JP2004518856A - 固定装置 - Google Patents

Abstract

燃料噴射弁（１）を内燃機関のシリンダヘッド（２）内にかつ燃料噴射弁（１）を燃料分配管路（４）に交互に固定するための固定装置（１０）は押さえスリーブ（１１）の形で形成されている。押さえスリーブ（１１）の、燃料分配管路（４）に面した側の端部には、少なくとも１つの弾性的な第１のばね舌片（１４）が設けられており、該ばね舌片（１４）は、燃料の流れ方向とは逆方向に曲げられており、押さえスリーブ（１１）の、燃料分配管路（４）とは反対の側の端部には、少なくとも１つの弾性的な第２のばね舌片（１４）が設けられており、該ばね舌片（１４）は、燃料の流れ方向に曲げられている。

Description

【０００１】
背景技術
本発明は、独立請求項の上位概念部に記載した形式の、燃料噴射弁を内燃機関のシリンダヘッド内に固定しかつ燃料噴射弁を燃料分配管路に結合するための固定装置から出発する。
【０００２】
すでにドイツ連邦共和国特許第２９２６４９０号明細書に基づき、燃料噴射弁に用いられる、吸気管に固定するための固定装置が公知である。この固定装置では燃料分配管路もしくは差込ニップルへの燃料噴射弁の軸方向の固定が、半径方向で弾力的な脚を備えたＵ字形の安全クリップとして形成された固定エレメントによって行われている。この安全クリップは組付け状態で差込ニップルの対応する切欠きを貫通し、かつ燃料噴射弁の接続管片に環状溝として形成された切欠き内に係止可能である。シール部材を不都合に緊張変形させることなく燃料噴射弁を正確に固定するために、切欠きと安全クリップとの間、および環状溝と安全クリップとの間の軸方向の遊びは小さく保たれる。
【０００３】
ドイツ連邦共和国特許第２９２６４９０号明細書に基づき公知の固定装置の欠点は、特に燃料噴射弁に対する種々異なる保持部材の不都合な締付け作用にある。燃料噴射弁内に発生した力の流れは変形を生じ、ひいては不都合な締付けを生じるまでに弁ニードルの行程変化を生じ、さらに、一般には薄肉に形成されていて複数の箇所で互いに溶接されたケーシング部分の圧縮負荷または曲げ負荷を生じる。さらに、それぞれの固定手段はたとえば載着つばによって燃料噴射弁の半径方向の拡張、ひいては組込み時の取付けスペース要求の増大を生じる。
【０００４】
発明の利点
独立請求項の特徴部に記載の特徴を備えた、燃料噴射弁に用いられる本発明による固定装置は従来のものに比べて、燃料噴射弁が、この燃料噴射弁と燃料分配管路との間に緊締された、ばね舌片を備えたばね鋼薄板によって押さえられ、したがって、シリンダヘッドへの燃料噴射弁の固定が省略されるという利点を有している。固定装置は、互いに逆方向に曲げられた弾性的なばね舌片によって燃料噴射弁に燃料分配管路の押さえ力を伝達するために働く。
【０００５】
従属請求項に記載した手段によって、独立請求項に記載した固定装置の有利な構成および改良形が可能となる。
【０００６】
固定装置だけでなく弾性的なばね舌片も簡単に打抜きによって薄板から製作可能であると特に有利である。深絞りと打抜きとによる製作も可能である。
【０００７】
有利には、本発明による固定装置では、シリンダヘッドの端面側に固定するためのねじまたはクランプクローが不要となる。
【０００８】
さらに、打抜きによって押さえスリーブから成形された弾性的なばね舌片の曲がりが、押さえスリーブの曲率に相当していると有利である。ばね舌片は約９０°だけ内方に曲げられる。これによって、最適なばね作用が得られる。
【０００９】
実施例の説明
以下に、本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。
【００１０】
図１には、本発明により形成された、燃料噴射弁を燃料分配管路に固定するための固定装置の実施例の概略的な部分断面図が示してある。
【００１１】
この場合、燃料噴射弁１は直接噴射式の燃料噴射弁１の形で形成されている。この燃料噴射弁１は、特に混合気圧縮型の火花点火式の内燃機関（図示せず）の燃焼室内に燃料を直接噴射するために、シリンダヘッド２内に組み込まれている。燃料噴射弁１は流入側の端部３に燃料分配管路４の収容管片に対する差込み結合部を有している。燃料分配管路４はシール部材５によって燃料分配管路４と流入管片６との間でシールされている。燃料噴射弁１は、この燃料噴射弁１を操作するために、電気的なコンタクト形成のための電気的な接続部７を有している。
【００１２】
燃料噴射弁１は、シリンダヘッド２の収容孔９内に中間リング８を有している。この中間リング８は収容孔９内での燃料噴射弁１のための支承体として働く。中間リング８は弾性材料から成っていて、燃料噴射弁１を収容孔９内でセンタリングするために働く。
【００１３】
燃料噴射弁１をシリンダヘッド２の収容孔９内に位置固定するためには、本発明によれば、固定装置１０が設けられている。この固定装置１０は押さえスリーブ１１から成っている。この押さえスリーブ１１は、一方では燃料分配管路４の肩部１２に支持されていて、他方では燃料噴射弁１の肩部１３に支持されている。押さえスリーブ１１は、有利には、ばね鋼薄板から打ち抜かれている。同じく打抜き加工によって、押さえスリーブ１１から複数の弾性的なばね舌片１４が加工成形される。これらのばね舌片１４は押さえスリーブ１１に結合されていて、押さえスリーブ１１を両肩部１２，１３の間でばね弾性的に緊締するために働く。押さえスリーブ１１の詳細は、図２および図３に示してあり、以下の説明から知ることができる。
【００１４】
電気的な接続部７の領域では、押さえスリーブ１１が切欠き１５を有している。この切欠き１５は、固定装置１０のより容易な組付けのために働く。たとえば全周の角度７５°にわたってしか延びていない切欠き１５は、ばね鋼薄板から成る押さえスリーブ１１に基づき、固定装置１０の信頼性に影響を与えない。
【００１５】
有利には、押さえスリーブ１１が各端部に導入面取り部１７を有していてよい。この導入面取り部１７は斜め面取りによって押さえスリーブ１１の半径方向内側に形成されている。これによって、燃料噴射弁１への押さえスリーブ１１の押被せだけでなく、押さえスリーブ１１内への燃料分配管路４の収容管片の押込みも容易となる。
【００１６】
図２には、図１に示した、本発明により形成された固定装置１０のＩＩ−ＩＩ線に沿った概略的な部分断面図が燃料噴射弁１への観察方向で示してある。同じ構成部分には、全ての図面において、合致する符号が付してある。
【００１７】
押さえスリーブ１１の、燃料噴射弁１の肩部１３に面した側の端部の断面図には、有利な実施例では、３つの弾性的なばね舌片１４が示してある。これらのばね舌片１４は、押さえスリーブ１１からの打抜きと後続の折曲げとによって図示の形にもたらされる。弾性的なばね舌片１４の湾曲もしくはやや曲げられた形は、図３に示した残された孔１６のように、すでに湾曲させられたスリーブ区分が打ち抜かれることによって獲得される。
【００１８】
この場合、弾性的なばね舌片１４の個数は任意であり、固定装置１０に課せられる要求に応じて設計することができる。押さえスリーブ１１は深絞り・打抜きプロセスによって製作することもできる。
【００１９】
やや湾曲させられた形で燃料噴射弁１の肩部１３に接触する弾性的なばね舌片１４と、観察方向とは逆方向にやや湾曲させられた形で燃料分配管路４の肩部１２に接触する有利には同じく３つの弾性的なばね舌片１４の鏡像的な配置とによって、押さえスリーブ１１は燃料噴射弁１と燃料分配管路４との間に緊締され、これによって、燃料噴射弁１をシリンダヘッド２の収容孔９内に押圧している。したがって、適宜に組み付けられた燃料分配管路４によって圧着力を調整することができる。
【００２０】
図３には、図１に示した本発明による固定装置１０の実施例の概略的な縦断面図が概略的な部分図と共に示してある。
【００２１】
この場合、弾性的なばね舌片１４の配置を明瞭にするために、押さえスリーブ１１は断面して図示してあり、付加的には、押さえスリーブ１１の、観察者とは反対の側の領域と、燃料噴射弁１の、弾性的なばね舌片１４が支持されている肩部１３の一部とが図３に一緒に取り入れられている。
【００２２】
この場合、弾性的なばね舌片１４の打抜きと後続の曲返しとによって形成された孔１６を特に明確に知ることができる。弾性的なばね舌片１４は、約９０°の角度を成して押さえスリーブ１１の内部に曲げ込まれている。これによって、この曲げ部も同じく新たな空間位置を獲得している。これによって、押さえ効果が得られる。これによって、弾性的なばね舌片１４の、燃料分配管路４に面した側の配置と共に、燃料噴射弁１と燃料分配管路４とを互いに離れる方向に緊締する作用が得られる。
【００２３】
押さえスリーブ１１のばね弾性的な形によって、押さえスリーブ１１が燃料噴射弁１だけでなく燃料分配管路４にも接触していて、これによって、センタリング作用を加えていることを保証することができる。これによって、不都合な締付けにまで至る弁ニードルのずれを生ぜしめ得る、燃料噴射弁１に対する曲げ力を回避することができる。
【００２４】
さらに、互いに離れる方向への構成部材のばね弾性的な緊締によって、製造誤差および内燃機関の運転時の加熱による長さ変化を補償することができる。
【００２５】
本発明は図示の実施例に限定されておらず、たとえば自己着火式の内燃機関の燃焼室内に噴射する燃料噴射弁１にも使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図１】
本発明により形成された、燃料噴射弁を燃料分配管路に固定するための固定装置の実施例の、部分的に断面された概略図である。
【図２】
図１に示した、本発明により形成された固定装置のＩＩ−ＩＩ線に沿った概略的な部分断面図である。
【図３】
図１に示した本発明による固定装置の実施例の、概略的な部分図に組み合わされた概略的な縦断面図である。
【符号の説明】
１ 燃料噴射弁、 ２ シリンダヘッド、 ３ 端部、 ４ 燃料分配管路、 ５ シール部材、 ６ 流入管片、 ７ 接続部、 ８ 中間リング、 ９ 収容孔、 １０ 固定装置、 １１ 押さえスリーブ、 １２ 肩部、 １３ 肩部、 １４ ばね舌片、 １５ 切欠き、 １６ 孔、 １７ 導入面取り部

Claims (10)

1. 燃料噴射弁（１）を内燃機関のシリンダヘッド（２）内にかつ燃料噴射弁（１）を燃料分配管路（４）に交互に固定するための固定装置であって、当該固定装置（１０）が、押さえスリーブ（１１）の形で形成されている形式のものにおいて、
   押さえスリーブ（１１）の、燃料分配管路（４）に面した側の端部に少なくとも１つの弾性的な第１のばね舌片（１４）が設けられており、該ばね舌片（１４）が、燃料の流れ方向とは逆方向に曲げられており、押さえスリーブ（１１）の、燃料分配管路（４）とは反対の側の端部に少なくとも１つの弾性的な第２のばね舌片（１４）が設けられており、該ばね舌片（１４）が、燃料の流れ方向に曲げられていることを特徴とする、固定装置。
2. 押さえスリーブ（１１）が、燃料分配管路（４）に面した側の少なくとも１つの弾性的な第１のばね舌片（１４）で燃料分配管路（４）の肩部（１２）に接触している、請求項１記載の固定装置。
3. 押さえスリーブ（１１）が、燃料分配管路（４）とは反対の側の少なくとも１つの弾性的な第２のばね舌片（１４）で燃料噴射弁（１）の肩部（１３）に接触している、請求項１記載の固定装置。
4. 押さえスリーブ（１１）が、電気的な接続部（７）を収容するための切欠き（１５）を有している、請求項１から３までのいずれか１項記載の固定装置。
5. 押さえスリーブ（１１）が、ばね鋼薄板から打ち抜かれていて、曲げられているかもしくはローラがけされている、請求項１から４までのいずれか１項記載の固定装置。
6. 押さえスリーブ（１１）が、深絞りによって製作されている、請求項１から４までのいずれか１項記載の固定装置。
7. 弾性的なばね舌片（１４）が、押さえスリーブ（１１）と一体に形成されている、請求項１から６までのいずれか１項記載の固定装置。
8. 弾性的なばね舌片（１４）が、押さえスリーブ（１１）からの打抜きと後続の折曲げとによって製作されている、請求項７記載の固定装置。
9. 弾性的なばね舌片（１４）が、約９０°の角度を成して押さえスリーブ（１１）の内部に折り曲げられている、請求項８記載の固定装置。
10. 燃料噴射弁（１）が、押さえスリーブ（１１）によって燃料分配管路（４）に対して緊締されている、請求項１から９までのいずれか１項記載の固定装置。