JP2004517756A - ドロップオンデマンドプリンタのための電極 - Google Patents

Abstract

本発明により、複数のインク飛沫を射出するための、１列に配置された複数のインク射出領域であって、それぞれが、飛沫をそれぞれの射出領域から静電射出するための関連射出電極を有するインク射出領域を有するドロップオンデマンドプリンタが提供される。中間電極システムは、射出領域と使用中に飛沫が印刷される基板との間に、射出領域から離隔されて配置された１つまたは複数の行の中間電極３を有している。それぞれ個々の中間電極または射出電極３に対応し、かつ、使用中の電極に電圧を供給する複数の導電トラック５が設けられている。トラック５は、対応する電極のすぐ隣に配置されているか、あるいは実際に電極３を形成している抵抗素子１４を有している。

Description

【０００１】
本発明は、印刷するために、粒子が射出領域で集塊すなわち集中し、該射出領域から粒子が基板に射出される、ＷＯ−Ａ−９３−１１８６６、より詳細にはＷＯ−Ａ−９７−２７０５６に記載されているタイプのドロップオンデマンドプリンタのための電極に関する。アレイプリンタの場合、各々が射出領域を備えた複数のセルが、１つまたは複数の行に配列されている。
【０００２】
ＷＯ−Ａ−９７−２７０５６で本発明者らは、線形アレイに配置された複数の射出領域を備えた装置について述べている。射出領域は、それぞれ対応する射出電極を有しており、したがって射出電極も、平面を形成している行に配置されている。外部電界による影響に対する装置の感度を鈍くするために、１つまたは複数の二次電極が、射出電極の平面を横方向に配置されている。また、射出領域と粒子が射出される基板との間の距離の変動に対する感度も鈍くなっている。二次電極は、射出電極と基板との間に位置することが好ましく、また、中央スリットを備えた平面電極を備えており、該中央スリットを通して、基板に粒子が射出される。従来、二次すなわち「中間」電極は、一定の電圧に保持されている。
【０００３】
しかしながら、射出領域のピッチと同じピッチで複数の中間電極を形成することにより、各射出ポイントにおける電界を、個々の中間電極に印加する電圧をパルス化することによって変化させることができるため、射出電極に印加するパルス電圧を小さくすることができる。
【０００４】
射出電極と中間電極との間に起こり得る、ミスプリントの原因になるあらゆる電気的破壊の危険を排除するために、中間電極と対応する電源との間に抵抗を設けることが既に考慮されているが、残念なことには、中間電極の金属トラックの容量性負荷が、印加するパルスの立上り時間を許容不可能に長くしていることが分かった。例えば、金属導電トラックの１ミリメートル当たりの容量が０．２ｐＦ．ｍｍ^−１であり、トラックの長さが約１０ｍｍの場合、１０ＭΩの抵抗により、約２０μｓの立上り時間になる。本発明が対象とするタイプのプリンタの場合、５０μｓ程度のパルス幅にすることができる。
【０００５】
したがって、本発明によれば、複数のインク飛沫を射出するための、１列に配置された複数のインク射出領域であって、それぞれが、飛沫をそれぞれの射出領域から静電射出するための関連射出電極を有するインク射出領域と、上記１列に配置された射出領域から離隔された、使用に際して、上記１列に配置された射出領域と使用中に飛沫が印刷される基板との間に位置する１列に配置された中間電極、およびそれぞれが、使用時に各中間電極に電圧を供給するためのそれぞれの中間電極に対応し、それぞれが、対応する中間電極のすぐ隣に配置された抵抗素子を備えた複数の導電トラックを有する中間電極システムとを有するドロップオンデマンドプリンタが提供される。
【０００６】
本発明の第２の態様によれば、複数のインク飛沫を射出するための、１列に配置された複数のインク射出領域であって、それぞれが、飛沫をそれぞれの射出領域から静電射出するための関連射出電極を有するインク射出領域と、上記１列に配置された射出領域から離隔された、使用に際して、上記１列に配置された射出領域と使用中に飛沫が印刷される基板との間に位置する１列に配置された中間電極、および使用中の中間電極の各々に電圧を供給するための、それぞれ個々の中間電極に対応する、中間電極の各々が抵抗素子からなる複数の導電トラックを有する中間電極システムとを有するドロップオンデマンドプリンタが提供される。
【０００７】
また、本発明は、複数のインク飛沫を射出するための、１列に配置された複数のインク射出領域であって、それぞれが、飛沫をそれぞれの射出領域から静電射出するための関連射出電極を有するインク射出領域と、それぞれが、使用時に各射出電極に電圧を供給するためのそれぞれの射出電極に対応し、それぞれが、対応する射出電極のすぐ隣に配置された抵抗素子を備えた複数の導電トラックとを有するドロップオンデマンドプリンタを備えている。
【０００８】
本発明は、さらに、複数のインク飛沫を射出するための、１列に配置された複数のインク射出領域であって、それぞれが、飛沫をそれぞれの射出領域から静電射出するための関連射出電極を有するインク射出領域と、対応する１つまたは複数の射出電極と、使用中の射出電極および／または各中間電極に電圧を供給するための、それぞれ個々の射出領域に対応する、射出電極の各々および／または中間電極の各々が抵抗素子からなる、複数の導電トラックとを有するドロップオンデマンドプリンタを備えている。
【０００９】
対応する電極に隣接して、あるいは実際に電極として抵抗素子を形成することにより、パルスの立上り時間を著しく短縮し、例えば１μｓの短い立上り時間にすることができる。
【００１０】
また、本発明には、プリンタのための電極システムを製造する方法が含まれている。この方法には、非導電性基板上に抵抗材料層を形成するステップ、抵抗材料層の細長い領域をマスキングするステップ、抵抗材料層の非マスク化領域上に導電材料層を形成するステップ、および抵抗性末端部分を有する複数の導電トラックを形成するために、抵抗層の細長い領域を実質的に横切り、それをまたいで延びる抵抗材料層および導電材料層の帯状部分を除去するステップが含まれている。
【００１１】
抵抗層のマスクされた細長い領域は、基板の端部から離れた抵抗層の区間、および該区間の両端間に渡って除去された抵抗材料層の帯状部分を備えていることが好ましく、電極システムを製造する方法には、区間中に、区間の長手方向の軸に実質的に平行に、かつ、区間の幅より狭いスロットを切り欠くステップが含まれており、それによりスロットの両側に、複数の対向する電極が形成される。
【００１２】
電極システムを製造する代替方法には、非導電性基板上に抵抗材料層を形成するステップ、抵抗材料の複数の平行帯状部分を形成するべく、抵抗材料層の領域を選択的に除去するステップ、抵抗材料層の頂部の基板を覆う導電材料層を形成するステップ、および抵抗性末端部分を有する複数の導電トラックを形成するべく、抵抗材料層が除去された基板領域から導電材料層の帯状部分を除去するステップが含まれている。
【００１３】
この方法の場合、抵抗材料の複数の平行帯状部分は、基板の端部から離れた区間中に配置されることが好ましく、電極システムを製造する代替方法には、区間中に、区間の長手方向の軸に実質的に平行に、かつ、区間の幅より狭いスロットを切り欠くステップが含まれており、それによりスロットの両側に、複数の対向する電極が形成される。
【００１４】
次に、本発明によるプリンタのアドレス可能中間電極およびその製造方法の実施例について、添付の図面を参照して説明する。
【００１５】
図１は、セラミックまたは類似の非導電性基板２上に形成された、アドレス可能な中間電極アレイ１を示したもので、アドレス可能中間電極３の各々は、対になったうちの１つであり、各対の電極は、基板２を貫通して延びた細長いスリット４の両側に配置されている。図１には、基板２の表面の個々の電極３に向かって延びた、複数の金属導電トラック５（通常、クロムをベースとした、厚さが例えば２０ｎｍの層であり、その頂部層は、厚さが例えば３００ｎｍの金でできている）が示されている。実際の電極３である金属トラックの各々の端部は、抵抗素子（例えば、抵抗率が０．５ないし２０Ω．ｍのアモルファスシリコン）でできている。
【００１６】
図２Ａ〜２Ｄは、製造方法の１つを示したものである。この方法では、セラミック基板２が抵抗材料６で被覆され、続いてさらに金属が被覆され、それにより導電層７が、２つの区間７’、７”の抵抗材料に蒸着され、それらの間に（幅約１ｍｍの）ギャップ８が残される。
【００１７】
次のステージ（図２Ｃ参照）で、スロットすなわち溝９が、金属層および導電層７、６を通して、実質的に直角に切り欠かれ、それにより層の区間がトラック５に分離され、プロセスの最終ステージ（図２Ｄ参照）で、スリット１０が、層６、７および基板２を通して、導電領域７’と７”との間のギャップ８に整列して切り欠かれ、それにより、スリット１０の両側のトラック５の端部に、複数の抵抗電極３が生成される。
【００１８】
図３Ａ〜３Ｄに示す代替方法では、図２Ａ〜２Ｄを参照して説明したプロセスの場合と同様、セラミックタイルに抵抗材料６が蒸着され、第２のステージ（図３Ｂ参照）で、抵抗材料が、フォトレジストを使用したリソグラフによってパターン化され、現像された後、表面がエッチングされ、不要な抵抗材料が除去される。それにより、抵抗材料の複数の帯すなわち帯状部分１１が基板２上に残される。プロセスの次のステージで、基板２が導電金属層１２で被覆され、続いて、材料が、抵抗材料に対して使用した方法と同じ方法を使用して、リソグラフによってパターン化され、同様にフォトレジストが露光された後、不要な金属が除去され、図に示す導電トラック５が残される。この後、図２Ｄを参照して説明した方法と同じ方法でスリットが切り欠かれ、非常に良く似た構造が残されるが、トラック５は、その全長に渡って抵抗材料を覆っていない。
【００１９】
他の代替製造方法は、あくまで実施例に過ぎないが、蒸着およびリフトオフが後続するフォトレジストのリソグラフィ、あるいはリソグラフィによるパターン化と組み合わせたブランケット蒸着などに使用することができる。一方法では、対向するトラックのアレイを形成するべく、リソグラフィによるパターン化によって基板に金属導体が敷設され、このようにして形成された金属トラックの各々にギャップが形成される。抵抗材料の帯状部分が、例えばスクリーン印刷によって、導電トラック中のギャップに沿って蒸着され、次に、超小型機械鋸、レーザ除去または他の適切な方法を使用して、抵抗材料を通して切り欠くことにより、抵抗が分離される。
【００２０】
他の方法では、基板に、写真画像化可能圧膜抵抗材料が、導電トラック中のギャップに沿って帯状に印刷され、次に、ギャップ中の材料が硬化し、導電トラック間のスペースの材料は硬化しないよう、マスクを通して抵抗材料が紫外光に露光され、続いて非露光膜がリンス除去される。この方法を使用して、正確に位置付けされた抵抗によって終端されたトラックを形成することもできる。
【００２１】
さらに他のオプションでは、高度にドープされたシリコンを使用してトラックを製造し（適切な方法によって）、必要に応じて、それぞれの導電部分および抵抗部分を生成するべく、トラックの長さに沿ってドーピングの程度を変化させている。
【００２２】
図４Ａ〜４Ｃは、電極３が形成された、導電トラックの端部を示したもので、導電トラック５は、１３で示すように、二又に分岐している。抵抗素子１４は、例えば図４Ａ〜４Ｃのいずれかに示す位置に配置されている。
【００２３】
図５Ａは、プリンタ内の中間電極アレイ１の等角図であり、ギャップ１６の両側に配置された、対向する２つのセットの電極３およびそれぞれ抵抗素子１４を備えた導電トラック５（セラミック基板２上に形成されている）が示されている。使用に際しては、上記ギャップ１６を通して印刷が実行される。図５Ｂは、プリンタをさらに詳細に示したもので、複数の中間電極３のそれぞれ対応する１つに対して位置決めされ、かつ、ギャップ１６を通して射出するようになされた、それぞれ関連する射出チップ１８を備えた個々の射出セル１７の位置が示されている。セル１７は、例えば、本出願人のＰＣＴ／ＧＢ００／０４１２１に記載されている構造の個別セラミック基板上または他の非導電性基板１９上に形成されている。
【図面の簡単な説明】
【図１】
中間電極アレイの平面図である。
【図２Ａ〜２Ｄ】
このような電極アレイの製造の各ステージを示す図である。
【図３Ａ〜３Ｄ】
代替製造方法を示す図である。
【図４Ａ〜４Ｃ】
中間電極の３つの異なる様式を示す図である。
【図５Ａおよび５Ｂ】
このような中間電極を組み込んだプリンタの等角図である。

Claims (12)

1. 複数のインク飛沫を射出するための、１列に配置された複数のインク射出領域であって、各インク射出領域が、前記飛沫をそれぞれの射出領域から静電射出するための関連射出電極を有するところのインク射出領域と、
   中間電極システムであって、
   １列に配置された前記射出領域から離隔され、そして、使用に際して、１列に配置された前記射出領域と、使用中に飛沫が印刷される基板との間に位置する１列に配置された複数の中間電極、及び、
   それぞれが、使用時に各中間電極に電圧を供給するためのそれぞれの中間電極に対応し、そして、それぞれが、対応する前記中間電極のすぐ隣に配置された抵抗素子を備えた複数の導電トラック
   を有するところの中間電極システムと
   を備えたドロップオンデマンドプリンタ。
2. 複数のインク飛沫を射出するための、１列に配置された複数のインク射出領域であって、各インク射出領域が、前記飛沫をそれぞれの射出領域から静電射出するための関連射出電極を有するところのインク射出領域と、
   中間電極システムであって、
   １列に配置された前記射出領域から離隔され、そして、使用に際して、１列に配置された前記射出領域と、使用中に飛沫が印刷される基板との間に位置する１列に配置された複数の中間電極、及び、
   それぞれが、使用時に各中間電極または射出電極に電圧を供給するためのそれぞれの中間電極に対応する複数の導電トラックであって、各中間電極が抵抗素子からなるところの複数の導電トラック
   を有する中間電極システムと
   を備えたドロップオンデマンドプリンタ。
3. 前記複数の中間電極のうちの１つ以上が、二又に分岐している、請求項１または２に記載のプリンタ。
4. 複数の中間電極が、基板中の開口部の各側に形成されており、前記基板上に、前記中間電極および導電トラックが形成されている、請求項１から３のいずれか１つに記載のプリンタ。
5. プリンタのための電極システムを製造する方法であって、
   非導電性基板上に抵抗材料層を形成し、
   前記抵抗材料層の細長い領域をマスキングし、
   前記抵抗材料層の非マスク化領域上に導電材料層を形成し、
   前記抵抗材料層の細長い領域を実質的に横切り、これをまたいで延びる抵抗材料層および導電材料層の帯状部分を除去して、抵抗性末端部分を有する複数の導電トラックを形成する
   ことを含む方法。
6. 前記抵抗材料層のマスクされた細長い領域が、前記基板の端部から離れた前記抵抗層の区間を備え、そして、除去された抵抗材料層の帯状部分が前記区間をまたいで延びており、前記方法が、
   前記区間中に、前記区間の長手方向の軸に実質的に平行で、前記区間の幅より狭いスロットを切り欠き、それにより前記スロットの両側に、複数の対向する電極が形成されることを含む、請求項５に記載の方法。
7. プリンタのための電極システムを製造する方法であって、
   非導電性基板上に抵抗材料層を形成し、
   前記抵抗材料層の領域を選択的に除去して、抵抗材料からなる複数の平行帯状部分を形成し、
   前記抵抗材料層の頂部上において、前記基板を覆う導電材料層を形成し、
   前記抵抗材料層が除去された前記基板の前記領域から、導電材料層の帯状部分を除去して、抵抗性末端部分を有する複数の導電トラックを形成する
   ことを含む方法。
8. 抵抗材料の前記複数の平行帯状部分が、前記基板の端部から離れた区間中に配置されており、前記方法が、
   前記区間中に、前記区間の長手方向の軸に実質的に平行で、前記区間の幅より狭いスロットを切り欠き、それにより前記スロットの両側に、複数の対向する電極が形成されることを含む、請求項７に記載の方法。
9. 複数のインク飛沫を射出するための、１列に配置された複数のインク射出領域であって、各インク射出領域が、前記飛沫をそれぞれの射出領域から静電射出するための関連射出電極を有するところのインク射出領域と、
   それぞれが、使用時に各射出電極に電圧を供給するためのそれぞれの射出電極に対応し、そして、それぞれが、対応する前記射出電極のすぐ隣に配置された抵抗素子を備えた複数の導電トラックと
   を備えたドロップオンデマンドプリンタ。
10. 複数のインク飛沫を射出するための、１列に配置された複数のインク射出領域であって、各インク射出領域が、前記飛沫をそれぞれの射出領域から静電射出するための関連射出電極を有するところのインク射出領域と、
    それぞれが、使用時に各射出電極に電圧を供給するためのそれぞれの射出領域に対応し、各射出電極が抵抗素子からなる複数の導電トラックと
    を備えたドロップオンデマンドプリンタ。
11. 複数のインク飛沫を射出するための、１列に配置された複数のインク射出領域であって、各インク射出領域が、前記飛沫をそれぞれの射出領域から静電射出するための関連射出電極を有するところのインク射出領域と、
    前記射出領域に対応する１列に配置された複数の中間電極と、
    複数の導電トラックであって、それぞれが、使用時に各中間電極に電圧を供給するためのそれぞれの射出領域に対応し、各中間電極が抵抗素子からなるところの複数の導電トラックと
    を備えたドロップオンデマンドプリンタ。
12. 前記複数の射出電極または中間電極のうちの１つ以上が、二又に分岐している、請求項９、１０または１１に記載のプリンタ。