JP2004520698A - エレクトロルミネセントデバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】電極層を、確固たる信頼性を有して、かつ、高い歩留りで製造することを可能にするエレクトロルミネセントデバイスを提供すること。
【解決手段】エレクトロルミネセントデバイス(51)は、エレクトロルミネセントデバイス(51)の電極層を、複数の独立にアドレス可能な電極セグメント(11a, 11b, 11d)に区画するためのオーバーハンギング部(13)を持つ区画用レリーフパターンを有している。そのオーバーハンギング部(13)は、あらかじめ定められた位置(13b, 13c, 13d, 13e)において曲がっている。そのように形成された曲がりは、電極セグメント(11a, 11b, 11d)が、オーバーハンギング部(13)の頂に存在する第2の電極層を介して偶発的に接続される危険性を減少させるために、湾曲して弧状にされ、および/または、斜角をつけられている。
【選択図】図5
【解決手段】エレクトロルミネセントデバイス(51)は、エレクトロルミネセントデバイス(51)の電極層を、複数の独立にアドレス可能な電極セグメント(11a, 11b, 11d)に区画するためのオーバーハンギング部(13)を持つ区画用レリーフパターンを有している。そのオーバーハンギング部(13)は、あらかじめ定められた位置(13b, 13c, 13d, 13e)において曲がっている。そのように形成された曲がりは、電極セグメント(11a, 11b, 11d)が、オーバーハンギング部(13)の頂に存在する第2の電極層を介して偶発的に接続される危険性を減少させるために、湾曲して弧状にされ、および/または、斜角をつけられている。
【選択図】図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エレクトロルミネセントデバイスの電極層をパターニングするためにアンダーカットされたオーバーハンギング部を有するレリーフパターンを備えた基板表面を有するエレクトロルミネセントデバイスであって、そのオーバーハンギング部が、少なくとも1つの実質的な線分部分とあらかじめ定められた位置における1つの曲がりとを有する外境界線を持つエレクトロルミネセントデバイスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的に云えば、エレクトロルミネセント(EL)デバイスは、電極から電流が供給され、その電流が内部を流れるときに発光することのできるEL材料を有するデバイスである。電極間あるいは電極層間に配されたEL材料(あるいは、存在するとすれば、どんな他の機能材料でも)が、有機的な性質、あるいは、ポリマー的な性質を有すると、そのデバイスは、それぞれ、有機ELデバイスあるいはポリマーELデバイスと呼ばれる。本発明に関しては、用語「有機」は、「ポリマー」を包含している。
【0003】
ダイオード型のELデバイス、即ち、発光ダイオードは、電流を一方向に優先的に流し、一般に、ホール注入電極(アノードともいう)と電子注入電極(カソードともいう)との間に配されたEL材料を有する。適切な電圧を印加することによって、ホールおよび電子が、それぞれ、アノードおよびカソードからEL材料に注入される。EL材料の内部におけるホールと電子との発光再結合によって、光が生成される。種々の有機EL材料を用いることによって、発光の色を変化させることができる。
【0004】
ELデバイスは、光源として用いることができ、特に、有機タイプのそれは、ディスプレイのバックライトのような大面積照射応用に適している。複数のエレクトロルミネセント素子(以下、ピクセルとも呼ばれる)を有する(有機)ELデバイスは、単色ディスプレイデバイスやマルチカラーディスプレイデバイス、静止画像ディスプレイ、セグメント形ディスプレイデバイス、あるいは、パッシィブマトリクスディスプレイやアクティブマトリクスディスプレイのようなディスプレイ用途に適している。有機ELデバイス、とりわけ、ポリマーELデバイスは、フレキシブル、即ち、曲げることができ、したがって、撓まない、および/または、フラットなディスプレイでは実現不可能なディスプレイ応用を可能にするように形作ることができる。
【0005】
欧州公開特許EP−A−892588号公報に、1つのエレクトロルミネセントデバイスが、セグメント形ELディスプレイデバイスの形で開示されている。電子注入電極層を独立にアドレス可能なセグメントにパターン化するために、区画用オーバーハンギング部を持つレリーフパターンが、基板上に備えられている。オーバーハンギング部は、T字形状をしており、したがって、アンダーカット領域を備えている。電極層が、基板に対して直角に向けられた電極材料のフラックスを伴う真空蒸着を用いて堆積されると、電極材料は、そのアンダーカット領域に達することができず、したがって、電極層は、個々のセグメントに区画される。オーバーハンギング部は、アンダーカット領域の外境界線を、したがって、電極セグメントの輪郭を描く外境界線を持っている。あらかじめ定められた望ましい電極層パターンに適合するように、この外境界線は、実質的な線分部分を持っており、そして、あらかじめ定められた位置で曲がっている。
実際には、アンダーカットの大きさに、1つのバランスが見出されなければならない。あまりにも大きなアンダーカット領域は、ELデバイスの、後に続く層の堆積に悪影響を及ぼし、また、与えられた頂の幅において、オーバーハンギング部が倒れ落ちる危険性を増加させるであろうが、一方、あまりにも小さいアンダーカットは、電極分離を信頼できないものとする。どの場合にも、上述のタイプの電極層を首尾良くパターン化できるプロセス・ウィンドーは、かなり狭い。電極層堆積プロセスにおける変動、あるいは、区画用レリーフパターンを備える過程における変動のために、そして、そのような変動は、どのようなプロセスにも本来的なものであるから、偶発的に電気的に接続された電極セグメントに通じる全ての位置で電極分離が首尾良く達成されることはないであろう。そのように配線された電極を持つデバイスは不完全で、製造プロセスの歩留まりを減少させる。
【0006】
本発明の1つの目的は、なかんずく、電極層を、確固たる信頼性を有して、かつ、高い歩留りで製造することを可能にする、冒頭のパラグラフに記述されたタイプのエレクトロルミネセントデバイスを提供することである。とりわけ、区画用レリーフパターンが、フォトレジストのようなフォトパターン化された材料またはフォトパターン化可能な材料で作られるときに、改善された信頼性、強健さ、および、歩留りが、実現されることになる。さらにとりわけ、改善された歩留りは、また、EL層のようなELデバイスの機能的な層がウェット堆積法によって堆積されるときにも、達成されるに違いない。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、この目的は、前記曲がりが、曲がりにおける前記オーバーハンギング部を、前記オーバーハンギング部の前記線分部分におけると実質的に同じ大きさまでアンダーカットさせるほどに十分に滑らかであることを特徴とする、冒頭のパラグラフに記述のエレクトロルミネセントデバイスで達成される。
【0008】
本発明者達は、電極セグメント間の偶発的な短絡が、オーバーハンギング部が、より厳密には、オーバーハンギング部の外境界線が、曲っている位置で主に生じるということを観察している。十分に滑らかな曲がりを用いることによって、滑らかな曲がりに沿う位置が、線分部分に沿う位置に十分に似たものになり、したがって、曲がり位置における短絡の危険性が、線分部分でのレベルまで減少する。
【0009】
外境界線が、電極セグメントの短絡の発生に寄付する複数の曲がりを含有している場合に、全てのそのような曲がりを十分に滑らかにすることが有効であることは、明白である。
【0010】
曲がりと線分部分とに実質的に同じ大きさのアンダーカットを得ることは、EL層のようなELデバイスの機能的な層が、スピンコーティングやインクジェットプリンティングのようなウェット堆積法を用いて備えられる場合に、そのような層が得られる流動種が、アンダーカット領域15内を進み、アンダーカット領域内に厚い堆積(0.5 μmもの厚さの堆積が観察されている)の形成に至り、したがって、アンダーカットの大きさをさらに減少させることが観察されているので、そのような場合にとりわけ重要である。
【0011】
本発明をさらに解明すると、オーバーハンギング部の外境界線は、オーバーハンギング部のアンダーカット領域の外境界線を決め、したがって、その外境界線を基板表面上に垂直に投影することによって電極パターンの輪郭を決める連続曲線であるということが理解される。外境界線とレリーフパターンを支えている表面とを接続するオーバーハンギング部の表面が、オーバーハンギング部の側壁である。
【0012】
外境界線は、1つのあらかじめ定められた位置に1つの曲がりを有している。用語「あらかじめ定められた」とは、その曲がりが、製造工程中のある欠陥(偶然であれ系統的であれ)によって作り出される曲がりとは対照的に、特別の目的に役立ったり、特別の技術的な効果を備えているということを意味するものであると理解されるべきである。曲がりの両側の任意の2点を結ぶ全ての線分が、オーバーハンギング部の外部を通る場合、曲がりは内側曲がりであるといわれ、あるいは、曲がり部分は内側曲がり部分であるといわれる。反対に、任意のそのような線分がオーバーハンギング部の内部を通る場合、曲がりは外側曲がりであるといわれる。
【0013】
オーバーハンギング部の1つの特定の形状は、リブ形状のオーバーハンギング部である。そのようなリブ形状のオーバーハンギング部は、各側に1つの側壁を持っている。リブ形状部の1つの単純な曲がりは、外境界線が、たがいにほぼ平行に走る1つの内側曲がりと1つの外側曲がりとを持っている曲がりである。
【0014】
その曲がりは、十分に滑らかであるべきである。曲がりの滑らかさは、例えば、区画用レリーフパターンが作られるフォトパターン化可能な材料をパターン化するために用いるマスクに適切な調整を行うことにより調整することができる。
【0015】
曲がりが滑らかでなければならない大きさは、なかんずく、区画用レリーフパターンを備えるために用いられる照射装置の解像限界に依存する。したがって、特定の滑らかさの値を与えるのではなく、広義に、曲がりが滑らかでなければならない大きさを、オーバーハンギング部がアンダーカットされる大きさで定義するのが適切である。曲がりが必要な大きさまで滑らかであるかどうかは、境界線に沿う種々の位置において区画用レリーフパターンの断面の走査型電子顕微鏡写真をとるなどのルーチン分析技術によって確証することができる。望ましければ、適切に設計されたテスト構造を、この目的に使用することができる。
【0016】
本発明では、外境界線の位置Xにおけるアンダーカットの大きさは、点Xをオーバーハンギング部を支えている表面に垂直に投影して得られる点と、オーバーハンギング部を支えている表面と、Xにおける横軸断面(transverse profile)を含む平面内にあり、Xを通り、Xと異なる位置でオーバーハンギング部の側壁に接するが交差しない線、あるいは、側壁がXにおいて実質的に直線であれば、その直線の側壁に一致する線との交点と、の間の距離として定義される。外境界線の位置Xにおける横軸断面は、当該位置を有し、かつ、外境界線の位置Xにおける接線の基板表面への垂直投影(即ち、外境界線が曲線であれば基板表面の接平面)に対応する法線を持つ断面に包含される。
【0017】
本発明に従えば、曲がりにおけるアンダーカットの大きさUbは、線分部分におけるアンダーカットの大きさUsと実質的に同じであるべきである。当業者には、アンダーカットの大きさと短絡の危険性との間の関係が徐々に変化する関係であるということ、および、実質的に相等しいアンダーカットと相異なるアンダーカットとを分離する、どんな定量的分岐ラインも、ある程度自由裁量にまかされるところがあるということは、容易に認識されるであろう。このことを心に留めて、本発明では、「実質的に同じ」とは、Ub/Usが、0.80より大きく、好ましくは0.90より大きく、さらに好ましくは0.95より大きいことを意味すると理解されるべきである。
【0018】
曲がりが滑らかでない場合、それをもっと滑らかにすることができる少なくとも2つの仕方、すなわち、曲がりに斜角をつけることによる、あるいは、曲がりを湾曲させて弧状にすることによる、あるいは、それらの組み合わせによる仕方がある。
【0019】
アンダーカットの大きさに基づいて曲がりの滑らかさを選択することは、電極セグメントが短絡する危険性を判断するための信頼できる基準である。しかしながら、その適用は、特定の位置、特に、曲がりがある位置で断面を取ることを必要とし、それは、正確にそれらの位置で基板を分断することを伴うので、扱いにくいことがある。したがって、より簡単に用いることができる基準を持つことは、有益なことである。
【0020】
通常、ELデバイスは、第1と第2の電極層の間に配されたEL層を有している。第2の電極層は、区画用レリーフパターンによってパターン化されているとする。任意に、それは、ホールや電子の輸送/注入層のような層をさらに含有することもある。第2の電極層のセグメント間の偶発的な短絡の危険性の減少ということに関しては、第1の電極層、EL層、および、ホールや電子の輸送/注入層、ならびに、そのような層の材料の選択は、決定的なことではない。
【0021】
好適な有機EL材料には、低分子量あるいは高分子量の有機のフォトルミネセント化合物、エレクトロルミネセント化合物、蛍光性化合物および燐光性化合物が含まれる。好適な低分子量化合物は、当業界において周知であり、トリス(8−キノリノール)アルミニウム錯体およびクマリンを含んでいる。そのような化合物は、真空蒸着法を用いてつけることができる。
【0022】
好ましい高分子量材料には、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリチオフェンビニレンや、より好ましくは、ポリ−p−フェニレンビニレンのような、実質的に共役したバックボーン(主鎖)を持つELポリマーが含まれる。特に、(青色発光の)ポリ(アルキル)フルオレン、赤色、黄色あるいは青色光を発光するポリ−p−フェニレンビニレン、2−あるいは2、5−置換ポリ−p−フェニレンビニレンが好ましい。
【0023】
本発明では、用語「有機」には、「ポリマー」が含まれ、一方、用語「ポリマー」およびそれから誘導されるそれが付加された物には、ホモポリマー、共重合体、三量体、および、オリゴマーはもちろん、より上位の同族体、が含まれる。
【0024】
有機EL層は、50 nmから200 nm、特に、60 nmから150 nmの平均厚さを持つことが好ましく、あるいは、70 nmから100 nmの平均厚さを持つことが好ましい。
【0025】
ホール注入/輸送層(HTL)に好適な材料には、芳香族第三アミン、特に、ジアミンまたはより上位の同族体、ポリビニルカルバゾール、キナクリドン、ポルフィリン、フタロシアニン、ポリアニリンおよびポリ−3、4−エチレンジオキシチオフェンが含まれる。
【0026】
電子注入/輸送層(ETL)に好適な材料には、オキサジアゾールをベースとした化合物およびキノリンアルミニウム化合物が含まれる。
【0027】
ITOがアノードとして使用される場合、ELデバイスは、50〜300 nm厚のポリ−3、4−エチレンジオキシチオフェン層、あるいは、50〜200 nm厚のポリアニリン層のホール注入/輸送層材料を有するのが好ましい。
【0028】
一般に、ELデバイスは、1枚の基板を有している。その基板は、発光光に関して透明であるのが好ましい。好適な基板材料には、フレキシブルであるか否かの如何によらず透明な合成樹脂、石英、セラミック、ガラスが含まれる。その基板は、レリーフパターンのための支持表面を供給する。
【0029】
第1の電極層が電子を注入し、第2の電極層がホールを注入してもよい。第1の電極層がホールを注入し、第2の電極層が電子を注入するのが好ましい。
【0030】
電子注入電極は、Yb, Ca, Mg:Ag, Li:Al, Baのような低仕事関数を持つ金属(合金)から作られるか、あるいは、Ba/Al電極やBa/Ag電極のような異なる層のラミネートであるか、あるいは、区画用レリーフパターンを用いてパターン的に堆積することのできる他の電極材料であるのが好適である。
【0031】
ホール注入電極は、Au, Pt, Agのような高仕事関数を持つ金属(合金)で作るのが好適である。インジウムスズ酸化物(ITO)のような、より透明なホール注入電極材料を使うのが、好ましい。ポリアニリン(PANI)およびポリ−3、4−エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)のような導電性ポリマーもまた、好適な透明ホール注入電極材料である。PANI層は50〜200 nm、PEDOT層は100〜300 nmの厚さを持つのが好ましい。ITOホール注入電極が用いられる場合には、第1の電極は、ホール注入電極であるのが好ましい。
【0032】
関連して、本発明は、前記曲がりが、前記基板表面に実質的に平行な表面内の実質的に全ての位置で、最小1 μmの曲率半径を持つ弧部分を有することを特徴とする、冒頭のパラグラフで記述したようなエレクトロルミネセントデバイスに関するものである。
【0033】
曲がりを十分に滑らかにするために、特定の最小曲率を持つ弧部分が、用いられる。アンダーカットの大きさと比較して、この基準は、単に、レリーフパターンを平面図で検査することしか要求せず、断面をとる必要は全くないから、実際の使用には、より簡単である。
【0034】
外境界線の1位置における曲率半径|r|は、その外境界線が1平面内に位置していれば、|(1 + y’2)3/2 / y’’|で定義される。y’および y’’は、それぞれ、外境界線のその位置における1次および2次導関数である。基板表面が平面でない場合には、それに対応して、定義が修正される。
【0035】
当業者には、曲がり部分が湾曲して弧状になっている大きさと短絡の危険性との間の関係が徐々に変化する関係であるということ、および、湾曲して弧状になっている曲がり部分と弧状になっていない曲がり部分とを分離する、どんな定量的分岐ラインも、ある程度自由裁量にまかされるところがあるということは、容易に認識されるであろう。さらに、一方では、曲がりができるだけ滑らかで、したがって、曲率半径ができるだけ大きいことを要求して短絡の危険性を減少させる要請があり、他方では、レリーフパターンによって占められる面積は、発光に寄与せず、デバイスの輝度を減少させるから、区画用レリーフパターンによって占められる面積をできるだけ小さく、したがって、曲率半径をできるだけ小さく保つ要請があり、最小曲率半径は、両者の間の歩み寄りを表わしている。
【0036】
これらの考察を心に留めて、本発明に従えば、曲がりでの曲率半径は、最小1 μmであるべきである。ELデバイスの応用に依存して、半径は、最小2 μm、あるいは最小5 μm, 10 μm、あるいは、20 μmでさえある。ハンドヘルド、ラップトップ、デスクトップ、テレビ応用用のELディスプレイデバイスのような多くの応用にとって、5 μmの制限は、十分過ぎるほどである。それどころか、多くのそのような応用では、平均半径で10, 15, 20 μm、あるいは、さらに大きくても好適である。平均曲率半径に対する上限は、なかんずく、湾曲しなければならないレリーフパターンの最小の特性サイズによって決定される。最小の特性サイズは、ひるがえって、レリーフパターンを備えるために使用されるパターニング法の解像度を、したがって、好適に利用可能なパターニング法の範囲を決定する。フォトリソグラフィの場合には、プロキシミティプリンティングによって備えられる解像度が、高解像度ディスプレイに対してさえ十分である。一般的に言って、パターニング法のコストは、解像度が上がるとともに上昇するので、できるだけ大きな曲率半径を選択するのが望ましい。通常、プロキシミティプリンティングの場合の最小曲率半径は5〜10 μm、プロジェクションリソグラフィを用いて2〜5 μm、ステッパを用いて1〜2 μmである。
【0037】
曲率半径は、曲がりに沿った実質的にすべての位置において、特定された最小値を持つべきである。曲率半径は局所的な量であるから、弧部分、実際には、外境界線の任意の部分が、デバイスのどんな特定の目的にも役立たず、とりわけ、あらかじめ定められた位置における曲がりを構成していない曲率の大きな微小領域を含んでいることがある。そのような微小領域は、例えば、塵埃片の存在やプロセス状態におけるその他の系統的あるいは予測できない変化がもとで生じるかもしれない。そのような微小領域に対して、最小半径条件が実質的にすべての位置で満たされなければならないという要求が達成されることを考慮にいれてはならない。用語「実質的に」は、本発明では、この基準が、外境界線に沿ったすべての位置の少なくとも95%、より良くは97%、さらにより良くは99%によって満足されるということを意味すると理解するべきである。
【0038】
曲がりを湾曲させて弧状にする代わりに、曲がりを、斜角にしてもよい。
【0039】
したがって、本発明のさらなる1つの観点は、前記曲がりが、最小2 μmの長さを持ち、かつ、接続する外境界線線分部分と最小120 ?の角度をなす傾斜線分部分を備えることによって斜角をつけられていることを特徴とする、冒頭のパラグラフに既述のようなエレクトロルミネセントデバイスに関する。
【0040】
隣接した線分部分となす傾斜線分部分の最小長さおよび最小角度に対して、弧部分に関して示された考察が、必要な変更を加えて適合する。あるいはまた、最小角度は、例えば、110°, 130°あるいは140°に選択してもよいし、一方、最小長さは、3 μm, 5 μm, 10 μm、あるいは、妥当であれば20 μmでさえあってもよい。
【0041】
好適な1実施例において、前記オーバーハンギング部が、フォトレジストのようなフォトパターン化された材料またはフォトパターン化可能な材料を有する。
【0042】
十分に滑らかな曲がり、即ち、斜角をつけられた曲がりや弧状の曲がりを使用する利点は、とりわけ、オーバーハンギング部が、従来のフォトレジストのようなフォトパターン化可能な材料を用いて作製されたときに得られる。フォトパターン化可能な材料の使用は、オーバーハンギング部を、簡単な仕方で得ることを可能にする。そのような方法の例が、欧州公開特許EP−A−892588号公報の中に与えられている。
【0043】
本発明に係るエレクトロルミネセントデバイスの好適な1実施例において、前記オーバーハンギング部が、ネガ型のフォトパターン化可能な材料またはそれに等価な材料から統合的に形成される。
【0044】
フォトレジストのようなフォトパターン化可能なネガ型の材料から統合的にオーバーハンギング部を形成することによって、オーバーハンギング部を単一のフォトリソグフィーステップで作製することが可能になる。用語「ネガ型」は、処理後に、パターン的に照射されたエリアだけが基板上に残るように処理することが可能な、どのようなフォトパターン化可能な材料にも関連するということを意味すると理解するべきである。そのようなネガ型レジストは、当業界において周知であり、本発明では、イメージ反転レジスト、および、その他の任意の、ネガ型レジストとして振舞うように処理されるレジストを含んでいる。
【0045】
例えば、単一のフォトグラフィーステップでオーバーハンギング部を製造するための好都合な方法(その方法は本発明の範囲を越えて適用可能である)は、オーバーハンギング部を得るために、ネガ型レジストを、暗無照射領域、完全照射領域、および、暗無照射領域と完全照射領域との間に配された中間照射領域を持つパターンに合わせて光を照射することである。中間照射領域は、完全照射領域と無照射領域とが受ける照射線量の中間の照射線量を受ける。ネガ型レジストが、そのようなパターンに合わせて照射されると、現像の後に、オーバーハンギング部が、中間照射領域に形成されたアンダーカット領域を持って形成される。外境界線は、通常、無照射領域と中間照射領域の境界に位置し、ここで、中間照射領域と無照射領域との間の変わり目は、徐々に変化するものであると理解するべきである。
【0046】
本発明に係るエレクトロルミネセントデバイスのさらなる1実施例は、前記オーバーハンギング部が、前記電極層をn個の互いに分離した電極セグメントに区画するためのn方ジャンクション(nは最小3)を有し、前記n方ジャンクションの前記外境界線が、十分に滑らかな複数の曲がりを有することを特徴とする。
【0047】
本発明は、n方ジャンクションを有するように設計されたオーバーハンギング部を有するレリーフパターンにとりわけ有利である。そのようなジャンクションは、互いに接近した少なくとも2つの内側曲がりを持っている。短絡の危険性は、そのような構成において特に高いことが見出されている。一般に、そのジャンクションは、T字路のような3方ジャンクション、あるいは、十字路のような4方ジャンクションである。
【0048】
本発明は、どんな種類のエレクトロルミネセントデバイスにも、とりわけ、どんなエレクトロルミネセントディスプレイデバイスにも適用可能である。例えば、そのデバイスは、バックライト、静止画像ディスプレイ、照明を施されたアイコン、掲示板、交通信号機であるかもしれない。好適なディスプレイ装置には、パッシィブ型およびアクティブ型のマルチカラーや単色のマトリクスディスプレイが含まれる。
【0049】
独特な1つの実施例において、エレクトロルミネセントデバイスは、セグメント形エレクトロルミネセントデバイスである。
【0050】
通常、セグメント形ディスプレイデバイスの電極層は、複数の独立にアドレス可能な電極セグメントを有するようにパターン化される。通常、しかし、必ずではなく、それらのセグメントは、タイムマルチプレックス様式でアドレスされる。通常、これらのうちの少なくとも1つは、オーバーハンギング部を持つレリーフパターンを用いて備えられる。電極層の望ましいパターンは、しばしば複雑な形状をしており、いくつかはn方ジャンクションを形成するように配置された多くの曲がりを持つ外境界線を有している。したがって、本発明は、セグメント形ディスプレイデバイスに組み合わせて用いたときにとりわけ有利である。
【0051】
本発明に係るエレクトロルミネセントデバイスのさらに他の実施例において、前記区画用レリーフパターンが、各々が上述の大きさまで十分に滑らかにされた複数の曲がりを、各々、有する少なくとも2つの突出部を持つオーバーハンギング部を有する。
【0052】
本発明の出願人の名義の未公開欧州特許出願(出願番号00204053.3, (PH−NL000622))において、オーバーハンギング部のアンダーカット領域が、その後の、EL層のようなELデバイスの機能的な層が得られる流動層の堆積に悪影響を及ぼすことが記載されている。このことは、細片状のオーバーハンギング部を持つパッシィブマトリクスデバイスで特に問題となることが見出されている。そのような悪影響が生じるのを防ぐために、オーバーハンギング部が、突出部を有して備えられる。しかしながら、外境界線があらかじめ定められた位置で曲がるという要求は、いずれかの曲がりが十分に滑らかでなければ、電極セグメント間の短絡を引き起こす原因となる。
【0053】
本発明のこれらの、そして、他の観点が、以下に記述の実施例を参照して明確になり、解明される。
【0054】
【発明の実施の形態】
実施例1 ( 本発明によらない ) 図1および図2を参照すると、ELデバイス1が、第1の型の電荷(ホールまたは電子)を注入するための独立にアドレス可能な電極5aおよび5bを有する第1の電極層と、第1の型の電荷を注入および/または輸送するための電荷注入/輸送層7と、エレクトロルミネセント層9と、第2の型の電荷を注入するための独立にアドレス可能な電極11a, 11b, 11dを有する第2の電極層と、を連続して備えた基板3を持っている。電極に電圧が印加されると、ホールと電子とが、注入される。エレクトロルミネセント層9内に注入されたホールと電子との再結合によって、特定の色の光が、生起する。
【0055】
第2の電極層を区画するために、ELデバイス1は、オーバーハンギング部13が示されている区画用レリーフパターンを有している。オーバーハンギング部13は、アンダーカット領域15を持っている。アンダーカットの大きさが、距離Uによって示されている。
【0056】
図2A, 2B,2Cは、オーバーハンギング部のさらなる実施例213を示している。図2A, 2Cにおいて、オーバーハンギング部213は、図2Cでは区画用レリーフパターンと統合する部分である基部214によって支持されている。
【0057】
オーバーハンギング部13は、曲がり13b−eを形成するようにあらかじめ定められた位置で曲がっている線分部分を有する外境界線13aを持っている。曲がり13bは、その曲がりの一方の側上の点と他方の側上の点とを結ぶ線分がレリーフパターン13の内部を横切るから、外側曲がりである。類似して、曲がり13c−eは、同様の線分がレリーフパターン13の外部を通っているから、内側曲がりである。曲がり13dおよび13eは、電極層を、3つの互いに分離された電極セグメント11a, 11b, 11dに区画するための3方T形ジャンクションの部分である。
【0058】
アンダーカット領域15のために、オーバーハンギング部13は、製造(詳細な例は以下に記述される)中に、第2の電極層を、相異なるセグメント11a, 11b, 11c, 11dにパターン化することを可能にし、その結果、独立にアドレス可能な電極11a, 11b, 11dと、何らの機能を有しない電極材料のセグメント11cとが生じる。しかしながら、曲がり13b−eは、十分に滑らかではないので、電極セグメントの望ましい分離ができないという高い危険性がある。このようなことが、曲がり13b, 13d, 13eを例として、図1で示される。曲がり13bと13dとでは、電極セグメント11aと11cとが接続しており、一方、曲がり13dでは、セグメント11cと11dとが接続しており、その結果、電極セグメント11aと11dとを接続して形成される導通パス、したがって、短絡された第2の電極層が生じる。ここに示されるように隣接したセグメント間で短絡が形成される必要があるが、電極セグメントは、何らの機能を持たないセグメント11cを介して接続可能な任意のセグメントと短絡することが可能である。実際の設計では、独立にアドレス可能であるためのものである任意の2つのセグメントが、レリーフパターンの頂上に存在する何らの機能を持たないセグメントを介して接続可能である。
【0059】
図3および図4は、電極短絡の問題の起源を例証するのに役立つ、エレクトロルミネセントデバイスの製造の一ステージを線図的に示している。特に、ELデバイス1の製造の一ステージが示されている。示されているステージは、オーバーハンギング部13(その輪郭が破線で示されている)が得られるフォトパターン化可能な材料層12の照射ステージである。本例では、そのフォトパターン化可能な材料は、ネガ型フォトレジストである。開口17bを持つマスク17を通して層12を近接してパターン的に露光することによって、完全照射エリア12cと、非照射エリア12aとが、形成される。マスクエッジ17aで生じる回折効果により中間照射エリア12bも形成され、ここで、異なるエリア間の遷移が急峻ではなくゆるやかであるということが理解される。使用しているネガ型フォトレジストは、非照射エリア12aが可溶性のままであり、完全照射エリア12cが不溶性にされるという特性を持つので、中間照射エリア12bは、中間の溶解度を持ち、したがって、現像の後、オーバーハンギング部13にアンダーカット領域15ができる。パターニングプロセスのパラメータを変化させることによって、とりわけ、層12に対するマスク15の距離を変化させることによって、任意の適切な量のアンダーカットを得ることができる。
【0060】
図3を参照すると、マスク17が、オーバーハンギング部13の輪郭を決定する。中間照射エリア12bは、マスクエッジ17aと外境界線13aとの間に位置している。図4に示される照射パターンは、曲がりから遠い位置では典型的なものである。しかしながら、曲がり13b−e(図2を参照)では、照射パターンは、異なる。少なくとも1つの違いは、曲がり13bのような外側曲がりでは、領域14bのような中間照射領域が、その曲がりから遠い領域よりも、光を少なくしか受け取らない、即ち、アンダー露光されるということである。曲がり13c−eのような内側曲がりでは、中間照射領域14c−eは、領域12bのような線分部分の中間照射領域よりも多くの光を受け取る。さらに、基板表面が光を反射する場合には、領域14b−eの干渉パターンは、一般に、領域12bにできるそれとは異なる。領域14bと領域12bとの間の照射の差の結果として、オーバーハンギング部13の線分部分のアンダーカットの大きさは、曲がり位置13b−eのそれと実質的に異なる。
【0061】
曲がりでのアンダーカットの大きさが減少すると、それは、電極層が要求の通りには区画されないという危険性を増加させ、例えば、図1に示されるデバイスに帰着する。
【0062】
電極セグメントが偶発的に接続される危険性は、オーバーハンギング部13が、図1および図3に示される3方Tジャンクションのようなn方ジャンクションを有するところで、特に高い。
【0063】
例として、ELデバイス1は、以下のように製造される。
【0064】
透明ライムガラス基板3に、従来通りに、ITOのセグメント5a, 5bを持つパターン化された第1の電極層が備えられる。
【0065】
その後、ITOがコートされた基板をクリーニングし、前処理した後、イメージ反転レジストAZ5214E(Hoechst製)を基板にスピンコートし、5 μm厚のレジスト層12を得る。レジスト層12は、幅20 μmの開口17bを持つマスク17を通しての放射417によって、第1のパターン的な露光にさらされる。その露光は、マスクと基板との距離50 μmと近接して行なわれ、また、35 mJ/cm2の線量が、完全照射領域12cのレジスト層12に入射される。マスクエッジ17aにおける回析によって、中間露光領域12bが備えられる。その後、レジスト層12は、潜像反転のために110°で10分間、ホットプレートで焼成され、線量420mJ/cm2で大線量露光され、現像液槽中に浸漬することによって1:1 AZ現像液水混合液中で90秒間、現像される。現像後、頂の寸法が24 μm、底の寸法が約20 μmの逆台形の形のオーバーハンギング部13を持ち、約4μmのアンダーカットの大きさU、約45°のアンダーカット角度を持つアンダーカット部15になる、区画用レリーフパターンが得られる。
【0066】
電荷輸送層7が、ポリ−3、4−エチレンジオキシチオフェン、PEDOT(Baytron P、Bayer AG製)の水溶液をスピンコーティングし、150 nm厚の層7を生じるようにそのウェットPEDOT層を乾燥することによって堆積される。
【0067】
次に、式(1)のポリマーの0.6重量%トルエン溶液が、1250 rpmでスピンコーティングされ、平均厚さ11.6 μmのウェット層となる。ここで、?OC10は、3,7−ジメチルオクチルオキシを意味し、rおよび1−rは、0.5に等しく、それぞれ、rおよび1−rが付されている大括弧の中に示される構造を持つユニットの割合を示している。
【0068】
国際公開特許WO 99/21936号公報と同様の方法に従って、共重合体が合成される。ウェット層を乾燥させて、70 μmの平均厚さを持つNRS−PPVの複数の有機EL層9が得られる。
【0069】
オーバーハンギング部13を有するレリーフパターンを、作り付けのシャドウマスクとして使用している間に、3 nm厚のBa層および200 nm厚のAl層が、金属蒸気の真空蒸着によって、EL層9の表面上に連続的に堆積され、それによって、電極セグメント11a − dを有する、区画された第2の電極層を形成する。セグメント11a, 11b, 11dは、独立にアドレス可能なカソードを形成し、セグメント11cは、何らの機能を持たない電極材料である。
【0070】
この方法を何回か繰り返すと、多くの場合、独立にアドレス可能であるべき電極セグメントが実際には電気的に接続するために、その結果完成したデバイスは、欠陥のあるものとなることが見出される。その歩留りは、第2の電極層の望みのパターンに、とりわけ、それが含んでいる曲がりの数に依存する。
【0071】
実施例 2( 本発明による )
【0072】
図5は、本発明に係るエレクトロルミネセントデバイスの平面図を線図的に示している。
【0073】
図6は、図5の平面図の一部の拡大図を示している。
【0074】
ELデバイス51は、オーバーハンギング部13の外境界線13aの曲がり13b−eが、本発明によれば十分に滑らかであるということを除けば、ELデバイス1と、とりわけ、図1のI−I線に対応する線に沿って取られる図2に示される断面と同様である。
【0075】
本発明を例示する目的で、レリーフパターンには、種々の可能な十分に滑らかな曲がりが含まれている。実際には、むしろ、終始、全く同一のタイプが使われるであろう。
【0076】
図6に拡大図が示されている外側曲がり13b、および、内側曲がり13eは、それぞれ、弧部分18aおよび18bによって十分滑らかにされている。湾曲した弧の大きさは、弧部分18a, 18bに沿う位置における曲率半径によって定量化される。その半径は、基板表面に平行な表面内にあるとみなされる。本実施例では、基板表面は、図5の図面の平面と平行な平坦な表面である。
【0077】
図6に描かれた円は、位置XおよびYで弧部分18aに接し、また、図5の円は、位置Zで弧部分18bに接している。それらの円は、位置XおよびYにおいて、弧部分18aと同じ接線および曲率を持っており、それぞれ、曲率半径RxおよびRyによって特徴づけられる。同様に、Zにおける曲率半径は、Rzである。弧部分18aおよび18bの実質的に全ての各位置における曲率半径は、電極セグメントが偶発的に接続する危険性を減少させるために、特定の最小曲率半径を越えなければならない。
【0078】
当該危険性の著しい減少が、最小曲率半径を1 μmに設定することにより達成される。その危険性は、その値を、2 μm, 5 μm, 10 μmと、それぞれ、設定することによって、さらに減少されていく。多くの応用において、15 μm以上の最小値を用いるのが適切である。特に、弧部分18aおよび18bは、円弧部分、したがって、一定曲率の弧部分であることもある。
【0079】
内側曲がり13cと13dとは、それぞれ、隣接する線分部分と角度20a, 20bをなす線分部分20と、隣接する線分部分と角度19a, 19bをなす線分部分19と、を用いて斜角をつけられている。線分部分20および19の長さ、ならびに、これらの線分部分が隣接する線分部分となす角度は、第2の電極層の電極セグメントが偶発的に接続される危険性を減少させるために、それぞれ、特定の最小長さ、ならびに、最小角度を持たなければならない。
【0080】
手ごろなデザインルールとしては、線分部分17の長さが最小でも2 μmであり、角度が最小でも120 °である。そうでなければ、最小角度は、例えば、110 °, 130 °, 140 °に選ばれてもよく、最小の長さは、3 μm、5 μm、10 μmでも、あるいは、適切でさえあれば、20 μmでさえあってもよい。
【0081】
十分に滑らかな曲がりを持つ多数のELデバイス51が、実施例1に記述された方法に従って製造されたとき、その製造プロセスの歩留りは劇的に増加する。第2のレリーフパターンの望みのパターンに依存しながら、製造歩留りは、通常、4倍以上に増加することができる。
【0082】
図7は、本発明に係るELデバイスに用いる区画用レリーフパターンのさらなる実施例の平面図を示している。このレリーフパターンは、パッシィブマトリクスエレクトロルミネセントディスプレイデバイスに特に用いられる。このレリーフパターンは、電極セグメントを分離して、エリア711aおよび711bに堆積させることを可能にするオーバーハンギング部713を有している。オーバーハンギング部713は、直交して延びる突出部714および715を備えた細長い線分部分716を形成するように、あらかじめ定められた位置713bおよび713cで曲る外境界線713aを持っている。外側曲がり713bは、弧部分714aおよび715aを用いて十分滑らかにされており、一方、内側曲がり713cは、弧部分715bを用いて滑らかにされるか、あるいは、線分部分714bを用いて斜角をつけられている。外境界線713aが曲がりで滑らかにされていない(破線で示されるように)と、曲がりでのアンダーカットが不十分であり、それは、電極セグメント711aと711bとが、例えば、エリア711a側の曲がり713c、細長い部分716の表面に堆積された何らの機能を持たない電極材料、および、他の側の713cのような曲がりを介して、偶発的に接続される危険性を増加させる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によらないエレクトロルミネセントデバイスを平面図で線図的に示す。
【図2】図1のデバイスのI−I線に沿う断面を線図的に示す(図2A〜2Cは、オーバーハンギング部の断面を線図的に示す)。
【図3】図1のエレクトロルミネセントデバイスの一製造ステージにおける平面図を線図的に示す。
【図4】図3の製造ステージにおけるII−II線に沿う図1のデバイスの断面を線図的に示す。
【図5、6】図5は、本発明によるエレクトロルミネセントデバイスの平面図を線図的に示す。図6は、図5の平面図の一部の拡大図を示す。
【図7】本発明によるELデバイスに用いられる区画用レリーフパターンのさらなる実施例の平面図を示す。
【符号の説明】
11a, 11b, 11d, 711a, 711b 電極セグメント
13, 713 オーバーハンギング部
13b, 13c, 13d, 13e, 713b, 713c 曲がり
18a, 18b, 715b 弧部分
19, 20, 714b 線分部分
19a, 19b, 20a, 20b 角度
51 エレクトロルミネセントデバイス
【発明の属する技術分野】
本発明は、エレクトロルミネセントデバイスの電極層をパターニングするためにアンダーカットされたオーバーハンギング部を有するレリーフパターンを備えた基板表面を有するエレクトロルミネセントデバイスであって、そのオーバーハンギング部が、少なくとも1つの実質的な線分部分とあらかじめ定められた位置における1つの曲がりとを有する外境界線を持つエレクトロルミネセントデバイスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的に云えば、エレクトロルミネセント(EL)デバイスは、電極から電流が供給され、その電流が内部を流れるときに発光することのできるEL材料を有するデバイスである。電極間あるいは電極層間に配されたEL材料(あるいは、存在するとすれば、どんな他の機能材料でも)が、有機的な性質、あるいは、ポリマー的な性質を有すると、そのデバイスは、それぞれ、有機ELデバイスあるいはポリマーELデバイスと呼ばれる。本発明に関しては、用語「有機」は、「ポリマー」を包含している。
【0003】
ダイオード型のELデバイス、即ち、発光ダイオードは、電流を一方向に優先的に流し、一般に、ホール注入電極(アノードともいう)と電子注入電極(カソードともいう)との間に配されたEL材料を有する。適切な電圧を印加することによって、ホールおよび電子が、それぞれ、アノードおよびカソードからEL材料に注入される。EL材料の内部におけるホールと電子との発光再結合によって、光が生成される。種々の有機EL材料を用いることによって、発光の色を変化させることができる。
【0004】
ELデバイスは、光源として用いることができ、特に、有機タイプのそれは、ディスプレイのバックライトのような大面積照射応用に適している。複数のエレクトロルミネセント素子(以下、ピクセルとも呼ばれる)を有する(有機)ELデバイスは、単色ディスプレイデバイスやマルチカラーディスプレイデバイス、静止画像ディスプレイ、セグメント形ディスプレイデバイス、あるいは、パッシィブマトリクスディスプレイやアクティブマトリクスディスプレイのようなディスプレイ用途に適している。有機ELデバイス、とりわけ、ポリマーELデバイスは、フレキシブル、即ち、曲げることができ、したがって、撓まない、および/または、フラットなディスプレイでは実現不可能なディスプレイ応用を可能にするように形作ることができる。
【0005】
欧州公開特許EP−A−892588号公報に、1つのエレクトロルミネセントデバイスが、セグメント形ELディスプレイデバイスの形で開示されている。電子注入電極層を独立にアドレス可能なセグメントにパターン化するために、区画用オーバーハンギング部を持つレリーフパターンが、基板上に備えられている。オーバーハンギング部は、T字形状をしており、したがって、アンダーカット領域を備えている。電極層が、基板に対して直角に向けられた電極材料のフラックスを伴う真空蒸着を用いて堆積されると、電極材料は、そのアンダーカット領域に達することができず、したがって、電極層は、個々のセグメントに区画される。オーバーハンギング部は、アンダーカット領域の外境界線を、したがって、電極セグメントの輪郭を描く外境界線を持っている。あらかじめ定められた望ましい電極層パターンに適合するように、この外境界線は、実質的な線分部分を持っており、そして、あらかじめ定められた位置で曲がっている。
実際には、アンダーカットの大きさに、1つのバランスが見出されなければならない。あまりにも大きなアンダーカット領域は、ELデバイスの、後に続く層の堆積に悪影響を及ぼし、また、与えられた頂の幅において、オーバーハンギング部が倒れ落ちる危険性を増加させるであろうが、一方、あまりにも小さいアンダーカットは、電極分離を信頼できないものとする。どの場合にも、上述のタイプの電極層を首尾良くパターン化できるプロセス・ウィンドーは、かなり狭い。電極層堆積プロセスにおける変動、あるいは、区画用レリーフパターンを備える過程における変動のために、そして、そのような変動は、どのようなプロセスにも本来的なものであるから、偶発的に電気的に接続された電極セグメントに通じる全ての位置で電極分離が首尾良く達成されることはないであろう。そのように配線された電極を持つデバイスは不完全で、製造プロセスの歩留まりを減少させる。
【0006】
本発明の1つの目的は、なかんずく、電極層を、確固たる信頼性を有して、かつ、高い歩留りで製造することを可能にする、冒頭のパラグラフに記述されたタイプのエレクトロルミネセントデバイスを提供することである。とりわけ、区画用レリーフパターンが、フォトレジストのようなフォトパターン化された材料またはフォトパターン化可能な材料で作られるときに、改善された信頼性、強健さ、および、歩留りが、実現されることになる。さらにとりわけ、改善された歩留りは、また、EL層のようなELデバイスの機能的な層がウェット堆積法によって堆積されるときにも、達成されるに違いない。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、この目的は、前記曲がりが、曲がりにおける前記オーバーハンギング部を、前記オーバーハンギング部の前記線分部分におけると実質的に同じ大きさまでアンダーカットさせるほどに十分に滑らかであることを特徴とする、冒頭のパラグラフに記述のエレクトロルミネセントデバイスで達成される。
【0008】
本発明者達は、電極セグメント間の偶発的な短絡が、オーバーハンギング部が、より厳密には、オーバーハンギング部の外境界線が、曲っている位置で主に生じるということを観察している。十分に滑らかな曲がりを用いることによって、滑らかな曲がりに沿う位置が、線分部分に沿う位置に十分に似たものになり、したがって、曲がり位置における短絡の危険性が、線分部分でのレベルまで減少する。
【0009】
外境界線が、電極セグメントの短絡の発生に寄付する複数の曲がりを含有している場合に、全てのそのような曲がりを十分に滑らかにすることが有効であることは、明白である。
【0010】
曲がりと線分部分とに実質的に同じ大きさのアンダーカットを得ることは、EL層のようなELデバイスの機能的な層が、スピンコーティングやインクジェットプリンティングのようなウェット堆積法を用いて備えられる場合に、そのような層が得られる流動種が、アンダーカット領域15内を進み、アンダーカット領域内に厚い堆積(0.5 μmもの厚さの堆積が観察されている)の形成に至り、したがって、アンダーカットの大きさをさらに減少させることが観察されているので、そのような場合にとりわけ重要である。
【0011】
本発明をさらに解明すると、オーバーハンギング部の外境界線は、オーバーハンギング部のアンダーカット領域の外境界線を決め、したがって、その外境界線を基板表面上に垂直に投影することによって電極パターンの輪郭を決める連続曲線であるということが理解される。外境界線とレリーフパターンを支えている表面とを接続するオーバーハンギング部の表面が、オーバーハンギング部の側壁である。
【0012】
外境界線は、1つのあらかじめ定められた位置に1つの曲がりを有している。用語「あらかじめ定められた」とは、その曲がりが、製造工程中のある欠陥(偶然であれ系統的であれ)によって作り出される曲がりとは対照的に、特別の目的に役立ったり、特別の技術的な効果を備えているということを意味するものであると理解されるべきである。曲がりの両側の任意の2点を結ぶ全ての線分が、オーバーハンギング部の外部を通る場合、曲がりは内側曲がりであるといわれ、あるいは、曲がり部分は内側曲がり部分であるといわれる。反対に、任意のそのような線分がオーバーハンギング部の内部を通る場合、曲がりは外側曲がりであるといわれる。
【0013】
オーバーハンギング部の1つの特定の形状は、リブ形状のオーバーハンギング部である。そのようなリブ形状のオーバーハンギング部は、各側に1つの側壁を持っている。リブ形状部の1つの単純な曲がりは、外境界線が、たがいにほぼ平行に走る1つの内側曲がりと1つの外側曲がりとを持っている曲がりである。
【0014】
その曲がりは、十分に滑らかであるべきである。曲がりの滑らかさは、例えば、区画用レリーフパターンが作られるフォトパターン化可能な材料をパターン化するために用いるマスクに適切な調整を行うことにより調整することができる。
【0015】
曲がりが滑らかでなければならない大きさは、なかんずく、区画用レリーフパターンを備えるために用いられる照射装置の解像限界に依存する。したがって、特定の滑らかさの値を与えるのではなく、広義に、曲がりが滑らかでなければならない大きさを、オーバーハンギング部がアンダーカットされる大きさで定義するのが適切である。曲がりが必要な大きさまで滑らかであるかどうかは、境界線に沿う種々の位置において区画用レリーフパターンの断面の走査型電子顕微鏡写真をとるなどのルーチン分析技術によって確証することができる。望ましければ、適切に設計されたテスト構造を、この目的に使用することができる。
【0016】
本発明では、外境界線の位置Xにおけるアンダーカットの大きさは、点Xをオーバーハンギング部を支えている表面に垂直に投影して得られる点と、オーバーハンギング部を支えている表面と、Xにおける横軸断面(transverse profile)を含む平面内にあり、Xを通り、Xと異なる位置でオーバーハンギング部の側壁に接するが交差しない線、あるいは、側壁がXにおいて実質的に直線であれば、その直線の側壁に一致する線との交点と、の間の距離として定義される。外境界線の位置Xにおける横軸断面は、当該位置を有し、かつ、外境界線の位置Xにおける接線の基板表面への垂直投影(即ち、外境界線が曲線であれば基板表面の接平面)に対応する法線を持つ断面に包含される。
【0017】
本発明に従えば、曲がりにおけるアンダーカットの大きさUbは、線分部分におけるアンダーカットの大きさUsと実質的に同じであるべきである。当業者には、アンダーカットの大きさと短絡の危険性との間の関係が徐々に変化する関係であるということ、および、実質的に相等しいアンダーカットと相異なるアンダーカットとを分離する、どんな定量的分岐ラインも、ある程度自由裁量にまかされるところがあるということは、容易に認識されるであろう。このことを心に留めて、本発明では、「実質的に同じ」とは、Ub/Usが、0.80より大きく、好ましくは0.90より大きく、さらに好ましくは0.95より大きいことを意味すると理解されるべきである。
【0018】
曲がりが滑らかでない場合、それをもっと滑らかにすることができる少なくとも2つの仕方、すなわち、曲がりに斜角をつけることによる、あるいは、曲がりを湾曲させて弧状にすることによる、あるいは、それらの組み合わせによる仕方がある。
【0019】
アンダーカットの大きさに基づいて曲がりの滑らかさを選択することは、電極セグメントが短絡する危険性を判断するための信頼できる基準である。しかしながら、その適用は、特定の位置、特に、曲がりがある位置で断面を取ることを必要とし、それは、正確にそれらの位置で基板を分断することを伴うので、扱いにくいことがある。したがって、より簡単に用いることができる基準を持つことは、有益なことである。
【0020】
通常、ELデバイスは、第1と第2の電極層の間に配されたEL層を有している。第2の電極層は、区画用レリーフパターンによってパターン化されているとする。任意に、それは、ホールや電子の輸送/注入層のような層をさらに含有することもある。第2の電極層のセグメント間の偶発的な短絡の危険性の減少ということに関しては、第1の電極層、EL層、および、ホールや電子の輸送/注入層、ならびに、そのような層の材料の選択は、決定的なことではない。
【0021】
好適な有機EL材料には、低分子量あるいは高分子量の有機のフォトルミネセント化合物、エレクトロルミネセント化合物、蛍光性化合物および燐光性化合物が含まれる。好適な低分子量化合物は、当業界において周知であり、トリス(8−キノリノール)アルミニウム錯体およびクマリンを含んでいる。そのような化合物は、真空蒸着法を用いてつけることができる。
【0022】
好ましい高分子量材料には、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリチオフェンビニレンや、より好ましくは、ポリ−p−フェニレンビニレンのような、実質的に共役したバックボーン(主鎖)を持つELポリマーが含まれる。特に、(青色発光の)ポリ(アルキル)フルオレン、赤色、黄色あるいは青色光を発光するポリ−p−フェニレンビニレン、2−あるいは2、5−置換ポリ−p−フェニレンビニレンが好ましい。
【0023】
本発明では、用語「有機」には、「ポリマー」が含まれ、一方、用語「ポリマー」およびそれから誘導されるそれが付加された物には、ホモポリマー、共重合体、三量体、および、オリゴマーはもちろん、より上位の同族体、が含まれる。
【0024】
有機EL層は、50 nmから200 nm、特に、60 nmから150 nmの平均厚さを持つことが好ましく、あるいは、70 nmから100 nmの平均厚さを持つことが好ましい。
【0025】
ホール注入/輸送層(HTL)に好適な材料には、芳香族第三アミン、特に、ジアミンまたはより上位の同族体、ポリビニルカルバゾール、キナクリドン、ポルフィリン、フタロシアニン、ポリアニリンおよびポリ−3、4−エチレンジオキシチオフェンが含まれる。
【0026】
電子注入/輸送層(ETL)に好適な材料には、オキサジアゾールをベースとした化合物およびキノリンアルミニウム化合物が含まれる。
【0027】
ITOがアノードとして使用される場合、ELデバイスは、50〜300 nm厚のポリ−3、4−エチレンジオキシチオフェン層、あるいは、50〜200 nm厚のポリアニリン層のホール注入/輸送層材料を有するのが好ましい。
【0028】
一般に、ELデバイスは、1枚の基板を有している。その基板は、発光光に関して透明であるのが好ましい。好適な基板材料には、フレキシブルであるか否かの如何によらず透明な合成樹脂、石英、セラミック、ガラスが含まれる。その基板は、レリーフパターンのための支持表面を供給する。
【0029】
第1の電極層が電子を注入し、第2の電極層がホールを注入してもよい。第1の電極層がホールを注入し、第2の電極層が電子を注入するのが好ましい。
【0030】
電子注入電極は、Yb, Ca, Mg:Ag, Li:Al, Baのような低仕事関数を持つ金属(合金)から作られるか、あるいは、Ba/Al電極やBa/Ag電極のような異なる層のラミネートであるか、あるいは、区画用レリーフパターンを用いてパターン的に堆積することのできる他の電極材料であるのが好適である。
【0031】
ホール注入電極は、Au, Pt, Agのような高仕事関数を持つ金属(合金)で作るのが好適である。インジウムスズ酸化物(ITO)のような、より透明なホール注入電極材料を使うのが、好ましい。ポリアニリン(PANI)およびポリ−3、4−エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)のような導電性ポリマーもまた、好適な透明ホール注入電極材料である。PANI層は50〜200 nm、PEDOT層は100〜300 nmの厚さを持つのが好ましい。ITOホール注入電極が用いられる場合には、第1の電極は、ホール注入電極であるのが好ましい。
【0032】
関連して、本発明は、前記曲がりが、前記基板表面に実質的に平行な表面内の実質的に全ての位置で、最小1 μmの曲率半径を持つ弧部分を有することを特徴とする、冒頭のパラグラフで記述したようなエレクトロルミネセントデバイスに関するものである。
【0033】
曲がりを十分に滑らかにするために、特定の最小曲率を持つ弧部分が、用いられる。アンダーカットの大きさと比較して、この基準は、単に、レリーフパターンを平面図で検査することしか要求せず、断面をとる必要は全くないから、実際の使用には、より簡単である。
【0034】
外境界線の1位置における曲率半径|r|は、その外境界線が1平面内に位置していれば、|(1 + y’2)3/2 / y’’|で定義される。y’および y’’は、それぞれ、外境界線のその位置における1次および2次導関数である。基板表面が平面でない場合には、それに対応して、定義が修正される。
【0035】
当業者には、曲がり部分が湾曲して弧状になっている大きさと短絡の危険性との間の関係が徐々に変化する関係であるということ、および、湾曲して弧状になっている曲がり部分と弧状になっていない曲がり部分とを分離する、どんな定量的分岐ラインも、ある程度自由裁量にまかされるところがあるということは、容易に認識されるであろう。さらに、一方では、曲がりができるだけ滑らかで、したがって、曲率半径ができるだけ大きいことを要求して短絡の危険性を減少させる要請があり、他方では、レリーフパターンによって占められる面積は、発光に寄与せず、デバイスの輝度を減少させるから、区画用レリーフパターンによって占められる面積をできるだけ小さく、したがって、曲率半径をできるだけ小さく保つ要請があり、最小曲率半径は、両者の間の歩み寄りを表わしている。
【0036】
これらの考察を心に留めて、本発明に従えば、曲がりでの曲率半径は、最小1 μmであるべきである。ELデバイスの応用に依存して、半径は、最小2 μm、あるいは最小5 μm, 10 μm、あるいは、20 μmでさえある。ハンドヘルド、ラップトップ、デスクトップ、テレビ応用用のELディスプレイデバイスのような多くの応用にとって、5 μmの制限は、十分過ぎるほどである。それどころか、多くのそのような応用では、平均半径で10, 15, 20 μm、あるいは、さらに大きくても好適である。平均曲率半径に対する上限は、なかんずく、湾曲しなければならないレリーフパターンの最小の特性サイズによって決定される。最小の特性サイズは、ひるがえって、レリーフパターンを備えるために使用されるパターニング法の解像度を、したがって、好適に利用可能なパターニング法の範囲を決定する。フォトリソグラフィの場合には、プロキシミティプリンティングによって備えられる解像度が、高解像度ディスプレイに対してさえ十分である。一般的に言って、パターニング法のコストは、解像度が上がるとともに上昇するので、できるだけ大きな曲率半径を選択するのが望ましい。通常、プロキシミティプリンティングの場合の最小曲率半径は5〜10 μm、プロジェクションリソグラフィを用いて2〜5 μm、ステッパを用いて1〜2 μmである。
【0037】
曲率半径は、曲がりに沿った実質的にすべての位置において、特定された最小値を持つべきである。曲率半径は局所的な量であるから、弧部分、実際には、外境界線の任意の部分が、デバイスのどんな特定の目的にも役立たず、とりわけ、あらかじめ定められた位置における曲がりを構成していない曲率の大きな微小領域を含んでいることがある。そのような微小領域は、例えば、塵埃片の存在やプロセス状態におけるその他の系統的あるいは予測できない変化がもとで生じるかもしれない。そのような微小領域に対して、最小半径条件が実質的にすべての位置で満たされなければならないという要求が達成されることを考慮にいれてはならない。用語「実質的に」は、本発明では、この基準が、外境界線に沿ったすべての位置の少なくとも95%、より良くは97%、さらにより良くは99%によって満足されるということを意味すると理解するべきである。
【0038】
曲がりを湾曲させて弧状にする代わりに、曲がりを、斜角にしてもよい。
【0039】
したがって、本発明のさらなる1つの観点は、前記曲がりが、最小2 μmの長さを持ち、かつ、接続する外境界線線分部分と最小120 ?の角度をなす傾斜線分部分を備えることによって斜角をつけられていることを特徴とする、冒頭のパラグラフに既述のようなエレクトロルミネセントデバイスに関する。
【0040】
隣接した線分部分となす傾斜線分部分の最小長さおよび最小角度に対して、弧部分に関して示された考察が、必要な変更を加えて適合する。あるいはまた、最小角度は、例えば、110°, 130°あるいは140°に選択してもよいし、一方、最小長さは、3 μm, 5 μm, 10 μm、あるいは、妥当であれば20 μmでさえあってもよい。
【0041】
好適な1実施例において、前記オーバーハンギング部が、フォトレジストのようなフォトパターン化された材料またはフォトパターン化可能な材料を有する。
【0042】
十分に滑らかな曲がり、即ち、斜角をつけられた曲がりや弧状の曲がりを使用する利点は、とりわけ、オーバーハンギング部が、従来のフォトレジストのようなフォトパターン化可能な材料を用いて作製されたときに得られる。フォトパターン化可能な材料の使用は、オーバーハンギング部を、簡単な仕方で得ることを可能にする。そのような方法の例が、欧州公開特許EP−A−892588号公報の中に与えられている。
【0043】
本発明に係るエレクトロルミネセントデバイスの好適な1実施例において、前記オーバーハンギング部が、ネガ型のフォトパターン化可能な材料またはそれに等価な材料から統合的に形成される。
【0044】
フォトレジストのようなフォトパターン化可能なネガ型の材料から統合的にオーバーハンギング部を形成することによって、オーバーハンギング部を単一のフォトリソグフィーステップで作製することが可能になる。用語「ネガ型」は、処理後に、パターン的に照射されたエリアだけが基板上に残るように処理することが可能な、どのようなフォトパターン化可能な材料にも関連するということを意味すると理解するべきである。そのようなネガ型レジストは、当業界において周知であり、本発明では、イメージ反転レジスト、および、その他の任意の、ネガ型レジストとして振舞うように処理されるレジストを含んでいる。
【0045】
例えば、単一のフォトグラフィーステップでオーバーハンギング部を製造するための好都合な方法(その方法は本発明の範囲を越えて適用可能である)は、オーバーハンギング部を得るために、ネガ型レジストを、暗無照射領域、完全照射領域、および、暗無照射領域と完全照射領域との間に配された中間照射領域を持つパターンに合わせて光を照射することである。中間照射領域は、完全照射領域と無照射領域とが受ける照射線量の中間の照射線量を受ける。ネガ型レジストが、そのようなパターンに合わせて照射されると、現像の後に、オーバーハンギング部が、中間照射領域に形成されたアンダーカット領域を持って形成される。外境界線は、通常、無照射領域と中間照射領域の境界に位置し、ここで、中間照射領域と無照射領域との間の変わり目は、徐々に変化するものであると理解するべきである。
【0046】
本発明に係るエレクトロルミネセントデバイスのさらなる1実施例は、前記オーバーハンギング部が、前記電極層をn個の互いに分離した電極セグメントに区画するためのn方ジャンクション(nは最小3)を有し、前記n方ジャンクションの前記外境界線が、十分に滑らかな複数の曲がりを有することを特徴とする。
【0047】
本発明は、n方ジャンクションを有するように設計されたオーバーハンギング部を有するレリーフパターンにとりわけ有利である。そのようなジャンクションは、互いに接近した少なくとも2つの内側曲がりを持っている。短絡の危険性は、そのような構成において特に高いことが見出されている。一般に、そのジャンクションは、T字路のような3方ジャンクション、あるいは、十字路のような4方ジャンクションである。
【0048】
本発明は、どんな種類のエレクトロルミネセントデバイスにも、とりわけ、どんなエレクトロルミネセントディスプレイデバイスにも適用可能である。例えば、そのデバイスは、バックライト、静止画像ディスプレイ、照明を施されたアイコン、掲示板、交通信号機であるかもしれない。好適なディスプレイ装置には、パッシィブ型およびアクティブ型のマルチカラーや単色のマトリクスディスプレイが含まれる。
【0049】
独特な1つの実施例において、エレクトロルミネセントデバイスは、セグメント形エレクトロルミネセントデバイスである。
【0050】
通常、セグメント形ディスプレイデバイスの電極層は、複数の独立にアドレス可能な電極セグメントを有するようにパターン化される。通常、しかし、必ずではなく、それらのセグメントは、タイムマルチプレックス様式でアドレスされる。通常、これらのうちの少なくとも1つは、オーバーハンギング部を持つレリーフパターンを用いて備えられる。電極層の望ましいパターンは、しばしば複雑な形状をしており、いくつかはn方ジャンクションを形成するように配置された多くの曲がりを持つ外境界線を有している。したがって、本発明は、セグメント形ディスプレイデバイスに組み合わせて用いたときにとりわけ有利である。
【0051】
本発明に係るエレクトロルミネセントデバイスのさらに他の実施例において、前記区画用レリーフパターンが、各々が上述の大きさまで十分に滑らかにされた複数の曲がりを、各々、有する少なくとも2つの突出部を持つオーバーハンギング部を有する。
【0052】
本発明の出願人の名義の未公開欧州特許出願(出願番号00204053.3, (PH−NL000622))において、オーバーハンギング部のアンダーカット領域が、その後の、EL層のようなELデバイスの機能的な層が得られる流動層の堆積に悪影響を及ぼすことが記載されている。このことは、細片状のオーバーハンギング部を持つパッシィブマトリクスデバイスで特に問題となることが見出されている。そのような悪影響が生じるのを防ぐために、オーバーハンギング部が、突出部を有して備えられる。しかしながら、外境界線があらかじめ定められた位置で曲がるという要求は、いずれかの曲がりが十分に滑らかでなければ、電極セグメント間の短絡を引き起こす原因となる。
【0053】
本発明のこれらの、そして、他の観点が、以下に記述の実施例を参照して明確になり、解明される。
【0054】
【発明の実施の形態】
実施例1 ( 本発明によらない ) 図1および図2を参照すると、ELデバイス1が、第1の型の電荷(ホールまたは電子)を注入するための独立にアドレス可能な電極5aおよび5bを有する第1の電極層と、第1の型の電荷を注入および/または輸送するための電荷注入/輸送層7と、エレクトロルミネセント層9と、第2の型の電荷を注入するための独立にアドレス可能な電極11a, 11b, 11dを有する第2の電極層と、を連続して備えた基板3を持っている。電極に電圧が印加されると、ホールと電子とが、注入される。エレクトロルミネセント層9内に注入されたホールと電子との再結合によって、特定の色の光が、生起する。
【0055】
第2の電極層を区画するために、ELデバイス1は、オーバーハンギング部13が示されている区画用レリーフパターンを有している。オーバーハンギング部13は、アンダーカット領域15を持っている。アンダーカットの大きさが、距離Uによって示されている。
【0056】
図2A, 2B,2Cは、オーバーハンギング部のさらなる実施例213を示している。図2A, 2Cにおいて、オーバーハンギング部213は、図2Cでは区画用レリーフパターンと統合する部分である基部214によって支持されている。
【0057】
オーバーハンギング部13は、曲がり13b−eを形成するようにあらかじめ定められた位置で曲がっている線分部分を有する外境界線13aを持っている。曲がり13bは、その曲がりの一方の側上の点と他方の側上の点とを結ぶ線分がレリーフパターン13の内部を横切るから、外側曲がりである。類似して、曲がり13c−eは、同様の線分がレリーフパターン13の外部を通っているから、内側曲がりである。曲がり13dおよび13eは、電極層を、3つの互いに分離された電極セグメント11a, 11b, 11dに区画するための3方T形ジャンクションの部分である。
【0058】
アンダーカット領域15のために、オーバーハンギング部13は、製造(詳細な例は以下に記述される)中に、第2の電極層を、相異なるセグメント11a, 11b, 11c, 11dにパターン化することを可能にし、その結果、独立にアドレス可能な電極11a, 11b, 11dと、何らの機能を有しない電極材料のセグメント11cとが生じる。しかしながら、曲がり13b−eは、十分に滑らかではないので、電極セグメントの望ましい分離ができないという高い危険性がある。このようなことが、曲がり13b, 13d, 13eを例として、図1で示される。曲がり13bと13dとでは、電極セグメント11aと11cとが接続しており、一方、曲がり13dでは、セグメント11cと11dとが接続しており、その結果、電極セグメント11aと11dとを接続して形成される導通パス、したがって、短絡された第2の電極層が生じる。ここに示されるように隣接したセグメント間で短絡が形成される必要があるが、電極セグメントは、何らの機能を持たないセグメント11cを介して接続可能な任意のセグメントと短絡することが可能である。実際の設計では、独立にアドレス可能であるためのものである任意の2つのセグメントが、レリーフパターンの頂上に存在する何らの機能を持たないセグメントを介して接続可能である。
【0059】
図3および図4は、電極短絡の問題の起源を例証するのに役立つ、エレクトロルミネセントデバイスの製造の一ステージを線図的に示している。特に、ELデバイス1の製造の一ステージが示されている。示されているステージは、オーバーハンギング部13(その輪郭が破線で示されている)が得られるフォトパターン化可能な材料層12の照射ステージである。本例では、そのフォトパターン化可能な材料は、ネガ型フォトレジストである。開口17bを持つマスク17を通して層12を近接してパターン的に露光することによって、完全照射エリア12cと、非照射エリア12aとが、形成される。マスクエッジ17aで生じる回折効果により中間照射エリア12bも形成され、ここで、異なるエリア間の遷移が急峻ではなくゆるやかであるということが理解される。使用しているネガ型フォトレジストは、非照射エリア12aが可溶性のままであり、完全照射エリア12cが不溶性にされるという特性を持つので、中間照射エリア12bは、中間の溶解度を持ち、したがって、現像の後、オーバーハンギング部13にアンダーカット領域15ができる。パターニングプロセスのパラメータを変化させることによって、とりわけ、層12に対するマスク15の距離を変化させることによって、任意の適切な量のアンダーカットを得ることができる。
【0060】
図3を参照すると、マスク17が、オーバーハンギング部13の輪郭を決定する。中間照射エリア12bは、マスクエッジ17aと外境界線13aとの間に位置している。図4に示される照射パターンは、曲がりから遠い位置では典型的なものである。しかしながら、曲がり13b−e(図2を参照)では、照射パターンは、異なる。少なくとも1つの違いは、曲がり13bのような外側曲がりでは、領域14bのような中間照射領域が、その曲がりから遠い領域よりも、光を少なくしか受け取らない、即ち、アンダー露光されるということである。曲がり13c−eのような内側曲がりでは、中間照射領域14c−eは、領域12bのような線分部分の中間照射領域よりも多くの光を受け取る。さらに、基板表面が光を反射する場合には、領域14b−eの干渉パターンは、一般に、領域12bにできるそれとは異なる。領域14bと領域12bとの間の照射の差の結果として、オーバーハンギング部13の線分部分のアンダーカットの大きさは、曲がり位置13b−eのそれと実質的に異なる。
【0061】
曲がりでのアンダーカットの大きさが減少すると、それは、電極層が要求の通りには区画されないという危険性を増加させ、例えば、図1に示されるデバイスに帰着する。
【0062】
電極セグメントが偶発的に接続される危険性は、オーバーハンギング部13が、図1および図3に示される3方Tジャンクションのようなn方ジャンクションを有するところで、特に高い。
【0063】
例として、ELデバイス1は、以下のように製造される。
【0064】
透明ライムガラス基板3に、従来通りに、ITOのセグメント5a, 5bを持つパターン化された第1の電極層が備えられる。
【0065】
その後、ITOがコートされた基板をクリーニングし、前処理した後、イメージ反転レジストAZ5214E(Hoechst製)を基板にスピンコートし、5 μm厚のレジスト層12を得る。レジスト層12は、幅20 μmの開口17bを持つマスク17を通しての放射417によって、第1のパターン的な露光にさらされる。その露光は、マスクと基板との距離50 μmと近接して行なわれ、また、35 mJ/cm2の線量が、完全照射領域12cのレジスト層12に入射される。マスクエッジ17aにおける回析によって、中間露光領域12bが備えられる。その後、レジスト層12は、潜像反転のために110°で10分間、ホットプレートで焼成され、線量420mJ/cm2で大線量露光され、現像液槽中に浸漬することによって1:1 AZ現像液水混合液中で90秒間、現像される。現像後、頂の寸法が24 μm、底の寸法が約20 μmの逆台形の形のオーバーハンギング部13を持ち、約4μmのアンダーカットの大きさU、約45°のアンダーカット角度を持つアンダーカット部15になる、区画用レリーフパターンが得られる。
【0066】
電荷輸送層7が、ポリ−3、4−エチレンジオキシチオフェン、PEDOT(Baytron P、Bayer AG製)の水溶液をスピンコーティングし、150 nm厚の層7を生じるようにそのウェットPEDOT層を乾燥することによって堆積される。
【0067】
次に、式(1)のポリマーの0.6重量%トルエン溶液が、1250 rpmでスピンコーティングされ、平均厚さ11.6 μmのウェット層となる。ここで、?OC10は、3,7−ジメチルオクチルオキシを意味し、rおよび1−rは、0.5に等しく、それぞれ、rおよび1−rが付されている大括弧の中に示される構造を持つユニットの割合を示している。
【0068】
国際公開特許WO 99/21936号公報と同様の方法に従って、共重合体が合成される。ウェット層を乾燥させて、70 μmの平均厚さを持つNRS−PPVの複数の有機EL層9が得られる。
【0069】
オーバーハンギング部13を有するレリーフパターンを、作り付けのシャドウマスクとして使用している間に、3 nm厚のBa層および200 nm厚のAl層が、金属蒸気の真空蒸着によって、EL層9の表面上に連続的に堆積され、それによって、電極セグメント11a − dを有する、区画された第2の電極層を形成する。セグメント11a, 11b, 11dは、独立にアドレス可能なカソードを形成し、セグメント11cは、何らの機能を持たない電極材料である。
【0070】
この方法を何回か繰り返すと、多くの場合、独立にアドレス可能であるべき電極セグメントが実際には電気的に接続するために、その結果完成したデバイスは、欠陥のあるものとなることが見出される。その歩留りは、第2の電極層の望みのパターンに、とりわけ、それが含んでいる曲がりの数に依存する。
【0071】
実施例 2( 本発明による )
【0072】
図5は、本発明に係るエレクトロルミネセントデバイスの平面図を線図的に示している。
【0073】
図6は、図5の平面図の一部の拡大図を示している。
【0074】
ELデバイス51は、オーバーハンギング部13の外境界線13aの曲がり13b−eが、本発明によれば十分に滑らかであるということを除けば、ELデバイス1と、とりわけ、図1のI−I線に対応する線に沿って取られる図2に示される断面と同様である。
【0075】
本発明を例示する目的で、レリーフパターンには、種々の可能な十分に滑らかな曲がりが含まれている。実際には、むしろ、終始、全く同一のタイプが使われるであろう。
【0076】
図6に拡大図が示されている外側曲がり13b、および、内側曲がり13eは、それぞれ、弧部分18aおよび18bによって十分滑らかにされている。湾曲した弧の大きさは、弧部分18a, 18bに沿う位置における曲率半径によって定量化される。その半径は、基板表面に平行な表面内にあるとみなされる。本実施例では、基板表面は、図5の図面の平面と平行な平坦な表面である。
【0077】
図6に描かれた円は、位置XおよびYで弧部分18aに接し、また、図5の円は、位置Zで弧部分18bに接している。それらの円は、位置XおよびYにおいて、弧部分18aと同じ接線および曲率を持っており、それぞれ、曲率半径RxおよびRyによって特徴づけられる。同様に、Zにおける曲率半径は、Rzである。弧部分18aおよび18bの実質的に全ての各位置における曲率半径は、電極セグメントが偶発的に接続する危険性を減少させるために、特定の最小曲率半径を越えなければならない。
【0078】
当該危険性の著しい減少が、最小曲率半径を1 μmに設定することにより達成される。その危険性は、その値を、2 μm, 5 μm, 10 μmと、それぞれ、設定することによって、さらに減少されていく。多くの応用において、15 μm以上の最小値を用いるのが適切である。特に、弧部分18aおよび18bは、円弧部分、したがって、一定曲率の弧部分であることもある。
【0079】
内側曲がり13cと13dとは、それぞれ、隣接する線分部分と角度20a, 20bをなす線分部分20と、隣接する線分部分と角度19a, 19bをなす線分部分19と、を用いて斜角をつけられている。線分部分20および19の長さ、ならびに、これらの線分部分が隣接する線分部分となす角度は、第2の電極層の電極セグメントが偶発的に接続される危険性を減少させるために、それぞれ、特定の最小長さ、ならびに、最小角度を持たなければならない。
【0080】
手ごろなデザインルールとしては、線分部分17の長さが最小でも2 μmであり、角度が最小でも120 °である。そうでなければ、最小角度は、例えば、110 °, 130 °, 140 °に選ばれてもよく、最小の長さは、3 μm、5 μm、10 μmでも、あるいは、適切でさえあれば、20 μmでさえあってもよい。
【0081】
十分に滑らかな曲がりを持つ多数のELデバイス51が、実施例1に記述された方法に従って製造されたとき、その製造プロセスの歩留りは劇的に増加する。第2のレリーフパターンの望みのパターンに依存しながら、製造歩留りは、通常、4倍以上に増加することができる。
【0082】
図7は、本発明に係るELデバイスに用いる区画用レリーフパターンのさらなる実施例の平面図を示している。このレリーフパターンは、パッシィブマトリクスエレクトロルミネセントディスプレイデバイスに特に用いられる。このレリーフパターンは、電極セグメントを分離して、エリア711aおよび711bに堆積させることを可能にするオーバーハンギング部713を有している。オーバーハンギング部713は、直交して延びる突出部714および715を備えた細長い線分部分716を形成するように、あらかじめ定められた位置713bおよび713cで曲る外境界線713aを持っている。外側曲がり713bは、弧部分714aおよび715aを用いて十分滑らかにされており、一方、内側曲がり713cは、弧部分715bを用いて滑らかにされるか、あるいは、線分部分714bを用いて斜角をつけられている。外境界線713aが曲がりで滑らかにされていない(破線で示されるように)と、曲がりでのアンダーカットが不十分であり、それは、電極セグメント711aと711bとが、例えば、エリア711a側の曲がり713c、細長い部分716の表面に堆積された何らの機能を持たない電極材料、および、他の側の713cのような曲がりを介して、偶発的に接続される危険性を増加させる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によらないエレクトロルミネセントデバイスを平面図で線図的に示す。
【図2】図1のデバイスのI−I線に沿う断面を線図的に示す(図2A〜2Cは、オーバーハンギング部の断面を線図的に示す)。
【図3】図1のエレクトロルミネセントデバイスの一製造ステージにおける平面図を線図的に示す。
【図4】図3の製造ステージにおけるII−II線に沿う図1のデバイスの断面を線図的に示す。
【図5、6】図5は、本発明によるエレクトロルミネセントデバイスの平面図を線図的に示す。図6は、図5の平面図の一部の拡大図を示す。
【図7】本発明によるELデバイスに用いられる区画用レリーフパターンのさらなる実施例の平面図を示す。
【符号の説明】
11a, 11b, 11d, 711a, 711b 電極セグメント
13, 713 オーバーハンギング部
13b, 13c, 13d, 13e, 713b, 713c 曲がり
18a, 18b, 715b 弧部分
19, 20, 714b 線分部分
19a, 19b, 20a, 20b 角度
51 エレクトロルミネセントデバイス
Claims (8)
- エレクトロルミネセントデバイスの電極層をパターニングするためにアンダーカットされたオーバーハンギング部を有する区画用レリーフパターンを備えた基板表面を有するエレクトロルミネセントデバイスにおいて、前記オーバーハンギング部が、少なくとも1つの線分部分とあらかじめ定められた位置における1つの曲がりとを有する外境界線を持つエレクトロルミネセントデバイスであって、
前記曲がりが、曲がりにおける前記オーバーハンギング部を、前記オーバーハンギング部の前記線分部分におけると実質的に同じ大きさまでアンダーカットさせるほどに十分に滑らかであることを特徴とするエレクトロルミネセントデバイス。 - エレクトロルミネセントデバイスの電極層をパターニングするためにアンダーカットされたオーバーハンギング部を有する区画用レリーフパターンを備えた基板表面を有するエレクトロルミネセントデバイスにおいて、前記オーバーハンギング部が、少なくとも1つの線分部分とあらかじめ定められた位置における1つの曲がりとを有する外境界線を持つエレクトロルミネセントデバイスであって、
前記曲がりが、前記基板表面に実質的に平行な表面内の実質的に全ての位置で、最小1 μmの曲率半径を持つ弧部分を有することを特徴とするエレクトロルミネセントデバイス。 - エレクトロルミネセントデバイスの電極層をパターニングするためにアンダーカットされたオーバーハンギング部を有する区画用レリーフパターンを備えた基板表面を有するエレクトロルミネセントデバイスにおいて、前記オーバーハンギング部が、少なくとも1つの線分部分とあらかじめ定められた位置における1つの曲がりとを有する外境界線を持つエレクトロルミネセントデバイスであって、
前記曲がりが、最小2μmの長さを持ち、かつ、接続する外境界線線分部分と最小120 °の角度をなす傾斜線分部分を備えることによって斜角をつけられていることを特徴とするエレクトロルミネセントデバイス。 - 前記オーバーハンギング部が、フォトレジストのようなフォトパターン化された材料またはフォトパターン化可能な材料を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のエレクトロルミネセントデバイス。
- 前記オーバーハンギング部が、ネガ型のフォトパターン化可能な材料またはそれに等価な材料から統合的に形成されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のエレクトロルミネセントデバイス。
- 前記オーバーハンギング部が、前記電極層をn個の互いに分離した電極セグメントに区画するためのn方ジャンクション(nは最小3)を有し、前記n方ジャンクションの前記外境界線が、十分に滑らかな複数の曲がりを有することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のエレクトロルミネセントデバイス。
- 前記エレクトロルミネセントデバイスが、セグメント形エレクトロルミネセントデバイスであることを特徴とする請求項6に記載のエレクトロルミネセントデバイス。
- 前記レリーフパターンが、請求項1から7のいずれか1つによって要求される前記タイプの複数の曲がりを、各々、有する少なくとも2つの突出部を持つオーバーハンギング部を有することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のエレクトロルミネセントデバイス。
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