JP2004525487A - 電気的接触部のためのファスナ - Google Patents

Abstract

上側に電気的接触面（９）を有し、下側に所定の深さ（Ｔ）のキャビティ（４）を囲む環状軸方向突出部（６）を有する溶接ナット（１）と、溶接ナット（１）にねじ込まれ、同様に電気的接触面（９）を有するねじ（３）と、接触面（９）の間に取り付けられるスペーサリング（２）とを備えた電気的接触部のための溶接ファスナ。スペーサリング（２）は、キャビティ（４）の深さ（Ｔ）にほぼ等しい厚さ（Ｄ）を有する。スペーサリング（２）を取り付けると、ねじ（３）の端部（５）が溶接ナット（１）の雌ねじ（１２）の端とほぼ同一高さにされる。組立体は、極めて低い全高を有し、溶接の際にねじ（１２）に金属屑が入らず、組立ての際に接触面（９）が保護され、溶接部は、薄い加工片（７）の上に溶接されたときにも高いトルクを吸収することができる。

Description

【０００１】
（技術分野）
本発明は、電気接触部、特定的にはアース端子のための溶接ファスナに関する。
【０００２】
（背景技術）
溶接ファスナは、例えば、自動車技術において電気アース接触部を製造するのに用いられる。この種の電気接触部をどのように金属板に締結するかは、ＥＰ第０，６４０，４０４号により知られている。電気的接触面が汚れることを防ぐために、ねじ溝が設けられたスタッドに保護キャップが取り付けられる。この保護キャップ付きのスタッドは、溶接により金属板に接続される。保護キャップは、特に、ねじにケーブルが取り付けられるときに、具体的には塗料で汚されて電気的接触が妨げられることからスタッドのねじ溝を保護する役目をもつ。
一方では、この種の公知の接地用スタッドは、比較的高い全高を有し、これは常に望ましいものではない。他方、０．６ｍｍを下回る厚さの金属シートへの公知の接地用スタッドの溶接を行うことは困難である。さらに、形成された接続部は、特に薄い構造体に溶接した後では、限られたトルクしか吸収できない。
【０００３】
（発明の開示）
したがって、本発明の目的は、上記の欠点を克服し、低い全高をもつ電気接触部をしっかりと取り付け可能にする溶接ファスナを与えることである。
この目的は、請求項１の特徴によって達成される。本発明のさらに有利な構成は、特許請求の範囲の従属請求項の対象となる。
【０００４】
電気的接触部のための本発明に係る溶接ファスナは、上側に電気的接触面を有し、下側に所定の深さのキャビティを囲む環状の軸方向突出部を有する溶接ナットと、溶接ナットにねじ込まれ、同様に電気的接触面を有するねじと、接触面の間に取り付けられるスペーサリングとからなる。ナット、スペーサリング、及びねじは、ユニットとして取り扱われ、組み立てられ、溶接される。溶接ナットの環状突出部を金属板に溶接することによって、同程度に大きい通常の溶接ナットとは対照的に、溶接された接続部の外径が大きくでき、それにより高いトルクの吸収が達成される。ねじと溶接ナットとの間の電気的接触面は、間に嵌め込まれたスペーサリングの助けによって汚れから保護される。したがって、接触面は、輸送の間、取り扱いの間、並びに、溶接工程及びこの後の塗装工程の間、きれいなまま維持される。この後に、ねじを除去し、スペーサリングを外し、接触リングを取り付け、ねじを再びきつく締めることによって、良質な電気的接触部を製造することができる。一般的に小さい直径をもつ通常の溶接ナットとは対照的に、溶接ナットの大きい直径により、高いトルクを吸収することができる。さらに、小さい金属厚さ、すなわち０．６ｍｍを下回る厚さをもつ金属シートに、溶接することが可能である。環状の突出部をもったナットを溶接することについては、これに適した形状及び構成、並びに必要な装置は、当業者には一般的に知られている。
【０００５】
このようにして製造された接触部は、特に自動車の、６から４２ボルトまでの間の電圧用のアース接触部であることが好ましい。本発明は、この種の大量生産の用途に特に適している。
本発明の好ましい実施形態においては、スペーサリングは、弾性材料、特にポリエチレンから作られる。したがって、部品同士のしっかりとした保持を、組み立て前に達成することができる。
【０００６】
本発明の特筆すべき点として、スペーサリングは、塗料その他の汚染物によって濡らされることに対して、シールとしての防護を達成する。この機能は、例えば、接触リングが取り付けられる前に加工片に対して１つ又はそれ以上の塗装が行われる場合に重要である。
本発明の特に有利な点として、スペーサリングは、溶接された状態のキャビティの深さにほぼ等しい厚さを有する。これは、スペーサリングが取り付けられたときに、ねじ端部が溶接ナットの雌ねじの端とほぼ同一高さにされるという本発明のさらに好ましい実施形態と組み合わされる場合に、特に有意義である。これは、溶接の際に、ねじの雄ねじも溶接ナットの雌ねじも、金属屑によって汚染されないということを意味する。したがって、ねじは、後で簡単にねじ戻すことによって除去し、かつ再び取り付けることができる。スペーサリングを除去し、接触リングを取り付けた後に、ねじを完全にきつくねじ込んだときでも、ねじは加工片に対して突き当たることはなく、スペーサリングが上記の寸法であるときに、ねじの端は、スペーサリングの厚さから接触リングの厚さを引いたものに対応する最大余剰長さだけキャビティの中に突出することができる。したがって、全ての部品における互いの寸法関係を上述のように対応させることは、本発明において特に有利である。
【０００７】
最後に、環状突出部の外径を、他のファスナの外径より大きくすることも又、好ましいことである。これは、接触面の寸法を変えることなく、異なる厚さの加工片及び所望のトルクに適用可能にするものである。
本発明のさらに特別な実施形態及び利点は、付属の図面に示されている。図面は、本発明を制限するものではなく、多くの可能な実施形態のうちの１つを示すものである。
【０００８】
（発明を実施するための最良の形態）
図１は、電気的接触部のための本発明に係る溶接ファスナを示す。このファスナは、上側に電気的接触面９を有し、下側に所定の深さＴのキャビティ４を囲む環状の軸方向突出部６を有する溶接ナット１と、溶接ナット１にねじ込まれ、同様に電気的接触面９を有するねじ３と、接触面９の間に取り付けられるスペーサリング２とからなる。スペーサリング２は、接触面９をほぼ覆い、それらの間にしっかりと取り付けられるような方法で形成される。スペーサリング２を取り付けることによって、ねじ３と溶接ナット１は、互いに対して支持され、それにより、比較的高い静摩擦に起因する高い機械的負荷（例えば輸送又は取り扱いの際の振動による）のもとであっても溶接ナット１からねじ３が外れることが防がれる。スペーサリング２は、溶接ナット１とねじ３とをシールし、不純物と塗料が接触面に侵入して予め組み立てられた組立体の内部に入ることを防ぐ。雄ねじ１３を備えたねじ３の端部５が、溶接ナット１の雌ねじ１２の端と同じ高さになる。例えば０．６ｍｍを下回る厚さといった薄い金属板から構成されることがある加工片７の上に溶接するときに、ねじの中に金属屑が堆積して、後で分解又は組立てを妨げるようなことがない。スペーサリング２の厚さＤは、キャビティ４の深さＴとほぼ同じ位の大きさにされることが有利である。それにより、後にスペーサリング２に代えて電気的接触リングが取り付けられるときに、ねじは、加工片７に対して当ることはなく、電気的接触リングに対して突き当たることができる。
【０００９】
図２は、図１の本発明に係る完全に組み立てられたファスナを示しており、この図において、電線１０が、ねじ３と溶接ナット１の接触面９の間で、スペーサリング２の代わりに接触リング８によって取り付けられている。環状の溶接接続部１１を介して比較的高い電流を伝導し、高いトルクを吸収することができる。スペーサリング２が前もってキャビティ４の深さＴとほぼ同じ厚さＤをもっていた場合には、ねじ込まれたねじ３は、元のスペーサリング２の厚さＤから接触リング８の厚さを引いたものに対応する最大余剰長さｄだけキャビティ４の中にその端５が到達し、加工片７には接触せず、したがって溶接接続部１１に損傷を与えることはない。
【００１０】
本発明は、自動工具が稼動する大量生産の用途に特に適している。溶接ナットと、スペーサリングと、ねじとの予め組み立てられたユニットは、他の溶接部品と同様に取り扱い、溶接することができ、低い全高で高い負荷に耐える接触部を形成するために薄い金属板に溶接する用途に適している。
【図面の簡単な説明】
【００１１】
【図１】本発明に係る溶接ファスナの縦方向断面図である。
【図２】図１に係る溶接ファスナをスペーサリングが外され電線が締結された状態で示す図である。

Claims (7)

1. 上側に電気的接触面（９）を有し、下側に所定の深さ（Ｔ）のキャビティ（４）を囲む環状の軸方向突出部（６）を有する溶接ナット（１）と、前記溶接ナット（１）にねじ込まれ、同様に電気的接触面（９）を有するねじ（３）と、前記接触面（９）の間に取り付けられるスペーサリング（２）とからなる電気的接触部のための溶接ファスナ。
2. 前記電気的接触部が、接地端子、特に自動車に用いるための接地端子であることを特徴とする請求項１に記載のファスナ。
3. 前記スペーサリング（２）が、弾性材料、特にポリエチレンからなる弾性材料からなることを特徴とする請求項１か又は請求項２に記載のファスナ。
4. 前記スペーサリング（２）が、接触面（９）を汚れ又は塗料に対してシールするためのシールとして設計されることを特徴とする上記請求項のいずれか１項に記載のファスナ。
5. 前記スペーサリング（２）が、溶接された状態において、前記キャビティ（４）の深さ（Ｔ）にほぼ等しい所定の厚さ（Ｄ）を有することを特徴とする上記請求項のいずれか１項に記載のファスナ。
6. 前記溶接ナット（１）が雌ねじ（１２）を有し、前記ねじ（３）が雄ねじ（１３）を有し、前記スペーサリング（２）が取り付けられたときに、前記雄ねじ（１３）の長さは、ねじ（３）の端部（５）の端が溶接ナット（１）の雌ねじ（１２）の端とほぼ位置合わせされるような寸法にされることを特徴とする上記請求項のいずれか１項に記載のファスナ。
7. 前記環状の突出部（６）の外径は、残りの領域における前記ファスナの外径より大きいことを特徴とする上記請求項のいずれか１項に記載のファスナ。