JP2004513187A - マイクロカプセル中への制御した水移送による、フレーバー及びフレグランスのカプセル封入方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(発明の分野)
本発明は、ヒドロゲルシェルとオイルコアとを有するマイクロカプセル中にフレーバー又はフレグランスをカプセル封入する方法に関する。
【0002】
(発明の背景)
フレーバー又はフレグランス化合物を含むマイクロカプセルは、含有されたフレーバー又はフレグランスを制御下で放出するために有用である。このような製品は食品加工産業に使用可能であり、この場合にカプセル封入されたフレーバー粒子が食品の咀嚼時にフレーバー・バーストを提供することができる。このような製品は化粧品及びトイレタリー産業にも使用可能であり、この場合にはカプセル封入されたフレーバー粒子がカプセルの破裂時に香りのバーストを生じることができる。カプセルは、フレーバー又はフレグランス化合物を含有するコア物質を囲むシェルを含むことができる。
【0003】
マイクロカプセルは、水中に懸濁したタンパク質、炭水化物又は合成ポリマーの微小滴によって脂質を被覆する、コアセルベーション又は架橋方法によって形成することができる。しかし、コアセルベーション方法は制御することが困難であり、例えば温度、pH、材料の撹拌度、及び天然タンパク質又は炭水化物により導入される固有の可変性のような変数に依存する。
【0004】
フレーバー又はフレグランス化合物を含有するマイクロカプセルの製造では、幾つかの態様が望ましい。丈夫な壁を有し、凝集しないマイクロカプセルを製造することが望ましい。化合物がオイル微粒子中に容易に充填される、即ち、マイクロカプセルのオイルコア中に容易に吸収されることが望ましい。ひと度吸収されたならば、化合物がマイクロカプセルのオイルコア中に不可逆的に保留される、即ち、マイクロカプセル中に吸着されることもまた望ましい。
【0005】
カプセル封入されうる化合物量は、水中への該化合物の溶解度、分配係数、分子量、水の含量、揮発度、及び空のカプセルの水量に対する比率を含めた、幾つかの要因に依存する。フレーバー及びフレグランスは多くの成分の混合物であることができ、これらの成分の各々がこれらの性質を広範囲に有しうる。親油性であるフレーバー又はフレグランス化合物はマイクロカプセルのオイルコア中に容易に含有されることができるが、一方、親水性であるフレーバー又はフレグランス化合物はオイルコア中にそれより含有されにくい。例えば、フレーバー化合物ジアセチル(DA)は約20%〜約30%水溶性である。ジアセチルに関して、オイル中への典型的な最大吸収は約55%までに過ぎない。例えばジアセチルのような高水溶性化合物は、ひと度充填されたとしても、オイルコア中により保留されにくい。
【0006】
オイル相に対する水相中の化合物の溶解性はKと略記されるその分配係数によって決定される。化合物の分配係数は1つの液相中の化合物濃度の他の液相中の化合物濃度の比率である。したがって、分配係数は、例えば脂質相と水相のような、所定の2種類の液相に対する化合物に固有の性質であり、水相と脂質相との平衡状態における化合物の分配を反映する。化合物の水溶解度を低減する如何なる手段も化合物の平衡をシフトさせ、したがって、水相と脂質相との間のその分配をシフトさせる。例えば、塩の添加は化合物の水溶解度を低減し、脂質相中へのその分配を高める。同様に、膜を強化し、水量を物理的に減じるためにタンパク質膜を架橋すること、又はカプセル壁若しくは膜を収縮させるように環境から水を物理的に減じることにより、化合物の水溶解度は低減し、オイル相中へのその分配が高まる。
【0007】
水溶性であるフレーバー又はフレグランスはオイル粒子のカプセル封入を妨害する可能性がある。例えば、水溶性であるフレーバー又はフレグランス化合物をゼラチン・コアセルベーションを用いてカプセル封入することはできない。この理由は、コアセルベーションが生じるためには被覆すべき小滴が存在しなければならないが、これらの水溶性物質に関しては被覆すべき小滴が存在しないからである。さらに、水溶性フレーバー又はフレグランスは、フレーバー又はフレグランス化合物がオイル粒子内よりも、カプセル封入されたオイル粒子外の水性環境に位置するように、分配する可能性がある。フレーバー又はフレグランス化合物の水溶性が高過ぎると、コロイドが濃厚になりすぎるか又は希薄になりすぎるために、コアセルベーション工程は機能しなくなる。濃厚すぎるコロイドは流動性を有さず、したがってオイル表面を適当に被覆することができない。希薄すぎるコロイドはオイル表面に保留されない。極端な場合には、水溶性フレーバー又はフレグランス化合物はコロイドを完全に可溶化することができ、オイル表面に付着する壁物質が残らない。
【0008】
水溶性の他に、脂肪酸を含有するフレーバー又はフレグランス化合物はコアセルベーション反応のpHに影響を与える。pHを調節しようとして塩基を加えると、反応中に生成した脂肪酸塩がフレーバー化合物に望ましくない石鹸味を与える。フレーバー又はフレグランス化合物が水溶性エステルを含有すると、コアセルベーション温度が影響を受けるので、最終ゲル化温度が変化する。それ故、脂肪酸又は水溶性エステルを含有する化合物を制限することが望ましいが、カプセル封入化合物の効力とプロフィル結果とのかね合いが存在する。これにより効果的にカプセル封入されうる製剤の範囲が限定される。
【0009】
現在、カプセル封入することが困難であるフレーバー又はフレグランス化合物は例えば植物油又は鉱油のようなオイルで希釈される。これはそのオイル対水の分配係数を変化させ、化合物はオイル相と水相との間の平衡に達しようとする。オイルは大抵の化合物の本来の水溶解度を減ずるのに役立ち、多くの場合、そのコアセルベーションを妨害するレベル未満に減ずる。しかし、高度に水溶性であるフレーバー又はフレグランス化合物はこの効果を有さない。25%より大きい水溶解度を有する化合物は、優先的に水相中に分配され、これらの化合物をカプセル封入するためには、90%より大きい脂質:水の比率が必要である。しかし、コアセルベーションプロセスは一般に約22%脂質に限定される。したがって、この方法は水溶性フレーバー又はフレグランス化合物に対してごく限られた適用可能性を有するにすぎない。
【0010】
例えばシクロデキストリン取り込み又はシリカプレーティング(plating)のような、マイクロカプセル中に化合物を吸収するための幾つかの方法が当該技術分野において知られている。シクロデキストリン取り込み方法の欠点は、結合効果が特定のフレーバー又はフレグランス化合物に依存して広範囲に変化することである。シリカプレーティング方法の欠点は、フレーバー又はフレグランス化合物が蒸発するのを阻止するためのバリヤーが存在しないことである。したがって、多くの種類のフレーバー又はフレグランス化合物をカプセル封入オイル中に望ましい充填レベルまで吸収する効果的な方法が必要とされる。さらに、フレーバー又はフレグランス化合物がひと度カプセル封入されたならば、それらを吸着する効果的な方法も必要とされる。
【0011】
(発明の概要)
本発明は、オイルコアを有するカプセル中への化合物の制御された水移送によって、フレーバー又はフレグランス化合物をカプセル封入する方法に関する。この方法は、ヒドロゲルシェルとオイルコアとを有するマイクロカプセルの調製及び、その後の、両親媒性フレーバー又はフレグランス化合物をヒドロゲルシェルを通じてオイルコア中に移送するための、該化合物の水の存在下でのマイクロカプセルへの添加とを含む。化合物は水性拡散によって該ヒドロゲルを通じてオイルコア中に移送される。水性拡散中にオイルコアはヒドロゲルシェル中に保留される。したがって、保留されているオイルコアを含有するヒドロゲルシェル中にフレーバー又はフレグランス化合物がカプセル封入される。
【0012】
シェルは、架橋されていても、又は非架橋されていてもよい、炭水化物若しくはタンパク質、又は例えばポリビニルピロリドン若しくはメチルセルロースのような合成ポリマーから成ることができる。オイルコアは例えば植物油、鉱油、ベンジルアルコール及びこれらの混合物を含むことができる。好ましい実施態様では、オイルは分留済みやし油の短鎖トリグセリドである。本明細書中、以下でさらに詳しく定義するように、“オイル”はそれらの疎水性のために水中で分散可能である広範囲な物質を包含するような意味である。
【0013】
本発明の他の実施態様では、マイクロカプセルを乾燥形態で製造することができる。両親媒性フレーバー又はフレグランス化合物を、オイルコアを囲むヒドロゲルシェルを有する実質的に乾燥したマイクロカプセルに、制御された量の水の存在下で加える。該化合物は水性拡散によってヒドロゲルシェルを通ってオイルコア中に移送され、コア中に保留される。オイルコア中に保留されたフレーバー又はフレグランス化合物を有するマイクロカプセルを次に乾燥させる。
【0014】
本発明の好ましい形態では、オイルコアとヒドロゲルシェルとのコアセルベートのマイクロカプセルを調製し、フレーバー又はフレグランス化合物をオイルコア中に移送するために該化合物を水の存在下で該マイクロカプセルに添加し、水性拡散によって該化合物をヒドロゲルシェルを通じてオイルコア中に移送させ、さらに、ヒドロゲルシェル中にカプセル封入されたフレーバー又はフレグランス及び保留オイルコアを提供するために、該移送中にヒドロゲルシェル内にオイルコアを保留することにより、フレーバー又はフレグランス化合物をカプセル封入する。
【0015】
本発明は本発明の方法によって製造される生成物にも関する。
本発明の1つの利点は、マイクロカプセルが今までは不可能であったような濃度のフレーバー又はフレグランス化合物を含有することができることである。第二の利点は、空のマイクロカプセルの壁が実質的に均一な厚さ、強度及び弾性を有することである。他の利点は、実際にフレーバー又はフレグランス化合物が環境へと全く失われないので、カプセル封入されたフレーバー又はフレグランスの収率が大きいことである。さらに他の利点は、総てのフレーバー又はフレグランスに対して同じ技法が用いられることによる、本発明のフレーバー又はフレグランス化合物の製造における経済性である。
【0016】
本発明の目的及び他の利点は、以下の詳細な説明と例とを参照することによって、さらに理解されるであろう。
【0017】
(詳細な説明)
本発明の好ましい実施では、所望のフレーバー又はフレグランス化合物を含有するマイクロカプセルをコアセルベーションプロセスによって形成する。コアセルベーションでは、コロイドがコロイド富化相(コアセルベート)とコアセルベーティング剤の水溶液(平衡液体)とに分離されて、オイルを水中に懸濁させるためにタンパク質、炭水化物又はポリマー小滴によって被覆されたオイルが形成される。このプロセスでは、2つの脂質相と1つの水相とが結局、1つの脂質相と1つの水相とに吸収される。第一脂質相はマイクロカプセルのコアを形成する。このコアはヒドロゲルカプセルによって囲まれる、これは分散相(コロイド)が連続相(水)と結合されて、粘性のゼリー状生成物を生じ、本明細書ではコロイドとして定義される。コアはオイルから成り、オイルとは本明細書では、それらの化学的性質において全く異なる広範囲な物質を定義するために用いられる用語である。オイルはそれらの種類及び機能によって分類されることができ、鉱油(石油又は石油由来)、植物油(主として種子又は堅果に由来)、動物性油(通常、脂肪として生成;液体型は魚油を包含する)、精油(花、幹、葉及びしばしば植物全体に由来する複雑な揮発性液体)、及び食用油(主として、植物油並びにいくつかの特定の魚油)を包含する。生物に由来するオイルは脂肪と化学的に同じであり、唯一の相違は室温におけるコンシステンシーの相違である。一の実施態様では、オイルは鉱油、植物油又はベンジルアルコールである。好ましい実施態様では、オイルは分留済みやし油の短鎖トリグセリドであり、これは商品名ミジロール(Migylol)(登録商標)(ハルズ社(Huls Corp.)、Piscataway、NJ)又はキャプテックス(Captex)(登録商標)(アビテック社(Abitec Corp.)、Janesville、WI)として入手可能である。ヒドロゲルシェルは炭水化物、タンパク質又は例えばポリビニルピロリドン若しくはメチルセルロースのような合成ポリマーのいずれかでよい。好ましい実施態様では、オイルはミジロール(Migylol)(登録商標)又はキャプテックス(Captex)(登録商標)であり、シェルはゼラチンである。第二脂質相は所望のフレーバー又はフレグランス化合物であり、これらはある程度まで水溶性かつ脂溶性、即ち両親媒性(これはその二重溶解性を定義するために本明細書で用いられる用語である)である。水相は、分配係数平衡による水性拡散によって弱水溶性フレーバー又はフレグランス化合物をマイクロカプセルのオイルコア中に移送させるために用いられる。平衡動力学は三つの相(2つの脂質相と1つの水相)が2相(1つの脂質相と1つの水相)に吸収されるまで続く。
【0018】
一部の水溶性化合物に関しては、オイル相中への吸収又は分配のために必要な水はより少なくてよい。これに反して、一部の高脂溶性化合物では、オイル相中への分配のために必要な水はより多量になり得る。したがって、化合物の分配係数を考慮して、化合物に対して利用可能である水量を一時的に変化させることによって、化合物をヒドロゲルシェルを通じてオイル中に吸収させることができる。
【0019】
オイル中への化合物の吸着を制御することができる。マイクロカプセルの脱水又はカプセルシェルの架橋はフレーバー又はフレグランス化合物をマイクロカプセル内に閉じ込める。脱水時に、水の相当な量がカプセルから除去され、それによって、部分的に水溶性であるフレーバー又はフレグランス化合物のオイルコアから水性環境中への損失が削減される。代替的に、架橋を含有するカプセルは安定な構造であるので、コアセルベートのヒドロゲルシェルの架橋により、カプセル封入オイルを熱安定にする。オイル含有カプセルを不可逆的に架橋するための、例えばホルムアルデヒド又はグルタルアルデヒドのような、既知の化学架橋剤の使用が知られている。例えばタンニン酸(タンニン)又は硫酸アルミニウムカリウム(明礬)のような他の架橋剤も同様に知られている。米国特許第2,800,457号及び第2,800,458号に開示されているような、任意のカプセル硬化工程はカプセル材料の懸濁液のpH9〜11への調節、0℃〜5℃への冷却、及びホルムアルデヒドの添加から成る。ホルムアルデヒド及びグルタルアルデヒドは効果的な化学架橋剤でもある。食品産業及び化粧品/トイレタリー産業のために、特定の用途に依存して、適当な架橋剤を選択することができる。
【0020】
ある一定の天然産生の酵素もまた良好な架橋剤である。例えばトランスグルタミナーゼのような酵素を用いる架橋は、[複合コアセルベーションによる酵素的タンパク質カプセル封入オイル粒子]なる名称の同時係属出願第08/791,953号に開示されており、これは引用によりその全体において本明細書に援用される。酵素はタンパク質中のある一定のアミノ酸側鎖の間の結合の形成を触媒することによって作用する。さらに、酵素は天然に生成するので、酵素的に架橋されたカプセル封入オイルはホルムアルデヒド及びグルタルアルデヒド架橋に固有の問題を有さず、このため架橋剤の毒性の問題なしに摂取又は適用されることができる。しかし、架橋は酵素触媒反応であるので、最良の酵素活性のために、適当な環境条件が存在しなければならない。
【0021】
高水溶性(少なくとも約20%水溶性と本明細書で定義する)を有する化合物に関しては、マイクロカプセルを55%固形分に濃縮するか又は乾燥マイクロカプセルから出発して、所望の結果を得るために重量測定的に水と化合物とを加えることが好ましい。低水溶性(約20%未満の水溶性と本明細書で定義する)を有する化合物に関しては、水和マイクロカプセル調製物を用いることができる。
【0022】
例1
脱イオン水を50℃±2℃に予熱することによって、水和された空のカプセルを用意する。予熱脱イオン水(87.2018g)、カルボキシメチルセルロース、ナトリウム塩(1.8447g)、及びアラビアゴムFCC粉末SP Dri(0.1845g)を激しく撹拌することによって、ガム溶液を調製する。この溶液を固形分が完全に溶解するまで混合してから、溶液を約35℃〜約40℃に冷却する。予熱脱イオン水(163.0453g)と250BloomタイプAゼラチン(18.4461g)とをプレエマルジョンタンク中でゼラチンが完全に溶解するまで激しく撹拌することによって、ゼラチン溶液を調製し、次にこの溶液を約35℃〜約40℃に冷却する。撹拌せずに、ガム溶液をプレエマルジョンタンク中のゼラチン溶液に加えて、泡を約15〜20分間かけて消散させる。希釈水酸化ナトリウム溶液(50%w/w)又は希釈クエン酸溶液(50%w/w)のいずれかによって、pHを約5.5に調節する。
【0023】
植物油(キャプテックス(Captex)(登録商標)355混合トリグリセリド又はミジロール(Migylol)(登録商標)、180.02g)を徐々に撹拌し、この油のプール形成(pooling)を回避しながら、加える。カプセルサイズを約100ミクロン〜約400ミクロンに調節し、顕微鏡によりそのサイズを確かめる。この溶液を、約1℃/5分間で、溶液が約28℃に達するまで徐々に冷却する。水相中に浮遊する遊離タンパク質がなく、タンパク質の均一な付着を示すカプセルを顕微鏡検査によって判定して、カプセル壁が完全であるならば、この溶液を約10℃に迅速に冷却することができる。タンパク質の不均一な付着を示すカプセル及び水相中に浮遊する遊離タンパク質の顕微鏡検査によって判定して、カプセル壁が薄い場合には、溶液を約32℃〜約33℃まで再加熱する。この溶液を約5℃〜約10℃において1時間混合する。次に、この溶液を約15℃〜約20℃に加熱する。50%のグルタルアルデヒドを加えて、約16時間混合させる。次に、撹拌を停止して、カプセルを浮遊によって分離させる。約48%〜50%(約379〜395ポンド)の水を該タンクの底から別の容器中に排出する。排出液体中にカプセルが存在する場合には、排出を中断して、撹拌を開始し、分離カプセルを溶液中に再懸濁させる。次に、該分離工程を繰り返す。分離が完了したならば、カプセルを溶液中に再懸濁させるために、撹拌を再開する。安息香酸ナトリウム(10%w/w)を入念に混合しながら加える。必要な場合には、クエン酸を加えて、pHを4.0未満に調節する。
【0024】
乾燥した、空のカプセル(フレーバー又はフレグランス価値を有さないカプセル封入オイルとして本明細書で定義する)を次の方法によって調製する。シリカ化合物シロイド(syloid)244グレード68粉末(15.9497g)を脱イオン水(143.5477g)と共に、該粉末が完全に分散して、塊が存在しなくなるまで混合することによって、シロイド溶液を調製する。フレーバーを滑らかになるまで機械的に混合し、次に該シロイド溶液を該フレーバーに、塊がなく、完全に分散するまで混合すると、溶液は約30分間の撹拌後に希薄になる(thinning out)。この生成物を遠心によって、約50%又はそれ以上の固形分まで濃縮する。次に、この物質を約80℃の真空オーブン乾燥器又は約70℃の流動床乾燥器のいずれかにおいて乾燥させる。
【0025】
乾燥した架橋カプセル(400g)をステンレス鋼の混合ボール(ホバートラボスケールミキサー(Hobart Lab Scale Mixer))に入れる。所望の純粋なフレーバー(428.6g)を脱イオン水(171.4g)とマグネチックスターラー上で5分間混合する。乾燥カプセルにこの水/フレーバー混合物をホバート(Hobart)ミキサー上でパワーレベル1〜2において5分間混合する。混合物をプラスチックの貯蔵容器中に、混合ボールの側面をこするためにゴムスパチュラを用いて注ぎ込み、容器を閉じる。製品を使用する前に、この混合物をフレーバー吸収のために24時間インキュベートさせる。
【0026】
例2
脱イオン水を50℃±2℃に予熱することによって、水和された空のカプセルを用意する。予熱した脱イオン水(87.2018g)、カルボキシメチルセルロース、ナトリウム塩(1.8447g)、及びアラビアゴムFCC粉末SP Dri(0.1845g)を激しく撹拌することによって、ガム溶液を調製する。この溶液を固形分が完全に溶解するまで混合してから、溶液を約35℃〜約40℃に冷却する。予熱した脱イオン水(163.0453g)と250BloomタイプAゼラチン(18.4461g)とをプレエマルジョンタンク中でゼラチンが完全に溶解するまで激しく撹拌することによって、ゼラチン溶液を調製し、次にこの溶液を約35℃〜約40℃に冷却する。撹拌せずに、ガム溶液をプレエマルジョンタンク中のゼラチン溶液に加えて、泡を約15〜20分間かけて消散させる。希釈水酸化ナトリウム溶液(50%w/w)又は希釈クエン酸溶液(50%w/w)のいずれかによって、pHを約5.5に調節する。
【0027】
植物油(キャプテックス(Captex)(登録商標)355混合トリグリセリド又はミジロール(Migylol)(登録商標)、180.02g)を徐々に撹拌して、この油のプール形成を回避しながら、加える。カプセルサイズを約100ミクロン〜約400ミクロンに調節して、そのサイズを顕微鏡によって確認する。この溶液を、約1℃/5分間で、溶液が約28℃に達するまで徐々に冷却する。水相中に浮遊する遊離タンパク質がなく、タンパク質の均一な付着を示すカプセルの顕微鏡検査によって判定して、カプセルが完全であるならば、この溶液を約10℃に迅速に冷却することができる。タンパク質の不均一な付着を示すカプセル及び水相中の遊離タンパク質の顕微鏡検査によって判定して、カプセル壁が薄い場合には、溶液を約32℃〜約33℃に再加熱する。この溶液を約5℃〜約10℃において16時間混合し、次に、撹拌を中断して、カプセルを浮遊によって分離させる。約48%〜50%(約379〜395ポンド)の水を該タンクの底から別の容器中に排出する。排出液体中にカプセルが存在する場合には、排出を停止して、撹拌を開始し、分離カプセルを溶液中に再懸濁させる。次に、該分離工程を繰り返す。分離が完了したならば、カプセルを溶液中に再懸濁させるために、撹拌を再開する。安息香酸ナトリウム(10%w/w)を入念に混合しながら加える。必要な場合には、クエン酸を加えて、pHを4.0未満に調節する。これらのカプセルを約5℃〜約10℃において貯蔵する。
【0028】
水和した非架橋ビーズ(815.20g)をガラス反応器に約5℃〜約10℃において加える。温度を約5℃〜約10℃に維持しながら、約95〜100rpmでの撹拌を開始する。純粋なフレーバー又はフレグランス(181.8g)をガラス反応器に加える。この混合物を約5℃〜約10℃において約2時間撹拌して、フレーバー又はフレグランスをカプセルに吸収させる。次に50%のグルタルアルデヒド(3.0g)を加えて、約15℃〜約20℃において16時間混合させる。安息香酸ナトリウム(10%溶液、10.25g)をこの反応器に加える。クエン酸(20%)を加えて、溶液のpHを3.9に調節する。充分に混合したキサンタンガム/プロピレングリコール混合物(プロピレングリコール2部に対してキサンタン1部)を加えることによって、カプセルを安定化させる。カプセルが安定化するまで、混合物を約30分間撹拌する。カプセルが安定化したならば、カプセルは使用できる状態である。
【0029】
例3
アルギン酸ナトリウム(8.22g、タイプFD155、グリンステッド社(Grinsted Corp.))を脱イオン水(300g)中に溶解した。溶液を均質になるまで攪拌した。マイクロカプセル(3.75g)を加えて、均質相が形成されるまで攪拌した。次に、ミジロール(Miglyol)(登録商標))(99.9g)を激しく撹拌しながら加えて、水中油エマルジョンを形成した。4%w/w CaCl2水溶液(150ml)を激しく撹拌することによってガラスビーカー中に発生した渦の最低点の約1インチ上方に位置決めした振動針(内径1.22mm)を通じて該エマルジョンを供給した。針を通るエマルジョンの流量を調節して、噴出の形成を防止した。エマルジョンの小滴は、CaCl2溶液に入るや否や、直ちにゲル化して、約80μm直径の粒子を生じる。エマルジョンの添加後に、ビーズのスラリーを約30分間放置して、カルシウムイオンをマイクロカプセル中に移動させる。マイクロカプセルを室温において遠心又は真空濾過のいずれかによって脱水させ、その後に例えば真空オーブン乾燥又は流動床乾燥のような当該技術分野において既知の方法によって乾燥させた。
【0030】
得られたマイクロカプセルは、若干の表面オイルの存在のために、互いに粘着する傾向をやや有した。自由流動性の、乾燥したアルギナートカプセル封入フレーバー又はフレグランス化合物は、該マイクロカプセル(約58%)と水(約7%)とを所望のフレーバー又はフレグランス化合物(約35%)と共に混合することによって得られた。最適の吸収時間は、特定のフレーバー又はフレグランス化合物の分配係数に依存して、約1時間〜約10時間である。
本明細書に示し、説明した本発明の実施態様が、当該技術分野に熟練した本発明者による好ましい実施態様に過ぎず、如何なる意味でも限定的ではないことを理解すべきである。それ故、これらの実施態様に対する種々な変更、修飾又は変化を作成して、行なうことが本発明の要旨及び特許請求の範囲から逸脱せずに可能である。
Claims (38)
- カプセル封入されたフレーバー又はフレグランス化合物の製造方法であって、
オイルコアを囲むヒドロゲルシェルを有するマイクロカプセルの調製、
両親媒性フレーバー又はフレグランス化合物をオイルコア中に移送するための、該化合物の水の存在下でのマイクロカプセルへの添加、
水性拡散による、該化合物のヒドロゲルシェルを通じてのオイルコア中への移送、及び
保留オイルコアを含有するヒドロゲルシェル中にカプセル封入されたフレーバー又はフレグランスを提供するための、前記移送中のヒドロゲルシェル中におけるオイルコアの保留
を含む前記方法。 - 水の存在下でフレーバー又はフレグランス化合物を加える前にマイクロカプセルを乾燥させる、請求項1記載の方法。
- シェルがタンパク質、炭水化物及び合成ポリマーから成る群から選択される、請求項1記載の方法。
- 合成ポリマーがポリビニルピロリドンである、請求項3記載の方法。
- オイルコアが鉱油、植物油、ベンジルアルコール及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1記載の方法。
- 植物油が分留済みやし油の短鎖トリグセリドである、請求項5記載の方法。
- マイクロカプセルからのフレーバー又はフレグランス化合物の除去を阻止するようにシェルを処理することをさらに含む、請求項1記載の方法。
- 該処理がシェルから水を除去することによる、請求項7記載の方法。
- 水の除去が塩の添加による、請求項8記載の方法。
- 該処理がシェルを架橋することによる、請求項7記載の方法。
- 該架橋が架橋剤の添加による、請求項10記載の方法。
- 該架橋をフレーバー又はフレグランス化合物をマイクロカプセルに添加する前に行なう、請求項10記載の方法。
- 該架橋をフレーバー又はフレグランス化合物をマイクロカプセルに添加した後に行なう、請求項10記載の方法。
- マイクロカプセルがオイルコアとヒドロゲルシェルとのコアセルベーションによって調製される、請求項1記載の方法。
- フレーバー又はフレグランス化合物の混合物をマイクロカプセルに添加する、請求項1記載の方法。
- 請求項1記載の方法の生成物。
- 請求項3記載の方法の生成物。
- 請求項5記載の方法の生成物。
- 請求項6記載の方法の生成物。
- 請求項14記載の方法の生成物。
- カプセル封入されたフレーバー又はフレグランス化合物の製造方法であって、
オイルコアを囲むヒドロゲルシェルを有する実質的に乾燥したマイクロカプセルの調製、
両親媒性フレーバー又はフレグランス化合物をオイルコア中に移送するための、該化合物の調節された量の水の存在下での該マイクロカプセルへの添加、
水性拡散による該化合物のヒドロゲルシェルを通してのオイルコア中への移送、
保留オイルコアを含有するヒドロゲルシェル中にカプセル封入されたフレーバー又はフレグランスを提供するための、該移送中のヒドロゲルシェル中におけるオイルコアの保留、及び
オイルコア中に保留されたフレーバー又はフレグランス化合物を有するマイクロカプセルの乾燥、
を含む前記方法。 - シェルがタンパク質、炭水化物及び合成ポリマーから成る群から選択される、請求項21記載の方法。
- 合成ポリマーがポリビニルピロリドンである、請求項22記載の方法。
- オイルコアが鉱油、植物油、ベンジルアルコール及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項21記載の方法。
- 植物油が分留済みやし油の短鎖トリグセリドである、請求項24記載の方法。
- マイクロカプセルからのフレーバー又はフレグランス化合物の除去を阻止するようにシェルを処理することをさらに含む、請求項21記載の方法。
- 該処理がシェルを架橋することによる、請求項26記載の方法。
- 該架橋が架橋剤の添加による、請求項27記載の方法。
- 該架橋をフレーバー又はフレグランス化合物をマイクロカプセルに添加する前に行なう、請求項27記載の方法。
- 該架橋をフレーバー又はフレグランス化合物をマイクロカプセルに添加した後に行なう、請求項27記載の方法。
- マイクロカプセルがオイルコアとヒドロゲルシェルとのコアセルベーションによって調製される、請求項21記載の方法。
- フレーバー又はフレグランス化合物の混合物がマイクロカプセルに添加される、請求項21記載の方法。
- 請求項21記載の方法の生成物。
- 請求項22記載の方法の生成物。
- 請求項24記載の方法の生成物。
- 請求項25記載の方法の生成物。
- 請求項31記載の方法の生成物。
- カプセル封入されたフレーバー又はフレグランス化合物の製造方法であって、
ヒドロゲルシェル中でのオイルコアのコアセルベーションによるマイクロカプセルの調製、
両親媒性フレーバー又はフレグランス化合物をオイルコア中に移送するための、該化合物の水の存在下での該マイクロカプセルへの添加、
水性拡散による該化合物のヒドロゲルを通じてのオイルコア中への移送、及び
保留オイルコアを含有するヒドロゲルシェル中にカプセル封入されたフレーバー又はフレグランスを提供するための、前記移送中のヒドロゲルシェル中におけるオイルコアの保留、
を含む前記方法。
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