食事、タンパク質又は油製剤が反芻動物のために設計される。飼料、食事、タンパク質及び油製剤の製造方法は技術的に公知である。例えば、米国特許第4,957,748、5,100,679、5,219,596、5,936,069、6,005,076、6,146,669、及び6,156,227号を参照せよ。好ましい実施形態では、タンパク質製剤は、高タンパク質製剤である。このような高タンパク質製剤は、好ましくは5%w/v、さらに好ましくは10%w/v、なおさらに好ましくは15%w/vを超えるタンパク質含量を有する。好ましい油製剤では、油製剤は本発明の植物又はその一部由来の油含量が5%w/v、さらに好ましくは10%w/v、なおさらに好ましくは15%w/vを超える高油製剤である。好ましい実施形態では、油製剤は液体であり、かつ体積が1、5、10又は50リットルより多い。本発明は、本発明の植物から生産され、或いは本発明の方法によって製造された油を提供する。このような油は、どの結果として生じる製品の少量又は主要成分でもあり得る。さらに、このような油は、他の油とブレンドすることができる。好ましい実施形態では、本発明の植物から生産され、或いは本発明の方法によって製造された油は、いずれかの製品の油成分が体積又は質量で0.5%、1%、5%、10%、25%、50%、75%又は90%より多くを構成する。別の実施形態では、油製剤はブレンドされ、そのブレンドの体積で10%、25%、35%、50%又は75%より多くを構成し得る。本発明の植物から生産された油は、1種以上の有機溶媒又は石油留分と混ぜ合わせることができる。
【0112】
本発明の植物は、育種プログラムの一部であり、又は育種プログラムから製造することができる。育種法の選択は、植物再生産の態様、改良される形質の遺伝率、及び商業的に使用される品種のタイプ(例えば、F1ハイブリッド品種、純系など)によって決まる。本発明の植物を育種するために選択される非限定的なアプローチについては後述する。育種プログラムは、何らかの交配の子孫の標識補助選択によって向上させることができる。さらに、いずれの商業的及び非商業的品種も育種プログラムで利用できることが分かる。例えば、出現生長力、植物生長力、ストレス耐性、病気抵抗性、ブランチング、開花、種子固定、種子サイズ、種子密度、スタンド能力、及び脱穀能力などのような因子が、一般的に選択を決定する。
【0113】
高遺伝率形質のためには、単一位置で評価される上位の個体植物の選択が有効であり、一方、低遺伝率の形質のためには、選択は関連植物のファミリーの反復評価から得られる平均値に基づくべきである。通俗的な選択方法としては、一般的にペプチド選択、修正ペプチド選択、質量選択、及び反復選択が挙げられる。好ましい実施形態では、戻し交配又は反復育種プログラムが行われる。
遺伝の複雑性は、育種法の選択に影響する。戻し交配育種を用い、高遺伝率形質用の1又は2〜3種の好ましい遺伝子を所望の品種に伝達することができる。このアプローチは、病気抵抗性品種の育種用に広範に使用されている。種々の反復選択法を用いて、多数の遺伝子によって制御される定量的に遺伝される形質を改善する。自家受粉穀類における反復選択は、受粉の容易さ、各受粉から成功するハイブリッドの頻度、及び成功した各交配由来のハイブリッド子孫の数によって決まる。
【0114】
育種系統を試験し、2世代以上の商業的な標的領域の代表的な環境における適切な基準と比較することができる。最高の系統が新しい商業品種の候補であり;まだ形質を欠いている品種を親として用いて、さらなる選択のための新しい集団を生産することができる。
上位植物を同定する一方法は、他の実験植物及び広く成長している標準品種と比較したその性能を観察することである。単一の観察では結論に到達しない場合、繰返し観察することでその遺伝的価値のより良い評価を与えることができる。育種者は、2種以上の親系統を選択かつ交配させ、次いで繰返し自家受粉及び選択して、多くの新しい遺伝子組合せを作ることができる。
【0115】
新品種の開発は、変種の開発と選択、これら変種の交配及び上位のハイブリッド交配の選択が必要である。ハイブリッド種子は、選択した雄−繁殖性親間の手動交配又は雄性不稔システムを用いて生産することができる。ハイブリッドは、種子が本当にハイブリッドであることを示すさやの色、花の色、種子収量、軟毛の色、又は除草剤抵抗性のような特定の単一遺伝形質について選択される。親系統に関するさらなるデータ、及びハイブリッドの表現型は、特定のハイブリッド交配で続けるかどうかの育種者の決定に影響する。
系統育種及び反復選択育種法を用いて育種集団から品種を開発することができる。育種プログラムは、2種以上の品種又は種々の広範な基礎となる起源由来の所望の形質を、自家受粉及び所望表現型の選択によって品種が開発される育種プール内で混ぜ合わせる。新品種を評価して商用の可能性があるかを決定することができる。
【0116】
一般的に、自家受粉穀類の改良には系統育種を用いる。好適な相補的形質を有する2種の親を交配してF1を生産する。1種又は数種のF1を自家受粉させることでF2集団が生産される。最良のファミリーから最も良い個体の選択が達成される。ファミリーの反復試験をF4世代で開始して低遺伝率の形質の選択効率を高めることができる。同系交配の進行段階(すなわち、F6及びF7)で、最高の系統又は表現型的に同様の系統の混合を、新品種としてリリースする可能性について試験する。
戻し交配育種は、単純に遺伝される高遺伝性形質用の遺伝子を、反復性の親である所望のホモ接合性品種又は近交系に伝達するために使用されている。伝達すべき形質の起源は、ドナー親と呼ばれる。結果の植物は、反復性親の性状(例えば、品種)及びドナー親から伝達される所望の形質を有すると予想される。最初の交配後、ドナー親の表現型を有する個体を選択し、反復性親に反復交配(戻し交配)する。その結果の親は、反復性親の性状(例えば、品種)と、ドナー親から伝達された所望の形質を有すると予想される。
【0117】
厳密な意味で単一種子血統手順は、分離集団を植え、植物当たり一種子の試料を収穫し、かつこの一種子試料を用いて次世代を植えることを意味する。この集団がF2から同系交配の所望レベルに進化したとき、系統が由来する植物は、それぞれ異なるF2個体の跡をたどる。集団中の植物数は、いくつかの種子の発芽の失敗又はいくつかの植物の少なくとも1つの種子の生産によって、世代ごとに減少する。結果として、集団中の最初に試料摂取したF2植物のすべてが、世代の進化が完了する時の子孫によって表されるわけではない。
【0118】
多種子手順では、育種者は、一般的に集団中の各植物から1種以上のさやを収穫し、それらを一緒に脱穀してバルクを形成する。このバルクの一部を用いて次世代を植え、一部はとっておく。この手順は、修正単一種子血統法又はさや-バルク法と呼ばれる。
多種子手順は、収穫の労力を省くために使用されている。単一種子手順では、さやを機械で脱穀する方が、手で各さやから1つの種子を取り出すよりかなり速い。多種子手順も、集団の同数の種子を各世代の同系交配に植えることを可能にする。
異なる形質及び穀類に普通に使用されている他の育種方法の説明は、いくつかの参考本の1冊で知ることができる(例えば、Fehr, Principles of Cultivar Development Vol. 1, pp. 2-3 (1987)))。
【0119】
本発明のトランスジェニック植物は、アポミクシスを用いて繁殖させることもできる。アポミクシスは、植物の生殖の遺伝的に制御された方法であり、卵子と精子の結合なしで胚が形成される。アポミクシス生殖の3つの基本型:1)珠心由来の胚胚嚢内の染色体的に非減数分裂卵から胚が発生する無胞子生殖、2)大胞子母細胞由来の胚嚢内の非減数分裂卵から胚が発生するディプロスポリー(diplospory)、及び3)胚が体細胞から直接発生する不定胚生殖がある。アポミクシスの多くの型では、胚乳を生成するための極性核の偽受精又は受精が種子生存度のために必要である。無胞子生殖では、ナース品種を種子の胚乳形成のための花粉源として使用することができる。ナース品種は、この品種の非減数分裂卵が単為生殖的に発生するので、無胞子生殖性アポミクシス品種の遺伝子には影響しないが、胚乳の生産を可能にする。アポミクシスは、それが、どんなにヘテロ接合性でもいずれの遺伝子型をも正確に育種させるので、特にトランスジェニック植物において経済的に重要である。このように、アポミクシス生殖により、ヘテロ接合性トランスジェニック植物は、反復寿命周期の全体にわたって遺伝的忠実度を維持することができる。アポミクシス植物の生産方法は、技術的に公知である。米国特許第5,811,636号を参照せよ。
【0120】
(他の生物)
本発明の核酸は、哺乳類細胞、哺乳類、魚細胞、魚、鳥細胞、鳥、藻類細胞、藻類、真菌細胞、真菌、又は細菌細胞のようないずれの細胞又は生物中にも導入できる。本発明のタンパク質は、適宜の細胞又は生物内で生産され得る。好ましい宿主及び形質転換体としては、以下:アスペルギルスのような真菌細胞、酵母菌、哺乳類、特にウシ及びブタ、昆虫、細菌、及び藻類が挙げられる。このような細胞又は生物を形質転換する方法は技術的に公知である(EP 0 238 023; Yeltonら, Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.), 81:1470-1474 (1984); Malardierら, Gene, 78:147-156 (1989); Becker及びGuarente,Abelson及びSimon (eds.), 酵母菌の遺伝子及び分子生物学へのガイド, Method Enzymol., Vol. 194, pp. 182-187, Academic Press, Inc., New York; Itoら, J. Bacteriology, 153:163 (1983) Hinnenら, Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.), 75:1920 (1978); Bennett及びLaSure (eds.), More Gene Manipualtionins in fungi, Academic Press, CA (1991))。本発明のタンパク質の製造方法も公知である(Kudlaら, EMBO, 9:1355-1364 (1990); Jarai及びBuxton, Current Genetics, 26:2238-2244 (1994); Verdier, Yeast, 6:271-297 (1990; MacKenzieら, Journal of Gen. Microbiol., 139:2295-2307 (1993); Hartlら, TIBS, 19:20-25 (1994); Bergenronら, TIBS, 19:124-128 (1994); Demolderら, J. Biotechnology, 32:179-189 (1994); Craig, Science, 260:1902-1903 (1993); Gething及びSambrook, Nature, 355:33-45 (1992); Puig及びGilbert, J. Biol. Chem., 269:7764-7771 (1994); Wang及びTsou, FASEB Journal, 7:1515-1517 (1993); Robinsonら, Bio/Technology, 1:381-384 (1994); Enderlin及びOgrydziak, Yeast, 10:67-79 (1994); Fullerら, Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.), 86:1434-1438 (1989); Juliusら, Cell, 37:1075-1089 (1984); Julius etら, Cell 32:839-852 (1983))。
【0121】
好ましい実施形態では、細胞又は生物内における本発明のタンパク質又はその断片の過剰発現は、同様の遺伝的バックグラウンドを有する細胞又は生物に比し、当該細胞又は生物内で増加したレベルのトコトリエノールを与える。
好ましい実施形態では、細胞又は生物内における本発明のタンパク質又はその断片の過剰発現は、同様の遺伝的バックグラウンドを有する非形質転換細胞又は生物に比し、当該細胞又は生物内で増加したレベルのトコフェロールを与える。
好ましい実施形態では、細胞又は生物内における本発明のタンパク質又はその断片の過剰発現は、同様の遺伝的バックグラウンドを有する非形質転換細胞又は生物に比し、当該細胞又は生物内で増加したレベルのα-トコフェロールを与える。
好ましい実施形態では、細胞又は生物内における本発明のタンパク質又はその断片の過剰発現は、同様の遺伝的バックグラウンドを有する非形質転換細胞又は生物に比し、当該細胞又は生物内で増加したレベルのγ-トコフェロールを与える。
好ましい実施形態では、細胞又は生物内における本発明のタンパク質又はその断片の過剰発現は、同様の遺伝的バックグラウンドを有する非形質転換細胞又は生物に比し、当該細胞又は生物内で増加したレベルのホモゲンチジン酸を与える。
好ましい実施形態では、細胞又は生物内における本発明のタンパク質又はその断片の過剰発現は、同様の遺伝的バックグラウンドを有する非形質転換細胞又は生物に比し、当該細胞又は生物内で増加したレベルのプラストキノール又はプラストキノンを与える。
【0122】
(抗体)
本発明の一局面は、抗体、一本鎖抗原結合分子、又は1種以上の本発明のタンパク質又はペプチド分子及びそれらの相同体、融合体若しくは断片に特異的に結合する他のタンパク質に関する。特に好ましい実施形態では、抗体は、配列番号2及び4に示される配列又はその断片を有するタンパク質に特異的に結合する。別の実施形態では、抗体は、配列番号2若しくは4に示される核酸配列又はその断片から選択されるアミノ酸配列を含む融合タンパク質に特異的に結合する。別の実施形態では、抗体は、配列番号2若しくは4に示される核酸配列又はその断片から選択されるアミノ酸配列を含む融合タンパク質に特異的に結合する。本発明の抗体を用いて、本発明のタンパク質又はペプチド分子を定量的又は定性的に検出し、或いは該タンパク質の翻訳後修飾を検出することができる。本明細書で使用する場合、抗体又はペプチドは、無関係の分子の存在によって、このような結合が競合的に阻害されない場合、本発明のタンパク質又はペプチド分子に“特異的に結合する”と言われる。
【0123】
組換え手段によって、本発明のすべて又は一部のタンパク質をコードする核酸分子を発現させ、タンパク質又はペプチドを産生し、順次これを用いて発現タンパク質又はペプチドと結合できる抗体を誘発することができる。このような抗体は、当該タンパク質のイムノアッセイで使用できる。このようなタンパク質コード化分子、又はその断片は、発現すると、融合タンパク質が生産されるような“融合”分子でよい(すなわち、より大きい核酸分子の一部)。本発明のいずれの核酸分子も組換え手段によって発現され、これら核酸分子によってコードされているタンパク質又はペプチドを産生し得ることが分かる。
【0124】
特異的に本発明のタンパク質及びタンパク質断片に結合する抗体は、ポリクロナール又はモノクロナールでよく、かつ無処置の免疫グロブリン又は免疫グロブリン断片の抗原結合部分(F(ab')、F(ab')2のような)、又は例えば、組換え手段によって生産可能な一本鎖免疫グロブリンを含み得る。熟練家は、抗体の構築、操作及び単離のための特定条件及び手順について述べている標準的な資料に精通していると理解せれる(例えば、Harlow及びLane,抗体:実験室マニュアル, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New York (1988)参照)。
【0125】
後述するように、このような抗体分子又はその断片は、診断目的で使用できる。抗体が診断目的を意図している場合、例えば、リガンド基(ビオチンのような)又は検出可能な標識基(蛍光基、放射性同位体又は酵素のような)で誘導体化することが望ましい。
本発明のタンパク質又はペプチド分子と結合する抗体を産生する能力は、当該分子から誘導される偽化合物の同定を可能にする。この偽化合物は、タンパク質又はペプチドの断片を含有し、又は単に構造的に類似した領域であるにもかかわらず、当該化合物に向けられた抗体に特異的に結合する能力を示す。
【0126】
(例示用途)
本発明の核酸分子及びその断片を利用して、同一種由来の他の核酸分子を得ることができる(トウモロコシ由来の核酸分子を用いてトウモロコシ由来の他の核酸分子を得ることができる)。このような核酸分子は、タンパク質とプロモーターの完全なコーディング配列をコードする核酸分子及び該分子の隣接配列を含む。さらに、このような核酸分子には、他のアイソザイム又は遺伝子ファミリーメンバーをコードする核酸分子が含まれる。このような分子は、上述した核酸分子又はその断片を用いてcDNA又はゲノムライブラリーをスクリーニングすることで容易に得ることができる。このようなライブラリーの生成方法は、技術的に周知である。
【0127】
本発明の核酸分子及びその断片を利用して核酸相同体を得ることもできる。このような相同体は、植物及び細菌や真菌を含む他の生物の核酸分子を含み、全体的又は部分的に、他の植物種又は他の生物のタンパク質相同体、プロモーター及び転写調節要素のような遺伝的要素の配列をコードする核酸分子が含まれる。このような分子は、該植物種から得たcDNA又はゲノムライブラリーをスクリーニングすることで容易に得ることができる。このようなライブラリーの生成方法は、技術的に周知である。このような相同体分子は、安定したハイブリダイゼーションのために完全な相補性は必要ないので、配列番号1と3及びその補体の1種以上に見られる配列とはそのヌクレオチド配列が異なってよい。従って、本発明の核酸分子は、該核酸分子と特異的にハイブリダイズできるが、“完全な相補性”は欠いていてよい分子をも包含する。
【0128】
いずれの種々の方法を利用しても上述した1種以上の核酸分子を得ることができる(Zamechikら, Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 83:4143-4146 (1986); Goodchildら, Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 85:5507-5511 (1988); Wickstromら, Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 85:1028-1032 (1988); Holtら, Molec. Cell. Biol. 8:963-973 (1988); Gerwirtzら, Science 242:1303-1306 (1988); Anfossiら, Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 86:3379-3383 (1989); Beckerら, EMBO J. 8:3685-3691 (1989))。この目的のために自動核酸合成機を利用することができる。このような合成に代えて、開示した核酸分子を用い、いずれかの所望の核酸分子若しくは断片を増幅して得るためにポリメラーゼ連鎖反応で使用できる1対のプライマーを限定することができる(Mullisら, Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 51:263-273 (1986); Erlichら,欧州特許第50,424号;欧州特許第84,796号;欧州特許第258,017号;欧州特許第237,362号;Mullis,欧州特許第201,184; Mullisら,米国特許第4,683,202号; Erlich,米国特許第4,582,788号;及びSaikiら,米国特許第4,683,194号)。
【0129】
1種以上の開示した核酸配列に関連するプロモーター配列及び限定するものではないが、転写調節隣接配列を含む他の配列は、本明細書で提供される開示核酸配列を用いても得ることができる。一実施形態では、このような配列は、本発明の核酸分子をゲノムライブラリーのメンバーと共にインキュベートし、かつこのような核酸分子にハイブリダイズするクローンを回収して得られる。第2実施形態では、“染色体歩行”又は逆PCRの方法を利用して、このような配列を得ることができる(Frohmanら, Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 85:8998-9002 (1988); Oharaら, Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 86:5673-5677 (1989); Pangら, Biotechniques 22:1046-1048 (1977); Huangら, Methods Mol. Biol. 69:89-96 (1997); Huangら, Method Mol. Biol. 67:287-294 (1997); Benkelら, Genet. Anal. 13:123-127 (1996); Hartlら, Methods Mol. Biol. 58:293-301 (1996))。用語“染色体歩行”は、連続的なハイブリダイゼーション工程によって遺伝子地図を拡張するプロセスを意味する。
【0130】
本発明の核酸分子を用いて増強細胞、細胞特異的、増強組織、組織特異的、発生的又は環境的に調節した発現プロフィルのプロモーターを単離することができる。ゲノムライブラリー由来のこれら遺伝子の5'隣接プロモーター配列を、例えば、ゲノムスクリーニング法及びPCR法によって単離かつ機能分析すると、有用なプロモーター及び転写調節要素の単離となる。これら方法は当業者に公知であり、かつ記述されている(例えば、Birrenら , Genome Analysis: Analyzing DNA, 1, (1997), Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.参照)。本発明の核酸分子を用いて得たプロモーターを修飾して、その制御特性に影響を及ぼすこともできる。このような修飾の例としては、限定するものではないが、エンハンサー配列が挙げられる。このような遺伝的要素を用いて、新しくかつ産出高改善のための形質が存在する遺伝子発現を促進することができる。
【0131】
本発明の核酸分子の別のサブセットは、標識である核酸分子を含む。標識は、分子遺伝学分野の多くの慣習的な方法で使用できる。このような標識には、標識として作用できる配列番号1と3、その補体、及びどちらかの断片の核酸分子、及び標識として作用できる本発明の他の核酸分子が含まれる。
本発明の遺伝子標識は、“優性”又は“共優性”標識を含む。“共優性標識”は、座に2種以上の対立遺伝子(二倍体個体当たり2個)が存在することを示している。“優性標識”は、座ごとに単一の対立遺伝子のみ存在することを示す。優性標識表現型の存在(例えば、DNAのバンド)は、ある対立遺伝子がホモ接合性又はヘテロ接合性のどちらかの状態であることの指標である。優性標識表現型の非存在(例えば、DNAバンドの非存在)は、単に“いくつかの他の”未定義対立遺伝子が存在する証拠である。個体が優性的にホモ接合性であり、かつ座が二形性である集団の場合、優性及び共優性標識は、等価値であり得る。集団がさらにヘテロ接合性かつ多対立遺伝子的になると、共優性標識は、しばしば優性標識より該遺伝型のより多い情報を与えるようになる。標識分子は、例えば、単一ヌクレオチド多形性(SNPs)のような多形性を検出することができる。
【0132】
動植物のゲノムは、継続的進化の過程で自然突然変異を自然に受ける(Gusella, Ann. Rev. Biochem. 55:831-854 (1986))。“多形性”は、ある種のメンバーのいくつかに現れる遺伝子又はその隣接領域の配列の変化又は相異である。その種の集団内には変異体配列と“元の”配列が共存する。いくつかの例では、このような存在は、安定的又は準安定的平衡状態である。
従って、多形性は“対立形質”、すなわち、多形性の存在によって、集団のいくつかのメンバーが元の配列(すなわち、元の“対立遺伝子”)を有し得るが、他のメンバーは、変異体配列(すなわち、変異体“対立遺伝子”)を有し得る。最も簡単な場合、1つだけ変異体配列が存在し、ゆえにこの多形性は二-対立形質と言われる。他の場合、該種の集団が多数の対立遺伝子を含むと、その多形性は三-対立形質などと言われる。1つの遺伝子は、多数の異なる無関係の多形性を有することができる。例えば、それは、ある部位で二-対立形質多形性を有し、別の部位で多-対立形質多形性を有し得る。
【0133】
多形性を定義する変異は、単一のヌクレオチド変異から遺伝子内の伸長領域の挿入又は欠失までの範囲でよい。いくつかの例では、DNA配列の変異は、ヌクレオチドのタンデムジ-又はトリ-ヌクレオチド反復モチーフを含むショートタンデムリピート(STRs)を特徴とするゲノムの領域内である。このようなタンデムリピートを特徴とする多形性は、“可変数タンデムリピート”(“VNTR”)多形性と呼ばれる。VNTRsは、同定分析で使用されている(Weber,米国特許第5,075,217号; Armourら, FEBS Lett. 307:113-115 (1992); Jonesら, Eur. J. Haematol. 39:144-147 (1987); Hornら, PCT特許出願WO91/14003; Jeffreys, 欧州特許出願第370,719号; Jeffreys,米国特許第5,175,082号; Jeffreysら, Amer. J. Hum. Genet. 39:11-24 (1986); Jeffreysら, Nature 316:76-79 (1985); Grayら, Proc. R. Acad. Soc. Lond. 243:241-253 (1991); Mooreら, Genomics 10:654-660 (1991); Jeffreysら, Anim. Genet. 18:1-15 (1987); Hillelら, Anim. Genet. 20:145-155 (1989); Hillelら, Genet. 124:783-789 (1990))。
【0134】
DNA試料中の多形性部位の検出は、核酸増幅法を使用して容易にすることができる。このような方法は、具体的には、多形性部位にまたがるか、又はそれに遠位若しくは近位のどちらかに配置されている配列を含むポリヌクレオチドの濃度を高める。このような増幅分子は、ゲル電気泳動又は他の手段によって容易に検出することができる。
代替実施形態では、このような多形性は、物理的に該多形性に結合される標識核酸分子を使用して検出することができる。この目的では、該多形性の1mb以内、さらに好ましくは該多形性の100kb以内、最も好ましくは該多形性の10kb以内に配置したポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む標識核酸分子を利用することができる。
【0135】
多形性の同定は、種々の方法で決定することができる。植物内におけるその存否と表現型の存否との関連性を示すことによって、当該植物の表現型を予測することができる。多形性が制限エンドヌクレアーゼ切断部位を創造又は破壊する場合、或いはそれがDNAの欠失又は挿入となる場合(例えば、VNTR多形性)、それは当該制限エンドヌクレアーゼによる消化によって生成したDNA断片の大きさ又はプロフィルを変えるだろう。それ自体では、変異体配列を有する生物は、制限断片解析によって、元の配列を有するものから区別することができる。この様式で同定できる多形性は、“制限断片長多形性”(“RFLPs”) と言われる(Glassberg, 英国特許出願第2135774号; Skolnickら, Cytogen. Cell Genet. 32:58-67 (1982); Botsteinら, Ann. J. Hum. Genet. 32:314-331 (1980); Fischerら, (PCT出願WO90/13668; Uhlen, PCT出願WO90/11369)。
多形性は、一本鎖立体配座多形性(SSCP)解析によっても同定できる(Elles, Methods in Molecular Medicine: Molecular Diagnosis of Genetic Diseases, Humana Press (1996)); Oritaら, Genomics 5:874-879 (1989))。SSCPについては多くの手順が示されており、限定するものではないが、Leeら, Anal. Biochem. 205:289-293 (1992); Suzukiら, Anal. Biochem. 192:82-84 (1991); Loら, Nucleic Acids Research 20:1005-1009 (1992); Sarkarら, Genomics 13:441-443 (1992)が挙げられる。本発明の1種以上の核酸を標識又はプローブとして用い、SSCP解析によって多形性を検出できることが分かる。
【0136】
多形性は、増幅断片長多形性(AFLP)と呼ばれるDNAフィンガープリント法を用いても見いだすことができ、この方法は、ゲノムDNAの全消化からの制限断片の選択的PCR増幅に基づき、当該DNAの分布を測定する(Vosら, Nucleic Acids Res. 23:4407-4414 (1995))。この方法は、多数の制限断片の特異的な共増幅を可能にし、核酸配列の知識がなくてもPCRによって可視化できる。本発明の1種以上の核酸を標識又はプローブとして利用し、AFLP解析によって又はRNAをフィンガープリントするため多形性を検出できることが分かる。
多形性は、ランダム増幅多形性DNA(RAPD)(Williamsら, Nucl. Acids Res. 18:6531-6535 (1990))及び切断可能増幅多形性配列(CAPS)(Lyamichevら, Science 260:778-783 (1993))を用いて見いだすこともができる。本発明の1種以上の核酸分子を標識又はプローブとして利用し、RAPD又はCAPS解析によって多形性を検出できることが分かる。
【0137】
単一ヌクレオチド多形性(SNPs)は、一般に他の多形性標識より高頻度で起こり、多形性の他の報告されている型よりゲノム全体を通じてより均一に間隔を隔てている。SNPsの高い頻度及び均一性は、このような多形性が、他の多形性の場合よりも、問題の遺伝子座の近傍又は座内で見られる確率が高いことを意味している。SNPsは、ゲノムのタンパク質コーディング領域及び非コーディング領域内に位置する。これらSNPsのいくつかは、欠失又は変異体タンパク質発現(例えば、突然変異又は欠失スプライシングの結果として)という結果になり得る。特徴づけしたSNPsの解析(ゲノタイピング)は、冗長な測定ではなくプラス/マイナス検定のみを要求し、容易に自動化できる。
【0138】
SNPsは、いずれの種々の方法を用いても特徴づけすることができる。このような方法としては、部位の直接又は間接配列決定、制限酵素の使用(Botsteinら, Am. J. Hum. Genet. 32:314-331 (1980); Konieczny及びAusubel, Plant J. 4:403-410 (1993))、酵素的及び化学的ミス対合検定(Myersら, Nature 313:495-498 (1985))、対立遺伝子特異的PCR (Newtonら, Nucl. Acids Res. 17:2503-2516 (1989); Wuら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:2757-2760 (1989)), リガーゼ連鎖反応(Barany, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:189-193 (1991))、一本鎖立体配座多形性解析(Labruneら, Am. J. Hum. Genet. 48: 1115-1120 (1991))、単一塩基プライマー伸長(Kuppuswamyら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:1143-1147 (1991), Goelet US 6,004,744; Goelet 5,888,819)、固相ELISA-ベースオリゴヌクレオチド連結アッセイ(Nikiforovら, Nucl. Acids Res. 22:4167-4175 (1994)、ジデオキシフィンガープリント法(Sarkarら., Genomics 13:441-443 (1992))、オリゴヌクレオチド蛍光-クエンチングアッセイ(Livakら, PCR Methods Appl. 4:357-362 (1995a))、5'-ヌクレアーゼ対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーションTaqManTMアッセイ(Livakら, Nature Genet. 9:341-342 (1995))、鋳型-直接染料-ターミネーター組込み(TDI)アッセイ(Chen and Kwok, Nucl. Acids Res. 25:347-353 (1997))、対立遺伝子特異的分子ビーコンアッセイ(Tyagiら, Nature Biotech. 16: 49-53 (1998))、ピンポイントアッセイ( Haff 及びSmirnov, Genome Res. 7: 378-388 (1997))、dCAPS解析(Neffら, Plant J. 14:387-392 (1998))、ピロシークエンシング(Ronaghiら, Analytical Biochemistry 267:65-71 (1999); Ronaghiら,PCT出願WO 98/13523; Nyrenら,PCT出願WO 98/28440; http//www.pyrosequencing.com)、質量分光測定、例えばMasscodTMシステムの使用(Howbertら,WO 99/05319; Howberら,WO 97/27331; http//www.rapigene.com; Beckerら,PCT出願WO 98/26095; Beckerら,PCT出願WO 98/12355; Beckerら,PCT出願WO 97/33000; Monforteら,US 5,965,363)、オリゴヌクレオチドプローブの侵入切断(Lyamichevら,Nature Biotechnology 17:292-296; http//www.twt.com)、及び高密度オリゴヌクレオチドアレイの使用(Haciaら,Nature Genetics 22:164-167; http//www.affymetrix.com)が挙げられる。
【0139】
多形性は、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)を用いて検出することもでき、例えば、サザンブロット、ノーザンブロット、ドットブロットハイブリダイゼーション、逆ドットブロットハイブリダイゼーション、マイクロアレイ及び関連技術に基づいて行われるハイブリダイゼーションを含む技術に基づいたハイブリダイゼーションを併用することができる。
多形性検出のためのハイブリダイゼーションの厳密性は、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドの長さ、配列組成、相補性の程度(すなわち、塩基のミス対合の存否)、塩及びホルムアミドのような他因子の濃度、及び温度を含む種々の因子に大きく依存する。これら因子は、ハイブリダイゼーション自体の間、及び特異的にハイブリダイズしない標的ポリヌクレオチドを除去するために引き続き行われる洗浄時の両方で重要である。実際には、最後の最も厳密な洗浄の条件が最も重要である。さらに、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドにハイブリダイズ可能な標的ポリヌクレオチドの量も、ASO及び標的ポリヌクレオチドの両者の濃度、水分子を“結び合わせる”ように作用して、試薬を効率的に濃縮する因子の存在及び濃度(例えば、PEG、デキストラン、硫酸デキストラン等)、核酸が固定化しているか又は溶液中であるかどうか、及びハイブリダイゼーションと洗浄工程の持続時間のような因子によって左右される。
【0140】
ハイブリダイゼーションは、好ましくはASOの融点(Tm)未満の温度で行われる。ハイブリダイゼーション及び/又は洗浄工程がTmに近いほど、厳密性が高い。オリゴヌクレオチドのTmは、例えば次式で概算でき:Tm=81.5+16.6×(log10[Na+])+0.41×(%G+C)−675/n;式中、[Na+]はNa+又は他の適切なカチオンのモル塩濃度であり、n=オリゴヌクレオチド中の塩基の数である。Tmを概算する他の式も利用可能であり、本技術の当業者には周知である。
厳密性は、好ましくは、所定のASOが正しい対立遺伝子の標的ポリヌクレオチドと、間違った対立遺伝子の標的ポリヌクレオチドを区別してハイブリダイズできるように調整される。好ましくは、ASOが正しい対立遺伝子の標的ポリヌクレオチドにハイブリダイズして生成されるシグナルと、ASOが間違った対立遺伝子の標的ポリヌクレオチドに交差ハイブリダイズして生成されるシグナル(例えば、野生型対立遺伝子への突然変異体対立遺伝子交差ハイブリダイズに特異的なASO)のレベル間に少なくとも2倍の差がある。本発明のさらに好ましい実施形態では、少なくとも4倍のシグナルの差がある。本発明の非常に好ましい実施形態では、ASOの正しい対立遺伝子の標的ポリヌクレオチドへのハイブリダイズと、ASOが間違った対立遺伝子の標的ポリヌクレオチドに交差ハイブリダイズして生成されるシグナルのレベルとの間に少なくとも1桁の大きさのシグナル差がある。
【0141】
多形性を検出する特定の方法を本明細書では述べているが、他の検出方法論も利用できる。例えば、さらなる方法論は、Birrenら, Genome Analysis, 4:135-186, A Laboratory Manual. Mapping Genomes, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY (1999); Maligaら, Methods in Plant Molecular Biology. A Laboratory Course Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY (1995); Paterson, Biotechnology Intelligence Unit: Genome Mapping in Plants, R.G. Landes Co., Georgetown, TX,及びAcademic Press, San Diego, CA (1996); The Maize Handbook, Freeling及びWalbot, eds., Springer-Verlag, New York, NY (1994); Methods in Molecular Medicine: Molecular Diagnosis of Genetic Diseases, Elles, ed., Humana Press, Totowa, NJ (1996); Clark, ed., Plant Molecular Biology: A Laboratory Manual, Clark, ed., Springer-Verlag, Berlin, Germany (1997)に示されている。
【0142】
植物育種プログラムにおける標識補助選択の要求は以下の通りである:(1)標識は、所望形質を共-分離し、或いは所望形質と密接につながっているべきである;(2)該分子標識の大集団をスクリーニングする効率的な手段を利用すべきである;及び(3)スクリーニング法は、実験室を越えて高い再現性を有し、好ましくは経済的に使用でき、かつ使いやすいべきである。
標識分子の遺伝子連結は、限定するものではないが、Lander及びBotstein,Genetics 121:185-199 (1989)に報告されているフランキング標識モデル、Lander及びBotstein, Genetics 121:185-199 (1989)に記述されている最尤法に基づいた区間マッピング、及びソフトウェアパッケージMAPMAKER/QTL(Lincoln及びLander, Mapping Genes Controlling Quantitative Traits Using MAPMAKER/QTL, Whitehead Institute for Biomedical Research, Massachusetts, (1990)で実行される。さらなるソフトウェアはQgene, Version 2.23 (1996), Department of Plant Breeding and Biometry, 266 Emerson Hall, Cornell University, Ithaca, NYを含む)で実行されるような遺伝子マッピングモデルによって確立することができる。遺伝子ソフトウェアの使用は、特に好ましいアプローチである。
標識の存在の最尤推定(MLE)は、QTL効果がないと仮定してMLEと共に計算して、偽陽性を避ける。オッズ比のlog10(LOD)を以下のように計算する:LOD=log10(QTLが連結されていないQTL/MLEの存在についてのMLE)。
【0143】
LODスコアは、本質的に、該データがどちらかと言えばQTLの不在よりも存在をどの程度仮定させるかを示す。所定の確実性、すなわち95%で偽陽性を回避するためのLOD閾値は、標識の数とゲノムの長さによって決まる。LOD閾値を表すグラフは、Lander及びBotstein, Genetics 121:185-199 (1989)に示されており、さらにArus and Moreno-Gonzalez , Plant Breeding, Haywardら, (eds.) Chapman & Hall, London, pp. 314-331 (1993)に示されている。
本発明の好ましい実施形態では、問題の形質又は表現型について、核酸標識は2.0、さらに好ましくは2.5、なおさらに好ましくは3.0又は4.0より大きいLODスコアを示す。好ましい実施形態では、問題の形質は、トコフェロールレベル又は組成の変化である。
【0144】
さらなるモデルを使用できる。非パラメトリック法(Kruglyak及びLander, Genetics 139:1421-1428 (1995))を含め、区間マッピングに対する多くの修正及び代替アプローチが報告されている。多重回帰法又はモデルも使用でき、この方法では、多数の標識について該形質を逆行させる(Jansen, Biometrics in Plant Breeding, van Oijen and Jansen (eds.), Proceedings of the Ninth Meeting of the Eucarpia Section Biometrics in Plant Breeding, The Netherlands, pp. 116-124 (1994); Weber and Wricke, Advances in Plant Breeding, Blackwell, Berlin, 16 (1994))。区間マッピングと回帰解析を合わせた手順によって、所定標識の区間で表現型を単一の推定QTL上に、同時に‘補因子’として働く多数の標識上に逆行させるが、この方法は、Jansen及びStam, Genetics 136:1447-1455 (1994),及び Zeng, Genetics 136:1457-1468 (1994)によって報告されている。一般的に、補因子の使用は、推定QTLの位置の偏りとサンプリングエラーを減らす(Utz及びMelchinger, Biometrics in Plant Breeding, van Oijen and Jansen (eds.) Proceedings of the Ninth Meeting of the Eucarpia Section Biometrics in Plant Breeding, The Netherlands, pp.195-204 (1994), thereby improving the precision and efficiency of QTL mapping (Zeng, Genetics 136:1457-1468 (1994))。これら方法を複数環境実験に拡張して、遺伝型-環境相互作用について解析することができる(Jansenら, Theo. Appl. Genet. 91:33-37 (1995))。
【0145】
本発明の1種以上の核酸分子を分子標識として使用できることが分かる。本発明の1種以上のタンパク質分子を分子標識として使用できることも分かる。
好ましい実施形態では、多形性が存在し、マッピング集団、例えば多形性標識のような標識と共に使用可能な植物の集合内でスクリーニングして形質の遺伝子位置の地図を作製する。適切なマッピング集団の選択は、利用する標識系のタイプによって決まることが多い(Tanksleyら, J.P. Gustafson及びR. Appels (eds.). Plenum Press, New York, pp. 157-173 (1988))。マッピング集団で使用する親の起源(適合型対外来性)について考慮しなければならない。染色体対合及び組換え率は、遠縁交配(適合型×外来性)ではかなり乱され(抑制され)、一般的に非常に連結距離を減じる。遠縁交配は、狭小交配の子孫と比較した場合、通常かなり大多数の多形性を有する分離集団を与える。
【0146】
F2集団は、ハイブリッド種子生産後の自家受粉の第1世代である。通常、単一のF1植物は、自家受粉して、メンデル(1:2:1)パターンの全遺伝子に分離する集団を生成する。完全に分類されたF2集団から共優性標識システムを用いて最大の遺伝子情報が得られる(Mather, Measurement of Linkage in Heredity: Methuen and Co., (1938))。優性標識の場合、子孫試験(例えば、F3、BCF2)は、該集団を分類するため、ヘテロ接合体を同定する必要がある。しかし、子孫試験に関わる費用と時間のため、この手順は禁止されることが多い。F2個体の子孫試験は、しばしば、表現型が一貫して遺伝型(例えば病気抵抗性)を反映するわけではなく或いは形質発現がQTLによって制御される地図構築で使用される。子孫試験集団、例えばF3又はBCF2からの分離データは、地図構築で使用できる。そして、標識補助選択を、組換え事象によって完全には連結基が解離していない(すなわち、最大の非平衡)標識形質地図連合(F2、F3)に基づいた交配子孫に適用する。
【0147】
組換え近交系(RIL)(すなわち、遺伝的に関連系;通常、ホモ接合性に向けた連続的な自家受粉F2系から発達したF5より大である)をマッピング集団として使用できる。優性標識から得られる情報は、すべての座がホモ接合性或いはほとんどそうなので、RILを用いて最大にすることができる。密接結合(すなわち、約10%未満の組換え)の条件下RIL集団内で評価した優性及び共優性標識は、戻し交配集団内のどの標識型よりも個体ごとの多くの情報を与える(Reiter. Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 89:1477-1481 (1992))。しかし、標識間の距離が大きくなると(すなわち、座がより独立的になる)、RIL集団内の情報は、共優性標識と比較した場合、劇的に減少する。
【0148】
戻し交配集団(すなわち、成功した変種(反復性親)と前者に存在しない形質を保有する別の変種(ドナー親)との交配から生成される)をマッピング集団として利用できる。反復性親への一連の戻し交配を行って、その望ましい形質のほとんどを取り戻すことができる。こうして、反復性親にほとんどよく似ているが、各個体は、可変量又はモザイクのドナー親由来のゲノム領域を保有する個体から成る集団が創造される。反復性親内のすべての座がホモ接合性であり、かつドナー及び反復性親が対照的な多形性標識対立遺伝子を有する場合、戻し交配はマッピング優性標識に有用である(Reiterら, Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 89:1477-1481 (1992))。共優性又は優性標識のどちらかを用いて戻し交配集団から得られる情報は、植物ごとに2つではなく1つの組換え配偶子が試料採取されるので、F2集団から得られる情報より少ない。しかし、戻し交配は、RILと比較した場合、RIL集団内で結合している座間の距離が増すにつれて(すなわち、約0.15%組換え)より情報を与える。組換えが増えると密接結合の分解には有益であるが、低い標識飽和を有する地図の構築には望ましくない。
【0149】
近-同質遺伝子系統(NIL)(問い合わせ中の形質又はゲノム領域を除き、遺伝子組成でほとんど同一である個体に集合を生成するための多くの戻し交配によって創造される)は、マッピング集団として使用できる。NILsによるマッピングでは、多形性座の一部しか選択領域に地図を作ることを期待されていない。
バルク分離個体解析(BSA)は、標識と問題の形質との関連の迅速な同定のために開発された方法である(Michelmoreら., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 88:9828-9832 (1991))。BSAでは、単一交配から始まる分離集団から2つのバルクDNA試料が引き出される。これらバルクは、特定の形質(特定の形質に対する抵抗性又は感受性)又はゲノム領域であるが非結合領域(すなわち、ヘテロ接合性)の任意領域について同一である個体を含有する。標的領域に結合していない領域は、BSA内の多くの個体のバルク試料間で異ならないだろう。
【0150】
本発明の一局面では、本発明の1種以上の核酸分子を用いて植物(好ましくは、キャノーラ、トウモロコシ、ハクサイ、アブラナ、大豆、アブラナ科ハマナ属の草木、カラシナ、トウゴマ、ピーナッツ、綿実、亜麻仁、紅花、アブラヤシ、アマ又はヒマワリ)内のレベル(すなわち、試料中のmRNAの濃度など)、又は本発明の1種以上の核酸分子によって部分的若しくは全体的にコードされるタンパク質の発現のパターン(すなわち、発現のキネティクス、分解の速度、安定性プロフィル等)(集合的に、細胞又は組織の“発現応答”)を決定することができる。
【0151】
本明細書で使用する場合、該表現型を示さない植物の細胞又は組織の発現応答と異なる場合、細胞又は組織によって表される発現応答は、“変化した”と言われる。発現応答が変化したかどうかを決定するため、該表現型を示す植物の細胞又は組織によって表される発現応答を、該表現型を示さない植物の同様の細胞又は組織試料の発現応答と比較する。明らかなように、このような比較を行うたびに該表現型を示さない植物の細胞又は組織試料の発現応答を再決定する必要はなく、むしろ特定の植物の発現応答を普通の植物について予め得た値と比較することができる。本明細書で使用する場合、生物の表現型は、生物の1種以上の特徴(例えば、病気抵抗性、害虫耐性、非生物的ストレスに対する耐性のような環境耐性、雄性不稔性、品質改善又は収量など)のいずれでもよい。遺伝型又は表現型の変化は一過性又は永久的でよい。本明細書で使用する場合、組織試料は、1つより多い細胞を含むいずれの試料でもよい。好ましい局面では、組織試料は、共通の特徴を共有する細胞を含む(例えば、根、種子、花、葉、幹又は花粉など)。
【0152】
本発明の一局面では、評価を行って特定のmRNA分子が存在するかどうかを決定することができる。本発明の1種以上の核酸分子を利用して該mRNA種の存在又は量を検出する。このような分子を核酸ハイブリダイゼーションができる十分な条件下、植物の細胞又は組織抽出物と共にインキュベートする。形成される二本鎖プローブ-mRNAハイブリッドはmRNAの量に比例する。従って、このようなプローブを用いて植物の細胞又は組織内のmRNA生産のレベルと程度を確認できる。このような核酸ハイブリダイゼーションは、定量的条件下で行うことができる(それによって、存在するmRNAの量の数値を与える)。代わりに、mRNAが存在すること、又はそのレベルが、ユーザーが設定した事前定義値を超えることのどちらかを示す定性分析として分析を行うことができる。
【0153】
多くの方法を用いて細胞又は組織の2種以上の試料間の発現応答を比較することができる。これら方法としては、ノーザン法のようなハイブリダイゼーションアッセイ、RNAse保護アッセイ、及びインサイツハイブリダイゼーションが挙げられる。代わりに、本方法は、PCR型アッセイを含む。好ましい方法では、2種以上の試料からの核酸をある配列の核酸にハイブリダイズさせることによって、発現応答を比較する。この配列は、多数の、該試料の細胞若しくは組織内に存在することが分かっているか又は推測される推測配列を含む。
【0154】
核酸の検出の従来法を越えるインサイツハイブリダイゼーションの利点は、この方法では、研究者が正確な空間集団を決定できることである(Angererら, Dev. Biol. 101:477-484 (1984); Angererら, Dev. Biol. 112:157-166 (1985); Dixonら, EMBO J. 10:1317-1324 (1991))。インサイツハイブリダイゼーションを用いてRNA蓄積の定常レベルを測定することができる(Hardinら, J. Mol. Biol. 202:417-431 (1989))。インサイツハイブリダイゼーションについては多くの手順が工夫されており、それぞれ組織の調製法、ハイブリダイゼーション及び洗浄条件を有する(Meyerowitz, Plant Mol. Biol. Rep. 5:242-250 (1987); Cox and Goldberg, Plant Molecular Biology: A Practical Approach, Shaw (ed.), pp. 1-35, IRL Press, Oxford (1988); Raikhelら, In situ RNA hybridization in plant tissues, Plant Molecular Biology Manual, vol. B9:1-32, Kluwer Academic Publisher, Dordrecht, Belgium (1989))。
【0155】
インサイツハイブリダイゼーションは、組織又は細胞内におけるタンパク質の局在化も可能にする(Wilkinson, In Situ Hybridization, Oxford University Press, Oxford (1992); Langdale, In Situ Hybridization In: The Maize Handbook, Freeling and Walbot (eds.), pp. 165-179, Springer-Verlag, New York (1994))。本発明の1種以上の分子、好ましくは本発明の1種以上の核酸分子若しくはその断片又は本発明の1種以上の抗体を利用してインサイツハイブリダイゼーションによってタンパク質若しくはそのmRNAのレベル若しくはパターンを検出できることが分かる。
蛍光インサイツハイブリダイゼーションは、染色体周囲の特定のDNA配列の局在化を可能にし、他の用途の中で、ハイブリッド系統内の染色体に従う遺伝子マッピング、又は転座、塩基転換、若しくは欠失を有する染色体を検出するのに有用である。インサイツハイブリッドを使用して、いくつかの植物種内で染色体が同定されている(Grifforら, Plant Mol. Biol. 17:101-109 (1991); Gustafsonら, Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 87:1899-1902 (1990); Mukai及びGill, Genome 34:448-452 (1991); Schwarzacher及びHeslop-Harrison, Genome 34:317-323 (1991); Wangら, Jpn. J. Genet. 66:313-316 (1991); Parra及びWindle, Nature Genetics 5:17-21 (1993))。本発明の核酸分子をプローブ又は標識として用いて染色体周囲に配列を局在化できることが分かる。
【0156】
分子の発現を局在化させる別の方法は、組織プリンティングである。組織プリンティングは、異なる植物又は異なる発達段階からの同一膜の多組織区について同時にスクリーニングする手段を提供する(Yomo及びTaylor, Planta 112:35-43 (1973); Harris及びChrispeels, Plant Physiol. 56:292-299 (1975); Cassab及びVarner, J. Cell. Biol. 105:2581-2588 (1987); Spruceら, Phytochemistry 26:2901-2903 (1987); Barresら, Neuron 5:527-544 (1990); Reid及びPont-Lezica, Tissue Printing: Tools for the Study of Anatomy, Histochemistry and Gene Expression, Academic Press, New York, New York (1992); Reidら, Plant Physiol. 93:160-165 (1990);Yeら, Plant J. 1:175-183 (1991))。
【0157】
本技術の当業者は、本明細書で開示される公知の技術又は同等技術の詳細な説明の一般的な参考テキスト文献を参照することができる。これらテキストとしては、Protocols in Molecular Biology,Ausubelら, eds., John Wiley & Sons, N. Y. (1989)、及び9月中の追補(1998)、Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Sambrookら,第2版., Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New York (1989), Genome Analysis: A Laboratory Manual 1: Analyzing DNA, Birrenら, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New York (1997); Genome Analysis: A Laboratory Manual 2: Detecting Genes, Birrenら, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New York (1998); Genome Analysis: A Laboratory Manual 3: Cloning Systems, Birrenら, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New York (1999); Genome Analysis: A Laboratory Manual 4: Mapping Genomes, Birrenら, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New York (1999); Plant Molecular Biology: A Laboratory Manual, Clark, Springer-Verlag, Berlin, (1997), Methods in Plant Molecular Biology, Maligaら, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New York (1995)が挙げられる。
【0158】
当然、これらテキストは本発明の局面の実施又は使用にも参照することができる。本発明のいずれの薬剤も、実質的に精製することができ、及び/又は生物学的に活性及び/又は組換え型であり得ることが理解される。
さて、本発明を一般的に述べたが、以下の実施例を参照して同様のことがさらに容易に理解されるだろう。以下の実施例は、例示のために与えたものであり、特定しない限り、本発明の限定であることを意図しない。
本明細書で引用した各定期刊行物、特許文献及び他の文書又は参照文献は、参照によってその全体が本明細書に取り込まれる。
【実施例1】
【0159】
(エルウィニア-ヘルビコラ由来のtryAのクローニング)
ベクターpJX1、pJX181、及びpJX184を得る(Zhao及びJensenのMolecular Evolution 36(2):107-20 (1993))。tyrA遺伝子を、プライマーtyrA5'(ACT GCC ATG GTG GCT GAA CTG ACC G(配列番号5))及びtyrA3'(ACT GGA ATT CTT ATT ATG GGC GGC TGT CAT TG(配列番号6))と、鋳型DNAとしてベクターpJX1、pJX181、及びpJX184からのプラスミドDNAを用いてPCRで増幅する。Boehringer Mannheim製のExpandTM高性能PCRキットを用い、製造業者の手順に従って全量50μlでPCR反応を行う。tyrA遺伝子は、次の条件下で30回のPCRサイクルで増幅する:95℃で10分のインキュベーション、次いで95℃で1分の30サイクル、56℃で1分アニーリング及び72℃で1.5分伸長。この反応後、72℃で5分のインキュベーションを行う。遺伝子クローニング用にpJX184由来のPCR産物を選択し、NcoIとEcoRIで消化する。ゲル精製した制限断片を、NcoI/EcoRI-消化かつゲル精製したpSE280に連結すると(Invitrogen Co., Carlsbad, CA)、pMON26588の形成となる(図2)。pMON26588中のtyrA挿入断片をDNAシークエンシングで検証する。
【実施例2】
【0160】
(大腸菌由来のtryAのクローニング)
大腸菌由来のtyrA遺伝子は、プライマーtyrAecoli5'(ACT GCC ATG GTT GCT GAA TTG ACC G(配列番号7))及びtyrAecoli3'(ACT GGA ATT CTT ATT ACT GGC GAT TG(配列番号8))と、鋳型DNAとして大腸菌全ゲノムDNAを用いてPCRで増幅する。大腸菌全ゲノムDNAは、Qiagen(Qiagen Inc. Valencia, CA)製のQiaamp Tissueキットを用いて単離する。PCR反応は、Boehringer Mannheim製のExpandTM高性能PCRキットを用い、製造業者の手順に従って全量50μlでPCR反応を行う。tyrA遺伝子は、次の条件下で30回のPCRサイクルで増幅する:95℃で10分のインキュベーション、次いで95℃で1分の30サイクル、56℃で1分アニーリング及び72℃で1.5分伸長。この反応後、72℃で5分のインキュベーションを行う。PCR産物をNcoIとEcoRIで消化する。ゲル精製した制限断片を、NcoI/EcoRI-消化かつゲル精製したpSE280に連結すると(Invitrogen Co., Carlsbad, CA)、pMON26589をの形成となる(図3)。pMON26589中のtyrA挿入断片をDNAシークエンシングで検証する。
【実施例3】
【0161】
(大腸菌内における二官能性プレフェン酸デヒドロゲナーゼの発現)
ベクターpMON26588とpMON26589で大腸菌DH5aを形質転換させ、細胞を600nmで約0.6の光学密度まで15mlのLB培地内で成長させ、IPTGを添加して0.66μMの最終濃度に誘導する。2〜3時間のインキュベーション後、細胞を収集する。細胞ペレットを0.5mlの25mMのトリス/HCl、pH8.2中に再懸濁させ、超音波で細胞を破壊する。膜及び細胞デブリを3時間100,000xgで遠心分離して細胞を沈降させる。上清は、粗細胞抽出物として酵素検定に用いる。25mMのトリス/HCl pH8.2中1mMのEDTA、1mMのDTE、1mMのNAD、及び1mMのプレフェネート(Ba-塩)を含有する最終量1.5ml内でプレフェン酸デヒドロゲナーゼ活性を測定する。プレフェン酸デヒドロゲナーゼの特異的活性は、Methods in Enzymology Vol.17 (Part A),564-574ページ(1970)に記述されているように、NAD+のNADHへの変換をモニターすることによって測定する。結果は、下表1に示される。
【0162】
【表1】
Figure 2004533244
【実施例4】
【0163】
(T7プロモーターの制御下のtryA遺伝子の配置)
大腸菌及びエルウィニア-ヘルビコラのtyrA遺伝子をNcoI/EcoRI断片としてpMON26589及びpMON26588から切断し、ゲル精製し、NcoI/EcoRI-消化かつゲル精製したpMON26541にクローン化すると(図28)、それぞれpMON26591及びpMON26590の形成となる(図4及び5)。これらベクターをT7プロモーターの制御下tryA遺伝子に配置する。
【実施例5】
【0164】
(tryAを有する植物発現ベクターの調製)
エルウィニア-ヘルビコラのtyrA遺伝子を植物発現用に選択する。この遺伝子をNcoI/EcoRI制限消化によってpMON26590から切断し、ゲル精製し、NcoI/EcoRI-消化かつゲル精製したpMON26541に連結すると、シャトルベクターpMON36510の形成となる(図6)。この連結により、細菌性tyrA遺伝子が、アラビドプシス由来のリブロース二リン酸カルボキシラーゼの小サブユニットの葉緑体標的ペプチドであるCTP1に融合し、e35Sプロモーター制御下で配置される。
このtyrA遺伝子をNapinプロモーター制御下で配置するため、pMON36510をEcoRIで消化し、クレノウ断片(Maniatis)を用いて末端を充填し、このゲル精製したベクターをBglIIで消化する。CTP1に融合したtryA遺伝子をコードするより小さい断片をゲル精製し、消化かつゲル精製したpCGN3223への連結のために連結する(図45)。この連結を遂行するため、pCGN3224をPstIで消化し、末端をクレノウ断片(Maniatis)で充填し、引き続き、ベクターをBglIIで消化し、ゲル精製する。この精製ベクターと精製CTP1::tyrA融合の連結の結果、pMON36512の形成となる(図7)。
このエルウィニア-ヘルビコラtyrA遺伝子をアラビドプシスバイナリーベクターに伝達するため、pMON36510をHindIIIとSacIで消化し、e35Sプロモーターを運ぶゲル精製した断片をCTP1に融合させ、tyrAをHindIII/SacI-消化かつゲル精製したpMON26543に連結すると(図29)、pMON36511の形成となる(図8)。このベクターは、e35Sプロモーター制御下のtryAを含有する。pNapinバイナリー発現ベクターは、pNapin::CTP1::tyrA::napin 3'発現カセットを含むゲル精製したNotI断片をNotI消化したpMON36176に連結して得られ(図30)、その結果pMON36520の形成となる(図9)。
【実施例6】
【0165】
(アラビドプシスのpMON36520とpMON36511による形質転換)
pMON36520とpMON36511で形質転換したアグロバクテリウムは、以下のように調製した。100μlの終夜培養を、抗体を有する寒天LBプレート上に広げる。プレートを逆さにして30℃のチャンバー内に一晩中置く。コロニーの成長(24〜48時間)後、プレートを取り出す。
50mlの管内に10mlの液体LB培地を入れて小規模培養を始める。10μlのカナマイシン (50μg/μL)、10μlのスペクチノマイシン(75〜100μg/μL)、及び10μlのクロラムフェニコール(25μg/μL)を添加する。プレートからアグロバクテリウムを加え、管を振って30℃のシェーカー内に一晩中置く。
10mlの培養の終夜成長後、培養を500mlのフラスコに移す。200mlの液体LBをフラスコに入れ、200μlのカナマイシン(50μg/μL)、200μlのスペクチノマイシン(75〜100μg/μL)、及び200μlのクロラムフェニコール(25μg/μL)を添加し、全10mlの終夜培養を添加する。この500mlフラスコを30℃のシェーカー内に置き、一晩中成長させる。
全200mlの培養を遠心管に入れ、25分間3,750rpm及び19℃で遠心分離する。遠心分離後、液体を注ぎ、ペレットを25mlの5%スクロース(0.05%Silwet)溶液内で再懸濁させる。
【0166】
このスクロース溶液900μlと100μlの25ml細菌培養をキュベット内に入れ、キュベットをパラフィルムの被覆と共に振とうする。1mlのスクロース溶液でブランクODの読みの記録を取り、次いですべての細菌溶液の読みの記録を取る。各培養のOD(600の波長で)を記録する。そして、以下の計算を行い:
C1V1 = C2V2; C1V1 = (0.8)(200ml); C1V1 = 160; V1 = 160 / C1; and V1 = X ml/10
アグロバクテリウム培養のOD600 = 0.8を決定する。
浸漬前に植物を少なくとも30分間水に浸す。細菌溶液を浅いプラスチック容器に注ぎ、穏やかに撹拌しながら、植物の接地部分(ボルト、ロゼット)上に3〜5秒間溶液中に浸漬する。浸漬した植物を菱形地紋のある布で裏打ちした黒色トレイ内の側面に置き、ドームで一晩中(16〜24時間)覆って、高湿度を維持する。カバーを除去し、普通の成長条件を4週間開始させる。
形質転換及び高湿度処理後、植物を4週間22℃、60%RH、及び16時間の光周期で維持する。1週間ごとに弱い20-20-20肥料で施肥を行う。成長4週間後、植物を温室に置き、すべての灌水を停止して種子収穫のために植物を乾燥させる。1〜1.5週間の乾燥後、植物は種子収穫の用意ができる。
【0167】
球果の下の底部を切って種子を収穫し、植物を種子ふるいと1枚の白紙上に保ち、球果穴を通してボルトを突き刺し、ふるいを通じてきれいな種子を収集する。
真空デシケーターホースを接続してヒュームフード/フローベンチ内で真空にすることで種子を滅菌する。100mlの漂白剤を250mlのビーカーに入れ、漂白剤に3mlの濃HClを添加する。ビーカーをデシケーター内に置き、管ホルダー内の種子管中の種子をデシケーター内に置く。デシケーター上にカバーを被せ、真空にする。デシケーターを、16時間を超えないように終夜放置する。
滅菌したらすぐに、種子を選択培地(10g(2g/L)のhyta-Gel、10.75g(2.15g/L)のMS Basal Salts(M-5524,Sigmaから)、50g(10g/L)のスクロース、及び6ml(1.2ml/L)のカナマイシン溶液(950mg/ml)、5ml(1ml/L)セフォタキシム溶液(250mg/ml)、及び5ml(1ml/L)のカルベニシリン溶液(250mg/ml)を全量5リットルにpH5.7で添加して調製)上に塗布する。種子を低密度に分布させるため、種子管をプレート上で軽くたたく。プレートをパラフィルムに包み、4℃の冷蔵庫に1〜2日間入れて冷却処理する。この冷却処理後、プレートを28℃のチャンバー内に入れて発芽させる。
【0168】
選択した小植物は緑色であり、かつ後生葉の発生がある。選択した小植物は、後生葉の発生後土壌に移される。
小植物を土中に鉢植えにし、5日間ドームで覆って高湿度を維持する。長角果が黄色に変わり始めた後、小植物を温室に移す。
選択した小植物からの種子を、土(1/2のMetro-200;1/2のPGXの混合物)を入れた6.4cm(2.5インチ)のポットで育てる。土を載せ、ポットをメッシュスクリーンで覆う。スクリーンは、ゴムバンドでポットに固定する。種子を植えつけ、発芽ドームで覆う。
70%の相対湿度、22℃で12時間の光周期内で実生が成長する。必要に応じて一日おきに水を与え、隔週に、Peterの20-20-20肥料を下から与える。
【実施例7】
【0169】
20種の独立した形質転換事象を表す実施例6からの形質転換した種子植物を育て、T2種子を生産するため種子を収穫する。T2種子を育て、トコフェロールレベルについて調査する。図1では、1mgの種子当たりの全トコフェロールのナノグラムとしてトコトリエノールレベルが表される。トコフェロールレベルは、10〜15mgのアラビドプシス種子を2mL微小管に添加することによって決定される。1gの0.5mmの微小ビーズ集団(Biospecifics Technologies Corp., Lynbrook, NY)と、5μg/mLのトコールを含有するメタノール中の500μlの1%ピロガロール(Sigma Chem, St. Louis, MO) を管に添加する。試料を6.5の速度でFastPrep (Bio101/Savant)内で2回45秒間振る。抽出物をろ過し(Gelman PTFEアクロディスク(acrodisc)0.2μm、13mmのシリンジフィルター, Pall Gelman Laboratory Inc, Ann Arbor, MI)、自動サンプラー管に入れる。ZorbaxシリカHPLCカラム,4.6mm×250mm(5μm)上でHewlett Packard HPLC (Agilent Technologies, Palo Alto CA)を用いる蛍光検出でHPLCを行う。290nmで試料の励起を行い、336nmで発光をモニターする。トコフェロールは、20μlの注入量、1.5ml/分の流速、及び12分の実行時間でヘキサンメチル-t-ブチルエーテル勾配によって分離する。トコフェロール濃度及び組成は、α、β、δ、及びγ-トコフェロール及びα、β、δ、及びγ-トコトリエノールの標準曲線に基づき、Chemstationソフトウェア(Agilent Technologies, Palo Alto CA)を用いて計算する。
【実施例8】
【0170】
(TyrA及び他のトコフェロール生合成遺伝子で形質転換した植物)
キャノーラ、アブラナ、アラビドプシス及び大豆植物を、基本的にChristouのParticle Bombardment for the Genetic Engineering of Plants, Biotechnology Intelligence Unit, Academic Press, San Diego, California(1996)に示されるているような微粒子銃アプローチを用いて、又はアグロバクテリウム媒介形質転換を用いて種々のDNA構成物で形質転換する。2セットのDNA構成物を作製する。第1セットの構成物は、“単一遺伝子構成物”である。以下の各遺伝子を個々の植物DNA構成物中にnapinプロモーターの制御下で挿入すると(Krindlら, Seed Sci. Res. 1:209:219 (1991))、その遺伝子産物は、CTP1(Keegstra, Cell 56(2):247-53 (1989); Nawrathら,Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 91:12760-12764 (1994))又はCTP2のようなコード化色素体標的ペプチドによって色素体への標的にすることができる:エルウィニア-ヘルビコラtyrA遺伝子(Xiaら, J. Gen. Microbiol. 138:1309-1316 (1992))、slr1736遺伝子(Cyanobase on the ワールドワイドウェブ:kazusa.or.jp/cyanobaseのCyanobase内)、植物ATPT2遺伝子(Smithら,Plant J. 11: 83-92 (1997))、dxs遺伝子(Loisら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 95 (5):2105-2110 (1998))、dxr遺伝子(Takahashiら,Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 95 (17),9879-9884 (1998))、シロイヌナズナHPPD遺伝子(Norrisら, Plant Physiol. 117:1317-1323 (1998))、GGH遺伝子(Kellerら, Eur. J. Biochem. 251:413-417 (1998))、シロイヌナズナGGPPS遺伝子(Bartley及びScolnik,Plant Physiol. 104:1469-1470 (1994))、AANT1遺伝子(Saint Guilyら, Plant Physiol., 100(2):1069-1071 (1992))、MT1遺伝子(Synechocystis MT1の配列(NCBI 一般識別番号1653572)をアナベナ種株PCC7120 (Kaneko 2001)のESTsに対する芽細胞検索に使用した。SynechocystisMT1に実質的に相同性の配列は、アナベーナ種株PCC7120(Kanekoら, DNA Research 8(5): 205-213 (2001))、TMT2遺伝子(2001年10月25日提出の、参照によってその全体が本明細書に取り込まれる米国特許出願S/N 60/330,563で開示されているような)、GMT遺伝子(2001年8月17日提出の、参照によってその全体が本明細書に取り込まれる米国特許出願S/N60/312,758に開示されているような);WO 00/32757, WO 00/10380)、及びslr1737遺伝子(ワールドワイドウェブ:kazusa.or.jp/cyanobaseのCyanobas内)、及びホモゲンチジン酸ジオキシゲナーゼに対するアンチセンス構成物(Satoら, J. DNA Res. 7 (1):31-63 (2000)))のESTsに対する芽細胞検索で見いだされる。各構成物は、少なくとも1種のキャノーラ、アブラナ、アラビドプシス及び大豆植物に形質転換される。これら各遺伝子を発現する植物は、さらなる交配に関与するように選択される。各植物内におけるトコフェロールの組成及びレベルも、実施例7で述べた方法で解析される。各種について交配を行い、以下の組合せの1つ以上を有するトランスジェニック植物を生産する:tyrA、slr1736、ATPT2、dxs、dxr、GGH、GGPPS、HPPD、MT1、TMT2、GMT、AANT1、slr1737、及びホモゲンチジン酸ジオキシゲナーゼに対するアンチセンス構成物。好ましい組合せでは、核酸構成物は、tyrAに加え、HPPDと、slr1736又はATPT2のどちらかをコードする。
交配(すべての中間交配を含む)で生産した各植物内におけるトコフェロール組成及びレベルも、実施例7で述べた方法で解析される。これら構成物由来の形質転換体の子孫を相互に交配して、トコフェロールの所望レベルに達するまでさらなる遺伝子を積み重ねる。
【0171】
第2セットのDNA構成物を作製し、“多遺伝子構成物”と呼ぶ。この多遺伝子構成物は、それぞれnapinプロモーターの制御下の多数の遺伝子を含有し(Krindlら, Seed Sci. Res. 1:209:219 (1991))、各遺伝子の産物は、コード化色素体標的ペプチドによって、色素体を標的にする。多遺伝子構成物は、以下の遺伝子の2種以上を持つことができる:tyrA、slr1736、ATPT2、dxs、dxr、GGH、GGPPS、HPPD、MT1、TMT2、GMT、AANT1、slr1737、及びホモゲンチジン酸ジオキシゲナーゼに対するアンチセンス構成物。好ましい組合せでは、核酸構成物は、tyrAに加え、HPPDと、slr1736又はATPT2のどちらかをコードする。
各構成物を少なくとも1種のキャノーラ、アブラナ、アラビドプシス及び大豆植物に形質転換する。各植物内におけるトコフェロール組成及びレベルも、実施例7で述べた方法で解析する。これら構成物由来の形質転換体の子孫を相互に交配して、トコフェロールの所望レベルに達するまでさらなる遺伝子を積み重ねる。
【実施例9】
【0172】
(TyrA、ATPT、及び他のトコフェロール生合成遺伝子によって形質転換したアラビドプシス植物)
野生型アラビドプシス植物及びアラビドプシス植物系統をプラスミドベクターpMON69907で形質転換し(図12)、成長させ、かつ上記実施例で記載したように種子を収集し、上述したように、その種子をトコフェロール及びトコトリエノール含量について分析する。プラスミドpMON69907は、二官能性プレフェン酸デヒドロゲナーゼ(tyrA)及びフィチルプレニルトランスフェラーゼ(ATPT2)をコードする。図14は、野生型植物及びプラスミドベクターpMON69907で形質転換したいくつかの植物系統由来のアラビドプシス種子の全トコフェロール及びトコトリエノール含量を示す。図15は、野生型植物及びプラスミドベクターpMON69907で形質転換したいくつかの植物系統由来の全トコフェロール含量を示す。図31は、トコフェロールとトコトリエノールについてのLC/MS標準を示す。図32は、選択した系統についてのLC/MSの結果を示し、トコトリエノールの存在を示している。図33は、対照の種子抽出物のHPLC/FLDクロマトグラムを示し、トコトリエノールの非存在を示している。図34は、対照の種子抽出物のHPLC/FLDクロマトグラムを示し、選択系統内のトコトリエノールの存在を示している。
【実施例10】
【0173】
(TyrA及び他のトコフェロール生合成遺伝子で形質転換したアラビドプシス植物)
それぞれ図10〜13に示される発現構成物pCGN10822、pMON36528、pMON69907及びpMON69909を調製する。
実施例で述べた形質転換法を用いて、アラビドプシス植物を指標ベクターで形質転換する。形質転換体を単離し、自家受粉で個々の系統に成長させ、各系統由来の種子を収集する。各系統由来の種子のトコフェロール及びトコトリエノールの組成を実施例8で述べた方法で分析する。図16は、記載した構成物を含む植物系統又は対照のトコフェロール及びトコトリエノールレベルを示す。図17には、野生型と比較したベクターpMON69909による形質転換で誘導された植物系統由来のT2種子の解析が示される。pMON69909で形質転換した植物系統は、全トコフェロール及び全トコトリエノールの実質的な増加を示し、δ-トコフェロール、α-トコトリエノール、δ-トコトリエノール、γ-トコトリエノールが最も増加する。ベクターpMON69909を含む植物由来の種子は、ホモゲンチジン酸の蓄積の結果として暗い色を呈し、LC/MS分析によって確認される(図31及び32参照)。
【0174】
トランスジェニックアラビドプシス植物の種子内におけるtyrAの異種発現は、対照系統と比較した場合、種子トコフェロールレベルの1.6-倍の増加を生じさせる。トコフェロール生合成に必須の別の主要酵素はHPTであり、この酵素は、トコフェロールの4つの異なるイソ型の合成用前駆体である2-メチル-6-フィチルプラストキノール(2M6PPQ)を生産するピロリン酸(PPP)及びフィチルホモゲンチジン酸とホモゲンチザーテ(HGA)の縮合に関与する。トランスジェニックシロイヌナズナの種子内における独立的なHPTアラビドプシス(ATPT2)及びHPTSynechocystis(slr1736)の過剰発現の結果、種子トコフェロールが1.6倍増加する。単一遺伝子として発現したシロイヌナズナ由来の推定上のアデニレート輸送体(AANT1)は、シロイヌナズナ内における種子トコフェロールレベルを1.4倍に高めることが示される。これら遺伝子の組合せが、トコフェロール生合成について相乗効果をもたらすかどうかを調べるため、種々の組合せをシロイヌナズナ内で試験する。
【0175】
ATPT2とtyrAの二遺伝子構成物(pMON69907)、ATPT2、tyrAとHPPDの三遺伝子構成物(pMON69909)、ATPT2、tyrAとGGPPSの三遺伝子構成物(pMON69915(図35))、及びATPT2、tyrAとAANT1の三遺伝子構成物(pMON69919(図36))を含むT2アラビドプシス種子を種子トコフェロール含量及び組成について解析する。全種子トコフェロール及びトコトリエノール含量は、pMON69907(二遺伝子ベクター)で形質転換した系統で約2.4-倍に増加し、三遺伝子ベクター(pMON69909)を保有する系統で5倍まで増加する(図16及び17参照)。単一遺伝子としてシロイヌナズナ内で発現したHPPDは、かろうじて検出できる程度のトコフェロールレベルの増加をもたらす。HPPDとATPT2の組合せは、ATPT2のみと比較した場合、トコフェロールレベルのさらなる増加をもたらさない(データ示さず)。対照的に、HPPDをtyrA及びATPT2と組み合せると、トコフェロール及びトコトリエノールレベルが、tyrA、ATPT2組合せ比較して倍加する。三遺伝子構成物pMON69909は、対照種子よりもずっと色が暗く見える。
【0176】
さらに、野生型双子葉植物は、トコトリエノールを蓄積しないことが分かっている。しかし、すべての4種の構成物を含むトランスジェニックシロイヌナズナの種子は、相当レベルのトコトリエノールを蓄積する(HPLC、かつ選択した試料についてはLC-MSで確認される(図31、32、33、及び34参照))。三遺伝子発現構成物、pMON69909を含む種子のトコフェロール及びトコトリエノール含量は、60%のトコトリエノールと40%のトコフェロールから成る。内因性HGAのアベイラビリティが、HPTと共にHGA生合成酵素(tyrA&HPPD)の過剰発現によって上昇する場合、HPTは、ゲラニルゲラニルピロリン酸(GGPP)とHGAを利用して、ゲラニルゲラニルレダクターゼ(GGH)の内因性レベルのアベイラビリティによって制限される条件下、トコフェロールの代わりにトコトリエノールを生産するだろう。GGHは、トコフェロール合成におけるHPTの基質であるPPPにGGPPを水素化するときに機能する。それゆえに、試験した構成物内で見られるトコトリエノール蓄積の増加は、tyrA、HPPD、及びHPTと共同したGGHの過剰発現によって克服することができる。
【実施例11】
【0177】
(TyrA及び他のトコフェロール生合成遺伝子で形質転換した植物)
実質的に8で述べた方法を利用し、下表2及び3に示されるDNA構成物で植物を形質転換する。構成物は、napinプロモーター(Krindlら, Seed Sci. Res. 1:209:219 (1991))、7Sα'プロモーター(Chenら, PNAS 83(22):8560-8564 (1998))又はArc5プロモーター(Goossensら, Plant Physiol. 120:1095-1104 (1999))の制御下、1種以上の遺伝子を含む。遺伝子の産物は、CTP1(Keegstra, Cell 56(2):247-53 (1989);Nawrathら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 91:12760-12764 (1994))又はCTP2のようなコード化標的ペプチドによって色素体を標的にすることができる。以下の遺伝子の1種以上を使用する:エルウィニア-ヘルビコラtyrA遺伝子(Xiaら, J. Gen. Microbiol. 138:1309-1316 (1992))、slr1736遺伝子(ワールドワイドウェブ:kazusa.org.jp/cyanobaseのCyanobase内)、ATPT2遺伝子(Smithら, Plant J. 11: 83-92 (1997))、大腸菌dxs遺伝子(Loisら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 95 (5):2105-2110 (1998))、dxr遺伝子(Takahashiら,Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 95 (17), 9879-9884 (1998))、HPPD遺伝子(Norrisら, Plant Physiol. 117:1317-1323 (1998))、GGH遺伝子(Kellerら, Eur. J. Biochem. 251:413-417 (1998))、シロイヌナズナGGPPS遺伝子(Bartley及びScolnik, Plant Physiol. 104:1469-1470 (1994))、AANT1遺伝子(Saint Guilyら, Plant Physiol., 100(2):1069-1071 (1992))、MT1遺伝子(上記実施例8のような)、TMT2遺伝子(上記実施例8のような)、GMT遺伝子(上記実施例8、及びWO 00/32757, WO 00/10380のような)、slr1737 遺伝子(ワールドワイドウェブ:kazusa.org.jp/cyanobaseのCyanobase内)、及びホモゲンチジン酸ジオキシゲナーゼ(HGDASと表される)に対するアンチセンス構成物(Satoら, J. DNA Res. 7 (1):31-63 (2000))。各構成物は、少なくとも1種のキャノーラ、アブラナ、アラビドプシス、及び大豆植物に形質転換される。各植物内におけるトコフェロールの組成とレベルも実施例7で述べた方法で解析する。tyrA及び他のトコフェロール生合成遺伝子による形質転換植物の例としては、表2に示される構成物で形質転換したアラビドプシス植物及び表2中の構成物で形質転換した大豆植物が挙げられる。
【0178】
所望特性を有する植物をさらに交配させ、導入遺伝子の以下の組合せの1種以上を有するトランスジェニック植物を生産することができる:tyrA、slr1736、ATPT2、dxs、dxr、GGH、GGPPS、HPPD、MT1、TMT2、GMT、AANT1、slr 1737、及びホモゲンチジン酸ジオキシゲナーゼに対するアンチセンス構成物。代わりに、植物を交配させ、トランスジェニック植物内に上記遺伝子の1種以上の多コピーを積み重ねることができる。
【0179】
【表2】
Figure 2004533244
【0180】
【表3】
Figure 2004533244
【実施例12】
【0181】
(tyrAと他のトコフェロール合成遺伝子の組合せを含む植物バイナリーベクターの構築)
各遺伝子発現カセットの成分には、図18a及び18bに示されるように、プロモーター、この実施例ではnapinプロモーター、ターミネーター、色素体標的ペプチド(天然の色素体標的ペプチド又はN-末端融合葉緑体標的ペプチドでよい)、及び問題の遺伝子が含まれる。発現カセットは、定方向性頭−尾、頭−頭でよく、或いは方向を変えることができる。
Bsp120 I及びNotI制限部位に隣接する発現カセットを用いてクローニングを行う。シャトルベクター(pMON36582(図19))は、プライマーSV MCS 1A及びSV MCS 1B:
Figure 2004533244
をアニーリングし、かつそれらをBglII及びXhoI消化かつゲル精製したpSP72(Promega, www.promega.com)に連結することによって構築する。結果のベクターは、pMON36582と命名される(図19)。ベクターは、DNAシークエンシングで確認される。
【0182】
すべての遺伝子発現カセットをNotI制限部位に隣接して設置する。これらカセットは、前のベクターをNotIで消化した後、該発現カセットのゲル精製によって単離される。pMON36582は、このベクターを2回、1回はNotI部位内、かつ1回はNotI部位の19bp上流で切断する、EagIで消化する。両オーバーハングはNotIと適合性である。NotI発現カセットをゲル精製したEagI消化pMON36582に連結すると、単一のNotI部位を有するベクターとなる。従って、この発現カセットは、Bsp120I/NotIカセットとして利用できる。Bsp120I/NotIカセットとして利用可能なアラビドプシスホモゲンチジン酸フィチルトランスフェラーゼ用の発現カセットの例は、図20にpMON36586として示される。このベクターは、上述したように得られる。
【0183】
発現カセットの構築は、pMON36586のようなシャトルベクター内で行う。遺伝子発現カセットは、他のシャトルベクターからBsp120I/NotI消化によって遊離され、NotIで消化したpMON36586のようなベクター中に連結される。その結果のベクターは、1つの追加遺伝子発現カセットと、単一のNotI部位を含む。この手順は、必要に応じて繰り返すことができる。遺伝子構築が完了すると、その結合した発現カセットをBsp120I/NotI消化によって遊離することができる(pMON10098(図37))。この発現カセットを保有する生成断片を精製し、バイナリーベクターの単一のNotI部位に連結する。これとは別に、バイナリーベクター内で直接遺伝子発現カセットの構築を果たすことができる(図21)。バイナリーベクターは、植物細胞中にアグロバクテリウムからDNAを伝達するのに必要な左右の境界配列の存在によって定義される。この操作用のすべての化学試薬及び酵素は分子グレードである。これら試薬及び酵素は、供給業者の説明書に従って使用する。標準的な分子クローニング法を利用する。
数例の植物バイナリー構成物、その成分及びプラスミド地図を示す。トコフェロール経路操作のため関心のある他の遺伝子との組合せでtryAを含有することを示す実施例が図18a及び18bに列挙される。これら構成物の成分は、表4にも与えられる。図22〜27として示されるベクター地図は、種々の構成物を表す。
【0184】
【表4】
Figure 2004533244
【実施例13】
【0185】
(複数の酵素をコードするベクターの構築)
この実施例は、シロイヌナズナ種子のようなトランスジェニック植物内におけるトコフェロール生産を促進するための、トコフェロール生合成経路で重要な他の酵素と組み合せたエルウィニア-ヘルビコラtryAのようなプレフェン酸デヒドロゲナーゼ(tyrA)の使用について述べる。tyrAと組み合わせる酵素としては、シロイヌナズナ由来のATPT2、p-ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ(HPPDアラビドプシス)、及びゲラニルゲラニルピロリン酸シンターゼ(GGPPSアラビドプシス)が挙げられる。tyrAに加え、シロイヌナズナ由来のATPT2及び推定アデニレート輸送体(AANT1アラビドプシス)と組合せても試験した。
【0186】
種子特異的tyrA及びATPT2発現カセットを含む二遺伝子ベクターの構築は、以下のように行う。pMON36520(図38)の精製プラスミドDNAを部分的なKpnI消化に供し、pMON43853(図39)から単離した4.2kbpゲル精製KpnI-断片と連結する。pMON43853由来の4.2kb挿入断片は、PPT遺伝子発現カセット(pNapin::ATPT2::Napin 3')を含有する。結果の植物バイナリーベクターpMON69907(図12)をシロイヌナズナの形質転換に用いて、tyrAとATPT2の種子特異的発現の組合せ効果を試験する。
【0187】
さらにトコフェロール生合成を増やすため、tryAとATPT2に加え、シロイヌナズナ種子内でHPPDアラビドプシスを発現させる。これは、pMON69907にHPPDアラビドプシスの種子特異的発現カセットを加えることで達成され、その結果pMON69909の形成となる。バイナリーベクター pMON69909は、部分的にpMON69907をKpnIで消化して作製する。単一のKpnI-カットpMON69907をゲル精製し、pMON36525から単離した4.6kbのKpnI/KpnI挿入断片と連結する(図40)。pMON36525由来の4.6kbのKpnI/KpnI挿入断片は、HPPD遺伝子発現カセット、pNapin::CTP2::HPPDアラビドプシス::Napin 3'を含み、HPPDの種子特異的色素体標的発現を方向づける。CTP2は、アラビドプシス5-エノールピルビルシキメート-3-リン酸シンターゼ(EPSPS)遺伝子である。
【0188】
バイナリーベクターpMON69915(図35)を構築し、トコフェロール生産について3遺伝子すなわちtyrA、ATPT2、及びGGPPSアラビドプシスの組合せの効果を調べる。ベクターpMON69907 を部分的にKpnIで消化する。単一のKpnI-カットpMON69907をゲル精製し、pMON43861由来のゲル精製した4.3kbのKpnI/KpnI断片と連結して(図41)pMON69915を作製する。pMON43861由来のKpnI断片は、シロイヌナズナ由来のアラビドプシスゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼの発現カセットを含有する(pNapin::GGPPSアラビドプシス::Napin 3')。GGPPS cDNAは、文献で入手可能な配列情報を有するESTデータベースを検索することでESTクローンとして同定される(Okadaら, Plant Physiol. 122:1045-1056 (2000))。ESTクローンをNcoIで消化し、クレノウ断片で5'オーバーハングを満たすことで平滑末端化する。引き続き、クローンをBamHIで消化し、cDNA断片を切除する。ゲル精製したBamHI/平滑cDNA断片を、BglII/SalIで消化かつ(SalI平滑末端化した)ベクターpCGN7770(図42)と連結してpMON43861を作製する。
【0189】
植物バイナリーベクターpMON69919(図36)を構築し、種子トコフェロールレベルについてtyrA、ATPT2、及びAANT1アラビドプシスの組合せ発現を試験する。このベクターを作製するため、pMON69907を部分的にKpnIで消化する。単一のKpnI-カットpMON69907をゲル精製し、pMON69911由来の4.2kbのゲル精製したKpnI/KpnI断片と連結する(図43)。この4.2kbの断片は、アラビドプシスアデニレート輸送体AANT1の種子特異的発現カセット(pNapin::AANT1アラビドプシス::napin 3')を含有する。pMON69911は、このAANT1断片をSalIとPstI(PstI部位はクレノウで3'オーバーハングを除去して平滑化されている)でpCGN11301から切除し(図44)、次いでSalI/XHoI消化(XHoI平滑末端化)pCGN7770に連結して作製される。
【0190】
公表されているAANT1の部分配列(Saint-Guilyら,Plant Physiol.100(2):1069-1071(1992))を用いて、ESTデータベース内のいくつかの全長クローンを同定する。AANT1コーティング領域をプライマーAANT1F 5'-GGATCCGCGGCCGCACCATGGTTGATCAAGTTCAGCA(配列番号11)及びAANT1R 5'-GAGCTCCTGCAGGAAGCTTTTAGGCACCTCCTGATCCGT-3'(配列番号12)でPCR-増幅する。NotI部位(下線部)が、プライマーAANT1F中の開始コドン(イタリック体:ATG)の上流に位置し、一方、Sse8387I部位(下線部)は、AANT1R中の終止コドン(イタリック体:TTA)の下流に位置する。このPCR産物をまずpCR2.1にクローン化し、両鎖の配列決定によって挿入断片を検証する。引き続き、NotI/Sse8387I断片を、napinプロモーターに対してセンス配向のpCGN9979中のnapin発現カセットのNotI/Sse8387I部位中に挿入してpCGN11301を生成する。この植物発現カセットは、上述したようなアグロバクテリウム媒介形質転換によるシロイヌナズナの形質転換で使用する。
【実施例14】
【0191】
(複数の酵素をコードするベクターの植物内での発現)
実施例8で述べた形質転換法を用いて、シロイヌナズナ植物を実施例13のベクターで形質転換する。pMON69909の結果は図14、15、16、17及び31〜34に示される。さらなる結果は下表及び図75及び76に与えられており、pMON69909を有する形質転換した植物のトコフェロール、トコトリエノール、ホモゲンチジン酸塩、及び2-メチルフィチルプラストキノールレベルを示している。
【0192】
【表5】
Figure 2004533244
【実施例15】
【0193】
(大豆内での構成物の発現)
この実施例は、tyrAを単独及びトコフェロール生合成経路でキーとなる他の酵素と組み合わせて調べ、トランスジェニック大豆種子内でトコフェロール生産を高めるための植物バイナリーベクターの調製方法について述べる。
下表は、大豆の、導入遺伝子の種子特異的発現で関心のある発現カセットのそれぞれの遺伝子で大豆を形質転換するために調製した植物バイナリーベクターを示す。
【0194】
【表6】
Figure 2004533244
【0195】
pMON36575(図46)は、pMON38207R(図47)由来の3kbのゲル精製したNotI断片を、p7Sa'::CTP1::tyrAエルウィニア−ヘルビコラ::E9 3'発現カセットを含有するpMON36571(図48)のNotI部位で連結することで調製される。CTP1は、アラビドプシスRUBISCO小サブユニット由来の葉緑体-標的シグナル配列をコードする。3kbのNotI断片は、選択可能な標識カセットpFMV::CTP2::CP4syn::E9 3'を含有する。CTP2は、アラビドプシス 5-エノールピルベルシキメート-3-リン酸シンターゼ(EPSPS)由来の葉緑体-標的シグナル配列をコードする。CP4synはEPSPS合成遺伝子である。ベクターpMON36575をさらにHindIIIで消化し、p7Sa'::CTP1::tyrAエルウィニア−ヘルビコラ::E9 3'発現カセットを含有する3kbの断片を遊離させる。この断片は、5'オーバーハングをクレノウ断片で充填することで平滑末端化し、ゲル精製し、かつ発現カセットp7Sa'::CTP2::HPPDアラビドプシス::E9 3'を保有するpMON36576(図49)のPmeI部位で連結してpMON69924を生成する(図50)。
【0196】
植物バイナリーベクターpMON69943(図51)は、p7Sa'::CTP2::HPPDアラビドプシス::E9 3'発現カセットを含有するpMON69929(図52)をNotIで消化し、Bsp120IとNotIによるpMON69936(図53)の消化によって生成した7.3kbのゲル精製断片と連結することによって調製される。この断片は、p7Sa'::CTP1::tyrAエルウィニア−ヘルビコラ::E9 3'及びpArcelin-5::CTP1::slr1736::Arcelin 3'の発現カセットを含有する。ベクターpMON69943をさらにNotIで消化し、pMON36592(図54)由来の4.5kbのBsp120I/NotIゲル精製断片と連結してpMON69945を生成する(図55)。pMON36592由来の断片は、pNapin::GGHアラビドプシス::napin 3'の発現カセットを含有する。
WO00/61771 A3の99〜100ページに示される手順に従って上記ベクターで大豆を形質転換させる。
【実施例16】
【0197】
(キャノーラ内で発現した多遺伝子の組合せ)
キャノーラ内発現用に使用するすべての遺伝子発現カセットは、napinプロモーター、問題の遺伝子、及びnapinターミネーターを含有するNotIカセットのように調製する。問題の遺伝子は、天然の葉緑体標的が存在する場合を除き、N-末端で葉緑体標的ペプチドに融合されている。すべての遺伝子の組合せは、単一の多遺伝子ベクター内で構築される。
多遺伝子ベクターの構築を容易にするため、NotI発現カセットをpMON16602(図56)、pMON36525(図57)、pMON36520(図38)からNotI消化によって単離し、EagI消化かつゲル精製したpMON36582(図19)にクローン化すると、pMON58171(図58)(slr1736発現カセット)、pMON58172 (図59)(HPPDアラビドプシス発現カセット)、及びpMON58170(図60)(tyrAエルウィニア−ヘルビコラ発現カセット)の形成となる。生成したすべての発現カセットをBsp120I及びNotIと隣接させる。
【0198】
アラビドプシスGGH用のnapin作動型発現カセットは、pMON36591(図61)由来の3191bpの NotI/HindIII断片と、pMON36588(図62)由来の5612bpのNotI/HindIII-断片の単離及びゲル精製によって得る。この2つの精製断片を連結すると、pMON36592(図63)の形成となる。ベクターpMON36592をBsp120IとNotIで消化し、GGH発現カセットをゲル精製し、EagI消化かつゲル精製したpMON36582(図19)中に連結すると、pMON58182(図64)の形成となる。
【0199】
これら4つの遺伝子を併せ持つ多遺伝子ベクターは、ベクターpMON58171、pMON58172、pMON58170、及びpMON58182をBsp120IとNotIで消化した後、各構成物由来の大きい断片をゲル精製して得る。これら断片は、それぞれslr1736、HPPD、tyrA、及びGGH発現カセットを含有する。pMON58170由来のtyrA発現カセットをNotI消化かつアルカリ性ホスファターゼ処理したpMON58171中に連結すると、それぞれtyrA及びslr1736用発現カセットを含有する二遺伝子ベクターpMON58176(図65)の形成となる。このベクターを再びNotIで消化し、アルカリ性ホスファターゼ処理し、かつpMON58172由来のHPPD発現カセットと連結する。その結果の三遺伝子ベクターpMON58183(図66)は、HPPD、tyrA、及びslr1736発現カセットを含有する。また、pMON58183をBsp120Iで消化し、アルカリ性ホスファターゼ処理し、かつゲル精製したGGH発現カセット(上記精製参照)と連結すると、pMON58185(図67)の形成となる。
【0200】
シャトルベクターpMON36593(図68)(tyrA及びHPPD発現カセット含有)は、pMON36589(図69)由来のBsp120I/NotI消化かつゲル精製したtyrA発現カセットを、NotI消化かつアルカリ性ホスファターゼ処理したpMON36590(図70)中に連結することによって得る。
組合せ遺伝子発現カセットをpMON36593(HPPD/tyrA)、pMON58183(HPPD/tyrA/slr1736)、及びpMON58185(HPPD、tyrA、slr1736、GGH)由来の消化物で切除する。この組合せ遺伝子発現カセットをゲル精製し、かつNotI消化、アルカリ性ホスファターゼ処理したpMON67162(図71)中に連結すると、それぞれバイナリーベクターpMON58178(図72)、pMON58186(図73)、及びpMON58188(図74)の形成となる。後者の3つのバイナリーベクターは、キャノーラの形質転換に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0201】
【図1】エルウィニア-ヘルビコラtryA発現構成物を含むシロイヌナズナの総種子トコフェロールレベルを、色素体標的配列、野生型植物、及びベクター対照を有する植物と比較するグラフである。
【図2】構成物pMON26588の模式図である。
【図3】構成物pMON26589の模式図である。
【図4】構成物pMON26591の模式図である。
【図5】構成物pMON26590の模式図である。
【図6】構成物pMON36510の模式図である。
【図7】構成物pMON36512の模式図である。
【図8】構成物pMON36511の模式図である。
【図9】構成物pMON36520の模式図である。
【図10】構成物pCGN10822の模式図である。
【図11】構成物pMON36528の模式図である。
【図12】構成物pMON69907の模式図である。
【図13】構成物pMON69909の模式図である。
【図14】プラスミドベクターpMON69907で形質転換した野生型植物及び数種の植物系統由来のシロイヌナズナ種子の総トコフェロール及びトコトリエノール含量を示す。
【図15】プラスミドベクターpMON69907で形質転換した野生型植物及び数種の植物系統由来のシロイヌナズナ種子の総トコフェロール含量を示す。
【図16】プラスミドベクターpCGN10822、pMON36528、pMON69907及びpMON69909で形質転換した野生型植物及び数種の植物系統由来のシロイヌナズナ種子の総トコフェロール及びトコトリエノール含量を示す。
【図17】野生型植物種子と比較した、ベクターpMON69909で形質転換した植物系統由来のシロイヌナズナ種子のトコフェロール及びトコトリエノール含量の詳細な解析を示す。
【図18a】植物の形質転換用の例示的な構成物を示す。
【図18b】植物の形質転換用の例示的な構成物を示す。
【図19】pMON36582の概略構成である。
【図20】Bsp120I/NotIカセットとしてシロイヌナズナホモゲンチシン酸フィチルトランスフェラーゼ(HPT)の発現カセットを含むシャトルベクター(pMON36586)の例であり、napinプロモーター及びnapinターミネーターが、それぞれ5'及び3'末端に接合し、種子特異的発現を作動させる。
【図21】シャトルベクター(A)又はバイナリーベクター(B)内で示される種々の遺伝子発現カセットを表す。
【図22】構成物pMON36596の模式図である。
【図23】構成物pMON36597の模式図である。
【図24】構成物pMON77601の模式図である。
【図25】構成物pMON77602の模式図である。
【図26】構成物pMON66657の模式図である。
【図27】構成物pMON66659の模式図である。
【図28】構成物pMON26541の模式図である。
【図29】構成物pMON26543の模式図である。
【図30】構成物pMON36176の模式図である。
【図31】LC/MS標準グラフである。
【図32】LC/MSグラフである。
【図33】HPLCクロマトグラフである。
【図34】HPLCクロマトグラフである。
【図35】構成物pMON69915の模式図である。
【図36】構成物pMON69919の模式図である。
【図37】構成物pMON10098の模式図である。
【図38】構成物pMON36520の模式図である。
【図39】構成物pMON43853の模式図である。
【図40】構成物pMON36525の模式図である。
【図41】構成物pMON43861の模式図である。
【図42】構成物pCGN7770の模式図である。
【図43】構成物pMON69911の模式図である。
【図44】構成物pCGN11301の模式図である。
【図45】構成物pCGN3223の模式図である。
【図46】構成物pMON36575の模式図である。
【図47】構成物pMON38207Rの模式図である。
【図48】構成物pMON36571の模式図である。
【図49】構成物pMON36576の模式図である。
【図50】構成物pMON69924の模式図である。
【図51】構成物pMON69943の模式図である。
【図52】構成物pMON69929の模式図である。
【図53】構成物pMON69936の模式図である。
【図54】構成物pMON36592の模式図である。
【図55】構成物pMON69945の模式図である。
【図56】構成物pMON16602の模式図である。
【図57】構成物pMON36525の模式図である。
【図58】構成物pMON58171の模式図である。
【図59】構成物pMON58172の模式図である。
【図60】構成物pMON58170の模式図である。
【図61】構成物pMON36591の模式図である。
【図62】構成物pMON36588の模式図である。
【図63】構成物pMON36592の模式図である。
【図64】構成物pMON58182の模式図である。
【図65】構成物pMON58176の模式図である。
【図66】構成物pMON58183の模式図である。
【図67】構成物pMON58185の模式図である。
【図68】構成物pMON36593の模式図である。
【図69】構成物pMON36589の模式図である。
【図70】構成物pMON36590の模式図である。
【図71】構成物pMON67162の模式図である。
【図72】構成物pMON58178の模式図である。
【図73】構成物pMON58186の模式図である。
【図74】構成物pMON58188の模式図である。
【図75】選択系統内におけるトコフェロール及びトコトリエノール並びにHGAレベルを示す。
【図76】選択系統内におけるトコトリエノール及び2M6PPQレベルを示す。

Claims (74)

  1. 操作可能に結合した成分として以下の成分:(A)植物細胞内で作用してmRNA分子の生産を引き起こすプロモーター領域;(B)コリスミ酸ムターゼ及びプレフェン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素又は前記酵素の少なくとも20個の連続アミノ酸である該酵素の断片をコードする異種核酸分子;を含んでなる実質的に精製した核酸分子。
  2. 操作可能に結合した成分として以下の成分:(A)植物細胞内で作用してmRNA分子の生産を引き起こすプロモーター領域;(B)配列番号2、配列番号4及び少なくとも20個の連続アミノ酸であるそれらの断片から成る群より選択されるアミノ酸配列をコードする異種核酸分子;を含んでなる実質的に精製した核酸分子。
  3. さらに、前記植物細胞内で作用して転写の終結及び前記mRNA分子の3'末端へのポリアデニル化リボヌクレオチドの付加を引き起こす3'非翻訳配列を含む、請求項1に記載の核酸分子。
  4. 前記異種核酸分子が、エルウィニア-ヘルビコラtryA又は大腸菌tryAをコードする、請求項1に記載の核酸分子。
  5. 前記異種核酸分子が、配列番号1及び3から成る群より選択される核酸配列を含む、請求項1に記載の核酸分子。
  6. 前記異種核酸分子が、さらに、フィチルプレニルトランスフェラーゼを発現する発現カセットを含む、請求項1に記載の核酸分子。
  7. 前記異種核酸分子が、さらに、ヒドロキシフェニルピルビン酸デヒドロゲナーゼを発現する発現カセットを含む、請求項6に記載の核酸分子。
  8. 前記断片が、プレフェン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする、請求項1に記載の核酸分子。
  9. 前記異種核酸分子が、さらに、それぞれ、slr1736、ATPT2、dxs、dxr、GGH、GGPPS、HPPD、MT1、TMT2、GMT、AANT1、slr1737、及びホモゲンチジン酸ジオキシゲナーゼに対するアンチセンス構成物から成る群より選択されるメンバーを発現する2種以上の発現カセットを含む、請求項1に記載の核酸分子。
  10. 前記異種核酸分子が、さらに、HPPD及びslr1736又はATPT2のどちらかをコードする核酸配列を含む、請求項1に記載の核酸分子。
  11. 操作可能に結合した成分として以下の成分:(A)植物細胞内で作用してmRNA分子の生産を引き起こすプロモーター領域;(B)転写鎖と非転写鎖を有し、前記転写鎖が、コリスミ酸ムターゼ及びプレフェン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードする核酸分子に相補的である、異種核酸分子;を含んでなる核酸分子。
  12. 操作可能に結合した成分として以下の成分:(A)植物細胞内で作用してmRNA分子の生産を引き起こすプロモーター領域;(B)転写鎖と非転写鎖を有し、前記転写鎖が、配列番号2及び4から成る群より選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする核酸分子に相補的である、異種核酸分子;を含んでなる核酸分子。
  13. 操作可能に結合した成分として以下の成分:(A)植物細胞内で作用してmRNA分子の生産を引き起こすプロモーター領域;(B)配列番号2及び4から成る群より選択されるアミノ酸配列又は少なくとも20個の連続アミノ酸であるそれらの断片を含むポリペプチドをコードする外因性核酸分子;及び(c)前記植物細胞内で作用して転写の終結及び前記mRNA分子の3'末端へのポリアデニル化リボヌクレオチドの付加を引き起こす3'非翻訳配列;を含んでなる核酸分子を有する形質転換植物。
  14. 前記外因性核酸分子が、さらに、フィチルプレニルトランスフェラーゼを発現する発現カセットを含む、請求項13に記載の形質転換植物。
  15. 前記異種核酸分子が、さらに、ヒドロキシフェニルピルビン酸デヒドロゲナーゼを発現する発現カセットを含む、請求項14に記載の形質転換植物。
  16. 前記異種核酸分子が、さらに、それぞれ、slr1736、ATPT2、dxs、dxr、GGH、GGPPS、HPPD、MT1、TMT2、GMT、AANT1、slr1737、及びホモゲンチジン酸ジオキシゲナーゼに対するアンチセンス構成物から成る群より選択されるメンバーを発現する2種以上の発現カセットを含む、請求項13に記載の形質転換植物。
  17. 前記異種核酸分子が、さらに、HPPD及びslr1736又はATPT2のどちらかをコードする核酸配列を含む、請求項13に記載の形質転換植物。
  18. 前記植物が、キャノーラ、トウモロコシ、アラビドプシス、ハクサイ、アブラナ、大豆、アブラナ科ハマナ属の草木、カラシナ、トウゴマ、ピーナッツ、ゴマ、綿実、亜麻仁、紅花、アブラヤシ、アマ、及びヒマワリから選択される、請求項13に記載の形質転換植物。
  19. 前記植物が、大豆である、請求項13に記載の形質転換植物。
  20. 前記植物が、キャノーラである、請求項13に記載の形質転換植物。
  21. 前記植物が、アブラナである、請求項13に記載の形質転換植物。
  22. 前記植物が、同様の遺伝的バックグラウンドを有するが、前記外因性核酸分子を欠いている植物と比較して増加したトコフェロールレベルを示す、請求項13に記載の形質転換植物。
  23. 前記植物が、同様の遺伝的バックグラウンドを有するが、前記外因性核酸分子を欠いている植物と比較して少なくとも約25%増加したトコフェロールレベルを示す、請求項13に記載の形質転換植物。
  24. 前記植物が、同様の遺伝的バックグラウンドを有するが、前記外因性核酸分子を欠いている植物と比較して少なくとも約250%増加したトコフェロールレベルを示す、請求項13に記載の形質転換植物。
  25. 前記植物が、同様の遺伝的バックグラウンドを有するが、前記外因性核酸分子を欠いている植物と比較して少なくとも約2500%増加したトコフェロールレベルを示す、請求項13に記載の形質転換植物。
  26. 前記植物が、同様の遺伝的バックグラウンドを有するが、前記外因性核酸分子を欠いている植物と比較して増加したトコトリエノールレベルを示す、請求項13に記載の形質転換植物。
  27. 前記植物が、同様の遺伝的バックグラウンドを有するが、前記外因性核酸分子を欠いている植物と比較して少なくとも約25%増加したトコトリエノールレベルを示す、請求項13に記載の形質転換植物。
  28. 前記植物が、同様の遺伝的バックグラウンドを有するが、前記外因性核酸分子を欠いている植物と比較して少なくとも約250%増加したトコトリエノールレベルを示す、請求項13に記載の形質転換植物。
  29. 前記植物が、同様の遺伝的バックグラウンドを有するが、前記外因性核酸分子を欠いている植物と比較して少なくとも約2500%増加したトコトリエノールレベルを示す、請求項13に記載の形質転換植物。
  30. 前記植物が、同様の遺伝的バックグラウンドを有するが、前記外因性核酸分子を欠いている植物と比較して増加したα-トコフェロールレベルを示す、請求項13に記載の形質転換植物。
  31. 前記植物が、同様の遺伝的バックグラウンドを有するが、前記外因性核酸分子を欠いている植物と比較して少なくとも約25%増加したα-トコフェロールレベルを示す、請求項13に記載の形質転換植物。
  32. 前記植物が、同様の遺伝的バックグラウンドを有するが、前記外因性核酸分子を欠いている植物と比較して少なくとも約250%増加したα-トコフェロールレベルを示す、請求項13に記載の形質転換植物。
  33. 前記植物が、同様の遺伝的バックグラウンドを有するが、前記外因性核酸分子を欠いている植物と比較して少なくとも約2500%増加したα-トコフェロールレベルを示す、請求項13に記載の形質転換植物。
  34. 前記植物が、同様の遺伝的バックグラウンドを有するが、前記外因性核酸分子を欠いている植物と比較して増加したα-トコトリエノールレベルを示す、請求項13に記載の形質転換植物。
  35. 前記植物が、同様の遺伝的バックグラウンドを有するが、前記外因性核酸分子を欠いている植物と比較して少なくとも約25%増加したα-トコトリエノールレベルを示す、請求項13に記載の形質転換植物。
  36. 前記植物が、同様の遺伝的バックグラウンドを有するが、前記外因性核酸分子を欠いている植物と比較して少なくとも約250%増加したα-トコトリエノールレベルを示す、請求項13に記載の形質転換植物。
  37. 前記植物が、同様の遺伝的バックグラウンドを有するが、前記外因性核酸分子を欠いている植物と比較して少なくとも約2500%増加したα-トコトリエノールレベルを示す、請求項13に記載の形質転換植物。
  38. 前記植物が、同様の遺伝的バックグラウンドを有するが、前記外因性核酸分子を欠いている植物と比較して増加したγ-トコフェロールレベルを示す、請求項13に記載の形質転換植物。
  39. 前記植物が、同様の遺伝的バックグラウンドを有するが、前記外因性核酸分子を欠いている植物と比較して少なくとも約25%増加したγ-トコフェロールレベルを示す、請求項13に記載の形質転換植物。
  40. 前記植物が、同様の遺伝的バックグラウンドを有するが、前記外因性核酸分子を欠いている植物と比較して少なくとも約250%増加したγ-トコフェロールレベルを示す、請求項13に記載の形質転換植物。
  41. 前記植物が、同様の遺伝的バックグラウンドを有するが、前記外因性核酸分子を欠いている植物と比較して少なくとも約2500%増加したγ-トコフェロールレベルを示す、請求項13に記載の形質転換植物。
  42. 前記植物が、同様の遺伝的バックグラウンドを有するが、前記外因性核酸分子を欠いている植物と比較して増加したγ-トコトリエノールレベルを示す、請求項13に記載の形質転換植物。
  43. 前記植物が、同様の遺伝的バックグラウンドを有するが、前記外因性核酸分子を欠いている植物と比較して少なくとも約25%増加したγ-トコトリエノールレベルを示す、請求項13に記載の形質転換植物。
  44. 前記植物が、同様の遺伝的バックグラウンドを有するが、前記外因性核酸分子を欠いている植物と比較して少なくとも約250%増加したγ-トコトリエノールレベルを示す、請求項13に記載の形質転換植物。
  45. 前記植物が、同様の遺伝的バックグラウンドを有するが、前記外因性核酸分子を欠いている植物と比較して少なくとも約2500%増加したγ-トコトリエノールレベルを示す、請求項13に記載の形質転換植物。
  46. 前記核酸分子が、さらに色素体標的配列を含み、この色素体標的配列が、前記外因性核酸分子に操作可能に結合して、前記外因性核酸分子の転写物に、さらに前記アミノ酸配列に操作可能に結合した色素体ペプチド標的配列をコードさせる、請求項13に記載の形質転換植物。
  47. さらに、フィチルプレニルトランスフェラーゼを発現する発現カセットを含む、請求項13に記載の形質転換植物。
  48. 前記核酸分子が、さらに前記発現カセットを含む請求項47に記載の形質転換植物。
  49. 前記核酸分子が、配列番号2又は4の断片をコードし、前記断片が、プレフェン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する、請求項13に記載の形質転換植物。
  50. 操作可能に結合した成分として以下の成分:(A)植物細胞内で作用してmRNA分子の生産を引き起こすプロモーター領域;(B)転写鎖と非転写鎖を有し、前記転写鎖が、配列番号2、配列番号4及び少なくとも20個の連続アミノ酸を含むそれらの断片から成る群より選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする核酸分子に相補的である、異種核酸分子;を含んでなる核酸分子を有する形質転換植物。
  51. 増加したトコフェロールレベルを有する植物の製造方法であって、以下の工程:
    (A)核酸分子で前記植物を形質転換する工程であって、前記核酸分子がプロモーター領域を含み、このプロモーター領域が、配列番号2及び4から成る群より選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする核酸配列に結合していることを特徴とする工程;及び、
    (B)前記植物を成長させる工程;
    を含む方法。
  52. 前記核酸分子が、さらに、フィチルプレニルトランスフェラーゼを発現する発現カセットを含む、請求項51に記載の方法。
  53. 前記核酸分子が、さらに、ヒドロキシフェニルピルビン酸デヒドロゲナーゼを発現する発現カセットを含む、請求項52に記載の方法。
  54. 前記核酸分子が、さらに、それぞれ、slr1736、ATPT2、dxs、dxr、GGH、GGPPS、HPPD、MT1、TMT2、GMT、AANT1、slr1737、及びホモゲンチジン酸ジオキシゲナーゼに対するアンチセンス構成物から成る群より選択されるメンバーを発現する2種以上の発現カセットを含む、請求項51に記載の方法。
  55. 前記核酸分子が、さらに、HPPD及びslr1736又はATPT2のどちらかをコードする核酸配列を含む、請求項51に記載の方法。
  56. 前記核酸分子が、前記植物内で作用して転写の終結及びmRNA分子の3'末端へのポリアデニル化リボヌクレオチドの付加を引き起こす3'非翻訳配列に結合しており、かつ前記核酸分子の発現の結果、前記タンパク質の過剰発現となる、請求項51に記載の方法。
  57. 前記植物が、キャノーラ、トウモロコシ、アラビドプシス、ハクサイ、アブラナ、大豆、アブラナ科ハマナ属の草木、カラシナ、トウゴマ、ピーナッツ、ゴマ、綿実、亜麻仁、紅花、アブラヤシ、アマ及びヒマワリから成る群より選択される、請求項51に記載の植物の製造方法。
  58. 前記植物が、キャノーラである、請求項51に記載の植物の製造方法。
  59. 前記植物が、大豆である、請求項51に記載の植物の製造方法。
  60. 前記植物が、アブラナである、請求項51に記載の植物の製造方法。
  61. 前記植物が、同様の遺伝的バックグラウンドを有するが、前記核酸分子を欠いている植物と比較して増加したα-トコフェロールレベルを示す、請求項51に記載の植物の製造方法。
  62. 前記植物が、同様の遺伝的バックグラウンドを有するが、前記核酸分子を欠いている植物と比較して増加したγ-トコフェロールレベルを示す、請求項51に記載の植物の製造方法。
  63. 前記植物が、同様の遺伝的バックグラウンドを有するが、前記核酸分子を欠いている植物と比較して増加したトコフェロールレベルを示す、請求項51に記載の植物の製造方法。
  64. 前記植物が、同様の遺伝的バックグラウンドを有するが、前記核酸分子を欠いている植物と比較して増加したトコトリエノールレベルを示す、請求項51に記載の植物の製造方法。
  65. 植物内のトコフェロールレベルを低減する方法であって、以下の工程:
    (A)前記植物を核酸分子で形質転換する工程であって、前記核酸が操作可能に結合した成分として、植物細胞内で作用してmRNAの生産を引き起こす外因性プロモーター領域と、転写鎖及び非転写鎖を有し、前記転写鎖が配列番号1及び3から成る群より選択される核酸配列を有する核酸分子に相補的である、異種核酸分子とを含み、かつ前記核酸分子が、前記植物細胞内で作用して転写の終結及び前記mRNAの3'末端へのポリアデニル化リボヌクレオチドの付加を引き起こす3'非翻訳配列に結合していることを特徴とする工程;及び(B)前記形質転換植物を成長させる工程;を含む方法。
  66. 植物内における増加したトコフェロールレベルのスクリーニング方法であって、配列番号1及び3及びそれらの補体から成る群より選択される核酸配列を有する核酸分子に特異的にハイブリダイズする標識分子の存否についてゲノムDNAに問い合わせる工程、及び
    前記標識の前記存否を検出する工程を含む方法。
  67. 操作可能に結合した成分として以下の成分:(A)植物細胞内で作用してmRNA分子の生産を引き起こすプロモーター領域;(B)異種核酸分子であって、コリスミ酸ムターゼ及びプレフェン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素又は少なくとも20個の連続アミノ酸を含む前記核酸分子の断片をコードする異種核酸分子;を含む核酸分子を含んでなる細胞。
  68. 前記核酸分子が、さらに、フィチルプレニルトランスフェラーゼを発現する発現カセットを含む、請求項67に記載の細胞。
  69. 前記核酸分子が、さらに、ヒドロキシフェニルピルビン酸デヒドロゲナーゼを発現する発現カセットを含む、請求項68に記載の細胞。
  70. 前記核酸分子が、さらに、それぞれ、slr1736、ATPT2、dxs、dxr、GGH、GGPPS、HPPD、MT1、TMT2、GMT、AANT1、slr1737、及びホモゲンチジン酸ジオキシゲナーゼに対するアンチセンス構成物から成る群より選択されるメンバーを発現する2種以上の発現カセットを含む、請求項67に記載の細胞。
  71. 前記細胞が、さらに、HPPD及びslr1736又はATPT2のどちらかをコードする核酸配列を含む、請求項67に記載の細胞。
  72. 前記細胞が、細菌細胞である、請求項67に記載の細胞。
  73. 前記細胞が、藍藻類細胞である、請求項67に記載の細胞。
  74. 操作可能に結合した成分として以下の成分:(A)植物細胞内で作用してmRNA分子の生産を引き起こすプロモーター領域;(B)配列番号2及び4から成る群より選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする外因性核酸分子;及び(C)前記植物細胞内で作用して転写の終結及び前記mRNA分子の3'末端へのポリアデニル化リボヌクレオチドの付加を引き起こす3'非翻訳配列;を含む核酸分子を有する形質転換植物の種子から誘導される油。
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