JP2004507268A - ブチノールiエステラーゼ - Google Patents

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Abstract

本発明は、Pseudomonas glumae(イネもみ枯細菌病菌)から得られたエステラーゼ活性(特に、ブチノールIエステラーゼ活性)を示す新規タンパク質、それをコードする核酸配列、発現カセット、ベクターおよび組換え微生物に関する。本発明はまた、前記タンパク質の生産方法、ならびに、有機エステルの酵素的(特に、エナンチオ選択的)エステル加水分解またはエステル交換のためのその使用に関する。

Description

【0001】
本発明は、エステラーゼ活性、特にブチノールIエステラーゼ活性を有するPseudomonas glumae(イネもみ枯細菌病菌)由来の新規タンパク質;それをコードする核酸配列;発現カセット、ベクターおよび組換え微生物;該タンパク質の生産方法;ならびに、有機エステルの酵素(特に、エナンチオ選択的酵素)加水分解またはエステル交換のためのその使用に関する。
【0002】
エステラーゼやリパーゼは、光学活性のある有機化合物を合成するために工業的方法で使用されている、高い基質特異性を特徴とする加水分解酵素である。セリンプロテアーゼと同様の作用機序により、それらはカルボニル基のような求核性の基にアシル基を転移したり、エステル結合を加水分解切断したりすることができる。エステラーゼ、リパーゼおよびセリンプロテアーゼは触媒三つ組(すなわち、Ser、HisおよびAspのアミノ酸からなる配列モチーフ)を共有しており、この場合、カルボニル炭素原子が活性Serによる求核攻撃を受け、他の2つのアミノ酸も参加して、電荷配分をまねく。エステラーゼとリパーゼはまた、チオエーテルチオ基や活性化されたアミンのような他の求核性の基にアシル基を転移することができる。
【0003】
リパーゼは長鎖グリセロールエステルを加水分解し、表面活性化(すなわち、活性部位が脂質基質の存在下でのみ利用可能になる)により特徴づけられる。リパーゼは非水性有機溶媒中で安定しており、反応速度論的ラセミ体分割(すなわち、一方のエナンチオマーを他方より実質的に速く変換する)のために多様な工業的方法で利用されている。このエナンチオマーはその後、異なる物理化学的性質により、反応溶液から取得することができる。
【0004】
Nakamuraら(Nakamura, K.ら, Tetrahedron; Asymmetry 9, (1999), 4429−4439)は、市販のリパーゼ(Amano AK, AHおよびPS;Amano Pharmaceuticals Co. Ltd.)を使って疎水性溶媒中でエステル交換することによる1−アルキン−3−オールのラセミ体分割を記載している。この反応においては、エナンチオ選択性がアシル供与体の鎖長とともに増加し、また、立体的に大きな残基(クロロアセテート、ビニルベンゾエート)は反応に悪影響を及ぼす。Yang(Yang, H.ら, J. Org. Chem. 64, (1999), 1709−1712)は、Candida antarctica由来のリパーゼBを触媒として用いてビニルエステルでエステル交換することによる光学活性酸のエナンチオ選択的製法を記載している。この場合、エチルエステルは明らかに低い反応速度と選択率をもたらす。Burkholderia plantarii (Pseudomonas plantariiまたはglumae) DSM 6535から単離されたリパーゼは、メトキシ酢酸エチルを使ってラセミ体アミンをエナンチオ選択的にアシル化するために利用することができる(Balkenhohl, F.ら, J. Prakt. Chem. 339, (1997), 381−384)。
【0005】
エステラーゼはエステル結合の形成および分解(前進および逆反応)をエナンチオ選択的に触媒する。光学活性アルコールを得るためにはエステル交換反応でビニルエステルを使用することが好適である。なぜならば、このエステルのアルコール官能基がアルデヒドやケトンへの互変異性化のため変換後にもはや利用されず、それゆえ逆反応を回避できるからである。リパーゼとは対照的に、エステラーゼは表面活性化されることはなく、比較的短い鎖長の有機化合物も変換する。さまざまな基質特異性を示すエステラーゼが種々の生物から単離されている。
【0006】
こうして、Pseudocardia thermophila FERM−BP−6275由来のエステラーゼは、光学的に活性なクロマン酢酸エステルの加水分解に利用される(EP−A−0 892 044)。
【0007】
Bacillus acidocaldarius由来のエステラーゼは、低いエナンチオ選択性でもって、狭い基質範囲からのエステルを加水分解するにすぎない(Manco, G.ら, Biochem. J. 332, (1998), 203−212)。
【0008】
Aspergillus由来のアシラーゼ1は、無極性有機溶媒中でビニルエステルを用いてエステル交換することにより第二級アルコールを得るために用いられ、これは短い側鎖をもつ第二級アルコールを変換するのに好適である(Faraldos, J.ら, Synlett 4, (1997), 367−370)。Pseudomonas fluorescens DSM 50 106から、膜結合型のラクトン特異的エステラーゼがクローン化されており(Khalameyzer, V.ら, Appl. and Environ. Microbiol. 65(2), (1999), 477−482)、また、大腸菌 malQ突然変異体からはアセチルエステラーゼがクローン化されている(Peist, R.ら, J. Bacteriol. 179, (1997), 7679−7686)。しかしながら、これら2つのエステラーゼのエナンチオ選択性および基質特異性は詳細には研究されていない。Rhodococcus sp. NCBM 11216は4種類のエステラーゼ RR1からRR4を発現するが、これらは異なる特異性をもっている。ナフトールと酸からのエステル合成の場合、RR1とRR2は炭素鎖の短い酸のほうを優先し、一方RR3とRR4は比較的長い炭素鎖と立体的により大きい残基をもつ酸を特異的に変換する(Gudelj, M.ら, J. Mol. Cat. B, Enzymatic 5, (1998), 261−266)。
【0009】
しかし、短い炭素鎖をもつ光学活性アルコール、酸またはエステルといった小さい有機分子を製造するための、工業的方法で利用することができ、基質範囲が広くかつエナンチオ選択性が高いエステラーゼは入手可能でない。本発明の目的は、上記特性を少なくとも1つ備えたエステラーゼを提供することである。
【0010】
本発明の上記目的は、驚いたことに、下記の配列番号3、4、5または6:
a) FIETLGLERPVLVGHSLGGAIALAVGLDYPER (配列番号3)
b) IALIAPLTHTETEP (配列番号4)
c) GGGMMGLRPEAFYAASSDLV (配列番号5)
d) AIDAIFAPEPV (配列番号6)
(それぞれはアミノ酸の一文字表記で表され、各配列の最初のアミノ酸がアミノ末端に相当する)
に示されるアミノ酸部分配列を少なくとも1つ含んでなる、ブチノールIエステラーゼ活性を有するタンパク質、ならびに、ブチノールIエステラーゼ活性を有するその機能的等価体を提供することによって達成されることが見出された。
【0011】
上記目的は、特に、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むか、または配列番号1に示される核酸配列によりコードされるブチノールIエステラーゼ、ならびに、該タンパク質の機能的等価体を提供することによって達成された。
【0012】
単純化するために、以後、上記タンパク質をブチノールIエステラーゼと呼ぶことにする。
【0013】
特定して開示したポリペプチドまたはタンパク質の「機能的等価体」または「類似体」とは、本発明の目的において、その特定されたポリペプチドまたはタンパク質とは相違するが、所望の生物学的活性(特に、酵素活性)をまだ保持するポリペプチドまたはタンパク質のことである。
【0014】
「機能的等価体」とは、本発明によれば、とりわけ、上記配列位置の少なくとも1つに、特定して記載したポリペプチドまたはタンパク質と異なるアミノ酸を有するが、それにもかかわらず、本発明の生物学的活性の少なくとも1つを保持する突然変異体を意味する。したがって、「機能的等価体」は、1個以上のアミノ酸の付加、置換、欠失および/または逆位により得られる突然変異体を含み、かかる改変は、それらが本発明の特性プロファイルを有する突然変異体をもたらすかぎり、配列のどの位置で起こってもよい。機能的等価性は、特に、突然変異体と未改変ポリペプチドとの間に反応性パターンの点で質的一致が認められる場合、すなわち、例えば、同一基質を変換する速度に差がある場合、にも存在する。
【0015】
「機能的等価体」はまた、他の生物から自然界で得られるポリペプチドおよび天然に存在する変異体も包含する。例えば、配列比較によって相同配列の領域が検索されることがあり、また、同等の酵素が本発明の特定の必要条件に基づいて確立される可能性がある。
【0016】
同様に、「機能的等価体」には、本発明のポリペプチドの、例えば所望の生物学的機能を有する、断片(好ましくは、単一のドメインまたは配列モチーフ)も包含される。
【0017】
「機能的等価体」にはさらに、融合タンパク質も含まれ、この融合タンパク質は、上記のポリペプチド配列またはそれから誘導される機能的等価体のうちの1つと、それとは機能的に異なる他の異種配列少なくとも1つを、機能しうるN−またはC−末端結合で(すなわち、融合タンパク質の各部分の機能を無視できる程度にしか相互に損なわずに)含んでなる。そのような異種配列の例として、限定するものではないが、シグナルペプチド、酵素、免疫グロブリン、表面抗原、受容体または受容体リガンドが挙げられる。
【0018】
「機能的等価体」は、本発明によれば、特定して開示したポリペプチドまたはタンパク質の相同体を包含する。これらは、PearsonおよびLipman, Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 85(8), 1988, 2444−2448に記載のアルゴリズムを用いて計算したとき、特定して開示した配列の1つに対して少なくとも60%、好ましくは少なくとも75%、特に少なくとも85%、例えば、90%、95%または99%の相同性を有する。
【0019】
本発明のタンパク質またはポリペプチドの相同体は、突然変異誘発(例えば、点突然変異誘発)または該タンパク質のトランケーションにより作製することができる。本明細書で用いる「相同体」という用語は、そのタンパク質活性のアゴニストまたはアンタゴニストとして作用する該タンパク質の改変形態に関係する。
【0020】
本発明のタンパク質の相同体は、トランケーション突然変異体のような突然変異体のコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることによって同定することができる。例えば、タンパク質変異体の多様性に富んだライブラリーは、合成オリゴヌクレオチドの混合物の酵素的連結などによる、核酸レベルでのコンビナトリアル突然変異誘発により作製することが可能である。縮重オリゴヌクレオチド配列から可能性のある相同体のライブラリーを作製するために使用できる方法は数多く知られている。縮重遺伝子配列の化学合成を自動DNA合成機で実施し、次いで合成遺伝子を適当な発現ベクターに連結することができる。遺伝子の縮重セットを使用すると、1つの混合物中に、可能性のあるタンパク質配列の所望セットをコードするあらゆる配列を提供することが可能となる。縮重オリゴヌクレオチドを合成する方法は当業者に公知である(例えば、Narang, S.A. (1983) Tetrahedron 39:3; Itakuraら, (1984) Annu. Rev. Biochem. 53:323; Itakuraら, (1984) Science 198:1056; Ikeら, (1983) Nucleic Acids Res. 11:477)。
【0021】
さらに、タンパク質コドンの断片のライブラリーを用いることにより、本発明のタンパク質の相同体をスクリーニングし、次いで選別するための、多様性に富んだタンパク質断片の集団を作製することが可能である。一つの実施形態において、コード配列断片のライブラリーを作製するには、例えば、コード配列の二本鎖PCR断片を、ヌクレアーゼを用いて、ニッキングが1分子につき1回程度だけ起こる条件下で処理し、この二本鎖DNAを変性し、そのDNAを再生して異なるニック導入産物のセンス/アンチセンス対を含みうる二本鎖DNAを形成させ、新たに形成された二本鎖から一本鎖部分をS1ヌクレアーゼで処理して除去し、こうして得られる断片ライブラリーを発現ベクターに連結させることができる。この方法により、本発明のタンパク質の異なる大きさのN−末端断片、C−末端断片および内部断片をコードする発現ライブラリーを誘導することが可能である。
【0022】
点突然変異またはトランケーションにより作製されたコンビナトリアルライブラリーから遺伝子産物をスクリーニングするための手法、あるいは所定の性質をもつ遺伝子産物についてcDNAライブラリーをスクリーニングするための手法は、これまでに当技術分野でいくつか知られている。こうした手法は、本発明の相同体のコンビナトリアル突然変異誘発により作製された遺伝子ライブラリーの迅速スクリーニングに応用することができる。大型の遺伝子ライブラリーをハイスループット分析によりスクリーニングするために最も広く用いられている手法は、遺伝子ライブラリーを複製可能な発現ベクターにクローニングし;得られたベクターライブラリーで適当な細胞を形質転換し;必要とされる活性の検出により、すでに検出されている産物の遺伝子をコードするベクターの単離が容易になる条件下で、コンビナトリアル遺伝子を発現させる;ことを含んでなる。ライブラリー中の機能的突然変異体の頻度を高める技術である、帰納的集合突然変異誘発法(recursive ensemble mutagenesis: REM)を、相同体を同定するためのスクリーニング試験と組み合わせて使用してもよい(ArkinおよびYourvan (1992) PNAS 89:7811−7815; Delgraveら (1993) Protein Engineering 6(3):327−331)。
【0023】
本発明の好ましい機能的等価体は、少なくとも1つの位置で配列番号2から変化している配列を有し、かかる配列の変化はエステラーゼ活性を有意には変えないことが望ましく、すなわち、せいぜい±90%、特にせいぜい±50%または±30%しか変えないことが好ましい。この変化は標準条件(例えば、20mM基質、10mMリン酸バッファー、pH7.4、T=20℃)下でブチノール酪酸エステルなどの参照基質を用いて測定することができる。
【0024】
本発明は特に、配列番号2に示される配列由来の少なくとも10個の連続するアミノ酸からなる部分配列を少なくとも1つ含み、かつ参照基質に対する上記活性を有する機能的等価体に関する。
【0025】
この種の部分配列の例は、限定するものではないが、上記の配列番号3、4、5および6に示される部分配列から誘導される。
【0026】
こうして、さらに、本発明のエステラーゼの好ましい機能的等価体は、特定して記載した部分配列と比較して、1個以上のアミノ酸が置換、欠失、逆位または付加されており、かつ天然のタンパク質(配列番号2)のエステラーゼ活性とは、せいぜい±90%または±50%、好ましくはせいぜい±30%しか相違しないエステラーゼ活性を有する、配列番号3、4、5または6から誘導された部分配列を少なくとも1つ含むものである。
【0027】
本発明のブチノールIエステラーゼは、SDSゲル電気泳動で測定して、約40〜42 kDa、特に約41.3 kDaの分子量を有する。それらは、とりわけ、寄託番号DSM 13176を有するPseudomonas glumae(イネもみ枯細菌病菌)Lu 2023から得ることができる。別の変異株は、例えば、Pseudomonas glumae Lu 8093から出発して、唯一の炭素源としてフェニル酢酸エチルを含む最少培地で培養するなどして、選別することによって取得することができる。
【0028】
本発明はまた、ブチノールIエステラーゼをコードするポリヌクレオチドを含み、配列番号1に示される核酸配列またはそれから誘導される配列を含む。
【0029】
本発明は特に、上記のポリペプチドまたはタンパク質およびそれらの機能的等価体(例えば、人工的なヌクレオチド類似体の使用により得られるもの)のうちの1つをコードする核酸配列(一本鎖および二本鎖のDNAおよびRNA配列、例えば、cDNAおよびmRNA)に関する。
【0030】
本発明は、本発明のポリペプチドもしくはタンパク質またはその生物学的に活性な部分をコードする単離された核酸分子と、例えば、本発明のコード核酸を同定または増幅するためのハイブリダイゼーションプローブまたはプライマーとして使用することができる核酸断片と、の両方に関する。
【0031】
本発明の核酸分子は、該遺伝子のコード領域の3´および/または5´末端からの非翻訳配列をさらに含んでいてもよい。
【0032】
「単離された」核酸分子は、該核酸の天然源中に存在する他の核酸分子から分離されており、さらに、それが組換え法により産生されたものである場合は他の細胞性物質や培地を実質的に含まず、また、それが化学合成されたものである場合は化学的前駆物質や他の化学薬品を実質的に含まないものである。
【0033】
本発明の核酸分子は、標準的な分子生物学の手法および本発明により提供される配列情報を用いることにより単離することができる。例えば、適当なcDNAライブラリーからcDNAを単離するには、標準的なハイブリダイゼーション手法において、特定して開示した完全な配列またはその部分配列の1つをハイブリダイゼーションプローブとして使用する(例えば、Sambrook, J., Fritsch, E.F.およびManiatis, T. Molecular Cloning: A Laboratory Manual. 第2版, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989に記載されるようにして行う)。さらに、開示した配列またはその部分配列の1つを含む核酸分子は、この配列に基づいて構築されたオリゴヌクレオチドプライマーを用いてポリメラーゼ連鎖反応を行うことにより単離することも可能である。このようにして増幅した核酸を適当なベクターにクローニングして、DNA配列解析により特徴づけることができる。本発明のオリゴヌクレオチドは、標準的な合成方法により、例えば自動DNA合成機を使って、製造することもできる。
【0034】
本発明はさらに、特定して記載したヌクレオチド配列またはその部分配列に相補的な核酸分子を含む。
【0035】
本発明のヌクレオチド配列によって、他の細胞タイプおよび生物に含まれる相同配列を同定および/またはクローニングするために有用なプローブおよびプライマーを作製することが可能となる。そのようなプローブおよびプライマーは通常、ストリンジェントな条件下で、本発明の核酸配列のセンス鎖または対応するアンチセンス鎖の少なくとも約12個、好ましくは、少なくとも約25個、例えば、40、50または75個の連続するヌクレオチドにハイブリダイズするヌクレオチド配列領域を含む。
【0036】
本発明のさらなる核酸配列は、配列番号1から誘導され、1個以上のヌクレオチドの付加、置換、挿入または欠失により配列番号1と異なるが、所望の特性のプロファイル(特に、酵素活性の変化の上記範囲内に入る本発明のエステラーゼ活性など)を有するポリペプチドをなおもコードするものである。
【0037】
本発明はまた、いわゆるサイレント突然変異を含む核酸配列、または、特定して記載した配列に対して、特定の源または宿主生物のコドン使用頻度に従って改変されている核酸配列、ならびにそのスプライス変異体や対立遺伝子変異体などの天然に存在する変異体を包含する。同様に、本発明は保存的ヌクレオチド置換(すなわち、関係するアミノ酸が同じ電荷、サイズ、極性および/または溶解性をもつアミノ酸により置換される)によって得られる配列に関する。
【0038】
本発明はまた、特定して開示した核酸から配列多型によって誘導される分子に関する。これらの遺伝的多型は集団内の個体間に見られる天然の変異ゆえに存在しうる。こうした天然の変異は1つの遺伝子のヌクレオチド配列において1〜5%の変異度をもたらす。
【0039】
本発明はさらに、上記のコード配列にハイブリダイズする、または相補的である核酸配列を包含する。これらのポリヌクレオチドは、ゲノムまたはcDNAライブラリーのスクリーニングで見出され、適宜に、適切なプライマーを用いたPCRにより増幅させた後、例えば、適切なプローブを用いて単離することができる。別の可能性は、本発明のポリヌクレオチドまたはベクターで適当な微生物を形質転換し、該微生物(ひいては、該ポリヌクレオチド)を増やし、その後それらを単離することである。さらなる可能性は、化学的経路によって本発明のポリヌクレオチドを合成することである。
【0040】
ポリヌクレオチドに「ハイブリダイズする」ことができるという性質は、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドがストリンジェントな条件下でほぼ相補的な配列と結合することができるが、これらの条件下において非相補的パートナー間には非特異的結合が存在しないことを意味する。そのためには、配列は70〜100%、好ましくは90〜100%相補的であるべきである。互いと特異的に結合することができる相補的配列の性質は、例えば、ノーザンまたはサザンブロット法や、プライマー結合の場合のPCRまたはRT−PCRにおいて利用される。通常、この目的のためには、30塩基対またはそれより長いオリゴヌクレオチドを使用する。ストリンジェントな条件は、例えば、ノーザンブロット法では、50〜70℃(好ましくは、60〜65℃)での洗浄溶液の使用、例えば、非特異的にハイブリダイズしたcDNAプローブまたはオリゴヌクレオチドを溶出するための0.1% SDSを含む0.1×SSCバッファー(20×SSC:3M NaCl, 0.3M クエン酸Na, pH7.0)の使用を意味する。この場合には、上記のように、高度の相補性を有する核酸のみが互いに結合したままで存在する。ストリンジェントな条件の設定は当業者に公知であり、例えば、Ausubelら, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N.Y. (1989), 6.3.1−6.3.6に記載されている。
【0041】
本発明はまた、少なくとも1つの調節核酸配列と機能的に連結された、少なくとも1つの本発明のポリヌクレオチドを含む発現カセットに関する。好ましくは、プロモーター配列を本発明のポリヌクレオチドの5´側上流に配置して、ブチノールIエステラーゼの制御された発現を促進させる。特に好ましくは、ターミネーター配列と、場合により、別の通常の調節エレメントを、それぞれがブチノールIエステラーゼをコードする配列と機能的に連結されるようにして、本発明のポリヌクレオチドの3´側下流に配置する。「機能的に連結」とは、調節エレメントのそれぞれがコード配列の発現前、発現中、または発現後に意図したとおりにその機能を果たすことができるように、プロモーター、コード配列、ターミネーター、および場合により、さらなる調節エレメントが連続して配置されていることを意味する。機能的に連結しうる配列のさらなる例としては、ターゲッティング配列があり、また、翻訳増幅因子、エンハンサー、ポリアデニル化シグナルなどもそうである。さらに有用な調節エレメントには、選択マーカー、リポーター遺伝子、増幅シグナル、複製起点などが含まれる。
【0042】
人工的な調節配列に加えて、実際の構造遺伝子の前には天然の調節配列が依然存在していてもよい。遺伝的改変により、適宜に、その天然の調節のスイッチを切って、遺伝子の発現を増加させたり減少させたりすることが可能である。しかし、発現カセットの構築はもっと単純であってよく、すなわち、構造遺伝子の前に追加の調節シグナルを挿入せず、また、それを調節する天然のプロモーターを取り除くことができる。あるいはまた、天然の調節配列に突然変異を起こさせて、調節がもはや起こらないようにして、遺伝子発現を増強または消失させてもよい。核酸配列は発現カセット中に1以上のコピー数で存在することができる。
【0043】
有用なプロモーターの例は次のものである:グラム陰性細菌において有利に使用されるcos、tac、trp、tet、trp−tet、lpp、lac、lpp−lac、lacIq、T7、T5、T3、gal、trc、ara、SP6、λ−PR、またはλ−PLプロモーター;グラム陽性細菌プロモーター amyおよびSPO2、酵母プロモーター ADC1、MFa、AC、P−60、CYC1、GAPDH、または植物プロモーター CaMV/35S、SSU、OCS、lib4、usp、STLS1、B33、nosまたはユビキチンプロモーターもしくはファセオリンプロモーター。誘導プロモーター、例えば、光誘導プロモーター、特に、Pプロモーターのような温度誘導プロモーターを使用することが特に好ましい。
【0044】
原則として、天然のあらゆるプロモーターをそれらの調節配列と共に使用することが可能である。さらに、合成プロモーターを使用することも有利である。
【0045】
前記調節配列は核酸配列の特別の発現を容易にすべきである。このことは、宿主生物に応じて、例えば、遺伝子が誘導後にのみ発現または過剰発現されること、あるいは、遺伝子が直ちに発現または過剰発現されること、を意味しうる。
【0046】
これに関して、調節配列または調節因子に積極的な影響を及ぼすことによって発現を増減させることが可能である。こうして、プロモーターおよび/またはエンハンサーのような強力な転写シグナルを用いて、調節エレメントを転写レベルで有利に増強することができる。しかし、これとは別に、例えば、mRNAの安定性を高めることによって、翻訳を増強することも可能である。
【0047】
本発明の発現カセットを作製するには、適当なプロモーターを、ブチノールIエステラーゼをコードする適当なポリヌクレオチドに、さらにターミネーターやポリアデニル化シグナルにも、融合させる。そのためには、慣用の組換え・クローニング法を使用するが、これは、例えば、Sambrook, J., Fritsch, E.F.およびManiatis, T. Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY (1989)、さらに T.J. Silhavy, M.L. BermanおよびL.W. Enquist, Experiments with Gene Fusions, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY (1984)、および Ausubel, F.M.ら, Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Assoc. and Wiley Interscience (1987)に記載されている。
【0048】
本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドまたは本発明の発現カセットを担持する、真核または原核細胞宿主を形質転換するための組換えベクターに関する。かかるベクターは適当な宿主生物におけるブチノールIエステラーゼの発現を可能にする。ベクターは当業者に公知であり、例えば、”Cloning Vectors” (Pouwels P.H.ら編, Elsevier, Amsterdam−New York−Oxford, 1985)に載っている。ベクターとは、プラスミドのほかに、当業者に知られた他のあらゆるベクターも意味し、例えば、ファージ、ウイルス(SV40、CMV、バキュロウイルス、アデノウイルスなど)、トランスポゾン、ISエレメント、ファスミド、コスミド、線状または環状DNAが含まれる。これらのベクターは宿主生物内で自律複製するものでも、染色体に組み込まれて複製するものでもよい。
【0049】
本発明のベクターを用いて、組換え微生物(例えば、本発明の少なくとも1つのベクターで形質転換されていて、組換えエステラーゼの生産のために使用できる微生物)を作製することが可能である。有利には、本発明の上記組換え発現カセットを発現ベクターの一部として適当な宿主生物に導入して、発現させる。特定の発現系で前記核酸を発現させるために、当業者に知られた通常のクローニングおよびトランスフェクション方法を使用することが好ましい。適当な発現系は、例えば、Current Protocols in Molecular Biology, F. Ausubelら編, Wiley Interscience, New York 1997に記載されている。
【0050】
本発明のベクターで形質転換するのに適する宿主生物には、原則として、本発明のポリヌクレオチド、その対立遺伝子変異体、機能的等価体または誘導体の発現を促す生物がすべて含まれる。宿主生物は、例えば、細菌、真菌、酵母、植物または動物細胞を指す。好ましい生物は細菌、例えば、エシェリキア(Escherichia)属(例:大腸菌)、ストレプトミセス(Streptomyces)属、バシラス(Bacillus)属、またはシュードモナス(Pseudomonas)属の細菌、真核微生物、例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、アスペルギルス(Aspergillus)属、または動物もしくは植物由来の高等真核細胞(例:Sf9、CHO細胞)である。
【0051】
形質転換に成功した生物は、ベクターまたは発現カセットに含まれるマーカー遺伝子により選択することができる。このようなマーカー遺伝子の例は、抗生物質耐性遺伝子および形質転換細胞の染色を引き起こす染色反応を触媒する酵素の遺伝子である。次いで、細胞は自動セルソーティングにより選別することができる。ベクターによる形質転換に成功して、適切な抗生物質耐性遺伝子を保有する生物は、その抗生物質を含有する培地または培養基上で選別される。細胞表面に提示されたマーカータンパク質は、アフィニティークロマトグラフィーによる選別のために使用することができる。
【0052】
したがって、本発明はまた、本発明のベクターを保有する微生物、ならびに、ブチノールIエステラーゼを内因的に発現する、寄託番号 DSM 13176を有するPseudomonas glumae(イネもみ枯細菌病菌)突然変異体 Lu 2023に関する。
【0053】
本発明のブチノールIエステラーゼは特に、下記の反応の少なくとも1つを触媒する:
a)式I
−COO−R    (I)
[式中、
は、直鎖または分岐鎖の、置換されていない、または一置換もしくは多置換されたC−C10−アルキル、C−C10−アルケニル、またはC−C10−アルキニルであり、Rは、直鎖または分岐鎖の、置換されていない、または一置換もしくは多置換されたC−C10−アルキル、C−C10−アルケニル、C−C10−アルキニル、C−C15−アラルキル、あるいは、単核または多核の、置換されていない、または一置換もしくは多置換された芳香族基であり、
および/またはRは少なくとも1個の不斉炭素原子を含むが、
ここにおいて、特に好ましくは、エステル結合の炭素原子に結合したR由来の炭素原子、またはエステル結合の酸素原子に結合したR由来の炭素原子が不斉炭素原子である]
で表される光学活性エステルのエナンチオ選択的加水分解反応;および
b)上記式Iのエステルの、式II
−OH    (II)
[式中、Rは上記意味の一つを有し、適切な場合は、少なくとも1個の不斉炭素原子を含むが、ここにおいて、特に好ましくは、OH基をもつ炭素原子が不斉炭素原子である]
で表される光学活性アルコールによるエナンチオ選択的エステル交換反応。
【0054】
本発明はまた、ブチノールIエステラーゼを用いるエナンチオ選択的エステル加水分解法にも関し、この方法では、ブチノールIエステラーゼを、式Iで表される光学活性エステルの立体異性体混合物と接触させ、2種の立体異性体の立体選択的加水分解により生成する光学活性化合物および/または加水分解されないエステルエナンチオマーを反応媒体から取得する。しかし、ブチノールIエステラーゼは、光学的に活性でない式Iのエステルを加水分解することも可能である。
【0055】
本発明はさらに、エナンチオ選択的エステル交換法にも関し、この方法では、式IIで表される光学活性アルコールの立体異性体混合物を、ブチノールIエステラーゼの存在下に、式Iで表されるエステルと接触させ、未反応のアルコール立体異性体を反応媒体から取得するか、または、式Iで表される光学活性エステルの立体異性体混合物を、ブチノールIエステラーゼの存在下に、式IIで表されるアルコールと接触させ、該エステルに含まれる光学活性アルコールの立体異性体を反応媒体から取得する。エステル交換法では、光学活性アルコールのアシル化剤としてビニルエステルを使用することが好ましい。このことは、ビニルエステルのアルコール官能基が変換後に互変異性化のため逆反応にもはや利用されないので、有利である。ブチノールIエステラーゼはまた、エステルとアルコールのどちらも光学活性でないエステル交換法も触媒する。
【0056】
エステル加水分解の好ましい基質は、エタノール、プロパノール、ブタノールのエステル、特に好ましくは、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、乳酸、2−エチルヘキサン酸、3−メチル酪酸、メトキシ酢酸、2−メチルプロピオン酸、2−ブテン酸、3−クロロプロピオン酸、および2−メチルペンタン酸などのカルボン酸とのブチニルエステル(ブチノールエステル、1−メチルプロパ−2−イノールのエステル)である。特に好ましいものは、酪酸ブチニルとメチル酪酸ブチニルである。
【0057】
エステル交換に用いるのに好ましいアルコールはエタノール、プロパノールおよびブタノールであり、ブチノールが特に好ましいものである。
【0058】
エステル交換に用いるのに好ましいエステルは、ビニルエステル、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルおよび酪酸ビニルである。
【0059】
上記方法で用いる反応媒体は有機溶媒であり、例えば、アルカン類、エーテル類、トルエン、ジオキサン、メチルイソブチルケトン、メチルt−ブチルエーテル(MTBE)などがある。エステルの加水分解では、用いるバッファーと有機溶媒(例えば、MTBEおよびヘプタンまたはトルエン)から調製した混合溶媒も使用できる。
【0060】
本発明はさらに、ブチノールIエステラーゼを用いて上記方法により製造された光学活性アルコール、カルボン酸またはエステルに関する。
【0061】
ラセミ化合物の分割(すなわち、エナンチオ選択性)および反応速度は、酸成分の大きさと疎水性により影響を受けることがある。この反応は、好ましくは、室温においてpH6〜9、特に好ましくは、pH7.0〜7.4で実施する。エステラーゼは単離または精製された形態の酵素として、エステラーゼを発現している微生物の細胞として、該微生物の培養上清、細胞溶解物または抽出物として、あるいは固定化されたエステラーゼとして用いる。反応生成物は当業者に公知の化学的または物理的分離方法により反応溶液から単離する。ブチノールIエステラーゼは膜濾過によって反応混合物から単離することができる。
【0062】
ポリアクリルアミド、アルギン酸またはカラゲーニンを用いてエステラーゼを固定化することが可能である。また、公知の方法を用いてエステラーゼを適当な担体に共有結合させたり、吸着させたりすることもできる。ブチノールIエステラーゼは、ケイソウ土(kieselguhr)への凍結乾燥により、または硫酸アンモニウム沈降により固定化することが好ましい。
【0063】
先に述べたように、ブチノールIエステラーゼはPseudomonas glumae Lu 2023から得られる。しかし、公知のペプチド合成法によって製造することもできる。
【0064】
さらに、ブチノールIエステラーゼは、真核または原核生物が、例えば本発明のベクターを保有する微生物のように、ブチノールIエステラーゼを発現するのであれば、そのような生物からも得ることができる。
【0065】
したがって、本発明はブチノールIエステラーゼの調製方法にも関し、この方法においては、ブチノールIエステラーゼを産生する微生物または本発明のベクターで形質転換された微生物を培養し、適宜にブチノールIエステラーゼの発現を誘導し、そして培養物からブチノールIエステラーゼを単離する。微生物は公知の方法を用いて培養し、発酵させることができる。例えば、細菌をTBまたはLB培地にて20〜40℃、pH6〜9で増殖させる。適当な培養条件は、例えば、Sambrook, J., Fritsch, E.F.およびManiatis, T. Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY (1989)に詳しく記載されている。
【0066】
培養した後、細胞を溶解し、その溶解物からタンパク質分離法によりブチノールIエステラーゼを取得する。細胞を溶解するには、超音波処理によるか、高圧(例えば、フレンチプレスの使用)によるか、浸透圧によるか、界面活性剤、溶解酵素もしくは有機溶剤の作用によるか、ホモジナイザー(好ましくは、ガラスビーズミル)によるか、上記方法の2以上の組合せによるか、のいずれでもよい。遠心分離後、タンパク質と他の可溶性分子は上清中に残っている。塩化マグネシウムを用いてDNAを沈澱させると、明らかに粘性の低い溶液が得られる。タンパク質は、硫酸アンモニウムやリン酸カリウムなどを用いる塩析により、選択的に沈澱させることができる。また、pHもしくは温度を変化させたり、メタノール、エタノール、アセトンなどの有機溶剤を使っても、沈澱を生じさせることができる。塩沈澱の後、その塩を透析して取り除く。
【0067】
ブチノールIエステラーゼのさらなる精製は、公知のクロマトグラフィー法、例えば、分子ふるいクロマトグラフィー(ゲル濾過)、Q−Sepharoseクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーおよび疎水性クロマトグラフィーを使って、また、限外濾過、結晶化、未変性ゲル電気泳動のような他の慣用方法を使って行うことができる。
【0068】
以下の実施例は、添付の図面を参照しながら、より詳細に本発明を説明するためのもので、限定するものではない。
【0069】
実施例1
ブチノールIエステラーゼを発現する Pseudomonas glumae 突然変異体の選択
このスクリーニングの開始点は、リパーゼ産生株であるPseudomonas (Burkholderia) glumae Lu 8093であった。この菌株から得られたリパーゼにより、いくつかの興味のもてる反応を実施することができる(Balkenhohl, F.ら, J. prakt. Chem. 339, (1997), 381−384)。しかし、乳酸エステル、メチル酪酸エステルおよびフェニル酢酸エステルはこのリパーゼの基質ではなく、この菌株は他のどのような方法でもこれらのエステルを加水分解することができない。
【0070】
しかし、加水分解産物は炭素源として利用可能である。したがって、上記エステルを加水分解して、その加水分解産物を炭素源として利用して生育する能力があるLu 8093の突然変異体を探した。したがって、新規なエステラーゼ活性を有する突然変異体は、上記エステルで生育させることによってその正体を現すであろう。
【0071】
選択条件: Lu 8093を培地上で16時間培養し、遠心分離により回収した。細胞を食塩水で2回洗浄した。10個の細胞を、唯一の炭素源として0.5または1.0g/lのフェニル酢酸エチルを含む最少培地プレートにまいた。ところが、最初は全く生育しなかった。やっと4〜6日後に、単一のコロニーが確認できた。その数はそれ以後さらに増えた。
【0072】
このようにして得られたエステラーゼ陽性突然変異体から、Lu 2023突然変異株を選択した。驚いたことに、この新規なエステラーゼ活性は比較的小さな有機分子の選択的加水分解にも適していた。例えば、ブチノールエステルを選択的に加水分解することがわかった。
【0073】
実施例2
Pseudomonas glumae Lu 2023 の発酵
ブチノールIエステラーゼを得るために、Pseudomonas glumae Lu 2023を14Lのスケールで培養し、活性バイオマスを回収した。
【0074】
実験室では、Pseudomonas glumae Lu 2023を、M12ミネラル塩培地と1g/LのEPAを含む寒天プレート上にストリーク接種し、28℃で36〜48時間インキュベートした。その後、このプレートは4℃で4週間保存することができた。
【0075】
この菌株の発酵は、Infors xxy 14−1発酵槽で実施した。前培養のため、250mlの培地に2〜3の白金耳を用いて接種し、200rpm、28℃で24時間インキュベートした。主培養は下記の条件下で行った:
温度 28℃
空気の供給 7L/分
攪拌 600rpm
発酵実施時間 約24時間
内臓pHおよびpOの測定
【0076】
前培養および主培養のための培地
Springer酵母自己分解物質65%    15 g/l
硫酸マグネシウム×7水        1.6 g/l
塩化カルシウム×2水         0.02 g/l
リン酸二水素カリウム         3.5 g/l
リン酸水素二カリウム         3.5 g/l
リン酸水素二アンモニウム       5 g/l
Pluriol P2000消泡剤         6 ml
【0077】
上記の成分を脱イオン水に溶解し、この溶液を25%濃度のアンモニア水を用いてpH6.5に調整した。5 ml/lの微量元素溶液および2 g/lグルコースを別個に滅菌濾過した。
【0078】
培地を滅菌して完成させた後、0.5 g/lのフェニル酢酸エチルを発酵槽に導入した。Pluriol P2000を添加して発酵中の泡の発生を防止した。発酵槽内のpOが85%以上に再度増加したとき発酵を停止させた。次いで、発酵槽の内容物を約9000〜10,000 g、15℃以下で遠心分離し、透明な上清を廃棄した。細胞塊は−16℃で凍結させた。
【0079】
実施例3
Pseudomonas glumae Lu 2023 からのブチノールIエステラーゼの精製
Pseudomonas glumae Lu 2023細胞(100 ml、湿重量:50 g)を3000rpm、4℃でガラスビーズミル(100mlのガラスビーズ、直径:0.5mm)で溶解した。遠心分離し(10,000rpm、30分)、ガラスビーズを洗浄した後、上清(300ml)を塩化マンガン沈澱(pH7〜7.5;最終濃度:50mM)に付した。もう一回遠心分離した後、上清をpH8.0に調整し、EDTAを50mMの濃度で添加した。この容量をQ−Sepharose(300ml)クロマトグラフィーで精製した。サンプルをアプライした後、カラムを50mM トリス/HClで洗浄した。対象となる画分を集めて、限外濾過(100 kDa)により濃縮した。分子ふるいクロマトグラフィー(直径:5cm、高さ:90cm;材料:S−300)にかけて非特異的エステラーゼからブチノールIエステラーゼを分離した。得られた活性画分は濁っており、再度濃縮した。このエステラーゼは明らかに膜に結合されていた。次いで、膜画分をまずプロテアーゼ(トリプシン、重量比:1:50から1:100)で消化した。これは、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動において2,3のバンドを別にすれば、膜画分から全タンパク質を消失させた。活性は保存されていた。上記バンドを未変性ゲル電気泳動(0.04%のSDS)で互いに分離し、活性アッセイにより未変性ゲル中のエステラーゼを同定した。このエステラーゼをゲルから溶出した後で、変性SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけたところ、きれいな1本のバンドとして現れた。
【0080】
このようにして精製されたタンパク質は、PVDF膜へのブロッティングにより移行させてから配列決定するか、または、トリプシンで切断した後にペプチドを逆相HPLCで分離してから配列決定した。このタンパク質のアミノ末端はブロックされたので、トリプシン消化ペプチドのみが得られた。種々のアミノ酸配列がAcinetobacter iwoffiiおよびPseudomonas putida由来のムコン酸エステルシクロイソメラーゼ(muconate cycloisomerase)EC 5.5.1.1に対して、また、Pseudomonas fluorescens由来のラクトンエステラーゼに対して弱い相同性を示した。配列AIDAIFAPEGVをもつペプチドはペクチンエステラーゼ(EC 3.1.1.11)に対する相同性を示した。
【0081】
図1は、本発明のアミノ酸部分配列と、Pseudomonas fluorescens由来のラクトン特異的エステラーゼの部分配列との、配列アラインメントを示す。
【0082】
実施例4
ブチノールIエステラーゼの固定化
固定化のために種々の方法を使用した。
1.ブチノールIエステラーゼは、ケイソウ土(kieselguhr)の存在下にアセトンで沈澱させることにより実質的に不活性化された。25mgのタンパク質を3.5gのケイソウ土(Merck)と混合し、1.4Lのアセトン(−20℃)を10分間添加した。その後、エステラーゼをローディングした担体をG3ガラス吸引フィルターにより分離し、フィルター残留物を冷アセトンで洗浄して、乾燥させた。
【0083】
2.ブチノールIエステラーゼは、Accurel(Akzo)に結合しない。
【0084】
3.ブチノールIエステラーゼ(2.3単位/g、EPAアッセイ)は、凍結乾燥によりケイソウ土に固定させることができた。そのために、酵素溶液をケイソウ土と混合し、−80℃で凍結させた。続いて、この固形物質を凍結乾燥により乾燥させた。
【0085】
4.ブチノールIエステラーゼ(454ミリ単位/g、EPAアッセイ)は、硫酸アンモニウム沈澱により固定化された。そのために、酵素をケイソウ土の存在下に80%飽和の硫酸アンモニウムで沈澱させた。
【0086】
実施例5
Pseudomonas glumae Lu 2023 由来のブチノールIエステラーゼを用いたラセミ体分割
手順(標準混合物):
100単位のブチノールIエステラーゼを、リン酸バッファー(200ml、10mM、pH7.4)中で20mmolのブチノール酪酸エステル(酪酸1−メチルプロパ−2−イニル)と攪拌しながら反応させた。pHを絶えず測定して、水酸化ナトリウム溶液の添加により約pH7.4に維持した。サンプルを採取し、メチルt−ブチルエーテル(MTBE)で2回抽出し、有機相をGC(Chiraldex GTA)により分析した。ブチノールIエステラーゼを膜濾過により反応混合物から分離した。
【0087】
その濃度が増加するにつれて、好ましくないほうのエステルエナンチオマーは漸増的に変換された。約45分後、これは反応混合物中のS−ブチノールのeeの低下を招いた。この生成物のeeは、約30〜40分後に84%(83〜97.9%)でその最大値に達した。基質のeeは90分間で99%以上に増加した。ee(エナンチオマー過剰率)は、好ましいほうの変換エナンチオマーの量(%)マイナス好ましくないほうの変換エナンチオマーの量(%)として定義される。たいていの場合、これは光学純度に一致する。pHの低下は30分まで直線状であったが、約100分以後からは、pHの変化はごくわずかであった。
抽出後、水相中の残留エステラーゼ活性はまだ50%ほど残っていた。
【0088】
【表1】
Figure 2004507268
【0089】
表1は、ブチノールIエステラーゼを用いてブチノール酪酸エステルを変換したときの時間依存的エナンチオマー過剰率を示す。Cahn、PrelogおよびIngoldによるR/S変換に従うと、RおよびS立体配置が1つのキラル分子の2つのエナンチオマーを規定する。変換率は反応混合物中の変換されたエステルの割合である。
【0090】
実施例6
エステルの酸成分の大きさおよび疎水性/電荷に対するブチノールIエステラーゼ特異性の依存性
標準方法:
100単位のブチノールIエステラーゼを、リン酸バッファー(200ml、10mM、pH7.4)中で20mmolのブチノールエステルと攪拌しながら反応させた。pHを絶えず測定して、連続滴定により約pH7.0に維持した。サンプルを採取し、メチルt−ブチルエーテル(MTBE)で2回抽出し、有機相をGC(Chiraldex GTA)により分析した。
【0091】
結果:
ラセミ体分割の質および反応速度は、酸成分の大きさおよび疎水性に依存していた。ブチノールIエステラーゼの最良の基質は、ブチノールの酪酸エステルとブチノールのメチル酪酸エステルであった。リパーゼはこれらの基質には不活性である。このことは、n−デカン酸ブチニルのような長鎖エステルにも当てはまる。
【0092】
【表2】
Figure 2004507268
【0093】
表2は、ブチノールIエステラーゼを用いてエステルを変換したときのエナンチオマー過剰率が、変換されるエステルの酸成分に左右されることを示している。
【0094】
実施例7
ブチノールIエステラーゼを用いる有機媒体中でのエステル交換
10mmolのラセミ体ブチノールと5mmolの酪酸ビニルを50mlのメチルt−ブチルエーテル(MTBE)中に溶解し、ケイソウ土に担持された9単位のブチノールIエステラーゼ(3.3g)と混合した。この混合物を室温で24時間振とうした。濾過後、溶媒を除去し、生成した混合物をGCにより特徴づけた。
【0095】
47%の変換率で、(R)−ブチノール(18% ee)および(S)−ブチノールの酪酸エステル(45% ee)が残存していた。
メチルイソブチルケトン中では、(R)−ブチノール(16% ee)および(S)−ブチノールの酪酸エステル(52% ee)が43%の変換率で得られた。
表3は、ブチノールIエステラーゼを用いてエステルを交換したときのエナンチオマー過剰率が、交換されるエステルの酸成分に依存することを示している。
【0096】
【表3】
Figure 2004507268
Figure 2004507268

【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明のブチノールIエステラーゼのアミノ酸部分配列と、Pseudomonas fluorescens由来のラクトン特異的エステラーゼの部分配列との、配列アラインメントを示す。Query:本発明のクローンLU2898の部分配列。Sbjct:Pseudomonas fluorescens酵素(受入番号087637)の部分配列。

Claims (20)

  1. 配列番号3、4、5または6に示されるアミノ酸部分配列を少なくとも1つ含んでなる、ブチノールIエステラーゼ活性を有するタンパク質、またはブチノールIエステラーゼ活性を有するその機能的等価体。
  2. 配列番号2に示されるアミノ酸配列を含んでなる、請求項1に記載のタンパク質、またはその機能的等価体。
  3. 機能的等価体が配列番号2、3、4、5または6に示されるアミノ酸配列由来の少なくとも10個の連続するアミノ酸残基からなる部分配列を少なくとも1つ含んでなる、請求項1または2に記載のタンパク質。
  4. 分子量が約41,300 Daのポリペプチド鎖を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のタンパク質。
  5. 前記タンパク質が寄託番号DSM 13176を有するPseudomonas glumae(イネもみ枯細菌病菌)から得られる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のタンパク質。
  6. 前記タンパク質が下記の反応の少なくとも1つを触媒する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のタンパク質:
    a)式I
    −COO−R    (I)
    [式中、
    は、直鎖または分岐鎖の、置換されていない、または一置換もしくは多置換されたC−C10−アルキル、C−C10−アルケニル、またはC−C10−アルキニルであり、Rは、直鎖または分岐鎖の、置換されていない、または一置換もしくは多置換されたC−C10−アルキル、C−C10−アルケニル、C−C10−アルキニル、C−C15−アラルキル、あるいは、単核または多核の、置換されていない、または一置換もしくは多置換された芳香族基であり、
    および/またはRは少なくとも1個の不斉炭素原子を含む]
    で表される光学活性エステルのエナンチオ選択的加水分解反応;および
    b)上記式Iのエステルの、式II
    −OH    (II)
    [式中、Rは上記意味の一つを有し、適切な場合は、少なくとも1個の不斉炭素原子を含む]
    で表される光学活性アルコールによるエナンチオ選択的エステル交換反応。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のタンパク質もしくはその機能的等価体をコードするポリヌクレオチド、それに相補的なポリヌクレオチド、またはそれとハイブリダイズする核酸配列。
  8. 配列番号1に示される核酸配列中の少なくとも30個の連続するヌクレオチド残基からなるヌクレオチド配列を含んでなる、請求項7に記載のポリヌクレオチド。
  9. 少なくとも1つの調節核酸配列と機能的に連結された、少なくとも1つの請求項7または8に記載のポリヌクレオチドを含む発現カセット。
  10. 請求項7もしくは8に記載のポリヌクレオチドまたは請求項9に記載の発現カセットを含む、真核または原核宿主細胞を形質転換するための組換えベクター。
  11. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のタンパク質を生産する方法であって、該タンパク質を内因的に産生する微生物、または請求項10に記載のベクターで形質転換された微生物を培養し、該培養物から該タンパク質を単離することを含んでなる、上記方法。
  12. 前記微生物が寄託番号DSM 13176を有するPseudomonas glumae Lu 2023である、請求項11に記載の方法。
  13. 請求項11または12に記載の方法により得られるタンパク質。
  14. 寄託番号DSM 13176を有するPseudomonas glumae Lu 2023、またはその変種もしくは突然変異体。
  15. 請求項10に記載のベクターを含む微生物。
  16. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のタンパク質を用いるエナンチオ選択的エステル加水分解法であって、
    a)該タンパク質を、式Iで表される光学活性エステルの立体異性体混合物と接触させ、
    b)該立体異性体のいずれかの立体選択的加水分解により生成する光学活性化合物および/または加水分解されないエステルエナンチオマーを反応媒体から取得する、
    ことを含んでなる、上記方法。
  17. エナンチオ選択的エステル交換法であって、
    a)式IIで表される光学活性アルコールの立体異性体混合物を、請求項1〜6のいずれか1項に記載のタンパク質の存在下に、式Iで表されるエステルと接触させ、未反応のアルコール立体異性体を反応媒体から取得する、または
    b)式Iで表される光学活性エステルの立体異性体混合物を、請求項1〜6のいずれか1項に記載のタンパク質の存在下に、式IIで表されるアルコールと接触させ、該エステルに含まれる光学活性アルコールの立体異性体を反応媒体から取得する、
    ことを含んでなる、上記方法。
  18. エステル交換反応のために、光学活性アルコールのアシル化剤としてビニルエステルを用いる、請求項17に記載の方法。
  19. 用いる反応媒体が有機溶媒である、請求項16、17または18に記載の方法。
  20. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のタンパク質を用いて調製された光学活性アルコール、カルボン酸、またはエステル。
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