JP2004522945A - スタフィロコッカス・アウレウス必須遺伝子及びそのコードされるタンパク質staau_r2に関連する組成物及び方法 - Google Patents

スタフィロコッカス・アウレウス必須遺伝子及びそのコードされるタンパク質staau_r2に関連する組成物及び方法 Download PDF

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Abstract

本発明は新しく同定されたポリヌクレオチド及びポリペプチド、及びそれらの精製及び使用、同様にそれらの変異型、作用物質や拮抗物質及びその使用に関連する。特に、本発明はスタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)STAAU_R2関連タンパク質又はその特定部分と、スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus) バクテリオファージゲノムによってコードされる増殖阻害性タンパク質との間の特異的な相互作用に関連する。本発明は薬剤スクリーニング試験の基礎としてそれらの相互作用の使用に関する。

Description

【0001】
発明の分野
本発明は、DNA複製の工程に包含される細菌遺伝子及びタンパク質、及びまた、DNA複製の細菌タンパク質と相互作用するバクテリオファージ遺伝子及びそれらのタンパク質に関する。より特定には、本発明は、スタフィロコッカス・アウレウス必須遺伝子及びそのコードされるタンパク質STAAU_R2を包含する組成物及び方法に関する。さらに、本発明は、STAAU_R2のレベル及び/又は活性を調節する化合物を同定するスクリーニングアッセイ及びそのような化合物に関する。
【0002】
発明の背景
スタフィロコッカス(ブドウ状球菌)は、医学的に重要な微生物であり、様々なタイプの人間の病気を引き起こす事が知られている。スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)はグラム陽性菌であり、健康なヒト宿主の皮膚にも検出され、そしてそれは多くの菌血症の原因である。
スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)は、これまでペニシリン誘導体のメチシリンによる治療が有効であったが、現在、この抗生物質に対する耐性型(MRSA−メチシリン耐性スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus) )が増加しつつある(Harbath et al., (1998) Arch. Intern. Med. 158: 182−189.)。例えば、スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)による心内膜炎の死亡率は26−45%の間で変動し、ベータラクタム系とアミノグルコシダーゼ系薬剤の併用による治療は疾病の完治に効果が無くなりつつある事を示している(Roder et al., (1999) Arch. Intern. Med. 159: 462−469)。
【0003】
ほとんどの標準的な抗生物質に耐性を示すスタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)株が分離されるのはもはや珍しいことではなく、従ってこの微生物に対する新しい抗微生物薬、ワクチン、薬剤スクリーニング法そして診断法に対して未解決な医学的必要性と要求があるのである。抗生物質は、細胞内の驚くべき少数の標的物に対して広い種類の活性に分類され得る。一般的に、標的分子は、必須機能を提供する細胞タンパク質である。必須タンパク質の活性の阻害は、細菌細胞の死、又はその増殖の無能性のいずれかを導く。現在使用される抗生物質に対する決定的な細胞機能は、細胞壁合成、葉酸及び脂肪酸代謝、タンパク質合成及び核酸合成を包含する。
【0004】
細胞に基づく薬剤発見と区別するために標的物に基づく薬剤発見として言及される新規薬剤の発見における証明されたアプローチは、標的タンパク質を獲得することであり、そしてタンパク質の生物学的機能を妨げるインビトロアッセイを開発することである。核酸代謝は、すべての細胞のために必須である。DNA合成装置は、細菌において染色体の急速且つ高い複製を達成するために協調して作用する多くのタンパク質を包含する(Kornberg, A., and Baker, T.A. 1992, DNA Replication, Second edition, New York; W.H. Freeman and Campany, pp. 165−194に再考される)。
【0005】
DNAポリメラーゼIIIについて下記に記載されるように、生物学的装置はしばしば、多タンパク質複合体から構成される。細菌プライモソーム及びレプリソームのタンパク質間での共同作用できる相互作用は、それらの効能に必須である。従って、必須の多タンパク質複合体のいずれかのメンバーが、薬剤開発のための推定的な標的物である。しかしながら、タンパク質が一定の生物学的機能に関連される事実は、それが新規薬剤の開発のための適切な標的物を表すことを必ずしも包含しない(Drews J. 2000, Science287:1960−1964)。例えば、DNA複製は細菌増殖のための良く知られ、そして必須の方法であるが、比較的な少数のDNA複製タンパク質のみが、現在入手できる抗生物質により標的化される。重要なことには、標的物の機能を阻害するそれらの化合物のスクリーニングは好ましくは、急速且つ選択的であるべきである。
【0006】
従って、新規細菌標的物及び新規標的物ドメイン、及びより特定には、抗菌剤及びより特定には、抗−S.アウレウス剤をスクリーンし、そして同定するために使用され得るS.アウレウス細菌標的物を同定する必要性が存在する。また、新規抗菌剤、ワクチン、薬剤スクリーニング方法、及び診断及び治療方法を同定する必要性が存在する。
本発明は、それらの及び他の必要性を満たす。
本発明の記載は、多くの証拠資料を言及しており、その内容は、引例により本明細書に組み込まれる。
【0007】
発明の要約
本発明は、新規抗微生物剤、ワクチン、薬剤スクリーニング方法、及び診断及び治療方法に関する。
より特定には、本発明は、STAAU_R2と相互作用するタンパク質、及び特に、S.アウレウスSTAAU_R2ポリペプチドと相互作用する細菌増殖−阻害(又はインヒビター)バクテリオファージ遺伝子生成物に関する。
【0008】
本発明はまた、1対の相互作用タンパク質及びその一部又はフラグメントにも関する。より特定には、本発明は、S.アウレウスSTAAU_R2関連タンパク質の相互作用ドメイン、及び前記ドメインと相互作用し、そしてSTAAU_R2生物学的活性を阻止するか又は阻害するタンパク質に関する。特定の態様においては、本発明は、STAAU_R2のドメインから成る1対の相互作用ドメイン、及びSTAAU_R2と特異的に相互作用するバクテリオファージORF、例えばashe S. アウレウス バクテリオファージ44AHJD ORF25、 Twort ORF168又はG1 ORF240によりコードされるポリペプチドに関する。本発明の特に好ましい態様においては、それらのドメインの相互作用及びそのモジュレーションは、STAAU_R2生物学的機能及びより特定には、抗微生物剤のモジュレーターを同定するためのスクリーニングアッセイについての基礎を形成する。
【0009】
本発明はまた、STAAU_R2をサブユニットとして含むDNA複製に関与されると思われる多タンパク質複合体のポリヌクレオチド及びポリペプチド、及びその変異体及び一部にも関する。
もう1つの観点として、本発明はそのようなポリペプチド及びポリヌクレオチドの使用法に関連し、他の微生物による疾病の治療及び診断も含むことがある。
【0010】
さらなる観点においては、本発明は、この発明が提供する物質を使用した作用物質や拮抗物質の同定法の関する。関連する観点においては、前記方法は、同定された作用物質や拮抗物質により微生物感染やそのような感染に付随する症状の治療法に関連する。
さらなる観点においては、本発明は、微生物感染に関する疾病や感染による随伴症状を検出するための診断アッセイにも関連する。1つの態様においては、診断アッセイはSTAAU_R2発現及び/活性を検出する。
【0011】
本発明の1つの特定の態様においては、配列番号2のアミノ酸配列、その生物学的活性フラグメント又は変異体を含んで成るポリペプチドに対して活性である化合物を同定する方法が提供され、ここで前記配列番号2のアミノ酸配列、その生物学的活性フラグメント又は変異体が、配列番号4,6,8及び10の配列、その生物学的活性フラグメント及び変異体から選択された配列を含んで成るポリペプチドと特異的に結合することができ、ここで前記フラグメント又は変異体は、配列番号2、又はそのフラグメント又は変異体と特異的に相互作用するそれらの結合能力を保持する。
【0012】
本発明の1つの好ましい態様においては、STAAU_R2ポリペプチドに対して活性的な化合物の同定は、候補体化合物の存在又は不在下で第1及び第2ポリペプチドを接触せしめ、ここで前記第1ポリペプチドは、配列番号2、そのフラグメント又は変異体と特異的に結合することができるバクテリオファージORFに由来する第2ポリペプチドに特異的に結合する、配列番号2のアミノ酸配列、そのフラグメント又は変異体を含んで成り、1つの特定の態様においては、配列第2ポリペプチドは、ファージORF(例えば、配列番号4及び6)、そのフラグメント(例えば、配列番号8)又は変異体(例えば、配列番号10)から成る群から選択され、ここでこの第2ポリペプチドは、その生物学的活性を維持し;そして前記第1及び/又は第2ポリペプチドの生物学的活性を検出する方法により提供され、ここで候補体化合物の不在下での生物学的活性に対してその化合物の存在下での生物学的活性の低下が、配列番号2のアミノ酸配列、そのフラグメント又は変異体を含んで成るポリペプチドに対して活性である化合物としてその候補体化合物を同定することを特徴とする。
【0013】
1つの特定の態様においては、生物学的活性は、第1及び第2ポリペプチドのお互いへの結合であり、それはa)配列番号2のアミノ酸配列、その生物学的活性フラグメント又は変異体を含んで成る第1ポリペプチド、及びb)配列番号4,6,8,10, そのフラグメント及び変異体から成る群から選択された第2ポリペプチドを含んで成るアッセイ混合物と試験化合物とを接触せしめ;候補体化合物の不在下での結合に対して、候補体化合物の存在下での前記第1及び第2ポリペプチドの結合を測定し;そしてSTAAU_R2ポリペプチド又はその変異体と相互作用する候補体化合物の能力を決定することを含んで成る方法により決定され、ここで候補体化合物の不在下での結合に対して、STAAU_R2と相互作用する候補体化合物の存在下での前記第1及び第2ポリペプチドの結合の低下が、STAAU_R2ポリペプチドン対して活性である化合物として前記候補体化合物を同定することを特徴とする。
【0014】
本発明のもう1つの態様においては、a)配列番号2のアミノ酸配列、その生物学的活性フラグメント又は変異体を含んで成るSTAAU_R2ポリペプチドに対して活性である化合物を目的とする本発明のスクリーニングアッセイを実施し、ここで前記STAAU_R2ポリペプチドがバクテリオファージORFに由来する第二ポリペプチドに対して特異的に結合することができ、そして前記スクリーニングアッセイは、STAAU_R2ポリペプチドに対して活性である化合物としての候補体化合物の同定を可能にし;そしてb)a)において同定された化合物を、適切な医薬キャリヤーと共に混合することを含んで成る、医薬組成物を生成する方法が提供される。医薬組成物のこの生成方法のさらなる態様においては、前記工程は、STAAU_R2ポリペプチドに対して活性的な同定された化合物の単離のための調製の拡大をさらに包含する。医薬組成物を生成するこの工程のさらにもう1つの態様においては、調製される医薬組成物は、a)において同定される化合物の誘導体又は相同体を含んで成る。
【0015】
本発明のさらなるもう1つの態様においては、a)配列番号2のアミノ酸配列、その生物学的活性フラグメント又は変異体を含んで成るSTAAU_R2ポリペプチド、ここで前記配列番号2、その生物学的活性フラグメント又は変異体(例えば、STAAU_R2ポリペプチド)はバクテリオファージORFに由来するポリペプチドに対して特異的に結合することができ、b)STAAU_R2のポリペプチド、その生物学的活性フラグメント又は変異体、及びSTAAU_R2と特異的に相互作用するバクテリオファージORFによりコードされるポリペプチドから成る1対の特異的に相互作用するドメインを含んで成る組成物;又はc)配列番号2のアミノ酸配列、その生物学的活性フラグメント又は変異体を含んで成る第1ポリペプチド、及びお互い特異的に相互作用するバクテリオファージORFによりコードされる第2ポリペプチドを含んで成るアッセイ混合物の1つの、配列番号2のアミノ酸配列、その生物学的活性又は変異体を含んで成るポリペプチドに対して活性である化合物の同定のためへの使用が提供される。本発明の特に好ましい態様においては、バクテリオファージポリペプチド配列は、配列番号4,6,8,10,そのフラグメント及び変異体から成る群から選択され、ここで前記フラグメント又は変異体はSTAAU_R2ポリペプチドへのそれらの特異的結合能力を保持する。
【0016】
1つの態様においては、検出の段階は、直接的に又は間接的に標識される、第1及び第2タンパク質の結合を測定する段階を含んで成る。
異なった態様においては、検出段階は、蛍光共鳴エネルギートランスファー、蛍光偏光変化、表層プラスモン共鳴による測定、シンチレーション・プロキシミティ・アッセイ、バイオセンサーアッセイ及びファージディスプレイから成る群から選択された方法による測定を含んで成るが、但し、それらだけには限定されない。
【0017】
1つの態様においては、化合物のライブラリーが使用される。候補体化合物の非制限的な例は、性分子、ペプチド類似化合物、ペプチド、及びバクテリオファージインヒビタータンパク質のフラグメント又は誘導体を包含する。
1つの態様においては、候補体化合物は、発現システムにより合成され、そして精製されるか、又は人工的に合成されたペプチドである。
本発明はまた、試験化合物がS.アウレウスポリペプチド、すなわち配列番号2に示されるようなSTAAU_R2、又はその一部に対して活性であるかどうかを決定することを含んで成る、抗微生物剤の同定方法を包含する。
【0018】
さらなる態様においては、STAAU_R2ポリペプチドに対して活性的な化合物の同定が、配列番号2のアミノ酸配列、そのフラグメント又は変異体を含んで成るポリペプチドと候補体化合物とを接触せしめ、ここで前記フラグメント又は変異体はその生物学的活性を保持し(例えば、それは、配列番号4,6,8,10、そのフラグメント又は変異体(配列番号10)から選択された配列の1つを特異的に結合する)、そしてそれへの前記候補体化合物の結合を検出することを含んで成る方法により提供され、ここで結合の検出は、前記化合物が前記ポリペプチドに対して活性であることの表示である。
【0019】
異なった態様においては、検出の段階は、蛍光共鳴エネルギートランスファー、蛍光偏光変化、表層プラスモン共鳴、シンチレーション・プロキシミティ・アッセイ、バイオセンサーアッセイ及びファージディスプレイを含んで成る方法による、ポリペプチドへの候補体化合物の結合の測定を包含し、ここで前記化合物は、直接的に又は間接的に検出できるよう標識されている。
【0020】
1つの態様においては、化合物のライブラリーが使用される。候補体化合物の非制限的な例は、性分子、ペプチド類似化合物、ペプチド、及びバクテリオファージインヒビタータンパク質のフラグメント又は誘導体を包含する。
1つの態様においては、候補体化合物は、発現システムにより合成され、そして精製されるか、又は人工的に合成されたペプチドである。
【0021】
本発明はさらに、候補体化合物(又はそのライブラリー)と、配列番号2を含んで成るポリペプチドを発現する細胞とを接触せしめ;そして細胞におけるSTAAU_R2活性を検出する段階を含んで成る、STAAU_R2ポリペプチドに対して活性である化合物の同定方法を包含し、ここで候補体化合物と接触されない細胞におけるSTAAU_R2活性に対しての活性の低下がSTAAU_R2活性の阻害の表示である。本発明はまた、配列番号2のフラグメント又は変異体を用いてのそのような方法も包含する。
【0022】
もちろん、本発明はSTAAU_R2ポリペプチドの活性を調節する化合物の同定方法をさらに包含し、ここで候補体化合物と接触されない細胞におけるSTAAU_R2活性に対する活性を高める化合物が、STAAU_R2活性の刺激体である化合物として選択される。
好ましい態様においては、検出段階は、DNA合成を調節するSTAAU_R2分子の能力を刺激するか又は好ましくは阻害する、候補体、試験化合物又は剤の能力を測定する方法を包含する(そのようなアッセイは下記にさらに詳細に記載される)。
【0023】
本発明はさらに、細胞フリーのアッセイにおける候補体化合物(又はそのライブラリー)と、天然に存在するか又は組換え起源のSTAAU_R2タンパク質又はその生物学的活性部分とを接触せしめ;そしてSTAAU_R2活性を検出する段階を含んで成る、STAAU_R2ポリペプチドに対して活性である化合物の同定方法を包含し、ここで候補体化合物と接触されない、細胞フリーのアッセイにおけるSTAAU_R2活性に対しての活性の低下がSTAAU_R2活性の阻害の表示である。
好ましい態様においては、検出段階は、DNA合成を調節するSTAAU_R2分子の能力を刺激するか又は好ましくは阻害する、候補体化合物、試験化合物又は剤の能力を測定する方法を包含する(そのようなアッセイは下記にさらに詳細に記載される)。
【0024】
本発明はさらに、STAAU_R2ポリペプチド、又は前記ポリペプチドをコードする核酸又は遺伝子の活性の作用物質又は拮抗物質を包含する。
本明細書に記載されるアッセイは、さらなる開発のための有望な先導化合物を検出するための初期又は一次スクリーンとして使用され得る。その同じアッセイがまた、STAAU_R2ポリペプチドに対する候補体化合物を測定するために二次スクリーニングアッセイに使用され得る。しばしば、先導化合物は、追加の異なったスクリーンにおいて、さらに評価されるであろう。本発明はまた、S.アウレウス株又は他の適切な細菌を用いての生物学的アッセイを包含する二次STAAU_R2スクリーンを包含する。
【0025】
三次スクリーンは、動物における前記剤の効果の研究を包含する。従って、適切な動物モデルにおいて、本明細書に記載のようにして同定される剤をさらに使用することは、本発明の範囲内である。例えば、本明細書に記載のようにして同定される試験化合物(例えば、STAAU_R2阻害剤、アンチセンスSTAAU_R2核酸分子、STAAU_R2特異的抗体又はSTAAU_R2結合パートナー)は、そのような剤による処理の効能、毒性又は副作用を決定するために動物において使用され得る。他方では、本明細書に記載のようにして同定される剤は、そのような剤の作用の機構を決定するために動物モデルにおいて使用され得る。さらに、本発明は、本明細書に記載されるように、上記のスクリーニングアッセイにより同定される新規剤の処理(例えば、細菌感染)への使用に関する。
【0026】
本発明はさらに、抗菌性化合物を合成するための方法を含む。この方法とはa)候補体化合物が配列番号2のアミノ酸配列、そのフラグメント又は変異体を含むポリペプチド、又は前記ポリペプチドをコードする遺伝子に対して活性であるかどうか、b) 配列番号2のアミノ酸配列、そのフラグメント又は変異体を含むポリペプチドを天然に産生する細菌に感染した生物に投与した際、治療効果を表すのに十分な量の候補体化合物を合成又は精製する段階を含んで成る。
本発明はさらに、配列番号2のアミノ酸配列、そのフラグメント又は変異体を含むポリペプチド、又はこのポリペプチドをコードする遺伝子に対して活性である化合物と細菌を接触させることによって細菌を阻害する方法を含む。
【0027】
一つの具体例としては、この接触の段階はインビトロで行う。
他の具体例としては、この接触の過程は動物の体内で行う。
もう1つの態様においては、細菌は、存在する抗細菌剤と組合して活性化合物と接触せしめられる。従って、本発明はまた、存在する抗細菌剤と組合して、本発明の化合物を含んで成る抗微生物にも関する。もちろん、本発明の1つより多くの活性化合物が、存在する抗細菌剤と共に、又はそれを伴わないで、組み合わされ得る。
【0028】
本発明はさらに、感染症に苦しむ動物、又は感染症の疑いがある動物の細菌感染症を治療する方法を含む。これは動物に配列番号2のアミノ酸配列、そのフラグメント又は変異体を含むポリペプチド又はそのポリペプチドをコードする核酸に対して活性のある、治療上有効な量の化合物を投与することを含む。この動物とは望ましくは哺乳動物であるが必ずしもその必要は無く、ヒトであることがより期待される。1つの態様においては、活性化合物は、存在する抗微生物剤と組合して動物に投与される。従って、本発明はまた、存在する抗微生物剤と組合して本発明の化合物を含んで成る抗微生物組成物にも関する。
【0029】
本発明はさらに、細菌感染症を防ぐための予防法を包む。これは、体内留置器具を哺乳動物の体内へ移植する前に配列番号2のアミノ酸配列、そのフラグメント又は変異体を含むポリペプチドに対して活性である化合物と接触させることを含む。このような接触は移植箇所におけるスタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)感染を防ぐのに充分である。
本発明はさらに、細菌による動物の感染を防ぐための予防法を含み、動物の組織表面に細菌が接着するのを防ぐのに十分な量の、配列番号2のアミノ酸配列、そのフラグメント又は変異体、又はそのポリペプチドをコードする遺伝子を含むポリペプチドに対して活性である化合物を、動物に投与することを含む。特定の態様においては、予防的有効量は、哺乳類の組織表面への細菌の付着を減じる。
【0030】
この発明はさらに、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)に感染した動物の診断法を含み、これは配列番号2のアミノ酸配列、そのフラグメント、変異体、エピトープ又はそれをコードする核酸を含むポリペプチドの動物内における存在を確定する方法を含む。好ましくは、前記ポリペプチドは、44AHJD ORF25、Twort ORF168又はG1 ORF240の少なくとも1つと特異的に相互作用することができる。好ましくは、動物はヒトである。
1つの態様においては、決定段階は、配列番号2のアミノ酸配列、そのフラグメント又は変異体を含んで成るポリペプチド上に存在するエピトープに対して特異的な抗体と、動物又は個人の生物学的サンプルとを接触せしめることを含んで成る。
【0031】
本発明はさらに、S.アウレウスによる感染を、動物又は個人において診断する方法を包含し、ここで前記方法は、配列番号2のアミノ酸配列、そのフラグメント又は変異体を含んで成るポリペプチドをコードする核酸配列の動物又は個人における存在を決定することを含んで成り、ここで前記ペプチドは、44AHJD ORF25, Twort ORF168又はG1 ORF240の少なくとも1つと特異的に相互作用することができる。
一つの具体例としては、この確認過程は、前記動物又は個体の核酸サンプルと、分離、精製あるいは濃縮した少なくとも15個のヌクレオチドの長さの核酸プローブを反応させる過程を含み、このプローブは厳しいハイブリダイゼーション条件下で配列番号:1あるいはこのようなプローブの相補鎖とハイブリダイズする。
【0032】
本発明はさらに、2種のポリペプチド、すなわちバクテリオファージ−コードのポリペプチド、及び配列番号2に対応するS.アウレウスSTAAU_R2ポリペプチドを含んで成る組成物を包含する。もう1つの態様においては、本発明は、バクテリオファージコードのポリペプチド及びS.アウレウスSTAAU_R2ポリペプチド由来の2種の相互作用ポリペプチドを含んで成る組成物を包含する。本発明は、それらの相互作用するポリペプチドをコードする2種の核酸配列を含んで成る組成物を包含する。
本発明のさらなる特徴や利点は、次に述べる具体例の説明とその図説及び請求項から、より完璧に明らかになる。
【0033】
好ましい態様の記載
本発明は、スクリーニング、診断及び治療上有用なスタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)とその一部の必須遺伝子、その遺伝子にコードされるポリペプチドの発見に関する。本発明は、さらに詳細に後述されるようにスタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus) STAAU_R2ポリペプチドとポリヌクレオチドにも関連する。そして、相互作用するポリペプチドのペアをコードするポリヌクレオチドのペアと、ポリペプチドのペアそのもの、あるいはその相互作用ドメインに関連する。
【0034】
特定の態様において、前記対のポリペプチドは、S.アウレウスSTAAU_R2ポリペプチド又はその相互作用ドメイン、及びa)44AHDJ ORF25又はその相互作用ドメイン;b)Twort ORF168又はその相互作用ドメイン;又はc)G1 ORF240又はその相互作用ドメインを包含する。1つの態様においては、本発明は、それぞれ配列番号:1と配列番号:2として公開したヌクレオチド及びアミノ酸配列を持つSTAAU_R2にとりわけ関係がある。配列番号:1と2として示した配列は、本発明の最適な例を象徴している。なぜならば、これらのありふれた技術が、リボポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド全般において、このような配列を有効に用いることが出来ることを示すからである。
【0035】
スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)由来の必須ポリヌクレオチドとポリペプチド配列を分離、特徴づけるために、2つのこれまでの発明(合衆国臨時特許出願書 60/110,992、1999年12月3日申請、PCT国際出願WO1999/IB99/02040号、1999年12月3日申請)の方法論を使用した。
【0036】
従って、本発明の特定の態様においては、本発明は抗微生物活性を持つ化合物を見つけるための薬剤スクリーニング法に使用することが可能な、スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)由来のポリペプチドとポリヌクレオチド配列を提供する。前記ポリペプチドとポリヌクレオチド配列は、本明細書に記載されるそれらの方法に類似する方法を用いて、又は他の方法を用いて単離され得る。
3種の異なったバクテリオファージのための標的物としてのそれらのS.アウレウス配列の同定は、細菌標的物を同定するための本発明のアプローチ確認し、そしてまた、抗細菌薬剤開発のためのキー標的物としてのSTAAU_R2、及びそれに基づく診断及び処理方法を確認する。
【0037】
定義
本発明の記載に使用される用語の明白且つ一致した理解を提供するために、多くの定義が下記に定義される。
特定の細胞内標的(例えば特定遺伝子の産物)に言及して“活性である”という言い回しは、その標的が、その経路上で機能する標的、物質又は化合物を含む、細胞内経路の重要な部分であることを意味する。従って場合によっては、その物質又は化合物は、述べられた標的の上流又は下流の構成要素に働くこともあり、この要素はその経路の調節物質あるいは構成要素そのものを含む。一般的には、抗微生物因子は必須の細胞機能に対して活性があり、しばしば必須遺伝子の産物に対して活性がある。
【0038】
用語“活性である”とはまた、それが活性化する標的物に対する化合物の測定できる効果(前記下号物の不在下での標的物の活性に比較して)を言及する。これについて言及する活性とは、本発明のポリペプチドの1つの生物学的活性のいずれか1つである。
【0039】
ここで使用する用語“阻害する”、“阻害”、“阻害性”及び“インヒビター”は全て生物学的な活性や機能を減じる働きを意味する。このような活性又は機能の減少は、例えば、細胞内構成要素(例えば酵素)、又は細胞内プロセス(例えば特定のタンパク質合成)、又は細胞の全体的なプロセス(例えば細胞増殖)と関連する可能性がある。細胞増殖に関しては、阻害効果は、殺細菌性(細菌細胞の殺害)又は静菌性(すなわち、細菌細胞増殖を止めるか又は少なくとも遅延する)であり得る。後者は、株のより少ない細胞が、所定の期間にわたって、阻害されていない細胞に比較して、生成されるよう、細胞増殖を遅延するか又は妨げる。分子観点によれば、そのような阻害は、特定の細菌標的物の転写及び/又は安定性のレベルの低下又は排除、及び/又は特定の標的物生分子の活性の低下又は排除に等しい。
【0040】
ここで使用する用語“STAAU_R2ポリペプチド”は、スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus) STAAU_R2 (配列番号:2)、その変異体、又はスタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)STAAU_R2活性ドメインを含むポリペプチドを意味する。ここで使用する用語“スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus) STAAU_R2活性ドメイン”、“STAAU_R2の生物学的活性ポリペプチド”、又は同様のものは、スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)STAAU_R2の活性を保持するスタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)STAAU_R2のポリペプチドフラグメント又は一部分のことである。用語“STAAU_R2ポリペプチド”は、スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)STAAU_R2あるいは別のSTAAU_R2では無いポリペプチド配列との融合スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)STAAU_R2活性ドメインを含む意味がある。
【0041】
本発明のSTAAU_R2又は他のポリペプチドの“STAAU_R2活性”、“配列番号2活性のアミノ酸配列を含んで成るポリペプチド”、“dnaNポリペプチド活性”又は“生物学的活性”は、本発明の遺伝子、核酸配列、タンパク質又はポリペプチドの検出できる生物学的活性として定義される。これは、本発明のStAAU_R2、又はファージORFの生物学的比活性に寄与できるいずれかの生理学的機能を包含する。これは、細胞における又はインビトロでのSTAAU_R2のDNA合成活性の測定を包含する。
【0042】
生物学的活性の非制限的例は、直接的に又は間接的に製造され得る。しかしながら、STAAU_R2生物学的活性は、DNA合成におけるその機能に制限されない。生物学的活性はまた、他の因子(ポリペプチド又は他のもの)、例えば化合物、基質及びもちろん、興味あるタンパク質に対する単純な結合を包含することができる。従って、STAAU_R2に関しては、生物学的活性は、STAAU_R2のいずれかの標準生化学的測定、例えばコンホメーション変化、リン酸化状態、又は当業界において知られている技法により測定され得るタンパク質のいずれかの他の特徴を包含する。
【0043】
STAAU_R2生物学的活性はまた、STAAU_R2遺伝子転写又は翻訳に関連する活性、又はそのような転写又は翻訳生成物のいずれかの生物学的活性を包含する。本発明はまた、本発明の阻害ポリペプチドとのSTAAU_R2相互作用にも関し、STAAU_R2の生物学的活性はまた、それらのポリペプチドの結合及び他の生物学的測定をモニターするアッセイを包含する。さらに、確かに、用語“生物学的活性”とはまた、本発明の相互作用タンパク質のドメイン(すなわち、ファージORF又はそのドメイン)の相互作用に基づかれる測定を包含する。“生物学的活性”の非制限例は、1又は複数の次のものを包含する。
【0044】
i)44AHDJ ORF25, Twort ORF168, G1 ORF240ポリペプチド又はその一部を包含するバクテリオファージ由来の細菌増殖阻害ORFへの結合。
本発明のポリペプチド間の結合の決定は、直接的な結合を決定するために、下記に記載されるか又は当業界において知られている方法の1つにより達成され得る。自動化及びより特定には、高処理能力を受けやすい結合アッセイを提供することは、本発明の一定の態様においては好都合であるが、本発明はそのようなことに制限されない。
【0045】
本明細書に提供される配列番号2のアミノ酸、又はそのフラグメントを含んで成るポリペプチドの、バクテリオファージタンパク質44AHDJ ORF25, Twort ORF168又はG1 ORF240又はその一部(例えば、配列番号8)への結合又は物理的相互作用が存在する。配列番号2のアミノ酸配列、及びバクテリオファージ44AHDJ ORF25, Twort ORF168, G1 ORF240の結合部分を含んで成るポリペプチドの相互作用又は結合が、結合のために必要な配列から実質的に成る単離されたポリペプチド間で存在することができ、又は他方では、それぞれのポリペプチド配列が大きなポリペプチド内に含まれ得る。
【0046】
配列番号2のアミノ酸配列又はそのフラグメントを含んで成るポリペプチドへのバクテリオファージ44AHDJ ORF25, Twort ORF168, G1 ORF240の結合を測定するために本発明において有用な多くの非制限的な方法が下記に記載される。結合は、1つの分子を、表面又は支持体、例えば膜、マイクロタイタープレートウェル、又はマイクロアレイチップに結合せしめ、そしていずれかの数の手段、例えば光学的分光法、蛍光測定法及び放射性ラベル検出により第2分子の結合をモニターすることによって測定され得る。
【0047】
例えば、Fluorescence Resonance Energy Transfer (FRET)法が提供される。この方法では、天然の蛍光アミノ酸残基、例えばトリフトファンの場合におけるように、内在性であるか、又は別々の分子に非共有結合された二つの蛍光基が接近すると、一方の蛍光基の発光スペクトルがもう一方の蛍光基の発光スペクトルとの重複を引き起こす。従って、一方の蛍光基のみに対する励起による二重蛍光は結合を示唆する。さらにこの発明において有用な検査法は、蛍光偏光法である。
【0048】
この方法では、蛍光物質によって標識した既知分子の定量可能な偏光度は、もう一つのタンパク質に結合することによって変化する。表面プラスモン共鳴法は、あるタンパク質が水相からセンサー上に固定化したもう一つのタンパク質に結合することにより引き起こされる、固定化センサー近くの質量変化によって二つの分子間の結合を測る定量法として利用可能である。シンチレーション・プロキシミティ・アッセイもまた、配列番号2のアミノ酸配列及びそのフラグメントやバクテリオファージORF又はそのフラグメントを含むポリペプチドの結合を測るために利用可能であり、ここでシンチラントに対して近位の結合がシンチレーション計数計又は他の検出計により検出される光子シグナルに放射性粒子を転換する。
【0049】
さらに、結合はバイオセンサー法によっても評価できる。この方法は、結合に伴うイオンチャンネルの変化によって誘導されるセンサーの選択透過性の変化に基づく方法である。ファージ・ディスプレイ法は熱量測定ELISA(enzyme−linked immunosorbent assay)を用いたタンパク質−タンパク質相互作用を測る、強力な定量法である。
【0050】
ii) DNA合成の刺激:
生物学的活性はまた、本明細書に提供されるS.アウレウスSTAAU_R2配列、そのフラグメント又は変異体を有するポリペプチド、又はバクテリオファージタンパク質44AHJD ORF25, Twort ORF168, G1 ORF240と直接的に相互作用するS.アウレウスSTAAU_R2ポリペプチド、又は44AHJD ORF25, Twort ORF168, G1 ORF240タンパク質又はその変異体のSTAAU_R2−結合フラグメントを含むタンパク質のDNA合成刺激にも関する。
【0051】
STAAU_R2のアミノ酸配列を含むポリペプチドのDNA合成刺激を測定するために本発明において有用な多くの方法が、下記に記載される。DNA合成のレベルは、例えばS.アウレウス細胞のDNA中への放射性ラベルされたヌクレオチド導入の測定により評価され得る。
【0052】
DNA合成の速度及び進行性はまた、線状又は環状の一本鎖(ss)DNA、二本鎖(ds)DNAを包含する種々の異なった合成DNA基質の使用に基づいて可溶性インビトロシステムを用いることによって測定され得る。1つの態様においては、複製アッセイは、部分的に生成された細胞タンパク質抽出物又は組換え的に生成されたタンパク質を包含する。もう1つの態様においては、再構成されるタンパク質アッセイは、部分的に精製された又は純粋な形の生来のタンパク質又は融合タンパク質又はそのフラグメントを包含する。
【0053】
iii) DNAに対する負荷:
本明細書において提供されるS.アウレウスSTAAU_R2配列、そのフラグメント又は類似体を有するポリペプチド、又はバクテリオファージ44AHJD ORF25, Twort ORF168, G1 ORF240タンパク質の1つと直接的に相互作用するS.アウレウスSTAAU_R2ポリペプチド、又は44AHJD ORF25, Twort ORF168, G1 ORF240タンパク質のATAAU_R2−結合フラグメント又はその変異体を含んで成るタンパク質のDNA負荷がまた、モニターされ得る。1つの態様においては、インビトロ再構成アッセイは、環状DNA基質に対する32P−ラベルされた又は蛍光ラベルされたSTAAU_R2アセンブリーの測定を包含する。
【0054】
ここで使用する用語“ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド”又は同等の言葉遣いは、この発明におけるポリペプチド、特に細菌性ポリペプチド、さらに厳密には図 1、配列番号2に規定されるアミノ酸配列を持つスタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)STAAU_R2タンパク質のポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチドを意味する。この用語は、コーディング又はノン・コーディング配列を含む追加部分と一緒にポリペプチドをコードする、一つの連続した部分又は不連続な部分(例えば、組込みファージ、組込み挿入配列、組込みベクター配列、組込みトランスポゾン配列、あるいはRNAの編集又は染色体DNAの再構築によって中断されたポリヌクレオチド)も含む。
【0055】
ここで使用する用語“STAAU_R2遺伝子”、“DnaN遺伝子”はスタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)STAAU_R2ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを内包する意味を持つ。細胞内又は試験管内のいずれにおいても、スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)STAAU_R2ポリペプチドをコードするRNAの転写を指示するのに必要な全ての付加ヌクレオチド配列を“調節配列”と呼ぶ。これは転写プロモーターやエンハンサー、そして転写ターミネーターを含むが、これらに限定されるわけではない。
【0056】
ここで使用する用語“ORF 25”又は“ファージ44AHJD ORF25”又は“44AHJD ORF25”は、図2 (配列番号:3)に提供した配列を持つポリヌクレオチドを含み、この配列は44AHJD ORF25遺伝子産物として知られる遺伝子産物をコードする。
ここで使用する用語“ORF 168”又は“ファージTwort ORF168”又は“Twort ORF168”は、図2 (配列番号:5)に提供した配列を持つポリヌクレオチドを含み、この配列はTwort ORF168遺伝子産物として知られる遺伝子産物をコードする。
ここで使用する用語“ORF 240”又は“ファージG1 ORF240”は、図2 (配列番号:9)に提供した配列を持つポリヌクレオチドを含み、この配列はG1 ORF240遺伝子産物として知られる遺伝子産物をコードする。
【0057】
ここで使用する用語“ポリヌクレオチド”は、修飾されないRNA又はDNAあるいは修飾されたRNA又はDNAを含む、全てのポリヌクレオチド又はポリデオキシリボヌクレオチドを一般的に意味する。“ポリヌクレオチド”は、無制限に、一本鎖及び二本鎖DNA、一本鎖と二本鎖部分の混合したDNA、あるいは一本鎖、二本鎖そして三本鎖部分の混合したDNA、一本鎖及び二本鎖RNA、一本鎖と二本鎖部分の混合したRNA、おそらく一本鎖から成る、あるいはより典型的には、二本鎖又は三本鎖部分、又は一本鎖と二本鎖部分の混合したDNAとRNAによって構成され得るハイブリッド分子を意味する。
【0058】
さらに、ここで使用される“ポリヌクレオチド”とは、RNA又はDNAあるいはRNAとDNAの両方から成る三本鎖部分を意味することもある。このような部分の鎖は、同じ分子あるいは異なる分子から構成されることがある。この部分は、これらの分子のうち一つ又はそれ以上から成り、しかし大抵は幾つかの分子のほんの一部分を含む。三重螺旋部分を構成する分子の一つは、しばしばオリゴヌクレオチドである。ここで使用する用語“ポリヌクレオチド”は、上に述べたように一カ所又はそれ以上の変更塩基対を含むDNA又はRNAをも意味する。従って、安定性のために又は他の理由により基幹部分が変更されたDNA又はRNAも、ここで意味するところの“ポリヌクレオチド”である。
【0059】
さらに、ちょうど二つの例を挙げると、独特の塩基対、例えばイノシン、あるいは変更された塩基対、例えばトリチル化された塩基対から成るDNA又はRNAも、ここで意味するところのポリヌクレオチドである。多種多様な修飾がDNA又はRNAに加えられ、技術的に知られる多くの有益な意図を果たすようになることが期待される。ここで用いられるように、“ポリヌクレオチド”という用語は、例えば、単純な又は複雑な細胞を含む、ウイルスや細胞に特徴的なDNAやRNAの化学的な形状だけでなく、このような化学的、酵素的又は代謝的に修飾されたポリヌクレオチドを含む。“ポリヌクレオチド”は、しばしばオリゴヌクレオチドとして参照される短いポリヌクレオチドも意味する。ポリヌクレオチドはまた、DNA及びRNAキメラでもあり得る。
【0060】
ここで使用する用語“ポリペプチド”は、ペプチド結合あるいは修正ペプチド結合によってお互いに連結した、二つ又はそれ以上のアミノ酸から成る全てのペプチド又はタンパク質を意味する。“ポリペプチド”は、一般的にペプチド、オリゴペプチドやオリゴマーと呼ばれる短い鎖、及び一般的にタンパク質と称されるより長い鎖の、両方を意味する。ポリペプチドは20の遺伝子にコードされたアミノ酸以外のアミノ酸も含み得る。“ポリペプチド”は、プロセッシングや他の転写後修飾のような自然に起こる過程によってだけでなく、化学的な修飾技術によって修飾されたポリペプチドも含む。
【0061】
このような修飾は、基本的な教科書やより詳細な単行書、同様に多くの研究論文に詳細に述べられており、技術的にこれらの方法がよく知られている。特定のポリペプチドにおいて、同じタイプの修飾が同じ場所、あるいは幾つかの場所にさまざまな程度で存在することが効果的だろう。さらに、特定のポリペプチドは多くのタイプの修飾を含む可能性もある。修飾はポリペプチドのあらゆる場所に生じる可能性があり、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖、そしてアミノあるいはカルボキシ末端も含まれる。
【0062】
修飾は、例えば、フラビンのアセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、共有結合化、ヘムの一部分の共有結合化、ヌクレオチド又はヌクレオチド誘導体の共有結合化、脂質あるいは脂質誘導体の共有結合化、フォスファチジルイノシトールの共有結合化、架橋結合、環状化、ジスルフィド結合の形成、脱メチル化、ピログルタミン酸塩の形成、ホルミル化、ガンマ・カルボキシル化、GPIアンカーの形成、水酸化、ヨウ化、メチル化、ミリストレイン化、酸化、蛋白分解処理、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、糖化、脂質付加、硫酸化、グルタミン酸残基のガンマ・カルボキシル化、水酸化、セレン化、硫酸化やアルギニン化やユビキチン化のような転移RNAを介したタンパク質へのアミノ酸の付加などを含む。
【0063】
参考として、 PROTEINS − STRUCTURE AND MOLECULAR PROPERTIES, 2nd Ed., T. E. Creighton, W. H. Freeman and Company, New York (1993); Wold, F., Posttranslational Protein Modifications: Perspectives and Prospects, pgs. 1−12 in POSTTRANSLATIONAL COVALENT MODIFICATION OF PROTEINS, B. C. Johnson, Ed., Academic Press, New York (1983); Seifter et al., Meth. Enzymol. 182:626−646 (1990); and Rattan et al., Protein Synthesis: Posttranslational Modifications and Aging, Ann.N.Y. Acad. Sci. 663: 48−62(1992)を参照のこと。ポリペプチドは枝分かれした、あるいは枝分かれの有無に関わらず環状の構造をとりうる。環状の、枝分かれした又は枝分かれした環状ポリペプチドは転写後の自然な過程によって生じ、同様に完全な合成法によって生じることもある。
【0064】
ここで使用する用語“変異体”は、それぞれ基準となるポリヌクレオチド又はポリペプチドから派生した、しかし、本発明の初期の(例えば、非−変異体)のポリヌクレオチド又はポリペプチドの一つあるいはそれ以上の生物学的活性が残っている、ポリヌクレオチドあるいはポリペプチドを意味する。ポリヌクレオチドの典型的な変異体とは、他の参照ヌクレオチドとはヌクレオチド配列が異なる。変異体のヌクレオチド配列の変化は、参照されたポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドのアミノ酸配列を、変えることも変えないこともある。ヌクレオチドの変化は、以下に述べるように、参照された配列によってコードされるポリペプチドにおいて、あるいは融合タンパク質の形成において、アミノ酸の置換、挿入、欠失、切り捨てを生じることがある。
【0065】
一般的に相違は限られ、参照されたポリペプチドの配列と変異体の配列は全長に渡って非常によく似ており、多くの部分において同一である。変異体と参照されたポリペプチドは、一つあるいはそれ以上の置換、挿入、欠失のあらゆるコンビネーションによってアミノ酸配列が異なりうる。置換又は挿入されたアミノ酸残基は、遺伝暗号によってコードされる場合とされない場合がある。この発明は、本発明の各々のポリペプチドの変異体も含む。これは、よく似た特徴を持つ他の残基によって置換されたような、保存的なアミノ酸置換によって対象から派生したポリペプチドも含む。
【0066】
典型的には、このような置換はバリン、ロイシンとイソロイシンの間、セリンとトレオニンの間、酸性残基アスパラギン酸とグルタミン酸の間、塩基性残基リシンとアルギニンの間、芳香残基フェニルアラニンとチロシンの間で生じる。特に1−10、1−5、1−3、2−3あるいは1アミノ酸又は複数のアミノ酸が全ての組合わせで置換、欠失、又は挿入された変異体が好ましい。ポリヌクレオチド又はポリペプチドの変異体は、対立遺伝子変異体のように自然に起こることもあるし、自然に起こることが知られていない変異体であることもある。ポリヌクレオチド又はポリペプチドの自然に起こらない変異体は、突然変異誘発技術、直接的な合成、熟練した技術を要する他の組換え法によって合成できる。
【0067】
ここで使用する用語“フラグメント”は、ポリペプチドを参照して使用される場合、それが由来する本発明のポリペプチドのアミノ酸配列と一部分が全く同じ、しかし全ての部分が同じではないアミノ酸配列を持つポリペプチドのことである。スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)STAAU_R2ポリペプチドの場合、フラグメントは「独立した」(「から成る」)、又はそのフラグメントがその一部あるいは領域を形成するようなより大きなポリペプチドの中に含まれることがあり、多くの場合、一つのより大きなポリペプチド内にある一つの連続した領域として含まれる。
【0068】
核酸に関して“分離”という用語が使用される場合、天然の配列が、その正常な細胞の(例えば、染色体の)環境から取り出された状態、又は非自然環境下で合成された(例えば、人工的に合成された)状態を意味する。従って、その配列は無細胞溶液又は細胞内とは異なる環境下に置かれることがある。この用語は、その配列が唯一のヌクレオチド鎖の存在を意味するわけではないが、自然の状態で結合しているヌクレオチド以外の物質を絶対的に含まない(少なくとも約90−95%純粋な)ことを意味する。従って、この用語は分離された染色体とは区別される。
【0069】
ポリヌクレオチドに関して“濃縮”という用語が使用される場合、特定のDNA又はRNA配列が、正常又は異常細胞あるいはその配列がもともと取られた細胞よりも、関心のある細胞内又は溶液中に存在する総DNA又はRNA量の有意に多い画分(2−5倍)を構成することを意味する。これは、他に存在するDNA又はRNAの量の選択的減少、又は特定のDNA又はRNA配列の選択的増加、あるいはこの二つの方法の組合わせによって、人為的に行うことができる。しかしながら、「濃縮」という用語は他のDNA又はRNA配列が全く存在しないことを意味するのではなく、単に関心のある配列の量が相対的に有意に増加している状態を意味することに注目すべきである。
【0070】
ここで使われる用語“有意に高い画分”とは、濃縮の程度がこのような濃縮を行う者にとって有益であることを示唆し、他の核酸との相対的な濃縮率は少なくとも約2倍、又は5〜10倍あるいはそれ以上増加していることを示唆する。この用語はまた、他の源からのDNA又はRNAが存在しないことを包含しない。例えば、DNAの他の源は、酵母又は細菌ゲノム又はクローニングベクター、例えばpUC19からのDNAを含むことができる。この用語は、天然に存在する現象、例えばウィルス感染、又は1つのmRNAのレベルがmRNAの他の種に対して天然において高められ得る腫瘍型増殖を識別する。すなわち、この用語は、個人が所望する核酸の割合を高めることに介在したそれらの情況のみを包含することを意味する。
【0071】
核酸を参照してここで使用する用語“精製”とは、絶対的な純度(均質な調合のような)を必要とするものではない。代わりに、その配列が自然の環境下よりも相対的により純度の高い(自然な状態と較べて、このレベルは例えばmg/mlの単位で少なくとも2−5倍)状態を意味する。染色体又はcDNAライブラリから分離した個々のクローンは、電気泳動的に均質な状態に精製される。これらのクローンから得られた請求項DNA分子は総DNA又は総RNAから直接的に得られるだろう。
【0072】
cDNAクローンは天然に生じるものではないが、むしろ、一部純化した天然に生じた物質(メッセンジャーRNA)の操作を通じて得られる。mRNAからのcDNAライブラリの構築は、合成物質(cDNA)の作成を含み、純粋な個々のcDNAクローンはcDNAライブラリを持つ細胞のクローン選択により合成ライブラリから分離することが出来る。従って、mRNAからのcDNAライブラリ構築と特定のcDNAクローンの分離を含む過程により、天然細胞内における比率のおよそ10倍の天然のメッセージが精製される。従って、少なくとも1回の、できれば2回又は3回の、さらに望ましくは4回又は5回の精製単位で精製されることが特に期待される。染色体ライブラリも同様に使用可能であり、おおよそ同じレベルの精製物を産生する。
【0073】
上述の核酸に関連して使用される用語“分離”、“濃縮”及び“精製”とは、相対的なポリペプチドの純度や量を表すために同様に使うことがある。これらも同様に、技術的によく知られている生化学的な手法を使って保存され、増やされ、ふるい分けられ、ライブラリから選択される。このようなポリペプチドは天然の、合成による又はキメラ分子であり、例えば免疫沈降法や、他の“タギング”法、通常のクロマトグラフィやあるいは電気泳動法のような様々な方法を使って抽出できる。上述の幾つかは、一致する核酸配列を利用する。
【0074】
ここで使用する用語“相補鎖”とは、特定のポリヌクレオチド配列を参照して使われる場合、ヘテロ二本鎖を形成することのできるヌクレオチド配列を意味し、その中で、そのヌクレオチド配列に含まれる全てのヌクレオチドは、ヘテロ二本鎖における反対側のヌクレオチドと水素結合することによって、その特定のポリヌクレオチド配列と塩基対を形成する。この用語は、他のRNAあるいはDNA配列の相補物質であるDNAあるいはRNA配列を意味することもある。ここで用いられる用語“ハイブリダイズ”とは、二つの核酸分子の間で水素結合したヘテロ二本鎖の形成を意味する。一般的に、特定の核酸分子はその相補鎖とハイブリダイズし、あるいはその特定の分子に対して、二つの分子の間で水素結合したヘテロ二本鎖を形成するのに充分な相補性を持つ分子とハイブリダイズする。
【0075】
ここで使用する用語“プローブ”とは、少なくとも長さ15ヌクレオチド(nt)、20 nt、30 nt、40 nt、50 nt、75 nt、100 nt、200 nt、500 nt、1000 nt、さらに最大5000から10,000 ntのポリヌクレオチドを意味する。
ここで使用されるように、そして技術用語として知られるように“同一性”と“類似性”という用語は二つ又はそれ以上のポリペプチド配列あるいはポリヌクレオチド配列の間の関係を意味し、このような場合、配列を比較することによって決定される。
【0076】
アミノ酸又はヌクレオチド配列の“同一性”や“類似性”は、比較される二つの配列の間の全体的な最適アライメントから決定される。例えば、全体的な最適アライメントの非制限例は、Needleman − Wunschアルゴリズム(Needleman and Wunsch, 1970, J. Mol. Biol. 48:443−453)を用いて得られる。“同一性”とは、一番目のポリペプチド又はポリヌクレオチド内の特定の場所で、アミノ酸又はヌクレオチドが、一番目のポリペプチド又はポリヌクレオチドとの全体的な最適アライメントにおける二番目のポリペプチド又はポリヌクレオチドの一致するアミノ酸又はヌクレオチドと、全く同じであることを意味する。同一性とは反対に、“類似性”は保存的に置換されたアミノ酸を含む意味がある。
【0077】
用語“保存性”置換は、当業界において良く知られており、そして広範には、置換されるアミノ酸の化学−物理学的性質を有意に変更しない置換を言及する。例えば、用語“保存的な”置換とはblosum62 置換マトリックス(Hentikoff and Hentikoff, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 10915−10919)において陽性スコアを示す全ての置換のことである。“配列Aは配列Bにn%同一である”という記述は、配列AとBの間の全体的な最適アライメントのうちn%の部分が同一の残基又はヌクレオチドから成ると言うことを意味する。本発明の開示における全体的な最適アライメントには、Needleman−Wunschアライメント・アルゴリズムにおける以下のパラメーターを用いた。
【0078】
ポリペプチドについては:
置換マトリックス:blosum62
ギャップ・スコアリング・ファンクション:−A −B*LG、A=11(ギャップ・ペナルティ)、B=1(ギャップ・レングス・ペナルティ)、LGはギャップの長さ
ヌクレオチド配列については:
置換マトリックス:10は一致、0は不一致
ギャップ・スコアリング・ファンクション:−A −B*LG、A=50(ギャップ・ペナルティ)、B=3(ギャップ・レングス・ペナルティ)、LGはギャップの長さ。
【0079】
配列間での用語“同一性”及び“類似性”とは、それらのフラグメントまで拡張され得る。配列AとBとの間の最適な局部アライメントは、A及びBのフラグメントの最高の評点アライメントである。表現“配列AはBに対して局部的にn%類似する”とは、配列AとBとの間の最適局部アライメントの位置のn%が同一の残基又はヌクレオチドから成ることを意味する。最適局部アライメントの非制限例は、Smith−Waterman Algorithm (Smith, T. F. and Waterman, M.S. 1981, Identification of common molecular subsequences. J. of M. Biol. 147:195−197を用いて行われ得る。
【0080】
もちろん、上記に列挙されるパラメーターは、アライメントアルゴリズムパラメーターの1つの特定の例である。多くのアルゴリズム及びパラメーターが利用でき、そして当業者に知られている。
典型的な保存的置換は、メチオニン、バリン、ロイシンとイソロイシンの間、セリンとトレオニンの間、残基アスパラギン酸、グルタミン酸とアスパラギンの間、残基グルタミン、リシンとアルギニンの間、芳香残基フェニルアラニンとチロシンの間で生じる。二つのポリペプチド配列間の類似性の程度(通常はパーセンテイジ)を計算する場合、その度合いは、二つの分子の全長に渡って、二つのポリペプチド配列において対応するアミノ酸残基の間にみられる同一性及び類似性を示す残基の数とみなされる。
【0081】
ここで使用する用語“抗体”とは、抗体の結合(可変)領域や、他の抗体修飾を利用した構造物を含む意味を持つ。従って、本発明で有用な抗体は、完全な抗体、抗体フラグメント、多機能性抗体複合体、又は一般的には抗体由来の一つあるいはそれ以上の特異的結合サイトから成る分子を含みうる。抗体フラグメントは、例えば単鎖可変領域抗体フラグメント(Fv)のような可変領域抗体フラグメント(Fv)、抗原結合フラグメント(Fab)やF(ab’)フラグメントあるいはその誘導体を含むことがある。
【0082】
この抗体又は抗体フラグメントは、非組換え型、組換え型又はヒト型化されたものであることがある。この抗体は、例えばIgG、IgMなどの免疫グロブリン・アイソタイプから構成されることもある。加えて、免疫グロブリンの集合体、重合体、誘導体や共役複合体、あるいはそのフラグメントが、それぞれ適切な場合に使用可能である。本発明によれば、中和抗体は診断、治療、薬剤スクリーニングの方法やドラッグ・デザインに対してとりわけ有用である。
【0083】
ここで使用する用語“スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)STAAU_R2ポリペプチドに存在するエピトープに特異的な”とは、抗体を参照して使用される場合、その抗体は、本発明によるスタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)STAAU_R2ポリペプチドに存在する抗原決定基を認識し、結合することを意味する。
【0084】
ここで使用する用語“抗原的に同等な誘導体”とは、ある種の抗体によって特異的に認識されるようなポリペプチド、ポリヌクレオチド、又はそのどちらかに同等なものを含む意味を持つ。このある種の抗体とは、本発明に基づくタンパク質、ポリペプチド又はポリヌクレオチドに対して作成された場合、病原体と哺乳類宿主との間の早急な物理的相互作用に干渉する抗体である。
【0085】
ここで使用する用語“必須”とは、遺伝子や遺伝子産物と関連づけて使用される場合、機能的産物の無い状態又は枯渇状態において、この遺伝子を持つ宿主がそれ無しでは生存できない、又は有意に増殖が阻害されることを意味する。“必須遺伝子”とは、問題となる特定の遺伝子と一致する野生型対立遺伝子を持つ株の増殖に適切な培養液を用いた試験管内における細胞増殖に対して、有益な、又はむしろ必要不可欠な産物をコードするような遺伝子を意味する。従って、必須遺伝子が不活性化又は阻害されると、その細胞は野生型株に較べて有意にゆっくりと増殖し、又は全く増殖しなくなることが予想される。
【0086】
このような遺伝子が不活性化された株の増殖は、増殖培養液中で、野生型の増殖率のできれば20%以下、さらにできれば10%、なるべくなら5%以下、又は全くゼロになることが期待される。少なくとも正常な生体内における増殖環境に近い培養条件において、その遺伝子産物の活性が無い状態では、その細胞は全く増殖しないか、又は生存不可能であることが期待される。例えば、細菌性細胞壁の合成に関与するある酵素の生物学的な活性の欠如は、たとえ浸透圧が調節された条件下でプロトプラストが生き続けるとしても、正常な浸透圧条件下において細胞の溶解を引き起こすことが可能である。
【0087】
例えば抗菌剤又はファージ産物によってこのような遺伝子が阻害された場合、阻害された細菌の増殖率が阻害されていない細菌の増殖率と較べて、必ずではないができれば50%、さらにできれば30%、さらにできれば20%、最も望ましくは10%以下になることが期待される。このような熟練した技術によって解るように、増殖阻害の程度は一般的に阻害物質の濃度に依存する。本発明の文脈においては、必須遺伝子とは一般的に抗菌剤の格好な標的になる。必須遺伝子は“標的”分子を直接コードしたり、又は標的分子の産生、修飾あるいは維持に関与する産物をコードすることがある。
【0088】
ここで使用する用語“標的物”とは、内因性物質又は化合物が作用しうる生体分子、又は生体分子複合体を意味し、結果的に細菌細胞の増殖又は生存能を調節、むしろ阻害する。標的物は、核酸配列又は分子、又はポリペプチド又はポリペプチドの領域であり得る。
【0089】
本明細書において使用される場合、44AHJD ORF25, Twort ORF168又はG1 ORF 240又はそのフラグメント、又は同様のものに対する、配列番号2のアミノ酸配列又はそのフラグメントを含んで成るS.アウレウスポリペプチドの相互作用により生成される用語“シグナル”とは、配列番号2のアミノ酸配列又はそのフラグメント、及び44AHJD ORF25, Twort ORF168又はG1 ORF240又はそのフラグメントを含んで成るポリペプチドの測定できるインジケーター、すなわち結合アッセイにおける相互作用を言及する。
【0090】
本明細書において使用される場合、“配列番号2のアミノ酸配列又はそのフラグメントを含んで成るS.アウレウスポリペプチドの活性化又は阻害により生成される用語シグナル”とは、配列番号2のアミノ酸配列又はそのフラグメントを含んで成るポリペプチドの測定できるインジケーター、すなわちSTAAU_R2活性のアッセイにおける活性を言及する。例えば、シグナルは、(i)44AHJD ORF25, Twort ORF168又はG1 ORF240のSTAAU_R2ポリペプチドへの結合に起因するシグナル、例えば蛍光シグナル(蛍光共鳴エネルギートランスファーアッセイ;蛍光偏光アッセイ)、比色シグナルの分光光度吸収測定(ファージ・ディスプレーELISA)、質量変化測定(表層プラスモン共鳴分析)又は選択培地上での生存生測定(酵母2−ハイブリッド分析);又は(ii)放射性ラベルされたシグナルの低下(DNA合成分析)を包含するが、但しそれらだけには限定されない。
【0091】
ここで使用する用語「基準」とは、ポリペプチドの活性に対して使用される場合、候補化合物の無い状態で行ったある特定の検査において(直接又は間接的に)観察又は検出される活性化の値を意味する。「基準」は、候補体化合物のポリペプチドの活性に対する、陽性又は陰性の効果を決定する標準値としての役割を果たす。
【0092】
ここで使用する用語「活性の増加」とは、ある特定の試験において、候補体化合物が無い場合の測定可能な活性レベルに較べて、候補体化合物が存在する場合にポリペプチドの測定可能な活性レベルが上昇していることを意味する。本発明によれば、候補体化合物の無い状態に較べて、少なくとも10%増し、20%増し、50%増し、75%増し、100%増しあるいはそれ以上、2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍あるいはそれ以上の活性があった場合に、活性が増加したとみなされる。
【0093】
ここで使用する用語「活性の減少」とは、ある特定の試験において、候補体化合物が無い場合の測定可能な活性レベルに較べて、候補体化合物が存在する場合にポリペプチドの測定可能な活性レベルが減少していることを意味する。本発明によれば、候補体化合物の無い状態に較べて、少なくとも10%の減少、できれば15%の減少、20%の減少、50%の減少、75%の減少あるいはまさに100%の減少(例えば、活性無し)があった場合に、活性が減少したとみなされる。
【0094】
ここで使用する用語「相互作用が可能な条件」とは、配列番号2のアミノ酸配列又はそのフラグメントを含んで成るスタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)ポリペプチドと候補体化合物に対して使用される場合、この二つの構成要素が両方とも溶液中にあろうと、又は片方がなんらかの方法で固定化又は限局化され、もう一方が溶液中に存在する状態であろうと混合された場合、その溶液のパラメータ(例えば、塩、デタージェント(界面活性剤)、タンパク質又は候補体化合物濃度、温度や酸化還元電位、その他の要素)が配列番号2のアミノ酸配列又はそのフラグメントを含んで成るスタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)ポリペプチドと候補体化合物が物理的に結合できるような条件であることを意味する。タンパク質と候補体化合物の相互作用が可能な条件とは、例えば、FRET、蛍光偏光、表面プラスモン共鳴法、及びファージ・ディスプレイ法についてここに述べられた条件を含む。
【0095】
ここで使用する用語“STAAU_R2”の測定可能なパラメーターの検出可能な変化”とは、スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)STAAU_R2ポリペプチドの定量可能な特徴の変化を意味する。
ここで使用する用語“作用物質”とは、スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus) STAAU_R2ポリペプチド又はポリヌクレオチドの活性を強化したり増加させるような物質又は化合物を意味する。作用物質は、直接スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)STAAU_R2ポリペプチド又はポリヌクレオチドに対して作用するか、あるいは、スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)STAAU_R2ポリペプチド又はポリヌクレオチドの活性を強化したり増加を誘導するような経路の一つ又はそれ以上の構成要素に作用しうる。
【0096】
ここで使用する用語「拮抗物質」とは、スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)STAAU_R2ポリペプチド又はポリヌクレオチドの活性を小さくしたり減少させるような物質又は化合物を意味する。拮抗物質は直接スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)STAAU_R2ポリペプチド又はポリヌクレオチドに対して作用するか、あるいは、スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus) STAAU_R2ポリペプチド又はポリヌクレオチドの活性を小さくしたり減少させるような経路の一つ又はそれ以上の構成要素に作用しうる。
【0097】
ここで使用する用語“抗菌性物質”又は“抗菌性化合物”とは、一つあるいはそれ以上の細菌株に対して殺菌性又は静菌性効果を示す物質又は化合物を意味し、むしろこのような物質又は化合物は少なくともスタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)に対して殺菌性又は静菌性を示す。
ここで使用する用語「合成」とは、化学的に化合物を合成する過程を意味する。
【0098】
細菌感染の治療という文脈で使用される用語“治療に有効な量”、“薬剤的に有効な量”又は“治療効果を現すのに十分な量”とは、治療効果を示す抗菌性物質の量を意味する。これは一般的に、ある程度まで、引き続く細菌感染に必要な細菌性細胞の正常な細胞機能を阻害することを意味する。さらに、ここで使用されるように治療に有効な量とは、臨床試験や又は動物モデルによって判断された場合に望ましい治療効果をもたらすような抗菌性物質の量を意味する。この量はある成熟した技術によって容易に決定することが可能であり、関与する特定の細菌株や使用される特定の物質のような幾つかの因子に依存して変化する。同じ文脈において、細菌の組織又は組織表面への「接着を減らすために充分な量」とは、特定の組織又は組織表面の細菌感染の拡大を予防する、又は減じるような効果を示す抗菌性物質の量を意味する。
【0099】
細菌感染の処理の状況に使用される場合、“存在する抗微生物剤と組合して”の本発明の抗微生物剤の接触又は投与は、活性化合物又は抗生物質の個々の殺細菌又は増殖阻害効果以外に殺細菌又は増殖阻害効果を提供するために、抗生物質と活性化合物との同時接触又は投与を言及する。存在する抗生物質とは、例えば、ペニシリン、セファロスポリン、イミペネム、モノバクタム、アミノグリコシド、テトラサイクリン、スルホンアミド、トリメトプリム/スルホンアミド、フルオロキノロン、マクロリド、バンコマイシン、ポリミキシン、クロラムフェニコール及びリコサミドから成る群を言及する。
【0100】
ここで使用する用語“組織”とは、一つ又はそれ以上のタイプの細胞の集合体を意味し、それらは総合して生体内で一つのあるいはそれ以上の特異的な機能を果たす。ここで使用される“組織表面”とは、特定の組織と他の組織、又は組織周囲との間で境界を形成するような組織の一部分を意味する。組織表面は動物の外表面、例えば皮膚又は角膜を意味することもあるし、あるいは内表面、例えば腸の内面又は創傷や外科手術によって動物周囲の外側に露出した表面を意味することもある。
【0101】
ここで使用する用語“候補体化合物の結合の測定”とは、スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus) STAAU_R2ポリペプチド、そのフラグメント又は変異体と物理的に結合した化合物の量を定量的に評価できるような検査法の利用を意味する。
“候補体化合物”とは、本明細書において使用される場合、S.アウレウスSTAAU_R2ポリペプチドの発現又は活性を調節する能力を有するいずれかの化合物である。
【0102】
ここで使用する用語“直接的又は間接的に検出可能な標識”とは、化合物を直接的に検出可能にする(例えば、アイソトープ又はフルオロフォア(蛍光標識試薬))又は間接的に検出可能にする(例えば、適切な基質の存在下で検出可能な酵素活性、又は抗体あるいは他の特定の指示薬を加えることによって検出可能な特異抗原やその他の標識)ような分子の、候補体化合物への付加を意味する。
【0103】
“スクリーニング方法”とは、1又は少数の化合物よりもむしろ、多数の化合物の適切な活性又は性質を評価するための方法を言及する。例えば、スクリーニング方法は、便利には、少なくとも100、より好ましくは少なくとも1000、さらにより好ましくは少なくとも10,000及び最も好ましくは少なくとも100,000、又はそれ以上の種類の化合物を試験するために使用され得る。特定の態様においては、前記方法は、先導的な開発のための化合物のライブラリーに対する、自動化された、費用効率の良い高処理能力のスクリーニングに従う。
【0104】
関連する観点又は好ましい態様においては、本発明は、多くの化合物、好ましくは多くの小分子のいずれかがSTAAU_R2に対して活性であるかどうかを決定することによって、可能性ある抗微生物剤についてのスクリーニング方法を提供する。好ましい態様は、上記観点について記載される態様、例えば1又は複数の試験化合物が細菌標的物に結合するか又はその標的物の活性のレベルを低めるかどうかを決定することを包含する態様、及び上記に記載されるような多くの異なった標的物を使用する態様を包含する。
【0105】
用語“化合物”とは好ましくは、本発明のポリヌクレオチド及び/又はポリペプチド、例えば阻害ORF遺伝子生成物又はその標的物に結合し、そしてそれにより、その活性又は発現を阻害し、消滅し、又は増強する、小さな有機分子、ペプチド、ポリペプチド及び抗体を包含するが、但しそれらだけには限定されない。有能な化合物は、結合分子、例えばバクテリオファージ遺伝子生成物上の同じ部位を結合し、それにより、バクテリオファージ遺伝子生成物のSTAAU_R2ポリペプチドへの結合を妨げる、小さな有機分子、ペプチド、ポリペプチド、例えば密接に関連するタンパク質又は抗体であり得る。
【0106】
用語“化合物”は、ポリペプチドの結合部位に結合し、そしてそれを占有し、それにより、正常な生物学的活性が妨げられるよう、細胞結合分子への結合を妨げる小分子をたぶん包含する。小分子の例は、小さな有機分子、ペプチド又はペプチド様分子を包含するが、但しそれらだけには限定されない。好ましい可能性ある化合物は、バクテリオファージによりコードされる阻害ORF、及びSTAAU_R2の変異体、及びそのいずれかの相同体及び/又はペプチド類似体及び/又はフラグメントに関連する化合物を包含する。
【0107】
可能性あるポリペプチド拮抗物質の他の例は、抗体、又はある場合、ポリペプチドの場合のように、リガンド、基質、受容体、酵素、等に対して密接に関連するオリゴヌクレオチド又はタンパク質、例えばリガンド、基質、受容体、酵素、等のフラグメント;又は本発明のポリペプチドに結合するが、しかしポリペプチドの活性が妨げられるよう、応答を誘発しない小分子を包含する。他の可能性ある化合物は、アンチセンス分子を包含する(Okano, 1991, J. Neurochem, 56, 560; “Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression”, CRC Press, Baca Raton, FL (1988) を、それらの分子の記載について参照のこと)。
【0108】
本明細書において使用される場合、用語“ライブラリー”とは、100種の化合物、好ましくは1000、さらにより好ましくは5000、さらにより好ましくは10,000又はそれ以上、及び最も好ましくは50,000又はそれ以上の化合物の収集を言及する。
ここで使用する用語“小分子”とは、3000Da以下、望ましくは2000又は1500、さらに望ましくは1000、最も望ましくは600Da以下の分子量の化合物を意味する。必須ではないができれば、小分子はオリゴペプチドでは無いことが望ましい。
【0109】
ここで使用する用語“類似物質”とは、天然、合成又はキメラ分子である化合物を意味し、この化合物は構造的、機能的に参照化合物に関連する。本発明における用語“ペプチド類似物質”とは、例えば、その活性に関連したペプチド又はポリペプチドの三次元的構造の特徴を類似するようなペプチドではない化合物、例えばファージや細菌のORFにコードされたポリペプチドのペプチド又は活性部位の構造と類似した化合物のことである。
【0110】
ここで使用する用語“バクテリオファージ性阻害タンパク質”とは、バクテリオファージの核酸配列にコードされるタンパク質を意味し、このタンパク質は宿主細菌内で細菌性機能を阻害する。従って、これは細菌阻害性ファージ産物である。用語“バクテリオファージ性阻害タンパク質”は、バクテリオファージ性阻害タンパク質のフラグメント、誘導体、又は活性部位を含む。
【0111】
本発明の上記アッセイ方法の1つよりも多くの態様においては、タンパク質又はポリペプチドの1つ又は両者の複雑でない形からの複雑な形の分離を促進し、そしてアッセイの自動化を適合するために、STAAU_R2又はその標的分子又はリガンドのいずれかを固定することが所望される。候補体化合物の存在及び不在下でSTAAU_R2タンパク質への試験化合物の結合、又は標的分子又はリガンドとのSTAAU_R2タンパク質の相互作用は、反応体を含むために適切ないずれかの容器において達成され得る。そのような容器の例は、マイクロタイタープレート、試験管及び微小遠心分離管を包含する。1つの態様においては、1又は両者のタンパク質のマトリックスへの結合を可能にするドメインを付加する融合タンパク質が供給される。
【0112】
例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/STAAU_R2融合タンパク質又はグルタチオン−S−トランスフェラーゼ/標的物融合タンパク質(例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/Twort ORF168)が、グルタチオンセファロースビーズ(Sigma Chemical, ST. Louis, MO)又はグルタチオン由来のマイクロタイタープレート上に吸着され、次に、試験化合物、又は試験化合物及び非吸着の標的タンパク質又はSTAAU_R2タンパク質のいずれかと共に組合され、そしてその混合物が複合体形成の助けとなる条件下で(例えば、塩及びpHのための生理学的条件下で)、インキュベートされる。インキュベートに続いて、ビーズ又はマイクロタイタープレートウェルが洗浄され、末結合の成分が除去され、ビーズの場合、マトリックスが固定され、複合体が、例えば上記のようにして、直接的に又は間接的に決定される。他方では、複合体はマトリックスから解離され、そしてSTAAU_R2結合又は活性のレベルが、標準技法を用いて決定される。
【0113】
マトリックス上にタンパク質を固定するための他の技法(当業界において良く知られている)はまた、本発明のスクリーニングアッセイに使用され得る。例えば、STAAU_R2タンパク質、又はSTAAU_R2標的分子又はリガンドのいずれかが、ビオチン及びストレプタビジンの接合を用いて固定され得る。ビオチニル化されたSTAAU_R2タンパク質、又は標的分子又はリガンドは、当業界において知られている技法(例えば、ビオチニル化キット、Pierce Chemicals, Rockford, IL)を用いて、ビオチン−NHS(N−ヒドロキシ−スクシンイミド)から調製され、そしてストレプタビジン−被覆された96ウェルプレート(Pierce Chemicals)のウェルに固定される。
【0114】
他方では、CI−MPRタンパク質、標的分子又はリガンドと反応性であるが、しかしSTAAU_R2タンパク質のその標的分子又はリガンドへの結合を妨げない抗体が、プレートのウェルに誘導体化され、そして末結合の標的物又はSTAAU_R2タンパク質が、抗体接合によりウェルにおいて閉じ込められる。GST−固定された複合体について上記記載される方法の他に、そのような複合体を検出するための方法は、STAAU_R2タンパク質又は標的分子と反応性の抗体を用いて複合体の免疫検出、及びSTAAU_R2タンパク質又は標的分子と、及び特に、Twort ORF168, 44AHJD ORF25及びG1 ORF240と関連する酵素活性の検出に依存する酵素−連結のアッセイを包含する。
【0115】
ここで使用する用語“活性部位”とは、細菌性標的の阻害の要因となる、又は重要な因子となるバクテリオファージ性阻害タンパク質の抗原決定基、酵素あるいは調節ドメイン、又はフラグメントを意味する。活性部位は隣接する配列から切り離すことが可能で、分離した状態でも阻害に効果があることが期待される。
ここで使用する用語“細菌感染の治療”とは、できれば哺乳動物、さらに望ましくはヒトのような宿主において、細菌の増殖や又は代謝活性、あるいは細菌の個体数を阻害又は除去するような処置を意味する。
【0116】
ここで使用する用語“細菌株”とは、単一の細菌の株を意味し、はっきりと異なる意味が示されない限り、その細菌株の一個の細胞及び複数の又は細胞群を含む。細菌又はバクテリオファージを参照した場合、用語「株」とは、特定の遺伝的要素を持つ細菌又はファージを意味する。遺伝的要素は、組換えベクターのような遺伝的要素を含む。従って、例えば、二つのさもなくば同一の細菌性細胞がそれぞれ異なる挿入部位を持つベクター(例えばプラスミド)を含むような場合、異なる株であることを意味する。
【0117】
ここで使用する用語“診断”とは、細菌感染の原因となる微生物又は微生物株の同定を意味する。
ここで使用する用語“スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcu aureus)の感染”とは、哺乳動物、望ましくヒトのインビボ又は表面におけるスタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)株細胞の存在、発育又は増殖を意味する。
【0118】
ここで使用する用語”バクテリオファージ44AHJD ORF25にコードされるポリペプチド“とは、配列番号3によってコードされるポリペプチド、又はそのフラグメントあるいは誘導体を意味し、これは配列番号4に開示した配列のバクテリオファージ44AHJD ORF25コードされたポリペプチドの活性部位を含む。
ここで使用する用語”バクテリオファージTwort ORF168にコードされるポリペプチド“とは、配列番号5によってコードされるポリペプチド、又はそのフラグメントあるいは誘導体を意味し、これは配列番号5に開示した配列のバクテリオファージTwort ORF168コードされたポリペプチドの活性部位を含む。
【0119】
ここで使用する用語”バクテリオファージG1 ORF240にコードされるポリペプチド“とは、配列番号9によってコードされるポリペプチド、又はそのフラグメントあるいは誘導体を意味し、これは配列番号10に開示した配列のバクテリオファージG1 ORF240コードされたポリペプチドの活性部位を含む。
ここで使用する用語“ポリペプチド複合体”とは、二つ又はそれ以上のポリペプチドが互いに物理的に会合したまとまりを意味する。このような物理的な会合は、むしろ、このようなポリペプチド複合体において一つ又はそれ以上のポリペプチドが示す活性の幾つかの側面に必要とされることが期待される。
ここで使用する用語“物理的な会合”とは、二つの成分の間での接触を含む二つの成分間の相互作用を意味する。
【0120】
ここで使用する用語“生体試料”とは、個体から得られた試料、又は微生物が感染、侵襲している又は保菌個体から得られた試料を意味する。これは細胞、組織や排出物、例えば骨、血液、血清、脳脊髄液、精液、唾液、筋肉、軟骨、器官組織、皮膚、尿、便又は剖検試料を含むが、これに限るものではない。
ここで使用する用語“疾病”とは、細菌株によって引き起こされる、又は感染に関連する全ての疾病を意味し、これは例えば、中耳炎、結膜炎、肺炎、菌血症、髄(脳)膜炎、副鼻腔炎、胸腔蓄膿及び心内膜炎、そして例えば脳脊髄の感染のような最も典型的な髄(脳)膜炎が含まれる。
【0121】
ここで使用する用語“融合タンパク質”とは、読み枠にあわせて融合した二つ又はそれ以上の個々のタンパク質由来のアミノ酸コーディング配列から成る遺伝子によってコードされるタンパク質を意味する。このようなタンパク質は個々のタンパク質由来の融合アミノ酸配列を備えている。
ここで使用する用語“宿主細胞”とは、形質転換又は形質導入された細胞であり、あるいは外因性ポリヌクレオチド配列により、形質転換又は形質導入の可能な細胞である。
【0122】
ここで使用する用語“免疫学的に同等な誘導体”とは、脊椎動物において抗体を産生するために適切な処置として使用された場合、結果的に抗体が病原体と哺乳動物宿主の間における迅速な物理的相互作用に干渉するように働くような、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、又はそのどちらかに同等な物質を含む。
ここで使用する用語“免疫特異的”とは、本発明のポリペプチド又はポリヌクレオチドに対して、各々他の関連したポリペプチド又はポリヌクレオチド、特に先行技術におけるこれらのポリペプチド及びポリヌクレオチドに対する親和性に較べて、充分により卓越した親和性を有するという抗体の特徴を意味する。
ここで使用する用語“個体”とは、多細胞性真核生物を意味し、後生動物、哺乳動物、ヒツジ科動物、ウシ科動物、類人猿、霊長類及びヒトを含むがこれに限るものではない。
【0123】
ここで使用する用語“生物”とは、(i)原核生物、これは以下のものを含むがこれに限るものではない;ストレプトコッカス属(Streptococcus)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、ボルデテラ属(Bordetella)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、ミコバクテリウム属(Mycobacterium)、ナイセリア属( Neisseria)、ヘモフィルス属(Haemophilus)、アクチノマイセス(Actinomycetes)、ストレプトマイセス(Streptomycetes)、ノカルジア属(Nocardia)、エンテロバクター属(Enterobacter)、エルシニア属(Yersinia)、ファンシゼラ属(Fancisella)、パスツレラ属(Pasturella)、モラクセラ属(Moraxella)、アシネトバクター属(Acinetobacter)、エリジペロスリックス属(Erysipelothrix)、ブランハメラ属(Branhamella)、
【0124】
アクチノバチルス属(Actinobacillus)、ストレプトバチルス属(Streptobacillus)、リステリア属(Listeria)、カリマトバクテリウム属(Calymmatobacterium)、ブルセラ属(Brucella)、バチルス属(Bacillus)、クロストリジウム属(Clostridium)、トレポネーマ属(Treponema)、エシェリチア属(Escherichia)、サルモネラ属(Salmonella)、クレブシエラ属(Klebsiella)、ビブリオ属(Vibrio)、プロテウス属(Proteus)、エルウィニア属(Erwinia)、ボレリア属(Borrelia)、レプトスピラ属(Leptospira)、スピリルム属(Spirillum)、カンピロバクター属(Campylobacter)、シゲラ属(Shigella)、レジオネラ属(Legionella)、シュードモナス属(Pseudomonas)、アエロモナス属(Aeromonas)、リケッチア属(Rickettsia)、クラミジア属(Chlamydia)、マイコプラズマ属(Mycoplasma)に属するもの、及びさらに以下を含むがこれに限られるものではない;
【0125】
以下の種又は属に属するもの、A群ストレプトコッカス(Group A Streptococcus)、B群ストレプトコッカス(Group B Streptococcus)、C群ストレプトコッカス(Group C Streptococcus)、D群ストレプトコッカス(Group D Streptococcus)、G群ストレプトコッカス(Group G Streptococcus)、ストレプトコッカス・ニューモニア(Streptococcus pneumoniae)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)、ストレプトコッカス・フィカリス(Streptococcus faecalis)、ストレプトコッカス・フェシウム(Streptococcus faecium)、ストレプトコッカス・デュランス(Streptococcus durans)、ナイセリア・ガノーリア(Neisseria gonorrheae)、ナイセリア・メネンジャイティス(Neisseria meningitidis)、
【0126】
スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcu aureus)、スタフィロコッカス・エピダーミディス(Staphylococcus epidermidis)、コリネバクテリウム・ジフテリア(Corynebacterium diptheriae)、ガードネラ・ヴァジナリス(Gardnerella vaginalis)、ミコバクテリウムツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)、ミコバクテリウム・ボビス(Mycobacterium bovis)、ミコバクテリウム・ウルセランス(Mycobacterium ulcerans)、ミコバクテリウム・レプラ(Mycobacterium leprae)、アクチノマイセス・イスラエリ(Actinomyctes israelii)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、ボルデテラ・ペルチュシス(Bordetella pertusis)、ボルデテラ・パラペルチュイス(Bordatella parapertusis)、ボルデテラ・ブロンキセプティカ(Bordetella bronchiseptica)、
【0127】
エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、シゲラ・ディゼンテリエ(Shigella dysenteriae)、ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)、ヘモフィルス・エジプチウス(Haemophilus aegyptius)、ヘモフィルス・パラインフルエンザ(Haemophilus parainfluenzae)、ヘモフィルス・ドゥクレイ(Haemophilus ducreyi)、ボルデテラ(Bordetella)、サルモネラ・チフィ(Salmonella typhi)、シトロバクター・フロンディ(Citrobacter freundii)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)、エルシニア・ペスティス(Yersinia pestis)、クレブシエラ・ニューモニア(Klebsiella pneumoniae)、セラチア・マルセセン(Serratia marcessens)、
【0128】
セラチア・リケファシアン(Serratia liquefaciens)、ビブリオ・コレラ(Vibrio cholera)、シゲラ・ダイセンテリ(Shigella dysenterii)、シゲラ・フレクスネリ(Shigella flexneri)、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、フランシゼラ・ツラレンシス(Franscisella tularensis)、ブルセラ・アボーティス(Brucella abortis)、バチルス・アンソラシス(Bacillus anthracis)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、クロストリジウム・パーフリンゲンス(Clostridium perfringens)、クロストリジウム・テタニ(Clostridium tetani)、クロストリジウム・ボツリヌム(Clostridium botulinum)、トレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum)、リケッチア・リケッチ(Rickettsia rickettsii)及び クラミジア・トラコマイティス(Chlamydia trachomitis)、
【0129】
(ii) アーキバクター(Archaebacter)を含むがこれに限らない古細菌(archaeon)及び(iii) プロトゾア(protozoan)、真菌(fungus)、及びサッカロミセス属(Saccharomyces)、クルベロミセス属(Kluveromyces)又はカンジダ属(Candida)の一員、及びサッカロミセス・セリビシア(Saccharomyces ceriviseae)、クルベロミセス・ラクティス(Kluveromyces lactis)又はカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)を含むがこれに限らない単細胞性又は繊維状真核生物。
【0130】
ここで使用する用語“組換え発現システム”とは、本発明のポリペプチド及びポリヌクレオチドを産生するために、本発明のポリペプチド又はその一部をコードする配列を含む、あるいは本発明のポリヌクレオチドを含むベクターを、宿主細胞あるいは宿主細胞溶解液に形質転換又は導入するシステムを意味する。
ここで使用する用語“人工合成”とは、ペプチド、ポリペプチド又はポリペプチドを参照して使用される場合、細胞又は重合酵素を使用しないで、アミノ酸又はヌクレオチドのサブユニットを化学的に結合することを意味する。ポリヌクレオチド及びペプチド合成の化学反応は、技術的よく知られている。
【0131】
アミノ酸を表す標準的な1文字及び3文字の略号に加えて、用語“X”又は“Xaa”が本発明の特定のポリペプチドについての記載中に使用されることがある。“X”及び“Xaa”とは、天然に生じる20アミノ酸の全てが、ポリペプチド配列中のこのように指定された位置に置換しうることを意味する。
【0132】
二つのポリペプチドの相互作用という文脈において、ここで使用する用語“特異的な結合”とは、二つのポリペプチドがポリペプチド上の個々の領域又はドメインを介して物理的に相互作用することを意味し、その相互作用は相互作用するドメインのアミノ酸配列に依存する。一般的に、もう一方に特異的に結合するポリペプチドの平衡結合濃度は、約1μM 又はそれ以下、望ましくは100 nM 又はそれ以下、10 nM 又はそれ以下、1 nM 又はそれ以下、100 pM 又はそれ以下、ちょうど10 pM 又はそれ以下の範囲にある。
【0133】
ここで使用する用語“結合の減少”とは、ある設定条件における二つのポリペプチド間の物理的な会合によって生じるシグナルが、他の基準となる設定条件におけるシグナルに較べて減少していることを意味する。もしシグナルが減少した場合、シグナルは基準となる設定条件におけるレベルよりも少なくとも10%低く、望ましくは20%、40%、50%、75%、90%、95%あるいはちょうど100%(例えば検出不可能な相互作用)低くなる。
【0134】
ここで使用する用語“検出可能なマーカー”とは、イースト・ツー・ハイブリッド法の文脈で使用される場合、あるポリペプチドを意味し、これはそのポリペプチドを発現している細胞に、その発現ポリペプチドの存在又は量を表すシグナルを示す特徴を付与するようなポリペプチドのことである。検出可能な標識は、エピソームとして存在することがあり、又は宿主細胞の染色体に組込むことができるプラスミド上にコードされる。
【0135】
検出可能な標識は、比色分析又は蛍光検出が出来るような酵素をコードするポリペプチド(例えば、大腸菌(E. coli)LacZ、これは基質類縁物質X−galを青色を示すように変換する触媒作用を持つ)、抗生物質耐性を付与するような酵素をコードするポリペプチド、及びある特定の成分を欠く培養液上で酵母が発育できるような能力を付与する(すなわち、栄養欲求性の解除に決定的な)酵素をコードするポリペプチドを含むが、これに限るわけではない。
【0136】
ここで使用する用語“結果的な検出可能な標識の発現”とは、検出可能な標識の発現に必要な因子の相互作用(例えば、ツー・ハイブリッド転写促進ドメイン及びDNA結合ドメイン融合タンパク質)が転写促進を引き起こし、検出可能な標識の検出可能なレベルの転写を促すことを意味する。「検出可能なレベル」とは、一つ又はそれ以上の因子が実質的に存在しない状態で生じるバックグラウンドの発現と、標識の発現に必要な条件における発現レベルが区別しうるという意味である。検出可能なレベルは、検出可能な標識の性質に依存して様々であるが、一般的にその標識のバックグラウンドレベルより、少なくとも約10%又はそれ以上のレベルになる。
【0137】
ここで使用する用語“発現の減少”とは、他の基準となる設定条件における発現に較べて、ある設定条件において検出可能な標識の発現が減少することを意味する。もし検出可能な標識の発現が減少した場合、発現は基準となる設定条件におけるレベルよりも少なくとも10%低く、望ましくは20%、40%、50%、75%、90%、95%あるいはちょうど100%(例えば、発現しない)低くなる。
【0138】
.アウレウス STAAU_R2 配列の同定
STAAU_R2ポリペプチドを同定するために使用される方法は、1998年12月3日に出願されたアメリカ仮特許出願60/110,992号及び1999年12月3日に出願されたpCT国際出願WO1999/IB99/02040号に詳細に記載されている。
【0139】
細菌増殖阻害性44AHJD ORF25, Twort ORF168又はG1 ORF240タンパク質を特異的に結合するS.アウレウスポリペプチドが単離された。手短には、3種の阻害ORFタンパク質が、S.アウレウスタンパク質抽出物による親和性クロマトグラフー結合段階においてリガンドとして別々に使用された。STAAU_R2として本明細書において言及される、選択されたS.アウレウス相互作用ポリペプチドが、トリプシン消化、及びMALDI−ToF技法を用いての質量分光計により精製され、そしてさらに分析される(Qin, J., など. (1997) Anal. Chemi. 69, 3995−4001)。得られる質量スペクトルのコンピューター分析は、S.アウレウスDNAポリメラーゼIII、βサブユニットとしてその対応するORFを同定した。Twort ORF168とSTAAU_R2との間の相互作用は、イースト・ツー・ハイブリッドアッセイにおいて確かめられた。44AHJD ORF25と候補体標的タンパク質との間の相互作用は、表層プラスモン共鳴により確かめられた。
【0140】
DNA ポリメラーゼ III 、βサブユニットの機能
DNAポリメラーゼIIIホロ酵素は、細菌DNA複製機能の必須成分である。ホロ酵素はいくつかの異なったポリペプチド鎖を含む。タイプIIIポリメラーゼは、グラム陰性細菌E.コリのレプリカーゼにより例示され、ここで次の3種の異なった成分、スライディング・クランプ・タンパク質、クランプ・リーダー・複合体及びDNAポリメラーゼ自体が存在する(Kelmanなど., 1995, Annu. Rev. Biochem. 64: 171−200)。前記クランプ・リーダーは、DNAの回りにスライディング・クランプを集成するためにATPを使用する多タンパク質複合体である。次に、DNAポリメラーゼが、ポリメラーゼをDNAに連結するスライディング・クランプに結合する。DNAポリメラーゼIIIβサブユニットは、ホモダイマーであり、そしてDNAにより結合される環形状のスライディング・クランプを形成する。
【0141】
バチルス・サブチリス(Bucillus subtillis)及びストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)は、DNA複製に関して、最良に特徴づけらたグラム陽性細菌である(Barnesなど. 1995, Methods in Enzy. 262: 35−42; Bruck and O’Donnell 2000, J. Biol. Chem. 275: 28971−28983)。バチルス・サブチリスDBA複製に関する多くの遺伝子が、ts変異体の単離を通して同定されている。B.サブチリスにおける研究は、染色体複製に関与すると思われ、そしてPol IIIト称するポリメラーゼを同定している。
【0142】
polC遺伝子は、Pol lII、 すなわち、たぶんE.コリ酵素のα及びεサブユニットに対応する大きなポリペプチドをコードする。インビトロで再構成されたアッセイにおいては、次の5種のストレプトコッカス・ピオゲネスタンパク質が、急速且つプロセッシイブDNA合成を達成するためにそれらの作用を調整することが示されている:Pol C DNAポリメラーゼ、τ, S, δ, δ’及びβ(Brunck and O’Donnell 2000, J. Biol. Chem. 275: 28971−28983)。
【0143】
S. アウレウスは、E.コリ酵素βに対して30%相同性を有するタンパク質をコードする遺伝子を有する。E.コリβサブユニットに対応するS.アウレウス遺伝子は、dnaNである。S.アウレウスdnaNは、2種のPCT出願(WO9937661号及びWO0109164号)に記載されている。
【0144】
E.コリβサブユニットは、種々のタンパク質、例えばDNAポリメラーゼIIIα及びδサブユニット、DNAポリメラーゼI、DNAポリメラーゼII、DNAポリメラーゼV、DNAリガーゼ及びMutSと反応することが示されている(Jeruzalmiなど. 2001, Cell, 106: 417−428; Lopez de Saro and O’Donnell 2001, PNAS, 98: 8376−8380)。驚くべきことには、種々のタンパク質とのβサブユニットのタンパク質−タンパク質相互作用の証明にかかわらず、そしてレプリソーム内のそれらの相互作用がインビトロでの効果的な染色体複製を得るために決定的である証拠にもかかわらず(Turnerなど. 1999, The EMBO J. 18: 771−783; Jernzalmiなど. 2001, Cell, 106: 417−428; Bruck and O’Donnell 2000, J. Biol. Chem. 275; 28971−28983)、スライディング・クランプに対して向けられた薬剤を現在、入手できない。
【0145】
バクテリオファージが特定の細胞成分又は標的物に対して作用することによって宿主細菌の阻害に適合されたその証拠は、その成分が例えば、治療処理において、抗細菌剤を開発し、そしてそれを用いるための適切な標的物である強い示唆を提供する。本発明は、本発明がインヒビターへの標的物の接近性の表示を提供するので、細菌の必須遺伝子の単なる同定に対してこの追加の案内、及び標的物に対して作用するファージが増殖し、そして持続するので、その標的物が一定の時間にわたって十分に安定している(例えば、高い特前変異高速を受けない)表示を提供する。従って、本発明は、抗菌類剤の開発のための適切な標的物としてSTAAU_R2を同定する。
【0146】
STAAU_R2 上における表面の相互作用の同定
本発明は、S.アウレウスバクテリオファージゲノムによりコードされる増殖阻害タンパク質と、必須S.アウレウスタンパク質との間の特異的相互作用に一部、関する。1つの態様においては、この相互作用は、薬剤スクリーニングアッセイのための基礎を形成する。より特定には、本発明は、S. アウレウスSTAAU_R2によりコードされるタンパク質及びS.アウレウスバクテリオファージ44AHJD ORF25、Twort ORF168, G1 ORF240タンパク質の、スクリーニングアッセイのための基礎を形成する相互作用領域に関する。本発明は、44AHJD ORF25, Twort ORF168 (例えば、配列番号8)又はG1 ORF240, 及びより好ましくは、STAAU_R2と44AHJD ORF25, Twort ORF 168, G1 ORF240戸の間の相互作用に包含されるSTAAU_R2ポリペプチドフラグメントの同定方法を提供する。
【0147】
当業者に知られているいくつかのアプローチ及び技法は、STAAU_R2, 44AHJD ORF25, Twort ORF168, G1 ORF240の相互作用フラグメントを同定し、そして特徴づけられるために使用され得る。それらのフラグメントは、2種のタンパク質のいずれかのアミノ酸配列の一部を有する切断ポリペプチド、又はその変異体、例えばアミノ−及び/又はカルボキシル−末端アミノ酸残基を含む一連の連続した残基を含むことができる。
STAAU_R2, 44AHJD ORF25, Twort ORF168, G1 ORF240のフラグメントが、遺伝子組換え技法によりクローン化され得る。
【0148】
溶液におけるタンパク質の部分的タンパク質加水分解は、多ドメインタンパク質におけるドメイン境界を明確に示すための1つの方法である。制限された消化にタンパク質をゆだねることによって、最も接近できる分解部位が選択的に加水分解される。それらの分解部位は、構造ドメイン間の連結アミノ酸に典型的なループ及び高い移動性の領域を含む、低い組織化された領域に存在する。精製されたSTAAU_R2, 44AHJD ORF25, Twort ORF168, G1 ORF240タンパク質は、部分的タンパク質加水分解にゆだねられ得る。タンパク質加水分解は、STAAU_R2, 44AHJD ORF25, Twort ORF168, G1 ORF240の溶液と共に、低濃度のプロテアーゼ(トリプシン、キモトリプシン、エンドプロテイナーゼGlu−C、及びAsp−N)により行われ、SDS−PAGEにより観察されるように、定義されたタンパク質加水分解生成物の生成がもたらされ得る。
【0149】
許容できる濃度及び反応時間は、安定したタンパク質加水分解生成物への十分な長さのタンパク質のほぼ完全な転換により定義される。次に、タンパク質加水分解生成物は、相互作用できるタンパク質副−領域を決定するために、相互作用の適切なパートナー(44AHJD ORF25, Twort ORF168, G1 ORF240又はSTAAU_R2精製されたタンパク質)を含む神話性クロマトグラフィーにゆだねられる。相互作用ドメインは、部分的なタンパク質加水分解フラグメント内に含まれるアミノ酸残基を良好に決定するために、損なわれていないフラグメント質量及びトリプシンにより完全に消化された(イン−ゲル消化による)消化物の両者を決定するために質量分光測定により同定される。両組のデータを用いて、部分的タンパク質加水分解フラグメントのアミノ酸配列が正確に決定され得る。
【0150】
もう1つのアプローチは、2種のタンパク質間での相互作用を破壊することができる、個々のポリペプチドからの最少ペプチドを同定するために、44AHJD ORF25, Twort ORF168, G1 ORF240又はSTAAU_R2の異なった部分を用いてのペプチドスクリーニングに基づかれている。STAAU_R2 と44AHJD ORF25, Twort ORF168又は G1 ORF240との間の相互作用を妨げることができるフラグメントが2種の相互作用タンパク質のいずれかに位置する相互作用のドメインに対応することが仮定される。それらの異なったペプチドフラグメントは、下記に記載されるようなタンパク質結合アッセイにおいて相互作用の競争体としてスクリーンされ得る。タンパク質内の相互作用部位の詳細なマッピングは、タンパク質の全アミノ酸配列を拡張する小さなオーバーラッピングフラグメント又はペプチドにより行われ得る。
【0151】
両タンパク質の完全な配列の代表である適切なSTAAU_R2 、44AHJD ORF25、 Twort ORF168、 G1 ORF240由来のアミノ酸フラグメントは、化学合成により生成され得る。例えば、マルチピンアプローチにおいては、ペプチドは、グリコレート及び4−(ヒドロキシメチル)ベンゾエートに基づいてエステルリンカーにより誘導体化されたプラスチックピン上での少量(約50nモル)のペプチドのアセンブリーにより同時に合成される(Maeji, 1991, Pept. Res, 4: 142−6)。
【0152】
スタフィロコッカス・アウレウス( S.aureus STAAU_R2 ポリペプチド
本発明の一つの特徴として、“STAAU_R2”及び“STAAU_R2ポリペプチド”、同様に生物学的に、診断的に、予防的に、臨床又は治療的に有用なその変異体、及びこのようなものから成る複合物としてここに引用されるスタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)のポリペプチドが提供される。
【0153】
本発明の具体例の中でもとりわけ強調したい具体例は、天然に生じるSTAAU_R2遺伝子対立遺伝子によってコードされるスタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)STAAU_R2ポリペプチドの変異体についてである。ここに提出する発明は、(a)配列番号2の全長に渡って、その配列と少なくとも同一性40%、少なくとも同一性50%、望ましくは少なくとも同一性80%、さらに望ましくは少なくとも90%、さらに望ましくは少なくとも95%、最も望ましくは少なくとも97−99%又は全く同一のアミノ酸配列又は(b)配列番号2の全長に渡って、少なくとも類似性60%、少なくとも類似性70%、少なくとも類似性80%、少なくとも類似性90%、少なくとも類似性95%、少なくとも類似性97−99%又はさらに類似性100%であるアミノ酸配列を含む、又はこれらから成り立つような分離ポリペプチドを提供する。
【0154】
本発明のポリペプチドは、図1(配列番号2)のポリペプチド(特に成熟ポリペプチド)、及びポリペプチド及びフラグメント、特にSTAAU_R2の生物学的な活性を有するそれら、及び配列番号2のポリペプチド又はその適切な部分の50又はそれ以上のアミノ酸に渡って少なくとも40%の同一性、望ましくはポリペプチドの50又はそれ以上のアミノ酸に渡って少なくとも60%、70%又は80%の同一性、さらに望ましくはポリペプチドの50又はそれ以上のアミノ酸に渡って少なくとも90%の同一性、さらに望ましくはポリペプチドの50又はそれ以上のアミノ酸に渡って少なくとも95%の同一性95%、さらにより望ましくはポリペプチドの50又はそれ以上のアミノ酸に渡って少なくとも99%の同一性を有するポリペプチドを包含する。
【0155】
本発明のポリペプチドはまた、配列番号2のポリペプチドの50又はそれ以上のアミノ酸に渡って、少なくとも類似性60%、70%、80%又は90%、類似性95%又はさらに類似性97−99%のポリペプチド又はタンパク質も含む。
本発明のポリペプチドはスタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)に由来するのが最も望ましいが、しかしながら、このポリペプチドは他の分類学的同一属の生物から得られることもる。本発明のポリペプチドは、例えば分類学的同一科又は目の生物から得られることもある。
【0156】
STAAU_R2のフラグメントもまた本発明に含まれる。これらのフラグメントは、例えばアミノ末端及び/又はカルボキシル末端のアミノ酸配列を含む連続した一組の残基のような、図1(配列番号2)のアミノ酸配列の一部を含む切断ポリペプチド、又はそれらの変異体を含むことがある。宿主細胞、特にスタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)によってあるいはその中で産生されるような、本発明の分解型ポリペプチドもまた望ましい。
【0157】
さらに望ましいのは構造的又は機能的な特性によって特徴付けられるようなフラグメントであり、例えばアルファ・ヘリックス及びアルファ・ヘリックス形成部位、ベータ・シート及びベータ・シート形成部位、反転及び反転形成部位、コイル及びコイル形成部位、親水性部位、疎水性部位、アルファ両親媒性部位、ベータ両親媒性部位、可塑性部位、表層形成部位、基質結合部位、及び高抗原提示部位があげられる。STAAU_R2フラグメントは他のタンパク質又はタンパク質フラグメントとの融合タンパク質として発現させることができる。
【0158】
望ましいフラグメントはまた、配列番号:2のアミノ酸配列から少なくとも20、30、40、50、又は100の隣接するアミノ酸を持つアミノ酸配列から成る分離ポリペプチドも含む。
また、生物学的に“活性である”フラグメントも望ましく、これらはスタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)STAAU_R2の活性を仲介するようなフラグメントであり、似たような活性又はより一層の活性をもっていたり、望ましくない活性が減少したフラグメントを含む。さらに動物内、特にヒトインビボで抗原性又は免疫原性のあるフラグメントも含まれる。特に望ましいのはスタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)の生存能力に対して必須の機能を付与するようなドメインを含むフラグメントである。
【0159】
本発明のポリペプチドフラグメントは、対応する完全長ポリペプチドをペプチド合成によって産生するために利用されることもある。従って、これらの変異体は本発明の完全長ポリペプチドを産生する中間物質として利用されることもある。
【0160】
S. aureus ポリペプチド
STAAU_R2ポリペプチドをコードするポリペプチド、とりわけここでスタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)STAAU_R2と示されたポリペプチドをコードするポリペプチドを提供することが、本発明の一つの目的である。
【0161】
本発明の一つの特徴として、スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus) STAAU_R2ポリペプチドをコードする部分を含むポリヌクレオチドを提供し、このポリヌクレオチドは配列番号1に設計される配列を含む。このようなポリヌクレオチドは完全長STAAU_R2遺伝子又はその変異体をコードする。この完全長遺伝子が、この遺伝子を保有する生物、例えばスタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)の増殖及び/又は生存に必須であるかどうかが検討される。
【0162】
本発明のさらなる特徴として、完全長STAAU_R2ポリペプチド、特にスタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus) STAAU_R2ポリペプチド又はその変異体のフラグメントをコードする、又は発現する分離核酸分子が提供される。本発明のさらなる具体例は生物学的に、診断的に、予防的に、臨床的に又は治療的に有用なポリヌクレオチドやポリペプチド、及びその変異体やこれらを含む複合物である。
【0163】
本発明のポリヌクレオチドは、出発材料としてスタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)細胞、配列番号1に開示したこのヌクレオチド配列情報、及び例えば細菌から染色体DNAフラグメントをクローニングし配列決定するための標準的なクローニングや配列決定方法を用いることによって得られる。例えば、配列番号:1に開示したポリヌクレオチド配列のような本発明のポリヌクレオチド配列を得るために、大腸菌(E. coli)又は他の適当な宿主を用いたスタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus) 染色体DNAクローン・ライブラリを、部分的配列から得られた放射性標識オリゴヌクレオチド(望ましくは17−mer又はそれ以上の)を用いて精査する。
【0164】
プローブと全く同じDNAを持つクローンは、緊縮ハイブリダイゼーション条件を用いることによって識別することが可能である。ここで使用する用語“緊縮条件”及び“緊縮ハイブリダイゼーション条件”とは、配列間の同一性が少なくとも95%、望ましくは97%の条件でのみ起こるハイブリダイゼーションを意味する。ハイブリダイゼーション条件の詳細な例は、ハイブリダイゼーション担体を一晩インキュベーションし(例えばナイロン又はニトロセルロース膜を42℃、以下の溶液中で:1x10 cpm/ml 標識プローブ、50%フォルムアミド、5xSSC(150mM 塩化ナトリウム、15mM クエン酸三ナトリウム)、50mM 燐酸ナトリウム(pH7.6)、5xデンハルト溶液、10%硫酸デキストラン、及び20μg/ml 変性、破砕サケ精子DNA)、続いて0.1xSSC、約65℃でハイブリダイゼーション担体を洗浄する。
【0165】
ハイブリダイゼーション及び洗浄の条件は技術的にこのような熟練した方法が良く知られており、Sambrook, et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor, N.Y., (1989)、その中でも特に十一章に例証されている。このようにしてハイブリダイゼーションによって確認された個々のクローンを配列決定することによって、クローンの同一性を確かめることが可能である。
【0166】
もう一つの方法として、ポリペプチドを分離するために増幅処理を利用することも可能である。この方法では、配列番号1として開示した配列を二つのオリゴヌクレオチドの標的とし、一つはATG開始コドンをコードするDNA鎖又はその上流の配列と同一のオリゴヌクレオチド、もう一方は反対鎖の停止コドン又はその下流にあるオリゴヌクレオチドである。これらのオリゴヌクレオチドを起始部位として、ポリメラーゼ・チェーン・リアクションを用いて完全長翻訳配列遺伝子が得られる。これに相当する技術についてはManiatis, T., Fritsch, E.F. and Sambrook, MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, 2nd Edition, Cold Spring Harbor, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989) に述べられている。
【0167】
さらなる特徴として、本発明は(a)配列番号:1のポリヌクレオチド配列と配列番号:1の全長に渡って、少なくとも同一性60%、望ましくは少なくとも同一性70%、さらに望ましくは少なくとも同一性80%、さらに望ましくは同一性90%、またさらに望ましくは少なくとも95%、最も望ましくは少なくとも同一性97−99%又は全く同じ同一性を持つポリヌクレオチド配列(b)配列番号:2と配列番号:2の全長に渡って又は、少なくとも同一性50%、望ましくは少なくとも同一性60%、さらに望ましくは少なくとも同一性70%、さらに望ましくは少なくとも同一性80%、さらに望ましくは少なくとも同一性90%、またさらに望ましくは少なくとも同一性95%、最も望ましくは少なくとも同一性97−99%又は全く同じ同一性を持つポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列、又は上述の(a)あるいは(b)の相補配列を含む、又はこれらから成る分離ポリヌクレオチドを提供する。
【0168】
本発明は、その完全長に渡って配列番号1の翻訳配列と同一のポリヌクレオチドを提供する。また、本発明によって、それらの成熟ポリペプチド又はフラグメントをコードする翻訳配列がそれ自身によって、又は同様に例えばリーダー又は分泌配列、プレ又はプロ、又はプレプロ・タンパク質配列をコードする配列のような、他の翻訳配列の読み枠にある成熟ポリペプチド又はフラグメントの翻訳配列が提供される。本発明のポリヌクレオチドは、少なくとも一つの非翻訳配列を含むこともあるが、少なくとも一つの非翻訳5末端及び3末端配列に限らず、例えば転写されるが翻訳されない配列、終止シグナル(例えばrho依存性及びrho非依存性終止シグナル)、リボソーム結合サイト、コザック配列、mRNA安定化又は不安定化配列、イントロン、及びポリアデニル化シグナルのような非翻訳配列も含む。
【0169】
このポリヌクレオチド配列は、付加的なアミノ酸をコードする付加的な翻訳配列を含むことがある。例えば、融合タンパク質の精製を容易にする標識配列がコードされることもある。本発明の一部の具体例においてこの標識配列は、pQEベクター(Qiagen, Inc.)によって提供され、Gentz et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 86: 821−824 (1989)に述べられているような6ヒスチジンペプチド、及びHAペプチド・タグ(Wilson et al., Cell 37: 767 (1984))であり、両方ともこれらに融合したポリペプチド配列を精製するのに有用である。本発明のポリヌクレオチドは、構造遺伝子及び遺伝子の発現を調節するそれに天然に関連する配列をも含むが、これに限るわけではない。
【0170】
本発明のポリヌクレオチドがスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcu aureus)に由来するのが最も望ましいが、しかしながら、他の分類学的同一属の生物から得られることもある。本発明のポリヌクレオチドは、例えば分類学的同一科又は目の生物から得られることもある。
【0171】
さらに望ましい具体例は、幾つかの、2〜3、5〜10、1〜5、1〜3、2、1又は0個のアミノ酸残基が以下のあらゆる組合わせで置換、修飾、欠失及び/又は付加された、配列番号2のスタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus) STAAU_R2ポリペプチドのアミノ酸配列を持つようなスタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus) dnaI 変異体をコードするポリヌクレオチドである。これらのポリヌクレオチドの中でも特に望ましいのは、それらがコードするスタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus) STAAU_R2ポリペプチドの翻訳配列又は活性を変えないような、サイレント・ヌクレオチド変異をコードするポリヌクレオチドである。
【0172】
望ましい具体例は、配列番号1のDNAによってコードされる成熟ポリペプチドと、実質的に同じ生物学的機能又は活性を保持するようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。
本発明の一部の望ましい具体例に従って図1に示したポリヌクレオチドのように、特に厳しい条件下でスタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)STAAU_R2ポリヌクレオチド配列にハイブリダイズするようなポリヌクレオチドを提供する。
【0173】
本発明のポリヌクレオチドは、STAAU_R2遺伝子と高い配列同一性を持つような完全長cDNA及び染色体遺伝子を分離するために、RNA、cDNA及び染色体DNAに対するハイブリダイゼーション・プローブとして有用である。このようなプローブは一般的に少なくとも15から約100の残基又は塩基対から成るが、しかし、このようなプローブはむしろ約20から50ヌクレオチドの残基又は塩基対であることもある。特に望ましいプローブは、長さ約20〜約30のヌクレオチド残基又は塩基対である。
【0174】
スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)以外の細菌種由来のSTAAU_R2関連遺伝子の翻訳部分は、オリゴヌクレオチド・プローブを合成するために、配列番号1に添付のDNA配列を用いたライブラリのスクリーニングによって分離することができる。次に、ライブラリのどのクローンにプローブがハイブリダイズするかを決定するために、本発明の遺伝子の配列に相補的な配列を持つ標識ヌクレオチドを、cDNA、染色体DNA又はmRNAのライブラリのスクリーニングに使用する。
【0175】
完全長DNAを得るため、又は短いDNAを伸長するためには幾つかの方法が利用可能であり、これらは熟練した技術としてよく知られている。例えば、これらの方法はRACE法(Rapid Amplification of cDNA ends)(例:Frohman, et al., PNAS USA 85: 8998−9002, 1988を参照)の方法に基づく。例えばMARATHON TM 技術 (Clontech Laboratories Inc.)によって例証されるように、この技術の最近の改変は、より長いcDNAの検索を著しく簡略化してきた。MARATHON TM 技術において、cDNAは選ばれた細胞から抽出したmRNAから作成され、そして「アダプター」配列が両端に連結される。次に、遺伝子特異的及びアダプター特異的オリゴヌクレオチド・プライマーの組合わせを用いて、DNAの”欠失”5末端を増幅するために、PCRによって核酸を増幅する。
【0176】
そして「入れ子になった」プライマーを用いてPCRを繰り返す。このプライマーは増幅産物の内側にアニールするようにデザインされている(一般的には、アダプター配列3末端のさらに内側にアニールするアダプター特異的プライマー、及び選択された遺伝子配列5末端のさらに内側にアニールする遺伝子特異的プライマーである)。次に、この反応産物をDNA配列決定によって解析することが可能であり、完全な配列を得るために既知のDNAに直接連結することによって、又は5末端プライマーをデザインするために新しい配列情報を用いて別個の完全長PCRを実施することによって、完全長DNAが構築される。
【0177】
本発明のポリヌクレオチド及びポリペプチドは、例えばここでさらにポリヌクレオチド・アッセイに関連して論じられているように、疾病、特にヒトの疾病の治療法や診断法を開発するために、特に研究試薬及び試料として利用可能である。
【0178】
配列番号1の配列由来オリゴヌクレオチドである本発明のポリヌクレオチドは、感染組織の細菌内において、ここに同定されたポリヌクレオチドの全長又は一部が転写されたか否かを決定するために、反応用PCRプライマーをデザインするのに有用である。これは、本発明のポリヌクレオチドが、これらの配列を持つ細菌株による感染の診断に有用であるということである。このような配列は、感染のステージ及び病原体が獲得してきた感染型の診断において役立つことも知られている。
【0179】
本発明は、成熟タンパク質+付加アミノ又はカルボキシル末端アミノ酸、又は成熟タンパク質内部にあるアミノ酸であるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドも提供する。このような配列は、前駆体から成熟した形へのタンパク質のプロセッシングにおいて機能している可能性があり、中でもタンパク質輸送を可能にし、タンパク質の半減期を長くしたり短くしたり、又は検査又は産生のためのタンパク質操作を容易にする可能性がある。生体内における通例としては、付加アミノ酸は細胞性酵素によって成熟タンパク質から切り取られる。
【0180】
一つ又はそれ以上のプロ配列と融合した成熟型ポリペプチドを含む前駆タンパク質は、そのポリペプチドの非活性型であることがある。プロ配列が取り除かれた場合、一般的にこのような非活性前駆体は活性化される。プロ配列の幾つか又は全てが活性化の前に取り除かれることが多い。一般に、このような前駆体はプロタンパク質と呼ばれる。
【0181】
従って、本発明のポリヌクレオチドは、成熟タンパク質、成熟タンパク質とリーダー配列(これは前駆タンパク質として参照されることもある)、前駆タンパク質のリーダー配列ではないプロ配列を一つ又はそれ以上持つ成熟タンパク質、又はプロタンパク質の前駆体であり一般的に活性のある成熟型ポリペプチドを産生するプロセッシングの段階で取り除かれるようなリーダー配列と、一つ又はそれ以上のプロ配列をもつプレプロタンパク質をコードする可能性がある。
【0182】
A、G、C、T/Uの標準的なヌクレオチド表示に加えて、用語「N」が本発明の特定のポリヌクレオチドを示すために使用されることがある。「N」は、DNA又はRNA配列においてこのように示された位置に4つのDNA又はRNAヌクレオチドのどれでも挿入可能なことを意味する。例外として、Nは隣接するヌクレオチドの位置と組合わさって正しい読み枠で読まれた場合に、このような読み枠中に誤った終止コドンを作り出す可能性のあるヌクレオチドではないことが望ましい。
本発明の各々のそして全てのポリヌクレオチドに対して、これに相補的なポリヌクレオチドもまた提供する。
【0183】
ベクター、宿主細胞及び発現システム
本発明は、本発明の複数のポリヌクレオチド又は一つのポリヌクレオチドを含むベクターと、組換え技術によって本発明のベクターと共に遺伝子操作され、本発明のポリペプチドの産生を遺伝的に操作した宿主細胞にも関与する。本発明のDNA構造物由来のRNAを用いてこのようなタンパク質を産生するためには、無細胞転写システムも利用可能である。
【0184】
本発明の組換えSTAAU_R2ポリペプチドは、熟練した技術としてよく知られる方法によって遺伝子操作した発現システムを備えている宿主細胞から得ることができる。結果的に、さらなる解釈として、本発明は本発明の一つ又は複数のSTAAU_R2ポリヌクレオチドを含む発現システムに関与しており、このような発現システムによって遺伝子操作した宿主細胞、組換え技術による本発明のポリペプチドの産生に関与する。
【0185】
本発明の組換えSTAAU_R2ポリペプチドを産生するためには、宿主細胞を遺伝子操作し、発現システム又はその一部、又は本発明のポリヌクレオチドを導入することが可能である。適当な宿主の代表例として細菌性細胞(グラム陽性及びグラム陰性)、真菌細胞、昆虫細胞、動物細胞及び植物細胞があげられる。ポリヌクレオチドは、例えば塩化カルシウム処理によってDNAの取り込み能を惹起するような(Sambrook et al., 上述)、標準的な化学的処理方法を用いて細菌に導入できる。もし必要であれば、例えば酢酸リチウムを介した形質転換のような標準的な化学的方法によって、真菌(例えば、酵母)宿主細胞にポリヌクレオチドを導入することもできる。
【0186】
本発明のSTAAU_R2ポリペプチドを産生するためには、非常に多様な発現システムが有用である。このようなベクターは、中でも染色体、エピソーム、ウイルス由来ベクターを含む。例えば、細菌性プラスミド由来、バクテリオファージ由来、トランスポゾン由来、酵母エピソーム由来、挿入因子由来、酵母染色体因子由来、ウイルス由来のベクター、及びこれらの組合に由来するベクターが、本発明において有用である。
【0187】
本発明のSTAAU_R2ポリペプチドは、硫酸アンモニウム又はエタノール沈殿、酸又は尿素抽出、陰イオン又は陽イオン交換クロマトグラフィ、フォスフォセルロース・クロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、親和性クロマトグラフィ、ヒドロキシルアパタイト・クロマトグラフィ、及びレクチン・クロマトグラフィを含むよく知られた方法によって、組換え細胞培養液(又は細胞体)から回収及び精製される。分離及び/又は精製の過程でSTAAU_R2ポリペプチドが変成した場合、活性のある構造を取り戻すために、タンパク質の再折りたたみに関するよく知られた技術が利用可能である。
【0188】
診断、予後診断、血清型、及び変異試験法
本発明はまた、本発明のSTAAU_R2ポリヌクレオチド及びポリペプチドの診断試薬としての使用にも関する。核酸生物、特に哺乳類及び特にヒトにおけるS.アウレウスSTAAU_R2ポリヌクレオチド及び/又はポリペプチドの検出は、疾病の診断、疾病の段階又は薬剤への感染性生物の応答についての診断方法を提供するであろう。真核生物、特に哺乳類及び特にヒト、特にS.アウレウスSTAAU_R2遺伝子又はタンパク質を含んで成る生物により感染されるか又は感染されると思われるそれらは、種々のよく知られている技法及び本明細書に提供される方法により核酸又はアミノ酸レベルで検出され得る。
【0189】
予後、診断又は他の分析のためのポリペプチド及びポリヌクレオチドは、推定上の感染された及び/又は感染された個人の身体材料から得られる。それらの源、特にDNA又はRNAのいずれかからのポリヌクレオチドが、検出のために直接的に使用され得るか、又は分析の前、PCR又はいずれか他の増幅技法を用いて酵素的に増幅され得る。RNA、特にmRNA,cDNA及びゲノムDNAはまた、同じ手段で使用され得る。増幅を用いて、個人に存在する感染性又は残留生物の種及び株の特徴化が、生物の選択されたポリヌクレオチドの遺伝子型の分析により行われ得る。欠失及び挿入は、関連する生物、好ましくは同じ属の異なった種又は同じ種の異なった株から選択された対照配列の遺伝子型に比較して、増幅された生成物のサイズの変化により得る。
【0190】
点変異は、増幅DNAをラベルされたSTAAU_R2ポリヌクレオチド配列にハイブリダイズさせることによって、及び融解温度又は復元カイネティクスの違いを検出することによって確認できる。完全に又は有意に一致する配列は、それぞれDNA又はRNAについて、DNアーゼ又はRNアーゼ消化により、又は溶融温度又は変性動力学における差異を検出することにより、不完全な又はより有意に一致しない二重鎖と区別することが可能である。ポリヌクレオチド配列の違いは、基準となる配列と比較したポリヌクレオチドフラグメントのゲル内電気泳動度の違いから検出することもできる。
【0191】
これは変性剤存在下又は非存在下で行われる。ポリヌクレオチドの違いは、直接DNA又はRNA配列を解読することによっても検出できる(例えば、Myers et al, (1985) Science 230, 1242を参照)。特異的な部位における配列の変化は、RNase、V1及びS1プロテクション・アッセイのようなヌクレアーゼ・プロテクション・アッセイ、又は化学的切断法によっても明らかになる(例えば、Cotton et al., (1985) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:4397−4401参照)。
【0192】
他の具体例として、STAAU_R2ヌクレオチド配列又はそのフラグメントを含むオリゴヌクレオチド・プローブのアレイが、例えば遺伝的変異、血清型、分類学による分類又は同定の効率的なスクリーニングを行うために構築可能である。アレイ技術法はよく知られており、適用範囲が広く、遺伝子発現、遺伝的連鎖、及び遺伝的可変性を含む分子遺伝学における様々な疑問に対処するために利用可能である(例えば、Chee et al., (1996) Science 274, 610参照)。
【0193】
従って異なる見地からみると、本発明は、(a)本発明のポリヌクレオチド、望ましくは配列番号:1のヌクレオチド配列又はそのフラグメント;(b)(a)の配列に相補的なヌクレオチド配列;(c)本発明のポリペプチド、望ましくは配列番号:2のポリペプチド又はそのフラグメント;あるいは(d)本発明のポリペプチドに対する抗体、望ましくは配列番号2のポリペプチドに対する抗体、を含む診断キットに関与する。
いずれかのそのようなキットにおいては、(a)、(b)、(c)又は(d)が実質的な成分であることが理解される。このようなキットは、中でも疾病又は疾病に対する感受性を診断するために使用されるだろう。
【0194】
本発明は、本発明のSTAAU_R2ポリヌクレオチドを診断薬として利用することにも関与する。疾病又は病原性に関連するような、本発明の望ましくは配列番号1のSTAAU_R2ポリヌクレオチドの検出は、診断手段を提供することになる。この診断手段は、そのポリヌクレオチドの低発現、高発現又は発現の変化に起因する疾病の診断、予後診断、ステージの決定、又は疾病に対する感受性診断を規定したり、これらの診断に追加できる。このようなポリヌクレオチドに変異を持つ微生物、特に感染性微生物は、本願書の他の場所で述べる方法のような多様な技術によってポリヌクレオチドのレベルで検出可能である。
【0195】
本発明のSTAAU_R2ヌクレオチド配列は、微生物の染色体を証明するのにも役に立つ。この配列は、微生物の染色体、特にスタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)の染色体上の特定の部位を特異的な標的とし、またこれらとハイブリダイズ可能な配列である。本発明に従って染色体に対する該当配列のマップを作成することは、微生物に対するその遺伝子の必然性だけでなく、これらの配列と微生物の病原性及び/又は生態学的地位、及び/又は微生物の薬剤耐性との間の相互関連においても重要なステップとなりうる。
【0196】
一度配列が正確な染色体位置にマップされると、その配列の染色体における物理的位置を遺伝的マップ・データと相関させることができる。このようなデータは、オンラインの配列データベースの中にある。次に、同じ染色体部位にマップされた遺伝子と疾病の間の関係を既知の遺伝的手法を用いて同定する。例えば連鎖解析(物理的に近接する遺伝子の連鎖遺伝)又は例えば交雑のような交配試験を通じて同定する。
【0197】
最初の表現型と異なる二番目の表現型を示す微生物間のポリヌクレオチド及び/又はポリペプチド配列の違いもまた、決定可能である。もしある変異が、最初の表現型を示す幾つかの又は全ての微生物に観察されるにも関わらず、二番目の表現型を示す微生物に全く観察されない場合、この変異はおそらく最初の表現型の原因因子であると考えられる。
【0198】
予後診断、診断又は他の解析に必要なポリペプチド及びポリヌクレオチドは、感染が予想される及び/又は感染した個々の生体試料から得られる。これらのどの試料から得られたにせよ、特にDNA又はポリヌクレオチドは検出に直接利用可能であり、又はスタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)STAAU_R2のポリヌクレオチド配列由来の増幅オリゴヌクレオチド・プライマーを用いたPCRあるいは他の増幅技術を使用して酵素的に増幅することもできる。RNA、特にmRNA、又はcDNAに逆転写されたRNAも診断に有用である。 試料から得られたスタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus) STAAU_R2 関連ポリヌクレオチドの増幅に続いて、感染又は潜在微生物の種及び株を関連微生物(例えば、既知のスタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)株)由来の基準と比較して、一つ又はそれ以上の参照ポリヌクレオチド、あるいは配列に相関する増幅ポリヌクレオチドの解析によって特徴付けることができる。
【0199】
さらに本発明は、スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)によって引き起こされるような細菌感染の診断方法を提供する。この方法は生体試料のような個体から得られた試料と疾病のない個体から得られた試料を比較して、配列番号1に開示された配列を持つポリヌクレオチドの発現レベルが上昇していることを確認する過程を含む。STAAU_R2ポリヌクレオチドの発現の上昇又は減少は、ポリヌクレオチドを定量するために例えばPCR、RT−PCR、リボヌクレアーゼ・プロテクション、ノーザン・ブロッティングや他のハイブリダイゼーション法、及びスペクトロメトリーのような技術的によく知られている方法のどれか一つを使用して測定可能である。
【0200】
加えて、本発明に従う正常コントロール組織試料と比較したSTAAU_R2ポリペプチドの高発現を検出するための診断検査は、例えば感染の有無を検出するために使用できる。例えば生体試料のような宿主から得られた試料において、スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)STAAU_R2ポリペプチドのレベルを決定するために使用できる検査技術は、熟練した技術としてよく知られている。このような検査法は、放射免疫測定、結合競合試験、ウェスタン・ブロット解析、抗体サンドウィッチ法、抗体検出及びELISA法を含む。
【0201】
スタフィロコッカス・アウレウス( S.aureus )染色体配列のグリッディング及びポリヌクレオチド・サブトラクション
本発明のSTAAU_R2ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチド・アレイ、望ましくは高密度アレイ又はグリッドの構成成分として利用することができる。これらの高密度アレイは、診断及び予後診断を目的とする方法として、とりわけ有用である。例えば、個体内に特定のポリヌクレオチド配列又は関連配列が存在するかを確かめるために、各々異なる遺伝子、さらに本発明の一つの又は複数のポリヌクレオチドを含む一組のスポットが、生体試料から得た又は生体試料由来のプローブを使用したハイブリダイゼーション又は核酸増幅のような厳密な調査に使用できる。
【0202】
スタフィロコッカス・アウレウス( S.aureus )ペプチド又はポリペプチドに特異的な抗体
本発明のSTAAU_R2ポリペプチド及びポリヌクレオチド又はその変異体、あるいはそれらを発現している細胞は、このようなポリペプチド又はポリヌクレオチドに各々免疫特異的な抗体を産生するための抗原として有用である。
本発明のある望ましい具体例として、スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus) STAAU_R2ポリペプチド又はそれをコードするポリヌクレオチドに対する抗体を提供する。STAAU_R2−ポリペプチド又はSTAAU_R2−ポリヌクレオチドに対する抗体は、感染の治療、特に細菌性感染の治療に有用である。
【0203】
本発明のポリペプチド又はポリヌクレオチドに対して産生される抗体は、本発明のポリペプチド及び/又はポリヌクレオチド、又はそのどちらか又は両方のフラグメントを持つ抗原決定基、そのどちらか又は両方のアナログ、あるいはそのどちらか又は両方を発現している細胞を、望ましくはヒトではない動物に所定の方法で投与することによって得られる。モノクローナル抗体の調整には、連続継代細胞によって抗体を産生するような技術的に知られるいかなる方法も使用可能である。これは例えばKohler, G. and Milstein, C., Nature 256: 495−497 (1975); Kozbor et al., Immunology Today 4: 72 (1983);及びCole et al., pg. 77−96 in MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY, Alan R. Liss, Inc. (1985)における技術のように、多様な技術を含む。
【0204】
本発明のポリペプチド又はポリヌクレオチドに対する単鎖抗体を産生するために、単鎖抗体を作成するための技術(合衆国特許番号:4,946,778)が利用できる。また、本発明のポリペプチド又はポリヌクレオチドに対する免疫特異的ヒト型抗体を発現させるために、遺伝子組換えマウス、又は他の遺伝組換え哺乳動物も有用である。
【0205】
抗体が治療的に投与される場合、この抗体又はその変異体は個体内において免疫原性が少なくなるように修飾されることが望ましい。例えば、もしその個体がヒトである場合、その抗体は“ヒト型化された”抗体であることがもっとも望ましく、Jones et al. (1986), Nature 321, 522−525 又は Tempest et al., (1991) Biotechnology 9, 266−273 に述べられているように、このような抗体はハイブリドーマ由来抗体の一つの又は複数の相補性決定領域をヒトモノクローナル抗体に移入して“ヒト型化”される。
【0206】
もう一つの方法として、ファージ・ディスプレイ法が本発明のSTAAU_R2ポリペプチドに対して結合能を持つ抗体遺伝子を選択するために有用である。一つのアプローチは、繊維状ファージの外殻タンパク質との融合タンパク質を発現する抗体遺伝子の免疫ライブラリからスタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus) D STAAU_R2に対して特異的な抗体フラグメントを選択する方法である。
【0207】
もう一つの方法は、STAAU_R2に対して特異的な抗体をコードする遺伝子を同定するために、ファージ・ディスプレイ法を用いて未処理のライブラリをスクリーニングする方法である(McCafferty, et al., (1990), Nature 348, 552−554; Marks, et al., (1992) Biotechnology 10, 779−783; 最近の論文として Haard et al. (1999) J Biol Chem 274: 18218−18230)。様々な標的に対してナノモーラーの親和性を持つ抗体が回収できれば、免疫化の必要は無い。これらの抗体の親和性は、例えばチェーン・シャッフリングによって改良することもできる(Clackson et al., (1991) Nature 352: 628)。
【0208】
上述の抗体は、本発明のポリペプチド又はポリヌクレオチドを発現するクローンを分離又は同定するために利用でき、例えば免疫親和性クロマトグラフィによってポリペプチド又はポリヌクレオチドを精製するために利用できる。
【0209】
本発明のポリペプチド又はポリヌクレオチドの変異型、例えば抗原的に又は免疫的に同等なそのポリペプチドの誘導体あるいは融合タンパク質もまた、マウス、又はラットあるいはニワトリのような他の動物に免役するための抗原として有用である。融合タンパク質は、担体として作用するポリペプチドに安定性を与えたり、又はアジュバントとして作用したり、あるいは両方の作用を付与する。もう一つの方法として、ウシ血清アルブミン、キーホール・リンペット・ヘモシアニン又はテタヌス類毒素のような免疫原性担体タンパク質を、例えば抱合させることによって抗原と混合する方法がある。別の方法として、抗体が治療的に投与される場合、複数のポリペプチドのコピーを含む複合抗原性ポリペプチド、又はこれらと抗原的あるいは免疫的に同等なポリペプチドが、免疫原性を高めるのに十分な抗原性があると考えられ、従って担体を使う必要はないと考えられる。
【0210】
本発明の特徴に従って、治療又は予防の目的、特に遺伝的な免疫に本発明のSTAAU_R2ポリヌクレオチドの利用を提供する。遺伝的な免疫における本発明のSTAAU_R2ポリヌクレオチドの利用は、望ましくは、例えばプラスミドを筋肉へ直接注入するような適切な導入法(Wolff et al., Hum Mol Genet (1992) 1: 363, Manthorpe et al., Hum. Gene Ther. (1983) 4: 419)、DNAと特異的なタンパク質担体との複合体による導入法(Wu et al., J. Biol. Chem. (1989) 264: 16985)、リン酸カルシウムによるDNA共沈法(Benvenisty & Reshef, PNAS USA, (1986) 83: 9551)、様々な形のリポソームにDNAをカプセル化する方法(Kaneda et al., Science (1989) 243: 375)パーティクル・ガン法(Tang et al., Nature (1992) 356:152, Eisenbraun et al., DNA Cell Biol (1993) 12: 791)又はクローン化されたレトウイルス・ベクターを使用した生体内感染法(Seeger et al., PNAS USA (1984) 81: 5849)によって実施できる。
【0211】
拮抗物質及び作動物質:検査法と分子
本発明は、STAAU_R2がバクテリオ・ファージ44AHJD ORF25, Twort ORF168, G1 ORF240阻害性因子の標的であるという発見に一部基づいている。出願人は抗細菌性薬剤の開発過程において、その相互作用の有用性について認識してきた。特に、発明者は1)STAAU_R2が細菌性の阻害に対して重要な標的であること;2)44AHJD ORF25, Twort ORF168, G1 ORF240又はその誘導体あるいは機能的類似物質が細菌性の増殖を阻害するのに有用であること;及び3)スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus) STAAU_R2と44AHJD ORF25, Twort ORF168, G1 ORF240の間の相互作用が、医薬品のスクリーニング及び合理的なデザイン又は抗細菌性薬剤に対する標的として使用できるだろうことを認識してきた。STAAU_R2活性を直接阻害する方法に加えて、STAAU_R2の発現を阻害する方法も抗細菌性活性という点で興味深い。
【0212】
本発明の幾つかの具体例として、本発明のポリペプチド及び/又はポリヌクレオチドに結合する、さもなければ相互作用したりその活性又は発現を阻害又は活性化するような化合物を同定するための方法を提供する。これは、化合物との結合又はその他の相互作用を判断するため、化合物とポリペプチド及び/又はポリヌクレオチドが結合又は相互作用の可能な条件において、本発明のポリペプチド及び/又はポリヌクレオチドと化合物の接触をスクリーニングする方法を含み、例えばこのような結合又は相互作用は、ポリペプチド及び/又はポリヌクレオチドと化合物の結合又は相互作用に反応して、検出可能なシグナルを示すことのできるもう一つの構成成分と関連していることが望ましい。
【0213】
また、化合物とポリペプチド及び/又はポリヌクレオチドの結合又は相互作用によって生じるシグナルの有無を検出することによって、化合物が結合するか、さもなければ相互作用するかポリペプチド及び/又はポリヌクレオチドの活性又は発現を活性化又は阻害するかを決定する方法も含む。
【0214】
拮抗物質として見込みのある物質は、中でも、小有機的分子、ペプチド、ポリペプチド及び抗体を含み、これらは本発明のポリヌクレオチド及び/又はポリペプチドに結合し、その結果その活性又は発現を阻害したり失わせたりする。拮抗物質として見込みのある物質はまた、STAAU_R2−誘発された活性を伴なわないで、結合分子上にある他の結合分子が結合するのと同じ部位に結合し、それにより、S.アウレウスSTAAU_R2ポリペプチド及び/又はポリヌクレオチドを結合から排除することによりS.アウレウスSTAAU_R2ポリペプチド及び/又はポリヌクレオチドの作用又は発現を妨げる、密接に関連したタンパク質、又は抗体のような小有機的分子、ペプチド、ポリペプチドであることがある。
【0215】
拮抗物質として見込みのある物質は、ポリペプチドに結合しその結合部位を占有するような小分子も含み、結果として細胞性結合分子の結合を妨げ、正常な生物学的活性を妨げる。細胞結合分子は、DNA複製に包含されるタンパク質を包含するが、但しそれらだけには限定されない。細胞結合分子の例は、DNAポリメラーゼIIIα及びδサブユニット、DNAポリメラーゼI、DNAポリメラーゼII、DNAポリメラーゼV、DNAリガーゼ及びMutSポリメラーゼを包含する。
【0216】
小分子の例は、小有機分子、ペプチド又はペプチド様分子を含むが、これに限らない。その他の拮抗物質として見込みのある物質には、アンチセンス分子も含まれる(これらの分子の詳細は以下を参照;Okano, (1991) J. Neurochem. 56, 560;OLIGODEOXYNUCLEOTIDES AS ANTISENSE INHIBITORS OF GENE EXPRESSION, CRC Press, Boca Raton, FL (1988) )。より相応しい拮抗物質として見込みのある物質は、44AHJD ORF25, Twort ORF168, G1 ORF240及びSTAAU_R2に関連する化合物及びその変異体を含む。その他の拮抗物質として見込みのあるポリペプチドの例は、抗体、例によっては、リガンド、基質、受容体、酵素などに密接に関連したオリゴヌクレオチド又はタンパク質が含まれる。場合によってはポリペプチドの、例えばリガンド、基質、受容体、酵素などのフラグメント;又は本発明のポリペプチドに結合するが反応を誘導しない、従ってそのポリペプチドの活性を妨げるような小分子も含まれる。
【0217】
化合物は、例えば細胞、無細胞製剤、化学的ライブラリ、及び天然産物混合物などの様々なソースから同定可能である。これらの基質及びリガンドは、おそらく天然の基質及びリガンド、又は構造的あるいは機能的な類似物質であると考えられる(例としてColigan et al., Current Protocols in Immunology 1(2): Chapter 5 (1991)を参照)。ペプチド修飾因子もまた、ある特定長の全可能性ペプチドから成る大きいランダム・ライブラリのスクリーニングによって選択することができる。
【0218】
44AHJD ORF25, Twort ORF168, G1 ORF240それ自身のポリペプチド配列に由来する化合物は、それらのORFの全アミノ酸配列に渡る小さな重複ペプチドを代表するようなペプチドフラグメントである。44AHJD ORF25, Twort ORF168, G1 ORF240のフラグメントは、上述したようにによって産生することができる。
【0219】
本発明の一部のポリペプチドは、天然のスタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)STAAU_R2ポリペプチドの生体類似物質(バイオミメティクス)、機能的類似物質である。これらの機能的類似物質は、中でも、スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)STAAU_R2ポリペプチドの活性と競合させたり、又は上述の方法に従って抗原又は免疫原として有用である。本発明のポリペプチドの機能的類似物質は、不完全なポリペプチドを含むが、これに限らない。例えば、機能的類似物質として相応しい物質には、20、30、40、50、100、200、300又は325個のアミノ酸又はカルボキシル末端残基を欠く配列番号2に示したポリペプチド配列を内包するポリペプチドが含まれる。またこのポリペプチドは、一つの又はそれ以上のこれらの不完全配列を内包する融合タンパク質を含む。これらの機能的類似物質をコードするポリヌクレオチドは、それぞれの類似ポリペプチドを発現させるために発現カセットとして使用できる。
【0220】
本発明に従うスクリーニング法
本発明のSTAAU_R2ポリペプチド又はポリヌクレオチドの機能を促進したり、又は阻害したりするような化合物を同定するためのスクリーニング法を考案することは、価値に値する。従って、本発明は、本発明のポリペプチド又はポリヌクレオチドの機能を修飾するような化合物を同定するためのスクリーニング法を提供する。一般的に、拮抗物質は治療及び予後診断の目的で使用される。STAAU_R2の作動物質は、例えば診断又はその他の目的のために培養した試料における細菌の増殖率を高めるために、有用であると期待される。
【0221】
STAAU_R2が阻害因子として作用する、バクテリオファージ44AHJD ORF25、 Twort ORF168及びG1 ORF240生成物のための標的物であることは決定されている。出願人は、抗細菌剤の開発においてその相互作用の有用性を認識している。ポリペプチド及び/又はポリヌクレオチド標的物、例えばSTAAU_R2は細菌阻害のための決定的な標的物である。S.アウレウスバクテリオファージ44AHJD ORF25、 Twort ORF168及びG1 ORF240又はその誘導体又は機能的類似体は、細菌増殖を阻害するために有用であり、そしてポリペプチド、例えばS.アウレウスのSTAAU_R2と44AHJD ORF25、 Twort ORF168及びG1 ORF240との間で生じる相互作用、結合、阻害及び/又は活性化は、薬剤又は抗微生物剤のスクリーニング及び合理的企画のために使用され得る。標的物、例えばSTAAU_R2活性を直接的に阻害するための方法の他に、標的物、例えばSTAAU_R2発現を阻害する方法もまた、抗微生物活性のために好ましい。
【0222】
好ましい態様においては、その方法は、阻害ORF生成物又はそのフラグメントと、ORF生成物又はそのフラグメントとの相互作用を維持するその対応する細菌標的物又はそのフラグメントとの相互作用を包含する。成分間の相互作用の妨害がモニターされ得、そしてそのような妨害は標的物分子の活性を阻害し、活性化し、又は増強することができる化合物の表示である。
【0223】
a)結合アッセイ:
STAAU_R2、及び配列番号2のアミノ酸配列又はそのフラグメントを含んで成るポリペプチドのような標的タンパク質に対する候補体化合物の結合性を調べる方法は、数多くある。本発明において、標識を候補体化合物に直接又は間接的に結合させることによって、STAAU_R2ポリペプチド又はポリヌクレオチド、又はSTAAU_R2ポリペプチドを発現する細胞又はその担体、あるいはSTAAU_R2ポリペプチドを含む融合タンパク質を発現する細胞又はその担体に対する候補体化合物の結合性を測定するスクリーニング法が有用である。
【0224】
このスクリーニング法は、44AHJD ORF25、 Twort ORF168及びG1 ORF240又はSTAAU_R2に対する結合能を持つフラグメントのような標識競合物質の結合に競合するような方法も含むことがある。
本発明によるスクリーニングアッセイの非制限例(Sittampolamなど, 1997 Curr. Opin. Chem. Biol. 3: 384−91において再考される)は、次のものを包含する。
【0225】
i)蛍光共鳴エネルギー転移(FRET):
二つのタンパク質の結合の阻害を測定する方法は、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET:de Angelis, 1999, Physiological Genomics)を用いる方法である。FRETは蛍光ドナー(D)と蛍光アクセプター(A)が非常に近接した状態(通常 <100 A の距離)においてDの発光スペクトルがAの励起スペクトルと重複した場合に生じる、二つの分子間の量子力学的現象である。FRETでは、タンパク質−タンパク質相互作用を測定するため、発光オワンクラゲ(Aquorea victoria)由来のグリーン蛍光タンパク質(GFP)変異体とポリペプチド又はタンパク質を融合させ、D−Aペアとして使用する。
【0226】
シアン(CFP:D)及びイエロー(YFP:A)蛍光タンパク質を、それぞれ、STAAU_R2ポリペプチド又はSTAAU_R2フラグメント、及び44AHJD ORF25、 Twort ORF168及びG1 ORF240タンパク質と結合させる。十分に近接した条件において、例えばSTAAU_R2又はSTAAU_R2フラグメントと44AHJD ORF25、 Twort ORF168及びG1 ORF240との相互作用は、YFP蛍光の増加に伴ってCFPの蛍光強度の減少を引き起こす。
【0227】
適切に標識されたSTAAU_R2と44AHJD ORF25、 Twort ORF168及びG1 ORF240タンパク質の混合液に候補体修飾物質を添加すると、結果的に、例えば候補体阻害物質を添加しない試料と比較したある特定の44AHJD ORF25、 Twort ORF168及びG1 ORF240の濃度におけるYFP蛍光の減少によって証明されるような、エネルギー転移を阻害する。
【0228】
ii)蛍光偏光法:
蛍光偏光の測定はタンパク質−タンパク質結合を定量するのにさらに有用である。蛍光標識した分子の蛍光偏光度は、回転相関時間又は反転率に依存する。例えばスタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)STAAU_R2ポリペプチド又はSTAAU_R2フラグメントが、蛍光標識ポリペプチド(例えば、44AHJD ORF25、 Twort ORF168及びG1 ORF240又はその結合フラグメント)と結合して形成されるようなタンパク質複合体は、単量の蛍光標識ポリペプチドより高い蛍光偏光度を示す。候補体阻害物質がSTAAU_R2とそのポリペプチド結合パートナーとの相互作用を乱したり阻害する場合、候補体阻害物質がこのSTAAU_R2相互作用に含まれると、結果的に候補体阻害物質の含まれない混合液に較べて蛍光偏光度の減少が引き起こされる。この方法はポリペプチド又はタンパク質複合体の形成を乱すような小分子を特徴付ける方法として利用されることが望ましい。
【0229】
iii)表面プラスモン共鳴:
タンパク質:タンパク質の相互作用に対する阻害剤をスクリーニングする他の強力なアッセイは、表面プラスモン共鳴である。表面プラスモン共鳴は、水相(分析物)から第一のタンパク質又は他の生体分子が、センサー(リガンド)上に固相化した第二のタンパク質又は生体分子に結合することによって生じるセンサー表面付近の質量の変化によって、二つの(又はそれ以上の)分子間の結合を測定する定量的な方法である。この質量の変化は、第二のタンパク質又は生体分子(分析物)の注入又は除去後の時間あたりの共鳴単位として測定され、Biacore Biosensor (Biacore AB)又は類似する装置を使用して測定される。
【0230】
共有結合法(例えば、10mM 酢酸ナトリウム[pH 4.5]中アミン・カップリング)を用いて、センサー・チップ(例えば、研究用CM5チップ;Biacore AB)上にSTAAU_R2、又はSTAAU_R2のフラグメントを含んで成るポリペプチドを固相化することも可能である。盲検は、タンパク質固相化をしない状態で、センサーを活性化及び不活性化することによって準備する。他方では、リガンド表面は、ペプチド親和性標識、抗体又はビオチニル化により、センサーチップの表面上のリガンドの一共有捕獲により調製され得る。STAAU_R2又はSTAAU_R2フラグメントに対する44AHJD ORF25、 Twort ORF168及びG1 ORF240の結合は、チップ表面に精製44AHJD ORF25、 Twort ORF168及びG1 ORF240を注入することによって測定する。
【0231】
測定は4℃〜37℃のいずれかの所望する温度で行なう。アッセイの条件(例えばそれらが結合する条件)は以下の通りである:25 mM HEPES−KOH (pH 7.6)、150 mM 塩化ナトリウム, 15% グリセロール、1 mM ジチオスレイトール、0.001% Tween 20、流速度 10μl/min。候補体阻害剤とセンサー・チップのプレインキュベーションにより、44AHJD ORF25、 Twort ORF168及びG1 ORF240とSTAAU_R2との間の相互作用の減少が予想される。センサーグラム上での低められた応答として検出されそして共鳴単位で測定される、44AHJD ORF25、 Twort ORF168及びG1 ORF240の結合低下は、候補体化合物による競合的な結合を示唆する。
【0232】
iV) シンチレーション・プロキシミティ・アッセイ:
シンチレーション・プロキシミティ・アッセイ(SPA)は、配列番号2のアミノ酸配列又はその一部を含んで成るS.アウレウスSTAAU_R2ポリペプチド又はそのフラグメントともう1つのポリペプチドとの間の相互作用を特徴づけるために使用され得る。SPAは、シンチラントが組み込まれている固相基質、例えばビース又はマイクロタイタープレートのプラスチックに依存する。前記アッセイに関しては、標的タンパク質、例えばS.アウレウスSTAAU_R2ポリペプチドは、活性化された表面化学を通して共有的に、又はペプチド親和性標識、抗体又はビオチニル化を通して非共有的に、ビーズ又はプレートの表面に結合される。
【0233】
放射性ラベルされた結合ポリペプチド、例えば[32P]−放射性ラベルされた44AHJD ORF25、 Twort ORF168及びG1 ORF240の付加は、シンチラントへの放射性源分子の密接した接近性をもたらす。結果として、放射能壊変は、ビーズ内ビーズ内に又はプレートのプラスチック内に含まれるシンチラントを励起し、そして検出できる光が発光される。
【0234】
固定されたS.アウレウスSTAAU_R2ポリペプチドと放射性ラベルされた44AHJD ORF25、 Twort ORF168及びG1 ORF240との間の会合を妨げる化合物は、シンチレーションシグナルを減じるであろう。従って、SPAは、STAAU_R2−44AHJD ORF25, STAAU_R2−Twort ORF168又はSTAAU_R2−G1 ORF240相互作用のインヒビターについてスクリーンするための理想的技法の例を表す。なぜならば、それは高処理能力の自動化された型に容易に適合され、そしてμモル〜nモルの範囲でのK値を伴なって、タンパク質−タンパク質相互作用の検出のその感受性のためである。
【0235】
v)バイオ・センサー・アッセイ:
ICSバイオセンサーはAMBIに述べられている(Australian Membrane Biotechnology Research Institute; http//www.ambri.com.au/)。この技術では、STAAU_R2又はSTAAU_R2のフラグメントやバクテリオファージ44AHJD ORF25、 Twort ORF168及びG1 ORF240のような巨大分子の会合は、吊した二重基板におけるグラマシジン作動性イオンチャンネルの閉鎖に連動し、従ってバイオセンサーのアドミッタンス(インペデンスに類似した)の変化に相関する。このアプローチはアドミッタンス変化の大きさ10に渡って直線性を示し、小分子のコンビトナリアル・ライブラリの大規模な、ハイ・スループット・スクリーニングに最適である。
【0236】
vi)ファージ・ディスプレイ:
ファージ・ディスプレイは、タンパク質:タンパク質相互作用を測定する強力なアッセイ法である。この方法では、タンパク質又はペプチドは、繊維状ファージの外殻タンパク質又は尾部タンパク質との融合タンパク質として発現される。この方法の総合的な論文は、Phage Display of Peptides and ProteinSalaboratory Manual edited by Kay et al. (1996) Academic Pressである。M13やfdを含むFfファミリーのファージの場合、遺伝子IIIタンパク質や遺伝子VIIIタンパク質が外来タンパク質又はペプチドとの融合相手として最もよく使われる。ファージミドはプラスミドとバクテリオファージ両方の複製開始部位を持つベクターである。遺伝子III又は遺伝子VIIIとの融合タンパク質をコードするファージミドは、ヘルパー・ファージが感染した細菌性宿主から回収することができ、その結果、組換えファージの外殻又は先端に外来配列が提示される。
【0237】
最も単純なアッセイでは、例えば精製組換えSTAAU_R2タンパク質、又はSTAAU_R2フラグメントをマイクロタイター・プレートのウェル上に固相化し、遺伝子IIIタンパク質との融合44AHJD ORF25、 Twort ORF168及びG1 ORF240を提示するファージと共にインキューベトすることなどが考えられる。非結合ファージを除くために洗浄し、ファージ外殻タンパク質(遺伝子VIIIタンパク質)に対するモノクローナル抗体を用いて結合ファージを検出する。
【0238】
酵素結合された第2抗体は、蛍光、化学ルミネセント又は比色転換による、結合された融合タンパク質の定量的検出を可能にする。酵素を結合させた二次抗体を用いた染色によって、結合した融合タンパク質の定量的な検出が可能である。ファージを加える前に、固相化した標的と化合物をインキュベートすることによって、阻害剤のスクリーニングを行う。阻害剤の存在は、阻害剤を含まないコントロールに較べて濃度依存的に明らかにシグナルを減少させる。
【0239】
タンパク質−タンパク質相互作用のアッセイにおいて留意すべき重要な点は、相互作用を修飾する物質が物理的に相互作用するタンパク質のドメインと、直接的に相互作用するとは限らない点である。さらに修飾物質がタンパク質−タンパク質相互作用のサイトとは無関係の部位で相互作用し、結果的に例えばSTAAU_R2ポリペプチドの構造変化を引き起こす可能性もある。このようにして働く修飾物質(阻害物質又は作動物質)は、アロステリックエフェクターと呼ばれ、そしてその変化がSTAAU_R2ポリペプチドの活性の変化を誘導する可能性があることから興味深い。
【0240】
b. StAAU_R2機能的活性のアッセイ:
STAAU_R2又はそのフラグメント、その変異体又は相同体の機能的酵素活性を評価するためのアッセイの非制限例は、インビトロDNA複製の複製の測定を包含する。STAAU_R2のアミノ酸配列を含んで成るポリペプチドのDNA合成刺激を測定する多くの方法が存在する。
【0241】
例えば、STAAU_R2活性についてのアッセイは、細胞DNA中に導入される放射性ラベルされた又はヌクレオチドの測定を包含することができる。適切な時間間隔で培養サンプル(0.5 ml)を回収し、4.5μlの標識溶液(0.2μCi/mlのトリチウムチミジン(73 Ci/mmol、NEN Life Science Products, Inc) と70 pmolの非放射性チミジン)と混合する。15分反応後、0.2%アジ化ナトリウムと5 μM の30μg/mlのラベルされていないチミジンを含む溶液を加えることによって取り込みを停止する。サンプルを10%(w/v)トリクロロ酢酸によって沈殿させ、ガラス・ファイバー・フィルタ(GF−C、Whatman)を通してフィルタ処理する。結果を培養液の光学濃度によって標準化し、取り込みH−チミジンのカウントとして表示する。
【0242】
DNA合成は、種々の異なった合成DNA基質の使用に基づいて、可溶性細胞フリーのインビトロシステムを用いることによって測定され得る。複製アッセイは、粗又は部分的に精製された細胞タンパク質抽出物を包含した。複製アッセイは、部分的に純粋な又は純粋な形の生来のタンパク質又は組換え的に生成されたタンパク質により再構成され得る。
【0243】
1つの細胞フリーのインビトロアッセイにおいては、S.アウレウスから調製される抽出物が、外因性の放射性ラベルされたデオキシヌクレオチド三リン酸(dATP, dTTP, dGTP及びdCTP)、MgCl及びATPを包含する反応において、プラスミド基質、例えば感作された環状MBssDNA基質に供給される。反応は停止され、そして生成物がトリクロロ酢酸により沈殿され、そして次に濾過される。乾燥されたフィルターのシンチレーション計数が、新たな複製のレベルを付与する。
【0244】
STAAU_R2活性についてアッセイするためのもう1つの例は、感作された環状ssDNA基質を用いて、再構成されたインビトロアッセイにおいてのDNA中に組み込まれる放射性ラベルされたヌクレオチドのレベルを測定することである(Bruck and O’Donnell 2000, J. Biol. Chem. 275: 28971−28983).複製反応は典型的には、トリス−HCl(pH7.5)、MgCl、BSA, DTT, ATP, dCTP, dGTP及びdATP, (α−32P)dTTP, EDTA, グリセロール、感作された環状M13ssDNA,S.アウレウスSSB,PolC, τ、δ、及びδ’、及び上昇する量のSTAAU_R2ポリペプチドを含んだ。反応は37℃で5分間インキュベートされ、そしてSDS及びEDTAの添加に基づいて急冷された。急冷された反応の半分が、DE81フィルター紙を用いて、全DNA合成について分析される。ほかの半分がアガロースゲル上での電気泳動により分析される。ゲルが乾燥され、そして放射性生成物が、DNA合成の割合及び加工性の評価のためにホスホルイメージャー(phosphorimager)スクリーンへの照射に続いて可視化された。
【0245】
インヒビター、例えば44AHJD ORF25及びTwort ORF168についての試験が、反応混合物と共に化合物をインキュベートすることによって行われる。インヒビターの存在は特に、インヒビターを有さない対照に対して、用量−依存性態様でシグナルを低めるであろう。STAAU_R2−44AHJD ORF25又はSTAAU−R2−Twort ORF168間での相互作用を阻害するそれらの能力について選択される化合物がさらに、機能的活性アッセイにおいて試験され得る。
【0246】
他方では、複製酵素の活性を測定する急速蛍光定量アッセイが、STAAU_R2活性を測定するために開発され得た。蛍光定量アッセイは、一本鎖DNA、例えば新たに合成されたDNAへの蛍光色素の選択的結合に基づかれ、そしてそれは記載されている(Sevilleなど., 1996, Biotechniques 21: 664−672)。感作された環状ssDNA基質を用いて記載されるアッセイに類似する再構成されたインビトロアッセイ(Bruck and O’Donnell 2000, J. Biol. Chem. 275: 28971−28983)が、開発され得る。
【0247】
複製反応は、トリス−HCl(pH7.5)、MgCl, BSA, DTT, ATP, dNTP,EDTA,グリセロール、感作された環状M13ssDNA, S. アウレウスSSB, PolC, τ、δ及びδ’、及び上昇する量のSTAAU_R2ポリペプチドを含むことができる。反応は37℃で種々の時間インキュベートされ、次に急冷される。急冷された反応は、PicoGreenTM 色素(Molecular Probes, Eugene, OR)を添加し、室温で5分間インキュベートし、そしてPicoGreen(λEX, 485nm;λEM, 525nm)の蛍光の強度を読み取ることによって、全DNA合成について分析される。色素の感度及びPicoGreenアッセイの均質性質は、非放射性定量アッセイ型においての急速なスクリーニングを可能にすべきである。
【0248】
インヒビター、例えば44AHJD ORF25、Twort ORF168又はG1 ORF240(
そのフラグメント又は変異体)についての試験が、反応混合物と共に化合物をインキュベートすることによって行われる。インヒビターの存在は特に、インヒビターを有さない対照に対して、用量−依存性態様でシグナルを低めるであろう。STAAU_R2−44AHJD ORF25又はSTAAU−R2−Twort ORF168又はTAAU_R2− G1 ORF240間での相互作用を阻害するそれらの能力について選択される化合物がさらに、機能的活性アッセイにおいて試験され得る。
【0249】
c.細菌増殖阻害:
STAAU_R2と44AHJD ORF25、Twort ORF168又はG1 ORF240との間の反応を阻害するそれらの能力、又はSTAAU_R2活性を阻害するそれらの能力について選択される化合物がさらに、細胞増殖の機能的アッセイにおいて試験され得る。S.アウレウスの培養物が、培地に直接的に添加される種々の濃度の候補体化合物の存在下で、又は細胞中への化合物の供給のために適切であるビークルを用いて、増殖される。ポリペプチドに対応する化合物に関しては、前記ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列が、誘発性プロモーターを含むS.アウレウス発現ベクター中にクローン化され得る。ポリペプチドの発現は、トランスフェクションに続いて誘発され得る。例えば、前記ポリペプチドは、異なった44AHJD ORF25、Twort ORF168又はG1 ORF240−由来のフラグメント(例えば、配列番号8を有する)を包含するが、但しそれらだけには限定されない。
【0250】
発現の誘発又は化合物の添加に続いて、培養物は37℃でさらに4時間インキュベートされる。その時間の間、細菌細胞培養に対するインヒビターの効果は、CD565及び培養物におけるコロニー形成単位(CFU)の数を測定することによって、40分間隔でモニターされ得る。CFUの数は次の通りにして評価される:培養物が連続的に希釈され、そして異なった培養物からのアリコートが寒天プレート上にプレートされる。37℃での一晩のインキュベーションに続いて、コロニーの数が計数される。S.アウレウスの処理されていない培養物が負の対照として包含される。
【0251】
他の特徴として、本発明は本発明のポリペプチド及び/又はポリヌクレオチドに対する作動物質、拮抗物質、リガンド、受容体、基質、酵素等、また、このようなポリペプチド及び/又はポリヌクレオチドの産生を減少させたり増強したりする化合物を同定するためのスクリーニング・キットに関連する。これらは例えば以下のものを含む。
【0252】
(a)本発明のポリペプチド及び/又はポリヌクレオチド;(b)本発明のポリペプチド及び/又はポリヌクレオチドを発現する組換え細胞;(c)本発明のポリペプチド及び/又はポリヌクレオチドを発現する細胞膜;(d)本発明のポリペプチド及び/又はポリヌクレオチドに対する抗体;これらのポリペプチドは配列番号:2のポリペプチド、そしてポリヌクレオチドは配列番号:1のポリヌクレオチドであることが望ましい。
このような全てのキットにおいて、(a)、(b)、(c)及び(d)は実質的な成分を含むことが期待される。
【0253】
本発明のポリペプチド及び/又はポリヌクレオチドが:(a)最初の事例としてポリペプチド及び/又はポリヌクレオチド、又はその複合体の三次元構造の決定;(b)作動物質、拮抗物質又は阻害物質の反応部位、結合部位又はモチーフと思われる三次元構造の推測;(c)結合部位、反応部位、及び/又はモチーフと推定される部位に結合する又は反応することが予想される候補体化合物の合成;及び(d)候補体化合物が実際に作動物質、拮抗物質又は阻害物質であるかどうかの試験によって、構造に基づいてそのポリペプチド及び/又はポリヌクレオチドの作動物質、拮抗物質又は阻害物質をデザインする方法に利用できることは、熟練した技術者にとっても非常に歓迎されるだろう。さらに、通常このような作業は反復作業になるため、自動化やコンピュータ制御のステップを使用して実行することが可能な点が高く評価される。
【0254】
ここに提供される各々のポリヌクレオチド配列は抗細菌性化合物の発見や開発に使用することができる。コードされるタンパク質は、発現すると抗細菌性薬剤のスクリーニングのための標的として使用可能である。加えて、それぞれのmRNAにコードされたタンパク質又はそのShine−Delgarno又は他の転写促進配列は、関心のある翻訳配列の発現をコントロールするためのアンチセンス配列を構築するために使用できる。
【0255】
本発明はまた、感染の後遺症の原因となる病原体と真核性むしろ哺乳動物性宿主との間の最初の物理的相互作用に干渉させる目的で、本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、作動物質又は拮抗物質の使用も提供する。特に、本発明の分子は:細菌の接着、特にグラム陽性及び/又はグラム陰性細菌が、体内留置器具に接する真核性むしろ哺乳動物性の細胞外マトリックスタンパク質、又は創傷部位の細胞外マトリックスタンパク質に接着するのを防ぐため;組織の損傷を仲介する、真核性むしろ哺乳動物性の細胞外マトリックスタンパク質と細菌性STAAU_R2タンパク質間の細菌性接着を阻害するため、及び/又は;体内留置器具の埋め込み又は他の外科的処置以外の経路によって引き起こされる感染における通常の病原性の進行を阻害するために利用することができるだろう。
【0256】
さらに本発明の他の特徴に従って、STAAU_R2拮抗物質、望ましくは静菌性又は殺菌性拮抗物質を提供する。
本発明の拮抗物質は、例えば疾病を予防し、阻害し、そして/又は治療するために使用され得る。
【0257】
組成物、キットと投与管理
本発明のさらなる特徴として、細胞又は多細胞性生物に投与するためのSTAAU_R2ポリヌクレオチド及び/又はスタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus) STAAU_R2ポリペプチドを含む組成物を提供する。
【0258】
本発明は、例えば薬剤として利用可能な担体又は補形剤と組み合わせた、本発明の水溶性型ポリペプチド及び/又はポリヌクレオチド、拮抗ペプチド又は小分子化合物のような治療に有効な量のポリペプチド及び/又はポリヌクレオチドを含む医薬組成物を提供する。このような担体は、緩衝生理食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール、及びこれらの組合せを含むが、これに限らない。薬剤成分は、例えば中でも局所、経口、経肛、経膣、経静脈、経腹腔、経筋肉、経皮下、経鼻腔又は経皮内的な投与を含む、効果的で便利な方法によって投与することができる。
【0259】
治療又は予防において、この活性のある物質はおそらく、望ましくは等張の滅菌拡散水溶液のように注射可能な成分として個体に投与される。
【0260】
他の方法としてその成分は、例えば軟膏、クリーム、ローション、眼軟膏、目薬、耳薬、うがい薬、浸漬包帯や縫合糸及びエアロゾルのような形をとる局所使用のために調剤可能であり、例えば防腐剤、薬剤の浸透を助ける溶媒、及び軟膏やクリーム中の軟化剤を含む、適切で従来から使用される添加物を含むこともある。またこのような局所用の調剤は、相性の良いよく使われる担体、例えばクリーム又は軟膏基剤、及びローション用エタノール又はオレイル・アルコールを含むこともある。
【0261】
このような担体は調剤重量の約1%〜約98%を構成することがあり;さらに通常は調剤重量の約80%まで構成することが多い。もう一つの全身的投与手段として、胆汁酸塩又はフシジン酸あるいは他の界面活性剤のような浸透剤を用いた経粘膜及び経皮的な投与も含まれる。加えて、本発明のポリペプチド又は他の化合物が腸溶性又はカプセル化調剤として調合可能である場合、経口投与も可能である。これらの化合物の投与は、局所的な投与、及び/又は軟膏、ペースト、ゲル、及びそれに似た形状の中に局在化される。
【0262】
哺乳動物及び特にヒトへの投与では、活性のある物質の毎日投与量は0.01 mg/kgから10 mg/kg、一般的に約1 mg/kgになると予想される。全ての事例において、医師が個々の個体に最も適切な実際の処方量を決定し、それは年齢、体重及び特定の個体の感受性に応じて多様である。上述の処方量は、標準的なケースの模範的な例である。もちろん、例えば個体によってはより多い又は少ない処方量が好都合なこともあり、このような処方量も本発明の適用範囲内にある。
【0263】
ここで使用する用語“体内留置器具”とは、外科的に埋め込まれるものを意味し、人工的な器具やカテーテル、例えば個体体内に挿入され長期に渡ってその場所にとどまるような器具を意味する。このような器具は、人工関節、耳弁、ペースメーカー、血管移植、血管カテーテル、脳脊髄液シャント、尿カテーテル、持続的携帯型腹膜透析(CAPD)カテーテルを含むがこれに限らない。
【0264】
本発明の成分は体内留置器具を挿入する直前に、関連細菌に対する全身的な効果を発揮するために注射によって投与可能である。処置は、術後、器具が体内に存在する間続けられる。加えてこの成分は、細菌性創傷感染、特にスタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)創傷感染を防ぐために、全ての外科手技に使われる広範な術中カバーにも使用可能である。
【0265】
多くの整形外科医は、人工関節を持つヒトは菌血症を引き起こすおそれのある歯科治療を行う前に、抗菌物質による予防が考慮されるべきだと考えている。重度の感染は深刻な合併症であり、時には人工関節を失うことになったり、著しい疾病率及び死亡率を伴う。従ってこのような状況の際、予防的抗菌物質の代わりにこの活性物質の使用にまで適用範囲を広げることができる。
上述した治療に加えて、本発明の成分は創傷組織において露出したマトリックスタンパク質に細菌が接着するのを防ぐために、創傷治療薬として一般的に使用でき、また抗菌性予防薬の代わり又は併用薬として歯科治療において予防的に使用することもできる。
【0266】
もう一つの方法として、本発明の成分は体内留置器具を挿入直前に浸すために使用することもできる。創傷又は体内留置器具を浸すための活性物質濃度は、望ましくは1 mg/ml から10mg/mlぐらいになるだろう。
ワクチン成分は注射可能な形態をとると都合が良い。従来のアジュバントが免疫反応を増強するために利用できるだろう。ワクチン接種のために適切な投与ユニットは、0.5−5μg/kgの抗原であり、この投与量を望ましくは1−3週間間隔で1−3回投与する。ここに示した投与量の範囲では、本発明の成分は適切な個体へ投与できなくなるような毒性のある副作用を示すことは無いと思われる。
【0267】
配列データベース、実体のある媒体における配列、及びアルゴリズム
ポリヌクレオチド及びポリペプチド配列は、これを用いてさらなる類似相同配列を同定するためだけでなく、二次元及び三次元構造を決定するためにも貴重な情報源となる。これらのアプローチは、コンピュータで読みとり可能な媒体に配列を保存し、保存したデータを既知の高分子構造プログラムに使用したり、GCCのようによく知られる検索ツールを用いて配列データベースの検索に使用したりすることによって、最も容易に高速化できる。
【0268】
本発明のポリヌクレオチド及びポリペプチド配列は、配列解析アルゴリズムにおけるのと同様に検索解析に有用なデータベースの構成要素として特に有用である。“配列データベース、実体のある媒体における配列、及びアルゴリズム”と題するこの章、及びこの章に関連する請求項において使用される用語“本発明のポリヌクレオチド”及び“本発明のポリヌクレオチド配列”とは、本発明のポリヌクレオチド全ての検出可能な化学的又は物理的特徴を意味し、これは変換縮小又は変換縮小される可能性があり、又は実体のある媒体に、望ましくはコンピュータで読みとり可能な形で保存される。
【0269】
例えば、クロマトグラフィのスキャン・データ又はピーク・データ、写真データ又はそのスキャン・データ、マス・スペクトログラフィのデータ等があげられる。データベース及びアルゴリズムと題したこの章及びこの章に関連した請求項において使用される用語“本発明のポリペプチド”及び“本発明のポリペプチド配列”とは、本発明のポリペプチド全ての検出可能な化学的又は物理的特徴を意味し、これは変換縮小又は変換縮小される可能性があり、又は実体のある媒体に、望ましくはコンピュータで読みとり可能な形で保存される。例えば、クロマトグラフィのスキャン・データ又はピーク・データ、写真データ又はそのスキャン・データ、マス・スペクトログラフィのデータ等があげられる。
【0270】
本発明は本発明のポリペプチド配列及び/又は本発明のポリヌクレオチド配列を保存した、コンピュータで読みとり可能な媒体を提供する。このコンピュータで読みとり可能な媒体とは、例えば市販のフロッピー・ディスク、テープ、チップ、ハードディスク、コンパクトディスク、及びビデオディスクを含み、情報又はデータの保存に使用される全ての記録媒体である。
【0271】
本発明の望ましい具体例において、以下を含むグループから選択された一部を保存したコンピュータで読みとり可能な媒体を提供する:配列番号1の配列を含むポリヌクレオチド;配列番号2の配列を含むポリペプチド;配列番号1の配列を含む前述の配列の少なくとも一つの中にある一組のポリヌクレオチド配列;配列番号2の配列を含む前述の配列の少なくとも一つの中にある一組のポリペプチド配列;配列番号1の配列を含むポリヌクレオチド配列に相当する一組のデータ;配列番号2の配列を含むポリペプチド配列をコードするポリヌクレオチド配列に相当する一組のデータ。
【0272】
この明細書に引用した全ての出版物及び参考文献は、特許及び特許出願書を含むがこれに限らず、個々の出版物又は参考文献がここに完全に公なものとして引用されていることが明確かつ個別に示唆されるように、その全体像をここに参考として示す。この出願請求項の優先権に対するいかなる特許出願書もまた、出版物及び参考文献に関する上述の規則に従ってその全体像をここに参考として示す。
【0273】
本発明の他の目的、利点及び特徴は、好ましい態様の次の非制限的な記載により容易に明らかになるであろうが、但しそれらは本発明の範囲を制限するべきではない。
本発明は、次の非制限的例によりさらに詳細に例示される。
【0274】
実施例
【0275】
例1バクテリオファージゲノムからの阻害性 ORF のクローニング
本発明者は、バクテリオファージ44AHJD及びTwortから阻害性ORFを同定するために、これまでの発明の方法論(1999年12月3日に出願されたPCT国際出願WO1999/IB99/02040号を使用した。スタフィロコッカス・アウレウス増殖株(PS44A)(Felixd’Herelle Reference Centre #HER1101, Ottawa, Canada)を、そのそれぞれのファージ44AHJD(Felix d’Herelle Reference Centre #HER101)を増殖するために宿主として使用した。Dr. H.−W. Ackermann (Quebec, Canada) (#HER1048) により維持されるFelix d’Herelle Reference Cantre から得られたスタフィロコッカス増殖株(PS Twort)を、Felix d’Herelle Reference Centre (#HER48) からまた得られたファージTwortを増殖するための宿主として使用した。
【0276】
American Type Culture Collection (Manassas, VA, USA)から 得られたスタフィロコッカス・アウレウス増殖株PS15(ATCC 27712)を、ファージG1を増殖するための宿主として使用した。ファージG1を、PS15の感染により、BioPharm,Tblis, Republic of Georgia により製造されるS.アウレウスファージ(Bacteriophagum Staphylococcum liquidum, ロット番号361098号)のカクテルから単離した。スタフィロコッカス・アウレウスファージのカクテルは、Tblisiにおける薬局から入出した。
【0277】
配列番号4, 6及び10に対応する阻害性ORFを、それぞれファージ44AHJD, Twort及びG1に由来するゲノムDNAからポリメラーゼ鎖反応(PCR)により増幅した。44AHJD ORF25及びTwort ORF168について図3Aに例示されるように、PCR生成物を、亜砒酸ナトリウム誘発性発現ベクターであるpTOO21の2種の修飾されたバージョンのpT及びpTM中にクローン化した(Tauriainenなど., 1997, Appl. Environ.Microbiol. 63: 4456−4461)。
【0278】
図3Bに示されるように、阻害性ORFを有するS.アウレウスクローンについて、コロニー形成単位(CFU)により評価される場合、培養物の密度は、非誘発性条件下で時間にわたって上昇した。類似する増殖速度が、誘発された及び誘発されていない条件下で、非阻害性ORF(グラフ上では“非キラー”として標識される)を有する形質転換体により観察された。個々のグラフは、S.アウレウスの3種の独立した形質転換体から得られた平均を表す。44HJD ORF25及びTwort ORF168の発現は、誘発された培養物(5.0μMの亜砒酸ナトリウム)について時間と共にCFUの低下により観察された。G1 ORF240の発現は同様に、S.アウレウスの増殖を阻害した(結果は示されていない)。
【0279】
バクテリオファージ 44HJD ORF25 の標的となるスタフィロコッカス・アウレウス( S.aureus )タンパク質の同定
A.GST/ORF25 組換えタンパク質の産生
バクテリオファージ44HJD ORF25を、GST部分を含む発現ベクターpGEX 4T−1(Pharmacia)にサブクローン化した。ORF25を、BamHI及びSalIによるT/44HJD ORF25の消化により得た。ORF25を含むDNAフラグメントをQiaQuickスピン・カラム(Qiagen)によってゲル精製し、pGEX 4T GST/ORF25を作成するために(事前にBamHIとSalIによって消化された)pGEX 4T−1に連結した。
【0280】
組換え発現ベクターをミニプレップ法プラスミドの制限酵素解析によって同定した。大規模DNA調製を行い、そして得られる挿入体を配列決定した。発現プラスミドを含むE.コリBL21(DE3)Gold細胞における試験発現を行い、最適なタンパク質発現条件を同定した。発現構造体を含むE.コリ細胞を、Luria−Bertaniブイヨンにおいて25℃で0.4〜0.6のOD600まで増殖し、そして最適な時間及び最適な温度で、1mMのIPIGにより誘発した(典型的には、25℃で3時間、増殖されたBL21(DE3)Gold(pGEX 4T/ORF25)の2Lの培養物)。
【0281】
B.融合タンパク質の精製
GST/ORF25融合タンパク質を含む細胞を、1 リットルの培養細胞に対して20 mlのGST溶解緩衝液(20 mM Hepes pH 7.2、500 mM 塩化ナトリウム、10 % グリセロール、1 mM DTT、1mM EDTA, 1mM benzamidine及び1 mM PMSF)の割合で懸濁し、フレンチプレスセルを用いてホモジナイズ後、4℃にて20秒3回超音波破砕機を用いてホモジナイズした。最終濃度0.1%になるようにTriton X−100を溶解液に加え、30分4℃で混合した。溶解液をSorval SS34ローターを用いて4℃、10,000回転、30分間遠心した。
【0282】
上清液を、あらかじめ溶解緩衝液で平衡化した4 mlグルタチオン・セファロース・カラムに適用し、重力によって流出させた。カラムをカラム容量の10倍の溶解緩衝液で洗浄後、GST溶出緩衝液(20 mM Hepes pH 8.0、500 mM 塩化ナトリウム、10 % グリセロール、1 mM DTT、0.1mM EDTA及び25 mM 還元グルタチオン)を用いて1.5 mlの分画に溶出した。この分画を12.5%SDS−PAGE(Laemmli)によって解析し、そしてタンパク質を、溶出せれたGST/ORF25タンパク質の量を評価するために、クマシー・ブリリアント・ブルー R250染色により可視化した。
【0283】
C. 親和性カラムの調製
GST及びGST/ORF25融合タンパク質を、1 M 塩化ナトリウムを含むアフィニティ・クロマトグラフィ緩衝液(ACB; 20 mM Hepes pH 7.5、10 % グリセロール、1 mM DTT、及び1 mM EDTA)にて一晩透析した。タンパク質濃度をBio−Radタンパク質アッセイによって決定し、Affigel 10 resin (Bio−Rad)にタンパク質/レジン濃度0、0.1、0.5、1.0及び2.0 mg/mlで架橋結合させた。続けて、架橋結合させたレジンをカラムに充填する前にエタノールアミン、及びウシ血清アルブミン(BSA)と共にインキュベートし、100 mM 塩化ナトリウムを含むACBで平衡化した。
【0284】
D.スタフィロコッカス・アウレウス( S. aureus )抽出液の調製
スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)細胞ペレットから二つの抽出液を調製した。一つの目の抽出液はフレンチプレスセルに続いて超音波破砕によって調製し、もう一つはリソスタフィン消化に続いて超音波破砕によって調製した。フレンチプレスセル溶解液は、3 gの凍結スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)細胞を500 mM 塩化ナトリウム、1 mM PMSF及び1 mM benzamidineを含むACBに懸濁し調整した。
【0285】
懸濁細胞をフレンチプレスセルに3回通過させ、続いて20秒間3回超音波破砕し、0.1% Triton X−100に調製して30分間撹拌後、Ti70角度固定Beckmanローターを用いて50,000回転で3時間遠心した。細胞の溶解効率は低く、結果として得られた溶解液(7 ml)は2.4 mg/mlのタンパク質を含んでいた。フレンチプレスセル溶解後の細胞ペレットは、同じ緩衝液を用いモーターやペッスルと共に液体窒素中で極低温粉砕した。溶解液を0.1% Triton X−100になるように調整して30分間撹拌後、Ti70角度固定Beckmanローターを用いて50,000回転で3時間遠心し、2.0 mg/mlのタンパク質を含む溶解液(10 ml)を得た。
【0286】
細胞溶解液をプールし、8 mlに濃縮し、3000 Mr透析膜を用いて1 mM PMSF、1 mM benzamidine 及び 75 mM 塩化ナトリウムを含むアフィニティ・クロマトグラフィ緩衝液中で一晩透析した。透析したタンパク質抽出液を透析チューブから取り出し、Sorval SS34 ローターを用いて10,000回転で1時間遠心し、タンパク質濃度(Bio−Rad Protein Assayを用いた)及び塩濃度(導電率計を用いた)を調べた。
【0287】
E. 親和性クロマトグラフィ
親和性クロマトグラフィー処理を、0、0.1、0.5、1.0及び2.0 mg/mlのタンパク質/樹脂濃度で、AffigelにカップリングされたリガンドとしてGST及びGST ORF25を用いて行った。スタフィロコッカス・アウレウス抽出液を、4℃で15分間、マイクロ遠心分離機により遠心分離し、そして0、0.1、0.5、1.0及び2.0 mg/mlのリガンドを含む20μlカラムに適用した。100mMのNaCl(200μl)を含むABCを、2.0mg/mlを含む対照カラムに適用した。カラムを100 mM 塩化ナトリウムを含むACB10カラム体積によりで洗浄し、続けて1% Triton X−100及び100mM 塩化ナトリウム (800μl)を含むACB、 1 M 塩化ナトリウム(800μl)を含むACB、及び1% SDS (160μl)により溶出した。各々の溶出液40μlを、12.5% SDS−PAGE (Laemmli)で分離し、銀染色によって溶出タンパク質を可視化した。
【0288】
44AHJD ORF25 相互作用タンパク質としての .アウレウス DnaN の同定
2種のS.アウレウス抽出物を、個々のリガンドを用いて親和性クロマトグラフィーのために使用した。別々に調製された、親和性クロマトグラフィーのために使用される2種の抽出物は、4.0及び9.0mg/mlのタンパク質を含んだ。48kDaの1つの候補体相互作用タンパク質(PT48)を、初期クロマトグラフィー実験において1%SDS溶出液において観察した(図4)。その候補体タンパク質PT48を、SDS−PAGEゲルから切除し、そしてMALDI−ToF質量分光計によるトリプシンペプチド質量決定のために調製した(Qin,J.,Fenyo,d.,Zhao,Y.,Hall,W. W., Chao, D. M., Wilson, C. J., Young, R.A. and Chait, B. T. (1997) Anal. Cham. 69, 3995−4001)。
【0289】
2種の親和性クロマトグラフィー実験において観察されるPT48タンパク質は、トリプシンペプチドの質量により決定される場合、同一であった。得られる質量スペクトルのコンピューター分析(http://prowl.rockfeller.edu/cgi−bin/ProFound)は、University of Oklahoma のS.アウレウスゲノムデータベース(http://www.genome.ou.edu/staph.html)におけるS.アウレウスヌクレオチド配列におけるその対応するORFを同定する。GST ORF25に対して特異的に結合するそのタンパク質の本体は、DNA−指図されたDNAポリメラーゼIIIβサブユニット(Genbankjyutaku banngou 1084187号)(図6)である。
【0290】
バクテリオファージ44ADJH ORF25の相互作用パートナーとしてのS.アウレウスSTAAU_R2の同定は、精製された組換えポリペプチドを用いて、表面プラスモン共鳴(Biacore 2000 Biosensor)により確認された。グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GS)−標識されたSTAAU_R2を、CM5センサーチップの表面に共有結合されている抗−GST抗体によりリガンドとして捕獲し;抗−GST抗体を有し、そして捕獲されたリガンドを有さないブランク表面を負の対照として使用した。2種の表面上への精製された44ADJH ORF25タンパク質の注入は、固定されたSTAAU_R2による44ADJH ORFの特異的捕獲を示した。
【0291】
例3バクテリオファージ Twort ORF168 により標的化された .アウレウスタンパク質の同定
GST/Twort ORT168 組換えタンパク質の生成
バクテリオファージTwort ORF168を、pGEX 4T−1中にサブクローン化した。Twort ORF168を含むプラスミド(pTM)を、Qiagenカラム上で精製し、そしてHindIIIにより消化し、E.コリDNAポリメラーゼのクレノウフラグメントにより処理し、そしてBamHIにより消化した。前記ORFを含むDNA制限生成物を、QiAquick回転カラム(Quagen)によりゲル精製し、そしてpGEX 4T−1発現ベクター(SalIにより消化、E.コリDNAポリメラーゼのクレノウフラグメントによる処理、及びBamHIによる消化、続いて、QiAquick回転カラムによるゲノム精製により調製された)中に連結した。
【0292】
組換え発現ベクターを、プラスミドminiprepsの制限酵素分析により同定し、そして大規模DNA調製を、Qiagen DNA精製カラムにより行った。発現プラスミドを含むE.コリ細胞における試験発現を行い、最適なタンパク質発現条件(BL21(DE3)Gold細胞において発現される)を同定した。発現構造体を含むE.コリ細胞を、Luria−Bertaniブイヨンにおいて25℃で0.4〜0.6のOD600まで増殖し、そして最適な時間及び最適な温度で、1mMのIPIGにより誘発した(15℃で16時間、2LのGST ORF168)。
【0293】
B.融合タンパク質の精製
GST ORF168融合タンパク質を含む細胞を、1 リットルの培養細胞に対して10 mlの溶解緩衝液の割合で懸濁し、そして4℃にて20秒3回超音波破砕機を用いて溶解した。溶解液をBeckman JA25.50ローターを用いて4℃、10,000回転、30分間遠心した。上清液を、あらかじめ溶解緩衝液で平衡化した4 mlグルタチオン・セファロース・カラムに適用し、重力によって流出させた。カラムをカラム容量の10倍の溶解緩衝液で洗浄し、そしてGST溶出緩衝液を用いて4 mlの分画に溶出した。この分画を15%SDS−PAGE(Laemmli)によって解析し、そしてタンパク質を、クマシー・ブリリアント・ブルー R250染色により可視化した。
【0294】
C. 親和性カラムの調製
GST及びGST ORF168を、1 M 塩化ナトリウムを含むACBにてpH7.9で一晩透析した。タンパク質濃度をBio−Radタンパク質アッセイによって決定し、Affigel 10 resin (Bio−Rad)にタンパク質/レジン濃度0、0.1、0.5、1.0及び2.0 mg/mlで架橋結合させた。架橋結合されたタンパク質を含むACBにより洗浄し、そして100 mM 塩化ナトリウムを含むACBで平衡化した。
【0295】
.アウレウス抽出物の調製
S.アウレウス抽出物を、ビーズビーター溶解方法及びヌクレアーゼ処理を用いて細胞ペレットから調製した。S.アウレウス細胞ペレット(2.9g)を、20mMのHepes(pH7.5)、500MのNaCl、10%のグリセロール、10mMのMgSO、10mMのCaCl、1mMのDTT、1mMのPMSF、1mMのベンズアミジン、0.5mgのRHAse A、及び750単位のミクロコッカスヌクレアーゼの溶液8mlに懸濁した。その細胞懸濁液を、4℃で15mlのジルコニア/シリカガラスビーズ(0.1mmの直径)に添加し、そしてビーズビーターパルスにゆだねた(−18℃で超冷却された氷浴を用いて、30秒の“オン”、90秒の“オフ”)。
【0296】
ビーズを、Biorad Econoカラム(2.5×40cm)により溶解物から分離し、そしてビーズを1カラム体積の溶解緩衝液により洗浄した。流動物及び洗浄物をプールし、そしてBeckman JA25.50ローターにより20,000rpmで1時間、遠心分離した。上清液を除去し、そして100mMのNaCl,1mMのベンズアミジン、10mMのMgSO、10mMのCaCl及び1mMのPMSFを含むABC(20mMのHepes, pH7.5, 10%のグリセロール、1mMのDTT、及び1mMのEDTA)に対して10.000Mr透析膜により一晩、透析した。透析されたタンパク質抽出物を、透析管から除去し、そして−70℃で、1mlのアリコートにより凍結した。
【0297】
.親和性クロマトグラフィー
親和性クロマトグラフィーを、0, 0.1, 0.5, 1.0 及び2.0mg/mlのタンパク質/樹脂濃度で、Affigel10にカップリングされるリガンドとして、GST及びGST ORF168を用いて行った。S.アウレウス抽出物を、マイクロ遠心分離機において4℃で15分間、遠心分離し、そして100mMのNaClを含むACBにより5mg/mlに希釈した。200μlの抽出物を、0, 0.1, 0.5, 1.0及び2.0mg/mlのリガンドを含む40μlのカラムに適用し、そして100mMのNaClを含むACB(200μl)を、2.0mg/mlのリガンドを含む追加のカラムに適用した。カラムを、100mMのNaClを含むACB(2×100μl)、0.1%のTriton X−100を含むACB及び100mMのNaCl(200μl)により2度洗浄し、そして1MのNaCl(100μl)及び1%SDS (100μl)を含むACBにより連続的に希釈した。それぞれ65μlの溶出液を、16cmの14%SDS−PAGE(Laenmmil)により分解し、そしてタンパク質を銀染色により可視化した。
【0298】
F.Twort ORF168 相互作用タンパク質としての .アウレウス DnaN の同定
50kDaの1つの候補体相互作用タンパク質(PT50)は、ORF168と相互作用することが観察された。PT50が、1MのNaCl溶出液、及びGST ORF168クロマトグラフィー実験の1%SDS溶出液の両者において観察された(図7A)。約10%のPT50が1MのNaCl溶出液において観察され、そして90%が1%SDS溶出において観察された。PT50は、GST対照親和性クロマトグラフィー実験においては観察されなかった(図7B)。
【0299】
高品質の質量スペクトルが得られた(図8)。親和性クロマトグラフィー実験において観察されるPT50タンパク質は、トリプシンペプチドの質量により決定される場合、同一であった。GST ORF168に対して得意的に結合するそのタンパク質の本体は、DNA−指図されたDNAポリメラーゼIIIβサブユニット(Genbank受託番号1084187号)(図9)である。
【0300】
例4STAAU_R2 Twort OrF168 との間の相互作用のイースト・ツー・ハイブリッド分析により確認
バクテリオファージTwort ORF168の相互作用パートナーとしてS.アウレウスSTAAU_R2の同定を確認し、そしてS.アウレウスSTAAU_R2との相互作用に関係するTwort ORF168の特異的ドメインを同定するために、組換えTwort ORF168タンパク質を、イースト・ツー・ハイブリッドシステムを用いての欠失分析にゆだねた。
【0301】
A.イースト・ツー・ハイブリッド分析のための Twort ORF168 及び STAAU_R2 組換えポリペプチドの生成
バクテリオファージTwort ORF168を、酵母Gal4 DNA結合ドメイン(Clontech LaboratoriesからのpGBKT7ベクターにコードされる)のカルボキシル末端、又は酵母Gal4活性化ドメイン(Clontech LaboratoriesからのpGADT7ベクターにコードされる)のいずれかに融合した。図10Bに示されるように、センス鎖プライマー(配列番号11;5−ccggaattcATGTTATTTTTTAAAGAAAAG−3’)の先にEcoRI制限部位が存在し;アンチセンスオリゴヌクレオチド(配列番号12;5’−cgcggatccTCATCGAACTATATCCTTAAT−3’)は停止コドンを標的化し、そしてその先に、BamHI制限部位が存在する。
【0302】
PCR生成物を、Qiagen PCR精製キットを用いて精製し、そしてEcoRI及びBamHIにより消化した。消化されたPCR生成物を、EcoRI−及びBamHI−消化された、pGBKT7ベクターに連結し、pGBKSTAAU_R2を生成した。類似する手段が、pGADT7ベクター中にSTAAU_R2をクローニングし、pGADSTAAU_R2を生成するために使用された。
【0303】
アミノ酸残基5〜40に及ぶTwort ORF168のフラグメントをPCRにより増幅し、そして同じ手段を用いてクローン化した。センス鎖プライマー(配列番号13;5’−ccggaattcAAAGAAAAGTTTTATAATGAAT−3’)は開始コドンを標的化し、そしてその先に、EcoRI制限部位が存在し;アンチセンスオリゴヌクレオチド(配列番号14;5’−cgcggatccTCAATCTTCTTCTTCTAATTTCTC−3’)は停止コドンを標的化し、そしてその先に、BamHI制限部位が存在する。
STAAU_R2のポリヌクレオチド配列を、STAAU_R2遺伝子(配列番号1)の予測される翻訳開始及び終結コドンを標的化するオリゴヌクレオチドプライマーを通してのPCRにより、S.アウレウスゲノムDNAから得た。
【0304】
図10Aに示されるように、センス鎖プライマー(配列番号15;5’−GGGAATTCCATATGATGATGGAATTCACTATTAAA−3’)は、開始コドンを標的化し、そしてこの先に、NdeI制限部位が存在し;アンチセンスオリゴヌクレオチド(配列番号16;5’−CGCGGATCCTTAGTAAGTTCTGATTGG−3’)は、停止コドンを標的化し、そしてこの先に、BamHI制限部位が存在する。PCR生成物を、Qiagen PCR生成キットを用いて精製し、そしてNdeI及びBamHIにより消化した。消化されたPCR生成物を、NdeI−及びBamHI−消化されたpGADT7ベクター(Clontech Laboratories)に連結し、pGADSTAAU_R2を生成した。類似する手段を用いて、pGBKT7ベクター(Clontech Laboratories)中にSTAAU_R2をクローニングし、pGBKSTAAU_R2を生成した。
【0305】
B.イースト・ツー・ハイブリッド分析
図 11A及びBに示されるように、異なる組合せの構築を持つpGAD及びpGBKプラスミド(個々の対のペトリ皿上に示されるような)を、あらかじめE. coli LacZと選択HIS3及びADE2遺伝子の染色体組込みコピーを持つように遺伝子操作した酵母株(AH109、Clontech Laboratories)に導入した。同時形質転換体を、トリプトファン及びロイシン欠失アミノ酸添加(TL マイナス)酵母用合成培地(SD)や、トリプトファン、ヒスチジン、アデニン及びロイシン欠失アミノ酸添加(THAL マイナス)酵母用合成培地上に並べて培養した。Twort ORF168ポリペプチドを持つ同時形質転換体は、STAAU_R2が存在する選択SD THALマイナス培地でのみ増殖した。レポーターHIS3及びADE2遺伝子の誘発は、適切な対照プラスミド(pGBKT7LaminC又はpGADT7−T)を有する同時形質転換体はSD THALマイナス培地上で生存しないので、STAAU_R2とTwort ORF168との相互作用に依存する。
【0306】
STAAU_R2及びTwort ORF168の相互作用はまた、Twort ORF−STAAU_R2同時形質転換体におけるβ−ガラクトシダーゼ活性のバックグラウンドレベル以上に観察される上昇性により明確に示された(それぞれ、図11Cサンプル1及び4)。それらの結果は、本明細書において同定されたS.アウレウスSTAAU_R2がバクテリオファージTwort ORF168の宿主標的物である解釈と一致する。
【0307】
STAAU_R2及びTwort ORF168−関連のフラグメントの相互作用がまた示されている(結果は示されていない)。アミノ酸残基5〜40(配列番号8として本明細書において言及されている)に及ぶTwort ORF168の36個のアミノ酸配列の部分が、宿主細胞中への適切なプラスミドの導入がTHALを有さないSD培地上でのそれらの増殖をもたらすので、STAAU_R2と相互作用することが見出された。
【0308】
例5バクテリオファージ G1 ORF240 により標的化されるような STAAU_R2 の同定
A.GST/G1 ORF240 組換えタンパク質の生成
図12に示されるように、G1 ORF240及びTwort ORF168の最適な全体的アラインメントは、2種のポリペプチド間で29%の同一性を示す。G1 ORRの最適な局部アラインメントは、配列番号8に対応するポリペプチドに対して47%の同一を示す。
【0309】
G1 ORF240をpGEX4T−1中にクローン化し、そしてそのポリペプチドを上記のようにして精製した。親和性クロマトグラフィー処理を、0, 0.1, 0.5, 1.0及び2.0mg/mlのタンパク質/樹脂濃度でAffigel10にカップリングされるリガンドとしてGST及びGST ORF240を用いて行った。S.アウレウス抽出物をカラムに適用し、そして100mMのNaClを含むACBを、20mg/mlのリガンドを含む追加のカラムに適用した。カラムを洗浄し、そして1MのNaCl及び1%SDSを含むACBにより連続的に溶出した。個々の溶出物画分を、14%SDS−PAGEにより分解し、そしてタンパク質を銀染色により可視化した。
1つの候補体相互作用タンパク質が、ORF240と特異的に相互作用することが観察され、そしてSTAAU_R2に対応することが示された(結果は示されていない)。
【0310】
結論
阻害性バクテリオファージ44AHJD ORF25, Twort ORF168, G1 ORF240及びSTAAU_R2間の相互作用により、STAAU_R2遺伝子及びその遺伝子生成物は、抗微生物剤のスクリーニング及び同定のために、及びより特定には、抗−S.アウレウス剤のための新規細胞標的物として同定された。本発明はまた、STAAU_R2及び/又はバクテリオファージ44AHJD ORF25及び/又はTwort ORF168, G1 ORF240及び/又は本発明従って同定された化合物に基づいての新規診断、予後及び治療方法も提供する。
本発明は好ましい態様により記載されてきたが、それは本発明の範囲内で修飾され得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、S.アウレウスSTAAU_R2のヌクレオチド(配列番号1)及びアミノ酸(配列番号2)配列を示す。
【図2】
図2は、S.アウレウスバクテリオファージ44AHJD ORF25、Twort ORF168, Twort ORF168に由来する36個のアミノ酸フラグメント、及びG1 ORF240のヌクレオチド及びアミノ酸配列を示す。
【図3】
図3は、バクテリオファージ44AHJD ORF25、又はTwort ORF168の細菌阻害能力、及びS.アウレウスにおけるそれらの発現を誘発するために使用される発現ベクターを示す。A)S.アウレウス細胞における44AHJD ORF25、又はTwort ORF168の発現を誘発するために使用される亜砒酸塩−誘発性発現ベクター(例えば、pT/ORF及びpTM/ORFのための)の図;B)液体培地において増殖され、続いてプラスミドに対する選択的圧力を維持するために必要な抗生物質(30μg/mlのカナマイシン)を含むか又は含まない半固体培地上にプレートすることにより増殖されたS.アウレウスにおいて発現される場合、44AHJD ORF25又はTwort ORF168の阻害能力についてのアッセイの結果。
【図4】
図4は、French圧力細胞溶解及び音波処理により調製されたS.アウレウス抽出物と共にリガンドとしてGST及びGST/44AHJD ORF25を用いての親和性クロマトグラフィーからの結果を示す。1ml樹脂当たり0, 0.1, 0.5, 1.0及び2.0mgのGST及びGST/ORF25リガンドを含む親和性カラムの溶出液を、SDS−12.5%PAGEにより分解した。タンパク質を銀染色により可視化した。マイクロカラムを、0.1%のTriton X−100を含む100mMのACB、1MのNaClを含むACB、及び1%SDS(SDS−PAGEは単に1%SDSを示す)により連続的に溶出した。個々の分子量マーカーは約100ngである。ACBにラベルされたレーンは、75mMのNaClを含むACB緩衝液によってのみ充填された2.0mg/mlリガンドカラムからの溶出液を示す。PT48を示す矢印は、44AHJD ORF25と特異的に相互作用するタンパク質を示す。PT48に対応するバンドが、タンパク質同定のために切除された。
【図5】
図5は、44AHJD ORF25と相互作用し、そして1%SDSにより溶出されたPT48タンパク質のトリプシンペプチド質量スペクトルの結果を示す。48kDaの領域から切除された対照バンド(図4においてPT48Cと命名された)は、PT48を含まなかった。
【図6】
図6は、GenbankデータベースからのS.アウレウスDNA−指図されたDNAポリメラーゼIIIβサブユニットタンパク質(受託番号:G1:15922992)としてのPT48(本明細書においては、STAAU_R2)の同定を示す。
【図7】
図7は、5.0mg/mlのS.アウレウス抽出物と共に、リガンドとしてのGST/Twort ORF168 (A) 又はGST(B)を用いての親和性クロマトグラフィーを示す。1mlの樹脂あたり0, 0.1, 0.5, 1.0及び2.0mgのリガンドを含む親和性カラムからの溶出液を、14%SDS−PAGEにより分解し、そしてゲルを硝酸銀により染色した。マイクロカラムを、0.1%Triton X−100を含む100mMのACB(SDS−PAGEは示されていない)、1MのNaClを含むACB及び1%SDSにより連続的に溶出した。個々の分子量マーカーは約200ngである。ACBにラベルされたレーンは、100mMのNaClを含むACB緩衝液によってのみ充填された2.0mg/mlリガンドカラムからの溶出液を示す。PT50を示す矢印は、Twort ORF168と特異的に相互作用するタンパク質を示す。PT50に対応するバンドが、タンパク質同定のために切除された。
【図8】
図8は、Twort ORF168と相互作用するPT50タンパク質のトリプシンペプチド質量スペクトル分析を示す。PT50を含むゲルスライスは1種のタンパク質を含んだ。
【図9】
図9は、GenbankデータベースからのS.アウレウスDNA−指図されたDNAポリメラーゼIIIβサブユニットタンパク質(受託番号:G1:15922992)としてのPT50(本明細書においては、STAAU_R2)の同定を示す。
【図10】
図10は、A)酵素発現ベクターpGADT7におけるS.アウレウスSTAAU_R2のクローニング方法(pGADSTAAU_R2);B)酵母発現ベクターpGBKT7におけるファージTwort ORF168のクローニング方法(pGBK Twort ORF168);及びC) GADSTAAU_R2 (上部パネル)、Twort ORF168 (中間パネル)又はGADSTAAU_R2及びTwort ORF168 (低部パネル)の両者のいずれかを発現する3種の様式化された細胞におけるイースト・ツー・ハイブリッド・システムの代表図を示す。
【図11】
図11は、配列番号2のアミノ酸を含んで成るS.アウレウスSTAAU_R2及びTwort ORF168の相互作用を試験するために企画されたイースト・ツー・ハイブリッド分析の結果を示す。A)及びB)酵母を、ペトリ皿の個々の対の写真上に示されるように1対のベクターにより同時形質転換した。同時形質転換体を、トリプトファン及びロイシンを欠くアミノ酸(TLマイナス)により補充された酵母合成培地(SD)上に、及びトリプトファン、ヒスチジン、アデニン及びロイシンを欠いているアミノ酸(THALマイナス)により補充されたSD上に同時にプレートした。Twort ORF168ポリペプチドを有する同時形質転換体は、STAAU_R2の存在下で、選択的THALマイナス培地上で増殖した(ペトリ皿の上部対)。非相互作用タンパク質を有する対照ベクター(pGBKLaminC又はpGADT7−T)によるそれらのポリペプチドの同時形質転換は、THALマイナス培地上での増殖をもたらさない。C)示される同時形質転換からのタンパク質抽出物による発光β−ガラクトシダーゼ酵素アッセイの結果。
【図12】
図12は、Twort ORF168(配列番号6)、及びTwort ORF168(配列番号8)とG1 ORF240(配列番号10)とのSTAAU_R2相互作用ドメインの最適な全体的及び局部アラインメントを示す。

Claims (43)

  1. バクテリオファージポリペプチド配列に対して特異的に結合できる、配列番号2のアミノ酸配列、その生物学的活性フラグメント、又は変異体を含んで成るSTAAU_R2ポリペプチドに対して活性である化合物の同定方法であって、候補体化合物の存在又は不在下でSTAAU_R2ポリペプチドを接触せしめ、そして前記STAAU_R2ポリペプチドの生物学的活性を検出することを含んで成り、ここで前記候補体化合物の不在下で前記生物学的活性に対しての、前記候補体化合物の存在下での前記生物学的活性の低下が、前記STAAU_R2ポリペプチドに対して活性である化合物として前記候補体化合物を同定することを特徴とする方法。
  2. 前記バクテリオファージポリペプチド配列が、
    a) 配列番号4;
    b) 配列番号6;
    c) 配列番号8;
    d) 配列番号10;及び
    e) a)〜d) のいずれか1つのフラグメント又は変異体から成る群から選択され、ここで前記フラグメント又は変異体が配列番号2、そのフラグメント又は変異体と相互作用するその特異的結合能力を維持する請求項1記載の方法。
  3. 前記検出が、前記バクテリオファージポリペプチドへの前記STAAU_R2ポリペプチドの結合を測定する工程を含んで成り、ここで前記STAAU_R2ポリペプチド又は前記バクテリオファージポリペプチドが直接的に又は間接的に検出可能なよう標識される請求項2記載の方法。
  4. 前記の検出が、FRETによる測定を含む請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  5. 前記の検出が、蛍光偏光変化による測定を含む請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  6. 前記の検出が、表層プラスモン共鳴による測定を含む請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  7. 前記の検出が、シンチレーション・プロキシミティ・アッセイによる測定を含む請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  8. 前記の検出が、バイオセンサー・アッセイによる測定を含む請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  9. 前記検出が、ファージ・ディスプレイによる測定を含む請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  10. 前記の候補体化合物が、小分子、ペプチド類似物質、及びバクテリオファージ阻害タンパク質のフラグメント又は誘導体から成る群から選択される請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  11. 前記の候補体化合物が、発現系によって合成され、そして精製された、又は人工的に合成されたペプチドである請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  12. STAAU_R2ポリペプチド、又は前記STAAU_R2ポリペプチドと特異的に相互作用するバクテリオファージORF由来のポリペプチドの1つに対して活性的な化合物の同定方法であって、候補体化合物の存在又は不在下で第一及び第二ポリペプチドを接触せしめ、ここで前記第一ポリペプチドが配列番号2のアミノ酸配列、そのフラグメント又は変異体を含んで成るSTAAU_R2ポリペプチドであり、そして前記第二ポリペプチドが、
    a) 配列番号4;
    b) 配列番号6;
    c) 配列番号8;
    d) 配列番号10;及び
    e) a)〜d) のいずれか1つのフラグメント又は変異体から成る群から選択されたバクテリオファージORFであり、ここで前記フラグメント又は変異体がその生物学的活性を維持し;そして前記第一及び/又は第二ポリペプチドの生物学的活性を検出することを含んで成り、ここで前記候補体化合物の不在下で前記生物学的活性に対しての、前記候補体化合物の存在下での前記生物学的活性の低下が、前記STAAU_R2ポリペプチド又はバクテリオファージに由来するポリペプチドの1つに対して活性である化合物として前記候補体化合物を同定することを特徴とする方法。
  13. STAAU_R2に対して活性的な化合物を同定する請求項12記載の方法。
  14. 前記検出が、前記ポリペプチドへの候補体化合物の結合を測定する段階を含んで成り、そして前記化合物が直接的に又は間接的に検出できるよう標識される請求項12又は13記載の方法。
  15. 前記の検出が、FRETによる測定を含む請求項12又は13記載の方法。
  16. 前記の検出が、蛍光偏光変化による測定を含む請求項12又は13記載の方法。
  17. 前記の検出が、表層プラスモン共鳴による測定を含む請求項12又は13記載の方法。
  18. 前記の検出が、シンチレーション・プロキシミティ・アッセイによる測定を含む請求項12又は13記載の方法。
  19. 前記の検出が、バイオセンサー・アッセイによる測定を含む請求項12又は13記載の方法。
  20. 前記検出が、ファージ・ディスプレイによる測定を含む請求項12又は13記載の方法。
  21. 前記の活性化合物が、小分子、ペプチド類似物質、及びバクテリオファージ阻害タンパク質のフラグメント又は誘導体から成る群から選択される請求項12又は13記載の方法。
  22. 前記の活性化合物が、発現系によって合成され、そして精製された、又は人工的に合成されたペプチドである請求項12又は13記載の方法。
  23. STAAU_R2ポリペプチド又はそのフラグメント、又は前記ポリペプチド又はそのフラグメントをコードする核酸の活性に対する作用物質又は拮抗物質。
  24. STAAU_R2ポリペプチドに対して活性である化合物の同定方法であって、
    候補体化合物と、配列番号2のアミノ酸配列、そのフラグメント又は変異体を含んで成るポリペプチドを発現する細胞とを接触せしめ、ここで前記配列番号2のアミノ酸配列、そのフラグメント又は変異体がバクテリオファージポリペプチド配列に対して特異的に結合することができ;そして
    前記細胞におけるSTAAU_R2活性を検出することを含んで成り、ここで前記候補体化合物の存在下での前記細胞における前記活性の低下が前記化合物によるSTAAU−R2活性の阻害の表示であることを特徴とする方法。
  25. 抗細菌性化合物を製造する方法であって、
    候補体化合物が配列番号2のアミノ酸配列、そのフラグメント又は変異体を含むポリペプチド又は前記ポリペプチドをコードする遺伝子に対して活性であるか否かを検出し、ここで前記配列番号2のアミノ酸配列、その生物学的活性フラグメント又は変異体がバクテリオファージポリペプチド配列に対して特異的に結合することができ;そして
    前記ポリペプチド又はそれをコードする核酸を天然に生成する細菌により感染された生物に投与される場合、治療効果を表すのに十分な量の前記候補体化合物を合成し又は精製することを含んで成る方法。
  26. 前記の抗細菌性化合物が、小分子、ペプチド類似物質、及びバクテリオファージ阻害タンパク質のフラグメント又は誘導体から成る群から選択される請求項25に記載の方法。
  27. 前記の抗細菌性化合物が、組換え発現系によって合成され、そして精製され、又は人工的に合成されたペプチドである請求項25に記載の方法。
  28. 細菌を阻害するための方法であって、前記細菌と、配列番号2のアミノ酸配列、又はそのフラグメント又は変異体を含むS.アウレウス ポリペプチド、又は前記ポリペプチドをコードする遺伝子に対して活性的な化合物とを接触せしめることを含んで成る方法。
  29. 前記化合物が、
    a) 配列番号4;
    b) 配列番号6;
    c) 配列番号8;
    d) 配列番号10;及び
    e) a)〜d) のいずれか1つのフラグメント又は変異体から成る群から選択され、ここで前記フラグメント又は変異体が配列番号2、そのフラグメント又は変異体と相互作用するその特異的結合能力を維持する請求項28記載の方法。
  30. 前記の接触を、生体内で行う請求項29に記載の方法。
  31. 前記の接触が、動物の生体内で行われる請求項29に記載の方法。
  32. 前記接触が、存在する抗微生物剤と組合して行われる請求項29記載の方法。
  33. 前記の抗細菌性化合物が、小分子、ペプチド類似物質、及びバクテリオファージ阻害タンパク質のフラグメント又は誘導体から成る群から選択される請求項29に記載の方法。
  34. 前記の抗細菌性化合物が、組換え発現系によって合成され、そして精製され、又は人工的に合成されたペプチドである請求項29に記載の方法。
  35. 感染による被害を受けている動物において細菌性感染を治療シ又は予防する方法であって、配列番号2のアミノ酸配列、そのフラグメント又は変異体を含むS.アウレウス ポリペプチド、又はそのポリペプチドをコードする核酸に対して活性である、治療又は予防効果を現すのに十分な量での化合物を、前記動物に投与することを含む方法。
  36. 前記化合物が、
    a) 配列番号4;
    b) 配列番号6;
    c) 配列番号8;
    d) 配列番号10;及び
    e) a)〜d) のいずれか1つのフラグメント又は変異体から成る群から選択され、ここで前記フラグメント又は変異体が配列番号2、そのフラグメント又は変異体と相互作用するその特異的結合能力を維持する請求項35記載の方法。
  37. 哺乳動物体内へ体内留置器具を埋め込む前に、体内留置器具と配列番号2のアミノ酸配列、そのフラグメント又は変異体を含むS.アウレウス ポリペプチドに対して活性である化合物を接触させることを含む、細菌性感染を防ぐための予防的処置の方法であって、このような接触が埋め込み部位におけるS.アウレウス感染を防ぐのに十分であることを特徴とする方法。
  38. 細菌による動物の感染を防ぐための予防的処置方法であって、配列番号2のアミノ酸配列、そのフラグメント又は変異体を含むS.アウレウス ポリペプチド又はそのポリペプチドをコードする遺伝子に対して活性である化合物を、前記動物組織表面に細菌が吸着するのを軽減するのに十分な量、動物に投与することを含む方法。
  39. STAAU_R2ポリペプチド、そのフラグメント又は変異体、及びバクテリオファージ44AHJD ORF25、 Twort ORF 168−コードのポリペプチド及びG1 ORF240から選択された少なくとも1つのバクテリオファージポリペプチド、又は前記バクテリオファージからのフラグメントを含んで成る組成物。
  40. 2種の特異的に相互作用するドメインを含んで成る組成物であって、前記第一ドメインがSTAAU_R2ポリペプチドに由来し、そして前記第二ドメインが、前記STAAU_R2ポリペプチドと特異的に相互作用するバクテリオファージORFによりコードされるポリペプチドに由来することを特徴とする組成物。
  41. 医薬組成物の生成方法であって、a)配列番号2のアミノ酸配列、その生物学的活性フラグメント又は変異体を含んで成るSTAAU_R2ポリペプチドに対して活性である化合物を目的とする本発明のスクリーニングアッセイを実施し、ここで前記STAAU_R2ポリペプチドがバクテリオファージORFに由来する第二ポリペプチドに対して特異的に結合することができ、そして前記スクリーニングアッセイは、前記STAAU_R2ポリペプチドの生物学的活性が、候補体化合物の不在下でに比較して、前記候補体化合物の存在下で測定可能的に異なる場合、STAAU_R2ポリペプチドに対して活性である化合物としての候補体化合物の同定を可能にし;そしてb)医薬的に効果的な量でのa)において同定された化合物を、適切な医薬キャリヤーと共に混合し、それにより、医薬組成物を生成することを含んで成る方法。
  42. a)配列番号2のアミノ酸配列、その生物学的活性フラグメント又は変異体を含んで成るSTAAU_R2ポリペプチド、ここで前記STAAU_R2ポリペプチドはバクテリオファージORFに由来するポリペプチドに対して特異的に結合することができ、b)STAAU_R2のポリペプチド、その生物学的活性フラグメント又は変異体、及びSTAAU_R2と特異的に相互作用するバクテリオファージORFによりコードされるポリペプチドから成る1対の特異的に相互作用するドメインを含んで成る組成物;又はc)配列番号2のアミノ酸配列、その生物学的活性フラグメント又は変異体を含んで成る第1ポリペプチド、及びお互い特異的に相互作用するバクテリオファージORFによりコードされる第2ポリペプチドを含んで成るアッセイ混合物の1つの、配列番号2のアミノ酸配列、その生物学的活性又は変異体を含んで成るポリペプチドに対して活性である化合物の同定のためへの使用。
  43. 前記ポリペプチドに対して活性的な前記化合物が、抗菌剤の製造、又は細菌感染の処理又は予防のための薬剤の製造のために使用される請求項42記載の使用。
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