JP2004517028A - セリンプロテアーゼ阻害剤としてのα−ケトオキサジアゾール類含有インドールおよびテトラヒドロイソキノリン - Google Patents
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Abstract
本発明は、成人呼吸困難症候群、敗血症ショック、および多臓器不全などの状況下でのHNE媒介プロセスの治療で、ヒト好中球エラスターゼ(HNE)の阻害剤として役立つ一部の置換オキサジアゾール非ペプチドに関するものである。また、一連の研究によると、心筋虚血・再灌流障害、気腫でのHNEの関与が報告されている。HNE媒介プロセスは、関節炎、歯周病、糸球体腎炎、皮膚炎、乾癬、嚢胞性線維症、慢性気管支炎、アテローム硬化症、アルツハイマー病、臓器移植、角膜潰瘍、および悪性腫瘍の浸潤など、その他の疾患状態に関与している。
Description
【0001】
本願は、1997年12月4日付で提出された米国特許出願08/985,056の一部継続出願である。米国特許出願08/985,056は、1996年12月6日付で提出された米国特許出願08/771,317の一部継続出願である。米国特許出願08/771,317は、1994年11月21日付で提出された米国特許出願08/345,820(現在、米国特許5,618,792として発行されている)の一部継続出願である。
本発明は、セリンプロテアーゼの阻害剤として有用な一部の置換オキサジアゾール非ペプチド類に関するものである。
【0002】
発明の背景
セリンプロテアーゼは酵素クラスの一種であり、エラスターゼ、キモトリプシン、カテプシンG、トリプシン、およびトロンビンを含んでいる。これらのプロテアーゼは、セリン195、ヒスチジン57、およびアスパラギン酸102(キモトリプシン・ナンバリングシステム)からなる三組の触媒を有する点で共通している。ヒト好中球エラスターゼ(HNE)は、さまざまな炎症性刺激に対応して多形核白血球(PMN)により分泌される蛋白質分解酵素である。HNEの放出とその細胞外蛋白質分解活性は高度に調節されており、またPMNの正常で有益な機能である。正常な状況下でのHNEの分解能力は、比較的高い血漿濃度のα1プロテイナーゼ阻害剤(α1−PI)によって調節される。しかし、刺激を受けたPMNは活性酸素代謝物質を噴出し、その一部(たとえば次亜塩素酸)はα1−PIの重要なメチオニン残基を酸化することができる。酸化したα1−PIは、HNE阻害剤としての能力が限定されることが明らかとなっており、このプロテアーゼ/反プロテアーゼバランスの変化によってHNEが限局され制御された環境でその分解機能を実行できると考えられている。
プロテアーゼ/反プロテアーゼ活性のこのようなバランスにもかかわらず、この制御メカニズムの崩壊が病因に関与しているいくつかのヒト疾患状態がある。HNE活性の不適切な調節は、成人呼吸困難症候群、敗血性ショック、および多臓器不全の要因として示唆されている。また一連の研究によると、心筋虚血・再灌流障害においてPMNと好中球エラスターゼの関与が示されている。α1−PIのレベルが正常以下の患者は、気腫を発症する可能性が大きい。HNE媒介プロセスは、関節炎、歯周病、糸球体腎炎、皮膚炎、乾癬、嚢胞性線維症、慢性気管支炎、アテローム硬化症、アルツハイマー病、臓器移植、角膜潰瘍、および悪性腫瘍の浸潤などのその他の疾患状態に関与している。
エラスターゼ媒介性障害を治療し、および/または予防するための治療薬および予防薬として、HNEの有効阻害剤が求められている。
【0003】
発明の要旨
本発明は、次の式の化合物を提供する。
【化2】
ここで、XとYはそれぞれ独立にOまたはNであり、
R1はアルキルであり、
R2とR3はそれぞれ独立にHまたはアルキルであるか、O、S、またはNから選択された1個またはそれ以上のヘテロ原子で任意に置換されていてもよい3〜5個の炭素原子を含む環を共に形成しており、ここでNはHまたはアルキルで任意に置換される、
nは0または1であり、
Dは直接結合またはバリンであり、
Aは−C(O)−または−OC(O)−であり、
R1は1個または2個のN原子で置換されたアルキルまたはアリールであり、または薬学的に許容し得るその塩。
好ましくは、本発明の化合物は1,2,4−オキサジアゾール(すなわち、XがOであり、YがNである)、または1,3,4オキサジアゾール環(すなわち、XがNであり、YがOである)を含むものである。
【0004】
本発明の一つの好ましい実施態様においては、R1はtert−ブチルなどのアルキルである。もう一つの好ましい実施態様においては、R2とR3はそれぞれ独立にイソプロピルなどのアルキルまたはHである。好ましくは、R2はイソプロピルであり、R3がHである。さらにもう一つの実施態様では、R4はイソプロピル基またはtert−ブチル基などのアルキルである。さらにもう一つの実施態様では、R4は2−ピリジル基や5−イミダゾリル基などのような、1個または2個のN原子で置換されたアリール基である。
ここで用いられる場合、「任意に置換されていてもよい」とは、置換された場合、1個の置換からすべての置換までを意味する。
ここで用いられる場合、「それぞれ独立に」とは置換基が同一であっても異なっていてもよいことを意味する。
ここで用いられる場合、「アルキル」とはC1〜C15、好ましくはC1〜C8を意味する。アルキル基は線状または枝状である。
ここで用いられる場合、「アルキルオキシカルボニル」とはアルキル−O−C(O)−を意味し、ここでアルキルの意味は上に記載したとおりである。アルキルオキシカルボニルの例には、メチルオキシカルボニル、イソ−プロピルオキシカルボニル、およびtert−ブチルオキシカルボニルが含まれる。
上記の化合物の薬学的に許容し得る塩は、本発明の範囲内にある。
【0005】
詳細な説明
本発明の化合物は、セリンプロテアーゼヒト好中球エラスターゼ(HNE)の強力な阻害剤であることが見出された。これは可逆的な阻害剤であり、おそらく活性部位のセリン残基と遷移状態の中間物質を形成すると考えられる。これらの化合物の特徴は、低分子量、HNEに対する高い選択性、および生理的条件に関する安定性である。したがってこれらの化合物は、HNEの存在と関連した分解作用により媒介される各疾患の予防、軽減および/または治療に活用することができる。これらはin vivo(生体内)でのさまざまなヒトの治療に関連しているので、その使用は特に重要であるが、in vitro(試験管内)での診断用手段としても用いることができる。
本発明は、各実施例で述べられている具体的な実施態様を提供するが、これらに限定されるものではない。
実施態様に関する命名法は次の通りである(開示されている各実施態様は(S)−立体化学的立体配置を持つものとして2−メチルプロピル基を示しているが、鏡像体としての純粋(R)−およびラセミ(S)−立体配置はともに本発明の範囲内にある)。
実施例1 N−tert−ブチルオキシカルボニル−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミド
実施例2 N−イソ−プロピルオキシカルボニル−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミド
実施例3 N−(イミダゾイル−5−カルボニル)−S−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミド
実施例4 N−メチルオキシカルボニル−L−バリル−S−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミド
実施例5 N−(ピリジル−3−カルボニル)−L−バリル−S−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミド
実施例6 N−tert−ブチルオキシカルボニル−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミド
実施例7 N−イソプロピルオキシカルボニル−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミド
実施例8 N−(イミダゾイル−5−カルボニル)−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミド
実施例9 N−メチルオキシカルボニル−L−バリル−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミド
実施例10 N−(ピリジル−3−カルボニル)−L−バリル−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミド
上記実施例の構造を、図3および4に示す。
【0006】
本発明の化合物は、ヒトエラスターゼの阻害についての使用に限定されない。エラスターゼは、セリンプロテアーゼとして知られている酵素クラスの一種である。またこの酵素クラスは、例えば、キモトリプシン、カテプシンG、トリプシン、およびトロンビンを含んでいる。これらのプロテアーゼは、セリン195、ヒスチジン57、およびアスパラギン酸102(キモトリプシン・ナンバリングシステム)からなる触媒的三主徴(catalytic triad)を有する点で共通している。これらのアミノ酸残基の間に存在する精密な水素結合ネットワークによって、セリン195ヒドロキシルはアミド基質のカルボニルとともに四面体の中間物質を形成することができる。この中間物質の分解によって、遊離アミンとアシル化酵素が放出される。その後の段階で、この新しく形成されたエステルが加水分解され、本来の酵素とカルボキシル酸となる。この酵素の特異性を特徴づけるのに役立っているのが、このカルボキシル部分である。カルボキシル部分がペプチドである例では、酵素に対する特異性は主としてアミノ酸のα置換基によって決定される。SchechterとBerger(Biochem.Biophy.Res.Commun.,27;157(1967)とBiochem.Biophy.Res.Commun.,32;898(1968))による命名法を用いて、分解される基質のアミノ酸残基はN末端に向かってP1...Pnとして、またC末端に向かってP1’...Pn’と定義される。したがって容易に切断できる結合はこのペプチドサブユニットのP1残基とP1’残基の間にある。基質のサブセットユニットを収容する結合ポケットを作り上げている酵素のアミノ酸残基についても同様の命名法が用いられ、酵素に関する結合ポケットは基質に関しP1...Pnの代りにS1...Snで表される。
【0007】
セリンプロテアーゼの特異性を定めるP1残基の特徴は、充分に確立されている。プロテアーゼはP1残基でのこれらの差異に基づいて三つのサブクラス、すなわちエラスターゼ、キマーゼ、およびトリプターゼに分けることができる。エラスターゼは、バリンなどの小さな脂肪族部分を選ぶが、キマーゼとトリプターゼは、それぞれ大きな親水性芳香族と正電荷を帯びた残基を選ぶ。
このカテゴリーに当てはまらないもう一つのプロテイナーゼは、プロピルエンドペプチダーゼである。この特異性を規定するP1残基はプロリンである。この酵素は、アルツハイマー病患者での記憶の喪失の進行に関与しているといわれている。最近の報告によると、α−ケト複素環からなる阻害剤はプロピルエンドペプチダーゼを阻害する(Tsutsumi et al,J.Med.Chem.,37,3492−3502(1994))。更にこのことを敷衍すれば、本明細書に定義されるα−ケト複素環によって酵素のP’領域での結合が増大する。
【0008】
【表1】
【0009】
基質の特異性は、主としてP1残基によって定まるので、本発明はP1−Pn’修飾に関するものであり、さらに詳しくは、1,2,4−オキサジアゾールおよび1,3,4−オキサジアゾールからなる或る種のα−置換ケト複素環に関するものである。α置換基をケトンに変更することによって、またある程度、複素環の置換基を変更することによって、これらの化合物の特異性を所望のプロテイナーゼに対応するものとすることができる(たとえば、エラスターゼの場合は、小さい脂肪族基)。
さまざまな疾患の治療に対するこの化合物の効能は、当業者にとって公知の科学的方法によって決定することができる。以下に、HNE媒介疾患状態についての例を示す。
急性呼吸困難症候群については、ヒト好中球エラスターゼ(HNE)モデルにもとづく方法(AARD,141:227−677(1990))、ミニブタでの内毒素誘発性急性肺障害モデル(AARD,142:782−788(1990))、またはハムスターでのヒト多形核エラスターゼ誘発性肺出血モデルにもとづく方法(欧州特許公報0769498)を用いることができる。
虚血/再灌流では、再灌流障害のイヌモデルにもとづく方法(J.Clin.Invest.,81:624−629(1988))を用いることができる。
本発明の化合物、その塩、およびそれらの中間物質は、本明細書で述べられた方法や化学の分野で存在することが知られているさまざまな工程(たとえば、WO96/16080を参照)を用いて調製または製造することができる。
あるいは、本発明の化合物は、図1および2に示しているように調製することができる。図1は、本発明で用いるBoc保護アミノアルコール中間物質の合成に関するものである。図2は、本発明の合成化合物のための中間物質の使用を示している。
2−置換1,3,4−オキサジアゾール(3)は、たとえば塩化チオニルとメタノールを用いて対応する酸(1)からメチルエステルを形成し、その後ヒドラジンを含む適切な溶媒で処理してヒドラゾン酸(2)を得ることができる。あるいはエステルは、当業者にとって公知の方法や「コンプリヘンシブ オーガニック トランスフォーメーションズ(Comprehensive Organic Transformations)」(R.Larock,VCH Publishers 1989,966−972)で述べられている方法を用いて調製することができる。ヒドラゾン酸(2)とオルト蟻酸トリエチルまたはオルト蟻酸トリメチルおよびTsOHとの反応によって、必要な2−置換1,3,4−オキサジアゾール(3)が得られる。
中間物質(3’)は、標準的な条件を用いて生成することができ(たとえば、低温でブチルリチウムやその他の既知のアルキルリチウム試薬を含む極性中性溶媒を用いて、さらに望む場合には、MgBr・OEt2と反応させて)、続いてアルデヒド(4)に加えるとアルコール(5)が得られる。
アルデヒド(4)は、図1に示した三つの方法のいずれかを用いて調製することができる。一つの方法は、Boc−Val−OHとイソプロピルクロロホルム塩との間で形成される中間物質を水素化ホウ素ナトリウムで還元してBoc−バリノール(12)を得る方法である。その後、SO3−Pyを含むDMSOでBoc−バリノールを酸化すると、アルデヒド(4)が得られる。もう一つの方法は、Boc−val−OH(11)から調製したWeinrebアミド(13)を用いる方法であり、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL)を用いてアルデヒドに還元する。あるいは、アミノ酸のエステル(14)を生成し、DIBALで還元してアルデヒド(4)を得ることもできる。
図2に示すように、塩酸を含むジオキサンを用いてアミン(5)を脱保護すると、塩酸アミノ(6)が得られる。技術上利用可能な方法を用いてこれを酸(7)と結合させると中間物質(8)が得られる。Swern酸化法、デス・マーチンのperiodinane法、または「有機化学」(M.Hudlicky,ACS Monograph 186(1990))の「酸化」(の項)で述べられているその他の方法を用いて酸化すると、ケトン(9)が得られる。
本明細書で述べている化合物は、純粋化学物質として投与することができるが、薬学的組成物としての活性成分とすることが好ましい。したがって本発明は、一つまたはそれ以上の化合物と一つまたはそれ以上の薬学的に許容し得る担体、更に任意に、その他の治療成分および/または予防成分を含有する薬学的組成物の使用をさらに提案する。担体は、組成物のその他の成分と和合性があるという意味で「許容し得るもの」でなければならず、また受容者にとって有害であってはならない。
薬学的組成物には、経口投与または(筋肉内、皮下、および静脈内投与を含む)非経口投与に適したものが含まれる。組成物は、それが適当な場合、個別(ディスクリート)の単位剤形とすると便利であり、また薬学において充分知られているどの方法でも調製することができる。このような方法には、活性化合物を、液体担体、固体マトリックス、半固体担体、細分固体担体、またはこれらの組合わせと結合させ、次に必要な場合にはこうして得た物質を所望の投与システムに適合するよう形成する段階を含んでいる。
経口投与に適した薬学的組成物は、それぞれ所定量の活性成分を含んでいる硬質または軟質ゼラチンのカプセル剤、カシェ剤、または錠剤として、また散剤または顆粒剤として、または溶液、懸濁剤、または乳剤などの別個の単位剤形とすることができる。活性成分は、丸剤、舐剤、またはペースト剤とすることもできる。経口投与のための錠剤とカプセルは、結合剤、充填剤、潤滑剤、崩壊剤、または湿潤剤などの従来型の賦形剤を含んでもよい。錠剤は、当業者に充分知られている方法に従って、たとえば腸溶コーティング剤を塗布してもよい。
経口液体製剤は、たとえば水性または油性の懸濁剤、溶液、乳剤、シロップ剤、またはエリキシル剤の剤形でもよく、また使用前に水またはその他の適切なビヒクルと組合わせるための乾燥品でもよい。このような液体製剤は、懸濁剤、乳化剤、(食用油を含む)非水性ビヒクル、または保存剤などの従来型の添加物を含むこともできる。
また化合物は、(たとえば、ボーラス投与や継続的注入などの注射によって)非経口投与するために調製することもできる。また、アンプル剤、充填済注射器、少量ボーラス注入用容器に単位用量を含んだものでもよく、また複数回の用量と保存剤の入った容器で提供することもできる。組成物は、油性または水性ビヒクルに懸濁剤、溶液、または乳剤を含んだものとすることができ、また懸濁剤、安定剤、および/または分散剤などの調製剤を含んでもよい。あるいは、使用前に適切なビヒクル(たとえば滅菌し発熱物質を含まない水)と組合わせるために、活性成分は滅菌固体を無菌状態で分離して得るか溶液を凍結乾燥させて得た粉末状でもよい。
【0010】
表皮に局所適用するために、化合物は、軟膏剤、クリーム剤、またはローション剤として、または経皮パッチの活性成分として調剤することができる。適切な経皮投与システムは、たとえばFisher et al(米国特許4,788,603)やBawas et al(米国特許4,931,279、4,668,504、および4,713,224)で開示されている。軟膏剤およびクリーム剤は、たとえば水性または油性基剤に適当な濃化剤および/またはゲル化剤を加えて調製することができる。ローション剤は、水性または油性基剤で調製することができ、一般に、一つまたはそれ以上の乳化剤、安定剤、分散剤、懸濁剤、濃化剤、または着色剤を含んでいる。活性成分は、たとえば米国特許4,140,122、4,383,529、または4,051,842に開示されているイオン電気導入法で投与することもできる。
口腔内の局所適用に適した組成物には、通常、スクロースとアラビアゴム、またはトラガカントゴムからなる矯味基剤に活性成分を含むロゼンジや、ゼラチンとグリセリン、またはスクロースおよびアラビアゴムなどの不活性基剤に活性成分を含むトローチ剤、また粘膜付着ゲル、および適当な液体担体中に活性成分を含む口腔洗浄液などの単位剤形が含まれる。
望む場合には、上に述べた組成物を、たとえば、天然ゲル、合成ポリマーゲル、またはこれらの混合物からなる一部の親水性ポリマーマトリックスと組合わせることによって、活性成分を持続的に放出できるようにすることができる。
本発明に基づく薬学的組成物は、矯味剤、着色剤、抗菌剤、また保存剤などのその他のアジュバントを含んでもよい。
【0011】
さらに、治療で使用するのに必要な化合物、その活性塩または誘導体の量は、選ばれた特定の塩ばかりでなく、投与経路、治療する疾患状態の性質、受容者の年齢および状態によっても異なり、最終的には立会い医師の判断によって決定される。
しかし、一般に、適切な用量は約0.5〜100mg/kg/dayの範囲内である。これは、たとえば約1〜75mg/kg/day、約3〜50mg/kg/day、6〜90mg/kg/dayといった範囲が考えられるが、最も好ましくは15〜60mg/kg/dayの範囲内である。
化合物は、たとえば0.5〜1,000mgを含む単位剤形で投与するのが便利であり、剤形当たり5〜750mgを含むのが便利であり、最も便利には10〜500mgの活性成分を含む場合である。
理想的には、活性成分は、活性化合物のピーク血漿濃度が約0.5〜75μMとなるように投与すべきであリ、好ましくは約1〜50μM、最も好ましくは約2〜30μMである。これは、たとえば生理食塩水中、活性成分を0.05〜5%含む溶液を静脈内投与するか、約0.5〜500mgの活性成分を含む大型丸剤として経口投与すると達成することができる。望ましい血中レベルは、約0.01〜5.0mg/kg/hrとなるよう持続注入するか、または0.4〜15mg/kgの活性成分を含む断続的注入を行うことによって維持することができる。
所望の用量は、1回用量として投与すると便利であるが、たとえば適当な間隔で1日当たり2、3、4回、またはそれ以上の回数で投与する分割用量とすることもできる。分割した用量自体を、たとえば数回に分けて行う吸入器による吸入や点眼などの不定間隔で回数の多い投与にさらに分割することができる。
本発明を、特定の実施態様との関連でこれまで説明してきたが、さらに変更を加えることが可能であり、また本願は、一般に、本発明の原理にもとづく本発明のあらゆる変形例、使用または適応を含むように意図されており、また本願は、本発明の属する技術の分野において周知の、または習慣的実施の範囲内にあり、またこれまで述べてきた基本的特徴に適用することができるものであれば、添付の請求の範囲内にある本発明の開示内容から逸脱するものも含んでいることが理解されるであろう。
【0012】
以下の実施例は、本発明を例示するためのものであり、いかなる形においても総括的とすることを意図したものではない。
【実施例】
本発明の化合物、その塩、およびその中間物質は、本明細書で述べた方法や化学の分野で存在することが知られている各種の工程を用いて調製または製造することができる。たとえば、本明細書で定めるプロセスの最終段階は、第2級アルコールのケトンへの酸化である。すでに述べたように、アルコールからケトンへのこの変換はSwern酸化法として知られている方法に従って、ジメチルスルホキシドおよび塩化オキサリルを用いて実行された。しかし、Swern酸化法の改良方法は技術上公知であり、本発明で受容可能である。他の求電子性分子をジシクロヘキシルカルボジイミド、無水酢酸、トリフルオロ無水酢酸、または三酸化硫黄などの塩化オキサリルの代わりとすることもできる(Mancuso et al.,Synthesis 165(1981))。あるいは米国特許5,618,792に述べられた方法にもとづくN−クロロスクシンイミド(NCS)法や、デス・マーチン試薬などのperiodinaneなどその他の酸化方法を用いることができる。さらに「有機化学」(M.Hudlicky.ACS Monograph 186(1990))の「酸化」(の項)で述べられているようなその他の方法も適切であると考えられる。
各記号の意味は、当業者によく知られている標準的なものである。たとえば、次のような記号を用いている。ml(ミリリットル)、g(グラム)、TLC(薄層クロマトグラフィ)、Rf(TLCプレート上で同じ時間中に化合物が移動した距離と、溶媒先端が移動した距離の比)、1H NMR(プロトン核磁気共鳴)。DMSO−d6(重水素ジメチルスルホキシド)、CDCl3(重水素クロロホルム)。
【0013】
【実施例1】N−tert−ブチルオキシカルボニル−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミド
第2級アルコールである、N−tert−ブチルオキシカルボニル−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドを、Swernの酸化法などの当業者にとって公知の方法の一つを用いて酸化した。中間物質、N−tert−ブチルオキシカルボニル−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドを、次のようにして調製した。
A. tert−ブチルカルボヒドラゾン酸
メチルトリメチルアセテート(230ml)と一水和ヒドラジン(170ml)の混合物を24時間環流させた。反応物を室温まで冷却し、減圧下で濃縮した。残留物をトルエンと数回共沸させ、塩化ナトリウムの飽和水溶液中で溶解し、クロロホルムで抽出した(X4)。抽出物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮させ、次のような物理的データを有するtert−ブチルカルボヒドラゾン酸(176g)を得た。
TLC:Rf=0.59、クロロホルム:メタノール(10:1)
1H NMR(DMSO−d6):δ8.78(1H、brs)、4.15(2H、brs)、1.08(9H、s)
B. 2−tert−ブチル−1,3,4−オキサジアゾール
tert−ブチルカルボヒドラゾン酸(176g)、オルト蟻酸トリメチル(250ml)、および一水和P−トルエンスルホン酸(4.3g)からなる混合物を加熱し、90〜110℃で蒸留してメタノールを除去した。オルト蟻酸トリメチルを除去し(50℃/43mmHg)、残留物を120℃/23mmHgで蒸留して、次のような物理的データを有する2−tert−ブチル−1,3,4−オキサジアゾール(131g)を得た。
TLC:Rf=0.68、クロロホルム:メタノール(10:1)
1H NMR(DMSO−d6):δ9.12(1H、s)、1.36(9H、s)
C. 1−[2−(5−tert−ブチル)−1,3,4−オキサジアゾリル]−2−(S)−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−メチルブタンー1−オール
2−tert−ブチル−1,3,4−オキサジアゾール(62.1g)を含むテトラヒドロフラン(1,650ml)の溶液に、n−ブチルリチウムを含むヘキサン(1.6M、307.8ml)を滴下した(アルゴン大気中で−78℃)。この混合物を−78℃で40分間攪拌し、臭化マグネシウムジエチルエーテル(127.2g)を加え、得られた混合物を−45℃まで温めた。1.5時間後、2−(S)−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−アミノ]−3−メチルブタナル(90g)を含むテトラヒドロフラン(60ml)の溶液を−45℃で滴下し、−15℃まで温めた。この反応混合物に塩化アンモニウムの飽和水溶液を加えて急冷し、酢酸エチルで抽出した。抽出物を水(×3)と塩化ナトリウムの飽和水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ濃縮した。残留物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィ(Merck7734)(酢酸エチル:ヘキサン=1:20→1:1)で精製し、次のような物理的データを有する1−[2−(5−tert−ブチル)−1,3,4−オキサジアゾリル]−2−(S)−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−メチルブタン−1−オール(78.6g)を得た。
TLC:Rf=0.42、ヘキサン:酢酸エチル(1:1)
1H NMR(CDCl3):δ5.16〜4.90(2H、m)、4.67(1H、m)、4.23(1H、m)、3.90(1H、m)、3.66(1H、m)、1.98(1H、m)、および1.42、1.41、1.36(合計18H、それぞれs)、1.13〜0.90(6H、m)
D. 1−[2−(5−tert−ブチル)−1,3,4−オキサジアゾリル ]−2−(S)−アミノ−3−メチルブタン−1−オール塩酸塩
1−[2−(5−tert−ブチル)−1,3,4−オキサジアゾリル]−2−(S)−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−メチルブタンー1−オール(76.3g)を含むジオキサン(200ml)の溶液に、4N塩酸を含むジオキサン溶液(1,000ml)を0℃で加えた。この反応混合物を減圧下で濃縮した。残留物をジエチルエーテルで固化した。この固体をベンゼンと数回共沸させ、次のような物理的データを有する1−[2−(5−tert−ブチル)−1,3,4−オキサジアゾリル]−2−(S)−アミノ−3−メチルブタン−1−オール塩酸塩(66.1g)を得た。
TLC:Rf=0.30、クロロホルム:メタノール(10:1)
1H NMR(CDCl3):δ8.50〜8.10(2H、br)、7.10〜6.80(1H、br)、5.55〜5.35(1H、m)、3.95〜3.60(2H、m)、2.10(1H、m)、1.41(9H、s)、1.20〜1.00(6H、m)
E. N−tert−ブチルオキシカルボニル−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミド
N−tert−ブチルオキシカルボニル−1,2,3,4−テトラヒドロ−3−イソキノリンカルボン酸と1−[2−(5−tert−ブチル)−1,3,4−オキサジアゾリル]−2−(S)−アミノ−3−メチルブタン−1−オール塩酸塩と当業者にとって公知の結合方法を用いて調製した。
【0014】
【実施例2】N−イソプロピルオキシカルボニル−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミド
この化合物は、Swern酸化法などの当業者にとって公知の手法を用いて、N−イソプロピルオキシカルボニル−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドを酸化して調製した。
中間物質、N−イソプロピルオキシカルボニル−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドを、N−イソプロピルオキシカルボニル−1,2,3,4−テトラヒドロ−3−イソキノリンカルボン酸と1−[2−(5−tert−ブチル)−1,3,4−オキサジアゾリル]−2−(S)−アミノー3−メチルブタン1−オール塩酸塩と当業者にとって公知の結合方法を用いて調製した。
【0015】
【実施例3】N−(イミダゾイル−5−カルボニル)−S−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミド
この化合物は、Swern酸化法などの当業者にとって公知の手法を用いて、N−(イミダゾイル−5−カルボニル)−S−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドを酸化して調製した。
中間物質、N−(イミダゾイル−5−カルボニル)−S−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドを、N−(イミダゾイル−5−カルボニル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−3−イソキノリンカルボン酸と1−[2−(5−tert−ブチル)−1,3,4−オキサジアゾリル]−2−(S)−アミノー3−メチルブタン1−オール塩酸塩と当業者にとって公知の結合方法を用いて調製した。
【0016】
【実施例4】N−メチルオキシカルボニル−L−バリル−S−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミド
この化合物は、Swern酸化法などの当業者にとって公知の手法を用いて、N−メチルオキシカルボニル−L−バリル−S−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドを酸化して調製した。
中間物質、N−メチルオキシカルボニル−L−バリル−S−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドを、N−メチルオキシカルボニル−L−バリル−1,2,3,4−テトラヒドロ−3−イソキノリンカルボン酸と1−[2−(5−tert−ブチル)−1,3,4−オキサジアゾリル]−2−(S)−アミノー3−メチルブタン1−オール塩酸塩と当業者にとって公知の結合方法を用いて調製した。
【0017】
【実施例5】N−(ピリジル−3−カルボニル)−L−バリル−S−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミド
この化合物は、Swern酸化法などの当業者にとって公知の手法を用いて、N−(ピリジル−3−カルボニル)−L−バリル−S−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドを酸化して調製した。
中間物質、N−(ピリジル−3−カルボニル)−L−バリル−S−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドを、N−(ピリジル−3−カルボニル)−L−バリル−S−1,2,3,4−テトラヒドロ−3−イソキノリンカルボン酸と1−[2−(5−tert−ブチル)−1,3,4−オキサジアゾリル]−2−(S)−アミノー3−メチルブタン1−オール塩酸塩と当業者にとって公知の結合方法を用いて調製した。
【0018】
【実施例6】N−tert−ブチルオキシカルボニル−S−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミド
この化合物は、Swern酸化法などの当業者にとって公知の手法を用いて、N−tert−ブチルオキシカルボニル−S−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドを酸化して調製した。
中間物質、N−tert−ブチルオキシカルボニル−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドを、N−tert−ブチルオキシカルボニル−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−カルボン酸と1−[2−(5−tert−ブチル)−1,3,4−オキサジアゾリル]−2−(S)−アミノー3−メチルブタン1−オール塩酸塩と当業者にとって公知の結合方法を用いて調製した。
【0019】
【実施例7】N−イソプロピルオキシカルボニル−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミド
この化合物は、Swern酸化法などの当業者にとって公知の手法を用いて、N−イソプロピルオキシカルボニル−S−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドを酸化して調製した。
中間物質、N−イソプロピルオキシカルボニル−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドを、N−イソプロピルオキシカルボニル−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−カルボン酸と1−[2−(5−tert−ブチル)−オキサジアゾリル]−2−(S)−アミノー3−メチルブタン1−オール塩酸塩と当業者にとって公知の結合方法を用いて調製した。
【0020】
【実施例8】N−(イミダゾイル−5−カルボニル)−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドこの化合物は、Swern酸化法などの当業者にとって公知の手法を用いて、N−(イミダゾイル−5−カルボニル)−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドを酸化して調製した。
中間物質、N−(イミダゾイル−5−カルボニル)−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドを、N−(イミダゾイル−5−カルボニル)−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−カルボン酸と1−[2−(5−tert−ブチル)−オキサジアゾリル]−2−(S)−アミノー3−メチルブタン1−オール塩酸塩と当業者にとって公知の結合方法を用いて調製した。
【0021】
【実施例9】N−(メチルオキシカルボニル)−L−バリル−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミド ONO−PO−758
この化合物は、Swern酸化法などの当業者にとって公知の手法を用いて、N−(メチルオキシカルボニル)−L−バリル−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドを酸化して調製した。
中間物質、N−(メチルオキシカルボニル)−L−バリル−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドを、N−(メチルオキシカルボニル)−L−バリル−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−カルボン酸と1−[2−(5−tert−ブチル)−オキサジアゾリル]−2−(S)−アミノー3−メチルブタン1−オール塩酸塩と当業者にとって公知の結合方法を用いて調製した。
【0022】
【実施例10】N−(ピリジル−3−カルボニル)−L−バリル−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミド
この化合物は、Swern酸化法などの当業者にとって公知の手法を用いて、N−(ピリジル−3−カルボニル)−L−バリル−S−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドを酸化して調製した。
中間物質、N−(ピリジル−3−カルボニル)−L−バリル−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドを、N−(ピリジル−3−カルボニル)−L−バリル−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−カルボン酸と1−[2−(5−tert−ブチル)−1,3,4−オキサジアゾリル]−2−(S)−アミノー3−メチルブタン1−オール塩酸塩と当業者にとって公知の結合方法を用いて調製した。
【0023】
【実施例11】エラスターゼのin vitro(試験管内)阻害
以下のプロトコルを、本明細書で述べた化合物の阻害活性を調べるのに用いた。このプロトコルで用いたエラスターゼは、ヒト痰由来エラスターゼ(HSE)であった。HSE酵素の母溶液は、市販されているHSE(蛋白質1mg当たり875U、SE−563、Elastin Product Co.,Inc,Missouri,USA)を生理食塩水で1,000 U/mlまで希釈して調製した。使用前には、さらに0℃で2U/mlまで希釈した。
100μlの0.2M HEPES−NaOH緩衝液(pH8.0)、40μlの2.5M NaCl、20μlの1%ポリエチレングリコール6000,8μlの蒸留水、10μlの阻害剤のDMSO溶液、および2μlのN−メトキシスクシニル−Ala−Ala−Pro−Val−p−ニトロアニリン溶液を(100、200、400μMの濃度で)混合して溶液を調製した。この溶液を37℃で10分間インキュベートした。これにHSE(ヒト痰由来のエラスターゼ)の酵素溶液を加えた。得られた混合物について次のような反応速度アッセイを行った。
p−ニトロアニリンの生成率が線形を保っている期間での反応速度を測定するために、酵素反応によって生成されたp−ニトロアニリンの405nmでの光学密度を37℃で測定した(SPECTRA MAX250、Molecular Devices)。この反応速度(mO.D./min)は、酵素溶液を加えた直後から30秒間隔で10分間測定した。IC50値を対数ロジット変換で決定し、ディクソン作図法でKi値に変換した。
【0024】
【実施例12】エラスターゼのex vivo(生体外)阻害
適当なビヒクルとともに阻害剤を経口投与し、その60分後に血液サンプル(0.9ml)を、3.8%クエン酸ナトリウム溶液(0.1ml)を含む注射器を用いて腹部大動脈から採取する。
血液サンプルを次のように処理する。ハンクス液にオプソニン化チモサン(ザイモサン)を加えた懸濁液(60μl、最終濃度0.1〜1mg/ml)を、事前に37℃で5分間インキュベートした全血(540μl)に加える。得られた混合物を室温で30分間インキュベートする。試験管を氷水に浸して反応を終了させる。反応混合物を4℃で10分間遠心分離する(3,000rpm)。得られた各上澄み液の20μl(「サンプル」)をエラスターゼ活性について測定する。
次の各成分からなる混合物を37℃で24時間インキュベートし、光学密度を405nmで測定する。
0.2M tris−HCl緩衝液(pH8.0) 100μl
2.5M NaCl 40μl
蒸留水 30μl
50mM基質溶液 4μl
「サンプル」 20μl
* N−メチルスクシニル−Ala−Ala−Pro−Val−p−ニトロアニリド
基質の代わりに1−メチル−2−ピロリドンと混合した試験サンプルを基質(−)とする。「サンプル」の代わりに生理食塩水と混合した試験サンプルをブランクとする。p−ニトロアニリンの量の基準曲線にもとづく24時間でのp−ニトロアニリンの全産生量として、「サンプル」中の残留エラスターゼ活性を次のように計算する。
基質(+)の光学密度−(基質(−)の光学密度+ブランクの光学密度) 5〜6体の動物の試験サンプルにもとづいて平均活性を計算する。各動物は24時間絶食させ、血液サンプル採取の60分前に、3、10、または30mg/kgの阻害剤を強制的に経口投与する。光学密度を、SPECTRA MAX250(Molecular Devices)で測定する。
【0025】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いるBoc保護アミノアルコール中間物質の合成方法の概略図である。
【図2】本発明の化合物の合成方法の概略図である。
【図3】本発明の一部の実施例の構造を示す図である。
【図4】本発明の一部の実施例の構造を示す図である。
本願は、1997年12月4日付で提出された米国特許出願08/985,056の一部継続出願である。米国特許出願08/985,056は、1996年12月6日付で提出された米国特許出願08/771,317の一部継続出願である。米国特許出願08/771,317は、1994年11月21日付で提出された米国特許出願08/345,820(現在、米国特許5,618,792として発行されている)の一部継続出願である。
本発明は、セリンプロテアーゼの阻害剤として有用な一部の置換オキサジアゾール非ペプチド類に関するものである。
【0002】
発明の背景
セリンプロテアーゼは酵素クラスの一種であり、エラスターゼ、キモトリプシン、カテプシンG、トリプシン、およびトロンビンを含んでいる。これらのプロテアーゼは、セリン195、ヒスチジン57、およびアスパラギン酸102(キモトリプシン・ナンバリングシステム)からなる三組の触媒を有する点で共通している。ヒト好中球エラスターゼ(HNE)は、さまざまな炎症性刺激に対応して多形核白血球(PMN)により分泌される蛋白質分解酵素である。HNEの放出とその細胞外蛋白質分解活性は高度に調節されており、またPMNの正常で有益な機能である。正常な状況下でのHNEの分解能力は、比較的高い血漿濃度のα1プロテイナーゼ阻害剤(α1−PI)によって調節される。しかし、刺激を受けたPMNは活性酸素代謝物質を噴出し、その一部(たとえば次亜塩素酸)はα1−PIの重要なメチオニン残基を酸化することができる。酸化したα1−PIは、HNE阻害剤としての能力が限定されることが明らかとなっており、このプロテアーゼ/反プロテアーゼバランスの変化によってHNEが限局され制御された環境でその分解機能を実行できると考えられている。
プロテアーゼ/反プロテアーゼ活性のこのようなバランスにもかかわらず、この制御メカニズムの崩壊が病因に関与しているいくつかのヒト疾患状態がある。HNE活性の不適切な調節は、成人呼吸困難症候群、敗血性ショック、および多臓器不全の要因として示唆されている。また一連の研究によると、心筋虚血・再灌流障害においてPMNと好中球エラスターゼの関与が示されている。α1−PIのレベルが正常以下の患者は、気腫を発症する可能性が大きい。HNE媒介プロセスは、関節炎、歯周病、糸球体腎炎、皮膚炎、乾癬、嚢胞性線維症、慢性気管支炎、アテローム硬化症、アルツハイマー病、臓器移植、角膜潰瘍、および悪性腫瘍の浸潤などのその他の疾患状態に関与している。
エラスターゼ媒介性障害を治療し、および/または予防するための治療薬および予防薬として、HNEの有効阻害剤が求められている。
【0003】
発明の要旨
本発明は、次の式の化合物を提供する。
【化2】
ここで、XとYはそれぞれ独立にOまたはNであり、
R1はアルキルであり、
R2とR3はそれぞれ独立にHまたはアルキルであるか、O、S、またはNから選択された1個またはそれ以上のヘテロ原子で任意に置換されていてもよい3〜5個の炭素原子を含む環を共に形成しており、ここでNはHまたはアルキルで任意に置換される、
nは0または1であり、
Dは直接結合またはバリンであり、
Aは−C(O)−または−OC(O)−であり、
R1は1個または2個のN原子で置換されたアルキルまたはアリールであり、または薬学的に許容し得るその塩。
好ましくは、本発明の化合物は1,2,4−オキサジアゾール(すなわち、XがOであり、YがNである)、または1,3,4オキサジアゾール環(すなわち、XがNであり、YがOである)を含むものである。
【0004】
本発明の一つの好ましい実施態様においては、R1はtert−ブチルなどのアルキルである。もう一つの好ましい実施態様においては、R2とR3はそれぞれ独立にイソプロピルなどのアルキルまたはHである。好ましくは、R2はイソプロピルであり、R3がHである。さらにもう一つの実施態様では、R4はイソプロピル基またはtert−ブチル基などのアルキルである。さらにもう一つの実施態様では、R4は2−ピリジル基や5−イミダゾリル基などのような、1個または2個のN原子で置換されたアリール基である。
ここで用いられる場合、「任意に置換されていてもよい」とは、置換された場合、1個の置換からすべての置換までを意味する。
ここで用いられる場合、「それぞれ独立に」とは置換基が同一であっても異なっていてもよいことを意味する。
ここで用いられる場合、「アルキル」とはC1〜C15、好ましくはC1〜C8を意味する。アルキル基は線状または枝状である。
ここで用いられる場合、「アルキルオキシカルボニル」とはアルキル−O−C(O)−を意味し、ここでアルキルの意味は上に記載したとおりである。アルキルオキシカルボニルの例には、メチルオキシカルボニル、イソ−プロピルオキシカルボニル、およびtert−ブチルオキシカルボニルが含まれる。
上記の化合物の薬学的に許容し得る塩は、本発明の範囲内にある。
【0005】
詳細な説明
本発明の化合物は、セリンプロテアーゼヒト好中球エラスターゼ(HNE)の強力な阻害剤であることが見出された。これは可逆的な阻害剤であり、おそらく活性部位のセリン残基と遷移状態の中間物質を形成すると考えられる。これらの化合物の特徴は、低分子量、HNEに対する高い選択性、および生理的条件に関する安定性である。したがってこれらの化合物は、HNEの存在と関連した分解作用により媒介される各疾患の予防、軽減および/または治療に活用することができる。これらはin vivo(生体内)でのさまざまなヒトの治療に関連しているので、その使用は特に重要であるが、in vitro(試験管内)での診断用手段としても用いることができる。
本発明は、各実施例で述べられている具体的な実施態様を提供するが、これらに限定されるものではない。
実施態様に関する命名法は次の通りである(開示されている各実施態様は(S)−立体化学的立体配置を持つものとして2−メチルプロピル基を示しているが、鏡像体としての純粋(R)−およびラセミ(S)−立体配置はともに本発明の範囲内にある)。
実施例1 N−tert−ブチルオキシカルボニル−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミド
実施例2 N−イソ−プロピルオキシカルボニル−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミド
実施例3 N−(イミダゾイル−5−カルボニル)−S−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミド
実施例4 N−メチルオキシカルボニル−L−バリル−S−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミド
実施例5 N−(ピリジル−3−カルボニル)−L−バリル−S−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミド
実施例6 N−tert−ブチルオキシカルボニル−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミド
実施例7 N−イソプロピルオキシカルボニル−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミド
実施例8 N−(イミダゾイル−5−カルボニル)−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミド
実施例9 N−メチルオキシカルボニル−L−バリル−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミド
実施例10 N−(ピリジル−3−カルボニル)−L−バリル−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミド
上記実施例の構造を、図3および4に示す。
【0006】
本発明の化合物は、ヒトエラスターゼの阻害についての使用に限定されない。エラスターゼは、セリンプロテアーゼとして知られている酵素クラスの一種である。またこの酵素クラスは、例えば、キモトリプシン、カテプシンG、トリプシン、およびトロンビンを含んでいる。これらのプロテアーゼは、セリン195、ヒスチジン57、およびアスパラギン酸102(キモトリプシン・ナンバリングシステム)からなる触媒的三主徴(catalytic triad)を有する点で共通している。これらのアミノ酸残基の間に存在する精密な水素結合ネットワークによって、セリン195ヒドロキシルはアミド基質のカルボニルとともに四面体の中間物質を形成することができる。この中間物質の分解によって、遊離アミンとアシル化酵素が放出される。その後の段階で、この新しく形成されたエステルが加水分解され、本来の酵素とカルボキシル酸となる。この酵素の特異性を特徴づけるのに役立っているのが、このカルボキシル部分である。カルボキシル部分がペプチドである例では、酵素に対する特異性は主としてアミノ酸のα置換基によって決定される。SchechterとBerger(Biochem.Biophy.Res.Commun.,27;157(1967)とBiochem.Biophy.Res.Commun.,32;898(1968))による命名法を用いて、分解される基質のアミノ酸残基はN末端に向かってP1...Pnとして、またC末端に向かってP1’...Pn’と定義される。したがって容易に切断できる結合はこのペプチドサブユニットのP1残基とP1’残基の間にある。基質のサブセットユニットを収容する結合ポケットを作り上げている酵素のアミノ酸残基についても同様の命名法が用いられ、酵素に関する結合ポケットは基質に関しP1...Pnの代りにS1...Snで表される。
【0007】
セリンプロテアーゼの特異性を定めるP1残基の特徴は、充分に確立されている。プロテアーゼはP1残基でのこれらの差異に基づいて三つのサブクラス、すなわちエラスターゼ、キマーゼ、およびトリプターゼに分けることができる。エラスターゼは、バリンなどの小さな脂肪族部分を選ぶが、キマーゼとトリプターゼは、それぞれ大きな親水性芳香族と正電荷を帯びた残基を選ぶ。
このカテゴリーに当てはまらないもう一つのプロテイナーゼは、プロピルエンドペプチダーゼである。この特異性を規定するP1残基はプロリンである。この酵素は、アルツハイマー病患者での記憶の喪失の進行に関与しているといわれている。最近の報告によると、α−ケト複素環からなる阻害剤はプロピルエンドペプチダーゼを阻害する(Tsutsumi et al,J.Med.Chem.,37,3492−3502(1994))。更にこのことを敷衍すれば、本明細書に定義されるα−ケト複素環によって酵素のP’領域での結合が増大する。
【0008】
【表1】
【0009】
基質の特異性は、主としてP1残基によって定まるので、本発明はP1−Pn’修飾に関するものであり、さらに詳しくは、1,2,4−オキサジアゾールおよび1,3,4−オキサジアゾールからなる或る種のα−置換ケト複素環に関するものである。α置換基をケトンに変更することによって、またある程度、複素環の置換基を変更することによって、これらの化合物の特異性を所望のプロテイナーゼに対応するものとすることができる(たとえば、エラスターゼの場合は、小さい脂肪族基)。
さまざまな疾患の治療に対するこの化合物の効能は、当業者にとって公知の科学的方法によって決定することができる。以下に、HNE媒介疾患状態についての例を示す。
急性呼吸困難症候群については、ヒト好中球エラスターゼ(HNE)モデルにもとづく方法(AARD,141:227−677(1990))、ミニブタでの内毒素誘発性急性肺障害モデル(AARD,142:782−788(1990))、またはハムスターでのヒト多形核エラスターゼ誘発性肺出血モデルにもとづく方法(欧州特許公報0769498)を用いることができる。
虚血/再灌流では、再灌流障害のイヌモデルにもとづく方法(J.Clin.Invest.,81:624−629(1988))を用いることができる。
本発明の化合物、その塩、およびそれらの中間物質は、本明細書で述べられた方法や化学の分野で存在することが知られているさまざまな工程(たとえば、WO96/16080を参照)を用いて調製または製造することができる。
あるいは、本発明の化合物は、図1および2に示しているように調製することができる。図1は、本発明で用いるBoc保護アミノアルコール中間物質の合成に関するものである。図2は、本発明の合成化合物のための中間物質の使用を示している。
2−置換1,3,4−オキサジアゾール(3)は、たとえば塩化チオニルとメタノールを用いて対応する酸(1)からメチルエステルを形成し、その後ヒドラジンを含む適切な溶媒で処理してヒドラゾン酸(2)を得ることができる。あるいはエステルは、当業者にとって公知の方法や「コンプリヘンシブ オーガニック トランスフォーメーションズ(Comprehensive Organic Transformations)」(R.Larock,VCH Publishers 1989,966−972)で述べられている方法を用いて調製することができる。ヒドラゾン酸(2)とオルト蟻酸トリエチルまたはオルト蟻酸トリメチルおよびTsOHとの反応によって、必要な2−置換1,3,4−オキサジアゾール(3)が得られる。
中間物質(3’)は、標準的な条件を用いて生成することができ(たとえば、低温でブチルリチウムやその他の既知のアルキルリチウム試薬を含む極性中性溶媒を用いて、さらに望む場合には、MgBr・OEt2と反応させて)、続いてアルデヒド(4)に加えるとアルコール(5)が得られる。
アルデヒド(4)は、図1に示した三つの方法のいずれかを用いて調製することができる。一つの方法は、Boc−Val−OHとイソプロピルクロロホルム塩との間で形成される中間物質を水素化ホウ素ナトリウムで還元してBoc−バリノール(12)を得る方法である。その後、SO3−Pyを含むDMSOでBoc−バリノールを酸化すると、アルデヒド(4)が得られる。もう一つの方法は、Boc−val−OH(11)から調製したWeinrebアミド(13)を用いる方法であり、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL)を用いてアルデヒドに還元する。あるいは、アミノ酸のエステル(14)を生成し、DIBALで還元してアルデヒド(4)を得ることもできる。
図2に示すように、塩酸を含むジオキサンを用いてアミン(5)を脱保護すると、塩酸アミノ(6)が得られる。技術上利用可能な方法を用いてこれを酸(7)と結合させると中間物質(8)が得られる。Swern酸化法、デス・マーチンのperiodinane法、または「有機化学」(M.Hudlicky,ACS Monograph 186(1990))の「酸化」(の項)で述べられているその他の方法を用いて酸化すると、ケトン(9)が得られる。
本明細書で述べている化合物は、純粋化学物質として投与することができるが、薬学的組成物としての活性成分とすることが好ましい。したがって本発明は、一つまたはそれ以上の化合物と一つまたはそれ以上の薬学的に許容し得る担体、更に任意に、その他の治療成分および/または予防成分を含有する薬学的組成物の使用をさらに提案する。担体は、組成物のその他の成分と和合性があるという意味で「許容し得るもの」でなければならず、また受容者にとって有害であってはならない。
薬学的組成物には、経口投与または(筋肉内、皮下、および静脈内投与を含む)非経口投与に適したものが含まれる。組成物は、それが適当な場合、個別(ディスクリート)の単位剤形とすると便利であり、また薬学において充分知られているどの方法でも調製することができる。このような方法には、活性化合物を、液体担体、固体マトリックス、半固体担体、細分固体担体、またはこれらの組合わせと結合させ、次に必要な場合にはこうして得た物質を所望の投与システムに適合するよう形成する段階を含んでいる。
経口投与に適した薬学的組成物は、それぞれ所定量の活性成分を含んでいる硬質または軟質ゼラチンのカプセル剤、カシェ剤、または錠剤として、また散剤または顆粒剤として、または溶液、懸濁剤、または乳剤などの別個の単位剤形とすることができる。活性成分は、丸剤、舐剤、またはペースト剤とすることもできる。経口投与のための錠剤とカプセルは、結合剤、充填剤、潤滑剤、崩壊剤、または湿潤剤などの従来型の賦形剤を含んでもよい。錠剤は、当業者に充分知られている方法に従って、たとえば腸溶コーティング剤を塗布してもよい。
経口液体製剤は、たとえば水性または油性の懸濁剤、溶液、乳剤、シロップ剤、またはエリキシル剤の剤形でもよく、また使用前に水またはその他の適切なビヒクルと組合わせるための乾燥品でもよい。このような液体製剤は、懸濁剤、乳化剤、(食用油を含む)非水性ビヒクル、または保存剤などの従来型の添加物を含むこともできる。
また化合物は、(たとえば、ボーラス投与や継続的注入などの注射によって)非経口投与するために調製することもできる。また、アンプル剤、充填済注射器、少量ボーラス注入用容器に単位用量を含んだものでもよく、また複数回の用量と保存剤の入った容器で提供することもできる。組成物は、油性または水性ビヒクルに懸濁剤、溶液、または乳剤を含んだものとすることができ、また懸濁剤、安定剤、および/または分散剤などの調製剤を含んでもよい。あるいは、使用前に適切なビヒクル(たとえば滅菌し発熱物質を含まない水)と組合わせるために、活性成分は滅菌固体を無菌状態で分離して得るか溶液を凍結乾燥させて得た粉末状でもよい。
【0010】
表皮に局所適用するために、化合物は、軟膏剤、クリーム剤、またはローション剤として、または経皮パッチの活性成分として調剤することができる。適切な経皮投与システムは、たとえばFisher et al(米国特許4,788,603)やBawas et al(米国特許4,931,279、4,668,504、および4,713,224)で開示されている。軟膏剤およびクリーム剤は、たとえば水性または油性基剤に適当な濃化剤および/またはゲル化剤を加えて調製することができる。ローション剤は、水性または油性基剤で調製することができ、一般に、一つまたはそれ以上の乳化剤、安定剤、分散剤、懸濁剤、濃化剤、または着色剤を含んでいる。活性成分は、たとえば米国特許4,140,122、4,383,529、または4,051,842に開示されているイオン電気導入法で投与することもできる。
口腔内の局所適用に適した組成物には、通常、スクロースとアラビアゴム、またはトラガカントゴムからなる矯味基剤に活性成分を含むロゼンジや、ゼラチンとグリセリン、またはスクロースおよびアラビアゴムなどの不活性基剤に活性成分を含むトローチ剤、また粘膜付着ゲル、および適当な液体担体中に活性成分を含む口腔洗浄液などの単位剤形が含まれる。
望む場合には、上に述べた組成物を、たとえば、天然ゲル、合成ポリマーゲル、またはこれらの混合物からなる一部の親水性ポリマーマトリックスと組合わせることによって、活性成分を持続的に放出できるようにすることができる。
本発明に基づく薬学的組成物は、矯味剤、着色剤、抗菌剤、また保存剤などのその他のアジュバントを含んでもよい。
【0011】
さらに、治療で使用するのに必要な化合物、その活性塩または誘導体の量は、選ばれた特定の塩ばかりでなく、投与経路、治療する疾患状態の性質、受容者の年齢および状態によっても異なり、最終的には立会い医師の判断によって決定される。
しかし、一般に、適切な用量は約0.5〜100mg/kg/dayの範囲内である。これは、たとえば約1〜75mg/kg/day、約3〜50mg/kg/day、6〜90mg/kg/dayといった範囲が考えられるが、最も好ましくは15〜60mg/kg/dayの範囲内である。
化合物は、たとえば0.5〜1,000mgを含む単位剤形で投与するのが便利であり、剤形当たり5〜750mgを含むのが便利であり、最も便利には10〜500mgの活性成分を含む場合である。
理想的には、活性成分は、活性化合物のピーク血漿濃度が約0.5〜75μMとなるように投与すべきであリ、好ましくは約1〜50μM、最も好ましくは約2〜30μMである。これは、たとえば生理食塩水中、活性成分を0.05〜5%含む溶液を静脈内投与するか、約0.5〜500mgの活性成分を含む大型丸剤として経口投与すると達成することができる。望ましい血中レベルは、約0.01〜5.0mg/kg/hrとなるよう持続注入するか、または0.4〜15mg/kgの活性成分を含む断続的注入を行うことによって維持することができる。
所望の用量は、1回用量として投与すると便利であるが、たとえば適当な間隔で1日当たり2、3、4回、またはそれ以上の回数で投与する分割用量とすることもできる。分割した用量自体を、たとえば数回に分けて行う吸入器による吸入や点眼などの不定間隔で回数の多い投与にさらに分割することができる。
本発明を、特定の実施態様との関連でこれまで説明してきたが、さらに変更を加えることが可能であり、また本願は、一般に、本発明の原理にもとづく本発明のあらゆる変形例、使用または適応を含むように意図されており、また本願は、本発明の属する技術の分野において周知の、または習慣的実施の範囲内にあり、またこれまで述べてきた基本的特徴に適用することができるものであれば、添付の請求の範囲内にある本発明の開示内容から逸脱するものも含んでいることが理解されるであろう。
【0012】
以下の実施例は、本発明を例示するためのものであり、いかなる形においても総括的とすることを意図したものではない。
【実施例】
本発明の化合物、その塩、およびその中間物質は、本明細書で述べた方法や化学の分野で存在することが知られている各種の工程を用いて調製または製造することができる。たとえば、本明細書で定めるプロセスの最終段階は、第2級アルコールのケトンへの酸化である。すでに述べたように、アルコールからケトンへのこの変換はSwern酸化法として知られている方法に従って、ジメチルスルホキシドおよび塩化オキサリルを用いて実行された。しかし、Swern酸化法の改良方法は技術上公知であり、本発明で受容可能である。他の求電子性分子をジシクロヘキシルカルボジイミド、無水酢酸、トリフルオロ無水酢酸、または三酸化硫黄などの塩化オキサリルの代わりとすることもできる(Mancuso et al.,Synthesis 165(1981))。あるいは米国特許5,618,792に述べられた方法にもとづくN−クロロスクシンイミド(NCS)法や、デス・マーチン試薬などのperiodinaneなどその他の酸化方法を用いることができる。さらに「有機化学」(M.Hudlicky.ACS Monograph 186(1990))の「酸化」(の項)で述べられているようなその他の方法も適切であると考えられる。
各記号の意味は、当業者によく知られている標準的なものである。たとえば、次のような記号を用いている。ml(ミリリットル)、g(グラム)、TLC(薄層クロマトグラフィ)、Rf(TLCプレート上で同じ時間中に化合物が移動した距離と、溶媒先端が移動した距離の比)、1H NMR(プロトン核磁気共鳴)。DMSO−d6(重水素ジメチルスルホキシド)、CDCl3(重水素クロロホルム)。
【0013】
【実施例1】N−tert−ブチルオキシカルボニル−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミド
第2級アルコールである、N−tert−ブチルオキシカルボニル−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドを、Swernの酸化法などの当業者にとって公知の方法の一つを用いて酸化した。中間物質、N−tert−ブチルオキシカルボニル−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドを、次のようにして調製した。
A. tert−ブチルカルボヒドラゾン酸
メチルトリメチルアセテート(230ml)と一水和ヒドラジン(170ml)の混合物を24時間環流させた。反応物を室温まで冷却し、減圧下で濃縮した。残留物をトルエンと数回共沸させ、塩化ナトリウムの飽和水溶液中で溶解し、クロロホルムで抽出した(X4)。抽出物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮させ、次のような物理的データを有するtert−ブチルカルボヒドラゾン酸(176g)を得た。
TLC:Rf=0.59、クロロホルム:メタノール(10:1)
1H NMR(DMSO−d6):δ8.78(1H、brs)、4.15(2H、brs)、1.08(9H、s)
B. 2−tert−ブチル−1,3,4−オキサジアゾール
tert−ブチルカルボヒドラゾン酸(176g)、オルト蟻酸トリメチル(250ml)、および一水和P−トルエンスルホン酸(4.3g)からなる混合物を加熱し、90〜110℃で蒸留してメタノールを除去した。オルト蟻酸トリメチルを除去し(50℃/43mmHg)、残留物を120℃/23mmHgで蒸留して、次のような物理的データを有する2−tert−ブチル−1,3,4−オキサジアゾール(131g)を得た。
TLC:Rf=0.68、クロロホルム:メタノール(10:1)
1H NMR(DMSO−d6):δ9.12(1H、s)、1.36(9H、s)
C. 1−[2−(5−tert−ブチル)−1,3,4−オキサジアゾリル]−2−(S)−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−メチルブタンー1−オール
2−tert−ブチル−1,3,4−オキサジアゾール(62.1g)を含むテトラヒドロフラン(1,650ml)の溶液に、n−ブチルリチウムを含むヘキサン(1.6M、307.8ml)を滴下した(アルゴン大気中で−78℃)。この混合物を−78℃で40分間攪拌し、臭化マグネシウムジエチルエーテル(127.2g)を加え、得られた混合物を−45℃まで温めた。1.5時間後、2−(S)−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−アミノ]−3−メチルブタナル(90g)を含むテトラヒドロフラン(60ml)の溶液を−45℃で滴下し、−15℃まで温めた。この反応混合物に塩化アンモニウムの飽和水溶液を加えて急冷し、酢酸エチルで抽出した。抽出物を水(×3)と塩化ナトリウムの飽和水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ濃縮した。残留物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィ(Merck7734)(酢酸エチル:ヘキサン=1:20→1:1)で精製し、次のような物理的データを有する1−[2−(5−tert−ブチル)−1,3,4−オキサジアゾリル]−2−(S)−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−メチルブタン−1−オール(78.6g)を得た。
TLC:Rf=0.42、ヘキサン:酢酸エチル(1:1)
1H NMR(CDCl3):δ5.16〜4.90(2H、m)、4.67(1H、m)、4.23(1H、m)、3.90(1H、m)、3.66(1H、m)、1.98(1H、m)、および1.42、1.41、1.36(合計18H、それぞれs)、1.13〜0.90(6H、m)
D. 1−[2−(5−tert−ブチル)−1,3,4−オキサジアゾリル ]−2−(S)−アミノ−3−メチルブタン−1−オール塩酸塩
1−[2−(5−tert−ブチル)−1,3,4−オキサジアゾリル]−2−(S)−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−メチルブタンー1−オール(76.3g)を含むジオキサン(200ml)の溶液に、4N塩酸を含むジオキサン溶液(1,000ml)を0℃で加えた。この反応混合物を減圧下で濃縮した。残留物をジエチルエーテルで固化した。この固体をベンゼンと数回共沸させ、次のような物理的データを有する1−[2−(5−tert−ブチル)−1,3,4−オキサジアゾリル]−2−(S)−アミノ−3−メチルブタン−1−オール塩酸塩(66.1g)を得た。
TLC:Rf=0.30、クロロホルム:メタノール(10:1)
1H NMR(CDCl3):δ8.50〜8.10(2H、br)、7.10〜6.80(1H、br)、5.55〜5.35(1H、m)、3.95〜3.60(2H、m)、2.10(1H、m)、1.41(9H、s)、1.20〜1.00(6H、m)
E. N−tert−ブチルオキシカルボニル−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミド
N−tert−ブチルオキシカルボニル−1,2,3,4−テトラヒドロ−3−イソキノリンカルボン酸と1−[2−(5−tert−ブチル)−1,3,4−オキサジアゾリル]−2−(S)−アミノ−3−メチルブタン−1−オール塩酸塩と当業者にとって公知の結合方法を用いて調製した。
【0014】
【実施例2】N−イソプロピルオキシカルボニル−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミド
この化合物は、Swern酸化法などの当業者にとって公知の手法を用いて、N−イソプロピルオキシカルボニル−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドを酸化して調製した。
中間物質、N−イソプロピルオキシカルボニル−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドを、N−イソプロピルオキシカルボニル−1,2,3,4−テトラヒドロ−3−イソキノリンカルボン酸と1−[2−(5−tert−ブチル)−1,3,4−オキサジアゾリル]−2−(S)−アミノー3−メチルブタン1−オール塩酸塩と当業者にとって公知の結合方法を用いて調製した。
【0015】
【実施例3】N−(イミダゾイル−5−カルボニル)−S−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミド
この化合物は、Swern酸化法などの当業者にとって公知の手法を用いて、N−(イミダゾイル−5−カルボニル)−S−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドを酸化して調製した。
中間物質、N−(イミダゾイル−5−カルボニル)−S−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドを、N−(イミダゾイル−5−カルボニル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−3−イソキノリンカルボン酸と1−[2−(5−tert−ブチル)−1,3,4−オキサジアゾリル]−2−(S)−アミノー3−メチルブタン1−オール塩酸塩と当業者にとって公知の結合方法を用いて調製した。
【0016】
【実施例4】N−メチルオキシカルボニル−L−バリル−S−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミド
この化合物は、Swern酸化法などの当業者にとって公知の手法を用いて、N−メチルオキシカルボニル−L−バリル−S−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドを酸化して調製した。
中間物質、N−メチルオキシカルボニル−L−バリル−S−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドを、N−メチルオキシカルボニル−L−バリル−1,2,3,4−テトラヒドロ−3−イソキノリンカルボン酸と1−[2−(5−tert−ブチル)−1,3,4−オキサジアゾリル]−2−(S)−アミノー3−メチルブタン1−オール塩酸塩と当業者にとって公知の結合方法を用いて調製した。
【0017】
【実施例5】N−(ピリジル−3−カルボニル)−L−バリル−S−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミド
この化合物は、Swern酸化法などの当業者にとって公知の手法を用いて、N−(ピリジル−3−カルボニル)−L−バリル−S−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドを酸化して調製した。
中間物質、N−(ピリジル−3−カルボニル)−L−バリル−S−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドを、N−(ピリジル−3−カルボニル)−L−バリル−S−1,2,3,4−テトラヒドロ−3−イソキノリンカルボン酸と1−[2−(5−tert−ブチル)−1,3,4−オキサジアゾリル]−2−(S)−アミノー3−メチルブタン1−オール塩酸塩と当業者にとって公知の結合方法を用いて調製した。
【0018】
【実施例6】N−tert−ブチルオキシカルボニル−S−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミド
この化合物は、Swern酸化法などの当業者にとって公知の手法を用いて、N−tert−ブチルオキシカルボニル−S−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドを酸化して調製した。
中間物質、N−tert−ブチルオキシカルボニル−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドを、N−tert−ブチルオキシカルボニル−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−カルボン酸と1−[2−(5−tert−ブチル)−1,3,4−オキサジアゾリル]−2−(S)−アミノー3−メチルブタン1−オール塩酸塩と当業者にとって公知の結合方法を用いて調製した。
【0019】
【実施例7】N−イソプロピルオキシカルボニル−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミド
この化合物は、Swern酸化法などの当業者にとって公知の手法を用いて、N−イソプロピルオキシカルボニル−S−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドを酸化して調製した。
中間物質、N−イソプロピルオキシカルボニル−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドを、N−イソプロピルオキシカルボニル−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−カルボン酸と1−[2−(5−tert−ブチル)−オキサジアゾリル]−2−(S)−アミノー3−メチルブタン1−オール塩酸塩と当業者にとって公知の結合方法を用いて調製した。
【0020】
【実施例8】N−(イミダゾイル−5−カルボニル)−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドこの化合物は、Swern酸化法などの当業者にとって公知の手法を用いて、N−(イミダゾイル−5−カルボニル)−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドを酸化して調製した。
中間物質、N−(イミダゾイル−5−カルボニル)−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドを、N−(イミダゾイル−5−カルボニル)−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−カルボン酸と1−[2−(5−tert−ブチル)−オキサジアゾリル]−2−(S)−アミノー3−メチルブタン1−オール塩酸塩と当業者にとって公知の結合方法を用いて調製した。
【0021】
【実施例9】N−(メチルオキシカルボニル)−L−バリル−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミド ONO−PO−758
この化合物は、Swern酸化法などの当業者にとって公知の手法を用いて、N−(メチルオキシカルボニル)−L−バリル−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドを酸化して調製した。
中間物質、N−(メチルオキシカルボニル)−L−バリル−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドを、N−(メチルオキシカルボニル)−L−バリル−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−カルボン酸と1−[2−(5−tert−ブチル)−オキサジアゾリル]−2−(S)−アミノー3−メチルブタン1−オール塩酸塩と当業者にとって公知の結合方法を用いて調製した。
【0022】
【実施例10】N−(ピリジル−3−カルボニル)−L−バリル−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミド
この化合物は、Swern酸化法などの当業者にとって公知の手法を用いて、N−(ピリジル−3−カルボニル)−L−バリル−S−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドを酸化して調製した。
中間物質、N−(ピリジル−3−カルボニル)−L−バリル−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]ヒドロキシメチル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドを、N−(ピリジル−3−カルボニル)−L−バリル−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−カルボン酸と1−[2−(5−tert−ブチル)−1,3,4−オキサジアゾリル]−2−(S)−アミノー3−メチルブタン1−オール塩酸塩と当業者にとって公知の結合方法を用いて調製した。
【0023】
【実施例11】エラスターゼのin vitro(試験管内)阻害
以下のプロトコルを、本明細書で述べた化合物の阻害活性を調べるのに用いた。このプロトコルで用いたエラスターゼは、ヒト痰由来エラスターゼ(HSE)であった。HSE酵素の母溶液は、市販されているHSE(蛋白質1mg当たり875U、SE−563、Elastin Product Co.,Inc,Missouri,USA)を生理食塩水で1,000 U/mlまで希釈して調製した。使用前には、さらに0℃で2U/mlまで希釈した。
100μlの0.2M HEPES−NaOH緩衝液(pH8.0)、40μlの2.5M NaCl、20μlの1%ポリエチレングリコール6000,8μlの蒸留水、10μlの阻害剤のDMSO溶液、および2μlのN−メトキシスクシニル−Ala−Ala−Pro−Val−p−ニトロアニリン溶液を(100、200、400μMの濃度で)混合して溶液を調製した。この溶液を37℃で10分間インキュベートした。これにHSE(ヒト痰由来のエラスターゼ)の酵素溶液を加えた。得られた混合物について次のような反応速度アッセイを行った。
p−ニトロアニリンの生成率が線形を保っている期間での反応速度を測定するために、酵素反応によって生成されたp−ニトロアニリンの405nmでの光学密度を37℃で測定した(SPECTRA MAX250、Molecular Devices)。この反応速度(mO.D./min)は、酵素溶液を加えた直後から30秒間隔で10分間測定した。IC50値を対数ロジット変換で決定し、ディクソン作図法でKi値に変換した。
【0024】
【実施例12】エラスターゼのex vivo(生体外)阻害
適当なビヒクルとともに阻害剤を経口投与し、その60分後に血液サンプル(0.9ml)を、3.8%クエン酸ナトリウム溶液(0.1ml)を含む注射器を用いて腹部大動脈から採取する。
血液サンプルを次のように処理する。ハンクス液にオプソニン化チモサン(ザイモサン)を加えた懸濁液(60μl、最終濃度0.1〜1mg/ml)を、事前に37℃で5分間インキュベートした全血(540μl)に加える。得られた混合物を室温で30分間インキュベートする。試験管を氷水に浸して反応を終了させる。反応混合物を4℃で10分間遠心分離する(3,000rpm)。得られた各上澄み液の20μl(「サンプル」)をエラスターゼ活性について測定する。
次の各成分からなる混合物を37℃で24時間インキュベートし、光学密度を405nmで測定する。
0.2M tris−HCl緩衝液(pH8.0) 100μl
2.5M NaCl 40μl
蒸留水 30μl
50mM基質溶液 4μl
「サンプル」 20μl
* N−メチルスクシニル−Ala−Ala−Pro−Val−p−ニトロアニリド
基質の代わりに1−メチル−2−ピロリドンと混合した試験サンプルを基質(−)とする。「サンプル」の代わりに生理食塩水と混合した試験サンプルをブランクとする。p−ニトロアニリンの量の基準曲線にもとづく24時間でのp−ニトロアニリンの全産生量として、「サンプル」中の残留エラスターゼ活性を次のように計算する。
基質(+)の光学密度−(基質(−)の光学密度+ブランクの光学密度) 5〜6体の動物の試験サンプルにもとづいて平均活性を計算する。各動物は24時間絶食させ、血液サンプル採取の60分前に、3、10、または30mg/kgの阻害剤を強制的に経口投与する。光学密度を、SPECTRA MAX250(Molecular Devices)で測定する。
【0025】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いるBoc保護アミノアルコール中間物質の合成方法の概略図である。
【図2】本発明の化合物の合成方法の概略図である。
【図3】本発明の一部の実施例の構造を示す図である。
【図4】本発明の一部の実施例の構造を示す図である。
Claims (42)
- XがNであり、YがOである、請求項1記載の化合物。
- R2がイソプロピルであり、R3がHである、請求項2記載の化合物。
- R1がtert−ブチルである、請求項3記載の化合物。
- nが1である、請求項4記載の化合物。
- Dが直接結合である、請求項5記載の化合物。
- R4−A−がアルキルオキシカルボニルである、請求項6記載の化合物。
- R4−A−がtert−ブチルオキシカルボニルである、請求項7記載の化合物。
- N−tert−ブチルオキシカルボニル−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドである、請求項8記載の化合物。
- R4−A−がイソプロピルオキシカルボニルである、請求項7記載の化合物。
- N−イソプロピルオキシカルボニル−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドである、請求項10記載の化合物。
- R4が2個のN原子で置換されたアリールであり、Aが−C(O)−である、請求項6記載の化合物。
- R4−A−がイミダゾル−5−カルボニルである、請求項12記載の化合物。
- N−(イミダゾイル−5−カルボニル)−S−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドである、請求項13記載の化合物。
- Dがバリンである、請求項5記載の化合物。
- R4がアルキルであり、Aが−OC(O)−である、請求項15記載の化合物。
- R4−A−がメチルオキシカルボニルである、請求項16記載の化合物。
- N−(メチルオキシカルボニル)−L−バリル−S−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドである、請求項17記載の化合物。
- R4が1個のN原子で置換されたアリールであり、Aが−C(O)−である、請求項15記載の化合物。
- R4−A−がピリジル−3−カルボニルである、請求項19記載の化合物。
- N−(ピリジル−3−カルボニル)−L−バリル−S−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)−3−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドである、請求項20記載の化合物。
- nが0である、請求項4記載の化合物。
- Dが直接結合である、請求項22記載の化合物。
- R4−A−がアルキルオキシカルボニルである、請求項23記載の化合物。
- R4−A−がtert−ブチルオキシカルボニルである、請求項24記載の化合物。
- N−tert−ブチルオキシカルボニル−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドである、請求項25記載の化合物。
- R4−A−がイソプロピルオキシカルボニルである、請求項24記載の化合物。
- N−イソプロピルオキシカルボニル−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドである、請求項27記載の化合物。
- R4が2個のN原子で置換されたアリールであり、Aが−C(O)−である、請求項23記載の化合物。
- R4−A−がイミダゾル−5−カルボニルである、請求項29記載の化合物。
- N−(イミダゾイル−5−カルボニル)−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドである、請求項30記載の化合物。
- Dがバリンである、請求項22記載の化合物。
- R4がアルキルであり、Aが−OC(O)−である、請求項32記載の化合物。
- R4−A−がメチルオキシカルボニルである、請求項33記載の化合物。
- N−(メチルオキシカルボニル)−L−バリル−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドである、請求項34記載の化合物。
- R4が1個のN原子で置換されたアリールであり、Aが−C(O)−である、請求項32記載の化合物。
- R4−A−がピリジル−3−カルボニルである、請求項36記載の化合物。
- N−(ピリジル−3−カルボニル)−L−バリル−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール)−2−(S)−N−[1−(2−[5−(tert−ブチル)−オキサジアゾリル]カルボニル)−2−(S)−メチルプロピル]アミドである、請求項37記載の化合物。
- 請求項1の化合物の有効量を、このような阻害を必要とするホスト(受容者)に投与することを含む、少なくとも1種類のセリンプロテアーゼを阻害する方法。
- セリンプロテアーゼがエラスターゼである、請求項39記載の方法。
- エラスターゼがヒト好中球エラスターゼである、請求項40記載の方法。
- 一つまたはそれ以上の請求項1の化合物と、薬学的に許容し得る担体とを含む組成物。
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