JP2004522913A - 溶椄により結合される部分を持つ軸 - Google Patents

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Abstract

軸(1)上に固定されて一緒に回転する素子(2)は、軸の軸線(3)に対して横向きに位置する面を持ち、軸(1)の座面(4)と軸線に対して直角な素子の面(6,8)との間に形成される隅において、溶接が行われる。回転に悪影響を及ぼすことなく耐久的な結合を行うため、溶接ビード(20)が、軸(1)の軸線(3)に対して横向きに位置する面(6;8)にある始点(21)から始まって、隅に導かれ、それから更に、軸の軸線に対して横向きに位置する面(6;8)にある終点(21′)へ導かれる。
図:図1

Description

【0001】
本発明は、軸であって、その上に取付けられかつ固定されて一緒に回転する素子を持ち、少なくとも素子が取付けられる区域において軸が円柱状であり、素子が円柱状座面及び座面に対して横向きに位置する少なくとも1つの面を持ち、軸の座面と座面に対して横向きに位置する素子の面との間に形成される隅において溶接が行われるものに関する。ここで区域とは、素子の固定個所及び少なくとも1つの長手方向におけるその周囲である。
【0002】
軸は、駆動軸、変速機軸、クランク軸、カム軸又はピストン機関の釣合い軸であり、従って一緒に回転する素子は、任意のフランジ、車又は歯車、クラッチの部分、カム又は釣合い重りであり得る。特に高い回転数で回転する軸が考えられ、従って精度及び回転に関して高度の要求が軸に課される。このような軸は一般に熱処理鋼または肌焼鋼から成り、素子はしばしば肌焼鋼及び/又は鍛造部品、精密鋳造部品又は焼結部品から成っている。
【0003】
一緒に回転する部品に対して有利で好ましい材料は、0.45%以下の炭素含有量を持つ鋼又は鋳鉄又は球状黒鉛鋳鉄であり、基本組織の基質は、少なくとも0.45%のフエライト、残部はパーライト、マルテンサイト又は中間段階組織(ベイナイト)から成っている。
【0004】
このような組合わせでは、摩擦溶接又はレーザ溶接を使用する特別の解決策を別として、特にアーク溶接による直接の溶接結合を回避せねばならない、という信条があった。これに対して2つの理由があった。即ち第1の軸の加熱は、回転に悪影響を及ぼす歪みを生じ、第2に溶接ビードの始端及び/又は終端に亀裂が生じて、疲労限度を低下させるか又は早期の破壊を生じる。亀裂の発生は、特に、アークの確立及び衰弱が溶接部の溶融に同期化不能なことで説明される。
【0005】
従って本発明の課題は、直接の溶接特にアーク溶接のこのような組合わせを利用可能にすることである。精度、回転又は疲労限界に悪影響を及ぼすことなく、軸と素子とが結合されるようにする。
【0006】
本発明によれば、これは、溶接ビードが、軸の座面に対して横向きに位置する面上の始点において始まり、隅へ導かれ、それから再び座面に対して横向きに位置する面上の終点へ導かれていることによって、達せられる。
従って溶接ビードの始点及び終点は、傷つき易い部分、大抵の場合軸から離れている。少なくともこの面の区域において荷重を受けることの少ない素子の横向きに位置する面上において、溶接ビードの始端クレータ及び/又は終端クレータは邪魔にならない。その結合する部分は隅にある。溶接ビードは、軸の全周に従うことができるが、そうする必要はない。即ち溶接ビードは周囲の1つの部分又は複数の部分に限られたままにすることができる。このような隅に設けられる溶接継手の有利な負荷事例は、非常に細い短い溶接ビードを可能にする。それにより溶接ビードの特別な形状によって、熱の導入が少なく、軸は歪まない。
【0007】
座面に対して横向きに位置する面の位置に応じて、溶接ビードの種々の形状が有利である。第1の実施形態において、軸の座面に対して横向きに位置する面が、軸線に対して実質的に直角であり、溶接ビードが始点から隅へ導かれ、弧部分を経て隅の後に続き、それから湾曲部により終点へ導かれている(請求項2)。それにより溶接ビードが一定の速度で引かれるようにすることができる。溶接ビードが角を作ると、この角の所でアークの滞在期間が長くなり、工作物の局部加熱が大きくなる。第2の実施形態では、溶接ビードが始点から終点へ直線的に導かれ、その間で隅に接している(請求項3)。この溶接ビードは特に容易に形成可能であり、形成時間を節約し、一定の溶接速度を保証する。溶接ビードの幅のため、溶接ビードは、直線上の案内にもかかわらず、有限の長さの弧を含む。
【0008】
軸の座面に対して横向き位置する面が軸線に対して実質的に平行であると、溶接ビードが、湾曲部にある始点から隅へ、更に終点へ導かれている(請求項4)。別の実施形態では、溶接ビードが、始点から終点まで、隅に接する弧で導かれている(請求項5)。
【0009】
軸線に対して平行な複数の面の場合、これらの面が繰返して素子が同じ相互間隔で周囲にわたって分布し、これらの面の各々が軸と共に溶接ビードを受入れる隅を形成している(請求項6)。
【0010】
こうして形成される結合部の良好な疲労限度を可能にし、できるだけ僅かで局部的にすぎない加熱への努力を可能にするため、本発明の展開において、溶接ビードの高さが軸の直径の1/15〜1/25である(請求項7)。溶接ビードの高さは、隅継手では、それを区画する四分円の半径で規定される。
【0011】
溶接継手の熱的及び冶金的改善のため、MIG溶接が実施されない場合、溶接(TIG溶接、プラズマ溶接又はレーザ溶接)が保護ガス中で冷たい補足線を供給しながら行われる(請求項8)。ある種の基本材料では、溶接がオーステナイトの補足線を供給しながら行われる(請求項9)。冷たい補足線は熱の導入を少なくする。しかしこれは、MIG法におけるように補足線が通電しない時にのみ可能である。オーステナイト補足線は組織を改善するように作用する。
【0012】
分割されないケースにおいて、ケース内で一緒に回転する機関素子を既に組込まれている軸に結合しようとする場合、TIG溶接又はプラズマ溶接が使用される。なぜならばこの方法では、溶接スパッタが生じないからである。脈動する溶接電流は、良好な溶込みで可能な限り僅かな熱の導入を行うために特に有利である。
【0013】
軸が内燃機関の釣合い軸であり、素子が偏心した重心を持つ釣合い重りであるものにおいて、本発明によれば、溶接部が軸の重心とは反対の側に設けられている(請求項10)と、特に有利である。
この側では、素子のはめ合い面が、遠心力により軸へ押付けられ、それにより有利な応力状態が得られる。
【0014】
機能的かつ製造技術的に有利な構造は、釣合い重りが、軸の重心とは反対側にある2つの外側端面及び切欠きを持つ偏心環であり、それにより釣合い重りが、切欠きの両側で互いに向き合う内側面を持つ2つの環部分と、偏心した重心の側にある扇形部分とから成っている点(請求項11)にある。釣合い重りのこの構成では、最小の重質量により、重心の最大偏心距離が得られる。それにより、極端な場合軸の軸線に対して横向きに位置する4つの面及び軸線に対して平行に位置する2つの面が、溶接結合のために利用可能であり、横向きに位置する面の2つが周囲の一部にわたってのみ利用可能である。
【0015】
有利な解決策は、溶接ビードが軸線に対して直角な内側面に設けられている(請求項12)。これらの溶接ビードはそこに実際上構造空間も必要とせず、軸を包囲する釣合い重りの支持作用により応力を受けない軸の個所に存在する。
【0016】
特に良好な解決策は、溶接ビードが軸線に対して平行な内側面に設けられており(請求項13)、これらの内側面の2つが直径上で互いに対向している点(請求項14)にある。それにより万一の熱歪みが中心対象であり、互いに打消し合う。
【0017】
図により本発明が以下に説明される。
【0018】
図1及び図2において、軸が符号1を付けられ、その回転軸線が符号3を付けられ、軸1上に固定されて一緒に回転する素子が符号2を付けられている。軸1はここでは釣合い軸であり、一緒に回転する素子は釣合い重りであり、この釣合い重りは軸1の円柱状座面4上に取付けられている。軸1はここではその全長にわたって円柱状であるが、素子の片側で段付けされて、直径を増大されることもできるので、そこに一層大きい円柱状座面4′を持っている。
【0019】
素子2、ここでは平衡重りは、2つの外側面6と、周囲の一部にわたってのみ延びる切欠き7とを持ち、この切欠きは2つの内側端面8を形成している。これらの端面8は、一般に軸線3に対して横向きに位置し、特別な場合軸線に対して直角である。こうして面6,8と軸1の座面4との間に直角の隅が形成されて、溶接のために提供される。面6,8は軸線に対して直角でなくてもよい。即ちその直線母線が軸の座面と角をなし、この角が直角の程度であれば、充分である。
【0020】
釣合い重り2は2つの環部分9と偏心した重心11を持つ扇形部分10とから成っている。間にある切欠き7を持つ両方の環部分9は、それにより「ズボン吊り」を形成し、このズボン吊りが運転中扇形部分10を遠心力に対して保持する。釣合い重り2は、例えば軸1の座面4へ滑りばめではまる円筒状座面12を持っている。
【0021】
軸は、ここでは通常の状態ではよく溶接できない熱処理鋼たとえば熱処理された42CrMo4から成り、焼入れされるか又は肌焼きされている。焼入れされた組織を持つ両部分の溶接は、一般に特別な手段、例えば特別な溶接添加材を必要とする。釣合い重り2はここでは鋳造された肌焼き鋼例えばC15から成っているが、鋳鋼又は球状黒鉛鋳鉄(例えばGGG40)から成っていてもよい。
【0022】
釣合い重り2を軸1上に固定するため、両方の内側面8にそれぞれ1つの溶接ビード20が設けられる。溶接ビード20は、始点21即ち始端クレータから、本来の溶接継手である弧部分23にある湾曲部22を経て、再び湾曲部22を経て、終点21即ち終端クレータへ延びている。ここでは溶接される面の角対称面にある溶接ビード20の高さ24は、小さくてもよく、例えば25mmの軸直径では1.3mmである。この細い溶接ビードによって、工作物へ僅かな熱しか導入されない。
【0023】
図3は、図2の変形例を示し、溶接ビード30が始端クレータ31と終端クレータ31′との間で直線的に延びている点でのみ図2とは相違している。その場合溶接継手自体は、溶接ビード30が軸1に接する区域33のみである。
【0024】
図4は別の適用例を示している。軸1上にボス42がある。その結合のため、互いに対向する2つの溶接ビード40が設けられ、その推移は図2に示すものと同じである。万一の熱歪みを考慮する溶接ビードの対称配置の利点は明らかである。
【0025】
最後に図5は、適用例として軸1上への歯車52の固定を示している。ここでは3つの直線状溶接ビード50が設けられ、その始端クレータ51及び終端クレータ51′は、再び軸1から離れて歯車52上にある。本発明による溶接結合は、すべての端面で、従ってこの場合見えない歯車52の側でも行うことができる。歯車が肌焼きされている場合、溶接継手の範囲では肌焼きしないようにする。
【0026】
溶接自体は、保護ガス中でなるべくTIG又はMIG法で行われ、例えば材料対において、オーステナイトの補足線が供給される。熱の導入を最小にするため、補足線は、冷たい状態で、従って予熱されずに供給される。
【0027】
図6は、ここでは断面図でなく側面図で示されている釣合い軸の例で、溶接結合の実施形態を示している。この他の実施形態は、図1の実施形態の代わりに又はこれに加えて使用することができる。
【0028】
展開図では長方形の切欠き7は、軸線に対して直角な平面にある2つの内側面8と、軸線に対して平行な平面にある2つの別の内側面60により区画されている。これらの両方の面60も軸の座面と共に隅を形成し、この実施形態ではこれらの隅がそれぞれ1つの溶接ビード61を受入れている。溶接ビード61は、湾曲部63にある始端クレータ62から、溶接結合を行う直線部分へ、それから再び湾曲部にある終端クレータ62′へ延びている。両方のクレータ62,62′は、再び釣合い重り10の内側面60のみにある。図7の変形例では、溶接ビード71は、弧なるべく円弧にある始端クレータ72から終端クレータ72′へ延びている。弧状の溶接ビード71は、長さ74にわたって軸と釣合い重りとの結合を行う。
【0029】
上述した溶接結合は、軸の減少しない回転精度で非常に良好な疲労限界値を得た。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の対象の縦断面図を示す。
【図2】図1のB−Bによる横断面図を示す。
【図3】変形例における図1のB−Bによる横断面図を示す。
【図4】図2に類似な本発明の第1の他の実施形態の横断面図を示す。
【図5】図2に類似な本発明の第2の他の実施形態の横断面図を示す。
【図6】他の実施形態における図1の対象の平面図を示す。
【図7】図6の変形例を示す。

Claims (14)

  1. 軸(1)であって、その上に取付けられかつ固定されて一緒に回転する素子(2)を持ち、少なくとも素子が取付けられる区域において軸が円柱状であり、素子が円柱状座面(12)及び座面に対して横向きに位置する少なくとも1つの面を持ち、軸の座面と座面に対して横向きに位置する素子の面との間に形成される隅において溶接が行われるものにおいて、溶接ビード(20;30;40;50;61;71)が、軸(1)の座面に対して横向きに位置する面(6;8;60)上の始点(21;31;41;51;62;72)において始まり、隅へ導かれ、それから再び座面に対して横向きに位置する面(6;8;60)上の終点(21′,31′,41′;51′,62′,72′)へ導かれていることを特徴とする軸。
  2. 軸の座面に対して横向きに位置する面(6;8)が、軸線に対して実質的に直角であるものにおいて、溶接ビード(20;40)が始点(21;41)から隅へ導かれ、弧部分(23)を経て隅の後に続き、それから湾曲部(22)により終点(21′;41′)へ導かれていることを特徴とする、請求項1に記載の軸。
  3. 軸の座面に対して横向きに位置する面(6;8)が軸線に対して実質的に直角であるものにおいて、溶接ビード(30;50)が始点(31;51)から終点(31′;51′)へ直線的に導かれ、その間で隅に接していることを特徴とする、請求項1に記載の軸。
  4. 座面(12)に対して横向き位置する面(60)が軸線に対して実質的に平行であり、溶接ビード(61)が、湾曲部(63)にある始点(62)から隅へ、更に終点(62′)へ導かれていることを特徴とする、請求項1に記載の軸。
  5. 座面(12)に対して横向き位置する面(60)が軸線に対して実質的に平行であり、溶接ビード(71)が、始点(72)から終点(72′)まで、隅に接する弧(74)で導かれていることを特徴とする、請求項1に記載の軸。
  6. 素子が同じ相互間隔で周囲にわたって分布し、かつ軸線に対して実質的に平行な複数の面を持ち、これらの面の各々が軸と共に溶接ビードを受入れる隅を形成していることを特徴とする、請求項4に記載の軸。
  7. 溶接ビードの高さ(24)が軸(1)の直径の1/15〜1/25であることを特徴とする、請求項1に記載の軸。
  8. 溶接が保護ガス中で冷たい補足線を供給しながら行われることを特徴とする、請求項1に記載の軸。
  9. 溶接が保護ガス中でオーステナイトの補足線を供給しながら行われることを特徴とする、請求項1に記載の軸。
  10. 軸(1)が内燃機関の釣合い軸であり、素子(2)が偏心した重心(11)を持つ釣合い重りであるものにおいて、溶接部が軸(1)の重心(1)とは反対の側に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の軸。
  11. 釣合い重りが、軸(1)の重心(11)とは反対側にあって軸線に対して直角な2つの外側面(6)及び切欠き(7)を持つ偏心環であり、それにより釣合い重りが、切欠き(7)の両側で互いに向き合う内側面(8)を持つ2つの環部分(9)と、偏心した重心の側にある扇形部分(10)とから成っていることを特徴とする、請求項10に記載の軸。
  12. 内側面(8)が軸線に対して直角であるものにおいて、溶接ビード(20;30)が軸線に対して直角な内側面(8)に設けられていることを特徴とする、請求項11に記載の軸。
  13. 内側面(60)が軸線に対して平行であるものにおいて、溶接ビード(61;71)が軸線に対して平行な内側面(60)に設けられていることを特徴とする、請求項11に記載の軸。
  14. 内側面(60)が軸線に対して平行であるものにおいて、軸線に対して平行な内側面(60)が互いに対向し、その各々が溶接ビード(61;71)を受入れていることを特徴とする、請求項13に記載の軸。
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