JP2004524961A - ガスの窒素酸化物含量を減少させるための気相反応器 - Google Patents

ガスの窒素酸化物含量を減少させるための気相反応器 Download PDF

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Abstract

【課題】煙突に直接組み込むことのできる軽量脱NOxユニットを提供する。
【解決手段】NOxの選択変換用触媒をもつ少なくとも1の触媒床を内部空間にもつ胴部をもつ気相反応器である。触媒床の上流のインゼクタがアンモニア等の還元剤を入口ガス流に導入する、触媒床は粒子、モノリス、微細加工触媒等からなる。入口ガス流の温度を高めるためにバーナーを用いる。処理済ガスからの熱を入口ガスに移すために熱交換器を用い、所望により熱交換器を通るガス流の向きをかえるためにデフレクタを用いる。
【選択図】図2(A)

Description

【技術分野】
【0001】
本発明はガス、特に燃料の燃焼で生じた煙道ガス中の窒素酸化物含量を接触的に減少させる化学反応器と方法に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の工業プロセスでの燃料の燃焼ではしばしば望ましくない窒素の酸化物(NOx)を生じ、それは通常一酸化窒素(NO)及び二酸化窒素(NO)の形態にある。高い燃焼温度はより多くのNOxを生じる傾向にある。NOxは環境にとって危険なので、燃料の燃焼を含む工業プロセスで生じるガス、特に電力プラント、熱分解炉、焼却炉、内燃機関、冶金プラント、肥料プラント及び化学プラントから生ずるガス中のNOxの放出を減少させる努力がなされている。
【0003】
(a)内側表面、外側表面、近位端、遠位端、長さ方向を定める軸、近位端にあり初期濃度の窒素酸化物をもつ入口ガス流を受け入れるためのガス流入口、及び入口ガス流よりも減少した窒素酸化物濃度をもつ処理済ガスを排出するためのガス流出口をもつ反応器胴部、(b)還元剤を入口ガス流に導入するためのインゼクタ、(c)入口ガス流を反応温度に加熱するために反応器胴部内に位置するバーナ、(d)バーナーの下流の反応器胴内にあり、入口ガス流中の窒素酸化物の選択的接触還元によって減少した窒素酸化物濃度をもつ処理済ガスを生ずるための少なくとも1の窒素酸化物変換触媒を含む触媒床、及び(e)バーナーの上流に位置し、処理済ガスと還元剤を含む入口ガス流との間の熱交換を行う手段からなることを特徴とするガス流中の窒素酸化物の化学変換用気相反応器が提供される。
【0004】
本発明の反応器はガス、特に炉中の化石燃料の燃焼で生ずるガス中のNOxの選択的接触還元用の比較的軽量の設備を提供するものであり、また一般的なデザインの煙突を備えた炉中に容易に組込むことができ、それ故既存の設備の改造に適したものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
以下に本発明の反応器の種々の態様とそこに用いる好ましい触媒配置を図面を参照して説明する。尚すべての量は「約」なる用語で変更しうるものである。また%は特に断りのない限り重量基準で示す。
【0006】
「窒素酸化物」なる用語はNO、NO、N、NO及びそれらの適宜の混合物等の窒素の適宜の酸化物をいい、しばしば「NOx」と表示する。
【0007】
本発明のNOxの選択的接触還元の反応器と方法では、好ましくは還元剤としてアンモニアを用いる。NOxは触媒の存在下にアンモニアと反応して次式(化学量論的バランスで示してはいない)に示すように窒素と水を生ずる:
NOx+NH→N+H
【0008】
本発明の脱NOxの方法と装置はNOx含有ガスを処理してそのNOxレベルを低下させることを要する適宜の用途に用いうる。高レベルのNOxを生ずる代表的な燃焼設備の例としては電力プラント、流体接触分解(FCC)レゼネレータ、ガラス炉、熱分解炉等がある。本発明の脱NOx法はエタン、プロパン、ナフサ等の飽和炭化水素供給原料からオレフィン(たとえばエチレン、プロピレン、ブチレン等)を生成する熱分解ユニットに特に好ましく用いられる。しかし、これに限らず望ましくないレベルのNOxを含有するガスを発生する適宜の燃焼設備や方法に用いうるものである。
【0009】
図1(A及びB)において、気相脱NOx反応器10が供給原料のクラッキング用に約2200°F(1204℃)で操作される放射燃焼室をもつ炉11と12を用いる熱分解系を対象に示されている。各炉はそれぞれの煙突を通って排出される煙道ガスを生ずる。典型的には、各煙突中の煙道ガスの流速は約100,000〜300,000lbs/時である。この煙道ガスは典型的には次の成分を含有する:
Figure 2004524961
放射室を出る煙道ガスの温度は典型的には約1800°F(982℃)である。各煙突は所望により、対流部13をもち、これは熱回収用に煙道ガスが通る熱交換器をもっている。煙道ガスは典型的には約300〜500°F(149〜260℃)の温度で対流部を出るが、この範囲外の煙道ガス温度を与えるように熱回収プロセスを調節することができる。次いで別々の煙突の煙道ガスを合しファン14で脱NOx系10に移す。ファン14は脱NOx系10中をガスが移動するよう煙道ガスの圧力を増加させる。
【0010】
図2において、気相反応器20は内側表面21aと外側表面21bをもつ反応器胴部(シェル)21をもつ。胴部21はその近位端21fに初期濃度のNOxを含有する入口ガスを受け入れるガス流入口21cと、減少した濃度のNOxを含有する処理済ガスを排出するガス流出口21dをもつ。ガス流出口21dは所望により近位端21f又は遠位端21gに位置しうる。
【0011】
インゼクタ22は還元剤を導入するためのものであり適宜公知のタイプのインゼクタを用いうる。典型的なインゼクタの例としては触媒床の上流の入口ガス流中に配したグリッド状部分がある。このグリッド状部分は均等に分布させた注入ノズルをもつ多孔分散管の集合体を含む。通常還元剤は入口ガスの流れ方向とは反対方向に注入される。好ましい還元剤はアンモニアだが、尿素、アルキルアミンその他の適当な還元剤も用いうる。インゼクタ22は入口21c内又は入口21cの上流に位置しうる。
【0012】
触媒床は窒素酸化物の選択還元用の少なくとも1の触媒を含有する。選択的接触還元反応の好ましい温度は典型的には約380〜550°F(193〜288℃)、より好ましくは約400〜450°F(204〜232℃)である。一般に、温度が低いほど多量の触媒が所定レベルのNOx変換の達成に必要となる。煙道ガス温度が望ましくないほど低い場合には、煙道ガス温度を上げるためにバーナーその他の熱源を用いうる。また炉系の対流部13はNOxの選択的接触還元に適する温度をもつ煙道ガスを与えるように構成しうる。
【0013】
還元剤の存在下に用いる窒素酸化物の選択的還元用触媒は公知である。これら触媒の典型的で非限定的な例としては、バナジウム、アルミニウム、チタン、タングステン及びモリブデンの酸化物がある。ゼオライトも用いうる。ゼオライトの例としてはプロトンで、又は銅、コバルト、銀、亜鉛又は白金カチオン又はそれらの組み合わせで変成したZSM−5がある。勿論、本発明で用いうる触媒は特定のSCR触媒又は触媒組成物には限定されない。
【0014】
図4(A及びB)において、触媒床は円筒形23a又は環状形23bでありうる。円筒形触媒床23aを用いる場合には、触媒床を通るガス流は、たとえば上部壁23a’から下部壁23a’’に流れる、軸流である。環状触媒床23bを用いる場合には、触媒床を通るガス流は、たとえば外側壁23b’から内側壁23b’’に流れる、放射流である。触媒床23a及び23bを円形外周をもつ形で図示したが、他の形ももちろん用いうる。たとえば、触媒床23a及び23bは方形板でもよく、また八角形、六角形等の多角形でもよい。
【0015】
図2(A)において、反応器用の触媒床20aは軸流触媒床23aである。反応器20は軸開口25aをもつ放射流熱交換器25をもち、軸開口25a中には先端が上流方向に向いているデフレクタ24が配されている。デフレクタ24はシート状金属等のガス不透過性材料でつくられており、入口ガスを熱交換器の管25bを放射状に横切らせる。
【0016】
図3(A及びB)において、熱交換器の管25bは好ましくは管の表面から外方向にのびるひれ(フィン)をもち管25bの孔25dを通って流れる流体と管25bを横切って流れる流体間の熱移動を促す。本発明で用いるに適する熱交換器の管は種々の市販品を用いることができ、例としてドイツのDaun社のTPS−テクニチューブ ローレンベルケ Gmbhがある。
【0017】
反応器20aはさらに1以上のバーナー26をもち、これは熱交換器25の下流及び触媒床23aの上流にあって触媒床を通過する前の入口ガス流の温度を高める。プレナム室27が触媒床23aに隣接して存在しガス圧の不均衡を防ぐ。図示するように、入口ガスは入口21cを通って反応器に入りインゼクタグリッド22を通り次第還元剤と混合する。還元剤を伴った入口ガスは熱交換器の軸開口25aに入り、デフレクタ24によって熱交換器の管を放射状に横切るようにされる。図中の番号のない矢印はガスの流れの方向を示す。還元剤を伴った入口ガス流は管の孔を通って流れる処理済ガスから回収した熱であたためられる。還元剤を伴った処理済ガスは熱交換器の周辺から出て、熱交換器の外周及び反応器胴部の内側表面21aの間の環状間隙21eを通って流れる。
【0018】
還元剤を伴った入口ガスは遠くを流れそこで1以上のバーナーで適当な温度に加熱される。次いで還元剤を伴った入口ガスは触媒床23aのまわりに向かいその遠位側面に入りそこで軸流として触媒床23aの近くを通る。触媒床23aの近い側面から出た処理済ガスは次いでプレナム室27に入り反応器の断面を横断するガス圧を均一化し、さらに熱交換器の管25bの近くを通りそこで熱を入口ガス流に移す。処理済ガスは出口21d近くを通って反応器を出る。
【0019】
図2(B)には、触媒床が環状床23bである以外は上記態様20aと同様の別の反応器の態様20bを示す。反応器は放射流反応器であり、補助加熱用の1以上のバーナーを通過後に、還元剤を伴った入口ガスは周囲壁23b’を通って触媒床に入り、内側壁23b’’を通って処理済ガスとして触媒床を出る。次いで処理済ガスはプレナム27に入り、その後管25bの孔25dを通って熱を熱交換器25を放射状に外側に向かって通り管の外側を横方向に横断する入口ガスに移す。所望により、反応器20bは、触媒床25bに入る還元剤を伴った入口ガスの圧力分布をより均一にするために胴部に特別な形状部分21hを設けることができる。
【0020】
図2(C)には、熱交換器25の周辺の外側に位置する1以上のガス流入口21cをもつ反応器の別の態様20cを示す。インゼクタ(図示せず)はガス流入口の上流にある。反応器20cは熱交換器25bを横方向に横断するバッフル板28をもち、それによって熱交換器を近位熱交換器部25’と遠位熱交換器部25’’に分ける。バッフル板は胴部の内側表面21aに至っているが熱交換器の軸開口25a内までは至っていない。その結果、入口を入ると還元剤を伴った入口ガス流は熱交換器の近位部25’を放射状に内方向に移動して軸開口25aに入り、その後熱交換器の遠位部25’’を放射状に外方向に移動して熱交換器の内部と胴部の内側表面21aの間の間隙21eに入り、次いで補助加熱用の1以上のバーナー26を通る。還元剤を伴った入口ガスは遠位表面23a’を通って円筒形触媒床に入りそして処理ガスとして近位表面23a’’を出てプレナム27に至る。処理済ガスはプレナム27から熱交換器の管25bの孔25dに入り直ちに熱を管を横断して通る入口ガスに移す。処理済ガスは近位出口21dで反応器を出る。
【0021】
図2(D)には、触媒床が環状床23bである以外は上記態様20cと同様の別の反応器の態様20dを示す。反応器は放射流反応器であり、補助加熱用の1以上のバーナーを通過後に、還元剤を伴った入口ガスは周囲壁23b’を通って触媒床に入り、内側壁23b’’を通って処理済ガスとして触媒床を出る。次いで処理済ガスはプレナム27に入り、その後管25bの孔25dを通って熱を熱交換器25を放射状に外側に向かって通り管の外側を横方向に横断する入口ガスに移す。所望により、反応器20bは、触媒床25bに入る還元剤を伴った入口ガスの圧力分布をより均一にするために胴部に特別な形状部分21hを設けることができる。
【0022】
図2(E)には、反応器が還元剤を伴った入口ガスが熱交換器25の管25aの孔25dに入るためのガス流入口21cをもつ別の態様20eを示す。還元剤を伴った入口ガスは、その後円筒状壁521と胴部の内側壁21aによって少なくとも1部が定まる室27aに入り、1以上のバーナー26で加熱される。円筒状壁521は触媒床23a中に至っており触媒床を環状区分523a’と軸区分523a’’の2区分に分ける。還元剤を伴った入口ガスは触媒床の環状区分523a’の近位端に入り、次いで環状区分の遠位表面を通って出て、触媒床23aから遠く且つ隣接するプレナム27に入る。次いでガス流は触媒床の軸区分523a’’の遠位端に入り、そして近くを動きながら触媒床の区分523a’’の近位端から処理済ガスとして出て、熱交換器25の軸開口25aに入る。円錐形のデフレクタ24は軸開口25a内に遠位にとがった端部をもって位置している。デフレクタ24は処理済ガスの方向を熱交換器を放射状に外方向に通るようにし、熱交換器で熱を熱交換器の管を通って流れる入口ガス流に移す。次いで処理済ガスは熱交換器の外周囲と胴部の内側表面21aとの間の環状空隙21eに入り、次いで出口21dを通って近くから反応器を出る。
【0023】
図2(F)は、触媒床が環状床23bである以外は同じ上記の態様20eに類似する反応器の態様20fを示す。反応器20eは、補助加熱用のバーナー26を通過後に、還元剤を伴った入口ガスは周囲壁23b’を通って触媒床23bに入りそして処理済ガスとして内側壁23b’’を通って触媒床23bを出る。次いで処理済ガスは熱交換器の軸開口25aに入り、熱交換器の管25bを放射状に外方向に横断するように偏向して入口ガスを予熱し、近位出口21dを通って反応器を出る。所望により、反応器21fは胴部に形状づけた部分21hをもち、触媒床23bに入る還元剤を伴う入口ガスの圧力分布をより均一にすることもできる。
【0024】
図2(G)は、熱交換器を出て熱交換器の外側周囲と胴部の内側表面21aの間の空隙21eに入る処理済ガスが反応器の遠位出口21dに流れる。
【0025】
図2(H)は、還元剤を伴う入口ガス流が熱交換器の管の孔(25d)に入る通路用の1以上のガス流入口21cをもつ反応器の別の態様20hを示す。インゼクタ22(図示せず)がガス流入口の上流に位置している。還元剤を伴う入口ガス流は熱交換器25を長さ方向に流れて処理済ガスで予熱される。熱交換器を出ると入口ガスは直ちに、円筒状壁521と胴部の内側表面21aによって少なくとも部分的に定められる室27aに入り、1以上のバーナー26で加熱される。円筒状壁521は触媒床23a中に及び、触媒床を2つの区分:環状区分523a’と軸区分523a’’に分ける。
【0026】
還元剤を伴う入口ガスは触媒床の環状区分523a’の近位端に入り、次いで環状区分の遠位端を通って出て、触媒床23aから遠く且つ隣接するプレナム27に入る。その後ガス流は触媒床の軸区分523a’’の遠位端に入り、そして近くを動きながら触媒床の区分523a’’の近位端から処理済ガスとして出て、熱交換器の軸開口25aに入る。バッフル板28が熱交換器の軸開口25aと管を横方向に横断して配されており、それによって熱交換器を近位熱交換部分25’と遠位熱交換部分25’’に分けている。バッフル板28は熱交換器の外周囲と胴部の内側表面21aの間の空隙21e中には及んでいない。その結果、区分523a’’の近位端を出て熱交換器の軸開口25aに入ると、処理済ガスはバッフル板で偏向されて熱交換器の遠位部分25’’を放射状に外方向に通って空隙21eに入り、次いで熱交換器の近位部分25’を放射状に内方向に通る。次いで処理済ガスは近位軸出口21dを通って反応器を出る。
【0027】
図2(I)は触媒床が環状床23bであることを除き上記態様20hと類似する反応器の別の態様20iを示す。反応器は放射流反応器であり、補助加熱用のバーナー26を通過後、還元剤を伴う入口ガスは周囲壁23b’を通って触媒床23bに入りそして内側壁23b’’を通って処理済ガスとして触媒床23bを出る。次いで処理済ガスは熱交換器の軸開口25aに入り、バッフル板28によって熱交換器の管25bを放射状に外方向に横断するように偏向されて入口ガスを予熱して軸近位出口21dを通って反応器を出る。所望により、反応器は20iは胴部に形状づけした部分21hをもち、触媒床23bに入る還元剤を伴う入口ガスの圧力分布をより均一にすることもできる。
【0028】
触媒は粒状、モノリス状又は微細加工触媒(MEC)の形でありうる。
【0029】
図4(C)において、触媒床23aはスクリーン外周23d内に配された粒状触媒23cを含有する。スクリーン23dはバージニア州ワイザビルのUSF/Johnson Screensから市販されている。好ましいスクリーンとしてはたとえば溶接したワイヤスクリーン、ループ状のワイヤスクリーン及び織りワイヤスクリーンがある。SCR触媒は粒状でもよく、またチタニア、ゼオライト、炭素、ジルコニア、セラミック、シリカ−アルミナ等の粒状触媒担体上に支持されていてもよい。
【0030】
環状触媒床23bはまた粒状触媒を含むことができ、スクリーンからつくった周囲壁23b’及び23b’’を含むことができる。
【0031】
図5(A〜D)において、触媒は複数の積重ねたレンガ状ユニット51を含みうるモノリス50の形状でありうる。モノリス触媒50は複数の平行な流路をもつ。図5(C)に示すように、モノリス52は六角形の流路53をもつハニカム構造をもつ。しかし、この流路は四角形、三角形、T−形等の適宜の他の形もとりうる。図5(D)に環状流路55をもつモノリス54を示す。モノリスは公知の焼結その他の適宜の方法で製造しうる。典型的なSCR触媒はモノリス支持体に含浸して処理のためにガス流が流れる。流路の内側表面を被覆してつくられる。
【0032】
さらに別の態様において、触媒床は微細加工した触媒(MEC)を含みうる。これは約85%以上の多孔度をもつメッシュ状構造体上にSCR触媒を担持したものである。
MEC触媒は本出願人が2000年7月31日に出願した米国特許出願(代理人番号41500−530)に記載されており、その内容をここに引用する。
メッシュ状材料は、ワイヤもしくは繊維メッシュ、金属フェルトもしくはガーゼ、金属繊維フィルタ等の繊維又はワイヤからできている。メッシュ状構造体は単一層からなっていてもよく、またワイヤの2層以上を含んでいてもよく、たとえば、ニットワイヤ構造体、織成ワイヤ構造体等があり、特にワイヤ又は繊維の複数の層からなっていて3次元網状構造体となっているものが好ましい。好ましい態様において、支持構造体は層中でランダムに配向した複数層の繊維からなるものである。1種以上の金属を金属メッシュの製造に用いうる。また繊維と金属を複合して用いることもできる。
【0033】
メッシュ状構造体が複数の繊維層からなっていて材料の3次元網目構造をつくっている好ましい態様において、これら支持体の厚さは少なくとも5ミクロンで、通常は10mmをこえない。好ましい態様によれば、網目構造体の厚さは少なくとも50ミクロン、より好ましくは少なくとも100ミクロンで、通常は2mmをこえない。
一般に、繊維の複数の層を形成する繊維の厚さ又は直径は約50ミクロン以下、好ましくは約150ミクロン以下、さらに好ましくは約30ミクロン以下である。好ましい態様において、繊維の厚さ又は直径は約8〜約25ミクロンである。
【0034】
3次元メッシュ状構造体は公知方法たとえば[特許文献1]、[特許文献2]、[特許文献3]又は[特許文献4]に記載の方法で製造しうる。これらのメッシュ状構造体はまた上記公知例記載の方法以外の方法でも製造しうる。
【特許文献1】
米国特許第5,304,330号
【特許文献2】
米国特許第5,080,962号
【特許文献3】
米国特許第5,102,745号
【特許文献4】
米国特許第5,096,663号
【0035】
本発明で用いるメッシュ状構造体は、(メッシュ上に支持した触媒なしで)85%以上、好ましくは87%以上、より好ましくは90%以上の多孔度又はボイド容積を有する。ここでボイド容積はオープン状態の構造体の容積を構造体(開孔とメッシュ材料)の合計容積で割って100をかけて求められる。
一の態様において、粒状支持体を使用せずに、触媒をメッシュ状構造体上に支持する。
【0036】
別の態様において、窒素酸化物変換用触媒をメッシュ状構造体上に支持した粒状支持体上に支持する。ここで「粒状」又は「粒子」には、球状粒子、長尺粒子、短繊維等が包含される。一般に、触媒を支持する粒子の平均粒子サイズは200ミクロンをこえず、典型的には50ミクロン以下で、大部分の平均粒子サイズが20ミクロンをこえないものが好ましい。一般的には、これら粒子の平均粒子サイズは少なくとも0.002ミクロン、より好ましくは少なくとも0.5ミクロンである。粒状支持体に支持した触媒をメッシュ状構造体上に被覆する場合、触媒支持体の平均粒子サイズは一般的には10ミクロンをこえず、メッシュ構造対中に保持する場合は一般的には150ミクロンをこえない。
【0037】
本発明の一の態様において、触媒の支持体として機能するメッシュ状構造体は形状をととのえたパッキンの形態をしている。このパッキンは以下の実施例に示すように反応器中の触媒上を流れるガス相の乱れをもたらすように配される。メッシュ状触媒支持構造体は後記するように増大した乱流を付与するために適当な波形をもちうる。またメッシュ状構造体は乱流付与のためにタブや渦巻発生機を含みうる。乱流発生機の存在は放射(及び長さ)方向の混合性を高めまたメッシュを横切る局部圧力差を与えることでメッシュ上に被覆されているか又はメッシュ中に保持されている触媒への接触を促進し、そして流れのための駆動力を生ずる。パッキン構造としてはロールや1以上のシート等のモジュール形状のものもあり、これはモジュール中の流路がチューブの長さ方向に沿うように反応器のチューブ中に配される。ロールは平坦でも波形でもよいシートからつくることができ、このシートは混合促進用にて水や穴をもちうる。シートはまた波形細片にして、細片どうしをチューブのサイズに正確に適合する平坦シートで分けて接着剤、ワイヤ、円筒状平坦シート又はそれらの組合せで互いに保持してもよい。
【0038】
触媒を支持するメッシュ状支持体は構造化したシート以外の形状でも用いうる。たとえばリング、粒子、リボン等の形で充填ベルトとして反応器中で用いうる。
メッシュ状構造体に支持した触媒はメッシュ状構造体を形成しているワイヤや繊維上に皮膜として存在していてもよくまたメッシュ状構造体の隙間に存在して保持されていてもよい。
触媒は浸漬やスプレー等の種々の手段でメッシュ状構造体上に被覆できる。触媒粒子はメッシュ状構造体を液体中に分散させた粒子を含む液体コーティング組成物(好ましくはコーティング浴の形)を、コーティング組成物がメッシュ状構造体内に入りその内部及び外部の両方に多孔性皮膜を形成する条件下に、接触させることによってメッシュ状構造体に付与できる。
【0039】
触媒は窒素酸化物を変換するに有効な量がメッシュ状構造体上に支持される。一般的にいって、触媒は、メッシュと触媒の合計重量当り、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%存在し、一般的には60%をこえずまたより一般的には40%をこえない。支持触媒を加える前のメッシュ状構造体の多孔度又はボイド容積が87%以上の一態様において、触媒の重量は約5〜約40%であり、また多孔度又はボイド容積が90%以上の場合は支持触媒の重量は約5〜約80%である。
【0040】
構造パッキンの種々の態様を以下に述べる。
図6において、パッキン2は複数の多孔度メッシュ材料(MEC材料)からなり、波形が垂直な流れ方向fに対し角度αで斜線で示されている。図6(A)は波形6の代表的な断面を示す。隣接の波形シート8は90°で互い違いになっている。
図7では、一般的なモノリスハニカム構造9Bが本発明のMECメッシュ材料9Aと組合されて、NOxのSCR変換用の組合せ触媒床構造をもたらしている。この組合せ構造体は改良された変換率をもたらす。変換率の増加は下流のハニカムモノリスの改良された効率をもたらす構造の組合せによるものと思われる。
【0041】
図8において、MEC材料はシート材料のエレメント826から成形することができ、所望によりそこを通るガスの乱流を増加するために渦巻発生機を含みうる。図8において、所望により用いる渦巻発生機846及び848は3角形であり、エレメント826シート材料の平面から折りまげられる。渦巻発生機846及び848は交互の方向を向き、図8に示すようにシート材料の平面から突出している。波形は幅wをもつ。さらなる乱流を付与するために、渦巻発生機は圧力差によりMEC材料の孔を通る流対流をさらに促進する。エレメント826の側壁は約90°の角度βで傾いている。根部と山部が直線方向に広がっている。
【0042】
次に本発明の反応器の操作と脱NOx法の実施例を示す。
【実施例】
【0043】
図2(C)に示す気相反応器を次の煙道ガス条件下に2つの炉の煙道ガス流中のNOxの選択的接触還元に用いた:
Figure 2004524961
NOxの所望の還元を達成するために十分量のアンモニアを上記煙道ガスに加えた。用いた触媒はV/TiO触媒を被覆したMECである。360°F(182℃)の煙道ガス温度で10ppmに対する所望のNOx還元90%は約54mのMEC触媒を必要とする。しかし、本発明の反応器と方法を用いることによって、触媒床での選択的接触還元反応は420°F(216℃)で起こり、必要な触媒容積はわずかに12mであり、これは360°F(182℃)の操作温度で必要とされる触媒の重量及び容積の25%以下である。
【0044】
より具体的には、図2(C)の反応器で用いた熱交換器は高さ1インチ(2.54cm)の放射状スチールフィンをもつ直径2インチ(5.08cm)の管をもつものである。管の高さは6mで管の束の外径は4mである。熱交換器を横断するガスの2つの流れを与えるためにバッフル板を用いた。アンモニアを含む入口煙導ガスが360°F(182℃)で熱交換器に入り、400°F(204℃)で熱交換器を出た。次いでこのアンモニアを含む煙道ガスを1以上のバーナーで所望の420°F(216℃)に加熱した。触媒床りながらガス温度は420°Fに維持した。次いで処理済ガスを熱交換に通して入口煙道ガスに熱を移し、420°Fから380°Fに温度が低下した。
【0045】
このシステムの効率の損失は出口温度380°Fと当初の入口温度360°Fの差である。しかし、触媒床の重量と容積が75%減少することで、既設の炉システム中に改修で容易に組み込むことのできるNOxの選択的接触還元用の比較的軽量のユニットを提供できることになる。
上記は単に説明のためのものであり本発明を限定するものではない。当業者は請求項に示す本発明の範囲内で適宜の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の放射流反応器を煙突部にもつ公知の炉系を示し、Aは概略図でBはAの側面図。
【図2】本発明の反応器を示し、A〜Iは異なる態様の概略図。
【図3】本発明の反応器に用いる有用な熱交換器の管を示し、Aは斜視図でBは立面図。
【図4】触媒床を示し、AとBは円筒状平行流触媒床の概略図でBは環状放射流触媒床の概略図。
【図5】モノリス触媒床を示し、Aはレンガ状ユニット、BはAの一ユニット、CとDは別の態様を示す概略図。
【図6】本発明の原理を説明するに有用なパッキン構造体の概略図を示し、Aは波形パッキンの概略図。
【図7】微細加工触媒とモノリス触媒の組合せを示す概略図。
【図8】パッキンエレメントの一部を示す概略図。

Claims (37)

  1. (a)内側表面、外側表面、近位端、遠位端、長さ方向を定める軸、近位端にあり初期濃度の窒素酸化物をもつ入口ガス流を受け入れるためのガス流入口、及び入口ガス流よりも減少した窒素酸化物濃度をもつ処理済ガスを排出するためのガス流出口をもつ反応器胴部、(b)還元剤を入口ガス流に導入するためのインゼクタ、(c)入口ガス流を反応温度に加熱するために反応器胴部内に位置するバーナ、(d)バーナーの下流の反応器胴内にあり、入口ガス流中の窒素酸化物の選択的接触還元によって減少した窒素酸化物濃度をもつ処理済ガスを生ずるための少なくとも1の窒素酸化物変換触媒を含む触媒床、及び(e)バーナーの上流に位置し、処理済ガスと還元剤を含む入口ガス流との間の熱交換を行う手段からなることを特徴とするガス流中の窒素酸化物の化学変換用気相反応器。
  2. インゼクタがガス流入口の上流に位置するインゼクタグリッドである請求項1の反応器。
  3. さらに反応器胴部内に入口ガス流の圧力を増加させるためのファンをもつ請求項1の反応器。
  4. 熱交換を行う手段が、触媒床の近くに位置し、複数の管が間隔をあけて長さ方向に束になって存在し、該束が軸通路をもち且つ反応器胴部の内側表面から離れた外側周縁部をもちそれらで環状通路を定めている熱交換器である請求項1の反応器。
  5. さらに熱交換器の軸通路内に位置し、ガス流を管の束を横断して熱交換器を放射状に流すためのデフレクタをもつ請求項1の反応器。
  6. デフレクタが近位にとがった端部をもつ円錐形をしている請求項5の反応器。
  7. デフレクタが遠位にとがった端部をもつ円錐形をしている請求項5の反応器。
  8. 出口が反応器胴部の近位端にある請求項1の反応器。
  9. 出口が反応器胴部の遠位端にある請求項1の反応器。
  10. バーナーが熱交換器の下流にある請求項4の反応器。
  11. 触媒床が円筒形状をもつ請求項1の反応器。
  12. 触媒床が環形状をもつ請求項1の反応器。
  13. 熱交換器が管の束を横方向に横断するバッフルをもつ請求項4の反応器。
  14. 触媒床がバーナーより下流でバーナーから遠位にある請求項1の反応器。
  15. さらに触媒床に隣接するプレナム室をもつ請求項1の反応器。
  16. さらに熱交換器の軸通路内に位置するガスデフレクタをもち、該ガスデフレクタが円錐形をしており且つ近位にとがった端部をもち、触媒床が円筒形状をしており、反応器がさらに触媒床に隣接し且つ触媒床の近位にあるプレナム室をもつ請求項4の反応器。
  17. さらに熱交換器の軸通路内に位置するガスデフレクタをもち、該ガスデフレクタが円錐形をしており且つ近位にとがった端部をもち、触媒床が環形状をしておりそして処理済ガスを運ぶための軸孔を定める内側表面をもつ請求項4の反応器。
  18. さらに管の束と環状通路を横方向に横断するバッフル板をもち、該バッフル板が遠位熱交換部分と近位熱交換部分を定めており、さらに触媒床が円筒形状をもつ請求項4の反応器。
  19. さらに管の束と環状通路を横方向に横断するバッフル板をもち、該バッフル板が遠位熱交換部分と近位熱交換部分を定めており、さらに触媒床が環形状をもつ請求項4の反応器。
  20. さらに熱交換器の軸通路内に位置するガスデフレクタをもち、該ガスデフレクタが円錐形をしており且つ遠位にとがった端部をもち、触媒床が円筒形状をしており、反応器がさらに触媒床に隣接し且つ触媒床の遠位にあるプレナム室をもつ請求項4の反応器。
  21. さらに熱交換器の軸通路内に位置するガスデフレクタをもち、該ガスデフレクタが円錐形をしており且つ遠位にとがった端部をもち、触媒床が環形状をしており且つ処理済ガスを運ぶための軸孔を定める内側表面をもっており、ガス流出口が胴部の近位端にある請求項4の反応器。
  22. さらに熱交換器の軸通路内に位置するガスデフレクタをもち、該ガスデフレクタが円錐形をしており且つ遠位にとがった端部をもち、触媒床が環形状をしており且つ処理済ガスを運ぶための軸孔を定める内側表面をもっており、ガス流出口が胴部の遠位端にある請求項4の反応器。
  23. さらに管の束と熱交換器の軸通路を横方向に横断するバッフル板をもち、該バッフル板が遠位熱交換部分と近位熱交換部分を定めており、さらに触媒床が円筒形状をもつ請求項4の反応器。
  24. さらに管の束と熱交換器の軸通路を横方向に横断するバッフル板をもち、該バッフル板が遠位熱交換部分と近位熱交換部分を定めており、さらに触媒床が環形状をもつ請求項4の反応器。
  25. 触媒床が粒状物を含む請求項1の反応器。
  26. 触媒床がモノリスである請求項1の反応器。
  27. 触媒が約85%以上の多孔度をもつメッシュ状支持体に支持されている請求項1の反応器。
  28. さらに、(f)窒素酸化物を含有する煙道ガスを生ずる炉及び(g)炉から煙道ガスを反応器胴部のガス流入口に運ぶ導管をもつ請求項1の反応器。
  29. (a)窒素酸化物を含むガス流に還元剤を導入し、(b)第1加熱工程において、還元剤を伴った該ガス流を熱交換器を通過させ、(c)第2加熱工程において、還元剤を伴ったガス流の温度を還元剤による窒素酸化物の接触還元を行いうる反応温度にまで上昇させ、(d)還元剤を伴ったガス流を還元剤の存在下に窒素酸化物を選択的接触還元用の少なくとも1の窒素酸化物変換触媒を含む触媒床を通過させ、そして(e)処理済ガスを熱交換器を通過させて処理済ガスからの熱を還元剤を伴ったガス流に移すことを特徴とするガス中の窒素酸化物の選択的接触還元方法。
  30. 熱交換器が複数の管をもち、第1の加熱工程がガス流を管を横断して熱交換器を放射状に外方向に通過させることからなり、ガス流の触媒床通過工程がガス流を触媒床を軸方向に通過させることからなり、そして処理済ガスを熱交換器を通過させる工程が処理済ガスを管を通過させることからなる請求項29の方法。
  31. 熱交換器が複数の管をもち、第1の加熱工程がガス流を管を横断して熱交換器を放射状に外方向に通過させることからなり、ガス流の触媒床通過工程がガス流を触媒床を放射方向に内方向に通過させることからなり、そして処理済ガスを熱交換器を通過させる工程が処理済ガスを管を通過させることからなる請求項29の方法。
  32. 熱交換器が複数の管をもち、第1の加熱工程がガス流を管を横断して熱交換器を放射状に内方向に次いで放射状に外方向に通過させることからなり、ガス流の触媒床通過工程がガス流を触媒床を軸方向に通過させることからなり、そして処理済ガスを熱交換器を通過させる工程が処理済ガスを管を通過させることからなる請求項29の方法。
  33. 熱交換器が複数の管をもち、第1の加熱工程がガス流を管を横断して熱交換器を放射状に内方向に次いで放射状に外方向に通過させることからなり、ガス流の触媒床通過工程がガス流を触媒床を放射状に内方向に通過させることからなり、そして処理済ガスを熱交換器を通過させる工程が処理済ガスを管を通過させることからなる請求項29の方法。
  34. 熱交換器が複数の管をもち、第1の加熱工程がガス流を管を通過させることからなり、ガス流の触媒床通過工程がガス流を触媒床を軸方向に通過させることからなり、そして処理済ガスを熱交換器を通過させる工程が処理済ガスを管を横断して熱交換器を放射状に外方向に通過させることからなる請求項29の方法。
  35. 熱交換器が複数の管をもち、第1の加熱工程がガス流を管を通過させることからなり、ガス流の触媒床通過工程がガス流を触媒床を放射状に内方向に通過させることからなり、そして処理済ガスを熱交換器を通過させる工程が処理済ガスを管を横断して熱交換器を放射状に外方向に通過させることからなる請求項29の方法。
  36. 熱交換器が複数の管をもち、第1の加熱工程がガス流を管を通過させることからなり、ガス流の触媒床通過工程がガス流を触媒床を軸方向に通過させることからなり、そして処理済ガスを熱交換器を通過させる工程が処理済ガスを管を横断して熱交換器を放射状に外方向に次いで放射状に内方向に通過させることからなる請求項29の方法。
  37. 熱交換器が複数の管をもち、第1の加熱工程がガス流を管を通過させることからなり、ガス流の触媒床通過工程がガス流を触媒床を放射状に内方向に通過させることからなり、そして処理済ガスを熱交換器を通過させる工程が処理済ガスを管を横断して熱交換器を放射状に外方向に次いで放射状に内方向に通過させることからなる請求項29の方法。
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